照「菫、もしかして怒ってる?」菫「怒ってない」back

照「菫、もしかして怒ってる?」菫「怒ってない」


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1:
照「怒ってるでしょ?」
菫「怒ってない」
照「いつもより口調が厳しい。やっぱり怒ってるよね?」
菫「怒っていないと言っているだろう」
照「怒ってるようにしか見えない。ねえ、どうして怒ってるの?」
菫「怒ってないから」
照「菫が最後の楽しみに取っておいたからあげを私に取られたから怒ってるの?そうでしょ?」
菫「ああ、もう。怒ってないと何度言えば分かるんだ。そんなことで私は一々怒らないから」
照「ほら、やっぱり怒って……あ、おこなの?」
菫「」イラッ
3:
照「ねえ、おこなの?おこなんでしょ?」
菫「おこじゃない」イライラ
照「嘘。今の菫、超おこだよ」
菫「それを言うなら激おこだろう」
照「菫、激おこでしょ?」
菫「激おこじゃないから。なんでもないから」
照「からあげを私に取られた位で菫は激おこになる」
菫「激おこじゃない。おこ位だ」
照「やっぱり、おこなんだ」
菫「うるさい、自分の席に戻れ。次の授業始まるぞ」
照「まだ昼休みが終わるまで20分もあるよ。おこ状態の菫は視野が狭い」
菫「うるさい、散れ」
4:
照「おこ状態の菫は短気」
菫「誰でもそうなると思う。特にお前が相手だと」
照「ふふん」
菫「褒めてない。褒めてない」
照「からあげ食べたかった?」
菫「は?」
照「からあげ食べたかった?」
菫「聞こえてる。いきなりどうした」
照「からあげ、食べたかった?」
菫「聞こえてると言っているだろう」
12:
照「どうなの?」
菫「答える義理はない」
照「おこ状態の菫は意地っ張り」
菫「」イラッ
照「おこ状態の菫は意地っ張り」
菫「おこじゃなくなった。今の私は激おこだ」
照「そう。それで?どうだったの?」
菫「正直に言うとぶん殴りたい気分だった」
照「どうして?」
菫「私が手間をかけて作ったからあげだったからだ。特にあのからあげは色合い、形といい最高の出来だった」
菫「それをお前は箸でぶっ刺して食った。これは冒涜だ」
照「え?何?」
菫「冒涜、と言ったんだ」
照「それ、文字にするとどう書くの?」
菫「こうだ。冒険の冒に、さんずいに売る」スラスラ
15:
照「へえ。勉強になる」
菫「どうせ直ぐに忘れるだろう」
菫「というか話を逸らすな。とりあえず謝れ」
照「何に?」
菫「私のからあげを了承も得ずに奪い取ったこと」
照「おこ状態の菫はしつこい」
菫「おこじゃない。激おこだ。いや、それはどうでもいいから謝れ」
照「ごめんなさい。これでいい?」
菫「………」
照「いい?」
菫「はぁ………」
17:
照「ため息を吐くと幸せが逃げるって聞いた」
菫「ああ…このストレスはお前には分からんだろうな」
照「ストレスが溜まると肌荒れに繋がるって聞いた。菫、ストレスは溜めない方が良い」
菫「ストレスの原因はお前だよ。激おこを通り越して、頭痛がしてきた」
照「なんで?私謝ったよね?もう私悪くないのに、どうして私がストレスの原因なの?」
菫「言っても分からないだろうから止めとく」
照「気になる。言って。そういうの一番イライラするから」
菫「……」
照「早く」
菫「ああ、分かった分かった、私が悪かったよ」
照「どうして謝るの?」
21:
照「私は菫のストレスの原因を詳しく知りたいの。謝られても分からない」
菫「その、アレだ」
照「?」
菫「ちょっとした言葉のあやと言うか、その…そういうアレだ」
照「意味が分からない。そんな適当な理由じゃ納得できない」
菫「だから、そのー…お前のそういう所がちょっと…」
照「どういう所?」
菫「相手のことをまるで考えない言動と言うか……」
照「私が?それはない」
菫「いや……現に私は……」
照「それは菫が特殊なだけ」
菫「えぇー……」
23:
照「試しに聞いてみる?ねえ」
モブ「なに?」
