岡部「潰瘍性大腸炎だと……!」back

岡部「潰瘍性大腸炎だと……!」


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2:
    ―――――1.048596―――――
AD 2010.10.14 10:24:07:45 (SAT) 未来ガジェット研究所
グギュルルルル
ダル「おいオカリンまた下痢かお?」
岡部「ついに貴様は俺が空腹で腹を鳴らせているのか、下痢で大腸が唸っているのかを判別できるようになったか。
 さすが我が頼れる右腕< マイフェイバリットライトアーム>だな」
ダル「褒めても何も出ないんだからね!つーかオカリンはとっとと出してくるべきだろjk」
岡部「うんむ、今しがたそうしようと思い至ったところだ」
まゆり「オカリン、あんまりお腹に悪いものばっかり食べてたらだめだよー」
ダル「まったくー、牧瀬氏がアメリカでよかったお。
 オカリンがゲリリンになったなんて情けなくて涙出ちゃう」
岡部「ゲリリン言うな!うっ、やばい」ギュルルル
ダル「ちょっと出た?」
岡部「出とらんわ!」
PSVITA STEINS;GATE
----------------------------------------------------------------------------
3:
ダル「いいから早くトイレ行けよ。オカリンのせいでピッカピカに掃除したんだぜ」
岡部「未来ガジェット10号『超臭力』と、11号『サイクロンジェットファン』の設置によって
 今年の残暑厳しい十月でも熱気と臭気でいたたまれなくなることは回避できたな」トボトボ
ダル「このクソ暑いラボがクソ臭くなったらたまんないお」
ガチャ バタン ガチャ
岡部(くっ、個室内に入った途端に急激な便意が……!)グルルル
岡部(ベ、ベルト!早く、早くパージするんだ!ふんっ!)ガチャガチャ
岡部(しまった!個室に入る前に白衣を脱いでおくべきであった……!)イソイソ
岡部(おおお落ち着け、鳳凰院凶真!お前は幾度も死線を乗り越えてきたではないくぁっ!)ギュルルルル
岡部(便座に、早く、腰を、おろs)ブリュウウウウウウウ
岡部(あ……)
岡部「チラッ」
\ゲリリーン/
岡部(ふぅ、なんとか最悪の事態は回避できたようだ)
岡部(とにかく出すものを出してしまえばなんとかなるのだ、うむ) フゥ
4:
岡部「ふぅ、スッキリし……」
岡部(ていない?)
岡部(どういうことだ!すべての下痢便を出し切ったというのに、腹の調子が……!?) ググッ
岡部「ハウッ!」グムムムムム
岡部(きゅ、急激な便意……!なんだこれは!もう腸内には何も入っていないであろうに、なぜこんなにも便意が……)
岡部(痛い、痛い痛い痛い!あぁ脱腸してしまいそうだ。いや、したことないからわからないけれども!)
岡部(例えるならあれだ、射精を連続で何度もするような、もう出ないのに出そうとする激痛……!)
岡部(だめだっ、下らぬことを考えても痛みから気を逸らせないっ!)スッ
岡部「お、俺だ。あぁ、機関の奴らがついに直接攻撃を仕掛けてきた。方法はわからないが、生物兵器か劇薬か……
 ともかく一刻も早く優秀なメディックの派遣を要請する!エル・プサイ・コn」グルルルルルルルルルル
岡部「ふぉぁっ!!!!」 ブリュ
5:
ダル『どしたんオカリン?』
まゆり『オカリン大丈夫!?』
岡部「くっ……。俺はもう、だめかも知れない……」
まゆり『オカリン……?』
岡部「母国で暮らす両親に、愛していると伝えておいてくれないか……」
ダル『いつ池袋が独立したんだぜ?』
岡部「さらばだ、戦友(とも)よ。ヴァルハラで待っている……ぞ……」ガクッ
ダル『オーカーリーン!!』
ダル『いいから早く出ろって』
岡部「うんむ」
6:
岡部(なんとか激痛から気を逸らすことができた。難局を乗り越えたみたいだな)
岡部「チラッ」
岡部「……ん?なんだ、これは」
岡部(さっき出した下痢便の上にさらに排泄物が追加されて全体的に赤くなっている。
 昼に赤いものなど食べたか?)
岡部(それに、なんだこの臭いは。アンモニアというか、う○この臭いではなくて、これは嗅いだ事のある生臭さ)
岡部「この臭い……ハッ!」
―――――過去回想―――――
中鉢「どこまでこの私を愚弄するつもりだッ……!!」
岡部「貴様には、この俺を殺すことはできないッ!絶対に、絶対にな!!」
ズシュ
・・・
岡部(過去の俺が見た血の量はもっとあったはずだ!これでは世界を騙せないッ!!)ヌブシュ
岡部「う、うわああああぁぁぁぁああああぁぁあああっっっっっ!!!!!!!」
―――――――――――――――
岡部「そうか、これは、俺の血の臭いだ。つまり、俺は……」
岡部「……痔、なのか?」
7:
・・・
岡部(あれからダルと一緒に痔についてググったが、どうも痔ではなさそうだった)
岡部(まゆりにこれを話すのは格好がつかないので早々に帰した。すまんな、まゆり)
岡部(調べたところ、下痢の慢性化によって血便が出ることは稀によくあるそうだ)
岡部(……あの激痛は二度と御免被りたいな)
ダル「しっかしオカリンが痔リリンじゃなくてホントよかったお」
岡部「ちょっと無理やりすぎるだろ!」
ダル「まぁでも?秋期が始まる前に下痢が治まって安心したお。
 必修の実験中にう○こが爆発して留年になったら目も当てられないお」
岡部「う○こ言うな」
ダル「結局、原因はなんだったんだお?もしかして、夏の入院の時の傷が……」
岡部「さぁ、どうだろうな。傷は大腸まで到達していたわけではないから、関係ないとは思うが」
岡部(そう、結局下痢になった原因も、治った原因もよくわからなかったのだ)
岡部(だがまぁ、こうして普通に生活できているのだから、特に気にすることもなかった)
岡部(……そう、ニヵ月後の、あの日までは、な)
8:
AD 2010.12.16 10:18:54:24 (SAT) 未来ガジェット研究所
まゆり「とぅっとぅるぅ……寒くなったねー」ガチャ
ダル「おぅ!まゆ氏いらっしゃいなんだぜ。ゆっくりしていってね!」
岡部「まゆりか。相変わらず励んでいるようだな」
まゆり「うん!新しいコスプレがねー、ようやくひとつ完成しそうなんだよー」
ダル「もしかして阿万音氏とオソロの例のアレですか?」
まゆり「そうだよーえへへ」
岡部「ん?その紙袋はなんだ?」
まゆり「あ、これはね、オカリンにプレゼントなのです」
岡部「プレゼント?まだ時間がかかるようなことを言っていたと思ったが」
ダル「もしもし?爆発代行はここですか?」
まゆり「誕生日プレゼントは本当にごめんね、もう少し待って欲しいのです。
 これはねー、この頃寒くなってきたからすぐに渡そうと思って」
岡部「そうか。色々と悪いな」
まゆり「余った毛糸で作ってみたんだけど」ゴソゴソ
まゆり「はい、オカリン!」
岡部「おう。ん?これは……腹巻き、か?」
まゆり「オカリン、まだお腹下り気味なんだよね?
 外もラボも寒いから、冷えないようにーって」
岡部「狂気のマッドサイエンティストが毛糸の腹巻きなど……」
まゆり「オカリンの体のためなんだから、ちゃんと着けてないとだめだよー」
岡部「くっ……もしもし、俺だ。あぁ、そうだ。きっとまゆりは機関の奴らに洗脳されてしまったに違いない」
まゆり「オーカーリーン!」
岡部「だぁ!わーかったわかったって!まゆりの頼みとあってはな」
まゆり「それでいいのです」ンフー
9:
岡部(十月からというもの、俺は二週間に一度のペースで体調が優れなくなり、特に脂っこいものを食べると下痢になった)
岡部(サンボに行く回数は半減してしまった。メイクイーンにはしばらく顔を出していないな……)
岡部(慢性下痢と言っても血は出なかったし、激痛というほどでもない。ただの下痢だ)
岡部(あんまり下痢が続いたのでダルにはからかわれるし、まゆりには心配されるしで踏んだり蹴ったりだ)
岡部「ふっ、しかしこの鳳凰院凶真にとっては知的飲料水ドクターペッパーこそが全ての原動力なのだ!
 これさえあれば機関の生物兵器攻撃などたちどころに収まる!フゥーハハハ!」
ダル「むしろそれが原因なんじゃね」
天王寺「おーい、岡部のやつぁいるか?」ゴンゴン
岡部「ん?機関め、ついに決戦用ヒューマノイドインターフェイスを投入してきおったか……」
まゆり「はーい、オカリンならいるのです」
天王寺「おう岡部。それから橋田。悪ぃんだがちょっくら手伝ってくれねぇか?男手が必要なんだ」
岡部「Mr.ブラウンよ。人に物を頼むときは頼み方というものがあr」
天王寺「手伝わなかったら家賃倍にするからな」
岡部「はい、手伝います」
ダル「僕もなん?デブだからって力があると思うなよ」
岡部「いや威張るところか!」
10:
同日 檜山ビル前
綯「まゆりおねぇ?ちゃ?ん!」
まゆり「綯ちゃ?ん」ニコ
天王寺「悪ぃなお前ら。年末商戦ってわけじゃねえんだが、だいたいこの時期に棚の整理しておくとな、色々と都合がいいんだよ」
岡部「ん、閃光n<シャイニn>、いや、桐生萌郁はどうしたのだ?」
天王寺「勿論手伝ってくれてるが……ほら、こっちだ。ただなぁ、いかんせんこの量のモノを動かすとなると……」
萌郁「私だけだと……大変……」
まゆり「うわー、すごい量だねー」
ダル「まゆ氏。今のセリフをもっと楽しそうに言ってもらっていい?」
まゆり「?うわー、すごい量だねー!」
ダル「そうそう!」ムッハー
岡部「なにをやっているのだ貴様は!」ムニュ
ダル「ちょwwwお腹つかむのは反則だってwwwおほwww」
萌郁「……」
11:
天王寺「じゃーとりあえずそこに並べてある一式を軽トラに積み込んでくれ」
岡部「まったく人使いの荒い筋肉モリモリマッチョマンの変態だ!」
ダル「一番気に入っているのは?」
岡部「値段だ」
ダル「牧瀬氏は?」
岡部「無論だ」
ダル&岡部「フゥーハハハハ!」
綯「おにいちゃんたち怖い……」
天王寺「つべこべ言わずに詰め込め!」ボカッ
ダル&岡部「あいたっ!」
12:
岡部「いていて……さ、運ぶか」
まゆり「まゆしぃも手伝うよ。大きいのはダル君お願い」
ダル「お任せあれー。まったく、デブは冬でも汗かくんだから勘弁してほしいお」
岡部「そうだ、な。ふん。ふんっ!ふんぬぉぉぉぉっ!!」グギギ
ダル「オカリーン。オカリンが24インチなんて持てるわけねーだろjk。それは僕が後で手伝うお」
岡部「う、うむ。さすがは我が頼れる右腕<マイフェイバリットライトアーム>だ。では俺はこちらを……ふんっ!」ヨロッ
まゆり「だ、だいじょうぶオカリン……?」
岡部「なんのこれし、き……うおっ!?」バタッ
ダル「おいおい、オカリンそれ14インチだぜ?そんなに体力落ちてたのかよ、引くわー」
まゆり「オカリン、怪我はない?」
岡部「ぐっ……。あぁ、心配させてすまないな、まゆり。ダル、あのさ」
ダル「なんだお?」
岡部「後は任せた」バタッ
13:
岡部(結局その後の肉体労働は全てまゆりとダルに任せてしまった)
岡部(俺はというと、ラボに戻ってソファーで横になっていた)
岡部(無理に体を動かしたからか、一気に体調が悪くなってしまったのだ)
岡部「そういえば、前回の下痢からちょうど二週間だったな……」
岡部(二人には申し訳なかったが、どうやら熱も出てきたようで体を休める他なかった)
岡部「風邪だったら困るな。誰かに移しても困るが、必修の単位のこともある……」
岡部「少し、寝るか。冷えピタがたしか……おぉ、あったあった」ピタッ
岡部「ふぅ。しかし、下痢のせいでこんなにも体力が落ちていようとはな……」
岡部「……」zzz
14:
ピィィ--------------------------------
岡部「む……?」 パチッ
まゆり「あ、ごめんねオカリン。起こしちゃったね」
ダル「まったく、風邪ひいてるならそう言えっての」
岡部「あ、あぁ。そうか、そうだよな。任せきりにしてしまってすまない」
ダル「いいっていいって。つらい時はお互い様だって」
岡部「ところで、やかんで湯が沸く音がしたということは……」
まゆり「今ねー、オカリンのためにおかゆを作ってるのです」
岡部「何ッ!!」
ダル(安心しろよオカリン。お湯を入れるだけのインスタントだから流石に問題ないっしょ)ヒソヒソ
岡部(お、おう)ヒソヒソ
まゆり「はい、できたよー。オカリン、起きれる?」
15:
ダル「岡部『すまないが、ちょっと起きれそうにないな。まゆり、俺の口元までおかゆを運んでくれないか』
  まゆり『うん、無理しなくていいよー。はい、あーん』
  岡部『あーん……ん』
  まゆり『どお?おいしい?』
  岡部『ああ、おいしいよ、まゆり』
 まゆり『あ、ほっぺにご飯粒がついちゃったのです』ペロッ
 岡部『ま、まゆり……///』
みたいな展開になるわけですねわかります」
岡部「まゆりの声真似をするな!」
ダル「うほっ」
16:
岡部「まったく。それに熱も微熱だし起き上がれるぞ。よっこいしょっ……と」ズキッ
岡部(……!?)アセッ
まゆり「オ、オカリン?」
岡部(な、なんだ!?腹部に強烈な激痛、ぐぁっ!!)ズキズキッ
ズキズキッ
ズキズキッ
ズキン!
岡部「……おおおおおぉぉぉぉおおおおおあああああああっっっっっっ!!!!!!!!!」
17:
まゆり「どうしたのオカリン!?」
ダル「お、おぃ、オカリン……?」
岡部「ふんぐっ……うあぁ、はあぁっ!!!」ズキッズキッ
ダル「汗がすごいんだお……」
まゆり「タオル持って来るね!」ダッ
岡部「うっ……はぁ、はぁ。ふぅーーーーーーーーっ」
ダル「だ、だいじょぶかオカリン?って、大丈夫じゃないよな。どしたん?救急車呼ぼうか?」
岡部「い、いや、大丈夫だ、その必要はない。恐らく、前世より我が体内に封印されし魍魎が暴れ出したのだろう」フゥフゥ
ダル「それだけ言えるならとりあえずは大丈夫なの、か?あんまり無理するなよオカリン」
まゆり「はい、タオル持ってきたよ。オカリーン、病院行った方がいいよぅ」
岡部「あぁ、すまない。そうだな、これ以上まゆりに心配かけさせるわけにもいかない。どこか良い病院を探してみよう」
 その前に、一汗かいたら腹が減った。まゆり、おかゆ食べてもいいか?」
まゆり「う、うん。無理しないでね?残してもいいからね」
岡部「あぁ、ありがとう」
18:
岡部(二人のいる手前平静を装ったが、正直かなり混乱しているぞ……)
岡部(なんだあの痛みは?まるで内側からナイフで腹を貫かれたような……)
岡部(二度と経験したくはなかったが……。いや、これは比ゆではない。まさしく"あの"痛みだった)
岡部(今になって古傷が開いたのか?いや、でもなぜ今になって)
岡部(あるいは、下痢か?たしか十月に一度血便を伴った下痢があったな……)
岡部(クソッ!一体、俺の体はどうなってしまったというのだ……ッ!!)
19:
岡部「ごちそうさま。おいしかったぞまゆり」
まゆり「うん……」
ダル「コロっと普通に戻ったなオカリン。なんつーか、嵐の前の静けさみたいで怖いんだぜ」
岡部「大丈夫だ、心配するな。きっとなまった体を酷使したせいでヒューズが飛んだんだろう。少し休めば問題ない」
ダル「冬休みまではがんばれよオカリン。今まで下痢のせいで出席がやばい授業が結構あるんだろ?」
岡部「そうなんだよなぁ。病院探しは冬休み入ってから、か」
まゆり「だ、だめだよオカリン!冬休みって、たしか病院はお休みのところも多いし、人も多いだろうし……」
ダル「つーかさ、そもそもどこの病院いけばいいわけ?内科?外科?」
まゆり「あっ、そういえばフェリスちゃんが前にね、お友達にお腹の病院の先生がいるって言ってた!」
岡部(ほぅ、あの秋葉社長の元かかりつけ医だろうか)それならばこの上なく信用できるな」
ダル「そうと決まればフェイリスたんに会いに行くんだぜー!」
岡部「あぁ。だが、すまないが明日にしよう。今日は少し疲れた」
20:
まゆり「ホントに大丈夫?まゆしぃも泊まってもいいんだよ?」
岡部「大丈夫だまゆり。ダルも、今日は色々迷惑かけて済まなかったな」
ダル「水臭いぞオカリン。なんかあったら電話plz」
岡部「あぁ、じゃぁな」バタン
岡部(そう言って自分はラボに泊まることにして、二人を家に帰させた)
岡部(本当は早く二人に出て行ってほしかった、の……だっ!くそっ!)ダッ
岡部(トイレ……トイレ……うっ!)ガチャ バタン
岡部(ま、間に合った……くっ、やはり来たか、激痛め!)ギュルルルルルルル
岡部(おかゆを半分食べたところで内臓のやばさには気づいていた)グルルルルル
岡部(もちろん、こんなに早く食べたばかりのおかゆがケツの穴から出てくるとは思えないが)ゴロロロロロ
岡部(吐き気がする……気持ち悪い……)ブフゥーーーーーーー
岡部(ん?なんだ今の屁か?おならか?長いな)ブッブッ
22:
なんか泣けてきた
21:
岡部(おそらく腸内の便は出し切ったのだが、やはりというか相変わらず便意がある)フゥフゥ
岡部(激痛に対しては、全身の筋肉に力を込めることによってなんとか乗り切った)
岡部(一回の排便でここまで体力を消耗してしまうとはな……)
岡部(肛門が痛い。おそらく消化液の酸にあてられてヒリヒリしているのだろう)
岡部(一体俺の体内からどんな便が排出されたというのだ……)
岡部「チラッ」
岡部「……!!」
岡部「なんだよ……これ……!!」
岡部「なんなんだよおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!」
23:
岡部("ソレ"を見た俺は、ようやく寝起きの激痛の原因がわかった)
岡部(腸が割け、内側で出血していたのだ)
岡部(便器の中で粘着質のクソ尿にまぎれ浮かんでいたのは)
岡部(例えるならそう、鼻血を止めようとしてティッシュを丸め鼻の穴に突っ込み)
岡部(まだ血が固まりきってない時にティッシュを抜いた時に付いてくるドロドロの赤黒い物体)
岡部(……それが、グラス一杯分は浮いていたのだ)
24:
AD 2010.12.17 14:24:52:45 (SUN) メイクイーン+ニャン2
フェイリス「キョーマが最近来てくれないと思ったら、おなかの調子が悪かったってダルニャンから聞いたニャン
  もー、ずっと心配してたのニャ!」
岡部「すまなかった、フェイリス」
ダル「フェイリスたん、頼みがあるんだけどさ」
岡部(それはシフト上がりに聞こう) ヒソヒソ
ダル(そうだったお。ごめんお、気がせいちゃったお) ヒソヒソ
フェイリス「なんだニャン?」
ダル「あー、オカリンがちょっと体調悪いみたいだからさ、なにかあったかいお茶とかあればと思うんだけど」
フェイリス「メニューにはないけど、他でもないキョーマのためニャ!ちょっと待っててニャン!」タッタッタッ
ダル「んで、昨日はあれから大丈夫だったのぜ?」
岡部「無論だ。この通りピンピンしている」
25:
おしり痛くなってきた
26:
ダル「そういえばそろそろ牧瀬氏がこっちに戻ってくるんじゃね?メールで連絡取ってるんだお?」
岡部「クリスマス休暇らしいな。年明けまではこちらにいるそうだ」
ダル「それまでに体力つけておかないとセイなる夜を越せないぜオカリン」
岡部「どういう意味だまったく。お前こそコミマという非リアの祭典の中イチャコラする準備はできてるのか」
ダル「いやぁ、それほどでもー」
岡部「褒めてないっ!」
フェイリス「はいニャ!あったかいほうじ茶、お待たせしましたニャン!」トン
27:
同日 店外
フェイリス「遅くなってごめんニャ!それで、相談ってなんの話ニャ?」
ダル「それが、オカリンを病院に行かせようと思うんだけどさ、どこかいいところをフェイリスたんなら知ってるってまゆ氏が」
フェイリス「たしかおなかの調子が悪いニャン?だったら私のパ、父のご友人の内科医の先生がいます///」
岡部(ん?)
