P「律子と……」back

P「律子と……」


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2:
春香「おはようございまー……あれっ、何してるんですか?」
春香「あぁ、なるほど。そっか、それで……」
春香「ええ?そうですねー、最初に聞いた時は思わず意識が抜けてっちゃいましたね!」
春香「冗談とかじゃなくて、ほんとにほんとに。しばらく帰ってきませんでしたから」
春香「え?メッセージ、ですか。んー、強いていうなら、そうですねぇ」
春香「二人共、お幸せに!だけど私達のプロデュースも、手を抜かないでくださいよ!」
春香「え?普通?いや、だって……ええ?芸人じゃないですよ!アイドルですよ、アイドル!」
3:
千早「……最初に聞いた時は、その、正直に言ってもいいのかしら?」
千早「ええ、それじゃ……正直、悔しかったわ」
千早「そういった感情には聡い方ではないから、合っているのかどうか迷っていたのだけれど……」
千早「きっと、私はプロデューサーの事が……って、大丈夫なのかしら。こんな事言って」
千早「関係者しか来ない?本当に?なら、もっと言ってもいいかしら。なんて、ふふ」
千早「ぎくしゃくするかと思ったけれど、二人を見ていたらすっと肩から力が抜けたというか」
千早「信頼がしっかりあるんだって、見てとれたからかもしれないわね」
千早「え?失礼ね、ちゃんと分別はついているつもりよ?皮肉の一つくらい出そうになったけれど」
千早「拗ねていても良い事は無い。卑屈にならず前を向くこと。教えてくれたのはプロデューサーやあなた達だもの」
千早「え!?ちょっと、そんな事まで言わないといけないの?……まぁ、最後の機会だろうし、いいわ」
千早「プロデューサー。私も、プロデューサーの事が好きでした。今となっては手遅れだけれども……」
千早「二人で手をとりあって、きっと幸せな家庭を築いてくださいね」
千早「……なんだか、照れくさいわね」
6:
雪歩「えっ、私……?あ、はい、私なんかで良ければ……」
雪歩「そう、ですね……あのっ!」
雪歩「ずっと言えなかったんですけど、おめでとうございますぅ!」
雪歩「ごめんなさい、私、本当はもっと早く言えればよかったんだけど……」
雪歩「受け入れると、壊れちゃいそうで。ずっとずっと、考えないようにしてて……」
雪歩「でも、逃げてても何も始まらないって。その、真ちゃんに叱られちゃって」
雪歩「私、少しは成長したつもりだったけど、まだまだで。プロデューサーがいなくなっちゃうかもって勝手に思って」
雪歩「でも!二人が話してる時に、すっごく幸せそうで。それを見たら……うぅ」
雪歩「ご、ごめんなさい。我慢しようと思ってたんだけど……溢れちゃって……あ、ありがとうございますぅ」
雪歩「大丈夫です。私、ちゃんと受け入れましたから。あの、その……」
雪歩「……お幸せに」
8:
やよい「うっうー!おはようございま……はわっ!どうしたんですかー?」
やよい「……ああ、そうだったんですかー!私も一言いいですか?」
やよい「えへへ、ありがとうございます!それじゃ、えっと、うーん……」
やよい「なんて言ったらいいかわかんないけど……えっと!」
やよい「プロデューサー!律子さん!おめでとうございますー!」
やよい「家族って、とーっても素敵だと思います!私の大好きな二人が家族になるなんて、もっともーっと素敵だなーって!」
やよい「えっ?……うっうー!それじゃ、行きますよー!」
やよい「はい、ターッチ!」
やよい「……いぇいっ!えへへー」
9:
あずさ「改めて言うとなると、少し緊張しますねー」
あずさ「では、こほん。え?、お二人とも、おめでとうございます」
あずさ「初めて聞いた時は、それはそれは落ち込んで……その節は本当にごめんなさいね?ふふ」
あずさ「でも、お二人なら安心です。きっと仲良くやっていけると思いますよ。ええ、本当に」
