ハルヒ「暇ねぇ……」渚「そうですか?」back

ハルヒ「暇ねぇ……」渚「そうですか?」


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1:
―――部室
ハルヒ「正直、文化祭までやることないじゃない」
渚「まあ、そうですね」
ハルヒ「ふん……」
長門「……」
ことみ「朋也くん朋也くん」
朋也「なんだ?」
ことみ「あのねあのね、今朝、猫が寝転んでたの……ぷふっ」
朋也「あーそうか」
ことみ「あれ?おもしろくない?」
朝比奈「どうぞ、お茶です」
キョン「すいません、頂きます」
ハルヒ「夏だし……運動したいわね」
渚「運動ですか、いいですね」
ハルヒ「………野球とかどうかしら?」
2:
渚「野球ですか……ルール知りません」
ハルヒ「じゃあ、ソフトボール?」
渚「どっちもよくわかりません」
キョン「おいおい。こんなくそ熱い中、何をさせるつもりだよ」
ハルヒ「高校球児は既に猛暑の嵐の中にいるわ」
朋也「バスケならいいけど」
ことみ「有希ちゃん、有希ちゃん」
長門「……?」
ことみ「今朝、犬が寝転んでたの……ぷふっ」
長門「そう」
ことみ「あれ?」
キョン「それにこの部はそういうことをする部活じゃないだろう?」
ハルヒ「親睦を深めるためのレクリエーションは大事じゃない?」
朝比奈「はい、お茶です」
渚「あ、すいません。頂きます」
5:
キョン「そういってもだなぁ」
ハルヒ「決めたわ!ソフトボールをやりましょう!!」
朋也「別に良いけど、場所は?あと人数をどこから集める気だ?」
ハルヒ「渚!!」
渚「は、はい!!」
ハルヒ「メンバーを探すわよ!!」
渚「は、はい!!」
タタタタッ!
キョン「いっちまった」
ことみ「キョンくん」
キョン「ん?」
ことみ「今朝ね、猿が去ったの」
キョン「意味が分からん」
ことみ「……ぐすん」
朋也「……あついなぁ」
8:
―――廊下
ハルヒ「夏休み直前で短縮授業中。こんな時間帯に教室にいるやつは高確率で暇人よ」
渚「そ、そうなんですか?」
ハルヒ「ええ」
渚「……あ、誰かいますよ?」
ハルヒ「ん?」
かなめ「こぉら!!宗介!!」
宗介「なんだ?」
かなめ「なんだじゃない!!これ私の夏休み用の課題だったの!!!」
宗介「そうか」
スパーーーーン!!!
宗介「痛いじゃないか」
かなめ「灰になったじゃないの!!!!」
ハルヒ「中々、いいじゃない」
13:
ハルヒ「ちょっと」
かなめ「ん?」
宗介「誰だ?」
ハルヒ「あんたに用はないわ。用があるのはそっち」
かなめ「私?……確か、隣のクラスの涼宮ハルヒさん、だっけ?」
宗介「知っているのか?」
かなめ「まあね。結構、有名人なのよ」
宗介「なるほど」
ハルヒ「ねえ、あなた、何かスポーツしてるわけ?」
かなめ「いや、別に」
ハルヒ「でも、運動できそうよね?」
宗介「中々見る目があるな。千鳥は運動しかできない」
かなめ「そんなわけないでしょ!!!」
渚「仲がいいんですね。羨ましいです」
かなめ「いや……で、何の用?」
19:
ハルヒ「ソフトボールしない?」
かなめ「はぁ?」
宗介「ソフトボール?なんだそれは?」
かなめ「簡単に言うと野球の一種よ」
宗介「ああ。先日、体育でやった、あれか」
かなめ「そう。一塁を刺せって指示に、あんたがナイフで一塁にいた人を本気で刺そうとしたあれ」
宗介「うむ」
渚「あの、刺すってそういう意味だったんですか?」
宗介「どうやら違うらしい」
渚「難しいですね」
宗介「全くだ」
ハルヒ「話が進まないけど、とりあえず、あなた」
かなめ「はいはい。日程とか決まってるなら教えてほしいけど」
ハルヒ「そうねえ……一ヶ月後ね」
渚「今、決めました?」
23:
宗介「なるほど。やればいいじゃないか」
