京太郎「和に告白しようとしたらとんでもないことになった」back

京太郎「和に告白しようとしたらとんでもないことになった」


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1:
衣「………」イライラ
一(なんで、衣こんなに機嫌が悪いの)
純(どうやら、おやつを盗み食いされたらしいぜ)
一(うわぁ。それは衣も怒るよ)
純(さすがにまずかったかなぁ)
一(純くんがやったんじゃん。ちゃんと謝っときなよ)
純(へいへい)
透華「………」ヒエヒエ
智紀(なぜ、今、冷えてるの)
一(虫のいどころの悪い衣が、透華を麻雀でボコボコにしたらしい。タイマンで)
純(おいおい、二人がこんな状態なんて、ダブル役満かよ)
一(ついつい衣を煽っちゃたんだよね。楽しくって)
純(目の間で見てたのかよ。しかも助長させたのかよ。なにやってんだ)
衣「暴れたりん」ゴゴゴゴゴゴ
透華「…………」キンキラキン
一(こういう時って、起こるんだよね)
純(おう……今回は何が起こるだろうな)
智紀(超常現象……)
―――――電波の歪み。
2:
京太郎「なんだかんだこれまでチキってたけど」
京太郎「今日こそ和に思いを伝えるんだ!」
京太郎「よしそうと決まれば、放課後、体育館裏に和を呼び出そう」ピコピコ
件名:大事な話があるんだ
本文:放課後、体育館の裏に来てくれないか?
京太郎「……これでよし」
京太郎「送信、っと」
京太郎「うっわ、今から緊張してきたぜ……」
ブブブ ネジマゲデンパ
咲「ん? 京ちゃんからメールだ。えっと、なになに……」
咲「うふぇっ?!」
4:
咲(放課後、体育館、呼び出し)
咲(えっ、こ、これって、もしかして、もしかすると、もしかすると……?!)
咲(お、落ち着こう。私の早とちりかもしれないよ)
咲「一応、返信して確かめよう」ピッピッ
【咲⇒京太郎】
件名:えっと
本文:からかってない?
咲「ううっ、これでいいのかな。いいよね、送っちゃえ!!」
ブブブ
京太郎「んん? 咲からメールだ……」
京太郎「からかう? 俺、なんか咲にヘンなことしたっけか」
5:
優希「どうした、京太郎」
京太郎「ちょっとメールがな。それより早く進路希望調査票、出してくれよ」
京太郎「うちのクラスだけ遅れてるんだぞ」
優希「ああそうか。京太郎が集めるのか」
京太郎「先生に頼まれて仕方なくだけどな。普通委員長がやるもんだろ、こういうのは……」
優希「それはそうだじぇ。待ってろ……ほい、書いたぞ」
京太郎「どれどれ、お前は何になりたいんだ」ペラ
『メキシコ人のお嫁さんだじぇ!』
京太郎「……」
優希「ふふん、これでタコスも食べ放題!」
京太郎「呆れてものも言えないぜ」
ブブブ
京太郎「今度は部長からだ」
【久⇒京太郎】
件名:遅い!
本文:あなたのクラスだけ、進路希望調査全員分出てないんだけど。
 厳密に言うと、優希のだけ。
6:
京太郎「おい、これ見ろ! 優希のせいで怒られたじゃねえか!」
優希「それはすまんかったなぁ」モグモグ
京太郎「てめえ……早弁しながら言うセリフじゃねえよなぁ?」
京太郎(ったく、こっちは放課後に向けていろいろ準備したいってのに)
優希「まーまー怒るな。ほら、私が部長にメール送っといてやるから」
優希「貸してみ?」
京太郎「ったく…ちゃんと頼むぜ?」
優希「任せろ。ふんふんふーん……」
京太郎「あっ、タイム!」
優希「なんだ?」
京太郎「ちゃんと敬語使って書けよ!」
優希「わかってるって……」ピッピッ
【京太郎⇒咲】
件名:遅くなって悪かった
本文:先にメールで言っておきます。お嫁さんです。
優希「そうしんっ!」
7:
ブブブ イジゲンデンパ
咲「き、きたよっ」ドキドキ
咲「……おっ、およっ?!」
咲「どどどどどどどどどおおおおいうことこれ!!?」
咲(お嫁さんです、ってことは……)
咲(お嫁さんです⇒お嫁さんにしたい⇒結婚しよう?!?!?!?)
咲(そ、そんなまだはやいよプロポーズなんて)ドキドキ
咲「でもこれは勘違いじゃないよね。うん、やった、ついに京ちゃんから♪」
咲「そうなれば、こうしてられないよ。誰かに相談しなきゃ」
咲「そうだ……こういう時、一番頼りになるのは」
咲「やっぱり、染谷先輩かなぁ」
咲「結婚を申し込まれたら、だと非現実的だから、ソフトな感じに……」ポチポチ
【咲⇒まこ】
件名:相談です
本文:告白されたら、返事はどうしたらいいですか?
