天国に一番近い勇者〜heaven cannot wait〜【後半】back

天国に一番近い勇者〜heaven cannot wait〜【後半】


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1:
魔王城ーー
女僧侶「ここが……魔王城……」
天童「カァ?、でっけぇ建物だなぁ……やっぱり、親玉ってのはいい所に住んでんだな? なっ?」
勇者「……父さん、俺もここまで来たよ」
女僧侶「ここにいる……魔王を倒せば……」
天童「……あぁ」
勇者「……世界は、変わるんだ」
ーー天国に一番近い勇者 最終話
622:
ヒラヒラ
勇者「……ん?」
天童「どうした、勇者? おめぇ、ひょっとしてビビってんじゃねぇだろな!?」
勇者「いや……違うよ、天童……ほら、上見てみろよ?」
天童「あぁん? 上?」
勇者「何か……空から降ってきた……」
天童「なんだ、ありゃ……? ゴミか……? 鳥か……? それとも、スーパーマンかっ!?」
勇者「いや、違うよ……アレ、封筒みてぇな形してるぞ……?」
天童「封筒……? あっ……! って、事はっ!」
623:
ヒラヒラ
天童「おい、勇者っ! 来たぞ来たぞっ!」
勇者「う、うん……」
天童「あれが……おめぇの最後の命題だっ!」
勇者「うんっ……! よ、よっとっ……!」パシッ
天童「さぁ、これが……おめぇが真人間になる為の最後の試練だっ!」
勇者「最後……か……」
天童「さぁ! 今回はなんて書いてあるんだっ! 勇者っ! 中を見てみろっ!」
勇者「う、うん……」ガサゴソ
624:
勇者
X月X日 午後5時までに
天童にさよならが言えなかったら即・死亡!
625:
勇者「えっ……? 天童に……さよならが言えなかったら……即・死亡……?」
天童「……」
勇者「……」
天童「今……午後2時だ……」
勇者「……後3時間だ」
天童「……」
勇者「……」
天童「よしっ! もう、ここでクリアしよう」
勇者「……えっ?」
626:
天童「今から、魔王城に乗り込むんだ。 そんな中、余計な事考えてる暇なんてねぇだろ?」
勇者「……」
天童「だから……今、ここで命題をクリアして……後は、魔王を倒す事に集中しよう。なっ?」
勇者「……」
天童「だから……勇者……?」
勇者「……ん?」
天童「言えよ……『さよなら』を……」
勇者「!」
天童「これで、おめぇの命題もおしまいだ」
勇者「……」
627:
天童「……どうした?」
勇者「……」
天童「……あっ! ひょっとしてお前、俺と別れるの嫌なの?」ニヤニヤ
勇者「!」
天童「いつもいつも、バカだのダメ天使だの言ってたのによぉ?? やぁ?っぱり、俺と別れるのが寂しいんだ? ねぇねぇ?」
勇者「……」
天童「なぁ?んだよ、勇者君にも可愛い所、あるじゃ……」
勇者「違ぇよっ! バーーーーカっ!」
天童「……ぬ?」
勇者「あのなぁ……? 天童……?」
天童「……何だよ」
628:
勇者「今から、魔王城に乗り込むんだぞ? おめぇ、そこん所わかってんのか?」
天童「わかってるよ……だから、命題をクリアして……」
勇者「あのなぁ……? 天童……?」
天童「……ぬ?」
勇者「おめぇみてぇな、ダメ天使でもなぁ? 戦闘になったら、いつもいつも後方で隠れてるような奴でもなぁ?」
天童「……俺は隠れてなんかねぇよっ! いつも頑張ってるじゃねぇか!」
勇者「一応は……戦力なの?」
天童「一応って何だよぉ!? 勇者君は失礼だなぁ?」
勇者「今から、魔王城に乗り込むんだぞ? その前に、戦力減らす事するなんて……そ?んな事は、出来ませんよ」
天童「……まっ、そうかもな」
勇者「後、3時間もあるんだろ? 3時間? だったら、後3時間……おめぇには徹底的に働いてもらわねぇとなっ!」
天童「勇者君……君の気持ちはよくわかった……だけど、一つだけ言いたい事がある……」
勇者「あぁ? 何だよ……?」
629:
天童「あのね……? おじさん、今日……下痢気味なんだ……?」
勇者「……はぁ?」
天童「あっ! それとね、熱もあるの! 熱も!」
勇者「……なぁ?に、言ってんだよ」
天童「え?っとね……39度ぐらいかなぁ……? いや、こりゃ40度越えてるねっ!」
勇者「……おめぇ、さっきまで、ピンピンしてたじゃねぇか」
天童「だからねぇ?? 今日、おじさん、ちょっと戦えそうに……」
勇者「はいはい、わかったわかった……それじゃあ、魔王城に行きましょうか……」グイグイ
天童「おい、勇者ァ! 病人、引っ張るんじゃねぇよっ! 俺、今日おたふく風邪なんだぞ!? おめぇ、うつっちまうぞ!?」
勇者「おめぇはさぁ……? そういう所を直そう。なっ? おめぇもダメ天使のままじゃよくねぇよ。なっ?」グイグイ
630:
天童「魔王城なんておっかねぇよっ! 俺、怖ぇよ! 勘弁してくれよ?」
勇者「俺だって怖ぇよ……だけど……やるしかねぇじゃねぇか!」
天童「早く命題クリアしろよっ! おめぇがクリアしたら、俺は天界に帰れるんだからよぉ!」
勇者「はいはい、魔王を倒したら……言ってあげますから……それまで、おめぇも頑張って下さい……ほれ、行くぞ?」
天童「ったく……じゃあ俺も最後まで付き合ってやるかっ! でもよぉ、勇者? 命題忘れんじゃねぇぞ? 後3時間だからよぉ?」
勇者「はいはい……わかってます、わかってますって……」
勇者(ふざけんなよ……出来るワケねぇだろ……こんな命題……)ワナワナ
631:
ーーーーー
「敵襲だっ! 敵襲だぞっ!」
女僧侶「……くっ!」
天童「おいおいっ! いきなり囲まれちまったぞっ! いくらなんでも、真正面から、乗り込みすぎなんじゃねぇの?」
勇者「くそっ! 流石、魔王城だ……数が多いな……」
ゾロゾロ……ゾロゾロ……
女僧侶「大丈夫ですっ……! きっと……きっと、上手くいきますよっ!」
天童「一人、ノルマ10匹って所だっ! 勇者ァ! おめぇはその倍の20匹倒しやがれっ! いくぞっ!」
勇者「あぁっ! 20匹でも、30匹でもやってやるよっ! 俺だって、ここまでやってきたんだからっ!」
「来たぞっ! 相手はガキ二人と、おっさん一人だが、容赦はするなっ!」
632:
女僧侶「たあっ!」バキッ
魔物「……ガッ!」
天童「よいしょ?っ! どっこいしょ?っとっ!」ガスッ
魔物「……グッ」
勇者「うらぁっ!」ズバッ
魔物「こ、こいつ……! 早っ……!」
勇者(父さん……父さんが成し遂げれなかった事……俺が代わりに……!)
魔物「くっ……! こいつ……!」
勇者「くらえっ!」
ズシャッ
魔物「……ガ、ガガッ」
633:
魔物「くそっ……! 固まれっ……! 人数ではこっちが優っているんだっ……!」
勇者「……」
魔物「体制を整え、こいつらを迎え討つぞっ!」
勇者「よしっ……! いい具合に固まってくれたな……」
魔物「……えっ?」
勇者「纏めて倒してやるっ……! うおおっ! くらえっ!」
魔物「な、なんだっ! 何かヤバいぞっ! 皆、散るんだっ! 散れっ!」
勇者「もう、遅いっ! くらえっ! ギガデインっ!」
魔物「!?」
ドーンッ
魔物「グガガガガッ……」
634:
天童「カァ?、あいつ調子いいねぇ……俺も頑張ってるのによぉ……? よっと……」バキッ
魔物「……ガッ」
天童「これで……7匹目っと……ほら、俺頑張ってるじゃん……ん……?」
女僧侶「勇者さんっ! 魔物の動きを封じましたっ! だから、お願いしますっ!」
勇者「よしっ! 女僧侶ちゃん、ありがとう! うおおっ!」ダッ
女僧侶「勇者さんっ!」
勇者「うおおっ……! 23……! 24……! 25……!」
天童「……7匹でも凄い事なんだよ? ねぇねぇ? 7匹でも凄いのに、あ?やって、25匹とかやってたら、俺の見せ場ねぇじゃん?」
635:
ーーーーー
魔王「……鼠が暴れているようだが?」
「はっ……! しかし、相手は三名……恐るるに足る事はありません……」
魔王「……そうかな?」
「……?」
魔王「奴は、この私に土をつけた……あの男と同じ技を使っていたようだが……?」
「……あの稲妻の技ですか」
魔王「勇者に息子がいるとの情報も、入っておる……おそらく、奴がそうだろう……」
「……」
魔王「……私が行くしかないな」
636:
「お待ち下さいっ! 魔王様っ!」
魔王「……どうした?」
「魔王様は、まだ不完全ですっ! 今は……世界を支配する為……力を蓄えて下さいっ!」
魔王「私が……人に負ける……と、でも……?」
「魔王様は……二度……負けました……」
魔王「……」
「一度は神に……そして……もう、一度は……人に……です……」
魔王「……」
637:
「神との戦いで、力を使い……そして、人に破れ……」
魔王「……」
「そして……人との戦いで、また力を使い……」
魔王「……」
「あなたも……あの愚かな、神のようになりたいのですか!?」
魔王「神……か……」
「私が行きます……私が行って……奴らを始末しましょう……例え、それがあの勇者の息子だとしても……」
魔王「……」
「魔王様は今は、力を蓄えて下さいっ……! 世界を支配するだけの力をっ……!」
638:
ーーーーー
女僧侶「はぁ……はぁ……」
天童「カァ?、疲れた……おい、勇者? 俺、15匹倒したぞ? 今度は嘘じゃねぇからな!」
勇者「おっ……? おめぇ、今日は役に立ってくれるじゃねぇか? ナイスナイス」
女僧侶「勇者さんは何匹、倒したんですか?」
天童「あっ! 女僧侶ちゃん、聞かなくていいっ! 聞かなくていいからっ!」
勇者「俺は……途中から、数えてないけど……40ぐらいじゃねぇ?」
女僧侶「勇者さん、凄いですっ!」
天童「……聞かなくていいって言ったのによぉ」
勇者「でも、女僧侶ちゃんのサポートがあったからこそだよ! だから、俺と女僧侶ちゃんで20・20ぐらいじゃないの?」
女僧侶「ふふ、ありがとうございます」クスクス
天童「……なぁ?んか、おじさん今日つまんないなぁ?! ねぇ、帰ってオセロとかしない? オセロとかして楽しく遊ぼうよぉ!」
639:
「……流石、勇者だな。やるじゃないか」
天童「……ん?」
勇者「こいつ……今までの奴らをとは気配が違うぞっ……! 皆、気をつけろっ!」
魔人「自己紹介をさせて頂こう……自分を殺す相手の名ぐらいは知っておきたいだろう……? 私は火の魔人……」
天童「ヒノマ・ジンさん……? あんた、変わった名前してるねぇ……どういう字、書くの?」
勇者「『日野間仁』とか、そういう感じじゃね? 俺は『火の魔人』だと、思うけど」
魔人「ふん、とぼけた奴らだ……だが、油断はせんっ……! 私の能力はっ!」
ゴオオォォォ
天童「うおおっ! 熱っ! 熱っ!」
勇者「な、なんだこいつ……辺り一面、炎の海に……!」
魔人「私は炎を自由自在に操る力を持つ! いくぞっ! 貴様らを消し炭にしてくれるわっ!」
644:
天童「魔人だか、魔王だか知らねぇけどよぉ……? こっちには時間がねぇんだっ! 勇者ァ! とっとと片付けるぞっ!」
勇者「あぁっ! わかってるよ、天童っ! いくぞっ!」
魔人「……フン」
天童「うおおっ! くらぇっ!」
勇者「おらぁっ!」
魔人「甘いぞっ! 小僧共っ!」
ヒュンッ
天童「……何っ!?」
勇者「こいつ……早いっ……!?」
魔人「後ろだっ! くらえっ! うおおぉぉっ!」
645:
