姫「御主人…様」赤騎士「あ?何か言ったかプリンセスマ○コwww」【後編】back

姫「御主人…様」赤騎士「あ?何か言ったかプリンセスマ○コwww」【後編】


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4:
従者「雨もすっかりあがりましたね。あんなのが続いたらどうしようかと」
姫「ええ、そうですわね」
従者「ふー。ただいま戻りましたー」ギィ
赤「よーう。二人そろって朝帰りたぁにくいねコンチキショーッ!」キラーン
姫「…」
従者「…もしかしてずっとそのポーズで待ってたんですか」
赤「なわきゃねーだろ。ちゃんと窓から見てタイミングはかったわ」
495:
従者「そうですか」
姫「ただいま戻りました、ご主人様…」
赤「おう」
姫「…」
赤「ふたりとも朝の支度はしなくていい。そのまま出かける準備しろや」
緑「どちらに?」
赤「おやっさんのとこだよ」
496:
従者「青騎士様のところですか?」
赤「そうだ。夕べ緑が足すべらせて川に落ちたらしい」
姫「!」
従者「緑様が…?」
赤「一応見舞いにいってやろうとおもってな。一応」
従者「…はいはい。心配なんですねわかってますよ」
赤「ちげーよ、今なら弱ってるあいつをいたぶるチャンスだろwwwww」
赤「いつも偉そうにしてる分いたぶってやるよwwww」
497:
従者(発想が貧弱…)
赤「てめえ今発想が貧弱とか考えなかったろうな」
従者「滅相も無い」
姫「それで、緑様のお怪我は…」
赤「だからそれを見に行くんだよ」
赤「とっとと用意しろ。今日も仕事は腐るほどあるんだからよ」
…」
498:
赤「っつーわけでおっじゃまっしまーっ!」
青「赤か」
赤「おーほほほほ、こりゃあ相当手ひどい…」
緑「…」
姫「緑様…!」
緑「ひ、姫様…」
姫「大丈夫ですの?こ、こんなに傷を…」
499:
緑「皆かすり傷です。たいした事はありません」
赤「たいしたかすり傷もあったもんだな。この肩のは結構なもんじゃねえか。」
緑「これは…枝が刺さっただけだ」
従者「…」
青「まったく、騎士たるものが足をとられるとは何事だ」
青「たるんでおるぞ、緑」
緑「も、申し訳ございません…」
500:
姫「でもよかった、ご無事で…」
赤「えぇホント。緑さまに万が一のことがありましたら、ワタクシもあとをおって…!」
緑「やめろ気色悪い」
赤「喜んでんじゃねえよ」
緑「喜ぶかっ!」
姫「こんなところにまで傷を…」
姫「…っ!!」
赤「ん?」
501:
緑「姫様…?」
姫「いえ…なんでもありませんわ…」
赤「なんだかしらねえけど野郎の裸そうジロジロ見るもんじゃねえぜ」
赤「てめえもこれみよがしにひけらかしてんじゃねえよ」
緑「好きでやっていることではない!ならば鎧をよこせ!」
青「たわけ!今くらい軽装でおらんか!」
青「どれだけ皆に迷惑がかかっておると思っておる。早く治せ!」
502:
緑「も、申し訳ありません…」
青「ふん。儂は部屋に戻るからな」
ドスドスドス…
赤「…ま、元気そうでなによりなによりだぜ」
赤「せいぜい下の処理に難儀しろやwwwwうちの下僕に手伝わせてやろうかwww」
姫「…っ!!」
緑「赤…貴様というヤツは…!」ゴゴゴゴゴゴゴ…
赤「あ、あっはは!しっつれいしましたーっ!」ピューンッ
503:
緑「く…くそ!」
従者「緑様、だめですよ身体を起こされては」
緑「…あの男が来たせいで回復が倍は遅れたぞ」
従者「なら倍安静にしてればいいんです。御水のみますか」
緑「ああ、済まない」
姫「…」
姫(緑様の胸元…)
姫(傷跡が…無い?)
504:
姫(あの騎士様は他にいらっしゃることに…では一体)
姫(どなたが…)
ドスドスドス…
赤「おやっさん、ちょっとまってくれって」
青「…何用だ、赤よ」
青「一応言っておくが、儂は貴様の放蕩っぷりにはほとほと呆れておるのだぞ」
赤「まあそう硬いこといわんと」
505:
青「お前は柔軟がすぎるのだ」
赤「そ、そんなこたございませんよ。ホレここだってこの通りギンギ」
青「…」チャキッ
赤「ひいいぃ冗談ですよぉ!」
赤「この手紙が届いてたから持ってきただけじゃないですかあ」
青「手紙だと?」カサカサ…
青「…ぬ…」
506:
赤「なんて書いてあるんですか?相手はどんな女性で?」ワクワク
青「貴様はそういう事しか頭にないのか…」
赤「い、いやーだってホラ、おやっさんもまだまだ現役だし」
青「はぁ…」
青「この手紙は何処にあった」
赤「普通に郵便受けですけど」
青「そうか。解った」
青「見舞いを終えたらどうするのだ。貴様も我が団の稽古に付き合うか」
507:
赤「い、いやー無理ですよ。ご存知でしょ、俺ぁ今剣も抜けねえんですって」
青「まったく寸分の隙もないほどに情けないな」
赤「へ、へへへ。すいあせん」
青「まあいい。緑の見舞いご苦労だったな」
青「姫様を労われよ。気丈なお方だが、両親と離されておるのだからな」
赤「わあってますって。そいじゃ、俺はこれで」シュタッ
青「…ふう。相変わらず掴めんやつよ」
508:
ドンッ
赤「おわったっ!」
青「む」
紫「気をつけよ、赤。貴様が平民ならば即刻串刺しだぞ」
赤「あ、へ、へへ。こりゃどーも」
紫「ご機嫌いかが、青殿」
青「何をしに参られた」
509:
紫「つれないですな。お弟子が負傷なされたと聞いて見舞いに参ったというのに」
橙「ふごん」
藍「コケケ…」
青「大きなお世話じゃ。見舞いなどいらぬ」
紫「さようですか。ま、それもまたついでの話」
紫「…昨晩黄が何者かに殺害されましてな」
青「何…?」
510:
紫「青殿は何かご存じないかと、こうして訪ねたのですが」
青「…思い当たる節は、無い」
紫「おー、そうですか。そうでしょうな」
紫「犯人はどうやら例の『天使の鞘腕』なるものですからな」
青「!」
紫「真実が明るみになるも時間の問題でしょうが、青殿も何かご存知なら包み隠さず話されよ」
青「フン。その言葉そっくり返すぞ、紫」
511:
紫「ありがたく頂戴いたしましょう」
紫「世をざわめかせる出来事とは楽しいものですな…」
青「…」
紫「領主代理として、やりがいがある…フ…フ」
紫「クククク…」
紫「ハァーッハッハッハッハ!」
藍「む、紫殿…」
紫「ハァーーーーッハッハッハッハッハ!」
512:
バキィッ!
赤「い、いきなし殴るこたないでしょう紫の旦那〜」グスッ
紫「赤…貴様はいつから人の脇腹をくすぐる趣味が出来たのだ…」
赤「いやほら、人間脇をくすぐられると笑うじゃないですか。紫殿も例外なくそうなのかなーっていう実験を…」
青「…」クラッ…
紫「…」スラリ
藍「ま、またれよ紫殿!さわぎをおこしてはまずいのではござらんか!」
橙「そ、そうだとも、ふごんっ!お、おさえるのだ!」
513:
赤「ひ、ひいぃ…」ジョー…
紫「…フン」キン
紫「青殿、貴公も肝に銘じておくことだ」
紫「この国はいまや激流の内にある。逆らうものは皆折られるのだとな」
紫「いくぞ」
藍「青殿、失礼いたす」
橙「ふごんっ、さらばじゃ」
514:
ザッザッザッ
赤「おおお…」ジョジョー
青「…」
青「赤。そのふざけた玩具をはずせ。床を濡らすな」
赤「あ、解りました?」
赤「これ袋にチューブつなげただけなんですけどね。ここおさえるとホレ、ぴゅぴゅーって」
青「赤っ!!」
赤「ひえぇぇっ、こ、こんどこそさぁならあっ!」ピューンッ
515:
青「…」ガクー
青従B「あ、青様…」
青「わ、わしは少し休む…頭痛が、頭痛がひどい…」
青従B「わ、解りました」

516:
『緑様がお怪我を…』
姫「ええ…お命に関わらなかったことが幸いでしたけど」
『良かった…』
姫「…」
姫「メイド、もうそろそろ、ご主人様にお願いしてみますわ」
姫「ここを出していただけるように」
『え?ですが…』
517:
姫「大丈夫ですわ。これでもそれなりにお仕事もこなせるようになりましたし」
姫「今なら堂々とお願いできる気がしますの」
『お、お気持ちは嬉しいのですが』
『どうかご無理はなさらないでください』
姫「ええ、ありがとう。ではもういきますわね」
『はい、お姫様』
カツーン…カツーン… キィ
518:
赤「んお、戻ったか」
姫「ご主人様」
赤「片付け終わったら庭に出ろ。従者も一緒にな」
赤「今日は新しい調教をするからよ。いいな」
姫「…はい」
従者「…といわれて来たんですけど」
従者「何のおつもりですか?愛馬に鞍なんかつけて」
519:
赤「アホかお前は。馬に鞍つけたらやるこた一つだろ」
従者「上にまたがって騎乗位ーとかいう身体を張ったボケですか」
赤「ああーん!も、もっとつきあげてーっ!」ギシギシ
愛馬「ブルヒヒンッ!」ブォンッ
赤「あぎゃあっ!」ドカァッ
従者「精が出ますね」
赤「うまいこといったつもりかてめえは!何やらすんじゃ!」
520:
赤「てめーらに馬に乗れるようになってもらうんだよタコが!」
姫「え…?」
従者「はぁ。なんでもいいんですけど」
従者「今みたく馬に跳ね飛ばされる人が教えられるんですか」
赤「ばっきゃろ。俺ぁ昔騎士の間じゃクリムゾンギャロップと呼ばれて恐れられ」
従者「先に乗りますね。僕まで跳ね飛ばされたらお姫様はやめたほうがよさそうです」
姫「ど、どうかお気をつけて」
赤「…主をおいてけぼりにしてんじゃねえよてめえら」
521:
パカパカパカ…
赤「…」
従者「普通に乗れますね。ゆれも少ないですし良い子ですよ」
姫「従者様、凄いですわ…」
赤「おいてめえ変われ」
従者「はいはい」
赤「他の野郎は乗せるとかどんだけてめえは恩しらずギャー!」ドカァッ
523:
従者「お姫様どうぞ。大丈夫、僕がつかんでますから」
姫「あ、ありがとうございます」
ギュッ
姫「お、思いのほかゆれますわね…」
従者「最初はなれないもんです。乗ってればそのうち体が合わせる様になりますよ」
姫「な、なるほどですわ…きゃっ!」ガクッ
従者「おっとっと。大丈夫ですか」
524:
姫「あ、ありがとうございます。従者様…」
従者「どういたしまして」
赤「…フン」
赤「とにかくだ!二人とも馬に慣れてもらうからよ」
赤「この俺様の下僕共が馬にのれねえなんて恥ずかしい話はねぇからな」
従者「多分今これ読んでる人、皆同じこと考えてますよ」
赤「何の話だよ」
525:
姫「…」
姫「あの、ご主人様」
赤「あぁん?」
姫「もし、わたくしが乗りこなせるようになったら、その時は…」
赤「…あァ。そういうことかよ」ボリボリ
赤「しょうがねえな。解ったよ」
姫「え?」
526:
赤「いい女と並べりゃおったたねえこともねえwwww大人の階段上らせてやんよwwwww」
従者「良かったですね。メイドさん開放していただけるそうですよ」
従者「がんばりましょう。お姫様」
姫「はい、わたくし、精一杯努めますわ!」
赤「まてこら」
赤「さっきからずいぶんと人の事舐めて…」
従者「合図をだすときは手綱だけじゃなく足を閉めて…」
527:
姫「こ、こうですの?」
従者「そうです。あまり強すぎるとびっくりするので…」
赤「…ちっ」
赤「馬乗れるんじゃねえか。従者の野郎。つまらねえホラふきやがって」
赤「おうおうそんなくっついてよ。ガキ共が色気付いてんじゃねえぜ」
赤「はーあ、俺みてえに皆ぶっ飛ばされりゃ面白かったのによ」
赤「おもしろくね。おもしろくね」
528:
赤(もうじき裁判か…)
赤(クックック、間に合えばいいけどなぁ)

リーリー…
赤「…」
姫「ご主人様、ごらんになって!」
姫「か、かろうじて乗れるようになりましたわ!」
529:
赤「おい。いっくら三日でここまでってのも早すぎねえか。クレームくるだろ」
従者「どこからですか。教える人間と教わる人間がよければこんなもんです」
赤「お前はちったぁ謙遜しろ」
従者「いやそれほどでも」
赤「いましてどうするんだよ」
姫「ご主人様。それで、その…」
赤「あーあー。解ってるよ。クソッ」
赤「明確にしたわけじゃねえけど、わーたよ。明日にゃ開放してやるぜ」
530:
姫「ほ、ほんとうですのっ!」
赤「ああ」
姫「ありがとうございます赤騎士様!」
赤「ご主人様だろうが。」
姫「あっ…申し訳ありません。でもわたくし、嬉しくて…!」
姫「従者様も、指導してくださって、感謝の極みですわ!」
従者「はあ。まあ僕も料理の度に台所いくのめんどくさくなってたので」
姫「まあ。従者様ったら」
531:
赤「ピョンピョンはねてねえでとっとと夕飯の支度しろ。何時だと思ってやがる」
姫「はい、すぐにとりかかりますわ!」
タタタ
赤「ケッ…」
従者「現金なものですね。閉じ込められた時の理不尽も忘れて」
赤「こんなことなら裸にして天井から吊るすくらいのことすりゃ良かったぜ」
従者「…」
532:
赤「ん、どうした」
従者「いえ…」
従者「もうすぐ裁判ですね」
赤「ああ、そうだなあ…くぁーっ!」
従者「もし有罪が決まれば、お姫様は…」
赤「…」
赤「くだらねえこと考える前にやることがあるだろうが」
赤「お前もさっさと行け。ノロマが」
533:
従者「…はいはい」

『それは本当ですか、お姫様』
姫「ええ!確かにお約束していただけましたわ」
姫「明日、こちらを出られますわよ」
『そうですか…』
姫「…ごめんなさいねメイド、わたくしのために」
534:
姫「でもこれで、一緒にお料理できますわ」
『…はい…』
姫「…」
姫「わたくし、あのお方の事を…ご主人様の事を誤解していたのかも」
姫「いつも乱暴ですし無理をおっしゃるけど…」
姫「いろいろなお方の話を聞いているうちに、本当のご主人様が見えてきた気がしますの」
『…本当の、赤騎士様…』
535:
姫「そうですわ」
姫「この牢屋の話を踏み倒されれば、全て幻想だと思いましたけど」
姫「それもなくなりましたわ」
『…』
姫「…メイド、どうかお話になって」
姫「あの日は本当に、ご主人様に乱暴な事、されましたの?」
『それは…』
536:
姫「ええ」
『わたしは…わたしはっ…!』
赤「おぉーいおいおい。なーに道草くってんだお姫さんよぉ」
姫「!」
『そのお声は…』
赤「明日になりゃ自由に話せんだろうが。こんなシケたとこで思い出話してんじゃねえよ」
赤「オラ、とっとと戻れや。鍵は俺がしめとくからよ」
537:
姫「わ、解りましたわ」
姫「じゃあ、また明日ね。メイド」
『はい、お姫様…』
タタタ…
『…』
赤「クク。前も言ったけどよ」
赤「ダメだぜ?ルール違反はよ。な?」
538:

