男「よ、久しぶり」従妹「……」back

男「よ、久しぶり」従妹「……」


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従妹「……」プイッ
男「……あれ」
母「棗ちゃんも難しい年頃みたいなのよ」
男「去年まで『兄ちゃん遊ぼー!!』って抱きついてきてたのになぁ」
従妹「……兄ちゃんの馬鹿」
あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。 Blu-ray BOX(完全生産限定版)
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5: 以下、
母「長旅疲れたでしょ。お風呂できてるから入っちゃいなさい」
従妹「ありがとう、おばちゃん」
従妹「……はあ、気持ちいい」チャプ
ガラガラ
従妹「!?」
「ふぁぁ……ねむー」
従妹「兄ちゃん! 今ボクが入ってるよ!」
「棗か? じゃあ後にすっか」
従妹「ふう……」
「久しぶりに一緒に入るか?」
従妹「は……っ!? 入らないよ!」
3: 以下、
続けたまえ
7: 以下、
ぼく?ぼく!ぼくぅ!
8: 以下、
男「そんなに大声出さなくても」
「いいから! 入ってきたら絶交だから!」
男「はいはい」
男「……? これは」
従妹「早く脱衣所から出てよ!」ガチャ
男「わかったわかった! そんなに怒るなって!」ガラガラ
10: 以下、
ガラガラ…ピシャッ
従妹「……はぁ」
従妹「兄ちゃん……ボクのパンツ見てたのかな」
従妹「……女ってバレたかな」
男「棗に俺のパジャマおさがりしたんだな」
母「『兄ちゃんのおさがりがいい』って昔から言ってたからねぇ」
男「ふーん。わかんねー年頃だな」
11: 以下、
従妹「……兄ちゃん、風呂」
男「おう」ガタ
母「棗ちゃん、麦茶飲む?」
従妹「うん」
ガラガラ……ピシャッ
従妹「はぁぁ……」
母「どうしたの? ため息ついて」
従妹「なんでもない」
12: 以下、
母「そんなに『兄ちゃん』の事が気になる?」
従妹「……ッぶふ!? ケホッケホッ!」
従妹「お、おばちゃん!?」
母「あら、図星だったの」
従妹「ぐ……」
母「棗ちゃんも女の子ねー」
従妹「……兄ちゃんには」
母「言わないわよ。頑張ってね、棗ちゃん」
16: 以下、
従妹「でも……兄ちゃんはボクの事、男だと思ってるみたいだし」
母「え」
従妹「さっきも一緒に入るか、とか言われたし」
母「あの馬鹿息子は……ありえないわ」
従妹「……」
母「棗ちゃんも、なんで黙ってたの?」
従妹「だ、だって、嫌われたらいやだし……」
母「おばちゃんが代わりに言ってあげようか?」
従妹「だ、だめ!」
13: 以下、
思春期特有の照れ臭さの少女の話しかと思っていたら
ぼくっこキャラの女の子だったわけで
と思っていたら
お兄ちゃんの前で男を演じてきてお兄ちゃんはわたしのこと男だと思ってるけど実はおっぱい膨らんできちゃってるしなんだか恥ずかしいよぉな女の子の話だった
17: 以下、
素晴らしい
19: 以下、
従妹「……言うから。帰るまでには言うから」
母「うん、頑張りなさい」
ガラガラ……ピシャッ
男「母さん麦茶……棗は?」
母「もう寝たわよ」
男「まだ19時だぞ……」
母「慣れないバスと電車の乗り継ぎで疲れてたんでしょ」
20: 以下、
男「おじさん達が来れないのに、よく一人で来る気になったなぁ」
母「それだけ楽しみにしてたんでしょ」
男「一人で来てもつまらないだろうに」
母「一人じゃないわよ。アンタがいるじゃない」
男「俺?」
母「照れくさくて素直になれないだけよ。優しくしてあげなさい」
男「本当かね……」
23: 以下、
…………
男「おはよー」
母「おはよう」
従妹「……」
男「棗、おはよう」
従妹「……おはよ」
男「よしよし、挨拶できるじゃねぇか」グシグシ
従妹「んっ、子供扱いすんなっ」
25: 以下、
母「ご飯自分でよそいなさいね」
男「へいへい。棗、おかわりは?」パカッ
従妹「……いい」
男「いっぱい食えよ。大きくなれないぞ?」
従妹「……ちいさくて悪かったね」ギロッ
男「……何怒ってんだ」
母「馬鹿ねぇ……」
31: 以下、
従妹「……モグモグ」
男「棗、今日の予定は?」
従妹「……」
男「俺は釣りに行くけど」
従妹「…………」
男「棗が来ないなら仕方ない。友達誘っていくかなぁ」
従妹「! いく!」
従妹「……あ」カァァ…
男「決まりだな」
36: 以下、
……
男「準備できたか?」
従妹「……ん」
男「夏は熱中症になりやすいからこれ被っとけ」グイッ
従妹「ん……ありがと」
男「……」
男「よし、出発」
42: 以下、
ミーンミンミン…
従妹「……あつ」
男「こっちでも日中は暑いだろ」
従妹「……」
男「なぁ、覚えてるか」
従妹「ん」
男「ずーっと昔、棗は幼稚園の時かな。二人でこの道まっっっすぐ歩いてった事」
49: 以下、
男「知らない景色が見えるまでずーっと歩いてさ、二人して海を目指したんだ」
従妹「……」
男「まぁ、海なんてここから何十キロも離れてるから無理なんだけどさ。昔の俺達はそんなの知らなくて……」
従妹「……」
従妹「覚えてるよ」
男「!」
従妹「覚えてる。忘れるわけない」
54: 以下、
従妹「兄ちゃん」
男「お、おう」
従妹「川、こっちでしょ」
男「あ……悪い、ぼーっとしてた」
従妹「……」
男「到着っと」
従妹「ふう……」
男「疲れたか? 水筒あるから、喉渇いたら飲めよ」
従妹「うん……」
59: 以下、
ザァァ…
従妹「わぁ……」
男「どうだ、田舎もいいもんだろ」
従妹「うん! 兄ちゃん、早く釣ろうよ!」
男「ようやく笑ったな」
従妹「! え、あ……」
男「そっちの方が棗っぽくていいぞ」
従妹「…………っ」プイッ
男「あはは」
66: 以下、
ミーンミンミン…
従妹「! きた!」グイッ
パチャ
従妹「……逃げられた」
男「いや、今のは引いてなかったな」
従妹「そうなの?」
男「多分、仕掛けが川底に乗った所為で浮きが倒れたんだ。見てみろ、針に水草が引っかかってるだろ」
従妹「うん」
男「ちょっと浮き下を調整しよう。貸してみ」
従妹「……ありがと、兄ちゃん」
71: 以下、
ミーンミンミン…
