穂乃果「へぇ、高坂穂乃果って凄いんだね」back

穂乃果「へぇ、高坂穂乃果って凄いんだね」


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1:
ラブライブSS
ゆったりと。
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1398800232
2:
――雨の日の学園祭のライブ――
穂乃果「うっ」ドサァ
海未「穂乃果!?」
ことり「穂乃果ちゃん!」
絵里「穂乃果ぁ!? 大丈夫!?……すごい熱……」
雪穂「お姉ちゃん!?」ダッダッ
穂乃果「次の曲……せっかくここまで来たんだから……」
3:
絵里「すみません! メンバーにアクシデントが……」
穂乃果「ダメだよ……絵里ちゃん……つまずいただけだから……」テヘ
にこ「……やれるの、穂乃果」
穂乃果「アイドルだし……お客さんの期待に応えないと……」グラッ
にこ「やるわよみんな」コクッ
真姫「ちょ、ちょっとにこちゃん!」
花陽「穂乃果ちゃん……」
凛「穂乃果ちゃん……」
希「曲構成はバラード系に変えよか」
希「なるべく穂乃果ちゃんの体力を消費しないように行くで」
穂乃果「ごめんね、迷惑かけちゃって……」
穂乃果「ごめんなさい! ライブ続けますね!」
4:
雨の中、学園祭のライブは盛況だった
大盛り上がりで、幕を閉じた。
――部室――
穂乃果「はぁ……はぁ……んぐっ……」
海未「穂乃果、大丈夫……じゃありませんね」
ことり「穂乃果ちゃん……」
穂乃果「ラブライブ……みんなで……出よう……!」ゴホッゴホッ
海未「……」
ことり「あのね……穂乃果ちゃん……私……留学しようかと思うんだ……」
5:
穂乃果「ゴホッゴホッ……嫌だよ、ことりちゃん」
穂乃果「穂乃果たちと……一緒にやろうよ!」
海未「…………」
ことり「そうだけど……夢をつかめるかもしれないから……」
穂乃果「わがままなのはわかってる! でもことりちゃんの……ゴホッゴホッ」
海未「穂乃果……」
穂乃果「ことりちゃんのいない学生生活なんてやだよ!」
ことり「穂乃果ちゃん……!」
海未「私も穂乃果と同意見です。誠に勝手ながら、ことり、一緒に卒業しましょう……?」
ことり「海未ちゃん……!」
6:
ことり「うん…………やっぱり相談してよかった……」
ことり「穂乃果ちゃんと海未ちゃんがいないなんて考えられない……」
穂乃果「三人はずっと一緒だよ!」
海未「はい……!」
ことり「うん!」
にこ「ちょっとーにこちゃんを忘れないでよね!」
真姫「まったく、μ’sは3人じゃないでしょ?」
花陽「私も立派なμ’sのメンバーです!」
凛「そうだにゃー!」
絵里「ハラショー!」
希「μ’sは9人や!」
穂乃果「ゴホッゴホッ……ちょっと水……飲んでくる……」ガラッ
海未「穂乃果、無理は……」
ことり「言えてよかった……海未ちゃん……」グス
7:
――3分後――
海未「穂乃果遅いですね」ヨシヨシ
ことり「そうだね迎えに行こっか♪」
海未「保健室で寝てもらってお母さんを呼びましょう」
ことり「うんっ!」
ガラッ
海未「先に保健室で了承を……え……穂乃果!?穂乃果!?」
ことり「どうしたの海未ちゃ……穂乃果ちゃん!?」
海未「穂乃果あああああああああああああああ!」ダッ
ことり「穂乃果ちゃん!!」
10:
――西木野総合病院――
穂乃果「ん……ベッドの上……ふかふかしてる……」
海未「良かった!起きました!穂乃果!穂乃果!」グス
ことり「穂乃果ちゃん!穂乃果ちゃん!」ウルウル
真姫「疲れ過ぎなのよ、あんたは……」プイッ
穂乃果「誰……ですか?」
海未「……えっ」
ことり「ほ、ほら今起きたばかりだから……ね?海未ちゃん」
海未「そ、そうですね、ことり。ほ、穂乃果……私……わかりますよね?」ガタガタ
11:
穂乃果「……プッ」
ことり「!?」
海未「!?」
穂乃果「やだなぁ、忘れるわけないでしょー?海未ちゃんに、ことりちゃん♪」ニコニコ
真姫「やれやれ、親御さんにはこの真姫ちゃんが連絡してあげたわよ」ツンッ
穂乃果「あはは、ありがと真姫ちゃん」エヘ
穂乃果「あー疲れちゃったから……寝てもいいかな?」
真姫「あんまり病人に負担をかけないようにね二人とも」
海未「帰りますか」
ことり「そうだね、ばいばい穂乃果ちゃん!」
穂乃果「うん! またね!」
12:
穂乃果「……誰なんだろう……私」
穂乃果「穂乃果っていうんだね私……」
穂乃果「何も……何も思い出せない……」
穂乃果「どうしよう……でもあの二人に……傷つけちゃいけない気がする……」
穂乃果「……頑張らないと……やるったら……やるんだ…………!」
13:
穂乃果「とはいえ、何もできること無いや……身体もだるいしゆっくりしてよう……」
雪穂「お姉ちゃん! 大丈夫!?」
穂乃果(誰だろう……お姉ちゃんか……)
穂乃果「ふふん、大丈夫だよ我が妹」キリッ
雪穂「お姉ちゃん……頭打ったから変なしゃべり方に……いつも通り雪穂ーの方がいいよー」
穂乃果「仕方ないなぁ、雪穂ー」
雪穂「何も今呼ばなくても……」
穂乃果「あ、そうだ。暇つぶしにさ小学校と中学校のアルバムあるかな?」
雪穂「持ってきてあげるからじっとしてるんだよ?」
穂乃果「うん! ありがと!」ニコ
14:
その後は雪穂とおしゃべりをした。
アルバムを寝ないで読んでわかった。
名前は高坂穂乃果。親友は園田海未と南ことり。
最近はスクールアイドルをやっていて、μ’sを結成。
μ’sは9人。雪穂は各特色を教えてくれた。
穂乃果って幸せものかもしれないね!
そして何事も無く退院――――
29:
――――朝――――
穂乃果「んー雪穂ーおはよー!」
雪穂「おねーちゃんおはよー」モグモグ
穂乃果「朝からお饅頭美味しいね?♪」モグモグ
雪穂「えーお姉ちゃんこの前飽きたーって言ってたじゃん」
穂乃果「いやいや、久々に我が家の朝ごはんは美味しいということだよ?」
雪穂「私びっくりしたんだからねー階段から転んで頭打って血ぃどばどばって聞いたんだよ?」
穂乃果「あはは……海未ちゃんもことりちゃんも大げさだなぁ」
雪穂「うぇ……やっぱり甘いからお饅頭あげる!お姉ちゃん!」
穂乃果「ん、雪穂ありがとねー」モグモグモグ
30:
穂乃果「……こんなに美味しいのになぁ。贅沢者め」ムグムグ
穂乃果母「あら、文句言わないのも久しぶりね」
穂乃果「あ……お母さん」
穂乃果母「あんたはあれだよ? また無理して迷惑かけたらダメだからね?」
穂乃果「はーい。海未ちゃんとことりちゃんが待ってるから行ってくるね!」
穂乃果母「気をつけてねー」
穂乃果「いってきまーす!」ダダッ
32:
穂乃果(私は……きっと私の記憶は戻ってくる)
穂乃果(それまでに穂乃果の居場所を守らないと)
穂乃果(やるったら……やる……! そう決めたから!)
海未「おはようございます。穂乃果」
穂乃果「わぁぁあああぁぁぁ!?」
海未「大丈夫ですか? 頭が悪くなってませんか!?」
穂乃果「う?ひどいよ海未ちゃん。いくら私の成績が悪いからって……」ムー
海未「ハッ!? いえ、そういうわけでは決して……」
ことり「穂乃果ちゃん! 海未ちゃん! おはよう!」
穂乃果「おっはよー! ことりちゃん聞いてよ?海未ちゃんがー!」
海未「おはようございますことり……って穂乃果! 根も葉もない事言うのはやめてください!」
33:
絵里「朝から賑やかね、おはようみんな」
にこ「朝っぱらからやかましいのよ、全く……」ニコニコ
穂乃果「お……おはようございます……」
穂乃果(うわぁ……金髪だ……動画で見るよりずっと綺麗……)
穂乃果(このちっちゃいのがにこちゃん……可愛い)
絵里「……穂乃果? どうしたのボーっとして」
穂乃果「え……いやいや、なんでもないよ!? え……絵里ちゃん!」
にこ「声が裏返ってるわよ」
穂乃果「に、にこちゃんもおはよう!」
絵里「変な穂乃果ね」クスクス
にこ「頭ぶつけたら頭良くなるわけじゃないのね」フフン
穂乃果「むむむ、にこちゃんだって人のこと言えないでしょー!」
にこ「なぁんですってー!?」
34:
ワーワーギャーギャー
絵里「穂乃果は元気そうね」
海未「はい、少し安心しました」
ことり「元気な穂乃果ちゃんで良かった♪」
絵里「あの時の取り乱し方にはびっくりしたわ」
海未「流石に……ぴくりとも動かなかったんですから……」
ことり「今元気な穂乃果ちゃんが見れるだけでも奇跡だよ……」
絵里「そうね、今後はしっかり人の事を見て、無理そうならしっかり声をかけることを徹底しましょう」
海未「はい……特に穂乃果や凛はそうですね」
ことり「私は海未ちゃんが心配かな♪」
35:
穂乃果「大体にこちゃんはねー!」
にこ「あんただってそうでしょーがー!」
希「そ?ん?な?に?朝からうるさいとわしわししちゃうよぉ??」ワシッ
にこ「ひっ!? の、希……ぃ?」
穂乃果「ひゃあぁっ!? やめて変態!?」パシッ
にこ「ほ、穂乃果!?」ビクッ
希「うわぁ、そんなに嫌がられたらウチ傷つくわぁ……」
穂乃果(あ、しまった……雪穂にも言われてたっけ……)
穂乃果「ちちち、違うよ!? 希ちゃんじゃないと思って……」
穂乃果「近頃変な人も多いし……今人前……だからね?」
希「なるほどなぁ。……じゃあ人前じゃなかったらいいんやなぁ……!?」ワッキワッキ
穂乃果「静かにしますから助けて?!」ダダダッ
希「待てぇ?穂乃果ちゃーん!」ダダッ
36:
穂乃果「ぜぇ……ぜぇ……希ちゃん地味に足い……」
希「地味とは失礼やなぁ」
穂乃果「待って! 待って!」ゴホゴホ
希「んーまだ病気抜けてないかもね、無理したらアカンよ?」
穂乃果「あ、ありがと……」
希「…………じー」
穂乃果「ん、どうかしたの希ちゃん?」
希「……うまく言えないんだけど……穂乃果ちゃんの雰囲気が若干変わった……?」
穂乃果「……!? …………気のせいじゃないかな?」
希「じゃあちょっと質問いいかな?」
穂乃果「……顔が怖いよ、希ちゃん?」エヘヘ
希「クイズや!第一問!」デデン
38:
希「これなんて読むん?」『μ’s』
穂乃果「やだなぁ、希ちゃんみゅーずに決まってるじゃん」ハハハ
希「視力は問題なさそうやね」アハハ
穂乃果「あれ、穂乃果そんなに目が悪かったっけ?」
希「事故の影響で実は見えない! とかだったら嫌やん♪」
希「第二問いっくでー!」ババン
希「1+1……」
穂乃果「それなら簡単だよ!? バカに……」
希「を証明せよ」
穂乃果「してないっ!? 証明って何!?」
希「頭が急に良くなってるなんてことないかー」アハハハハ
穂乃果「もー希ちゃんったらー!」
希「第三問や!……μ’sは何人でしょうか!?」
39:
穂乃果「…………9人だよ?」
希「ファイナル・アンサー?」
穂乃果「9人や、ウチを入れて。って言ってたのは希ちゃんだよ」ニコッ
希「正解や!」
穂乃果「やった!」
希「ご褒美にそれでは……!」
穂乃果「それでは……!?」
希「わしわししてあげるよー?」ワシッ
穂乃果「やっぱりー!?」ヒャァァァ
海未「何をしてるのですか……あなた達は……」ハァ
40:
学校に足を踏み入れると英雄扱いだった。
学校存続の文字が目に入った。
そこに現れた3人も喜んでいた。
花陽「やりました! やりましたよ?!」
凛「やったにゃー! これで後輩もできるにゃー!」
真姫「ふ、ふん。私達ならそれくらい当然じゃない!」カミノケクルクル
穂乃果「あ、みんなおはよ!」
花陽「穂乃果ちゃん!」
凛「無事だったのかにゃー!」
真姫「私が診てあげたんだから当然でしょ?」
穂乃果「えへへ、ありがと真姫ちゃん。ピアノ凄い良かったよ」
真姫「……ありがと///」
凛「真姫ちゃん照れてるにゃー!」
41:
希「真姫ちゃん、ちょっといいかな?」
真姫「あ、希、今行くわ」タタッ
穂乃果「またあとでねー!」
凛「やっぱり穂乃果ちゃんの言うとおりに続けててよかったにゃー!」
花陽「あのライブの反響すごかったんですよ!?」
穂乃果「へ、へぇ?そんなに凄かったかな?」
花陽「動画サイトにもエキサイティングとか書かれてました!」
凛「穂乃果ちゃんはμ’sのリーダー!流石!ってコメントもあったにゃ!」
花陽「立ち上がるシーンが編集された動画もあったんだよ!?」
穂乃果「おぉ?! 見たい見たい! 穂乃果も見たいよ!」
花陽「みんなで放課後みましょう!」
キーンコーンカーンコーン
42:
鐘が少し鳴る前
真姫「どうだった?」
希「杞憂かもしれへん……」
真姫「それならいいんだけど……」
希「穂乃果ちゃんが……記憶が無いなんて信じたくはないなぁ」
真姫「退院するまでの3日間。アルバムと日記に動画、雪穂ちゃんや亜里沙ちゃんから今までのことを聞いてたわ」
希「でもなぁ、ウチが入るときの言葉も一言一句間違えなかったんやで?」
希「もし、そうなってたとしても……穂乃果は穂乃果やろ?」
真姫「……疑惑を確信に変えたいだけよ」
真姫「…………大体それなら……辛いだけじゃない」
希「やっぱり真姫ちゃんは優しいなぁ……大丈夫やって」ナデナデ
真姫「ナデナイデ!」
キーンコーンカーンコーン
45:
――――全校朝会――――
理事長「えー学園祭皆さんお疲れ様でした」
理事長「学園祭やオープンキャンパス。諸々の活動が有りまして」
理事長「わが校は、存続を決定しました!」
わぁぁぁぁぁぁぁああああああっ!
