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三匹の子豚「オオカミに負けない家を作ろう!」
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親元から離れ、独立することになった子豚三兄弟。
長男ブタが、弟二匹に注意をうながす。
長男ブタ「我が弟たちよ!」ブヒッ
長男ブタ「これから我々ははなればなれで暮らすことになるが──」
長男ブタ「我々子豚は、常に捕食者から狙われている!」
長男ブタ「特にオオカミには注意を払わねばならん!」
長男ブタ「各自、棲み家は捕食者に負けないようなものを作るようにな!」ブヒッ
次男ブタ「フッ、十分承知していますよ、兄さん」ブヒョッ
三男ブタ「う、うん! 分かったよ、兄ちゃん!」ブー…
2: 以下、
どのような家にするか、思案する子豚たち。
長男ブタ「我が力をもってすれば──」
長男ブタ「オオカミに負けぬどころか、打倒する家を作ることも容易い……!」
次男ブタ「フフフッ、簡単なハナシです」
次男ブタ「ようするにオオカミが近づけないようにすればいいんですから」
三男ブタ「どうしよっかな……」
三男ブタ「とりあえず、材質にこだわってみようかな……」
3: 以下、
一ヶ月後──
子豚たちの独立を聞きつけたオオカミが、ついに動き出す。
オオカミ「ぐへへへ……」ジュルリ…
オオカミ「いい情報を手に入れたぜぇ……」
オオカミ「ガキとはいえ、ブタは食いでがあるからなぁ」
オオカミ「三匹とも、このオレ様がいただいてやる!」
オオカミ「さぁて、まずは長男から食ってやるとするか……」ジュルリ…
4: 以下、
長男ブタの住所を調べ、近くまでやってきたオオカミ。
オオカミ「ここら辺のはずだが……」
オオカミ「!?」
オオカミ「なんだありゃあ……!?」
オオカミ(あちこちにレーダーが張り巡らされ)
オオカミ(兵隊があちこちをうろついてやがる……!)
オオカミ「ま、まるで要塞じゃねえか!」
5: 以下、
長男ブタ宅 司令室──
側近「司令、エネミー“狼(ウルフ)”の接近を確認、ただちに排除させます」
長男ブタ「うむ、頼んだぞ」
長男ブタ(ようやく来たか……オオカミ)
長男ブタ(あのオオカミはブタが好物で、今までも沢山の同胞を殺されている)
長男ブタ(キサマとの因縁、今日ここで断ち切ってくれるわ!)
8: 以下、
長男ブタ(5平方キロメートルという膨大な敷地を持つ我が家……)
長男ブタ(周囲には無数のレーダーが張り巡らされ、外敵の接近は容易にキャッチする!)
長男ブタ(さらに家をA?Hまでの8ブロックに分け)
長男ブタ(約30000名の兵士を機能的に配備!)
長男ブタ(各ブロック間での連絡、連携はスムーズにいくようになっている)
長男ブタ(しかも、我輩の部屋の周囲は最強の部下である“四天王”が守護)
長男ブタ(つまり、オオカミが我輩のもとまで来られる確率は……0パーセント!)
長男ブタ(いや……我が家に入れる確率からして0パーセントだがな)
10: 以下、
外ではオオカミに対する一斉射撃が始まっていた。
隊長「撃て撃てぇ?い!」ガガガガガッ
兵士A「ヒャッハ?!」ガガガガガッ
兵士B「この家には入れさせん!」ガガガガガッ
兵士C「喰らえッ!」ボシュッ…
ズドォォォォォンッ!
ロケットランチャーの弾丸がオオカミに命中した。
隊長「や、やったか……!?」
11: 以下、
モワモワモワ……
オオカミ「ふん……この程度かよ」モワモワ…
隊長「な、なんだと!?」
オオカミ「マシンガンやロケットランチャーぐらいじゃ、オレ様は倒せねえよ」
オオカミ「てめえら全員……噛み殺してやる!」
ヒュッ!
隊長「き、消えた!?」
ザシュッ! ザシィッ! ズシャァッ!
入り口を守っていた警備兵、約1000名はあっという間に全滅した。
12: 以下、
ドラゴンボールな狼かよ!
13: 以下、
司令室──
長男ブタ「な、なんだと!? オオカミの侵入を許しただと!?」
側近「申し訳ありません……」
長男ブタ「まぁよい、この家にはまだ約3万の兵士がおるのだ」
長男ブタ「これを突破できるわけが──」
『し、司令官……こちらAブロック!』
『“狼(ウルフ)”の猛攻で、Aブロックはほぼ壊滅……』
『うっ、うわぁぁぁぁぁっ!』
『ザザッ……ガガッ……』
『…………』プツッ…
長男ブタ(侵入されてからまだ五分も経っておらんというのに!?)