従妹「きた! やった! また釣れた! 見て見て兄ちゃん!」
男「ぐ……負けてる」
従妹「しかもほら! 今日一番大きいよ!」ビチビチ
男「ヤマメか……やるじゃないか」ワシャワシャ
従妹「へへっ」
男「そいつ魚籠に入れたら休憩しよう。もう昼だ」
従妹「ん……あれ?」グ…
男「どうした?」
72: 以下、
従妹「こいつ、針飲み込んでる……」
男「これ使え。針に引っ掛けて一回押し込むんだ」
従妹「え……怖いよ」
男「……しょうがない、一回だけだぞ」
男「よく見ておけ。こうやって、奥に押し込む」グッ
従妹「……っ」
男「ちょっと血が出るけど、まあ大丈夫だ。次は自分でやるんだぞ」
従妹「……うん」
73: 以下、
微笑ましいな
74: 以下、
えろいな
75: 以下、
>>74
お前の心汚れすぎだろ
76: 以下、
確かにエロいな
77: 以下、
……
男「いただきます……っと。あむ」モグモグ
従妹「……」
男「どうした?」
従妹「兄ちゃん、魚釣りもうやめない?」
男「なんだ、怖くなったのか」
従妹「だ、だって……」
男「……」
81: 以下、
男「一つ大人になったな」ワシャワシャ
従妹「……っ!? 兄ちゃん?」
男「棗が痛みのわかる人間で、兄ちゃん嬉しいぞ」
男「棗みたいに都会に住んでると忘れがちだけど、俺達はこうやって傷つけあったりして生きてるんだ」
男「ああやって魚だったり牛だったり、生きている奴らを食べる。田んぼだった所を埋めて家を立てる、道を作る」
男「俺達はそういう痛みを忘れちゃいけないんだ」
従妹「……兄ちゃん」
男「なんてな、早く飯食え。アリに食われるぞ」
従妹「え……うわっ!?」
82: 以下、
なにこのお兄ちゃん…かっこいい……
84: 以下、
男「ごちそうさん。足りたか?」
従妹「うん」
男「じゃあどうするかな……釣り以外だと」
従妹「兄ちゃん、やっぱり続けよう」
男「ん?」
従妹「ボク、兄ちゃんみたいにカッコよくなりたいから……」
男「……」
男「おっし、頑張れよ」
従妹「うん!」
88: 以下、
カナカナカナカナ…
男「ただいまー」ガラガラ
母「おかえり。あら、棗ちゃんまで真っ黒になって」
従妹「おばちゃん、これ」
母「あら、大漁じゃない」
男「俺塩焼きがいいな」
従妹「ボクは天ぷら」
母「はいはい、了解しました」
従妹「釣り対決はボクの勝ちだね」
男「ビビって針も外せないくせに……」
従妹「さ、最後ちゃんとハズしたじゃん!」
96: 以下、
男「汗くせー。風呂できてる?」
母「できてるわけないでしょ。アンタ洗ってきなさい」
男「……シャワーでいいや」
従妹「……スンスン」
母「ね、何かあったの?」
従妹「わっ!? な、何かって何が?」
母「普通に話せるようになってるし、言えたの?」
従妹「……まだ」
101: 以下、
母「そっか。でも近いうちに気付いてくれるかもよ」
従妹「え、なんで?」
母「ムスッとしてるとちょっと男の子っぽいけど、笑った棗ちゃんはとっても女の子で可愛いもの」
従妹「ボクが……女の子」
男「母さん石鹸がない」ガラッ
従妹「え!? わ! わわわわ!?」
男「? どうした棗」
母「恥ずかしいからお客さんが来てる時くらいパンツ一丁で歩かないでくれる」
102: 以下、
男「何言ってんだ母さん。お客さんなんて水臭い」
母「親しき仲にも礼儀ありって言葉を知らないのかい」
男「知ってる知ってる。それより、石鹸」
母「持っていくから、さっさと風呂場に引っ込みなさい」
男「へいへい」ガラッ
従妹「……おばちゃん」
母「なに?」
従妹「ボク、やっぱり女として見られてないね」
母「大丈夫、夏休みはまだ始まったばかりよ!」
104: 以下、
ガラガラ……ピシャッ
男「はー、さっぱりしたー」
男「お、夕飯もうできてんのか」
母「天ぷらは随時追加するから先食べてて」
父「棗ちゃんも待ってるんだ、早く座りなさい」
男「今日は早いんだな」ガタ
父「そう毎日残業してられん」
母「お父さんたら、棗ちゃんの顔が見たくて早く帰ってきたのよ」
父「母さん!」
男「あはは……」
105: 以下、
男「いただきます」
従妹「ん! うまー! おばちゃん、天ぷら美味しいよ!」
母「そう? じゃんじゃん食べてね」
男「どれどれ」ヒョイ
従妹「あ! ボクの天ぷら!」
男「いや、別にお前限定メニューじゃないだろ」
従妹「兄ちゃんは塩焼きって言ってたじゃん!」
父「相変わらず仲がいいな」
母「ええ」
107: 以下、
……
男「食べたー」ゴロン
従妹「兄ちゃん、行儀悪いよ」
男「大皿持って逃げたお前に言われたくない」
従妹「わ、悪かったよ……」
男「ま、ムスッとした顔してるより万倍いいけどな」
従妹「……」
リーリー…
従妹「こっちの夜は涼しくていいね」
男「扇風機もいらないからな。向こうじゃ考えらんないだろ」
従妹「そうだねぇ」
109: 以下、
リーリー…
男「風呂あいてるから入ってこいよ」
従妹「! 汗臭かった?」
男「いや、別に?」
従妹「……そっか」ホッ
従妹「風呂から上がったら宿題教えてよ」
男「ああ、起きてたらな」
従妹「ちゃんと起きててよ!」
男「あはは、早く行ってこい」
114: 以下、
チャプ…
従妹「はぁ……気持ちいい」パチャ
従妹「……兄ちゃんの手、おっきかったなぁ」
従妹「兄ちゃん、ボクの笑った顔褒めてくれたし……」
従妹「あ、どうしよう。ニヤニヤが止まらない」
従妹「……兄ちゃん」
117: 以下、
ガラガラ……ピシャッ
従妹「上がったよ」
男「ぐー」
従妹「……」
従妹「……」キョロキョロ
従妹「……」プニプニ
男「ん……」
従妹「兄ちゃん」プニプニ
男「ぐー」
118: 以下、
母「棗ちゃん、スイカ……あら」
男「ぐー」
従妹「すぅ、すぅ……」
母「フフ……こうしていると、本当の兄妹みたいね」
男「ぐー」
従妹「ん……兄ちゃん」スリスリ
123: 以下、
…………
従妹「ん……朝?」
従妹「っ……身体痛。ってか、なんか動きづらい」モゾモゾ
男「ぐー」
従妹「……」
従妹「!? !? !?」
125: 以下、
従妹「え、なんで兄ちゃんが!?」
男「んんー」ギュウ
従妹「むぷ!? にいひゃ……」モゾモゾ
従妹(うう、兄ちゃんの匂いと体温が……)
従妹(てか、兄ちゃんに匂い嗅がれてる! ヤバい! 恥ずかしい!)
