朝比奈「白雪姫って、知ってます?」キョン(困ったらキスをしろってことだな)back

朝比奈「白雪姫って、知ってます?」キョン(困ったらキスをしろってことだな)


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1:
※エロが苦手ですし、書く気もありませんが、人によってはエロスを感じるかも知れませんので微エロ注意です。
※時系列がおかしいって感じる部分もあるかもしれませんが、ネタ優先なので仕様です。
それは昨日のことだった。
もっと未来からきたと自称した三割増しの胸を持つ朝比奈さんからアドバイスをもらった。
直前に胸のほくろを見ろと言われて、それを注視していたために興奮が状態で話が半分くらいしか入らなかった。
だた、うろ覚えによれば、
「白雪姫って、知ってます?」
と、聞かれて、その後に、
「これからあなたが何か困った状態に置かれたとき、その言葉を思い出して欲しいんです」
と言われた気がした。その後に言われたことについては憶えていない。
白雪姫といえば、毒りんごとキスだけで説明できる話だ。
毒りんごを食べたけどキスで助かった。うん。説明できたね。
要するに、毒を食べさせるかキスで困った状況を脱出できるということだろう。
前者は体が五匹の寄生生物で出来ているのに襲われたら試してみるとして、
基本的には困ったらキスをしろってことだな。
2:
そして今日、さっそく懸案事項を抱えていた。
その懸案は朝、俺の下駄箱に入っていたノートの切れ端。
そこには、
『放課後誰もいなくなったら、一年五組の教室まで来て』
と、明らかな女の字で書いてあった。
二日前にあるべきものが、今日存在している気がするが気のせいだろう。
3:
俺はこのノートの切れ端について色々と考える。
如何にも青春の一ページ。ラブレターといったもの想像させるが、もしそうならばノートの切れ端などではなく、先日の朝比奈さんの手紙の様に愛らしいレターセットでも使うだろう。そうなると谷口と国木田あたりの悪戯の可能性が一番高い。が、だったらもっとディテールに凝るような気がするのだが。解っていることは、これは相手が女とは限らないが呼び出しを告げる連絡文書であるということだ。
終業のベルの後、時間つぶしに俺はワケもなく校内を練り歩いた。その後も部室で朝比奈さんのお茶を飲んだりしてさらに時間をつぶした。
朝比奈さんに昨日の三割増しのお姉さんについて聞こうかと思ったが、どうせ[禁則事項です]と言われるだけなので聞かなかった。
そうこうしているうちに、時計は五時半あたりを指していた。
誰も居なくなった部室を出て、一年五組の教室を目指す。
流石に廊下の人気も絶えている。校舎の最上階についた。
俺はことさら何でもなさそうに一年五組の引き戸を開けた。
4:
教室の教壇には朝倉涼子がいた。
「遅いよ」
朝倉涼子が俺に笑いかけていた。
清潔そうなまっすぐの髪を揺らして、朝倉は教壇から降りた。
教室の中程に進んで歩みを止め、朝倉は笑顔をそのままに誘うように手を振った。
「入ったら?」
引き戸に手をかけた状態で止まっていた俺は、その動きに誘われるように朝倉に近寄る。
「お前か……」
「そ。意外でしょ」
くったくなく笑う朝倉。
「何の用だ?」
わざとぶっきらぼうに訊く。くつくつと笑い声を立てながら朝倉は、
「用があることは確かなんだけどね。ちょっと訊きたいことがあるの」
俺の真正面に朝倉の白い顔があった。
「人間はさあ、よく『やらなくて後悔するよりも、やって後悔するほうがいい』って言うよね。これ、どう思う?」
「よく言うかどうかは知らないが、言葉通りの意味だろうよ」
「じゃあさあ、たとえ話なんだけど、現状を維持するままではジリ貧になることは解ってるんだけど、
どうすれば良い方向に向かうことが出来るのか解らないとき。あなたならどうする?」
「なんだそりゃ、日本の経済の話か?」
俺の質問返しを朝倉は変わらない笑顔で無視した。
「とりあえず何でもいいから変えてみようと思うんじゃない。どうせ今のままでは何も変わらないんだし」
「まあ、そういうこともあるかもしれん」
「でしょ?」
手を後ろで組んで、朝倉は身体をわずかに傾けた。
「でもね、上の方にいる人は頭が固くて、急な変化にはついていけないの。でも現場はそうもしてられない。
手をつかねていたらどんどん良くないことになりそうだから。
だったらもう現場の独断で強硬に変革を進めちゃってもいいわよね?」
5:
「何も変化しない観察対象に、あたしはもう飽き飽きしてるのね。だから……」
キョロキョロするのに気を取られて、俺はあやうく朝倉の言うことを聞き漏らすところだった。
「あなたを殺して涼宮ハルヒの出方を見る」
惚けているヒマはなかった。後ろ手に隠されていた朝倉の右手が一閃、さっきまで俺の首があった空間を鈍い金属光が薙いだ。
猫を膝に抱いて背中を撫でているような笑顔で、朝倉は右手のナイフを振りかざした。
軍隊に採用されていそうな恐ろしげなナイフだ。
俺が最初の一撃をかわせたのはほとんど僥倖だ。
なぜか朝倉は追ってこない。
……いや、待て。この状況は何だ? なんで俺が朝倉にナイフを突きつけられねばならんのか。
そうかこれは夢だ!胸が三割増しだった朝比奈さんが言っていたのは、この事態に違いない。
朝倉は左手に持ったナイフの背で肩を叩いた。
6:
「死ぬのっていや? 殺されたくない? わたしには有機生命体の死の概念が------」
俺は隙を見て朝倉に飛びかかり、俺の口で朝倉の口をふさぎ黙らせた。
むぐぅ。と言いながら朝倉は俺を突き飛ばした。
「な……何をするのよ!?」
いつも笑顔な朝倉にしては珍しく慌てた表情をした。
少し間をおき、いつもの笑顔に戻った。
「……もしかして、あなた私のことが好きなの?それなら殺さずに付き合ってあげてもいいわよ?