14: 以下、
『こちらCブロック! 大至急応援を……ぐわああああっ!』
『Fブロッ……ク……ぜ、全滅……』
『Eブロック、八割の兵士を損耗!』
『こちらBブロック! ただちにEブロックに救援を向かわせ──ぎゃああああっ!』
『司令……Dブロック突破され、ました……もう、しわけ……』
『Hブロック……“狼(ウルフ)”により私以外、全員……がはっ!』
16: 以下、
長男ブタ「なんということだ……!」
長男ブタ「そうだ、残るGブロックは!?」
側近「先ほどから連絡が取れません……おそらくすでに……!」
長男ブタ「…………!」
長男ブタ(だが……心配無用!)
長男ブタ(四天王がいる限り、この部屋には絶対たどり着けん!)
長男ブタ「大至急、四天王と通信をつなげ!」
側近「はっ!」
18: 以下、
ライオン『四天王リーダー、ライオンです』
長男ブタ「おお、ライオンか!」
長男ブタ「侵入者の情報は入っていよう。必ずやオオカミを葬り去ってくれ!」
ライオン『いえ、それは不可能です』
長男ブタ「?」
ライオン『なぜなら、トラ、カバ、ゾウは“狼(ウルフ)”にあっけなく殺され』
ライオン『私もすでに死んでいるからです』
長男ブタ「死んでるって、しゃべってるではないか!」
ライオン『れ、れ、れ……れおっ!』ドッパァァァン
ライオンの頭部が破裂したような音を最後に、通信が途絶えた。
長男ブタ「もしもし!? ……もしもし!? どうした!?」
側近「オオカミに秘孔を突かれていたようですね……」ゴクッ…
20: 以下、
四天王どうやって雇ったんだ…
21: 以下、
長男ブタ(3万の兵士と四天王が、15分足らずで全滅するとは……!)
側近「ど、どうしましょう!」
長男ブタ「うろたえるな、この司令室は核シェルターより頑丈だ!」
側近「そっ、そうですよね!」
直後──
ボゴォッ! ガシィッ……!
壁を破壊して伸びてきた手が、側近の頭をわし掴みにし──
グシャンッ!
頭を砕いた。
長男ブタ「ま、まさか……!?」
22: 以下、
オオカミ「ぐへへへ……ここが司令室か」ジュルリ…
長男ブタ「オオカミ!?」
オオカミ「あの程度の兵器と兵力じゃ、オレ様にかすり傷も負わせられないぜ?」
長男ブタ「ま、待ってくれ! どうだ、我が兵士にならんか!?」
長男ブタ「金だって食い物だって、いくらでもくれてやる!」ブヒッ
オオカミ「いいや、金も食い物もいらねえよ」
オオカミ「オレ様がここまで来たのは」
オオカミ「お前を食べるためさあああああああ!!!」
ギャアァァァァァ……
23: 以下、
長男ブタの死は、次男ブタの家にも伝わった。
次男ブタ「兄さん……!」ブヒョッ
次男ブタ(やはり忠告しておくべきでした)
次男ブタ(どんなに財力や武力があっても、オオカミと対決してはならないと!)
次男ブタ(しょせん私たちは食べられる側の動物なのですから……)
次男ブタ(とはいえ、兄さんの死を悲しんでいる暇はありません)
次男ブタ(もうまもなく、食事を終えたオオカミはここにやってくるでしょう)
次男ブタ(対オオカミ用に建てたこの家を、活用しなくては!)
24: 以下、
オオカミ「ぐへへへ……なかなかいい味のブタだったぜ」
オオカミ「さぁてお次は、次男のブタをいただくとするか」ジュルリ…
オオカミ「……あれが次男の家だな?」
オオカミ「要塞だった長男の家に比べ、ずいぶんちっこいじゃねえか」
オオカミ「こいつはちょろそうだ!」ダッ
オオカミ(一気に侵入して、中でおびえてるブタを喰らってやる!)
26: 以下、
オオカミが次男宅に近づくと、突然家が走り出した。
ギュアッ!
オオカミ「!?」
オオカミ(なんだ今のは!? オレ様が近づいたら家が逃げやがった!)
オオカミ「待ちやがれえっ!」ダッ
ギュアアアッ!
オオカミ「なんだとォ!?」
オオカミ(時200kmは軽く出てやがる……!)
27: 以下、
次男ブタ(無駄ですよ、オオカミ)
次男ブタ(兄さんの家が巨大要塞なら、私の家は移動要塞!)ブヒョッ
次男ブタ(私は地上最の獣チーターに追われても平気なよう、この家を作りました)
次男ブタ(この家に追いつける者など存在しな──)チラッ
次男ブタが窓を見ると、オオカミが並走していた。
次男ブタ「いっ!?」
オオカミ「ぐへへへ……」シュタタタタッ
オオカミ「この程度のスピードで、オレ様から逃げられるわけねーだろ」シュタタタタッ
28: 以下、
次男ブタ「だ、だったら海に逃げるまでです!」
次男ブタ「水深一万メートルまで潜れるこの家には、さすがについてこれないでしょう!」
ジャバァァンッ!
次男ブタ宅はあっという間に、水深一万メートルまで潜った。
ゴボゴボゴボ……
次男ブタ「フフフ、オオカミといえどさすがにここまでは来れないはず!」
次男ブタ「食糧はたっぷりありますし、しばらくは海底で過ごすとしますか」
コンコン……
次男ブタ「──ん? 窓に深海魚がぶつかったのでしょうか?」
29: 以下、
オオカミ「よう」ゴボゴボ…
オオカミ「オレ様は深海だって余裕なんだよ」ゴボゴボ…
次男ブタ「なんですって!?」
次男ブタ「くっ、緊急浮上!」ポチッ
グオオオオッ!
