律子「フライング・ダッチマン……?」back

律子「フライング・ダッチマン……?」


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3:
律子「みんなお疲れ様! 初めての長期海外ロケ、よく頑張ったわね」
伊織「ほんとよ、もう私くったくたなんだから!」
亜美「亜美、お醤油と味噌の味が恋しくて恋しくてたまんないよー!」
あずさ「はいはい、それじゃあ急いで帰りましょうね?」
律子「そうですね。えーと……夕方には船に乗るわよー、みんな忘れ物ないようにね!」
亜美「はーい」
伊織「はいはい」
あずさ「はぁい」
5:
伊織「ぼろっちい船ねー、本当にこんなのに乗って大丈夫なの?」
律子「嫌なら空港まで陸地を歩きなさい、予算の都合でこれ以外なかったのよ。亜美? フラフラだけど大丈夫?」
亜美「ピロートークだよー、亜美は先に部屋行って寝るね。ご飯になったら起こしてー」
あずさ「疲労困憊、かしら? 私も先にお部屋の方に入っておきますね」
律子「亜美の面倒見てもらう形になっちゃってすみません、お願いします」
伊織「律子、私達も一緒に部屋に行きましょうよ」
律子「それがさっき船員さんが来て『隣り合わせの部屋が使えない、別の部屋を用意するから待っててくれ』って言われちゃって」
伊織「はあ!? 本当にこの船大丈夫なんでしょうね!? 私、ネズミが出るような部屋は嫌よ!」
律子「大丈夫大丈夫、さっきすごい大群が船から降りて行くのを見かけたから」
伊織「……」
律子「……」
伊織「……沈むんじゃないの?」
律子「大丈夫……多分」
>>4
なんぞそれ
9:
伊織「部屋に着いたは良いけど汚過ぎでしょ!」
律子「文句言わないの、明日か明後日には向こうの港に着くんだから」
伊織「ベッドはカビ臭いし! 扉の鍵は押せば簡単に外れそうだし! 床はギィギィやかましいし!」
律子「辛いのは他のスタッフも同じよ、仲良く我慢しましょ」
伊織「はあ……怒ったらお腹減ってきたわ」
律子「そう言えばそろそろ夕食の時間ね。食堂の方に行きましょうか」
伊織「これで料理まで不味かったら局に文句言ってやるわ、もっと予算増やせって」
律子「やめなさい、下手に突ついて番組なくなったりしたら大変なんだから……」
伊織「律子! のんびりしてないでキリキリ歩きなさい!」
律子「はいはい」
10:
あずさ「美味しかったですねー」
律子「ええ、とっても。伊織も満足よね?」
伊織「ま、まあそこそこよね。一流のサービスマンなら内装にも拘ってほしかったかど!」
亜美「いおりんいおりん、ほっぺにパンくず付けながら一流とか言っても説得力ないっぽいよ?」
伊織「な、う、うるさーい!」
亜美「わーいいおりんが怒ったー!」
律子「さて、することもないですし早く寝ちゃいましょうか。行くわよ、伊織」
あずさ「そうですね、それじゃあまた明日」
亜美「あずさお姉ちゃーん、早くー!」
あずさ「はぁい」
伊織「むきー!」
12:
律子「ふう、シャワーが使えるなんて思ってなかったからなんか得した気分ねー。伊織、お風呂空い……伊織?」
伊織「ん、律子……」
律子「窓を見てたの? 外に何かあった? ……あら、雨」
伊織「律子、気づかない? さっきから船の揺れも大きくなってるし、これ絶対嵐の前触れよ」
律子「心配しなくても沈まないってば。さっさとシャワー浴びてきちゃいなさい」
伊織「はあ、もう……なんでこの伊織ちゃんがこんな目に……」
律子「怖いなら一緒に寝てあげましょうか?」
伊織「結構よ! ふん!」
律子「あらまあ、のしのし歩いちゃって……それにしても、本当に嵐なんて来ないわよね?」
伊織「律子ー、これどうやってお湯出すのー?」
律子「あ、はーい! ちょっと待ってて、すぐ行くからー!」
14:
律子「灯り消すわよー」
伊織「ん、ちょっと待って……いいわ」
律子「はいっと。じゃ、お休みなさい」