それはそれで大きな情報爆発が観測できそうだし」
「……悪いがそんなつもりはない」
朝倉が泣きそうにも、怒ったようにも捉えられる表情になった。
そう思った刹那俺の左頬に激痛が走った。
教室いっぱい鳴り響くほどの音が出る平手打ちを喰らったのだ。
朝倉は走って教室を出ていった。表情はうかがうことが出来なかった。
白雪姫はハッピーエンドのはずだ。叩かれ損ではないかと叩かれた左頬を抑えながら教室を後にした。
後ろで天井が落ちたような音がした気がするが気のせいだろう。
……必死でよく覚えてなかったが唇が柔らかかったな。
ともあれ、明日になったら朝比奈さんに抗議しよう。
13:
翌日、クラスに朝倉涼子の姿はなかった。
岡部担任から特別のアナウンスがあるということもなく、ただの欠席の様だ。
放課後、俺は急いで部室に向かった。
朝比奈さんの助言に従った結果が平手打ちだよ?朝比奈さんに抗議するためである。
ノックもせずにドアを開ける。
そこには朝比奈さんが下着姿で立っていた。
「……」
朝比奈さんはフリフリのエプロンドレスを手に持って、
ドアノブを握ったまま佇む俺をびっくりした猫のように丸い目で見つめて、ゆっくりと口を悲鳴の形に開いていく。
叫ばれるのか?いや、一度ならずに二度までも下着姿に遭遇したんだ。俺のことを変態だと思うだろう。困った。
……うん?困った?その時、俺の脳裏に朝比奈さんが言った言葉が浮かぶ。
『白雪姫って、知ってます?』
『これからあなたが何か困った状態に置かれたとき、その言葉を思い出して欲しいんです』
今がその時に違いない。
俺は朝比奈さんに接近する。
「きゃぁーー-------」
朝比奈さんの口に俺の口を押し付けた。
「うー。うー」と言いながら手足をバタバタさせているのを感じる。
最後は突き飛ばされた。目を閉じていた所為で見事な尻餅をついてしまった。
朝比奈さんは顔を真っ赤にし、涙目になりながらこちら睨んでいる。
朝比奈さんが何かを言う前に気が付いた。三割増しの朝比奈さんと同じく胸にほくろがある。
ほくろを指摘すると、朝比奈さんは思い出したかのように胸を隠し、俺を部室の外へと押し出した。
17:
暫くすると、内側から控えめなノックの音。「どうぞ……」声も控えめだ。
部室に入ると朝比奈さんは例のメイド服を着込んで顔を真っ赤に染めてもじもじしていた。
「あ、あの……ああいうことはいけないことだと思います………」
耳まで真っ赤にしている朝比奈さんは小さな声で苦情を申し立ててきた。
「困ったら事態に陥ったらキスをしろって言ったのは朝比奈さんじゃないですか!」
「わ、私そんなこと言ってません!!」
涙目になりながら大きな声で否定する朝比奈さんであった。
18:
「朝比奈みくるの異時間同位体。その助言を彼が曲解している」
本を読みながら長門が口を挟んできた。
「ふぇ!?」
朝比奈さんが間抜けな声をだした。俺は朝比奈さんに構わずに長門に質問した。
「曲解って……キスじゃないのか?」
「………キスをするのは正解」
「そうか!俺の技術が未熟なんだな!」
「そんなことは言ってない」
「長門、頼む!練習相手になってくれ!!」
俺は両手の掌を合わせた上で、頭を下げて長門に懇願した。
近くで「ふぇ!?ふぇ!?ふぇ!?」と声をあげてる小動物がいるが今は無視しておいた。
20:
「拒否」
取り付く島もない。
「頼む!いざという時に技術不足で不満な結果に終わったら困る。人助けだと思って!」
負けじともう一度懇願した。
「………確かに失敗されても困る。だが練習相手になる気はない」
長門はそう言うと何やら呪文の様なものを唱え始めた。
長い長い呪文を唱え終ると長門は俺の方を向いて言った。
「あなたの唇と唾液腺及び舌の属性変更が完了した。もう問題ない。これ以上、私にキスを要求しないで欲しい」
よく解らないが、大丈夫らしい。
「サンキュー!長門」
俺は長門に感謝のキスをした。
21:
俺の舌が勝手に動き、長門の唇をこじ開け、長門の口腔内に侵入する。
閉じてる口を開かせようと、舌が長門の歯茎を突くと共に俺の唾液を長門の口腔に送り続ける。
長門が耐えかねたのか、顎が開き、歯に守られていた舌が露わになったようだ。
俺の舌は俺の意思と関係なく長門の舌を時計回りに三回程回し、
それから長門の舌の右側を俺の舌の左側で激しく擦りつけ、それが終わると長門の舌の左側に対して同様のことをした。
俺も長門も口腔内に刺激を受けた所為か唾液の分泌が盛んになる。
俺と長門の体液は双方の口腔内で混じり合い、お互いの口を行ったり来たりしている。
俺の舌は長門の口腔内への刺激をやめない。俺の意思を無視してだ。
これが長門の言っていた属性変換なのだろうか?
ここでふと気が付く、朝比奈さんの時の様に突き飛ばされてはかなわない。
薄目を開けて長門の様子をうかがう。
相変わらずの無表情だ。
レンズの置くから闇色の瞳が俺を見つめる。
そこから感情をうかがい知ることはできない。
その時、勢いよくドアが開いた。
24:
こんな開け方をするのはハルヒくらいだ。
ハルヒに見られると色々とうるさい。何事もなかったかのように長門から離れる。
ハルヒは部室に入るなり、顔を真っ赤にして下を向いてる朝比奈さんが目に入ったのだろう。
おかげで俺達がキスをしていたことには気がつかなかったようだ。
「どうしたのみくるちゃん?顔が真っ赤よ。まさかバカキョンにセクハラされたんじゃないでしょうね」
朝比奈さんは相変わらず顔を真っ赤にしたまま、首を振り、
「違います?」
と、言っている。全くだ。セクハラとは失礼な。俺は朝比奈さんにキスをしただけだぞ。
俺はそう考えながら長門の方をちらりと見た。
長門は唇を手で何回か触り一人つぶやいていた。
「………嘘つき」
その日は朝比奈さんの体調が悪そうだということで解散になった。
28:
夜、ベッドに寝転びながら一人考えた。
あの時なんで俺は長門にキスをしたんだ?
朝倉や朝比奈さんの時は困った状況だったし解る。
だが、長門の時は違う。暫し考える。
「そうか!そういうことか!!」
つい声が出てしまったが結論がでた。
お蔭でスッキリと眠れた。
29:
翌日も朝倉は休んでいた。少々心配だ。
それはそれとして、朝のHR前にハルヒに話しかけた。
「なぁ、涼宮」
「なによ……」
少々機嫌が悪いようだ。
「俺、実はポニーテール萌えだったんだ」
「なに?」
「いつだったかのお前のポニーテールはそりゃもう反則なまでに似合ってたぞ」
「バカじゃないの?」
黒い目が俺を拒否するように見える。抗議の声を上げかけたハルヒに、俺は強引に話を続けた。
「まぁ、落ち着け。それは過去の話だ。今の俺はキス萌えになったと気が付いたんだ」
「あんたなに言ってる?」
「そこでだ、ハルヒ。俺とキスをしないか?」
「はぁ!?なに?あんた、それ遠回しな告白のつもり?」
「いや?お前がそういうのに興味がないのは知っている。単に俺がキスをしたいだけだ」
後ろから椅子を蹴られた。
「朝の教室でなに言ってんのよ!」
ハルヒは口をへの字型に曲げて、俺と目が合うと顔を横に逸らした。
ここで担任の岡部が教室に入ってきたおかげで、ハルヒのさらなる暴力から免れた。
34:
実はハルヒに話しかけながら、俺は一つの懸案事項を抱えていた。その懸案は朝、俺の下駄箱に入っていた封筒。
差出人は朝比奈みくる。
胸が三割増しの方の朝比奈さんがまた手紙を入れたらしい。
『昼休み、部室で待ってます みくる』
内容も前回と同じだった。
昼休み、部室に行く。ドアをノック。
「あ、はーい」
と、返事。ドアを開けると案の定そこには三割増量キャンペーン中の朝比奈さんが居た。
35:
その朝比奈さんは、俺の顔を見ると嬉しそうな、困ったような複雑な表情をした。
「あの……どうしました?」
俺の方から声をかけた。
「あ、あの……この前の白雪姫の話なんですけど………」
「ええ。困った状態になったら思い出せっていう奴ですよね」
「そのはずだったんですけど、どこでどうなったのか……ちょっと困ったことになって…」
朝比奈さんは困った状態に陥ってるらしい。
俺は朝比奈さんを助けるために素早く駆け寄りキスをした。
39:
朝比奈さんは小さく「いやっ」と言って力なく俺を突き放そうとしたが、すぐに抵抗は終わり俺の首に腕を回してきた。
勝手に動く舌に任せること数分。
部室全体に舌を絡ませ合い時として唾液を交換するピチャピチャとペラペラという音が鳴り響く。
突如朝比奈さんが小さく「くぅ」と言い痙攣して座り込んだ。
俺が、「大丈夫ですか?」と声をかけても朝比奈さんはぼーっとしたままだった。
それから暫くして、「やっぱりキョンくんのキスは……」と言って俺と目が合う。
顔を真っ赤にして----それ以前から蒸気していたのだが----両手で頬を包んで首を振った。
「違う!そうじゃない!」と言いながら、フラフラと立ち上がる。
そのままヨロヨロとドアに向かいながら、俺に言った。
「と…とにかく、わたしにはあんまりキスをしないで」
と言って立ち去った。
追いかければまだ居そうな気がしたが、決め台詞の[禁則事項です]も言う余裕もなかったんだ。生暖かく見送った。
そう思っていたら、後ろから声がした。
40:
「私にもキスをして欲しい」
長門だ。ずっと部室に居たらしい。ピチャピチャに混じってペラペラが聞こえたはずだ。
「これ」
長門は鍵を俺に差し出す。
「なんだそれは?」
「朝倉涼子の部屋の鍵。あなたはお見舞いに行きたいと思っていたはず」
「いや、まぁそうなんだが……住所すら知らんぞ」
「私と同じマンション。505号室。今のあなただと部屋に入れてもらえない。だから鍵」
「そ…そうか。サンキュー長門」
長門は俺が鍵を受け取ろうとしたら引っこめた。
なんだ?と俺が疑問に思うと、長門が口を開いた。
「あなたの感謝を具体的な行動で表すのを要求する」
41:
「具体的に……って何をすればいいんだ?」
「……キスして」
「まぁ……いいが」
俺はそう言って、唇同士を合わせた。
残りの昼休み時間中長門の口の中を嬲り続けた。
昼休みの終わりを告げるベルと共に、どちらからともなく唇を離した。
先に言葉を発したのは長門だった。
「おいしい」
「……そうか。満足だったか?」
「……満足」
表情はあまりわからないがきっと満足だったのだろう?