理事長「ええ、お静かに」
理事長「三年生は限りある時間を精一杯有意義に過ごしてください」
理事長「二年生は先輩に教わり、しっかり学んでください」
理事長「一年生は後輩が来年にも入ってきますので、後悔なく3年間を送ってください」
理事長「それでは、全校朝会を終わります」
46:
――――2年教室――――
海未「やりましたね! 穂乃果!ことり!」
ことり「うんっ! やったね!穂乃果ちゃん!」
穂乃果「う、うん! すっごい嬉しい!」
「まさか海未ちゃんがアイドルとは最初思わなかったけどね」
「ことりちゃんはらしいかな!」
「穂乃果ちゃんはーいつかやると思ってた!」
穂乃果「えへへ、なんか恥ずかしいなぁ……みんなありがとう!」
海未「わ、私は恥ずかしい服さえなければ大丈夫です!」
ことり「みんなの服創るのすっごい楽しいから……」
穂乃果「あ……ちょっとトイレ……」タタッ
海未「まったくもう、食べ過ぎるからですよ!」
47:
穂乃果「……えぐっ…………」
穂乃果「なんでかな……嬉しいのかな……」グス
穂乃果「それとも悲しいのかな……うっ……」
穂乃果「私……私って…………」
穂乃果「誰……なんだろ…………」
穂乃果「………………行かなきゃ」
穂乃果「今は喜ばなきゃ! だって学校が存続するんだよ!?」
穂乃果「私が……穂乃果が望んでたことなんだよ!」
穂乃果「だから笑って前に……明日に進まなきゃ!」タッ
48:
海未「ほら、穂乃果! 授業が始まりますよ?」
穂乃果「あ、うん! ごめんごめん!」
ことり「穂乃果ちゃん……目が赤いよ?」
穂乃果「ことりちゃんー言わないでよー?」
海未「私にはわかります。やっぱり目標が叶いましたからね!」
ことり「ことりだってわかってるもん♪」
ガララッ
穂乃果「穂乃果たちやったんだね!」
「おーい高坂ーうるさいぞー!」
穂乃果「あ……すいません」テヘヘ
ドッアハハハハハハ
ホノカチャンハカワラナイネー ホントニネー ホノカチャンラシイネー
64:
――授業中――
穂乃果「……」カリカリ
ことり「!?」
海未「!?」
ことり(穂乃果ちゃんがまじめに授業を聞いてる……?)
海未(穂乃果が授業を起きている……?)
穂乃果(うーん結構難しいなぁ……)キョロキョロ
穂乃果「海未ちゃん、この数式わかる?」コソコソ
海未「あ、こ、これはですねこの公式を当てはめて……」
穂乃果「あーなるほど! ありがと海未ちゃん!」ニコッ
海未「」
ことり「」
穂乃果「ふんふんなるほど……」
65:
――授業終了――
海未「穂乃果!? 本当に穂乃果ですか!?」
ことり「穂乃果ちゃんが授業をまじめに受けてるなんてどうしたの!?」
穂乃果「むー! ひどいな海未ちゃんことりちゃん……」
海未「ご、ごめんなさい」
ことり「す、すみません……」
穂乃果(えぇっ!? 私ってそんなに不真面目なキャラだったの!?)
穂乃果「穂乃果だって勉強するときはするの! 赤点とりたくないし!」
海未「そうですね、前回はそれでラブライブへの参加ができない可能性もありましたから」
ことり「うん♪ 勉強するのはいいことだよっ!」
穂乃果「だからね、穂乃果はまじめに頑張る!」
海未(穂乃果……成長しましたね……)
ことり(前向きな穂乃果ちゃんだっ♪)
66:
――昼休み屋上――
穂乃果「はーっ……結構難しいなぁやっぱり」
穂乃果「大体穂乃果は穂乃果だけど穂乃果じゃないって説明しても……」
穂乃果「それじゃあダメだ……もう皆のこと騙してるし……」
アイシテルバンザーイコレデーヨカッター
穂乃果「……あれ……歌声が……下の音楽室……からかな?」タッ
67:
真姫「やっぱりピアノを引いてると落ち着くわ……」
真姫(あの穂乃果にそんなことがあったなんて考えたくない)
パチパチパチ
真姫「ヴェエェッ!? ……穂乃果ね……」
ガラッ
穂乃果「凄い……本当に真姫ちゃんピアノ上手いんだね……」
真姫(希は心配ないって言ってたけど……私はあるのよ……)
真姫「穂乃果、頭の具合は大丈夫?」
穂乃果「もー! 真姫ちゃんまで?! 頭は大丈夫だって!」
真姫「主治医みたいなものでしょ? 患者さんは言うこと聞きなさい」
穂乃果「はーい」ブー
真姫(こうしてると違和感もあんまりないんだけど……)
69:
真姫(もし、万が一記憶を失っているなら……)
真姫(演じている自分と、私達が思っている『穂乃果』に差異が発生する)
真姫(その結果……優しければ優しいほど壊れやすい……)
真姫(仲間を守るために……ちょっと試すわごめんね穂乃果)
真姫「懐かしいわね穂乃果、ここで私と二人きりだなんて」
穂乃果「そうだねー皆と一緒に歌ったりとかはしてるから……二人っきりなんてのは珍しいね」
真姫(事故の怪我はなさそう……ろれつはしっかりしてる)
真姫「あの時は本当に強引だったんだからね?」
穂乃果「う?だってあの時は必死だったんだもん……」
70:
真姫「いきなり腕立て伏せをしてだなんて言う? 普通」
穂乃果「……反省してまーす…………」
穂乃果「でも、あの時は本当スクールアイドルすっごくやりたくて……」
穂乃果「オリジナルの曲を作って欲しかったんだもん!」
真姫「ま、なにはともあれ導かれるように私もμ’sに入っちゃたんだけどさ」
真姫「私が最初に作って上げた曲……作詞は特別に、ことりだったわよね?」
71:
穂乃果「……えー? 今も昔も作詞は海未ちゃんだよ?」
真姫「あ、あれ? 海未からそう聞いた気がしたんだけど……」
穂乃果「協力はしたかもしれないけど海未ちゃんがメインだよ!」
真姫「私の聞き間違いだったかも……」カミノケマキマキ
穂乃果「海未ちゃんすっごいよね! あんなに綺麗な詩をかけるのは……」
真姫「そうね、ああいう詩を書いてくれると作曲の意欲も湧くわ」
真姫(……リサーチ済みか。本当に知っているのか……)
72:
真姫「ああいう詩を書いてくれたからSTART:DASH!!の曲が浮かんできたのよ」
穂乃果「えへへ、ありがと真姫ちゃん」スリスリ
真姫「やーやめなさい穂乃果ー!」
穂乃果「真姫ちゃんの髪の毛やわらか?い」マキマキ
真姫「サワラナイデ! もー髪の毛がー」イジイジ
穂乃果「ごめんごめん♪」
真姫「私の曲……さ、思いを届けたくて……ねぇ」
穂乃果「……」
真姫「貴女が初めて入ってきた時に引いた曲……」
真姫「あれは、自分じゃない誰かを想像して歌ってた……」
真姫「今考えれば穂乃果みたいな人をイメージしていたのかもね」ドキドキ
穂乃果「そうだね……あの時の曲は……初めて会った時の曲は……」
穂乃果「愛は太陽じゃない――――
73:
――――じゃなくて愛してるばんざーいだよね!」
真姫(……引っかからなかったか……そもそも引っかかる要素もない……か)
真姫「えぇ、そうよ。愛してるばんざーいには色々なものを込めたつもりだわ」フフッ
穂乃果「穂乃果は愛されてるのかな?」
真姫「ヴェエ!? それを私に聞く……かなぁ///」
穂乃果「あ、真姫ちゃん赤くなってるよ?」ニヒヒ
真姫「うるさいわねー! いいでしょ別に……///」
穂乃果「あ、次は体育だからそろそろ着替えるからまたね!」タタタッ
真姫「穂乃果!」
穂乃果「…………なぁに、真姫ちゃん?」
真姫「私は穂乃果の……あなたの味方だからね?」
穂乃果「真姫ちゃん風に言えば……イミワカンナイ!かな♪ありがと!」ガラッ
74:
TRRRR
希「どした、真姫ちゃん」
真姫「……わかんないわ」
希「穂乃果ちゃんか……」
真姫「警戒は少し解いていいかもしれないわ」
希「そう言うんやったら大丈夫やな?」
真姫「……ちょっと露骨だったかもしれないわ……」
希「真姫ちゃんは真姫ちゃんにできる最善を尽くしただけやろ?」
真姫「うん……」
希「なら、ウチらは見守ろうか」
真姫「………………そうね」
希「授業始まるから切るよー」
真姫「ん、ありがと希。少し元気でたわ」ガチャ
75:
穂乃果(……あなたの味方……か……)
穂乃果「くぅ?真姫ちゃん優しいなぁ!」クルクル
穂乃果(明らかに試されてたなぁ……)
穂乃果(私……失敗してないよね……)ドキドキ
穂乃果「大丈夫! やれる! きっとなんとかなるよ!」ジャーンプ
穂乃果「ありがとね真姫ちゃん!」ピョーン
穂乃果(でも、ごめんね……裏切りたくないんだ……)
穂乃果(だから私は……穂乃果は頑張るよ……)
85:
穂乃果(とにかく私って人物像がわかった)
穂乃果(授業は……寝てる……)
穂乃果(アホっぽいけど、なんか好かれてる)
穂乃果(雪穂になんでも喋ってる)
穂乃果(普通……話さないよ……助かったけどさぁ……)
海未「穂乃果? 授業が始まるので急いでください!」
穂乃果「わかったよ海未ちゃん!」タタッ
87:
――部室――
穂乃果(ここが部室なんだ……スクールアイドルって可愛い子多いなぁ)
花陽「今……μ’sの順位は……!」
花陽「9位です!」
凛「やったにゃー!」
海未「私達が……」
ことり「9位……!」
真姫「ラブライブ本戦に出れるんじゃない?」
にこ「まだよ、後1周間ちょっとある。できることは何でもしていくわ」
絵里「にこの言うとおりよ」
希「まだ安全圏ではないということやね」
穂乃果「……」ジー
穂乃果(金色と灰色の境界線……20位以内に入ればいいんだね)
88:
穂乃果「そういえば……私達の学園祭でのライブの評価って……」
海未「評判はかなり良かったですね」
ことり「だからこんなに順位が上がったんじゃないかなっ」
穂乃果「そっか……頑張ってたんだね」
にこ「何言ってるのよ、あんたが一番頑張ってたでしょ?」
穂乃果「あっ、違う違う! ほら、熱出てたからちょっとどういう気持でやってたか忘れちゃって……」
絵里「あの時の穂乃果はそうね……」
希「まさに鬼やったね?」
穂乃果「もー! 穂乃果は鬼じゃないよー!」
凛「ステップもキレキレだったにゃ」
花陽「私もびっくりしちゃったよぉ」
真姫「…………」
90:
穂乃果「居ても立っても居られない……! 皆練習しよっ!」タタッ
海未「やりましょう!」タタタッ
ことり「今日も頑張ろっ♪」タッタ
真姫「はぁ……」
希「真姫ちゃん。悩みすぎても仕方ないよ?」
真姫「そうね……」
凛「まっきちゃーんっ! いっくにゃー♪」スリスリ
真姫「わかった! わかったから!」
91:
――屋上――
海未「1・2・3・4」パンパンパン
海未「穂乃果! ステップ遅れてますよ!」
穂乃果「あぁっ……うん!」
絵里(穂乃果の動きが鈍いわね……)
海未(わずかながらに遅れてますね……)
凛「穂乃果ちゃん大丈夫?」
花陽「ちょっとまだ体力が戻ってないのかな?」
穂乃果「ハァッ……ハァッ……」
ことり「穂乃果ちゃん……」
希「穂乃果ちゃん、今日は見学しておこか?」
真姫「私もそっちのほうがいいと思うわ。まだ病み上がりだしね」
穂乃果「み、みんなごめんっ……続けようっ!」
93:
絵里「駄目よ、穂乃果。今日は見学にしておきなさい」
海未「私もそう思います。足元がおぼついていません」
穂乃果「でもっ、そんなに休んでる時間なんて!」
ことり「やすもっ、穂乃果ちゃんっ」
花陽「タオル渡すねっ」
凛「疲れがたまってるんだにゃー」
希「穂乃果ちゃん、これで入院やったらわしわしやよー?」
穂乃果「わしわしはだめっ! わかった……休むよ」
真姫「…………」
94:
にこ「真姫ちゃん? さっきから静かだけどどうしたの?」
真姫「…………」
にこ「まーきーちゃん?」
真姫「な、何よにこちゃん?」
にこ「あんた、なんか隠してない?」
真姫「ヴェェッ!? べ、別に何かを隠していようとにこちゃんには関係ないわよ」チラッ
穂乃果(……だめだ……体力が追いついてないし…………ステップが……わからないよ……)
にこ「……もう、言いたくなったら相談しなさいよ」
真姫「わかったわ。にこちゃん…………アリガト」
にこ「なんか言った?」
真姫「なんでもない!」フンッ
95:
絵里「はい、今日の練習は終了よ!」
ことり「う?疲れたっ♪」
凛「やっぱりステップが複雑で難しいところが多いねー」
花陽「で、でも凛ちゃんすぐに覚えて凄いよっ」
にこ「にこぐらいのレベルになると楽勝ね!」
希「その割には苦戦してたでにこっち?」
穂乃果(……このままじゃダメだ……どうしよう……)
海未「穂乃果は残ってください」
絵里「そう、ちょっと聞きたいことが有るわ」
真姫「!?……私も残るわ」
絵里「……いいわよ。他の人は先に解散してて!」
96:
絵里「穂乃果、率直に聞くわ」
絵里「今日の貴女の動きは拙すぎる」
海未「私から見ても、いつもの動きができていないと思いました」
穂乃果「ちょ、ちょっと体力が……ごめんね、絵里ちゃん海未ちゃん……」
海未「違うんです。穂乃果」
絵里「穂乃果……貴女練習メニューは覚えている?」
穂乃果「…………」
海未「穂乃果……貴女まさか……」
97:
真姫「……穂乃果、足痛めてるんでしょ? ちょっと見せなさい」グイッ
穂乃果「えっ、いや」
真姫「足首少し触るわよ」ギュッ
穂乃果「????っいっったぁ!」
海未「ならどうして練習に……!」
真姫「いつもの穂乃果よ、練習でなきゃ、遅れを取り戻さなきゃ……ですって」
絵里「それで全体的に遅れていたのね……」
海未「てっきり記憶が……無いのだと思いました」
絵里「私もそう思ったわ。もしくはダンスの事だけ抜けてるのかと……」
真姫「……そんなわけないでしょ、穂乃果にそんな器用な真似できるわけないわ」
穂乃果「あはは、真姫ちゃんの言う通りだよっ」
98:
真姫「ということで保健室で湿布とか探してから帰るわね」
真姫「肩使いなさい、穂乃果」
穂乃果「よっと……ありがとう真姫ちゃん」ガシッ
海未「気をつけてくださいね」
絵里「……それじゃあ、また明日ね」
99:
――保健室――
