男「ワシももう年じゃあ」 医者「・・・」back

男「ワシももう年じゃあ」 医者「・・・」


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1:
男「思い残す事はなにもない」
無数の管に繋がれ、やせ細った爺さんを看取るものは何もいなかった。
医者(キャバ嬢からメールこねー)
男「ただ、一度くらいは女にもてたかったなぁ」
ピー
医者「10時10分ご臨終と。」
医者(キャバクラ今日もいかなあかん)
元スレ
男「ワシももう年じゃあ」 医者「・・・」
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2:
母「起きなさい。もう遅刻するわよ」
男「ぐぅ?ん?ゆ、め?」
母「何寝ぼけてるのよ。早くおりて来なさい。」
男「お、おふくろ!」
男は母に抱きついた。朝立ちしてるのに、抱きついた。
母「ちょ//なにかしらねこの子は?いいからさっさとおりて来なさい」
男「おふくろ・・・若いのう。なんじゃ?古い夢の中におるのかいのう?」
男はベッドから降りた。
男「おんや?腰が痛うない?何と尿ももれとらんわい!」
男は階段を降り、朝食を食った。
3:
男「不思議なもんじゃわい。膝も痛うない。飯も沢山食える。尿も漏れないとはなぁ」
母「・・・」
妹「兄ちゃん、寝ぼけてるの?」
男「おんやまあ!妹かい?懐かしいのう。確か大学生の時に馬鹿な男と駆け落ちして、音信不通に・・・」
母「・・・男。時間よ、行きなさい・・・」
4:
男「行くとは何処にかのう?ワシはまだいきとるのかえ?」
妹「ママぁ?兄ちゃんが変だよう?」
母「顔あらってこい。男」
男「ふぃ。ご馳走様でしたっと。よっこいしょうきちっと。」
男は洗面所で顔をあらう。
男「何と?こりゃぁ狐に化かされ取るんかね?中学生になっとるわい?」
5:
男は制服を来て、家を出た。
男「不思議なもんじゃわい。さっき死んだと思うとったら、いまは中学生になっとる。長くいきるもんじゃ」
長年の一人暮しで身についた独り言は、中学生に戻ってもなおらない。
幼馴染「おはー!」
男「おんや!幼馴染かぁ?可愛いのう。」
幼馴染「な、なによ//朝からからかって!」
男「本当に可愛いのう・・・ワシが馬鹿じやったわい。早く告白しとればあんな馬鹿な男に取られる事もなかった・・・」
幼馴染「は、はぃぃぃ?男?あんた何かジジむさくない?」
男「ガビーん、ワシショック」
幼馴染「・・・古い」
6:
幼馴染「男?何か歩くの遅いんじゃない?」
男「若いもんは元気でいいのう。ワシ何てそんなに早く歩いたら骨が軋んで軋んで・・・」
幼馴染「・・・何かしらねえ、今日の男は妙に安心感があるというか・・・」
男「おんやまあ、みてみ幼馴染よう。富士山が綺麗に見えとるわい」
幼馴染「取り敢えず、何語しゃべってんのよ」
7:
そんな調子で学校についた
男「じーんとするのう。この教室の空気、学生時代に戻ったようじゃわい」
幼馴染は赤面した。男の発言にクラス中の視線があつまっている。
幼馴染「ちょ、ちょっと早く席につきなさいよ!」
男「はいはい。幼馴染はせっかちじゃのう。よっこいしょういちっと」
男は席についた。
男子三日会わねば刮目して見よというが、男の変貌ぶりにクラスは妙な静けさに包まれていた。
8:
男友「よう!今日カラオケでも行くか?」
男「おや?確か70歳で国内最年長のテクノブレイク記録を打ち出した男友じゃないの。懐かしいのう。」
男友「お、おう?なんて?」
男「カラオケかい?いいねえ?久しぶりだから声が上手くでるかいのう?」
男友「・・・な、なんかお前ジジむさいなぁ?ま、べつにいいが。じゃあとでな」
9:
その日、男は何故かもてた
人生初のモテ期だった
女「ちょ!男君てこんなに面白い奴だったんだぁ!初めてしったよ。」
女友「安心感があるっていうのかな?コタツにミカンみたいな?」
女「あ、それわかるぅぅwww」
男「若い娘は良く笑うのう。ワシも元気がでて来たわい」
10:
幼馴染「・・・」イライラ
男「そこでワシいってやったわい。薬は色を変えんとよう分からん、とな」
女「あははwwwマジウケる」
女友「駄目お腹痛いwww」
幼馴染「・・・男!チョット来なさい」
男「ん?これからがいい所なのに。すまんのう女さん、女友さん。」
11:
男「なんじゃ?屋上なんかに呼び出して。風邪でも引いたら事じゃ。手短に頼むぞい。」
幼馴染「私はあんたのことは昔っから知ってる。その上で言うわ。今日のあんたは変!あきらっかにおかしいんだから!」
男「まあまあ慌てさんな幼馴染さんや。慌てる時間じゃぁないわい。」
幼馴染「それよ、その安心感は何なのよ!昨日までのあんたはもっとオドオドしてたじゃない。」
12:
男「ふむ。幼馴染さんや。あんたの観察眼には恐るいるわい。明智小五郎もビックリクリクリクリックリとなあ。」
そこで男はゴホンと咳をした。大事な事を言う時の癖である。
男「ワシはもう105歳のジジイなんじゃ。」
幼馴染「・・・」
男「信じてくれるかいのう?」
幼馴染「しんじ、られっか!」
ズギャーン
男「ふむ、若い娘は血の気が多いのう、閉経前だからかのう」
14:
放課後
男友「カラオケいこーず!」
男「ふむ。楽しみじゃ」
男友2「うーしうたうぜ」
そして、三人はカラオケBOXについた
男友「そしてーたーたかーうっ!ウルトラソウッヘイ!!」
男友「こーのふねーをこいでゆけえー!」
男友「よさくがぁぁあ!キィをきるぅぅ。ヘイヘイホウヘイヘイホウ」
楽しいときはすぐにすぎた
男友「盛りあがったな」
男友2「おう!にしても男、お前趣味変わったな。」
男「そうかい?最近の若いもんの歌にはちと疎くてのう」
男友「ぶははは!また行こうぜ、じゃまた明日」
男友2「おう」
男「達者での」
16:
男「ふふふ。久方ぶりに愉快な時を過ごしたのう。与作がぁぁぁあん、キィをキィるうううう。ヘイヘイホウっと」
幼馴染「ずい分ご機嫌じゃない。」
後ろから幼馴染が自転車を引いてきた。
男「あれま、幼馴染さんやこんばんわ。もしや今の歌聞かれてしまったかいのう?」
幼馴染「え?今の歌なの?唸り声かとおもったわ」
男「あんまりじゃわい」ショボスーん
幼馴染「あんた、今日女さんとかと随分仲良く話してたじゃないの。」
男「うむ。若い娘は良いのう。明るくてワシまで明るくなるわい」
17:
幼馴染「・・・好きなの?」
男「与作がぁぁぉぁぉぉあん、キィをキィるうううううん。」
幼馴染「人の話を、きかんかこのボケなすー」
ズギャーン
男「と、年寄りをいたわってもらいたいものじゃわい。・・・行ってしまいおった」
18:
男「ただいま帰りましたよ。」
母「遅かったわね。もう食べてるわよ」
男「おや、いい匂いがするのう。カレーかね?」
母「ええ、早く手を洗ってうがいをしなさいな」
結婚歴もなく、ずっと独り身だった男にとって、誰かが家で夕食を作ってくれると言うのは、新鮮だった。
20:
男「ふぅ。寝たくないのう。寝てしまうと、ワシは・・・」
コンコン
妹「兄ちゃん、今いい?」
男「おいで、妹は今何歳になったんじゃ?」
妹はベッドに座る男の膝に座る。
妹「10だよ?忘れないでよ」
男「ふふふ。妹は可愛いのう。」ナデナデ
妹「兄ちゃん、話し方へんー」
男「そうかね?じゃあ、どういう風に喋ればいいかのう?」ナデナデ
妹「うーんとね?自分の事、ワシっていうのへんでしょ?あと、じゃのうとかもへんー!」
男「ガビーン!そうじゃったか、じゃから皆すこし驚いとったのかねえ?」
21:
妹「じゃぁ、兄ちゃん、おやすみなさーい。」
男「うん、よく眠りなさいな。ふぁー、しかし疲れたのう。眠るかね・・・眠ればワシは、また病院に戻るのかね?それともあの世にいくのかね?」
男はベッドに横たわり、寝付けずにいた。
不安もあるが、それ以上に久しぶりに刺激的な一日を過ごした事により興奮していたからだった。
22:
母「あら、どうしたのよ。今日は早いわね」
男「おはようさん。おふくろ、ご飯は作っときましたよ。」
母「あら?アジの開きに、味噌汁、ゆで卵・・・和食ね。あんた味噌汁何か作れたの?」
男「まあのう、独り暮しが長いと自然と覚えるんじゃよ。」
母「また寝ぼけてるの?まあ、いいわ頂きます」
23:
男「それでは、いってきます。妹、学校に遅刻しないようにな?」
妹「うん。兄ちゃんいってらっしゃい」
幼馴染「はよー!」
男「おや、おはよう。今日も可愛いのう、いや失敬、今日も可愛いですね」
幼馴染「な、またからかってるの?ほら、遅刻するから急ぐわよ」
男「ふむ、そうしますかね。」
25:
男(学校ではジジむささを消せねばならんのう。大変じゃわい)
女「おっはよ!男君!」
男「やあ、女さん、今日も元気一杯だね。」
女「あれ?昨日と喋り方かえた?」
男「おや、おかしかったですかね?いや、昨晩妹に注意されましてね?若者風にしゃべっているつもりなのですよ」
女「ううん。いいよ、昨日は面白かったけど、なんかに今日は紳士っぽい感じする」
男「ふむ、紳士ですか?それは嬉しい。おや、先生が参られた、席に着きましょう」
幼馴染「・・・」イライラ
26:
両極端だなwww
30:
女「ねえ、男君。」
男「うん?なんじゃ、いや何です?」
男(なるんのう・・・)
女「男君て、その、何だろ・・・」
男「うん?」
女友「男君て好きな娘いるの?」
女(あ、女友ありがとー)
男「好きな娘・・・か。昔はいたが、結局はワシ、俺がはっきりしないせいで振られてしまったよ」
女「そ、そうなんだ?」
男「ふふふ、女さんくらい綺麗な女性なら寄り付く男もさぞや多いのでしょうね?」
女「//」
女友「あらーそういう男君も女を狙ってたりするのかなぁ?」
男「ふむ、俺の様な年寄りは相手にされませんよ。」
女友「年寄りて、あんたもタメじゃろがいwww」
女「お腹痛いwww」
幼馴染「あのバカ・・・」
幼馴染友「幼馴染・・・凄い顔だよ」
31:
男「そこで、私言ってやったんです、木曜日は不燃ゴミの日じゃろが、とね」
女「マジウケるwww」
女友「男君、サイコーwww」
男友「男ー、お前笑いのツボ押さえすぎだろwww」
幼馴染「男!ちょっと屋上にきなさい?説教よ説教!」
男「幼馴染?ふむ、何かやらかしましたかのう?すみませんね女さん、女友さん、男友よ。これからって所なんですがねぇ」
32:
男「どうかしたのかい?幼馴染よ?」
幼馴染「あんた、また昨日キャラ違くないかしら?ワシ、とか、じゃのうっていわないじゃない!」
男「ふむ、妹に注意されてのう、学校では若者言葉を使う事に決め取るのじゃよ」
幼馴染「いま、ジジ言葉だったし!てか、女さんにデレデレしてみっともないわ、見ててこっちが恥ずかしいわよ」
男「うん?幼馴染よ。何を苛立っておるのじゃ?良ければこの年寄りに聞かせて見んか?相談にのるぞい?」
33:
幼馴染「あんた、またワシは105の爺さんじゃわい。とかいって私をからかう気なの?」
男「まあまあ、そんなに眉間にシワを寄せなさんな。可愛い顔が台無しじゃ。」
幼馴染「な、ま、またそう言う事言って、ひ、人の気も知らない癖に!」
男「幼馴染よ、ワシは本当なら今頃病院のベッドで孤独に死んどるところじゃった。」
幼馴染「ま、またその話?」
男「まあ、聞いておくれよ、年寄りの戯言じゃ。神様の戯れじゃろうか?ワシは中学生に戻ったんじゃ。もっとも、いつ迄このままでいられるのか、ワシにはわからん。寝る時など不安でしょうがないわい。」
幼馴染「・・・」
34:
男「正直、ワシは死ぬ時後悔しとった。どうして好きな娘に好きと言えなかったのか?それだけは最後まで心残りじゃった。」
幼馴染「す、好きな娘ってだれよ」
男「今はもう居ない。」
男(ワシの好きな幼馴染は目の前の幼馴染とは、また違うのじゃ。彼女は既に亡くなっとる。孫達に看取られてな)
幼馴染「あんたはどうしたいのよ。あんたの話を信じたとしてよ?このままココにいたいの?」
男「神様の戯れじゃ、ワシの運命は神様に任せるとするよ」
35:
男「おっと、所で説教とはなんじゃったんじゃ?」
幼馴染「あんた、何で私にはジジむさ言葉なのよ・・・まあ、いいわ、とにかく!あんまり女さんにデレデレしない事!良いわね?」
男「デレデレしとらんちゅーに。」
幼馴染「はい、は?」
男「は、はい」
幼馴染「よろしい。戻りましょう。」
男「う、うむ」
男(一つ気になるのは、ワシがこの身体に戻る前にも、この身体は存在し取った。そして、今のワシとは異なる別の意識が存在し取った事実じゃわい。それは今、何処にあるのじゃろうか?)
46:
放課後
女「やっと授業終わった!」
女友「ゲーセンいこ、ゲーセン!」
女「いっちゃうか?今日は宿題なかったしね!」チラッ
女(男君も誘いたいな)
男(ふむ、ようやっと終わったわい。しかし、最近の勉強は難しいのう)
女「男君、おつかれー!」
男「おや、女さん。お疲れ様です」
女友「男君、この後暇っしょ?」
男「ええ、特別用事もないですよ?」
女「じゃ、じゃあ、ゲーセンいこうよ?楽しいーよ!」
男「おや、それは楽しそうですなあ。しかし、このジジイは場違いではないですかね?」
女・女友「だからジジイじゃないし!」
47:
男「ぜひ、お供させていただきたいですな。」
女「やった!じゃあ、一緒いこー!」
幼馴染「それは駄目よ?ゲーセン何て不良の行く所じゃない!それとも女さんて、スケ番だったのかしら?」
女「え?幼馴染さんも一緒きたいの?スケ番て何?」
女友「なーに言ってんのよ、最近のゲーセンは不良なんていないわよ?」
男「ははは、幼馴染さんや。少し考えが古臭いのではないですか?」
幼馴染「くぅ!行く!私もゲーセンに行くわ!それと、ジジイにだけは古臭いいわれたくないわボケ!」
男「ボケてないのに」ショボスーん
48:
ゲーセン
女友「じゃぁ、とりあえずプリクラやろっか!ゆーじょーの証的な?」
女「さんせ!とろー!」
幼馴染「男はどうせプリクラなんて撮っと事ないんだから私の隣にたってなさい」
男「ふむ、プリクラですか。写真を撮ると魂が抜かれると言いますが・・・」
幼馴染「・・・何時の時代の人間だよ」
49:
プリクラは前列に男、幼馴染。
後列に女、女友の並びで撮った。
男「ほう、良いできですな。遺影に使いたいものです」
幼馴染「ジジイか!こんなの、これから一杯取ればいいじゃない。い、一緒にさ!」
女(男君、幼馴染さんと一緒にいると楽しそうだな。)
女友「全く、女!何て顔してんのよ。この機会に男君ともっと仲良くなりたかったんでしょ?もっと積極的になりなさい!」バチコーン
女「いた!」
男「おや?どうしました、女さん。どうです、シューティングゲームなど御一緒しませんか?何やら楽しそうですよ?」
女「うん!やるやる!一緒やろー!」
50:
シューティングゲーム
女「あ、あはははwww男君ちょー下手っぴ!」
男「く、くぅ。この銃照準がおかしくないかね?ぐっぐはぁ、ライフがもうないでござるぅぅぅう」
幼馴染(楽しそうにしちゃって!鼻の下のびまくりじゃないのよ!それに、ござるってなによ?ジジイというより侍じゃないの?)
女「しょ、照準ってwww下手な人ほど機械の所為にするんだよねーwww」
男「ぐ、ぐむぅ。うわぁぁぁあ。殺された。こうなったら・・・てい、コンテニューしちゃう」
女友「あははwww男君、意外と熱くなるタイプだね?」
女「wwwコンテニューしてそうそうにダメージ食らってるしwwwほーんと下手っぴだねーwww」
51:
男「はぁはぁ、結局1000円も使ってしまいました」
女「おつかれー!私なんてコンテニューしてないもんwww男君よわーいwww」
男「く、くぅ。女さんよ、この歳になるとどーも、関節の動きが上手くなくてな?けっして銃のセンスがないわけじゃないんじゃよ」
女「ジジイか!てか、またジジ言葉に戻ってるしwww」
男「おや、私とした事が。どーも寄る年波にはかてないのう」とほほ
女「だから、ジジイか!」
女友「あんた達いちゃつきすぎー。」
幼馴染「・・・」
54:
女「次はーあれやろ!エアホッケー」
女友「ふふん、チームどうする?」
男「ふむ、私は幼馴染と組むよ。な?」
幼馴染「え。う、うん!しょーがないわね?あんまり私の足をひっぱらないでよね?」
男「ふふふ、幼馴染はそうやって元気に笑っているのが、一番だ」
幼馴染「な、なによ!は、はやくやるわよ?」
女友「ふふ、女?ライバルは手強いわよ?」
女「う、うん!頑張る!」
55:
エアホッケー
幼馴染「いい?相手のゴールにパックを入れればこっちの点数。こっちのゴールにパックが入れば相手の点数になるの?ユーアンダスターン?」フフン
男「ふむ、簡単そうなゲームじゃのう?」
幼馴染「何をいってんのよ?エアホッケーは動体視力、反射神経はもちろん、相手の裏をかく頭脳戦でもあるのよ?」
男「ふむ、年寄りには少し厳しいものじゃのう。」
そして、戦いの火蓋は切られたー
60:
女友「ねえ、折角だから負けたら罰ゲームとかにしない?」
幼馴染「罰ゲーム?いいわね!どんな罰ゲームがしたいのかしら?」
女友「もう勝つ気でいるのね?いいわ、罰ゲームは勝ったチームの言う事を一度だけ聞くってのはどう?」
幼馴染「いいわね。もちろん、それはチームの2人にそれぞれ一度命令が出来るって解釈でいいのよね?」
女友「ええ、じゃあ、始めましょうか?」
幼馴染「そうね」
女・男「勝手に決めないで下さい・・・」
61:
ピコーん
パックが排出された。
幼馴染「どぅりゃ」
パチコーン
幼馴染は、パックを壁に思い切りぶち当てた。
カコーン、カコーン
ジグザグに動きながらパックは女チームの陣地に入る。
女友「ふん!こざかしいんじゃぁぁぁぁ!」
スパコーン
女友、何と壁に当てずに直接男チームのゴールを狙ってきた。それも、凄いスピードだー。
幼馴染「ほう、中々のやり手と見える、だが・・・」
バシ
な、なんとあれだけのスピードが出ていたパックを、幼馴染はいとも簡単に止めた!