姫「ご主人様!」
タタタタ…
バンッ
姫「ご主人様!!」
赤「んっ…あんだようるせーなあ…」
姫「どういうことですの!」
539:
赤「何がだよ」
従者「…どうしたんですか、こんなに朝早く」
姫「メイドがいませんのよ!地下牢にも!屋敷の中にも!」
従者「え?」
赤「…」
姫「開放なさってくださったのですもの、どこかにいるはず…」
赤「…」
540:
姫「も、もしかして買い物を命じたとかですの?それでしたら、納得がいきます!」
赤「…」
姫「なんとかおっしゃって、ご主人様っ!!」
赤「…ッヒフ、ヒッハッハ…」
姫「ご主人様…?」
赤「ハァッハッハッハッハッハァ――ッ!!」
赤「ぶわーかぁ!誰があんな口約束守るかってんだよォ!!」
姫「っ!」
541:
赤「そもそもあんなチチがでけーだけでろくに同僚の監視もできねえクズ、誰が雇っとくっつーんだよ」
姫「どういうことですの…それでしたらメイドは…!」
赤「売ったよ」
姫「!」
赤「元値よりちょーっと高く売れたぜぇ。あのカラダだ、素質はあるからよ」
姫「カラダの素質って…まさか、まさか!」
赤「売春宿にきまってんだろ」
542:
従者「…」
赤「安心しろ。遠い場所だからよ」
赤「顔合わせて気まずくなることもねえwwww俺気配りできるよなーマジwwwww」
姫「だましたのね…わたくしをだましたのですわね!」
赤「だます?アッハ、何言ってんだてめえ」
赤「何度もいってんじゃねえか」
赤「俺ぁてめえのその顔が見たくて買ったんだってよ」
姫「…最低」
543:
姫「あなたは最低ですわ!」
赤「あーいいねえ。こっちゃ最高だよ」
姫「あなたなんか…あなたなんかっ!」
従者「お姫様、おちついてくださいっ」
姫「離して!こんな、こんな男!信じたわたくしが馬鹿でしたわ!」
姫「こんな、こんなっ…!」
従者「そうです。こんな程度の男なんです。殴る価値もありません」
545:
姫「…っ!」
従者「ですから落ち着いて。さあ」
姫「……はぁっ…はぁっ…!」
赤「おーこわ」
従者「…」
赤「ククク、ショーはおしまいかよ」
赤「おき抜けの一発にゃたまんねえ出来だったぜwwwwおいみろよこんなに元気になっちまったwwwww」
546:
従者「…」
姫「…一度は…一度は以前のような」
姫「物静かな優しさを…あなたに感じましたのに」
姫「あれは嘘だったのですわね」
姫「雨に打たれていた時のあの目は、ただの幻想だったのですわね!」
赤「知るかよ。現実ってのはこういうもんなんだよ」
赤「てめーに見る目がなかったんだ。それだけの事じゃねえか」
547:
赤「これにこりたら身勝手な夢を他人に押し付けるんじゃねえぞ」
赤「あ、自分でコスるときはいいぜwwww遠慮なく押し付けなwwww」
姫「くっ…!」
従者「…」
赤「長ーいお遊びだったけどよ、もう今ので満足したぜ」
赤「ちょうどいい区切りだ。裁判当日にてめえら二人ともクビにしてやるよ」
赤「それまではそのムナ糞わりい面みせんじゃねえ。あの娼館に閉じこもって出てくるんじゃねえ」
548:
従者「…」
姫「フーッ…フーッ…」
赤「聞こえなかったのか。二人とも出て行け。今すぐだ」
姫「…っ」
タッ
赤「…」
従者「…」
549:
赤「何ボサっとつったってやがる」
従者「すこし、騎士様のことを買いかぶりすぎていたようです」
赤「そうだな。ざまぁみろ」
従者「失礼します」
バタン
赤「…」
赤「ククク…」
550:

娼婦A「そう…兄さんが」
従者「…」
娼婦A「あなたたちがここに来ることは聞いてるよ。一歩も外に出すなっていわれてるのも確か」
娼婦A「でもそれはてっきり、これから街がさわがしくなるからとばかり」
従者「裁判が近いですからね」
娼婦B「もういろんな色の騎士さんが街うろついてるからね」
551:
娼婦B「どこで何を見られるか解らないもの」
姫「……」
娼婦A「お姫様…」
姫「お姉さまは、おっしゃってくれましたわ…あの人は、あの人は変わってないって」
姫「でしたら、今のあの人は一体何なんですの?どうして、どうしてメイドを…!」
娼婦A「お姫様…」ギュッ
姫「う…ぅ…」
552:
娼婦B「安心して、従者さん。好きなだけいてくれていいから」
従者「ええ…今は行き場所もないですし。本当に助かります」
娼婦A「…」
娼婦A(兄さん、どうしたってのさ。一体何を考えてるってんだい?)

553:
紫「いよいよ明日が裁判の日となったわけだが…」
紫「肝心の黄殺害の首謀者は発見にいたっていない」
青「…」
緑「…」
橙「ふごんっ」
藍「…」
赤「…んー」ホジホジ
554:
紫「例の貴族誘拐の犯人と同じなれば、きゃつが領主救済に動くのは必至」
紫「街の警備を一層強めるとともに、怪しいもの、貴族に由来のあるものは皆拘束する」
紫「異論はないな」
赤「はーいありませェーん」
青「…」
緑「…く…」
紫「ふふ。ならば今日の会議は終了」
555:
紫「おのおの気をつけて帰られよ」
青「…」ガタッ
緑「…」ガタッ
紫「ああ、そうそう。緑殿」
紫「川に足を滑らせたそうだな。クク…決闘は陸で行うものだ。お忘れなく」
緑「…忠告ありがたく頂いておこう」
緑「御免」
赤「あああああ!そうだぁッ!」
556:
青&緑「ぐ…」ガクッ
藍「何事だ赤の。突然そのような」
赤「紫様にぃ、ひとつだけ頼みたいことがあるのぉ」
赤「お聞きどけ願えるかしら」キラキラ
紫「…」
赤「ねぇーん、おねがぁーい」シュルシュル
紫「ええい巻きつくな鬱陶しい!なんだ!」
557:
赤「今月の家計がピンチでよぉ」
赤「酒屋のツケも払えねぇ状況なんでさあ」
緑「は?」
紫「…それで」
赤「ほら例の(バチンッ)功績もあることだし(バチンッ)紫様のお力で、ね?」
赤「ほんの一枚の書状があれば俺ぁ、飢え死にせずに済むんですよぉ」
紫「…フン、何かと思えば…」
558:
紫「今回は特例だ。二度とないと思え」サラサラ
赤「へへ、ありがたき幸せ!」
ポタポタ… トン
紫「これを酒屋にもっていけ」
赤「へへ、紫様の蝋印!ありがてぇ」チュッ
紫「気色の悪いまねをするな。早く出て行け」
赤「へいへいあざーっす!」ピョピョーン
559:
紫「……どういう教育を受けたのだあの男は」
青&緑(悔しいが同意せざるをえん…)
青「うっ!…ではな…」
緑「青様大丈夫ですか」
青「胃が痛むだけだ。心配ない…」
フラフラヨロヨロ
橙「フン。あとは明日を待つだけだな。ふごんっ」
紫「油断をするな。『天使の鞘腕』の一味がおるやもしれん」
560:
紫「青と緑の屋敷を徹底的に見張れ。妙なそぶりがあればすぐにでも知らせろ」
藍「…しかし街の見張りも割いておる中、流石にきゃつらの動きを封じることは」
フゥゥー
藍「ぞっわああぁぁぁぁぁ」
赤「あらぁ、いい反応ね」
橙「あ、赤の!まだおったのかお前は!」
赤「封じる必要もねえだろうよ。どう動くか解ってりゃ、利用すりゃいいだけじゃねえか」
561:
藍「何?」
橙「赤、おぬしにはわかるというのか」
赤「ハッ、当然だろうが」
紫「…」
紫「赤、貴様あの日の言葉に偽りはなかろうな」
赤「あんたまでもうろくしたのかよ紫殿。俺ぁな、領主の一言で人生メッチャクチャになったんだぜ」
赤「邪魔なんだよ。あっち側の肩もつ連中は」
562:
赤「おふくろの直接の死とかンなこたどうでもいいんだよ」
赤「なぁ…橙の」ギラリ
橙「ひっ…」
紫「フ…そうか」
紫「ならば聞いてやろう。話せ」

563:
娼婦B「まあ、本当に料理がお上手なのね、従者様って」
従者「まあ幼い頃にいくらか習いましたので」
娼婦B「素敵。ねぇ、後で私にも教えて?」
従者「はあ。かまいませんよ」
娼婦B「やったあ!」
従者(…)チラッ
姫「…ぅ…」
娼婦A「…」ナデナデ
565:
従者「…」
従者「ちょっと僕でかけてきます」
娼婦B「えっ」
娼婦A「だめよ、絶対に外に出てはいけないって…」
従者「それはお姫様の場合は、でしょう」
従者「僕は貴族になんの縁もありません。ただの従者です」
従者「すぐに戻ります。お姫様のことをお願いします」
566:
娼婦A「…」
娼婦A「解ったよ。気をつけていってきな」
従者「ありがとうございます」
パタン
従者(手がかりがあるとしたら、あの教会…)
従者(まっててくださいね、お姫様)
タタタタ…
567:
――隣村、教会――
マザー「…」
従者「…はぁっ、はぁっ」
マザー「あらまあ、あなたはこの前の…」
従者「はぁっ…ふたたび、おじゃましまっ…」フラッ
マザー「ああ、ちょっと!」ガシッ
マザー「だれか、誰かきておくれ!」

568:
従者「…すいません。ちょっと無理しすぎました」
マザー「本当よ。びっくりしちゃったわ。」
従者「今日きたのは…この前のお話の続きを聞きたくて」
マザー「続き…?」
従者「そうです。今の、赤騎士様とマザー様の、この教会のご関係です」
マザー「…」
マザー「実はね。さっきあの子、ここへ来たのよ」
569:
従者「え…騎士様がですか」
マザー「ええ」
従者「それで何を?」
マザー「司祭様のお話と…あとは…」
従者「お母様の?」
マザー「…」
従者「…無理には聞きませんよ」
570:
従者「騎士様のことですから、どうせまた口止めしてるでしょうし」
マザー「ごめんなさいね、従者さん」
マザー「わたしには、あの子のいう事を聞いてあげるくらいしか、出来ないの」
従者「…僕がお聞きしたいのは一つだけです」
従者「先代の赤騎士様が亡くなってから、この教会に赤騎士団から援助金が入っていたかどうか、です」
マザー「…ええ。あなたの言うとおりよ」
マザー「あの子は同じ金額を、律儀に送ってくれたわ」
従者「…そうですか。解りました」
571:
マザー「あ、もうお帰りになるの?」
従者「はい。皆さんに心配をおかけするので」
マザー「だったら、定期馬車にのっていくといいわ。今からちょうど出るところだから」
従者「へえ。便利ですね。使わせてもらいます」
マザー「ええ…」
マザー「…もしもあの子に会うことがあれば伝えて頂戴」
マザー「いつも皆が、あなたの傍にいる、と」
572:
従者「…解りました」

パカッパカッパカッ
従者「…」
ゴトゴトゴト…

姫「…スゥ…スゥ…」
573:
娼婦A「…」ナデナデ
娼婦B「…姉さん…」
娼婦A「…信じるしかないよ。今までずっとそうだったように」
娼婦B「うん…」
姫「……スゥ…スゥ…」

574:
パチッパチ…
赤「…」
パチ…ボボボボボッ…パキッ…
赤「フン」
赤「金貨100000枚の価値も、火にくべりゃ一瞬だな」
パチッ…
赤「…」スッ…
シュッ!
575:
トンッ
赤「…」
赤「…ど真ん中ですよ」
―――…おお、やったねぇ!赤!
赤「…」
―――…騎士ってのはさ、馬乗って剣ふりまわしゃいいってもんじゃないの
―――…炊事も家事も、遊びもしっかり出来てこそ、一流なんだよ
576:
赤「…」シュッ
トンッ!
―――…お父様は不器用だけど、あんたはわたしの血も立派にうけついでんだから
トンッ!
―――…大丈夫さ、なんでも得意になれるよ。
トンッ!
―――…わたしを信じな、赤
577:
赤「フフ…すっかり」
赤「遊びだけが、得意になっていましましたよ」
トンッ!
赤「――母上」
パチッ…パチッ…

578:
ゴォ―ン…
ゴォ――ン…
――魔女裁判、当日――
581:
このシリアスムードの中……ふとスレタイを見ると!
スレタイェ…
582:
かっけぇ・・・かっこいいよ!話は!!
スレタイはまぁ、うん
584:
娼婦A「え、家事のお手伝いかい」
姫「ええ。何かしてないと落ち着きませんわ」
娼婦A「んー、ありがたいけど、お姫様にそんなことしてもらうわけには…ねぇ」
姫「忌々しいですけれど、あの男い言われた何もできない子供だということを返上したいんですの」
姫「どうかお願いいたします」
娼婦A「わわ、わかったよ、頭あげて頂戴」
娼婦A「どうせ今日はお客もこないだろうし、屋内の一斉大掃除といこうかね」
585:
姫「はいですわ!」
従者「…」
従者「あれ、ってことは僕も手伝うんですか」
娼婦B「当たり前でしょ、はいこれ」
従者「うわーい」

586:
娼婦A「へぇ、たいしたもんだねえ」
姫「洗濯は特に気を使いましたの。すっかりなれましたわ」
娼婦A「こりゃあうちの子もしっかり教えなおさないとダメだね」
娼婦B「ギクッ」
姫「わたくしでよろしければ、手取り足取りお教えいたしますわ」
娼婦B「い、いいよわたしは!ほら、干すの専門だし!」
姫「どうか遠慮なさらないで?ね」
娼婦B「そ、その笑顔卑怯だとおもう…」
587:
姫「そうかしら。うふふ」
従者「…」

娼婦A「ほら、どうだい簡単だろう?」
姫「すごいですわ、こんなに簡単にできますのね」
姫「しかも…んっ、美味しい!」チュルッ
娼婦A「こーら。お行儀が悪いわよお姫様」
588:
姫「はっ、も、申し訳ありませんわ。つい料理中のクセが…」
従者「…」
娼婦B「従者様ぁ、わたしのこれ…」ドッチャァァ
従者「うん、とりあえず…パスタの茹で方から覚えましょうか」
姫「うふふ、このレシピは是非メモにして…」
従者「…」
……