「おいしい?」
今度は長門が聞いてきた。
「あ、ああ」
なんのことか解らなかったが適当に返事をしておいた。
長門から鍵を渡された。
俺はそれを受け取り教室に向かう。
………そういえば、昼飯を食い損ねたな。そう思いながら午後の授業を受けた。
43:
その日のハルヒは一日中変だった。
急ににやけたかと思ったらムスッっとしたり、机に突っ伏したかと思ったら急に起き上がる。
窓をぼーっと眺めてたかと思うと急にニヤニヤ。
授業中も上の空で、指されても全く返事をしなかったり、急に慌てたり。
全く持ってハルヒらしくなかった。
元々変な女だったがついに致命的におかしくなったようだ。
放課後も鞄を持ってフラフラと教室を出ていった。あの調子だと部活には顔を出さないだろう。
そう思いながらも、一応部室に顔を出した。
44:
部室には長門と朝比奈さんがきていた。
朝比奈さんに、
「お昼休みに特盛の朝比奈さんに会いましたよ」
と挨拶した。
朝比奈さんはキョトンとしている。
長門が説明した。
「朝比奈みくるの異時間同位体。それと昼休みにキスをしていた」
朝比奈さんの顔がみるみる赤くなる。
「ええーーー!!そんな困りますぅ???!」
朝比奈さんが泣き始めた。困っているらしい。
俺は朝比奈さんにそっと近づき、唇を寄せて俺の唇に重ねた。
始めは「ふぇぇぇ???!!」とでも言いたげだったが、俺の舌が勝手に動き出すと次第に大人しくなった。
45:
俺の舌が朝比奈さんの口腔内を蹂躙し始めて暫くすると古泉が部室にやってきた。
俺達を見ると一瞬ビックリしたようだが、すぐに何時もの笑顔に戻った。
「おやおや。日も沈んでいないのにお盛んですね。くれぐれも涼宮さんの前ではしないでくださいよ」
そう言いながら、何時もの席に座った。
朝比奈さんの口腔を貪る俺に構わずに古泉は話を続ける。
「ところで、涼宮さんが非常に不安定なのですが、何かしましたか?」
俺は朝比奈さんの口を解放する。朝比奈さんは「ふぇぇぇ?……」といいなが目を回していた。
「いや?俺は単にキスをしたいと言っただけだが?」
46:
俺はそれだけ言うと、再び朝比奈さんの救出作業に取り掛かった。
「……まぁ、今のあなたからしたらそれだけなんでしょう。今までに例がない動きなのです」
俺は古泉の言葉に耳を傾けながら、朝比奈さんの救出を続ける。
「我々もどうしたものか解らずに困っています」
俺は再び朝比奈さんの口から離れ古泉に聞いた。
「なんだ?困っているのか?」
「ええ。困ったものです」
古泉はやれやれといった感じのジェスチャーをした。
俺は意識が朦朧としている朝比奈さんを机に突っ伏せ、古泉に近づいた。
「あ、あのなんですか?顔が近----うもっふ!」
俺は古泉に口づけをして黙らせた。
48:
アッー!
63:
俺は古泉の口を存分に味わった。
数分後、ぴろりろぴろりろ。古泉の携帯が鳴る。
古泉が制服のポケットから携帯を出して液晶ディスプレイを眺める。
古泉は俺からそっと離れ、いつもとは違う締まらない笑顔で、
「名残惜しいのですがバイトの関係で、不測の事態に備えて待機しないといけなので」
そう言って、フラフラとしながら前傾姿勢で部室を出ていった。
64:
ハルヒもこないようだし、俺も部室を後にすることにした。
「ふみゅ?……キスってこんな味がするんですね……」
と、茹蛸の様に赤い顔をしながらも満足げに机に突っ伏してる朝比奈さんと、
黙々と本を読んでる長門に軽く挨拶をして部室を出ていった。
65:
朝倉の家に見舞いに行こうかと思ったが、先に事務手続きを済ませる事とした。
そう、SOS団設立に伴う書類申請だ。
このたび俺はようやくそれらしい文書をでっちあげたので生徒会に提出してやることとした。
「世界を大いに盛り上げるための涼宮ハルヒの団」では賄賂でも包まない限り却下されること確実と思われたので、
「生徒社会を応援する世界造りのための奉仕団体(同好会)」(略称・SOS団)と独断で改名し、
活動内容も「学園生活での生徒の悩み相談、コンサルティング業務、地域奉仕活動への積極参加」ということにした。
66:
生徒会室には一人の女生徒がいた。
生徒会書記を名乗るその女生徒は喜緑江美里というらしかった。
まだなってなかった気もするが気のせいだろう。
俺は書類を女生徒に手渡した。
「困りましたね。今は私しかいないんです。とりあえずお預かりしておきますね」
困っているらしい。
俺は女生徒を引き寄せ唇を奪った。
68:
始めは体に力を入れていた彼女だが数秒もしないうちにリラックスしたのか体を預けてきた。
時々、「ぅん」とか「ふぅぅ」とか呼吸をしている。
時間にして、十分程度そうしていただろうか。
彼女が俺の腿に股を擦り付けてきた。湿ってる感じがした。
トイレを我慢していたのだろう。申し訳が無い事をしてしまった。
俺は慌てて離れた。
「あっ……」
と、彼女は切なげな声をだした。
「すみません。俺、気が付かなくって」
素直に鈍感だったことを謝った。横から声がする。
「私にも気が付いて欲しいね」
眼鏡をかけたのっぽな男子生徒がそこにはいた。
「生徒会室でそんな事をされると困るんだけど----」
困っていると聞いて放っておくわけにはいかない。
やれやれ、我ながらお人好しな自分が嫌になる。
俺はその男子生徒と熱いヴェーゼをかわした。
71:
この生徒は煙草を吸うようだ。
煙草の味がするキスだった。
と、思ったら突き飛ばされた。
「な……何をするんだ!!」
その男子生徒は猛烈に抗議してきた。
「勿論、人助けのつもりだが?」
俺は自分で言うのは少し恥ずかしかったが、正直に目的を言った。
「…………それなら…もうちょっとだけ頼んでもいいかい?」
少し恥ずかしげに頼んできた。
「ああ、いいぜ!」
もう一度、俺はその生徒とキスをした。
74:
人助けも終わったので生徒会室を後にした俺だったが、今度は廊下で岡部担任に出くわした。
大量のプリントの山を抱えていた岡部教諭は俺に気が付くと声をかけてきた。
「丁度良い所であったな。悪いがプリントを半分運んでくれないか?」
どうやら、困っているようだ。助けないといけないな。
俺はプリントの山を無視して岡部の口に俺の口を運んでいき、お互いの口を合わせた。
87:
岡部の持っていたプリントの山が廊下に散らばる。
あれは片付けるのが大変そうだ。
だが、今は俺が出来ることに専念しよう。
そう、困難な状態を脱するためのキスだ。
88:
岡部は体育教師だけあって、引き締まった立派な体躯をしている。