従妹「く……このっ」グッ
男「ぐー」ギュウ
従妹「……逃げれない」
127: 以下、
……
男「ふあぁ……よく寝た。ありゃ、居間で寝ちまったのか」
従妹「おはよう、兄ちゃん」
男「おう、おはよう。……どうした、疲れた顔してるけど眠れなかったのか?」
従妹「あはは……ちょっとね」
従妹(兄ちゃん、あれは刺激が強すぎるよ)
128: 以下、
……
男「モグモグ……今日はどうする?」
従妹「昨日、宿題やらずに寝ちゃったから午前中に勉強する」
男「えらいなぁ。俺なんか」
母「アンタの自慢話なんか聞きたくないわよ。ね、棗ちゃん」
男「……」
従妹「あはは……」
母「今日は夏祭りあるから、午後からでも棗ちゃん連れてってあげなさい」
従妹「お、おばちゃん」
男「あいよ」
130: 以下、
母「夜は花火大会もあるし、ゆっくりしておいで」
男「棗が行きたくないならいいけど、どうする?」
従妹「……行きたい」
男「決まりだな。じゃあさっさと宿題終わらせるか」
従妹「ん」
131: 以下、
……
男「じゃあわからない所があったら聞いてくれ」
従妹「うん」
従妹「兄ちゃん、グラフの書き方がわかんない」
男「おい、あんまりにも早くないか」
従妹「……数学は苦手なんだ」
男「数学ばっかしガッツリ残しやがって……」ペラ
従妹「兄ちゃんだけが頼りなんだよぅ」
男「……はぁ、今年も頑張るか」
133: 以下、
男「……じゃあこのグラフとx軸が交差するは?」
従妹「えと……2?」
男「そう! やればできるじゃないか」ワシャワシャ
従妹「えへへ……」
男「その要領で問3まで終わらせよう。終わったら昼飯だ」
従妹「うん」
男「しかし不思議だな。数学だけなんで毎年ここまでダメになって来るんだか」
男「…………わざと?」
従妹「わ、わざとじゃないよ!」
136: 以下、
従妹「数学の授業はなんか頭に残らないんだ。板書はまんま教科書だし、説明する気がないとしか思えない」
男「あー、そこは先生によるかも知れないな。俺も三年の時に先生変わって苦労したし」
従妹「兄ちゃんの説明はわかりやすいし、何より……」
男「ん? どうした」
従妹「と、とにかく兄ちゃんの教えて方はうまいの!」
男「そ、そうか? 照れるな」
従妹(言えない……目を瞑ると兄ちゃんと勉強した光景が蘇るなんて言えない)
137: 以下、
従妹「………………終わったー!」
男「お疲れさん。昼飯できてるぞ」
従妹「兄ちゃんの手作り?」
男「俺式チンジャオロースだ」
従妹「やたっ」
男「先に手ぇ洗ってこいよ」
従妹「わかった!」タタタ
男「……半分くらい間違ってるけど、今は黙っておこう。頑張れ、明日の棗」パタン
138: 以下、
従妹「いただきます!」
男「召し上がれ」
従妹「モグモグ……美味しい! 美味しいよ!」
男「はは、チンジャオロースの素使った簡単料理だけどな」
従妹「うまっ! うまっ!」パクパク
男「そんなにがっつかれると、作った甲斐があるってもんだ」
143: 以下、
従妹「!」ピクッ
男「どうした? 舌でも噛んだか?」
従妹「……」
従妹「…………兄ちゃん、さ」
男「おう」
従妹「食い意地のはった女の子は嫌い?」
男「唐突だな」
従妹「あっ、いや、ちょっと気になっただけだから、気にしないで!」
145: 以下、
従妹「……」モグモグ
男「……」
男「そうだなぁ……食い意地がはってるってのはちょっとなぁ」
従妹「え……」
男「でも、俺は美味しそうに飯を食う人は好きだし、自分の作った料理なら、尚更うまいうまいって食べて欲しい」
男「一緒に飯食ってるだけで幸せな気持ちになれる人がいたら……多分好きになっちまうだろうな」
146: 以下、
従妹「……そっか」
男「棗、箸が止まってるぞ。ごちそうさまか?」
従妹「まさか! おかわりするとこだよ!」
男「はは、いっぱい食って大きくなれよ」
男「モグモグ……ん、うまい」
148: 以下、
……
従妹「うう……」
男「いっぱい食えとは言ったけど、食い過ぎだろ」
従妹「くるぢい」
男「出発は少し時間置いてからだな」
従妹「おばちゃん達は?」
男「今日は本家さんとこ行ってるよ。多分泊まりだろ」
ミーンミンミン…
従妹(じゃあ今夜は……)
149: 以下、
従妹(二人きり……? ウソ、緊張してきた……)
男「棗」
従妹「! はい!?」
男「俺、ちょっと晩飯の買い出ししてくるから、留守番よろしく」
従妹「あ、うん」
男「ま、一時間かからないだろうし、戻ってきたら出発な。準備しとけよ」
従妹「わかった」
151: 以下、
…………
男「よし、じゃあ行くか。ちと遠いけど、歩いて行くぞ」
従妹「うん」
男「そういえばさ」
従妹「ん」
男「海目指して歩いた時」
従妹「ラムネ?」
男「よくわかったな」
従妹「ボクも同じ事考えてたし」
男「そっか……」
152: 以下、
男「貯金箱ひっくり返して、ありったけの小銭持って出掛けたんだよな」
従妹「一円と五円ばっかしだったね」
男「ギリギリ80円のラムネを一本買って、二人で飲んだっけなぁ」
従妹「あの味は今でも忘れられないよ」
男「ぬるかった!」
従妹「そう、ぬるかった!」
男「ククク……」
従妹「ふふ……」
154: 以下、
男「……ここが、あの時の駄菓子屋だ」
従妹「いつごろ?」
男「もう5年くらいかな。婆さん、身体壊したらしくて店仕舞いしちまった」
従妹「そっか……」
男「覚えておこうな」
従妹「ん」
158: 以下、
…………
従妹「なんというか……」
男「みなまで言うな。これでも最近頑張ってるんだぞ」
男「一番酷い時なんか、焼き鳥屋と飲み物屋、かき氷の屋台しかなかったんだ」
従妹「どうしてそんな事に」
男「単純に人がいないからさ。住人がいないから実行委員会に金が集まらないし、有志がいないから屋台が回らない」
男「でも最近、街に出てた人達が戻ってきててさ、ここまで盛り返してきたんだ」
159: 以下、
従妹「兄ちゃんは、ずっと地元で生きていくつもり? 地元、好きなんでしょ?」
男「そうだなぁ……」
男「最後は戻ってきたい、かな」
従妹「じゃあ一旦は出るの?」
男「わがんね。ってか、どうした急に」
従妹「……」
従妹「兄ちゃんが、どっか遠くに行ったら嫌だな……って」
162: 以下、
男「今でも十分遠くに住んでる気がするけど」
従妹「そうだけど……」
従妹「嫌なんだ。兄ちゃんが『ボクの知らない世界』に行っちゃうのが……」
男「……」
従妹「んっ」クシャ
男「何言ってんだ。棗の方が、人生観ガラッと変わる出来事に出会う可能性高いんだぞ。若いんだから」ワシャワシャ
従妹「ボクは変わらない!」
男「じゃあ俺も変わんねーよ。俺達が忘れない限り、俺達は同じ世界にいる」
164: 以下、
「おーい、啓太ー!」
男「ん?」
男子A「よう、久しぶり」
男「おう、一学期以来だな。今日は?」
女子A「クラスの余り者達で花火を見に来たの」
従妹(これだ、この感じ。時々、兄ちゃんがとてつもなく遠く感じる……)
男子B「お前用事があるって言ってたのに……まさか彼女か!?」
女子B「えー、啓太君の彼女?」
男「彼女じゃなく、親戚」
165: 以下、
ん?