照「私と話すとストレスになる?」
モブ「え"。それは……ならない、よ?うん」
照「ほらね」
菫「………」
照「まあ、間違いは誰にでもある。私は菫と違って心が広いから…」
照「からあげを取られた位で怒る菫と違って、心が広いから許してあげる」
照「菫も私を見習って、関大な精神を身に付けた方が良い」
菫「(関大ではなく寛大だろう……)」
照「分かった?」
菫「あ、ああ」
照「ふふん。よし」
24:
照「最近尭深が冷たい気がする」
菫「いきなり何の話だ」
照「なんか、こう、嫌な顔をされる」
菫「どういう時に?」
照「麻雀で私が和了った時」
菫「珍しいな。アイツがそんな感情を出すなんて」
照「もしかすると私のサービスが原因かもしれない」
菫「サービス?」
照「尭深からロンしたときだけ、サンキュー☆って言ってる」
菫「それだ」
26:
照「ダメかな?」
菫「ダメだろう……何故渋谷にだけそんな挑発じみた行為をするんだ?」
照「私なりに、お互い良い読み合いだった!という意味を込めて」
菫「紛らわしいんだよ。素直にそう言えよ」
照「もしかして尭深はおこ?」
菫「お前、渋谷の前でさっきみたいなやり取りは絶対するなよ。アイツのキレる所なんて見たくない」
照「どうしてキレるのか分からない。純粋に相手を称賛しているのに」
菫「とにかく、おこなの?とか絶対言うなよ」
照「分かった」
菫「即答が不安だ…」
28:
照「お菓子が食べたい」
菫「さっき昼御飯を食べたばかりだろ。私のからあげを含めて」
照「あのね、家の近くに新しくドーナツ屋さんが出来たの」
菫「無視か。まあいい、で?」
照「そこのドーナツが食べたい」
菫「今日の帰りにでも寄ればいいだろ」
照「お金がない」
菫「お前、結構小遣い貰ってなかったか?どうしたんだ」
照「分からない。気付いたら無くなってた」
菫「盗まれたって事か?」
照「そうかも」
菫「よし、犯人探し……の前に一応確認しよう。月の小遣いはいくらだ?」
照「一万円」
29:
菫「それは毎月何日に貰ってるんだ?」
照「26日」
菫「と言うことは…今日が22日だから最後に貰ったのは約一月前か」
菫「小遣いを何に使ったのか覚えているか?」
照「ええと…まず先月の27日にお菓子を1000円分買った」
菫「ほう」
照「で、今月の頭にまた1000円分のお菓子を買った」
菫「ほお」
照「7日にUFOキャッチャーで2000円使った」
菫「アレか。そんなに使ってたのか」
照「その日の帰りに1000円分のお菓子を買った」
菫「ふむ」
31:
照「で…確か10日辺りに欲しかったぬいぐるみがあったから買った」
菫「いくらしたんだ?」
照「2000円」
菫「ほ、ほう」
照「それで、14日にお菓子を1000円分買った」
菫「………」
照「18日にお菓子を1000円分買った」
菫「………」
照「で、昨日お菓子を1000円分買った」
菫「………」
照「確認とやらはもういい?早く犯人を探しにいこう」
菫「……この事件に犯人は居ない」
照「何を言っているの?お金がいつの間にか無くなってるんだよ?」
菫「いや、強いていうなら…犯人はお前だ、照」
33:
照「???」
菫「いいか、まずお菓子台が6000円。どんだけ食うんだお前は」
照「お菓子を食べなさい、と私のゴーストが囁いて」
菫「黙れ。次にみんなで行ったゲームセンターでUFOキャッチャーに使った2000円」
照「あんなに大量のパイの実が100円で取れるなら、取るしかないと思う」
菫「20倍の値段に跳ね上がったがな。そしてぬいぐるみ台の2000円」
照「またコレクションが増えた」
菫「それは良かったな。ではここで問題だ。6000+2000+2000はいくらだ?」
照「菫は私を馬鹿にしているの?そんなの小学生レベルの問題だよ」
菫「いいから答えろ」
照「10000」ドヤ
菫「そうだ。もう分かっただろ?」
照「え?…………あ!」
照「菫、寝癖が…」チョイ
菫「アホなのか?」手バシッ
36:
菫「いいか、まずはな……」
?説明中?