穂乃果「ありがと真姫ちゃん……」
真姫「……穂乃果、記憶無いでしょ」
穂乃果「あはは、そんなこと……」
真姫「私の事、信じられない?」
穂乃果「でも、穂乃果は本当に……!」
真姫「やめなさい。練習メニュー何もわからなかったんでしょ?」
真姫「ステップも覚えてなかったんでしょ?」
穂乃果「…………ごめん」
真姫「ほんっと馬鹿ね……でもありがと」ギュッ
穂乃果「えっ……なんで……?」
100:
真姫「穂乃果のことだからきっと……」
真姫「私達を悲しませたくないとか、迷惑を掛けたくないとかでしょ?」
穂乃果「うん……ことりちゃんや海未ちゃんが名前がわからないって時……悲しそうだったから……」
真姫「穂乃果、今は貴女は穂乃果じゃないと思っていると思うわ」
真姫「でもその優しさは間違いなく貴女のもの」
真姫「誇りなさい。皆、貴女の性格に惹かれていることを」
穂乃果「真姫……ちゃん…………うっ……」グス
真姫「私は貴女のことも、す……好意に思っているから安心しなさいってことよ!」プイッ
穂乃果「ずっと……ずっと怖かったよ……真姫ちゃん……」
穂乃果「穂乃果じゃないってバレたら……どうなるかわかんなくて……」
穂乃果「怖かったよ……ひぐっ……」
101:
真姫「さて、今日は泊まり込みで練習するわよ」
穂乃果「えっ……?」
真姫「このままじゃきっとバレるわ。だから私ができるかぎりフォローする」
真姫「私は『貴女』の味方って言ってたでしょ?」
穂乃果「あはは、私も穂乃果も……幸せものだねっ」
穂乃果「こんなに優しい人が近くにいてくれて……」
真姫「……バカな事言ってないで行くわよ!」ツンッ
穂乃果(真姫ちゃん……こんな私でも許してくれて……ありがと……)
121:
真姫「あー一応ママに連絡しておきなさい」
穂乃果「……ママ?」
真姫「…………あっ」
真姫「親御さんに連絡しなさいっ!」キッ
穂乃果「わかったー! ママに連絡する!」
TRRR
真姫(長い1日が終わったわね……)ハァ
真姫(人に気を配るのは想像以上に疲れるわ……)
真姫(海未やことりの気持ち。今なら私にもよく分かるわ……)フフッ
穂乃果「真姫ちゃんオッケーだって!」
真姫「さ、行きましょ」
122:
――真姫邸――
穂乃果「ふえぇ……やっぱりおっきぃ……」
真姫「そう? そんな大きくもないでしょ?」
穂乃果「いやいやいや! 大きいから!」
真姫「そんなことより、早く入りなさい」ガチャ
穂乃果「お、おじゃましま?す……」バタン
真姫「あー私の部屋、2階だから。ストレッチしておきなさい」
穂乃果「はーい……」テクテク
穂乃果(……真姫ちゃんお嬢様だなぁ)
穂乃果(…………うん)
穂乃果(ちょっとだけ……妬けちゃうな……)
126:
真姫「大体ねぇ……練習でいきなりステップとかやったら怒られるに決まってるでしょ!」グイー
穂乃果「うぅ……だってダンスって言ったら普通に踊るじゃん!」
真姫「ダンスに必要なのは柔軟性よ!」グイグイ
穂乃果「いたたたたたっ!?」
真姫「やっぱり寝たきりだったせいもあって……硬いわね」
穂乃果「……ねぇ真姫ちゃん…………穂乃果ってどんな人だった?」
真姫「バカね」
穂乃果「ひどいっ!?」
真姫「いい言葉にするなら脳天気」
穂乃果「むぅ……」
真姫「ま、行動力はずば抜けているわね……脳みその中がお天気晴れマーク」
穂乃果「そっか……そうかもね……」
127:
真姫「頭のなかを捌いてあげましょうか?」グイーッ
穂乃果「うにゃあぁぁあぁっ」
真姫「……ホント馬鹿ね」ボソッ
穂乃果「?」
真姫「過去の自分を比較するのはやめなさいな」
穂乃果「……」
真姫「貴女にとってのストレスになるだけよ」
穂乃果「ううん。私はやめないよ」
真姫「どうして? 裏切るのが怖いから? それなら私が……!」
穂乃果「違うよ、真姫ちゃん」
穂乃果「最初は怖かった……でも真姫ちゃんみたいに接してくれる人が居て嬉しかった」
真姫「なら……!」
穂乃果「……だからこそ、私は『高坂穂乃果』でなくちゃいけないの」
128:
真姫(そのこだわり……執着を否定するのは意味が無いわね)
真姫「そう。そこまで言うなら……今日は怪我しない程度に特訓ね」
穂乃果「ちょっとでも……次のライブまでに戻しておかないと!」
真姫「次のライブが、ラブライブ予選最後のライブだからね……」
穂乃果「後1周間くらいしかないんだねっ」
真姫「無理だけはしないように、ね」
穂乃果「ありがとっ! 真姫ちゃん大好きっ!」スリスリ
真姫(根本的には変わってないんだけどね……)
真姫「スリヨラナイデッ///」カァッ
129:
―――時は遡って―――
海未「気をつけてくださいね」
絵里「……それじゃあ、また明日ね」
海未「ふぅ……」
絵里「どうしたの海未」
海未「いえ、……微妙に違和感がありますね」
絵里「やっぱり海未も感じているのね」
海未「いつもより積極性が足りないというか」
絵里「躊躇しているように感じられたわ」
海未「ただ、悪いことばかりでもないんです」
130:
海未「穂乃果は今まで突っ走るばかりでした」
海未「周囲を見渡せるようになったのは本当に嬉しい限りです」
絵里「……今日のは周囲を見ていたようには見えないけどね」
絵里「周囲に合わせようとした……というよりはワンテンポ遅れて動きを学習しようとしていた」
絵里「そういう風に私には見えたわ」
絵里「海未、本当は穂乃果は……」
海未「絵里。やめましょうこの話は」
絵里「でもっ……!」
海未「あれが嘘でも、本当でも構わないんです」
海未「穂乃果はどうあっても穂乃果なんです」
海未「だから、待ちましょう」ニコッ
絵里「ほんと、信頼してるのね」クスリ
143:
穂乃果「ほっ、はっ、てやっ」トントントン
穂乃果「ここでターン!」クルッ
穂乃果「真姫ちゃん真姫ちゃん! 今のステップどうだった?」ハァハァ
真姫「うーん、動きは整ってきたけどキレがいまいちね」カミクルクル
穂乃果「う?真姫ちゃんの鬼ぃ……」
真姫「私の目を欺けないと、海未や絵里にはバレるわよ!」
穂乃果「!」
穂乃果(そうだった……一刻の猶予もないんだ!)
穂乃果「よっし、真姫ちゃんもう一回!」
真姫(……良くはなっているけど……)
真姫(時間がないわね……)
144:
真姫「はい、ワンツ―ワンツ―!」
穂乃果「ワンツー! ワンツー!」トンタットンタッ
真姫「一回転!」
穂乃果「任せて!」グルッ
穂乃果「うわっとっとっと……」ドテン
穂乃果「いったぁ……」サスサス
真姫「疲れて動きも鈍ってるし、今日はここまでね」
穂乃果「む?こんなんじゃだめだよぉ……」
真姫「まだ1日目よ、焦らないの」ポンポン
穂乃果「はーい……」
145:
真姫「それはそうと……」チラッ
穂乃果「?」
真姫「お風呂入ってきなさい? 汗だくでしょ?」
穂乃果「そうだけど……いいの?」
真姫「いいに決まってるじゃない。ほら早く早く!」グイグイ
穂乃果「わわっ、真姫ちゃん……ありがとっ♪」バタン
真姫「ふぅ……頭のなかを整理したいわ」
真姫(ストレスは無し。容態も安定している)
真姫(記憶障害有り。過去の記憶が全く思い出せない)
真姫「もしくは消失……」ブンブン
真姫(希望を失うにはまだ早いわ……)
真姫(…………ラブライブがきっかけになるの……?ホントに……?)
146:
穂乃果「わわ……こんなお風呂映画でしか見たこと無いよ……」
穂乃果「広すぎて全然落ち着かない……」
シャアアァアアアアァァ
穂乃果「生き返るなぁ……」
穂乃果「シャンプーとかも高級品だ……」
穂乃果「…………」
穂乃果(こんなんじゃ全然……)
穂乃果(踊れてないよ……)ゴツン
穂乃果「……頭に衝撃を与えたら……よみがえるんじゃないかな……?」ゴツゴツ
穂乃果(ちょっと痛いけど……)グス
147:
真姫(……20分。ちょっと心配ね)
真姫(普段なら1時間でも2時間でも入っていても気にならないのに……)
真姫「長いわね……」ソワソワ
真姫「練習がハードでお風呂で寝てるかもしれないわね」スタスタ
真姫「穂乃果ー? ちゃんと温まってる?」
穂乃果「……」
真姫「? 入るわよ?」ガチャ
穂乃果「」ドサリ
真姫「……え? 穂乃果? 穂乃果?」ユサユサ
真姫「寝てるだけ……にしては……顔が赤い……? のぼせた……?」
真姫(落ち着きなさい。こういうときこそ落ち着くのよ)
真姫(まずは……お風呂から出してベッドに運びましょう)
真姫「うん……しょっ」グイッ
真姫「案外……軽いのね……」
148:
――――――――
穂乃果(あれ……μ’sの皆だ……)
穂乃果(やっぱり皆上手いなぁ……)
穂乃果(ん? センターの人……誰だろう……?)
穂乃果(私……じゃない……?)
『みんなっ! ファイトだよ!』
穂乃果「ねぇ、貴女は誰なの――――」
――――――――
穂乃果「誰!?」
真姫「……西木野真姫だけど」
穂乃果「……あれ?」
真姫「そんなことより、本当に頭のなか大丈夫?」
穂乃果「うん、大丈夫!」グッ
真姫「脳震盪起こしてたんだけど、心当たりは?」ゴゴゴゴゴ
穂乃果「あ、あははー滑って転んだかなー?」
真姫「嘘を言っていたら……」
穂乃果「あの……その……ごめんなさい」ペコリ
149:
真姫「どうも前の穂乃果より、明らかに責任を感じすぎね」
真姫「もっと楽観的にしなさい」
穂乃果「真姫ちゃんだってもっと素直に……」ボソ
真姫「それはどうでもいいけど、夢……なに見てたの?」
穂乃果「みんなでライブしてた……」
穂乃果「私は上でみんなのライブを見てたの」
穂乃果「センターは……顔が見えなかった」
真姫「そう。後穂乃果。私と約束しなさい」
穂乃果「……何を?」
真姫「……私にあまり心配かけないように」
穂乃果「はい……」
真姫「『私』と『貴女』の約束だからね。守りなさいよ」
穂乃果「うんっ! 約束するよ真姫ちゃん!」
150:
真姫「さて、もう寝るわよ」
穂乃果(楽観的かぁ……がんばろっ)
穂乃果「はーい……あれ?」キョロキョロ
真姫「どうかした?」
穂乃果「穂乃果に布団は……?」
真姫「家に布団がなかったから……そうね一緒に寝ましょ」ポムポム
穂乃果「えぇーっ!?」
真姫「何よ、合宿の時を思い出せるかもしれないでしょ?」
穂乃果「そう……だけどさぁ……」
穂乃果(恥ずかしい……)
穂乃果「真姫ちゃん思ってたのと! 性格全然違う!」
真姫「……私だって十分恥ずかしいわよ」ポソ
真姫(少しでもきっかけになってくれれば……)
穂乃果「じゃあ穂乃果も真姫ちゃんに今日は……甘えるねっ」ゴソゴソ
真姫(近い……)
真姫「電気消すわね。おやすみ穂乃果」パチッ
穂乃果「おやすみ……ありがとね真姫ちゃん」スースー
159:
穂乃果「ん……もう朝か……」パチッ
真姫「スースー」
穂乃果「……よく見るとすっごい可愛いなぁ……」ソー
穂乃果「さ、触ってもいいかな? ……いいよね」ツンツン
穂乃果「うわっ、ほっぺたぷるんぷるんしてる……」
真姫「んぁ……なによ……ほのかぁ……」
穂乃果「あっ、起こしちゃった! ごめんねっ!」
真姫「まだ5時半じゃない……」
穂乃果「ちょっと目が冴えちゃって……」アハハ
真姫「仕方ないわねぇ、朝ごはんコックさんに作ってもらうわ……」ゴシゴシ
穂乃果「お金持ちだなぁ……」
160:
真姫「朝ごはんはしっかり食べるように」
穂乃果「はーい! いただきまーす!」
真姫「いただきます」
穂乃果「うっわー! 美味しいー!」パクムシャモグ
真姫「子どもじゃないんだから、がっつかないの」
穂乃果「穂乃果は子どもだもーん♪」ヒョイパク
真姫「ちゃんと噛んで食べなさい」
穂乃果「うっ……」
真姫「穂乃果! どうしたの!?」
161:
穂乃果「ピ……」
真姫「大丈夫!? 喉に詰まった!? それとも……っ」
穂乃果「ピーマン苦い……」
真姫「……なんだ、びっくりして損したわ」
真姫「ん? そういえば穂乃果。ピーマン嫌いじゃ無かった?」
穂乃果「う?あんまりそんな気がしなかった……けどだめっ……」ガクッ
真姫(もしかしたら……)
真姫「穂乃果、フルーツもあるから食べなさい」
穂乃果「口直しに食べるよ?」パクリ
真姫「…………」
穂乃果「真姫ちゃん? 穂乃果の顔に何かついてる?」
真姫「どのフルーツ一番美味しかった?」
穂乃果「どれも美味しいけどやっぱりイチゴかなっ!」
真姫(やっぱり……好き嫌いは変わってないのね)
真姫「今度美味しいイチゴをご馳走してあげるわ」
穂乃果「ありがとっ! 真姫ちゃんだーいすきっ!」ギュゥ
真姫「ち、近すぎよっ///」
162:
真姫(はぁ……穂乃果といるとなんか調子狂うわね)
真姫(ナチュラルハイテンションというかなんというか……)フゥ
穂乃果「真姫ちゃんと登校なんて初めてだね?」
真姫「いつもは逆方向だから当然よ」ツン
穂乃果「えっへへ?真姫ちゃんと一緒?♪」ルンルン
真姫「なんで朝からそんなにテンション高いのよ……」
穂乃果「ん?真姫ちゃんと一緒だから?」チラッ
真姫「ヴェェエェエ!?」ドギマギ
穂乃果「なんてねっ♪」テヘ
真姫「ほ、穂乃果ぁ……」ゴゴ
穂乃果「……あ、あれ真姫ちゃん?」ササ
真姫「待ちなさーい!」ダッ
穂乃果「真姫ちゃんその顔怖いってー!」ダダダッ
163:
真姫「ぜぇ……ぜぇ……」
穂乃果「はぁ……はぁ……」
真姫「や、やめましょう穂乃果」
穂乃果「そ、そうだね真姫ちゃん……」
凛「おっはよー! 真姫ちゃん穂乃果ちゃん!」ダキッ
穂乃果(やっぱり元気だなぁこの子……)
穂乃果「あ、凛ちゃんおはよっ!」
真姫「凛、おはよ」
花陽「真姫ちゃん、穂乃果ちゃん。おはよう」
穂乃果(おっとりしてて可愛いなぁ……あ、眼鏡じゃないんだ)
穂乃果「おはよう、花陽ちゃんっ」
真姫「ん、おはよ」
花陽(あれ、真姫ちゃんと穂乃果ちゃんが一緒に登校?)