ジャージ越しでも解る。
以前から解っていたことでもあるのだが、キスをする距離となってひしひしと感じる。
廊下を通り過ぎていく生徒が奇異の目で見たり、逆に見てみぬふりをしたりている。
二人組の生徒などはなにやら小声で話しながら通っていったりした。
89:
キスしていて解ったのだが、岡部は下の裏側を跳ねる様に擦られるのに弱い。
その度に小さな声で「ぅっ」と言って、軽く痙攣する。
面白がって繰り返していたら、「くくぅ?!!」と声を出し、
股間を抑えて数回痙攣した後に座り込んでしまった。
俺に出来ることはもうやった。他に手伝えることはない。
廊下に散らばったプリントを踏まない様に気を付けながら、呆然自失とする岡部を放置して下校した。
95:
校門を出たところで、逆に登校してくる生徒に気が付いた。
「wa,wa,wa,わっすれーもの、忘れ物ー」
自作の歌を歌いながらやって来たそいつは、谷口だった。
「よう、谷口!どうしたんだ?」
「おう!ちょっと忘れ物をしちまってな」
谷口はそれだけ言うと校門を入っていった。
忘れ物をして困っているらしい。
俺は谷口を呼び止めた。
「おい!助けてやるよ!」
「あ?ん?いいよ。教室に行くだけ……むぐぅ」
谷口が振り返った時を見計らって口づけをした。
99:
態勢が悪かったので、一度離れ、
「さっきの歌をBGMとして口ずさんでいてくれ」
と言って、体育館裏に連れて行き、再び口づけをした。
「ふふふ?ふ♪」
口がふさがれている中、谷口は健気に歌い続けた。
それからどれくらいの時が経ったのだろう?
今は大体六時くらい。谷口と会ったのは四時頃だったはずだから、
かれこれ二時間も谷口とキスをしていた計算となる。
肩で息をしている谷口をみる。
小便でも垂れたのか、股間が酷く濡れている。
やれやれ、高校生にもなって何をしているんだか……
親友なので見てみぬふりをしておこう。
「わ…わすれ…も?の……」
去りゆく俺の後ろで、まだ歌っていた。
100:
校門には長門がいた。
俺の顔を見るなり、
「朝倉涼子」
と言ってきた。
「見舞いに行けってことか?」
長門は無言で頷く。
「でも、こんな時間に行ったら迷惑じゃないか?」
「平気」
「いや、朝倉がな……」
「大丈夫」
101:
長門が俺の腕にまとわりついてきた。
一緒に行くということだろうか?
まぁ、同じマンションらしいからそれでもいいが……
道中度々俺を突き、俺のが長門を見ると唇を突き出してきた。
口づけを要求されているのだろうか?
キス萌えの俺としては誘いに応じたい。
だが、付き合ってもないのに理由もなくキスをするわけにはいかない。
ひたすら我慢した。
我慢しているうちにマンションについた。
104:
長門に付いて行き505号室に着いた。
俺が呼び鈴を押そうとした時には長門がドアを開けていた。
「入って」
マジかよ。まぁ、この部屋の鍵も持っていたし親友なのかもしれない。
うろたえつつも狼狽を顔に出さないようにして、恐る恐る上がらせていただく。
靴を脱ぎ一歩進んだところでドアが閉められる。
何か取り返しのつかない所に来てしまったような気がした。その音に不吉な予感を感じて振り返る俺に、長門は、
「中へ」
とだけ言って自分の靴を足の一振りで脱ぎ捨てた。
部屋はおでんの匂いがした。晩御飯はおでんなのだろうか?
105:
長門に付いて行くと、朝倉は一人でおでんを突いていた。俺達を見るなり、
「な、なによ、あんたたち!!」
ビックリしていた。俺が朝倉の立場でもビックリしたと思う。
「パーソナルネーム朝倉涼子はこの部屋に情報制御空間を展開するべき」
とは長門の弁。
「なに言ってるのよ!」
朝倉が焦る。それに対して長門は冷静に答えた。
「あなたの情報制御空間にしないとわたしと対等の戦いができない」
「わたしはあなたのバックアップなのよ!なんで戦わないといけないのよ!」
長門は小首を傾げて、
「私が苦戦しないと彼がキスをしてくれない」
「意味が解らないわ」
普段は笑顔の朝倉がさっきから一度も笑顔になっていない。
「独断専行は許可されていない。わたしに従うべき」
「いやよ!」
「困った。戦ってくれない」
ここで俺が口を挟んだ。
「なんだ?長門困っているのか?」
「とても」
長門が苦境を脱出できるようにキスをした。
106:
暫くしたら朝倉が包丁を片手に戻ってきた。
キスをしている俺達に向かって、
「バグが累積してエラーが起きてるのよ!早くそいつを連れて出ていって!人間ならこれでも殺せるのよ!」
どうも友人とかそう言う関係では無いようだ。朝倉の言う通りだ。殺されるのもかなわん。
長門とのキスを止めて朝倉に向かって言った。
「朝倉の言う通りだ。長門行くぞ。……朝倉…悪かったな。邪魔した。こいつには後で注意しておく。」
107:
その時後ろから声がした。
「人にそんな危ない物を向けちゃだめじゃない」
振り返ると、生徒会の喜緑さんがいた。
最近の生徒会は欠席している生徒の見回りもやっているのだろうか?
「あなたは暫く部屋の外に出ている方がいい」
長門はそう言うと俺を部屋の外に突き飛ばした。
喜緑さんがドアを閉めて暫くするとドア自体が消えた。
どうなっているんだ?
110:
それから五分としないうちに再びドアが現れた。
喜緑さんがドアを開けた。入れと言うことらしい。
いまさらながら、「お邪魔しま?す」と小声で言いながら部屋に入った。
部屋の中では朝倉が泣きじゃくっていた。
「絶対あんたたち累積バグでエラーが発生してるのよ!」
俺は朝倉に駆け寄った。仕方がなかったとはいえ、俺のファーストキスの相手だしな。
「おい!朝倉大丈夫か?」
「大丈夫じゃないわよ!」
朝倉は泣きながら、俺の手を振りほどいた。
大丈夫じゃない……駄目ってことか………
「大丈夫だ。安心しろ。困った時の対応方法なら俺に任せろ」
朝倉は「えっ!?」っと顔を上げた。
その顔に俺はキスをした。
やっぱり晩御飯はおでんだったのだろう。おでんの味がした。
112:
その後は四人でおでんを突いた。素直に美味しかった。
どうやって煮込む時間を短縮したのか一日煮込んだ様な大根も次々と料理していた。
これくらいは問題なく出来るというらしい。料理が上手なのはポイントが高い。
朝倉のおでんを御馳走になったことを谷口にでも自慢したいが後が面倒なのでやめておこう。
おでんを御馳走になった後に、朝倉が
「泊まっていけばいいのに?長門さんや喜緑さんも喜ぶと思うわよ」
と言っていた。喜緑さんもこのマンションの住人なんだろうか?
