みくる「キョン君、今度はいったい、何が起きてるんですか?」back

みくる「キョン君、今度はいったい、何が起きてるんですか?」


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1:
キョン「……はい?」
みくる「はい? って……そんな……キョン君にもわからないような、とんでもないことになってるんですか?」
キョン「……え、いえ、何かまた、おかしなことでも起きているんですか?」
みくる「何かも何も、何かもおかしいじゃないですか」
キョン「えーっと……」
みくる「なんで私が二年生になってるんですかっ!?」
キョン「えっ」
みくる「えっ」
2:
キョン「……いえ、あの。それがどうおかしいのか、俺にはさっぱりわからないんですが」
みくる「そんな……キョン君にもわからないなんて……」
キョン「いえ……何があったかわからないんですが、そもそも、そういう話は、俺よりも長門に……」
ガチャ
長門「……」
キョン「! 長門、丁度いい、朝比奈さんが―――」
長門「……古泉はまだ来ていないの?」
キョン「えっ」
みくる「えっ」
長門「え」
3:
長門「……朝比奈、あなたは現状を把握していない?」
みくる「え……長門さんも、分かっているんですか? どう考えても、おかしいですよね、この世界」
長門「異常」
キョン「……長門、いったい何が起きてるってんだ?」
長門「? ……私にわかるわけない」
キョン「えっ」
長門「古泉なら状況が分かっているのではないかと思ったから、放課後を待った」
キョン「……」
みくる「でも、キョン君にも何が起きているかわからないらしいですし……それに、古泉君がなにか分かってくれるとは、正直思えないんですが」
長門「……むしろ彼が何かを分かっている可能性のほうが低いと思う」
みくる「えっ」
キョン(長門に呼び捨てにされた……)
4:
ガチャリンコ
古泉「よかった……皆さん揃ってますか」
みくる「あ、古泉君……」
キョン(この慌てよう……こいつもどうやら、二人と同じような状態か……)
長門「待っていた。現状の説明を求める」
古泉「え……いえ、僕がわかるわけないでしょう」
長門「え」
古泉「朝比奈さん、今度はいったい何が起きているんですか!?」
みくる「えっ」
長門「え」
古泉「えっ」
キョン「……オーケイ、お前ら。ちょっと一回落ち着こうか」
6:
古泉「……あの、一体これはどういう」
キョン「いいから、とりあえずだ。……一人づつ、何がおかしいのか説明してくれ。ええと、まず、改めて……朝比奈さん」
みくる「え……だって、まず、私が二年生になってるんですよ? いつもの教室に行ったら、みんなに変な顔をされて……」
キョン「はいストップ。……古泉、長門。今の話について、どう思う?」
古泉「え……いや、どう考えてもおかしいでしょう。朝比奈さんは僕らと同じ一年生じゃあないですか」
長門「右に同じく。朝比奈は私と同学年のはず」
古泉「……え?」
長門「え」
古泉「……長門さんは、二年生でしょう?」
長門「違う」
朝比奈「古泉君、何言ってるんですか……二年生なのは古泉君じゃあないですか!」
古泉「……は?」
キョン(……話が読めてきちまったよ、おい)
7:
―――
キョン「……質問その?。SOS団内の『宇宙人』といえば?」
長門「古泉」
古泉「朝比奈さん……ですね」
朝比奈「キョン君のはずなんですけど……」
キョン「……その?、『超能力者』は誰か?」
長門「朝比奈」
古泉「……キョン君、あなたです」
朝比奈「長門さん……」
キョン「……『未来人』であり『二年生』なのは」
長門「キョン」
古泉「……長門さん、ですね」
朝比奈「古泉君です……」
キョン(この状況、これまでで一番やばくね?)
9:
古泉「ようするに……僕は、パラレルワールドってやつに迷い込んできてしまったということですか」
長門「私たちの役割が違っている、別々の世界から?」
朝比奈「……三人一度に、ですか?」
キョン「原因は……もう考えるまでもないか」
古泉「ハルヒですか……」
長門「ハルヒ以外に考えられない」
朝比奈「ハルヒちゃん、ですよね、やっぱり」
キョン「ちょっと待てお前ら」
10:
古泉「え……何ですか?」
キョン「質問その?。……『閉鎖空間にハルヒと二人きりで閉じ込められた時、どうやって帰ってきたか?』」
古泉「……も、黙秘権を行使します」
長門「……右に同じく」
朝比奈「ええっと……」カァァ
キョン(どうすんだ、これ?)