女友「く!パックを跳ね返すではなく、上から押さえる事により、その場に留める。上級テクニックね。」
幼馴染「さて、まずは一点とりますか」
幼馴染は止まっているパックに狙いをさだめ、右手を大きく振りかぶったー
幼馴染「いくわよ、ライジングービーストウォーズ!!」
スコーン
女友「な、は、早すぎる」
ピローン
男チームに一点入った
62:
女友「はぁはぁはぁ、や、やりおるわぁぉぉ!」
幼馴染「ふ、お主こそまだ本気を出してない事はわかっておる!」
女友「ほう?バレては仕方ない。見せよう!我が真の姿をー」
女友は背負っていたバックを床に置いた。
女友「軽い!」
パックが排出された。
女友「どっせっい!」
スコーン
幼馴染「ドスコーイ」
スパコーン
男・女「居場所がない」
63:
痛い…こいつら痛い…
64:
男「女さん、ちょっと抜けましょうか?」
女「ふふ、そうね。抜けても気づかないっぽいし」
男と女さんはエアホッケーから離れた。
エアホッケーの周囲は既に魔の空間と化しており、半径5mには入る事が出来ないのか、周囲には人っこ1人居なくなっていた。
女友「ライジングビーストウォーズ、敗れたりー!」
幼馴染「ぬ、ぬおううううう!グフ」
女「そ、そーだ。あっちの格ゲーコーナーいこ!」
男「そ、そうですね。」
66:
格ゲーコーナー
女「あの2人キャラ変わってたねwww」
男「ええ、幼馴染はともかく、普段クールな女友さんには驚いてしまいました」
2人は台に座るでもなく、ブラプラ歩いている
女「ねえ、あれやろうよ。」
男「ふむ、2人協力型のアーケードゲームですか?いいですな」
女友「えーとね、私はこのマッチョにする」
男「私は、このハンサムにします」
ガチャガチャ(ゲーム内容省くー
女「面白かったね」
男「ええ、あの2人はまだまだやってるみたいですな。ここまで声が聞こえる」
女「・・・プリクラとろっか?2人だけで」
男「ふむ、それも一興かな、喜んでお供しますよ」
67:
女「こうやって2人きりになるのって、初めてだよね」
男「ふむ、確かにそうですな。退屈な男でしょう?」フゥゥゥ
女「え?ううん、全然退屈なんてしないよ。凄く楽しいんだ、男君といると」
男「そう、ですか。私もとても楽しい。毎日が楽しくて楽しくて仕方がない。一秒一秒がとても儚く愛おしく感じます。」
女「ふふふ、男君て不思議ね?一緒にいるととっても安心するんだ」
男「ふむ、それはやはり歳の差というものでしょうな」
女「ふふふ、おじいギャグもすっかり定着してきたね?」
68:
プリクラ(プリクラとかよく知らんから適当じゃぁぁぁ
女「フレームはこれで・・・っと、じゃあとるよー」
男「ふむ、よろしくお願いします」キリッ
ウィーンガチャン
男「ほう、これはまた良く取れている。宝にします」
女「た、宝ってwwwもう男君て大げさなんだから!でも私も宝にするね?」
69:
女「携帯に貼ろっと!」ペタリンコ
男「どれ、私も携帯に貼りますかね」ペッタンコ
女「やった、男君とおそろー!」ジャーン
男「ふふふ、良いものですね。これが孫を持つじいさんの気持ちというものですかね?」
女「ジジイか!・・・ね、ねえ?男君て私の事どう思ってるの?」
男「孫かな」
女「なんじゃそりゃあwww」ズギャーン
70:
幼馴染「ぐ、ぐわっしゃゃゃやあ!!!」
女友「あふぅ、あふぅ、あぶうぅぅぅう?!」
幼馴染と女友は、いちゃつく男と女を余所に死闘を繰り広げていた。
しかし、それももう終わる。
彼等の死闘を1人見守っていたオヤジは呟く
オヤジ「実に素晴らしい闘いであった。どちらも力の限りを尽しきった!天晴れなり!酒のツマミにもってこいの闘いであった。」
オヤジは結着もまたずにゲーセンから出て行く。ゲーセン内で酒を飲んで騒いでいたので、店員に追い出されたのであった。
75:
女「これからも、遊ぼうね?」
女の何気ない言葉。普通なら、もちろんOKさなどと、答える所だろう。
しかし、男には軽く答える事が出来なかった。
男(ワシの仮説が正しければ、本来の中学生のワシの意識は、いま眠っとる状態じゃ。それが目覚めたら、恐らくワシは・・・)
男「ふむ、そうですね。また遊びましょう」
男は時に自分の心を押し殺してでも、嘘をつかねばならない時がある。
女の無邪気な笑顔が、男には眩しかった。
77:
女「あ、女友、幼馴染さん。終わったんだ?すごいボロボロね・・・」
幼馴染「燃え尽きたわ・・・ていうか!あんた達今まで何処でなにしてたの?答えなさい!さぁ!」
男「ふ、ふむ?えーと、ゲームしてプリクラしただけですよね。とても楽しい時間でした」
女「ねえー!ちょー楽しかった!仲良くなったしね!」
幼馴染「ぐ、男?後で説教だから・・・」
女友「まぁまぁ、ところで男君、私が勝ったから罰ゲームしてね?」
男「え?私も罰ゲームするんですか?幼馴染だけでいいのでは?」
幼馴染「なにかいったかしら?この年中デレジジイが!」
男「ま、負けた割には偉そうじゃのう?」
81:
女友「私は幼馴染さんに一つ命令するわ。女は男君に一つ命令してね。」
女「どんな命令でもいいの?」
幼馴染「犯罪はやめてよね?」
男「お手柔らかに頼みますよ?まあ、女さんならそんな心配も無用かな?」
幼馴染「だ・か・ら!デレデレすんなー!」ズギャーン
男「うぐむ!幼馴染と同じチームで良かったわい。」
82:
女友「よし、決めたわ!幼馴染さんの罰ゲームは・・・明日一日教室の椅子にすわっちゃいけないに決定ーパチバチー」
幼馴染「は、はぁ?そんなんでいいの?楽勝じゃない。私はもっと犬の真似しろとか、逆立ちで町内一周とかかと思ってたわよ」
女友「楽勝かどうかは、明日のお楽しみね」フッフン
女「私はね、そうだなぁー。決めた!明日学校の非常ベルを鳴らす事ー」
ズッギャァァァアン
幼馴染「そ、それは犯罪では?」
女友「お、女、あんたは可愛い顔してなんて事を・・・」
男「し、仕方ないですなぁ」
83:
女友「それじゃ、帰ろっか?もう7時だし」
女「うん!楽しかったな〜!また皆でこよーね?」
幼馴染「そうね。女友?次は勝つから首をあらってまってなさい?」クックック
女友「望む所よ、返り討ちにしてやるわ」グフフフフ
幼馴染「ふん!じゃーね。あたしこっちだから」
男「じゃあ、達者での。女さん、女友さん」
女・女友「バイバーい!また明日」
84:
帰り道
幼馴染「・・・」
男「おや?ごらんよ幼馴染やい。月がまん丸で吸い込まれそうじゃわい!ツッキーがーでぇたでえた。ツッキーがぁあでぇたぁあよいよいっと」
幼馴染「・・・そうね」
男「・・・どうかしたのかい?」
男は立ち止まり、幼馴染も立ち止まる。
優しい月明かりに照らされて、幼馴染はくちを開いた。月明かりは人の本音を引き出しやすい物だ。
幼馴染「あんた、女さんの事が好きなんだ?」
キッと前を向いたまま話す幼馴染は、唇を噛み締めて、今にも泣き出しそうだった。
男「・・・それは、つまり異性として好きか?って意味だろうね」
男も無駄に年をとっているわけではない。ふざけていい時と、いけない時の区分けは出来る。
幼馴染「そ、そうよ!好きなの?好きなんでしょ!私なんて嫌いなんだ!」
男「・・・飛躍するな、女さんの事を好きだとして、何でお前を俺が嫌いになる?」
幼馴染「や、やっぱり好きなんだぁあ!」ヒックヒック、ウワーン
男(・・・まだまだ子供じゃのう。当然か)
85:
男は泣きじゃくる幼馴染の前に立つと、そっとハンカチで涙を拭った。
男「女さんを異性として見た事はないよ。少なくとも今の私は、だがね」
幼馴染「・・・ヒック、ヒック」
男「どれ、そこに公園がある。君が泣き止むまで公園のベンチで休もうね。あったかい飲み物でも飲みながら」
公園のベンチ
男「ほれ、お汁粉じゃ。よく振ることじゃ」
幼馴染「・・・あ、りがと」
男「どういたしまして」
幼馴染「やっぱりあんた、ジジむさいわよ」
男「なんと!ショックじゃわい!」
幼馴染「ふぅ、泣いてすっきりしたわ。」
男「男は酒、女は涙。ワシの好きな歌にもそうあるわい」
87:
男「のんでーのんでーのまれてーのんでー」
幼馴染「のんでーのみつぶれてねむるまでーのんでー」
男「おや?幼馴染も知っとったか?この歌を」
幼馴染「うん。お父さんが好きなんだ。この歌。」
男「ふむ、じゃぁ、一緒に歌うかいの?」
幼馴染「うん!」
男・幼馴染「そーしてーおとこはーしずかにー・・・」
ガラガラ(窓を開ける音)
近所のおばはん「うっさいんじゃボケぇ!」
88:
帰り道
幼馴染「・・・今日は、ありがと」
男「ふむ?やけに素直じゃのう。熱でもあるんかねえ?」
幼馴染「ないわよ!ふ、ふん。どうでもいいんだけど、あ、あんた私のこと・・・」
男「ん?なんじゃ?」
幼馴染は男の正面に立った。頬が引きつり、ほんのり赤みがさしている。
幼馴染「私の事、好き?」
男「・・・今の私は本来の私ではない。今の私は君を異性としては見れない」
男は幼馴染を置いて歩き出した。
男「しかし、本来の私は、君の事が好きだ」
89:
>>88
なんか男かっけぇぇえ!!
90:
男「ただいま帰りましたよ」
妹「兄ちゃんおかえりー!」
男「おやおや、何と可愛らしい・・・」
母「ご飯できてるわよ。冷める前に食べなさい」
男「ありがたき幸せ。お袋はもう休んどって下さいな。後の事はワシがやりますので」
妹「あー、ワシッていったwwwへーん!へーん!兄ちゃんがへんwww」
男「ふむ、馬鹿にされても可愛すぎて癒されるのう。」
107:
晩御飯
食卓には、豚肉の生姜焼きと、味噌汁、納豆、サラダが並ぶ。どれも男の好物である。
男「ふむ、どれもおいしそうじゃわい。いただきます」
母「あんた、最近行儀いいね。」
男「ええ、これもひとえにお袋様の教育が良いからですな」
母「まあ、そうだろうね」
パクパク
男「美味いのう、所で妹や、今日の学校はどうじゃった?楽しかったかね?」
妹「うん!体育でね、4段飛べたんだよ!」
男「なんと!それは、凄いのう!将来はオリンピック選手かのう?」
妹「えへへwwwあとね、あとね!国語でね・・・」
この家には父親がいない。
それを母は、後ろめたく感じていた。
妹や、男に申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
母(男、あんた今、妹の父親みたいよ?)
母は一人、微笑んでいた。
109:
男の部屋
男「ふう、今日も疲れたわい。ジジイにはいささか激しすぎる日であったわ。」
コンコン
妹「あそぼー」
男「おや、きおったな?こいこい、ここに座りなされ」
妹はベッドに腰掛ける男の膝の上に座った。もはや、定位置である。
妹「オセロしよー!あたし強いんだよ?」
男「ふむ、それでは手合わせ願うかの」
パチ・パチ
秋の夜長にオセロの音が響いた。
やがて、眠りに落ちた妹を、妹のベッドに運ぶ男であった。
111:
翌日
男「おはようございます、お袋さん。」
母「あら、おはよう。今日も早いじゃない」
男「早起きは三文の得といいましてな。何かとはかどるんじゃよ」
母「そうね。今日もご飯作ってくれたみたいね。ありがとう。美味しくいただくわね」
男「どうぞ、召し上がれ。メニューは昨日と変わらずアジの開きじゃよ」
妹「おっはよー!!兄ちゃんおはよう!」
男「おやおや!妹も三文の得かね?」
妹「さんもん?」
男「ふむ。妹の可愛さがワシにとって三文じゃったかのう」
112:
男「では、いってきますよ」
妹「いってらしゃーい!」
男「おや?あれは幼馴染では?おーい!幼馴染よーい!」
幼馴染「あ、お、おはよ!」
男「おはよう、良い天気じゃのう。トンビが空たかくとんどるわい!トンビよーい!」
幼馴染「そ、そうね!ご、ごめん今日日直だから先いくね」ドダダダダ
男「ふむ?元気があってよろしいのう」
114:
教室
女「あ、男君だー!おはーよ!!」
男「おはようございます。女さんはいつも元気で、うらやましいですな。」
女「男君だって元気じゃん!それより、罰ゲームどーするの?やっちゃう?」
男「ふむ。もちろんやりますよ。私のタイミングでね」
女「マジでやるんだwwwきたいしてるね?」
女友「男君、ムリしなくていいんだよ?こいつ、たまにアホだからさあ」ふぅぅう
女「な!女友だってアホじゃん!昨日のエアホッケーなんて凄いアホっぷりだったよー?」
女友「な?あれはしょうがないでしょ?だいたいあんたは・・・」
男(うん?頭が・・・痛い?)
115:
女「え?何?どうしたの?男君?急にふらついて・・・」
男「い、いや。なんでもないですよ?ふむ、席に着くとしますかね」
女「ほ、本当に平気なの?凄い汗だよ?」
女友「保険委員!彼を保健室に連れてって!」
男「大丈夫ですよ?少し血圧がひくいだけですから」
男はフラつきながら、席に着いた。
幼馴染「ど、どうしたのよあんた?顔色悪いわよ?」
男「は、はは。昨日の疲れがでたのかのう?それより、幼馴染よ何で立っておるのじゃ?」
幼馴染「罰ゲームよ。やになるわ」
116:
バタン
幼馴染「お、おとこー!!」
机に突っ伏していた男は、床に崩れ落ちた。
幼馴染「す、凄い熱だわ!男!しっかりして!おとこー!」
男(なんじゃ。幼馴染よ、そんなに大きな声を出さんでも聞こえとるわい。)
女「やだ、やだよ!嘘だよね?男君死んじゃやだよ!」
男(女さん、そんなに泣かないでおくれ?ジジイは涙に弱いんじゃ)
先生「救急車を手配しました。とりあえず、保険委員は彼を保健室に連れて行って下さい」
男(ああ、もう時間なんじゃな。楽しかったのう。本当に楽しかった。できればもっとこのままで・・・)
117:
病院
男は病院のベッドで寝ていた。目覚めた瞬間に、無性に悲しくて泣いたが、何故かは分からなかった。
母「お、男!起きたの?」
ベッド脇の椅子に母が座っている。酷く疲れた顔をしていた。
男「ここ、どこ?」
母「病院よ。あなたは二日間と半日寝ていたのよ」
男「二日間・・・?今、何日?」
母「10月5日よ。」
男「え?」
男の記憶は9月30日で止まっている。二日間寝ていたとしても、残りの二日の空白がある。
ベッドから窓の外を眺めると、夕日に街が赤く染まっていた。
男「綺麗だな」
母「・・・お医者さんよんでくるわね」
夕日を眺めていると、また涙が溢れてきた。まるで胸の真ん中にでかい穴が空いたようで、無意識に胸の真ん中を手で押さえつけた。
119:
母「安心して、お医者さんが言うには、単なる過労だって、まあ、最近のあんたは頑張ってたからね。」
男(頑張ってたか?)
母「念の為、今日は入院して明日には退院できるみたいよ。よかったわね」
男(ラッキー、学校サボれるぜ)
母「じゃあ、明日またくるわね」
男「・・・ああ」
120:
男(ゲームも何にもねーのか?暇だな。)
?「こら、自分の母親にむかってあの態度はなんじゃ!」
男「え?」
男は狭い病室を見渡すが、声の主は発見出来なかった。
?「お前を15年も育ててくれたのじゃぞ?もっと敬意を払わんか!」
男(うお!こえー!幽霊かよ、まだ6時だぜ?)
ベッドは男のベッドを入れて全部で4台。何故か誰もいなかった。
男(ナース呼んで部屋変えてもらお)
?「聞いとるのか!このアホんだら!」
男は気付いた。
声は
自分の頭の中にひびいているのだと。
121:
ここから題名を変えるんじゃわい!
ワシの勝ってじゃわいいいい!
飽きたからじゃないわい!
規定事項じゃわいわい!
男「好きなわけねーだろ」
ジイ「嘘つくなアホ」
122:
男「な、何だこれ?頭ん中に直接響いてる」
?「ワシはジジイじゃ。ジイと呼んでかまわんわい。」
男「じ、ジイ?てか、なんだこれ?俺頭おかしくなったのか?」
ジイ「ふむ。ワシはお前の中に住む、妖精の様なもんじゃわい」
男「妖精ってより魔物だろ・・・」
コンコン
ナース「検温の時間よー?ほら、お腹だしてね?」
ナースの冷たい手が男の腹を優しく撫でる。男は思わずナースを見ると、ナースは妖艶な笑みを浮かべていた。
ナース「検温でお腹だす訳ないじゃない。馬鹿ねー?ほらこれ、脇に刺しなさい、自分でやるのよ?」
ナースは固まっている男を残して病室をでて行った。
ジイ「ふむ、あのナースできるわい。しっかりせい男」
男「は!い、今何が・・・」
128:
男(37度2分か、微熱だな。それにしても、どうなってんだ?幻聴ってこんなにハッキリ聞こえる物なのか?)
ジイ「お前の母親はな、ずっとお前のそばにおったんじゃ。ろくに寝とらんしのう。」
男(・・・幻聴、これは幻聴)
ジイ「情けないのう。お前は人に感謝もできんのかい。ろくな大人にならんのう」
男(・・・)
ジイ「どうにか言ったらどうじゃ?お前みたいなどうしようもない人間など、クズ同然じゃと言っとるのじゃが」
男「黙ってきいてりゃあ、言いたい放題いいやがって!幻聴だろうがクズ呼ばわりされて黙ってられるか!」
ジイ「ふむ。プライドだけは一人前のようじゃな」
129:
このじじぃかっこいい!
130:
男はベッドを下り、母親が座っていたパイプ椅子を蹴飛ばした。
ガシャーン
男「俺は感謝何てしねー!母さんは俺を看病したくてしたんだろ?別に俺は頼んでねーよ!」
ジイ「話にもならんな。少し頭を冷やすんじゃ」
男「あ?」
男は自分の意思とは無関係に歩き出した。
男「え?な、なんだこれ?」
病室をでると、右に曲がる。そしてトイレの表示がある通路にはいった。
男「ど、どうなってんだー?」
男はトイレの個室を開けると、洋式トイレの便座を上げ、溜まっている水に頭ごと突っ込んだ。
男「うぎゃぁぁぁぁぁぁ!」
病人「か、関わりたくねー・・・」
131:
ジイ「ひ、酷い目におったわい」
男「俺の方だ、糞ジジイ」
男は病室に戻り 、ナースから借りたタオルで顔を拭いた。
ジイ「どうじゃ?少しは頭が冷えたかの?」
男「うっせえよ。話しかけんな」
コンコン
ナース「なーにを一人でブツブツ言ってるのかしら?」
ナースは台車を押して入ってきた。
男「あ、い、いや別に何でもない、です」
ナース「ふーん?さっきは頭ビッショビッショになってさぁ?君って本当に馬鹿なのね?」
ナースは妖しく微笑みながら、一歩一歩男が寝ているベッドに近づいて行く。
男「な、なにを・・・」
ナース「夕食の時間よ?それとも、いらないかしら?」
132:
ナース「ほら、あーん?」
ナースはベッドに腰かけ、お粥を男の口まで運ぶ。
男「じ、自分で食える、ます」
ナース「だーめ。私が食べさせて、あ・げ・る?」
思春期まっさかりの男には少々刺激が強すぎる状況であった。ナースの甘い息が頬を掠め、男はもはや虫の息であった。
男「あ、あーん」
ナース「なーんてね。お粥ぐらい自分で食べなさい」
そういうと、男の口まで運んでいたお粥をナースは自分で食べてしまった。
ナース「そのスプーン使っていいわよ。関節キッス。なんてね?」
ナースは餌を待つ小鳥の様に口を開けている男を残し、病室を出て行った。
133:
ジイ「ふむ、あのナースやはり逸材じゃのう。おい、男よ、しっかりせい!」
男「は!い、今何が?」
パクパク
ジイ「明日、母親には感謝の言葉をいうのじゃぞ?」
男「・・・わかったよ」
ジイ「ふむ、素直でよろしいのう」
男「・・・あんた、何なんだよ。俺に取り付いた幽霊か?」
ジイ「ふむ。幽霊か。恐らくそうなのじゃろうな。詳しくはワシにも分からんのじゃ」
男「まあ、いいさ。俺の頭がおかしくなった訳じゃないみたいだしな。」
パクパク
男「で、いついなくなんだよ」
ジイ「ふーむ。それだけは分からんのじゃ」
男「何にも分かってねーじゃねーか!」
ジイ「まあ、そうかものう」
135:
質素な夕食を食べ終えると、特にやることもなく男は明かりを消し、眠る事にした。
ジイ(・・・女さんや女友さんとは今までまともに話もしていないはずじゃからのう。上手くやれるのかのぅ)
ジイも意識を閉じた。
少しだけ、今の男とジイの状況を説明する。ややこしいので飛ばしてもいい。
男とジイの意識は現在中学二年生の身体に同時に存在している。
しかし、混在している訳ではなくそれぞれが別の意識として独立している。
解離性同一性障害と似ているが、二つの意識が連続して存在している点において異なる。
現在、本来の意識である中学生の男が主に身体を動かし、言葉を話している。そして、その間ジイの意識は途切れる事なく存在している。
しかし、ジイの意識では身体を動かし言葉を話すことは難しい。理由は、意識が体に対して小さいからである。
ジイの意識はどんどん小さくなっている。
それを、まだジイは気づいていなかった。
143:
男「ふわぁぁーよくねた」
ジイ「おはよう。良い朝じゃのう。鳥がさえずっとるわい!!」
男「うお!!ってジジイてめーまだいやかわったのか!じょーぶつしろ、じょーぶつ!」
幼馴染「あ、あんたって朝からテンションたかいのね・・・」
男「う、うおおおお!お、幼馴染か!い、いつからいた!!」
幼馴染「ふわぁぁぉおーよく寝たって時から。気づきなさいよ馬鹿。」
男「な、なにしにきた?寝てる俺をわらいにきたのか!」
幼馴染「ち、違うわよ!その、・・・し、んぱいだったから・・・」
男「はぁあい?心配?お前に心配されると余計身体にさわるっつーの!」
幼馴染「・・・え?何よそれ」
男「ん?」
145:
幼馴染「・・・るんじゃなかった」
男「え?」
幼馴染「くるんじゃなかった!何よやっぱ私の勘違いだったわ!最近かっこいいかもって思ってた何て私、本当馬鹿!」
バーン
幼馴染は病室を出て行った。
男「は、はは。まぁあいつとはいつもこんな感じだからなぁー。」
ジイ「はぁ。悲しいのう。お前がアホで悲しいのう」
146:
コンコン
ナース「なーに?女の子が泣きながらとびたしてったわよ?」
男「げっ!な、ナース、さん。」
ナース「げっ!って何よ?酷いわねえ。朝飯持ってきたけど、引き返そうかしら」
男「あ、いえ。下さい」
ナース「んー?ありがとうはぁ?」
男「わ、わざわざ運んでいただきありがとうございました」
ナース「卑屈さがたりないわねぇ。まぁいいわ、食べていいわよ。」
男(こ、この人苦手だ)
148:
ナース「で?君、あの子になにしたのよ?」
男「べ、別に何も。てかいつまでベッドに腰かけてるんですか!」
ナース「あら?いいじゃないの。美人ナースと同じベッドで語り合う何て一生の自慢よぉ?」
男「・・・く」
バクパク
ナース「あの子に何か酷い事いったんじゃないの?君って人の気持ちも考えられないっぽいしー」
男(どっちだっつーの!糞ナースが!)
ナース「謝っといた方がいいわよぉ?女の子って怒ると怖いわよぉ?」
149:
男「・・・起きたら、あいつがいたんです。で、何で来たのか聞いたら心配して来たとかいうから、そのお。お前に心配されると余計身体にさわるって」
ナース「いったの?」
男「ま、まあ。そしたら何か怒って、それでバーンてドア開けて出てったんです。」
ナース「何よ。やっぱり君がヒャクパー悪いんじゃない。心配して来て見たら、暴言吐かれたら誰だって怒るわよ。私だったら一生口聞いてやんないわ」
男「で、でもいつもこんな感じだし。別に明日になったらいつも通り・・・」
パン!
男はナースに頬を叩かれますた
男「・・・つぅ」
ナース「甘ったれんじゃないわよ。今すぐここを出て行きなさい。彼女を追いかけるの。それで全力で謝りなさい。土におデコを擦り付けるのよ?」
男「・・・え?」
ナース「いいから!くいけぇ!」
ドッキュッーン!