ともあれ、女の子が一人暮らしをしている部屋に泊まる訳にもいかず、俺は帰るはめとなった。
次の懸案事項は、家に帰ったら作ってある晩御飯を食べないといけないことだ。
123:
家に帰り着いた俺を待っていたのは意外な人物だった。
門の前で古泉一樹が俺を待っていたのだ。
「こんばんは」
馴れ馴れしく手を振りながら、
「いつぞやの約束を果たそうかと思いまして。泊まらなかったようで助かります」
「俺がどこに行ってたか知ってるみたいな話し方だな」
スマイルゼロ円みたいな笑みをたたえる古泉は、
「少しばかりお時間を借りていいでしょうか。案内したいところがあるんですよ」
「涼宮がらみで?」
「涼宮さんがらみで」
ありえないくらいのタイミングの良さで通りかかったタクシーを古泉が止め、俺と奴を乗せた車は国道を東へと向かっている。
「ところで、いつぞやの約束って何だっけ」
「超能力者ならその証拠を見せてみろとおっしゃったでしょう?
ちょうどいい機会が到来したもんですから、お付き合い願おうと思いまして」
「わざわざ遠出する必要があるのか?」
「ええ。僕が超能力者的な力を発揮するには、とある場所、とある条件下でないと。
今日これから向かう場所が、いい具合に条件を満たしているというわけです」
ここで運転手が口を挟んだ。
「困りました。渋滞です」
運転手を助けるために後部座席から体を伸ばし、そっと口づけをした。
125:
運転中は流石にと言うことで最寄りの駐車場に行った。
「例の超能力の話はどうなったんだ?」
と言う俺に対して、古泉はあっさりと、
「部室で言ったように今の涼宮さんは非常に不安定です。その場所は先ほど自然消滅しました」
と言ってのけた。
仕方がないので、この新川というひげ面のタクシー運転手を助けることに専念した。
髭が俺の鼻の下を刺激する。斬新だ。そう思っていると古泉が声をかけてきた。
「困りました。僕は興奮する一方でその発散場所がありません」
俺と新川さんは顔を角度ずらし、古泉が参加できるスペースを確保した。
古泉は嬉しそうに
「僕も参加していいのですね!」
と言って、俺と新川さんの間に顔をうずめた。
俺達三人は延々と舌を絡ませ合い、三十分程度車中をピチャピチャという音で満たした。
新川さんと古泉は満足したのか、「ふぅー」と言いながら俺を家に届けることにしたようだ。
128:
帰りの車中で俺は考えた。
「今週、特に今日。なんやかんやでいっぱいキスをした。俺自身そんなにキスをするとはおもってなかった。数えてみて驚いた。今日だけでも特盛の朝比奈さんに始まって、部室に居合わせた長門有希にもキスをした。放課後は俺の知ってる朝比奈さん、続いて困っていた古泉一樹。生徒会室では、生徒会書記の喜緑江美里、続いて後からきた男子生徒。廊下では担任の岡部ともキスをした。校門を出たと思ったら、忘れ物して困っていた親友の谷口と会いキスをした。谷口とは体育館裏に場所を移し二時間余りキスを継続した。その後は、朝倉涼子の部屋で困っていた長門有希と再びキスを交わした。朝倉涼子は朝倉涼子で長門有希や喜緑江美里に折檻をされたのだろうか、泣きじゃくり非常に困っていた。オレ」はそれを助けるために朝倉涼子ともキスをした。よくよく考えてみれば朝倉涼子は俺のファーストキスの相手でもあった。それに留まらず、自宅に帰り着いたと思ったら、古泉と共にタクシーに乗り込んだかと思ったら、困っている運転手を助けるためにその運転手ともキスをした。そこに何故か古泉も参戦して三人でキスをした。よくよく考えると男との方が濃厚なキスをしている。もしかしたら俺は潜在的なホモなのか!?いやそんな事はない。なぜなら俺が一番魅力を感じたのはハルヒの唇だったのだし。ちょっと待て。なんでここでハルヒが出てくる。俺はハルヒとはキスをしたことがないぞ。あのような変わり者が好きということもない。只の一時の気の迷いだ。実際に今日キスした人間の感想をまとめてみろ。特盛朝比奈さんの唇は胸同様に厚くて非常に包容力に溢れて魅力的だったではないか。長門はどうだ?唇は胸同様に薄い。唇が薄いのは情が浅いなどというがあれは嘘だ。完全にマグロ状態だったが、それが長門らしくて素晴らしかったではないか。普通盛りの朝比奈さんはどうだ?特盛さんと同様にボリュームのある唇。加えて小動物を彷彿させる反応。最高だったではないか。古泉は?男は知らん。結構良かったと思ったのは内緒だ。生徒会書記の喜緑江美里は?良く知らない人ならではの素晴らしい刺激が得られたではないか?惜しむらくは喜緑江美里がトイレを我慢していたために中断してしまったことくらいだ。生徒会室に居合わせた男子生徒は?男は知らん!といいたいところだが、煙草の味が大人のキスを彷彿をさせてよかったのではないか?実際に大人である岡部担任は?厚い体に興奮を憶えなかったと言えば嘘になるのではないだろうか?谷口は?俺の親友だ。それにキスをする背徳感に酔ってなかった言えばうそになるであろ。まして自作の曲を歌わせ続けた上でのキスとなると征服感や背徳感は最大級のものであった。朝倉涼子とのキスは?朝倉涼子は俺にとってはファーストキスの相手だ。じっくりと味わったその味はおでんのあじだった。美味しかったがロマンとは真逆のものだった。だがそれがいい。きっと本当に大事なものとはそう言うものなんだろう。それではハルヒのキスの味はどんなものなのだろう?待て待て!なんでここでハルヒが出てくる?美少女なのは認めるがキスをしてないだろう?今は今日の反芻なんだ。ハルヒの出てくる余地はないはずだ。
そんな自問自答を繰り返していたいたら、古泉が声をかけてきた。
「着きましたよ」
気が付けば自宅の前だった。
俺はタクシーから降り、懐かしの我が家へと帰還した。
132:
日が明けた。帰り着いた俺はラップがかけてあった夕飯を無理やりかきこんだ所為か胃もたれだった。
最悪の目覚めだ。それでも今日を凌げば明日は土曜日休みである。
妹に体の上で跳ねられたらかなわないので自主的に起きた。
 
そんなわけで俺は今、這うようにして今日も不元気に坂道を登っている。正直、ツライ。
途中で谷口に会ってバカ話をされなかっただけマシと思おう。かんかん照りの太陽は律儀に核融合全開だ。少しは休めばいいのに。
俺は足を引きずり引きずり、よたよたと階段を上がって一年五組の教室へ向かい、開けっ放しの戸口から三歩歩いたところでまた立ち止まった。
窓際、一番後ろの席に、ハルヒはすでに座っていた。何だろうね、あれ。頬杖をつき、外を見ているハルヒの後頭部がよく見える。
後ろでくくった黒髪がちょんまげみたいに突き出していた。ポニーテールには無理がある。それ、ただくくっただけじゃないか。
「よう、元気か」
俺は机に鞄を置いた。
ハルヒは恥ずかしそうに無視をする。
窓の外から視線を外さないハルヒに、俺は言ってやった。
「似合ってるぞ」
ハルヒは一言だけ答えた。
「うるさい」
133:
その日の昼休みは国木田と二人で弁当を食べるこことなった。
谷口は体調不良で休みらしい。折角忘れ物を取りにきたのに残念だったな。
鬼のかく乱とはこういうことを言うのだろう。
国木田は焼き魚の小骨に苦戦しているようだった。
国木田の苦境を脱出させるために俺は国木田にキスをした。
昼休みの全ての時間を費やしたおかげか国木田は楽になったようだ。
教室のそこかしこでひそひそ声が聞こえるが気のせいだろう。
143:
昼食は、国木田と俺の舌ですり潰したものをシェアして食べたから、どうも食べた気がしない。
実際に弁当は半分程度にしか減ってないのだが。
空腹を感じつつ、放課後の廊下を部室に向かって歩いていると朝比奈さんがいた。
朝比奈さんの横には髪の長い女生徒が居た。朝比奈さんの友人だろうか?