13:
古泉「あ、そうだ……そのハルヒは、どうしているんですか? ええっと……今、ハルヒと同じクラスなのは」
キョン「俺だよ……あいつは今日は欠席だったな。えらい風邪を引いて、うなされてるらしい」
長門「……どう考えてもそこに原因があるように思える」
朝比奈「たしかに、怪しいですね……」
キョン「……いや、そこで何で黙るんだよ」
古泉「え」
長門「え」
キョン「誰かここで『おそらく、涼宮ハルヒの体調の変化がなんやかんやで別世界にアレして干渉とか情報爆発とかうんたらかんたら』とか言わんと、話が進まんだろうが!」
長門「それは古泉の役目」
古泉「え……いや、そういうのは朝比奈さんの得意分野じゃないですか」
朝比奈「わ、わたしがわかるわけないですよ! こういうときはキョン君が」
キョン「もういい、わかったから黙れお前ら」
18:
古泉「はぁ……」
キョン「……なんだそのため息は」
古泉「ああ、いえ……また面倒なことに巻き込まれてしまったなと思っただけです」
キョン「まるで他人事みたいな言い方だな……
 ! そうだ……古泉、機関はどうなってんだ?」
古泉「は? それをどうして僕に……あ、そうでした……この世界だと、超能力者は僕のはずなんでしたね……」
キョン「長門も、情報統合思念体とやらと通信的なもんは……」
長門「……どうすればどういう形でどのようにそれを行えるのか見当もつかない」
キョン「ですよねー」
古泉「……えっと……ダメです、キョン君。携帯電話は、僕のもともとの世界のままのようです……
 国木田さんの番号でも登録されてないかと思ったんですが……」
キョン「え、国木田?」
朝比奈「ひっ!」ビクッ
キョン「え?」
21:
朝比奈「く、国木田君の名前が、どうしてそこで……?」ビクビク
キョン「……いや、それも確かに謎ですけど、なんで朝比奈さんが……ちょっと待った、まさか」
朝比奈「だって、国木田君はカナダに転校したはずじゃ……」
古泉「えっ」
長門「えっ」
キョン「……質問その?。物語序盤でお前らを刺し殺そうとした、カナダへ転向していった、お前らのクラスの委員長とは?」
古泉「つ、鶴屋さんではないんですか!?」
長門「森……」
古泉「えっ」
長門「え」
キョン(どwwwんwwwだwwwけwww)
23:
古泉「森さんは、僕の同級生……」
長門「……鶴屋さんは、機関の構成員で、朝比奈の上司のはず」
朝比奈「森さんって……古泉くんの同級生で、SOS団の名誉顧問の森さんじゃないんですか?」
キョン「……ちなみに国木田は俺の同級生で、俺が殺されかけたのは朝倉涼子というやつなんだが」
古泉「朝倉さん……って、長門さんの同級生でSOS団のry」
長門「朝倉は私の同級生だろJK……」
朝比奈「朝倉さんは機関の人で長門さんの上ry」
キョン「……」
長門「……もうどうにでもなーれ」
キョン「なってんだよ」
28:
キョン「……いいかお前ら。まずだ。ここが『俺の世界』なのは間違いない。
 俺は今日、問題なく自分のクラスにいられたし、国木田も普通に授業を受けてたからな」
古泉「そういえば、国木田さんに似た生徒をみかけたような……まさか、彼が」
朝比奈「そういえば、私、二年生のクラスに連れて行かれちゃったのに、普通に鶴屋さんはいました……」
長門「超ぼっちだった」
キョン「古泉、森さんに電話してくれ。おそらく、電話に出るのはお前の言う16歳の森さんじゃないと思うが、戸惑わないで欲しい」
古泉「い、いくつなんですか、森さんは」
キョン(知らねーよ……)
長門「……普通に考えて、一般人の私に情報統合なんとかと通信しようとしてみろとか無理」
キョン「それはもう期待してないから」
朝比奈「あの……未来と連絡とかも当然のごとくやりかたがわからないんですが」
キョン「それはもともと期待してませんでした」
古泉「あ、あの、森さん……なんですね? 機関の……はい、はい……えっと、なんて説明したらいいのか……」
33:
森『……それを機関にどうしろというのよ』
古泉「って言われて切られました」
キョン「ですよねー」
朝比奈「……あの、思ったんですけど……もともとこの世界に居たはずの私たちは、居なくなってしまってるんですよね?