ダル(お?)
フェイリス「ちょ、ちょっとその先生に連絡取ってみるニャン!もしもし黒木?……」
28:
フェイリス「……来週の水曜日になっちゃうけど、都合大丈夫か?だってニャン」
ダル「えー、明日じゃだめなのかよー」
岡部「忙しいドクターならばそれだけ優秀なのであろう。なに、2、3日の辛抱だ。そのくらいなら安静にしていれば問題あるまい」
フェイリス「ごめんニャ、もしつらそうだったら近くの診療所で外来診察を」
岡部「いや、普段はそんなにつらくはないのだ。それにフェイリスの知り合いなら安心だしな。ところでどこの病院なのだ?」
フェイリス「慶應大学病院だニャ」
ダル「あー、たしか総武線の信濃町だっけ」
29:
AD 2010.12.20 15:32:55:48 (WED) 慶應義塾大学病院消化器内科診察室
医師「慢性下痢に血便、腹痛に発熱ですか……」
岡部「はい」
医師「採血の結果、CRPの数値がかなり上昇しているので、大腸の炎症はほぼ間違いないでしょう」
岡部「CRP?」
医師「あぁ、タンパクのことね。それで、一回内視鏡検査をさせてもらいたいんだけど、いいかな?」
岡部「内視鏡というと、胃カメラみたいなアレですか」
医師「そうだね。胃カメラとは違ってお尻の穴からカメラを入れるんだけど」
岡部(!)
医師「後で必要書類を出しておくから、外で受け取ってよく読んでおいてね」
岡部「は、はい。それで、私の病気は結局なんなのでしょうか?」
30:
医師「まだ検査しないとはっきり言えないんだけど、うーん……。ちょっと一回横になってもらえるかな」
岡部「は、はい」
医師「お腹見せてね。ここ押すと痛いかな?」
岡部「いえ……」
医師「じゃぁここは?」
岡部「いえ、痛くありません」
医師「そうか。じゃぁ次は横を向いて、お尻を出してもらえるかな」
岡部(!)
岡部(そう言うと医師は右手に薄い半透明のゴム手袋を装着し、親指にローションを塗りたくった。まさかとは思ったが、そのまさかだろう)
医師「はい、ちょっと深呼吸して。力抜いてね」
岡部「は、はい……」フゥー
岡部(ぐっ……!まさかこんなところで俺の菊門が突破されようとは……!)
医師「ふむ、血は付いていないようだね」
岡部「はぁ」フゥ
医師「なるほどね……。まだ決まったわけじゃないけど、コレの疑いがあるんだよね」スッ
岡部(む……?なにかのパンフレットか?どれどれ……)
岡部「潰瘍性大腸炎だと……」
31:
スレタイ回収したところで一旦落ちます
32:
面白い
33:

病気の啓蒙SSだな。勉強になるわ
それにしても辛そうだ。厚生省指定の難病なだけある
34:
医師「最近は結構若い人に発症例が多くてね、まだそうと決まったわけじゃないけど症状からするとこれに近いかな」
岡部「これって、一体どんな病気なんですか……」
医師「今の医学でも原因不明でね、それが理由で国の難病に指定されているんだよ。
 あ、だから保健所さんに書類提出すれば医療費免除になるからね」
岡部「難病……」
医師「決定的な治療方法がまだなくてね。といっても、かなりの確率で投薬治療で症状を抑えることができるんだ。
 薬さえ飲んでいれば社会生活はできるようになることが多いよ。今の首相も患ってる」
岡部「そう、なんですか」
医師「まぁ、まだそうと決まったわけじゃない。
 それに潰瘍性大腸炎だとしても一回の活動期、つまり一度の激しい下痢だけで治まっちゃう場合もあるし、数回だけの場合もある」
岡部「検査次第、というわけですね」
36:
医師「それで、いつがいいかな。内視鏡検査」
岡部「え、今すぐじゃないんですか」
医師「あれは一日がかりになってしまうから日を改めた方がいい。そうだな、僕としては……
 急だけど明日か、来週の水曜日がいいかな」
岡部(来週、ということは紅莉栖は既に日本か。だが、明日また大学の授業をサボったらやばいが……)
岡部「わかりました、明日でお願いします」
37:
同日 秋葉原駅前
岡部「明日、か。さすがに実験は代返頼めないからな……」トボトボ
ダル「おっ。オカリンちょうどいいところにー。今雷ネットの試合が終ってさー」
フェイリス「軽く敵を蹴散らしてきたニャン」ムフー
ダル「んほー!かわいくも強者の発言ktkrー!」
フェイリス「それで、お医者様はどうだったニャン?」
岡部「あぁ、いい人だった。患者で混んでいて忙しい中、色々丁寧に説明してくれたな(アナルバージンを奪われたとはいえない)」
ダル「もー、そうじゃないだろオカリン。一体なんの病気だったのかって話だお!」
岡部「そうだったな。それが明日また検査することになって、それからじゃないとわからないそうだ」
フェイリス「そうだったニャン……早く良くなるといいニャン!」
ダル「つーかオカリン、大学は大丈夫なのかお?明日は実験だろ?」
岡部「一応担当の先生に連絡はしておいたが、単位をくれるかどうか……」
ダル「大変だお!オカリンがこのままだとダブリンになってしまうお!」
岡部「アイルランドか!」
38:
フェイリス「大学生は大変だニャン。金糸雀学園はもう冬休みだニャン」
岡部「高校生だって色々大変だろう。そろそろ進路を考える時期ではないのか」
ダル「オカリン、フェイリスたんのプライベートトークはその辺にしておくんだぜ……。
 つーかどして秋葉原に戻ってきたん?信濃町からだったら池袋にそのまま帰った方が近いんじゃね?」
岡部「一応お前たちに連絡しておこうと思ってな。世話になっているのだ、直接顔を合わせなければと思った次第だ」
フェイリス「キョーマ……!」
ダル「で、ほんとは?」
岡部「定期をラボに忘れた」
40:
同日 未来ガジェット研究所
岡部(定期を忘れて小銭で切符を買わなければならない時の切なさは以上だ)
岡部(大した金額ではないが、日ごろからの意識が足りなかったために生じた損害だと思うと情けなくなってくる)
岡部(今の俺の病気も、原因不明とは言っていたが、おそらく普段の健康に対する意識の低さがたたったのだろう)
岡部(これがそのパンフレットか……あまり目を通したいものではないな)スッ
岡部(それにしても定期はどこ、だ……ん、あったあった。机の下に落ちていたか)
岡部(ここ最近日が沈むのが早くなってきたな。急いで実家へ向かおう)タッ
パンフレット「……」
41:
AD 2010.12.21 08:56:46:88 (THU) 池袋の実家
岡部(内視鏡検査の同意書にサインをした)
岡部(万が一の可能性だが、なにかしら病気を併発してしまうかも知れない、最悪腸壁を破ってしまうかも知れないとのことだった)
岡部(まぁ、病気といってもまだ俺も若いのだ。そういうのは大丈夫だろう)
岡部(そう言えばまゆりはクリスマスと同時に俺の誕生日プレゼントをくれるそうだ)
岡部(時間がかかっている、というのだから、手編みの何かなのだろう。楽しみだな)
岡部(しかし、世間はクリスマスシーズンで浮き足立っているというのに)
岡部(今日は、足が重いな)
42:
同日 慶應義塾大学病院内視鏡検査休憩室
看護師「それでは岡部さん。この容器の中に入った溶液をよく振ってから、1時間かけてゆっくり飲んでください」
岡部「は、はい(なんだこの黄色い液体は?スポーツドリンクにも見えなくはないが……)
看護師「この紙コップの中に目盛りが書いてありますので、それを参考にしながら飲んでいってください」
岡部「はい」
看護師「そうすると次第に便意を催しますので、どんどん排便していってください」
岡部「……」
看護師「最終的に便が透明になったら呼んでください。では」 ガチャ
岡部「……便が、透明?あぁ、全てのクソ便を出し切ってこの溶液しか出てこなくなるまで、ということか」
岡部「しかし、なぜこの液体は固形物が溶けきっていないのだ……」
43:
岡部「ふんっ!」ジャバジャバジャバ
岡部「なんだこれ……全然溶解しないではないか。もう飽和しているのか?」
岡部「まぁいい。試しに飲んでみるとするか」
岡部「クックック……果たして、この狂気のメァッドサイエンティスト、鳳凰院凶真の舌を満たすことができるかぬぁ?」
岡部「っんいくぞっ!!」ゴクゴクゴク
岡部「……」 ゴクゴクゴク
岡部「……」コトン
岡部「び、微妙だ……」
岡部「たしかに飲めなくはない。かと言って日常的に飲みたくなる味ではないが……。
 どこかしらルートビア的な薬品の雰囲気もあるな。若干しょっぱいスポーツドリンクといったところか」
岡部「ふふふ……くくく……フゥーハハハハ!こんなところで出会えるとはなぁ!
 完璧な比率の下に配合された黄金溶液<ゴールデンソリューション>よ!!」
コンコン
看護師「あのー、さっきから大丈夫ですか」
岡部「」
44:
岡部(あれから1時間が経ち、指定された1Lを飲み干したが……)
岡部「一向に便意が来ない」
岡部(何故だッ!!来て欲しくない時には来るくせに、来て欲しい時には来ないなどッ!)
岡部「貴様はツンデレかッ!!」
コンコン
看護師「岡部さーん、調子どうですか」
岡部「それがまだなかなか……(便意が来なくて)」
看護師「あら、まだ透明になりませんか。ではもう1L追加しておきますね」
岡部「」
看護師「検査は午後一ですが、一応順番を後にずらすこともできますので、ゆっくり自分のペースで大丈夫ですよ」
岡部「はい……」
45:
岡部(なにやら休憩室内に初老の方が増え始めたな)
岡部(皆本日の内視鏡仲間ということか)
岡部(内視鏡が複数台あるのかどうかは知らないが、おそらくこやつらとは穴兄弟になるのであろうな)
岡部(ほぅ……あの御仁などすごいな。1時間かけて、と言われたのにものの10分で飲み干してしまった)
岡部(熟練の雰囲気をかもしだしている)
岡部(それよりも気がかりなのは、俺が"あの"急激な便意に襲われたとして、そのタイミングで誰かに個室を占有されていないかどうかだ)
岡部(これが気になっておちおち便意も催せない)
岡部(逆もまた然りだ。つまり俺が長時間占有してしまうが為に他の御仁のドーハの悲劇が繰り広げられてしまうのではないかという)
岡部(というか……)
岡部「ヒマだな……」ゴクゴク
47:
岡部(とりあえず試しに一発がんばってみるか。まだ便意は来ないが)ガチャ バタン ガチャ
岡部(結局1.5Lは飲んだので、さっきから腹の中がパンパンで苦しいのだ)スッ
岡部「ウォシュレットは……さすがにあるか。ほぅ、温風乾燥まで付いてるとは、気が利くではないか」
岡部「それでは、いざ……!!」グッ
岡部「ふんっ……ふんっ!!」グッ
岡部「はぁはぁ……」
岡部「も、もう一度……ふんっ!!」ギュッ
岡部「く、くそっ!!くそっ!!」
岡部(なぜだッ!!どうして出ないッ!!こんなにも腹の中に詰まっているというのにッ!!)グッ
岡部「出ろよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!」ブリュリュリュリュリュリュリュリュリュ
48:
岡部「!?」ブリュリュリュリュリュリュリュリュ
岡部「うわ、なんだこれ!熱っ!う○こ!?う○こだ!」ブリュリュリュリュリュリュ
岡部(というか、この排泄量毎秒では便が便器からあふれ出してしまうのではないか!?)ブリュリュリュリュリュ
岡部「い、今のうちに一回流しておこう」ブリュリュリュ ガチャ ジャー ブリュリュリュ
岡部「スプラッシュマウンテンもビックリのすごい勢いだ!肛門が摩擦ではち切れてしまう!」ブリュリュリュリュリュリュ
岡部「……」ブリュリュリュリュリュリュ
岡部「……」ブリュリュリュリュリュ
岡部「……」ブッ
岡部「ふ……やっと止まっt」ブリュリュリュリュリュリュ!!
49:
名セリフを改悪して出すなwwwwwwww
50:
岡部「ふ、ふぅ。今度こそ本当に止まった……」
岡部「さて、便の様子を確認しなければ」
岡部「チラッ」
岡部「うーむ、まだうす茶色と言ったところか。黄色ではないな」
岡部「なんとなく要領がつかめてきたな。よし、残りの500mLを飲み干してしまうか」フキフキ ジャー
ガチャ バタン
岡部「よいしょっと。さて、もう一度よくシェイクして……」グルルルル
岡部(ん、なんだ、便意が抜け切っていないだと……?)
岡部(くそっ、今度はこの絶妙な便意と戦いながら500mLもの黄金溶液<ゴールデンソリューション>を飲まなければならないのか)
看護師「岡部さーん、どうですか」
岡部「あ、はい。まだ少しうす茶色です」
看護師「そうですか。では、次一回見せてもらっていいですか?」
岡部「(なんと!)あ、はい」
看護師「排便が終りましたら便をトイレに流さずにナースコールを押してください」ガチャ
岡部「……マジでか」
岡部「くっ、今更女性にう○こを見せるくらいなんだ!
 こうなったら我が体内より生成された完璧な黄金溶液<ゴールデンソリューション>を見せ付けてやろうではないかッ!」
51:
ナースコール「ビ-----------」
岡部(いよいよだな。ついに人生で初めて自分のクソ尿を女性に見せ付ける……)
岡部(いや、初めてではないな。よく考えたらお袋には世話になっていたな、赤ん坊の時に)
岡部(赤ん坊か……この俺が赤ん坊と同じか……)
コンコン
看護師『どーされましたー?』
岡部(む?先ほどの女性とは違う声?)
看護師『お体だいじょうぶですかー?』
岡部(まさかシフト交代時間だったのか!?そういえば今お昼か……)
岡部(いささか先ほどの看護師の母性を鑑みれば見ていただくのも大丈夫だろうと決心していたのに)
岡部(さっきより声がロリっぽい!)
岡部「あ、いえ、あの、えーっと……」
岡部(くそっ!こんな時なんて言えばいいんだ!『う○こしたから見てください』とでも言えばいいのか!?)
看護師『排泄便の色の確認ですかー?』
岡部「(た、助かった!)はい!そうです!」
52:
岡部(……ん?待てよ、う○こは見せるとして、俺はパンツを下げている必要はあるのか)
岡部(おばちゃん看護師ならまだしも、このロリ声の主にマイ・サンを見られてしまうのはさすがにはばかられる)
岡部(とは言っても、う○こを流してからウォシュレットをして紙で拭く、この流れがまだだ)
岡部(それなのにパンツを上げたらう○こがパンツにくっ付いてしまう。当然だ)
岡部(しかし、ケツを紙で拭いてしまったら、その紙はどうすればいい?便器に入れてはう○こを見せ付けることができなくなってしまう)
岡部(手で持っておくのか?手で持っておくのか?)
岡部(……そうか、これが運命石の扉<シュタインズ・ゲート>の選択か)
看護師『失礼しまーす』
岡部「あ、すいません、ちょっと待ってください」
53:
岡部(結局俺はその少し若い看護師さんになんとかバレないように
 う○こがついたままのトイレットペーパーを後ろ手に隠しながら便の色を確かめてもらった)
岡部(黄色透明の水様便。どうやら検査可能な状態になったらしい)
岡部(確認を終えた看護師さんが個室を出て行った後、我が手に隠した紙をそっと便器に投げ入れた)ポイー
岡部(そしてレバーを下げ、水を流す)ジャー
岡部(……何をやっているんだ俺は)ガチャ バタン トボトボ
54:
看護師「はい、それではこちらに着替えてください」
岡部「これは……(紙で出来た甚平みたいな感じだな)」
看護師「あちらの更衣室内にロッカーがありますので、貴重品はそちらにしまってください。
 装飾品やヘアピンなどありましたら外しておいてください。
 あと靴下も脱いで裸足でこちらのスリッパをお使いください」
岡部「はい」ガチャ バタン
岡部(む……?よく見ると短パンの方、ケツの穴のところに穴が空いているな)
岡部(そうか、着ながらカメラを挿入するのか)
岡部(恥ずかしく感じさせない為の工夫なのだろうが、穴の空いた短パンなどやはり抵抗があるな)ヌギヌギ
岡部(この服、使い回しじゃないよな……?)
55:
看護師「岡部さーん」
岡部「(ついに来たか……)は、はい!」
看護師「検査室の方へどうぞ」
岡部(緊張してしまうな……ただ注射をするとか、レントゲンを取るとかではなく、やはり肛門に挿入となると)
岡部(いや、だめだ。気にしたら負けだ)
医師「やぁ岡部くん。調子はどうかな」
岡部「先生。今日はよろしくお願いします」
医師「……」
看護師「……」
岡部(……ん?なんだ?)
医師「岡部くん、パンツを脱いできてくれるかな」
岡部「えっ……ハッ!///」
岡部(シィィィット!!パンツを脱ぐの忘れた!!
 そりゃそうだ、あんな甚平を着るのになぜ俺はパンツを脱がなかったのだッ!)
56:
岡部(鳳凰院凶真、一生の不覚ッ!)ソソクサ
医師「はい。それじゃ改めて始めようか。まずは麻酔を打つね」
岡部「はい」
看護師「それじゃ右肩を出してください。少しチクっとします」プスッ
岡部「……」
医師「それじゃ、その台に横になってくれるかな」
岡部「はい」
医師「そのまま壁を向いて、少しひざを抱えるような感じで」
岡部(こうか……ん?なんだあのでかい画面は。あっちの黒い縄みたいな、たぶんカメラだろう、
 アレの視線の先を映しているのか。ということは、あの画面に俺の腸内が映し出されるわけか)
医師「じゃーローション塗るよ。少し冷たいからね」ヌチャァ
岡部「ふぉっ///」
医師「力抜いてー。リラックスしてー」スーッ
岡部(くるっ……!くるっ……!)
57:
岡部(……ん?入ったのか。いつの間に)
岡部(麻酔のせいか、緊張のせいか、いつ挿入されたのかよくわからなかったな……)
岡部(おぉ、画面を見ると、テレビで見たことのある、アレだ。ピンク色のひだひだチューブが映っている)
岡部(間違いなく入っているな。そして今もそんなに遺物感がない)
医師「ふむ……直腸周辺は炎症していないね。ちょっと奥の方を見てみよう」スーッ
岡部(うおっ!なんか、コンってあたった!第一コーナーで接触か!)
医師「……結構綺麗なままだね。ちょっと仰向きになって」
岡部「は、はい」
医師「あーでも小腸周辺が少し炎症しているね。ちょっとこれから小腸に入るよ。看護師くん、ココを押さえていてください」
看護師「はい、先生」ギュッ
岡部(そういって看護師さんは俺の腹のど真ん中を両手で圧迫したのだが)
岡部(痛い!今まであまり痛みを感じなかったがこれは痛い!とにかく痛いッ!)
岡部(が、我慢だ岡部倫太郎……検査中だそ、ごねてしまっては子供のようではないか)
岡部(画面を見るとカメラはくねくねを繰り返している。ラビリンスへの侵入に手をこまねいているかのようだな、フハハッ)
岡部(などとッ!気を逸らしてみたがッ!だめだ……この痛みはもう耐えられないッ!)