167: 以下、
従妹(親戚……)
男子C「なぁ、ちゃんと紹介してくれよ」
男「ああ。母さんの姉……伯母さんの『娘』の棗だ」
従妹「……え」
168: 以下、
雲行きが怪しくなってまいりました
169: 以下、
「じゃーな、棗ちゃん」
「またねー」
男「さて、俺達も何か買って見晴らしのいい所に」
従妹「兄ちゃん……」
男「ん?」
従妹「知ってたの?」
男「……何を」
従妹「ボクが……女って事」
男「何言ってんだ。棗は女だろ」
176: 以下、
従妹「だ、だって兄ちゃん、一度もボクの事、女扱いしてくれた事なかったじゃん!」
男「違う、棗。俺はお前が女扱いすると嫌がるから、実の弟のように接してきたんだ」
従妹「ボクが嫌がるから?」
男「ああ。俺がママゴトでも提案しようものなら、『馬鹿にするな』と怒鳴り散らしたのはお前だろ」
男「だから俺は今日までそうやって接してきた。それは、間違いだったのか? 棗」
従妹「兄ちゃん……ボクの事、全然分かってないよ。ボクがこんな風になったのは……全部、兄ちゃんに嫌われたくなかったからなのに」
男「俺に……?」
179: 以下、
従妹「ボクの中の一番古い記憶……ボクがまだ『女の子』だった頃、兄ちゃんちに遊びに来てた時の話」
従妹「ボクは近所の子供達にからかわれて泣いていた。見知らぬ男みたいな女がいる、って」
従妹「『女の子』だったボクはただ泣いていた。女の子なのに、男みたいだから坊主にしろとか、チンチンあるんじゃないかとか言われて……悔しくて泣いた」
従妹「その時、兄ちゃんが助けてくれた。意地悪な奴らを追い払ってくれて……格好良かった」
従妹「でも、兄ちゃんはボクに言ったんだ。『やられっぱなしで泣いている奴は嫌いだ』って」
184: 以下、
従妹「傷付いた。全てを否定された気分だった。天国から地獄に落ちたら、きっとあんな気持ちなんだろうと思う」
従妹「兄ちゃんがそんなつもりで言ったんじゃないってのは……今ではわかってる」
従妹「でも……あの日、あの瞬間から『泣き虫な女の子の私』は…………表に出て来れなくなったんだ」
ヒュー… ドーン ドーン ドーン
男「棗……」
従妹「……」
187: 以下、
従妹「怖かったんだ。兄ちゃんに、また『嫌いだ』って言われるかと思うと、女である事をさらけ出せなかった」
従妹「そうしている内に、兄ちゃんから女扱いされなくなって、本当に兄妹みたいで……心底楽しかった」
従妹「でも、もう辛いんだ。兄ちゃんと触れ合う度、胸が締め付けられるんだ。兄ちゃんの笑顔を見てると、身体が熱くて苦しいんだ」
従妹「ボクは……兄ちゃんが好きで好きでしょうがないんだ!」
186: 以下、
キタワァ━━(n‘∀‘)η━━!!!
189: 以下、
男「棗…………!?」
従妹「……っく」ギュッ
男「棗、おい、大丈夫か?」
従妹「大丈夫……ちょっと頑張りすぎただけだから」
男「……ごめんな、棗。こんなにも、お前を苦しめていたなんて」
従妹「……ほとんどは勝手に傷付いたボクが悪いんだし」
男「いや、年下の女の子を傷付けて……俺はとんでもない馬鹿餓鬼だった」
190: 以下、
ドーンドーン ドーン ドーン
男「落ち着いたか?」
従妹「うん」
男「おぶるから今日は帰ろう」
従妹「でも、ここから結構距離あるし……」
男「お前の兄ちゃんは、女の子一人背負えない軟弱者なのか?」
従妹「……女の子」
192: 以下、
……
従妹「重くない?」
男「軽い軽い。ちゃんと食ってるか?」
従妹「……む」
従妹「食べてるよっ」ムニッ
男「うお!? 棗!」
従妹「へへ」
ドーン ドーン…パラパラ……
193: 以下、
あててんのよ
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4088738950/
194: 以下、
従妹「兄ちゃん」
男「ん」
従妹「好き」
男「さっきも聞いた」
従妹「大好き」
男「俺もだ」
従妹「……え?」
男「なんだよ、そんな驚いて」
従妹「だって、ボク全然女の子っぽくないよ?」
男「……ふふ」
従妹「な、なんで笑うの」
195: 以下、
男「いや、こんなに近くにいたのに、俺達何一つ分かってなかったなぁって」
従妹「どういう事?」
男「最初に好きって言えたら、こんなに遠回りして歪まなくて良かったのに、って思ったんだ」
従妹「ん」
従妹「でも、遠回りしたり歪んだ分も、ボクはその分も兄ちゃんを好きになれた」
従妹「傷はまだ癒えてないけど、いつか全部、兄ちゃんに真っ直ぐ向き合う力になると思うから」
258: 以下、
……
従妹「ただいま」
男「おかえり」
従妹「兄ちゃんも今帰ってきたところじゃん」
男「細かい事は気にすんな。それより腹減ったろ、何か作るわ」