かなめ「簡単に言うな」
ハルヒ「じゃあ、とりあえず携帯電話のアドレス教えて」
かなめ「ちょっとちょっと」
渚「あの、無理にとは……」
ハルヒ「メンバーが集まり次第、練習して試合するから」
かなめ「……噂通りの強引さね」
ハルヒ「ほら、はやく教えなさい」
かなめ「はいはい。赤外線でいい?」
ハルヒ「おっけー」
渚「あのすいません」
宗介「構わない。千鳥はいつも友人と遊ばないからな」
渚「お友達、いないんですか?」
宗介「残念だが……」
かなめ「なにいってんのよ!!アンタが変なことしなけりゃ私だって普通の生活を送れるの!!!」
25:
ハルヒ「―――よし」
かなめ「じゃあね」
ハルヒ「またね」
渚「ありがとうございました」
宗介「ああ」
ハルヒ「よしよし……次に行くわよ」
渚「あ、はい」
ハルヒ「―――ん?」
渚「あ、特別教室に誰かいますね」
風子「ふん!ふん!」
唯「……すごーい」
風子「これぐらい朝飯前です」
和「いや……ここの教室使用禁止だから、出ていってほしいんだけど」
風子「ヒトデあげます!!」
唯「いいの?ありがとー♪」
26:
ハルヒ「うーん」
渚「どうしました?」
ハルヒ「微妙ねぇ」
澪「ちょっと、すいません」
ハルヒ「え?」
澪「あ……涼宮さん……」
ハルヒ「なに?」
澪「あ、えと……」
律「いたいた!おーい、唯ー」
唯「あ!」
律「早くこいよ。練習はじめぞ」
唯「うん!」
風子「ヒトデです!!!」
和「それは分かったから……」
ハルヒ「……決めた」
27:
ハルヒ「貴女」
澪「え?」
ハルヒ「ちょっといいかしら?」
澪「な、なんだ?」
ハルヒ「スポーツ、得意?」
澪「嫌いじゃないけど」
ハルヒ「じゃあ、携帯電話のアドレス教えて」
澪「なんで!?」
ハルヒ「今度、ソフトボールするの。で、あんたをスカウトしにきたわけ」
澪「えぇ!?」
唯「澪ちゃん、ソフトボールするの?」
律「へえ。すげえな」
澪「いやいや!!」
風子「あ、渚さん!ヒトデ、です」
渚「はい。かわいいですね」
28:
ハルヒ「で、やるの?やるわよね?」
澪「あ、えーと」
唯「応援にいくからねー」
律「がんばれよ」
澪「なんでやる前提で話が進んでるんだ!!!」
ハルヒ「はいはい。つべこべ言わないの」
澪「あ!?ちょっと、なにして!?」
ハルヒ「あった。えっと、アナタのアドレスは……」
澪「勝手に携帯を弄るな!!」
唯「あ、澪ちゃんのアドレスはこれだよー」
ハルヒ「あら、気がきくわね。ありがとう」
唯「えへへ」
澪「勝手に教えるなー!!!」
和「どうでもいいけど、星じゃないの?」
風子「だれがどうみてもヒトデです!!眼科にいってください!その眼鏡、きっと度があってません!」
29:
澪「うぅ……」
律「でもいいじゃん。あの涼宮って人、普通の人には声をかけないって噂だし」
唯「天才だー」
澪「うれしくねー」
ハルヒ「次にいくわよ!」
渚「は、はい!」
和「はぁ……」
風子「ふんふん」
智代「失礼する」
朝倉「和、その子、出ていってくれそう?」
和「あ……すいません、ちょっと」
智代「そうか……すこしいいだろうか?」
風子「なんですか?」
智代「アイスを帰りに買ってあげるから、とりあえずこの部屋から出てくれないか?」
風子「……そこまでいうなら。でましょう」
30:
かがみ「またんかー!!!」
裕子「どわーーーー!!!」
かがみ「私のパン食べたなーーー!!!」
裕子「だから、私の机の上にあったから間違ってっていったじゃん!!」
かがみ「アホかぁあぁ!!!」
みお「あ、こなたちゃん」
こなた「おーっす。同人誌でけた?」
みお「うん。……見てくれる?」
こなた「うんうん。見るみるー」
ハルヒ「ん?」
渚「あ、危な―――」
ドン!!!