  だったら、もしかして、それぞれの私たちも、今の私たちみたいに、同じ世界に集まっているんじゃあないですか?」
キョン「……なんですと?」
古泉「……だとしたら、宇宙人のパーティーとか最強じゃないですか。待ってれば、その僕らが解決してくれるんじゃあないですか?」
長門「……可能性はあるかもしれない。と思う」
キョン「いや、たしかに……だけど、保障なんかどこにもないぞ?」
朝比奈「でも、あたしたちにできる事なんてありませんよ……ハルヒちゃんがどんな状態なのかもわからないんですし」
古泉「案外、ハルヒの風邪が治ったら、すっぱり元通りになる、なんてこともあるかもしれませんしね……」
長門「下手に動いてことを荒立てるより、おとなしくしていたほうがいいと思う」
キョン(何だこの非協力的&無気力&自分本位な連中)
41:
キョン「……わかった、もういい」ガタッ
古泉「どこに行くんですか?」
キョン「ハルヒの家だよ。とにかく、あいつが原因なのは確かなんだ、様子を見てくる」
長門「……しかし、宇宙人の力にも頼れない現状では何も」
キョン「知るか! とにかくな、来るかどうかも分からん助けを待ってる気にはなれねーんだよ、俺は!」 バンッ
朝比奈「あっ、キョン君!」
タッタッタッタッタ
キョン(ちくしょう、宇宙人も未来人も超能力者もいなけりゃ、何もできないだと?)
キョン(あいつらの受身でやる気のねー態度を見てると、イライラして来るんだよ……)
キョン(ああ、確かに俺にはなんの力もないさ。だが、あいつらのようにだけは絶対になってたまるか!)
タッタtt……
キョン「ハルヒの家ってどこだよちくしょおおおおお!!」
48:
森『涼宮ハルヒの住所ですか? ry』
キョン「ついた……此処がハルヒの家か……」
PYYYYNPOOOOOOON
キョン「……? 留守なのか……?」
ガチャコン
キョン「!」
ハルヒ「げほ……え、きょ、キョン? なんであんたが、うちに来るのよ?」
キョン「あ、いや……なんだ。見舞いに来たんだが……」
キョン(てっきり、寝込んででもいるのかと思ったが……普通に風邪っ引きなだけじゃないか)
キョン(……てか、この状態……もし、あいつらとこのハルヒが顔をあわせたら、やばくね?)
52:
ハルヒ「お見舞い……あんたにしちゃ気が利くわね……まあいいわ、上がって」
キョン「あ、ああ。お前、起きてて大丈夫なのか?」
ハルヒ「薬を飲んでから大分楽になったから、大丈夫よ。寒いから、はやく上がりなさいよ」
キョン「あ、ああ」
ゆらり
キョン(……? 何だ、今……ハルヒが一瞬、二人に見えたような……)
ハルヒ「キョン一人? まったく、団長が病床に伏してるってのに、気が利かないわね、みんな」
キョン「あ? ああ、まあな。都合がつかなかったんだろ、多分」
ハルヒ「その点、ちゃんとお見舞いに来たあんたは、さすが副団長ってとこね」
キョン「ああ……あ?」
キョン(……今、副団長って言ったか? こいつ。誰が副団長だって?)
ハルヒ「古泉のやつも、せめてあんたの半分ぐらい、気を利かせらることを覚えないもんかしらね」
キョン(……え、どうなってんの?)