照「そ、そんな……」
菫「まずはお菓子台の節約から始めろ。いくらなんでも食い過ぎだ」
照「それは出来ない。お菓子がないと生きていけない」
菫「むしろ食い過ぎで死ぬんじゃないか。1000円分のお菓子なんて、いつ食ってるんだ」
照「え、家でくつろいでる時とか、授業中とか、部活の休憩中に」
菫「ちょっと待て。聞き違いか?授業中という単語が聞こえた気がする」
照「聞き違いじゃないよ。ほら。食べる?」スッ
菫「出すな!そして食うな!というか持ってくるな!」
照「えぇー」モグモグ
37:
菫「……とにかく、授業中にお菓子を食うなんて、バレたら怒られるからやめろ」
照「きびしい」
菫「これが普通だ。いいか?絶っっ対だからな」
照「そこまで言うなら…三回だけにする」
菫「何だその制約は。元々何回だったんだ」
照「六時限分の六回だけど」
菫「…よく今までバレなかったな。というか回数を減らしてもダメなものはダメだ」
照「けち」
菫「私はお前のためを思って言ってるんだぞ?」
照「本当に私のためを思っているのなら、お菓子を食べさせないなんて鬼畜の所業を強要させない」
菫「あのなあ……」
40:
菫「???」クドクド
照「うん、うん」
菫「???」クドクド
照「うん、うん」
菫「???……って、聞いてるか?照」
照「うん、うん」
菫「……1+1は?」
照「うん」
菫「………」
照「……あ、終わった?」
菫「あぁ………もう知らん」
照「私頑張るからね、菫」
菫「応援しています……」
照「ふふん」
41:
照「咲が既読無視する」
菫「は?」
照「咲が既読無視する」
菫「ああ、そうか」
照「どうしたの?元気がない」
菫「ちょっと、疲れてな。大丈夫だ」
照「無理しないで。何が原因か分からないけど、身体は大事にしよう」
菫「………」
照「咲が既読無視する」
菫「どうあっても私と話すつもりらしいな」
照「菫は既読無視についてどう思う?」
菫「少しは人の話を聞け」
照「咲が既読無視する」
菫「分かった。分かった。その話題でいのう」
42:
菫「分かった。分かった。その話題でいこう」
照「私は既読無視されると、とても悲しい。菫は経験がない?」
菫「まあ、気持ちは分かる。でも咲ちゃんだって何か理由があったのかもしれないぞ?」
照「例えば?」
菫「何かのバグで文字が打てなくなってたり」
照「他には?」
菫「あー、返事を書いている間に急用が入って、そのまま忘れていたり、とか」
照「そんな事って有り得るの?」
菫「……私は経験がある」
照「ぷっ。菫って、案外抜けてるね」
菫「勘違いするな。私は既読無視された側だ。そして無視したのはお前だ」
照「えっ?」
菫「次の日、学校で理由を聞いた時にお前が答えたんだ。急な用事が入って返信を忘れていたと」
照「………」
菫「思い出したか?」ニヤニヤ
43:
照「……」
菫「ふっ、どうした。固まってるぞ」
照「……菫、やけに声が弾んでる」
菫「そうか?自分では分からないなぁ」ニヤニヤ
照「……」イラッ
菫「お?お?もしかして怒ってるのか?」
照「……怒ってない」
