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P「律子と孤独じゃないグルメ」


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1:
- とある日 事務所にて -
P「あ゙ーっ! やっと終わったぁー!」 ググーッ
律子「お疲れ様です、プロデューサー殿。はい、お茶どうぞ」 コトッ
P「あー、ありがと。律子も手伝ってくれてサンキュな。自前の仕事もあったろうに」 ズズ...
律子「いえ。困ったときはお互い様ですよ。小鳥さんが急病で不在でしたし仕方ないです」
P「んー。それでもありがとな。さて、そろそろ時計も8時を回りそうだな。飯どうしよっか」
律子「あ、そうだ! どうせなら御一緒にどこかへ飲みに行きませんか?」
P「おっ! いいねぇ。どこ行くか目星ついてるのか?」
律子「うーん。決めてませんけど……そうだ! あのドラマのお店みたいな所がいいです!」
P「うん? ドラマって――何があったっけ」
律子「ホラ、いつもプロデューサー殿が見てるやつです。タイトルは確か――」
3:
P「あー。もしかして孤独のグルメか? あのオッサンが食べてるやつ」
律子「そう! それです。それの天ぷらの回が私、忘れられなくて……」
P「天ぷらてんぷら……はいはい。黒天丼回ね。確かに美味しそうだったよなぁ」
ゴロー「こんなにタレが染みているのに、まだサクッとしている。よし、こいつは半分取っておこう」
律子「真っ黒な天丼を見た時は、ちょっとアレかなーって思いましたけど」
P「食ってるのを見ると、美味そうに見えてきて?」
律子「その通りです。あと天丼もそうでしたが、普通のメニューやお新香も美味しそうで――」
ゴロー「サクッとして、中はふわっ。王道のサクふわだ」
P「あったあった。めごちに玉葱に蓮根に……」
律子「あぁもう。こんなこと話してたらお腹空いちゃいました」
P「そうだな。アイドルじゃないが、あんまり遅くなるものアレだし行くか」
律子「ええ!」
5:
-歓楽街-
律子「……とは言ったものの、私ちゃんとした天ぷらを出すお店はあまり知らないんですよね」
P「まだ堂々と居酒屋に入れる歳じゃないからなぁ。あと数ヶ月か」
律子「ですです。まぁ宅飲みはしますけども、外では流石に」
P「宅飲みねぇ。どうせカロリとか氷結とか、そんな感じのカクテルばかりだろ」
律子「そ、そんなこと! ビールだって嗜みますし」
P「ほ? その歳でビールの良さが分かるとな? じゃあ今日は生だけを出す店で……」
律子「ごめんなさい。ちょっと見得張りました。ビール苦くてお腹も膨れて苦手です」 ペコ
P「ハッハッハ、だろうよ。ビールとウィスキーの初飲みは『不味い』しかない。これ持論な」
律子「あれからも何度か試してみたんですけども――ちょっと慣れませんでした」
P「まあ仕方ないよ。まぁ時間をかけていけばいずれは美味いと思える日もくるさ」 ポンポン
6:
律子「あっ……。せ、セクハラですよ」 ペチン
P「おっとっと悪い。いつもあいつらと接してるから癖かな?」 ケラケラ
律子「もう――。ところで先ほどから歩いてますけど、どこに向かってるんですか?」
P「んー? 俺の行きつけの店の一つ。と、言ってるそばから見えてきた。ホラ、あそこだよ」
律子「あら。随分とこじんまりした感じで……」
P「女性を誘うのに赤提灯系の店で悪いけど、たまにはこういう店もいいよな?」
律子「ふふっ。お気遣いありがとうございます。でもこういう店好きだから構いませんよ」
P「そっか良かった。じゃあ外は冷えるから入ろうか」
律子「ええ」
9:
-店内-
店員「いらっしゃいませー。お好きな席へどうぞー」
P「カウンター席は……結構埋まってるなぁ。これ2人座れるかな?」
律子「あ、プロデューサー。お座敷空いてますよ。ここにしましょう」