58:
岡部「す、すいません。痛いです……」
看護師「少し我慢してくださいね」
岡部(……こ、このやろう!)
岡部「あの、すいません、ホントに」スッ
岡部(そう言うと俺は無意識のうちに両手でその看護師の手をどけていた。看護師の表情など気にしている場合ではなかった)フーッ
医師「それじゃ細胞採取するね」スーッ
岡部(細胞採取だと?なんだそれは。む、カメラチューブの中へと鉄線のようなものを挿し込んでいくぞ?)
岡部(ほぅ、画面を見るとカメラの先端から鉄線で出来たロボットアームのようなものが出てきたな……ま、まさかッ!)
医師「ちょっと痛いかも」
岡部(ロボットアームが俺の腸壁をつまんで……!)
ブチッ
59:
岡部(ヒィィッ!……あ、あれ?痛くない)
岡部(映像を凝視してしまったため脳内で痛みをイメージしてしまったが、実際のところはそんなに痛くなかった)
医師「あと8回くらいやるね」
岡部「は、はい……」
ブチッ ブチッ ブチッ ブチッ……
医師「はい、検査終了です。お疲れ様」
岡部「ありがとうございました……」フゥーーーー
看護師「ではこちらの車椅子に乗ってください」
岡部「……ん?」
看護師「中には休憩室へ行く間に転倒してしまう患者様もいらっしゃいますので、
 皆様必ず車椅子に乗っていただくことになっております」
岡部「あぁ、そうなんですか。わかりました」
岡部(と言っても、ケツの周りがローションまみれなんだが……)
岡部(前回使用した患者と、俺の次の患者も同じことをしているのだよな……さすがにきれいに毎回車イスの座部を拭いている、よな)
岡部「よいしょっと」ヌチャァ
看護師「それでは動かしますねー」
60:
岡部「あれ、結局病状の方は……」
看護師「検査の結果は後日の診察でお教えします」
岡部「後日……すいません、あの、先生」
医師「ん、なにかな?」
岡部「できるだけ早く検査結果を教えていただけないでしょうか」
医師「そうだね……次は来週の水曜日か」
岡部「!」
医師「これより早いのは厳しいんだ、ごめんね。ただ、病気に関して言えば潰瘍性大腸炎ということで問題ないよ」
岡部「……えっ」
医師「この状態なら、潰瘍性大腸炎と診断しても問題ないと言う事だね。 処方箋を出しておこう。
 前言っていた保健所へ提出する用の書類も次回渡すよ」
岡部「ってことは、俺は、難病……」
医師「よりよく状態を確かめるのは、やっぱり来週の水曜日になってからだけどね」
岡部「そう、ですか。わかりました……失礼します……」ガチャ
岡部(難病、この俺が、狂気のマッドサイエンティスト鳳凰院凶真が、難病か……)トボトボ
岡部(……今日はこのまま実家へ帰ろう) トボトボ
62:
同日 池袋の実家
岡部「ただいま」
岡部父「おう、おかえり。おーいかーさん、せがれが帰ってきたぞー」
岡部「なんだよそれ」ハハッ
岡部母「あら、おかえり。それで、病院どうだったの」
岡部「それが、どうやら俺は……」
まゆり「あれー?オカリン今日はこっち帰ってたのー?」
岡部(まゆりっ!?)
岡部母「あらーまゆりちゃんじゃない」
まゆり「トゥットゥルー♪まゆしぃ☆です」
岡部母「そうだ、今この人病院から帰ってきたらしいんだけど」
まゆり「そうだよオカリン!それで、どうだったのー?」
岡部「あ、いや、それがだな……」
61:
るか子ルートも待ってます
63:
>>61ルートじゃないけど追加するつもり
岡部「ふっ。あまりにもメァッドな研究に執心してしまった為か、
 こともあろうに俺は自らを被験体にした人体実験にまで手を染めてしまってな……」
まゆり「オカリン」
岡部「……いやなに、薬飲んでれば治る」
岡部母「なぁんだ、そうだったの。それならまぁ、よかったわね」
まゆり「そっか……でも痛がってるオカリン見るのは嫌だからね。
 少しでも健康的な生活をしなきゃだめだからね!オカリン!」
岡部母「そうねぇ。まゆりちゃんみたいなしっかりした娘が彼女になってくれたら、
 この人ももっとしっかりするんでしょうけどねぇ」フフッ
岡部「お、おふくろ!」
まゆり「決めた!これからオカリンに生活指導します!」
岡部「まゆりッ!?」
64:
AD 2010.12.22 05:56:72:11 (FRI) 倫太郎の部屋
チュンチュン……
まゆり「トゥットゥルー♪オカリン、朝だよ!起きて!」ユサユサ
岡部「んむむ……なんだまだ眠いってどうおぁっ!ままままゆり!?」
まゆり「そんなにビックリしなくてもいいと思うのです……」
岡部「いや、その、なんだ。すまん……って、まだ朝の6時にもなっていないではないかッ!」
まゆり「早起きは三文の得なんだよ、オカリン」
岡部「今日の大学は二限からなんだから、勘弁してくれ……」
まゆり「だめだよ、ほら、朝ご飯もう用意してあるから」
岡部「な、なに!?」
65:
一旦ここまで。ちょっと用事ができたので2時間くらい出かけてきます
66:
乙。まゆしぃは人質の鑑
67:

こんな病気あるなんて初耳だった
68:

急性の方ならなった事あるけど口にした水が緑色になって出てきて死ぬかと思った
70:
岡部「なんだ、おふくろが用意してくれたのか。朝早くから悪いな」
岡部母「なに言ってんのよ。お母さんいつもこの時間に朝ごはん食べてるんだからね」
岡部「そうだったのか、知らなかった。親父は?」
岡部母「もうとっくに出てるわよ」
岡部「そうか。それで、飯は?」
岡部母「まゆりちゃんがね、消化にいいものがいいだろうって」コトン
岡部(またおかゆか……)
岡部母「あとお店で余ったリンゴね」コトン
まゆり「まゆしぃはリンゴも大好きなのです」
岡部「賞味期限大丈夫か?」
まゆり「ほらオカリン、一緒に食べうよ。おばさん、いただきますなのです」
岡部母「おかゆなのになんだか悪いわね。どうぞ、召し上がれ」
岡部「(まゆりまで俺の飯に付き合ってくれることはないのにな)うむ、ではこのゲル飯をいただくとするか」
71:
まゆり「それじゃオカリン。まゆしぃは学校に行くけど、お昼食べ過ぎちゃダメだからね。
 ちゃんとあったかい格好して学校行ってね。腹巻つけてくれると嬉しいのです。
 それからそれから……」
岡部「まゆり、わかってるよ。大丈夫だ」
まゆり「それならいいのです、えへへ」
岡部「ほら、お前が遅刻したら元も子もないだろ。行ってこい」
まゆり「うん!行ってくるねーオカリン」タッタッタッ
岡部(……)
岡部(……結局、言えなかったな)
岡部(難病、か。もうちょっと自分の中で整理してから伝えたい)
岡部(さて、ちょっと早いが大学へ向かうとするか)
岡部(大学か。無事進級できるのだろうか。
 問題なのは一度内視鏡検査のために欠席した実験だが、今期は残すところあと二回だ。レポートも早々にとりかからねばな)
岡部(どちらかでもサボったら即留年だ。なんとしても避けなければ……)
岡部(ん、というか、難病なのに俺は大学を卒業した後、就職できるのか)
岡部(面接で不利になったりしないのか。研究職など、どうしたって下痢人間には向いてない)
岡部(この下痢も、いつ症状が悪化するかわからないからな。重要なプロジェクト中に発症などしたらたまったものじゃない)
岡部(……また、再発するのかな)
72:
AD 2010.12.23 07:12:63:80 (SAT) 未来ガジェット研究所
ダル「んで、結局昨日一日大学でショボーンなオカリンを心配した僕は、男二人ラボで夜を明かしたわけだが」
岡部「何故に説明口調なのだ……」
ダル「つーかさ、病気についてはまぁよかったんじゃね?薬で治るなら時間も取らないし」
岡部「月1くらいで診察は受けるがな」
ダル「それよりもでっかい問題が目の前に迫っているんだぜオカリーン?」
岡部「あぁ、わかっている。明日は」
ダル「クリスマス・イヴッ!!いやぁ僕の人生でクリスマスという日が輝いて見えるとは思ってもなかったんだぜ」
岡部「童貞こじらせると大変ですね、とどこかの助手からメールが来ていたぞ」
ダル「えっ、どゆこと?今この瞬間にメールを送ってメールが来たん?」
岡部「いや、ダルが未だに阿万音さんと進展がないという話をこの前していてだな」
ダル「……」
岡部「あっ……いや、なんだ。その」
ダル「……」
岡部「……すまん」
73:
ダル「もうっ!僕はそういうのはもっと大事にしておきたい派なんだよ!
 つーかそーゆーオカリンこそどうなんだよ。明日明後日で大人の階段をのぼる勇気あるのかお?」ニタァ
岡部「うっ、うるさいぞダル!こっちはそもそも遠距離なんだから、貴様らとは違って色々物理的にだな!」
ダル「はいはい言い訳、乙!」
岡部「ぐぬぬ……」
ダル「……」
岡部「……」
ダル「なんかさ、不毛じゃね」
岡部「奇遇だな、同感だ」
ダル「……」
岡部「……」
ダル「朝飯何食べる?」
岡部「マクディで」
ダル「うぃー」
74:
ダル「てなわけで、明日ラボメンのみんなにプレゼントするものを買わないとってことで」
岡部「アキバの街を練り歩いてるわけだが……」
岡部「すまん、ダル。ちょっと疲れたのか、気分がダルい」
ダル「まったくー、そんなんで明日大丈夫かお?電気店でも入って休憩しようず」
岡部「ん?なぜ電気店なのだ?」
ダル「いやぁ、デブ用のマッサージチェアーが結構気持ちいいんだお」
岡部「……仕方ない、乗ってやろう」
ダル「おう!そうこなくっちゃ」
岡部「ついでにそこでプレゼントを買うか。今時の電気店は何でもあるからな」
ダル「まとめて買ったのがバレたらオカリン株がダダ下がりだお」
岡部「ちゃんとそれぞれに贈る物を考えているぞ!」
75:
AD 2010.12.24 06:45:72:44 (SUN) 未来ガジェット研究所
まゆり「トゥットゥルー!オカリン!オカリン!」
岡部「ふおっ!?ま、まゆり?あれ、鍵はどうした?」
ダル「僕が開けてあげたんだお。ふぁーぁ、まゆ氏、まだ6時だぜ?
 ずっとエロゲコンプしてたのでさすがにもうちょっと寝てたい気分」
岡部「俺が寝た後になにをやっていたんだ全く。というか、そうかもう朝か」
岡部(昨日は一日アキバを歩き回って、といっても大して動いたわけではないのだが、
 それで疲れてしまって、気づいたら寝ていたのだな)
まゆり「そんなことはどうでもいいのです!オカリン、これなに?」
ダル「んー?それはマクディのゴミだお。ハッ!まさか、まゆ氏にヤンデレ属性が!?」
岡部「昨日の朝食ったんだが……」
まゆり「あのねぇオカリン。朝ごはんは特におなかにいいもの食べないとだめなんだよ!」
岡部「いや、そのくらい大丈夫だって」アセアセ
まゆり「……お医者さんの先生が言ってたの?」
岡部「あ、あぁ。そうだ。だから、大丈夫だ。ほら、この通り元気だぞまゆり!フゥーハハハ!」
まゆり「うん……。もー、心配かけさせないでよねーオカリン……」
76:
ダル「それで、今日はラボメンガールズ+阿万音氏がここでクリスマスパーティーの準備をするんだって」
岡部「なに?そうだったのか」
ダル「え、オカリン知らなかったの?mjd?」
岡部「いや、まぁ別に構わないが。というか俺たちは手伝わなくていいのか?」
まゆり「オカリンにまた無理させて倒れちゃったら、まゆしぃ嫌なんだよ」
岡部「そ、そっか。でもダルは?」
ダル「僕はでっかいから邪魔なんだって」
岡部「うわぁ……」
ダル「やめろよオカリン……」
まゆり「ダルくんはオカリンが変なもの食べないように見張っててね!」
ダル「いえすまむ!ばっちりオカリンを視姦しておくお!」ビシィ
岡部「やめろォ!」
77:
ダル「ラボを追い出されてしまったわけだが」トボトボ
岡部「こんな朝早くじゃどこも店が開いていないな」トボトボ
ダル「どする?」
岡部「……そうだなぁ」
岡部「成田、行くか」
ダル「まぁ、中央通りを公園方面に歩いてたから薄々感づいてたわけだが」
岡部「ふっ、さすが我が頼れる右腕<マイフェイバリットライトアーム>……」
78:
同日 成田国際空港国際線到着ロビー
ダル「僕、居ない方がよかったんじゃね?」
岡部「ふん、阿万音さんと抜け駆けデートを計画していないような奴には居場所などあるまい」
ダル「オカリン、さすがにキレちまったぜ……」
岡部「というかだな、正直に言えば……いてくれるとかなり助かる」
ダル「まぁ、オカリンが久しぶりの牧瀬氏に会って動揺を隠せないのは目に見えてるからね。フォローするお」
岡部「恩に着るぞ、ダル」
ダル「よせやいよせやい」
岡部「さて、そろそろのはずなんだが……」
ダル(お?もしかして、あれ……)
79:
| ,, ,,
|*゚д゚) ジー
|⊂)
| /

|
| ミ
| ピャッ
|
|
81:
ダル「……なにやってるんだお牧瀬氏」
紅莉栖「どぅぇえぇっ!?は、は、は、橋田ァッ!?」
ダル「動揺しすぎだろjk……」
紅莉栖「ちょ、ま、お、岡部はッ!?」
ダル「まだ気づいてないみたい。ちょっと呼んでくるお」
紅莉栖「え、あの、いや、ちょっと待ってぇぇぇっ!!!」ヒシッ
ダル「もう、なんなんだお」
紅莉栖「なんていうか、そう!心の準備がまだッ……」
岡部「そんなに空港でキャンキャン騒ぐな、助手よ」
紅莉栖「」
82:
紅莉栖「あ、あ、あ、あ、あ、あの……ッ!」
岡部「久しぶりだな、紅莉栖」
紅莉栖「ふぃ、ふぃさしぶりぃ///」
岡部「プッ。なんだ、英語訛りか?」ニヤニヤ
紅莉栖「な、バカ!違うわよ!もうっ……!///」
ダル「デレデレのところ悪いんだけどさ、もうちょっと周りの目を気にした方がいいと思われ」
紅莉栖「なっ……!///」バッ
Oh…… 最近の若い子は…… ツンデレデース…… ガヤガヤ
紅莉栖「/////」
ダル「まーとにかくさ」
岡部「うんむ」
岡部&ダル「おかえり」
紅莉栖「……うん。ただいま」
83:
同日 京成線上り列車車内
ダル(で、病気のことは牧瀬氏には黙っておくん?)ヒソヒソ
岡部(明日、言う。いつかバレるからな、早い方がいい)ヒソヒソ
ダル(まー、今日はケーキとか七面鳥とかあるかもわからんね)ヒソヒソ
岡部(そういうことだ。そんな席で下痢の話などできまい)ヒソヒソ
紅莉栖「うーっ、眠い。向こうじゃもう夜なのよね」ハァ
紅莉栖(飛行機の中じゃドキドキして眠れなかったし……)
岡部「いるよなー時差ぼけアピールする女」
ダル「きっと自分がした貴重な体験をアッピルしたいんだぜ」
紅莉栖(こいつらぁ……)ギロッ
ダル「牧瀬氏がすごい形相で睨んでくるんだけどオカリンが全部悪いから」
岡部「フーン、助手ぅ。電車の中では手も足も出せまぁい?」ドヤァ
ダル「なんかいつもより元気だなオカリン」
84:
同日 秋葉原
ダル「電車から降りてすぐに愛の一撃を喰らうオカリンであった」
岡部「ごべんなさい……」ヒリヒリ
紅莉栖「まったく。私はこれからパーティーの準備を手伝うことになってるから。
 ちょっとスーパー行って買い物してくるわね」
岡部「ん?助手よ、まさかとは思うが、お前の担当は?」
紅莉栖「助手ってゆーな!もう内装はほとんど終ったらしいから、後は料理ね」
岡部&ダル「!!!」
85:
岡部(いや、万が一、いや、億が一、アメリカで料理のスキルを磨いてきたとか)ヒソヒソ
ダル(あの味オンチ大国で?)ヒソヒソ
岡部(……)
ダル(しかも大学のラボに缶詰だったのに?)ヒソヒソ
岡部(……)
紅莉栖「料理なんて久しぶりねー、腕が鳴るわ!」
岡部「くくくく紅莉栖ぅ!?そ、そうだ!せっかくのクリスマス・イヴだしな、これから二人でどこかブラつかないかッ!?」
紅莉栖「ふぇっ!?///そそそそそれって、デデデ、デー……///」
紅莉栖(……///)
紅莉栖「ううん、岡部。橋田と阿万音さんに悪いもん。みんなで楽しみましょ」ニコッ
岡部「紅莉栖……」
ダル(天使のような悪魔の笑顔だお……)
86:
岡部「結局紅莉栖がスーパーへ向かうのを阻止できなかったわけだが」
ダル「ちょっと正露丸買ってくるお……」
岡部「俺もそうしよう……」
ダル「そいやラボにあった正露丸が全部なくなってた件」
岡部「あぁ、俺が下痢してる時に飲んでたな。そうだった、買い足しておこう」
ダル「あれ、正露丸でもオカリンのしつこい下痢には効かなかったん?」
岡部「俺も驚いたんだが。今まで人生で正露丸を飲んでおけば間違いなかったのに今回は全然だめだった」
ダル「まー医者にかかるような病気だったわけですしおすし。仕方ないかもわからんね」
87:
岡部「ふむ。まゆりからメールだ、もう来ていいってさ」
ダル「おk、楽しみだお!」
岡部「一日中寒空の下を彷徨っていたからな、早く暖かい料理にありつきたいものだ」
ダル「でも僕が隣にいたお陰で少しは気温が上がってたと思われ」
岡部「お前はカイロか!」
岡部(思えばSG世界線にたどり着いてからというもの、阿万音さんを含め全員で集まるという機会は一度もなかったな)
岡部(勿論、鈴羽に会えるのは7年後なわけだが)
岡部(さて、どうなることやら)
90:
ガチャ
\メリークリスマース!/ パーンパーンパーン
岡部「うおっ!?ってクラッカーか」
ダル「って!阿万音氏そのコスは!王道中の王道!」
由季「まゆりちゃんがね、どうしてもっていうから……///」
ダル「うほぉ!フェイリスたんもわざわざスペシャルコスチューム投入かお!この空間ヤバイ!」
フェイリス「はいはいダルニャンは向こうでお着替えしましょうニャーン」
ダル「え、僕もコスプレすんの?mjd?」
まゆり「オカリンはこれだよー」スッ
岡部「鹿、いやトナカイのツノカチューシャと、赤鼻か」スチャ
紅莉栖「ブフォwww似合ってるじゃないwww」
岡部「ええい、草を生やすな草を!」
ルカ「おか……凶真さん。あの、ボクとおそろいですね!」
岡部「おぉ、ルカ子もトナカイカチューシャか。というか、コスプレはいやだったのではないのか?」
ルカ「このくらいなら……せっかくのパーティですし」モジモジ
91:
萌郁「……」ピロリロリン
岡部「閃光の指圧師<シャイニング・フィンガー>よ、今日くらいしゃべったらどうなのだ」
萌郁「……メリー……クリスマス」
ダル「メリークリスマスだお!デブが輝ける瞬間ktkr!」ヌッ
岡部「うわっサンタだ!」
まゆり「ダルくんすごい似合ってるよー!」
ダル「いやぁ照れるぜ」
紅莉栖「はい、それじゃ色々用意したものを並べましょうか」
フェイリス「みんなで力を合わせて作ったニャン!」
由季「おいしいものがいっぱいですよ」
ダル「キタ---------------!!!」
92:
岡部「ジューシーから揚げに、エビフライ。ハムに野菜?を巻いた奴に、ウィンナー。もちろんマスタードとケチャップもある。
 骨付きの豚リブに、焼き鳥。何やらかわいらしい海老の生春巻きに、サラダとフルーツの盛り合わせ、か。
 そして……これは、なんだ?」
紅莉栖「ポテトサラダよ?」
岡部「ポテトサラダだと……ッ!?」
ダル「うわーおいしそうなポテトサラダだお(棒」
岡部「まず臭いだが、どうしてすっぱそうな臭いがするのだ」
紅莉栖「酢漬けのキュウリを使ったのよ、マヨネーズと合うって書いてあったから」
岡部「……色が芋の色ではないのだが」
紅莉栖「少しカレー粉を混ぜてみました」
岡部(口が裂けても絶対に言えないが、まるで下痢便だな……。今の感想は墓場まで持っていこう)
岡部「……わかった、あとで食べよう」
紅莉栖「そうね、まずは乾杯しないと。シャンメリーを用意してあるから、みんなにグラスまわして」
ダル「がんがれオカリン」
93:
岡部(そんなこんなで第一回ラボメンクリスマスパーティー<※命名まゆり>が始まって)
岡部(俺は心の底から楽しんだ。今までにないほどに、な)
岡部(この瞬間を手に入れるための世界線漂流だったと思えば安いものだ……)
まゆり「はい、次はオカリンにプレゼントだよー。こっちが誕生日プレゼントで、こっちがクリスマスプレゼント!」
岡部「ふむ、手編みのマフラーと、手袋か。ありがとな、まゆり。大事に使わせてもらおう」
まゆり「えっへへー」
紅莉栖「私からもほら、岡部にプレゼントよ」
フェイリス「ニャニャ!クリスちゃんから愛の贈り物だニャ!」
紅莉栖「るみちゃん!///」
岡部「これは……腕時計か。高かったんじゃないか?」
紅莉栖「いいのよ、無駄にお金もらってるし。岡部に似合いそうだったから」
ダル「束縛したい深層心理があるわけですねわかりますん」
由季「紅莉栖ちゃん大胆」ウフッ
紅莉栖「そこぉっ!」
94:
紅莉栖「それではいよいよケーキを出しましょうか」
ダル「ケーキktkr!そのためのサンタです。キリッ!」
フェイリス「メイクイーン+ニャン2がお届けする、マユシィ・ ニャンニャンとフェイリス・ニャンニャンの愛情たっぷりのいちごケーキだニャ!」
ルカ「デコレーションは僕も手伝いました!」
岡部「ふっ、こんなこともあろうかと用意しておいたのだ。サイエンスが未来を切り開く時!