裕子「あぅ……」
ハルヒ「いったぁ……ちょっと!!どこみて走ってんのよ!!!」
かがみ「つっこむとこ、そこ?」
31:
裕子「ごめん……って、涼宮さんじゃん!?」
ハルヒ「誰よ、あんた?」
裕子「あはは、いやぁ、涼宮さんのことはよくしってるよぉ」
ハルヒ「あっそ」
かがみ「ごめんね。この子、バカだから」
裕子「それ関係ないよねえ?」
渚「でも、廊下を走ってはダメです」
かがみ「はい。反省します」
裕子「そうだぞ」
かがみ「殺すぞ」
ハルヒ「ん……あの後ろの二人は知り合い?」
こなた「うんうん……おもしろいね」
みお「そ、そう?」
かがみ「うん、そうだけど?」
ハルヒ「ふうん」
33:
ハルヒ「ちょっと」
みお「どわ!?」
こなと「お?」
ハルヒ「あなたがいいわ」
こなた「なにがぁ?」
ハルヒ「ソフトボールしない?」
こなた「え?」
かがみ「ちょっと、いきなりすぎない?」
渚「すいません。今、メンバーを探してまして」
裕子「こなちゃんってでもすごい運動神経いいもんね」
かがみ「オタクだけどね」
ハルヒ「どう?」
こなた「うーん……めんどくさいのは嫌なんだけど」
ハルヒ「いいじゃない。たまには」
こなた「うーん……」
38:
ハルヒ「煮え切らないわねえ……じゃあ、何か交換条件でもいいわよ?」
こなた「え、ホントに?」
ハルヒ「ええ」
こなた「じゃあ、これ手伝ってくれない?」
みお「えぇ?!」
ハルヒ「ん?なにこれ?」
みお「おおぉぉぉおおおおおお!?!!?!?」
バシュ!!シュバ!!
ハルヒ「はやい!?」
こなた「おぉ」
みお「こなたちゃん、酷いよ!!これは見せないでって……!!」
こなた「あ、ごめん」
ハルヒ「あなたもいいわ」
みお「え?」
ハルヒ「どっちもアドレス教えなさい。今すぐ」
39:
かがみ「なんか強引ね」
裕子「というかみおちゃんって絶望的に運動できないんだけど」
渚「私と一緒です」
こなた「どうする?」
みお「え、でも、私は……」
ハルヒ「同人誌のアシスタントぐらいやってあげるわ。ほらほら」
みお「え、本当ですか?」
こなた「いいじゃん。実際、締切やばいっていってたし」
みお「う、うん……じゃあ」
ハルヒ「交渉成立ね」
こなた「じゃあ、これ。私のアドとみおちゃんのアド」
ハルヒ「ありがと」
かがみ「決まったみたいね」
裕子「がんばってね、みおちゃん。応援にいくから!」
みお「う、うん……」
40:
ハルヒ「さてと……今のところメンバーは……」
渚「ハルヒさん、かなめさん、、澪さん、こなたさん、みおさん、ですね」
ハルヒ「あと、渚、有希、ことみ、みくるちゃんね」
渚「私も入ってるんですか!?!?」
ハルヒ「あとは相手ね……」
風子「ガリガリ君でいいです」
智代「そうか」
朝倉「いいんですか?」
和「あんまり物で釣らない方がいいんじゃないでしょうか、会長?」
智代「そうか?」
朝倉「癖になったら大変ですよ?」
風子「風子は犬じゃありません!癖になんてなるわけないです」
ハルヒ「……」
渚「あのー」
ハルヒ「よし……ちょっと、坂上智代」
42:
智代「ん?―――なんだ、涼宮さんか。どうした?」
ハルヒ「今度、ソフトボールで対決しない?」
智代「……こんどはなんだ?」
朝倉「劇団は終わったの?」
ハルヒ「文化祭まで活動できないからしかたないでしょ」
和「脚本を書くとか、色々あると思うけど」
ハルヒ「そんなのとっくの昔に終わってるわ。次の文化祭では映画を上映するから」
渚「そうなんですか!?」
智代「部員がすごく驚いているが?」
ハルヒ「それより、やりましょうよ。暇なときでいいから」