あずさ「あらあら、今から心配ですか?なら横から取っちゃおうかしら」
あずさ「冗談ですよ?。でも、油断してると本当に……なんてね?」
10:
伊織「あら、なにを……あ、そうなの?ふーん」
伊織「何で私がそんな事しなきゃいけないのよ。それに、ちゃんと言ってあるでしょ?」
伊織「……あーもう!わかった、わかったわよ!言えばいいんでしょ、言えば!」
伊織「……二人とも、おめ、おめ、おめで……」
伊織「……おめでとう」
伊織「なによ、ニヤニヤしないでよ!こっちは真剣に……」
伊織「そりゃ、アイツとあんたでしょ?付け入る隙なんてどこにも無いじゃないの」
伊織「わかるわよ、ずっと見てたんだから……って、何言わせんのよ!」
伊織「ちょ、なんで撫でるのよ!子供扱いしないでよね!……もう」
伊織「気持ちいいから、しばらくこのままにしててもいいわよ。あの、ね」
伊織「私が身を引くんだから、半端な事したら許さないからね!」
伊織「……頑張りなさいよ」
11:
真「もう回ってる?わわわ、ちょ、待ってよ!」
真「すぅー、はぁー……二人とも、おめでとう!」
真「えっと……うわぁ、原稿トンじゃったよ!はぁ、もういいや……」
真「えーと、二人には本当、いつもお世話になって。そんな二人がこの度、こんなめでたい事になったわけで……」
真「それは素直にお祝いできます。って、ウソなんだけどね。実は、ちょっと悔しいです」
真「あ、いやいや。変な意味じゃなくて、ボクの最初のファンはプロデューサーだったから、取られちゃった、みたいな?」
真「でも、うん。やっぱり、おめでとう」
真「……へへっ!キマった?あれ、微妙?」
13:
亜美「さー亜美達の番だよー!」
真美「律っちゃん兄ちゃんおめでとー!」
亜美「いやー……しかしねぇ、真美君」
真美「そうだねぇ亜美君。まさか二人がそんな仲になってるとはねぇ」
亜美「はっ!つまりこれからは兄ちゃんにイタズラしたら律っちゃんに怒られる!?」
真美「うあうあ?!それキツいっしょ?!あれ?」
真美「……前からそうじゃん?」
亜美「あ、そうだった。うぇ?真面目にって……むっちゃ真面目っしょ!」
真美「ていうか、真面目に考えたらちょい恥ずかしいYO……」
亜美「おめでとーは言ったし、あ、そうだ!子供出来たら亜美に抱かせてよ!」
真美「あ、真美も真美も!赤ちゃん抱っこしたい!」
亜美「気が早い?だって、やることやってるってピヨちゃんが……うあうあー!」
真美「律っちゃんが怒ったー!」
亜美「逃げるが勝ち!じゃね!」
真美「あっ、亜美待ってよー!……あの、おめでとう。兄ちゃんのこと、任せたかんね!」
14:
美希「んー?んー、起きたほうがいい?わかったの」
美希「ふわぁ……おはよーなの。何やって……ふーん、なの」
美希「でもミキ的には、もうおめでとう一杯言ったって思うな」
美希「記録が大事?そうなの?じゃあ、仕方ないからもう一回言ってあげるの」
美希「二人ともおめでとうなの。律子、さんなら任せても大丈夫かもって思ったから、ミキもう平気だよ」
美希「んー、でもちょっと不満なの。もうプロデューサーの事ハニーって呼べないし」
美希「え?いいの?じゃあハニーって呼ぶの!それじゃ、ガッてやってチュッとしてもいいの!?」
美希「……つまんないの。でも、おめでとうって思ってるのは本当だよ。おめでとう、律子、さん。ハニー」
15:
響「律子ー!プロデューサー!おめでとー!」
響「こ、こ、こ……くぅいどぅるるるる」
響「……えー」
響「二人とも、おめでとうさー。自分、心から祝福するさ!」
響「思えば、なんだかんだで長い付き合いだったなー。プロデューサーはもちろんだけど、律子にも最初からいろいろ世話になって」
貴音「プロデューサー、律子嬢。改めましておめでとうございます」
響「ちょ、貴音ぇ!今自分が……」
貴音「居ても立ってもいられなくて、つい……」