55:
ゆら
ハルヒ「まったく、朝起きたらいきなり頭がガンガン言ってるのよ。宇宙人の襲撃でもくらったかと思ったわ……
 今日は古泉くんの新しい衣装を持ってく予定だったのに、最悪だわ」
キョン「ああ、そりゃ残念だったな……(今、またなんか妙な感じになったよな……)」
ハルヒ「え?」
キョン「え?」
ハルヒ「……あれ……ちょ、ちょっと、なんで、あんたがいるのよ?
 有希はどこ行ったのよ?」
キョン「長門……って、お前何言って……!」
キョン(もしかして……長門。「来てる」のか? ……お前も、ここに!)
60:
prrrrrr
キョン(! 電話……森さんから!)
ハルヒ「ちょっと、ねえ、なんでいきなりあんたが」
ゆら
ハルヒ「……? あれ……キョン? 何ボーっとしてんの?」
キョン「い、いや、ちょっと、悪い、トイレ借りる!」
ハルヒ「あ、ちょっと!?」
キョン「もしもし、森さん!?」
森『キョンさんですね? 先ほどの電話の後、何か異常がないか、涼宮ハルヒの自宅周辺を調べようとしたのですが……
 正直、一体何が原因なのか分かりませんが……涼宮さんの家が、確認出来ないんです。……どう説明すればいいでしょうか。
 間違いなく、涼宮ハルヒの家は存在しているんです。ですが……それが、わからないんです……こんな事態は初めてです』
キョン「は……わからない、ですか……?」
森『はい……涼宮ハルヒの家の外観は視認できますし、まちがいなくあるんですが……そこに近づく事も、調査しようとすることも、できないんです。
 いくらそうしようとしても、できないんです……何か、次元が違うパワーのようなものが作用しているとしか考えられません』
62:
キョン(んな、バカな……俺は今、まさにそのハルヒの家に居るってのに……!)
森『すみませんが、これ以上は、私たちはお力になれません……申し訳ありません』
キョン「……いえ、ありがとうございます!」
キョン(……謎のパワーで入れなくなっちまったはずのハルヒの家に、何故俺が入れているのか……
 そんなもん、考えるまでもない。俺だから入れたんだ……「俺たち」だけが入れるんだ!)
ドンドン
ハルヒ「ちょっと、キョン! あんた、いきなり人んちに来てトイレを貸せって、何よそれ!」
キョン「あ、わ、悪い……しょうがないだろ、生理現象だ! 今出るって!」
キョン(さっき、ハルヒは長門がどうとかって言ってたよな……つまり、長門はもう来てる……
 あと二人! あの二人が「来れ」ば、何か起きるはずなんだ……何か!)
ガチャ
ハルヒ「やっと出てきたわね……ったく、あんた、もうちょっと副団長としての威厳ってもんは」
ゆら
ハルヒ「……あれ? 古泉君? ……え、何よ、どこ行ったの? ……え? キョン?」
キョン(! ……よし……古泉も来たんだなっ!! しかし……このハルヒ、なんつーか……大丈夫なのか?)
68:
ハルヒ「ねえ、ちょっと……あんたたち、何よ、もしかして、グルんなってあたしの事からかってんの!?
 人が風邪引いててつらいって時に、ふざけてんじゃ……」
キョン「お、落ち着けハルヒ。あれだ、お前はほら、熱でちょっと朦朧としてんだよ!」
ハルヒ「……みくるちゃんもどっかに隠れてるのね、さては……もうあったま来たわ! 副団長まで一緒になってあたしをからかおうなんて……
 キョン! あんた覚悟してなさいよ もう、副団長降格よ! みくるの更に下! 平の平まで降格だからね!
  どうせ、こんな下らないこと考えたのは古泉でしょ! ! ちょっと、有希、なにすんのよ! あんた、 副団長が団長にこんなことしていいと思って……」
キョン(やばいやばいやばいやばいって! このままじゃマジでハルヒがイカレちまう!
 ちくしょう、朝比奈さんはまだなのかよっ!?)
ハルヒ「キョン、吐きなさい! みくるはどこに隠れて んのよ! っていうか、みくるちゃんまでこんなイタズラにまきこむなんて、ふざけてんの!?」
キョン「ち、く、首絞めんなバカ……落ち、つけっつってんだろうが……」
キョン(ちくしょう、俺にどーしろってんだよ……つーかっ、いるならなんかフォローしろよ、古泉、長門!!)