150:
ジイ「いいナースじゃの?」
男「ハァハァ、ど、何処がだよ」
男はパジャマ姿のまま、病室を飛び出した。
男「く、お、幼馴染は、何処いったんだ?」
男は走った、パジャマ姿のまま。
ジイ「・・・公園があるの?」
男「公園か、いるかな」
幼馴染はブランコに一人で座っていた。
152:
男「お、幼馴染!」
幼馴染「男?・・・な、なにしにきたのよ。」
幼馴染は、泣いていた様で、頬に涙の線が出来ていた。
男「あ、のさ。えーと、今日学校は、どうしたんだよ」
幼馴染「・・・休んだのよ」
男「そ、そうか」
幼馴染「それだけ?用がすんだなら帰ってよ!あんたなんか顔もみたくないんだから!」
男「帰らない!俺はお前に許してもらうまで帰らない!」
幼馴染「は、はあ?あんたなにいってんのよ。訳わかんない。」
男はその場に膝をつき、土におデコを擦り付けた。鼻先まで地面についている。
男「ごめんなさい。心配して来てくれたのに、酷い事言いました。許して下さい。」
幼馴染「な!なに?や、やめてよ。いいわよもう。許すから、お願い頭をあげて」
男「ほんと?許してくれる?」
顔をあげた男のおでこと、鼻に泥がついていた。
幼馴染「あはははは!男、泥ついてるー!バーカみたい!あはははは!」
男「ば、馬鹿ッていったらお前がカバなんだぞ!」
幼馴染「え?なにそれ初めて聞いたんですけど?」
153:
男「ありがとな」
幼馴染「え?何よいきなり」
男「見舞いにきてくれて、さ。嬉しかったんだ本当は。」
幼馴染「うん。心配、したから」
顔を見られたくないので、幼馴染は俯いた。
男「・・・じゃあ。俺戻るからさ。明日、学校でな」
幼馴染「うん!ジャー明日ね!絶対きなさいよ!」
照れ隠しに大声を出す幼馴染であった。
ナース「あら、その様子じゃ、仲直りできたのかしら?」
男はパジャマ姿のまま、病院に戻り、病室に入った。何故かナースはまだベッドに腰かけていた。
男「あ、はい。ナースさんの言うとおりおデコを土に擦り付けたら、許して貰えました。」
ナース「あーだからか、君、顔泥だらけよ?顔洗ってきなさい」
男「え?マジですか?」
バタバター
ナース「ふふふ。本当は素直でとてもいい子なのよね。」
158:
ジイ「男よ、明日の学校なんじゃがな・・・」
男は母親が置いて行った漫画をベッドで読んでいた。時刻はすでに夕暮れ時
男「ん?なんだよ、今パンチラシーンなんだから話しかけんなよ」
ジイ「・・・。明日学校でビックリするかもしれんぞい。」
男「ん?なんで?」
ジイ「言っておらなんだが、男が寝とる間に、ワシが学校に登校してたんじゃ」
男「は、はぁぁあ?登校って、ジジイが中学行ったら追い出されるだろ!なにいってんだ?」
ジイ「むふぅぅう。飲み込みが悪いのう。ワシはお前の身体で登校してたのじゃよ。」
男「な、なななな!なにぃい?い、いや理解できない。」
ジイ「まぁ、難しくかんがえないことじゃ。学校に行けば分かる事じゃわい」
男「なら、最初からいうなっつうの!」
169:
コンコン
母「入るわよ。リンゴを持ってきたわ」
妹「兄ちゃーん!兄ちゃん兄ちゃん!」
男「おう!妹、元気にしてたか?このやろう!」
男はベッドにダイブしてきた妹の頭を、クシャクシャと激しく撫でる。
妹「うん!今日ねー。学校帰りにエミちゃんとお菓子買ったんだよ!食べながらかえってきたよ!」
男「おー?この不良娘が!バツとして髪をもっとクッシャクッシヤにしてやるぞ!」
妹「キャーキャー!」
母「ふふ」
母親は微笑みながら、リンゴの皮をむいている。
171:
妹「兄ちゃんずるーい!あたしもベッドはいる!」モゾモゾ
男「ったく。寝るなよ?妹はなかなか起きないんだからな」
妹「うん!あったかーい!」
母「妹は本当にお兄ちゃん子ね。はい、リンゴの皮むいたわ」
男「って!リンゴ丸ごとかよ!」
母「いいじゃない。何か切るの面倒臭いのよ」
男「ふ、ふがぁ。・・・食いにくい」
172:
ジイ「男よ。昨日の話、忘れておるまいな?」
男「わかってるよ」
母「なにが?」
男「母さん、2日間俺の看病してくれたんだろ?」
母「15年間よ」
男「あ、うん。そ、の・・・」
男(うわ、なんか恥ずかしくなってきた)
母「なによ?」
男「い、今まで育ててくださってくれて、その、あ、ありがとうございました」
ジイ「話が壮大じゃのう」
男(う、うわ!お、俺なにいった?うわ!母さんが変な事いうからだ!チックショーおぉお!)
174:
母「ふふ、突然何を言い出すかと思えば、下らないわね」
母親の冷たい言葉に男は傷付いた。
男(く!だから嫌なんだ。もう、一生人に感謝何てしねー!)
母「あんたの看病するなんて、当たり前じゃないの。好きでやってるんだから」
ジイ「ふむ。男よ、お前の言っていた事もまんざら嘘でもなかったようじゃのう」
男「あ・・・」
母「妹?ほら、出て来なさい?帰るわよ」
妹「えー?やだやだ!もっと兄ちゃんといたいー!」
母「いい子だから、ワガママいわないの?それに、兄ちゃん明日退院するのよ?」
妹「え?そうなの?やったー!じゃあね兄ちゃん!早く家にきてねー!」
母「それじゃあね?早く寝なさいよ」
バタン
176:
男「ありがとう。」
既に閉まっているドアに男は頭を下げるのであった。
ジイ「いやはや、母親という物は偉大じゃのう。」
男「あ、ああ。いや、リンゴ丸ごと食わせよーとしたぞ!ありえねー」
ジイ「実に愉快な母親じゃのう。ふむ、頭が上がらんわい」
男「あー、何か今日疲れたー!もう寝るか」
コンコン
男(こ、この気配は・・・)
178:
ナース「あら。立ってお出迎えしてくれるなんて嬉しいわね」
ナースが夕食を台車に載せて運んできた。
男「また、お粥・・・」
ナース「そんなとこに立ってないでベッドに戻りなさい。」
言いながらナースはベッドに腰掛ける。
男「なんでベッドに座るんですか?」
ナース「なーんか、居心地いいからかな。ところで、君明日退院ね。」
男はナースの隣に腰かけた。
男「まあ」パクパク
ナース「私と会えなくなると思うと淋しいんじゃない?」
ニヤニヤしているナースを尻目に、男は無心でお粥を口に運ぶ。
ナース「私は寂しいな。何か君、弟みたいでかわいいし。」
男「ぶっ!」ぶっしゃぁ!
ナース「あ、汚いわね。ナース服に何ぶっかけてるのよ」
男「・・・お粥です」
179:
ナース「もう食べ終わったんだ?」
男「量も少ないから。」グー
とっさに男はお腹を抑える。思春期の男子にとって女性の前でお腹を鳴らす事は、とても恥ずかしい事なのだぁぁぁぁぁあ!
ナース「ふーん?お腹減ってるんだ」
男「べ、別に・・・」
ナース「減ってるんでしょ?お・な・か?」
ナースは男の横腹を軽くつまんだ。男はくすぐったくて身をよじる。
男「そりゃ減りますよ。成長期だし」
ナース「成長期かぁ。懐かしい響きだわ。そんな成長期君に良い物をあげようかしら」
ナースは台車の下の段からラップに包まれたケーキを取り出した。
ナース「イチゴショートケーキよ?君の退院祝い。」
男「え?こんなのいいんですか?すっげぇ嬉しいです!」
ナース(無邪気に笑えるじゃない)
男「いっただっきまーす!」
ナース「まだ、ダーメ!」
182:
男「えぇえ!」
ケーキを口に入れる所で、ナースにうでを掴まれて、男の半開きの口からヨダレが垂れる。
ナース「汚いわね。ナース服に何垂らしてんのよ」
男「ほはへへす」
ナース「口を閉じてしゃべりなさい?」
男「ヨダレです」
ナース「分かってるわよ。」
ずぅぅぅぅん
185:
ナース「ほら、口をあけなさい?食べさせてあげるから」
男(ち!この糞ナースまたこのパターンかよ!ムカつくぜぃ!)
ベチョン
ナース「ほらー、口開けないから」
男「・・・ベロベロ。美味しい」
ナース「ほら、口開けて」
男「うがー」
パクパク
ナース「・・・独り言いうから。」
男「あがぁ?」
ナース「弟がね、いたのよ。君より少し年上の」
パクパク
男「?ベロベロ」
ナース「バイクで事故って死んだのよ。去年の今頃」
あまりにもあっさりと話すナースに、男は何も言えなかった。ただ、口を開けて次のケーキを待っているだけであった。
ナース「なんか、弟が戻って来たみたいで、私ったらはしゃいでた」
パクパク
ナース「あーやだやだ!情けないったらないわね。」
ナースは指先で涙を拭い、最後のケーキを男の口に運んだ。
パクパク
ナース「ふふ。最後にかっこ悪い所みせたわ。・・・じゃあ、元気でね」
男「・・・また、来るから。今度は遊びにくるから」
ナース「え?」
男「弟の代わりには、俺きっとなれないけど。だけど、絶対またくるから」
ナース「・・・ありがとう」
189:
ヘタレだった男がこんなにイケメンなんて・・・
221:
窓を開けると、秋の涼しく凛と澄んだ風が男の頬を撫でた。
男「ジジイ・・・一つ教えてくれよ」
ジイ「なんじゃ?ワシに分かることかいのう?」
男「死ぬ、って何だ?」
ジイ「ふむ?なんじゃ、唐突に。」
男「ナースさんの弟、俺と同じ年くらいで死んだって言ってた。教えてくれよ、ジジイは死んでるんだから分かるだろ!!」
ジイ「・・・未だに人の死後に関しては明確な答えはでとらんのう。百年後も全ての人が納得できる答えなんてでとらんわい」
男「死んだら終わりってのが、嫌なんだよ!怖いんだよ!」
ジイ「ふむ。お前が納得するかは別じゃが、ワシの考えでいいなら話ぞい?」
男「聞かせてくれ」
224:
ジイ「ワシに言わせれば、人は死なんのじゃ。」
男「はぁぁあ!糞ジジイ、人の頭ん中でボケるなっつの!」
ジイ「ボケとらんわい!ナースの弟だって、ナースの心の中で生きとる。」
男「いや、そういう事を聞きたい訳じゃなくて!」
ジイ「例えば、ワシの場合じゃと、ワシの身体はもう無いが、こうやってお前の身体の中で意識があるじゃろ?」
男「ジジイは特別だろ」
ジイ「同じじゃよ。人は死んでも、誰かの人の中で生きるんじゃ」
男「なんか、釈然としねー」
ジイ「ちと、お前には難し過ぎる話じゃったかの?」
225:
男「馬鹿にしやがって。・・・ジジイ、あんたは孫とかいたのか?」
ジイ「おらんの。1人暮らしで、結婚歴も無いわい」
男「そ、そうか」
男(もてなかったんだな・・・)
ジイ「じゃから、ワシの場合は死んだら本当に終わりじゃ。誰のこころの中でも生きれんわい。」
男「なーにを卑屈な事をいってんだっつの。俺に取り憑いてるくせしてよ?」
ジイ「ふむ。じゃがいずれ消えるじゃろ」
男「糞ジジイの事なんて忘れたくても忘れらんねーよ。寝るぞ」
ジイ(少しづつじゃが、男は変わっとるの。ワシの若い頃はこんなに優しくなかったからの)
228:
翌日
ジイ「起きんか!朝じゃぞ!」
男「・・・うっせーな。なんだっーの。朝から」
ジイ「学校いくんじゃろ?」
男は病室の時計を確認する。8時30分だった。
男「明日から行けばいいかぁ・・・」
ジイ「かぁあ!困った男じゃわい」
コンコン
ナース「あら、まだ寝てるの?居心地がよくて退院したくなくなっちゃったのかしら?」
男「あー、おはようございます。朝食ありがとうございます」
ナース「ふーん?ベッドに寝転びながら何て、君も偉くなったのね?よいしょっと」
ナースはベッドに腰かけ、寝ている男の腹を枕に寝転んだ。
男「ぐぅ!しょ、職務怠慢でふ」
ナース「いいじゃない。いつもニコニコ疲れるんだから。」
男「二、ニコニコしてるとこなんてみた事ないですけど!」
ナース「にっこり。これでいいかしら?」
男「う、はい」
男(笑うとエクボで来て幼く見えるんだな)
229:
ナース「あーあ。君、今日何時に病院でるの?」
男「うーん。やっぱ学校いかなくちゃならないから、10時くらいには出たいです」
ナース「何よ、そこは退院なんてしたくないです!でしょ?」
男「いや、退院はしたいですって。何を言ってんですか。」
ナース「いいわよ、別に。あーあ、つまんない」
男「何か元気ないですね?何かあったんですか?」
ナース「・・・お尻触られたのよ。糞親父に。いつもの事なんだけどね。嫌になるわよ」
男「そ、そんなやつ!ぶっ飛ばしてやれば・・・」
ナース「出来ないわよ。患者なのよ?ナース何て奴隷みたいに思ってるのかしらね?」
230:
男「許せないです!ナースさんにそんなセクハラするなんて!」
ナース「あー。枕が動かないでよ。いいのよ。我慢すればいいだけなんだから」
ジイ「おい、男よ、お前なにするきじゃい?変態オヤジを殴った所で、ナースの立場が悪くなるだけじゃぞい?」
男「だ、だけど・・・ほっとけっていうのかよ!ほっとけるかよ!」ボソ
ジイ「熱くなるな。ほっとけなど誰もいっとらん。大人のやり方って物もあるんじゃ」
男「な、なんだよ大人のやり方ってよ?」ボソ
ジイ「 ゴニョリゴニョリ」
男「は、はい?どこが大人なんだよ」
ナース「・・・くぅ。くぅ。」
男「って!ナースさん寝てるぅ!」
232:
男「ナースさん、起きて下さい!」
ナース「・・・何よう。人が気持ちよく寝てるのに。」
男「ナースさんにセクハラした奴の病室と名前を教えてください」
ナース「・・・駄目よ。君、暴力を振るうつもりでしょ?」
男「絶対に暴力は振るいません。ナースさんにも迷惑はかけません。」
ナース「あら?じゃあ何する気かしら?まぁいいわ。502号室のセクハラ親父よ。」
男「ありがとうございます!ちょっと、出かけて来ます」
バタン
ナース「え?ちょ、ちょっと。しょうがない子ねえ。ふぅもう少し寝ようかしら」
233:
ジイ「分かっておるな?絶対に暴力はするなよ?」
男「あぁ!暴力はしない。でも、懲らしめてやる!」
502号室
男は病室のネームプレートにセクハラ親父の名前がある事を確認した。6人部屋で、ネームプレートが6人分かかっている。
男「よし、はいるぞ」
ガチャ
男はドアを半開きのままにしておいた。
?「ち!何だよガキか?ナースちゃんかと思ったじゃねーか!」
男(あ、絶対こいつだ)
男はセクハラ親父のベッドに近づいた。
セクハラ親父「なんだぁ?ガキ、なんかようか?」
すぅー
男は思い切り空気を吸い込んだ。
男「やめろー!セクハラするなー!」
セクハラ親父「は、はあ?おいテメエ何言って・・・」
ドタバタ
ナース長「何?どうしたの?」
ナースマン「どうした?坊や!」
野次馬「なになに?セクハラー?やあねえ」
野次馬2「あらやだ、あのスケベそうな親父が?しかも相手は男の子じゃない。やあねえー」
ナース長「セクハラオヤジさん?ちょっとお話いいかしら?」
セクハラ親父「あ?いいもなにも、この糞ガキが勝手に騒いで・・・」
同室のばばあ「嘘おっしゃい!あたしゃ知ってるんだよ?あんた、いっつもナースちゃんのおしり触ってるじゃないさ!」
同室の女の子「私の事もエッチな目でいつもみてるじゃない!」
同室の男「お、俺の事はエッチな目で見ないくせに!」
同室の男の子「僕もみた事あるよ!ナースのお姉ちゃん泣いてた!」
同室の相撲取り「嘆かわしい世の中になった物だ。いいかげんにしろおぉ!」
男(あ、何か変なのがいる)
234:
相撲取りwwwwww
235:
同室の男wwww
236:
老若男女混合の部屋とかカオスすぐるwww
240:
ナース長「セクハラ親父さん?何か言いたいことはある?
セクハラ親父「ぐ!だ、だが、この糞ガキのことは・・・て、いないし!」
男は騒ぎに乗じて病室を後にした。
男「これで、良かったんだよな」
ジイ「ふむ。あれだけの騒ぎになったんじゃ。あの親父もこれ以上セクハラできなどしないじゃろうな。そもそも、この病院にもいられないじゃろ」
男「これが、大人のやり方かあ」
ジイ「そうじゃ。大人は大衆を味方にするもんじゃ」
男「たく。ジジイも相当悪どいよな。」
男は自分の病室に戻った。ナースは既にいなかった。
時計を確認すると、9時30分を指している。
男「さてと、そろそろでるか」
ジイ「ふむ。」
243:
男は自分の病室に戻った。ナースは既にいなかった。
時計を確認すると、9時30分を指している。
男「さてと、そろそろでるか」
ジイ「ふむ。」
男は身の回りの整理をし、病室を出た。
廊下を歩いていると、お婆さんの車椅子を押しながら、笑顔でお婆さんと話をするナースとすれちがった。男は軽くナースに頭を下げる。ナースは男に微笑みかけた。
男「さよなら。ナースさん。またいつか」
男は退院の手続きを終え、病院を後にした。
246:
家に着くと、鍵でドアを開ける。この時間帯は家に誰もいない。男は部屋で、制服に着替えると鞄に教科書を詰め込み、家を出た。
男「何か久しぶりな気がする。」
ジイ「・・・ふむ」
学校に着くと、まだ授業中で男の教室は数学だった。
男「うげ。数学終わってからにするか・・・」
ジイ「なにいっとるか!はいるのじゃ!」
男「たく、うっせーな。わかってるっつーの」
ガラガラ
数学教師「おや。男君ではないか。数学恋しさに病院をぬけだしたのかな?」
男「んな訳あるかよ」ボソ
男「退院したんです。遅れてすみません」
男は席についた。クラスメイトの視線が気になる。
幼馴染「遅いじゃない。」
隣の席の幼馴染が声をかけて来た。
男「わりー。それと、後でノートかしてくれよ」
幼馴染「うん。いいわよ」
妙に機嫌が良い幼馴染であった。
女(男君・・・)
247:
数学が終わり、クラスメイトが男の席に集まって来た。
男友「おぉ!男生きてたか!1000年ぶりだなぁ!」
男「男友か!お前こそ死んだと思ってたぞ?1000年ぶりだなぁ」
男友2「しっかし、お前が教室で倒れた時は、びびったなあ。病院いってもお前意識不明だったし」
男「はあ?男友2、俺が教室で倒れた?何馬鹿いってんだっつーの?」
男(あれ?そういやジジイがなんかいってたな?)
248:
男友「ん?なんか、病院いってからまーたキャラかわったか?つか、戻ったか?」
男友2「確かに、何かまた馬鹿っぽくなったよな。」
男「ば、馬鹿っていったらお前がカバだっつーの!」
男友「ふーむ?ま、いっか。男、今日カラオケな?男の復活記念祭だ」
男「お、いくぜ!」
女「男君!良かったあ、病院行ってもずっと寝てるんだもん。」
女友「ほーんと、女ったら男くーん、男くーん。ってずっと泣きながらしがみついててさ。病院から帰るの大変だったんだから」
249:
男「え?お、女さん?」
男(なんだ?クラス1の美少女が俺に話しかけて来るとは・・・入院もしてみるもんだなぁ)
女「あーでも良かったあ。倒れたとき、私怖くなっちゃってさ、泣いちゃったんだよ。ほーんと元気そうでよかったよ」
男「あ、う、うん。」
女「?また、後でね」
ジイ(むう・・・はがゆいのう)
255:
社会の授業
社会の教師「であるからして、北京原人は・・・」
ジイ「歴史は面白いのう。古来より人間は同じ過ちを繰り返しておったのじゃのう」
男(女さん、俺の為に泣いてくれたのかよ・・・あー何か幸せ〜)
幼馴染「ちょっと、何をニヤニヤしてんのよ」ボソ
男「あ、あぁ?うっせーな。歴史が面白過ぎてつい頬の筋肉がだなあ・・・」
社会の教師「おい、男よ!私の授業がつまらんかね?」
男「い、いえ。普通です」
ジイ「そこは、楽しいですじゃろ」とほほ
社会の教師「ふ、ふつう・・・」
社会の教師は自分の授業が1番面白いと自負していた。それだけに、普通という評価は妙に生々しく、社会の教師の心を切り裂いたという。
257:
社会の教師「・・・あー、だから北京原人はぁ、・・・」
この瞬間より、社会の教師の授業姿勢は変わった。以前の生真面目さゆえの滑りギャグは鳴りをひそめ、何処か達観したような気の抜けた授業となった。
皮肉な事に、生徒からの支持はウナギ登りとなる。後に社会の先生は語る、男の一言が教師の人生ターニングポイントであったと。
生徒あ「先生!北京原人はもうやりました!」
社会の教師「ああ、そう。いいだろ別に、今から話すのは、さっきの北京原人とは別の個体なんだよ。それともあれか?北京原人て一匹だと思ってた感じですか?」
社会の教師は変わったのである。
258:
社会の教師「これから暫く北京原人の話しかしないから」
生徒あ「そ、そんな!ネアンデルタール人の話もしてください!」
社会の教師「やだよゴロ悪いし・・・毛深いだろ。だから嫌だ!」
生徒あ「え・・・北京原人も毛深いのでは・・・」
キンコーン
そして、社会授業は終わった。
まだ、生徒からの評価は低い、しかし始まりは常にそんな物だ。社会の教師の旅は、今始まったのでした。
260:
社会の教師そんなに重要じゃないのに
262:
女「ねえ、男君?今日またゲームセンターいこ?男君の退院復帰祝いです!!」
社会の授業が終わると、女はすぐに、男の席にやってきた。
男「え?ゲ、ゲームセンター?」
男(おいおい、どうしたの俺。これが噂に聞く入院効果ってやつか?ここは、迷わず)
男「行きま・・・」
男友「ごめん、女さん。こいつ、今日俺等と約束してんだ、悪いねー」ギロリ
男「あ、そうだったかなあ?そういえば、そうだったかもなあ?」
男(ちくしょう!女さんと仲良くなれる、一生に一度のチャンスだったのに・・・)
女「えー!残念ー!じゃあ、男君、明日いこう?」
男「え!うん!明日ゲーセンいこ!何なら今日でもいいよ!」
男友「男くーん?今日は俺等と遊ぶんだろ?」
男「そうだった。女さんじゃあ、明日ね!」
女「うん!楽しみにしてるね?」
男(楽しみにしてるね?だって!可愛いなぁ。入院効果凄すぎる)
幼馴染「・・・」イライラ
263:
これ読んでると、なんとなく筒井康隆の『秒読み』を思い出す...。
272:
幼馴染「男!私の隣でニヤニヤしないでくれない?気持ち悪いから!」
男「え?あ、わりー。なんだろ。女さん俺に気があるのかなぁ?遊びにさそわれちゃったぜぃ!」
ジイ(く!この馬鹿たれが!)