P「ん? おう、そっち空いてたか。まぁ揚げたてには変わりないし、カウンターに拘る必要はないか」
律子「あっ。プロデューサー殿。上着を掛けますので」 カチャ
P「おう、ありがとう。ほいよっと」 パサッ
律子「よいしょ……っと。さーて、何から食べますかね」
P「メニュー豊富で迷うだろ。一級品から色モノまでこの店取り揃えてるからなー」
律子「どれにしようか迷うなぁ。あ、飲み物はどうします?」
P「俺は生中で。律子は?」
律子「ウーロン茶……ですかね」
P「じゃあそれで決まりだな。じゃあ先に頼んどくか……。スイマセーン!」
10:
-数分後-
店員「はい、お待たせしましたー。お飲み物と……めごちの天ぷらですねー」 カチャカチャ
P「あっ。どうも」
律子「あれっ。プロデューサー、いつの間に天ぷらを注文したんですか?」
P「飲み物頼んだついでになー。あ、律子も食うか?」
律子「まったくもう、手が早いんですから……。いただきますけども」 カチャ
P「じゃ、まずは乾杯しとくか。ほい、乾杯ー」 チン
律子「乾杯」 チン
12:
P「……ッ……ッ……!」 グッグッ
律子「……」 コクコク
P「……ッぶっへー! 美味ェ!」 クッハァ
律子「どうやったらあんな風にビールを美味しそうに飲めるのかしら」 チビチビ
P「じゃあ早めごちを頂きますか。俺はすだちを絞って……っと。いただきまーす」 パリッ
律子「私はお塩でいこうかな。いただきます」 サクサク
P「うーん、この海老のようにプリプリな白身。衣まで美味いぜ」 モグモグ
律子「正直言いますと、白身魚系の天ぷらの中では一番美味しいと思ってます。めごち」 モグモグ
P「味が濃厚なのがまたいいんだよなぁ。サックリまったりって感じ」
律子「小ぶりなのもいいですね。女の身でも一口で食べられるのは大きいですよ」
P「ビールとまた合うんだよなぁ。一つ口に放り込んで、5,6回噛んだらビールで流し込む。これ最強」 グビグビッ
律子「ううん。ですが流石にこれだけじゃ全然足りませんね……。すいませーん!」
14:
律子「あ、来たみたいです。ふふふっ」
P「どれどれー? おっ。舞茸と来たか。わかってるじゃないか」
律子「食感が楽しい舞茸です。プロデューサー殿もどうぞ!」
P「おぅ。ありがと。にしても一口が大きいなぁ」
律子「食べてみれば軽いですよ、キノコですし。これくらいの大きさでもペロッといけちゃいます」
P「それもそうか。じゃあ舞茸はつゆで食べるかな。大根おろしを溶かして霙風にして」
律子「ちょっと漬して食べるくらいが粋なんですよ。舞茸も味が強いですから」
16:
P「南新二じゃあるまいし、俺はふにゃふにゃになるくらい漬すのが好きだな。こーんな風に」 ベチャベチャ
律子「あーあー。折角の揚げたてなのに勿体無い……」
P「いいのいいの。この食感とつゆが染み込んだ感じが好きなんだから」 アムッ
律子「まぁ、好みは人それぞれではありますけど……」 サクッ
P「いいねぇ。衣がつゆを含んで柔らかくなった感じ。それでも僅かにサクサク感は残ってるという」 シャクシャク
律子「舞茸も弾力があって美味しいです。きのこならではですねー」 モキュモキュ
P「しかし確かに軽いな。大口開けて食べたつもりだったけど、逆に腹が空いてきたぞ」
律子「一品づつ頼むのもアレですし、次はいっきに注文しちゃいましょうか」
P「だな。ついでにビールのおかわりもしよーっと。律子はどうする?」
律子「あ、待ってください。今飲み干しますんで」 グッグッ
17:
P「ということで2杯目の酒と一緒にやってきましたは、揚げたてサクサクの天ぷらたちです」
律子「……プロデューサー、もう酔ってます?」
P「あ、いや。少し陽気になってただけだ。じゃあ早いただこうかな」
律子「やっぱイカですよイカ。真のイカ天はこういうお店でしか味わえません」
P「分かるわー。歯でふわっと噛み切れるくらいの柔らかさがたまらないんだよなぁ」