魔人「先ずは……おっさん……貴様らだっ! くらえっ! うおおぉぉっ!」
天童「……えっ?」
魔人「うおおぉぉっ! くらええぇぇ!」ドゴォッ
天童「ぐっ……ああっ……!」
勇者「天童っ!?」
魔人「……他人の心配などしてる暇はないぞっ!」ヒュンッ
勇者「えっ……! こいつ……いつの間に……」
魔人「次は……勇者っ! 貴様だっ!」ドゴォッ
勇者「ガッ……! ぐ、ぐはっ……!」
646:
女僧侶「勇者さんっ! 私が魔法で動きを止めますっ……! だから……その隙に……」
勇者「う、うぅ……わかった……」
女僧侶「んっ……いきますよっ……」
魔人「そう安々と呪文詠唱など、させてたまるかぁっ!」
女僧侶「えっ……?」
魔人「うおおっ! 燃え盛る火炎よっ! あの女を焼き尽くすせっ!」ゴオォォォッ
女僧侶「えっ……!? 火が……こっちに……」
魔人「うおおぉぉっ! くらええぇぇ!」
女僧侶「きゃあぁっ!」
647:
勇者「女僧侶ちゃんっ!?」
女僧侶「うっ……ううっ……」
勇者「女僧侶ちゃん、しっかりしろっ!」
魔人「……警告は二度目だぞ? 勇者の小僧?」ヒュンッ
勇者「えっ……?」
魔人「他人の心配をしてる場合ではないと言っただろう……? なぁ?」
勇者「し、しまったっ……!」
魔人「うおおっ! くらえっ!」ドゴオォォッ
勇者「ぐ、ぐはっ……」
648:
魔人「まだ死なぬか……なかなかタフだな……? 小僧……?」
勇者「へへ……頑丈さには自信があるんでね……」プルプル
魔人「その根性だけは褒めてやろう……」
勇者「へへ……どうも……」
魔人「……だがっ!」ヒュンッ
勇者「!」
魔人「根性だけでは、どうにもならんぞっ! くらえっ!」ドゴオォッ
勇者「う、うわああぁぁっ!」
魔人「どうした!? 勇者!? そんな物か、貴様の力はっ!?」
勇者「く、くそっ……」チラッ
天童「こいつ……強ぇ……」
649:
勇者「うおおぉっ!」
魔人「……ぬ?」
勇者「くらえっ! ギガデインっ!」
ドゴーンッ
魔人「甘いわっ! 燃え盛る火炎よ……火の鳥の姿を借りて焼き尽くせっ!」
ゴオォォォッ
勇者「……何っ!?」
魔人「どちらの魔法が強いか……力比べといこうじゃないか……勇者の小僧よ?」ニヤリ
勇者「く、くそっ……!」
650:
勇者「う、うおおぉぉっ……!」
魔人「どうしたどうしたっ!? 勇者の力とは、この程度の物かっ!?」
勇者「や、やばいっ……こいつ……!」
魔人「どうしたっ!? もう、終わりかっ!? ならば、このまま焼き尽くしてくれるっ!」
勇者「!」
魔人「うおおぉぉっ! 消し炭となれっ! 勇者ァっ!」
ゴオォォォッ
勇者「!?」
651:
勇者「うっ……ううっ……」
魔人「……フン」
勇者「……くそっ!」プルプル
魔人「さぁ……心の臓を取り出し……止めとするか……なぁ? 勇者よ?」
勇者「……くっ」
魔人「くたばれっ! これで、貴様もっ……!」
勇者「……天童っ! 今だっ!」
魔人「……何っ!?」
天童「うおおぉっ! 今日は俺、いい所なしだからよぉ! 背後から、てめぇを襲って、大活躍してやるぜぇっ!」ブンッ
652:
魔人「……フン」ヒュンッ
天童「何っ!? 消えたっ……!?」
魔人「……わかってるんだよ? そんな事は」
天童「……えっ?」
魔人「甘いわっ!」ドゴオォッ
天童「ぐ、ぐわぁっ!」
魔人「そして……お前もだっ……!」ヒュンッ
女僧侶「!?」
魔人「くらええぇぇ! うおおぉぉっ!」ドゴオォッ
女僧侶「き、きゃああぁっ!」
勇者「天童っ……! 女僧侶ちゃんっ……!」
653:
魔人「勇者のお前が……強力な魔法で、私の注意を引き……」
勇者「……くっ」
魔人「そして、仲間に背後から攻撃させる……なかなか、いい作戦じゃないか!? なぁ!?」
勇者「くそっ……! こいつ……!」
魔人「だがっ……! そのような安い作戦など、私には通用せんぞっ! なぁ!? なぁ!?」
勇者「くそっ……こ、こいつ……」
女僧侶「勇者さんっ……天童さんっ……ど、どうしましょう……!」
天童「諦めんじゃねぇっ! こっちが人数で優ってる事には変わりねぇんだっ! とにかく……やるしかねぇよっ!」
魔人「……ほう」
654:
魔人「では……こんな呪文はいかがかな……?」
天童「……ん?」
魔人「燃え盛る火炎よ……人の姿を借りて我を守る幻の兵士となりたまえっ……!」ブツブツ
女僧侶「な、何かしようとしてますよ……!」
魔人「はあぁっ!」
ゴオォォォォッ
兵士「……」
兵士「……」
兵士「……」
天童「な、なんだこりゃっ……!」
女僧侶「炎の……兵士……!?」
655:
魔人「行けっ! 炎の兵よっ! お前達は、その雑魚を片付けろっ!」
兵士「オ、オオオォォォっ……!」
天童「うおっ! 熱っ! 熱ィってのっ!」
兵士「オオオオ……オオォォっ……!」
女僧侶「きゃあっ……!」
勇者「天童っ! 女僧侶ちゃんっ!」
魔人「これで、人数もこっちの方が優ったな……?」
勇者「やばいっ……! 二人を助けないと……!」
656:
魔人「学習しないな、貴様は……これで警告は……三度目だ……」ヒュンッ
勇者「し、しまった……!」
魔人「……死ねぇっ! 勇者よっ!」
ドゴオォッ
魔人「……ぬ?」
勇者「お、おっと……」ヨロヨロ
魔人「ほ?う……防御したのか……やるじゃないか……?」
勇者「ようやく……目が慣れてきたみたいだな……学習してないワケじゃねぇよ……」
魔人「流石、勇者……といった所か……」
657:
魔人「……だがしかしっ!」ヒュンッ
勇者「!?」
魔人「はぁっ! だぁっ! たぁっ!」
勇者「ぐっ……! くっ……!」
魔人「どうしたどうしたっ! 防戦一方だぞ、勇者ァ!」
勇者「くっ……くそっ……!」
魔人「……ふんっ!」ヒュンッ
勇者「し、しまったっ……!」
魔人「後ろだっ! 勇者ァ!」ドゴォッ
勇者「ぐ、ぐあぁっ……!」
658:
勇者「う、ううっ……」
魔人「……大人しく寝ていろ。そうすれば楽に殺してやる」
勇者「くそっ……」ムクッ
魔人「……何故、立ち上がる? 馬鹿なのか? 無駄だという事がわからんのか?」
勇者「へへ……世の中に無駄な事なんかねぇんだよ……こうやって、立ち上がってれば……そのうちなんとかなるさ……」ヨロヨロ
魔人「……愚かな」
勇者「へへ……諦めて……たまるかよっ……!」
魔人「……フンっ!」ヒュンッ
勇者「!」
魔人「……うおおぉっ!」ドゴォッ
勇者「ぐ、ぐはぁっ……!」バタッ
659:
勇者「……ううっ」
魔人「……ふん」
勇者「く、くそっ……」ムクッ
魔人「もう、寝てろ……しつこい奴は好かん……」
勇者「諦めて……たまるかよっ……!」ヨロヨロ
魔人「……何が貴様をそこまで動かすんだ?」
勇者「……」
魔人「復讐か……? 父親の復讐が、貴様を動かしているのか?」
勇者「……」
魔人「……」
勇者「へへ……そんなんじゃねぇよ……」
魔人「……じゃあ、何が貴様をそこまで動かす?」
勇者「それは……」チラッ
魔人「……」チラッ
660:
兵士「オオオオォォっ……!」
天童「く、くそぉっ……!」
兵士「オオオオ……オオオオっ……!」
女僧侶「くっ……!」
兵士「オオオオォォっ……!」
天童「ここまで来たんだっ! こんな奴らに負けてたまっかよっ!」
兵士「オオオオ……オオオオっ……!
女僧侶「えぇっ! 後少しなんですっ……! 後少しっ……!」
661:
勇者「皆が……教えてくれたんだ……」
魔人「……」
勇者「今……自分に出来る事を一生懸命するんだって……」
魔人「……」
勇者「前向きな想いが……自分を変えて……それから周りを変えていく事に繋がるんだ……」
魔人「……」
勇者「復讐なんて事は……父さんは望んでないよ……」
魔人「それが……お前達人間の信じる……神の教えか……?」
勇者「神様かどうかはわかんないけど……天使はそう、教えてくれたよ……」
魔人「愚かな神らしい考えだ……邪魔な人間など全て始末して……我らだけの世界を作ればいいものを……」
勇者「だから……俺がここで……諦めるわけにはいかないんだっ……!」
魔人「ふん、面白いっ……! ならば、貴様が二度と立ち上がれぬよう、焼き尽くしてくれるっ!」
666:
勇者「いくぞっ! 魔人野郎っ!」
魔人「かかってこいっ! 勇者の小僧よっ!」
勇者「うおおぉっ! 父さんっ……! 俺に力を貸してくれっ……!」
魔人「燃え盛る火炎よ……火の鳥の姿を借りて全てを焼き尽くせ……」ブツブツ
勇者「うおおぉぉっ! ギガデインっ!」
ドゴーンッ
魔人「うおおぉぉっ! 死ねっ! 勇者よっ!」
ゴオォォォッ
667:
勇者「……ぐっ!」
魔人「……ふんっ!」
勇者「く、くそっ……! やっぱり……こいつの魔法……桁違いの威力だっ……!」
魔人「フン……このまま押しきってやるっ……うおおぉぉっ!」
勇者「くっ……! くそっ……! 負けて……たまるかよっ……!」
魔人「諦めろ、勇者の小僧よ……貴様達は……ここで終わりだっ!」
勇者「諦めて……たまるもんかっ……! 絶対……絶対に諦めるもんかっ……!」
魔人「うおおぉぉっ! 押しきってやるっ!」
勇者「!」
魔人「行けっ! 火の鳥よっ! 奴を焼き尽くせっ!」
ゴオォォォッ
勇者「ぐっ……! うおおぉぉっ! レムオルっ!」
668:
魔人「はあぁっ!」
ドゴーンッ
魔人「……」
魔人「フン、骨すら残らなかったか……愚かな小僧だ……」
魔人「……後は、あの二人の始末だけだな?」チラッ
魔人「しかし、あの男……もしかして奴は……」
「……今度はお前が隙を見せたなっ!」
魔人「……何っ!?」
勇者「うおおっ! くらえっ!」ザクッ
魔人「……ぐっ!」ヨロッ
勇者「おめぇの相手は俺だよ……他の奴見てる暇なんてあるのかよ……? なぁ、あんた自分で言ってたよなぁ?」
魔人「くっ……! 貴様……焼け死んだはずでは……」
勇者「へへ……直撃はくらっちまったけどよぉ……俺、姿を消す魔法も使えるんだよね……?」
魔人「く、くそっ……!」
勇者「おかげで一発、おめぇに深ぇの入れれたぞっ! 今度はこっちの番だっ! 行くぞっ!」
669:
魔人「ぐっ……! 確かに……貴様の不意打ちで、傷を追ってしまったが……」
勇者「うおおぉっ! ぐっ……! だぁっ!」
魔人「お前もっ……! 満身創痍ではないかっ! 動きが鈍いぞっ!」
勇者「く、くそっ……! うおおぉぉっ! だぁっ!」
魔人「甘いっ……! 甘いわっ……! 動きが見えるっ! 貴様の攻撃が見えるぞっ!」
勇者「後少しっ……! 後少しなんだっ……! 諦めてたまるかよっ……!」
魔人「私に挑むのは10年早かったようだなっ! うおおぉぉっ! とどめだ、勇者っ! くらえっ!」ブンッ
勇者「!」
ガスッ
670:
魔人「う、うおっ……」ヨロッ
天童「勇者……? おめぇ、成長したじゃねぇか……?」
魔人「……貴様っ!?」
天童「おめぇのおかげで……ようやく不意打ちが入れられたよ……やぁ?っと、見せ場がやってきたよ……」
魔人「このっ……! 鼠がちょこまかと……! くそっ! くらえっ!」ブンッ
バキッ
魔人「ぐ、ぐっ……!」ヨロヨロ
女僧侶「後、少しなんです……本当に……後、少し……」
魔人「ぐっ……! 貴様らっ……!」
女僧侶「勇者さんっ! 追い込みましたよっ! 後一息ですっ! お願いしますっ!」
魔人「……ぬ?」
671:
バチバチ……バチバチ……