幼馴染「へー?それは良かったわね。・・・ノートも女さんに借りればいいんじゃない?」
男「お?幼馴染にしては良い事考えるなあ!お前のキタネー字より、女さんの美しい文字の方が勉強しがいもあるってもんだぜ!」
ガタ
幼馴染は弁当箱片手に席をたった。
男「あれ?お前席で食わないの?」
幼馴染「あんたの隣で何か何食べても美味しくないのよ」
276:
幼馴染は振り返る事もなく、教室をでて行った。
男「なんだあれ?」
ジイ「まったく、今のはお前が悪いぞい!」
男「どこがだよ?いつも通りの会話じゃねーかよ」ボソ
ジイ「まったく、女心の欠片もわからんのかの?」
男は弁当箱を取り出した。男の母親は毎朝早起きして、弁当を作ってくれる。そのありがたさを、男にはまだ分かっていない。
ガタガタ
男友「なに?幼馴染さんと喧嘩ですか?」
男「はぁ?してねーよ。」
男友「ま、いいわ。それよかよ、これみてくれ!!」
男「な!お前それって!!」
男友の手の平には、一枚のカードが乗っている。何も知らない素人が見ればそれは、単なる派手に光ってるカードにしか見えない。
男友「おうよ?お前が眠りこけてる間に俺は遂にこいつを手にしちまったのさ。」
男友は努めて冷静な口調で話そうとしていた。しかし、鼻息が荒く顔も紅潮している。
男「くれ!俺にくれ!!」
男友「ダメだ!コレだけはお前にもやれない。たとえ、友情にヒビがはいろうとな・・・」
277:
男「な!お前!俺よりもそのスーパーレアカードを取るのか?」
男友「・・・悪いな。俺はこいつだけは、一生守り続けるって決めてんだ」
男「・・・心は、変わらねーんだな」
男友「・・・ああ。ヤフオクで高値で売れようが、俺はこいつだけは守る」
男「そこまでそいつの事を・・・分かったぜ。俺もこんな事で親友を失いたくは、ない。俺は引くよ」
男友「分かってくれたか!ありがとう!お前は親友だ。」
男「ああ!弁当くおーぜ!」
男達には、他人には入り込めない世界がある。それを大事にする男だけが、真の男なのだ。
男友2「あ、俺そのカード3枚もってるわ」
男・男友「・・・」
278:
昼休みが終わり、幼馴染は何事もなかったかの様に自分の席についた。
男「お前何処で食ってたんだよ?」
幼馴染「うるさいわね。屋上よ。」
男「屋上?寒くなかったか?」
幼馴染「・・・」
その日、男が何を言っても幼馴染は何も答える事はなかった。男は苛立ち、そして、少し寂しかった。
放課後
男友「カラオケいこーず!」
男友2「しゃっ!しゃっ!」
男「うん」
男達はカラオケ屋に着いた。
男「うぃーあーふぁいてぃんどぅりま・・・」
男友・男友2「はい!はい!はい!はい!」
男友「むげーんだーいのーゆーめのあとのー・・・」
男・男友2「ウェイwウェイwウェイwウェイw」
男友2「ウィザライター!イレデージャー!」
男・男友「お、おう。」
280:
帰り道
男「・・・」
男友「んだよ?元気ないじゃん?」
男「え?い、いやそんなこたねーつーの!」
男友「幼馴染さんだろ?」
男「え?い、いや。別にあいつは、別に・・・」
男友「丸わかりだよ。お前がへこんだ時ってだいたい幼馴染さんと喧嘩した時だからな」
男「そんなんじゃねーよ。だいたい今回は喧嘩じゃないし」
男友「ふーん?なんだよ、おしえてみな?」
男「わかんねーよ。いつも通りからかっただけだっつーのに。何で・・・」
男友「女ちゃんと比較でもしたか?」
男「え?何でわかったんだ?比較ってか、どうせ借りるなら幼馴染のノートより女さんのノートだっていっただけなんだよな」
男友「そりゃ、怒るだろ、な?」
男友2「怒るな、ふつうは」
男「何でだよ!理由を教えてくれ!」
男友・男友2「やーだ便所」
281:
男鈍すぎ
そういう俺も鈍くて気づけなかった事がありました…
282:
男の家
男「ただいま」
ドタドター!
妹「兄ちゃーん!おかえり!」
男「おー!妹!俺がこの家を留守にしている間、悪い敵から家を守ってたか?」
妹「うん!家の周りをね!チョークで囲って結界はったんだよ!!」
男「おお!これは、これは魔法使い様。家の平和をありがとうございます」
妹「どういたしまして!!偉い?」
男「妹はえらいなー!俺とは大違いだ!」
母「いつまで玄関にいるの?早く来なさい。夕食できてるから」
男「ほら、妹。母さん呼んでっからいくぞ?」
妹「いこー!」
287:
妹「兄ちゃん!あたし、今日料理作ったよ!」
男「おお?凄いじゃんか!どれ?このコロッケ?」
妹「ううん?今もってくるね!」
バタバタ
男(なんだろ。妹料理なんて作れたかな?)
妹「これ!」
男「うん?ヨーグルト?」
食卓に置かれた小鉢にはヨーグルトが入っている。しかし、不思議な事に卵も入っていた。
男「卵は何故?」
妹「あとね、マヨネーズとぉ、塩と砂糖と、お酢もいれたよ!楽しかったよ!」
ジイ「ふむ。男よ、ワシは意識をとじる。お前がたべるのじゃ」
男(なんて薄情なジジイだ・・・)
男は母親の料理を平らげ、いよいよ妹の料理に取り掛かった。
男「い、いただきます」
妹「どう?おいしーでしょ!」
バク
口にいれた瞬間、猛烈な酢のスッパさにむせた。とにかく、酢が多すぎる。ヨーグルトを遥かに凌ぐ量の酢が入っていた。
男「ま!」
妹「まぁ?」
男「ま、まいなぁ!」
妹「ままい?」
男「う、うまいって意味だよ。ただ、お酢がちょっとおおいかなぁ?なんてな」
バクバクゴホッゴホッ
妹「わーい!ほめられたー。ママぁ兄ちゃんに褒められたよ?」
母「そう、よかったわね」
男「・・・」
288:
男の部屋
ジイ「どうした?思いつめた顔しおって」
男「いや、なんつーか。自己嫌悪」
ジイ「なんじゃ?話してみい?」
男「俺さ、妹の事本当に大事に思ってんだよ。だから、大抵の事は許すし大抵の事は褒めるんだ」
ジイ「ふむ。」
男「・・・幼馴染の事だって、俺は大事に思ってるんだ。妹と同じくらい。でも、俺あいつには、悪口しかいえねーんだよな」
ジイ「その大事は、種類がちがうじゃろうて」
男「俺は幼馴染が好きなんだ。」
ジイ「・・・今日のお前は酷い事をした。彼女の好意をけなした。彼女の心を傷付けた」
男「・・・ああ。酷いよな、本当最低だよ俺は」
ジイ「・・・分かっとるなら、ワシはもう何も言わん」
男「幼馴染に明日謝るよ。はぁ、謝ってばっかだな」
289:
翌朝
男「いってきます。妹、今日も美味しい料理きたいしてるぞ?」
妹「うん!今日も美味しいのつくるー!」
男は妹の頭を優しく撫でてから、家をでた。
男(あの後ろ姿は、幼馴染だな)
男「よ、おはよう!幼馴染」
幼馴染「・・・」
スタスタ
男「お、おい。待てって!」
男は幼馴染の肩を後ろから掴んだ。
幼馴染「触らないで!」
男「あ、ごめん。」
幼馴染「・・・話掛けないで」
学校までの道は同じなのに、違う道を歩いている。幼馴染の背中をみながら、そんな気がした男であった。
292:
社会の授業
社会の教師「じゃ、教科書62ページを開いてください」
ビラ
生徒あ「あ!北京原人のページだ」
男「ははは、また北京原人かよ。あのせんせー本当北京原人好きだよな。なあ?幼馴染?」
幼馴染「・・・」
男「・・・」
社会の教師「あ、悪い。85ページの間違いでした。」
生徒あ「悪質な・・・。」
余談だが、社会の教師はこの授業の後階段から転げ落ちて、意識不明のまま救急車で運ばれる。そこで、運命の出会いをするのだが、その話は今は関係がなかった。
296:
休み時間
女「おーとこ君?今日いこーね!」
男「あ、女さん。うん、行こうぜ!」
ガタ
幼馴染は席を立ち、教室をでていった。
男「あ!悪い女さん、またあとでな?」
ダッダッタ
女「あー、いっちゃった」
女友「幼馴染さんも誘おーよ!決着つけねばなのだ!」
女「うん、さそおー」
屋上
男「はぁはぁ。お前足はえーのな」
幼馴染「・・・何よ。ついてこないで欲しいんだけど」
男「あ、のさ。昨日は悪かった。その、お前の字、そんなに汚くないっつーか。俺のが数倍汚いよ」
幼馴染「・・・」
男「俺の為にノートとってくれてたんだろ?それなのに、あんなこといって・・・」
幼馴染「馬鹿。違うわよ。そうじゃないの」
男「・・・え?」
幼馴染「そんなのどうだっていいの!私はそんな事で怒ってたんじゃないの!」
男「え?じゃ、じゃあ何に怒ってるんだよ。」
幼馴染「知らないわよ!」
男「は、はあ?わけわかんないっつーの!」
幼馴染「うるさい!」
298:
男「う、うるさいってなんだよ!人が頭下げたってのに」
幼馴染「黙ってよ!」
男「・・・な、何なんだよ、わけわかんねーつの」
幼馴染「あんた、今は105歳じゃないみたいね」
男「はあ?・・・あ。」
ジイ「ワシは幼馴染には、話したのじゃよ。お前の身体を動かしてたときにの」
幼馴染「おじいちゃんは、もういないの?」
男「いや、まだいる。話かけて来てうるさい。」
ジイ「なんじゃと!」
幼馴染「私ね、おじいちゃんの時の男にいわれたんだ。本来の男は私の事が好きだって」
男「な・・・」
幼馴染「でも、間違いだったみたい。男が好きなのは・・・」
男「あ、あの・・・」
幼馴染「女さんでしょ」
チャイムが遠くで鳴っている。幼馴染は既に屋上からいなくなっていた。
それすら、男は気がつかない。
男は風が強い屋上でただ、呆然と立ち尽くしていた。
318:
男は五時間目の授業をサボタージュした。ぼんやりと、ただ雲の動きだけを眺めていた。
男「雲、うぜぇ」
ジイ「・・・え?」
ガラ
女「あ、やっぱここにいた。男君、五時間目サボるなんていけないんだー」
男「女、さんか。どうしてここが?」
女「んー?幼馴染さんに聞いたらここにいるって教えてくれたよ?本当に仲良いんだね。」
男「・・・わり。一人にして欲しいんだ」
女「ダメだよ。今からゲーセン行くんだから」
男「・・・いや、今日は・・・」
女「ほら、いくよ?」
女に腕を掴まれ、強制的に屋上から連れていかれる男であった。
322:
教室
女「女友ー。男君捕獲したよー」
女友「ご苦労。大義であった。天晴れである、褒めてつかわす」
女「あ、うん。幼馴染さんは?」
女友「ダメであった。何やらただならぬ様子であった。」
女「そっか。しょうがないね」
女友「仕方あるまい。では出陣じゃー!」
男「女さん。女友さんていつもあんななの?」ボソ
女「ううん。でも、一度ああなると、しつこいよー」
男「そ、そか・・・」
325:
ゲーセン
女友「UFOキャッチャーでいくさじゃー」
女・男「いくさ?」
女友「ルールは簡単でござる。先にあのプーさんをとった人の勝ちなのでござる。」
女「簡単も何も、そのまんまじゃない?」
男「普通にやればいいんだろ?」
そのUFOキャッチャーは一見普通のUFOキャッチャーにしか見えない。操作はボ二つのボタンで行い、一つはクレーンを機械正面から見て右方向に移動。もう一つは奥方向に移動させる形式の物だ。
しかし、一つだけ決定的に一般的なUFOキャッチャーとは異なる部分がある。それは
男「え!な、なんだこれは!」
女「やだ!何これ!」
女友「ほう。気付きおったか・・・主らなかなか見所ありとみる。」
326:
そのUFOキャッチャーの機械両サイドには左右に動かせるアームが取り付いてあり、更によく見るとアーム上部には赤いボタンもついている。
女友「このUFOキャッチャー。その名をおじゃまじゃUFOキャッチャーという!」
ズッギャーン!
男・女「え!」
女友「よく、機械の中をみるがよい!わかるはずでござる。機械内の両サイドにミニ砲弾が斜め上空を向いて設置してある事に!」
ピキーン!
男「・・・読めちまったよ。完全にな」
男は右手を額に当てると、静かに目を閉じた。男は気付いた、機械内部を囲うようにレールが敷かれており、更に四隅に穴が空いている、それはまるでビリヤード台を思わせる作りだった。男はゆっくりと口を開いた。
男「つまり、そのアームで中の砲台を移動させ、赤いボタンを押す事により砲弾を発射させる。」
女「え、それって・・・」
男「そう、クレーンで人形を掴んだ所を砲弾で邪魔をする。悪魔のゲームだよ、これは・・・」
330:
女友「ほう。一目でこれ程核心を付いたのは貴様で初めてだよ男君。」
男「確認する。プーさんとは、中央に横たわるあれだな?」
人形の中に一際目立つ大きなクマのぬいぐるみが機械中央に横たわっている。
女友「そのとおり。それでは詳しいルール説明を行う。まず、順番はこの後ジャンケンで決める。」
男「ジャンケンだと!正気か?三人でジャンケンをした場合のあいこになる確率を知った上での発言か?」
普段男はここまで感情を表に表すタイプではない。しかし、勝負毎にはとことん熱くなってしまう。それは世の男性全てに共通のサガであった。
女友「そんなにムキになるほど確率高くないのでは・・・」
男「・・・分かった。従うよ。」
男は大げさに肩を落とすと、両手を上げた。いつか見たハリウッド映画スターの真似だった。
333:
女友「あ、ああ。ではルール説明を続ける。クレーンを操作し、プーさんを機械内部の穴に落とすのは、皆しっているだろう。クレーンの操作は極めて一般的だ」
女友(1つのぞいてだがな)
女友「このゲームの一番の特徴、それは、男君の指摘した様にクレーン操作者が人形を掴んでいる所を残りの2人が砲弾を当てる事により邪魔する事ができる事だ。」
女友「ちなみに、一度砲弾を発射した後、一秒間は打つ事が出来ない」
女「なんか、よくわかんないなぁ」
男「ボンバーマンはやっとことあるだろ?あのミソボンの様な物だよ」
335:
物語はどんな方向に進もうとしてるんだ…
338:
女「ごめん、ボンバーマンやったことないからわかんないんだけど・・・」
男「簡単に説明すると、真剣にボンバーマンをプレイする人の邪魔をする人の事だよ。ちなみに、俺はミソボンになったら一切操作しない。俺はそう言う人だから・・・」
ジイ「嘘つくんじゃないわ!自らミソボンになって人の邪魔する癖にカッコつけるんでないわい!」
男(何故それを・・・)
女友「・・・最後に、このゲームのプレイ回数は、一人2回とする。順番を決めたらその順に2周する。」
男「まて。二回目は二回目で、再びジャンケンで順番を決めるべきだ」
女友「・・・まあ、それでもいい。さて、他に何かあるか?なければジャンケンを行うぞ?」
男「俺は特にない」
女「負けたら罰ゲームとかあるの?」
女友「もちろんだ。負けた2人に対し勝った1人は好きな罰ゲームを1人につき1つ与える事ができる」
男「・・・勝者は、1人か」
女「私、負けない。負けたくない!」
女友「ふふふ。その意気だよ」
女友(悪いが勝つのは私だ)
339:
女友「それでは、最初はぐー・・・」
ジャンケンの末、順番は男、女友、女となる。ジャンケンに負けた順である。
男「まずは、俺からか・・・」
男、機械正面に立ち、コインを投下。ゲームが開始される。機械右側には女、左側には女友がそれぞれアームを持ちスタンバイしている。
男(まずは、1のボタンを押してクレーンを右に移動・・・)
ウイーン
女(試しに打ってみよっと!)
ここで、女。赤いボタンを押す。
ブシュ、バコーン!
女側の砲台から黄色の砲弾が発射された。砲弾は勢いよく女友側のガラスに激突した。
女「け、結構威力あるんだね・・・」
男(おかしい、あんな強力な弾丸まともに食らえば間違いなく掴んだ人形は落ちる。圧倒的にクレーン操作者がふり過ぎる。)
340:
男(よし、プーさんと横方向の位置は同じだ。次は2のボタンでクレーンを奥方向に移動・・・)
ウイーン
クレーンはプーさんの上空でピタリと止まる。そして、そのままクレーンは降下し、プーさんの頭を掴んだ。
男「よし!いけ!」
クレーンは4つの爪でプーさんの頭を掴むとそのまま上昇し、クレーンは機械手前側に移動する。
バシュ
男「あ、ああ!」
女友の打った砲弾がクレーンの爪の1つにヒットし、プーさんは落下してしまった。
女友「少しだけ手前に移動したようだな」
男「く、くぅ!」
341:
男のターンは終わり、女友と場所を交換する。
女友(ここで勝負を決めてもいいが、女がまだプレイしていないな。・・・ここは軽く流すか)
女友、1のボタンを押しクレーンの横方向をプーさんの位置に合わさる。
ブシュ、ブシュ。バツーン
ここで、珍現象が起きた。男と女が同時に発射した砲弾が正面衝突して弾かれたのだ。
女「きゃー!何今の?男君の赤い玉と私の黄色の玉がぶつかったーwwwマジ、うけるーwww」
男「すっげ!奇跡だよ、今の!好プレー珍プレー!」
女「ね、ね!男君もう一回やろ?せーのでうつよ!・・・せーの」
ブシュ、ブシュ。バツーン
女「きゃー!やったー!また成功www」
男「奇跡だー!」
女友(もう、勝負決めようかな・・・)
342:
女友、2のボタンを押しクレーンを奥側に移動。プーさんの上空でクレーンを止めた。
ウイーン
ブシュ
男が打った砲弾がプーさんを掴む動作に入ったクレーンにぶつかり、クレーンが揺れた。4つの爪はプーさんを掴み損ねた。
男「こういう使い道もあるわけだな」
女友「く、まあいい。勝負はこれからだ」
女友のターンは終わり、女と場所を交換する。
343:
女、1のボタンを押しクレーンの横方向をプーさんの位置に合わせる。しかし、女ボタンを押しすぎた。
次に2のボタンを押しクレーンを奥側に移動するも、これもボタンを押し過ぎ、完全プーさんを通り過ぎた。
女「あー最悪。」
女、ターン終了。
女友「では、二回目のジャンケンを行う」
男「まて、これ誰もプーさん取れなかったらどーすんの?」
女「あ、それ私も思った。」
女友「その時は。引き分け」
男「引き分けかよ!」
女友「それでは、最初はぐー・・・」
344:
二回目の順番は、女友、女、男の順番となった。ジャンケンの負けた順番である。
女友「さて、きめますか・・・」
女友は首を回し、指の音を鳴らした。コインを投下し、ゲームを開始する。
男(これで女友が取らなかったら、女友の勝ちはなくなる。真剣な訳だぜ)
女友、1のボタンを押しクレーンの横方向をプーさんの横方向に合わせる。
女友、2のボタンを押しクレーンを奥側に移動する。
男、アームの赤いボタンをいつでも押せる様に親指をセット。
男(タイミングが重要だ。女友の様に爪をピンポイントで狙うのは至難の技。クレーンの爪が人形を掴むその瞬間に弾をクレーンに当てて揺らす。)
女も男同様に赤いボタンに親指をセット。
クレーンがプーさんの上空に停止。降下していく。
ウイーン
ガチャ
クレーンの爪が開き
ガチャーん
プーさんの頭を掴む動作に入った
男(今だ!)