菫「いいや、怒ってるね。何故怒って……何でおこなの?」ニヤニヤ
照「」イラッ
菫「おこなの?それとも激おこなの?どっちなの?」ニヤニヤ
照「菫……いい加減に……」
菫「ブーメランが刺さったくらいでてるてるは激おこ」
照「」イラッ
45:
照「菫……後悔しても遅いからね」
菫「何だ?やるのか?」
照「今の私は……激おこプンプン丸だよ!」ギュルル
モブ「な、何ィーッ!宮永さんの腕から竜巻のようなものがッ!」
菫「やれやれ、誰が後始末をすると思っているんだ」弓スッ
モブ「弘世さんはどこからともなく弓を取り出したァーッ!こ、こいつはやべえ!」
照「手加減は出来ない。いや、しない」ギュルル
菫「上等だ。本気で来い」弓ギリギリ
モブ「一体なにが始まるんだァーッ!!!」
46:
照「覇ァッッ!!」
照の腕から竜巻が放たれる。机、椅子、etc…それらを巻き込みながら竜巻は前進する。
菫「また腕をあげたな、照。だが……それは私も同じ事だッ!!」バシュン
竜巻がほぼ全ての机と椅子を巻き込んだ瞬間、菫は矢を射出。一点に力が集中された弓矢は迷わず竜巻に向かっていき、竜巻を消滅させた。
照「やるね、菫」
菫「お前もな。そらッ!」バシュン
不意打ち気味に放たれる弓矢。竜巻によって積み上げられた机を貫通し、照を射んと風を切り裂く。
照「甘いッ!!」ギュルル
───しかしそれが目的を果たす事は叶わない。照には見えているものがあった。
菫「照魔鏡……か」
47:
菫「便利な能力だな、まったく」
照「隣の芝は青く見えるもの。私には菫の能力が羨ましい」
菫「はは、嫌味にしか聞こえないな。お前と私の能力じゃ、相性が悪いだろう」
照「だからこそ、だよ。人は自分に無いものを欲する。腕の無い人間は健康体を欲し、金の無い者は億万長者を夢見る」
瓦礫の山を境に会話を続ける二人。最早、教室内に人影は三つしか残っていなかった。
モブ「私は逃げないッ!いや、逃げたくないッ!こんな素晴らしい、ドリームマッチを目の当たりにして、逃げ出す真似など出来る筈がないッッ!」
モブは二人のファンだった。
菫「そろそろ行くぞ、照ッ!!」
照「(来る…!三連射…ッ!)」
49:

菫「狩ッッ!」バシュシュシュン
照「覇ァッッ!」ギュルル
モブ「難なく防いだァー!宮永照、隙が全く無い!!」
極限まで研ぎ澄まされた意識の中で、菫は小さく、歓喜していた。チーム虎姫のエース、照。敵として見ると、何と手強いことか。
自分が主将を張るチームの中に、これほど強い仲間が居る。幸せだ。そう、心のどこかで思っていた。
照「覇ァッッ!」ギュルル
そして照もまた、喜んでいた。自分の全力を受け止めてくれる。頼もしい、何と頼もしいキャプテンだろう、と。
菫「狩ッッ!」バシュシュシュシュン
照「くっ……」ギュルル
モブ「おーっと!宮永選手が押されているゥーッ!強いッ!弘世菫、強いィィッ!」
照「……やっぱり、強いね。菫は」
そう言って俯く照の顔は、諦めとは程遠い顔つきで───
50:
菫「……………」
察、アレをやるつもりだ。問、どう防ぐ?