 未来ガジェット12号『正確に切りワケール』!」
ダル「アニポケ見てんのかおオカリン」
岡部「いや、まとめサイトだけだ」
紅莉栖(ネタがわかってしまった私は突っ込んだら負けな気がする)
95:
ゴンゴンゴン
岡部「ん?誰だ?」
まゆり「サンタさんかなー」
天王寺「よう岡部ぇ!やってるかー!おいおいなんだにぎやかじゃねーか」ガチャ
紅莉栖「あ、天王寺さん。お久しぶりですって酒臭っ!」
岡部「飲みに来たのですかMr.ブラウン……」
天王寺「いやいや、そうじゃねぇ。またお前らに頼みがあってな。ほれ、手土産だ」
紅莉栖「あ、ありがとうございます」
天王寺「実はな、今しがた綯を寝かしつけてきたところでな」
ルカ「小学生でも少し早い時間ですね……」
天王寺「そーだ。いい子にしてねーとサンタさんこねーぞ、ってな。
 今頃サンタが来るのをドキドキしながら寝たフリして待ってんだろうなぁ。そこでだ……」チラッ
ダル「ん?」モグモグ
96:
ダル「はぁ!?今から御徒町の自宅へ行ってプレゼントドッキリ!?」
天王寺「頼むぜ橋田!俺ぁ娘のためならなんだってするぜ」
岡部(そう言えばそうだったな……)
まゆり「ダルくん。綯ちゃんのためにもやってあげようよー。まゆしぃもついていくのです」
由季「なんだかおもしろそうですね。私も行ってもいいですか」
天王寺「ああ、もちろんだ!タクシーをまだ前に停めてあるからよ、そうと決まったら行くぞ!
 悪ぃな岡部、ちょっと借りてくぜ」
岡部「小ど……娘さんのためなら仕方ありませんね。ダル、デブの有効活用をしてくるがいい」
ダル「ちょ、勝手に話進めるとかヒドス」
97:
ブロロロロ……
フェイリス「嵐のようだったニャ」
岡部「30分もあれば帰ってくるだろう」
紅莉栖「それより天王寺さんが手土産に持ってきてくださったこのビニール袋の中身だけど……」
萌郁「……ビールとチューハイ、飲んでもいい?」
紅莉栖「あ、桐生さんのために持ってきてくれたわけね」
萌郁「岡部くんも、飲む?」
岡部「俺はいい。高校生もいるしな」
フェイリス「どーぞ気にせずお飲みください大学生様」ニヤニヤ
ルカ「お、お酒は神聖なものですから……」
紅莉栖(酔いの勢いに任せて私のジングルベルを岡部のクリスマスツリーが……)///
岡部「なら、せっかくだ。少しだけいただこう。Mr.ブラウンには恩義があるからな」カポッ
98:
ガチャ
ダル「ただいま戻ったおー……って酒臭っ!」
紅莉栖「ぅおー!サンタが戻ったどー!あひゃひゃwww」
岡部(こいつめ、酒を飲んでいないのに雰囲気で酔っているな)
まゆり「とぅっとぅr……って、オカリン!お酒飲んだの!?」
岡部「あ、あぁ。いやでもほんのちょっとだけだ」
萌郁「まゆりちゃん……私が飲ませたから、ごめんなさい……」
まゆり「え、えっと。もぅ、そういうのよくないと思うのです!」
由季「紅莉栖ちゃん、紅莉栖ちゃんの好きな人は?」
紅莉栖「岡部に決まってんだろー!りんたろー!私を抱けー!!」
岡部「ブッフォ!」
99:
岡部(にぎやかな夜はあっという間に過ぎて行った)
岡部(時差ボケのせいで爆睡してる紅莉栖と、昨日ほとんど寝ていないダルはこのままラボに泊まることにした)
岡部(俺も今日はラボに泊まる。紅莉栖が心配なのもあるが、いかんせん最近早起きしていたのでもう眠くて仕方ないのだ)
まゆり「オカリン、ホントに帰らなくて大丈夫?」
岡部「あぁ、大丈夫だ。それよりも睡魔が俺の喉元にしがみついていてな」
フェイリス「じゃーまたニャー!今日はとっても楽しかったニャー!」
ルカ「初詣は是非うちに遊びに来てくださいね!」
萌郁「……」ピロリロリン
由季「あの、また明日の朝お邪魔しますね」
岡部「はい、それまでにはダルのやつを叩き起こしておきますよ」
・・・
ダル「ングオー ングガー ング!…………ングオー グガー」
岡部(今一瞬呼吸が止まってたな)
岡部「まったく、気持ちいいイビキをかきやがって。俺ももう寝よう。んん、ふぁぁ……」
100:
AD 2010.12.25 04:30:00:67 (MON) 未来ガジェット研究所
チュンチュン……
岡部「ん……朝か。と思ったらまだ日が昇ってないな。酒のせいか、早く目覚めてしまった」
紅莉栖「おかべぇ……ふふ」
岡部「何を夢見ているのだこいつめ」
ん?
岡部「あぁ、さすがに昨日は食べ過ぎたな。たまにはこんな日があってもいいだろうが。
 いかんせん内臓に来ているな。ちょっとトイレ……」ヨイショ
ん?なんだ?
岡部「体が重いな。二日酔いか?まさかな。下痢か?まぁ、下痢も多少は覚悟の上だったからな」
あ……あれ……意識が……
岡部「おかしいな、また風邪でも引いたか。これはどうしたんd」
あっ
101:
岡部(ん?その時の様子を説明しろ?……そうだな、しなければならない。わかっている)
岡部(その時の俺にはゆっくりと思考する暇などなかった。おそらく脊髄反射で動いていたのだと思う)
岡部(冷静になってから思い出すと、いや正直記憶は曖昧なのだが……
 俺はまず強烈な吐き気と便意、寒気と頭痛に襲われた)
岡部(目玉が飛び出しそうな激痛だった……実際、視界はぼやけていたな)
岡部(肉体をトイレに放り込んで、あえぎ声とともに大きく口を開け、胃の中にあるものを外へとぶちまけると、
 そのまま脱ぐか脱がぬかわからぬまま便座に座って脱クソした)
岡部(もうあれはすごかったな。排便とは痛覚そのものだった。
 そして痛覚が体の内側にあるのか外側にあるのかもわからなくなっていた)
岡部(なぜかトイレの天井を凝視していたことは鮮明に覚えている)
岡部(平衡感覚もおかしくなっていたな。頭がグラグラして、上か下かもわからぬ状態だった)
岡部(一言でいうと、世界がやばかった)
102:
岡部(何分間意識が漂っていたのだろう。気がつくと扉の向こうから紅莉栖の声が聞こえてきたのだ)
岡部(そこで五覚が戻った。あとは、知っての通りだ。説明はここまででよかろう)
・・・
岡部「……ぅぬあああああぁああぁあああああああああああああ!!!!!!!!!!!!」
紅莉栖『岡部!?おかべぇ!!』ドンドン
岡部「ふぐぉっ……ぐうぅぅぅぅぅぅあああああああああああああああ!!!!!!!!」
紅莉栖『ちょっと!!……鍵はかかってない。もう、勝手に開けるわよ!!』キィ
紅莉栖「!!!」
ダル「ど、どしたん?さすがに寝起きのデスメタルはヤバイんだが……ってクッサ!!なんだこれなんの臭いだお」
紅莉栖「橋田ッ!!救急車ッ!!」
ダル「えぇ?お、おう!」
103:
こわいこわいこわい
104:
岡部「ハァ……ハァ……そ、その必要はない」
紅莉栖「岡部!!大丈夫なの!?」
ダル「つーか何言ってんだお、どう考えたって」
岡部「いや、大丈夫なんだ……痛みも引いてきている……」
紅莉栖「バカ!大丈夫なわけないでしょ!ちょっと、え、どうしよう。どうしよう!」
ダル「どうしてこうなった……」
岡部「俺は、大丈夫だ。掃除は、自分でやるから、お前らは外に、出ていろ」バタン ガチャ
紅莉栖「え……」
ダル「オカリン……」
105:
岡部(その後、俺は強烈な臭いの中、散乱した汚物を片付けた。未来ガジェットのおかげで多少はマシではあったが)
岡部(便器は当然のように血に塗れていて、その色は白の陶器によく映えていた) 
岡部(もはやう○こと表現する方が困難な排泄物をせっせとトイレットペーパーでふき取り、便器に投げ入れた)
岡部(確かに鈍痛はあった。気持ち悪さもあった。だが、ひとたび引いてしまえば一気に冷静さを取り戻す)
岡部(救急搬送?入院したらどうなる。まゆりに、おふくろに、みんなに心配かける)
岡部(明日の実験課題は、進級は、紅莉栖との時間は)
岡部(何より、今ここにいる二人に、ゆっくりと弁明および謝罪をしたかったのだ)
106:
岡部「すまん、ちょっと横にならせてくれ」フラフラ
ダル「お、おう。ほら、毛布」
紅莉栖「ねぇ橋田……アンタは知ってたんでしょ?」
ダル「え?あ、うん。でもオカリンが薬飲めば治るって」
紅莉栖「治ってると思うの?なんでもっと心配してあげなかったの?
 どうしてこうなることを予想できなかったの?岡部のずっとそばにいたのに……」
ダル「ちょ、マジ一旦落ち着こうぜ牧瀬氏」
岡部「そうだ紅莉栖、悪いのは全部俺だ。本当は今日打ち明けようと思っていたのだが、とんだ醜態を晒してしまったな」ハハ
紅莉栖「岡部……ねぇ、説明してよ」
岡部「そうだな、しなければならない。わかっている」
107:
紅莉栖「潰瘍性大腸炎……」
岡部「そうだ。そしてこれは不治の病だ、一生治らない」
ダル「ハァ!?それマジで言ってんのかおオカリン!!」
紅莉栖「でも、去年アサコールが日本で認可されてからは投薬での症状抑制はより簡単になったはず」
岡部「なんだ紅莉栖、知ってるのか」
紅莉栖「常識の範囲でね。アメリカでは結構ポピュラーな病気だし、日本の首相のアピールがネットで話題になってたし」
ダル「薬飲んでれば症状でないんだろ?なんでオカリンぶったおれたん?」
紅莉栖「バカ!あんなに腸に負担がかかる食べ物を一度に摂取しておいて薬でもなんとかならないわよ!」
岡部「その通りだったな……。俺は無知だったし、あさはかだった」
紅莉栖「そんな状態の岡部に私の手料理を食べさせたと思うと……」グスッ
108:
ダル「いやそれはオカリンが悪い」
岡部「そうだ、言わなかった俺が悪い」
紅莉栖「その通りよ!岡部が全面的に悪い!
 だけど……私のポテトサラダが、岡部にとって毒だったのも……事実よ」グスッ
ダル「……」
岡部「すまない。本当にすまないことをした」グルルルル
ダル「ハァ。ほらオカリン、肩貸すからトイレいこうず」
岡部「……うむ」トボトボ ガチャ バタン
紅莉栖「……机の下のこれ、病気のパンフレット?」
紅莉栖「『避けたい食品』、『食べていいもの』……」
109:
岡部「あんまり出なかったな……」ガチャ バタン
ダル「オカリンちょっと熱っぽいお。冷えピタ持ってくるお」
紅莉栖「ねぇ、岡部。これ読んだ?」
岡部「ん?なんだそのプリントは」
紅莉栖「潰瘍性大腸炎のパンフに挟まってたんだけど」
岡部「ん、そんなものあったのか。気がつかなかったな。そう言えばパンフをもらった日にラボに忘れ物を取りに戻ったが」
紅莉栖「……ハァ。ここには岡部が食べていいものと食べちゃいけないものが書いてあるのよ」
岡部「……」
ダル「はいオカリン冷えピタ。あと体温計もあったお。ん、牧瀬氏そのプリントは」
紅莉栖「橋田もしっかり聞いておいて。岡部の今後の食事について」
110:
紅莉栖「バカなアンタたちでも簡単に覚えられるように3つだけ教えるわね。
 人間の記憶は4つ以上のものになると忘れやすいから」
岡部(ぐうのねもでない)
紅莉栖「脂、繊維、刺激物。この3つよ。勿論色々例外はあるけど、とりあえずこれだけ。
 ほら、Repeat after me!」
岡部&ダル「あ、脂。繊維。刺激物」
紅莉栖「O.K. まず脂。つまり脂肪が多く含まれる食べ物はダメ。肉とか揚げ物とかね。
 白身魚や鳥のささみとかは調理次第で大丈夫だけど、うなぎとかはダメ」
ダル「え、オカリン一生肉食えないってこと?そんなのあんまりだお!」
紅莉栖「だぁ!そんなこと言っとらんだろーが!調理であぶらを抜けば食べられなくはないのよ。
 ってか次いくわよ」
ダル「脂身のない豚はただの豚だお……いや、豚ですらないお……」
111:
紅莉栖「次に繊維。つまり野菜とか果物ね。あと芋、海藻、豆とか根菜もそうよ」
ダル「食物繊維っておなかにいいんじゃなかったのかお?」
紅莉栖「便秘とか、腸をきれいに洗い流すって意味ではいいかもしれないけど」
ダル「あそっか」
紅莉栖「例外はりんごとじゃがいも、大豆の加工食品ね。豆腐とか納豆とかお味噌。
 あと、繊維を砕いたり刻んだりやわらかく調理すれば、にんじんとかなら大丈夫よ」
岡部(実家に帰った時は気をつけないといけないな……)
112:
紅莉栖「最後に、刺激物」
ダル「ドクペですねわかりますん」
岡部「ぐっ……」
紅莉栖「そこで悔しそうな顔をするな。ドクペが好きなのはわかってるけど」
岡部「……すまない、続けてくれ」
紅莉栖「うん。つまり、炭酸、香辛料、アルコール、コーヒーやチョコレートのカフェイン。にんにくもそうみたい」
ダル「うわぁ、オカリンもうお茶しか飲めねーぜ」
紅莉栖「薄い紅茶なら大丈夫よ。ウーロン茶はちょっと避けた方がいいみたい」
ダル「ミルクは入れておk?」
紅莉栖「ダメ。さっき脂がダメだって言ったでしょ?乳製品は基本ダメよ。マーガリンもダメ」
113:
岡部「目玉焼きやトーストは大丈夫なのか?」
紅莉栖「そうね、卵やパン、ご飯は大丈夫だけど、パンはバターがほとんど入ってないようなのがいいわね」
ダル「ん?でも油無しでどうやって目玉焼き作るん?」
紅莉栖「一応油をフライパンに敷かなくてもできなくはないけど、
 使うならサラダ油よりもゴマ油、ゴマ油よりもオリーブオイルがいいみたい。勿論、量は少なめね」
岡部「オリーブオイルとはリッチだな」
紅莉栖「あとは細かいけれど、ゴマとか海苔とかは、腸にくっつくからダメらしいわね。
 イチゴも、外皮についた種子がゴマと同じ理由でダメ」
ダル「昨日のパーティにはオカリンが食べていいものが何一つなかったわけですねわかりますん」
岡部(まゆりの選択した朝食が正しかったのか……)
114:
ピンポーン
ダル「お?由季たんキt……あ、いや。阿万音氏と約束があるんだけど、どうしよう」
岡部「俺のことなら大丈夫だ。俺を気にせず、というのも申し訳ない話だが、是非外で遊んで来い」
ダル「うん。ごめんなオカリン」
岡部「何を言う。俺が悪いんだ。俺の分まで存分にイチャイチャしてこい。
 それが俺の望みでもある。だから、頼む」
ダル「……うん、わかったお。阿万音氏にはオカリンのこといわないでおくお」
岡部「あぁ、あとで俺の口から説明する。ほら、早く行ってこい」
ダル「今更だけど、体に気をつけるんだお。達者でな、オカリン」ガチャ
115:
紅莉栖「それで、『俺の分まで』について詳細キボン」
岡部「ぐっ……紅莉栖、本当に申し訳ない」
紅莉栖「ええ」
岡部「貴重な休暇を使ってわざわざ日本に来て」
紅莉栖「そうね」
岡部「醜態を晒し心配をかけ」
紅莉栖「……」
岡部「あげくお前とのクリスマスデートを台無しにしてしまった」
紅莉栖「……」
岡部「この埋め合わせはいつかするから」
紅莉栖「できるの?」
岡部「えっ?」
紅莉栖「今の体の岡部にそれができるのかって聞いてる」
岡部「」
116:
紅莉栖「決めた」
岡部「な、なにをだ」
紅莉栖「岡部の体がよくなるまで看病する」
岡部「は、はぁ!?いや、折角日本に来たんだ、病人にかまわず遊んでくれば……」
紅莉栖「……あのさ、私が日本に帰ってきた理由わかってる?」
岡部「そ、それは……」
紅莉栖「岡部と一緒に居たかったからだろ。言わせんな恥ずかしい」
117:
岡部「それはさすがに申し訳なさすぎる」
紅莉栖「私がしたいからするのよ」
岡部「うむ……」
紅莉栖「私じゃ不安?それとも不満?」
岡部「そういうわけではないが、しかしだな」
紅莉栖「いいじゃない。こういうのもほら……らしいでしょ///」
岡部「……この脳内ラブコメ星人め」
紅莉栖「ッ!う、うるさいわねぇ!病人は黙って寝てろ!」ゲシッ
岡部「ふんごぉっ!?腹はやめろ腹は……」フーッフーッ
118:
紅莉栖「まだ熱っぽいけど、少し落ち着いた?」
岡部「ああ、そうだな」
紅莉栖「じゃぁ、とりあえず病院いきましょ」
岡部「帰国子女よ、今日が何の日かわかっているか」
紅莉栖「ハァ?クリスマスだけど日本の病院がそんなことで休むわけ」
岡部「振り替え休日だ」
紅莉栖「……あっ。じゃ、じゃぁ、明日」
岡部「それなんだが、明日はどうしても大学へ行かなくてはならない」
紅莉栖「そんなのサボれば」
岡部「即・留・年だ!それに水曜日には予約も入れてあるからな、そこで病院に行こうと思う」
119:
・・・
岡部「……ちょっとトイレ」
紅莉栖「うん。気をつけて(だいたい30分周期ってとこかしら……)」
・・・
紅莉栖「はい、とりあえずインスタントのおかゆ」
岡部(またこれか)
紅莉栖「それから薬。毎食一回三錠って書いてあるけど、ちゃんと飲んでたの?数がおかしいんだけど」
岡部「(ギクッ)いや、どうしたってタイミングが悪くて飲めない時とかあるではないか!」
紅莉栖「忘れてたのね……」
・・・
紅莉栖「ここの詳しい住所教えて。密林で潰瘍性大腸炎やクローン病の人でも食べられる料理のレシピ本があったのよ」
岡部(作る気なのか……)
・・・
岡部「……zzz」
紅莉栖「寝ちゃった、か。そりゃぁあんだけ暴れればね。
 さて、岡部が寝てる間に早料理を作ってみるか」
120:
紅莉栖「本が届くのは明日だけど、とりあえずネットに書いてあるレシピでやってみましょ」
紅莉栖「なになに。豆腐クリームパスタ、かれいの煮付け、茶碗蒸し……」
紅莉栖「うん、茶碗蒸しなら今の岡部でも大丈夫かな」
紅莉栖「具は……。具は……。現状を鑑みると、具無しが一番ね」
紅莉栖「昨日余った卵はっと……」ゴソゴソ
紅莉栖「あったあった。これを、電子レンジ?鍋?」
紅莉栖「ふむふむ……」
121:
―――――――――――――
岡部(ん……なんだこれは)
岡部(というか、なんだここは)
岡部(x軸にy軸、原点。二次の座標平面か)
岡部(なぜ二次元平面に俺は存在しているのだ?)