165:
穂乃果「やぁ?凛ちゃんくすぐったいってー!」
凛「久々の穂乃果ちゃんパワーだにゃ」スリスリ
穂乃果「む?お返しだ?」スリスリ
凛「やはは、やったな?!」スリンスリン
花陽「真姫ちゃん、真姫ちゃん。どうして穂乃果ちゃんと?」ヒソヒソ
真姫(しまった……いや、まだ大丈夫)
真姫「ほら、定期診察みたいなものよ」カミノケマキマキ
花陽「定期診察……?」
真姫「そ、後昨日の練習で少し足を捻ったのよ」
花陽「ええぇっ!? 大丈夫なの!?」
真姫「う、うん。一晩処置したらどうにかなったわ」マキマキ
花陽「そう……なんだ……うん、納得したかなっ」ユビモジモジ
真姫(ほっ、どうにかなったかしら……)
166:
――――――――――――――――
ことり「穂乃果ちゃん遅刻かなぁ?」
海未「あの後色々ありましたから……真姫の家に泊まったかもしれませんね」
ことり「何かあったの?」
海未「穂乃果が足を捻ったようです」
ことり「……穂乃果ちゃん怪我はしてなかったよね?」
海未「……真姫の見立てでは、しているとのことでした」
ことり「海未ちゃん、信じるんだ」
海未「えぇ、私は信じています」
ことり「そっか、海未ちゃんは強いね……」
海未「いえ、強さには……程遠いです……」
ことり「……海未ちゃん泣いてもいいんだからね……?」
海未「ことりこそ……私の胸ならいつでも使ってください……」
海未「私達は……何があっても」
ことり「うんっ、信じようっ♪」
ワーワーギャーギャー
海未「さ、穂乃果達がはしゃいでます。行きましょうことり!」タッ
ことり「うんっ! 海未ちゃん待ってぇ!」タタッ
――――――――――――――――
189:
にこ「はぁ……」
希「おはよ、にこっち。ため息なんてついてどうしたん?」
にこ「ちょっとね……考え事ー」
絵里「希、にこ、おはよう」
にこ「! 絵里、昨日穂乃果と何を話したの?」
絵里「いきなりどうしたの? ……昨日は穂乃果のダンスの完成度について聞いただけよ」
にこ「他には?」
絵里「……結局、真姫が言うには足をやっちゃったみたいね」
にこ「……真姫ちゃんがそう言ったのね?」
希「にこっち顔が怖いよー?」
にこ「わかったわ、ありがと絵里」ダッ
絵里「…………」
希「……なるほど」
絵里「何がなるほどなの?」
希「ううん、こっちの話やで絵里ち」
絵里「もう、はぐらかさないでよ」
希「絵里ちも全部話してるわけじゃないやん?」
希「でも、今言うべきことじゃないからやろ?」
絵里「希にはお見通し……ね」
190:
海未「あ、絵里、希。おはようございます」
ことり「二人ともおはよっ♪」
絵里「海未、ことり。おはよう」
希「おはようさん?」
海未「……」
絵里「……」
希「ふぅ、二人とも空気が重いで?」
ことり「そうだよ、海未ちゃんっ、絵里ちゃんっ」
海未「すいません……」
希「目元真っ赤っ赤やし……はいハンカチ」
ことり「ずっと真っ赤なのっ……」
海未「う……」ゴシゴシ
絵里「え、海未。全然真っ赤じゃないないわよ?」
ことり「てへ」
希「絵里ち?ネタばらし早すぎやって」クスクス
海未「二人とも……覚悟はいいですか?」
ことり「ひぃっ!?」
希「……逃げるで!」ダダッ
海未「待ちなさーい!」
絵里「三人とも! ……あぁなんで朝から走ることになるのよ!?」
191:
にこ(真姫ちゃんに話を聞かないと……)
にこ(いた……!)
にこ「やっと追いついた……」ゼェゼェ
穂乃果「あ、にこちゃんおはよっ!」
凛「そんなに急いでどうしたかにゃ?」
花陽「にこちゃんおはよう」
真姫「……おはよ」
にこ「にっこにっこにー! 皆のアイドルにこちゃん登場!」
にこ「じゃなくって!」
凛「にこちゃん聞いた聞いた!?」
凛「真姫ちゃんと穂乃果ちゃんが一緒に登校してきたにゃー!」
真姫(あ、バカっ……)
にこ「真姫ちゃんと……穂乃果が?」チラッ
192:
穂乃果(あ……にこちゃんが……怒ってる……のかな?)
穂乃果「いやー、穂乃果が足挫いちゃって真姫ちゃんに診察してもらってたんだっ」
穂乃果「ね、真姫ちゃんっ」パチリ
真姫「そ、そうよ、だからっ、やましいことなんて別にないわよ!」
にこ「ふーん……診察ねぇ……」ジー
真姫(うっ……見てる……)ドギマキ
穂乃果(……わわ、どうしよう……)ニコニコ
凛「あーわかったー! にこちゃん真姫ちゃんがとられるかもって嫉妬かにゃ?」ニマリ
花陽「り、凛ちゃんっ!」
にこ「ばっ、そんなわけないでしょ//」
凛「その割には顔が赤いにゃー!」ニャハハ
にこ「り?ん?っ!」ムギュギュ
凛「いっ、いたいにゃー!」
193:
穂乃果「あ、後ろから海未ちゃんたちだ!」
真姫(何とかなったわね……)
花陽「ねぇ、真姫ちゃん」
真姫「何、花陽」
花陽「……ううん、やっぱりなんでもないや」
真姫「……変な花陽」ボソ
194:
真姫「穂乃果に振り回されっぱなしね……」
真姫「ピアノでも弾いて落ち着こうかしら」ガラッ
――――音楽室――――
真姫「ふぅ……」
にこ「待ってたわよ」
真姫「ヴェエェ!? にこちゃん?」
にこ「ねぇ、真姫ちゃん。真剣な話だからね」
にこ「率直に聞くわ、穂乃果は大丈夫なの?」
真姫「…………えぇ、大丈夫よ」
にこ「……本当?」
真姫「……今の穂乃果は大丈夫よ」
にこ「そう……よかった……」ホッ
真姫「急にどうしたの?」
にこ「ずっと……気にしてたのよ……」
真姫「ずっと……?」
にこ「うん。ずーっと」
195:
にこ「……あそこで……あのライブの時中断する事もできた」
にこ「穂乃果が倒れた時、私は……穂乃果よりライブのことを考えたわ」
にこ「せっかくのライブに来てくれているお客さんを優先したの」
にこ「……それは間違っていないと思う。間違えだとは思っていない」
にこ「けど……穂乃果の笑顔を見て……ね」
にこ「最初は軽口を叩けたけど……」
真姫「……えい」ピシッ
にこ「いったぁ!?」
真姫「何かにこちゃんらしくない、キモチワルイ」
にこ「あんったねぇ……!」
真姫「仮にそうだとして、穂乃果が恨むと思う?」
にこ「それ……は……」
真姫「だったらにこちゃんは今までどおりでいいと思うんだけど」
真姫「穂乃果も、そういう気遣いは……いらないって言うと思う」
にこ「真姫ちゃん……」
196:
にこ「真姫ちゃんは穂乃果の事好きなのかな?」
真姫「な、なんでそうなるのよ!」
にこ「冗談よ」
真姫「む?」
にこ「だって真姫ちゃんはにこにーに惚れてるもんねっ♪」
真姫「い、イミワカンナイ!」
にこ「それじゃ、また放課後ね」
真姫「はいはい……」
にこ「……アリガト」バタン
真姫「……全然落ち着かなかったわ……」
207:
――――――昼休み――――――
穂乃果「今日もパンが……あれ?」モグッ
ことり「どうしたの穂乃果ちゃん」
穂乃果「なんかいっつも食べてるものよりもさもさしてるというか……」ウーン
海未「元々パンでエネルギーを確保しようというのが間違っているのです!」
穂乃果「健康管理……も大事だからね、お母さんにお料理教えてもらおっかな」
ことり「ことりの手作りのお弁当いるっ?」
穂乃果「わ、ありがとー! ことりちゃん!」パクッ
穂乃果「おいひい……」モグモグ
海未「こら、口の中にものが入ってるのに喋るんじゃありません」
穂乃果「はーい」
ことり「海未ちゃん、お母さんみたいだねっ」
穂乃果「じゃあことりちゃんがお父さんかな?」
ことり「ええっ!? よし……頑張るっ……」
海未「何を頑張るんですか!?」
209:
ことり「あ、穂乃果ちゃん、放課後の練習終わったらケーキ屋さんに行かない?」
穂乃果「うんっ! 穂乃果ケーキ大好きだからー行くよー」
ことり「海未ちゃんも一緒に行こうね?」
海未「……はい、ご同行させていただきます」
穂乃果「海未ちゃん、なんか元気ないけど大丈夫?」ジッ
海未「!」
海未「い、いえ、そんなことは決して無いですよ?」
ことり「あー今海未ちゃん体重のこと気にしちゃったかな?」
海未「そ、それは……そうですよ! アイドルなんですから体重は……」
穂乃果「大丈夫だよ! 海未ちゃん細いからっ♪」
ことり「……海未ちゃん、気にし過ぎはだめだよ?」
海未「……そうですね、私も今日は食べますよ!」
穂乃果「おぉ、食べる気まんまんだねっ!」
キーンコーンカーンコーン
穂乃果「あ、授業始まるよー!」タタッ
ことり「……行こう、海未ちゃん」
海未「……わかりました、ことり」
210:
――――――放課後――――――
穂乃果「じゃあまずはー! ストレッチからだよ!」
真姫(覚えてるみたいね)ジッ
凛「ふにゃー!」
真姫「ヴェエエッ!?」
凛「真姫ちゃん今どこ見てたのかなー?」
真姫「べ、別に次のメニューのことを考えていただけよ」
凛「そうかにゃ、そうかにゃー?」スリスリ
絵里「こら! 凛! しっかりストレッチをしなさい!」
凛「はーい!」
花陽(真姫ちゃん、穂乃果ちゃんばっかり見てる……)
ことり「さ、花陽ちゃんもストレッチだよ?」
花陽「は、はい!」
希(……微妙におかしい空気やな、にこっちも元気ないし)
にこ「……」ペタン
海未「にこは柔らかくなりましたね」
にこ「別に……にこなら当然でしょ」
211:
海未「では、振付のおさらいです!」パンパン
絵里「はい、行くわよー!」ワンツーワンツー
穂乃果「ほっ、やっ!」クルクル
真姫(……一夜漬けにしては……)ジッ
ことり「……」
凛「真姫ちゃん、穂乃果ちゃんばっかり見てるにゃ」ヒソヒソ
花陽「……私もちょっと気になってた」ヒソヒソ
にこ(……何かあるのかしら、やっぱり)
希「君たち、雑念はだめよー?」
海未「穂乃果! ステップが遅れてますよ!」
穂乃果「くっ、頑張るよっ!」タンタンタン
絵里(言うほど遅れてはいないんだけど……)
海未「穂乃果! もう疲れてしまいましたか!」
穂乃果「全然大丈夫!」
真姫(鈍ってるようには見えないんだけど……?)