従妹「結局屋台で何も買わなかったしね」
男「また今度、盆踊りあるからその時な」
従妹「約束だよ」
男「ああ」
260: 以下、
男「簡単に野菜炒めにするか」
従妹「ボクもなんか手伝うよ」
男「じゃあピーマンとキャベツ刻んでくれ。俺は味噌汁の準備するから」
従妹「わかった」
従妹「兄ちゃん」
男「ん」
従妹「指切った」
男「……待ってろ、絆創膏持ってくる」
261: 以下、
男「……これでよし。しかし、料理できないなら言えよな」
従妹「料理くらいできるし」
男「一瞬で怪我した奴の台詞じゃないな」
従妹「あれは……その」
男「なんだ」
従妹「ちょっと浮かれてて……」
男「……」
従妹「わっ!? に、兄ちゃん!」ワシャワシャ
男「ほら、さっさと飯作るぞ」
262: 以下、
従妹「よ、ほっ」ザクザク
男「そんなに力まなくてもいいから」
従妹「力んでないよ」
男「ああっ、余所見しない」
従妹「……兄ちゃん、お母さんみたい」
男「まあ、あながち間違いじゃないな。箸の持ち方教えたのも俺だし」
従妹「お母さん、ブラの選び方教えてー」
男「!? 棗!」
従妹「あはは、兄ちゃん慌ててる」
265: 以下、
男「完成ー」
従妹「早く食べよう。もうペコペコだよ」
男「じゃ、いただきます」
従妹「いただきます」
従妹「ん、おいしい。自分が作ったのだと、余計おいしく感じるね」
男「そうだろう。心理的な部分もあるし、自然と味が自分好みに寄るしな」
従妹「兄ちゃんどう? ボクの味付けは」
男「美味いよ。塩味強めでご飯が進む」
従妹「遠回しにしょっぱいって言ってない?」
男「深読みしすぎだ」
268: 以下、
従妹「そういや兄ちゃん」
男「ん?」
従妹「一緒に食事するだけで幸せな気持ちになる人がいたら好きになるだろうなって言ってたけど、あれって……」
男「ああ、食事に関してな。誰だって、食卓囲むならそういう人がいいだろ。暗い雰囲気で飯食うなんて、俺は御免だ」
従妹「……そうだね。うん、ボクもそう思う」
男「棗はどうだ」
従妹「え」
男「俺と一緒に飯食ってる時、幸せか?」
269: 以下、
従妹「……うん。ボクは兄ちゃんと一緒の時が一番幸せだよ」
従妹「ご飯だけじゃない。どこへ行くのも、何をするのも、寝る時だって……兄ちゃんと一緒がいい」
男「そっか……」
男「棗は甘えん坊だな」ワシャワシャ
従妹「ん……そういう兄ちゃんはどうなの」
男「俺か?」
男「俺も棗と一緒の時が一番楽しいよ」
従妹「甘えん坊」
男「うるせい」
272: 以下、
リーリー… リーリー…
従妹「風呂掃除終わったよ」
男「ん、サンキュー」
従妹「縁側で何してたの?」
男「いや、今日は満月だなって」
従妹「本当だ」
男「棗も立ってないで座れよ」
従妹「うん」
男「……棗?」
従妹「に、兄ちゃんの膝はボクの特等席だから……」
男「……」
273: 以下、
従妹「ん……」モゾ
男「……棗も大きくなったな」
従妹「小さい小さい言われてたような気がするけど」
男「小さいとは一言も言ってない。大きくなれないぞとは言ってたけど」
従妹「似たようなもんじゃん」
リーリー…
男「昔は腕の中に収まるくらい小さかったのにな……」
従妹「……」ギュッ
275: 以下、
従妹「月、綺麗だね」
男「……そうだな」
従妹「……」
男「……」
男「棗」
従妹「……ん」
男「そのまま寝てもいいからな」
従妹「ん」
リーリー… リーリー…
277: 以下、
……
男「よっ……と」
従妹「すぅ……すぅ……」
男「かわいい寝顔しちまって……」
男「……さて、風呂入ってくるかな」
従妹「ん……兄ちゃん」モゾ
男「ありゃ、起こしちまったか?」
従妹「兄ちゃん、一緒に寝よ?」
男「いいけど、先に風呂入らせてくれ」
従妹「……じゃあ私も入る」
男「わたし……?」
278: 以下、
きたか
279: 以下、
ktkr!
280: 以下、
従妹「ん……」ヌギヌギ
男「! わかった棗、一緒に寝ような」
従妹「ん」
従妹「えへ……兄ちゃぁん」スリスリ
男「汗臭くないか?」
従妹「ううん、私、兄ちゃんの匂い好き」ギュッ
従妹「ん……兄ちゃんあったかい」
男「……」
281: 以下、
パンツ脱いだ
283: 以下、
なんだろうこの夏の終わる感じ
支援
284: 忍法帖【Lv=2,xxxP】(1+0:15) 投稿日:2012/09/04(火) 17:32:58.09 ID:kqukO6yrP
こんな夏を経験した事なんて一度も無いのにどこか懐かしく切ない
282: 以下、
従妹「兄ちゃん……」ウトウト
男「……」ナデナデ
従妹「ん……」
男(私……か)
男(棗のトラウマが癒えて『女の子』の部分が少しずつ出てきてるって事なのか?)