589:
――某所――
緑「青様」
青「来たか」
青「つけられておるまいな」
緑「はい…しかし良いのですか。こんなところで悠長に」
緑「私の団ならいつでも号令一つで紫の本部に…!」
青「ヤケをおこすな。まったく早めに呼んで正解だったな」
590:
青「スパイ活動は断念したが、別方面から良い知らせを受け取ったのだ」
緑「良いしらせ?」
青「うむ。ここなら儂とお前しか知らんからな」
青「今日まで保存しておいたのだ」
緑「なるほど」
緑「しかしどういった知らせなのですか?」
青「それがだな、ある手紙の…」
591:
シュッ!
青「!」スラリ
緑「なっ、橙の矢…!」スラリ
橙「ふごん。自己紹介は、必要なさそうだな…」
藍「…」
青「貴様ら、どうして此処が」
緑「尾行はまいたはずだ!」
592:
シュッ!
青「!」スラリ
緑「なっ、橙の矢…!」スラリ
橙「ふごん。自己紹介は、必要なさそうだな…」
藍「…」
青「貴様ら、どうして此処が」
緑「尾行はまいたはずだ!」
593:
「なぁーんてことはねぇ…」
赤「こういうことさ」
青「!」
緑「なっ…赤、お前…」
赤「あんまり昔馴染みってのはよくねーよなあ。共通の隠れ家までよく知ってるんだからよ」
青「緑、お前話したのか」
緑「う…っく…」
594:
緑「赤っ!貴様…どういうつもりだっ!」
橙「ふごっ。ふごん。どういうつもりであろうと関係なかろう」
橙「貴様らはすぐに地獄にゆくのだっ…!?」ドスッ
赤「…」
橙「あ、赤の…?」
緑「…!?」
バシュッ!ザスッ!
595:
橙従騎士A「ぐああっ!」
橙従騎士B「ぎゃああぁっ!」
ドサドサッ
橙「あ、藍の…こ、これはいった…」
藍「…」
赤「…ああ。そうだなあ。地獄しかいけねえよな」
赤「俺のお袋を手にかけやがってよぉぉぉ!!」
596:
橙「ひっ!ち、ちがうっ!あれは紫殿の指示でっ…!」
ズバッ
橙「ひゅっ…」
赤「土くれに戻れや。クソの塊が」
ドザァッ
赤「ったく、おふくろのナイフが汚れちまったぜ」ビュッ
藍「見事でござったぞ、赤の」
597:
赤「そう褒めたって何もでやせんぜ藍の旦那」
青「…」
緑「赤…」
赤「はっは、よーう親友!傷は大丈夫かよ!」バンバン!
緑「いつつ…ああ。これは一体…」
赤「藍殿も憂国の士だったって、単純な話さ」
赤「ひそかに密談をして、この日を待っていたという訳だ」
598:
青「…」
藍「フン、それがしとて紫の横暴は目に余る」
藍「そのほうらと馴れ合うつもりはないがな」
赤「まあそういいなさんなって、仲良くいきましょうや、な?」
緑「赤…」
赤「まあ俺達も早々信じてもらえるとは思わなかったからよ」
赤「こうして橙の野郎をブチのめしながらの参上としたわけよ」
599:
緑「なんでそうならそうと早く私に言わなかったのだ!まったく!」
赤「い、いやだってよ、なんか言いにくかったじゃねえかよ」
赤「お前とつるみながら、別でも密談してましたなんてよ」
青「何?緑、赤と何か共謀しておったのか」
緑「あ、ええ…あまりに街の中の貴族に対する横暴が目についたので」
緑「赤に援護してもらって、私が『天使の鞘腕』として彼らを安全な場所へと」
青「たわけめ、それこそ何故早く言わなかったのだ」
601:
緑「も、もうしわけありません…」
藍「…」
青「まあよい。それならばあの助言の主もわかったわ。手のこんだ真似を」
緑「助言?」
青「皆小屋に入れ」
赤「へーい」
ザッザッ
602:
パカッ
緑「これは…紫殿の蝋印…」
藍「依頼書か何かじゃな」
青「先日届いた手紙にな、件のチューリップは作り物である可能性が高いとあったのだ」
青「造花を専門とする工芸職人で、特に腕のよい物がいる地方の地図と一緒にな」
緑「なんと…造花?」
赤「…」
603:
青「そして締めくくりにはたしかに『天使の鞘腕より』とあった」
青「急ぎ馬を走らせ、ひとつひとつ当たらせたのだ」
緑「いつのまにそんな事を…」
青「この依頼書には設計図から紫のサインまですべて収まっておる」
青「これさえあればどんな言い分もまかり通らん」
緑「よ、良かった…これで領主夫人は魔女の疑いが晴れ…」
『――るには違いないな』
604:
緑「っ!」
ザザザッ!
紫「フフ。奇しくも再び勢ぞろいだな」
紫「何人か欠けてはいるが、な」
緑「む、紫…!」チャキッ
紫「いかな緑殿といえどその傷で、この数相手に。無駄死にでもしたいのか?」
紫「懸命とはいえんなんん?」
605:
緑「くっ…」
赤「はいっと、おやっさんしっつれー」パッ
青「赤っ、貴様…!」
藍「動かないでいただこう。青殿」チャキリ
藍「外からもそれがしの隊が弓で狙っておるぞ」
青「ぐ…」
606:
赤「くっく、ザマァねえな緑。今どんな気持ちだオイ」
緑「ぐ…な、何故だ…」
緑「貴様達、今しがた見せた姿は何だったのだ!」
赤「えーなんだったって言われてもぉーありのままの姿でしたしぃー」
赤「あ、なんなら生まれたままの姿でもいいけど?」
緑「ふざけるなぁっ!」
ズンッ
607:
緑「ぐっ…」
赤「あんま暴れんな。全方位囲まれてんだぜ」
緑「う…ぐ…」ガクッ
青「緑っ!」
赤「紫殿は領主の地位が欲しい」
赤「藍殿はそんな紫殿がだーいっきらいだけど、ある品物と引き換えに協力してる」
赤「んでもって俺様はよ。この国の騎士と貴族共をめちゃくちゃにしてやりてーだけよ」
608:
赤「な?だーれも嘘ついてないでしょ?」
緑「ぐ…」
紫「藍」
藍「うむ」
赤「あっ、ちょっと何してるんです藍殿」
藍「依頼書を渡してもらおう」
赤「あっ、そんなダメっ!いやっ!藍様ったらぁん!」
609:
藍「ええい気味の悪い声を立てるな!」バッ
藍「紫殿の蝋印…こ、これか…ふぅっ…ふぅっ…」
赤「あぁンっ!…もっとぉ…」
藍「まったくこやつは…ええいよるな。貴様の下劣な臭いがうつるわ!」ガシガシ
赤「あふぁー」
紫「フン。ご苦労だったな青殿。これで全ての憂いは消え去ったというわけだ」
青「…赤よ、貴様は自らの意思でそうしておるのか」
赤「アァン…そーよ。だったらどうしたってんだおやっさん」
610:
青「そうか…」
赤「…」
赤「ケッ、張り合いがねえな。もっと突っかかれよ。ったくよ」
紫「長居は無用だ。引き上げるぞ」
藍「こやつらはどうするのだ。始末せんのか」
紫「馬鹿を言え。この二人は指示する者も多い」
紫「私が正式に領主になってからでないと裁けん。それまではここに閉じ込めておけ」
611:
紫「こいつで眠らせて置け。見張りはつけろ」
赤「へへ、りょーかい」
緑「う…うぅ…」
赤「あー。気持ちいいわ。お前が足元にひざまずいてるってのはよ」
緑「復讐なのか…これは」
赤「ターコ。そんなもんはどうでもいいんだよ」
赤「俺は俺が気にいらねえやつをぶっ潰すだけさ。お前みてえによ」
612:
緑「…私の顔を殴って見せろ」
赤「…」
緑「フッ…出来ないか?」
赤「…」シュッ
シュー…
緑「青殿への手紙は私が書いたものではない」
緑「ならば天使の鞘腕を名乗るものはお前だけだ。そうだろう!」
赤「…」シュー…
613:
緑「何故ひめさ…まを…ひ…めさまを…!」
赤「…」ギィィ…
緑「こた…え…ろ……赤あああぁぁぁぁぁぁぁぁっ――!」
――バタン

614:
――紫騎士団本部――
紫「我が騎士団の栄光を願って」
藍「…」
赤「…」グビッグビッ
紫「フン…乾杯すらとれぬか」
藍「コココ。勘違いしないでいただこう紫殿」
藍「それがしとおぬしは、品が手に入ればそれで終いじゃ」
615:
紫「好きにするがいい」
赤「…」トクトク…
紫「赤、まるで気が晴れておらぬな。せっかく仇を取らせてやったというのに」
赤「ケッ。顔こっちむけんじゃねえよ。酒が不味くならあ」
紫「そういうな。貴様はなかなか喰えん男だ」
紫「私に仕えろ。紅の称号をくれてやるぞ」
赤「まっぴらごめんだねぇ親父と同じ称号なんてよ」
616:
紫「この国の選りすぐりの美女を全て妻にさせてやるぞ」
赤「一生ついていきます紫様♪」
赤「あ、あ、グラスが空いてますよ。はい、どーぞ」トクトク
紫「フ…」
藍「…紫殿、そろそろ時間が近いぞ」
紫「うむ。では支度をするとしようか」
紫「魔女裁判もとい、私の領主就任式のな」
赤「キャー!カッコイー!」
617:
藍(この男やはりあの夜に切っておくべきであった…鬱陶しい)プルプル
紫「おのおの正装でくるがいい。式はこの塔の最上階で行う」
赤「はぁーい」
――地下牢――
姫父「…」
姫母「あなた…」
牢番「あーあーやだねぇ。囚人ですら所帯持ちってのによ」
618:
牢番「っていうか何?牢屋まできてイチャつくとかなんなの?馬鹿なの?」
牢番「年齢=彼女いない暦の俺に対するあてつけくわあぁぁっ!」
姫父「…」
姫母「…」
牢番「くっそ気が狂うわ。いっそこんな仕事やめちゃうか」
牢番「ああでも紫様こえーしなぁ…今さら転職なんて…」」
牢番「がっ!?」ドサッ
619:
姫父「む?」
カチャカチャ
カシャーン
姫母「あ、貴方は…?」
仮面「…」シーッ
仮面「…」チョイチョイ
タッ
姫父(つ、ついてこいというのか?)
620:
ザザザ…
姫父「中庭に出たようだ…」
姫母「あ、あなた。あそこ」
仮面「…」
姫父「裏口か…」
ガチャリ…ガコン
仮面「…」ピューッ!
621:
ヌッ
姫父「お、お前は!」
メイド「ご主人様、お待ちしておりました」
メイド「ここからはわたしがご案内いたします。これをお召しになってください」
姫母「修道女のケープ…」
仮面「…」スッ
姫父「な、なんだこれは。紫の蝋印がついているが…」
姫父「もっていけというのか」
623:
仮面「…」コクッ
姫母「お待ちになって。貴方は一体…」
仮面「…」
ザザザッ…
姫母「あ…」
メイド「お、おふたりとも、お急ぎください。すぐにここを離れませんと…」
姫父「うむ。いこう、妻よ」
624:
姫母「ええ…」
ザザ…ザ…

625:
――中央塔――
カツーン カツーン
紫「…」
藍「…」
カツーン カツーン
ガチャッ
紫「…」
626:
パチッ…パチパチッ…
紫「…我々がいっとう最初か」
藍「…」
紫「だが妙だな。司祭は先にきておるはずだが」
『―――司祭様は来ねえよ』
紫「!?」
藍「何奴」スラリ
627:
『殺気立ってんじゃねえよ…』
紫「…貴様…」
仮面「まだ始まったばかりだぜ?」
仮面「野郎まみれのだーれも幸せになれねえパーティはよ」
ゴォ――ン…
ゴォ――ン…
ゴォ――ン…
628:
ゴォ――ン…
仮面「…」
ゴォ――ン…
紫「フ…なるほど」
紫「その仮面、『天使の鞘腕』のものか」
紫「貴様は緑の片割れ…『天使の右腕』だったわけだ」ゴォ――ン…
629:
仮面「…」
仮面「わりぃ」
紫「む?」
仮面「鐘の音でよく聞き取れなかったわwwwwもっかい今のセリフ頼むwww」
紫「…」ピキッ
紫従騎士A「む、紫殿落ち着いてくだされ!」グググ…
紫従騎士B「そうです!こんなネズミ一匹に」ガシイ…
藍(アホか…)
630:
紫「何の真似だ…赤!」
仮面「あらー?今日は赤いくつわないのにバレちゃったー」カタンッ
赤「どうしてかねぇ。勘いいねおたく」
紫「司祭は来ないだと?どういうことだ」
赤「いやー司祭さんに指導したお方と知り合いでねえ」
赤「ちょっと遅れて来てーって頼んじゃったwwwwテヘッwwww」
藍「…」スラリ
631:
カチャカチャカチャチャチャチャッ!
赤「んー。見事な一斉抜刀だことで」
紫「貴様は一体、何が目的なのだ」
赤「何が目的か、なんてのはよ。そのうち解るんじゃね」
赤「そーら、聞こえてきた」カツーンカツーンカツーン…
藍従騎士「も、申し上げます!」ガチャッ
藍「ぬ、なんだどうした」
632:
藍従「領主夫妻が脱獄!どこにも姿が見当たりません!」
藍「何だと!?」
紫「…」
赤「ケタケタ。まあ気付くスピードは及第点なんじゃね?」
赤「俺様の騎士団なら鐘が鳴る前に気付いてるけどよ」
藍「貴様ぁ…!」
紫「フン、うろたえるな。魔女のチューリップに関する資料はこちらにある」
紫「何の問題もないことだ。明日街中を捜せば良い」
633:
赤「ところがどっこい依頼書も一緒に脱獄しちゃってたりして〜」
紫「…なんだと?」
藍「フ、何を言っておる。依頼書ならこれこの通りここに…」カサカサ
636:
藍「ぬ…なるほど。それもそうでござった」
赤「ところがどっこい依頼書も一緒に脱獄しちゃってたりして〜」
紫「…なんだと?」
藍「フ、何を言っておる。依頼書ならこれこの通りここに…」カサカサ
634:

 赤騎士
 上の者にかかる酒類の支払い、
 税、及び運搬料金を全て免除するものとする
       紫騎士 』
635:
藍「…」
紫「…」
赤「あれあれ、ごめんごめーん。さっき間違えて渡しちゃってたわ」
紫「やってくれたな…赤」グシャッ
赤「やっちゃいました俺」
紫「生きて此処より出られると思うなよ?」
ザザッ
637:
ビュウウゥゥ…
赤「――フン、生きて…か」
赤「お前ら目ついてんのかよあぁ?」
赤「俺様の足元にある樽が見えねえのかっつってんだよ!」ガンッ
サラサラッ
紫「何っ」
藍「そ、それはまさか」
638:
赤「まさかもまさか、樽一杯つまった火薬さ。じーさん特性だからよく爆ぜるぜ」
赤「こいつでハデにお祝いしようや。領主様無罪確定のよ…へへ」
藍「ぐ…」ジリ…
紫「…」
紫「理解できんな」
赤「ん?」
紫「思い出せ、貴様の父君の不幸を」
639:
紫「最高の騎士として称えられた、先代赤騎士殿の事を」
紫「領主に紅の称号を与えられながらも」
紫「…『奥方が元盗賊』だという下らぬ理由でそれを取り消され」
紫「衰退の一途をたどった貴様の」
赤「――お前なんだろ」
赤「俺のおふくろの身元を、町に広めたのは」
紫「…」
640:
赤「たいして信心もねえてめえが教会にあしげく通って」
赤「律儀なお袋のことだ、どこかに名前ものこしちまっただろうよ」
赤「てめえの従騎士共が娼館で自慢げにいってたらしいぜ?」
赤「いかな紅殿の足も、我等にかかれば簡単にすくえる、とな」
紫「…」
赤「だがもうよ、そんなこたどうでもいいんだよ」
赤「今の俺には忠誠を誓う相手も、信念も何もねえ」
赤「血が汚れたんなら、絶つまでだ」
641:
赤「一緒に逝って貰うぜ。クソ共」
ボォッ…
藍「う…ぬ…」
紫「…この塔に」
紫「姫君がおられるといっても、か?」
赤「…!」
紫「フフ、どうした」
赤「…」
642:
赤「つまんねえハッタリかましてんじゃねえよ」
赤「あのクソガキは安全な場所にいるはずだ」
紫「なら遠慮なくやるがいい」
赤「…」
紫「フン、やはり貴様は『盗賊騎士』だな」
赤「…その名で呼ぶんじゃねえ…」
紫「どちらの血も半端にうけついで」
643:
赤「…やめろ…」
紫「その中央をブラブラと揺らぐのみだ」
赤「やめろっつってんだよこのクソ野郎がぁああぁっ!!」シュンッ
キイィン
赤「っ!」
藍「…」
紫「フンッ」カチャン
644:
赤「がっ!」ドッ
紫「抑えよ」
赤「ぐっ…クソッタレ…」ガッ
紫「フン、やはりまだまだヒヨっこだな」
紫「あのような矮小な存在に私が目を向けると思うか?」
紫「狙うならとうに命をとっておるわ」
藍「…」
赤「…くっ…」
645:
紫「もっとも貴様にとっては、その矮小な存在が命取りとなったがな」
紫「ん?命拾いとなったのか。クック…」
藍「…その変にいたされよ、紫殿」
紫「おーぅ。そうだったな。貴公もまたあの『品物』を欲しておったのだったな」
藍「…」
グイッ
赤「ぐっ…」
646:
紫「死地を求めるのならば憂いを先に絶っておくべきだったな」
紫「そんなんだから、半端物なのだ貴様は」
紫「…『盗賊騎士』よ」
赤「……」
藍「紫殿、領主夫妻はどうする」
紫「捨て置け。どのみちもはや貴族の連中に返り咲く道はない」
紫「この騒ぎの主犯の首が一つ落ちるだけだ」
紫「『天使の右腕』の、な」
647:
紫「それで全ては片がつき、私は領主の座に着く」
紫「藍、長らくご苦労だったな。あとは好きにするがいい」
藍「あい解った」
紫「フフ。良い星空だ。そう思わんか?赤よ」
赤「……」
655:

姫「絹はこうしてぬるま湯で優しく洗うんですのよ」
娼婦B「こ、こう?」コシコシ
姫「そう、お上手ですわ」
娼婦B「へへ、ありがと!」コシコシ
娼婦B「お姫様って本当にお嬢様?凄い詳しいんだね」
姫「…これはすべて…」
656:
ゴォ――ン…
ゴォ――ン…
姫「!」
娼婦A「これは…」
従者(…裁判開始の鐘)
娼婦B「お姫様?」
姫「…いえ、なんでもありませんわ」ニコッ
657:
姫「わたくしお部屋の整頓をさせていただきますわね」
娼婦B「うん」
タッ
娼婦A「…」スッ
娼婦A「ん?」
従者「…僕が行きます」
娼婦A「そうかい…」
658:
タタ…
ガチャ
従者「…」
従者「…お姫様」
姫「…」
従者「無理なさらないでください」
従者「無理に…笑わなくてもいいんです」
659:
姫「…わたくし、もう…」
姫「お母様に疑いがかけられた事と…赤騎士様のことで」
姫「なにもかも、解らなく…」
従者「…」
姫「これは全て悪夢だって…言い聞かせないと…」
姫「もう、潰れてしまいそうで…」
従者「…」
姫「従者様が言ったように、わたくしは子供なのですわね」
660:
姫「幻想に取り付かれた、少女にすぎなかったのですわ…」
従者「…」
従者「今のこの国をみると、たしかにそうなのかもしれません」
従者「この悪夢みたいな状況が、現実なんですから」
姫「…」
従者「でも全てを諦める必要もありません」
姫「…?」
661:
従者「騎士様の事です」
従者「さんざんお姫様に酷い言葉を浴びせましたけど、そもそも苦痛を与える相手に」
従者「わざわざ家事の事なんか教えるわけもない」
従者「お姫様もそれを解っていたから、あんなにお怒りに…違いますか」
姫「…」
従者「裁判には全ての騎士が立ち会うはず」
従者「そして結果は明日の朝出ます」
662:
従者「その中で、あの赤騎士様がぼーっと突っ立ってるだけとは思えません」
従者「そうでしょう?」
姫「…」
従者「今はこらえて、悪夢が覚めるのを信じましょう」
従者「結論はそれから出しても、遅くありませんから」
姫「…そう…ですわね」
姫「…それがわたくしに出来る、ただ一つの事ですわ…」
663:
姫「ありがとうございます…従者様」
従者「いえ」
従者「では僕は戻ります。失礼しました」
姫「あ、わたくしも…皆様にお願いしたいことがありますわ」
従者「え?」

従者「えええ?」
664:
従者「お、お姫様今なんて…」
姫「その、従者様も含めて、皆様で一緒に寝たいと…」
従者「いやあの、それはえっと…」
娼婦A「あはは。いいんじゃない。せっかくにぎやかなんだし。ねぇB」
娼婦B「うん、私は大歓迎だよ!」
従者「あなたたちまで何を」
娼婦A「おやおや、元気づけてあげておいて。心細いと寄りかかるお姫様をはねのけるのかい?」
665:
娼婦A「それじゃあアンタ、男だなんて言えないねえ。ん?」
従者「あ、ははは…」
姫「…」
従者「ふぅ…解りました」
従者「ご一緒させていただきますよ」
姫「ありがとうございます」
従者「はは…どういたしまして」
ギシッ…
666:
娼婦B「きゃはっ、せまーい」
娼婦A「ほらほら暴れるんじゃないよ、B」
娼婦A「お姫様、大丈夫かい」
姫「ええ…すごく、落ち着きますわ」
娼婦A「そうかい。良かった」
娼婦A「ほらほら、従者サンももっとこっちおいでよ」
従者「…はーい」
667:
姫「…おやすみなさい、従者様」
従者「はい。おやすみなさいませ、お姫様」
娼婦A「じゃ、明かりけすよ。おやすみ」
フッ
従者(…)
従者(お願いしますよ。青様、緑様…赤騎士様)
668:
姫(…)
姫(…わたくし、信じますわ)
姫(明日、全てのお方に真実が語られることを…)
ゴォ――ン…
……

669:
――翌日、早朝――
チチチ…
従者「ん…」
従者「朝、か…」
娼婦A「すー…」
娼婦B「スピピー」
従者(朝に弱いんですね。この人たち)
670:
従者(お姫様はもう起きてるのかな)
カチャ…
従者「お姫様」
姫「従者様…」
従者「…」
従者「もう外に出ても大丈夫でしょう。僕も一緒に見にいきますよ」
姫「…」
671:
従者「万が一の時は、僕がお守りしますから」
姫「ありがとうございます…でも、大丈夫ですわ」
姫「わたくしはお父様とお母様の娘ですもの、堂々と立ち回ってお見せします」
従者「…」
従者「解りました。行きましょう」

672:
ガヤガヤ
従者「お姫様はここでお待ちに…」
姫「いえ、自分の目で確かめますわ」
従者「解りました…しかし」
従者「さすがにすごい人ですね…んー」ギュー
姫「う…んっ…」グイー
村人A「おい、こりゃとんでもないことになったなぁ…」
673:
村人B「ああ、まったくだぜ。あの赤騎士様が…」
村人B「紫様の名を語って、領主夫妻を陥れた主犯だったなんてよ」
姫&従者「!?」
姫「お、おどきになって!」グイッ!
従者「すいません、通ります!」ズズイッ!
村人C「おまけに貴族連続誘拐の犯人『天使の鞘腕』も、赤騎士様だったのか」
村人C「反乱、偽証罪、騒動罪、橙様と黄様殺害…」
674:
姫「はぁっ…はぁっ…」
従者「や、やっと…」
姫「…!」
村人C「こんだけありゃあしょうがねえなぁ」
村人C「縛り首になるのも、よ」
従者「縛り首…」
姫「う、嘘…」
675:
姫「嘘ですわっ!」ダッ
従者「あっ…」
村人A「ん、おい今の領主様の…」
村人B「ああ、そいやそうだったな」
タタタ…
姫「嘘ですわ…嘘に決まってますわ…」
姫「あのお方の事ですもの。またわたくしを虐めるために、何食わぬ顔で屋敷に…」
バンッ!
676:
姫「…ご主人様!ご主人様!」
従者「はぁっ…はぁっ…」
ガチャ…
タタタ…
姫「いらっしゃるんでしょう?返事なさって!」
従者「…」
キィ…
677:
従者(ダーツが…)
従者(全部、的の中央に…)
従者「…」
タタ…
従者「姫様、どちらに…」
従者「姫様…?」
姫「あ…ぁ…」
678:
従者(騎士様の、剣とひづめ…)
従者(そして…これは)
姫(どうして…なぜ、こ、こんな…)
姫「こんな…!」
679:

 どうかお健やかに、姫様
     赤騎士 』
680:
姫「何故、こんな…?」
姫「これは…このお言葉は…」
従者「…」
姫「わたくしが憎いと言ったり、物事をお教えしてくださったり…」
姫「先日もわたくしを嘲るように笑ったと思えば、今度はこんな…」
姫「わたくし、あのお方の事が、何も解りませんわ…」
姫「お父上様に起きた事でさえ…」
681:
従者「…」
姫「誰か、教えて…誰か…」
従者「…」
従者「先代の赤騎士様の奥様は、盗賊だったのです」
姫「…え…?」
従者「正確には、教会のシスターだったのですが…」
従者「急増する孤児を養えず、貴族や騎士といった上流階級から金品を盗み」
従者「それで生計を立てていたそうです」
682:
姫「…」
従者「それが先代の赤騎士様に知れることとなり」
従者「赤騎士様は教会に多額の寄付を贈り始めたそうです」
従者「そしてお二人は、結ばれました」
姫「…」
従者「そして紅の称号を与えられてすぐに、その事が街の噂となり」
従者「称号は剥奪、騎士様の家は没落したのです」
姫「嘘…」
683:
姫「じゃあ、お父様は…ただそれだけの理由で…!」
姫父「そうだ…」
姫「!?」
従者「な、領主様…?」
姫「お、お父様、お母様!それに…メイドまで」
姫母「姫…」
メイド「お、お姫様…ただいま戻りました」
姫「…っ!」タタッ
684:
ギュッ
姫母「…姫…」
姫「……」
姫「…っく!」バッ
姫「ど、どうしてですの。何故お父様はそんな…」
姫父「…紅の称号は、由緒正しい、騎士として最高峰の功績をもつものに与えられてきた」
姫父「その称号を持つものの伴侶が元盗賊だという噂に、私は危機感を禁じえなかったのだ」
686:
姫父「不満はやがて街に、騎士達に伝わっていった」
姫父「このままでは全体が崩れると…だから私は…」
姫「そんな…」
姫「騎士としての素行も、功績も、先代の赤騎士様は幼いわたくしから見ても立派でしたわ」
姫「それを、皆ただ奥様の身分だけで…」
姫父「…」
姫「どうしてわたくしに教えてくださらなかったの?」
姫父「どうしても、言えなかった…お前をあれほど可愛がってくれた先の赤殿を」
687:
姫父「私が、追い詰めたなどと」
姫母「許して…姫…」
姫「……」
姫「従者様は、どこでこのことを?」
従者「教会のマザーが教えてくれました。かつてシスターを師事していたそうです」
姫「…メイドも、ご存知だったの?」
メイド「はい…」
688:
メイド「ですが…あのお方は、現赤騎士様は領主様をお恨みになっておりません」
メイド「紫様の塔よりお二人をお救いしたのですから」
姫「え…?」
姫母「それじゃあ、あの仮面をつけたお方は…まさか」
メイド「か、かたく口止めをされていましたが…それだけはどうか…」
姫父「なんということだ…」
姫「…」
タッ
689:
愛馬「ブルルッ」
姫「従者様。ご主人様の馬、お借りします」
従者「お姫様、何を!?」
姫「お父様とお母様の事、お願いいたしますわ!」
愛馬「ヒヒィーン!」
パカラッ パカラッ!
姫父「な…姫、いつのまに馬に乗れるように…」
従者「…騎士様がお教えになったのです」
690:
従者「乗馬だけではありません。炊事や洗濯、さまざまな事を」
姫父「…」
姫母「ああ…」ペタリ
従者「お二人はお屋敷に隠れていてください。紫様の従騎士が探しているかもしれません」
姫父「しかし…」
従者「騎士様の意思を無駄になさらないでください」
従者「僕はちょっと訪ねるところがあるので、失礼します」
姫父「…解った」
691:
タタタ…
メイド「ご主人様、中に参りましょう」
姫父「…うむ」
ガサガサ…
メイド「え?」
姫父「むっ、まさか…追っ手!?」
ガサッ!
司祭「ふー、こんなあばら屋が本当に赤騎士殿のお屋敷なのか」
693:
姫父「し、司祭様…?」
司祭「おお、確かにおられたわ。あいすみませぬ、遅れてしまって」
司祭「それで、例の証拠というのはどちらに?」

ザワザワ…
親父「…なんてこった。これはさすがに…」
娼婦A「ウソだろ、兄さん…」
694:
パカッ パカッ
愛馬「ヒヒヒヒーン!!」
姫「皆様っ、お聞きになって!」
村人A「な、なんだぁっ」
娼婦A「お、お姫様…」
姫「この罪状は、全て虚偽のものですわ!どうかだまされないで!」
親父「…」
696:
村人B「つってもなあ、なあ?」
村人C「ああ。お姫様はご存知ないかもしれねえけど、赤騎士様はいろいろ問題が…」
姫「赤騎士様のお母上様が盗賊だから、何だと言うんですの!!」
親父「!」
馬商人(知ったのですね…お姫様)
姫「お父上様があんなことになられて、それでも赤騎士様が皆様に乱暴になさったことがあって!?」
姫「確かに身だしなみや口調は、わたくしも口を挟みましたけれど…」
697:
姫「そんなことは、ささいな事ですわ!」
村人A「しかしですな、領主様に恨みを持ってるのは確かなんですぜ」
村人B「だいたいお姫様だって、赤騎士様に買われて…」
姫「ついこの前、わたくしがこうして馬に乗れるようになったのは…」
姫「赤騎士様の配慮です」
村人C「何だって…?」
姫「お父様に恨みを持つお方が、こんなことしてくださって?」
698:
姫「先代の赤騎士様は間違いなく立派な騎士様でしたわ」
姫「そして現赤騎士様もまた、まがいものではない、真の騎士様ですわ!」
姫「それをただ、血筋だけで語るなんて…あ、あんまりです!」
姫「どうか、目をお覚ましになって!」
村人B「う…」
村人C「…ぬぬ…」
親父「…」
699:
姫「お聞きしたいことがあります」
姫「赤騎士様の故郷は、どちらの方角ですの?」
親父「だ、旦那の故郷はここから西にいったところでさ」
親父「だが道が入り組んでて、詳しくは…」
姫「ありがとうございます。それだけ解れば十分ですわ」
姫「どうか今一度、よくお考えになって!」
愛馬「ブルヒヒヒーン!」
700:
パカラッ…パカッ…
村人B「あの赤騎士様が?信じられん…」
村人C「ああ。すっかり荒んでると思っていたが…」
親父「いいや、間違っちゃいねえ…間違っちゃいねえよ!」
親父「旦那はよ、変わってねえ。」
親父「一人で酒を飲むのが好きなとこも、お父上様と同じでそっくりそのままさ」
のんだくれA「ああ、そういやあそうだったなァ」
701:
親父「今さらだがよ、こんなの突然だされても納得もいかねえ!」
親父「俺ぁ抗議するぜ、一人でもな!」
馬商人「わたしも参りましょう」
馬商人「おぼっちゃんと先代様には、ご恩がございますしね」
のんだくれB「おいおい俺も行くぜ!」
村人A「お、俺も…何が正しいか、知りてえ!」
ワーワー
702:
娼婦A「…あんたたち…」
ガラガラ…
娼婦A「あら…」
鍛冶屋「フン、どうやら骨折り損にはならんようじゃの」
親父「じ、じいさん?」
馬商人「ほう、これは」

703:
緑「う…つ…」
青「目が覚めたか、緑よ」
緑「青様…く、くそっ、そうか…私達はここで…」
緑「ぐぅっ!」ダンッ!
青「傷が開くぞ、よせ!」
緑「そうは参りません…赤が、赤が…!」
青「赤か…」
706:
青「あやつも…無念であったろうが」
青「騎士の道だけは忘れまいと…」
緑「違う!」
青「!」
緑「違うのです、青様…」ズリズリ…
緑「あの男は、道を外してなどいません……」
青「どういうことだ?」
緑「も、もっと早く気付くべきだった」
705:
緑「騎士団を全員解雇したことも、屋敷も金品も全て売り払ったことも…」ズッ…
緑「それで姫を橙の手から守り、無礼と解りながら姫にした事全て…」ザリザリ…
緑「あの男は…あの男はっ!」ザリ…ブチッ
パララッ

707:
タッタッタ…
従者(最初から死ぬ気だったのですね。騎士様)
従者(ご両親の誇りを守るために)
従者(そしてあなた様の代で、悲劇を終わらせるために)
従者(そしてお姫様に…自ら真実をお伝えすることなく)
従者(…)
従者(騎士様は本当に、大馬鹿者ですね)
708:
従者(ロリコンでヘタレで負け犬のくせに、格好をつけすぎです)
従者(はぁ…はぁ…ついた…)ポチ
ピンポーン♪
従者(…こういうときくらいシリアスにいきたいんですけど)
従者(かってに呼び鈴を改造して…騎士様の仕業ですねこれも)
従者「ごめんください」ドンドン
ガチャッ
緑従騎士A「む、緑様ではないのか…」
709:
緑従騎士B「貴公は、赤様の…」
従者「緑様はおられますか?」
緑従A「団長は青様と密談をしておられる。戻られるまでここで待機せよとのおおせだ」
従者「…それはいつからのお話です」
緑従B「昨日の夕方だ」
従者「それからずっと待機してたんですか」
緑従A「ああ。臨戦態勢でな。いつでも紫のところへいける」
710:
従者(命令に忠実すぎるあたり…緑様の騎士団ですね)
従者「二人がどこにいるか教えていただけますか?」
緑従A「それは出来ん。部外者には何人たりとも教えられん」
従者「なるほど部外者ですか」
従者「…これを見てもですか?」

711:
青(見張りは6名か…)
青(ここは儂にまかせ、お前は騎士団に戻れ)
緑(何をいわれます!わたしも戦えます)
緑(この数を相手に一人は無謀です!)
青(たわけ。お前の言う事が真実であったとして)
青(それこそ赤を死なせては、友に合わせる顔がないわ!)
シュッ!
712:
紫従騎士G「ぐあっ!」
青(…ぬ?)
紫従騎士J「き、貴様等…ぎゃっ!」
バタンッ!
緑「お、お前たち…」
緑従A「駆けつけるのが遅くなりました、団長」
緑「何故だ。待機を申し付けたはず…」
713:
従者「いくら騎士様だからって…」
従者「かたすぎるのも問題だと思います」
緑「お前は…」
青「うぬ…赤のところの」
緑「赤…そうだ、赤はどうしている!」
従者「それで、大変な事になってるんです。急いで街に」
従者「話は行きながらお伝えします」
714:
緑「解った」
緑「各待機所の全騎士に伝えよ。集結せよと」
青「緑よ、儂のところにも使いをやってくれ」
緑「はっ」