岡部(足元には……これは、負の二次関数と、台車?)
岡部(つまり小高い山の上でこのどちらに転ぶともわからない不安定な台車の上に立っているのか)
岡部(そう考えたら緊張してきたな、バランスを崩してはならない)
岡部(安定こそしているが、少しでも外力が摩擦力を上回れば一気に奈落の底だ)
岡部(位置エネルギーは加度的に運動エネルギーに変化し、放物線を描きながら運動量を放出する出口を求めて……)
―――――――――――――
122:
岡部「ぬはぁっ!!」ブリュ
紅莉栖「お、岡部!?どうしたの?」
岡部「……あぁ、すまない。変な夢を見ていた。ちょっとトイレ」トボトボ
紅莉栖「うん……気をつけて」
ガチャ バタン ガチャ
岡部「……」
岡部「……」
岡部「……」ブリッ
123:
岡部『……』ジャーー
紅莉栖(岡部がシャワールームで何かしてる。パンツよごしちゃったのかな)
紅莉栖(後でコインランドリー行こっと)
紅莉栖「さて、こっちもそろそろかな」カチャ
紅莉栖「見た目も香りもバッチリ。まぁ、こんなの科学実験に比べればなんでもないわね」
紅莉栖「岡部ー!夕飯できたわよー!」
岡部『あ、ああ。今いく』
124:
岡部「……さすがに余計なものは突っ込んでないみたいだな」
紅莉栖「ホントは個性を出すようなアレンジをしたいところだけど、さすがにそんなことしないわよ」
岡部「そうか。では、いただきます」スッ
岡部「!」トロォ
紅莉栖「あっ」
岡部「……ほとんど液体なんだが」
紅莉栖「あ、あれ?熱伝導率の計算間違えた?それともたんぱく質の熱変性が……」アセアセ
岡部「まぁ、この方が確かに食べやすいし、おなかにいいだろう。ありがとう、おいしいよ」
紅莉栖「……う、うん。ならいいけど///」
125:
紅莉栖「ほら、ちゃんと薬飲んで」
岡部「わかっている」
紅莉栖「まだ熱下がらないけど、ホントに明日学校いくの?」
岡部「明日と一月最初のを乗り切れば、なんとかなるんだ。般教は半分以上ダメになったが。
 実験だけは二回目の欠席はどんな理由でも許されないらしい」
紅莉栖「融通利かないの。まぁ、確かに実験課題は、内容にもよるけど」
岡部「なに、こっちには強い味方が付いているからな」
紅莉栖「そんな///」
岡部「ダルほど大学で頼れる奴はいない」
紅莉栖「」
126:
AD 2010.12.26 08:23:99:10 (TUE) 檜山ビル前
紅莉栖「じゃぁ、いってらっしゃい。ホントに、ホントに気をつけてね。何かあったらすぐ電話して」
岡部「ふっ、俺も丸くなったものだ。心配するな、あの太陽が沈むまでには必ずここへ戻る」
紅莉栖「変なフラグを立てるな!」
天王寺「おー、なんだなんだ。朝から新婚カップルごっこか?」
岡部&紅莉栖「誰が新婚カップルか!」
127:
岡部(さて、大見得切って出てきたはいいが、相当に体調がネックだ)
岡部(この寒空の下、カイロ挿入腹巻完備、手袋マフラーフルアーマーの状態でさえ不安のせいか肝が冷えるのを感じる)
岡部(やはり意識的にトイレを探してしまうな。あそこにコンビニ、あそこに公園……)
岡部(十月から続いた通常の下痢の時もそうであったが、今回は本格的にやばいからな。早く薬が効いてくれればいいのだが)グルルルル
岡部(……一度、あのコンビニへ立ち寄っておこう。何、ゆっくり大学へ向かえばいいのだ)
128:
同日 東京電機大学
ダル「オカリン、大丈夫かお?明らかに顔色が悪い件」
岡部「あぁ、確かに状態は芳しいとは言えないな。だが、ここを乗り切れば明日は病院、そして冬期休暇が待っている」
ダル「オカリン、お前って奴は……」
岡部「お前こそ昨日はどうだったのだ、らぶChu☆chu!したのか」
ダル「ちょ!大学でその話はやめろって!一応よく動くキモオタピザメガネDTとして名が通ってるんだからさ」
岡部「……その通り名にお前は誇りを持っているのか」
ダル「ちなみにまだDTだお」
岡部「だと思った」
129:
同日 東京電機大学実験棟 
教授「では、前回に引き続き―――の実験を行う。各自必要な器材と薬品をそれぞれの棚から取り出し教科書通りに実験を行うこと」
岡部(きたか。取りあえずトイレにはいっておいた。ほとんどガスしか出なかったが)
教授「岡部、ホントは一回欠席しただけでも留年なんだが、今回はお前の病状を鑑みて特別措置となったわけだ。
 無理して体を壊すなよ?留年することにはなってしまうが……」
岡部「ありがとうございます博士<ドクター>。大丈夫です、体の方は長期休暇でなんとかしますので」
教授「そうか、わかった。あとドクターと呼ぶな」
岡部(さて、5分おきに発生した気体の体積をメモしていかねばならないパターンの奴か)
岡部(5分おき……)
班員「いいよ岡部、体調悪いんだろ?数値のメモは俺たちでやっておくから、岡部は計器が安定してるかとか、
 反応進行による物理変化とか、そういうの観察しといてくれ」
岡部「うむ……すまない」グルルルル
岡部(くそっ。わかってはいたが、情けないものだな……)グルルルル
岡部「早ですまないが、ちょっと席を外す」
班員「あぁ、いってこい。今日が退室厳禁パターンの実験じゃなくてよかったな」
130:
ガチャ バタン ガチャ
岡部(くそっ、くそっ、くそっ!)
岡部(だめだ、どうしても、行動が制限されているとか、閉塞感があるとか)
岡部(そういうものを感じ取ってしまう)
岡部(発熱によるフラフラ感は気合で持ちこたえられるが、便意とこの気分の悪さは)
岡部(……そうか、怖いのか。俺は恐怖を感じているのか)
岡部(冗談だろ……今まで日常の1ページとして捕らえることも無かったような)
岡部(平凡に平凡を掛け合わせたような状況を)
岡部(俺は、恐れているというのか……ッ!)
岡部(ともかく、一刻も早く実験室へ戻らなければ)グルルルル
岡部(くそっ、これでは一向に動けないではないか……)ブリッ
131:
岡部「……遅くなった、すまない」トボトボ
班員「ああ、お帰り。ほとんど終っちまったがな」
岡部「す、すまん」
班員「仕方ないさ。ほら、俺の実験ノート写させてやるから、即レポ提出してとっとと上がろうぜ」
岡部「ありがたい。今度なにかおごろう」
班員「今の言葉忘れるなよ?」
班員2「……おい岡部、試験管洗うのくらいできるよな。純水と洗剤はここにある」
岡部「あ、あぁ。先に帰っていてくれ。後片付けは全部俺がやっておくから」
132:
同日 東京電機大学六号館地下食堂
岡部「やはり、惨めなものだな。気を使われるというのは」
ダル「もう諦めろってオカリン。なんとかなったんだから喜べよ」
岡部「あぁ。だが、なんとかなったと思ったら緊張が解けてしまってな」
ダル「ほぅ」
岡部「全力で気持ち悪い」ウップ
ダル「ちょ!おまっ、いい加減に汁ー!しゃべってる暇あったら洗面所いけよもう!」プンスコ
岡部「うんむ、今しがたそう思い至ったところだ」
ダル「あれ、出かかったオカリンのゲロリンはどしたん?」
岡部「再度胃袋へ押し込んだ」
ダル「それ食道荒れるお」
133:
岡部(結局昼食は取らず、午後の般教も出ずにとっとと早退してラボで寝ることにした)トボトボ
岡部(変な達成感のせいで緊張の糸が切れ、もう気合ももたなかったのだ)グルルル
岡部(ぐっ、ここで便意か。またあの朝のコンビニに)ギュルルルルル
岡部(!)ゴロロロロロロ
岡部(……)グルルルルル
岡部(滝汗)キュゴオオオオオオ
岡部(……全力で括約筋!ダッシュだっ!歩幅が狭い!)ピョンコピョンコ
134:
岡部(ケツを抑えながら脂汗びっしょりでピョンコピョンコ入店し即攻トイレへ向かった客に対して、
 平然と『いらっしゃいませー』と言えるここのコンビニ店員レベル高いな……)
岡部(いやしかし、これは、きつい。肉体的にも勿論だが、社会的にどうなんだこれ)
岡部(電車は。そりゃ総武各駅なら毎回駅で降りてトイレにいけなくはないが、ライナーなどには乗れんな)
岡部(車は。下の道はどこにコンビニがあるか逐一把握していれば問題ないだろうが、高、特に首都高はSAほとんど無いから厳しいな)
岡部(旅行など特に厳しかろう。行けたとしても、旅先でおいしい料理を食べたり、海水浴や山登りをするなどは困難だ)
岡部(同僚に誘われるコンパ?すべてお断りだ。同窓会?結婚式?乾杯がないなら行ってやってもいいだろう)
岡部(俺は、社会生活できるのか……)
135:
同日 未来ガジェット研究所
紅莉栖「またくだらないことで悩んでたのね」
岡部「そうは言ってもだな」
紅莉栖「オムツつければいいじゃない」
岡部「お、お前、そういう性癖が」
紅莉栖「赤ちゃんプレイ違うわっ!」
岡部「まぁ、実際装着した安心感によって、便意そのものが押さえられるだろうからな」
紅莉栖「つまりね、もっとも敵視すべきは便意よりも脳内の不安感なわけ」
岡部「一理あるな。たとえ0.1パーセントの確率だろうと、失敗の可能性があるというだけで通常の行動を取れなくなることがある」
岡部「しかしオムツはなぁ……」
紅莉栖「若い女性だってオムツしてる人いるんだから、男でしょ、それくらい辛抱しなさい」
(*?д?) 。o(オムツ一丁の岡部……うん、大丈夫。愛せる)
137:
グルルルル
岡部「っと、すまん。トイレだ」
紅莉栖「はいはい行っといれ」
岡部「……(※真顔)」
紅莉栖「はよ行け!///」
ガチャ バタン ガチャ
岡部(……ふむ。また便に血が混じっているな。例えるなら薄いハヤシライスにケチャップを混ぜたような)
岡部(……何故例えてしまったのだ俺は、気持ち悪くなってきた)ウップ
岡部(それに、元々下痢気味で体力が無かったが、今日一日の体力の消耗が特にヘァンパ無い)
岡部(大学への道中めまいもちらほらしていたが、やはり貧血なのだろうか)
岡部(これだけ酷い状態でもなんとかやっていけているのは、クリスのおかげか、クスリのおかげか)ブリッ
岡部(……いかんいかん、何を言ってるんだ俺は)ジャー
138:
岡部「……zzz」
紅莉栖「さて、岡部も昼寝したし、例のレシピ本も届いたし、試してみましょうか」
紅莉栖「んー、なになに。『寛解期におすすめの毎日のラクラク献立』
 『寛解期のおかずとデザートの安心レシピ』
 『寛解期におすすめの主食の安心レシピ』……」
紅莉栖「まだ寛解期は早いわよね。そうなると『症状が悪いときの食事』……
 これだ!」
紅莉栖「はんぺんのふわふわ煮、蒸し魚のあんかけ、炒り豆腐……
 結構色々あるわね」
紅莉栖「あれ、まだ後ろにページが。『活動期の補いに』?
 りんごのくず湯、みぞれ汁、にんじんスープ……」
紅莉栖「さすがにもうちょっと食べさせてあげたいわね」
紅莉栖「とりあえず、はんぺん試してみるか。よしっ」
139:
紅莉栖「はんぺん80g、煮汁が出汁カップ1/2 薄口しょうゆ小さじ1……
 ん、グリンピース(冷凍)少々、か。冷凍ものなら豆の皮が無いから良いってことかしら」
紅莉栖「少々、とか書いてあると創意工夫のし甲斐があるのよね」
紅莉栖「はんぺんは1cm角に切る、か。新品の定規があったら調理用定規として使えるわね!」
紅莉栖「それじゃ文房具屋で定規買って、スーパーで冷凍食品探してこようかな」
紅莉栖「あ、そうだ。ついでにオムツも買ってきましょ。成人男性用のってあるのかしら」
紅莉栖「チラ」
岡部「……zzz」
紅莉栖「ちょっとの間だけど、目を離して大丈夫よね……」
紅莉栖「早くよくなってよね……」ガチャ
140:
岡部「ん……寝てしまっていたのか、俺は」
岡部「あれ、紅莉栖?出かけたのか?」
岡部「……自分で言っておいてなんだが、完全に同棲中のセリフだな、これ」
ダル「まったくだぜオカリン。おかげで入りづらいったらありゃしない」
岡部「ってぇ!!おどかすな貴様!!一体いつからそこに!!」
ダル「ふっ、デブの隠密機動能力をなめんなよ?
 ほら、一応午後の授業の板書とプリントのコピーだお」
岡部「おぉ、すまんな。あれは試験の点数で単位がくるからな」
ダル「まぁなんだかんだ?災いを転じて福となしてるオカリンには敬服の念を抱かずにはいられないんだぜ」
岡部「役得ではある」
ダル「床か… フンッ!」ドン
岡部「やめろ!Mr.ブラウンが来てしまうではないか!」
141:
紅莉栖「ただいまーっ。って、橋田、来てたの」
岡部「こいつを止めてくれ!このままでは家賃が上がってしまう!」グッ
ダル「マグマが!出るまで!殴るのを!やめない!」グッ
紅莉栖「こら!ただでさえ体力なくなってるんだからやめなさい!」
岡部&ダル「すいません」
ダル「ん?牧瀬氏、その右手に持ってるものは……」
紅莉栖「あぁ、これ?オムツこれしかおいてなかったのよね」
岡部「思いっきりおじいさんとおばあさんの絵が描いてあるな……」
ダル「オカリン、事後の感想聞かせてね」
紅莉栖「プレイではないと言っとろーが!」
142:
AD 2010.12.27 (WED) 慶應義塾大学病院正面玄関
紅莉栖「ここが慶應義塾大学病院ねぇ……」
岡部「紅莉栖まで着いてくることは無かったんだが」
紅莉栖「でも実際私のおかげでタクシー移動楽だったでしょ」
岡部「うむ、いざやばくなった時でもタクシーの運転手へしっかりフォローしてくれるだろうなどと
 考えただけでかなり気持ちが楽になった」
岡部「それに電車移動より遥かに楽だったな。肉体的にも、精神的にも」
紅莉栖「それでいいの。岡部もなんだかんだ、普通の人間の脳みそしてるのよね」
岡部「なんだと!?俺はアインシュタインにも匹敵するIQ170の灰色の脳細胞を持つ!狂気のメァッドサイエンティスト!ほーおーいn」
紅莉栖「冬には白衣脱いでるくせに」
岡部「こ、これはっ!医学生と間違われてしまわないために仕方なくだな!」
紅莉栖「言い訳乙。じゃぁ私はあそこのスタベで待ってるから」
岡部「あぁ、わかった。また後でな」
143:
医師「ふむ……まだCRP高いね。少し発熱もある、か。しっかり薬飲んでいるのかな」
岡部「は、はい!(少し飲んでいないとは言えない……)
 ただ、この間のクリスマスで少しハメを外してしまって」
医師「それで、か。遊びたい盛りだから無理もないが、くれぐれも安静にね。
 では追加で処方箋出しておくね」
岡部「ありがとうございます。それでは失礼します」
・・・
岡部「待たせたな。お、スタベの中に薬待ち番号一覧の電光掲示板があったとは」
紅莉栖「待ってる間この辺ぶらぶらしてたけど、あっちにロンソーがあったからなにか買って帰りましょ。
 牛乳、卵、バターを使っていないクッキーとか普通に売っていたからびっくりしちゃった」
岡部「さすがは病院のコンビニだな」
144:
同日 タクシー内
ブロロロロロ……
岡部「ん、このクッキー存外いけるではないか!」
紅莉栖「ドクペ禁止にして舌がよくなったのかしら」
岡部「やめろォ!今その名を口にしてはならんッ!封印されしあああ悪霊がぁっ!」ガタガタ
紅莉栖「(そんなにきついか禁ドクペ……)それで、次の予約は?」
岡部「ん。あぁ、4日の木曜だ」
紅莉栖「そっか……私、3日の飛行機で向こうに戻る予定なのよね」
岡部「そうであったな。なに、それまでには心配させぬほど快復しているだろう」
紅莉栖「そうだといいけど……」
145:
ポッヒンヒャララン ピンパッホッ↑ピン ポッピンポッピン ランタッタッタ
岡部「ん?まゆりから電話か。ちょっと電話出るぞ」
紅莉栖「どうぞ」
岡部「まゆりか、どうした?俺か、今病院帰りで……あぁ、大丈夫だ。心配するな。
 それよりコスプレ制作は順調か?……そうか、がんばってるな。
 え、明日?ラボをか?まぁ、構わないが……阿万音さんも?