8:
ブブブ
まこ「咲からメールじゃ……なんじゃと?」
まこ(告白ということは、京太郎か?)
まこ(てっきり京太郎は和のことが好きかと思っとったが)
まこ(わしの勘違いじゃったか)
【まこ⇒京太郎】
件名:それはもう
本文:好きです
ボボボボボヘンゲンデンパ
まこ「あっ、途中送信してしもうた」
まこ「もう一通送るかの」
【まこ⇒咲】
件名:途中送信すまん
本文:それはもう、「好きです」でええんじゃないか。思っとることを、正直にの。
9:
優希「おい犬、携帯なってるじぇ」
京太郎「分かってるよ。和から返事かな………ヴァッ?!」
優希「どうした?」
京太郎「な、な、なんでもねぇ!」
優希「?」
京太郎(う、うそだろ。染谷先輩が、俺のことを!?)フルフル
京太郎(和に告白しようと決意した、まさにこの日に……なんてタイミングだ)
京太郎(いや、染谷先輩のことも嫌いじゃねえけど、そんな風に見たことねえし)
京太郎(しかも【それはもう】って、どんだけ俺のこと好きなんだ……)
京太郎(俺は、一体どうすれば)
京太郎(……そうだ、こういうときは)
京太郎(部長に、相談してみよう)
【京太郎⇒久】
件名:相談です
本文:予想外の相手に告白されたとき、どうしたらいいですか?
12:
咲「あれ、途中送信なんてきてないけどな。勘違いかな?」
咲「まあいいや。うん、染谷先輩の言うとおりだよね、正直になるのが一番だ!」
咲「素直に好きですって、言おう。京ちゃんだって、言ってくれたんだから」(京太郎は好きとは言ってない)
咲「よし、そうと決まれば早……」ピコピコ
件名:あなたのことが
本文:好き。好き、大好き。思いがあふれて、止まらないよ。
咲「……ちょ、ちょっと重いかな?」
咲「でも両思いだし、問題ないよね、うん」
咲「えいっ、送っちゃえ!!」
スーパークウカンネジマゲコウカ
【咲⇒久】
13:
久「あら、須賀くんからメール。きっとさっきの返事ね」
久「こっちは忙しいってのに提出遅れだなんて、まったくもう……ん?」
件名:相談です
本文:予想外の相手に告白されたとき、どうしたらいいですか?
久「なにこれ。仕事のメール無視して、私用のメールですって?」イライラ
久「須賀くん、後でお仕置きね……何が告白よ、ノロケのつもり?」
ブブブ
久「あ、またメール。今度は、咲?」
件名:あなたのことが
本文:好き。好き、大好き。思いがあふれて、止まらないよ。
久「」
14:
まこ「………」
まこ「うーん、やっぱり納得いかんのう」
まこ「京太郎は、あれだけ和に熱い視線を送っとったのに」
まこ「咲のことが、実は好きじゃった? ありえん話ではないが」
まこ「やっぱり、ひっかかる」
まこ「ここは京太郎にかまをかけてみるかの」
【まこ⇒久】
件名:実は
本文:和もお前のことが気になっとるらしいぞ
まこ「これで、京太郎の心の動きを見てみる。もし少しでも和に未練があるなら」
まこ「動揺するじゃろうし。ここは『そんなの関係ありません』って男気を見せて欲しいけどの」
15:
久(えっ、なにこれ……どういうこと?)
久(まさに今、私が予想外の相手から告白されてどうしよう状態なんだけど。須賀くん、エスパー?)
久(というか、咲が、私を、好き?)フルフル
ブブブネジマゲデンパ
久「なによ、もう……またメール? 今度はまこ?」
久「こっちは混乱してるっていうのに、一体なによ」
件名:実は
本文:和もお前のことが気になっとるらしいぞ
久「」
久「」
19:
咲(京ちゃんに告白のメールをしたけど、返事が返ってこない)
咲(両思いとはいえ、やっぱり不安だよ)
咲(よし、善は急げ、教室まで会いに行こう!)

京太郎「うーん、部長から返事こないなぁ。仕事で忙しいのかもな」
優希「まぁ、生徒会長だしな」
京太郎「お前のせいでさらに忙しくなってる気もするんだが」
優希「まあ、私みたいなのがいるから、部長みたいな優秀なのがいる、この世の理だろ?」
京太郎「おいおい、言ってて悲しくならないかい?」
優希「ちょっとな」
20:
京太郎(さて、放課後だ)
京太郎「勝負、だな」
優希「ん? なんのだ?」
京太郎「実は、これから、和を体育館裏に呼び出すんだ」
優希「お前、まさか……」
京太郎「ああ、そうだ。もう、我慢できない」
優希(人目の付かない体育館裏、おっぱいのどちゃん、我慢できない)
優希(京太郎、お前ってやつは!!)