俺が声をかけようと思ったら、先に朝比奈さんが気が付いたようだ。
俺の顔を見ると何故か顔を真っ赤にしてオロオロしはじめた。
横の女生徒はそんな朝比奈さんに何かを話しかけているが、朝比奈さんは首を振るばかりの様だった。
144:
女生徒は朝比奈さんが見たものを追う様に振り返る。
当然そこには俺が居るわけだ。
女生徒がニコニコしながら俺に向かってくる。
八重歯が生えている……と俺が思った時には投げ飛ばされていた。
空中で一回転半した俺は無様にも腹ばいに廊下に叩きつけられた。
痛みと衝撃で、
「うぇっ!」
と言った時には、その女生徒は俺の背中に片膝を乗せ、その後半身を俺に預けた上で腕を捻じりあげてきた。
「みくるになにをしたのさっ。正直に言わないと小指から捻じり折っていくよっ」
明るい声で幻影旅団みたいなことを言わないでください。
そう考えていると捻じり方が強くなった。堪らずに、「いだだだだ」と、声をあげてしまった。
女生徒は腕を捩じ上げなら、もう一方の手で小指を握ってきた。
「言わないと、めがっさ痛くなるにょろ。正直に言えば、事と次第によっては腕の二、三本で許すからねっ」
いや腕は二本しかないから!そんな突込みを許さない勢いで小指を捻じってきた。ヤバい!この人本気だ。
「はっはは。かくごしろ?」
笑いながら、冗談でも言っているかの様な明るい声を出して、小指に力を入れてくる。
折るのではなく、ねじり切る気なの?もしかして!
145:
その時、上の方から天使の声がした。
一瞬、女生徒の気が変わって殺されたかと思ったが、この様な可憐な声を出すのは朝比奈さんしかいない。
「あの?……違うんです…キョンくんを離してあげてくださぁぃ」
今にも泣き出しそうな声だ。
女生徒は、
「へっ!?キョンくんっ?これが噂のかいっ?」
と言うと、俺を解放した。
手を差し出し俺が起き上がるのを促す。
立ち上がって埃を払う俺を見ながら、「ふーん へーえ」と言いながら観察する。
「お互い不幸な思い違いがあったみたいだねっ!気にしたら負けだよ!」
明るい声でそう言いながら俺の背中をバンバン叩いてきた。普通に痛いです。
思い違いはあんたが一方的にしてたんだ!と心の中で突っ込んでおいた。
「じゃ、またねっ!」
と言って女生徒は立ち去った。……あの人怖い。俺はそう思った。
146:
女生徒が立ち去った後に、朝比奈さんが彼女のことを一生懸命にフォローしてた。
朝比奈さんの同級生で、鶴屋さんというらしい。たぶん、悪い人では無いのだろう。
友人の粗相が恥ずかしかったのか、朝比奈さんは一度も俺の顔を見ることはなく、俯いたまま顔を真っ赤にしていた。
声も時々小さくなった。小動物の様で可愛いです。ハルヒが無駄に抱きつくのも理解できる。
「それじゃあ、ちょっと用事があるのでこれで失礼します。後で部室に行きますね」
と言う朝比奈さんと別れた。俺は一人部室に行くこととなった。
147:
部室にはポニーテールもどきをしているハルヒがいた。
「遅い!みくるちゃんとかとイチャイチャ、ペチャクチャしてからきたんじゃないでしょうね!」
朝比奈さんとそんなことをしていたならどれほど良かったか、実際には鶴屋さんにメチャクチャにされていた。
俺の苦労を労う為に、ハルヒにお願いをしてみた。
「なぁ、涼宮?」
「なによ?」
ハルヒは不機嫌そうに答える。
「キスをさせてくれないか?」
「はぁ!?」
今度は素っ頓狂な声をだす。忙しい奴だ。
「昨日言っただろう?俺はキス萌えなんだって」
「……団長命令よ!今からコンビニに行ってジュースとお菓子を買ってきなさい!」
「金は?」
「あんたの奢り決まってるじゃない。団長に対してセクハラをした罰よ。当然じゃない」
「俺のがセクハラだというのなら、お前が普段朝比奈さんにしてるのはなんなんだ?」
「団長と団員のスキンシップに決まってるじゃない!」
俺は反論を許されずに部室を追い出された。
149:
部室の前で呆然としていても仕方がないので俺は玄関に向かう。
雨が降っていた。
「おやっ!そこにいるのはキョンくんじゃないかいっ?さっきぶりだねっ!」
明るく声をかけてきたのは、さっき俺の骨を折ろうとしていた鶴屋さんだ。
「いやー、急に土砂降りになったからさっ。置き傘を取りに教室に戻ったのよんっ」
俺の骨を折ろうとしたことなどなかったかの様に話しかけてくる。
そんな鶴屋さんを無視して考える。
どうしたものか、この土砂降りの中コンビニに行くのか?冗談じゃない。
さりとて、このまま部室に戻ればハルヒに何を言われるか解ったものでは無い。
困った……うん?困った?
俺はちらりと横を見る。鶴屋さんが居る。この人怖いんだよなぁ?。
だが、困った状況である以上は仕方がない。えい!ままよ!
「あはははは」と意味もなく笑っている鶴屋さんの口を塞いだ。
何でだって?もちろん俺の口でだ。
八重歯が唇に当たった等と考えるまも無く俺は空を舞ってた。やっぱりね。
浮揚感はすぐに床に叩きつけられる衝撃で消し飛んだ。
152:
背中から落ち、痛みと衝撃で咳き込む俺を無視して鶴屋さんが恍惚とした表情をしていた。
「キョンくんの舌がシャッキリポンと舌の上で踊るさっ!」
そういうと俺の上に馬乗りになってきた。そして強引に俺の唇を奪ってきた。
数秒経つと口を離し、
「柔らかで優しい味にょろ!」
それだけ言ってまた口づけをしてきた。そしてちょっとするとまた離す。
「また、この歯茎が堪らないねっ!コリコリっとしてて、甘くってねっ」
再び口を合わせる。また数秒で離す。
「唾液と唾液が合わさってお互いの味を高め合うにょろねっ!」
そう言ってまた口づけをしてくる。またすぐに離す。
「あひゃあっ!唾液の臭さが舌の動きで実に豊かな香りにふくらむよ!」
また口をつけて、すぐに離す。
「ああキョンくんの舌の甘いジュースが、ジュツとするっさ」
その後も口をつけたり離したりしながら、
「うわっ、めちゃウマいっ。何これっ?