魔人「こ、これは……? さっきの小僧の魔法がまだ残っているのか……?」
勇者「さっきの魔法は……あんたを攻撃する為に使ったんじゃない……ソレ作る為に使ったんだ……」
魔人「雷が……まるで結界のように私を包んで……まさかっ……!?」
勇者「俺だけじゃ困難な道のりだった……あんたをそこに押し込んで、動きを止める事なんて、出来なかったよ……」
魔人「まずいっ……! この場にいるのはっ……! 非常にまずいぞっ……!?」
勇者「皆で作ったチャンス……だから……だから、これは外してたまるかよっ! うおおぉぉっ! くらえっ!」ダッ
魔人「!」
勇者「だあぁぁっ! ギガスラッシュ!」
ズバーンッ
魔人「ガ、ガアアァァァ!」バタッ
672:
女僧侶「勇者さんっ!」
天童「よしっ! やったかっ!?」
勇者「……あぁ、完全に決まった」
魔人「ガッ……グッ……まだだ……まだ終わらんぞ……」
勇者「もう、いいっ! 勝負はついたはずだっ!」
魔人「燃え盛る炎の兵士達よ……私はもうよい……だから魔王様を守る為動くのだ……」ブルブル
勇者「いい加減にしろっ!」
魔人「戦え……炎の兵士よ……魔王軍に……栄光を……」
兵士「オオオオォォっ!」
兵士「オオオオォォっ!」
兵士「オオオオォォっ!」
673:
天童「くそっ! 勇者っ! 炎の兵士が襲ってきてるぞっ!」
「……オオオオォォっ!」
勇者「くそっ! 数が多いっ! とにかく、こいつらを始末するぞっ!」
「オオオオ……オオオオォォ……」
天童「今度は何だ? 一人ノルマ5匹か? でもよぉ? こいつらも、強ぇから油断するなよっ!」
「オオオオォォっ!」
勇者「ああっ! わかってる! 皆、頑張るんだっ……!」
「オオオオ……オオオオォォ……」
魔人「ぐっ……! まだだ……まだ、私は終わらんぞ……」ブルブル
674:
魔人「全ての始まりの炎よ……私の残りの命も……魂も全て捧げましょう……」
勇者「うおおっ! だぁっ! たぁっ!」
魔人「人間共に……永遠の呪いを……私の最後の願いですっ……!」
天童「ったく……今日はハードな一日だなっ! どっこいしょ?とっ!」
魔人「これが……私の最後の魔法だっ……! くらえっ! 勇者よっ!」
女僧侶「勇者さんっ! 何か……何かしようとしてますよっ……!?」
魔人「燃え盛る火炎よ……愚かな人間共に永遠の呪いを……そして我ら魔王軍に繁栄をっ……! はああっ!」
勇者「!」
675:
パカッ
勇者「……ん?」
天童「何だこりゃ? 床に穴が開いて……?」
女僧侶「勇者さん、危ないっ! 落とし穴ですっ!」
勇者「えっ……? って、うわああぁぁっ!」ヒューッ
天童「うおおぉぉっ! やべぇっ! やべぇぞ勇者っ!」ヒューッ
魔人「くっ、一人逃したか……だが、これで貴様達はもう魔王様の元にはたどり着けん……これが、私の最後の魔法だ……」ガクッ
勇者「うわああっ! 落ちる……! 落ちるぞっ!?」
天童「何で、最後の魔法が落とし穴なんだよぉ! 火を使え! 火をっ! って、うわああっ!」
676:
女僧侶「勇者さんっ! 天童さんっ!」
兵士「……オオオオォォ」
女僧侶「……えっ?」
兵士「オオオオォォっ! オオオオっ!」
女僧侶「きゃぁっ……!」
兵士「……オオオオォォ」
女僧侶「こ、この兵士……主が倒れたのに……まだ、生きてる……」
兵士「オオオオォォっ……!」
女僧侶「くっ……! 数が多いっ…… ! とても、私一人では……!」
兵士「オオオオォォっ!」
女僧侶「と、とにかく勇者さん達を探しましょうっ! こんな場所一人なんて、危険すぎますっ……!」
679:
PM3:00
タイムリミットまで後、2時間
680:
勇者「おおっ……おおっ……! いでっ……!」ビターンッ
天童「うおおぉ……うおおっ……!」
勇者「むぎゅっ!」
天童「おおっ、勇者! おめぇは身を挺して俺を守ってくれたのかっ! なかなかやるじゃねぇかっ!」
勇者「何で俺の上に落ちてくんだよ、おめぇはよぉっ! どけよっ! 重てぇよっ!」
天童「おめぇは細けぇ男だな! いいじゃねぇか、ちょっとぐらいよぉ?」
勇者「あ?、痛てて……くそっ……随分と落下しちまったみてぇだけど……ここ、何処だ……?」
天童「う?ん……地下……かねぇ……?」キョロキョロ
681:
勇者「……あれ?」
天童「ん? どうした、勇者?」
勇者「女僧侶ちゃんが……いないぞ……?」
天童「ありゃ、そういえば……落ちてくる最中に、何かに引っかかってんじゃねぇの……?」
勇者「もしかしてよぉ……? あいつの落とし穴に落ちたのは……俺達だけで……」
天童「お、おい……まさかっ……!」
勇者「女僧侶ちゃんは、まだ上にいるんじゃねぇのか!?」
天童「やべぇぞっ! 上にはあの炎の兵士もまだ大量にいやがったぞ!?」
勇者「このままじゃ、女僧侶ちゃんが危険だっ! 早く助けにいかないとっ!」
天童「でもよぉ? どうやって戻るんだよ? おめぇ、道分かるのかよ? ここ、地下だぞ!?」
勇者「落ちて来たんだから、上に登ればいいだけの話じゃねぇかっ! 階段だよ! とにかく、上に登る階段を探すんだよ!」
682:
「いたぞっ! 侵入者だっ!」
「殺せっ! 殺すんだっ!」
勇者「……ん?」
天童「あぁ……?」
ゾロゾロ……ゾロゾロ……
勇者「おいおい……また魔物だよ……どんだけいるんだよここはよぉ……?」
天童「まっ、魔王城なんだから……当然と言っちゃ当然だよね……?」
勇者「くそっ……早く女僧侶ちゃんと合流しないといけないってのに……」
天童「しょうがねぇっ! 邪魔なこいつらをぶっ飛ばして、とっとと女僧侶ちゃん合流するぞっ! 行くぞ、勇者ァ!」
勇者「あぁ! 行くぞっ! 天童っ!」
683:
ーーーーー
女僧侶「はぁっ……! はぁっ……!」
女僧侶「……」
女僧侶「な、なんとか……振り切りましたかね……?」
女僧侶「早く……早く、勇者さんと合流しないと……」
「……こいつが命知らずの侵入者か? まだ、餓鬼ではないか」
女僧侶「だ、誰ですかっ……!」
「……火の魔人を倒したようだな? だが、我々は奴とは違うぞ?」
684:
水の魔人「私は水の魔人っ! 能力は水を自由自在に操る力だっ!」
女僧侶「!」
雷の魔人「そして、私が雷の魔人っ! 能力は雷を自由自在に操る力だっ!」
女僧侶「そ、そんなっ……!」
風の魔人「そして、私が風の魔人っ! 能力は風を自由自在に操る力だっ!」
女僧侶「まだ三人も……いるなんて……」
水の魔人「フン……火の魔人を倒したぐらいでいい気になるなよ……?」
雷の魔人「奴は魔人四天王の中でも最弱……魔人四天王の面汚しよ……」
風の魔人「我ら三人こそが真の魔人……魔人三獣士よっ!」
女僧侶「魔人……三獣士……?」
685:
水の魔人「さぁ……? 小娘よ……覚悟はいいか……?」
女僧侶「くっ……!」
雷の魔人「安心しろ……苦しむ間もなく……殺してやる……」
女僧侶「くっ……勇者さん……」
風の魔人「我ら魔人の力を……思い知らせてやるわっ!」
女僧侶「まずい……これは……まずいですっ……!」アセアセ
水の魔人「いくぞっ!」
雷の魔人「うるあぁぁっ!」
風の魔人「これで貴様も……終わりだぁっ!」
女僧侶「!」
686:
ーーーーー
勇者「……うおおっ!」バキッ
魔物「……ガッ」
勇者「言えっ! 上への階段は何処にあるんだっ! 言えっ!」
魔物「ふふふ……教えてやっても、いいが……もう、無駄な事だ……」
勇者「……どういう意味だ?」
魔物「魔人三獣士様が……直々に動いて下さったのだよ……」
勇者「魔人三獣士……? さっきみたいな奴がまだ、三人もいるのかっ……!?」
魔物「おそらく……お前の仲間はもう……手遅れだろう……」
勇者「そんなワケないだろうっ! 言えっ! そいつらの居場所を言うんだっ!」
魔物「グフフ……」
687:
天童「お?いっ! 勇者っ! こっちだっ! どうやら、上への道はこっちみたいだぞっ!」
勇者「天童っ……!」
天童「早く、女僧侶ちゃんと合流しようぜ? 女僧侶ちゃんいないと、やっぱり仕事量増えちゃうね?」
勇者「あぁっ! 早く行こうっ! このままじゃ……女僧侶ちゃんが……」アセアセ
天童「……ん? どうしたの勇者君? 何でそんなに焦ってるの?」
勇者「なんか……さっきみたいな、奴が……後、三人いるらしいんだよ……?」
天童「はぁ!? 後、三人もいるのかよ!? どういう事だよっ!?」
688:
勇者「だから……早く、女僧侶ちゃん助けに行かないと……」
天童「おいおい、待てよっ! さっきの戦いで、おめぇももうボロボロじゃねぇか! 後三人も戦えるのかよ!?」
勇者「……くっ」
天童「それに……その後には魔王も待ってるんだぜ? おめぇ、今日ちょっと無茶しすぎじゃねぇか!?」
勇者「くそっ……甘くみすぎてた……魔王城なんだから……もっと準備を念入りにするべきだった……」
天童「なんかよぉ? さっきの奴みてぇによぉ? 炎の兵士を生み出す……みてぇな都合のいい魔法覚えてねぇの?」
勇者「そんなもんがあったら、とっくに使ってるよっ! とにかく急ごうっ! 女僧侶ちゃんが危険だっ!」
天童(こりゃ、こいつが今までクリアしてきた命題が……偶然だったのか……本物だったのか……試される時が来たみてぇだな……)
天童(ただの偶然でクリアしたもんなら……この窮地は凌げねぇだろうな……さぁ、どうなるか……?)
689:
ーーーーー
水の魔人「……しぶといな」
女僧侶「くっ……」
雷の魔人「ちっぽけな人間の何処に……このような力があるのだ……」
女僧侶「諦めません……諦めませんよ……絶対に……!」
風の魔人「……もうよい、とどめにしましょう」
女僧侶「くっ……! 勇者さんっ……!」
水の魔人「うおおおっ!」
雷の魔人「死ねっ! 小娘よっ!」
風の魔人「我ら魔人三獣士の力を思いしれっ!」
女僧侶「!」
690:
水の魔人「……ぬ?」
雷の魔人「……何?」
風の魔人「我々の攻撃を……避けただと……?」
女僧侶「えっ……?」
「……三獣士だか、三バカトリオだか、知らねぇけどよぉ??」
水の魔人「なるほど……他にも仲間がいたようだな……」
雷の魔人「我々の攻撃から、あの小娘を抱え……寸前で避けたというワケか……」
風の魔人「なかなか出来る奴のようだな……」
男戦士「俺の部下に手ぇ出すとはいい根性してるじゃねぇかっ! てめぇら、覚悟は出来てるんだろなっ!?」
691:
女僧侶「男戦士さんっ!」
男戦士「よぉ、 一年生? 久しぶりだな?」
女僧侶「どうしてここに……!?」
男戦士「おめぇらが頑張ってるって、噂聞いてよぉ? ちっと様子見に来ようと思ったら……まさか、魔王城に乗り込んでるとはなぁ?」
女僧侶「助けに来てくださったんですね!?」
男戦士「俺だけじゃねぇみてぇだぞ……? なぁ?んか、おめぇらの知り合いって奴……いっぱい来てるぞ?」
女僧侶「……えっ?」
女商人「女僧侶さんっ! 大丈夫ですかっ! 今、手当をしますっ! 動かないで下さいっ!」
女僧侶「女商人さんっ!?」
女商人「私は女僧侶さんの手当をしますので……皆さんは、奴らの相手をお願いしますっ!」
女僧侶「……皆さん?」
693:
男賢者「やぁ、女僧侶ちゃん? 久しぶりだね?」ニコッ
男魔法使い「それじゃあ、私達は……あの青い奴を相手にしようか……?」
女僧侶「男賢者さんっ! 男魔法使いさんっ!