響「もー、じゃあ二人でおめでとうって言おうさー。せっかくだから!」
貴音「そうですね。では……」
響「二人とも、結婚おめでとー!」
貴音「ご結婚、おめでとうございます」
16:
P「これで全員か」
律子「ですね。本当はもっと長かったんですけど、編集しました」
小鳥「私が、ですけどね。役得ですね、先に見られるのは」
P「ありがとうございます。しかし、アレだな。案外すんなり受け入れられたな」
小鳥「あれだけ見せつけられたら認めざるを得ないですよ、流石に。いろいろ思う所はあるでしょうけどね」
P「見せつけましたか?」
律子「……さぁ?」
小鳥「あーはいはいそういうのいいんで。さて、これとあとアレですね。あのムービーですね」
律子「え?これで終わりじゃないんですか?」
P「あ、もしかして……」
小鳥「ええ。依頼の品が出来ましたよ」
律子「すごく嫌な予感がするんですけど……」
小鳥「ジャジャーン!律子さんが現役だった頃のライブムービー?小鳥セレクション?でーす!」
P「やったあああああ!」
律子「ちょ、何でそんな物作ってるんですか!」
17:
P「俺が頼んだんだよ。しっかり見ときたいと思って」
律子「式で流すんでしょう!?」
P「うん」
小鳥「まぁまぁ、いいじゃないですか。結婚したら多分二度と戻れないですよ?」
P「それが残念なんだよなー」
律子「なんでですか?」
P「いや、単純に見たかったのもあるけどさ。律子、実はアイドルやってるの好きだっただろ」
律子「それは……」
P「まだまだ可能性あるから、それを止めちゃうのは嫌だなぁって思ったんだよな」
小鳥「惜しいですよねぇ、可愛いのに」
P「ですよねぇ。上手くやればブレイクいけると思うんですよね。けど俺のせいでそれも無しになるのかと思うと、ちょっとなー」
律子「……ちょっと出てきます」
小鳥「はーい。これは二人で見ておきますねー」
律子「どうぞ。それじゃ失礼しますね」バタン
18:
P「……ヤバい」
小鳥「さー見ちゃいますかーって、え?」
P「な、なんだろう。何したんだろう。俺、今何か言いましたか?」
小鳥「お、落ち着いてくださいプロデューサーさん!」
P「小鳥さん!俺は、俺は何を……何をやっちまったんですか!?」
小鳥「ええ!?律子さん怒ってましたか?」
P「今までやらかした中で最大級ですよ!ヒーローショーみたいってゴネた時もこんなに怒った事無かったのに!」
小鳥「ちなみに何を」
P「ライダーです。戦隊とウルトラマンは範囲外なので」
小鳥「あ、そうですか」
P「あああああ……どうしたんだ律子……俺、何やっちゃったんだろう……」
小鳥「おっかけたらいいんじゃないですか?」
P「無理ですよ!あんな律子に近付くなんて俺には……」
小鳥「はぁ……とりあえずこれ見ます?」
P「あ、見ます」
19:
真「おっはようございまーす!あれ、律子。どうしたの?」
律子「ああ、おはよう。別に何も無いけど、ちょっとね」
雪歩「あの、プロデューサーは……」
律子「私が帰ってきたら入れ違いに出かけたみたいね」
雪歩「あっ……そーなんですかぁ……」
真「ははーん、さては何かケンカでもして顔合わせずらいんでしょ!」
律子「……」
真「え、ウソ、ほんとに?」
律子「……ちょっと聞いてもらってもいい?」
雪歩「わ、私でよければ……」
真「どうしちゃったんだよ、聞くよ!」
律子「今更なんだけど、結婚……迷ってるのよ」
真「……えぇっ!?」
律子「たまーにね、いいのかなって思っちゃうの。結婚したらいろいろ変わっちゃうし、後悔するんじゃないかなって」
21:
真「ちょ、律子、それ本気で言ってる?信じられないよ」
律子「マリッジブルーってヤツなのかしら。何だか落ち込み気味で、ね……」
雪歩「……」プルプル
真「ボクにはそういうのわかんないけど、プロデューサーなら心配ないと思うよ?」
律子「私もそう思ったからここまで話進んだんだけど……」
雪歩「律子さんの……バカァ!」ブンッ