ことり(海未ちゃん……)
海未「……っ」
絵里「さー5分休憩よ!」
217:
絵里「海未、ちょっと来なさい」
海未「……はい」
ことり「私もちょっと話したいことが」
穂乃果(穂乃果は頑張ってたんだ……私も頑張らないと……)
真姫「穂乃果、大丈夫?」
穂乃果「はぁ……はぁ……うんっ、なんだかいい感じ!」
希「無理したらわしわしやよー?」
穂乃果「今は逃げれないから勘弁……」
にこ(真っ先に穂乃果のところに駆け寄ったわね……)
凛「にこちゃん、真姫ちゃんのこと睨んでる?」
にこ「なんでそうなるよのよ!」
花陽「でも、真姫ちゃん、穂乃果ちゃんに近いよね」
凛「なんかお泊りしてから近くなったにゃー!」
にこ(真姫ちゃんが隠し事……か)
218:
絵里「海未、説明してもらえるかしら」
ことり「海未ちゃん……」
海未「……何のことでしょうか」
絵里「穂乃果に対して厳しすぎるわ、まだあの子は病み上がりなのよ?」
海未「ラブライブ予選最終日まで時間がありません」
ことり「でも、穂乃果ちゃんは頑張ってるんだよ!」
海未「わかってます……わかっているんですよそんなことはっ……!」
絵里「海未……」
海未「えぇ、私は信じていますよ。嘘偽り無く!」
海未「ただ、今まで見ていたイメージがブレるんです……」
ことり「私も……確かにブレてるんだけど……」
絵里「二人が何を言っているかあんまりわからないんだけど……」
海未「幼馴染の経験というか……呼吸がズレてるんです」
ことり「うん……なんていうか、いつもと何かがワンテンポ……ズレてるのは感じるの」
絵里「……凄いわね。私にはステップの遅れとか技術的なものしかわからないわ」
ことり「でも、海未ちゃん。あんまりだめだよ?」
海未「取り乱しました……すいません」
219:
海未「さ、休憩は終わりですよー!」パンパン
穂乃果「みんなー! ファイトだよ!」
海未(穂乃果……貴女は……)
絵里「ラブライブ予選最終日まできっちり行くわよ!」
穂乃果(そうだ……予選最終日にライブをして……本戦に行くんだ!)
にこ「そーよ! 私達はいついかなる時も最高のパフォーマンスを見せるのよ!」
花陽「ドキドキしてきました……」
凛「凛はわくわくしてきたにゃー!」
ことり「ことりも皆と頑張りたいなっ♪」
真姫(……)
希(真姫ちゃん……?)
220:
海未「はい、今日は練習終わりです!」
絵里「みんな、よく頑張っていると思うわ」
にこ「絵里が褒めるなんて、珍しいわね」
凛「褒められたにゃー!」
花陽「私達上達しているんですね!」
穂乃果「う、うん……そうだね……」
ことり「……さ、穂乃果ちゃんケーキ食べに行こ?」
穂乃果「うんっ!」
真姫(穂乃果……)
希「真姫ちゃん?」
真姫「ヴェエエエ!? どうしたのよ希」
希「ウチ何回も呼んだんやけどなぁ……?」
真姫「悪かったわね……」
希「話あるんだけど大丈夫?」
真姫「えぇ……」
221:
希「んーじゃあ場所うつそっか」スッ
真姫「……仕方ないわね」スッ
絵里「にこー? 今日はどこかによってく?」
にこ「あーにこは?真姫ちゃんに用事がー!」
凛「実は凛も……」
花陽「私も聞きたいことが……」
絵里「真姫も人気者ね。でも、もういないわよ?」
にこ「え?」
ことり「ケーキ屋さんに行くのも久々だねっ」
海未「えぇ、あの時以来ですね」
穂乃果「そうだねっ!」
穂乃果(……あの時ってどの時だろ……?)
222:
希「それで、真姫ちゃん」
真姫「聞きたいことはわかってるわよ……穂乃果でしょ」
希「それもあるんやけど……」
真姫「何よ」
希「練習中穂乃果ちゃんのこと見過ぎやよ?」
真姫「……ごめん。そんなつもりなかったんだけど」
希「真姫ちゃんって優しいんやね」
真姫「……そういうのじゃないわよ」
希「?」
真姫「恩返し……みたいなものかも……」
希「ふふ……それで本題なんやけど」
希「穂乃果ちゃんって今どうなの?」
223:
真姫「……言わないとだめ?」
希「……そういうこと……」
真姫「察しがいいのも本当に面倒なのね」
希「一番面倒な人に言われたくはないんやけどね」クスクス
真姫「そうかもね」クスリ
真姫「……だからさ、希」
希「ウチに甘えたくなったら言ってね?」
真姫「茶化さないの! ……でもありがと……」
希「素直な真姫ちゃん、好きやよ」
真姫「……///」
真姫「待ってあげてね……あの子のこと」
希「そうやね……」
224:
――――――――――――
にこ「完全に逃げられたわ……」
絵里「逃げたって言いすぎじゃない?」
凛「でも実際……」
花陽「真姫ちゃんに話を聞きたかったよね」
絵里「何を聞こうとしていたの?」
凛「真姫ちゃんと穂乃果ちゃんの急接近についてだにゃ!」
絵里「えぇっ!?」
にこ「何よ、あんた気づいてなかったの?」
花陽「練習中すっごい穂乃果ちゃんのことを見ていたんだよっ?」
絵里「気づかなかったわ……」
絵里(海未が怖い顔して穂乃果を指導していたから……)
225:
にこ「で、絵里は知らないの?」
絵里「し、知らないわよ!」
凛「絵里ちゃんも知らないなら仕方ないにゃ」
花陽「穂乃果ちゃんと真姫ちゃん……応援したほうがいいのかな?」
にこ「ばかねー、あの二人じゃ恋愛なんて話はないわよ」
花陽「どうして言い切れるの?」
にこ「……問い詰めた時、そうじゃないって言ったから」
凛「……わかる気がするよ」
にこ「だから、なにか違うことかなって思ったの」
絵里「ハラショー」
にこ「しょーがないわねぇー! じゃあ行くわよ!」
絵里「どこに?」
にこ「ハンバーガー食べに行くわよ。絵里……あんたもおいでよ」
絵里「えぇ、そうするわ」
238:
ことり「ケーキ屋さんなんて久し振りだね♪」
海未「甘いものは基本的に太りますからね」
穂乃果「もう?海未ちゃん堅いよ?」
ことり「そうだよぉ、ケーキ屋さんに来てまで言うことじゃないよ?」
海未「うっ、確かにそうですね」
穂乃果「どれを見ても美味しそうで目移りしちゃうなぁ」
ことり「ことりは?チーズケーキ!」
海未「私は…………ショートケーキにでもしましょうか」
穂乃果(イチゴが乗ってる……)ジッ
海未「……どうかしましたか、穂乃果」
穂乃果「う、ううん! なんでもないよ!」
穂乃果「私はチョコレートケーキにするねっ!」
239:
ことり「……」
海未「……」
穂乃果「さ、二人とも穂乃果の家で食べよっか!」
海未「穂乃果、本当にいいのですか?」
穂乃果「え、何が?」
海未「穂乃果はじっとショートケーキを見ていたのでしょう?」
海未「……交換してもいいんですよ?」
穂乃果「や、やだなぁ……穂乃果はそんなにいやしんぼじゃないよ!」
ことり「……じゃあみんなで食べあいっこすればいいんじゃないかなっ♪」
穂乃果「おぉ、ことりちゃんナイスアイディア!」
海未「ことり……はい、そうしましょうか」
240:
穂乃果「ただいまー!」
雪穂「お姉ちゃんおかえりー」
穂乃果「お母さんは店番?」
雪穂「うん、そうだってー」
穂乃果「ささ、二人とも入って入って!」
海未「お邪魔します」
ことり「お邪魔しま?す」
ガラッ
海未「えっ?」
ことり「あれっ?」
穂乃果「どうしたの?」
海未「な、なんでもありませんよ?」
ことり「なんか久々だなって♪」
海未(整理整頓がきっちりされてる……)
ことり(本棚が……全巻ちゃんと並んでる……)
241:
コンコン ガラッ
雪穂「あ、お姉ちゃん本借りてくね」
雪穂「えぇっ!? お姉ちゃんの本が巻数通りにある! 病気!?」
穂乃果「雪穂が怒るからだよぉ……前言ってたでしょ!」
雪穂「あれ、そうだっけ。じゃあ借りてくね」
雪穂「海未さんとことりさんもごゆっくり?」
ピシャッ
穂乃果「もう、口うるさいんだから……」
穂乃果「じゃあ食べよっか!」
海未「はい、全て三等分しますか」
ことり「ことりはちょこっとでもいいよっ♪」
穂乃果「穂乃果は……海未ちゃんの……その……」チラッ
海未「はいはい、イチゴですね。どうぞ」
穂乃果「わーいっ! 海未ちゃんありがとっ♪」モグモグ
244:
海未「やっぱりA-RISEは凄いですね……」
ことり「一週間もライブを続けるなんて体力が……」
穂乃果(体力かぁ……あっ)
穂乃果「そうだ! 今の私達の順位は!?」
海未「前回は9位でしたからね……」ピッピッ
ことり「よかった?順位は変わってないね」
穂乃果「うんっ! このまま行ければ……」
海未「ラブライブに……」
ことり「出れるんだねっ♪」
穂乃果(私たちの……今の目標!)
穂乃果(私……達……?)ブンブン
穂乃果「穂乃果達の目標を達成しよう!」
246:
ことり「……」
海未「私たちもとうとうここまで来てしまいましたね」
海未「…………覚えていますか、穂乃果」
海未「貴女が一生懸命練習をしていたのを見て、私はスクールアイドルになろうと決意しました」
ことり「ことりは、穂乃果ちゃんが好きだから、放っておけなくてっ♪」
穂乃果「うっ、うんっ! あ、ありがと……」
海未「……穂乃果は笑顔と泣き顔。どちらが好きですか?」
穂乃果「もちろん笑顔だよ……」
ことり「ことりも泣いてるよりは笑ってるほうが好きかな♪」
247:
海未「笑っている方が楽しいですからね」
穂乃果「そうだよね……」
ことり「うんうんっ♪」
海未「穂乃果には感謝してますよ」
ことり「ことりもだよっ」
穂乃果「そう……なんだ」
海未「……少し恥ずかしい話になりますが、笑わないでくださいね」
穂乃果「うん」
海未「私は穂乃果にずっと引っ張られてきました」
海未「私に……良い影響か悪い影響かはともかくとして、色々なものを見せてくれました」
海未「恐らく、私一人では見ることが出来なかったと思います」
海未「私は……穂乃果が好きです」
穂乃果「……………………」
248:
ことり「違うよ、海未ちゃん」
海未「?」
ことり「私たち。だよ?」ニコッ
海未「えぇ、そうですね」ニコッ
穂乃果「うん……なんか恥ずかしい……かな……」
海未「勘違いしないで下さいね?」
穂乃果「?」
海未「私は……私たちはどの穂乃果も好きですよ」
穂乃果「え……」
海未「笑っている穂乃果も、辛くて泣きそうな穂乃果も」
ことり「夢に向かって輝いている穂乃果ちゃんも、悩んでいる穂乃果ちゃんも」
海未「もちろん調子に乗ったり、道を踏み外すようなことがあれば叱りますけどね」フフ
249:
海未「個人的な価値観ですが、私は過ぎ去ってしまったことよりも今が大事だと思います」
海未「過去が重要でないというわけではないですけどね」
穂乃果「……」
海未「……そして、今の貴女も好きですよ穂乃果」
ことり「ことりは穂乃果ちゃんがどんなときも好きかなっ♪」
ことり「私たちはどんなときでも味方だよ、穂乃果ちゃんっ」
穂乃果「あ……っ」
海未「時間が押してしまいましたね……帰りましょう、ことり」
ことり「うんっ、穂乃果ちゃんまた明日学校でね」
250:
――――――――――――
穂乃果(……泣きそうになったのバレてないかな)
穂乃果(嬉しくて……嬉しくて……)
穂乃果(海未ちゃん……ことりちゃん……)
穂乃果(……こんな私でも)
穂乃果「こんな私でも……好きって言ってくれて……」
穂乃果「ありがとう……」グスッ
251:
――――――――――――
海未「ことり……あれでよかったんでしょうか」
ことり「それはわからないかな」
ことり「でも、海未ちゃん凄い情熱的だったよ?」
海未「茶化さないで下さい……今すごい恥ずかしいんですから……」
ことり「ふぅん、妬けちゃうなぁ」
海未「あ、ことりにも言い忘れていましたね」
ことり「?」
海未「ことりのことも勿論好きですからね」
ことり「海未ちゃんって時々大胆だよぉ……」ボソ
海未「何か言いましたか?」
ことり「ううん、ことりも海未ちゃんのことが好きだよって言ったの!」
259:
――――――――――――
穂乃果(また……浮いてるような感じだ……)
穂乃果(小さい子ども達が木に登っている……)
穂乃果(海未ちゃんと……ことりちゃんだ……)
穂乃果(もう一人は……誰?)