智代「うん……スポーツか」
朝倉「どうします?」
智代「……分かった。でも、何かないと本気になれないな」
和「なにかって?」
ハルヒ「いいわよ?なんでも言って」
43:
部室
キョン「帰ってこないな……2ペア」
朋也「まあ、そのうち帰ってくるだろう……4カード」
キョン「な!?」
朋也「はい、ジュース奢りな」
キョン「くそ……」
長門「……」
ことみ「……」
朝比奈「お二人ともどんな本を読んでいるんですか?」
トントン
キョン「ん?」
朋也「はーい」
ガチャ
谷口「おっす!キョン、朋也!!」
春原「遊びにきたぜぇ!!」
46:
キョン「なんだなんだ?」
谷口「―――お、あさひなさーん!!」
朝比奈「ひっ!?」
春原「ねえねえ、こんなむさ苦しいところにいないで、僕たちと一緒に御茶しませんか?」
朝比奈「御茶……?どうぞ」
谷口「違いますよ!?こうもっとこじゃれたところにですね」
春原「そうそう」
キョン「おいおい、あまり変なことをいうな」
朋也「あの地獄耳が聞いたらドロップキックが飛んでくるぞ?」
春原「そんなわけないだろぉ」
谷口「そーそー。いくら、アイツが変態だからって、そこまでしねーよ」
朝比奈「あの、あの……」
春原「さあ、行きましょう」
谷口「ほらほら」
ハルヒ「―――おりゃぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
47:
春原「べほぼろぶべぇ!?!!?」
谷口「すのはらぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
ハルヒ「なに好き勝手いってるのよ!?」
渚「ハルヒさん、暴力はダメです!!」
朝比奈「そ、そうです」
ハルヒ「私の部員を勝手に連れ出そうとしたんだから、顔面ドロップキックぐらい当然よ」
谷口「春原!大丈夫か!!」
春原「た、にぐち……お前は俺の……さいこうのし、んゆう……だ、ぜ」
谷口「春原ぁぁぁぁぁ!!!!!!」
朋也「アホか」
キョン「馬鹿だな」
ハルヒ「それより!」
キョン「なんだよ。ソフトボールの面子は揃ったのか?」
ハルヒ「ええ。相手も決まったわ。―――でもね、負けられない理由ができたの」
朋也「負けられない理由だと?」
53:
ハルヒ「というわけで、今から特訓をします」
キョン「特訓だと?どこで?」
ハルヒ「グラウンドに決まってるじゃないの」
朋也「おいおい。どう贔屓目にみても野球部が練習のために8割方使ってるぞ?」
ハルヒ「そんなのみくるちゃんがいれば問題ないでしょ」
朝比奈「え?わたし?」
キョン「何をさせるつもりだよ」
かなめ「ちょっと、なんのよう?」
こなた「さっそく過ぎない?」
みお「うん」
澪「……ここか」
宗介「どうした?負傷したのか?」
谷口「ああ……戦友を失った……くそぉ」
宗介「戦場では常に命のやり取りが行われている。戦友の死を乗り越えなくては一人前とは言えんぞ」
谷口「そ、そうか……そうだな……。春原、俺はお前の屍をこえていく……!!」
55:
グラウンド
野球部員「なに?」
ハルヒ「練習するの、グラウンド貸して」
かなめ「ちょっと、涼宮さん」
澪「無茶なことをいうもんじゃない」
こなた「噂通り、すごいね」
みお「うん」
春原「なんで俺まで……あっつう」
谷口「とけちまうぜ」
朋也「もうとっくに脳みそがとけてんだからいいだろ」
キョン「そうだな」
宗介「なに?それは南米辺りで開発された殺人ウィルスと同じ症状だぞ?」
谷口「なんだと!?」
春原「死ぬのか!?俺、死の!?!」