律子「スーパーとかの惣菜のゴムみたいなイカ天とは比べ物になりません。あー、おいしい」 サクサク
P「あれはあれで悪くないんだけどな。ゴムみたいに弾力のある天ぷら」 コリコリ
20:
律子「あれ、プロデューサーは何を?」
P「タコ天」 コリコリ
律子「えっ。何ですかそれ。美味しそう」
P「読んで字のごとくタコの天ぷら。昔北海道で食べたタコ天の味が忘れられなくてな。食ってみるか?」
律子「ありがとうございます、いただきます」 パクッ
P「どうだ。思ったよりアッサリしていて美味いだろう? つゆをつけても美味いんだぞー」
律子「ホントだ。ちょっと薄味のタコの唐揚みたいです。これなら塩系が合いそう」
P「この店では抹茶塩、梅塩、炭塩、変り種なら昆布塩や桜塩とあるから、いろいろ試すのもアリだぞ」
律子「そんなに種類があんですか。ちょっと試してみようかしら」 パラパラ
22:
P「お? それはエビ天か。王道いったな」
律子「やっぱり天ぷら屋さんに来たのなら、ですね。そういうのあるでしょう?」
P「確かに。そういう俺もちくわの磯辺揚げを頼んでいたりするし」
律子「エビって何があうのかしら。昆布塩で試してみようかな」 パラパラ
P「ちくわ磯辺揚げはコレ自体に味ついてるし、俺はこのままでいいかな」 パクッ
律子「あっ。昆布塩イケるかも。エビの甘みと塩気がちょうどいい塩梅で吊り合ってる」 カリッ
P「こっちはこっちで青海苔たっぷりが嬉しいな。火を通してるハズなのに磯の香りがする」 サクサク
律子「ん?。お酒の肴には困りませんね。私のはお酒じゃありませんけど」 ゴクゴク
P「磯辺揚げは逆にビールとはあまり合わないかもしらんな。青海苔の磯の風味と混じってしまう」
律子「あれ、意外です。結構イケるんじゃないかと思ってたのに」
23:
P「俺も意外だったわ。まぁ磯辺揚げ以外にも沢山あるし、いいんだけどなー」
律子「迷い箸はマナー違反ですよ」
P「そだな。んじゃこれでも食うか」 ヒョイッ
律子「茄子天ですか。油をたっぷり吸うからヘルシーという訳じゃないんですよね、確か」
P「その分美味さはハンパないからいいんだよ。このナスの柔らかさと来たら……」
律子「あっ。またつゆにどっぷり漬してる。プロデューサー好きですね、その食べ方」
P「野菜はつゆもたっぷり吸うからなぁ。つゆの美味い店で野菜の天ぷらはご馳走だわ」 シャクシャク
律子「私はお芋でも齧ろうかしら。今度は炭塩を試してみようっと」 パラパラ
P「いもかぁ。いもはモソモソして苦手なんだよなぁ。口が渇くっていうか」
律子「そうでもありませんよ。揚げたてのお芋は焼きいもみたいにしっとりしているんですから」 サクッ
P「つゆも中々吸わないのも苦手な理由なんだな。まぁこれは好みの問題か」
律子「ほっこりして甘?い。プロデューサーも損ですねぇ、これが食べられないなんて」
27:
P「いいんだいいんだ。俺には山うどがあるから。これでビール飲むから」 ホクホク
律子「あれ、うどってもう出てたんですか。旬はまだ先かと思ってました」
P「いや、これは冬うどだから、旬というわけじゃないよ。香りもやや春うどに劣るって言われてるし」 パキッ
律子「その割にはおいしそうに食べますねぇ」
P「そりゃ冬ものだろうが、うどはうどだもん。シャッキシャキしててビールが進むぞー」 グビッグビッ
律子「やっぱビール、見てる分には美味しそうなのよね……」 ジーッ
P「ビールの『うまい』は『美味』って意味じゃないからな。あ、もう空になっちまった」
律子「あ、私も……。そろそろ3杯目頼みますか」
P「そだな。頼んだ料理も少なくなってきたし、ここで少し腹に溜まるものをいくか」
31:
P「というわけで腹に溜まるもの代表、手打ちうどんだ。天ぷらとの相性もいいぞ!」
律子「やや控えめなのは嬉しいかも。どうせだから余った天ぷら乗せて食べようっと」
P「手打ちうどんは冷か温で好みが分かれるけど、俺は断然冷だなぁ」 ズズ...