 あぁ、わかった。また明日」ピッ
紅莉栖「まゆりなんて?」
岡部「明日ラボに泊まらせてほしいとのことだ。コミマ用の荷物もどっさり持ってくると」
紅莉栖「あー。今回はまゆりもコスプレするって言ってたわね」
岡部「現在阿万音宅にてラストスパート中、だそうだ」
紅莉栖「病気のことは岡部から説明するんだっけ」
岡部「無論だ」
紅莉栖「気丈に振舞って無理しないでよね」
146:
AD 2010.12.28 19:27:88:01 (THU) 未来ガジェット研究所
まゆり「ふ、不治の病って、オカリン!!!」
由季「そうだったのですか……何と申し上げてよいか……」
岡部「誤魔化していて申し訳なかった。だが薬が効いてくればなんとかなるらしいから、安心してくれ」
まゆり「オカリン……」
岡部「こんなタイミングで暴露してしまってすまない。だが、明日は俺もコミマに行こうと思っている。
 だから、元気よく楽しんでいる姿を見せて欲しい」
由季「コミマに来られるのですか、お体大丈夫でしょうか」
紅莉栖「一応私が監視しておくから。なにかあっても大丈夫なようにね」
まゆり「うん……」
紅莉栖「ほーら、まゆり。岡部を元気付けてやるんでしょ?」
まゆり「!……うん、まゆしぃ、がんばるね!」
由季「それでは、私たちは最終調整といきましょうか」ニコッ
147:
AD 2010.12.29 06:00:12:11 (FRI) 未来ガジェット研究所
まゆり「では、行ってくるね!」ガチャ
由季「また後ほどお会いしましょう」
岡部「ああ、また後で会おう」
・・・
岡部「行ったか。そしてついにこの時がやってきた……。
 どんな厨二ワードをもってしても表現できなかったこの物体、『オムツ』」
岡部「思えば色々してきたものだ。これはひとつの到達点かもしれないな」
岡部「紙に与えられた英知ッ!必ず果てがある絶対の領域ッ!!
 閉ざされてきた肛門<ゲート>、"規制"は、終った……ッ!!」
岡部「よし、履くぞっ……ん?オムツは履くものなのか、それとも着けるものなのか?一体、どっちなんだァッ!」
紅莉栖「はよ履け!」ゲシッ
岡部「ぐはぁっ!……う、うむ。いざっ」スッ パッ
岡部「」パンパカパーンツ
岡部「……ホントにこの状態で用を足せと?」
紅莉栖「横漏れガードで安心よ」
148:
同日 東京ビッグサイトエントランスプラザ
岡部「お、いたいた」
――――――
ダル「ユキたん!最高だおー!」パシャパシャ
カメ小「たまらん!ムッハー」パシャパシャ
カメ小2「キタ-------!」パシャパシャ
カメ小3「ハァ、ハァ」パシャパシャ
――――――
岡部「ダルはいつから影分身の術を覚えたのだ」
紅莉栖「よく見なさい。本体は半袖よこのクソ寒い中」
149:
岡部「というか阿万音さんはさすがだな」
紅莉栖「プロの貫禄がにじみ出ているわね」
岡部「まゆりは……え、隣の、まゆりだよな?」
紅莉栖「すごい!まゆりかわいいじゃない!」
まゆり「あ、オカリーン!紅莉栖ちゃーん!」タッタッ
岡部「撮影中にいいのか?って、その格好は……」
まゆり「魅杏ちゃんって言うんだよー。由季さんとおそろいいいでしょー」エヘヘー
岡部「やっぱり金髪は似合うな。ポニテじゃなくてツインテなのも……良い」
まゆり「えへへー、ありがとオカリン!そう言ってもらえて、コスプレして良かったなーって!」
カメ小「す、すいません。『このヘンタイ!』って感じで視線いただけませんか」ハァハァ
まゆり「?このヘンタイ?」
カメ小「うおおーーー!!これはこれでうおおーーー!!」パシャパシャパシャパシャ
岡部(……)
150:
岡部「それじゃ、俺たちは少しぶらぶらしてくるよ。まゆり、がんばれよ」
まゆり「うん!また後でねー」バイバイ
紅莉栖「私もしてみようかしら……」ボソッ
岡部「ん?何か言ったか?」
紅莉栖「ふぇ!?い、いやなにも!?」
岡部「ところで紅莉栖、すまないがちょっとトイレに行ってくる」
紅莉栖「あ、うん。じゃートイレの前あたりで待ってるわね」
岡部「うんむ」
151:
岡部(やはりどうしたって見栄を張ってしまうものだ……実は第一波はまゆりのツインテに見とれてた辺りだった)
岡部(その後何度か余波が襲ったが俺のポーカーフェイスという名の堤防によって守られた)
岡部(こうしてそ知らぬ顔をしてトイレに向かえたのだ。ふっ、とりあえずは助かったな)
岡部(それにしても、やはりコミマのトイレは混んでいるな。だが、男子トイレの回転率の高さは世に知れたところだ)
岡部(ん……洋式が全部埋まっているか。仕方ない、和式で……あれ?)
岡部(まさか、嘘だろ、そんな馬鹿な。全て埋まっている、だと……!?)
岡部(他のトイレを当たるか?この人ごみの中を掻き分けて?だめだ間に合わない!)ギュルル
岡部(うっ!これは、かなり不味い。寒気と脂汗まで出てきた……どうする、どうする岡部倫太郎!)ギュルル
岡部(落ち着け!何かあるはずだ、何か、この決定的な局面を打破するためのなにかがッ!)ギュルル
岡部「す……すいません、急いで、いただけません、かぁ……」ギュルル
152:
岡部(なんとも情けない声が出てしまったものだ。だが仕方ない、横隔膜を広げれば大腸を刺激してしまいかねない)
岡部(くそっ、小便の奴らの視線が痛いが致し方ない。一刻も早く個室の方々に出ていただくしか方法は無いッ!)ギュルル
岡部(ふんぬぉ!!い、今のはやばかったな……さすがに決壊したかと思ったが、波は一旦沖合いへ引いたたようだ)
岡部(しかし、次の一撃が最後かも知れない……ッ!耐えろ、岡部倫太郎ッ!ここを耐えしのげばッ!)ギュルル
岡部(……ッ!こ、これは、もう、あと数十秒しか、もたな)
ビュブゥ--------------ブリブリブリッ,ブリッ,プ-------------
岡部「あっ」
153:
小便男「……!」
小便男2「……!?」
小便男3「……?」
小便男4「……!?!?」
岡部「……だ、だいじょうぶに、なりましたぁ。失礼しましたぁハハハ」フラフラ
岡部(―――――――――――――――!!!!!)グッ
岡部(orz)
岡部(ハハ……笑えよベジータ)トボトボ
岡部(ハハ……)トボトボ
岡部(……)トボトボ
154:
岡部「く、紅莉栖っ……!」グスッ
紅莉栖「どうしたの岡部……?」
岡部「いや、トイレがだな、その、満室で……」
紅莉栖「……なるほどね、わかったわ。そういうこと」
岡部「ホント、情けない限りだ……」
紅莉栖「たしかに、情けない男ね」
岡部「……う、うむ」
紅莉栖「私が岡部のことを情けない男だと思う理由は次の一点において。
 『岡部がオムツに排便したことで私が岡部を情けない男だと思う』と岡部が思い込んでいる点、よ」
岡部「!」
紅莉栖「ほら、さっきの個室にいたおっさん達がなんだか……慌てて?出てきたわよ。
 私の手提げ持ってトイレに行きなさい。中にポリ袋と替えのオムツ入ってるから」
岡部「紅莉栖、お前……」
紅莉栖「また個室が埋まっても知らんぞ?ほれほれ」シッシッ
155:
岡部(おかしい、天使が紅莉栖に見える)フキフキ
岡部(しかし、たしかにオムツのおかげで助かったな。なるほどこうやってキャッチしてくれるわけだ)
岡部(しかも今回は、運がいいのかわるいのか、いやウンはわるいんだが。ガスが多くて実が少なかった)
岡部(ポリ袋に入れたゴミはトイレに捨てていいのか?これを紅莉栖の手提げに入れるわけにもいかんしな……)
岡部(きっとそのためのくず箱なのだろう。えい、捨ててしまえ)
岡部(そして新たなるもう一枚を……)スッ パッ
岡部(ふむ……悪くない)パンッパンッ
岡部(しかし、先ほど『我慢』をしてしまったせいか、いかんせん体調が悪くなってきたな……。
 レイヤー2人を見届けるという目的は達成したしな、みんなには悪いが先に紅莉栖とラボに戻ろう)
156:
AD 2010.12.31 23:32:91:00 (SUN) 未来ガジェット研究所
岡部(その後も変わらず紅莉栖の看病は続いた。ルカ子やフェイリス、萌郁やMr.ブラウンまで見舞いに来てくれて、そして事情を説明した)
岡部(親にも伝えておいた。実家に戻ってくるよう勧められたが、紅莉栖の話をしたら喜んで帰宅禁止令を出しやがった)
岡部(ダルは阿万音さんの提案で俺と同じように脂肪摂取の食事制限をしているようだ)
岡部(なにもそこまで付き合ってくれなくても、とは思うが。みんなの支えてくれる気持ちがうれしい)
岡部(しかし、その分だけ自分の情けなさに目が行ってしまう。まったく、面倒くさい生き物だな俺は)
岡部(そしてこれが一大事なのだが、ドクペの禁断症状が現れた。症状は『ドクペが飲みたくなる』。それ以上でも以下でもない)
岡部(これが思っていたよりつらかった。ふと気付けばドクペのことを考えている。
 たとえるなら、そうだな。脳のCPU利用率の90パーセント台をキープしているイメージだろうか)
岡部(それを引き金に、牛丼が食べたい、オムライスが食べたい、雑草が……いや、公園の草と虫はさすがに要らないか)
岡部(そして、この渇望を埋めるものは、今の俺にとっては紅莉栖の料理だけだったのだ)
157:
紅莉栖「おかべー、年越しうどんできたわよー」
岡部「おお、鼻腔をくすぐるいい香りだ。ホントここ数日で上達したな」
紅莉栖「試行回数を積み重ねれば精度が上がるのは当然でしょ」
岡部「そうだな。お、具にさつま揚げを入れたのか。これはおいしそうだ」
紅莉栖「みんなは打ち上げのまま年越しして柳林神社に初詣に行くって」
岡部「そうか、ならば俺たちもあとで合流するとしようではないか。だがその前に、いただきます」
紅莉栖「なんかさ、なんだかんだでようやく二人っきりでゆっくりできるね……」チュルチュル
岡部「そういえばそうだな。ここ最近は出入りが激しかったからな」ズズーッ
158:
岡部「ふぅ、ごちそうさま。いつもありがとうな、紅莉栖」
紅莉栖「いいえ、どういたしまして。そうそう、今日は大晦日だし、デザートがあるわよ」
岡部「いつぞやのクッキーか?うどんの後というのもあれだが、実際俺はかなり飢えているからな。クッキーでもいけるぞ」
紅莉栖「え?プリンだけど」
岡部「……プリン、だとッ!!」ガッ
紅莉栖「ふゎぁ!!///いきなり食いついてこないでよ!///」
岡部「まさか、余計なカロリー摂取だと思っていた牧瀬プリンが、こんなにも輝いて見えるなどとはッ!!」
紅莉栖「牧瀬プリンゆーな!ん、あれ?」
岡部「フフフ、ハハハ、フゥーッハハハ!!ついに、ついに我が手にプリンが……ッ!!」
159:
岡部「美味かった……正直、この世のものとは思えなかった」
岡部「なめらかな舌触り、母のやさしさのような甘み。そしてカラメルシロップのほのかな芳醇さ……」
紅莉栖「ただの低カロリープリンなわけだが。でも、あんまり食べ過ぎはダメだからね」
岡部「あまりの美味さに元気になってしまった気がする」
紅莉栖「そう。それはよかったわね。……どう?どのくらい元気?」
岡部「どうとは?まだ少し平熱より高いが、気持ち悪さはかなり減ったな」
紅莉栖「じゃぁさ、そのさ、このままさ……」モジモジ
岡部「……色んな意味で自信はないんだが、大丈夫か」
紅莉栖「うん、いいよ……」
岡部「う、うむ……」
紅莉栖「……」ドキドキ
岡部「……」ドキドキ
紅莉栖&岡部「で、どこからはじめればいいんだ?」
紅莉栖&岡部「中学生かっ!!!」
160:
岡部「ええい、ままよ!」ガバッ
紅莉栖「ほぅあぁっ///」バタン
岡部「とりあえず押し倒してみたわけだが……」ハァハァ
紅莉栖「顔がっ、近い……///」
岡部「紅莉栖……」
紅莉栖「ふぁ!?ちょ、えーっと///」
岡部「目をつぶってくれ……」
紅莉栖「ん、うん。む……ん……///」ドキドキ
岡部「い、いくぞ……」ドキドキ
チュ
ギュルルルルルルルルゴポッゴポッゴポットットットットットッキュ--------ギュッ、ギュルッ
161:
岡部「……///」
紅莉栖「……」
岡部「ごめん」
紅莉栖「いいよ、バカ」スッ
岡部(紅莉栖の右手に頬を撫ぜられる。お返しに俺の左手で包み返してやる)
岡部「ちょっと、トイレ」ククッ
紅莉栖「はよ行け」フフッ
岡部(不思議と笑いがこぼれた……なんだこれ。まぁ、いいか)ガチャ バタン ガチャ
紅莉栖「あーぁ、バカ岡部。岡部のバーカ」
岡部『聞こえてるぞー』
紅莉栖「聞こえるように言ってるのよ、言わせんなバカ」
162:
岡部(こうして2010年が終わろうとは誰が想像できたであろうか)ブリッ
岡部(ホント、俺にとっては激動の一年であった。そしてようやく、本当にようやく、年が変わるのだ)ブリッ
岡部(大切な仲間ができた。大切な仲間を守れた。それがどれだけすばらしいことか)ブリッ
岡部(未来ガジェット研究所に、まもなく未来がやってくるぞ……ッ!)ブリッ
岡部(ふっ、もうこの年で涙腺がゆるくなってしまったらしい)ブリッ
岡部(ついでに肛門もゆるんでいるが)ブリッ
岡部(あ、やばい。早く脱クソしなくては排便中に年を越えてしまうではないか!)ブリッ
テレビの声『3、2、1、ハッピーニューイヤー!!』
岡部(……またやってしまったな。フッ)ビャッブリービューブリャー
岡部(まぁいい。ダル達への笑い話にでもするか)ジャー ガチャ バタン
紅莉栖「新年一発目のう○こはどうだったかしら」ニヤニヤ
岡部「さすがに下品だぞ天才HENTAI少女」
163:
AD 2011.01.01 00:30:95:83 (MON) 柳林神社境内 
紅莉栖「ハーイ、みんな。岡部を連れてきたわ」
まゆり「あ、オカリン!紅莉栖ちゃん!明けましておめでとうなのです」
フェイリス「キョーマ!今年もよろしくニャン!」
岡部「あぁ、みんな。遅くなってすまんな」
萌郁「体は……大丈夫……」
岡部「(オムツを履いているとは言えないな)うむ、お陰様でな」
ダル(それでそれで、牧瀬氏ニャンニャンはどうだったのかお?そこんとこkwsk)ヒソヒソ
岡部(う○こで色々とやらかしてしまってな)ヒソヒソ
ダル(もー折角別行動にしたのにー。まぁ、僕はハーレムを堪能したお)ヒソヒソ
由季「何をお話しているの?」
ダル「ギクー!いや、オカリンがう○こで年越しをした話だお!」
岡部「う、裏切り者ぉ!」
164:
まゆり「ねぇねぇオカリン!ルカ君があっちで巫女さんやってるよー」
岡部「そうか。おーい、ルゥカ子よ。新年早々励んでいるな」
ルカ「あ、おか……凶真さん。エル・プサイ・コンゲリィ……?」
岡部「コングルゥだ!何度言ったらわかるのだ」
ルカ「す、すいません!その、お体の方は大丈夫ですか」
岡部「うむ、少し熱はあるが、何心配はいらない」
ルカ「あ、あの、よかったら簡単にですけど、御祈祷させていただけませんか」
岡部「ほぅ。いや、それはむしろ俺から是非ともお願いしたいところだ」
ルカ「は、はい!では、こちらへどうぞ」パァァ
岡部(そう言うとルカ子は俺を小さな本殿の奥へと上げてくれた)
岡部(あ、ちょっとオムツずれたな……)
165:
ルカ「……」フリッフリッ
岡部(新年の初め、この神聖な時間、神聖な空間で、一人の巫女が大麻<おおぬさ>をかかげ、一心に俺を祓ってくれている)
ルカ「……。はい、終わりました。おか……凶真さんの病が少しでも平癒する祈願を込めさせていただきました」
岡部(少し上気した様子でうやうやしくこうべを垂れる。不治の病だと知ってこそだろう、どこか申し訳なさそうな表情で見つめてくる)
岡部「本当にありがたいことだ」
ルカ「それから、ボクの父の知り合いに、気功法に長けている祈祷師の方がいるのですが、おか……凶真さんの治癒の助けになるかと思います」
岡部(色々とルカ子なりに気を使ってくれていたのだな。甲斐甲斐しい限りだ)
岡部「あぁ、どうしても頼らなくてはならない時が来たら、是非とも紹介していただきたい」
ルカ「はい!ボクにできることであれば何でも言ってください!」ニコッ
岡部(その時のルカ子の姿はまるでエーゲ海に映える小島の神殿に佇む、歴戦の兵士たちを慰めてきた女神ディアナのようであった)
岡部(だが、男だ)
166:
岡部(このまま日が昇るまで皆とつるんでいたいところだったが、紅莉栖の指導の下、
 『良い子の岡部はもうおねんねの時間だからね』という命令に従い、二人でラボに帰って寝た。
 寝たといっても普通にだ、普通に)
岡部(ちなみに今回はオムツのお世話にはならずに済んだ。ルカ子の祈祷のおかげだろうか)
岡部(2011年の元旦を、気持ちよくとはいかなかったが、紅莉栖やまゆり達と共に迎えられたことは大変意味のあることだと思う)
岡部(これでこの病気がなければ、などと泣き言は言っていられない。神が咎人に与えた代償なのだと思う他ないだろう)
岡部(そうだ。代償なのだ。それほどまでに俺は罪深いことをしてきた。なかったことにしてはいけない)
岡部(しっかりとこの代償と向き合って生きてゆこうと気持ちを新たにした。これを2011年の抱負とする)
167:
今日はここまで また明日
168:
>>167
お疲れ様
169:
読んでたらお尻が痛くなってきた...
170:
親が潰瘍性大腸炎だからクリス視点で共感出来るとこが多々ある
171:
難病だってのは知ってたが、まさかこんなに苦しいとは思わなかった
そりゃあ安倍さんも辞任するしかないわ…
172:
安倍さんのおなか痛いはこれだったのね…
173:
同日夜 未来ガジェット研究所
岡部「結局一日ラボで寝正月をしてしまったな」
紅莉栖「しょうがないでしょ、ちょっと熱あがっちゃったんだから」
岡部「まぁ、なんだ。これもひとつの贅沢だな」
紅莉栖「体調良くなったら外出た方が体にいいのよ?」
岡部「わかっている。そうしたら、一緒に色々なところを回ろうか」
紅莉栖「うん……///」
岡部(紅莉栖となら、紅莉栖が支えてくれるなら、俺は文字通りどこへでも行ける)
岡部(だが逆に言えば、俺は誰かが支えてくれなければおちおち外にも出られないということだ)
岡部(空間的な話だけではない。人間は根源的に時間的存在であるとはハイデガーの言であったな)
岡部("未来への一歩を踏み出す"という表現があるが、過去・現在の経験があって初めて歩を進めることができる)
岡部(俺の歩む未来への道中に連綿と"トイレ"が存在していることを祈るしかない……)ギュルルル
岡部「ん、すまん。ちょっとトイレだ」
紅莉栖「はいはい。いってら」
174:
ガチャ バタン ガチャ
岡部(さて、我が代償と向き合うにあたり気がかりなことがある)
岡部(他でもない。俺と、そして紅莉栖の将来だ)
岡部(このままでは天才脳科学者牧瀬紅莉栖のヒモ、岡なんとか太郎としてブラブラ生きていくのではないか)
岡部(……悪くはないのか?)