はぐはぐ……ひょっとしてキョンくんキスの天才? ちろちろ……うひょー。
ダシがいいよ、ダシがっ。がつがつ」
そんな感じだった。
157:
時間にして一?二分だったのだろうか、
グルメ漫画のセリフの様な事をひとしきり言ったら満足したのか鶴屋さんは俺から離れた。
七?八割方の時間をグルメレポートに費やしてた気がする。
最後の方は「はぐはぐ」とか「ちろちろ」とか「がつがつ」とかの擬音語を口に出して喋ってたし。
鶴屋さんはうっとおしい梅雨を吹き飛ばすかのような笑顔を俺に向けて挨拶をした。
「こんどこそ、またねっ!」
それから、鶴屋さんは廊下の方にも目を配り、
「みくるもばいびー!また来週!」
大きな声でそう言い、手をブンブンと振った。
それが終わると傘をさして校舎から出ていった。
梅雨を吹き飛ばす台風の様な人だった。
さて、鶴屋さんによれば、朝比奈さんが居るらしい。
俺は鶴屋さんが手を振ってた方を探す。居た。何故か顔が真っ赤だ。
159:
朝比奈さんに近寄ろうと玄関から廊下に一歩出る。
と、廊下の違う方から見覚えのある腕章をした、
ポニーテールの出来損ないを結っている、
見た目だけは美しい少女がやってくる。
見覚えのあるそいつは見間違えようがない程にハルヒだった。
傘を片手にハルヒは険しい顔になったり、にやけたり、表情をくるくる変えている。
百面相の練習でもしているのだろうか?
何事かぶつぶつと呟やきながら歩いて、俺に気が付いている様子はない。
友達が居ない所為で、ついに独り言まで言う様になったか。
ああはなりたくないものだと思い、その気の毒な美少女を暫し観察する。
目の保養になる。本当に見た目だけはいいんだよな? 見た目だけは!
大事なことなので二度言いました。
160:
ハルヒは「あの…バカキョンは……」等と言っていた。
俺と目が合った。一瞬驚いたような顔をしたが、何時もの不機嫌な顔に戻った。
口をへの字に曲げて、プイと顔を横に向けながら傘を差し出す。
「……はい、傘!」
そのままの状態でハルヒは話し続ける。
「わざわざ団員の為に傘を玄関まで届けてあげるとは優しい団長だと思わない?」
「そもそも、お前のわがままで外に行く羽目になっているんだがな」
俺の突込みを無視してハルヒは続ける。
「そうね!ここまで傘を届けてあげたんだから、キョンにはもっと奢ってもらわないといけないわね!」
親切の押し売りとはまさにこのことだろう。そもそもこれを親切と呼んでいいのか疑問だが。
「キョンに買ってもらうものはあたし直々に決めてあげるわ。行くわよ!」
「おい!傘は一個しかないぞ」
「あんたが持ってあたしに差せばいいじゃない」
俺が「おい!」と言いかけたところでハルヒは朝比奈さんに気が付く。丁度死角になっていたようだ。
161:
「あら?みくるちゃん居たの?」
朝比奈さんは相変わらず顔を真っ赤にしている。
「もしかしてバカキョンにでもセクハラされた?」
ハルヒは失礼なことを言っている。
「そ……そんなことないですけど………」
小さな声で答える朝比奈さんの姿はまさに獰猛な肉食獣を目の前にした小動物だ。
「……けど?」
ハルヒは一歩もひかない。
162:
「あ、あの……えっと…その……」
朝比奈さんは言いよどむ。いったい何があったのだろう?ハルヒでなくても気になる。
「ハッキリ言わないなら帰さないわよ」
ハルヒの目が輝きだした。プライベートもお構いなしで土足で踏み込むこいつは本当に悪趣味だと思った。
……とはいえ、朝比奈さんの尋常ならざる様子は気になる。俺は朝比奈さんにそっと耳打ちした。
「ハルヒに言えないことなら、後で俺に言ってください」
それを聞いた朝比奈さんは益々赤くなった。
俺が見ていたのは耳だけだったのだが。
「ちょっと!あんたみくるちゃんに何を言ったのよ!!」
ハルヒが抗議してきた。
そんな講義を知ってか知らずか朝比奈さんが泣き始めた。
「そ、そんな?…私、困りますぅ?」
困っているらしい。
朝比奈さんの両肩を抱いて口づけを……少し前の言い方をするなら接吻をしようとした。
167:
朝比奈さんの唇に触れるかと思ったその時、みぞおちに強烈な衝撃が走った。
ハルヒだ。ハルヒが全くもって一切の力加減をしていない正真正銘容赦なしのボディーブローを横から放ったのだ。
俺が抗議の声を出す前にハルヒの方から罵声を浴びせてきた。
「なにしようとしてるのよ!このエロキョン!!」
俺は暫く声も出せなかったが、ようやく喋れるようになった。
「なに……って見ての通りキスだが?」
「なんでキスしようとしたのかって聞いてるのよ!」
「そりゃ、朝比奈さんが困ってたからだろ?」
ハルヒは何を当然のことを聞いてるんだ?アホなのか?
「なんで困ってるとキスをするのよ」
信じられないものでも見るような顔をしている。
「そりゃ……」
と言いかけて、よく考える。ハルヒには特盛朝比奈さんの話をする訳にもいかないし、どうしたものだろう。
168:
俺の言葉がつまったのを見ると、ハルヒは髪の毛結っていたゴムバンドを外し、床に叩きつけた。
さらば似非ポニーテル。本当に似合っていたんだがなぁ。
俺がのんびりとそんな事を考えていると、ハルヒは床に落ちてた傘を拾い一言。
「帰る」
そう言って玄関の方に向かう。
「おい!鞄とかどうするんだよ」
「……置いて帰る」
言葉通りハルヒはそのまま出ていった。上履きで……
朝比奈さんもいつの間にか居なくなっていた。
これはいったいどうした事だろう?
仕方なく部室に戻る。珍しく誰も居なかった。
俺だけ居ても仕方がないので、俺も鞄を持って帰ることにした。
171:
その日の夜、朝比奈さんは苦境から脱出できたのだろうかと思いながら眠りについた。
頬を誰かが叩いている。うざい。眠い。気持ちよく眠っている俺を邪魔するな。
「……キョン」
朝比奈さんが気になって中々寝付けなかったんだ。勘弁してほしい。
「起きてよ」
「………う?ん?朝比奈さん?」
気になっていた単語で返事をした。
強烈な刺激が左頬にきた。流石に目が覚めた。
ハルヒが憤怒の表情を浮かべながら、右手で平手打ちを打ち抜いたような格好をしていた。
どうやら、ハルヒのビンタで起こされたようだ。
172:
「みくるちゃんじゃなくて残念だろうけど、ようやく起きたようね」
ハルヒが嫌味ったらしく言ってくる。
「そうか?キスで起こして貰えなかったのは残念だが……」
寝ぼけながらも答える俺。律儀だな。
「なに?あんたみくるちゃんのキスで起こされるような妄想をしてるわけ?」
飽きれたような言い草だ。
「いや?俺がキスで起こして欲しいのはお前なのだが?」
寝ぼけて頭が回らない所為か言われるがままに答える。何か飛んでも無い事を言ってる気がする。
「な!?あんたみくるちゃんにキスを迫ってたじゃない!どれだけ節操がないのよ!」
やっぱり飛んでもなかったようだ。ハルヒが驚き呆れている。
「朝比奈さんは困ってたからな」
「なに?あんたは困ってたら誰とでもキスをするわけ!?」
「ああ……谷口や国木田、古泉……それからタクシーの運転手ともしたかな?」
ハルヒが絶句する。
173:
「まぁ、俺にとっては挨拶みたいなものだ気にするな」
「……じゃあ、私のキスで起きたいって言うのは?」
しつこい夢だ。いい加減きちんと眠らせてほしい。
「俺が一番キス萌えしたのがお前だったからな。他の連中には困ってる時にキスしただけだ」
そう言ってから、長門には感謝のキスを二回したことを思い出す。
「……あんたにとっては困ってる人にキスをするのは挨拶と同然と言いたいわけ?」
「ああ。実際に挨拶でキスできるような世の中が俺の理想だがな」
「…そう……実は今、私たち学校っぽいどこかに飛ばされて困ってるんだけど?」
「そうか、それならキスをしないと------」
俺がそう言いかけると、寝転んだままの俺にハルヒがキスをしてきた。
174:
何故か舌は動かなかった。仕方がないので自分で舌を動かす。何時もの様にはいかない。
暫くするとハルヒは何かに気が付いたかのように突然立ち上がる。
ハルヒの腕に持たれていた俺の頭はその後部を床に叩きつける。痛い。まるで石畳かのようだ。
俺が抗議する前にハルヒが怒り心頭に何かを言っている。
「このエロキョン???!!なんで挨拶のキスで舌を入れてくるのよ!!」
ハルヒはそう言いながら、ジャンピングエルボードロップを無防備な俺の腹部に放った。
鈍痛とともに俺は目が覚めた。長い夢から目が覚めたかのようだった。
177:
翌週、憂鬱な月曜日に登校の為に坂を登っていると悪夢の様な光景が繰り広げられていた。
そこかしこでキス、キス、キスだ。
男女ならまだいい。空気の読めない熱々カップルだろうからな。
女同士でもキスをしてる。これは見てて絵になるから許容しよう。
だが、なぜ、男同士でもキスをしている!?