伊織「ん……」
律子「……」
伊織「……ねえ」
律子「ん?」
伊織「その、そっち行ってもいい?」
律子「……はあ?」
伊織「こんなに揺れてちゃ眠れるものも眠れないのよ! それに私はいっつもうさちゃん抱いて寝てるし!」
律子「うさちゃん置いて来たのは分かるけど、揺れてても一緒に寝たところで……あー、いいわ。私がそっち行くから待ってて」
伊織「早く!」
律子「はいはい……しょっと。これで眠れそう?」
伊織「……ありがと」
律子「どういたしまして。それじゃあ今度こそお休みなさい」
16:
律子「……いったぁ!? な、何? 何? あれ、ここ……ああ、そっか。船に……」
伊織「ん、んぅ……?」
律子「あーいいからあんたは寝てなさい……たたた、揺れでベッドから落ちちゃったか」
伊織「りつこ……んー、どうしたの?」
律子「あら、寝ててよかったのに。ちょっと頭ぶつけちゃってね」
伊織「ん、そう。あたま、だいじょうぶ?」
律子「寝ぼけてるのかなんなのか……はぁ、ついでにお手洗い行ってくるわ。伊織は寝てなさい」
伊織「……いっしょにいく」
律子「そう? じゃあ靴履きなさい。時間は……あら、携帯がつかない。ん? 時計も止まって……?」
伊織「りつこぉ、といれ……」
律子「はいはいすぐに行きましょうねー」
>>15
ないよー
内容もないよー
19:
伊織「はー、すっきりしたわ」
律子「アイドルがはしたないこと言わないの。ところで、ねえ伊織?」
伊織「何、律子?」
律子「なんか、船がすごく静かじゃない?」
伊織「はあ? どこがよ、こんなにそこら中からギシギシ軋む音が聞こえてるってのに。本当にこの船、壊れたりしないでしょうね?」
律子「確かにすごい揺れだけど、ううん、そうじゃなくて……なんか人の気配がないっていうか」
伊織「はん、私を怖がらせたいの? お生憎様、そんなちゃちな手には引っかからないわ」
律子「そう? 気のせいなのかしら……?」
伊織「それにしても律子のせいで変な時間に起きちゃったわね。今何時?」
律子「あ、そうそう! 私もさっき見ようとしたんだけど、携帯はつかないわ時計は止まってるわで困ってて」
伊織「安物ってやーね、肝心な時にそうやって壊れるんだから。その点伊織ちゃんの……あら?」
律子「伊織ちゃんの?」
伊織「伊織ちゃんの、携帯は、このっ、もー! なんでつかないのよ! 時計も止まってるし! どういうことよ!」
24:
伊織「全然誰とも会わないわね……この船貸切なの?」
律子「そんなはずはないんだけど……夜中だからかしら。とにかくあずささん達の所に急ぎましょ」
伊織「はあ、洞窟調査用のライト付きヘルメットをまさか船の中で被ることになるなんて」
律子「あんまり喋ってると舌噛むわよ」
伊織「あずさ達の安全を確認、なんてちょっと心配しすぎじゃないの? 大人しく寝ておけばいいじゃない」
律子「私みたいにベッドから落ちて頭を打ってない、なんて言い切れないでしょ? 念の為よ、念の為」
伊織「……律子って案外頑固よね」
律子「怖いなら部屋に帰っててもいいわよ? 何もなかったらすぐに私も戻るし」
伊織「律子が廊下で転んで頭ぶつけない、なんて言い切れないし、念の為に一緒に行ってあげるわ」
律子「そりゃどーも……うーん、それにしても本当に人の気配がないわね」
伊織「試しにスタッフの部屋の様子でも見てみましょ。すみませーん、起きてますかー!?」
律子「こら、そんな乱暴に叩いちゃ……あら、開いてる? 無用心ねえ」
伊織「すみませー……っ、無用心どころじゃないわね。誰もいない、その上荷物もないわ」
律子「ちょ、何それ? 部屋を間違えたの?」
伊織「他の部屋も見てみましょ……念の為に、ね」
25:
律子「……」
伊織「……」
律子「伊織はどう思う?」
伊織「どうもこうもないわよ。どの部屋にも誰もいない、荷物もない。乗客も、船員も、あずさも亜美も誰も!」