716:
パカラッ パカラッ
姫(あれだけ好き放題なさって…)
姫(わたくしに黙ったまま逝ってしまわれるなんて、許しませんわ!)
姫(絶対に!)
姫(愛馬さん…わたくしを)
姫(あなたのご主人様の故郷に、お導きになって!)
愛馬「ブルヒヒヒーン!」
717:
パカラッパカラッパカラッ…
パカッ…パカッ…
…カッ…
ゴォ――――ンンン
718:
ゴォ――ン!
ザワザワ…
ゴォ――ン!
赤「…」
赤騎士様が領主様を…天使の鞘腕…荒んで…先代の恨み…
盗賊の母…盗賊の息子…盗賊の…
赤「…」
719:
紫「…フ。聞こえるか赤騎士よ」
紫「先代の赤には感謝せんとな。誰も疑いを持たんわ」
赤「…」
紫「人というものは世間を見るに際し皆盲目よ」
紫「集団の作り上げた色眼鏡を通すことでしか、ロクな判断、主張も出来ん」
紫「悲しい生き物だ。だからこそ、治めるに易い…フフ、フ」
赤「…」
721:
紫「貴様もそう思うだろう?嬉しく思え」
紫「最大の理解者に葬られることをな…はじめよ」
処刑人「…」ガシッ
赤「…」シュルシュル ギュッ
ザワザワ…
赤(…ざまぁねぇな…へへ…)
赤(……まぁ)
722:
姫『――赤騎士様っ!!』
赤(…アレ聞けただけでも、よしとすっか…)
紫「…フン」
紫「覚悟は良いな」
赤(…あばよ。お姫さんよ……)
紫「…」スッ
723:
姫父「その処刑、待て!」
赤「…?」
紫「ぬ!」
ドヨッ…
姫父「その男に突きつけられた罪状はすべてでたらめだ!」
姫父「謀反を企んだのは紫、貴様ではないか!」
紫「…」
724:
紫「これはこれは領主様。ずいぶんとみすぼらしいご格好ですな」
紫「魔女の奥様はお元気ですかな?」
姫父「我が妻は魔女ではない!」
司祭「その通りですぞ」
紫「ぬ…」
司祭「さきほどこの書状を確かに受け取った。あのチューリップが造花であるという証拠じゃ」
司祭「領主夫人は魔女などではない。濡れ衣じゃ」
725:
姫父「この依頼書にあるのはそのほうの蝋印。貴様こそが事の首謀者だ!」
ザワザワ…
紫「おやおや、領主殿はあの触書をみておらぬのですか」
紫「私の名を騙った、とあったはず。私の蝋印は少し前盗まれていたのです」
姫父「何だと!?」
紫「自慢ではありませんが堅牢な我が屋敷に忍び込めるようなものは一人しかおりません」
紫「先代の赤と共に盗賊の血を受け継いだ、この男です」
726:
姫父「しかし貴様はあの日…!」
紫「屋敷も何もかも燃えてしまいましたからな。何の証拠もございませんな」
紫「そもそも赤の凶行に走るに至った原因は領主殿、貴方にあるのです」
紫「そのご本人がそんな事言われても、まるでまるで」
姫父「う…ぐ…」
727:
親父「じゃあご本人じゃなきゃいいってこったな!!」
紫「…ん?」
親父「紫の旦那、いっくら領主代理だからってこりゃちとやりすぎじゃねえかい」
馬商人「昨日の今日では気も早い、もういちど取調べを行うべきかと」
のんだくれA「だいたいいつも緑様に殴られちゃ泣いてる腰抜け赤騎士様によ!
のんだくれB「そんなことが出来るけぇ、なぁみんな!」
村人A「そうだそうだ!」
728:
赤「…な…あいつら…」
紫「…」
娼婦A「兄さんにそんだけ出来る甲斐性あったら良いんだけどね」
鍛冶屋「この一大事に花火などあげようとする男だぞ。考えられんわ」
紫「…貴様達、その手に持っているものは」
親父「どうせ口でいっても解ってもらえねえだろうからよ」
729:
親父「そんときゃじいさんの商売道具が、だまっちゃいねえってこった!」
ザワザワ…
親父「お前らもいつまでも上の言う事黙って聞いてんじゃねえ!」
親父「何かおかしいって気付いてんだろうが!目覚ましやがれ!」
紫「フン…」
赤「バカ…が…はやく逃げ……」
紫「平民ごときが武装して騎士に逆らうとはな」
730:
紫「全員斬り捨てよ」
赤「…!」
紫従騎士K「…」スラリ
紫従騎士D「…」チャキリ
馬商人「むっ…」
親父「ひるむんじゃねえ。皆でかかりゃあ…!」
ヒュオンッ
731:
紫従K「!?」ガキンッ
緑「お前達は下がっていろ!」
親父「へ?」
緑「はぁぁぁぁ!」ズシャッ
紫従K「ぐぬぁっ!」
紫従D「くっ…うぉっ!?」ドカッ
青「…儂はまだもうろくなどしておらぬぞ、紫」
732:
娼婦A「緑様、青様!」
緑「紫!たとえ間の抜けきった救いようのない馬鹿であろうと」
緑「彼らに武器を握らせた赤の生き様こそが真実だ!」
緑「今ここでそれを証明してくれる!」
緑従騎士団「おお!」カチャカチャカチャッ
青「貴様に葬られた数々の魂の無念、今こそ晴らそう」
青従騎士団「おお!」カチャチャチャッ
733:
従者「助けに来てもらってるかと思えば…」
従者「こんなときまで馬鹿にしてもらえて、幸せ者ですね騎士様」
赤「…従者…テメェ…」
紫「…」
紫「ククク…」
紫「ハァーッハッハッハ!」
紫「これは傑作だ!なんともなんとも!」
734:
緑「…」
紫「今となっては緑と青、お前達をどう処分しようかが悩みの種だったが…」
紫「わざわざそちらから出向いてきてくれるとはな」
緑「口の減らぬ男だ…」
紫「愚か者め」パチン
ザザザザッ!
青「ぬっ」
緑「何っ!」
735:
橙従騎士団「…」
黄従騎士団「…」
姫父「こ、これは…」
紫「きゃつらの団長は赤に殺害されておるからな」
紫「その無念をこそ晴らさんと、傘下にいれたわけよ」
緑「な、あれも貴様の仕業ではないか!」
紫「おやおや。貴公はお二人の死に際をご存知なので?」
736:
緑「ぐっ…それは…」
紫「フフフ」
ジリ…ジリ…
旦那「なろぉ…」
緑「く、青様…」
青「ぬかったわ…きゃつらの残党に気を配るべきじゃった」
737:
紫「いかな貴様等の騎士団が精鋭といえどこの兵差」
紫「いたぶり殺すのもいいが、まずはメインイベントといこう」
紫「やれ」
従者「!」
処刑人「ふんっ」ドカッ
赤「あっぐ…!」ギシイイッ
ギリリ…ギリ…
紫「ククク…」
738:
緑「赤ァっ!」
従者「赤騎士様っ!!」
シュッ ブツッ!
赤「…がっ!」ドッザァ
紫「何っ!」
ビィィ…ン…
紫「こ、これは…」
紫「赤い矢…まさか!」
739:
ドドド…
橙従騎士「ぐあっ!」ドカアッ!
黄従騎士「えぐっ!」ズンッ!
青「おぉ…」
鍛冶屋「な、なんと」
紫「ぬぐぐ……!」
赤従騎士A「三方に散会、緑殿と青殿を援護しつつ敵を殲滅せよ」
740:
赤騎士団「おぉぉっ!!」
赤従A「団長。命令に背いての帰参、どうかお許しください」
赤「…ぐっ…アホ共がっ…!」
青「これこそ勝機。皆ついてまいれ!」
緑「皆青様に遅れをとるな、行くぞ!」
親父「おらぁっ!俺達も旦那んとこいくぞ!」
オーオー キィンッ ガキンザスッ
紫「馬鹿な…馬鹿なぁっ!」
741:
赤「…まったく…だぜ……」
赤「こんな…ばかげ…て……」
オー…キィン…カァン…
ドドド…
……

745:
赤騎士団カッコよすぎワロタwww
746:
従者「騎士様、騎士様」
赤「…う…ぐ」
親父「おお、気が付いたかよ、旦那」
娼婦A「ほんとに、心配かけすぎだよお」
赤「……」
緑「青様。紫は本部にも見当たらないそうです」
青「取り逃がしたか…ぬ、目覚めたな、赤」
747:
赤「……」
赤「…何で助けた」
緑「…」
赤「一発腹に入れたろが、緑。あんだけコケにしたじゃねえか、おやっさん」
ダダダ…
赤従A「…団長!」
ザザザ…
ザウッ!
748:
赤騎士団「…」
赤「…立て。俺に平伏するな」
赤「くにに引っ込んでろっていっただろうが。なんで戻ってきやがった」
赤従A「…」
親父「…お姫様がよ、呼びに言ったのよ」
赤「…は…?」
親父「俺達だってそうさ。たっぷりしぼられて、ケツ蹴られたぜ」
750:
赤「つくならもっと…マシな」
赤従A「事実です。団長」
赤従A「姫様は確かに、我等の元を訪ねられました」
赤従A「御髪も乱れ、擦り傷だらけのお体で、どうか団長の下へと」
赤「…」
緑「はじめから死ぬつもりだったな、赤」
緑「入念に身辺整理をしてまで」
751:
娼婦A「そんなっ…兄さん本当なのかい?」
馬商人「おぼっちゃん…」
赤「…解りきった口きいてんじゃねえよ」
赤「お前らも良く知ってるだろうが、俺がどういう人間なのかよ」
赤「あげく馬にも乗れねえ、剣も抜けねえ」
赤「こんな俺に、騎士として生きろってのか?盗人になれってのか?」
赤「へっ…どっちもよ。どっちも願い下げ…」
752:
緑「お前が馬に乗れないのは当たり前だ」
赤「…ああ、そうだろうよ。俺は畜生にすらはねのけられるようなちっせえ…」
緑「馬鹿者!」
緑「馬は騎士と運命を共にするのだぞ。貴様のようなヤケを起こした人間を乗せると思うか!」
赤「…!」
緑「私も馬商人から聞いている。馬というのは賢い。貴様の気持ちを汲むことくらいは出来るだろう」
緑「ならばなおさらだ。死地に出向こうとする貴様を、どうして背に乗せようか」
753:
馬商人「緑様のおっしゃるとおりです。野性というのは、時に人を凌駕するものです」
赤「…だが、剣だって」
従者「最初、僕が見てたとき抜きましたよね。先代の赤様が亡くなった後に一度だけ」
従者「そしたらヘナヘナと腰ぬかしちゃって、剣を放り投げましたよね」
赤「…」
従者「騎士様は怖かったんじゃないですか?」
従者「受け継いだ剣の中の、先代の赤様との思い出が強すぎて」
754:
赤「笑わせんな。何だそりゃ。トラウマ抱えたガキじゃあるまいし」
従者「騎士様はトラウマと間違えるくらい、先代の赤様が好きだったんでしょう?」
従者「出かけるときに肖像を直視できないくらい、認めたくなかったんでしょう?」
従者「お父上様の死を」
赤「…」
従者「騎士様普段だって子供っぽい所だらけじゃないですか」
従者「あの腰の抜け方見たら、誰だって簡単に想像つきますよ」
755:
赤「…くっ…」
従者「でも馬とか剣とか、そんなのまったく関係ありません」
従者「だってそうじゃないですか」
従者「それも含めて、お母上様のご身分を聞いた上でも」
従者「騎士様の事を、騎士だと認めてくれてる人がいるんですから」
親父「…そうともさ」
親父「俺ァいつだって、旦那が騎士らしくねえと思ったことはねえよ」
756:
親父「酒場でお姫様が絡まれてたときだって、抜けねえ剣をしっかり握ってたしよ!」
馬商人「わたしは言わずもがなでございますよ」ニコニコ
娼婦A「女の扱いはまあ、なんとも言えないけどさ」
鍛冶屋「フンッ、老人の扱いもな!」
赤「…」
姫父「赤よ」
緑「領主様…」
757:
姫父「貴公の父君に私がした事は言葉では償えぬが…許してくれ」
姫母「お…お許しください、赤殿」
メイド「赤騎士様…」
親父「俺達も、先代の赤様の時にやるべきことだったぜ…こういうことはよ」
親父「すまねえ旦那。この通りだ」
馬商人「…」
758:
赤「…」
赤「…ん…この音は…」
緑「む?」
パカ…パカッ…
愛馬「ブルルッ…」
赤従A「団長の」
赤「お前…どうしたんだこの傷は」
759:
緑「…浅いが、切り傷だな。あきらかに人為的なものだ」
親父「う、うそだろ…」
親父「そいつにゃさっき、お姫様が乗ってたぜ!」
姫母「!」
青「それは確かか?」
赤従A「我々のところに来たときも見ました。間違いありません」
青「まさか紫が!」
770:
緑「あの紫がこの状況でそのようなリスクの高い真似を…考えられません」
姫父「まさか、それでは娘は…」
赤「…」チャラ…
従者(剣と、ひづめ…)
赤「従者」
従者「はい」
赤「どこでお袋の事知った?」
従者「マザーから聞きました」
赤「それで…話したのか」
761:
従者「…はい」
赤「そうか…」
赤「今度…剣の縛り方もお教えしないとな」
従者「え?」
バサッ!
愛馬「ブルル…」
赤従A「!」
馬商人「おお…!」
762:
親父「旦那、馬に…!」
赤「…この傷はおそらく藍の仕業だ」
赤「奴は紫に協力する条件に、領主様の娘御を要求していた」
姫父「!」
姫母「そんな!」
メイド「お、お姫様を!?」
赤「だがご安心を」
763:
赤「俺が全力で、お救いします」
緑「赤…」
赤「副団長。軽傷の者の半数を事態の収拾にあたらせろ」
赤「半分は俺についてこい」
赤従A「はっ」
赤従A「急ぎ騎乗せよ、指揮権は今より団長にお返しする!」
赤騎士団「ははっ!」
ダダダ…
764:
赤「お前達は皆家に非難していろ。紫の残党が何処にいるかも解らん」
親父「おう!」
馬商人「心得ました」
娼婦A「兄さん…気をつけとくれ」
赤「…」コク
赤「従者」
従者「はい?」
908:
赤「戻ったら、お前はお尻百叩きだ」
従者「…はは」
従者「マザーから伝言です。『いつも皆が、あなたの傍にいる』と」
従者「お姫様が誰よりも騎士様を信じていたんですから」
従者「泣かせてはダメですよ」
赤「…フ」
赤「行って参ります、領主殿。はっ!」
愛馬「ブルルルルヒヒヒヒーン!!」
766:
バカッ!バカラァッ!…バカカラッ!…
赤従A「お早い…流石は『クリムゾンギャロップ』」
赤従A「急げ!団長を見失うな!」
青「緑、貴様も行け。赤を援護せよ」
緑「はっ!」
ドドド…
従者(あのダサい二つ名本当だったんだ)
767:
姫父「妻よ、きっと大丈夫だ」
姫父「彼ならば必ず救いだしてくれよう」
姫母「ええ…」
メイド「従者様」
従者「やあ。お元気でしたかメイドさん」
メイド「赤騎士様のおはからいのおかげで…それよりも」
メイド「貴方様は一体。赤騎士様の事を、まるで昔からよくご存知のような…」
768:
従者「ああ、そうですね」
従者「直解りますよ。もうすぐ僕の役目も終わりそうですしね」
従者「さ、領主様と一緒に緑様のお屋敷に避難してましょう」
メイド「はい…」
従者(…騎士様)
従者(どうか、ご武運を)