22:
優希「見損なったぞ、京太郎。お前がそんなやつだったなんてな」
京太郎「……」
京太郎(見損なった……か。そうだな、結局和のために部活に入ったようなもんだからな)
京太郎(そう思われても、仕方ねえ)
優希「己の欲望を満たすためだけに……そんなことしていいと思ってるのか!!」
京太郎「……仕方ないだろ、もう今更後に引けるかよ」
優希「っ、京太郎のばかやろーー!! 」バシーーン
京太郎「っ、ってえ……な、何もそこまですることねえだ――――」
ガラン
咲「優希ちゃん」
咲「何、やってるのかな」
23:
優希「え、さ、咲ちゃん? なんでそんな怖い顔」
咲「ん?」ニッコリ
優希「え、えっと、その……ごめんなさい」
京太郎(なんで、咲はそんなに怒ってるんだ?)
咲「ちゃんと、説明してほしいな」
咲「なんで、私の京ちゃんをぶったのかな?」
京太郎(え、今なんて言ったこいつ)
優希「だ、だって……」
まこ(京太郎からの返事がない。ここは、直接聞いて確かめるとするかの)
まこ(京太郎の教室は―――ここじゃの)
まこ「おーい、京太――」
優希「だって、京太郎が(のどちゃんを)襲おうとするから!」
咲「」
まこ「」
京太郎「」
24:
咲「」ボーゼン
まこ「おい京太郎……今の話、本当か?」
まこ「優希に、手を出したんか?」
京太郎「ち、ち、ちがっ、そもそも、優希は関係な――」
優希「言った!! 人目のつかない体育館で、誘い込んで、もう、我慢できないって」グスグス
京太郎「それお前の脚色入ってるだろぉぉぉぉおおおお!!!!!!」
優希「己の欲望を満たすがためにって」グシュグシュ
京太郎「それはお前が言ったことだろうが!!!」
久(いろいろ気になって一年生のクラスに来てみれば……)
久(なにこの入りづらい空気)
25:
まこ「だいたいの、京太郎、お前ははっきりせん!」
京太郎「はい?」
まこ「お前は和のことが好きだと思っとったが」
まこ「急に咲に乗り換えてみたり、かと思ったら優希に手を出したり……」
まこ「男として、最低じゃぞ!!」
京太郎「ええっ?!」
咲「そうだよ、京ちゃん、私が好きって言ってくれたじゃん!!」
京太郎「え、え??」
京太郎(な、なにがなんだか分からないよぅ……俺が泣きそうだ)
26:
京太郎「!」
京太郎「そ、そうだ。そもそも染谷先輩だって、俺のこと好きなんでしょう?」
まこ「はぁっ?」
京太郎「ふふん、恥ずかしがらなくていいですってば」
京太郎「あ、もしかして妬いてるんですか? 俺が咲や和や優希と話すのが嫌なんでしょう」ニヤニヤ
まこ「……」
まこ(こいつは何を勘違いしとるんじゃ?)
咲「そ、染谷先輩! あなたが京ちゃんをどう思ってても、私、絶対負けませんから!」
京太郎「え、咲、それってどういう……」
咲「もう、京ちゃんたら。私たち、結婚するんだよ?」
咲「ぷ、プロポーズしてくれて嬉しかったよ」モジモジ
京太郎「」
久「ちょ、ちょっと待ったーーーーー!!」
久「咲、私が好きって言ったわよね!? どういうことよ!!」
まこ「なんじゃと!!」
咲「えっ!?」
久「あれだけ私に熱烈な告白しておいて、なかったことにしてもらっては困るわよ!!」ドン
久「そ、それに和だって私のことが好きなんだから!」
京太郎「ふぁっ?!」
優希(……もう、わけがわからないよ)
27:
それから、話がおかしいと感じ始めたみんなは
お互いの携帯電話を見せ合った。それによって、なんとか誤解が解けたのだった。
京太郎「一日に、誤送信がこんなに積み重なるなんて……ありえねえ」
咲(ううっ、すっごく恥ずかしいよぉ……全部、全部勘違いだったなんて)
まこ(頭が痛い……)
久(バカ、私のバカ!)
優希「じゃ、じゃあさっきののどちゃんを呼び出したのも、のどちゃんを襲うためじゃなかったのか?」
京太郎「そんなわけないだろ、バカ優希!!」
咲「……」ズイッ
京太郎「な、なんだよ咲」
咲「京ちゃん……私でよかったら、ね?」
京太郎「あ、咲。俺、和のことが好きなんだ」
咲「」
和「………皆さん、遅いですね」
おわり
2

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