女勇者「約束通り、怪我治して助けに来たわよ? 間一髪って所だったみたいね?」
男盗賊「じゃあ、怪我人コンビは仲良く黄色い奴という事で……お姉さん、よろしくお願いします……」
女僧侶「勇者さんのお姉さんっ! 男盗賊さんもっ!」
男武道家「……という事は、僕と男戦士君で緑の奴って事だね? いやぁ?、男戦士君、久しぶりだねぇ? よろしくね?」
男戦士「こいつとかよ……俺がババ引いちまったよ……」
女僧侶「男武道家さんまでっ!」
694:
水の魔人「ひー……ふー……みー……8人か……」
雷の魔人「ふん……雑魚が何匹集まろうと、我ら魔人三獣士の敵ではないわっ!」
風の魔人「ちっぽけな人間は……我らに支配されるだけの存在だという事を……その身を持って思い知らせてくれるっ!」
水の魔人「……いくぞっ! お前達っ!」
雷の魔人「人間よっ! 我ら力を思いしれっ!」
風の魔人「うおおぉぉっ!」
701:
男賢者「くらえっ! 僕の魔力を見せてやるっ!」
水の魔人「……フン」
男賢者「正しい力の使い方……力を見せるのは……今、この瞬間だっ! うおおぉぉっ!」
水の魔人「バカめっ! 貴様ら魔導師の弱点は、その呪文詠唱の時だっ!」
男賢者「うおおぉぉっ! フルチャージだっ……!」ギリギリ
水の魔人「そう安々と撃たせてたまるものかっ! 隙だらけだぞっ! 死ねぇっ!」ドヒューンッ
男賢者「!」
カキンッ
水の魔人「……何っ!? 弾かれただと!? どういう事だ?」
男魔法使い「……あのねぇ、君? 魔導師の弱点が、呪文詠唱のタイムラグにあるなんて、重々承知だよ?」
水の魔人「……貴様っ!?」
男魔法使い「伊達に歳とってるワケじゃないよ、私は? それをカバーする方法なんて、いくらでもあるよ?」
702:
水の魔人「くそっ……! すでに結界魔法を張っていたかっ……!」
男魔法使い「うちの息子は私に似て優秀だからね。 攻撃は彼、一人にやってもらう事にしてるの」
水の魔人「……くっ!」
男魔法使い「そして、その弱点を補うのが……親である、私の仕事……ウチの方針です」
水の魔人「ならばっ……! 直接、奴を叩いてやるっ! うおおぉぉっ!」
男魔法使い「おっと! そうはさせないよっ!」
水の魔人「……ぬ?」
男魔法使い「私だって、一応攻撃魔法は使えるんだよ? はぁっ! たぁっ!」
ヒュンヒュン……ヒュンヒュン……
水の魔人「くっ……! これは……! 魔力の矢が大量に……」
男魔法使い「どう? 威力は弱いけど、出が早い優れた魔法でしょ? 男賢者にはいつもバカにされちゃうんだけどね?」
水の魔人「くっ……! くそぉ! 鬱陶しいぞ、人間風情がぁっ!」
703:
男魔法使い「鬱陶しくて結構です。これが私の仕事ですから」
水の魔人「くっ……! くそっ……!」ギロリ
男魔法使い「おっと……私を睨んでくれるのはありがたい事だねぇ?」
水の魔人「……何?」
男魔法使い「だって、さ……? ほら?」
男賢者「……よしっ! 魔力が溜まったぞっ!」
水の魔人「し、しまったっ……!」
男賢者「うおおぉぉっ! くらええぇぇっ!」
ドヒューンッ
水の魔人「う、うわああぁぁっ!」
男賢者「父さんっ! やりましたよっ! とどめに合体魔法を撃ちましょうっ!」
男魔法使い「…… 力は私に合わせてね? 私、君の力ついていけないからさ?」
704:
雷の魔人「おらっ! うらぁっ! くらえっ!」
男盗賊「おっと……よっ……ほっ……」
雷の魔人「くそっ! すばしっこい奴め……」
男盗賊「こっちはよぉ? ガキの頃から、エロ本盗んで毎日道具屋のおっさんと鬼ごっこしてたんだよ!?」
雷の魔人「うおおっ! くらえっ! おらっ!」
男盗賊「そんな、遅ぇ攻撃なんて擦りもしねぇよっ! ほらほら? 魔法でも撃ってこいよ、バーカっ!」
雷の魔人「ならば望み通り、魔法で貴様を始末してやるとしよう……うおおぉぉっ! くらえっ!」
ズドーンッ
男盗賊「う、うおっ……! あ、危ねぇっ……」アセアセ
雷の魔人「貴様、魔法攻撃には慣れていなみたいだな……次の攻撃……避けれるかな……?」
男盗賊「確かに……道具屋のおっさんは魔法攻撃使わなかったからなぁ……でも、姉さんっ! 雷は出来ましたよっ!」
雷の魔人「……ぬ?」
705:
女勇者「悪ガキ小僧だった癖に……あんた、やるようになったじゃない……?」
男盗賊「へへ……ありがとうございます……じゃあ、後は任せますんで……」
女勇者「ええ……私も、あの子や父さんに負けてられないから……」
雷の魔人「次は女か……?」
女勇者「……ありがとね?」
雷の魔人「……はぁ?」
女勇者「私……まだ、雷の魔法が使えないから……貴方に作ってもらわないと、出来そうにないから……」
バチバチ……バチバチ……
女勇者「この雷を切り裂くのが……勇者一族の必殺技よ?」
雷の魔人「!」
706:
女勇者「はああぁぁぁっ!」
雷の魔人「し、しまったっ……! こいつら……最初から、私の魔法を利用する気で……」
女勇者「父さん……いつかは、私一人できるようになってみせるからっ!」
雷の魔人「……ぐっ!」
女勇者「今はまだ未完成だけど……お願いっ! 私に力を貸してっ!」
雷の魔人「!」
女勇者「はああぁぁっ! ギガスラッシュ!」
ズバーンッ
雷の魔人「……ぐ、ぐぐっ」
女勇者「よしっ! とどめよっ! 悪ガキ小僧、あんたも手伝いなさいっ!」
男盗賊「もう、悪ガキって歳でもねぇんですけどね……俺、もう足洗いましたしさぁ……?」
707:
男武道家「ほっ! たっ! とっ!」
風の魔人「……ぬんっ! 甘いわっ!」
男武道家「……くっ!」
風の魔人「うおおっ! だぁっ! たぁっ!」
男武道家「う、うおっと……君、凄いねぇ……? 強いねぇ……?」
風の魔人「ふん……人間風情に褒められても、嬉しくないわ……」
男武道家「……ねぇねぇ? ちょっと、話があるんだけどさ? 聞いてくれない?」ヒソヒソ
風の魔人「戦いの最中に小声でどうした? まさか、我ら魔王軍に寝返りたいのか、貴様?」
男武道家「……あのねあのね? ちょっとさぁ? 『イナカモン』って言って見てくれないかな? お願いっ!」ヒソヒソ
風の魔人「……イナカモン? なんだ、それは?」
男戦士「……あぁ?」ギロリ
風の魔人「……ぬ?」
男武道家「よしっ!」
708:
男戦士「おい……おめぇ……今、俺の事イナカモンってバカにしただろ?」ワナワナ
風の魔人「えっ……えっ……?」
男戦士「言ったよな? 確かに聞こえたぞ、おいっ! おめぇ、俺の事イナカモンってバカにしただろ?」
風の魔人「ま、待て……! ど、どういう事だ……」
男戦士「俺の事田舎者ってバカにするヤツはよぉ?、例え魔物でも魔王でも許さんよぉ?!」シクシク
風の魔人「待てっ……! 私には何のことやら……」
男戦士「栃木はよぉ?! 田舎なんかじゃねぇよぉ?! うおおおぉぉぉっ!」シクシク
風の魔人「待てっ! 落ち着けっ! 話をしようっ! 話せばわかるっ!」
709:
男戦士「うおぉぉ! うるぁっ! おらぁっ!」ガシガシ
風の魔人「ぐっ……こいつ、早っ……! ぐっ……!」
男戦士「なんで皆、俺の事田舎者ってバカにするんだよぉ?、俺は田舎者なんかじゃねぇよぉ?!」シクシク
風の魔人「ぐっ……! ガッ……! くそっ……!」
男戦士「だいたいよぉ?? この魔王城だって、結構な田舎じゃねぇかよぉ?? なんで、そんな奴が俺の事田舎者ってバカにするんだよぉ??」シクシク
風の魔人「ぐっ……ぐっ……! こいつ、強いっ……!」
男戦士「てめぇの事、棚にあげて俺の事バカにしてんじゃねぇぞっ! うおおおぉぉっ!」
風の魔人「!」
ズバーンッ
男武道家「いや?、彼と組むと楽出来るからいいねぇっ! あのイナカモン、使えるなぁ?!」ニヤニヤ
男戦士「栃木の事バカにしてんじゃねぇぞゴルァッ! とどめだ、くらえっ!」
710:
女僧侶「皆、凄い……私も何かサポートしないと……」
女商人「女僧侶さんっ! だったら、この魔法薬を使ってみて下さいっ!」
女僧侶「……これは?」
女商人「いい商品が手に入ったんですよ! 一時的にですが……魔力を増強させる事が出来るそうですっ!」
女僧侶「!」
女商人「私は皆さんに助けられたから……こんなに、いい商品を仕入れる事が出来ましたっ! だから、今度は私が皆さんを助ける番ですっ!」
女僧侶「女商人さん……」
女商人「女僧侶さんっ! これを使って下さいっ!」
女僧侶「わかりましたっ……! ありがたく使わせて頂きますっ……!」
711:
女僧侶「……こ、これは」
女商人「あ、あれ……? ひょっとして……また、ダメな商品だったのでしょうか……?」
女僧侶「い、いえ……違います……その逆です……」
女商人「……逆?」
女僧侶「身体中から……魔力が溢れてくる……これなら……これならっ!」
女商人「!」
女僧侶「よしっ! 私だって……はああぁぁっ!」
712:
女僧侶「たああぁっ!」
水の魔人「……ぐっ! 何っ!?」
雷の魔人「くっ……動けんっ……!」
風の魔人「あの女っ……! 我々三人の動きを完全に封じているぞっ……!」
女僧侶「皆さんっ! 奴らの動きは完全に封じましたっ!」
女商人「今ですっ! とどめをお願いしますっ!」
水の魔人「!」
雷の魔人「!」
風の魔人「!」
713:
男賢者「うおおおぉぉっ! 父さん、行きますよっ!」
男魔法使い「あぁ! 私達の力を見せてやろうっ! いくよっ!」
水の魔人「!」
女勇者「悪ガキ小僧っ! あんたも手伝いなさいっ! いくわよっ!」
男盗賊「 俺だって胸張れる人生歩みたいから……やってやりますよっ! いきますっ!」
雷の魔人「!」
男戦士「だから、俺は田舎者じゃねぇって言ってんだろがぁ?! うおおおぉぉっ!」
男武道家「美味しい所は僕も参加しよう……美味しい所は……たああぁぁっ!」
風の魔人「!」
女商人「やったっ! 皆さんの攻撃で……やりましたよっ! 女僧侶さんっ!」
女僧侶「皆さん……本当に……本当に……ありがとうございますっ……!」
718:
ーーーーー
女僧侶「皆さんのおかげで、魔人三獣士を倒す事が出来ましたっ! 本当にありがとうございますっ!」
男戦士「なぁ?に、お前らが先陣切って乗り込んでくれたおかげで、俺達もここまで来れたんだ。 気にすんなや」
女勇者「……ところで、女僧侶ちゃん?」
女僧侶「?」
男戦士「おめぇら、人数が足りないんじゃねぇか?」
女勇者「そうよ……あの子……勇者はどうしたの? それに、天童さんも」
女僧侶「あっ、そうだっ! 実は勇者さんと天童さん……落とし穴に落ちて……はぐれてしまったんですっ!」
男戦士「なぁ?にをやってるんだ……あいつらは……」
女勇者「落とし穴って……昔からあの子、抜けてる所あるのよね……なんで、こんな時にそんなヘマしちゃうのかしら……」
719:
男戦士「まぁ、あいつらはもう放っておくか……下手に探して……こっちまで、迷子になるってのはゴメンだしね……」
女勇者「そうですね。先程のような強さを持った魔物は、おそらくもういないでしょうし……」
女僧侶「……えっ?」
男戦士「まっ……一応、俺達が進んだ場所がわかるように、道標でも壁に掘っておいてやるか……」ガリガリ
女勇者「うちの弟が本当に……御迷惑をかけます……」
女僧侶「ちょっと……ちょっと、男戦士さん……? 女勇者さん?」
男戦士「え?っと……早く合流しろバカ……皆待ってるぞ……男戦士っと……」ガリガリ