772:
――某所、水車小屋――
姫「…あっ!」ドサッ
藍「ココ…ようやく二人きりとなれましたな、姫」
姫「…」キッ
藍「そんな目で睨み申すな。これも姫の為を思えばの事」
藍「もはやかの国では貴族など平民と同系となりましょう。それがしが貴女様をお幸せにいたす」
ドサッ
773:
姫「それは…」
藍「コココッ。金貨10万枚。額に見覚えがござろうな」
藍「あの奴隷商人めには重かろうと思ってな。回収させてもらったのよ」
姫「……もう…あなたには騎士の誇りが無いのですわね」
藍「逆でございますよ、姫」
藍「姫を手に入れるためなら、他は全て捨てられるのです」
藍「国も、名誉も」
774:
姫「…くっ!」ガバッ
藍「ご安心めされよ。誰も邪魔は来ぬ」
藍「今ここで、契りを交わしましょうぞ…コココッ!」
姫「いやっ…!」
バンッ!
藍「ぬっ!」
姫「!」
775:
紫「藍…」
藍「む、紫殿!かような場所まで何用じゃ!」
藍「もうお互い会うこともなかったはず」
紫「貴様の騎士団とその娘を貸せ。今一度、街に攻め入る」
藍「攻め入る?まさかおぬし…」
紫「しくじってなどおらん!そうだ、私が失態を犯すなど…ありえん!」
姫「…」
776:
藍「なれば戻るがよかろう。もう貴殿とはなんの関係もござらん!」
紫「黙れ!私の領主就任が契約終了だ。まだ切れてはおらん!」
姫「…」ソッ…
藍「しかしあの時は確かに!」
ダッ
藍「コケッ!?」
紫「ぬぅっ、小娘!」
777:
姫「はぁっ…はぁっ!」
シュッ!
姫「あぅっ!」ビリッ
ドサッ
藍「や、やめよ!射つな紫っ!」
紫「騒ぐな!服を地に縫い付けただけだ」
姫「う…つ…」
778:
紫「往生際が悪いですな、お姫様」
紫「今一度、お役に立っていただきます」
藍「勝手な事を言うな紫!」
紫「黙っておれ!」
姫「…やっぱり」
姫「血筋など、関係ありませんわ。醜い、哀れなお方達」
紫「何だと…?」
779:
姫「金に色に飢えたニワトリが藍様なら、紫様は権力にしがみつく古狐ね!」
姫「じゃれあうお姿も、とーってもお似合いですわ!」
藍「コ…コ…それがしが、に、ニワトリじゃと…!?」
紫「小娘…」
姫「わたくしを盾にしようとも、無駄ですわ!」
姫「この国には真の騎士様がいますもの!」
姫「たとえ、馬に乗れず、剣を抜けなくとも…穢れ無きお心を持った…!」
ガシッ!
780:
姫「…っつ!」
紫「何もしらぬこわっぱがぁ!」
藍「言って良い事と悪いことがございますぞ、姫ぇっケコココ!」
姫「う…くっ…」ギリギリ…
紫「はっ!」
ヒュヒュヒュッ…
藍「ぬうっ!」
781:
キィン! ストトッ
藍「このナイフは」
カッ…パカッ…
紫「…ぬうううう!」
パカッ…バカラッ…バカカッ!
姫「…ああ…」
カッ!
782:
赤騎士「ご無事ですか、姫」
姫「赤騎士…様!」
783:
ストンッ
赤「後ろにお控え下さい」
姫「はい…」
藍「な、何故こんなに早くここが!」
赤「…」トントン
藍「やはり貴様は『盗賊騎士』だ。野良犬のような真似を!」
紫「ふん…だが追いついたとてどうするのだ」
784:
紫「どうやら馬には乗れるようになったようだが」
紫「腰抜けの剣でどう対抗するのだ」
ザ…ザザザ…
藍従騎士A「…」スラリ
藍従騎士B「…」チャキ
姫「…あぁ…」
赤「…」
785:
赤「プッ…クク…」
藍「…コ?」
赤「あっ…あっは…」
赤「だーっはっはっはっは!!」
姫「!?」
紫「貴様…何がおかしい」
赤「くぁーっは、っは、はーわりぃわりぃ。いやあなに、相変わらずよ」
786:
赤「見ればみるほど藍殿のツラがニワトリに見えてしょうがなくてなぁ!」
藍「な、なっ!」
姫「…」ポカーン
赤「てめえら思い込みが強いと痛い目みるぜ。コロンブスの卵ってしってっかぁ?」
紫「…?」チラッ
藍「…いや、それがしも知らん。何だそれは」
赤「…いや、良く考えたら俺も知らねえわ」
787:
ガクー…
姫「あ、赤様!何をおっしゃってますの!」
赤「いやあだってよ、もしコロンブスの後の時代だと銃とか出てきちゃうから、それだとなんかイヤだろ?」
赤「騎士っつったら剣よ。腕に一刀股間に一刀!」
姫「もうっ…赤様!」
赤「あっは、すいませんお姫様。久々にシリアスんなったら存外こそばゆくて…」
姫「そういう問題ではありませんわ!」
788:
紫「小僧…!」
藍「…ココ、コケにしおって…」
赤「あら?なんか攻撃力アップな雰囲気なんですけど…」
姫「当たり前です!」
紫「貴様の茶番も聞き飽きたわ。父の後を追わせてやるぞ!」スラリ
藍「…」スラリ
姫「…っ」
赤「フン。おまえらなんか忘れてねえかよ」
789:
紫「…ぬ?」
ズズズ…
赤「俺の武器は剣だけじゃねえ」
ドドドド
赤「先代赤騎士様がお遺しくだすった最高の騎士団もあんだよ!」
ドドドドドッ!バカラッ!バカラッ!
藍従B「うおぉっ!」ドンッ
藍「コケケェッ!?」
790:
姫「皆様…来て下さったのね!」
赤従A「団長がご意思の下、姫様のお望みのままに」
藍「ぬう…!」
赤「ホレ、かっこつけてねえでとっとと全員生け捕りにしろ!」
赤従A「はっ!」
キィンッ!ドカァッ!
赤「さーて、これで人数互角かなぁ?」
791:
藍「…ココ、何を寝ぼけたことを。まさか姫君を数にいれておるのか」
赤「アホか。お姫様はこの先、とんでもねえ敵といくつも戦わなきゃならねえ」
赤「国治める事に比べりゃな、俺たちのやってることなんざお遊びなんだよ」
赤「おまえらゴミ共の相手なんかさせられるか」
紫「こやつの戯言に耳を貸すな。剣も抜けぬ男だ、1にすらならんわ」
藍「ココ…そうで…」
藍「ござったなああああぁぁぁぁぁぁっ!」ビュオンッ!
792:
姫「赤様っ!」
藍「ケエエェェェェェェ!!」
赤「…」
キィィ――……ン
藍「コケッ!?」
姫「!」
赤「だから言っただろうが」ギリギリ
赤「思い込みが強いとっ!」ギィンッ
793:
藍「コッ!」
赤「痛い目見るってよ!」ズバァッ!
藍「コケコッコーッ!」
ドザッ
藍「き、貴公、剣を…!」
赤「ハッ、しばらく寝てろ。せめて騎士らしく死なせてやっからよ」ヒュンッ
チャキリ
紫「…」
794:
姫(赤様…)
姫「きゃっ!?」
藍「おのれぇ…かなわぬならば、せめ、せめて姫をみちづっ!」ドスッ
姫「あっ…」
赤「…きたねえ手でお姫様に触んじゃねえよ」
藍「コ…ココ…」
バタ
795:
姫「あ、ありがとうございます赤様…」
赤「…」
緑「赤っ!」
赤「緑…なんで来たんだよ。傷はどうした」
緑「こんな程度…なんでもない!」
赤「つよがんな。まあちょうどいいぜ」
赤「お姫様を頼む」
796:
緑「…ああ。姫様、こちらへ」
姫「は、はい…」タタタ
姫(赤様…?)
赤「…」
紫「…」
ヒュウ…
紫「フン、どうやらあとは私だけのようだな」
797:
赤「…」
赤従A「団長、どうか気をつけて…団長?」
姫「…」
紫「どうした小僧。いつもの減らず口はどうした」
赤「…」
赤「…フゥ」
赤(ようやく…)
798:
赤(覚悟が出来ました…)
ザアァァ…
―――…重いか、赤よ
―――…それが騎士の魂だ。
紫「…」チャキ
紫「ぬんっ!」
赤「っ!」
799:
キィィン!
緑(互角!)
姫「赤様…」
紫「…フン」
赤「…」
―――…それ、ここを突くのだ。今だ、今!
赤(ただこうして、あなたの声を思い出すのが)
―――…立て。出来るまで夕食はとらせん
800:
赤(…恐ろしかった)
紫「はぁっ!」
キィン!
―――…いつ食べても妻のシチューは美味い。お前もそう思わんか?
(今も食卓に並んでいるのではと)
―――…なんだそんなにあわてて。ノックくらいしろ
(書斎にて書面に目を通されているのではと)
801:
赤(…恐ろしかった)
紫「はぁっ!」
キィン!
―――…いつ食べても妻のシチューは美味い。お前もそう思わんか?
赤(今も食卓に並んでいるのではと)
―――…なんだそんなにあわてて。ノックくらいしろ
赤(書斎にて書面に目を通されているのではと)
802:
ギィンッ!
―――…う、ぬ。やはり私に洗濯のような細かい仕事は…向かぬ
赤(儚い希望が生まれては消えるのが)
―――…さぁ、どの馬が良い。好きなのを選べ
赤(悲しかった)
紫「フッ…」
紫「さあぁぁぁっ!」
803:
赤「…っ!」
バッギィ!
紫「んぬっ!」
赤従A「おお…!」
緑「紫の剣を、受けた!」
紫「…何故だ!何故折れぬ!」
姫(人数互角…)
804:
姫(赤様の剣には、先代の…)
赤「…」ギリイッ
紫「うぉっ!」
805:
―――…お前にはつらい思いをさせたな
赤(俺は…臆病者でした)
キィンッ!カン!
―――…妻を…母を恨むでないぞ。恨むのならば私を…
赤(どうか、どうかお許し下さい)
ヒュンッ!
―――…許せ……息子よ。
806:
赤(―――…父上…)
紫「――ぬおおおおっ!」
赤「――はあああああっ!」
シャリイィィィンッ! …フォンフォン
トスッ
赤「…」
紫「う…が…」
807:
赤従A「勝った…」
緑「見事だ、赤」
赤騎士団「オオオォォッ!」
姫「赤様!」
赤「っく、はぁっ…はぁっ…」
紫「…ぐっ…はっ…はぁっ…」
赤「…はぁっ…あとは、領主様の裁量に、お任せするぜ…」
808:
紫「はぁっ…」
紫「ぬんっ!」バッ!
緑(クロークボウガン!)
姫「あ…危ない!」
赤「…はっ!」シュッ!
ドスッ
紫「あ…が…」
赤「…お約束すぎんだよ。タコが」
809:
紫「わた…し…が……りょうしゅに……」
クッ…
赤「…執念だな。それを別に活かしゃアンタも」
赤「いい騎士になったろうによ…」
緑「…」
ザッザッ
姫「あ…」
810:
赤「…」
ザウッ
赤従A「…」
ザザザウッ
緑「…」ザウッ
赤「お怪我はありませんか、姫様」
姫「赤騎士様…はい。おかげさまで」
811:
姫「あ…」
赤「お守りできたこと、誇りに思います」
姫「…」
姫「…?」
緑「…ん、どうしたのだ赤」
赤「…いや」
赤「ここで姫様の御手に口付けしたら、俺ロリコンになんのかなーって…」
812:
ゲシッ…
赤「…ってーじゃねえか!膝蹴りこめかみにかますか普通!」
緑「お前はこの期に及んでまだそんなことを…!」
赤「大体怪我人がでしゃばってんじゃねえよ!おい副団長、こいつにすっげーしみる薬ぬってやれ!」
赤従A「姫、参りましょう。領主様がお待ちです」
姫「はい」
赤「おい!無視すんじゃねえ!おい…ギャーッ!」
813:
赤従騎士B「副団長、この金貨はいかがしましょう」
赤従A「ん、なんと…大金だな」
姫「あ…これは赤様がわたくしをお買いになった際にの」
赤従A「そういえばそういう御話でしたね」
姫「もともと赤様のものなのですから、騎士団のほうでお使いになってください」
赤従A「しかし…」
姫「ふふ。わたくしにいろいろ教えて下さった、授業料ですわ」
814:
赤従A「姫様がそうおっしゃるなら…解りました」
ギャーコノヤローワーギャー!
赤従A「む、申し訳ありません。馬車の手配を忘れました」
姫「あら、わたくしが馬に乗れること、もうお忘れになって?」
赤従A「しかし、予備の馬が…」
緑「はぁ…はぁ…私の馬に、共におのりください。姫…」
姫「み、緑様、大丈夫ですの?」
815:
緑「ええ、姫様お一人を抱えて乗る程度なら何の…」
姫「…」チラッ
赤「お…あぐ。おーい、だれかー。ウデオレター」
姫「わ、わたくし…」
緑「はい」
姫「赤様と…ご一緒したいですわ」
緑「はい…え?」
816:
姫「…///」カァッ
緑「しかし、あの男は…」
赤「あ?俺がどうかしたってのかよ」
緑「おまっ、折れた腕はどうなったのだ!」
赤「常識で考えろよ。ここで俺の腕治るのまってたらあと500行ほど増えるぜ」
緑「何を訳のわからんことを」
赤「で、なんだって?」
817:
姫「赤様と一緒に…」モジ
赤「うん。俺と一緒になんですかい?」
姫「愛馬さんに、乗りたいですわ…」
赤「…うんうん…は?」

パカッ…パカッ…
赤「えーと」
姫「…」
818:
緑「赤…生きて帰りたければ…」
緑「どさくさに紛れて姫様に妙な真似は…」
赤「しねーよっ!」
姫(…ああ、やっぱり)
姫「赤様、この傷は…」
赤「ああ、これは昔ちょっと、父上との剣の練習の時に」
姫「お父様と?」
819:
赤「ええ」
赤「死ぬほどしごかれましたよ。何度も殺されるんじゃないかと思ったくらいに」
赤「結局一度も勝てないまま、逝ってしまいましたが」
姫「…ごめんなさい」
赤「…」フッ
赤「父上は後悔の無い人生を歩んだんです」
赤「姫様が謝れるようなことは、何一つありませんよ」
820:
姫「…ありがとうございます、赤様」
赤「フフ」
赤「おっと、結構な悪地だな。ちょっと掴まっててくださいね」グイッ
姫「きゃ…」
姫「…」ギュ…
緑「…」チャキッ
赤「おいまて!これはどうみても不可抗力だろうが!」
821:
緑「そうだな…ブツブツ…不可抗力だ…ブツブツ…だから斬る」
赤「お前セリフの前と後ろ繋がってねえぞ」
赤「だーっ!お姫様のってんだろうが!」ヒュンヒュン
緑「黙れ!この…このぉっ!」ヒュンヒュン
姫(…赤様…)
姫(あたたかい…)ギュッ
パカパカ…