朋也「抱きつくんじゃねえ!?暑い!!!」
57:
野球部員「無理に決まってるだろ」
ハルヒ「ふーん……みくるちゃん、渚」
朝比奈「あ、あの……スカートみじかいですぅ……(モジモジ」
渚「えと……なんで看護師さんの恰好なんか……(モジモジ」
野球部員「「おぉー」」
春原「ぶふぅー!!?!?!」
谷口「春原ぁぁぁ!!!」
朋也「おいおい。古河までなんて恰好してんだ」
渚「いや、ハルヒさんがこれを着ろって」
朝比奈「ひぃぃん」
ハルヒ「どう?」
野球部員「いいなぁ……じゃ、なくてグラウンドを使用するのとは何の関係もないだろ!?」
ハルヒ「ほらほら。二人とも、もっとお願いして」
渚&朝比奈「グラウンド……つ、つかわせてください……(モジモジ」
野球部員「「はい!どうぞ!!」」
60:
ハルヒ「じゃあ、まずはフライ捕球の練習ね。いくわよー」
カキーン
渚「あわわわ……」
みお「あっち?こっち?」
ことみ「ばっちこーい」
澪「えっと……むこうかな?」
朝比奈「ひぃぃん、こっちにきますぅ……」
こなた「かなめさん!」
かなめ「はいよ!」
パスッ
かなめ「とった!」
ハルヒ「はーい。次はライナーね。おらよっと」
長門「……」パスッ
こなた「すご……」
かなめ「一歩も動いてないけどね」
62:
―――生徒会室
智代「うむ……メンバーは揃ったか?」
朝倉「はい。会長、私、和、鶴屋さんに藤林杏さんと椋さん、有紀寧さん、佐々木さん、周防さんの9人です」
智代「なるほど」
和「あまりやる気が起きないんですけど」
智代「まあ、協力してくれ」
和「会長がそういうなら……やりますけど」
智代「ああ、頼む」
朝倉「でも、結構思い切った交換条件でしたね」
智代「ああ、良い考えだろう?」
朝倉「でも、良いんですか?」
智代「構わない」
朝倉「会長の考えることはよくわかりません」
和「そうですね」
智代「次期生徒会会長には涼宮さんみたいな人がいいと思うんだ。私はな」
63:
ハルヒ「じゃあ、実践形式で練習するわねー。男たちは配置につけー」
宗介「いえっさー!!」
キョン「おい!どこいくんだ!?」
宗介「え?いや、配置につけというから、敵から見つかりにくいポイントに」
朋也「敵ってなんだよ」
春原「外野でいいわけか?」
谷口「あちぃ……しぬぅ」
ハルヒ「私が投げるから、みんなちゃんと打つのよ?」
渚「が、がんばります!」
ハルヒ「いくわよ……てい!!」
渚「えーい」
長門「空振り」
ハルヒ「てんで、だめね……」
渚「すいません」
かなめ「大丈夫なの、この子?」
65:
ハルヒ「えい!」
長門「……」
こなた「有希さん、ちゃんと振らなきゃ」
ハルヒ「おらぁ」
ことみ「えーいなのー」
かなめ「ちゃんと脇を絞って」
ことみ「こう?……打ち難いの」
ハルヒ「ほらほら、次!―――おら!!」
澪「うわ!?」
ハルヒ「はーい、どんどんきなさーい!―――せいや!」
みお「あわわわわ!!!」
キョン「全然、飛んでこないな」
朋也「萎える」
宗介「これは忍耐力を試す特訓か」
キョン「そんなわけねーだろ」
66:
―――夕方
ハルヒ「おーし。今日はこの辺でいいわ」
渚「はぁ……はぁ……」
朋也「古河、大丈夫か?」
渚「あ、は、はい……」
ことみ「疲れたの……」
長門「……」
澪「お、おい。顔色悪いけど、大丈夫か?」
長門「……」
みお「やばそうだね……」
かなめ「結構、本格的、なのね……しんど……」
朝比奈「ひーん」
宗介「うむ。これは肉体を強化するには非効率だ。俺がもっといい運動方法を提案しよう」
ハルヒ「必要ないわ。私のやり方が一番いいの」