真「雪歩!?」
雪歩「も、もう知りません!律子さんなんか……律子さんなんか……穴掘って埋まっててください!」ダッ
律子「……あの、目瞑ってたから思い切り空振ってるんだけど」
真「でも、ビンタしようとしてた……よね?」
律子「みたいね」
真「……ボクがやっちゃうと、律子、怪我しちゃうからやらないけど。同じような気持ちだよ」
律子「……ごめんなさい。配慮が足りなかったわ」
真「配慮なんていらないよ。でも、律子はどうしてプロデューサーを信じてあげられないの?」
22:
真「ボクたちはみんなプロデューサーの事が、その、す、好きだよ。もちろん純粋にプロデューサーとして信頼してるって事だけど!」
律子「そうね……」
真「だから、わかるんだよ。きっと律子を幸せにしてくれるって。それなのに、律子本人が信用出来ないなんてそんなの……」
律子「でも……」
真「ちょっと頭冷やして考えたほうがいいよ。本当は、ボクらが言う事じゃないんだろうけどさ。でも、仲間だし、友達だから」
律子「ありがとう、真」
真「……でも、考えてやっぱりナシなんて言ったら律子でもビンタするからな!」
律子「そうね、肝に銘じておく事にする」
真「うん。じゃあ、また後でね」
律子「……はぁ」
社長「悩んでいるようだね」
律子「あっ、社長。……今の、もしかして」
社長「盗み聞きするつもりは無かったんだがね」
律子「すみません、仕事中に」
社長「ま、今の時期は仕方ない。構わんさ」
23:
律子「……私、間違ってますかね」
社長「ふむ。君は君なりに考えがあっての事だろう。一つ私に話してみないか?」
律子「社長にですか?」
社長「これでも君達よりは随分と長く生きているからね。何か知恵を貸せるかもしれない。どうだね?」
律子「あの、それじゃあ……お願いします」
社長「うん、どうしたんだね?」
律子「実は……」
……。
P「はぁ?……はふぅ?……」
千早「……プロデューサー、どうしたんですか?」
P「あ、レコーディング終わったか?」
千早「ええ、とっくに。十分ほどプロデューサーを眺めていました」
P「声かけてくれればよかったのに。はぁ……」
千早「何かあったんですか?辛そうですけど」
P「わかるか。まぁ、いろいろなー」
25:
千早「当ててみましょうか?」
P「うん」
千早「律子の事ですね?」
P「何でわかったんだ!?」
千早(この人本気で言ってるのかしら)
千早「……何をやったんですか?」
P「いや、今回は本気で心当たりがないんだ」
千早「良ければ、少し聞かせてもらえませんか?何があったのか」
P「あ、ああ。今朝な……」
……。
千早「なるほど……」
P「俺、何も悪いこと言った覚えないんだが」
千早「プロデューサーは単に、アイドルとしての律子も好きだと言いたかったんですよね?」
P「そういうこと。なのに何か怒っちゃってさ……」
千早「……仮定ですが、もしかすると律子にしてみれば、結婚を躊躇していると思ったのかもしれません」
26:
P「俺が?まさか!」
千早「そうでしょうね、そうでしょうとも。はぁ……。だけど、律子がそう思わなかったって事もあり得ると思うんです」
P「そうなのかなぁ」
千早「取り方によっては、という話です。アイドルを諦めさせてしまうのは勿体無い、それは純粋な気持ちで言ったのかもしれません」
P「うん、そうだな」
千早「でも、結婚したら諦めないといけないって言い方をしたのなら、プロデューサーは結婚を躊躇している、私の事を思って。そう取られても仕方ないと思います」
P「……確かに、そうかもしれないな」
千早「多分、律子自身、踏ん切りを付けきれて無かったんだと思います」
P「つい最近までアイドル復帰に前向きだったもんな」
千早「たまにこぼしてたのを聞いたこともあります。私達が羨ましい、と」
P「律子……」
千早「だから、律子なりに決心をしてプロポーズに応じたんだと思います。それを、プロデューサーが……」