律子「私は体が冷えちゃうから、温かい方が好きですね。スープだって美味しいし」 チュルチュル
P「大根おろし、ネギ、天ぷら。これは三種の神器ですわぁ」 ホワー
律子「うどんは薬味次第では本当に化けますからね。私は冷やしだと小梅とかが好きですけど」
P「梅か。梅はいいねー。食後に一つ炙ったの貰おうかな」
律子「あ、私も貰います。ついでにそこの七味取ってもらえます?」
P「どーぞ。そういやトッピングも、うどんが冷やしか温かいかで合う合わないとに分かれるよな」
律子「ありますねー。七味と温卵は温麺専用、大根おろしは冷麺専用みたいな感じで」
P「のりとわさびも冷専用だな。逆に生姜と海藻類は温かいうどん専用」
32:
律子「あら。生姜はざるうどんとかおろしうどんとかで使うこともありますけど」
P「個人的な意見だよ。冷たいと生姜の清涼感が逆に口に残りすぎて好きになれない」
律子「まぁ、確かに冷やしでサッパリしたいなら、すだちやかぼすを絞りますけどね」
P「そうそう。あと温かいうどんに大量の天ぷらを漬すのもな。油が浮き出てクドくなりそう」
律子「そんな浮かべるほど天ぷらは乗せませんよ。乗せて2種類くらいでしょう」
P「それもそうだがなぁ。つゆに浸してると、いつの間にか衣と中身が分離してるんだよ。食べにくい」
律子「それを言うなら、天ぷらも冷たいうどんだと、どのタイミングで食べるか分からなくなりません?」
P「ざるうどんだと、つけ汁に漬してからうどんを啜るタイミングで食うとかあるけど」
律子「うーん。でも麺のつけ汁だと、天ぷらを漬すにはちょっと濃くなりませんかね?」
P「その場合はあれだ。南新二の蕎麦汁。ちょこっと漬ければいい」
律子「……さっきと言ってること違いません?」
P「それはそれ。これはこれ」 ズズ-
34:
P「うどん食ったらやっぱ腹が膨れてきたな。そろそろペースを緩めるか」
律子「飲み物ももう4杯目ですし、ここからは食事よりも会話の方に重点を置いていきましょうか」
P「とは言っても、やはりつまむ物がなければ寂しいというのが飲兵衛の性分」
律子「タマゴの天ぷらですか。お塩との相性がすごく良さそうですね」
P「おうともよ。この中じゃ炭塩が一番美味かったな。燻玉っぽい味なのに中身はトロッとしててさ」
律子「うんうん。やっぱ時代は塩ですよね」
P「だが俺はあえて天つゆでいく!」
律子「えーっ! 折角のたまごなのに勿体無い!」 エーッ
P「俺は塩厨に虐げられし者のメシアとなるのだ! 天つゆ最高ーっ!」 ハフハフ
36:
律子「むぅ。まぁいいです。私はこれをお塩でいただきますので」
P「あ、かきあげ! 具材はホタテの貝柱と――」
律子「水菜と刻んだ筍だそうです」
P「そ、それほどのかき揚げを天つゆで食べないなんて、冒涜にもほどがあるぞ!」
律子「素材の美味さが一番引き立つ塩。これですよ。かき揚げだって例外じゃありません」
P「むむ……。し、しかし塩を直接多く摂取すると体に悪いんだぞ!」
律子「私は飲み物がお酒じゃない分食べ物を多少ジャンクにしてもいいんです」 フフン
P「うぐぐ。腹が結構膨れてるから、大き目のかき揚げは追加注文もできない……羨ましいぜ」
律子「ふぅ。私からしたらプロデューサーが羨ましいですよ。お酒を堂々と煽れて」
P「何だ。酒を煽りたいってお前――何か飲まなきゃやってられないコトでもあったのか」
律子「そりゃあありますとも! この前だって営業先の人にですね――」
37:
-数時間後-
律子「――で、お尻を触られて、でも向こうは酔っ払っちゃって話は通じないし」
P「わかるわかる。あの人何かと都合が悪くなると、すぐ酔ったフリとか寝たフリするんだよな」 ゴクゴク
律子「ですよねっ! やっぱ酔ったふりですよねっ!? あーもう、腹立つー」 グビッ
P「よく飲むなぁ。もう5杯目じゃないのか?」
律子「そういうプロデューサーだってもうジョッキで4杯目じゃないですか。よくもまあそんなに飲めますね」