岡部(いやいや、ホントにそれでいいのか……どうなんだ、俺……)
岡部(やはり不安なのだ。
 ただでさえ誰もが将来を不安に思うだろうに、未だ自分でもどう付き合っていいかわかっていない病気を抱えている)ブッ
岡部(勿論、俺なんかよりも複雑な問題を抱え、日々悩み闘っている人間もいることであろう)ブリッ
岡部(ただ、彼らと俺との間には決定的に異なる点が一つある)プゥ---
岡部(それは、俺は一度"未来の俺"と接した経験がある、ということだ)ブッ
岡部(イメージができることと実際に体験することでは、その後の選択に大きな意識の差を生じる)ブッ
岡部(つまるところ、俺はてっとり早く未来を知り、不安を解消したくてたまらないのだ)ブリュ
175:
岡部(トイレの中で未来について考えていると、かの名作SF映画を思い出す)プピッ
岡部(たしか、Dr.ブラウンは1955年にトイレで転んで次元転移装置、すなわちタイムマシンを思いついたのだったな)ブッ
岡部(映画の中ではタイムライン理論が展開されていた。あれはリーディング・シュタイナーによる世界線の観測とはまた異なった方法だ)ブリッ
岡部(PART2でマーティ・マクフライは自分の家族の未来を救うためにタイムトラベルをしていたな。そして自分の未来を知ったわけか)ブリュリュ
岡部(俺の目の前に改造済みデロリアンが現れてくれればな……。
 フッ。まぁ、あれはあれでタネン一族に悪用されぬよう努力せねばならないのだが)ブリュリュリュ
岡部(当然、タイムマシンは在ってはならない。タイムトラベルなど、してはならな、いのだから、な……)ブリュリュリュリュリュ
岡部(タ、イム……マシ、ン……)ブリュリュリュリュリュリュリュ
ブリュリュリュリュリュリュリュリュリュリュリュ……
176:
・・・
岡部(……ハッ。少しめまいが。いかんいかん、クソ垂れ流しながら気絶してはまた紅莉栖に心配をかけてしまう)
岡部(さて、とっととケツ拭いて出るか)ジャー ガチャ バタン
鈴羽「あ、オカリンおじさーん。明けましておめでとう」
岡部「おぉ、鈴羽か。明けましておめでとう」
鈴羽「あっは!あんまり今と昔と変わんないんだねー。老け顔だったってホントだったんだ!
 それで、今年はお年玉はどのくらいくれるの?」
岡部「ハァ?なぜ俺がお前にお年玉なんぞをくれてやらねばならんのだ」
鈴羽「えーっ、だって毎年くれてたじゃん」
岡部「それは未来の俺が、だろう。まったく、今は2011年なのだ、ぞ……」
岡部(ん?)
鈴羽「紅莉栖おb……牧瀬さんはお年玉くれないー?」
紅莉栖「え、だってあなたと同い年くらいでしょう?」
鈴羽「あたし今18歳!そっか、牧瀬さんも今18歳だね」ケラケラ
177:
岡部「ぬぅゎぁぁあああああああ!!!!!なぜだッ!!!!!一体ッ、なにがッ、どうしてッ!!!!!」
鈴羽「ちょ、ちょっと!いきなり大声出さないでよ!」
岡部「どうしてお前が"ここ"にいるのだバイト戦士ィィィ!!!」
鈴羽「あー、それ懐かしいあだ名だ!」
紅莉栖「やっぱり岡部とこの子は知り合いだったの?突然、橋田の親族だって言ってきたから上げちゃったんだけど」
岡部「質問に答えろ橋田鈴羽ァ!……いや、阿万音か?ともかくッ!未来はッ!どうなってッ、一体、なにが……どうなって……」ガクブル
鈴羽「お、落ち着いてよオカリンおじさん!てゆーか、オカリンおじさんが言ったんじゃん、未来がどうなってるのか教えろって」
岡部「俺が……言った……だと?俺がッ、言った、だとッ!!??
 答えろ鈴羽ァ!!西暦何年のッ、ダイバージェンスいくつの俺がッ!!そう言ったんだッ!!」
鈴羽「もー!今あたしの目の前にいる岡部倫太郎が!そう言ったんでしょ!」
紅莉栖「岡部……?大丈夫?」オロオロ
178:
岡部「な、なにを言っているんだお前は……一体なにを言っているんだお前はぁっ!!」ダッ
鈴羽「待てこらぁっ!」ガシッ
岡部「ひでぶっ!」ダァン
鈴羽「はぁはぁ……あのね、オカリンおじさん。あたしは、オカリンおじさんがこの時代のオカリンおじさんが……
 ええい、ややこしいなあ!君のことは岡部倫太郎って呼んでいいかな?」
岡部「くっ、好きにしろ」グッ
鈴羽「オーケー。つまり、あたしはオカリンおじさんに命じられてここにきたの!
 岡部倫太郎が病気になったせいで未来について不安に思っているから、思いっきり今の俺たちを自慢してこい、ってね!」
岡部「……それだけ、か?」
鈴羽「ん?そうだけど?」
岡部「……なんだよそれ」
紅莉栖「岡部……?」
岡部「なんだよそれぇぇぇぇぇ!!!!!!」
179:
岡部「そんなことのためにッ!世界を危険に晒しッ!ディストピアはどうなった……第三次世界大戦はッ!SERNはッ!IBN5100はぁッ!!」
鈴羽「そんなこと……?今君、"そんなこと"って言ったの?」
岡部「そうだッ!!タイムマシンなど存在してはならない、この世にあってはならないんだッ!!
 ハッ!まさか、お前の父親がオペレーション・ブリュンヒルデをッ!!」
鈴羽「ッ!」バチン
岡部「ぐはぁっ!」ブリュン
鈴羽「今!オカリンおじさんたちは!一生懸命タイムマシンの平和利用を模索してるんじゃないか!」
岡部「……平和利用だと?そんなの無理だ、不可能だ」
鈴羽「不可能じゃない!現にあたしは父さんの作ったβ版でここまで来れたし、紅莉栖おばさんの理論でそれが可能になったし、
 何よりも今世界に先駆けて航時法の整備を進めてるのは、岡部倫太郎じゃないか!」
岡部「!」
180:
岡部「鈴羽。その話、詳しく聞こう。屋上にあがるぞ」
鈴羽「望むところ!」
岡部「紅莉栖!お前はここでじっとしていろ!一歩も外に出てはならない」
紅莉栖「えぇっ?うん、わかった……?」
・・・
岡部「それで、お前は俺に未来を教えに来たんだな」
鈴羽「そうだってば」
岡部「なぜだ」
鈴羽「えっとね、たしか、この時代の岡部倫太郎に未来を教えてやる必要がある、らしいんだ」
岡部「……わかった。できる限り教えてくれ。その、未来とやらを」
鈴羽「オーケー。つまり、今の君はバリバリの政治家として活躍してるってことさ!」
岡部「……俺が、政治家ァ?」
181:
鈴羽「まぁ大事なのはそこじゃないんだ。君は去年、潰瘍性大腸炎を患った。
 それは未来の今でも継続した投薬治療によって症状を抑えている状態だよ」
岡部「……!」
鈴羽「何度も症状を再発させて、入退院を繰り返し、臨死体験をしたこともあった。
 肛門周囲膿瘍や大腸がんなどの合併症を引き起こしたこともあった。
 だけど、それを乗り越えてなお!オカリンおじさんは今、自分の信念のために世界を変えようとしている!」
岡部「!」
鈴羽「おじさんが伝えたかったのは、多分こういうことだと思う。病気なんか気にせず前を見て突っ走れ、ってね」
岡部「……ふっ。それはだいぶ鈴羽流のアレンジが加わった見解だな」
鈴羽「それ今でも言われるよーアハハ」
岡部「なるほど、な。たしかにそれを聞いてしまうと、今まで将来についてあれこれ心配していたのが馬鹿らしくなってしまった」
鈴羽「でしょー!だから言ったじゃん!オカリンおじさんはさ、たとえどんなに逆境でも、必ず支えてくれる仲間がいる!
 だからどこまででも走っていけるんだよ!そんなオカリンおじさんがかっこよくて、あたしは好きなんだ!」
岡部「鈴羽……」
鈴羽「どう?未来と、つまり岡部倫太郎の将来と、そして君の代償との、不安はなくなったかな」
岡部「ああ。もう不安に思わない。そうだ、たとえ一人では不安でも、支えてくれるものがあるから安心できるんじゃないか」
岡部(まるでオムツのように、な)
182:
鈴羽「……もう、大丈夫みたいだね」
岡部「あぁ、おかげさまでな」
鈴羽「実はね、岡部倫太郎が未来への不安を払拭したら、もう一つ伝えて欲しいことがあるって言われているんだ」
岡部「なんだ、それは」
鈴羽「"この先はシュタインズ・ゲートじゃない。今ならまだ引き返せる"」
岡部「!!!」
鈴羽「もう意味、わかったかな」
岡部「ふふふ、くくく、フゥーッハハハ!!!」
鈴羽「ちょ、新年早々近所迷惑だよ!もう夜も遅いんだよ!」
岡部(全く、ついに俺の左腕にでもなったのか、"俺"は)
岡部「これより、オペレーション・ブリダンディ最終フェイズを開始する!勝利の時は来た!
 あらゆる陰謀に屈せず!己の、己の肛門を貫き!我々はついに、ラグナロックを戦い抜いたのだ!!
 この勝利のために、わが手足となって戦ってくれた仲間たちに感謝を!犠牲となった、全ての便意に、感謝をっ!
 訪れるのは、俺が望んだ世界であり、全てはシュタインズゲートの選択である!世界は、再構築されるッ!! 」
鈴羽「オーキードーキー!さぁ、岡部倫太郎!」
岡部「あぁ、わかっているッ!」
"俺は絶対にタイムマシンを作らない"
183:
ビュオォォォォォォォォ…………
岡部「ぐっ!!!めまいが!!!鈴羽!!」
鈴羽「よかった、岡部倫太郎が元気になってくれて」
岡部「お前も!未来から俺を!見ていてくれたのか!」
鈴羽「そうだよ、岡部倫太郎。いや、オカリンおじさん!」
岡部「くっ!すまないな、いつも迷惑ばかりっ!」
鈴羽「もう……バカだな、おじさんは」
岡部「俺はッ!未来へ!歩みを進めるッ!」
鈴羽「そろそろだね……それじゃ!」
岡部「うむっ!」
岡部&鈴羽「6年後にまた会おう!!」
184:
―――――――――――――
岡部「……ハッ!」ブリッ
岡部「ここは、ラボのトイレ、か」ブリッ
紅莉栖『おかべー!まだトイレ入ってるのー!さすがに長すぎないー!』
岡部「あ、あぁ、すまない。ちょっと夢を見ていたようだ」
紅莉栖『初夢までう○こしながらになってしまったか……』
岡部「う、うるさい!今出るから少し待っていろ!」ジャー ガチャ バタン
紅莉栖「……なんかスッキリした顔してるわね。どんな初夢の内容だったの?」
岡部「うむ……なかなか、いい夢だったぞ。俺の、いや、俺たちの将来についての夢だ」
紅莉栖「ふぇっ!?/////」
185:
岡部(その後、俺の"初夢"の内容を紅莉栖がしつこく聞いてきたので、
 結局タイムマシンに関するところは隠してあの"夢"の中の未来の俺たちについて話してやった)
岡部「……とまぁ、そんな具合だ」
紅莉栖「うーん、ちょっとその夢の内容には納得できないかな」
岡部「む。どうしてだ。病気と闘いながらも現役でがんばっているのだぞ」
紅莉栖「だっておかしいじゃない。どうして潰瘍性大腸炎が根治していないの?」
岡部「は?今更なにを言っている。それは潰瘍性大腸炎が原因不明の難病だからであろう」
紅莉栖「だーかーら、それは現代医学での話でしょ!」
岡部「……あっ」
紅莉栖「2036年になっても根治できる医療がないなんて、そんなの医学の敗北、ひいては人類の敗北だわ」
岡部「お、おぅ」
紅莉栖「それに、合併症や死線をくぐった、っていうのも気に入らないわね。そんなの無い方がいいに決まってる」
岡部「そうは言ってもだな……」
186:
岡部(それから俺たちは久しぶりに激論を交わした。当然、すべて紅莉栖が論破したわけだが)
岡部(さすがは天才HENTAI少女だ、医学についてもかなりの知識を持っている)
岡部(そうこうしているうちに時計の針がてっぺんを回ってしまったので、俺は強制的に寝かしつけられることとなった)
岡部(また俺が少し熱を出してしまったので、紅莉栖は心配そうに布団をかけてくれた)
岡部(先ほどまでトイレで夢を見ていたにしては、その日はぐっすり眠れたのだった)
187:
AD 2011.01.02 08:23:55:61 (TUE) 未来ガジェット研究所
紅莉栖「おかしい」
岡部「なにがだ」
紅莉栖「いくらなんでもこれだけ毎日連続服用して岡部の熱が下がらないのはおかしい」
岡部「それは、俺の今までの不摂生がたたったからで……」
紅莉栖「一旦飲むのやめましょう」
岡部「なんだと?というかそれは医師の先生が決めることではないのか」
紅莉栖「勿論主治医が判断すべきだけど、ここは試しに実験すべきよ」
岡部「この実験大好きっ子め」
紅莉栖「誰が実験大好きっ子か!
 それより岡部、最初にアサコールを処方されてからクリスマスの日までまじめに薬を飲んでなかったわよね?」
岡部「恥ずかしながら、な」
紅莉栖「その時の体調はどうだったの。成田で会ってからは私も知っているけれど。
 そこのところ、少し詳しく教えてもらっていいかしら?」
岡部「う、うむ……」
188:
岡部「つまり、十二月二十一日の木曜日の午後からの俺の様子か」
岡部「ふむ、あの日は病院が終わってそのまま池袋の実家へ帰り、そう言えば店先でまゆりに会ったな」
岡部「まゆりに健康的な生活のなんたるかを教え込まれて……。次の日の朝はまゆりに叩き起こされたんだ。朝6時前だったか」
岡部「二十二日はおかゆとリンゴを朝飯に食べて、まだ眠かったが大学へ行った。落ち込んでいた俺をダルが励ましてくれたな」
岡部「その後ラボでダルとゲームしたりして夜を明かして……。二十三日の朝は、そうそうマクディだったな」
岡部「それからアキバを歩き回って人数分のクリスマスプレゼントを買った。あぁ、マッサージチェアーは気持ちよかったぞ」
岡部「それで二十四日の早朝、再度まゆりに叩き起こされてマクディのことで怒られて、ラボを追い出されて……」
岡部「そのままダルと共に上野駅まで歩き、京成線に乗って成田へ向かったんだったな」
紅莉栖「やっぱり」
岡部「なにがだ」
紅莉栖「ずいぶん元気じゃない」
岡部「……た、たしかに。そういえば発熱はなかった、と思う。体力不足から来るダルさはあったが。
 だが熱が出たのはそもそもクリスマスパーティーで暴飲暴食したのがきっかけだったのではないのか」
紅莉栖「それは違うと思うわ。確かにあの後ぶっ倒れたのはそれが原因だろうけど、
 未だに熱が下がらないほどの影響力があるとはちょっと考えられないわ」
岡部「そういうものか」
紅莉栖「とにかく、それを実験するために今日はアサコール飲まないでね。わかった?」
岡部「う、うんむ」
189:
AD 2011.01.03 11:02:50:09 (WED) 未来ガジェット研究所
岡部「びっくりするほど体調が良くなった……熱も平熱だし、体もこころなしか軽い。
 気持ちも悪くならないし、下痢の回数が目に見えて減った」
岡部「便の様子も、今までは印象派のような粘着便だったのが、写実主義的な有形の便へと変化していたな」
岡部「排便時の痛みや悪寒もほとんどなかった。普通の排便にかなり近かった、懐かしい感覚だったな」
紅莉栖「やっぱり……これはアレルギーの可能性が高いわね」
岡部「アサコールが俺のアレルギー物質だと言うことか?」
紅莉栖「正確にはアサコールの有効成分をコーティングしている物質がアレルギーの原因物質になっている可能性があるみたい」
岡部「なんだよそれ……この薬を飲んでいなければよかったというのか」
紅莉栖「結果論に過ぎないわ。とにかく、明日の診察の時に先生に伝えて、血液検査でアレルギー反応を調べてもらう必要があるわね」
岡部「そうか、わかった。結果は追ってメールで連絡する。それで、今日は何時発の便なのだ?」
紅莉栖「あ、休暇延長したから。今週いっぱいはこっちにいるわよ」
岡部「……何っ!?」
190:
岡部「そんな、大丈夫なのかその、延期してしまって」
紅莉栖「アレクシス・レスキネン『ボーイフレンドの看病のためなら仕方アリマセーン』だって」
岡部(それでいいのかヴィクコン……)
紅莉栖「あとで先輩にはかなり絞られそうだけど……。ともかく、岡部の体調に関してはこれで光明が見えてきたわね。
 そんなわけだから、今日のお昼はちょっと奮発してみるわね」
岡部「奮発、というと?」
紅莉栖「いよいよ肉料理に挑戦するわけだが」
岡部「おおっ!!すんばらすぃーぞクリスティーンナッ!!!」
紅莉栖「ティーナ禁止!」
191:
・・・
紅莉栖「さて、はじめましょうか。ここに取り出したるは鳥のモモ肉!」ドンッ!
紅莉栖「まずは皮を剥ぎます」ニュルニュルッ
紅莉栖「ちょっともったいない気もするけど、そのまま捨てます」ポイー
紅莉栖「次に肉の間に挟まっている白い部分、これ脂肪なんだけど、それを包丁で取り除きます」スッスッ
紅莉栖「そして包丁で削ぎ切りして肉の繊維を切っていきます」シュッシュッ
紅莉栖「その後、棒でたたいて肉全体をやわらかくします」コンコン
紅莉栖「最後に手ごろなサイズに分けて、これで肉の下準備はO.K.ね!」
岡部(一体誰に向けて話しているのだ?)
192:
紅莉栖「次は付け合せの準備ね。玉ねぎ、にんじん、ブロッコリー、じゃがいもを用意しました」
紅莉栖「玉ねぎとじゃがいもは普通でいいけど、にんじんは普段より少ししっかり皮を剥きます」シュッシュッ
紅莉栖「植物の繊維に垂直になるように包丁を入れ、一口サイズより少し小さいくらいまで細かく切ります」トントン
紅莉栖「これをお皿にいれて電子レンジで2?3分回せば付け合せの温野菜の完成ね」チッチッチッチッチッ……
紅莉栖「待ってる間にお肉を焼きましょう。お肉に塩コショウをかけ、オリーブオイルを敷いたフライパンで焼きます」ジュー
紅莉栖「いい焼き色になったら完成です」テテーン
紅莉栖「ソースの代わりに、しょうがにしょうゆを少し垂らしたものをお皿の隅にちょこんと乗せます」チョコン
岡部(おお……!!ラボ全体に広がる肉の焼ける匂いッ!!これはたまらんッ!!たまらんぞッ!!)
193:
紅莉栖「はい、鳥のモモ肉のソテーの完成よ。ご飯は少しやわらかめにして炊いておいたから」
岡部「ついにこの時が来たか……ッ!食べられぬと聞いてからは高嶺の花であった肉が、いよいよ我が口腔を満たすのだな!」フゥーン
紅莉栖(岡部嬉しそう、よかった)ニコ
岡部「……っと、いかんいかん、俺としたことが。涎が垂れてしまったではないかンフフフフ……」ジュルリ
岡部「んではぁっ!いただきんむあああっs」
\バーン!/
まゆり「もうジューシーからあげNo.1のない生活は耐えられないよオカリーンッ!!!」ドタン
ダル「ポテチポテチポテチポテチポテチポテチポテチポテチポテチポテチィィィッ!!!」バタン
岡部「ん?」
紅莉栖「えっ」
194:
まゆり「オオオオカリンがお肉を!?しかも鶏肉をぉぉーーっ!?」ガーン
ダル「肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉に???く????!!!!!!」バッ
岡部「や、やめろ、やめるんだダルッ!これは俺の肉だぁっ!!」スッ
\ドンガラガッシャーン /
紅莉栖「ケホッ、こら、やめんか!」
ダル「に、にく。にく、に、にく。にぃーーくぅーー!!!」
岡部「なんとか死守したか……。しかし、完全にダークサイドに落ちたあのおっきな熊さん相手に俺がどこまで立ち向かえるか、くっ!」
まゆり「ジューシーカラアゲナンバワンッワン ジューシーカラアゲナンバワンッワン ジューシーカラアゲナンバワンッワン ジュ(ry」
紅莉栖「ま、まゆり!?ちょ、え、ま、まゆり!?」
195:
岡部&ダル「すいませんでした」
まゆり「ごめんね紅莉栖ちゃん……」
紅莉栖「まったく。橋田とまゆりの2人は我慢せず食べてもいいのに」
ダル「だってオカリンが!」
まゆり「あんなに色々食べられないなんて!」
ダル「かわいそうだから!」
まゆり「私たちも同じ気持ちになろうって!」
ダル「なのに……裏切り者……」ギロッ
まゆり「ジューシーカラアゲナンバワンッワン ジュ(ry」
岡部「だぁっ!これは紅莉栖がしっかりと俺のことを考えて作った、肉料理の最高傑作なのだぞ!