ブシュ、
ブシュ、ブシュ、ブシュ・・・
ぱつーん
男「!?」
男の打った弾は、突如天井から降り注がれた無数の黒色の弾に弾かれた。
プーさんの頭はクレーンの4つの爪に掴まれ上昇する。
男「い、今のは一体・・・」
345:
女友「驚いているようだな」
クレーンが前側に移動しているのを見ながら女友がいう。
女友「クレーン操作側にも防御システムがある。考えて見れば当然だろ?こんなに操作側に不利なゲームもないからな。」
男「・・・何故黙ってた」
女友「聞かれなかったからだ。あはははは!」
クレーンは1番前の列まで来ると、左側に移動し始めた。
男「どうやったんだ」
女友「最後に教えておこう。今、私は男君がわ、つまり機械右側の天井から弾を発射させた。2のボタンを2回押す押したんだ。すると、クレーン脇の天井奥から手前に弾が一列に発射される仕組みになっている。ちなみに、女がわは1のボタン二回押しだ。」
クレーンは穴の手前まできている。
ブシュ
女友「!」
女が発射した弾が、クレーンの爪に当たり、プーさんが穴の手前に落下した。
女「おしゃべりの時間は、終わりよ。貴重な情報をありがとう・・・」
350:
女友「く!油断した。私とした事が!油断してしまったぁぁあ!」
女「良いから場所の交換といこうじゃない」
女友「あ、ああ」
女は慣れた手付きでボタンを操作する。
男「あ・・・」
女友「く!」
ブシュ。
ブシュブシュブシュブシュ
ぱつーん
女友が発射した弾を、女は黒色の防御弾で軽々弾き返す。
がシャン
プーさんは穴に落ちた
女「やったー!私の勝ちー!」
351:
女友「あー。女ってコツ掴むと本当強いよねー。負けちった」
男(まさかの見せ場なし・・・)
女「じゃあねー。2人には何して貰おっかなー?」
女友「軽いの希望ー」
男「右に同じ」
女「まずはー。女友はねー。明日数学教師の似顔絵を黒板に貼り付けて!」
女友「え?そんな事でいいの?女やっさしー」
女「でも、一日剥がしちゃだめだよ?」
女友「し、シビアっぽい」
男「お、俺は?」
女「男君はね。デート。私とデートすること、です。」
女の頬は紅潮している。
男「え?デート?それ罰ゲームじゃなくね?」
女「強制だから。嫌でも男君に拒否権ないから、罰ゲーム」
男「・・・分かったよ」
352:
帰り道
女友「じゃ、バイビー」
男・女「じゃね」
しばらく男と女は無言で歩く。
女「あの、ね?私、男君といると楽しいんだ」
女は男の少し前を歩いている。
男「俺も楽しい・・・今日だってモヤモヤした気分が消えたから」
女はそれを聞き、胸のなかがジンワリ暖かくなるのを感じた。
女「覚えてるかな?私、入学式の日に男君と会った事あるんだよ?」
男(入学式・・・覚えてない)
男「ごめん。覚えてない」
女「私がね、廊下でプリントをばらまいちゃったんだ。男君が通りかかって、座ってプリントを拾ってる私に声をかけたんだよ」
男「何ていったんだ?俺・・・」
女「通行の邪魔だ!だって。私、手伝ってくれるかと思ったのにショックだったよ」
ジイ「酷すぎるのう」
男「ご、ごめん。そんな事いったのかよ。最低だな、しかも忘れてるとか最低過ぎる」
女「うん。だから怖い人ってずっと思ってた。それで、今年同じクラスになった時は、凄く嫌だったんだ」
男(これ、俺の事が嫌いですって告白なのか・・・)
女「でも、でもね。実際話してみると、本当に楽しくて、優しくて。」
先を歩く女は立ち止まった。男も立ち止まる。少しの沈黙が2人の間に、流れた。
女「気付いたら君の事しか考えられなくなってたんだ。」
353:
男(勘違いだよ、女さん。君が好きになったのは、俺じゃない。ジジイの方だ。実際の俺は、俺は入学式の頃と変わらず最低な奴なんだ)
男は何も言わず、コブシを握りしめた。
女「ふー。いっちゃった。」
夜空を見上げ、女は呟く。今にも星が落ちてきそうで、男も夜空をみあげた。
女「ね?男君。この星の中の何処かで、今私達みたいに夜空を見上げてる人っているかな?」
男「・・・いるよ。きっといる」
女「だといいなー。そしたら、今、私達は見つめあってるんだよ。何万光年の距離を開けて、見つめあってるんだ。」
男「そうだといいね。そしたら救われる」
女「救われる?」
男「俺達は、誰かに見てもらいたいんだ。認められたいんだ」
男は星を見つめる。何かを探すように、必死で見つめる。
男「そしたら俺達はきっと、救われるんだ」
356:
女「デート、いってくれるよね?」
男「あ、うん。本当にそんなのでいいのかよ?もっと、肩もみとそんなの方が罰ゲームっぼいぜ?」
女「罰ゲームってのは、逃げ口なんだよ」ボソ
男「ん?でも、デートか。男女で何処かに行けばそれは、デートになるのか」
女「あー!そういう言い方すると、何かムードなくなる。」
男「す、好き同士の男女が何処かに行く事がデート。だよな」
女「う、うん。」
男「なら、今回のはデートじゃないよな。」
女「な、何でそんな事いうかな?わ、たしの気持ち知ってる癖に」
男「違うんだ。女さんの好きになったのは俺じゃないんだ。俺の中の別人格・・・みたいなものなんだ。」
女「・・・」
男「本当の俺を知ったら、君はガッカリする。・・・初めてのデートは本当に好きな奴と行くべきだ」
女「・・・ふーん。やっぱり男君優しいじゃん?」
男「い、いや、別に優しくてねーつの!」
女「照れてるーwww」
男「ば、ほっぺたつつくな!」
女「わかったよ。デートじゃなくて、2人で遊びに行くって事で!」
男「うん。分かった」
女「じゃ、私こっち。じゃねー!」
小さくなって行く女の背中を男はいつまでも見ていた。
ジイ「お前、逃げおったの?」
男「・・・帰るぞ」
362:

男「ただいま」
バタバター
妹「兄ちゃん!おかえりー!」
妹は男に飛びついた。
男「お、ちょっとまって!まだ靴も脱いでないよ」
妹「兄ちゃん!ピザって10回いってみて!」
男「ん?ピザ、ピザ、ピザ・・・ピザ。10回いったよ?」
妹「じゃあねじゃあね?ここは?」
妹はクリクリした目を輝かせながら、左肘を指差す。
男「ひざ!」
妹「ぶー!ざっんねっんでした!ひじだよ?やった!兄ちゃんひっかかったー!」
男「ぐぁー!してやられたー!」
妹「やーいやーい!」
男「こっの!コチョコチョだー!コチョコチョコチョコチョー」
妹「キャーキャー。くすぐったーい!」
母「まーた玄関で遊ばないの。夕食できてるわよ」
367:
男・妹「いただきまーす」
母「召し上がれ」
食卓にはハンバーグとコーンスープ、ポテトサラダが並ぶ。
妹「あたし、また料理作ったよー!どーれだ!」
男「え?この中にあるの!凄え、じゃあね、このポテトサラダ!」
妹「ぶっぶー!はっずっれ!」
男「えー?じゃあね、まさか、ハンバーグ?」
妹「ぶっぶー!違うよー。正解は、冷蔵庫の中でしたー!」
男「な、なんだー。この中かと思った。妹、はやく作った料理だしてよ。」
妹「うん!まっててね!」バタバター
ジイ「きょ、今日は何じゃろな?」
男「ジジイ、今日は逃げんなよ?」ボソ
妹「おっまたせー!これだよー」
それは、昨日同様ヨーグルトであった。しかし、たまごは入っていない。お酢の匂いもしない。
妹「昨日とねー味付け変えたんだよ?」
男「そ、か。とりあえず・・・」
パクリ
男「・・・!」
ヨーグルトの中には、バナナ、缶詰のパイナップル、缶詰のミカン、ゼリービーンズ、アイスの実が入っていた。
男「チョーウメー!妹、本当に美味しいよ?ほっぺたおちるぅー」
ジイ「美味い!絶品じゃわい!妹は将来カリスマシェフになるわいのう」
妹「えへへ?昨日とどっちが美味しい?」
男「うーん。悩む所だけど、今日かな」
妹「やったー!じゃあ明日も作るね!兄ちゃん大好き!」
男「あはは!俺も好きー!」
妹の前では素直になれる男であった。
375:
男の部屋
男(幼馴染に電話しよ。)
ピポパポ
幼馴染『・・・なに』
男「お、おう!いや、あのさ。今日の事なんだけど」
幼馴染『・・・』
男「あれ、お前の誤解だからな?別に俺女さんの事好きって訳じゃ・・・」
幼馴染『・・・嘘。私と話してるより、女さんと話してる方が楽しそうじゃない。・・・もう切るから』
男「ちょ、ちょっとまてって。そんなのお前が勝手にそう思ってるだけじゃねーか」
幼馴染『今日、女さんと遊びに行ったじゃない。』
男「ああ行ったよ。でも、女友さんもいたし、だいたいお前も誘われただろ?」
幼馴染『あんたが女さんと楽しそうにしてるのなんか、見たくないの!もう、切るから!」
男「まてよ。最後にこれだけ言わせろ!俺はなぁ!お前のことが、ずーっと前から・・・」
ガチャドタバター
妹「兄ちゃんあそぼー」
妹は男に抱きついた。
男「あ、今電話中だからさ・・・て、きれてるー!」がビーン
380:
妹「あー。兄ちゃん電話中だったの?」
男「うん、そうだよ」
妹「ごめんなさい」
男「いいって。泣きそうな顔しないの!じゃあ何して遊ぼっか?」
妹「じゃあ、にらめっこ!」
男「にーらめっこしましょ・・・」
妹「わーらたらまけよ!あっぷぷ!」
妹は割り箸を取り出し、鼻に突っ込み、更に両手で頬を引っ張りながら白目を向いた。
ジイ「わは!わははは!妹面白い顔じゃのう!」
男(ジイさんの笑い声の方が面白いっての・・・)
男「・・・妹。割り箸はとろうね。お嫁にいけなくなるから。」
妹「あたしの勝ち?」
男「うん。あ、あーぁあ!こっち来なさい。鼻血がでてます。全く最近の妹ときたら・・・」ブツブツ
妹「兄ちゃんが、オバさんモードにはいっちゃったよ」
妹の鼻血をティッシュで拭いて上げる、オバさんモード男であった。
381:
翌朝
男「いってきまーす」
玄関で何故かキョロキョロする男。
男「いってきちゃうよー?」
母「いけばいいじゃない。いってらっしゃい」
男「え?妹は?」
母「まだ寝てるよ。」
男「え!なんで?」
母「何か体調悪いってさ」
男「え!大変じゃねーか!俺今日学校やすむわ」
急いで靴を脱ぐ男。
母「何いってんのかしらね。あんたはさっさと行きなさい。私、会社休んで看病するから」
男「そ、そう。じゃ、早く帰るから!」
名残惜しそうに家を出る男であった。
母「・・・さてと、看病、看病っと」
382:
幼馴染(あ、あの馬鹿っぽい後ろ姿は男・・・き、昨日の電話、何言おうとしたのかな?)
何となく、声をかけるタイミングが分からず、男の少し後ろを黙って幼馴染は歩いた。
クル
何の前触れも無く男は振り返ると、驚く幼馴染の肩を掴んだ。目には涙がうっすら滲んでいる。
男「お、お、幼馴染ー!」
幼馴染「え?な、なに?どうしたのよ?」
男「い、妹がー・・・」
幼馴染「え!い、妹ちゃんどうかしたの!」
男「体調不良だって・・・今日、朝会えなかった・・・」
幼馴染「そ、そんな事で朝からメソメソすんなー!!」
ズギャーン
男「ぐぅ。あ、あいつ、身体弱いからさ。凄え心配何だよ。」
幼馴染「・・・大丈夫だよ?妹ちゃん、強くなったから」
男「うん。あいつ強くなったよな。でもよ、こういう時、昔の事思い出しちまう」
男の脳裏に、救急車で運ばれる妹の姿が浮かんだ。昔、夜中に大熱を出した時の光景だ。その時、男は一晩中泣いていた。
幼馴染「大丈夫!小母様だってついてるんでしょ?大丈夫!」
男「・・・だよな。俺が心配な顔したら妹も不安がっちまうしな。」
387:
男「・・・妹。泣いてないかな・・・」
幼馴染「もう!学校つくわよ?妹ちゃんの事は小母様に任して、あんたは勉学に励みなさい」
男「で、でもよ・・・」
ジイ「ふむ。幼馴染の言うとおりじゃ。学校は学校。家は家。区分けができん人間はいつまでたっても大人になれんよ?」
男「分かったよ・・・。何だよ自分だってガキっぽいくせしてよ」ボソ
幼馴染「・・・ねえ、今おじいさんと話したの?」
男「え?」
男(やべ、小さい声のはずが、聞こえちまったか・・・)
389:
男「まあ、な。前にも話したけど、ジジイは俺の頭ん中にいる。俺の頭に直接話してくる。」
幼馴染「ねえ、ちょっとおじいさんと話したいんだけど、できる?」
男「はぁ?何で?」
幼馴染「いいじゃない。おじいさんと話したいのよ」
ジイ「ふむ。しかし、弱ったの。ワシの意識はお前よりも小さいんじゃよ。お前の意識がない時なら、ワシの意識で身体を動かせるんじゃがの」
男「ふーん?つまり、起きてる時は無理ってことだな。」
幼馴染「へぇ?じゃあ、あんた今すぐ寝なさい!」
男「むちゃくちゃいうなっつーの!」
390:
教室
男「まぁ、ジジイと話した所で説教ばっかりだぜ?やめとけやめとけ。」
ジイ「年取るとのう。お前の様な若者には説教の一つや二つしたくなるんじゃわ。すまんのう。」
幼馴染「おじいさんは私にはとっても優しいんだから!かっこいいしさ!」
男「ち、ジジイに惚れるたあ、恐れ入った。とんだ年増好きだぜ。」
ガタガタ
男と女は席についた。
幼馴染「ふん!おじいさんは、あんた何かの一億万倍いい男だわ!」
男「なんだこの、カバ女!」
幼馴染「何よ!この間抜け面!」
男「いいやがったな!こーの!・・・カバ子!」
幼馴染「言ったわね!もう今日は絶対消しゴムかしてやんないから!」
男と幼馴染の激しい罵り合いは、しばらく続いたのであった。
392:
数学の授業前
女「おーとこ君?おーはーよっ!」
男「あ、女さん。と女友さん。おはよ。昨日は楽しかった。」
女友「あたしゃおまけかっての!それより、これこれ」
女友は男の机にA3用紙を広げた。そこには、メガネをかけたアフロ頭の男が描かれており、手には算数の教科書を持っている。
男「これ、まさか数学教師か?やばいだろ、さすがに・・・」
男はいいながら笑いをこらえている。
女「う、うん。てか数学教師って。その・・・」
男・女「ハゲじゃん」
次の瞬間堪え切れずに男と女は吹き出した。
女「て、てか!絵、デカすぎてしょ!これ何処に貼る気なのwww」
男「こ、の算数の教科書も地味にやばいって!あの教師数学に誇りもってるふしあるし!」
笑い転げる二人をよそに、女友は努めて冷静であった。
女友「黒板の左上に張るわ。女に、二言はないのよ・・・」
394:
数学の授業
数学教師「・・・」
無言で黒板に貼られた似顔絵を見つめている。すでに授業開始から、10分が経過している。
生徒あ「せんせー!授業やりましょうよ!」
数学教師「・・・」
数学教師は、現在35歳。独身である。彼にも彼女がいた事は何度かあり結婚までもう少し、という事もあった。
しかし、今は彼女もいない。
理由は、色々ある。仕事が忙しく、休む暇もない。出会いがない。そして、ハゲているから・・・
彼は、30を超えた辺りから、急に額から頭頂部に向かって大規模な伐採が始まった。そして、今は無毛地帯・・・
数学教師「アフロ、いいかもな・・・」
女友「ビク!」
翌週、彼はアフロで学校にきた。
そして、校長に怒られた。当然である・・・
411:
休み時間
女友「ふー・・・罰ゲームはこれでいいでしょ?」
女「うん。」
男「でも、なんだろ罪悪感あるよな・・・」
女友「・・・うん。」
女「・・・ゴメンね女友。私があんな事いったから。」
国語の授業
ガラガラ
国語教師(♀)「授業前にちょっと説教するわ。」
バン!
国語教師は教卓に教科書を叩きつけたぁぁぁ!
生徒あ「そんな事より授業しましょう!」
国語教師「なーにが!そんな事だ!数学教師さんに聞いたんだけど、あんた達数学教師さんの事からかっただろ!」
女友・男・女「・・・」ビック!
国語教師「あのひとは、その、優しいからあんた達に説教とか、たぶんしない!だから私がするわ。数学教師さんの似顔絵書いた奴、名乗り出やがれ!」
女友「は・・・」
男「はい。俺です。」
国語教師「良い度胸してんじゃない。何でアンナことしたの?」
男「笑えるからです」
生徒諸君「どっ!」ワハワハ
国語教師「好い加減にしろ!」
国語教師、チョークを黒板に叩きつけるぅう!
生徒諸君「ビック!」ビクビクー!
国語教師「人の事からかって、笑いにするなんてくずのする事だ。私が1番嫌いなことなんだよ!しかも、数学教師さんをからかうなんてよ!」
417:
男「後で謝ります。授業を続けて下さい」
国語教師「何だ?男君よ。ずいぶんと大人っぽくなったじゃんか?」
ガラガラ
数学教師「あ、国語教師さん。どうかしたかい?凄い大きな音がしましたが?」
国語教師「え?あ、えーと。擬音の勉強をしてたです・・・」
俯き、頬を赤く染める国語教師の変貌ぶりに、生徒は目を丸くした。
生徒あ「え?あれそういう意味があったんですか?いきなりチョークを黒板に投げるから怒られたと思いました」
国語教師「・・・」ギラリーン!
生徒あ「ゾック!」ゾクゾクぅぅう!
数学教師「ふふふ。君は昔から仕事熱心ですね。・・・君達も彼女をあまり困らせないように頼むよ?大事な先生だからね?」
ガラガラ、ビシャーん。
ジイ「男よ。あの数学教師はずいぶんと恰好いい大人じゃな。ああいう男を目指すんじゃぞ?」
男「あーそぅだな。ジジイより何倍も大人な男だぜ。」ボソ
ジイ「ふむ。そうじゃ。ワシの様になるなよ?」
男「はぁ?」ボソ
国語教師「授業を始める」
生徒あ「先生!数学教師の事好きなんですか?」
バシーン
国語教師、またまたチョークを黒板に叩きつけたぁぁぁ!粉々だぁあ!
国語教師「・・・これが、チョークの割れる音ね?テストには出さないけど・・・」
生徒諸君「ザワザワ・・・」
418:
休憩中
女友「さっきは、ありがと。身代わりになってくれて」
男「あーいいよ。1番笑ってたの俺だし」
女友「女、あんたが惚れるのも分かる気がするわねぇ?」ボソ
女「だ、駄目だからね?あんたは男友君と仲良くすればいいじゃん」ボソ
女友「へえへえ」
男「あ、数学教師」
廊下を数学教師が歩いている。男達は走って追いかけた。
男・女友・女「せ、先生!」
数学教師「ん?何だい?君達も数学の魅力に取り付かれたのかな?」
男「んなわけあるかよ」ボソ
女友「あの、先生の似顔絵書いたのわたしです。ごめんなさい」
女「違う!私がかけっていったから・・・先生、ごめんなさい」
男「俺は、クラスで1番笑いました。ごめんなさい」
無言で三人を見つめる数学教師。
やがて、ニッコリと微笑んだ。
数学教師「私は、気にしてませんよ?しかし、我が非を認め、誠意をもって人に謝る事が出来る。それは誰にでも出来る事ではありません。」
数学教師は三人の頭を順に撫でる。
数学教師「よく頑張ったね。私は君達を許すよ。」
男・女友・女「せんせー!」
物影から国語教師が様子を伺っていた。
国語教師「・・・数学教師さん。まじ恰好いい」
果たして彼女に春は来るのかぁぁあ?
420:
少し時間は遡り数学教師の授業前
女友「あたしゃおまけかっての!それより、これこれ」
男の机に広げられたA3の紙を見て、幼馴染は吹き出した。
幼馴染(な、何よ。あの妙に上手い絵は・・・それより、男よ男!でっれでれしちゃってさ!」
幼馴染友「あは?何だろねあの絵?」
幼馴染「さあ?それより昨日のドラマさぁ・・・」
幼馴染友「うんうん!面白かったね?・・・ねえ?幼馴染はさ?」
幼馴染「ん?」
幼馴染友「男君に告白したの?」
幼馴染「な!」
バン!
幼馴染は机を叩き、立ち上がった。
幼馴染「す、するわけないじゃない!す、好きでも嫌いでもないわよ!あんなやつ・・・」
幼馴染友「う・そ・ね」
幼馴染「う、うー!」
幼馴染友「バレバレ〜男君好きなのバレバレー」
幼馴染「く、す、好きじゃない!」
幼馴染友「ふふーん?あ、女さんが男君とチューしてる」
ガタガタ
幼馴染友「う・そ」
幼馴染「こんの!」ワナワナ
426:
幼馴染友「幼ちゃん顔真っ赤です!顔赤〜い!」
幼馴染友「友ちゃん。これは怒りの赤よ!」
幼馴染友「照れちゃって。素直じゃないよね。このひねくれ者がぁ。」
幼馴染「・・・大体、あいつ好きな子いるし。別に関係ないけど」
幼馴染友「え?そうなの?幼ちゃん以外の娘?」
幼馴染「うん。・・・てか、別にどうでもいいんだけどね?」
幼馴染友「どうでもいいといいつつ、視線は男君と女さんの方へ〜」
幼馴染「ち、ちがうから!目の中の点を追いかけてただけだから!」
幼馴染友「やめてよ、なんかその言い訳怖いから」
幼馴染「ごめん」ショボスーん
427:
女友がA3用紙を黒板に貼っている。高い位置の為、彼女は背伸びして頑張っていた。
幼馴染友「わー!あの絵貼っちゃうんだ!」
幼馴染「ゲぇ?数学教師に似てるわね?」
幼馴染友「ねー?私もそう思ってた。」
ガラガラ
数学教師「授業を始めます」
数学教師は女友が黒板に、必死に何かを貼り付けているのに気が付いた。
数学教師「どれどれ、私が手伝ってあげましょう。この紙を、ここに貼ればいいんだね?」
女友「うげ?は、はい!何か、落し物です!」
数学教師「そうかい。きみは偉いねぇ?・・・よっと、こんな感じかい?うん?」
女友「そろそろー」ヒョコヒョコー
数学教師「わ、私に少しにている。」
そして、時は止まるのであった。
431:
数学授業終わり、休憩時間
幼馴染「なんなのさっきの寒い空気は・・・」ゾクゾク
幼馴染友「・・・うん。ああいうのって、楽しいのは本人達だけなんだよね。」
幼馴染「はぁ、何かドット疲れたわ。次の授業寝るから」
幼馴染友「あー、残念。次の授業はヤンコちゃんです。」
幼馴染「ゲエ!ヤンキー国語教師、略してヤンコー?最悪〜。」グダーン
幼馴染友「寝たらチョーク来るからね」
幼馴染「テンション低い日ならいいんだけどねー」グタグダーン
ガラガラ
国語教師(♀)「授業前にちょっと説教するわ。」
バン!
国語教師は教卓に教科書を叩きつけたぁぁぁ!
幼馴染友「うわぁ、今日MAXきてるね」
432:
生徒あ「そんな事より授業しましょう!」
幼馴染友「・・・うわぁ、生徒あって度胸あるよね」
幼馴染「あー。うん、てかあれは度胸ウンヌンじゃなくない?・・・ほら、何かヤンコちゃん切れてるし」
幼馴染友「てか、ヤンコちゃん数学教師の事好きっぽくない?」
幼馴染「ないないない。どんだけ歳離れてるのよ」
幼馴染友「あ、男君が立ってるよ?」
幼馴染「・・・だから、何なのよ。別に男が立ってようと座ってようと関係ないから」
ガラガラ
数学教師「あ、国語教師さん。どうかしたかい?凄い大きな音がしましたが?」
幼馴染友「あ、噂をすれば」
数学教師「あ、国語教師さん。どうかしたかい?凄い大きな音がしましたが?」
国語教師「え?あ、えーと。擬音の勉強をしてたです・・・」
俯き、頬を赤く染める国語教師の変貌ぶりに、生徒は目を丸くした。
幼馴染友「ほらほらー!見てよ幼ちゃん!顔赤〜い!さっきの幼ちゃんくらいあかくなってるよ!」
幼馴染「私と比べないでよ。・・・でも、本当に赤いわね。好きなのかな?」
幼馴染友「しりたーい!知りたい知りたい!」
433:
数学教師「ふふふ。君は昔から仕事熱心ですね。・・・君達も彼女をあまり困らせないように頼むよ?大事な先生だからね?」
ガラガラ、ビシャーん。
幼馴染友「え?何であんなにおもいっきりドアしめたの?」
幼馴染「さ、さあ?」
特に数学教師はドアを思い切り閉めた訳ではなかった。ただドアの滑りが良かっただけである。
生徒あ「先生!数学教師の事好きなんですか?」
幼馴染・幼馴染友「まさかの豪球ストレート」
バシーン
国語教師、またまたチョークを黒板に叩きつけたぁぁぁ!粉々だぁあ!
国語教師「・・・これが、チョークの割れる音ね?テストには出さないけど・・・」
幼馴染友「・・・好き、なんだね。たぶん。」
幼馴染「う、うん。」
幼馴染友「なんか、ヤンコちゃんて、幼ちゃんに似てるかも、誤魔化し方とか」
幼馴染「わ、私はあんなに過激じゃない!てか、別に誤魔化した事ないし」
幼馴染友「うー、やっぱそっくりかもー!」
440:
社会の授業
社会教師偽「ホンモノは今病院でねてる」
生徒あ「え?」
社会教師偽「彼は階段から転げ落ちた。で、寝てる」
生徒あ「だ、大丈夫なんですか?」
社会教師偽「意識は無いみたいだけど、大丈夫」
生徒あ「あー良かった」
男(大丈夫じゃなくね?)
放課後
男友「男、今日ゲーセン・・・」
男「悪い、今日は無理だ。直ぐに家に帰るから」
男はカバンを持つと、足早に教室を出て行った。
幼馴染(やっぱ、妹ちゃんの事心配してたんだ)
女「あ、男君、ちょいまち!」ガシ
男「え?あ、何?」
女「明日、いこ。・・・その、罰ゲーム」
男「あ、う、うん」
女「怒離医務ランドだから。」
男「怒、怒離ラン?うん。分かった。てか、わりー。今急いでっから、後でメーカーするから、じゃー!」
女「えー?いっしょかえろーと思ったのに・・・」
幼馴染(・・・え?)