すぐに海面に上がると、次男宅は空へと飛び上がった。
次男ブタ「ならば宇宙です! 宇宙まではついてこれまい!」
30: 以下、
瞬く間に大気圏を突破し、宇宙空間にたどり着いた次男宅。
次男ブタ「おお、地球が青い! 美しい眺めですねぇ……」
次男ブタ「フフフ、いかにオオカミといえどここまでは──」
ところが──
ズボォッ!
外から、つまり宇宙空間からオオカミが侵入してきた。
次男ブタ「!?」
オオカミ「残念だったな……オレ様にとっちゃ宇宙空間ぐらいどうってことないぜ」
次男ブタ「わわわっ!」
31: 以下、
狼チートすぎぃ!
32: 以下、
次男ブタ「チーターよりく走り、深海や宇宙でも生きられる……」
次男ブタ「あなた、本当にオオカミなのですか!?」ブヒョッ
オオカミ「ぐへへへ……もちろんだとも」
オオカミ「なぜならオオカミは、狙った獲物は逃がさねえからな」ジュルリ…
次男ブタ「ま、待ってくれ! 命だけはぁっ!」
オオカミ「いっただっきまぁ?す!」
ウギャァァァァァ……
33: 以下、
次男ブタをも胃袋に収め、地球へと泳いで舞い戻ったオオカミ。
オオカミ「ふぅ?、食った食った。それにいい運動もできたぜ」
オオカミ「たまには生身での宇宙旅行もいいもんだ」
オオカミ「さて、残るは三男の家だが……この近くだったはずだ」
オオカミ「ぐへへへ……とっとと平らげちまおう」ジュルリ…
オオカミ「ん、なんだありゃ?」
オオカミの目の前には、レンガでできた小さな一軒家が建っていた。
オオカミ「レンガの家……あれが三男の家だな、ようし!」
34: 以下、
レンガの家に息を吹きかけるオオカミ。
オオカミ「フーッ!」
オオカミ「フーッ!!」
オオカミ「フーッ!!!」
オオカミ「ハァ、ハァ、ハァ……」
オオカミ「フーッ!!!」
オオカミ「くそう、オレ様の息で吹き飛ばせないなんて!」
オオカミ「なんて頑丈な家なんだ! レンガってすげえ!」
35: 以下、
オオカミ「そうだ! レンガを吹き飛ばせないんなら、煙突から入ればいいんだ!」
オオカミ「よいしょ、よいしょ」
屋根についている煙突から、三男ブタ宅に侵入するオオカミ。
すると──
ザバァンッ!
オオカミ「ぐわあっ!?」
オオカミ「あちちっ! あちちちっ!」バシャバシャ…
三男ブタ「やった!」ブー…
オオカミは煙突の下に用意してあった、熱湯が入った大鍋にハマってしまった。
36: 以下、
オオカミ「あちちちっ!」
オオカミ「た、助けてくれえっ!」バシャバシャ…
三男ブタ「今までみんなを食べてきた罰だ、ざまあみろ!」
オオカミ「あづいよぉぉぉぉぉ!」バシャバシャ…
オオカミ「あ……づい……」
オオカミ「…………」ブクブク…
三男ブタ「仇はとったよ……兄ちゃんたち!」ブー…
三男ブタ「これも材質にこだわったおかげだ……やっぱりレンガは最高だね!」
三男ブタ「家はレンガで建てるに限るよ!」
家はレンガ♪ レンガ♪ レンガでつく?ろう?♪
38: 以下、
──
────
──────
長男ブタ「──というTVコマーシャルを作ってみた」ブヒッ
次男ブタ「大勢のエキストラを雇い、海外ロケを行い、CGも駆使した超大作です」
三男ブタ「これを放映すれば、絶対レンガの注文が増えるよ!」ブー…
オオカミ「ぐへへへ……どうだ? このコマーシャルを買ってくれよ」
レンガ職人「お前らふざけてんの?」
40: 以下、
長男ブタ「広告の依頼が全くないから」
長男ブタ「先にコマーシャルを作ってから、それを売りつけるという方法を考えたが……」
長男ブタ「失敗だったか……」
次男ブタ「いい方法だと思ったんですがねえ……」ブヒョッ
三男ブタ「ま、いいじゃない! また次の方法を考えようよ、兄ちゃんたち!」
オオカミ「そうだぜ! 失敗したってくよくよしねえのが、オレ様たちの取り柄だ!」
三流広告代理店『ピッグ&ウルフ』の挑戦は、明日も続く!
?おわり?
41: ◆.zCek/PEB. 2014/07/31(木) 00:42:24 ID:l123ny2.
というわけで終わりです
兵士たちがなんの動物かはご想像にお任せします!
42: 以下、
ステマどころかコマーシャルだったとは...
乙
45: 以下、
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