律子「……とにかく、一旦部屋に戻りましょう。ここに居ても仕方ないわ」
伊織「部屋に戻ったって仕方ないのは変わらないわよ。何なのよこれ……!」
律子「伊織、落ち着いて。あずささん達の部屋のベッドは乱れてたわ。さっきまであそこにいたのよ」
伊織「じゃあなんで今いないのよ!? それに他の部屋のベッドは!? 最初から誰もいなかったみたいに整ってた!」
律子「落ち着きなさい。とにかく状況を整理する為にも部屋に戻りましょう。もしかしたら、その、ドッキリかもしれないし」
伊織「バカじゃないの、ドッキリでこんな手の込んだことすると思う? 落ち着いてないのはどっちよ」
律子「……戻りましょう」
伊織「……悪かったわよ」
27:
あずさ「あ! 律子さん、伊織ちゃん!」
亜美「寂しかったよー! 誰もいないしあずさお姉ちゃんはいきなりトンデモな方向に歩き出すしー!」
律子「あずささん、亜美も! 無事だったんですね、良かったぁ……ぐす、ほんと、よかった……!」
伊織「ったく、これに懲りたらもう変に安い船なんて使わないことね。ほら、ハンカチ」
律子「うう、ありがと……」
あずさ「私達、夜中に目が覚めちゃって……それでお手洗いに行こうとしたら部屋を間違えてしまって」
亜美「そしたらその部屋の中、だーれもいなくってさ! 亜美びっくりして他の部屋も見たんだけど誰もいなかったんだよー!」
あずさ「亜美ちゃんも怖がってましたし、律子さん達の部屋にお邪魔しようと思ってこっちに来たんですー」
律子「ぐす……なるほど、大体分かりました。じゃあ二人はちゃんとここにいるんですね」
亜美「そだよー、りっちゃんも寂しかったんだろお? もっと嬉し泣きしちゃっていいんだぜい?」
伊織「にひひ、鬼の目にも涙ってやつね」
律子「なっ、誰が鬼よー! もういっぺん言ってみなさーい!」
あずさ「あらあら?、みんな元気ねぇ」
29:
律子「嵐が去って雨風も落ち着いのは良いけど……あずささーん、そっちはどうですかー?」
あずさ「律子さーん、こっちは誰もいませーん。そっちもですかー?」
律子「はいー、誰もいませんでしたー。はあ……案の定、船長もいないわけね。伊織、亜美、どうだった?」
伊織「空っぽも空っぽ、すっからかんよ。食糧どころか冷蔵庫だってなかったわ」
亜美「食べ物なしで漂流生活かー。こうなったら鯨釣るしかないっしょ!」
律子「あはは、ゼペット爺さんにならなきゃいいけど。とにかく、こうなったら一旦甲板に出てみましょうか」
伊織「大丈夫なの? 雨で滑って落ちたりしたら助けられないわよ?」
律子「雨も弱まってるみたいだし気を付ければ大丈夫よ。それにそろそろ朝だろうから、陸地が見えないかだけでも確認しないと」
あずさ「そうですね、じゃあ朝ごはんはその後にしましょうか」
伊織「あずさは相変わらず呑気ねぇ、今って結構すごい事態なのよ?」
あずさ「ええ、誰もいない、どうすればいいか分からない。そんな時こそ落ち着かないと、ね? 」
亜美「あずさお姉ちゃんのウンチクあるお言葉、心に沁みますなぁいおりん」
伊織「含蓄よ含蓄。私は十分落ち着いてるわよ、一番慌ててたのはどこかのプロデューサーじゃないかしら」
律子「聞こえない聞こえなーい! さ、甲板に出るわよー!」
30:
律子「うわ、すごい霧……これじゃ何も見えないわね」
亜美「お、雨止んだんだね。風もなくて朝の気持ちのいい空気!」
伊織「緊張感のないのがここにもいたわ。そのままラジオ体操でもしてなさい」
あずさ「一面真っ白……あら? 律子さん律子さん、あれって船じゃないですか?」
律子「どれですか? んー……あ、ほんとだ。こっちに近づいて来てますね、おーい!」
あずさ「助けてくださーい、困ってるんですー」
亜美「りっちゃんもあずさお姉ちゃんも分かってないね、日本語で通じるわけないっしょー。ジュンミンアー! ジュンミンアー!」
伊織「なんで中国語なのよ! 普通はヘルプミーでしょ! ヘルプミー!」