69:
ハルヒ「うっさい、古泉! あんたは黙っ てなさい!
 さあ、みくるちゃんはどこ!? 答えないとこのまま便器に叩き込むわよ!」
キョン(朝比奈さんがどこか知りたいのは俺のほうなんだよっ……!!
 ……待てよ……そうか、『逆』かっ!!?)
キョン「は、ハルヒ! わかった、わかったから離せ!」
ハルヒ「げほ、げほ……いい加減言う気になっ た? さあ、どこよ! あん たたち、あとで全員罰を与えるから、覚 悟しときなさいよ!!
 さあ、みくるはどこ にいるのよ!」
キョン「ああ……いま、『連れて』ってやるよ!!」ぐいっ
ハルヒ「うきゃっ!!? ちょ っと、何すんのよ、どこに連 れてこうってのよ!?」
キョン(朝比奈さんが来れないなら……俺らが朝比奈さんのところに行けばいいんだっ!)
76:
キョン(大体……平行世界だかなんだか知らんが! 『鍵』だとか言われるようなもんが、そう何人も居てたまるかってんだ!)
キョン(俺が未来人の世界? 宇宙人の世界? 超能力者の世界?)
キョン(ねーんだよ、そもそも、そんなもんは! あるのは……俺の知ってる世界だけだ!)
ハルヒ「げほっ……ちょっと……あんた、いい加減に……」
キョン(あの受身で無気力なバカヤロウどもだって……ありゃ、長門でも、古泉でも、朝比奈さんでもない……)
ハルヒ「此処……ちょっと、なんで、今、此処に……」
キョン(ホンモノの俺らが揃う場所っつったら……)
キョン「ここしか、ねーだろうがぁぁっ!!」
バンッ!!
―――
79:
キョン「…………」
古泉「……」
朝比奈「ふえ…………」
キョン(……おい、何だよ……誰か、なんか言えよ……!)
長門「…………
 ……正体不明の思念体からの干渉が……今―――消滅した」
キョン「!」
長門「……同時に私と朝比奈みくる、古泉一樹が隔離されていた、擬似空間も、完全に消滅した。
 ……危機は、去った」
朝比奈「……ふええ……キョンくん……古泉くん、長門さん……ほんもの、なんですね……よかったぁ……」
古泉「……一件落着……ですか、ね」
キョン(…………人間、本気で安心すると……声は出せないものらしい……)
81:
朝比奈「あの、私……古泉くんの機関に連絡しましょうって、キョン君たち……いや、『あの人たち』に言ったんですが……
  その、みんな……機関の力を借りるのは、私たちにとってよい結果にならないからって……」
古泉「……長門さん。僕らが出会った、『彼ら』は……」
長門「我々の情報を元に構築され、情報操作を施されたコピー。
 我々の異次元同位体ではない……造られた存在」
キョン「……ニセモノ、ってこと……なのか。あの世界ともども」
長門「そう。しかし、あなたの存在した次元は、擬似世界ではない。
 『思念体』は、私と朝比奈みくる、古泉一樹を、この世界を元に構築した、それぞれ別の擬似世界に隔離した。
 それらの世界と、もとの次元との繋がりは、ただひとつ……涼宮ハルヒの精神を、それぞれの世界と同期させる事で繋いだ。
 彼女の精神は、四つの次元の上に同時に存在させられていた……その状態が長く続けば、精神に障害が残った可能性もある」
古泉「……擬似世界を消滅させる手段は」
長門「それぞれの次元を介して、私たち四人が、涼宮ハルヒと同じ空間に集結すること。
 ただし、我々三人が隔離された世界に存在した涼宮ハルヒは、精神のみの存在。
 涼宮ハルヒに物理的干渉を行うことは、正規の世界に存在した……あなたにしか不可能だった」
キョン(……話が半分も分からんが、ようするに……ハルヒをこの場所につれてこれたのは、俺だけだったってことか……)
89:
古泉「率直に。この一件の原因となった、その『思念体』というのは……」
長門「正体不明。情報統合思念体とは別の概念上に存在する、別勢力と思われる。
 今回の干渉は、おそらく、我々の目的と同様に……涼宮ハルヒが何らかの可能性を秘めた存在と認識した上でのもの。
 しかし、どのような結果の観測を期待しての干渉であったかは、不明」
キョン(確かに、なにがしたかったのかサッパリわからんな……)
キョン「ああ、長門……ところで、ハルヒは、なんだ。大丈夫なのか?