男は走った。キャバクラの呼び込み、ティッシュ配り、可愛い子猫。町に溢れるあらゆる誘惑を振り切り、ひたすら彼は走った。
男「い、妹ー!待っててくれ!兄ちゃんが今、助けてやるからな!」
441:
男の家
男「ただいまー!」
妹は迎えに来なかった。
男(妹が迎えに来ない事が、こんなに寂しい事だなんて・・・)
男は靴を脱ぎ捨て、階段を四つん這いで駆け上がり、半狂乱で妹の部屋に飛び込んだ。
男「い、妹ー!」
母「何よ、騒々しいわね。」
男「か、母さん。妹は?無事か?」
母「寝てるわよ」
妹はベッドで安らかな寝息を立てていた。
男「よ、よかったー」
母「ふふふ。妹ね?ずっとうわ言で兄ちゃん、兄ちゃんって。よっぽど好きなのね?」
男「そ、そうか。嬉しいな」
男は母の横に座ると、妹のおでこを撫でた。
男「妹、前は俺の事怖がってただろ?」
母「・・・」
男「いまはさ、懐いてくれて、嬉しい。妹と、仲良くなれて、本当に良かった。」
母「あんたが、成長したからよ?」
母はそういいながら、男の頭を撫でる。
母「私は、とても幸せだわ?こんなに良い子たちに恵まれたんだものね。ありがとね?」
男「・・・母さん。」
妹はとても、幸せな夢を見ているのか、ニッコリと微笑んだ。
母「あ、妹今笑ったわね」
男「あ、本当だ!どんな夢見てんのかな?」
ジイ「・・・いいもんじゃの?家族というものはの」
442:
その日の夕食は特別に妹の部屋で食べる事になった。妹の要望で電気を消し、ロウソクの灯りのみの少し暗いロマンチックな夕食となった。
妹「うわーっ!ワクワクするね!兄ちゃん!」
男「そうだな!早くよくなれよ?」
ベッドに腰掛ける妹に男はお粥を食べさせている。
妹「あーん」
男「はいはい。あーん」
妹「パクっ!おいしー!兄ちゃんが食べさせてくれるから、1000億倍おいしー!」
男「かっわいい事いいやがってこのー!」グリグリ
妹「キャーキャー!」
母「ふふ」
妹「・・・前は、あたしが心配して、今は兄ちゃんに心配されてる。」
男「うん」
妹「あたし心配されてる方が良い!だって心があったかいもん!」
母「ええ。そうやって、皆に心配されて、優しくされて、病気は治る物なのよ?」
母は妹の頭を優しく撫でる。
母「皆に心配されてるんだもの。妹は直ぐによくなるわね?」
妹「うん!」
妹は母に抱きついた。
446:
男の部屋
男「女さんにmailするかな」
《明日、9時に駅集合でいい?》
男「送信っと」ポチッとね
ピリ〜
男「お、早いな」
《うん!超楽しみ》
男「にしても、あの美少女とmailする仲になるとは・・・」
ジイ「・・・ふん。ワシャもう寝るわい」
男(女さんが好きになったのは、このジジイだ。俺じゃない。)
男「・・・明日は言わねーとな。俺が好きなのは・・・」
男(幼馴染、今何してっかな?)
447:
幼馴染家
風呂
幼馴染「あいつ、明日女さんとデートするんだ・・・」
幼馴染は風呂に浸かると独り言を言う癖がある。
幼馴染「何よ!思わせぶりな事言ってさ!信じらんない!」バシャバシャ
幼馴染「私、やっぱりあいつの事・・・」ブクブク
幼馴染は思い出していた。
まだ小さい頃、男と幼馴染はいつも2人で遊んでいた。
おままごとに、ヒーローごっこ、鬼ごっこも2人でやっていた。日が沈むと2人で手を繋いで家に帰る。
たまに喧嘩もして、口を聞かなくなったりもした。
直ぐに寂しくなって、仲直りして、また遊んで・・・
それが、年を重ねるに連れ、お互いに違う友達が出来る様になり、2人きりで遊ぶ事もなくなって行った。
幼馴染(それが、たまに泣きたくなる程寂しい。)
バシャバシャ
幼馴染「あいつは、どーなんだろ?・・・私だけかな?こんな気持ち」
448:
幼馴染部屋
幼馴染(あ、mail。友ちゃんからだ)
《明日、怒離ランいこー?チケットあるからー》
幼馴染(ん?確か、あの馬鹿も明日・・・)ギラーン
ぽちぽちっと
《もちろんいくわ!怒離ちゃんと写メとりたいし!》
ビロリーン
《じゃあ、駅に9時ねー?たっのしっみー》
幼馴染(・・・ふ、不可効力よね》
翌日
駅前
9時
男「・・・」
幼馴染「・・・き、奇遇ねぇ?」
男「お、おう」
男(な、なぜこいつがここに・・・女さんと怒離ラン2人で行くとこ見られたくないんですけど・・・)
ジイ「ふむ、面白くなってきおったわい!」
450:
幼馴染「・・・ね、ねえ。妹ちゃん元気になった?」
男「おう!朝から友達とどっかいっちまったよ。すげー元気」
幼馴染「そうなんだぁ」
男「そうだぜ」
幼馴染・男「・・・」
男(てか、何でこいつここにいるんだよ!・・・ま、まさかどっかの野郎と待ち合わせか?)
男「な、なあ。お前誰かと待ち合わせてんの?」
幼馴染(あれ?もしかして、気になってる感じ?・・・ふーん)
幼馴染「まあねぇ。ちょっと、デ・エ・トに行くわけよ」
男「な!し、知らねーぞ!そんな話」
幼馴染「えー?何であんたにいう必要あるのー?何でー?」ニヤニヤ
男「だ、だって。それは、お前・・・」
男(・・・マジかよ。こいつ彼氏いるのかよ)
幼馴染「楽しみだなあ。デ・エ・ト」
男「お、俺よりそいつは、その面白いのかよ!一緒にいて」
幼馴染「さあね?どーだろー?あんたとは出来ない話も出来ちゃうかもねー」ニヤニヤ
男「く、ぐう。」
453:
男(し、知らなかった。・・・でもそいうや、こいつ何気にモテるんだよな。)ガクリー
幼馴染(落ち込んでる、落ち込んでるー。うふふ、何か楽しい、もうちょっといじめちゃお)
幼馴染「あー、楽しみ!昨日はあの人の事ずっと考えてたのよねぇ」ちらっ
男「・・・そんなに好きなのかよ。そいつの事」
幼馴染「うん。好き。昔からずっと、大好き」
言いながら、幼馴染は恥ずかしくなり俯いた。
男(む、昔からだと?だ、誰だ?ま、まあいい。これから来るんだろ?そのクソボケタコナスビ野郎はぁぁ!)
幼馴染「ねぇ、あんたこそ待ち合わせ何でしょ?」
男「あ。お、おう、まあそうだな」
男(忘れてたー)
幼馴染「・・・女の子?」
男「え?い、いやちがうっつーか。」モジモジ
幼馴染「隠さないでよ。まあ、すぐに分かるけど。」
男「お、お互いにな」
幼馴染「好きなの?その娘」
男「そ、そういう訳じゃ・・・」
女「あー早いね男君!おっはよ!て、あれ?幼馴染さんも?」
男「あ、いやたまたまここにいたっつーか?」あたふた
幼馴染(なに、あわててんのよ!)
幼馴染「おはよ!女さん、これからこの、馬鹿とデート?」
女「残念ながら、デートじゃないんだよね。2人で怒離ランにいくの」
男「そ、そう!デートじゃないんだな。」
女「あー。そうやって、胸張られて否定されると女の子は傷ついちゃうかも・・・」
男「え?あ、いやその?やっぱデートはさ?好き同士でいかないとね?」
女「あー。男君、私の事嫌いなんだぁー」シクシク
男「い、いや。嫌いなわけないじゃん。泣くなって」オドオド
女「うっそー!」あっかんべー
男「な、なんだっつーの!」
幼馴染「・・・み、見せつけてくれるわねぇ?」ワナワナ
461:
幼馴染友「ごめーん。本当ごめーん。寝坊したー。」
幼馴染(た、タイミング悪すぎ!)
男「あれ?なんだ、お前友さんと待ち合わせなのか。」ホッ
幼馴染「そ、そうよ?悪い?」
幼馴染(くぅ。かっこ悪いわ。)
幼馴染友「ん?なんだ、男君と女さんもいるー。何ー?デート?」
女「だーかーら?今回は違うの。ね?男君?」バンバン
言いながら女は男の背中を叩く。
男「お、おう!」
幼馴染友「ふーん?どこ行くのー?」
女「怒離ランだよ?」
幼馴染友「えー!奇遇。私達も怒離ラン今から行くんだよ!」
男「え?そうなの?」
幼馴染友「良ければ皆で行動しない?」
幼馴染(ナイス!ナイスよ友ちゃん!)
女「え?で、でも。幼馴染さんに悪いよぅ。」
幼馴染「え!う、ううん。全然私はいいわよ?ほら、女三人寄ればかしましいっていうし!」
幼馴染友「ねー?楽しいよねー?」
幼馴染友(ふふふ。幼ちゃん、これ最初から知ってたなー?ふふふふ)
女「お、男君はどうだろ?ねー!男君?女三人いると、すんごいうるさいよー?」
男「いや?別にいいんじゃない?人数多い方が楽し・・・て、いたぁ?」
女は自分でも意識せず、自然と男の右膝に蹴りをいれていた。
女「あ、ご、ごめん。男君?蚊がいたの。」
男「え?蚊が?じゃ、じゃあしょうがないな。」
幼馴染友「よーし!じゃ、決まりー!レッツラGO!」
463:
電車の中
ゴドンゴドンー
車掌「えー?次はぁー?怒離ラン前駅の前の駅ー次はぁー?怒離ラン前駅の前の駅ー」
男(俺はいつも思うんだ。車掌にしろ、デパートのお姉さんにしろ、エレベーターガールにしろ、何故普通に放送出来ないんだと。)
幼馴染友「でさー?私も流石に黙ってらんないから言ったのよ。」
幼馴染「うん。何て?」
幼馴染友「そんなにジロジロ見ないで下さい!って」
女「直球だねぇwww」
幼馴染「本当顔に似合わずきっついわね」
男(・・・俺は、人一倍耳がいいから気になっちゃうんだよね。特にこの車掌はまだ慣れてないみたいだから、妙に耳触りなんだよね。)
幼馴染友「・・・って!男君も会話はいろーよ!」
男「・・・あ、うん。」
男(か、ガールズトークって入り込めないんだよな・・・)
幼馴染友「でも、男君。女三人に囲まれてモテモテー」
男「おお!俺モテモテー!」
幼馴染・女「・・・」ギラーン
男(や、何だこの殺気は?)
幼馴染友「あー、一つ聞きたいんだけどー?いい?」
男「いいぜ?何だね?」
幼馴染友「男君、この三人の中で誰が好みなのー?」
ジイ「・・・この娘、策士じゃわい」
男(やっだ。何その質問。・・・こ、ここは曖昧に・・・」
男「いやーこの中には、特にいないなー・・・ウゲ」
女は右フックを男の腹部に入れた。今度は、無意識ではなく、意識しての右フックであった。
女「あ、ごめんね?蚊がいたのwww」
男「お、おう。ありがとうございます」
465:
車掌「えー次はー怒離ラン前駅ー怒離ラン前駅ー」
幼馴染「ふん。あんたに好かれたい娘なんて何処にもいないわよ」
男「まあ、そんな娘いたら土下座してでも付き合いたいね。」
女「あ、はあい!私、男君の事好き!」
幼馴染・男「!」
男「だ、だからー?前も言ったろ?女さんが好きなのは別人格の俺なんだって。」
女「でも、今の君も好きだよ」
男「!!」
男の顔がミルミル赤くなっていく。
幼馴染「ま、またまたー!女さんも冗談きっついんだからー!ほらッ!男もボーッとしない!」バシ
男「な、何だ。冗談かぁ。お、驚かすなよ。このー。」バン
男は女の肩を軽く小突いた。
ギニュー
男「あ、あでででて!」
女はその手をつかみ、捻り上げる。
男「ぎ、ギブギブー!」
女「痴漢撃退法です。痛いでしょwww」
男「い、痛いです。痴漢じゃないし辞めて下さい」
女「ふーん?じゃあ、観覧車2人
で乗りたい?」
男「の、乗りたい乗りたい!女さんと2人で乗りたいです!」
女は男の手を離した。
女「きーまり!そこまで言うなら乗ってあげるね?」
466:
幼馴染友「幼ちゃんさぁ、このままだと、男君、女さんにとられちゃうよー?」ボソボソ
幼馴染「べ、別にいいんじゃない?興味ないわ」ボソボソ
幼馴染友「うそー。嘘ついてる人はっけーん!」ボソボソ
幼馴染「・・・じゃあ、助けてよ」ボソボソ
幼馴染友「ふふふ。素直な幼ちゃんが私は好きだよ」ボソボソ
幼馴染「・・・あ、りがと。」ボソボソ
470:
怒離ラン
休日の怒離医務ランドは賑わっていた。
幼馴染友「ふー。ついたー!先ず何処いこっか?」
女「やっぱり最初はジェットコースターでしょ?」
ジイ「わ、ワシは意識閉じるわい」
男「お、俺も意識閉じてー」ボソ
幼馴染「あんた大丈夫なの?苦手でしょ、こーゆーの」ボソボソ
男「うん。苦手だ。どーしよ、幼馴染ー。」ボソボソ
幼馴染「全く、そーゆー所は全然変わらないんだから。・・・わ、私が隣で手を繋いであげてもいいわよ?」ボッソ
男「え?う、うん。・・・頼む」ボソ
幼馴染「はー。しょうがないなあ。怖いからって、あんまり強く握らないでよね?」
男「ば、分かってるよ」
幼馴染友(ふふふ。幼ちゃんやるー!)
女「ほらー?何してんの?早く行こ?」
471:
ジェットコースターはあまり並んでいなかった。国内最低のジェットコースターには魅力を感じる人が少ないからである。
幼馴染友「最高時50キロ・・・」
女「まあ、この遊園地の売りはユルさだからねぇ?マスコットもひょっとこの仮面したオジサンだし・・・」
男「50キロかよ?ははは!笑っちまうぜ」ガクガク
幼馴染「膝が笑ってるわよ」
女「あ、席順どうしよっか?」
幼馴染友「女さん私の隣ねー?」
女「え?うん。いいけど・・」
幼馴染友「やったー!」
ジェットコースター
幼馴染「・・・」
席に座ると、幼馴染は無言で男に右手を差し出す。
男「あ、ああ」
男(やっべ、けっこう手汗かいてるかも・・・)
ギュ
幼馴染「・・・かしいね」
男「ん?」
幼馴染「ううん?なんでもない」
幼馴染(昔はよく、手を繋いでたよね?こんな風に、懐かしいね?男は覚えてるのかな?)
472:
ゴウンゴウン
ジェットコースターはユックリと発進した。トンネルを出ると、坂道を登り始める。
男「こ、ここが1番緊張するんだよな」
幼馴染「ビビり」
男「うっせいよ」
幼馴染「強がっても、手をしっかり握っているようじゃ格好つかないわね」
ジェットコースターは坂のテッペンまで来ると、一度停止した。
幼馴染「・・・」
男(ん?幼馴染が手を強く握ってきた)
次の瞬間、ジェットコースターは坂道を一気に下る。地面が急に近づき、内臓が浮く感覚。
幼馴染「ひっ!」
男は横目で幼馴染を見る。幼馴染は目を強く閉じていた。
男(お前はいつだってそうだよな?強がりやがって。本当は俺より臆病の癖して。)
男は幼馴染の手をきつく握った。
男(俺は知ってるから。俺の前では強がんなくていいから。)
やがて、ジェットコースターはスピードを緩め、元の位置に停止した。
男(そういう所も、引っくるめて、全部好きだから)
475:
女「あーあぁ。物足りなーい」
幼馴染友「遅かったよねー?」
幼馴染「う、うん。アクビしちゃった」ファー
男「・・・」
ブラブラ歩く4人の前を、ひょっとこの仮面をした。おじさんが通りかかった。
ひょっとこ「写真とるかい?」
女「え?嫌」
ひょっとこ「い、嫌かい。そうかい」
肩を落とすひょっとこは、何故かその場を動かない。
ひょっとこ「怒離ちゃん、もういないんだけどなぁ」ボソ
幼馴染「え!今何て言いました?」
ひょっとこ「ん?あ、聞こえた?怒離ちゃんは経営難で首になったんだよ?」
幼馴染「う、うそ!」ガッビーン
ひょっとこ「だからキャラクターは僕だけなんだ。撮る?」
ピースサインをするひょっとこを4人は通り過ぎる。
ひょっとこ「・・・辞めよっかな」
幼馴染「し・ん・じらんない!怒離ちゃんを首にするなんて!」
幼馴染は携帯を取りだすと、3人に画面を向けた。
幼馴染「怒離ちゃん!可愛いでしょ?」
そこには、幼い幼馴染と兵隊の着ぐるみが写っていた。
男「まあ、ひょっとこよりは、な」
幼馴染「はぁ?何いっちゃってんのよ?めちゃ可愛いじゃん!」
女「う、うん。でも、首になったの結構前だよ?」
幼馴染「うっそ!知らなかった・・・あーあ、ショック」
幼馴染友「まあまあ、そう気を落とさずに。幼ちゃんが次行くとこ決めていいからね?」
476:
仮にもマスコットキャラクターが、経営難とかリアルな話すんなよwww
477:
お化け屋敷
幼馴染「ここ!まだ一回も入った事ないんだ!小さい頃は怖くて入れなかったから!皆で入れば怖くないわ。行こう!」
女「ちょ、ちょっとまって?もしかして、4人で入るつもりなの?」
幼馴染「え?うん。なんで?」
女「2、2で行かない?」
幼馴染友「うん。4人で行ってもつまんないよー?何にも怖くないよー?」
幼馴染「怖くない方がいいじゃん?男はどう思うのよ!」
男「え?そうだなぁ、4人で・・・」
女「え?男君も2、2がいいの?分かったよ。幼馴染友さんは?」
幼馴染友「ごめんね?幼ちゃん。私も2、2がいいと思うのよ」
幼馴染「え?わ、分かったわよ。グループはどうするの?」
幼馴染友「そうね。幼馴染と男君・・・」
女「あ、じゃあ私、男君と行くね?」
幼馴染友(・・・やられたー)
493:
お化け屋敷前
女「じゃあ、まず私と男君からいってくるね?」
男「じゃあ。友さん、幼馴染を頼む。そいつ怖がりだから」
幼馴染「っさいわね!さっさといきなさい!」
女と男はお化け屋敷の中に入って行った。
幼馴染友「・・・女さんと男君。中でイチャイチャするかもー」
幼馴染「・・・」
幼馴染友「女さん、ドサクサに紛れて、チューとかしちゃたりー」
幼馴染「・・・行くわよ!あの馬鹿から女さんを守らないと!」
幼馴染友「そうこなくっちゃ!」
494:
一つ目入道「うおー!」
スタスタ
傘のお化け「呪うぞー!」
スタスタ
塗り壁「・・・」
男・女「・・・」
スタスタ
男「な、何と言うか。怖くないな」
女「うん。このBGMもありきたりだよね。ヒュードロドロ」
男「ま、この分なら幼馴染も大丈夫だろ」
女「もう!今は私と居るんだよ?私の心配してよ」
男「女さんは、しっかりしてるからな。それに引き換え、幼馴染ときたら駄目で駄目でどうしようもないからなー」
男達の少し後ろ
幼馴染「あんのヤロー!」
バキ!
塗り壁「・・・」
幼馴染友「こらえるのよ?幼ちゃん!塗り壁さんを叩いちゃ駄目!」
495:
女「・・・どうしてそう思うの?私だって全然しっかりなんかしてない」
男は必至に皿を数える、お岩さんの前で立ち止まり、適当な数字を言っては、お岩さんを困らして遊んでいる。
男「そう?頭いいし、皆にたよられてるじゃん。しっかりしてるよ」
女「そんなの思い込み!私だって迷うし、馬鹿みたいなことしちゃうもん!」
男「俺さ、女さんの事、ずっと高嶺の花って思ってた」
女「・・・え?」
男「そう、手の届かない人だと、勝手に思い込んでた。でも、実際近づいてみるとさ」
お岩さんをからかうのにあき、男は歩き始めた。
男「花ってよか、ダンシングフラワーだった。」
ジイ「お前なにいっとるの?」
498:
もうスレタイからは想像出来ない内容になってるなwww
500:
女「あ、あは。あはははは!」
突然、女はしゃがみこむと、腹を抱えて笑い始めた。
豆腐小僧「あ、の。お化け屋敷で笑うのだけはやめてください。営業妨害です」
女「ご、ごめん!あー、チョー苦しい!」
男「だ、大丈夫かよ?」
男は、笑い続ける女の背中をさすった。
幼馴染「あ、あのドスケベ!」パリッパリパリ
お岩さん「うわーん」
幼馴染友「幼ちゃん!皿割らないの!」
女「ふ、ふう。だ、大丈夫。」
女は立ち上がると、大きく伸びをした。
女「あー!久しぶりにお腹の底からわらっちゃったよ。」
男「お化け屋敷で笑う女なんて、女ぐらいだっつーの。」
女「あ、今私の事さん付けしなかった!」
男「い、いいだろ別に?ほら、行くぞ!女!」
女「・・・うん!いこ?男!」
幼馴染「・・・」
豆腐小僧「ひ、ひぃぃ」
幼馴染友(幼ちゃん、顔怖い。豆腐小僧君がこわがってるよ?)