P「俺は酒に強いからいいんだよ。しかしここまで律子が荒れるなんてなぁ」
律子「それだけストレスが溜まってるってことですよ。もぅっ!」
P「でもまぁ、お前の気持ちも分かるぞー。俺もお前と同じ気持ちはいつか感じただろうな」 ウンウン
律子「むっ!」 ピクン
P「でもまぁ、何かあれば俺が相談に乗るさ。気持ちが分かる同士としてさ。ハッハッハ」 グビグビ
律子「何を仰ってるのですかね?」 ガタン
P「あへ?」 ピタッ
律子「言っておきますけど、プロデューサー殿も私のストレスの一因なんですけどねぇ」
P「えっ。俺が? えぇぇ、俺、律子にストレス与えるようなことしたっけか?」
40:
律子「……最近、事務所のアイドルの子たちに随分とおモテになるようじゃないですか」
P「モテ……いやいや。なに言ってるんだ。そんなこと無いぞ」
律子「そうですか? 四六時中プロデューサー殿の周りに誰か1人はいるじゃないですか」
P「そりゃあ……仕事だもの。何人もプロデュースしてると常に誰かに付いてるさ」
律子「プライベートの時にもですか?」
P「は? プライベート? ……あぁ、確かにそういえば最近オフの度に誰かしらを見るな」
律子「一緒に買い物を手伝ったり、一緒に食事をしたり、挙句の果てには一緒に遊園地に遊びに行ったり……」
P「いや、だってあの時は『荷物持ってほしい』だとか、『打ち合わせしたい』だとか用件もあって――」
律子「問答無用! とにかく、アイドルと恋仲になるようなことは避けてください!」
P「避けるも何も――。いや、待て。何で俺のプライベートのコトを律子が知ってたんだ?」
律子「うぐっ! そ、それは――た、たまたま耳に挟んだだけです」 ギクッ
41:
P「そうか? まぁいいけどよ。でも、あぁいうのは別に俺を頼ってきてくれてただけで、そこに何の感情もないだろ」
律子「ほー。よく分かりますね。美希みたいに好き好き公言してる子もいるのに」 ジトーッ
P「いやぁ、あいつは『恋に恋してる』お年頃なんだろ。誰か『運命の人』を見つけたら離れていくさ」
律子「……もし離れなかったら? 本当にプロデューサー殿のことを好きだったら?」
P「だから、んなこと万が一にも無いって。お前も心配性だなぁ」
律子「仮の話です。ちゃんと答えてください」 ジッ
P「仮定、ねぇ。……まぁそんな奇跡があったとしても、俺はあいつらとは付き合えないな」
律子「どうして? みんな、あんなにいい子たちなのに」
P「簡単だ。俺はプロデューサーであいつらはアイドル。あいつらの仕事は人に夢を見させることだ」
P「俺だってスカウトされるままこの業界に入ったけど、今はそれなりにプライドがあるんだ」
P「中途半端はいけない。俺はあいつらを誰からも愛される、理想とされる人間にしたい」
P「トップアイドルにしたい。だから付き合えない。……これでどうだ? 言質はとったろ?」
律子「ん……。まぁプロデューサー殿の気持ちは分かりました。それなら良いです」 ホッ
P「ただまぁ」
律子「?」
42:
P「あいつらがいつかアイドルを止め、そしていつか『運命の人』と出会えるその日まで」
P「俺があいつらにとって、一番『都合の良い男』であり続けてやろう……とは思うかな」
P「ま、多分イタズラ対象か荷物持ちが関の山ってところだろうけど」 ハッハッハ
律子「!! そ、そんな……! あのですね――!」 ガタン
P「あぁ、でもそれはお前も同じだからな?」
律子「えっ?」 ピタッ
P「律子にとっても、俺は都合のいい男であるぞって言ってるんだよ」
P「悩みがあったら言えよ。助けが要るときには言えよ。辛いことがあれば言えよ」
P「律子のためなら、荷物持ちでも愚痴聞き係でもやってやるからさ」 ゴクゴク
律子「ぐっ……。よ、よくもそんな恥ずかしい台詞を言えますね……///」 カァーッ
43:
P「素面じゃないからな――ん? なんだ律子。顔かなり赤いぞ。酒の匂いで酔ったのか?」 オーイ
律子「い、いえ。それよりプロデューサー……」 モジ...