菫「(なんて、守る前提じゃあ…何時まで経っても勝てないな)」
解、やらせない。
照「久しぶりに……全力……ッッ!!」ギギギギギ
照の背後に照魔鏡が現れる。写し出されるのは、自身の背、ではなく。
菫「お出ましか……"雀精"ッ!」
鏡の中、そこには妖精の『精』などとは程遠い存在───鬼が写っていた。
モブ「こ、これは一体どういうことだァーッ!?宮永選手の背後に巨大な鏡が現れたかと思ったら、そこには鬼の姿がァーッ!」
照「行くよ……!」ギギ
菫「させるかッ!」バシュン
52:
菫「させるかッ!」バシュン
渾身の一撃。今日までの投射で、一番の手応え。同時に、確実に敵を射たという確信。
弘世菫はまごう事なき強さの持ち主だ。全国で一番麻雀が強い高校で、彼女はキャプテンである。
並大抵の敵ならば、彼女とまともにやり合うことすら叶わない。全国の強豪ですら、彼女には遠く及ばない、絶対的な強さ。
そう。普通なら既に決着は着いている。勿論、弘世菫の勝利という形でだ。だが。
照「……」ギギギ、ギギ
宮永照は、普通ではない。
菫「………ふっ。出てきてしまったか」
54:
照「危ない所だったよ。このコが消されちゃ、私に勝ち目がないからね。かなり無理しちゃった」
菫「完全に、勝ったと思ったがな……。流石、宮永の名は伊達ではないということか」
嫌な汗だ。とんでもないな、このプレッシャーは……。あの"雀精"、前に見たときよりも禍々しい。
さて、どうする。出る前に潰すという策は失敗に終わった。次は?正面から戦うか?
………いや、無理だ。私の本能がさっきからずっと叫んでいる。『アレはヤバい』『逃げろ』と。
「グオオオオオォォオォオン!!」
照「うん、ちょっと待ってね。もうちょっとだけ」
はあ……情けないな。バケモノの雄叫びを聞いただけで、腕が震えて照準が定まらない。
こんなのザマで勝てるのか?目の前の怪物に。よく見れば角とか生えてるじゃないか。トゲトゲした金棒も持ってるし。
牙も……すごい犬歯だ。顔怖いなぁ。あ、眼が合った。うわー、うわー、すごい見てる。どうしよ。
55:
照「そろそろいいかな?菫…」
菫「はっ、わざわざ待っていてくれたのか?優しいな、照」
今の私じゃ、こんな強がりしか出来ない。怖い。恐い。逃げたい。
「グオオオオオォォオォオン!!」
だって、意味が分からない。理不尽だろう。何で私がこんな怪物と戦わなくちゃならないんだ。
菫「さて……バケモノ退治の時間か」
まともに動くのは口くらいしかない。いや、こんな巫山戯たことをぬかす口は動かない方が良いかもしれない。
照「それじゃ、遠慮なく……!」
来る。来る。ヤバイヤバイヤバイ。でもどうにもならない。自分の武器が何てちっぽけに見えることか。こんなので勝てる訳ないだろ。
「グオオオオオォォオォオン!!」ブン
モブ「鬼が金棒を降り下ろすゥーッ!避けられるか!?弘世選手ッ!」
58:
照「(やったかな…?)」
プリントや瓦礫が散乱し、粉塵が舞う教室。その中で照は手応えを感じていた。己の能力で菫を倒した、という感触。
しかしそれは感触と言うにはあまりにも曖昧で、照の猜疑心を強く揺れ動かしていた。
金棒が降り下ろされたポイントは、未だに粉塵が酷く、目を凝らしても様子を窺うことは出来ない。
モブ「決ィまったァァーッ!鬼の鉄槌!宮永選手の劇的勝利だァーッ!」
教室の角でモブが喧しく騒いでいる。いつの間にか手に取っていたマイクで、校内に声が響き渡っている。
モブ「それでは見事勝利を納めた宮永選手にインタビューを……」
照「………まだ」
モブ「はい?」
照「まだ終わってない」
粉塵の中から自分を目掛けて飛んでくる矢を、避けるだけの体力は無かった。
59:
照「…………ぐッ!」ブシュウゥ
射られたのは…右の脇腹。出血が酷い。というか痛い。気絶しそうな痛みだ。
菫「油断したな、照」
菫…菫が立っている。正直、1%にも満たない確率だと思っていたけど……まさか、ね。
照「よく、耐えられたね。菫」
菫「自分でも驚いているところだ」
ボロボロの服で、ボロボロの体で、ボロボロの顔で菫は笑ってる。
菫「どうやら、その鬼はお前とリンクしている様だな。先程までとはうってかわって辛そうな表情だ」
照「あ、バレた……?しかもこのコ出してるのって、すごい体力使うんだよね」
菫「燃費の悪い能力だ。やはりそいつは要らないな」
照「酷いね……でも、そろそろ体力的にまずいし、このコには戻って貰おうかな」シュン
モブ「お、鬼の姿が消えたァーッ!弘世選手、無敵の鬼神を退けたァーッ!!」
60:
照「……さて、と。これが最後になるかな」
菫「そのようだな」
両者とも終わりを感じていた。おそらく次の一撃で最後になる、と。
照「悔いの残らないように、全力で」
菫「どちらが負けても、恨みっこは無しだ」
張り詰める空気。高まる緊張感。モブは意識の外で何度も唾を飲み込んでいた。
「なあ、照」「あのさ、菫」
「お前は私の……」「菫は私の……」
「親友だ」「親友だよ」
全力同士が、ぶつかった。
61:
淡「なにこれ……」
淡が見たものは、崩壊した校舎。昨日は風邪で休んでいたので、廃校(物理)の原因が分からない。
淡「あ!亦野センパイ!」トテテ
誠子「ん、淡か。風邪はもういいのか?」
淡「バッチリです!それよりこれ…学校に来たらこんなんになってるんですけど、センパイは何か知ってます?」
誠子「ん?んー、まあ」
淡「何ですか、その生返事」
誠子「まあ少し待て。理由は今に分かるから」
淡「………?」
尭深「……おはよう、誠子ちゃん、淡ちゃん」
誠子「お、来たか。それじゃあ行くか」
淡「え、何?何が起きてるのー?」
62:
誠子「よし、着いた」
淡「……病院?なんで?」
誠子「ほら、置いてくよ、淡」
淡「あ、待ってくださいよー」トテテ
誠子「何号室だっけ?尭深」
尭深「506……」
誠子「了解」
淡「どゆこと?」
誠子「501、503、505……ここか」コンコン
誠子「失礼します」
63:
菫「何度言えば分かるんだ。勝ったのは私だ」
照「違う。勝者は私。菫の方が早く倒れた」
菫「それこそデタラメだ。私は確かにお前の方が先に倒れたのを見た」
照「菫は幻覚を見ている。先に倒れたのは菫」
淡「うわーっ!テルーにスミレ、酷いケガ!!」
菫「おっと、来てたのか。ノックくらいして欲しいな」
誠子「しましたよ。二回。気付かなかったんですか?」
照「菫は鈍感」
菫「お前も気付いてなかっただろうが」
照「私は敢えて気付かないフリをしていただけ」
菫「見え見えの嘘を吐くな」
淡「二人ともどうしたの!?誰にやられたの!?」
64:
照「淡。まずは私の武勇伝を聞いてほしい。それからこの負け犬のお話を聞いてあげて」
菫「お菓子が食えなくて脳味噌がやられたか?淡、聞く耳をもつな。私の英雄伝を聞け」
誠子「はいはいそこまでー。いい加減にしないと尭深が怒りますよー」
尭深「…」ニコォ
照「あ、すいませんでした」
菫「自分調子乗ってました」
淡「どーゆーことなのー!」
何かの拍子に始まる喧嘩も、度か過ぎれば校舎を壊すまでになるかも知れない。
可能性は無限大である。
そう、咲さんが巨乳になる可能性だって0ではないのだ。
この物語は、熱き血潮を宿す少女たちの軌跡───
咲-Saki-異能力バトル編 完
65:

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