302: 以下、
男「くー……」
従妹「……ん」モゾ
従妹「……あれ、寝ちゃってたのか」
従妹「! 兄ちゃん!? 兄ちゃんと布団で!? え!?」
従妹「………………そうだ、ボクがねだったんだ」
従妹「は、恥ずかしい……」
303: 以下、
従妹「ってか、風呂も入らず寝ちゃったのか!」
従妹「マズい……汗臭いとか思われたんじゃ」クンクン
従妹「あ……兄ちゃんの匂い」
従妹「っじゃなくて、風呂入ろう、風呂」
304: 以下、
ガラガラ……ピシャ
従妹「ふう……あれ、兄ちゃん起きたんだ」
男「ん、ドアの音で」
従妹「ごめん、起こしちゃった」
男「俺も風呂入るしいいよ」
従妹「兄ちゃん、女のボクに会った?」
男「ああ」
従妹「そっか……」
306: 以下、
男「寝ぼけてたのかも知れないけど、それでも女の棗が出るって事は、トラウマが少しずつ癒えている証拠だと思うんだ」
従妹「……」
従妹「もし、ボクの傷が治ったら……今のボクはどうなるんだろう」
男「棗……」
従妹「少し怖いんだ。ボクとして生きてきた自分が、変わってしまうのが……」
男「棗は棗だ。何も変わらないよ」
従妹「変わらない……?」
307: 以下、
男「活発で男勝りな棗も、引っ込み思案で恥ずかしがり屋な棗も、全部棗だ」
男「新しい一面が現れたとしても、棗の他の顔が消える訳じゃない。女の子の棗が、今日まで棗の中で生きていたように」
従妹「あ……」
男「おいで、棗」
従妹「……」
男「何があっても、俺は棗の味方だ。だから、ないたい自分になればいい」ギュッ
従妹「兄ちゃん…………ありがとう」ギュッ
309: 以下、
…………
……
男「棗ぇ、準備できたかー?」
従妹「兄ちゃん……」チラッ
男「なんだ、コソコソして」
従妹「……笑わない?」
男「…………」
男「笑わないから出てこいよ」
従妹「うう……」
従妹「ど、どうかな」モジモジ
男「……」
従妹「な、何か言ってよ!」
312: 以下、
ふぅ…
313: 以下、
>>312
はええよww
314: 以下、
男「浴衣、似合ってるよ」
従妹「……っ」カァァ…
男「ほら、この間の仕切り直しだ」ス
従妹「う、うん……」ギュッ
「いってきます」
母「いってらっしゃい」
カラコロカラコロ…
従妹「スースーして落ち着かない……」
男「そんな調子で、学校の制服とかどうしてるんだ?」
従妹「ずっとジャージ着てたし……」
325: 以下、
男「でもパンツは女物なのな」
従妹「に、兄ちゃん!?」
男「普通に干してあんだもん。そりゃ気付くわ」
従妹「お、おばちゃん……」ワナワナ
男「……ま、ちょっとずつ慣らしていけばいいさ」
従妹「……」
従妹「うん」
329: 以下、
カラコロ…カラコロ…
従妹「……夢だったんだ」
男「……」
従妹「こうやって、手を繋いで兄ちゃんと歩くのが……」
従妹「兄妹みたいにじゃなく、恋人……みたいに」
男「棗……」
従妹「……」ギュッ
330: 以下、
従妹「兄ちゃん、今ならきっと恋人同士に見えるよね」
男「……」
従妹「……あ」グイ
男「恋人同士なら、もっとくっつかないとな」
従妹「……うん」
男「……」
従妹「ちょっとだけ、歩きづらいね」
男「そのぶん、この時間を楽しめると思えば悪くないだろ」
従妹「うん」
333: 以下、
男「今日はおにーさんが何でも奢ってやろう」
従妹「いいの?」
男「ぶっちゃけ、この間奢ってやろうと思ってた分があるしな」
従妹「じゃあね、焼きトウモロコシ」
男「よしきた」
従妹「!」ハッ
従妹「これって、端から見たらお守りされる子供じゃない?」
男「否定はしない。棗は小柄だし」
337: 以下、
従妹「やっぱり自分で買うっ」
男「まあまあ、棗。俺の話を聞け」
従妹「……なに」
男「他人の目にどう見えるか、どう思われるかなんて、重要じゃないだろ」
男「他人から見たら兄妹みたいでも、ママゴトみたいでも、俺達自身が楽しければそれでいいじゃないか」
従妹「兄ちゃん……」
339: 以下、
……
従妹「あーぁむ。……っくぅー!」キーン
男「元気になったのはいいが、ちょっとタガが外れ気味だな」
従妹「あ! 兄ちゃん兄ちゃん! 金魚いるよ!」
男「ま、棗が楽しそうなら、それが一番なんだけどな」
ツキガー デタデーター ツキガーデター アヨイヨイ
342: 以下、
ドダレダーレバッチャ ホーイホイー
「はい、ありがとうございましたー」
「以上で、大盆踊り大会の全日程を終了します」
従妹「うー、足痛い」
男「鼻緒で擦り切れたんだな。浴衣も着慣れてないだろうし、疲れたろ」
従妹「少しね。でも……楽しかった!」
男「そっか」
ヒュー… ドーンッ
従妹「わっ!?」
男「サプライズ花火か! やるな、今年の実行委員会は」
357: 以下、
カラコロ…カラコロ…
男「棗、ちょっと寄り道していこう」
従妹「寄り道?」
従妹「わあ……」
男「いい場所だろ。俺のお気に入りだ」
従妹「すごい数の蛍……」
男「沢の水が綺麗なんだろうな。他と比べても、ここだけ数が段違いに多いよ」
359: 以下、
男「それに、向こうの通りより暗いから蛍火が明るく見えるだろ」
従妹「うん……綺麗」
男「……」
従妹「……兄ちゃん?」
男「……棗も、やっぱり女の子だな」
従妹「なにそれ。まるで今まで女の子じゃなかったみたいじゃん」
男「いや、言い方が悪かったな」
男「今の棗は一際かわいいよ」
361: 以下、
従妹「……っ」カァァ…
従妹(兄ちゃんにかわいいって言われた! どうしよう……ドキドキが止まらないよ! うわ、顔超あっつい……これじゃ顔上げられないよ! どうしよう、わけわかんないよ)
男「棗?」
従妹「兄ちゃん……」プルプル
男「なんか震えて……んむ!?」チュ
従妹「……んぁ」チュ
362: 以下、
男「…………」
従妹「…………」
従妹(しちゃった)
従妹(キス、しちゃった)
男「……棗」
従妹「ほ、本気だから」
従妹「それがボクの、本気のキモチだから!」
368: 以下、
男「……」
従妹「……っ」ギュッ
従妹(嫌われた? いきなりキスなんて、嫌だったかな……)
従妹(何か言ってよ兄ちゃん……兄ちゃんの好きは、恋人の好きじゃなかったの?)
男「棗」
従妹「……」ビクッ
チュ
372: 以下、
従妹「んん!? チュ……っチュ」
従妹「ぷぁ……兄ちゃ……ンちゅ……クチュ……」ピクッ
従妹「ぷはぁ……」トロン
男「棗、これが俺の気持ちだ……!」
373: 以下、
ふぅ...