P「ん、どうした? 早なにかあるのか?」
律子「は、はい。えっと――今の話って、私だけにしかまだ言ってませんよね?」
P「そりゃあ……。うん、言ってないけど。あくまで俺個人の心意気であるつもりだったしさ」
律子「良かったです。その話は絶対に私以外にはしないで下さい」
P「ん? いいけど――そりゃまた何で」
律子「絶対に勘違いする子が出てきます。間違いなく、絶対に、です」
P「勘違い? ……あぁ、確かに何でもするご奉仕ロボットになってやろうみたいな意味に取られちゃあ――」
律子「そういう意味じゃありません! とにかく絶対にダメですよ!」
P「お、おう。分かったよ」
44:
律子「まったくもう……! 素面じゃないとは言え、急に台詞を言ってくるなんて――」 グビグビ
P「あ、それ――」
律子「――っぷは。天然タラシなんて、○んじゃえばいいのにっ」 ドンッ
P「おーい。律子それだけどさー」
律子「は? それって何がです?」 ジロッ
P「いや、それ俺のビールなんだけど。大丈夫だったのか? 苦いから苦手ってさっき聞いたけど」
律子「えっ? あ、あれ?! 私いつの間に……。ご、ごめんなさい」 ペコッ
P「別にいいさ。そんなに量が残ってたわけじゃないし」
律子「え、えぇ。でもこれって間接――じゃなくて、えぇっと……///」
P「それにしても随分とすんなり飲めたじゃないか。どうだ、美味かったか?」
律子「えっ? えっと……はい。美味しかったです」
P「思わぬビールデビューだな。……顔さらに赤いぞ。大丈夫か?」
律子「だ、大丈夫です! 大丈夫ですから、しばらくこっち見ないで下さい!」 ババッ
P「なんでや」
47:
- 店の外 タクシー前 -
P「本当に一人で大丈夫か? 顔とかかなり赤いけどさ」
律子「ですから大丈夫ですって。飲んだ量も少量ですし、酔ってるわけじゃありません」
P「とは言っても飲んだことには変わりないからな。足元とかよく注意するんだぞ」
律子「分かってますって。それにもしもがあったら私にとって『一番都合のいい男の人』を呼びますから」
P「ん。そこまで言うなら大丈夫だな。じゃあ、気をつけて帰れよ」
律子「はい。……あっ。プロデューサー」
P「ん? 何だ」
律子「さっきプロデューサーは、『アイドルだから付き合えない』と言いましたよね。じゃあ、アイドルを辞めたら?」
P「さぁな。仮にそんな物好きアイドルがいて、ずっと俺のことを好いてくれてたのなら」
P「……嬉しい、とは思う。けどそれだけだ。想像の話でその時思う気持ちなんて分からない」
48:
律子「……そうですか。それともう一つ。先ほど、私の気持ちが分かるって言いましたよね?」
P「おう。似たようなことはいくつか俺も体験したしな」
律子「多分……いえ、間違いなくプロデューサーは私のキモチを理解できてないと思います」
P「へ? そうか? ……女性とでは感じ方が違うのかなぁ」 ポリポリ
律子「ふふっ。そういう事じゃあありません。気付くか気付かないかの違いです」
P「気付く? はて、何か見落とした点でもあったのかな?」 ウーン
律子「こればっかりはプロデューサーには難しいかもしれませんね」
P「いやいや。あぁ言った手前、必ず律子の気持ちが分かるようになってやるよ、うん」
律子「それは嬉しいです。ね、約束しましょう。いつか気付いてくれるって。私のキモチに」
P「おう。約束するぜ」
律子「ふぅ。今日は疲れました。じゃあプロデューサー殿。おやすみなさい」 バタン
P「おう、おやすみー」
P「……ん? 気持ちが分かるじゃなくて、気持ちに気付く……?」 ハテ?