女勇者「お姉ちゃんに……恥をかかせないで……(笑)……っと……」ガリガリ
女僧侶「勇者さんの事、探しに行かないんですかっ!?」
720:
男戦士「心配するなって、あいつはきっと大丈夫だよ。あいつは大丈夫」
女勇者「私の誇りの弟だもの。こんな所で死ぬような子じゃないわ、あの子は」
女僧侶「……えっ?」
男戦士「あいつは根性あるからよぉ? きっと、今頃戻ってくる為に走り回ってんだろ」
女勇者「女僧侶ちゃんも、そう思うんじゃないの?」
女僧侶「……はい。勇者さんは、きっと大丈夫だと思います」
男戦士「それよりも……今から魔王と戦うんだ、俺達は……さっきの騒動を知った雑魚達に、守りを固められる方が厄介だ……」
女勇者「このチャンス……絶対に逃してはいけない……だから、私達は魔王の元に行きましょう?」
女僧侶「……」
男戦士「……大丈夫だよ、必ずアイツは来るって。もう一年生じゃねぇんだ」
女勇者「あの子ならきっとやってくれるわよ……信じましょう? 女僧侶ちゃん?」
女僧侶「……わかりました。 勇者さん、必ず戻って来て下さいっ!」
男戦士「よしっ! 皆、魔王がいるのはおそらく、この先だっ! 雑魚に守りを固められる前に、こっちから乗り込むぞっ!」
721:
ーーーーー
魔王「……魔人四天王がやられたか」
魔王「兵は怖気づき……士気も下がっておる……困ったものだ……」
魔王「……」
魔王「やはり……私自らが動かねばならぬようだな……」
魔王「……」
ギイィィィッ
魔王「……来たか。人間よ」
722:
男戦士「……お前が大将か?」
女勇者「父さんっ……!」
男賢者「とても強い……邪悪な力を感じますっ……! 皆さん、気をつけて下さいっ……!」
男魔法使い「……あぁ、油断大敵だね、こりゃ」
男盗賊「おめぇのせいでよぉ! 家族を失った人間が沢山生まれたんだっ!」
女商人「苦しんでいる人……悲しんでいる人……そんな人をもう、二度と出さない為にもっ……!」
男武道家「これだけ人数がいれば、誰かがやってくれるでしょ。 うん、誰かが。 僕じゃない誰かが」
魔王「さぁ! 人間よっ! かかってこいっ! この魔王……三度土はちけられんぞっ!」
女僧侶「勇者さんっ……! 待ってますっ……! 私、待ってますからっ……!」
723:
ーーーーー
勇者「……ん? なんだこりゃ?」
天童「ん、勇者? どうしたんだ?」
勇者「お、おいっ! 天童見ろよっ!? そこに、魔人の死体三つが転がってるぜ!?」
天童「お、おぉっ! これが噂の魔人三獣士って奴かっ!」
勇者「女僧侶ちゃんが一人で倒したのかな、コレ……?」
天童「う?ん……どうなんだろね……? ん……?」
勇者「……ん、天童? どうしたんだ?」
天童「おい、勇者……この壁に掘られてる文字、読んでみろよ……?」
724:
勇者「『このラクガキを見て後ろを振り返った時、お前は死ぬ』とか書いてるんじゃねぇだろなぁ? 怖ぇよ、おい」
天童「バカっ! おめぇは何のアニメの話をしてるんだっ! この物語には不細工な黒人と生意気な犬は登場してねぇだろがっ!」
勇者「え?っと……ん、何だコレ? 早く合流しろバカ……皆待ってるぞ……?」
天童「……」
勇者「……男戦士!?」
天童「男戦士さんが書いたんだっ! 男戦士さん来てくれたんだよっ! それに、こっちにもあるぞっ!?」
勇者「お姉ちゃんに恥をかかせないで(笑)……これは、姉ちゃんだっ! 姉ちゃんも来てくれたのかっ!」
天童「まだあるぞっ! 勇者っ!」
勇者「男賢者……男魔法使い……男盗賊……女商人……う?ん、最後のは字が汚くて、何て書いてあるかわかんねぇや……」
天童「皆、来てくれたんだよっ! 皆がよぉっ!」
725:
勇者「……という事は!」
天童「あぁっ!」
勇者「この書いてある、道標の先に……皆や女僧侶ちゃんがいるって事かっ!」
天童「そうだっ! 皆、助けに来てくれたんだよっ!」
勇者「皆……皆っ……!」
天童「よしっ! 勇者っ! 早く皆と合流するぞっ! 道標の方に進むんだっ!」
勇者「あぁっ!」
天童「これだけ人数がいるんだっ! もう、魔王なんて怖くねぇだろ!? なぁ!?」
勇者「あぁっ! そうだねっ! 行こうっ! 天童っ!」
726:
ーーーーー
勇者「この大きな扉……」
天童「あぁ、この扉だけ雰囲気が違うな……おそらく、魔王がいるのはこの先だっ……!」
勇者「魔王……」
天童「勇者ァ! ビビってんじゃねぇぞっ! 中ではもう、皆がドンパチやってるんだからよぉっ!」
勇者「ビビってなんかないよ……これで……これで、終わりなんだからっ……!」
天童「よしっ! じゃあ、途中参加だけど、いい所見せる為に俺達も暴れまくろうぜっ! 行くぞ、勇者ァ!」
勇者「あぁっ! 行くぞっ! 天童っ!」
ギイイィィッ
727:
勇者「皆っ!」
男戦士「うっ……くっ……」
女勇者「ううっ……」
男賢者「く、くっ……」
男魔法使い「くそっ……」
男盗賊「や、やべぇ……」
女商人「……こいつ」
男武道家「……強い」
女僧侶「勇者……さんっ……!」
勇者「……えっ?」
魔王「来たか……勇者の息子よ……お前もその仲間と同じようにしてやろう……」
728:
PM4:00
タイムリミットまで後、1時間
732:
魔王「さぁ……剣を抜け、勇者よ……貴様とは一対一の戦いをしてみるのも悪くないだろう……」
勇者「……えっ?」
魔王「私は一度、貴様の父親に土をつけられた……だが、その父親も私自らの手によって、葬り去ったがね……」
勇者「……ぐっ!」
魔王「これで……勇者と呼ばれる者とは一勝一敗というわけだ……」
勇者「……」
魔王「お前の仲間はもう虫の息だ……父親の復讐の為……一人でかかってくるがよい……勇者よ……」
勇者「……」
魔王「そして、私は貴様を葬り去り、魔王としての威厳を取り戻してくれるわっ!」
733:
天童「おいっ! 勇者ァ! バカ正直に挑発に乗るんじゃねぇぞっ!」
魔王「……ぬ?」
天童「こんだけ人数がいるんだっ! わざわざタイマン勝負なんてする必要はねぇよ! 皆で袋にしちまえばいいんだよっ!」
魔王「……その、死にかけの連中と共にか?」
天童「これが人間のやり方なんだよっ! 魔王さんよぉっ! 一人じゃできない事は……皆で力を合わせてやればいいんだよぉっ!」
魔王「……臆病者め。 父親は勇者に一人でこの魔王に向かって来たというのにな」
天童「なんとでも言えっ! こんにゃろっ! 皆っ! コイツを袋にしちまおうぜっ!」
魔王「では……その死にかけの連中から、始末してみようとするかな……?」
勇者「待てっ!」
734:
勇者「一対一でやってやるよ……だから……皆には手を出すな……」
魔王「……ほう」
天童「おいっ! 勇者ァ! 相手は魔王なんだぞっ! 皆で協力してよぉ……!」
勇者「……なぁ、天童?」
天童「……あぁ?」
勇者「皆はもう……無理だよ……」
天童「……」
勇者「ほら……? 皆、もうボロボロじゃないか? 俺達が来る前に……皆はもう、頑張ったんだよ」
天童「そうだけどよぉ……!」
勇者「ここが……俺の人生の集大成なんじゃないかな……?」
天童「……あぁ?」
735:
勇者「俺が何もしてなかった時……皆は、ずっと頑張ってたんだ……」
天童「……」
勇者「それは、今日だけの事じゃない……今までも……ずっとずっと、そうだったんだ……」
天童「……」
勇者「だけど、俺はその遅れて来た分を取り戻す為に……頑張ってきた……」
天童「……」
勇者「だから今日も……同じように、遅れてきた分を取り戻さなきゃいけない……皆に、もう甘えてられないよ」
天童「……勇者」
勇者「大丈夫だってっ! おめぇがさぁ? そんなしみったれた顔するなって! 調子狂うじゃねぇかっ!」
天童「!」
勇者「今まで……俺はやってこれたんだ……だから、今回だって……! 相手が魔王だろうと、やってみせるよ俺はっ!」
天童「勇者っ……!」
勇者「天童は皆の手当をしてくれ……」
天童「チッ……わかったよ……」
勇者「俺は……奴を倒すっ……!」
天童「おいっ! 勇者ァ! 絶対っ……! 勝てよっ!」
736:
勇者「うおおぉぉっ! 行くぞっ! 魔王っ!」
魔王「来いっ! 勇者よっ!」
勇者「だああぁぁっ!」
魔王「うおおおぉぉっ!」
ガシッ
勇者「うっ……くっ、くっ……!」
魔王「ほ?う……? お前は先程までの雑魚とは違うようだな……?」
勇者「そんな事ねぇよ……俺と皆は……何も変わらねぇよっ……!」
魔王「だがっ……! この魔王に挑むにはまだ、早かったようだなっ!? うおおおぉぉっ!」
勇者「……ぐっ!」
魔王「くらえっ! 勇者よっ!」
勇者「!」
ドゴォォッ
737:
勇者「……ぐ、ぐぐっ!」
天童「勇者っ! 油断してんじゃねぇっ!」
勇者「……えっ?」
天童「上だっ! 上から来てんぞっ!」
勇者「し、しまった……!」
魔王「うおおおぉぉっ! くらええぇぇっ!」ドゴォォッ
勇者「う、うおっ……危ねっ……」ヨロヨロ
魔王「甘いっ……! 逃すかっ!」
勇者「何っ!?」
魔王「くらええぇぇっ!」
勇者「!」
ドゴオオォォ
738:
勇者「ぐっ……! くそっ!」
魔王「はああぁぁっ!」
勇者「こいつ……一撃一撃が重いっ……! それに……早いっ!」
魔王「くらえっ!」
勇者「!」
魔王「吹き飛べっ! 勇者よっ! うおおおぉぉっ!」
ドゴオオォォ
勇者「ぐ、ぐわああぁぁっっ!」
魔王「まだだっ! まだ、眠るには早いぞっ! 勇者っ!」ダッ
天童「やばいっ! このままじゃ、壁に叩きつけられちまうっ! それに、魔王も追って来てるぞっ! 勇者ァ!」
739:
勇者「だけどっ……! お前に吹き飛ばされたおかげで魔法を使うチャンスが出来たぞっ! 魔王っ!」
魔王「ほ?う……吹き飛ばされながらも、呪文詠唱をするというわけか……」
勇者「……うおおおぉぉっ!」
魔王「だが……出来るかな? ほら、もう壁に叩きつけられるぞ? その前に呪文詠唱が出来るかな?」
勇者「やってやるよっ……! うおおおぉぉっ! ギガデイン!」
ドゴーンッ
勇者「……がっ!」ビターンッ
740:
天童「おい、勇者っ! 大丈夫かっ!?」
勇者「へへ……一発、いいの入れれたんだから……これくらいの痛み……なんともねぇよ……」ヨロヨロ
天童「無茶してんじゃねぇよっ……!」
勇者「大丈夫だってこれくらい……ん……?」
天童「あれ、勇者? どうした……?」
魔王「……これが、お前の攻撃か?」
勇者「嘘……だろ……?」
天童「アイツ……効いてねぇっ……!」
741:
魔王「お前の父は……もう少し、まともな術だった気がするが……」
勇者「くっ……! ま、まだだっ……!」
魔王「……ん?」
勇者「あの雷を切り裂けば……!」ダッ
魔王「……」
勇者「うおおおぉぉっ! ギガスラッシュ!」
ズバーンッ
勇者「ど、どうだっ……!? 今度こそは……!」
742:
魔王「……お前は、何がしたいのだ?」
勇者「ま、まただっ……! こいつ……効いてねぇっ……!」
魔王「まさか……それで本気というワケじゃあるまいだろうな……?」
勇者「く、くそっ……! ど、どうなってるんだ!」
魔王「本気でかかってこいと言っておるのだっ! あまり、私を怒らせるなよっ! 勇者ァっ!」
勇者「く、くそっ……! うおおおぉぉっ!」
743:
勇者「うおっ!」
魔王「……」
勇者「だぁっ!」
魔王「……」
勇者「うっ……! く、くそっ……!」
魔王「……どうした?」