363: 以下、
パンツが高度13000mまで上昇した
374: 以下、
パンツが衛生軌道に乗った
375: 以下、
何かスゲー鬱だ
376: 以下、
従妹「……兄ちゃん」ジワッ
男「!? 嫌だったか!?」
従妹「違う……違うよ。嬉しくて涙が……」グスッ
男「棗……」ギュッ
従妹「兄ちゃん」ギュッ
380: 以下、
…………
男「じゃあまた、来年の夏に」
従妹「うん……」
男「……そんな顔すんなよ」
従妹「浮気したらダメだからね」
男「お前こそ、制服着るようになったら男子からの反応変わるぞ。浮気すんなよ」
従妹「大丈夫、ボクは兄ちゃん一筋だから」
プルルル…
従妹「あ……」
男「じゃあな、棗」
384: 以下、
従妹「ありがとう、兄ちゃん。大好きだよ」
従妹「また夏が巡って来たら、きっと…………」
終わり
388: 以下、

切ない
393: 以下、

そのうち、来年の夏編を書いてほしい
395: 以下、

来年の夏に続き書けよ
400: 以下、
なんかごめんなさい
しっかり書こうと思ってたのに端折りに端折ってしまった
障子さえなければ……
来年の夏は一緒にお風呂
405: 以下、
>>400
今来年の夏のを書いてもいいんだぞ
むしろ書いて下さいお願いします
404: エアロダイン ◆18l91MfJ0Y 投稿日:2012/09/04(火) 22:21:31.19 ID:Qr/pXyw20
こういうのもいいな

412: 以下、
来年の夏まで保守
414: 以下、
…………
「あのオトコ女変わったと思わねえ?」
「夏休み明けから急に制服着始めたしな」
「あれじゃん? 夏休みデビューってやつ」
「マジかよ! パコっちゃったわけ?」
従妹「……」
416: 以下、
きたああああああああ
けど鬱展開はやめてよね><
417: エアロダイン ◆18l91MfJ0Y 投稿日:2012/09/04(火) 22:38:28.40 ID:Qr/pXyw20
これはNTRの香りが
422: 以下、
「棗ちゃーん」
従妹「ん?」
「一緒に帰ろうよ」
「大会も終わったし、部活休みでしょ?」
従妹「まあ、いいけど」
9月1日、ボクは入学式以来初めて制服に袖を通した
クラスどころか学年、いや学校中の噂になった
今も女の服は慣れない
でも、大丈夫
ボクは、女の自分にも自信を持っていいんだ
428: 以下、
「今日こそは何で頑なにジャージ着てたのか、根掘り葉掘り聞かせてもらうよん」
従妹「じゃ、ボクこっちだから」
「ああっ!? そんな露骨に避けなくても」
制服を着るようになって変化が起きた
ひとつは、ボクと女子達の関係が変わった事
常にジャージを着て、男みたいな言動をしているボクは男子からも女子からも浮いていた
それが、少しだけ改善されたのだ
433: 以下、
従妹「マナ達も物好きだね。ボクみたいなのと一緒にいて楽しい?」
「棗ちゃんに言われたくないなぁ。年中ジャージの不良以上の物好きなんかいないでしょ」
従妹「……」ギロ
「ひい!? ごめんなさい!」
「まぁ、別にケンカしてる訳でもないし、避ける理由もないわよね」
「そうそう。せっかく同じクラスなんだし、仲良くしたいじゃん」
今では数人の女子がこうして帰りに誘ってくれる
女の身でありながら、まだ少し付き合い方がわからないけど、いつかありのままの自分で、彼女達と笑いあえたらと思う
438: 以下、
もう一つの変化は、男子の反応だ
ジャージを着ている時は、奇異の目、時に露骨な敵意の目で見られていた
「キモい」「調子に乗るな」「オトコ女」
黙っていても陰口はボクのところまで聞こえてきた
いや、聞こえるように言っていたのかも知れない
そういう連中に対してボクは『男のボク』として強く在り続けた
443: 以下、
「でも正直興味あるよ。棗ちゃんが心変わりした理由」
「私も気になる! ね、誰か好きな人できたの?」
「同じバスケ部の人? あ、伊藤先輩? かっこいいよねー」
的外れな推測だった
ボクの表面だけを見ている奴らを、どうして好きになれるだろう
まして、制服を着て、女らしく身嗜みを整えただけで色目を使う連中など……
ボクが好きなのは……
446: 以下、
「棗ー!!」
従妹「! 兄ちゃ……」
声が聞こえた
今すぐにでも抱き締めて欲しいと思っていた人の声
大好きな人がボクの名前を呼んでいた
男「棗! 3ヶ月ぶり!」
従妹「に、兄ちゃん……!」
452: 以下、
駆け出していた
飾り気のない学生鞄を放り出して
最愛の人のもとへ
従妹「兄ちゃん!」ガバッ
男「っとわ!? ……はは、そんなに嬉しかったか」
従妹「……」ギュッ
力いっぱい抱き締めると、強張った心が解けていくのを感じた
454: 以下、
「なーつーめちゃーん」
従妹「!」ビクッ
「どなたですか? こちらのお兄さんは」
従妹「う……ぁ、えと」カァァ…
男「友達?」
従妹「……」コクン
男「じゃ、ちゃんと紹介してくれ」
従妹「……う」
従妹「……従兄の啓太兄ちゃん。ボクの……こ、恋人」
458: 以下、
「こ、恋人!?」
「棗ちゃん……大人」
「マジですか……」
従妹「……っ」カァァ…
「あ、棗ちゃん照れてる」
「本当だ! なんかかわいい!」
「普段のトゲトゲしさがなくてかわいいー」
「棗ちゃんギューッ」
従妹「や、やめろ!」ジタバタ
男「あはは……」
453: 以下、
なんだこれ…胸がキュンとする…
462: 以下、
……
従妹「兄ちゃんの所為でみんなにからかわれたじゃんか!」
男「いいじゃないか。棗のかわいい一面を知ってもらえたし」
従妹「うう……明日からどうすれば」
男「もうすぐ冬休みだろ。ちょっとの辛抱だ」
男「それに、前にも言っただろ。他人の目なんか気にするなって」
従妹「……うん」
464: 以下、
従妹「ただいまー」
男「おかえり」
従妹「……なんで兄ちゃんがおかえり言うの」
男「俺は棗を迎えに行った立場だからな」
従妹「ここはボクの家なんだけど」
男「棗の家は俺の家でもある」
従妹「……」カァァ…
従妹「お父さんに言ってやる」
男「悪かった。おじさんは勘弁して」
468: 以下、
従妹「で、なんでボクの部屋に兄ちゃんの荷物が?」
男「伯母さんがこの方が棗が喜ぶからって」
従妹「お母さん……」ワナワナ
男「流石に嫌だったよな」
従妹「い、嫌って訳じゃないけど……」
男「じゃあ、このままで……?」
従妹「……いい」
545: 以下、
従妹「そういえば、お母さんは?」
男「送別会だってさ。おじさんも忘年会で遅くなると」
従妹「そっか……」
男「飯どうする? 今日ぐらい外行くか?」
従妹「いい」
従妹「ボクが作る」
554: 以下、
男「棗の料理かぁ」
従妹「兄ちゃんは手出し無用だから」キュ
男「わかってる。それにしても……」
従妹「……?」
男「エプロンも似合うじゃないか」
従妹「な……!」カァァ…
男「何そんなに驚いてんだ?」
従妹「エプロンで褒められるなんて考えてなかったから……恥ずかしくて」
570: 以下、
トントントントン…
男「へえ……」
従妹「な、なんだよ」
男「いや、練習したんだなって」
従妹「……」