 そんじょそこらのものと一緒にしてもらっては困るな」フッ
紅莉栖(嬉しいけど絶対そんじょそこらの方がおいしいんですが!!///)
196:
紅莉栖「まぁ、少しならお肉余ってるから、二人も食べてみる?」
まゆり「え、いいの!?まゆしぃ鳥肉食べてもいいの!?」キラキラ
ダル「ダルしぃも食べてもいいのん!?」キラキラ
紅莉栖「食べていいからその気持ち悪いしゃべり方をやめろ!」
岡部「ではぁ、皆で一斉にいただきますをしようではないっかぁっ!せーんのっ!!」
\いただきます!/ パクッ
まゆり「……」
ダル「……」
岡部「……」
紅莉栖「ど、どうかな?その、味の方は……///」
197:
まゆり「お、おいしいよ紅莉栖ちゃん!和風な味付けで、ご飯によく合うよ!」
ダル「……」モグモグ
岡部「……」モグモグ
紅莉栖「おい、男共」
ダル「ソースは?」
紅莉栖「」イラッ
岡部「なんというか、あれだな。
 いかに俺たち日本人が欧米の食文化に浸りきってしまっていたかを痛感させられたというか……」
紅莉栖「……」グスッ
まゆり「オ、オカリン!それにダルくんも!おいしいよね、ねっ!」
ダル「まずくはないんだぜ?むしろ今まで禁断症状が出てた僕にとっては救世主だってのもわかる。
 けど、はっきり言って」
岡部「肉というか、肉風味のなにか、だな」
紅莉栖「……」
まゆり「ダルくん!オカリン!」アセッ
198:
紅莉栖「まぁ、わかってたんだけどね。でも、潰瘍性大腸炎でも食べられる肉料理っていうのはそういうものよ」
岡部「紅莉栖、俺だってよくわかっている。
 実際、クリスマス振りの肉だということもあって、モリモリ食が進んでいるのだ」モグモグ
紅莉栖「あ、岡部はおかわり禁止だから」
岡部「んぐっ!」
まゆり「でもオカリン随分痩せちゃったから、しっかり食べて元気になってほしいのです」
ダル「あんまりガリリンなのもよくないんじゃね?」
紅莉栖「過ぎたるは及ばざるが如しって言うでしょ。それに腹八分目よ。
 そもそも痛い思いをするのは岡部なんだからね」
岡部「わかっている。すぐにじゃなくていい。ゆっくり体重と体力を取り戻していくとしようではないか」
紅莉栖「うむ、合格だ!」
199:
AD 2011.01.04 14:34:02:20 (THU) 慶應義塾大学病院消化器内科診察室
医師「なるほど、アサコールの服用を止めたところ症状が軽減したと」
岡部「そうなんです」
医師「CRPも下がっている。そうだね、もう一回採血してもらって、アサコールでのアレルギー反応を検査しましょう」
岡部「あ、ありがとうございます!」
医師「ただ、これがアレルギーだとすると少し厄介だね」
岡部「えっ……」
医師「ペンタサはアサコールに近いから、サラゾピリンを試してみようか。
 この薬は本来副作用が多いんだけど、これが君にピッタリくればそれで大丈夫だからね」
岡部「は、はい」
医師「結果はすぐ知りたい?」
岡部「そうですね、できれば」
医師「じゃぁ明日のこの時間に来てもらえるかな。
 僕はいないから別の消化器の先生が担当するけど、処方は僕の方から相談しておくから」
岡部「ありがとうございます」
医師「うん、じゃぁとりあえず今日は処方なしで。アサコールは一旦止めよう」
岡部「はい、わかりました」
・・・
紅莉栖「お疲れ。はい、紅茶」
岡部「悪いな。検査結果は明日出してもらうことになった」
紅莉栖「それはよかった。さ、帰りましょ」
200:
同日 未来ガジェット研究所
紅莉栖「ただいまーっと」
岡部「ん、まゆりいるのか?」
まゆり「オ、オカリンオカリン!」
岡部「どうした、まゆり。そんなに慌てて」
まゆり「まゆしぃね、本屋さんで立ち読みしてたら、潰瘍性大腸炎を治したお医者さんの本を見つけたのです!!」
岡部「ホントか!治せるのか?」
紅莉栖「治したって……どうせ症状が何年も継続して出てないだけでしょ」
まゆり「まゆしぃ難しいことわからなかったから、紅莉栖ちゃんにも読んでみて欲しいのです!」
紅莉栖「O.K.任せて」
岡部「しかし、それが本当だったらどうして未だに難病指定されているのか……」
まゆり「でも、もしかしたらオカリンの病気がきれいさっぱり治っちゃうかもしれないと思うとまゆしぃはうれしいのです!」
岡部「そうだな。俺もだ、まゆり」
201:
カチッ コチッ カチッ コチッ……
紅莉栖「……」
岡部(あれから三十分黙々と読み続けているな)
まゆり(真剣な紅莉栖ちゃんなのです)
紅莉栖「はぁーっ、なるほどねー」
岡部「それで、種明かしは?」
紅莉栖「まぁ、簡潔に言うと」
まゆり「ゴクリ」
紅莉栖「東洋医学なんて非科学的ね」
岡部「ちょ、それは色んな人を敵に回す発言だぞ!」
まゆり「つまり、治らないのです……?」ウルッ
202:
紅莉栖「漢方なんてトライ&エラーの無限回廊みたいなものよ。
 確かに正確な知識の積み重ねで個人を治癒できるかもしれないけど、普遍的じゃないわ」
岡部「ほぅ」
紅莉栖「とゆーかそもそも原因がわかっていないことが最大の問題なのよね。
 ここを一足飛びに駆け上がったら再現性が失われてしまう」
まゆり「紅莉栖ちゃん、まゆしぃにもわかるように説明してほしいのです……」
紅莉栖「あぁ、ごめんねまゆり。そうね、確かに岡部を"治った"(仮)状態にはできるかもしれないわ」
まゆり「!」パァァ
紅莉栖「だけど、実際に根治してたかどうかは岡部が死ぬまで、いや死んでもわからないかもしれない」
まゆり「えっ……」
紅莉栖「もちろん漢方は、サポート的な意味では岡部の痛みをやわらげてくれたり、生活の助けにはなるでしょうけど」
まゆり「……」
203:
岡部「さすが科学の申し子だ、クリスティーナよ」
紅莉栖「ティーナをつけるな!」
岡部「実際問題、大学生には漢方に手を出せるほどの資金などないからな。国が負担してくれる方が助かる」
紅莉栖「まゆり、でもこの本は私に良いヒントを与えてくれたかも知れない。ありがと」
まゆり「えっと、えっと、どういたしまして?」
紅莉栖「料理研究は一旦おいといて、私も潰瘍性大腸炎について色々と調べてみようかしら」
岡部「既に俺よりも知識があると思うが」
紅莉栖「ちょっとこれから図書館に行ってくるわ。まゆり、岡部をよろしくね」ガチャ
まゆり「う、うん。いってらっしゃーい」
岡部(思い立ったが即行動、か)
204:
AD 2011.01.05 14:53:67:77 (FRI) 慶應義塾大学病院消化器内科診察室
別の医師「それじゃあね、担当の先生からお話はうかがってるからね、今日はサラゾピリンの処方だね」
岡部「はい、ありがとうございます。ということは、先生、アサコールに対してのアレルギー反応は……」
別の医師「あああれね、どうなってるかね。助手君、データ出してね」
助手「はい……はい、プラスです」
別の医師「うん、陽性だね。つまり反応ありだね」
岡部「なるほど、わかりました。では、サラゾピリンで試してみます」
別の医師「うんうんがんばってね。それじゃお大事にどうぞね」
・・・
岡部「さて、この薬に対してアレルギーがなければいいが」
紅莉栖「……」ブツブツ
岡部「ん?どうした紅莉栖?」
紅莉栖「セロトニンの脳内活性化が……いやでも……」ブツブツ
岡部(昨日図書館から帰って来てからずっとこの調子だ)
205:
同日 未来ガジェット研究所
紅莉栖「まだ仮説段階なんだけれど」
岡部「……天才HENTAI少女よ、まさかとは思うが、
 既にお前の頭の中には医学論文がワンセット完成されているのではあるまいな」
紅莉栖「HENTAIゆーなっ!それにまさか、まだデータが少なすぎるわ。ただ、理論仮説は少し見えてきたかな」
岡部(ナ、ナンダッテー!)
岡部「ゴホン。それで、仮説がどうしたのだ」
紅莉栖「岡部の症状は重症とまではいかない、中等症って言ったところなのね」
岡部(これよりひどい症状の患者さんもいるわけか……)
紅莉栖「これなら投薬で根治する可能性は0パーセントではない。これが今のところ私が考えてる仮説よ」
岡部「マジでか……」
206:
紅莉栖「それから、まだ確証もなにも無いんだけど、岡部の状態で確認しておきたいことがあるの」
岡部「なんだ?」
紅莉栖「たしか最初の血便を伴った下痢の症状が出たのは十月だったわね」
岡部「そうだが」
紅莉栖「それ以前、特に今年の夏から秋口にかけて、なにか大量にストレスを抱えるようなこと、あった?」
紅莉栖(私が岡部を探してた頃ね)
岡部「……なぜそんなことを聞く?」
紅莉栖「質問に質問で返す奴は」
岡部「だぁーっ!もうっ!……これは正確に答えた方がいいのか?」
紅莉栖「はぁ?当たり前でしょ。それとも、私に言えないようなことでもあるわけ?」
岡部「……」
紅莉栖「あっ……そ、そっか、ごめんね(汗」
岡部「あ、いや、違うぞ!今はまだ言えぬ、というだけでだな!言えないわけではないからな!」
紅莉栖「う、うん……ってことは、あったんだね。大量にストレスを溜めるようなこと」
岡部「う、うむ……まあ、あったことはあった」
208:
紅莉栖「……深くは聞かないわ。次の質問ね」
岡部「すまん……さて、まだ質問するのか」
紅莉栖「岡部、今不安なこと、ある?」
岡部「そりゃ、いくらでもあるぞ。紅莉栖が男にうつつを抜かしていたせいで研究所を追い出されないかとか
 紅莉栖が大きなミスをやらかしてしまわないかとか紅莉栖が」
紅莉栖「だぁーっ!///わ、私のこと以外で!///」
岡部「ふむ、そうだな。この病気のために進級が危ぶまれないかとか、就職面接で不利になったりしないかとか、
 ……結婚後の生活とか、な」
紅莉栖「……///」
岡部「だが、それらはすべてちっぽけな悩みだ。
 なぜなら俺にはラボメンを始め、多くの仲間が支えてくれているからな。不安に押しつぶされることなど無い。
 たとえ成功の可能性が0パーセントであろうとも、0から1を生み出す力をみんなが与えてくれる」
紅莉栖「……なるほどね、うん。岡部ならきっと治るよ」
岡部「そうか。フン、医学の発展に賭けてみようではないか」ニヤリ
209:
紅莉栖「うん、決めた」
岡部「またか。今度は一体なにを決めたのだ」
紅莉栖「私、医者になる」
岡部「ブフォ!!」
岡部「そ、それはマジで言っているのか助手よ!」
紅莉栖「助手ってゆーな!それに本気と書いて『ガチ』よ『ガチ』」
岡部「さすがに性急すぎるだろう……今までの脳科学者としての地位と名声はどうする?」
紅莉栖「書きたい論文は大体書いちゃったし、後輩に譲るわ。医者になったら脳科学研究をしちゃいけない、なんてルールもないしね。
 それよりも、今の医学の進歩スピードを少しでも上げたいと思うわけよ」
210:
岡部「いいのか紅莉栖。不安とかないのか」
紅莉栖「その答えはさっき岡部がくれたじゃない」
岡部「む?」
紅莉栖「私にもね、どんな大きな不安でも、それら全てをちっぽけな悩みに変換してくれる、
 かけがえのない仲間がいるのよ。どこかの研究所所長のおかげでね。
 知らなかった?ラボメンナンバー001さん」
岡部「ふっ。そうだったな。その所長もきっと鼻が高いことだろう」
紅莉栖「それに、腸は第二の脳って言うでしょ?脳科学者なら移籍しやすんじゃない」
岡部「いや、それとこれとは別だと思うが」
211:
紅莉栖「それにね。まぁ、その、言わなくてもわかってると思うが」
岡部「なんだ」
紅莉栖「岡部の病気を治してあげたいっていうのが、最も大きい原動力だから」
岡部「う、うむ」
紅莉栖「岡部が私の側に居てくれれば、私が研究頑張れる。
 私の研究の成果が出れば、岡部の病気が治っていく。ね、すごいよね」
岡部「う、うむ///」
212:
紅莉栖「ねぇ……岡部」ピトッ
岡部(俺の胸板に右の頬をあて、両手をそえて、体重を預けてきただと!?)
岡部「……待て、待ってくれ紅莉栖」
紅莉栖「……なぁに?」
岡部「お前が俺に全身全霊の愛を注いでくれていることは骨身に染みてわかっている」
紅莉栖「は、はずかしいこというな///」
岡部「だが、俺というのは面倒くさい生き物でな。一応、言葉にして確認しておかなければならないことがある」
紅莉栖「……」
213:
岡部「クリスマスにトイレでゲロとう○こを爆発させるような男で本当にいいのか」
岡部「コンビニにケツの穴押さえてダッシュで駆け込むような男で本当にいいのか」
岡部「一緒に居てくれないと不安で怖くて外も歩けないような男で本当にいいのか」
岡部「旅行先でのレクやおいしい料理を一緒に楽しめないような男で本当にいいのか」
岡部「オムツにう○こを漏らして涙ぐんで助けを求めるような男で本当にいいのか」
岡部「キスをした瞬間に下痢腹の音でムードをぶち壊すような男で本当にいいのか」
岡部「年越も初夢も年中行事の殆どでう○こをしているような男で本当にいいのか」
岡部「紅莉栖の手料理を下痢便にしてしまうような男で本当にいいのか」
岡部「こんな病気持ちで、本当に、いいのか」
214:
紅莉栖「……ククッ」
岡部「……」
紅莉栖「んwwだめww堪えられないwwふふww」
岡部「……」
紅莉栖「……ふーっ。アンタってホント、バカよね」
岡部「あぁ、そうだな」
紅莉栖「あのね、岡部」
岡部「うむ」
紅莉栖「私は岡部が大好きなんだけど」
岡部「知っている」
215:
紅莉栖「岡部は、どう、かな」
岡部「……正直に言うと、東京ビッグサイトの天使と見間違えたことがある」
紅莉栖「なにそれ、ふふ」
岡部「それで、結局どうなんだ」
紅莉栖「つまりさ、論破してほしいの?」
岡部「……まぁ、そうだ」
紅莉栖「なら、既に答えは出てるわね」
岡部「ん?」
紅莉栖「岡部は私を論破できない。私は岡部を論破できる。故に今回も論破可能。はいQ.E.D.」
岡部「……ど、どういうことだ」
216:
紅莉栖「岡部はなにを言っても私に勝てないんだから、私に愛される理由に意見しても無駄ってこと」
紅莉栖「だからさ、私があなたを救っても、文句は言わないでよね」
紅莉栖「今度は私が岡部を救う番なんだから」
217:
紅莉栖「あれ、私なんで"今度"なんて言ったのかしら」
岡部(……リーディングシュタイナーは誰もが持っている、か)
岡部「フッ、なるほどな。それならば仕方あるまいな」
紅莉栖「そうそう、仕方あるまいよ」
岡部「なぁ紅莉栖」
紅莉栖「なぁに岡部」
岡部「これからもよろしく頼むぞ、と」
紅莉栖「任せなさいよ、と」
岡部「……」
紅莉栖「……」
・・・・・・
218:
紅莉栖「さぁ、今日から忙しくなるわよ。私はこれから受験生になるから、よろしくね」
岡部「年相応ではないかセレセブよ。一旦アメリカへ戻るのか?」
紅莉栖「セレセブゆーな!必要なものは送ってもらうわ、大したものはないし。
 それに私は岡部の側にいてあげないといけないから」
岡部「くっ、小癪なことを。病が治った暁には、そのセリフ、反対にして返してやろう」
紅莉栖「そんな日が来ることを待っているわよ」フフッ
岡部「これからお前が東京で生活すると知ったらみんな喜ぶぞ」
紅莉栖「そうかな、うん。そうだね。みんなにも知らせなきゃだね」
219:
岡部「紅莉栖、本当にありがとう」
紅莉栖「もう……その話はおしまい」
岡部「俺はこうして、未来へ向かうことが出来る」
紅莉栖「……私だって、同じだってば」
岡部「……そうか。そうだったな」フッ
紅莉栖「じゃ、私は夕飯の買出しに行ってくるから。今日は和風パスタに挑戦するつもりよ。
 ……岡部も一緒に買い物行く?」
岡部「そうだな、一緒に行きたいがその前に……」
紅莉栖「?」
岡部「ちょっとトイレ」ギュルルルルルルルルルルルルブッブップス---------,ブリッ
220:
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
   きっと誰しもがタイムマシンを持っているのだ
    未来を切り開くための、タイムマシンを、だ
 だが、俺が身を持って体験したように、未来に進めず閉じ込められてしまうこともある
   もっともらしい理由があるならばなおさらだ
痛い、つらい、苦しい、他人に理解されない、恥ずかしい、みっともない、どうしようもない
  不安や恐怖で未来への一歩を踏み出せなくなってしまうかもしれない
  だが、大事なことなので二回言おう、必ずどこかに"タイムマシン"はある
――――――――俺にとってはきっと、この腕時計なのかも、知れないな――――――――
     2010.7.28
       R & C
221:
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
AD 2019.01.05 01:42:89:03 ???
FRAUKOUJIRO
FRAUKOUJIRO
潰瘍性大腸炎とかいうイミフな病気になった。最悪クソ垂れ流しになるらしい。鬱だタヒのう
222:
KURI_KAME
栗悟飯とカメハメ波
@FRAUKOUJIRO その病気なら薬飲んでれば治る
―――――――――――――――――――――
FRAUKOUJIRO
FRAUKOUJIRO
@KURI_KAME mjd?ソースplz
―――――――――――――――――――――
Dash
Dash
@KURI_KAME @FRAUKOUJIRO ソースは旦那でつね
。つかそろそろ結婚して本物の旦那にしてあげ
ろよ……
―――――――――――――――――――――
KURI_KAME
栗悟飯とカメハメ波
@Dash 自重しろ。切開して電極を大腸にブッ刺
すわよ
―――――――――――――――――――――
FRAUKOUJIRO
FRAUKOUJIRO
@KURI_KAME @Dash リア充、乙!
223:
  ヒ
  ? ュ.  人
  ? | (___)
  ?    (___) / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  ?  ( ・∀・)< おしまいウンコー
  ?   ( つ┳つ \_________
  ? ヽ )||丿
  ? .(_)|__)
  ?  ⊂§⊃
  ? // §
  ヽ``^' /
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
224:
>>1です マジ読了乙クソ丸
初ssで恥ずかしいところが多かったからリファインしたかったけどそれでもミスがあるね欝だタヒのう
―――――――――――――――すべての腸に平穏のあらんことを―――――――――――――――
225:

勉強になった。シュタゲ全く知らないけど面白かったよ
226:
面白かった乙
ただ、なんで俺はカレー食った直後に読んでしまったんだ
227:
良い医療クソSSだた
231:
良いクソSSやな
何かお腹がムズムズしてきたわ
便所行ってくる
232:
突如の下痢に決壊して半泣きで2時間かけて歩いて帰ったの思い出した
あれに激痛が伴う上に治らないとか怖すぎるな
22

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