勇者「くっ……! 諦めて……たまるかよっ……! うおおぉぉっ!」
魔王「こんな物か……やはり……私が負けたのは……」
勇者「くそっ! くそっ! 負けてたまるかよっ! うおおおぉぉっ!」
魔王「……もういいっ!」バキッ
勇者「……ぐ、ぐああぁっ!」
744:
勇者「く、くそっ……!」
魔王「もういい……」
勇者「……うっ!」
魔王「所詮、人間風情と言った所か……これで、とどめにしてやる……」
勇者「!」
魔王「……死ねっ!」
天童「うおおおぉぉっ!」
勇者「天童っ!?」
天童「背後がお留守ですよ、魔王さ?んっ! くらいやがれっ!」バキッ
745:
天童「俺の事を忘れちゃいけねぇよっ! 俺の事をよぉっ! おらぁっ!」
勇者「て、天童……」
天童「タイマン勝負って決めたのは、おめぇら二人だろ? 俺はそんな事、聞いちゃいねぇなぁ……ほれほれっ!」バキッ
勇者「お、おいっ! 天童……!」
天童「うるせぇっ! 勇者ァ! バカな意地張ってんじゃねぇよっ! おめぇ、情けなくて見てられねぇよっ! おらぁっ!」
勇者「い、いや……天童……そうじゃなくて……」
天童「おらおらっ! 天童100連打だっ! はい、ご?ぉっ! ろ?くっ! ん……?」
魔王「……」
天童「あ、あれ……? ひょっとして……全然効いてないのかしら……?」
勇者「おめぇが助けにきてくれたのは、凄ぇありがたいんだけどさぁ……? おめぇ、ちっとヤバくねぇか?」
746:
魔王「……そんなものか?」
天童「えっ……いやぁ……後、90発ぐらいあるんですけどねぇ……」アセアセ
魔王「私は、それほど暇ではない……ふんっ!」バキッ
天童「!」
勇者「おいっ! 天童っ! 大丈夫かっ!」
天童「ううっ……く、くそっ……!」
勇者「おいっ! 一対一の勝負って言っただろがっ! こいつに手を出してるんじゃねぇよっ!」
魔王「……割り込んできたのはコイツの方じゃないか」
勇者「うるせぇっ! くらえっ!」
747:
勇者「うるああぁぁっ!」
魔王「……ふんっ!」
勇者「くそっ……! 負けて……負けてたまるかよっ……!」
魔王「……うおおおぉぉっ!」ドゴオオォォ
勇者「ぐ、ぐはあっ……! くそっ……! うおおぉぉっ!」
魔王「……しつこいな」
勇者「くそっ……! くそっ……! なんで……なんで効かねぇんだっ……!」
魔王「うおおおぉぉっ!」
勇者「!」
ドゴオオォォ
748:
PM4:30
タイムリミットまで後、30分
753:
勇者「ぐっ……! うわああぁぁっ!」
男戦士「……勇者ァっ! 危ねぇっ! 壁に叩きつけられちまうぞっ!」ガシッ
勇者「……えっ!?」
男戦士「はぁっ……はぁっ……くそっ、大丈夫か? 勇者?」
勇者「男戦士さんっ! 男戦士さんこそ、大丈夫なんですか!?」
男戦士「あぁ……おめぇのおかげで、休憩出来たからよぉ……ここからは……俺達も手伝うぜ……」
勇者「……えっ?」
男武道家「よしっ! 皆っ! 僕達も行くぞっ!」
男盗賊「わかってますよっ……! 皆の力を合わせて……あいつを倒すんだっ……!」
女勇者「勇者……お姉ちゃんも……頑張るからね……? あんたも……まだ、倒れちゃダメよ……?」
魔王「……ふん」
754:
男賢者「僕達は……後方から……魔法で支援しますっ……! 父さんっ……! 行きますよっ……!」
男魔法使い「あぁっ! わかってるよっ……! 男賢者っ……!」
勇者「皆っ……! 皆、傷ついてるはずなのに……」
女商人「勇者さんと、天童さんは一度、引いて下さいっ!」
女僧侶「私達が、治療しますっ! さぁ、早くっ!」
勇者「女僧侶ちゃん……」
天童「女商人さん……」
755:
男戦士「次は俺達だっ! くらえっ! 魔王っ!」
魔王「……ふん」
男武道家「これだけの人数で攻撃したら……いくら魔王といえども……だあぁっ!」
魔王「ゴミが集まった所で……世界を支配する私になどは効かぬわ……」
男盗賊「そんなもん、やってみなくちゃわかんねぇだろがっ! うおおぉぉっ!」
魔王「……ふん」
女勇者「はああぁぁっ! 喰らいなさいっ!」
魔王「甘いっ! 甘いわっ! うおおおぉぉぉっ!」
男戦士「!」
男武道家「!」
男盗賊「!」
女勇者「!」
魔王「纏めて死ねえぇっ! 虫ケラ共っ!」スギャーンッ
756:
男戦士「……う、うわあぁぁっ!」
男武道家「……ぐっ!」
男盗賊「……くそっ!」
女勇者「まだよ……皆……諦めちゃいけないわ……」
魔王「……ふん」
男賢者「うおおおぉぉっ! 今だっ! 父さん、行きますよ……!」
男魔法使い「あぁっ! 私達の合体魔法で……くらえっ……!」
ゴオオォォッ
魔王「……うおおぉぉっ!」
757:
男賢者「あ、あいつ……」
男魔法使い「我々の合体魔法を……受けとめているよ……」
魔王「……これが、合体魔法だと? 魔王も舐められたものだな」
男賢者「くっ……!」
男魔法使い「こ、こいつ……!」
魔王「うおおおぉぉっ! こんなもの……弾き返してくれるわっ……!」
男賢者「……何っ!」
男魔法使い「やばいっ……! 早く、結界魔法を……」
魔王「させるかっ! 自らの魔法で死ねぇっ! だああぁぁっ!」
男賢者「!」
男魔法使い「!」
ゴオオォォッ
勇者「……く、くそっ!」
758:
男賢者「……ぐっ」
男魔法使い「うっ……ううっ……」
魔王「ふん……愚かな……」
勇者「くそっ! 女僧侶ちゃんっ! 女商人さんっ! 俺達の回復はもういいからっ!」
女僧侶「……えっ?」
天童「皆の回復をしてやってくれっ! 俺達はもう大丈夫だっ!」
女商人「で、でも……お二人はまだ、ダメージが……」
勇者「皆のダメージの方が深刻だよっ! 今は……動ける人間が動かなきゃ……!」
天童「こん中じゃ、俺達がまだ一番軽傷ばいっ! 勇者ァ! 行くぞっ!」
759:
勇者「魔王っ! 選手交代だっ! 次は俺達の番だっ!」
魔王「……勇者よ?」
勇者「何だよ……?」
魔王「お前にプライドはないのか……?」
勇者「……あぁ?」
魔王「私との一対一の勝負は何処に行ったんだ……?」
勇者「……そんなもん、知らねぇよ。 それに、俺にプライドなんて最初からねぇよ」
魔王「……何?」
勇者「皆で協力する事の……何が悪いんだよ? 一人一人の力は弱くても……こうやって協力してればよぉ……?」
魔王「……」
勇者「それは大きな力に変わるだろっ! お前を倒すだけのなぁ! うおおおぉぉっ!」
魔王「……虫ケラが力を合わせた所で、この魔王には勝てんわっ! うおおおぉぉっ!」
760:
勇者「うらああぁぁっ!」
魔王「……ふんっ!」
勇者「くそっ……! くそっ……! うおおぉぉっ!」
魔王「人間ごときに力では……この私には勝てんわっ!」
勇者「父さんに一度負けた癖によぉ……? 偉そうに言ってんじゃねぇぞっ! うおおぉぉっ!」
魔王「……甘いっ! うおおぉぉっ!」ドゴオォォッ
勇者「……ぐわあぁぁ!」
魔王「……勇者よ? 勘違いしているようだから、一つ言っておこう」
勇者「……あぁ?」
魔王「今日の貴様達を見て……確信をした……私は貴様の父に負けたのではない……」
勇者「……何、言ってんだ?」
魔王「貴様の父がこの私に勝てたのは……『禁呪』を使ったからだ……私は人間に負けたのではない……『禁呪』に負けたのだ……」
勇者「……禁呪?」
761:
魔王「まぁ、お前の父は……使いこなす事が出来ず……私を完全に倒す事は出来なかったようだがね……」
勇者「……」
魔王「愚かな人間共には使いこなす事ができん……古の魔法だ……」
勇者「……だったらよぉ?」
魔王「……ん?」
勇者「俺がその魔法使いこなせれば……おめぇ、倒せる可能性があるって事だな?」
魔王「出来るのか……? お前に出来るのか……? 勇者よ……?」
勇者「やってやるよっ……! うおおおぉぉっ!」
763:
天童「勇者っ! 落ち着けっ! 挑発に乗るんじゃねぇっ!」
勇者「天童!? なんで、止めるんだよっ!」
天童「その魔法だけは使っちゃいけねぇんだっ! おめぇには無理だよっ!」
勇者「無理無理って、勝手に決めてるんじゃねぇよっ! やってみなくちゃわかんねぇじゃねぇかっ!」
天童「いいから、落ち着けっ! まだ、15分あるっ!」
勇者「……ん?」
天童「おめぇ、さっき言ってたじゃねぇかよ……小さな力でも……皆で協力すれば大きな力になるって……」
勇者「……」
天童「おめぇ一人で、そんな大きな力を使う事はねぇよ! 皆で協力すればいいじゃねぇかっ!」
勇者「……でも」
天童「『でも』じゃねぇっ! とにかく地道にコツコツやるしかねぇんだっ! わかったなっ!?」
勇者「……なんで、そんなに止めるんだよぉ?」
天童「余計な事言ってるんじゃねぇっ! いいから、今は皆で力を合わせて戦うんだっ! 行くぞっ!」
勇者「……くそっ、わかったよ」
764:
天童「うおおおぉぉっ! 行くぞっ!」
魔王「……ふんっ!」
天童「くそっ! 何やってるんだ、勇者ァ! おめぇも手伝えっ!」
勇者「う、うん……わかった……うおおおぉぉっ!」
魔王「……ふんっ!」
勇者「く、くそっ……!」
魔王「うおおおぉぉっ! くらえっ!」
天童「!」
勇者「!」
ドゴオォォッ
765:
勇者「ぐっ……」
天童「く、くそっ……」
魔王「……ふん」
男戦士「はぁっ……はぁっ……おい、お前らは下がれ……」
男武道家「次は僕達が行くよ……下がって回復してもらいなよ……」
勇者「二人共……もうボロボロじゃないですか……!?」
男戦士「……おめぇらよりかはマシだよ。 行くぞ、男武道家よぉ!」
男武道家「あぁ……必ず……奴を倒してみせるっ……!」
766:
男戦士「うおおおぉぉっ! くらえっ!」
男武道家「だあぁっ!」
魔王「甘いわっ! うおおおぉぉっ!」
男戦士「ぐっ……!
男武道家「うっ……ううっ……」
男盗賊「二人は下がって下さいっ! 姉さんっ! 行きましょうっ!」
女勇者「行くわよっ! たああぁぁっ!」
魔王「……ふん」
767:
魔王「うおおおぉぉっ!」
男盗賊「!」
女勇者「!」
勇者「男盗賊っ……! 姉ちゃんっ……!」
男賢者「父さん……僕達も行きましょう……!」
男魔法使い「あぁ……! やってやるよっ! うおおおぉぉっ!」
魔王「何度やっても同じだぁっ! 弾き返してくれるっ!」
男賢者「!」
男魔法使い「!」
勇者「くそっ……! くそっ……! 皆……皆……!」
768:
男戦士「……くそっ」
男武道家「う、うぅ……」
男盗賊「ちくしょう……」
女勇者「くっ……勝てない……」
男賢者「……こいつ」
男魔法使い「……なんて奴だ」
魔王「……ふん、そろそろ纏めて始末してやるか」
勇者「うおおぉぉっ! させてたまるかああぁっ!」
女商人「……勇者さんっ!?」
女僧侶「ダメですっ……! 勇者さん、まだ回復が不十分ですっ!」
769:
勇者「うおおおぉぉっ!」
魔王「はぁっ!」
勇者「……ぐっ!」
魔王「何度やっても同じ事よっ!」
勇者「くそっ……! 負けて……負けてたまるかよっ……!」
魔王「うおおおぉぉっ!」
勇者「!」
魔王「はああぁぁぁっ!」ドゴオオォォッ
勇者「ぐっ……くそっ……こうなったら……」
770:
魔王「さぁ……とどめだ……」
勇者(まだ……まだ、勝てる可能性はある……)
魔王「……纏めて死ぬがいい」
勇者(今までだって……なんとかやってきたんだ……)
魔王「うおおおぉぉっ!」
勇者(だから……今回だって……きっとっ……!)