P「軽い気持ちで言っちゃった、か」
千早「そういうことです。きっと、ステージを忘れられていないんでしょうね。あそこには、いろいろ……私達にしかわからない物があるから」
27:
P「俺なんかより、ずっと未練があったんだろうな。ああ、くそ」
千早「まだ、挽回出来ると思いますよ」
P「そう、だな。よし、事務所帰るぞ!……あ、そうだ。千早、この後スケジュール空いてるよな」
千早「ええ。それが何か?」
P「ちょっと協力してくれ。あと空いてるのは、えーと……」
千早「……挽回は、案外簡単にできそうね。こういうの、妬けるって言うのかしら。ふふっ」
……。
社長「なるほど。律子君はまだステージに上がりたいと」
律子「高望みなのはわかってます。けど、舞台袖から見てるだけじゃ絶対に見えない物があるんです」
社長「アイドル時代の君は輝いていた。それを失うのは本当に惜しいと思ったものだよ」
律子「ありがとうございます。中途半端は嫌だってプロデュース業に専念してたけど、多分……いえ、ずっと後悔してました」
律子「アイドル、続けたかったです。確かに鳴かず飛ばずだったけど、でも、あの時私は全力だった」
社長「今は違うのかね?」
律子「今は……どうでしょう。夢中でやってきたけど、あの頃に比べると霞んじゃいますね」
社長「困るなぁ、仕事は全力でやってもらわないと」
28:
律子「あはは、すみません。もちろん全力で動いてきました。けど、あの頃はもっと、って思っちゃうんですよ」
社長「だが、諦めた」
律子「……はい。一度は」
社長「彼が来てからだね。君に余裕が出来て、再びアイドル活動も行えるようになったのは」
律子「本当、感謝してます。またステージに立てるなんて思ってもみませんでしたし」
社長「そして今、結婚を機に二度とステージに上がる事は無いだろうと、そう思ったんだね」
律子「そうですね。無理でしょう、実際」
社長「ゼロではないが、限りなく厳しいだろう」
律子「私だってそれがわかってるから、諦めようと思ったんです。諦めたつもりだったんです」
律子「なのに、あの人が……あの頃の私は素敵だったなんて言うから」
社長「彼にも困ったものだね。素直が故に困り者だ」
律子「本当に……」
社長「だが、君は頭が良い。自分の言っている事がどういう事だか、わかっていると思うが」
律子「ええ、そうです。これはただの私の我侭。どっちも欲しい、なんて無理に決まってるのに」
30:
社長「君は道を選んだんだろう。彼と共に歩く事を。それはなぜだったか、思い出せるかな?」
律子「私は……この人なら、私を絶対に後悔させないって。そう思えたから……」
社長「ほら、最初から結論は出てただろう。君は賢い。人を見る目もある。その君が選んだ男が彼だ」
社長「そして、私も……彼と君なら安心だろうと思った。さて、まだ悩むことがあるかね?」
律子「ありがとうございます、社長。最初にあった気持ち、思い出せました」
社長「若い内はそんなものさ。私もねぇ、若い頃は……」
ヴィイイッ ヴィイイッ
律子「あ、すみません。着信が……」
社長「これは私の勘なんだが、彼ではないかね?」
律子「……当たりです。もしもし、プロデューサー……え?」
……。
33:
「どうしてこんな所に……」
プロデューサーからの電話で呼び出された先は、いつか仕事で来た事のある場所だった。
小さなライブハウス、お客は入っていない。
「プロデューサー?どこにいるんですか?」
私も素人じゃないからわかる。
ステージには機材がしっかりセットされていて、今すぐにでも使えそうな状態になっている。
プロデューサーが何を見せたくて私を呼んだのかわからないけれど、この後ステージがあるなら早く探しだして話を聞かないと。
スケジュールを狂わせるわけにはいかない。
「プロデューサー……?えっ」
照明が落ちた。
嘘、もう始まる……?お客さんはゼロで、私しか客席にはいないのに……?