――――――――――――
穂乃果「…………まだ夜だ……」
穂乃果「夢……なのかな、これ」
260:
穂乃果(私の心はいろんな人に救われている……)
穂乃果(海未ちゃん、ことりちゃん)
穂乃果(そして真姫ちゃん)
穂乃果(この三人は間違いなく気づいている)
穂乃果「どうしよ……いつ皆に話せばいいのかな……」
穂乃果(皆が優しいから言い出しにくい……)
穂乃果(そして高坂穂乃果が凄いということを自覚させられる)
穂乃果「私なんかが……代わりでいいのかな」
穂乃果(ううん、そんな考え三人に……皆に失礼だよっ)
穂乃果「迷ってばっかりだけど……」
穂乃果「予選のライブが終わったら皆に改めて話そう」
262:
穂乃果「今日も朝から和食が美味しい!」
穂乃果母「嬉しい事言ってくれるわね」
雪穂「なんかーお姉ちゃん変わった?」
穂乃果「そ、そんなことないよ?」
雪穂「う?ん、そうかなーどことなく雰囲気が……」
穂乃果「あはは、気のせいだよ? お母さん、雪穂、行ってきます!」
雪穂「いってらっしゃーい」
穂乃果(……すごいなぁ)
263:
穂乃果「海未ちゃーん! ことりちゃーん! おっはよー!」
海未「穂乃果、しっかり眠れましたか?」
ことり「体調は大丈夫?」
穂乃果「心配しすぎ! さ、今日も頑張ろっ?」
海未「じゃあ、行きましょうか」
ことり「一緒にね♪」
穂乃果「……うんっ!」
264:
真姫「おはよ、希」
希「おはよ、真姫ちゃん」
真姫「昨日のこともあるんだけど……」
希「変な空気のままウチも練習はしたくないから……」
希「頑張ってみるよ」
真姫「わかってる人と話すと楽ね」
希「その分面倒やけどな?」
真姫「はいはい、今日は頑張りましょ希」
希「どんなときも笑顔やで真姫ちゃん」ニコッ
真姫「にこちゃんみたいなこと言ってるわね」フフ
265:
凛「今日は勝負だねかよちん」
花陽「うん……!」
にこ「あんたたち、気負い過ぎないように!」
絵里「そうよ、昨日話し合ったしね」
凛「昨日といえば……」
花陽「絵里ちゃんが……」
にこ「スマイルテイクアウトのことは忘れてあげなさい……」
絵里「……私ああいうところ行ったことあんまりないから許して!」
花陽「でも相手固まってたよね……」
凛「絵里ちゃんは美人だからねー」
にこ「同性というところは突っ込まなくていいのかしらね」
絵里「……ともかく! 決めたことは守りましょ」
にこ「そうね」
266:
――――――昨日――――――――――
にこ「今日の真姫ちゃんは変だったわね」
花陽「うん、ずーっと穂乃果ちゃんを見てたね」
絵里「それを言うなら海未も変だったわ」
凛「たしかに穂乃果ちゃんにすごい当たってたにゃ」
にこ「やっぱりキーは穂乃果ね」
凛「間違いないにゃ」
絵里「ねぇ、私たちさ、穂乃果達が話してくれるまで待たない?」
花陽「私もそう思ってた……言いたいときに言ってくれればいいかなって」
にこ「きっと隠しておきたいことがあるんでしょうね」
凛「皆がそうするならそうするにゃ」
絵里「決まりね、この話題は振らないようにしましょう」
――――――――――――――――――
274:
――――――放課後――――――
穂乃果「よしっ! 今日も一日練習だ!」
海未「無理のし過ぎはいけませんよ?」
穂乃果「わかってるって!」
ことり「身体冷やさないようにねっ♪」
穂乃果「むーみんな心配症だなぁ」
ことり「あはは」
ガラッ
絵里「来たわね、穂乃果達」
希「待ってたんよ?」
穂乃果「あはは、ごめんごめん」
にこ「席に着きなさい、次のライブのことを話すわ」
海未「日付は……」
真姫「明後日よ」
凛「それ以降は雨が降っちゃうんだって」
花陽「順位を落とさずキープするにはこの日が一番です!」
穂乃果(……予選の最後のライブだね)
275:
絵里「私たちはやれるだけのことはやってきているわ」
絵里「……今のダンスのレベルはA-RISEにも劣らないわ」
希「おぉ、絵里ちからお褒めの言葉やん?」
海未「絵里、今のは本心ですか?」
絵里「私は嘘を言わないわ」
ことり「ことりたちのダンスが……」
凛「免許皆伝だにゃー!」
にこ「あんたに言われなくても、にこにーはぁ、トップクラスだし?」
真姫「その割には震えてるわよにこちゃん」
花陽「嬉しいです……感激です……!」
穂乃果「絵里ちゃんのお墨付きももらったし……」
穂乃果「予選最後のライブ! 全力で頑張るよ!」
μ’s「おー!」
穂乃果(……うん、今考えても仕方ないよね)
276:
絵里「はいはい、柔軟からよー!」
真姫(今日は大丈夫かしら……)ジー
希「あ、ウチ真姫ちゃんと組みたいー!」
絵里「誰と組んでも構わないわよ」
希「真姫ちゃん、大丈夫やって」ボソ
真姫「どうにも気になって……」
穂乃果「ほっ」
海未「だいぶ柔らかさが戻りましたね」
穂乃果「皆のおかげだよっ」
真姫「そうね」
希「ウチらも柔軟や!」
277:
希(とは言ったものの……)ジー
花陽「凛ちゃんもっと強く行くよー」
凛「あぁっ、かよちん……ゆっくり……ゆっくり……!」
花陽「これ……くらい?」グイ
凛「痛気持ちいいにゃー!」
ことり「にこちゃんもやわらか?い」グイッ
にこ「あんたのほうが柔らかいでしょうに……」
ことり「そんなことないよー?」
にこ「あ、衣装はバッチリなの? まだ終わってなかったら手伝うわよ?」
ことり「心配ありがと♪ でも大丈夫だよっ」
にこ「私の可愛さと衣装がマッチにしてなかったら怒るからねー」
ことり「はぁい♪」
希「今日は空気が美味しいなぁ」
真姫「またわからないこと考えてるのね」
278:
絵里「はい、おさらい行くわよ!」
穂乃果(集中、集中)
絵里「ステップ! ターン! ジャンプ!」
穂乃果「ほっ、ほっ、とあっ!」
絵里(……穂乃果の動きが昨日よりはいいわね)
海未(その調子です穂乃果)
絵里(海未の見る目が優しいわね)
ことり(うん、海未ちゃん冷静だ)
真姫(穂乃果のことばかりは気にしてられないわね)
にこ(今日は見ないのね)
花陽(何かあったのかな……?)
凛(凛も集中しないと……!)
希(空気はいいんやけど、皆それぞれをガン見しすぎやろ……)クスリ
絵里「希! 集中しなさい!」
希「わかっとるよ!」
希(あちゃータイミング悪いなぁ)
279:
絵里「はい、オッケー!」
海未「練習終了です!」
花陽「ふぅ?」
凛「疲れたにゃー!」
ことり「はい、二人ともドリンクだよっ」
にこ「……穂乃果、話があるんだけど」
穂乃果「どうしたの、にこちゃん」
にこ「ここじゃ……ちょっと話しにくいからあっちで」
穂乃果「…………うん」
真姫「……あ」
希「……真姫ちゃん。にこっちも思うところがあると思うよ」
真姫「そうね……」
280:
にこ「……」
穂乃果「……」
穂乃果(……なんか気まずい)
にこ「穂乃果」
にこ「……あんたが居て本当に良かったわ」
穂乃果「……え?」
にこ「辛気臭いのは私には合わないわね」
にこ「穂乃果! 予選最後のライブ! 最高のパフォーマンスをするわよ!」
穂乃果「……うん!」
281:
――――――自室――――――
穂乃果(そっか、これでもし20位より下になっちゃったら)
穂乃果(三年生は引退しちゃうんだよね)
穂乃果(そうなったら……)
穂乃果(誰にも顔向けできなくなっちゃう)
穂乃果(最高のパフォーマンスを……)
――――――――――――――――――
穂乃果(雨……?)
穂乃果(誰か……倒れてる……)
穂乃果(皆が近寄ってる……)
穂乃果(……すごい、まだ続けたんだ……)
穂乃果(ねぇ、何を思っていたの?)
穂乃果(貴女は……)
――――――――――――――――――
288:
穂乃果(また夢……)
穂乃果(ううん、違う)
穂乃果(これは記憶だ……)
穂乃果(あの時のライブだ……!)
穂乃果(すごい……ドキドキする……)
穂乃果(…………)
穂乃果(……出来るの?)
穂乃果(今の私に…………)
290:
――――――部室――――――
凛「ほーのーかーちゃん!」
穂乃果「…………」
花陽「あれ? 凛ちゃんが呼んでるよ穂乃果ちゃん」
穂乃果「……」
凛「……シャー!」
穂乃果「うわぁ!? ど、どうしたのさ凛ちゃん!」ビクッ
凛「凛はさっきから呼んでるにゃー!」
花陽「うん、穂乃果ちゃん悩み事……?」
穂乃果「う……いやそういうわけじゃなくって」
凛「あー穂乃果ちゃん嘘ついてる!」
穂乃果「あ……明日が本番だから緊張しちゃって……」
花陽「花陽も緊張してる……憧れの舞台にあと一歩だから……!」
凛「凛はいつもどおり頑張るにゃ」
穂乃果「そうだよね、いつもどおりだよね……」
穂乃果(いつもどおり……)
291:
穂乃果(その後、皆で集まって)
穂乃果(明日の曲順や踊りのおさらいをして)
穂乃果(解散になっちゃった)
穂乃果「……どうすればいいのかな」
穂乃果「全然不安が収まらない……」
穂乃果(どうやって――――)
穂乃果(――――どうやっていつもどおりにすればいいんだろう?)
292:
穂乃果(だめだ、こんなもやもやじゃ……)
穂乃果「行ってきます!」
雪穂「お姉ちゃん、明日はライブでしょ?」
穂乃果「そうだけど……」
雪穂「また同じことを繰り返すよ?」
穂乃果「……でもちょっとだけ、男坂を一往復したら帰ってくるから!」バタン
雪穂「まったくもう……」
雪穂「おかーさーん! コンビニ行ってくる!」
293:
穂乃果「はっはっ……」
穂乃果「やっぱりこの坂、鍛えられるなぁ」ゼェゼェ
穂乃果「……お参りしてこっかな」テクテク
穂乃果「夜の神社って雰囲気ある……」キョロキョロ
希「夜遅くに頑張りすぎやよ、穂乃果ちゃん」ニコッ
穂乃果「うぇっ!? 希ちゃん!?」
希「こんばんわ」
穂乃果「こ、こんばんわ……」
294:
穂乃果「な、なんでこんな夜遅くに?」
希「それはウチのセリフなんやけどなぁ」
穂乃果「わ……穂乃果はあれだよ、日課だから!」
希「ま、帰っとき。明日に響いたら仕方ないしなぁ」
穂乃果「そうだね、お参りしたら帰るよ」
希「早めにした方がいいと思うんよ?」
穂乃果「え?」
希「きっと心配されてるよ?」
穂乃果「……わかった!」
穂乃果「μ’sのライブが成功しますように!」パンパン
雪穂「おねーーちゃーーん!」
穂乃果「ほんとに来ちゃった!?」
雪穂「ほら、帰るよ!」
穂乃果「わかってるって!」
穂乃果「バイバイ、希ちゃん!」
希「ほな?」
295:
穂乃果「雪穂」
雪穂「んー?」
穂乃果「ありがとうね」ナデナデ
雪穂「お姉ちゃん気持ち悪い」
穂乃果「雪穂酷くない!?」
雪穂「……緊張してる?」
穂乃果「ちょっとね……」
雪穂「大丈夫だよ、積み重ねたものはきっと嘘つかないよ」
穂乃果「……うん」
雪穂「楽しみにしてるからね」
穂乃果「……わかった」
296:
穂乃果(……眠れない)
穂乃果(寝なきゃいけないのに……)
穂乃果(明日に備えなきゃいけないのに……)
穂乃果(私の身体、ふわふわしてる……)
穂乃果(どうしちゃったんだろ、私……)
297:
チュンチュンチュン
穂乃果「朝……だね」
穂乃果「んっ……」パキポキ
穂乃果(身体が重いわけじゃない)
穂乃果(体調も悪いわけでもない)
穂乃果「よしっ、行ける!」
穂乃果(弱音なんて吐いていられない)
穂乃果(最後のライブには……)
穂乃果(絶対にしない!)
299:
穂乃果「海未ちゃん、ことりちゃんおはよう」
海未「おはようございます」
ことり「おはよっ♪」
穂乃果「今日は公開ライブの日だね」
海未「最初の三人で始めた講堂で……」
ことり「あの時はガラガラだったけど……」
穂乃果「……うん、そうだったね」
海未「……穂乃果」コク
ことり「緊張してるっ?」ダキッ
穂乃果「後ろから抱きつかないでよぉ、ことりちゃん!」
ことり「えへへ」
海未「気負い過ぎはいけませんよ」
穂乃果「わかってるよ、二人とも」
300:
にこ「ついに来たわよ、この時が!」
花陽「講堂で……あの時の講堂で……!」
凛「夢みたいだにゃー!」
希「……ようやくここまで来たんやな」
真姫「希、感動してるの?」
希「ううん、まだ感動するのは早いやろ?」
絵里「希の言うとおりね。皆、気を引き締めていくわよ!」
ことり「みんなっ、頑張ろっ♪」
海未「私たちはやれるだけのことはやりました」
海未「最高の結果がついてくるはずです!」
穂乃果(ドキドキが止まらない)
穂乃果(……やるったらやるって決めたんだ!)
穂乃果「……さ、最高のライブにしようね!」
海未「いつもの、行きましょう穂乃果」
穂乃果「…………」
海未「穂乃果?」
穂乃果「……行くよ、皆……!」
301:
穂乃果「1!」
ことり「2!」
海未「3!」
真姫「4!」
凛「5!」
花陽「6!」
にこ「7!」
希「8!」
絵里「9!」
μ’s「μ’s! ミュージックスタート!」
穂乃果(――予選最後のライブが……始まる!)
302:
穂乃果(……唇が乾く)
穂乃果(幕が開いたら、始まる)
穂乃果(皆、どうして平気なの……?)
穂乃果(私だけ……なの?)
ビーーーーーー
穂乃果(幕が……開いた……!)
穂乃果「――え?」
穂乃果(満……員……だ…………!)
穂乃果(あ……う……)
303:
穂乃果(声が……出ない……)
穂乃果(振り……付け……?)
穂乃果(歌詞……歌詞は……?)
凛『凛はいつもどおり頑張るにゃ』
雪穂『大丈夫だよ、積み重ねたものはきっと嘘つかないよ』
海未『私たちはやれるだけのことはやりました』
穂乃果(――――そっか。当然のことなんだね……)
穂乃果(私じゃ……ダメなんだ……)
穂乃果(目の前が……真っ白に……あっ……)
304:
――――――――――――
穂乃果(耳に音が戻ってきた)
穂乃果(視界が開けてくる)
穂乃果(私がパニックになっちゃったせいで……)
穂乃果(みんな……ごめん……)
穂乃果「ごめんな……さい……」グスッ
にこ「なに、泣いてんのよ!」
希「穂乃果ちゃん、感極まってるんやろ?」ウルウル
凛「希ちゃんだって涙目だよ?」ウル
花陽「凛ちゃんだってっ」ウルッ
真姫「涙もろすぎ!」プイッ
絵里「あとは結果を待つだけよ!」
穂乃果(何を……言ってるの?)
ことり「大成功だったね、穂乃果ちゃん!」
海未「完璧なライブでしたよ! 穂乃果!」
穂乃果「――――え、大成功……?」
305:
穂乃果「ほ、穂乃果の……動きはどうだったの?」
絵里「どうもなにも、完璧だったわよ?」
凛「一番の動きだったにゃ!」
穂乃果「う……歌は?」
真姫「音程に狂いなし、非の打ち所がないわ」
海未「情感もたっぷりでした」
穂乃果「そ、そうなんだ……!」
穂乃果「やったね! 私たち!」
花陽「ラブライブに出れるかも!」
にこ「……今頃ドキドキしてきたわ」
ことり「にこちゃん、はい、お水」
穂乃果「……反省会は明日でいいかな」
穂乃果「……昨日あまり眠れなかったから、今日は……帰るね……」ダッ
307:
穂乃果(あはは、そうだよね仕方ないよね)
穂乃果(皆に比べたら、私の積み重ねたものなんて……)
穂乃果(貴女が代わりをしてくれるなら……)
穂乃果(でも……)
穂乃果(酷いよ……)
穂乃果(どうして……どうして……私を信じてくれた人を……)
穂乃果(裏切っちゃうことをしちゃったの……?)