 その、思念体とやらが捏造した記憶のようなもんが残っちまったりは」
長門「問題ない。涼宮ハルヒの精神と、造られた涼宮ハルヒの精神との同期が行われたわけではない。
 我々が涼宮ハルヒに接近したことで、思念体によって造られた概念上の涼宮ハルヒと
 この世界の涼宮ハルヒとの精神が、一時的な交差しただけ。
 すべての擬似的存在が消滅した。造られた涼宮ハルヒは、どこにも存在しない」
キョン「そうか……」
92:
古泉「……目的や方針は不明であるが、新たな勢力が現れたのは確か、ということですね」
長門「そう。……今後も、何らかのアプローチがある可能性はある」
キョン(……マジかよ)
長門「……あなたには、感謝する」
キョン「!」
長門「すべてはあなたに掛かっていた。あなたが涼宮ハルヒへの接触を試みなければ、事態が収束することはなかった」
キョン「……そうかい」
古泉「……ええ。それに、あなたが涼宮さんを、この部室に連れ出さなければ……僕らは無事、帰ってはこれませんでした。
 おそらく、朝比奈さんが、機関への連絡を行えず、涼宮さんを中心とした空間の歪みが発生している事実を知れなかったこと……
 この部室に留まらされていたことも、『思念体』のシナリオの一部だったのでしょうね」
長門「おそらく、そう」
朝比奈「ごめんなさい……私、なにもできなくて……あの、ニセモノさんたちは、とても怖かったから……」
キョン(ニセモノ、か……)
キョン(……あの、無気力で、受身で、自己中心的で、非協力的なニセモノどもを造ったのも、その思念体とかいうヤツらなんだよな……)
キョン「……俺は何も知らなかったんだ、感謝されるようなことじゃないさ。
 ただ……今回ばっかりは、動かずには居られなかったんだよ」
キョン(あの連中の性格が……まるっきり―――『俺』そのものじゃないかって、気づいちまったもんで、な)
93:
――――
ガチャッ
古泉「やあ、どうも」
キョン「……古泉。これから俺の質問にいくつか答えてもらいたいんだが……」
古泉「宇宙人といえば長門さん。未来人と来れば朝比奈さん。超能力者とあらば……どうも、ご存知、古泉一樹と申します」
キョン「……古泉。今のお前の発言のおかげで、無限ループへの恐怖は、俺の心中から綺麗に消えてなくなった。
 しかし、するともう1つの疑問が発生するんだ」
古泉「と、言いますと?」
キョン「あのハルヒが、なんと、昨日に引き続き欠席しているんだよ。またもや、流行性感冒だそうだ。
 昨日のアレは、そのナントカって連中からの干渉の所為だったってのは、俺も理解した。納得した。
 しかしだ。なら、今日のハルヒを欠席に貶めたのは、一体何ものだ?
 まさか、次々登場新勢力なんて展開だったら、俺はこの場で舌を噛み切る覚悟すらあるんだが」
古泉「ふむ……そうですねえ。こうは考えられませんか?
 十月上旬の肌寒い街を、体力の低下した体を酷使し
 薄手の寝巻きのままで、十数分間も全力疾走を強いられたが故の発熱……などとは」
キョン「…………」
96:
キョン「悪い。俺はたった今急用が出来ちまった」
古泉「ええ、長門さんと朝比奈さんには、お伝えしておきますよ。
 ああ、それと、ご心配なく。涼宮さんは、昨日の出来事を夢と認識しているようですから」
キョン「……なあ、ところで、古泉。興味本位で訊ねたいんだが」
古泉「なんなりと」
キョン「お前んとこに出たニセモノたちを見て……なんか、思ったことってあったか?」
古泉「……ふむ。そうですね……
 ……『よかったな』と、思いました。」
キョン「何がだよ」
古泉「『ホンモノ』が、あなた方で」
キョン「……ふむ」
END
9

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