スピーカーの電源が入る音がした。
それから、ステージの上に人影が数人。
急に落ちた照明、暗闇に慣れない目には誰だか判別がつかない。
曲が始まる。
同時にステージを照らす照明が点き、今度は眩しさに目を細めた。
「千早、響、美希……?」
ステージの上で立っていたのは良く知った三人。
確かにこの時間はスケジュールが入っていなかったけど、何故ここに?
34:
「Are You READY!!I'm LADY!!」
「始めよう!」
「やればできる きっと 絶対」
『私No.1!』
READY!!が流れ、三人は慣れた様子で動き始める。
これは一体……?
「律子」
「プロデューサー!これ、何なんですか?」
気が付くとプロデューサーが隣に立っていた。
「無理言って借りた。あの、今朝は悪かった。俺、軽い気持ちで……」
「そんなの、もういいんです。それより、これは……」
「お前のためのステージだ。ほら、見てみろ」
プロデューサーがステージを指差す。
センターをくるくると入れ替えながら三人が歌って、踊る。
その視線が、その声が、その動きが……何故か、私を誘っているように見えた。
35:
「お前が続けたいなら、アイドルも続けてくれて構わない。というか、アイドルやってる間は結婚しなくたっていい」
プロデューサーはがさがさとカバンから何かを取り出しながら言う。
「いつか、律子が納得出来る所まで行けたら、その時……結婚しよう。今は、ほら」
「私の衣装……」
「行ってこい。本当は、俺のためのステージなんだ。映像じゃなく、直に見せてくれよ」
プロデューサーは照れたように笑った。
私は衣装を受け取る。
この人は、私の喜ばせ方をどこまで心得ているのだろうか。
「……行ってきます!」
舞台袖でいそいそと着替える。
響がそれに気付いてにっかり笑う。
美希も、それを見て私にウインクした。
千早は……歌うことに全力で、こっちを見ていない。
深呼吸を一つして、スーツを脱いだ。
着付けが楽な衣装を選んでいる辺り、本当に抜け目がない。
ずぼっとワンピースを被ると、置いてあったマイクを握ってステージに飛び出す。
歌詞も振り付けも全部覚えている。
三人の間に違和感なく滑りこむ。
客席にはただ一人、私の……大好きな、人。
37:
「ALREADY!!」
「We'ALLLADY!!」
ステージ上の三人の視線が私に集まる。
そういう事ね。任せなさい。
「始めたい!」
ソロで締めを歌う。
「行けばなれる もっと 全体」
『みんなONLY1!!』
最後は四人、声を合わせて……。
小さく拍手が起こる。
プロデューサー一人の、万雷の拍手。
なんだか呆然としていると、次の曲が流れ始める。
「律子、あとはよろしくね」
「律子、さん、頑張ってなの」
「律子!バシっと頼むぞ!」
「……ありがとう、みんな」
38:
ああ、この曲は今の私なんだわ。
ステージの上にいると、まるで魔法がかかったみたい。
ふわふわして、キラキラして、たった一人のお客さんでも体が震えるくらい喜んで。
「……鏡の中 ため息がひとつ」
でも、魔法はいつか解けるもの。
「教科書がボーイフレンドみんな言うけど」
このステージを降りたら、アイドル秋月律子はいなくなって
「机の中 書きかけのラブレター」
あの人だけのものになる。
「まだ見ぬあなたに 思いを馳せる」
もう後悔はないわ。
「つまらない子だと 思うかしら」
「本当は この胸のドキドキ探したいのに」
私は……あなたと一緒に歩いて行きたい。
私だけのあなた。