律子「……? 向こうの船、なんか変じゃないですか?」
あずさ「変? どこがですか?」
律子「なんていうか、上手く言えないですけどなんか……変というか」
あずさ「?」
亜美「ジュンミンアー!」
伊織「ヘルプミー!」
31:
亜美「りっちゃーん、勝手に上がっちゃっていいのー? 怒られても亜美知んないよー?」
律子「非常事態だからいいのよ、向こうもぴったりくっつくみたいに止まったんだし。それについて来た以上亜美も同罪よ」
亜美「うあうあー! そんなのハメ技っしょー!? チートだ、りっちゃんはチーターだ!」
伊織「しっかし私達が乗ってたのと負けず劣らずぼろっちいわね……結んでおいたロープ、柵が折れたら意味ないわよ?」
あずさ「むしろこっちの方がぼろぼろかも知れないわね?。すみませーん、どなたかいらっしゃいませんかー?」
律子「変ね……普通は見張りに一人か二人ぐらい外にいてもいいのに。すみませーん!」
亜美「ジュンミンアー!」
伊織「それはもういいから。律子、船長室に行きましょ。止まったならこっちの船が見えてたってことでしょ、船長は絶対いるはずよ」
律子「それもそうね、じゃあ船長室に行きましょうか。あずささん、はぐれないでくださいね」
あずさ「はぁい」
亜美「あずさお姉ちゃんそっちじゃないってばー!」
33:
伊織「? 何してるのよ律子、ドアノブ握って固まってないでさっさと開けなさいよ」
律子「……」
亜美「りっちゃん? 鍵かかってんの?」
あずさ「あのー、律子さん?」
律子「……落ち着け、落ち着け、落ち着け」
伊織「ちょ、律子!?」
律子「落ち着いて! 落ち着いて、落ち着いて、聞いて。あずささん、さっき私、なんか変って、そう言いましたよね?」
あずさ「え? ええ、違和感があるみたいなことを」
律子「分かったんです。変なところ、違和感」
亜美「り、りっちゃん? なんか怖いっぽいよ?」
律子「最初はこの船の姿を見た時、二回目はこの船の甲板に上がった時、三回目は今」
伊織「……なんなのよ、勿体ぶってないでさっさと言いなさいよ!」
律子「伊織、気づかない?」
36:
律子「同じなの……全部、この船、私達が乗ってた船と全部同じ! 作りも、内装も、ドアノブの傷も全部!」
伊織「!?」
亜美「……!」
あずさ「律子さん、それって、どういう」
律子「……分かり、ません。何がなんだか、さっぱり。なんでとか、そんなこと私には」
伊織「何それ、何なのよ。全然、全然意味分からないんだけどっ」
亜美「あ、あずさお姉ちゃぁん……」
あずさ「……」
律子「でも、とにかくこの船から、一刻も早く離れましょう。ここは、ダメです、ここにいちゃダメなんです」
あずさ「……聞いてた? 伊織ちゃん、亜美ちゃん、急いで戻りましょう」
伊織「すぅ……はぁ……すぅ……はぁ、よし。大丈夫、もう平気。さ、行きましょう

亜美「う、うん。亜美もなんか嫌な予感してきたっぽいし……」
律子「三つ数えたら走るわよ。実はさっきから、扉の向こうでドアノブを回そうとしてる人がいるみたいなの」
あずさ「……!」
律子「絶対、振り向いちゃ駄目よ。みんな用意はいい? 三……二……一……今っ!」
37:
亜美「りっちゃん! 早くあの船から逃げないと!」
律子「みんな乗り移った!? 伊織! 早くロープを解いて!」
伊織「固くて、全然、解けない……!」
あずさ「伊織ちゃん、これ!」
伊織「っ、十徳ナイフ!」
律子「あ、あ……ドア、が……開」
伊織「こ、のお、お、お!」
あずさ「律子さん、見ちゃ駄目です!」
伊織「あと、ちょ、これ、で……切れたわ! あとは突き放せば……!」
亜美「ひっさーつ! 亜美、キーック!! わ、わっとと!?」
伊織「亜美!? ……んのぉ! はぁ、はぁ、ったく危ないことするんじゃないわよ。私がいなかったら、あんた今頃海の中よ?」
亜美「えっへへ、めんごめんごー」