503:
座敷童「幸せにしちゃうぞ?」
小さな座敷童が座布団の上に、正座している。
女「あー!見て見て男?この娘チョー可愛いー!」
男「か、かわゆい」
女は座敷童に近づき、ほっぺたをつついた。
ぷにぷにー
女「キャー!ぷにぷにしてるぅ!ぷにぷにぷにぷに」
座敷童「ほっぺたつっつくな!幸せにしちゃうぞ?」
女「やーん?何これ?何この娘?可愛い過ぎるぅ。抱きしめちゃお!」
ギュー
男「お、おい。女、俺にもぷにぷにやらせろ!」
女「えー?駄目!これは私のぷにぷにです!」
男「な、ふざけんな!ぷにぷにさせろ!」
女「だーめ!それ、ぷにぷにぷにぷにー」
座敷童「む、ムギュぅ!」
男「い、いいなー」
519:
女「次いこー!」
男「・・・」
男はその場を動かなかった。座敷童のほっぺたをぷにぷにしたいからである。
座敷童「き、貴様!さっさといけー!絶対ほっぺた触るな!ぷにぷにするな!絶対だぞ!」
手足をバタつかせながら、必至に訴える姿に、男も心を打たれた。
男「・・・わかった。ぷにぷには、諦めるさ」
男は座敷童に背を向けた。
座敷童「ほぅ。分かってくれたか?感謝するぞ!」
男「ぷにぷには、しない。だが・・・」
男は即座に振り返り、座敷童のほっぺたを両手で挟み、優しく潰す。
ブニョー
座敷童「ひゃ、ひゃめほー!」
ブニョー、ブニョー
男「あー癒される。」
ブニョーブニョー
男「あー、タコみたいだー」
座敷童「ひ、ひあわへにひへはる!」
呪いの言葉を知らない座敷童であった。
520:
幼馴染友「何か、あの2人デートっぽいねー?」
幼馴染「・・・ふん!浮かれちゃって馬鹿みたいなんだから!」
幼馴染友「あー?座敷童ちゃん。こんにちわー」
座敷童「う、うむ。ほっぺた触るなよ?」
幼馴染友「えー?触らないよ?」
座敷童「本当か?ほぅ。」
幼馴染友「ふふふ。かーわいーね?幼ちゃん?」
ぷにぷにぷにぷに
幼馴染「・・・ぷにぷにぷに」
座敷童「ひゃ、ひゃめほー!ひあわへにふるほ!」
幼馴染友「やめなさい!」
521:
女「遅い〜。」
男「悪い悪い。ちょっと立て込んでた」
女「あーあ。もうそろそろお化け屋敷出口だよ。」
男「最後まで緩かったな」
女「出口なんてなきゃいいのにね?」
男「なきゃ出られないだろ?」
女「ずぅっと、男と2人っきりでいられるじゃん」
真意を図りかねて、男は隣りを歩く女の横顔を覗き見た。
女は笑っている。楽しそうに、そして、何処か寂しそうに。
男「俺の事が、好きってのは本当かよ」
女「うん」
男「・・・」
男は何も言えなかった。二人とも黙ったままお化け屋敷の出口を出た。
522:
幼馴染「何、話してんのかしら」
幼馴染友「あー?気になるんだー?妬いてる?もしかして、妬いちゃってますかー?」
幼馴染「や、妬いてない!」
幼馴染友「ふーん?でも、何かさっきと比べると雰囲気暗くないかな?」
幼馴染「・・・そうね」
幼馴染達もお化け屋敷を出た。
女「あれ?早いねぇ?」
幼馴染「う、うん。すいてたから」
女「ふーん?ね?次行くとこは、私決めていい?」
幼馴染友「いいよ。さっきは幼ちゃんが決めたし」
女「じゃあねぇ。観覧車!」
ジイ「男よ。少し相談があるんじゃが・・・」
男「・・・何だよ」ボソ
ジイ「ゴニョリゴニョリ」
男「・・・ああ。わかった」
524:
観覧車前
女「じゃあ、私と男で先にゴンドラに乗るね」
幼馴染「な!そ、それはまずくない?わ、若い男女がそんな密室になんて。だいたい、この馬鹿はスケベよ?危険だわ!」
女「大丈夫だよ。男をもっと信用してあげて?」
幼馴染「そ、そういう問題じゃ・・・」
男「約束したんだ。女と2人で乗るってな。ほら、行くぞ。女」
女「う、うん!」
2人はゴンドラに乗り込んだ。
幼馴染「・・・男」
幼馴染友「げ、元気だそー?ほ、ほら、ひょっとこが鳩の群れに襲われてるよ!」
ひょっとこ「はっぎゃぁぁぁあ!」
幼馴染「・・・」
幼馴染友「・・・私達も乗ろ?」
529:
なんかマジでジイが書いてるように思えてくる不思議
546:
ゴンドラ内
女「・・・」
男「・・・」
女は無言で窓の外の景色を眺めていた。
男「女に言わなきゃならない事がある。」
女「・・・」
男「こっちを向いて欲しい。君の目を見て話したいから」
女はゆっくりと顔を男に向けた。
男「俺の事を好きになってくれて、ありがとう。気持ちをきちんと伝えてくれてありがとう。」
女「・・・」
男「でも、君の気持ちに答える事が出来ない。俺には好きな人がいるから」
男は女の目を見て話した。
男は謝らない。ここで、謝るなど三流の男がする事だと、謝れば幼馴染に対する気持ちが少し薄くなる、幼馴染に告白する時に真っ直ぐ気持ちを伝えられない。そして、何より女に対して失礼だと、
そう男は考えていた。
女「・・・幼馴染さんでしょ?」
男「ああ」
女「知ってたよ。知ってて男を好きになって、私の事を好きになって貰いたくなっちゃって・・・」
男「ああ」
女「ふふふ。でも、男は変わらないね?少しもぶれないもん。ずーと幼馴染さんの事が好きなんだもん」
男「・・・」
女「私も、私を一途に思ってくれる人に、会えるかな?」
男「会えるさ。お前は、とても良い女だからな?」
女「ふふふ。ありがとう」
女は、涙を流さない。
これは、負けたわけでも、嫌われたわけでも無いと理解していた。
強がりでもなく、女は微笑んだ。
いつのまにか、2人は自然と笑いあっていた。
553:
男「所で、全く話が変わるけど、少し寝ていいか?」
途端に女の眉間にシワがよる。女心と秋の空と言うが、それとは少しニュアンスが違う。
女「ふ、ふふふ。」
男「あれ?だめか?」
女「い、いいわけないじゃん!」
ズギャーン
女の正拳突きは正確に男のみぞおちをついた。
男「ぐ、ぐう。」
女「ねんなー!」
男「く、苦しんでるだけです」
555:
しばらく、悶絶していた男は苦しみから開放されると、口を開いた
男「いや、眠いとかじゃなくてな?・・・構えないでください。・・・拳を下ろしてください」
女「・・・次はないからね?」
男「あ、うん。ちょっと女に合わせたい人がいるんだ。」
女「私に?誰だろ?」
男「君も会った事があるあるはずなんだ。俺の中のもう一つの人格だよ」
女「うーん?わかんないな」
男「そいつが、君に会いたいって言うんだよ。会ってほしい」
女「ふーん?いいよ?何処で?」
男「今ここで。そいつは俺の意識が無い時にしか、表に出てこれないらしいんだ。だから、ねていいか?」
女「何となくわかったよ。始めからそういえば、いいのに」
男「悪い、じゃ、寝る」
ぐうぐう
女「寝るのはや!」
558:
ぐうぐう
女「・・・」
ぷうぷう
女「・・・」イラ
ぐうぐうぐうぐうぐうぐう
ズギャーン
女は男の脳天にチョップを入れた。
男「あいたぁ!」
女「いつまでも寝てるからだよ?」
男「おんやまぁ?こりゃあ、久しぶりだわいのう!元気そうでなによりじゃわい!」
女「え?ど、どうしたの?打ち所悪かったかな?」
男「女さんや、久方ぶりじゃ。といってもあんたにゃあ何の事やらサッパリパリパリパリッパリじゃろかの?」
女「んー?この安心感は、覚えが・・・」
574:
男「男の口から何度か耳にしとるじゃろ?ワシは男の別人格じゃわい」
女「うん、言ってたね」
ピカリーン
女の脳に電流が走る。
女「は!そういえば、突然男と仲良くなった時も何か妙に安心感があったかも。」
男「ふむ。実はな?ワシは105歳のジジイなんじゃよ。今はこの男に取り憑いとるようなもんじゃ」
女「ひゃ、105歳?すっごい長生きだねぇ?あ、でも今は死んでるの?」
男「ふむ。まあのう。・・・孤独な死に様じゃったわい」
女「・・・そんな」
男「お、おお。すまんすまん、ワシの話はワシの隣の座席に置いとくわい。」
よっこらしょと、男は荷物を座席に降ろす動作をする。
女「あーやっぱ普段の男と違うかも」
男「あったりまえだのクラッカーじゃわい!あんな青二才とくらべるでないわい」
577:
男「そんな事はどうでもいいんじゃわ。今はの、女さんや。あんたのことじゃろて。」
女「え?な、なんだろ?」
男「子供の癖に強がりおって。ワシは見ての通りのヨボヨボジジイじゃが、人の気持ちは一人前に分かるつもりじゃわい」
どうみても中学生にしか見えないが、妙な迫力に女は気圧された。
男「ワシみたく年を取るとの?身体が干からびて、汗も涙も流れんのじゃて。」
女「わ、私は!別になんともないもん!」
男「男は今意識はない。それに観覧車はまだ半分の所じゃ。安心して、今は泣きなさい」
女「だ、だからぁ!別になんとも・・・なんともない。・・・なんともないんだから・・・」
一言言葉を発する度に、一粒女の目から涙が零れた。
女「・・・初めて人を好きになったのに。本当に好きになったのに」
女は、心の中に抑えていた言葉をジジイに向かって吐き出していた。
男「ふむ」
女「辛いよぉ。悲しいよぉ」
男「そうじゃのう」
ジジイは泣きじゃくる女の頭を優しく撫でながら、静かに話を聞いていた。
女「えーん。えーん」
男「まるで、子供じゃの?今はただ泣きなさい。ワシの好きな歌にもある。男は酒、女は涙じゃ」
579:
男「ふむ。泣けるうちに泣くのじゃよ?大人になれば、泣きたくとも泣けなくなるからの?」
女「えーん。えーん」
女は思い出していた。
大好きだったおじいちゃんの事を。
夏休みにはおじいちゃんの家に遊びにいって、山や、海につれていって貰っていた。
いつも遊び疲れて帰りには寝てしまい、おじいちゃんにおんぶして貰い家まで帰っていた。
おじいちゃんの背中は、暖かく、とても良い匂いがしたのを覚えている。
おじいちゃんは、5年前に亡くなった。
女「おじいちゃん。おじいちゃーん」
男「どうした?ここにおるよ?」
女は泣きつかれたのか、寝てしまった。
女は、おじいちゃんの背中に揺られる夢をみていた。幸せな夢だった。
男「ふふふ。まだまだ子供じゃの?無邪気な寝顔じゃ」
583:
幼馴染友「わぁ!見て見てー?おっきな鳥だよー?」
幼馴染「そうね。」
幼馴染友「あー?ひょっとこと記念撮影してるカップルがいるよ?面白いねー?」
幼馴染「そういうの世間じゃバカップルていうのよ?湘南の風がいってたわ」
幼馴染友「そ、そうだねー?バカップル、面白いねー?」
幼馴染「つまんないわよ」
幼馴染友「・・・もう!幼ちゃん、好い加減に機嫌なおしてよー」
幼馴染「・・・ごめん。友ちゃんに当たっても仕方ないよね」
幼馴染友「幼ちゃんは自分の非を直ぐに認めるから好きー」
ガバっ!
幼馴染「友ちゃん、抱きつかないでよ。あー、あいつら今ごろなにしてんのかしら?」
幼馴染友「チューとか?」
幼馴染「・・・」ワナワナ
幼馴染友「じょ、冗談だからね?」
585:
男「ほれ?起きなさい。もう観覧車は一周したぞい。」
女「んあ。うん。」
ゴシゴシ
女は目をこすり、大きなアクビをした。
女「おじいちゃんの夢みた。」
男「そうかい」
女「優しいおじいちゃんだったよ」
男「ふむ。亡くなられたのかい?」
女「うん。・・・あー、また泣けてきたー。」
男「おじいさんは、女さんの心の中にまだ生きとるのじゃのう」
女「何それ、くっさーい!・・・でも、そうだよね」
男「ふむ。さて、幼馴染達をまつとするかいのう!」
女「・・・てか、いつまでおじいちゃんなの?」
593:
幼馴染友「あ!あの2人仲良さそうに話てるー!カップルっぽーい!」
幼馴染「あ、あんたはどっちの味方なのかしら」ワナワナ
幼馴染達のゴンドラも出口についた。
男「やあやあ。どうじゃった?えぇ景色じゃったのぅ?遠くに富士の山が顔を出しとったわい!」
幼馴染友「やだ。どうしたの?」
幼馴染(お、おじいさんになってる)
男「おんやまぁ?はじめましてじゃのう。友さんや。」
幼馴染友「男君て、こんなキャラだったっけ?」ボソ
幼馴染「う、うん」
男「さってと、ソロソロお天道様も眠そうじゃわい。最後の遊具場は何処がええかのう?」
女「最後は男が、決めていいよ?いいよね?」
幼馴染「いいわよ」
幼馴染友(メリーゴーランド・・・メリーゴーランド・・・メリーゴーランド・・・)
604:
男「そうじゃの。馬にでもいくかの?」
幼馴染「う、馬?」
女「競馬の事?」
幼馴染友「メ、メリーゴーランド!」
男「ふむ。そうそう、めりけんなんたらじゃ。ほれ、行こうかの?」
メリーゴーランド前
男「ワシはこのベンチに座って見てるから、君達は馬に乗ってきなさいな。」
幼馴染友「やったー!幼ちゃん、女さん。早く早くー!」
幼馴染「私も男とベンチで待ってるわ。か、観覧車でよっちゃったから」
女「・・・そっか。友さん、ちょっと先にいってて?」
幼馴染友「うん。早くきてよね?」
女は幼馴染に近づいた。
女「幼馴染さん。男の事、好き?」
幼馴染「え?な、何よ突然?」
女「お願い、答えて?男の事、好き?」
女の真剣な眼差しに、幼馴染も何かを感じ取った。
真剣な相手には、自分も真剣に答える。それは、幼馴染の信念でもあった。
幼馴染「す、好きだよ。私は男が好きだよ」
その言葉を聞いた女は、安心したように微笑んだ。
女「そっか。がんばれ!絶対気持ちを伝えるんだ!」
幼馴染「え?何よ、へ、変なんだから!」
女「・・・ねえ。私達、親友になれるかな?」
幼馴染「・・・うん。私、女さんともっと仲良く成りたい」
女「ふふふ。これからも、一緒に遊ぼうね?」
幼馴染「うん!」
女は幼馴染友の方へかけていった。
606:
男「どっこらせっと!ふぃー疲れたのう」
男はベンチに座った。座る時に掛け声をあげるようになったら、ジジイである。
幼馴染「・・・」
男「あれま?幼馴染やい、お馬さんにのるんじゃないのかえ?」
幼馴染「隣、座る」
ポスん
男「ふむ。オデブじゃの?以前もこんな事があったわい。歴史は繰り返すのう」
幼馴染「それをいうなら、デジャヴ。ねえ。今は、おじいさんなの?男の意識はないの?」
男「ふむ。本来の男は今、寝とる」
幼馴染「・・・そっか。」
男「なんじゃ、がっかりしおって、ワシショック」ガビーん
614:
幼馴染「あーあ。やっぱりいつもタイミング悪いんだ」
男「なにがじゃ?」
幼馴染「別にー?それよりさ、おじいさんの事教えてよ」
男「ワシの事かい?ちっとも面白くないがの?」
幼馴染「聞かせてよ。100年も生きてるなんて凄いじゃない。」
男「ふむ。正確には105年じゃが、まあよいわ。」
本来5年は長いがジジイにとっては5年も5日もたいした差はないはずである。しかし、何故かジジイは拘る。それは、長生きした人間にしか分からない一種のプライドであった。
男「ふむ。では話そうかの・・・ワシの若い頃の話でも・・・」
615:
男「あれは、ワシがまだ20代の頃じゃ。1番頭が悪かった時期の事じゃわい・・・」
回想モード突入!
(とばしてくれて構わんわい。)
歌舞伎町
若いジイ「せ、先輩!本当に大丈夫なんですか?お、俺こんな所来たの初めてなんですけど」
先輩「何事も経験だ!心配すんな!俺についてこーい!」ドーン
若いジイ(だ、だから心配なんだっつーの!)
若いジイと、会社の上司である先輩は、その日、日本一の歓楽街、歌舞伎町に繰り出していた。
先輩「おお!これが1番街か!キラキラしてやがる」
深夜をとっくに過ぎており、勧誘も少ない。
若いジイ「てか、今から何処行く気ですか?」
先輩「のんでー、のんでー、のまれてーっと」
若いジイ「何すかその歌は、だっせぇ!」
黒服「おにいさん!どうすか?この後、お飲みの方は?安くしますよ?」
先輩「あー、もうちょい見て回るわ」
若いジイ(げぇ!この時間でも勧誘とかあんのかよ!こえー!)
先輩は、その後も数人の黒服による勧誘をことごとく拒否していた。
現在
男「今、おもえば先輩も怖かったのじゃろな」
回想モード
若いジイ「せんぱーい。もう疲れたっす。・・・て?あれ、先輩?」
何時の間にか隣を歩いていたはずの先輩の姿がない。不思議に思い、若いジイは後ろを振り返った。
黒人「OK?ヤスクシトクヨ?」
先輩「あはーん?オーライ?OK?」
若いジイは茫然とした。何故か先輩はガタイの良い黒人と肩を組んで話し込んでいたのである。
616:
先輩「おお!若いジイよ!1時間3000円で飲み放題だってよ!いくぞ!」
黒人「ヘイボーイ?レッツゴー!」
若いジイ「し、死亡フラグじゃないすか?」
先輩と黒人に連れられ、若いジイはビルの2階のドアに入るのであった。
中はひろく、天井にはミラージュボールが輝いている。
暗い店内には、酔っぱらいが数人クダをまいていた。
黒人「カワイイジャパンノオナノコツケテヤルヨ」
先輩「OK!タノンダゼ?」
若いジイ「・・・」ドキドキ
若いジイと、先輩は壁に沿って設置されているソファーに腰掛けた。
先輩「なんだ?こういうとこ始めてか?」
若いジイ「ま、まあ」
618:
サナエ「ハジメマシテ、サナエヨ」
若いジイ「ど、どうも」
何処から声がしたのか、若いジイは初め分からなかった。暗い店内の中で、黒い塊から声がしたのである。
サナエ「トナリスワルヨ」
ポスん
若いジイ「!」
隣に座ったのは、若い女であった。
若いジイ「き、君、日本人?」
サナエ「ソウヨ。サバンナウマレノニホンジンヨ」
若いジイ「は、はは。」
若いジイ(ウソこけ!明らかに現地の人じゃねーか!)
若いジイはウイスキーを一気に飲んだ。
隣を見ると、先輩は陽気に外国の女の子と話している。
サナエ「ワタシモノンデイイ?」
若いジイ「いいよ?乾杯しよーぜ!」
サナエ「OK!」
カチャーん
若いジイ「ふふふ。サナエはサバンナが恋しいのかい?」
サナエ「ウン。キョウダイタクサンイル。カエリタイトオモウヨ」
若いジイは、話しているうちに、サナエの事を好きになっていた。
若いジイ「帰ればいいじゃないか?」
サナエ「オカネナイヨ。50万クライヒツヨウダカラ」
若いジイ(50万か、何とかなるかもな)
619:
若いジイ「俺が連れてってやるよ!」
サナエ「エ!ホントカ?」
若いジイ「ああ、お前とライオンを追いかけたくなって来た」
サナエ「ウレシイヨ。ソンナコトイッテクレタヒトアナタダケ・・・」ブチュ
若いジイは、サナエとの将来を思い描いていた。沢山の子供と共に、狩をする日々。
若いジイ(いいじゃねーか。最高だ)
サナエ「モウイッパイノミタイ」
若いジイ「おうよ!俺とサナエの将来に乾杯だー!」
その後も、若いジイは何杯もサナエにおかわりをさせた。
622:
若いジイは、サナエと手を繋ぎ、将来に関しての話で盛り上がった。
黒人「ジカンデース」
若いジイ「え?あー先輩どうする?」
先輩は外国の女の子とディープなKissをしていた。
若いジイ「・・・延長で」
それからも、若いジイとサナエは途切れなく、話続けた。
若いジイ「俺はお前と出会う為に生まれて来たのかもしれねーな」
サナエ「ミートゥー」
若いジイ「サナエ・・・」
サナエ「オキャクサン・・・」
二人は誓いのKissを交わしたのだった。
627:
黒人「ヘイボーイ?ラストタイムダ。」
若いジイ「え、延長!」
黒人「ダメダメ!ゲッラウト!」
若いジイ「そ、そんな・・・サナエ、ソーリーだ。でも、電話するからな?」
サナエ「OK!マッテルヨ」ブチュー
若いジイ(く、サナエ。悲しいけど今はさよならだ)
若いジイ「ほら!先輩もかえりますよ!」
先輩「お、そうだな!じゃな、マリ」ブチュ
マリ「グッバイ、アイシテルヨ」
先輩と若いジイは、黒人から貰った請求金額をみて、目ん玉飛び出た。
若いジイ・先輩「じゅ、十五万円!!!」
黒人「イエス!」
カランカラン
若いジイ「・・・」
先輩「・・・」
外はすでに明るかった。二人は店の前のゴミ捨て場に座り込み、心を落ち着かせていた。
先輩「あ、ネズミの死骸」
目の前に、ドブネズミの死骸があった。
若いジイ「怖い街ですね。歌舞伎町って」
先輩「・・・ああ。怖い街さ」
通行人に嘲笑され、最低な朝を迎えた、そんな遠い日の話であった。
629:
男「・・・ど、どうじゃった?」ドキドキ
幼馴染「・・・」ワナワナ
男「ええ話じゃろ?」
幼馴染「どこがじゃぁぁぉあ!105年の人生の中で、あえてそれかぁぁぉあ!」
男「ど、どうしたのじゃ?」
幼馴染「無駄に長い上に、下世話過ぎるし、女の子に話す内容じゃないわぁぁぁぁあ!」
男「ご、ごみんね?」テヘ
637:
男「お詫びにもう一つ、話しちゃうかね」
幼馴染「下らない話だったら冥土行きだから」
男「め、冥土行き。・・・ワシと男の関係について、まだ話し取らんかったな」
幼馴染「え?赤の他人じゃないの?」
男「ふふふ。こんな話を聞いた事があるかいの?一秒後に右手を上げる世界と左手を上げる世界がある」
幼馴染「何の事?」
男「未来はの?行動一つ違うだけで変わるんじゃ。それこそ無限にの?それらの世界は並行世界として同時に存在しとる」
幼馴染「は、はあ?」
男「ワシはの?男が全ての行動を間違えてしもうた世界の成れの果てなんじゃよ」
幼馴染「・・・」
男「男を正しい未来に導きたくて来たのかもしれんの?そして、すでにワシとは、まるで違う人生を歩んどる」
638:
男「男を正しい未来に導きたくて来たのかもしれんの?そして、すでにワシとは、まるで違う人生を歩んどる」
メリーゴーランドから手をふる女と幼馴染友に男は手をふる。
男「歴史は繰り返す。じゃがの?正しく導くものがおれば、間違った歴史は繰り返さない。ワシは男をワシの様に孤独な死を迎えさせとうない」
男はため息をついた。
幼馴染「・・・そんな事ないわよ!おじいさんが、男の成れの果て?ばっかみたい!おじいさんみたいな、優しくて思いやりがあって、面白い人が成れの果てのわけが無い!」
男「・・・」
幼馴染「おじいさんの人生は、最高だった!私が保証するんだから!成れの果てとかいうな!」
男「ふふふ。良い子じゃな?頭を撫でさせておくれな?」
幼馴染「な、成れの果てとか、いうな・・・」
男「人のために涙を流せる。君はとても優しい人じゃ。その心を、どうか忘れんでおくれ?」
639:
男「ありがとうのう。ワシの人生を認めてくれて」
幼馴染「・・・」グスグス
男「ふふふ。今日は涙の日じゃな?二人の女性を泣かしてもうた。悪いジジイじゃわい」
幼馴染「・・・お汁粉飲みたい」
男「ふふふ。そうじゃな、ほれ、これで買って来なさいな」
男は1000円を幼馴染に渡した。幼馴染は自動販売機にかけていった。
男「ワシのも買っておくれー!」
643:
男「ふふふ。全く今日は涙の日じゃわい。すっかり枯れたもんじゃと思うとったのじゃが」
男はハンカチを取り出し、まぶたを押さえた。
幼馴染「はい」
幼馴染はお汁粉をジジイに渡した。
男「おお、ありがとうの」
幼馴染「前と逆だね。私がおじいさんを慰めてる」
男「ふーむ。情けないのー。男には言わんでおくれな?」
カシュ
2人は一緒にお汁粉を一口飲む。
幼馴染「やっぱ甘ったるい」
男「そうかの?・・・幼馴染さんや」
幼馴染「んん?」
男「男をどうか、よろしく頼みます。」
105才のジジイは、15才の子供に頭を下げるのであった。
646:
カラン
カラカラカラ
男の手からお汁粉の缶が地面に落ちた。
男「あれま、手に力が入らんわい」
幼馴染「ちょ、ちょっとしっかりしてよ」
男「ふぅ。幼馴染さんや、妹に言っといて欲しい言葉があるんじゃ、伝えてくれるかい?」
幼馴染「じ、自分で言いなさいよ!」
男「好きな人ができたら、迷わず兄ちゃんに相談しろ、と言ってくれんか?ワシは妹の話を聞かない駄目な兄じゃったが男は違うからのう」
幼馴染「だ、だから・・・」
男「あと、男にも伝えて欲しい。人を大事にしろ!と。」
幼馴染「そんなの!そんなの、自分の口で言いなさいよ!105才の大人が、こんな子供に頼むんじゃないわよ!」
男「・・・すまんの?」
男はベンチに倒れこんだ。
男「・・・ラストタイムダ」
幼馴染「ふ、ふざけんなー!」
647:
(´;ω;`)うっ…
649:
まじかよ、、、
652:
女「結局5回ものっちゃったぁ!あの2人もくればよかったのにねぇ?」
幼馴染友「ねー?」
2人はメリーゴーランドから離れると、ベンチに向かった。
女・幼馴染友「え!」
2人はベンチに横たわる男と、泣き叫ぶ幼馴染に気づき、駆け出した。
女「どうしたの!」
幼馴染「う、うう」
幼馴染友「泣いてちゃわかんないよ?どうしたの?」
幼馴染「おじいさんが、おじいさんが・・・」
女「・・・とにかく、人を呼ぼう。私、呼んで来るから」
やがて、女はひょっとこを連れて来ると、男は直ぐに救急車で病院にはこばれた。
病院
母「・・・じゃあ。大丈夫なのですね?」
医者「ええ。身体には何の異常も見られませんね」
母「そうですか」
医者「すぐに退院できますよ。安心して下さい」
母「ありがとうございます」
病室
男は目を覚ましていた。
病室には、幼馴染と妹がいた。
男「・・・」
幼馴染「おじいさん、貴方に人を大事にしろ!って。」
男「成仏したか。糞ジジイ」
幼馴染「そ、そんな言い方・・・」
男「悪い。今は1人にしてくれ・・・」
幼馴染「・・・妹ちゃん?ちょっとお外いこうね?」
妹「うん!兄ちゃん、またあとでね?」
ガラガラ
男「・・・いきなり現れて、いきなり消えんのかよ。勝手なジジイだぜ。全くよ」
ジジイの声は聞こえない。
男「はー!清々したぜ!うざったかったしなぁ!」
男「・・・礼ぐらい、いわせろよ」
653:
ガラガラ
幼馴染「あ、今良い?」
男「・・・妹は?」
幼馴染「小母様と帰ったわ」
幼馴染は、ベッド横の椅子に座った。
幼馴染「妹ちゃんに、伝えてきたよ?おじいさんの言葉」
男「ふーん?」
幼馴染「・・・こうやって、2人で話すの久しぶりだね?」
男「まーな。」
幼馴染「あーあ。昔に戻りたいな。そしたら、男と2人でずっと遊んでられるのに」
男「俺は戻りたいなんて思わねえけどな」
幼馴染「そ、そっか。」
男「今、楽しいしな」
幼馴染「そ、うだよね。楽しいよね」
幼馴染は、胸が苦しくて俯いた。今は、楽しい、それは幼馴染も同感である。
でも、何故か心がざわつく。
男「幼馴染、まだ帰らねーの?」
幼馴染「あ、うん。もう帰る」
いたたまれなくなって、幼馴染は立ち上がる。
男に手を降ると、病室のドアを開けた。
男「ちょっとまてよ」
幼馴染「何よ?」
男「昔には、戻りたくねーし、戻れないけど。お前と同じ未来を進みたい」
幼馴染「は、はぁ?」
男「好きなんだ。お前が、昔から、今でもずっと。」
654:
男は突然病室が冷え込んだように感じた。時計の針音だけが、静かな病室に響く。全身から汗が吹き出ていた。
永遠の様な時間、2人は無言で見つめあった。
幼馴染「なーんだ。私と同じじゃない」
幼馴染が微笑むと、冷たい病室に暖かな空気が戻り始めた。
男「よ、よかったぁぁ!何も言わねーから、すっげえ焦ったぁぁ!」
幼馴染「ばーか!」
ジイ「よかったの」
男「て!ジジイいたのかよ!」
ジイ「お前の身体を動かすのは、ワシの意識じゃちょい無理があるようじゃ」
男「そ、そうかよ」
幼馴染「え?おじいさん、いるんだ!」
男「ああ、相変わらずうっせえよ。」
ジイ「うっせえとは何事じゃわい!」
幼馴染「よかった、本当に」
それから、
長い月日が流れた
655:
男「思い残す事はなにもない」
無数の管に繋がれ、やせ細った爺さんのベッドの周りには沢山の人に囲まれていた。
医者「ええ。貴方は素晴らしい人生を歩まれた」
孫1「死んじゃやだよー」
孫2「ベホマ!ベホマー!」
妹「お兄さん・・・」
妹の夫「く、うわぁぁあん!」
男「ふふふ。これ、妹の夫よ、しっかりせんか!妹をたのんだぞい?」
妹の夫「は、はい!頑張りま・・・う、うわぁぁぁぁん!」
幼馴染「ねえ、貴方。とっても幸せだったわよ?」
男「ふむ。最高の人生だったのぅ」
幼馴染「・・・私をおいていかないでよ」
男「ふふふ。ちょいと先にいっとるわい」
幼馴染「・・・バカ!」
男「ふぅ、所でジジイよ」
ジイ「なんぞ、いうたかい?男よ」
男「あんた、今何歳じゃ?」
ジイ「ワシャ、195歳じゃ」
男「バケモンのぅ」
ジイ「うるさいわい」
ピー
医者「10時10分ご臨終です」
終了
657:
乙・・・なのか?