従妹「ボクも兄ちゃんに『うまいうまい』って言って欲しいから……」
従妹「……っ。兄ちゃん、口出しも無用だ!」
男「はいはい」
587: 以下、
……
従妹「……どうぞ」コト
男「麻婆豆腐か」
従妹「兄ちゃん中華好きだったよね」
男「ああ。しかもこれ、ちゃんと一から作ってるな」
従妹「…………兄ちゃんの事で妥協したくなかったし」
男「……棗」
従妹「ん……」ワシャワシャ
男「で、なんで一人前なんだ?」
従妹「……集中しすぎて練習通り作ってしまったんだ」
600: 以下、
男「じゃ、麻婆豆腐は二人で分けて食べるか。飯が二人分あるし、大丈夫だろ」
従妹「駄目、兄ちゃんが食べて! ボクは自分の料理の味知ってるし、兄ちゃんに食べて欲しくて作ったから」
男「はいあーん」
従妹「いや、あの」
男「あーん」
従妹「……」
従妹「あむ」
男「おいしい?」
従妹「……」コクン
613: 以下、
男「モグモグ…………ん、うまい! 棗、本当に上手くなったな!」
従妹「あ……へへ」ワシャワシャ
男「さ、棗も食おうぜ。折角棗がうまい料理作ってくれても、一人で食ったら味気なくなっちまう」
従妹「でも……」
男「棗と一緒に食べるのが一番の幸せだよ」
従妹「……兄ちゃん」
617: 以下、
ジャー
男「あー、食った食った」
従妹「少ない麻婆豆腐でよくあんなにご飯食べれたね」ジャバジャバ
男「辛さが絶妙だったからな、すげーご飯が進んだ。うまかったよ棗」
従妹「知ってる。あれだけ夢中で食べてくれたし、頑張った甲斐あったよ」
男「次は分量を間違えない事だな」
従妹「……」
ジャー
629: 以下、
男「棗……?」
従妹「え、なに?」
男「いや、急に黙るから怒ったのかと」
従妹「怒ってないよ」
従妹「ただ、幸せだな……って」
従妹「こうして、兄ちゃんと両想いになれて……ずっと、二人で暮らしていけたらなって」
633: 以下、
従妹「兄ちゃん、ボク向こうの学校に進学したい」
男「え……」
従妹「ボク、もっと兄ちゃんと一緒にいたいんだ! だから……」
男「……」
男「棗、よく聞いてくれ」
従妹「兄ちゃん……?」
637: 以下、
男「俺はどこへも行かない。いつもお前の事を考えているし、お前の帰る場所であり続ける」
男「だから、俺という場所に安易に収まらず、自分の可能性や夢を探して欲しい」
従妹「兄……ちゃん」
男「俺も棗の事は大好きだ。ずっと一緒にいたい。だが、そればかりではお前を守れる強い男になれない」
男「だから俺はあの日、棗と両想いになった日から3ヶ月考えて、地元を出る事に決めた」
従妹「!」
645: 以下、
男「あの長閑な空気に包まれて生きていく……それもいいと思っていた。でも、いずれ大人になり、家族を守っていかなきゃならないと考えたらそれでは足りないと思ったんだ」
従妹「で、でも、兄ちゃん……」
男「聞いてくれ棗。例えば、棗が母となり、子供を育てる事になった時、神様って奴は楽しい事だけじゃなく辛い事も沢山与えてくる」
男「俺達が一人で我慢すれば良かった過酷なんかよりもずっと大きい試練が待っている」
男「俺達は、強くなってそれを乗り越えなきゃならない」
従妹「……」ジワッ
男「お前は強い子だ。できるな、棗」ワシャワシャ
従妹「……うん」グスッ
654: 以下、
男「今日、棗を迎えに行って良かった」
従妹「なんで……?」
男「お前に『友達』ができたみたいだからさ」
従妹「友達……」
男「小学校以来、友達いなかったろ。……まぁ、俺が棗を傷付けなきゃそんな事にはならなかったんだけどさ」
男「……過去の事は今は置いといて、友達の存在は棗のかけがえのない財産になる筈だ」
男「少しずつでいい。棗って人間を知ってもらおう」ギュッ
従妹「……うん」
666: 以下、
男「……」
従妹「……」
従妹「……兄ちゃん」ギュッ
男「ん」
従妹「制服を着て学校に行くようになってから、毎日不安だった」
従妹「変わろうと足掻いている自分を見られるのが怖かった」
従妹「でも、兄ちゃんの事を思い出すと、震える足でも踏み出せたんだ」
従妹「兄ちゃんの温かさがボクに宿ったみたいに……臆病なボクを後押ししてくれるんだ」
667: 以下、
男「……」
従妹「兄ちゃん、これからもっと頑張れるように……」
従妹「ボクに温もり分けて」
男「棗……」
従妹「兄ちゃん……」
671: 以下、
従妹「チュ……クチュ……ぁは……ん」
従妹「ンチュ……チュ……っん!? 兄ちゃ……っ」ピクッ
男「ブラ、買ったんだな」ムニムニ
従妹「……っ、小さくて悪かったね」ピクッ
男「誰もそんな事言ってないだろ。男にはない柔らかさがあって、気持ちいいよ」ムニムニ
従妹「……ホント?」ピクンッ
男「本当だよ」ナデナデ
従妹「あ……もっと撫でて」トロン
672: 以下、
パンツ弾け飛んだ
673: 以下、
パンツが垂直離陸した
675: 以下、
パン解!!
679: 以下、
男「棗の髪……サラサラで気持ちいいな」
従妹「ん……気持ちいい」ピク
男「ずっと触っていたくなる……」
従妹「ぁ……」ピクンッ
男「…………棗?」
従妹「ん…………はぁ」ピクッピクッ
男「髪の毛で気持ち良くなっちゃったのか?」
従妹「は…………うん」
684: 以下、
男「元々感受性がいいからかな。じゃあ」
ガチャ タダイマー
男「!? 棗、伯母さんが帰ってきた!」
従妹「ん……」トロン
男「くっ!」
伯母「棗、啓ちゃんただいまぁー」
男「おかえりなさい」
伯母「あら、棗ったら寝てるの?」
男「ええ……」
伯母「膝枕なんて、相変わらず棗は啓ちゃんにべったりねー」
691: 以下、
伯母「伯母さんお風呂入って寝るから、啓ちゃん達もほどほどにして寝なさいよぉー、ヒック」
男「はい、おやすみなさい」
男「危なかった……」
従妹「ん……」ピクッ
男「続きはまた、夏に持ち越しだな」
おまけアフター終わり
692: 以下、

697: 以下、
今度こそ終わりだよ!
こんなSSでも見てくれた方々に感謝
702: 以下、

面白かった ありがとう
703: 以下、

普段はなかなか会わない従妹ってのに萌える
714: 以下、

良SSだった
こいなか -小田舎で初恋×中出しセクシャルライフ-
eRONDO 2014/6/27
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- あんじゅ「グルメな私」
- モバP「事務所のみんなにまゆのヤンデレがうつった」
- モバP「ヤンキーちゃんとゲーセン」
- モヒカン「ヒャッハー! この俺様が来たぞ、男ォ!」
- 食蜂「きょうはとうまさんといっしょにあそびました」
- ニンジャスレイヤー「ドーモ、にこ=サン」 にこ「何よ!あんた!」 
- トレーナー「クチート可愛すぎ!」クチート「…」
- 凛「フッ、私がプロデューサーの正妻という風潮……」
- グリP「ん?なんだこれ」(o・∇・o)「だよ?」
- 提督「漂流した」
- シャーリー「ルッキーニが膝の上で寝てくれて初めて501の一員と言えるんだ」
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