宗介「……団長殿がそういうなら、それに従おう」
68:
キョン「おい、ハルヒ。こんな練習を一カ月もする気か?」
みお「死んじゃう……」
ハルヒ「いいえ。試合は今週の土曜日になったから」
朋也「明後日じゃねーか!?」
春原「絶対に負けるな」
谷口「多分な」
宗介「やるまえから劣等感に圧されては勝てるものも勝てなくなるぞ」
キョン「それ以前の問題だろ」
澪「もうちょっと練習したほうがいいと思うんだけど」
みお「うんうん」
こなた「特に渚ちゃんとみおちゃんはねえ」
渚「すいません」
ハルヒ「大丈夫よ。私の指示通りに動けばね」
かなめ「本当に?」
ことみ「なんでやねん」
70:
―――生徒会室
智代「集まってくれて感謝する」
鶴屋「いやぁ、会長の頼みじゃあしかたないっさ」
杏「で、ソフトボールをするって話だけど?」
智代「ああ、そうだ。是非とも勝利し、私は涼宮さんを次期生徒会長を任せたいと思っている」
椋「そうなんですか?」
有紀寧「それはそれは。楽しくなりそうですね」
朝倉「そう思う?」
和「あまり……」
佐々木「で、日程は?」
智代「今週の土曜日。場所は地方球場を貸し切って使う」
古泉「手配しておきました」
杏「あんたって、そんな金持なの?」
智代「―――すまないな。私のわがままに付き合ってくれて。でも、絶対に勝とう」
杏「ま、やるからには勝つけどね」
71:
―――試合 当日 晴天
キョン「あちい」
朋也「古河、全員分の飲み物買ってきたから」
渚「あ、ありがとうございます。岡崎さんにこんなことをさせたくはなかったんですけど」
朋也「気にすんな」
宗介「大丈夫か、千鳥?」
かなめ「まあ、ちょっと暑いけど……なんとか」
ハルヒ「ふふふ、絶好の決戦日和じゃない」
キョン「おい、ハルヒ」
ハルヒ「なによ?」
キョン「聞きそびれたが、負けられない理由ってなんだ?」
ハルヒ「ああ、それはね―――」
智代「私たちが勝てば涼宮ハルヒは次期生徒会長に立候補する。というものだ」
朋也「なにぃ!?」
キョン「本気か?!」
76:
智代「私は嘘は嫌いだ」
キョン「でも、こいつが生徒会長って……」
谷口「正気の沙汰じゃねえな」
智代「そうかな?」
杏「智代ー、ほら作戦会議始めるよ」
智代「ああ、わかった。―――ではな。いい試合をしよう」
ハルヒ「ふん!」
春原「おいおい……向こうの面子やばくないか?」
宗介「そうなのか?全員女性だ。筋力に差があるとは思わないが」
みお「そういうことじゃないんですけど」
澪「向こうは本気だな」
ハルヒ「ふん。こっちだって本気よ。ほら、私たちも作戦会議をするわよ!」
朋也「打順も守備位置もきめてねーだろ。作戦会議なんてできるのか?」
ハルヒ「それを今から決めるんじゃないの」
キョン「おせーよ!!」
78:
ハルヒ「うっさいわね」
かなめ「こなた、どう?」
こなた「紙は用意したよー」
ハルヒ「私は四番でピッチャーだからね」
こなた「うん。オッケー……ハルヒさんは四番でピッチャーっと」
キョン「えっと、じゃあ、バッティングも安定してた千鳥は三番だな」
宗介「それはいいところなのか?」
かなめ「まあ、チャンスを作らなきゃいけないし」
朋也「あと守備の要の内野がいいな。遊撃手か二塁手だろ」
かなめ「私とこなたでそれやるから。こなた、どっちがいい?」
こなた「うーん、どっちでもいいけど……二塁手で」
かなめ「わかったわ」
ことみ「どこにしよーかなー?」
渚「迷いますね」
澪「いや……私たちは選ぶ権利ないと思うぞ?」
81:
宗介「能力で守る位置を決めるのか。戦場と変わらないな」