49:
- 律子の自宅 -
律子「ただいまーっと」 バタン
律子「とは言っても誰もいない、か。一人暮らしは寂しいものねー」 フゥ
律子「さて……」 テクテク ガチャッ
律子「……どうしようかなぁ。冷蔵の一杯の缶ビール」
律子「20になったら一緒に飲みにいけるように特訓するために買って放置してたけど……」
律子「今ならいけるかな。うん、あんなに美味しく自然に飲めたんだもの。今なら――」 カチャン グビッ
律子「……苦。まずっ……」 ペッペッ
律子「……はぁ。何やってんだろ私。バカみたい」 カチャカチャ ジャーッ
律子「――……アイドルは人に夢を見させるのが仕事、かぁ」
律子「……じゃあ、あの子達自身は、どんな夢を見てるのかしら」
律子「……」
律子「ダメだ。熱っぽくて頭が回らない。お風呂入ってさっさと寝よっと……」
51:
-とある日 車の中にて-
やよい「――そうなの。スケジュールが遅れちゃってて。あ、でも今から帰るから」
やよい「えっ? 冷蔵庫空っぽなの? ……いや、でも大変でしょ? すぐに帰るから――」
やよい「……うん、うん。そう? じゃあヨロシクね。お姉ちゃん、出来るだけ早く帰るから。うん」 ピッ
P「どうだ? 連絡はついたか?」
やよい「はい。でも、もうお家に食材があまりないしくて、どこかで買い物していかないと――」
P「分かった。じゃあどこかスーパーに寄っていくか」
やよい「えっ!? で、でもプロデューサーも遅くなっちゃうし、途中で降ろしてもらって――」
P「何言ってんだ。食材を買うなら手荷物も増えるだろうし、車なら早く行って早く帰れる」
P「電話聞こえてたんだが、今日はご両親がいなくて大変なんだろう? 遠慮なんてするな」 ポンポン
やよい「ほ、本当ですかぁ? ありがとうございます!」 ペコリ
P「で、どこへ行くかな……。あ、今それっぽい看板見えたけど、ここでもいいか?」
やよい「ありがとうございま……あっ。こことっても高級な食材を売ってる所……」
52:
P「あ、そうだったのか。じゃあ別の場所に行くか?」
やよい「うぅ、でも早めに帰らなきゃ、みんなおなか空かせてるだろうし。でも持ち合わせもないし……」
P「……どうせなら惣菜を買って帰るか? その方が早く食べられていいだろうしな」
やよい「へっ? お惣菜ですか? でも今持ってるお金はそんなに無いし――」
P「あぁ。惣菜分は俺が出すよ。元々遅れたのはこっちの都合だしな。お詫び料だ」
やよい「えっ? そ、そんな……。流石にそこまではプロデューサーにわるっ……」 ムグッ
P「やよい。遠慮すんなって言ったろ」 ポンポン
やよい「でも……。い、いいんですか?」
P「いいともさ。それに最近は惣菜を買って食べることにハマっててな」
やよい「お惣菜にハマってる……ですか?」 キョトン
P「おう。俺の趣味で見てるドラマでこんな話があってだな――」
終わり
53:

腹減った
55:

りっちゃんはずっと俺のアイドルだよ
56:

ビールと柿ピー開けてしまった
5

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