あずさ「律子さん、律子さん! もう大丈夫ですよ、律子さん。律子さん……律子さん?」
律子「あずささん、あれ……」
39:
あずさ「あれは……人?」
亜美「あの船の船長さん、かな……もう大分遠くなったのに、ずっとこっち見てる。またこっちに近づいて来る気?」
伊織「あんなカラカラに干からびた人間なんていないわよ。帆だって破れてるし、動けやしないわ。部屋に戻りましょ」
律子「……どう、思う?」
伊織「落ち着きなさい、律子。どうもこうもないわ、私達はよく分からないものからどうにか逃げ延びられた。今はただ、喜びましょう」
律子「伊織……」
亜美「……な、なーんかお腹空いてきちゃったなー! あずさお姉ちゃん、部屋戻ってお菓子食べよー!」
あずさ「そうねぇ。律子さん、私達は先に部屋に戻っておきますね」
伊織「私も戻るわ。律子、あんたもいつまでもへたり込んでないでさっさと来なさい」
律子「……まだこっちを見てる」
???「……」
律子「……」
???「……」
律子「……さよなら」
41:
亜美「お、眼鏡を外した寝坊助りっちゃん! これは貴重なオフショットですなー! はろはろー!」
律子「うぁ、まぶし、やめ、あみ! こら!」
伊織「おはよ。もう夕方も通り越して夜よ。そろそろ港に着くみたいだから、準備したら?」
あずさ「こぉら。亜美ちゃんったら、おいたは駄目よー? あ、おはようございます律子さん」
亜美「げへへすいやせん旦那、可愛いりっちゃん見てたらつい」
あずさ「確かにとっても可愛いわねぇ、うふふ」
律子「……夢、だったの? ね、ねえ伊織! 私、私達、変な船に」
伊織「夢にしておきましょう。四人揃って疲れて寝て、起きてみたら何もなかったみたいに乗客も船員もいたわ。夢だったのよ」
亜美「ま、ちょっとヒダリキキ溢れるお化け屋敷だと思っとこうよ。あれ、リアリティだっけ?」
あずさ「律子さん、人間は忘れるから生きていけるんです。たくさん怖い思いをしましたよね、無理に思い出さなくてもいいんですよ」
律子「みんな……」
伊織「で? 律子はパジャマ姿で空港まで行く気? それとも事務所に戻るまでかしら?」
律子「あ、あはは、それじゃあすぐに着替えなきゃね! 竜宮小町のプロデューサーがだらしない格好じゃ示しがつかないわ!」
伊織「調子出て来たじゃない。ほんと、しっかりしてよね。みんな、あんたを頼りにしてるんだから」
律子「……うん、ありがとう」
46:
P「おはよう律子。もう時差ボケはいいのか?」
律子「おはようございます、帰って来て三日も経てば、嫌でも日本の時間を思い出すってものですよ」
P「あはは、それもそうか。コーヒー淹れるけど、律子も飲む?」
律子「ありがとうございます、砂糖とミルクで。あら、それ台本ですか? 誰か舞台にでも?」
P「ああ、今度オペラを演るんだけど、その主役に真が抜擢されたんだ。ほら、これの船長役」
律子「フライング・ダッチマン……?」
P「イギリスの昔話っていうのかな。呪われた幽霊船で一人、永遠に航海し続ける船長の悲恋の物語なんだ」
律子「幽霊船、ですか」
P「あ、律子は向こうで幽霊船に縁があったんだっけ? 浜に流れ着いた幽霊船を修理した、なんて曰くのある船に乗ったとか」
律子「え?」
P「え? いや、あの番組のスタッフに濃いオカルト好きがいて、そんな話を聞いたんだけど。でも何も起きなくて悔しがってたな」
律子「……あはは、そっか。愛してくれる人を探してたんだ」
P「ん、何か面白いことあったか? あ、真がまた男役っていうので笑ってるのか? 俺も今回こそヒロインいけると思ったんだがなー」
律子「はは、いえ、ただの思い出し笑いです。私、この幽霊船に乗りましたよ。船長にも会いました。夢の中で、ですけどね」
終わり
47:
おつ
49:

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