実にいいエンドだった
658:
>>657
ありがとう。
とりあえず、完結じゃぁぁぁ!
659:
おつ!
いい作品だった
660:
これは良スレであった!
662:
毎日めっちゃ楽しみにしてたぞ!
終わっちゃったのは残念だけど
いい作品だった!
お疲れ様!
676:
本当に良スレだった!!1ヶ月読んで来たけど小説化したら絶対買う
677:
小説化になったらもっと詳しく書かれるのか・・・
絶対買うなw
684:
じじい乙!
おれも明日から頑張るわ!
686:
ジジイ、乙!!
とても楽しかった!!!
女のその後が気になる…
694:
乙!番外編に期待
695:
スレ埋め
時は似顔絵事件の翌週まで遡る
職員室
国語教師「ふぅー」
昼休み、国語教師は職員室で弁当箱を広げていた。彼女は、その過激な行動、言動からヤンコと生徒に呼ばれている。
音楽教師「何溜息ついてんの?らしくないわね?」
音楽教師はコーヒー片手に、ヤンコのデスクに腰掛けた。
ヤンコ「私にだって、悩みはあるのよ。しっし!」
音子「あらあら。随分酷いじゃない?ふーん、でも」
音子はヤンコの弁当箱から卵焼きをつまみ食いした。
音子「恋の悩みならきいてあげるわよ?」
ヤンコ「勝ってに食べんな!けっ!フェロモンムンムン音楽馬鹿女にだーれが相談するかっての!」
音子「はぁ。あんた美人何だからもっと女らしくしないと婚期逃すからね?」
ヤンコ「自分だって、彼氏も居ないくせによくいうね!しっし!」
音子「ざーんねん!この前の合コンでできました」
ヤンコ「く!」
ヤンコと音子は無二の親友だったりする。
ヤンコはこうみえて、純情な文系女でもある。
696:
数学教師は悩んでいた。
この前の授業で黒板に張り出された、アフロ頭の自分の似顔絵。
数学教師(数値化できない、良さがありました)
彼は典型的な理系人間である。
数学教師(少し冒険してみますかね。0が1になるかも知れない)
理系人間というより、理解できない人間ともいう。
697:
ヤンコ「モグモグ」
音子「ヒョイパク」
ヤンコ「おい!」
音子「ん?パクパク」
ヤンコ「こんの!泥棒猫があ!」
音子「それ使い方間違ってない?」
音子とは、男の事ではない。音楽教師の事である。
音子「それよりさぁ。あれあれ」
音子は反対側に座る、数学教師を指さす。
音子「モグモグ食べてるー!可愛いー」
ヤンコ「・・・」
音子「小動物っぽくない?」
ヤンコ「は?何処が?小動物ってより、ライオンの様な勇ましさがあるわよ」
音子「でたー!乙女フィルター発動!」
ヤンコ「・・・そんなこと言うと、もうお弁当あげない」
音子「ごめーん」
職員室で女子高生の様な会話をする2人であった。
698:
数学教師は、おでこか広い。大分広い。そして、彼は童顔である。
からかわれやすい容姿とは、彼のことだろう。
しかし、何を言われても彼はまるで気にしない。いつも、ニコニコしている。
数学教師(あ、このゆでたまご、茹でるの忘れてた)
そして、少し天然である。
そんな所が生徒に親しまれている。
数学授業
数学教師「はい、ではこの問題、生徒あさん。答えて下さい」
生徒あ「アウストラロピテクスです」
数学教師「今は、数学の授業ですよ?」
山田「生徒あ、馬鹿でー!授業間違いとかありえねえー」
数学教師「では、山田さん。答えて下さい。」
山田「8です!」ドヤドヤァ
数学教師「違います」
699:
廊下
ヤンコ「あ・・・」
数学教師「おや。国語さん。こんにちわ」
ヤンコ「こ、こんにちわ。良い天気ですね。」
数学教師「雨が降ってますよ」
ヤンコ「い、良い天気の雨だなぁーって」
数学教師「ほー?流石は国語教師ですね。表現力が、私の5倍はある。」
ヤンコ「あ、ありがとうございます!」
数学教師「はい。では・・・」
ヤンコ(ほ、褒められたー!)
数学教師(良い天気の雨・・・ことわざですかね?あとで調べますか・・・)
何だかんだ、お似合いの2人、なのかもしれない。
701:
スーパー「バッドマン」
ヤンコ(あー。嬉しー!今日、数学さんと会話しちゃった!しかも、褒められた!)
上機嫌な、ヤンコである。こういう時は無駄な物を買ってしまうものだ。
ヤンコ「とりあえず、今晩のご飯は・・・あ、アンパンマングミ!これ、美味いんだよなー!お!ネルネルネールネ!ヨッちゃんイカ!キャベツ太郎!もろこし太郎!ラーメンババア!かわりん棒まである・・・」
童心に帰る、ヤンコであった。
702:
数学教師「おや、奇遇ですね。こんばんわ」
ヤンコ「おー!ヒモQだー」
熱中し過ぎて、数学教師に気付かないヤンコ。
数学教師「ほー?駄菓子ですか?」
ヤンコの手元を覗きみる数学教師に、流石のヤンコも気がついた。
ヤンコ「わ、わわ!数学さん!」
数学教師「こんばんわ」
ヤンコ「こ、こんばわです!」
数学教師「うん。夕食前にそんなに食べるのですか?」
ヤンコ「え、や!こ、これは、そうだ!あげます!数学さんに!」
数学教師「いりません」
ヤンコ「・・・」シュン
709:
数学教師「それでは・・・」
ヤンコ「はい。さようなら」
数学教師「あ、ヨッちゃんイカだけくれませんか?好きなんです」
ヤンコ「あ、本当ですか!じゃあ、はい!・・・買うのは数学さんなんですけどね」
数学教師「・・・では明日」
ヤンコ「はい!また明日」
数学教師(なぜ、あのような行動を・・・)
翌日
職員室
音子「ふーん」
ヤンコ「運命的じゃね?」
音子「え?ていうか、単なる嫌がらせでしょ。ヨッちゃんイカ売りつけただけじゃない」
ヤンコ「やっぱそうかぁ・・・」
ガラガラ
数学教師「おはようございます」
音子「あ、おは・・・」グハァァァー
ヤンコ「あ、おはようございます」
数学教師「はい。昨日はどうも」
ヤンコ「どうも」
数学教師は自分の席に座った。全職員の視線を浴びながら。
711:
音子「ちょっといいかしら、ヤンコ。」
ヤンコ「何よ?それより、今の聞いた?どうも、だって!やべー、ちょーかっけー!」
音子「う、それより!今日の数学さんみて何とも思わないの!」
ヤンコ「ん?あー。今日もマジシブいよねー!いかすわー!」
音子「ちゃうわぁぁぁぁ!」
ヤンコ「なに?またあんたは可愛いとかほざくの?」
音子「ちっぎゃぁぁぁぁうわぁぁぁ!」
授業でのお淑やかな音子を知る生徒が聞いたら卒倒する様な叫びだった。
音子「はあはあ・・・」
ヤンコ「なんなの?生理?」
音子「あ、あんたには見えないの?あの特大アフロが・・・」
そう、数学教師は何故か高さ1mはあるアフロ頭をしていた。昨日までハゲてたのに、不自然だった。
712:
ヤンコ「あー。うん。あれってアフロって言うんだ。初めてしったわ」
音子「へ?そ、それで。どう思うのよ!」
ヤンコ「うーん。正直、そんなに似合わないかなー?」
音子「でしょ?って、何かちげー!何か反応ちげー!」
ヤンコ「さっきからあんたは、何なの?テンションおかしくない?」
音子「おっかしいーのは!お前と!お前じゃぁぁぁぁぁ!」
音子は、ヤンコと数学教師を指差した。
数学教師「ん?なんです?」
音子「なんです?じゃ、ねぇだろぉぉぉ!何をシラ切ってんじゃぁぁぁ!」
数学教師「うん?国語さん。彼女はどうかしたのですか?」
ヤンコ「さ、さあ?わかりかねます。それより、ヨッちゃんイカどうでした?」
数学教師「ああ。とても良いイカでした。」
ヤンコ「そうですかぁ。よかったです!」
音子「ちょっと。ちょっとぉ!置いてくなぁ!私が変みたいな空気にすんなぁ!」
数学教師「ははは!君は変な人だなあ!」
ヤンコ「ですよね?ふふふ」
音子「ばっきゃろぉぉぉー」
ダッダッダッタ
音子は職員室を走ってでて行くのであった。
713:
1時間目の数学の授業
ボヨーん
教室のドアにアフロがひっかかった。
数学教師「はい。おはようございます」
生徒達「ぶっはぁぁぁぁぁあー!」
2時間目の数学の授業
ひょい。
数学教師は学習し、ドアではしゃがむようにした。
ボヨーん
それでも、ドアにアフロが引っかかった。
数学教師「はい。おはようございます」
生徒達「ぶっしゃぁぁぁぁぁあー!」
3時間目の数学の授業
かボリ
数学教師は学習し、ドアの前でアフロを取ることにした。
数学教師「はい。おはようございます」
生徒達「おはようございます」
カポ
数学教師はアフロを装着した。
生徒達「わろたぁぁぁぁぁ!」
716:
昼休み
数学教師(何故ですかね。可愛い後輩と思っていた、国語さんが最近妙に気になります)
数学教師は自前のオニギリを職員室で頬張っていた。
ちなみに、彼は梅干以外は具として認めていない。
数学教師(この感情、私は知っています。しかし・・・)
彼は溜息をついた。
音子「アフロで溜息とかやめろぉぉぉ!」
音子は職員室を走ってでて行った。
数学教師「ん?変な声がしましたか?」
数学教師(私などに好意を持たれては、彼女も迷惑でしょう。・・・それに、もう失恋などしたくない)
陰りのある表情でオニギリを頬張る数学教師。アフロだけが風になびくのであった。
722:
放課後
校長先生「数学さん。ちょっといいかね・・・」
数学教師「ええ。なんでしょうか?」
数学教師は校長室に呼ばれた。
数学教師(何でしょうか。校長室に呼ばれるのは久しぶりですね)
校長室
校長先生「まあ、かけたまえ。楽にしなさい」
数学教師「では、失礼します」
校長先生「・・・調子はどうだね?」
数学教師「ええ。まあ。調子とは、何の調子ですか?」
校長先生「・・・彼女は出来たかね?」
数学教師「いいえ。それが、何か?」
校長先生「・・・」
数学教師「・・・」
校長先生「そうだったな。君には無駄話が通用しなかったのを忘れていた。」
数学教師「はあ」
校長先生「単刀直入にいう。その頭はなんだね?」
数学教師「アフロです。・・・話とは何でしょうか?」
校長先生「え!」
数学教師「はい?」
校長先生「アフロは校則違反だから、外しなさい」
数学教師「はい。分かりました」
カポ
数学教師「で、話とは・・・」
校長先生「いや、すまないが、でて行ってくれないか?頭が痛くてな」
725:
ヤンコ(数学さん。校長先生に呼ばれてた。・・・転勤だったりして。うわー!違う違う!絶対そんなわけがない!)
デスクで頭をかかえ、苦悶の表情を浮かべるヤンコ。
教頭「・・・どうかしたかい?随分と悩んでいるようじゃないか。私で良ければ話てみないか?溜め込むより少しは良い」
ヤンコ「あ、教頭先生。・・・その」
教頭「ああ。何だね?」
ヤンコ「教頭先生は転勤しないんですか?」
教頭「・・・そ、そんな事でそれ程悩んでいたのかい?」
ヤンコ「・・・はい」
教頭「・・・しない。」
ヤンコ「・・・そう、ですか」
教頭「・・・」
ヤンコ「はぁぁぁぁぁ」
教頭「・・・で、では私は帰るよ」
ヤンコ「は、い」
教頭(そ、そんなに私に転勤して欲しいのかい?頭を抱えるほどに?オジさんショック受けちゃったよ。今夜は飲もう)
726:
ガラガラ
数学教師「失礼しました」
数学教師はアフロを校長にプレゼントした。
数学教師(頭痛にはアフロが効く。・・・かもしれませんしね)
校長室
校長先生「何故か、アフロをプレゼントされたわけだが・・・」
校長は律儀にも、とりあえずアフロをかぶってみる。
カポ
校長「・・・重いな。」
ガラ
副校長「校長、例の件ですが・・・」
校長「あ・・・」
副校長「れ、例の件ですが・・・」
校長「・・・なんだね。」
校長はとりあえず、腕を組み、難しい顔をしてみた。
副校長「・・・い、いいアフロですね」
校長「・・・ちょっと重いけどな」
副校長「と、とりあえず。例の件は、保留という事で」
校長「そうか。私としても、それが最善策であると考えていた」
副校長「その頭で?」
校長「・・・」
副校長「では、失礼しました」
ガラガラ
校長「その、頭って、どう言う意味なんだろ・・・」
アフロ頭を抱える校長であった。
727:
職員室
数学教師「おや?国語さん、まだ仕事していたのですか?」
ヤンコ「あ、数学さん。」
数学教師はデスクに着くと、パソコンの電源を切った。
数学教師「私はもう帰ります」
カバンを手に取り、コートを羽織る。
ヤンコ「あ、の。どんな話をされていたのですか?」
数学教師「うん?校長とかい?それが、私にも分からないんだよ。彼は私に何か伝えたかった様にも見えたが・・・」
ヤンコ「そ、それって転勤?」
数学教師「転勤?あー。そうかもしれないな。彼は突然頭が痛くなったとかで、結局最後まで話を聞くことができなかったから」
ヤンコ「そんな・・・」
数学教師「では、先に失礼するよ。」
733:
ヤンコ「あ、待って下さい」
数学教師「なんだね?」
ヤンコ「一緒に帰りましょう」
数学教師「何故?」
ヤンコ「一緒に帰りたいからです」
ヤンコは急いでパソコンの電源を落とすと、コートを羽織った。
ヤンコ「あ、この書類にハンコおさなきゃ!すみません。もう少し待っていて下さい」
数学教師「分かりました。」
数学教師(・・・一緒に帰りたいから、か。)
バタバタと慌てるヤンコを数学教師は観察していた。
数学教師(まるで、犬のようだね。子犬のようだ)
734:
ヤンコ(ヤバイ!ハンコ押すのこれだけじゃなかった!あと25枚もあったぁぁあ!)
ヤンコは席に座らず、立ったままハンコを押し続けた。
タンタンタン
ヤンコ「げぇ!」
なんと、ヤンコここで痛恨のミス。
数学教師「・・・ああ。日付を間違えてしまいましたか。こういうときは・・・」
数学教師はヤンコのハンコを取ると、日付をなおした。
タンタンタン
間違えた押印の隣に押し直し、間違えた押印には二重線を引く。
数学教師「君はどうも見ていて危なっかしいね。もっと落ち着きなさい」
735:
ヤンコ「は、はい。すみません」
数学教師「うん。私も手伝います。」
ヤンコ「え?いいんですか?」
数学教師「構いません。」
職員室には、二人以外誰もいなかった。静かな部屋にハンコの音が響く。
ヤンコ「なんか、楽しいですね!」
数学教師「そう?ハンコを押しているだけですよ?」
タンタンタン
ヤンコ「数学さんと一緒に押してるから楽しい、なんて・・・」
ちらっと横目で数学教師の横顔を伺うヤンコ。
数学教師「ああ。そう言う意味なら、私も楽しいですね。」
736:
ヤンコ「・・・え?」
ヤンコのハンコが止まった。
数学教師「ハンコを押す手がとまっていますよ」
ヤンコ「あ、すみません。」
タンタンタン
ヤンコ(・・・私といると、楽しいって!それって!つまり・・・私の事が)
タンタンタン
数学教師「あの、国語さん」
ヤンコ(す、す、好きなのかな!なーんて)
トタタタタン
数学教師「国語さん、ちょっといいかい?」
ヤンコ「え?あ、何ですか?」
数学教師「さっきから、ハンコを反対に押しているけどいいのかい?」
ヤンコ「う、うわぁぁぁぁぁ」
742:
1時間後
タンタンターン
ヤンコ「やっとおわったぁあ!」
数学教師「もう、9時ですね。帰りましょう」
ヤンコ「本当にすみません。こんな事手伝って貰って」
数学教師「いえ。それより右手の袖がインクで真っ黒ですよ?」
ヤンコ「うわぁあ?さ、さいあくー!」
数学教師「ふふ。クリーニングに出せば消えますよ。さぁ一緒に帰ろう」
ヤンコ「は、はい!」
ヤンコの無邪気な笑顔に思わず見惚れる数学教師であった。
746:
帰り道
テックテック
ヤンコ(やばいなー。沢山話したい事あったんだけど、何から話せばいいのかわかんないや)
数学教師(やはり恋愛感情というよりダメな妹と言うのが、しっくり来る。・・・それでいい)
テックテック
ヤンコ「あの!」
数学教師「はい?」
ヤンコ「幽霊っていると思いますか?」
数学教師「私は数学教師なので、数値として観測できない物はあまり信用出来ませんね」
ヤンコ「恋愛感情だって数値化できないじゃないですか。」
数学教師「そうですね。恋愛感情も存在しないのでしょう。」
テックテック
ヤンコ「数学さん。彼女とかいるんですか?」
数学教師「いませんよ。」
ヤンコ「いたことは?」
数学教師「ありますよ。最終的には全て振られましたが」
ヤンコ・・・(恋愛感情あるじゃん)
750:
テックテック
数学教師「では、私はこちらですので、また明日」
ヤンコ「はい。今日は本当にありがとうございました」
数学教師「いえ、それでは」
数学教師は振り返らずに歩いて行く。その背中をみて、ヤンコは思わず声を張り上げてしまった。
ヤンコ「私には聞きたいこととか、ないんですか!」
振り返る数学教師。
数学教師「うん?特にありませんよ?」
ヤンコ「・・・そう、ですか。」
数学教師とヤンコの間には50mしか距離は空いていない。
しかし、ヤンコには長すぎる距離に感じていた。
数学教師「あ、そういえば一つだけ。一つだけ聞きたいことがありました。ぜひ、教えて下さい」
ヤンコ「・・・はい」
数学教師「貴方には現在恋人がいるのですか?」
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