ゴオオォォォッ
勇者「うおおおぉぉっ!」
771:
男戦士「……ぐっ」
男武道家「……くそっ!」
勇者「えっと……ええっと……マダムヤン?……ダマテン……ああっ! 違う違うっ……」
男盗賊「……くそっ!」
女勇者「まだよ……まだ諦めないっ……!」
勇者「黙れって……? マダムヤン……? ああっ、違う違うっ! そうじゃないっ!」
男賢者「……父さんっ!」
男魔法使い「あぁっ……! わかってるよっ!」
勇者「……」
魔王「うおおおぉぉっ! 死ねええぇぇっ!」
勇者「……ちくしょうっ! なんで、何にも出てこねぇんだよぉっ!」
ゴオオォォォッ
勇者「いつもは出てくるのによぉっ! 何で、こんな大事な時に出てこねぇんだよぉっ!」
773:
PM4:55
タイムリミットまで後、5分
777:
女勇者「くっ……! 結界魔法っ!」
男賢者「父さんっ! 皆を守りましょうっ!」
男魔法使い「あぁっ! わかってるよ! 男賢者っ!」
ゴオオォォッ
勇者「くそっ……! くそっ……! いつもは出来るじゃねぇかよっ……! なんで、今日に限って出来ねぇんだ……」
天童「お、おい……」
勇者「諦めちゃダメだっ……いつもは出来るんだから……今回だって……きっと……きっとっ……!」
天童「……勇者」
勇者「これが最後のチャンスだっ……! まだ、魔法はわからないけど……一か八かっ……!」
天童「おいっ! 勇者っ!」
778:
勇者「……もうちょっとだったのにね? ごめんね……天童……」
女僧侶「勇者さんっ!」
勇者「俺……皆から色々教えてもらった……助けてもらった……」ブルブル
男戦士「……勇者」
勇者「だから、今度は俺が皆を助ける番です……」
男盗賊「勇者ァっ! やめろっ! お前一人で無理する事はねぇよっ! 俺も手伝うから……」
勇者「来るなぁっ!」
男武道家「……勇者君」
勇者「奴に勝つには……これしか方法がないんだ……これしか……だから……俺、行くよ……」ブルブル
779:
勇者「……女僧侶ちゃん?」
女僧侶「……勇者さん」
勇者「あの時、言い逃した言葉……今、言うよ……」
女僧侶「……えっ?」
勇者「俺……女僧侶ちゃんの事……」ブルブル
女僧侶「……」
勇者「……」
女僧侶「……」
勇者「大好きだ」
女僧侶「勇者さん……」
勇者「……」
女僧侶「……」
勇者「男賢者さん……女僧侶ちゃんの事……よろしくお願いします」ペコッ
男賢者「勇者君……君は……命をかけて……その禁呪とやらを使うつもりなのか……」
勇者「……はい」
780:
女僧侶「勇者さん、ダメです! 行かないで下さいっ!」
勇者「……」
女僧侶「勇者さんっ! 私も……私も……」グスッ
勇者「……」
女僧侶「大好きなんですっ! だから……行かないで下さいっ……!」ボロボロ
勇者「……ありがとう」
女僧侶「勇者さんっ!」
勇者「父さんだって……命をかけて世界の平和を守ったんだ……だから、俺だって……」
女僧侶「ダメですっ! 勇者さんっ!」
勇者「……さよなら」
781:
天童「勇者、待てっ!」
勇者「何だよ、天童……」
天童「勇者……もうお前は、一人で大丈夫だ……」
勇者「何、言ってんだよ、なぁ?」
天童「お前が今、使おうとしている魔法は……人間なんかには、とても使えねぇシロモノなんだよ……」
勇者「そんなもん、やってみなくちゃ、わかんねぇじゃねぇか!」
天童「無理だよ……その魔法は……神様だって使いこなす事が出来なかったんだ……」
勇者「……えっ?」
天童「昔……お前達が産まれる……ずっと前の話だ……神様はあの魔王との戦いでよぉ……? 世界を守る為……その魔法を使っちまったんだ……」
勇者「……神様が?」
782:
天童「自分の命や……魂さえも、魔力に魔力に変えて……相手にぶつける呪文だ……」
勇者「……」
天童「神様も……そして、あの魔王も……お互い、その呪文を使っちまったんだ……」
勇者「……魔王も?」
天童「あいつは、復活する為の余力を残してたみたいだけどよぉ……? 神様は奴に勝つ為に……ほとんどその力の全てを使っちまったんだ……」
勇者「……」
天童「……だから、神様は力を失くしちまったんだ」
勇者「……」
天童「そして……魔王が復活して……おめぇの父ちゃんも……同じ事繰り返したんだ……」
勇者「……父さん」
天童「おめぇの父ちゃんは、ギリギリ生き残るだけの力を残してたみたいだけどよぉ……?」
勇者「……」
天童「やっぱり……神様と違って魔王に深手を負わせる事は出来なかったみてぇだな……数年で魔王は復活しちまったってわけだ……」
勇者「……」
783:
天童「そして……自分の寿命さえも殆ど使いきったおめぇの父ちゃんは……復活した魔王に……」
勇者「くっ……! 父さん……」
天童「こんな呪文、人間が使っちゃいけねぇんだよっ!」
勇者「で、でも……」
天童「おめぇ、ここまで生き残びてきたのによぉ? その呪文使って、おめぇも同じようになっちゃいけねぇよっ!」
勇者「でもっ…… ! 奴を倒すにはこうするしかっ……!」
天童「……だから、俺がいるんだろ? なぁ、勇者ァ?」
勇者「……えっ?」
天童「俺は……世界の平和を守る為の……最後の切り札ってワケだ……なぁ、勇者?」
勇者「お、おい……まさか……」
天童「来るなぁっ!」
784:
勇者「お前……もしかして……天童……?」
天童「……」
勇者「……」
天童「……勇者」
勇者「……」
天童「早く『さよなら』って言ってくれ」
勇者「!」
天童「……言ってくれっ!」
勇者「……」
天童「……」
勇者「嫌だ……嫌だよ……」
天童「……」
勇者「絶対に嫌だ……嫌だっ……!」ボロボロ
天童「……」
785:
勇者「天童といなきゃヤダっ……!」ボロボロ
天童「……」
勇者「なぁ? 俺とずっと一緒にいてくれよ? なぁ?」
天童「お前がグズグズ言ってどうすんだよ!」
勇者「!」ビクッ
天童「皆の命は……お前の一言にかかってるんだよっ!」
勇者「……でも」
天童「……勇者」
勇者「……俺、一人じゃなにも出来ないもんっ!」ボロボロ
天童「……」
勇者「……」
天童「お前……周り見てみろ……?」
勇者「……えっ?」
786:
男戦士「……くっ」
男武道家「……ううっ」
男盗賊「……ぐっ」
女勇者「うっ……くっ……」
男賢者「ぐぐっ……」
男魔法使い「……う、ううっ」
女商人「……勇者さん」
女僧侶「勇者さん……天童さん……」
勇者「……」
天童「皆、お前の仲間だ」
787:
天童「俺と出会った頃……一人ぼっちだったお前に……今はこんなに仲間がいる」
勇者「皆……」
天童「俺もお前と始めて会った時、なんで俺がこんなダメな奴の面倒見なきゃいけねぇんだと思ったよ」
勇者「……」
天童「絶対、コイツはダメだって! そう、思ったよ!」
勇者「う、うん……」
天童「……だけど、お前やるじゃねぇか? えぇ?」
勇者「天童……」
788:
天童「何度もダメだと思った時、あったけど……なんだかんだ言いながら、結構底力見せてきたじゃねぇか!」
勇者「う、うん……」ボロボロ
天童「皆、お前が命がけで色んな事を学んできたから……俺も皆もお前についてきたんだよっ!」
勇者「ううっ……うんっ……!」
天童「……だから」
勇者「ううっ……うっ……」ボロボロ
天童「最後まで生き残れ!」
勇者「ぐっ……! ううっ……」
天童「……なっ?」
勇者「……うんっ!」ボロボロ
789:
天童「そして、お前が学んだ一つ一つの事を……絶対、忘れるな!」
勇者「ううっ……」ボロボロ
天童「忘れるなよぉ!?」
勇者「ううっ……」
天童「心に刻み込めっ!」
勇者「うんっ……うんっ……!」ボロボロ
天童「……カァ?、格好よかぁ?、俺っ!」
勇者「ううっ……」
天童「さぁ、言えっ! 最後の命題だっ!」
勇者「……」コクリ
790:
勇者「天童……」ボロボロ
天童「……」
勇者「うっ……ううっ……」
天童「……」
勇者「ぐっ……ううっ……」
天童「……」
勇者「……」
天童「……」
勇者「……さよなら」ボロボロ
天童「……」
勇者「……」
天童「……よしっ!」
勇者「……」
天童「……言えたじゃねぇか?」ボロボロ
791:
天童「後一分だ……」
勇者「……天童?」
天童「じゃあな!」ニヤリ
勇者「!」
天童「それじゃあ、皆さんっ! 私が禁呪を使って魔王に突っ込みますっ!」
女僧侶「天童さんっ……!」
天童「おそらく、この城は崩れる事になると思いますっ! 皆さんはそいつを連れて、避難して下さいっ!」
女商人「天童さんっ……!」
天童「皆さんっ! お世話になりましたっ!」ペコッ
792:
男武道家「勇者君……ここは天童さんに任せて、避難するよ……!」
勇者「でも……でもっ……!」
男戦士「天童さんの気持ち無駄にする気かっ! 勇者ァ! 行くぞっ!」グイッ
勇者「天童っ!? 天童?!」
天童「皆さん! 勇者の事はよろしゅう頼んどきますっ!」
勇者「ううっ……天童っ! 天童?!」
天童「勇者ァっ!」
勇者「!」
天童「バイバ?イっ!」
勇者「!」
天童「俺……結構お前の事、好きだったぜ!」ボロボロ
勇者「天童っ! 天童?っ!」ボロボロ
793:
天童「……18秒前か」
魔王「……仲間に被害が及ばぬよう、逃がしたか」
天童「うおおおぉぉっ!」ピカーッ
魔王「あの魔法を使える奴がまだいたとはな……だが、そんな貧弱な魔力では私は倒せんぞっ!」
天童「やってみなくちゃ、わかんねぇだろっ! うおおおぉぉっ!」
魔王「……ふん、愚かな」
天童「神様ああぁっ! あんたの最後の力を貸してくれええぇぇっ!」ピカーッ
魔王「何っ……!? こいつの魔力が……どんどん増幅しているぞ……!?」
天童「来たぞ来たぞっ……! よしっ! これで、てめぇも道連れだっ!」ニヤリ
魔王「!」
天童「いくぞっ!『マダンテ』!」
ドゴオオォォォッ
794:
ーーーーー
勇者「!」
女僧侶「見て下さいっ! 魔王城が崩れていきますよっ!?」
女勇者「天童さん……やったのね……?」
男賢者「えぇ……魔王の邪悪な気が薄れていくのが感じられます……」
男魔法使い「これで……終わったんだね……」
女商人「……えぇ」
男戦士「終わりだな……」
男盗賊「俺達だけじゃ……無理な戦いだった……」
男武道家「あぁ……天童さんのおかげだ……」
勇者「……天童」
796:
勇者「天童……ありがとう……」
勇者「天童……さよなら……」
勇者「ううっ……うっ……」グスッ
勇者「俺……代わりに言うね……?」
勇者「……」
勇者「よし……カット……」グスッ
797:
そしてーー
女僧侶「魔王倒した宴だからって……こんなに豪勢な食事だなんて、やりすぎじゃないですかね?」
男賢者「男武道家さんの奢りらしいよ? まぁ、遠慮せずいただこうよ?」
男盗賊「俺も酒飲みてぇんだけどなぁ……? あっちの、大人の席行けねぇかな?」
女僧侶「あっ! 男盗賊さん! 私達は未成年なんだから、お酒はダメですよ?」
男賢者「……カクテルぐらいだったらいいんじゃないの? ねぇ、男盗賊君?」
男盗賊「いや、俺は日本酒が……って、勇者、どうした? おめぇ、全然食ってねぇじゃねぇかよ?」
勇者「……えっ?」
798:
男盗賊「おめぇが魔王倒したおかげでよぉ? こんな豪勢な飯奢ってもらえてるんだから……」
男賢者「そうだよ。 勇者君がそんなに遠慮してたら、僕達が意地汚い奴だと思われちゃうじゃないか」クスクス
女僧侶「……勇者さん、どうしたんですか?」
勇者「いや、この飯……天童にも食わせたかったなぁ……って、思ってさ……?」
男盗賊「……」
男賢者「……」
女僧侶「……」
勇者「あいつのおかげで……魔王倒せたってのに……あいつに食わせてやれないのがさ……」
799:
男盗賊「……なぁ、勇者?」
男賢者「勇者君……」
女僧侶「勇者さん……」
勇者「……」
男盗賊「……おめぇ、何言ってんだ?」
男賢者「天童……? 誰ですか、その人……?」
女僧侶「勇者さんの知り合いの方ですか?」
勇者「……えっ?」
800:
勇者「ちょ、ちょっと待てよ、皆……! 何、言ってるんだよ……!」アセアセ
男盗賊「何、言ってるかわかんねぇのはおめぇだよ?」
勇者「天童だよ! 天童っ! あの昔の二枚目みたいな顔して……古臭ぁ?いリアクションばっかりしてたおっさんだよっ!」
男賢者「……勇者君、誰の事言ってるですかね? 僕の父さんの事ですか?」
勇者「何、言ってるんだよ、皆っ! 魔王倒したのだって、天童じゃねぇかっ!?」