私の……ダーリン。なんて、ね。
……。
42:
P「はぁ、はぁ……ま、間に合ったか!?」
春香「プロデューサーさん!こっちですよ、こっち!」
千早「まだ大丈夫ですから、息を整えてください」
雪歩「大丈夫なんですよね?あの、もしかして……」
伊織「ちょっと、縁起でも無いこと言わないでよ!」
あずさ「大丈夫よ?。だってお母さんがとっても強いもの」
亜美「兄ちゃん兄ちゃん!亜美名前考えてきたんだけどさー」
真美「真美もチョーイカス名前考えてきたぜー!」
真「子供の頃から習い事させるといいらしいですよ!例えば、空手とか!」
美希「ミキ、最初に触らせてもらっていい?」
響「最初は自分だぞー!」
小鳥「んまっ!最初に抱くのは私ピヨ!」
43:
社長「まぁまぁ、ここは公平にジャンケンでだね……」
やよい「うっうー!お世話なら任せてくださいー!」
貴音「……お静かに!」
シーン……
P「貴音、急にどうし……」
バタン
P「あ、あの……!」
医者「ご心配なく。母子ともに元気いっぱいですよ」
P「そうですか……ありがとうございます!ありがとうございます!」
医者「はは、気が気でなかったでしょう。もうすぐ会えますよ」
……。
44:
律子「もう、大袈裟ですよ。事務所総出で……」
P「律子?、よくやった!よく頑張ってくれたなぁ!」
律子「……まぁ、あなたとの愛の証ですから」
小鳥「ちっちゃーいかわいいー!」
春香「千早ちゃん!見てみて!」
千早「見てるわよ、春香」
亜美「うあうあ?!サルっぽいよ?!」
真美「赤ちゃんはこうなんだって!」
真「う、うわ、指、指握った!」
雪歩「握ったり開いたり……可愛いですぅ」
伊織「律子、もし忙しかったら、世話してあげても……いいわよ?」
やよい「一緒にお世話しようね、伊織ちゃん!」
45:
響「いぬ美の子供が生まれた時もすごかったけど、これはもっとすごいさー!」
あずさ「私もいつか……はぁ……」
貴音「あずさ、気を落とさず。いつか運命の人に出会えますよ」
社長「みんな、余り騒ぎすぎないように!」
P「これからも、二人で頑張っていこうな!」
律子「もう、何言ってるんですか。二人じゃなくて……」
P「あ、そっか。そうだよな」
P「三人で、だな」
おわり
47:
素晴らしい
りっちゃん愛に溢れたSSだったよ乙
48:
なんだかんだでこういう形になりました。
律子が二人からのそのそやってきてどうにかこうにか終わらせる事が出来まして、なんかこう・・・
思うところがあるような無いような、りっちゃん可愛いようなそんな感じです。
最初から読んでくれてた奇矯な人がいたら本当にありがとう。
途中から読んでくれてた人もありがとう
今日だけ読んでくれた人もありがとう。
また何か書いたら読んでね。
前スレたち
P「律子と二人」 http://elephant.2chblog.jp/archives/51991306.html
P「律子と三人」 http://elephant.2chblog.jp/archives/51992908.html
P「律子と五人」 http://elephant.2chblog.jp/archives/51994131.html
P「律子と八人」 http://elephant.2chblog.jp/archives/51995539.html
52:
律子SSだとぉ!?

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