相撲部と柔道部の様な男同士が抱き合ってキスをするな。
朝っぱらから最悪の気分だ。これらは全部ハルヒの仕業に違いない。
178:
そう思っていると谷口が声をかけてきた。
「オィ?ッス!」
それとともに俺の顔に谷口の顔が急接近する。
顔を寄せるな、息を吹きかけるな、顔が近すぎるんだよ、気色悪い!
耐えきれずに谷口を突き飛ばす。
「何をするんだよ!俺達は友達だろ?友達ならキスをするのが当たり前じゃないか」
嫌な予感は的中した。どうやら谷口は俺にキスをする気だったようだ。
そこに国木田もやってきた。国木田は谷口に挨拶をすると軽い口づけを交わした。
国木田は俺にも挨拶をして接近する……国木田なら………いや待て俺は今、何を考えた?
国木田を無視して校門をくぐり教室に向かった。
179:
教室内ではそこかしこでキスがなされていた。悪夢というか何というか……
クラスの人気者である朝倉は大変そうだ。列が出来てるぞ?他所のクラスの奴まで加わっている。
そしてわれらの涼宮ハルヒの元には誰もきていない。
流石というかなんというか……
俺は席に着き、ハルヒに挨拶をした。
「よう」
ハルヒは不機嫌そうに
「なに?あんたもキスをしたいの?」
「キスは仲が良いもの同士でするものなんだろう?」
ハルヒは、
「そうよ」
とだけ言って不機嫌そうに窓の向こうに顔を向けた。
そこに谷口がやってきた。
「涼宮?キスしようぜ!」
「馬鹿じゃない?」
歯牙にもかけられていなかった。
しょんぼりした谷口だったがそのまま朝倉の列に並んだのは流石というかなんというか……
180:
放課後、部室に行く。一同は既に揃っていた。
折角の機会なので俺は朝比奈さんにキスを迫ろうかと考えた。
俺の考えを見透かしてか、ハルヒが、
「SOS団の団員は団長の許可なくしてキスすることを禁止します」
そう高らかに宣言した。
誰と誰がキスしようが勝手だろうと内心思ったが、それで朝比奈さんの唇が守られるならいいだろうと思った。
そう思っていると古泉が何時もの笑顔で、
「そう仰られるだろうと思って、みなさん誰ともキスをしていないそうですよ」
さわやかフェイスにさわやかボイス、さらには流れるようなさわやかな弁舌なのに、内容とのギャップが凄い。
「そう。流石は我がSOS団の団員ね!」
ハルヒは満足そうだ。
181:
「そうよ!キスよ!みくるちゃんのキスをかけて不思議を募集すればいいのよ」
朝比奈さんが固まる。
「そうと決まったら行くわよ、みくるちゃん!募集よ!募集!」
ハルヒはそう言うと朝比奈さんを強引に外に引っ張り出した。
また、例によって校門で呼びかけでもするつもりなんだろうか?
「ふぇぇぇ??!!嫌ですぅ?!困りますぅ?!助けてくださいーーー!!」
という朝比奈さんの悲痛な叫びが廊下に響き渡っていた。朝比奈さんよ、永遠なれ。
一瞬なにかに反応しそうだったが、なんだったのだろう?
182:
泉が何時もの笑顔で俺に話しかけてきた。
「ところで先週はどの様に過ごされましたか?」
「なんだ?急に?別に普通に学校に行ってハルヒの相手をして過ごしたはずだが?」
「そうですか。ありがとうございます」
笑顔を崩さない。何が聞きたかったんだ?
「ところで、このキス騒動もハルヒが原因なんだろう?」
「ええ。今回は原因もかなりわかっています」
「何が原因なんだ?」
「世の中には知らない方がいいこともあると思いますよ」
古泉はすまし顔で言ってくる。
「もったいぶらずに教えろよ」
「涼宮さんでも思った通りにならないことがあったということですよ。影響は受けたようですが」
183:
「神様でもままならないことがあるんだな」
古泉は笑顔のままで受け応えをする。
「ええ。その様ですね。僕もビックリですよ」
「それがキス騒動やハルヒの宣言と関係あるんだな」
「その様ですね。なんだか惜しい気もしますが」
心なしか俺の口をチラリと見た気がした。
184:
俺が何かを言う前に長門が口を挟んだ。
「涼宮ハルヒが接触する前に属性変更は解除した」
「そうですか。それはそれで勿体無いですね」
「独占する涼宮ハルヒへのささやかな抵抗」
古泉と長門だけで話を進める。俺にはなんのことだか解らない。
「長門さんなら同じのを作れたんじゃないですか?」
「他のインタフェースを利用して実験してみた。」
他のインターフェイスってことは、他にも長門みたいのがいるのか。
「刹那的には満足だったが、なんとも言えないむなしさがあった。原因は不明」
「一種の感情ですね」
嘘くさい笑顔を続ける古泉が似合わない台詞を吐いた。
「………」
185:
長門が沈黙した。長門の沈黙を破るように古泉が長門に話しかけた。
「ところで、よくあんなのを涼宮さんが許しましたね」
「特定ワードや状況にのみ反応するようになっていた。また、女性相手には制限もかかっていた」
「具体的には?」
「前者は言うまでも無いと思う。後者は具体的には時間制限」
完全に置いてけ堀だ。
「女性相手には精々五分が限界だった。私を除いて」
「長門さんだけ特別だったのですか?」
「そう。これらの条件は属性変換のついでに変えた。他のインターフェイスも都合によって変えたかもしれない」
「なんだかずるいなぁ」
「役得」
186:
意味不明の会話を続ける二人の会話に割って入った。
「そんなことよりも、今はこの異常な状態を解消して朝比奈さんのファーストキスを守る方が大事だろう?」
「朝比奈さんのファーストキスですか?」
表情を崩さなかった古泉が若干表情を崩したかのように見えた。
気が付けばいつもの笑顔であったが、何かを言いたげだった。
「なんだ古泉?お前はあの天使の様な朝比奈さんがキスを経験済みとでも言いたいのか?」
「とんでもない!朝比奈さんは純真初心な女性だと思いますよ」
こいつが言うと嫌味にしか聞こえない。
ともあれ、俺達は朝比奈さんのファーストキスを守るためという訳ではないが元の世界に戻す為に奮闘した。
油断すると妹がキスで起こそうとしてくる世界など勘弁して欲しいからな。
その苦労はまた今度語るとしよう。
チラ裏SS オチマイ
付き合って頂いた皆様においては、お疲れ様でした。
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