829:
親父「おかえり、旦那!」
鍛冶屋「フン、先代様ならもっとはようかえっとるわ。たわけが」
ワーワー
赤「…」
赤「お前らな。家に戻ってろって、行く前にだな…」
娼婦A「いいじゃないかい。こうして皆で集まってたほうがかえって安全ってこともあるだろ?」
馬商人「騎士様達が十分な見回りをして下さっておりますしね」
赤「はー。平和ボケっつーか、もうちょい危機感をだな…」
830:
赤「腐っても騎士だぜ相手は。つっかかるか普通よぉ」
赤「ま、おかげで助かったのも事実だがな。ありがとよ」
娼婦A「あれ、珍しく素直だね」
赤「ぶわーか。俺はいっつも素直だっつの」
娼婦A「ふふ。わかったわかった」
緑「…おい赤」
赤「あんだよ」
831:
緑「いつまで姫様を抱えておるのだ貴様は!」
赤「ば、ばか!大声出すんじゃねえ!」
姫「…んっ…」
緑「はっ…ま、まさか」
赤「見ろ。起こしちまったじゃねえか」
赤「つってもどのみち起きてもらわねえと、困ってたけどよ」
姫「ふ…ぁ…」ポー…
赤「つきましたよ、姫様」
832:
姫「…」
赤「ん、どうなさいました」
姫「…」ギュウッ
赤「!?」
緑「まっ…!」
娼婦A「あらぁ」
姫「まことのきしさま…ずっとおまちして…」
833:
赤「ひひひひ姫様――っ!」
姫「…おりま…?」ポケー
赤「いそいで離れて下さい緑の剣が秒刻みで俺の首筋にいらっしゃいませえええ」
緑「…」ツププッ…
姫「…はっ!」
姫「もっ、申し訳ありませんわ!わたくしったら…」
赤「いえ…いいんれす…」
緑「フン」キン
834:
緑UZEEEEE
835:
赤「お前ツッコムたんびに俺のタマ狙ってねえだろうな」
緑「狙うかそんな汚らわしいものを」
赤「タマってそういう意味でいってんじゃ―!」
従者「こんなときでも相変わらずですね。おかえりなさい、騎士様、お姫様」
赤「おう。帰ったぜ」
姫「従者様…」
従者「手を貸しますよ。どうぞ」
姫「ありがとうございます…んっ」ストン
836:
赤「フフ」
従者「なんですか。気味悪いですね」
赤「あんでもねえよ」
姫「あっ、お父様。お母様」
姫父「姫!」
姫母「あ…ああ!」タッ
赤「…」ストン
837:
ギュッ!
姫「ただいま戻りましたわ、お母様…」
姫母「良かった、本当に…」
姫「お父様も…」
姫父「うむ…ありがとう、赤騎士殿」
赤「いえ…」
姫「…そ、そうですわ」
839:
姫「お二人とも、きちんと赤騎士様に――!」
赤「…姫様、もう十分ですよ」
姫「で、ですけども…」
赤「領主殿がこーんな眉間に深いしわできっぱなしになってんですから」
赤「どんだけお悩みになったか解らんほど、俺ぁ馬鹿じゃねえですよ」
親父「旦那…」
姫父「…赤殿」
840:
赤「ま、結局何が悪かったって…」
赤「金にこまってる母上に無理矢理押し迫った父上が悪いんですよwwwww」
赤「っかー!弱みにつけこむなんざ対した騎士様だぜwwwww」
緑「貴様が言えた口か!」ボカッ
赤「オウフッwwww」
娼婦A「やっぱ素直じゃないね…途中までは格好良かったんだけどさ」
鍛冶屋「墓の下で先代が泣いておるわ」ヤレヤレ
841:
赤「え、何、今の俺が悪いのこの流れ」
従者「自覚ないんですね」
緑「あっても言っておるがなこやつなら」
赤「揃って真顔で言ってんじゃねえよ!」
姫父「…フフ」
姫父「まったく愚かな選択をしたものだ」
姫父「姫の言ったとおりであったな」
842:
姫母「あなた…」
スッ…
赤「…!」
姫父「固く約束しよう。今後同じ過ちは繰り返さぬと。その為にどんな努力も惜しまぬと」
姫父「それで改めて、お詫びの言葉にかえさせてくれ」
赤「…」ザウッ
緑「りょ、領主殿っ」ザウッ
843:
赤「頭を上げてください、領主殿」
赤「貴方の頭上に立つなとの、父上の遺志に背きます」
姫父「う、うむ…」
ザッ
緑「あ、青様…」
青「…」
赤「おやっさんも…青殿もよ、いつまでも意地張らなくなっていいでしょうよ」
844:
青「フン。貴様のような男に騎士らしく振舞われては…」
青「従うほかあるまいな」ザウッ
姫父「青殿…」
青「老い先短いが、生涯を賭しましょうぞ。我が主」
青「この国をお頼みもうす」
姫父「解った」
姫母「ありがとうございます…お三方」
845:
姫「青様…」
従者「ふふ」
青「ときに、騎士らしくといえば…」
青「そこのおおうつけの賞罰がまだですな」
赤「ぎっくぅっ」
姫父「おお、そうだったな」
赤「あは、えーとそのー」
846:
緑「まあもとから死ぬ気だったようだしな」
緑「それでチャラとするつもりだったようだが、こうして生きている以上当然の事だ」
赤「ですよねー」
姫父「…賞罰固守、騎士の掟だからな。確かな話だ」
姫父「だが今回の件に関しては私にその権限はないように思う」
赤「え」
姫父「皆どうだろう、宣言するに相応しい人物は思い当たるだろうか」
娼婦A「そりゃもちろん、ねぇ」
847:
親父「だなあ」
赤「おいちょっとまて、まさかお前ら…」
従者「何いってんですか。お姫様しかいないでしょう」
姫「えっ、わたくしですの?」
馬商人「もちろんですとも」ニコニコ
赤「…」ダラダラ
姫「…それもそうですわね。今思い出してきましたわ」
849:
姫「さんっざん、このお方に何をされてきたのかを」ニヤア
赤「あ、あはっ、あははっ」ダラダラダバー
従者(わーお。素敵な笑顔)
緑(姫もずいぶん逞しくなった気がするな…)
姫「でも、ひとまず賞はこうしましょう」
姫「皆様より過半数の同意を得られれば、紅の称号を贈るということで、どうかしら?」
赤「は!?」
850:
姫父「おお、それは良い考えだ。今なら濁りもなかろう」
姫母「良いお考えですわ、姫」
赤「ちょっ、俺の意思は無視ですかい!?」
赤「お゛っ」ゴスッ
青「今さら貴様の意思などまかりとおるか」
緑「黙って地に伏していろ」
赤「紅なんかもらったら遊ぶ時間がなくなるじゃねーかよー!」
従者(しょうもない…)
851:
姫「罰のほうは…わたくしのお願いを一つだけ、叶えていただきますわ」
娼婦A「あら、ずいぶん優しいじゃないかい」
親父「いいんだぜ。ガツーンっとでかいのくれてやってもよ」
馬商人「おぼっちゃんは酷い扱いをうけると喜ぶ傾向にありますからね」
従者「皆さんそんなここぞとばかりに…」
従者「でも赤様にとっては一番困るんじゃないですか?この罰は」
赤「う、うう…な、内容によっちゃあ…」
852:
姫「あら、どんなものも必ず、ですわ」
赤「いやしかしですねえ、常識の範囲っつーもんが…」
姫「ではご要望もありましたし、すれたいなるものを読み上げさせていただ…」
赤「はいはい無条件降伏でぇーっす!完全服従しまーっす!」
姫「ふふ、ではお願いしますわね」
赤「」グデー
従者(しんだ)
853:
姫「でもよかったのかしら。メイドも何か言いたいことがあったはず…」
姫「あら、そういえばメイドは何処にいらして?」
赤「ああ。あいつなら…」
メイド「皆様ーっ」タタタ
バインバイン
赤「おひょー、眼福がんぷいでででででで!」ギュウウウウウウウ
姫「…どこを見てらっしゃるの?赤様」
赤「見てませんよメロンを二玉なんて全然ギャー!」ツネエエエエエ
855:
緑「…」←姫に先をこされてあげた拳のやりばに困っている
姫父「そなた何処にいっておったのだ」
メイド「さきほど、準備が整いましたので、お、おむかえに」
姫母「準備?」
赤「ま、まぁとにかくいきまひょう」ヒリヒリ
姫「…ふん!」
従者「ハハ…はーい」
856:
――チューリップ園跡地――
娼婦A「おやまあ…」
親父「こいつはすげえ」
姫父「なんと…」
従者「わあ」
姫「チューリップ園が、綺麗に整備されて…!」
姫「こ、これはメイドが?」
857:
メイド「わ、わたしと、そのー…」
赤「…」シー
従者「ああ、なるほど。だから騎士様いつも朝土まみれ枝まみれだったんですね」
赤「はっ!?な、何も言ってねえだろうが!」
姫「…まさか赤様が?」
赤「その、晩年の趣味に園芸を身に着けておくのもいいかなーと思いまして」
姫「…赤様…」
858:
赤「ま、経費の問題で柵はつけてないんですけどね」
赤「悪戯する連中はもう入ってこんでしょうし。いらんでしょ」
姫「…」
赤「今にここも、あの時と同じきれーな花が沢山咲きますぜ。もちろんチューリップもね」
姫「…」
赤「その時は盛大に、皆でパーっと…」
姫「…赤様…」
859:
姫「赤様――っ!」
赤「へっ…どわぁ―――っ!」
ゴォ――――ン…!
ゴォ――――ン…!
ゴォ――――ン……!
860:
――数ヶ月後、チューリップ園傍広場――
ゴォ――――ン…!
ゴォ――――ン…!
ザワザワ…
紅騎士「な…な…」
少女「どうかしましたか?」
紅「――従者が緑の妹おおおおぉぉぉぉぉっ!?」
861:
緑妹「大声出さないでください。恥ずかしい人ですね」キーン
紅「だ、だっておまえ、そもそも男で…えええ!?」
緑妹「ハァ。ロリコンな上に童貞ですものね。しょうがないですね」
紅「どどどどどどどっどどっど、どどっ…!」
紅「おい待て緑!こりゃどういうことなんだよ!」
緑「説明した通りだ」
緑「お前が挙動不審だったからな。スパイとして妹に出向いてもらったんだ」
863:
緑「お前のところにいくはずだった志願者と入れ替わらせたのさ」
紅「じゃ、じゃああの破傷風で死んだってのは嘘だったってのかよ!」
緑妹「破傷風になったのは事実ですよ。死んでもおかしくなかったですけど」
紅「…」ポカーン
緑妹「そんなに驚くことですか。なんだか腹が立ちますね」
紅「なんでそんな危険な役目を、女に、あまつさえ妹にやらせたんだよ!」
緑「…危険って…私だって反対したぞ」
864:
言動が中性的だとは思っていたがまさか本当に女だったとは
?
865:
紅「おまえなんだってそんな…」
緑妹「…」
緑「妹はいつも部屋から私と遊ぶお前を見ていたからな」
緑妹「!」
紅「?」
緑「まったく因果なものだ。こんなことになると解っていれば、見えるところで遊びもしなかったものと」
紅「そ、それじゃお前まさか…」
866:
緑妹「…変な勘ぐりはやめてください。好奇心からですよ」
紅「好奇心?」
緑妹「ええ。"お姉様"がお慕いしていた人がどういう方なのか知りたかっただけです」
緑「!?」
紅「おねっ、ちょ声がでけえよ」
紅「一応緑が女だってことは一部の人間にゃまだ秘密にしてあんだから…」
緑妹「あれ。でももう口五月蝿く言ってくる人は皆居なくなりましたよね」
867:
緑妹「青様と紅様なら、緑騎士が女性でも別に文句いわないんじゃないですか」
緑「それは…」
緑妹「いっそ立場をはっきりして、紅様に想いを告げ」
緑「だ、黙れ妹!お前、何をでたらめなことを…!」
緑妹「お姉さまだって適当なこと言ってたじゃないですか。お返しです」
紅「…緑、まさかお前、俺に相談なく騎士になったのは…」
緑妹「決意が鈍るからじゃないですか。近そうで遠い立場になって」
868:
緑「妹っ!」
紅「緑…」
緑「違っ、まて。真に受けるな紅!」
ガシッ
緑「っ!」
紅「なんでそうならそうと言わなかったんだよ」
緑「い、言える訳が…言える訳が無いだろう」
869:
緑「父は息子が居ないのを気に病んでいた…」
緑「跡目を継ぐのも相当悩んだのだ。そんな中相談してみろ。気持ちを抑えられるわけが…」
紅「そうだったのかよ…」
紅「少し意外だが、嬉しいぜ」
緑「!」
緑妹「ほう」
緑「お、落ち着け紅。今のお前にはひ、姫さっ…」
870:
…なん……だと……!?
871:
紅「ああ、嬉しいとも。…あんなダメ親父を好いてくれててよ」
緑妹「」
緑「ひめさ……は?」
紅「しかしなお前。いくらなんでもお前が緑騎士なったときは40半ばは超えてたぜ」
紅「年上好きだとは思っていたが…ああ、そうか。それで青殿に師事してんのか」
緑妹(わあ)
緑「…」
872:
紅「でもいっくらなんでもさすがに青殿はなぁ。もう50も後半だぜ」
紅「どうよ。ここらでフレッシュな男の魅力に気付くためにも、この俺様と――」
キ――――ンッ
紅「―――〜〜〜〜っ!」
緑「お断りだ。貴様のようなクズなど」
紅「なんっ…ごっ…」
緑妹「自業自得です」
873:
紅になっても赤は赤だなwwww
874:
緑「妹いくぞ。お前の支度もしないといかん」
緑「まったく、とんでもない時間の無駄を食ったな」
緑妹「はい」
緑妹「では紅様、また後ほど」
タタタ…
紅「さ、最悪のコンビだ…悪夢だ…あんな姉妹と同じ国とか…詰んだわ」
マザー「何をぶつくさ言っているの、坊や」
875:
紅「あ…マザー」
マザー「なんだか顔色が優れないね。汗までたらして」
紅「これは先ほど男である以上通らねば傷害にブチあたりまして。あ、誤字ではありませんよ」
マザー「はあ…」
マザー「それにしても早いもんだね。お前が生まれた瞬間から見てきたけども」
マザー「結婚だなんて。ふふ」
紅「…」
876:
紅「父上と母上の式は、やはりあの教会で行ったのですか」
マザー「ああ、そうだよ」
マザー「数人の知り合いだけを集めてね。つつましやかなものだった」
マザー「でも、世界で一番幸せそうだったよ。あの二人はね」
紅「マザーがそう仰ってくれるのならば、間違いは無いでしょう」
マザー「ああ、そういってくれると、救われるよ…本当に」
紅「ああ、貴族をかくまっていただいた件は本当にありがとうございました」
紅「おかげで彼らとの対立関係は避けられましたよ」
877:
マザー「お役に立てたのなら幸いだよ」
マザー「また近くを通る事があったらよっとくれ。ほら、そろそろ時間だよ。おいき」
紅「はい」
ザワザワ
親父「旦那、今日は珍しく決まってるね」
娼婦A「ホント、今日だけはいい男だね」
紅「お前らホンっと一言多いのな」
878:
神父「オホン。ただいま花嫁が衣装を整え終えたそうです。皆様ご静粛にお待ち下さい」
コツ…コツ…
紅(うぐ、く、来るのか…)
コツ…コツ…
紅(まだ結婚することすら考えてなかったのにこいつぁ)
コツ…コツ…
紅(クッソ、どうしてこうなったんだ。どうしてこう…!)
879:
コツッ
紅「ど…」
ドヨ…
紅「…………」
姫「…紅様。」
姫「どう…ですか?わたくしの姿…」
紅「あ…ええ」
紅「…とても、おつくし…」
880:
緑妹「噛んでますよ紅様」ヒョイ
紅「し、失礼。お美しい…は?」
緑妹「良かったですねお姫様」
姫「はい…ありがとうございます、紅様///」
紅「いや、まて。まてまてまて」
紅「なんで花嫁二人いるんスか!なんなんすかこれ!」
姫「あら…聞いてませんの?」
881:
紅「聞いてって、誰にです!?」
姫「いえ、村の人に、緑様に、国中のいろんなお方にお伝えしたのですけど…」
紅「…」
紅「…」ギギギギ…
親父「…」ピース
娼婦A「…」テヘペロ
緑「フン。阿呆が」
882:
緑「情報収集は団長の当然の務めだぞ」
紅(あいつらあぁぁワザと黙って…!)
姫「お、驚かないで。紅様。これも緑様の家系のためですわ」
紅「緑の?」
姫(緑様は、理由は解りませんけども生涯独身でいるつもりだそうですの)
姫(ですから、緑妹様が紅様の下へお嫁にいらして、ご子息をと…)
紅(そんな大事な話を当事者に一言の相談もなく!?)
883:
姫(ごめんなさい…わたくしも緑様のその事情を最近知って)
紅(あれ、まってください。姫様は緑妹のことはいつから?)
緑妹(お姫様はずっと前から気付いてましたよ。私が女だって)
紅(へ?)
姫(一つ屋根の下でくらしたのですもの。すぐにわかりましたわ)
緑妹(ところが姫様。解ってなかった人もいるんですよ)
姫(紅様は、あまり家にいらっしゃらなかったから…)
884:
紅(まあその話はこっち、こう、おいといて)
紅(姫様はそれで良いんですか!この国重婚は確かに禁止じゃねーけど…)
姫(わたくしは別にかまいませんわ)
姫(紅様の魅力なら、緑妹様のお気持ちも解りますもの…)
緑妹(お、お姫様…あんまりそういう風に直球で言うのは)
姫(あら、じゃあわたくしだけ沢山紅様に想いを受け取っていただきますわね)
緑妹(あはは…お姫様にはかないませんね)
885:
紅(いやでもしかし…)
姫(…紅様、お忘れかもしれませんけどこれは約束なのですわよ)
姫(どんなお願いも無条件で受け入れる。違いまして?)
紅(いや違いませんけど…緑妹ォ!お前さっき言えよ!)
緑妹(あれー?緑様といい雰囲気勝手に作ってたのはどこのどなたでしたっけ)
紅(ちょばっ、今それを!)
姫(え、緑様と…?ど、どういうことですの紅様!)
886:
神父「オオオオオオッホオオオオーーーーン!!」
紅「っ!?」ビックゥ
神父「…では式を始めさせていただきます」
姫「は、はい…神父様」
緑妹(今日は騒音被害が多いですね)
紅(やべ…ちょっとチビった)
神父「汝、紅殿」
887:
紅「え、はい?なんすか?」
グイッ! ギュッ
紅「っ…づ!?」
姫(返事はしなくていいんですのよ、紅様!)
緑妹(しばらく黙って聞いてて下さい)
神父「…汝、紅殿」
888:
神父「あなたはこの姫と緑妹を妻とし」
神父「良き時も悪き時も、富める時も貧しき時も、病める時も健やかなる時も、共に歩み、他の者に依らず、死が互いを分かつまで、愛を誓い、妻を想い、妻のみに添うことを、
神聖なる婚姻の契約のもとに、誓いますか?」
紅「…」ボー
紅「あ、これ今は返事しても…」
グギィッ! ギュウウウッ!
紅「誓い゛ま゛ずウ゛ゥゥッ!」
889:
親父(だめだありゃ…)
娼婦A(あはは。もう尻にしかれてるね)
紅「…グスン」
姫「…フゥ」
緑妹「…ハァ」
姫「…クス」
緑妹「…フフ」
890:
神父「汝ら、姫、緑妹…」
姫(…本当に)
緑妹(…どうしようもない人)
神父「―――愛を誓い、夫を想い、夫のみに添うことを、誓いますか?」
姫・緑妹「「誓います」」
ゴォ――――ン!
ゴォ――――ン…!
891:
――チューリップ園――
紅「や、やっと解放された…」
姫「クス。お疲れ様ですわ。あなた」
紅「―っ!?」ザザッ
緑妹「どうかしましたか?旦那様」
紅「ッ!?」ババッ
緑妹「面白い玩具ですねこれ」ダンナサマーダンナサマー
紅「―っ!?―っ!!?」ザッ ザザッ
892:
姫「緑妹様、そんなにしては紅様がお可哀想ですわ」
姫「あ、首下が崩れてますわよ」クイッ
紅「っと、すみません。姫様」
姫「妻として当然の務めですわ」
姫「まるで夢のよう…///」ピト
紅「うぐっ…」
緑妹「…ふふ」
893:
緑妹「わたし、少し"お兄様"の所に行って来ますね」
紅「ん、わかったよ…ったく、なんてドヤされんだ今度は」
緑妹「あ、結構です。旦那様にはきていただかなくても」
緑妹「会話にならないので。では」
タタタ…
紅「あのやろ…くそ、男装ってるうちにもっといじめときゃあ…」
姫「クスクス」
894:
ザアァァ…
紅「見事に咲きましたね、チューリップ」
姫「ええ。まるでわたくしたちを祝福してるみたいですわ」
姫「一度は内乱に巻き込んで、灰にしてしまったというのに…」
紅「…」
紅「皆解ってますよ。かつて同じ土で、同胞を養ってくれたお方が」
紅「どなたなのかってことはね」
895:
姫「…紅様」
紅「…私はかつてここで、天使のような少女と出会いました」
紅「そのお方は、全ての花を分け隔てなく愛していた」
紅「その時心に決めたのです。このお方であれば、全てを捧げることが出来ると」
紅「騎士の魂も、誇りも、人生も、全て」
姫「…」
896:
紅「あの時は名も告げずご無礼を致しました」
紅「私は先代赤騎士である父と、シスターであり盗賊である母の子…」
紅「かつては赤、今は紅と申します」
紅「今こそ我が剣を貴女に、姫」
スラリ
姫「…フフ」
姫「どちらが本当の、あなたなんですの?」
897:
紅「…ご想像にお任せします」
姫「くすっ。解りましたわ」
姫「わたくしもあなたに…全てを捧げます」
姫「真の騎士、紅様…」
紅「…」
スッ
姫(重い…でも、どこか安心する)
姫(不思議な感覚ですわ)
898:
―――…息子を、お願いいたします、姫
姫「…え?」
紅「どうなさいました。姫様」
姫「い、今…」
親父「紅の旦那ァーっ!」
紅「む…どうしたっ!」
親父「緑の旦那が、すぐに旦那を呼べって…」
899:
親父「例の藍と紫の残党が、国境で悪さしてるらしいですぜ!」
紅「とうとう動き始めたか…ったくよぉ」
紅「めんどくせー野郎どもだぜ」
姫「…」
紅「すぐ行くって言っとけ!」
親父「おうよー!」
紅「わりぃな、お姫さんよ。こんな日すら慌しくって」
900:
姫「いいえ」スッ
紅「…」
ヒュン ヒュオンッ キィンッ!
紅「行って参ります、姫」
姫「ご武運を、あなた」
チュッ
ザザザ…
902:
バサァッ!
紅「敵は少数だ。だが油断すんじゃねーぞ。」
紅「あの煮ても焼いてもくえねークソ不味いニワトリとキツネの残党だからよ」
紅「訓練を忘れんじゃねえぞ、なるべく怪我すんなよ!」
紅「死ぬとかもっての他だからよ!解ったか!」
紅騎士団「ははっ!」
紅「緑、てめえのとこはどうよ」
903:
緑「万端だ」
紅「青殿!」
青「いわずもがなじゃ」
紅「おっしゃあ、そいじゃ行くぞ!」
紅「――我等3色騎士団、主が為に!」
fin
907:
登場人物みんなキャラが立っていて、ものすごく引き込まれた
支援し続けてきたかいがあったぜ、乙乙乙
909:
完走お疲れ様!
緑に対してずっとイケメン死ねイケメン死ねと念仏のように唱えてたのに、女とか!?
思わずグリリバじゃねえのかよ!って叫んじまったよ。
とにかく、乙!!
910:
プリマン完結
911:

土曜日からのラッシュは凄いの一言に尽きる。お疲れ、超お疲れ
登場人物達が○ちゃん製品に見えて来て俺の頭の中がヤバかった
赤い狐とか緑の狸とか黄色い博多とか紺のきつねとか黒い豚カレーとか青いうさぎ(某コラ)とか卓球の人とか
プリンセスマツコとか
914:
>>911 たたみかけんな殺す気かwwwwwwwwwwwwwww
こんなクソ長いSS詐欺読んでくれてありがとう おまけ書く
1000いっちまったらまあ、適当にスレたてて補完する
912:
こんな面白くなるとは微塵も思ってなかった
913:
乙!いい小説読ませてもらった!
915:
――赤騎士の屋敷――
ギィ…ミシッ
影「…」
ヒタ ヒタ
ボッ
影「!」
赤騎士「ずいぶんと静かな客だな」
916:
シスター「…」
赤騎士「ちょうど紅茶が沸いた所だ。飲むか?」
シスター「なんで解ったのさ」
赤騎士「ここは私の屋敷だ」
赤騎士「何処に誰が居ることくらい、解らないでどうする」
シスター「…」
赤騎士「盗賊か」
917:
シスター「フン。だったらどうだってんだ」
赤騎士「ならばフードは被らないほうがいいぞ。生臭くなる」
シスター「なんでだよ」
赤騎士「シーフがフードを被ってシーフードwww笑えるだろうwww」
シスター「…」
シスター「いや…無表情でそんなこと言われてもね」
赤騎士「済まぬな。父に表情を変えるなと教わったせいでいつもこうだ」
918:
シスター「…あんた、相当変わってるね」
シスター「他の権力者はプンプンさせてるってのに」
シスター「まったく金の匂いがしないよ」
赤騎士「最近の盗賊は人物評価を無料でやるサービスがあるのか」
シスター「こんな時に皮肉言えるのも対したもんだよ」チャキ
赤騎士「よしておけ。私は女に剣は振らん」
赤騎士「殺すなら好きにすれば良いが、困るのはお前だぞ」
919:
シスター「…」
赤騎士「どこにいく」
シスター「帰る」
赤騎士「お前の分の菓子まで用意したのだぞ」
シスター「帰る」
赤騎士「ならこの菓子袋をもっていけ」ブンッ
シスター「!」パシッ
920:
赤騎士「次来る時はそんな物騒なものはいらん。正面から堂々と来い」
シスター「…」
シュンッ
赤騎士「…」
赤騎士(この香り…教会の香か)
ホー…ホー…
シスター(…)タタタ
921:
シスター(赤騎士か…)
シスター(フン、何が菓子袋だよ)
シスター(こんな重い菓子、あってたまるかい)チャリチャリ
タタタ…

バン
シスター「マザー、私に客だって?」
マザー「ええ、シスター」
922:
シスター「どこにいんだい?」
マザー「あれ、おかしいね。礼拝堂にいなかったかい」
赤騎士「ここにいる」
マザー「お、おお?」
シスター「!?」
赤騎士「いい葉だな。この紅茶は、この村で作っているのか」
シスター「あ、あんたは…いえ、あなたは…」
924:
マザー「こちら赤騎士様だよ。なんでも奉仕にいらしたらしくてね」
マザー「シスターに師事したいとのお申し出なんだよ」
シスター「はあ、わたしにですか…」
赤騎士「…」

シスター「この教会ではお祈りの他に、村でとれる名産品の加工などを…」
赤騎士「…」
925:
シスター「…聞いてるのかい」
赤騎士「美しいな」
シスター「は?」
赤騎士「景色の話だがな」
シスター「ああ、そうかい…」
赤騎士「良い香りもする」
シスター「え?」
926:
赤騎士「そよ風の話だ」
シスター「ああそう…」
赤騎士「どうして盗賊をしているのだ」
シスター「!?」
赤騎士「…」
シスター「…」
シスター「フン、理由なんて…」
927:
孤児A「しすたー」
孤児B「こんにちは、シスター」
シスター「ああ。あんたたち」
孤児A「きょうのおひるは、ぱんをたべられるの?」
シスター「うん、ごめんよ。ちょっと皆にまわせる分はないんだ」
シスター「夜まで我慢してね」
孤児B「シスター…僕の分を、Aにあげてください」
928:
孤児B「僕のほうが大きいから、二回くらいぬいても」
シスター「そういうわけには行かないよ。皆一緒じゃないとダメなんだからね」
孤児B「…わかりました」
タタタ…
シスター「…戦争がおきるたびに孤児が増えてね」
シスター「騎士団ってのは、死んだ親の子の面倒は見ないんだね」
赤騎士「…」
929:
シスター「だから別に、ちょっとくらい手助けしてもらったっていいだろう」
赤騎士「お前が見つかったらこの子達はどうなる」
シスター「…そうだね。その時はさ」
シスター「吊られながら、貴族と騎士共に文句言ってやるよ」
赤騎士「…」
カシャーン
シスター「!」
シスター「あいつら…」
930:
赤騎士「ぬ」
タタタ…
黄従騎士A「さあマザー、今月の上納をいただきにきたぞ」
黄従騎士B「茶葉販売の権利を与えているのだからな。感謝を桁にして込めろよ!」
マザー「ああ、解ったよ…解ったから乱暴にしないどくれ」
マザー「ほら。これだよ」
黄従A「フン、素直でよろしい」
黄従B「せいぜい稼いでくれよ。われわれの懐も潤うわ!」
931:
シスター「…あんたら」
黄従A「おおシスター殿。奉仕活動の途中かな」
シスター「ここは貴族領主様の領地だ。なんで黄騎士様のお許しを頂かないといけないんだい!」
黄従B「販売権利と土地とは無関係なんだよ」
黄従B「この地域の茶葉の利権はすべて黄騎士様にある」
シスター「…くっ…」
黄従A「つまらぬ疑問を持たず身体を動かしなされ」
932:
黄従A「人生というものは短いからな!はっは!」
赤騎士「…」ズズイ
黄従A「どわぁっ!」
黄従B「あ、赤様!?なぜここに」
赤騎士「茶葉の権利書というのは持ってきているのか」
黄従A「う、ううん?」
赤騎士「提示しないと徴収は出来ないはずだがな」
933:
黄従A「も、もちろんここにあるぞ。ホレ」
赤騎士「…」
赤騎士(デタラメだな。無効の記述だ)
赤騎士(こんなものがまかり通っているのか。領主様に報告せねば)
赤騎士「買おう」
黄従A「は?」
赤騎士「この権利書だ。言い値で買うぞ」
934:
黄従A「あ、いえこれはその…」
赤騎士「言わないのならばこちらで査定して適当に金額を出す」
黄従B「いえそのような、赤様の手を煩わせるわけには!」
赤騎士「ならばまあ、商談といこうか」
シスター「…」ポカーン

赤騎士「黄殿によろしくな」
935:
黄従A「ははっ、失礼いたす!」
シスター「…」
シスター「何のつもりだい」
赤騎士「金になりそうだからな。俺がかわりに搾り取ってやる」
シスター「ああ、そういうこと…」
シスター「情けのつもりかい」
赤騎士「お前は耳が遠いのか?搾取するといったのだぞ」
936:
シスター「いっただろ。あんた、金の匂いしないんだよ」
シスター「何のつもりだよ」
赤騎士「…」
赤騎士「お前が欲しい」
シスター「は?」
赤騎士「ここの茶葉を私の騎士団で買おう。言い値でな」
赤騎士「さらに寄付金もつけよう。いずれ良い茶の名産地になるだろうからな」
937:
赤騎士「その交換条件だ。結婚してくれ」
シスター「な、な…?///」
赤騎士「まあ、断っても茶は買うがな」
シスター「それは交換条件っていわねえよ…」
赤騎士「そうだな」
シスター「…」
938:
シスター「わたしでいいのかよ」
赤騎士「違う」
赤騎士「お前が、良いのだ」
……

紅「っていう話なんだがな。何回聞かされたか解らねえぜ」
姫「…素敵な出会いだったんですね…お義父様も、お義母様も」
940:
緑妹(冗句のセンスの無さはしっかり受け継いでますね)
紅「ま、寝る前の昔話にしてはちょっと短すぎたかな」
姫「そんなことありませんわ」
緑妹「旦那様がヘタレなルーツも解りましたし」
紅「あのなあ…大体よ」
紅「せっかくベッド三つかったのに、なんで俺のとこで寝ようとしてんだよ!」
姫「あなたの心音、とても落ち着くんですもの…」
941:
紅「ひ、姫様…そんなひっつくと」
緑妹「ロリコンの血が騒ぎますか」
紅「緑妹…お前まだそんなことを」
姫「…わたくし、緑妹様がうらやましい」
姫「わたくしも敬語ではなく普通に接して欲しいですわ」
紅「いや、でもそれは…」
姫「…」ジッ…
942:
紅「ひ…姫様…」
姫「…あなた…」
紅「す、少しずつ慣れる様、努力してみます」
姫「本当ですの?」
紅「はあ、はい」
姫「ふふ、嬉しいですわっ」
紅「ちょ、そんなしがみつ…!」
943:
緑妹「あーあ。すっかり二人だけの世界ですか?」
紅「とか良いながらお前まで何してんだよ」
緑妹「私の役目をお忘れみたいですね、旦那様」
緑妹「これでも精一杯誘惑してるんですよ」
紅「ばっ、何言って!///」
姫「わたくしも…早くあなたのややこが欲しいですわ」
紅「姫様まで!?」
944:
姫「あなた…」
緑妹「旦那様…」
紅「あ、ちょまって、そうだ、馬小屋!塗装して、赤いペンキあそこに置いたままだった」
紅「どかさねえと愛馬が蹴る!か、片付けねえと!」
姫「…」スルスル…
緑妹「…」シュルッ…
紅「あ、待って、ちょっと、二人とも待っ…」
紅「アッ―――――――――――!!」
945:
アッ――――――――!!
愛馬「…」モッシャモッシャ…
愛馬「…?」
『 THANK YO FOR YO R TIME! 』
愛馬「…」パッカパッカ
946:
愛馬「…」
チャプッチャプッ
パコッ! パコッ!
愛馬「…ブルルッ…」
パカッ…パカッ…
947:
カナカナカナカナ…
リーリー…
『 THANK YOU FOR YOUR TIME! 』
948:
今度こそ本当に終わり
あんま笑わせるなwwwwww書くのに支障が出るレベルだったわwwwwwww
支援本当にありがとう
949:
ホントにおつかれ!
950:
こちらこそありがとう。
面白かったよ。
951:
面白かった!お疲れ様でした(`・ω・´)
953:
乙!!完結おめでとう!!
なんだかんだでMVPはスレタイだな
955:
まさかスレタイからこんな素晴らしい話になるとは・・・
いい意味で裏切られたなー乙!!
957:
乙乙乙
読み始めの時点じゃこんな落ちになるなんて想像もつかなかったぜ
96

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