穂乃果「せっかく、信じてもらって、私を認めてくれたのに……」
穂乃果(違う……『私』が願ったのはμ’sの成功)
穂乃果「μ’sが……ライブが成功したんだから……それでいいよね!」
穂乃果「でも……でも……どんなに不格好でも……」
穂乃果「皆と一緒に踊りたかったよぉ……」グスッ
穂乃果「皆と一緒に歌いたかったよぉ……」ポロポロ
穂乃果「うっ……ぐすっ……ひぐっ……」ボロボロ
314:
――――――――――――
穂乃果(……)
穂乃果『ファイトだよ!』
穂乃果(…………)
穂乃果『やるったら、やる!』
穂乃果(………………)
穂乃果『講堂を満員にできて……幸せです!』
――――――――――――
穂乃果「……夢……じゃないよねこれ……」
穂乃果「やめてよ……」
穂乃果「もうやめてよ!!」
穂乃果「なんで私がこんなに苦しい思いをしなくちゃいけないの……」
穂乃果「どうして……私じゃないの……」
穂乃果「どうしてっ!」ポロポロ
穂乃果「それなら……」
穂乃果「最初からいらなかったよぉ……」グスグス
穂乃果「私って…………」
315:
穂乃果(今日学校……行きたくない……)
穂乃果「……休んじゃお。金曜日だし、土曜日と日曜日もゆっくり出来る……」
穂乃果「……後、話さなくちゃいけない」
穂乃果「もう、誤魔化すのはやめよう……」
穂乃果「あはは、失望されちゃうかも……」
穂乃果「当然だよね、騙してたんだから……」
穂乃果「……メールしよ」
『今日は体調が悪いから休むね。月曜日に反省会をしようね』
穂乃果「……海未ちゃんとことりちゃんに送っておこう」
穂乃果(電源切って……これでいいよね……)
316:
穂乃果(目を瞑ると、鮮明に思い出せる)
穂乃果(あの時の胸の高鳴り)
穂乃果(一瞬で真っ白になりそうになる)
穂乃果(あの重圧。一面、人の景色)
穂乃果(声が出なくても)
穂乃果(転んで動けなくなってしまっても)
穂乃果(……私は皆とそこに居たかった)
穂乃果「……居たかったんだ……心の底から」
穂乃果(本来居るべきは私じゃ……ないのに)
穂乃果「皆が優しすぎるからだよ……」
318:
――――――日曜日――――――
穂乃果(結局土曜日……寝て過ごしちゃった……)
ガチャ
雪穂「お姉ちゃん散歩でもしてきたら?」
穂乃果「うん、そうするよ」
穂乃果「雪穂」
雪穂「んー?」
穂乃果「……なんでもない」
雪穂「……」
穂乃果(雨降ってないんだね……)
ガヤガヤガヤ
穂乃果「ん?」
ワッチャドゥーワッチャドゥー
穂乃果「あれは……?」
319:
穂乃果「すごい……大きなモニター……」
穂乃果(楽しそう……)
穂乃果(私も……あんなふうに皆と……)
ツバサ「高坂さん」ウフフッ
穂乃果(えっ、あのモニター映ってる人だ……ってことは……!?)
穂乃果「A-RISEの!?」
ツバサ「しーっ!」
ツバサ「来てっ」グイッ
穂乃果「えええっあぁぁっちょっと!」
320:
――――――UT-X内――――――
穂乃果「はぁ……はぁ……」
穂乃果「あれ……今映ってたのは……?」
ツバサ「あれは録画よ」
ツバサ「……改めて言うわ、初めましてμ’sのリーダー高坂穂乃果さん」スッ
穂乃果「は……初めまして」ギュッ
穂乃果(……μ’sのリーダー……か)
ツバサ「貴女を見た時すぐにわかったわ」
ツバサ「沢山のお客さんの中から貴女の輝きが見えたの」
ツバサ「だから、つい声をかけちゃった」テヘ
穂乃果(…………輝き……ね。私のじゃないよね……)
ツバサ「ライブもいつもチェックしていたわ」
ツバサ「前のライブ、とっても素敵だった」
穂乃果「――――――――!!」
穂乃果「へぇ、高坂穂乃果って凄いんだね」
ツバサ「? 高坂穂乃果って貴女でしょ?」
穂乃果「あ……ごめんなさい。こちらの話……です……」
アレツバサヨネ ダヨネ!
ツバサ「……貴女達って仲がいいのね」
穂乃果「えっ?」
321:
――――――金曜日――――――
海未「今日、穂乃果は来れないそうです」
ことり「穂乃果ちゃん……」
絵里「疲れもあったんだろうし、土曜日は完全休日にするわ」
希「風邪とか引いてなければええなー?」
花陽「穂乃果ちゃん辛そうだったから……」
にこ「しょーがないわねーほんっと!」
凛「にこちゃんなんかウキウキしてるにゃ」
にこ「だって私たちのライブで……順位はA-RISEに次いでの2位よ!」
にこ「皆があれよ! 冷静すぎるのよ!」
ことり「嬉しいんだけど……ちょっと……」
海未「穂乃果の体調が……」
海未 (それだけではないのですが……)
ことり(それだけじゃないんだけど……)
真姫(穂乃果……)
322:
絵里「まだ決まったわけではないし……ね」
希「そうやねーでも、もうちょっとやね」
花陽「夢に手が届きそう……」ウルッ
凛「かよちん泣いてるにゃー!」
にこ「泣くんじゃないわよ! まだ始まったばかりなんだから!」
にこ(やったわね……にこ……! ついにここまで)ウルッ
花陽「あ……日曜日UT-Xに行かない?」
にこ「A-RISEのライブの録画が流される日よね」
凛「この前かよちんが言ってた1WEEKの……?」
花陽「そうだよ! 凛ちゃん! 最終日まで踊り続けて疲労を乗り越え」
にこ「それでも完璧なステップを踏み、歌唱力も抜群のライブを」
にこ「見に行くのよ!」
花陽「見に行きたいです!」
希「……にこっち」
絵里「まぁ、一度見ておくのもいいかもね」
にこ「じゃあ、日曜日にUT-X前で!」
323:
にこ「早いわね、花陽」
花陽「当然です!」
にこ「しっかし人が多いわね……」
花陽「最前列は激戦区です……!」
キテッ エエエェ
にこ「あれは……穂乃果と――!!」
花陽「穂乃果ちゃんと――!!」
にこ「行くわよ!」ダッ
花陽「わかってます!」ドドッ
にこ「あれは……」
花陽「絶対……」
にこぱな「「ツバサ(だ)よね!」」
333:
――――――――――――
穂乃果「にこちゃん!? 花陽ちゃん!?」
にこ「ったく、なんであんたがここにいるのよ」
花陽「ささささ、サインをもらってもいいですか……!?」
にこ「ずるいわよ! 花陽!」
ツバサ「いいわよ、小泉花陽さん」
花陽「あれ、私の名前を……!?」
ツバサ「矢澤にこさんも知ってるわ……」
にこ「え……?」
ツバサ「いつもお花ありがとうね」ニコッ
にこ「ど、どういたしまして……」ドキドキ
ツバサ「他のメンバーも呼んであげて」
ツバサ「結果発表まで後1時間。皆で見ましょう?」
334:
ツバサ「UT-Xにようこそμ’sの皆さん」
あんじゅ「ゆっくりくつろいでね」
英玲奈「一度挨拶をしたいと思っていた」
μ’s「え……?」
ツバサ「私たちはずっと貴女たちを注目していたの」
あんじゅ「最初のライブからきっとここまでくると思っていた」
英玲奈「ここまで個性を持っているグループは珍しいからな」
335:
真姫「ふん、ずいぶん上から目線じゃない」
にこ「ちょ、ちょっと真姫ちゃん!」
希「時間やね」
あんじゅ「結果発表の時間ね」
花陽「あああっドキドキする……」
凛「大丈夫だにゃ、かよちん」
ことり「うんっ♪」
英玲奈「楽しみだな」
海未「絵里、顔が硬いですよ」
絵里「……えぇ」
ツバサ「ここまでやってきたのだから、貴女たちはここでは負けないわ」
穂乃果「…………」
336:
【結果発表】
5位 Lucky(沖縄)
花陽「沖縄の……!」
凛「なんだか独特な感じがするね、かよちん」
花陽「それを武器にして勝ち上がってきたのかな」
4位 girlish season(北海道)
海未「試される北の大地ですか……」
希「食べ物は美味しいで?」
英玲奈「遠征で何回か行ったが、良いグループだったよ」
3位 Little Tokyo(東京)
あんじゅ「やっぱりきたわね、ここも」
真姫「東京の名を模してるだけはあるわね」
ことり「ドキドキする……」
2位 μ’s(東京)
にこ「やった! まずは行けるわよ!」
絵里「ハラショー! ……でも」
1位 A-RISE(東京)
ツバサ「ふぅ、まずはほっと一息ね」
穂乃果「おめでとう……ございます」
ツバサ「ありがとう、そして貴女たちもおめでとう」
337:
ツバサ「でも、この結果は当然だと思う」
英玲奈「9人居てもなお光り輝いている高坂穂乃果」
あんじゅ「コンクールでも通用する踊りの核である絢瀬絵里」
ツバサ「作曲に非凡な才能を感じさせる西木野真姫」
英玲奈「観客を共感させる作詞の出来る園田海未」
あんじゅ「グループに必要な調和の声を持つ小泉花陽」
ツバサ「慈愛の精神と包容力で心を支えている東條希」
英玲奈「人々を振り向かせ、魅了させる声の南ことり」
あんじゅ「全国トップレベルの運動神経を持つ星空凛」
ツバサ「アイドルへの熱意と執念を心に宿した矢澤にこ」
ツバサ「このメンバーが揃っていて、予選で落ちるとは考えられない」
338:
ツバサ「そう、私たちは貴女たちを一番のライバルだと思っている」
海未「で、でも今の予選順位は……」
英玲奈「関係ないな。予選と本戦は別物だと言うことだ」
英玲奈「そして私たちは常にお客さんを一番喜ばせる存在でありたい」
あんじゅ「貴女たちポテンシャルは相当高いのよ?」
あんじゅ「初めて数ヶ月。メンバーが9人になってからの急成長」
ツバサ「そして全国2位。だからこそ負けたくない」
ツバサ「本番、とても楽しみにしているわ」
ツバサ「μ’sの皆さん、お互い頑張りましょう?」
ツバサ「……私たちは負けません!」
μ’s「…………」
穂乃果(……皆気圧されてる。私もドキドキしてる)
穂乃果(……でもこんなとき高坂穂乃果なら)
ガタッ
339:
ことり「……A-RISEの皆さん!」
穂乃果(ことりちゃん!?)
海未「私たちも負けるつもりはありません」
穂乃果(海未ちゃんも……!?)
ことうみ「「今日はありがとうございました」」
ツバサ「ふふっ、貴女たちって面白いわね」
ツバサ「それじゃ、また来週会場で」
340:
――――――外――――――
ことり「あードキドキした♪」
海未「全くです、ことりにはびっくりですよ」
ことり「海未ちゃんは言ってくれると思ってたよ?」
海未「ことりには敵いませんね」
絵里「ごめんね、ことり、海未」
希「ホントはウチらも何か……」
海未「いえ、気にしないでください」
花陽「ラブライブに出場できるなんて夢のようです!」
凛「夢じゃないんだよ、かよちん!」
真姫「はしゃがないの! 私たちはA-RISEに勝たなくちゃいけないんだから!」
にこ「ところでさ……穂乃果はどうしてあそこにいたの?」
穂乃果「ホントは月曜日に話そうと思ってたんだけどさ」
穂乃果「――――皆に、聞いてほしいことあるんだ」
346:
――――――部室――――――
穂乃果(覚悟はもう出来ている)
穂乃果(皆を騙していたのは本当に悪いことだ)
穂乃果(どんな罵声が飛んでくるんだろうか……)
穂乃果(でも仕方ないよね……)
穂乃果(悪いのは私なんだから)
穂乃果(ごめんね、皆)
穂乃果(ごめんね……)
349:
穂乃果「ずっと黙ってたんだけど、私さ」
穂乃果「皆との思い出……忘れちゃったんだ」
穂乃果「全然思い出せなくて……」
穂乃果「それでも皆が優しいから居心地が良くて……」
穂乃果「言い出せなかったんだ……」
穂乃果「ごめんね。穂乃果は……私は貴女たちのことわからないんだ」
穂乃果「貴女たちの知っている高坂穂乃果を騙ってごめんね……」
海未「……っ」
ことり「……」
真姫「…………」
350:
絵里「……その様子だとことりと海未、そして真姫は知ってたみたいね」
凛「……本当に……?」
花陽「記憶が……なかったんだ……」
希(……真姫ちゃん以外は聞くのは初めてみたいやな)
凛「どうして……どうして教えてくれなかったの?」
花陽「そうだよ、私たちに相談してくれれば……!」
穂乃果「ごめんなさい……」ペコッ
凛「違うよ! 凛が聞きたいのはそういうのじゃなくって!」ユサユサ
花陽「凛ちゃん、落ち着いて!」
穂乃果(悲しそうな、顔をしている……ごめんね)
351:
にこ「ふーん……で、あんたはどうしたいの?」
穂乃果「えっ……」
にこ「あんた自身はアイドルやりたいの?」
穂乃果「……」
にこ「やりたくないなら、帰ってもらっても構わないわ」
穂乃果(そう……だよね)
真姫「ちょっと、にこちゃん!」ガタッ
海未「真姫、待ってください」
にこ「もし、やりたいんだったら……」
にこ「休んでた分を取り戻すために練習よ」
穂乃果「私でいいの……? 穂乃果じゃないんだよ……? 私……」
にこ「言ってる意味がわからないわね」
にこ「私はあんたに言ってんの! 自分でやりたいかどうかは決めなさい」
ことり(にこちゃん……)
にこ「もし来るなら、部長として貴女を歓迎するわ」ニコッ
穂乃果(あ……!)