女僧侶「……何、言ってるんです勇者さん? 勇者さんが、お父さんから受け継いだ必殺技で倒したんじゃないですか?」
勇者「……えっ?」
男盗賊「そうだよ……おめぇが一人でやってくれたんじゃねぇか?」
男賢者「勇者君、一人で魔王に立ち向かってさ……? いやぁ……僕、尊敬しちゃうなぁ」
女僧侶「勇者さん、とても素敵でしたよ」クスクス
801:
勇者「ちょっと待てよっ! 皆、何言ってるんだよっ!?」
男賢者「何、言ってるかわからないのは勇者君ですよ? 天童……? 誰ですか、それ?」
勇者「ダメ人間の俺をここまで成長させてくれた、天童だよっ! 俺が旅始めたのだって、天童が誘って……」
女僧侶「何、言ってるんですか? 勇者さんが、修行中の身の私を、二人で魔物討伐に行かないかって、誘ってくれたんじゃないですか?」
勇者「えっ……? 違うよ……天童と女僧侶ちゃんが二人で俺を……」アセアセ
男盗賊「おめぇ、魔王と戦ってる時に頭でも打ったか……? それとも、また昔の妄想癖が炸裂してるのか?」
勇者「……えっ?」
802:
男賢者「妄想癖……? なんですか、それ……?」
男盗賊「いやぁ?、こいつ、昔から……自分で考えた物語を、人に聞かせるのが好きなんだけどよぉ??」
女僧侶「二人でよくしましたよね? 勇者さん?」ニコッ
男盗賊「こいつ、たまぁ?に、その空想の世界と現実がごっちゃになっちまう事があるんだよ? なぁ?」
勇者「……えっ?」
男盗賊「ほら、よく言ってたじゃん? 金髪彼女と付き合ってるだとか……Eカップの女とHしただとか……」
男賢者「あらら……そんな妄想癖が……」
男盗賊「おめぇ、たまにごっちゃになって、わけわかんねぇ事になってたよな? 今回もそうなんじゃねぇの?」
勇者「……えっ?」
男盗賊「な?んかさぁ? その、天童……? って人、自分の中で作って、妄想してたんじゃねぇだろなぁ?」
勇者「天童は……俺の妄想……?」
803:
男盗賊「まぁ、でも……こいつの話って、凄ぇ面白えからよぉ? その、天童って人の話を、聞かせてくれよ?」
女僧侶「あっ、私も聞きたいです」
男賢者「もし、その話が素晴らしければ、僕が小説にしましょう。 聞かせて下さいよ、勇者君?」
勇者「……ふざけるな」ワナワナ
男盗賊「……ん?」
女僧侶「……ん?」
男賢者「……ん?」
勇者「天童は妄想なんかじゃねぇっ! お前ら、何言ってるかわかんねぇよっ! もういいっ!」ダッ
男盗賊「お、おいっ! 勇者っ!」
女僧侶「どうしたんですかっ!?」
男賢者「天童……そんな人、知りませんけどねぇ……」
804:
勇者「男戦士さんっ! 男武道家さんっ!」
男戦士「お?うっ! なんだ?、勇者?? おめぇにまだ酒は早いぞ??」
男武道家「まぁ、一杯ぐらいいいじゃない? ほらほら、勇者君も飲みなよ??」
勇者「二人は天童の事、覚えてますよねっ!? ねぇっ!?」
男戦士「……あん? 天童?」
男武道家「……誰だそれ?」
勇者「ほらっ! 東の道の支援物資貰いに行く時に……俺と天童で……」
男戦士「おいおい……何、言ってやがる……あれは、お前が一人でやらせてくれって、俺に頼み込んだんじゃねぇか……」
男武道家「いや?、勇者君が必死に頼み込んだから、僕も馬を譲ったんだよ? ねぇねぇ、感謝してくれてる??」
勇者「俺が……一人で……?」
男戦士「ったく……何、言ってるんだよ、おめぇはよぉ?」
男武道家「それより……おじさん達のお酒に付き合いなさぁ?いっ!」
勇者「……くそっ!」ダッ
805:
勇者「女商人さんっ!」
女商人「あっ、勇者さん、どうしたんですか?」
勇者「女商人さんは天童の事、覚えてますよねぇ!?」
女商人「えっ……? 天童……?」
勇者「ほらっ! 赤い木の実を……俺と天童と女商人さんの三人で取りにいったじゃないですか!?」
女商人「あれは、勇者さんと二人で行きましたよね? 女僧侶さんは二日酔いで、倒れてたようですし……」
勇者「二人じゃなくて、もう一人いたじゃないですかっ!」
女商人「二人で行ったじゃないですか……? 勇者さん、何言ってるんですか……?」
勇者「くそっ……! くそっ……! 皆、どうなってるんだっ……!」
女商人「?」
勇者「あっ! そうだっ!」ダッ
女商人「あれ? 勇者さん、どこに行くんですか?」
806:
部屋ーーー
勇者「確か……確か……女商人さんか貰った鞄の中に……」
勇者「命題の封筒と……あいつの名刺を入れてたはずだっ……!」
勇者「よ、よしっ……!」ガサゴソ
勇者「これじゃない……これでもないっ……!」
勇者「くそっ……! 何処だっ……! 確かにこの中に入れてたハズなのよぉっ!」ガサゴソ
勇者「くそっ……! ないっ……ないっ……!」
勇者「なんで、全部なくなってるんだよっ! なんでだよぉっ!」
807:
勇者「……」
勇者「……俺の妄想?」
勇者「……」
勇者「俺は初めから、まともな人間で……何かやらなくちゃいけないって思った時に……」
勇者「……」
勇者「天童という存在を、作り出して……自分を鼓舞していたのか……?」
勇者「……」
勇者「違うっ……! 違うっ……! 天童は妄想なんかじゃないっ……!」フルフル
勇者「天童はいたんだよぉっ!」
808:
最終話 「決戦!魔王城!」
ーー完
817 :問題児 ◆DtBPtXSeyWLy 2014/07/16(水) 20:51:50.27 ID:Ys2FV0cTO
天国に一番近い勇者?heaven cannot wait?
第一話 「お前は今日死ぬ!」
第二話 「セックスしないと死ぬ!?」
第三話 「褒められないと死ぬ!」
第四話 「約束破ると死ぬ!」
第五話 「優しくしないと死ぬ!」
第六話 「大切にしないと死ぬ!」
第七話 「決断したら死ぬ!」 >>3-212
第八話 「姉に勝たないと死ぬ!」 >>215-445
第九話 「改心させないと死ぬ!」 >>447-608
最終話 「決戦! 魔王城!」 >>621-816
エピローグ 「heaven cannot wait」 >>818-1000
前スレ(1?6話) >>2
819:
勇者「……zzZ」
勇者「……zzZ」
勇者「!」パチッ
勇者「……7時か」
勇者「……腹、減ったな。そろそろ起きようかな?」
勇者「……」
勇者「……いいや。後、一時間だけ」ゴロゴロ
820:
女僧侶「コラっ! 勇者さんっ! もう7時ですよっ!」
勇者「う、う?ん……お願い……後、1時間だけ……」
女僧侶「今日は、お昼から男盗賊さんと男賢者さんと一緒に、支援物資運びに行くんでしょ!」
勇者「う?ん……昨日、その打ち合わせで遅かったんだよ……」
女僧侶「ほらっ! もう、朝御飯できてますよっ! 起きて下さいっ!」
勇者「後一時間……後一時間だけ……お願い……」
女僧侶「も?う……勇者さん、魔王倒してから、ちょっとぐうたらしすぎじゃないですかねぇ……?」
勇者「だって……世界に平和は戻ったんだよ……? まだ、眠いよ……」
女僧侶「まだ、多くの街には傷跡が残ってるんです! だから、私達がしっかりしないと!」
勇者「わかってるけど……お願いっ! 後、一時間だけ寝かせてっ!」
女僧侶「も?う……勇者さんの人生それでいいんですかっ!?」
勇者「!」
821:
勇者「……」ムクッ
女僧侶「……ん?」
勇者「そうだよな……そうだよ……これじゃあ、ダメだよ……」
女僧侶「あれ? 勇者さん、起きます?」
勇者「まだ、俺にはやる事が山積みなんだ……こんな所で止まってたら、アイツに怒られちゃうよ……」
女僧侶「……あれ? 急にやる気になって、どうしたんですか? 勇者さん?」
勇者「いやぁ……懐かしい言葉を聞いたような気がしてね……?」
女僧侶「……はぁ?」
勇者「よしっ! じゃあ、顔洗ってくるよっ! 朝御飯食べたら、皆と合流しようか!」
女僧侶「?」
822:
ーーーーー
男賢者「勇者君……早いよ……まだ、8時だよ……?」
男盗賊「出発は昼って言ったじゃねぇか? 朝だぞ? まだ、朝だっての」
勇者「何言ってんだ! あっちの大陸には朝飯もまともに食えねぇような人達が沢山いるんだぞ?」
男賢者「……まぁ」
男盗賊「……そうだけどさ」
勇者「だったらよぉ! 俺達が一刻も早く、この支援物資を届けてやろうぜ! 足踏みしてる時間なんてねぇんだよっ!」
男賢者「そうだね。 勇者君の言う通りだね」
男盗賊「まぁ……俺も、子供達にまともな飯食わせてやりてぇしな……」
勇者「そうだっ! その通りだっ! おめぇら、わかってるじゃねぇかっ!」
「わかってねぇなぁっ! おめぇはよぉっ!」
勇者「……ん? 何だあれ?」
823:
男賢者「……男の子が絡まれてるみたいだね?」
男盗賊「なんだよ、あのおっさん……」
女僧侶「ど、どうしましょう……止めに行きましょうか……」アセアセ
男賢者「そうだね! 男盗賊君、行こうっ!」
男盗賊「おいっ! 勇者ァ! おめぇも来やがれっ!」
女僧侶「……勇者さん? 何してるんですか?」
勇者「……」
824:
「だからよぉ? 確かに魔王は倒されたけどよぉ? まだ、世の中にはやらなきゃいけない事が沢山あるじゃねぇか!」
「……俺がやらなくても、誰かがやるもん」
「おめぇが、そういう考え方だからなぁ! こうやって、神様がおめぇを選んだんだよぉ!」
「……何、言ってるのあんた?」
「バ、バカっ……! おめぇ、あのメッセージ見ただろ? カップラーメンや、チラシに書いていた『お前の人生それでいいのか』ってメッセージをよぉっ!」
「……何、それ?」
「カァ?! なんで、どいつもこいつも気づかねぇんだよっ! この導入部分がねぇ、毎回長いんだよっ! 毎回よぉ!」
「?」
「まぁ、でもよぉ……? そんなおめぇでも、『コレ』見たら信じるだろ……」
「?」
「いいか? おめぇに与えられた命題はコレだっ!」
勇者「!」
825:
男賢者「あれ……? あの人……?」
男盗賊「何処かで見た事があるような気がするなぁ……?」
女僧侶「あれ? 二人もそう思います? 私も、あの人……何処かで見た事あるような気がするんですよねぇ……」
勇者「はははっ……! 何だよアイツっ……! はははははっ……!」ゲラゲラ
男賢者「……ん?」
男盗賊「どうした?」
女僧侶「……勇者さん?」
勇者「アイツ、生きてのかよっ……! そうだよなぁ……そうだよ……だって、アイツ……天使だもん。簡単に死ぬワケねぇよ……!」
827:
勇者「……そっか。アイツ、新しい仕事決まったんだ」
女僧侶「あ、あの……勇者さん、知り合いなんですか? あの人と?」
勇者「あぁ、昔……ちょっとね……?」
女僧侶「だったら、勇者さん、止めて下さいよ!? 男の子が絡まれているんですよ?」
勇者「いやいや……大丈夫大丈夫……あの人、悪い人じゃないからさ……?」
女僧侶「……えっ?」
勇者「それに……あいつはきっと……あの男の子にとっても必要な人だからさ……?」
女僧侶「?」
勇者「俺が首突っ込んで、邪魔しちゃいけないよ。基本的に導入部分が長いからね……導入部分が……」
女僧侶「……勇者さん、何言ってるんですか?」
829:
勇者「よしっ! じゃあ、俺達も出発するかっ!」
女僧侶「えっ!?」
勇者「天童も頑張ってるんだし……俺も負けてられないからね……!」
男賢者「……あの男の子は、どうするんですか?」
勇者「大丈夫だって! 俺が首突っ込むと、あの子の為にはならないもん」
男盗賊「……はぁ?」
勇者「じゃあ、皆! 今日も一日頑張ろうっ! じゃあ、出発?!」
女僧侶「えっ……? えっ……? 出発して……いいんですかね……?」
男賢者「まぁ、でも……僕もあの人、悪い人じゃない気がするから……」
男盗賊「大丈夫かな……? って、お?いっ! 勇者、待ってくれよっ!」
830:
天童「……ったく、頑張ってるじゃねぇか、アイツ」
天童「もう……一人前だよ、おめぇはよぉ……」
天童「……勇者」
天童「お前の人生それでいいんだ!」
天童「……ん?」
天童「って、おいっ! おいっ! さっきのガキは何処に行ったんだっ! いねぇぞっ!?」アタフタ
天童「おいっ! おいっ! 逃げてんじゃねぇよっ! おめぇ、本当に死んじまうんだよっ!」
「なんだよ、おめぇ……ついて来んなよ、気持ち悪ぃっ!」
天童「うるせぇっ! こっちはおめぇでパート2やれって神様に言われてんだよっ! 逃げんじゃねぇよっ!」
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