にこ「さ、皆練習するわよ!」
353:
にこ「先、屋上に行ってるわよ」ポン
凛「凛も待ってるにゃー!」ポン
花陽「一緒に踊りたいです……」ポン
絵里「やりたいようにね」ポンポン
希「μ’sは9人でμ’sやよ」ナデナデ
海未「私も待ってますよ、穂乃果」ポム
ことり「またあとでね、穂乃果ちゃん♪」ポン
真姫「ま、後悔だけはしないようにね」ポン
穂乃果「皆……ありがとう……」グスッ
穂乃果(ちょっと泣き止むまで……待っててね)ポロポロ
354:
バタン
希「にこっち格好良かったやん?」
凛「にこちゃん輝いてたにゃー!」
にこ「うっさいわねぇ! 私だって思うところが色々あったのよ」
絵里「流石部長といったところね」
花陽「そんっけいっ♪」
にこ「だーっ! 持ち上げないで恥ずかしい!」
真姫「やるじゃない、部長さん」
真姫(事実、パーフェクトの回答かもしれない)
357:
穂乃果(……ありがとう、皆)
穂乃果「やっぱり貴女は凄いよ」
穂乃果「だから、貴女の想いも背負ってく」
穂乃果「私も、やっぱり皆と踊りたい」
穂乃果「皆で、一緒に歌いたい!」
穂乃果「穂乃果のために、皆のために」
穂乃果「自分のために!」
穂乃果「よーっし! やるったらやるっ!」
バタン
穂乃果「皆! よろしくお願いします!」
358:
――――――――――――
絵里「さて、ラブライブ本戦だけど」
花陽「15分間のフリーで決まります!」
にこ「私たちの全てをぶつける時が来たようね」
真姫「で、曲順はどうするの?」
海未「順位の順番ですから、私たちの後ろには……」
ことり「A-RISEが控えてるんだよね……」
凛「難しいにゃ……」
希「なるようになるしかないやんな」
穂乃果(……ドキドキする)
真姫「穂乃果の状態を考えましょうか」
穂乃果「えっ?」
359:
真姫「穂乃果がセンターの曲が多いのよ」
海未「! そうですね……」
にこ「穂乃果次第では……」
凛「センターボーカルが誰か他の人に……?」
絵里「はいはい、プレッシャーをかけるのはやめましょ」パンパン
希「ウチらは皆で歌えば大丈夫やよ」ニコ
花陽「……斬新なアイデアで……パート分けせず最初から全員で!」
ことり「それは合唱になっちゃいそうだよぉ……」
穂乃果「大丈夫……任せて!」
海未「……」
ことり「……」
真姫「……」
360:
――――――15分後――――――
絵里「ハラショー……!」
にこ「これなら行ける……!」
花陽「曲は3曲で勝負……!」
凛「ソロで歌うのは緊張するにゃー!」
希「楽しみやね、ラブライブ!」
穂乃果「穂乃果も楽しみだよ!」
絵里「今日は解散! 各自疲れを残さないようにね!」
真姫「海未、ことり、二人は残って」
海未「わかりました」
ことり「うんっ」
361:
真姫「さて、皆いなくなったわね」
海未「それで真姫、要件は」
真姫「穂乃果についてなんだけど」
真姫「貴女たち二人は穂乃果に自分のことを聞かれた時に、なんて答えたの?」
海未「私は……い……今の貴女も好きですよと……」
ことり「私もどんな穂乃果ちゃんも好きだよって♪」
真姫「……凄いわね、二人とも」
海未「何がですか?」
真姫「ううん、なんでもない」
真姫(私はもう一つの穂乃果を壊さないように打算を含めて貴女の味方と言った)
真姫(もちろん信じてるけど、純度で言えば1%くらいは不純物が混じっている)
真姫「やっぱり、貴女たち三人って凄いわね」ボソ
ことり「どうかした? 真姫ちゃん♪」
真姫「ちょっと考え事……本題に入るわ」
362:
真姫「本戦は私が先陣を切るわ」
真姫「その時の……穂乃果のフォロー頼むわよ」
海未「はい、わかっています」
ことり「真姫ちゃんも、頑張ってね」
真姫「穂乃果があの合図を出せれば……」
海未「センターボーカルは変わらずですね」
ことり「もし出来なかったら……私たちが……!」
真姫「きっと出来るって信じてる、でも最悪は考えておいたほうがいいわ」
ことり「穂乃果ちゃんは期待を裏切ることはないもんね♪」
海未「えぇ、穂乃果は頑張り屋さんですから」ニコ
363:
真姫「後もう一つ、穂乃果のことを話そうとしたんだけど……」
ことり「けど……?」
真姫「言う必要はないなって、思ったわ」
海未「どうしてですか?」
真姫「うーん、穂乃果の事を信じているからかな」
真姫「二人の受け答え見てたら、そんな心配してたの私だけだって思ったわ」
ことり「?」
真姫「貴女たちの信じる穂乃果は間違ってないから」
真姫「それだけよ」
海未「……はい」
ことり「それじゃ、かえろっか♪」
364:
穂乃果「あのお母さん……」
穂乃果母「どうしたの?」
穂乃果「ごめんね、私記憶が戻ってなくて……」
穂乃果母「馬鹿ね、とっくに知ってたわよそんなこと」ギュッ
雪穂「そーそーお姉ちゃんのことなんてお見通しだよ?」ギュッ
穂乃果「雪穂……お母さん……」グスッ
雪穂「お姉ちゃんはお姉ちゃんだから気にしないよ」ギューッ
穂乃果母「さ、あんたの好きなイチゴよ!」
穂乃果「ありがとう……!」
穂乃果父「……」ホロリ
365:
――――――ラブライブ当日――――――
穂乃果(もう一度あの舞台に立てるんだ……)
穂乃果(今度は失敗できない……!)
穂乃果(…………)ドクン
穂乃果「すーーはーーすーーはーー」
穂乃果「よしっ!」
コンコン
雪穂「迎えが来たよお姉ちゃん」
海未「行きましょう、穂乃果」スッ
ことり「今日は頑張ろうね♪」スッ
穂乃果「うんっ!」ギュッ
366:
にこ「ついにここまで……本当に来ちゃったんだ……」
希「にこっち緊張してるん?」
にこ「μ’sのメンバーで私は幸せよ」ニコッ
絵里「おはよう」
絵里「やっぱり部室は落ち着くわね」
希「絵里ち、表情が堅いで」ニコッ
にこ「絵里が緊張するのは珍しい……」
絵里「ま、ちょっと色々あったのよ昔」
絵里「でも今は……二人の顔を見たらほぐれちゃった」
にこ「にこにーオーラのおかげね」
希「スピリチュアルパワーやないの?」
絵里「あははは、……希、にこ」
絵里「感謝してるわ」
367:
凛「あっついにゃー……」
花陽「そうだね……30℃超えるんだって……」
真姫「待たせたわね」
凛「遅いよー! 真姫ちゃん!」
真姫「はちみつれもん作ってたから許してよね」
真姫「……ふぅ」
花陽「真姫ちゃん、私たちは一緒にいるからね」
真姫「ありがと、でも緊張してないわよ」
凛「凛も真姫ちゃんに続くよ!」
花陽「私も!」
真姫「さ、行くわよ」
368:
――――――会場――――――
穂乃果「……おっきい……」
海未「想像以上にこれは……」
ことり「広いね……」
絵里「9人のメリットが生かせそうね」
希「広く大きくステージは使ってこ!」
にこ「一番目立つのはにこだけどね!」フフン
花陽「ああああっ、夢の舞台ラブライブ! 楽しみです!」
凛「このかよちんも凛は好きにゃ」
真姫「……すーーはーー」
凛「真姫ちゃん」ポン
花陽「大丈夫だよ」ポン
真姫「うん……!」
ツバサ「揃ってるのね、μ’sの皆さん」
369:
穂乃果「ツバサさん……」
ツバサ「……ふぅん」
ツバサ「貴女、前よりいい顔になってるわね」
穂乃果「えっ?」
ツバサ「ライブ、期待してるわよ」
穂乃果「……はい!」
ツバサ「それでも私たちは負けないけど」ニコッ
穂乃果「それはこっちも同じですから」ニコッ
ツバサ「……」クルッ スタスタ
穂乃果「ぶはぁー緊張したー!」
ことり「穂乃果ちゃん」クスリ
海未「穂乃果……」フフ
370:
絵里「皆、準備するわよ!」
穂乃果「……」ドクドク
にこ「行くわよ、穂乃果」ポン
凛「穂乃果ちゃん!」ピトッ
穂乃果「うわっ、つめたっ!」
花陽「氷も持ってきたからね」ニコニコ
真姫「貴女は気楽にしてなさい穂乃果」
希「真姫ちゃんも気負い過ぎないようにね」
真姫「わかってるわよ」
海未「さ、いつもどおりに……いつも以上に!」
ことり「頑張っていこうねっ♪」
371:
穂乃果「……皆!」
 「ファイトだよ!」
穂乃果
 『ファイトだよ!』
穂乃果「ん?」
海未「どうかしましたか?」
穂乃果「なんでもない……よ?」
ことり「穂乃果ちゃん?」
穂乃果「緊張してるだけかも……」
希「穂乃果ちゃん、周りをぐるっと見てみて?」
穂乃果「うんっ」ジー
穂乃果「皆、笑顔だね」ニコッ
372:
真姫「スタートは任せなさい」
凛「楽しく踊るにゃ!」
花陽「精一杯歌おう!」
絵里「最高のライブにしましょう!」
希「ウチもガンガンいくからね!」
にこ「皆、センターのつもりで目立ちなさいよ!」
ことり「笑顔の舞台にしようね!」
海未「最後まで楽しみましょう!」
穂乃果「みんな……最後のライブ……全力で行くよっ!」
373:
穂乃果「1!」
ことり「2!」
海未「3!」
真姫「4!」
凛「5!」
花陽「6!」
にこ「7!」
希「8!」
絵里「9!」
μ’s「μ’s! ミュージックスタート!」
374:
真姫「愛してるばんざーい!」
真姫「ここでよかったー」
雪穂「あれ……西木野さんだけ……ステージの脇から……」
にこ「愛してるばんざーい!」
にこ「始まったばかりー」
亜里沙「矢澤さんも出てきた……西木野さんとは逆方向に広がった……」
375:
ヒデコ「凛ちゃんだ……」
フミコ「花陽ちゃんも……」
ミカ「あ、生徒会長と副会長も……!」
――――――――――――
海未「では、先に行きますね」
穂乃果「うんっ……!」
ことり「待ってるからね、穂乃果ちゃん♪」
穂乃果「最後まで一緒にいてくれてありがとう……」
海未「両脇は私とことりです」
ことり「怖かったらしっかり手をつないでね?」
穂乃果「わかった……!」
――――――――――――
亜里沙「海未さんとことりさんも出てきた!」
雪穂「みんな手をつないで広がってる……」
雪穂(真ん中だけ空いてるってことは……)
376:
穂乃果「すーーはーー」
穂乃果「皆期待してくれてるんだ」
穂乃果「楽しんでいこう!」
穂乃果「……皆がいるから、大丈夫」
穂乃果(ファイトだよ、私)
377:
海未「大好きだばんざーい!」
ことり「大好きだばんざーい!」
海未(さて、後ワンフレーズ……!)
ことり(出てきて、穂乃果ちゃん……!)
絵里(待ってるわよ、穂乃果)
希(ウチは信じてるよ)
凛(穂乃果ちゃんと歌いたいにゃ)
花陽(一緒に頑張ろっ)
にこ(あんたが来ないと始まらないわ)
真姫(……きっと皆待ってるわよ)
穂乃果「大好きだばんざーい!」
穂乃果「頑張れるから……昨日に手をふって……ほら前向いてー!」
穂乃果「……会場のみなさーん!」
穂乃果(μ’sのみんな……)
穂乃果「大好きです!!」
ことり(!)
海未(行けるんですね!)
真姫(行くわよ!)
雪穂「曲が……変わった!」
μ’s「Oh! Yeah!」
穂乃果「一進一跳!!」
穂乃果(声が……出る!)
378:
穂乃果(みんなと踊れるって楽しい……)
穂乃果(みんなと歌えるのって楽しい!)
穂乃果(μ’sでかけがえのない物を教えてもらえた……)
穂乃果(これも貴女の人柄のおかげなんだね)
穂乃果(……今までありがとうね)
穂乃果『……』
穂乃果(やっぱり貴女は優しかったよ)
穂乃果「勇気で未来を見せてー! そうだよ覚悟はできたー!」
379:
穂乃果「全身全霊!!』
穂乃果(あ、声が重なったね……)
穂乃果(頑張ってね……)
穂乃果(ファイトだよ!)
380:
穂乃果(……思い出した)
穂乃果(あの時、穂乃果は……)
穂乃果(あれ? 今までのこと全部忘れるわけじゃないの……?)
穂乃果(というか、穂乃果が穂乃果のままなんだけど……?)
穂乃果(……まさか、思い込み……?)
穂乃果(勝手に自分の中にもうひとりの自分が居る的な……)
穂乃果(は……恥ずかしい……)
ことり「穂乃果ちゃん」ボソ
海未「最後はあれですよ」ボソ
穂乃果「二人ともありがと」ボソボソ
381:
穂乃果(でも、とっても楽しかったなぁ)
穂乃果(この夢の時間をもっと楽しみたい)
穂乃果(ずっと、ライブを続けていきたい!)
穂乃果(だって、こんなにも皆キラキラしてるんだもん!)
穂乃果(本当に……μ’sって最高だよ!)
μ’s「今日はありがとうございました!」
382:
――――――舞台裏――――――
穂乃果(皆、息を切らしてる)
穂乃果(でも、疲れたなんて顔は誰もしてない)
穂乃果(穂乃果もきっと笑ってるんだろうなぁ)
穂乃果(今も、もっともっと踊りたい!)
穂乃果(もっともっと皆と一緒にいたい!)
穂乃果(でもその前に……)
穂乃果(言わなきゃいけないことがあるよね)
穂乃果「えーっと……みんな!」
穂乃果(なんて言えばいいかな、きっと笑われちゃうかも)
穂乃果(こういう時はまず……こうだよね?)
穂乃果「みんな――――――ただいま!」
FIN
384:
お疲れ様です。二ヶ月間本当にありがとうございました。
支援絵やコメント等があってとても励ましになりました!
385:

終わってしまったか 面白かったありがとう
389:
いつかほのまき書いて欲しいね
良かったよ、乙です
391:
めちゃ面白かった乙
402:
皆様コメント等ありがとうございます。
このSSはここで完結なので、後日談はご了承下さいませ。
一応ほのまきはあるので宣伝を……
穂乃果「真姫ちゃん、上級生だよ」 真姫「うぅ……」
http://ssflash.net/archives/1855278.html
以下過去作
40

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