春原「戦場ってなんだよ」
かなめ「とりあえず、あとは適当でも良い気がするけど」
こなた「そだね」
朝比奈「あの……できるだけ楽なところに……」
こなた「―――おっし!」
キョン「どれどれ……」
一番 ライト 朝比奈みくる
二番 一塁 一ノ瀬ことみ
三番 遊撃手 千鳥かなめ
四番 投手 涼宮ハルヒ
五番 二塁 泉こなた
六番 捕手 長門有希
七番 センター 古河渚
八番 三塁 長野原みお
九番 レフト 秋山 澪
朋也「ふうん。まあ、妥当なのか?」
宗介「うむ。よくわからん」
キョン「朝比奈さんが一番でいいのかよ……」
83:
ハルヒ「まあ、いいじゃない。有希ー、ちょっと私の球をうけてみてよー」
長門「わかった」
春原「ま、どっちが勝手もいいか」
谷口「そうだなー」
かなめ「宗介、ちゃんと応援するのよ?」
宗介「応援?―――任せろ」
かなめ「ちょっと、岡崎くん」
朋也「なんだ?」
かなめ「アイツ、バカだからさ、変な兵器を持ってきたら止めてね?」
朋也「兵器?」
みお「はぁ……三塁なんてできないって……」
澪「まあ、がんばれ」
こなた「よっしゃー、勝ちに行くぞー」
ことみ「おー」
渚「頑張ります!」
85:
智代「さて、打順と守備位置に変更はない」
朝倉「はい、これですね」
一番 投手 坂上智代
二番 捕手 朝倉涼子
三番 ライト 鶴屋
四番 センター 佐々木
五番 遊撃手 周防九曜
六番 一塁 藤林椋
七番 三塁 藤林杏
八番 二塁 宮沢有紀寧
九番 レフト 真鍋和
鶴屋「がんばるっさ」
佐々木「うん。キョンがいるけど、やるからには勝たないと」
周防「暑い……」
椋「お姉ちゃん、お水ここにおいとくね」
杏「ありがとう」
有紀寧「がんばりましょうね」
和「はぁ……会長のため、会長のため」
智代「さ、いくぞ!」
89:
ハルヒ「負けないわよ」
智代「こちらもだ。必ず君を会長にしてみせる」
杏「朋也……」
朋也「お。ま、応援はできないけど、がんばれよ」
杏「ふん」
椋「お、お姉ちゃん」
かなめ「よっ、ほっ」
こなた「よっしゃー、私のレーヴァテインが火を吹くよ!」
佐々木「キョン」
キョン「おー」
佐々木「ボクの雄姿を見ていてほしい」
キョン「まあ、嫌でも見ると思うけど」
佐々木「ふふ」
ハルヒ「じゃあ、試合開始ね。どっちが私たちが先攻でいいかしら?」
智代「構わない。後攻のほうが逆転サヨナラ満塁ホームランが出来るからな」
91:
春原「えー実況の春原です」
谷口「解説の谷口っす」
春原「じゃあ、まずは簡単なルール説明から」
谷口「はい。試合は5回裏まで。延長は9回までとなっており、あとは普通のソフトボールとルールは変わりません」
春原「よっしゃ、応援すべきはやっぱり!」
谷口「ええ。一番手の朝比奈みくるさんに以外にいないでしょう!!」
春原「がんばれー!!!」
谷口「デートしてくださーい!!」
かなめ「なに、あのバカたち?」
朋也「ほっとけ」
キョン(審判)「プレイボール」
智代「よし、いくぞ」
朝倉「いつでもどうぞ」
朝比奈「よ、よろしくお願いします」
智代「ああ。遠慮はしない。―――はっ!!」
93:
ズドン!!!
朝比奈「ひっ!?」
朝倉「ナイスボール」
智代「まぁまぁだな」
春原「すげえ!?」
谷口「あれは体感スピードだと140キロいってそうだな」
智代「さあ、続けていくぞ―――ふっ!!」
ズドン!!―――ズドン!!!
キョン「ストライク、バッターアウト」
朝比奈「ひぃん……こわいですぅ」
ことみ「みくるちゃんの仇は絶対にとるの」
智代「次は一ノ瀬か……よし」
ことみ「大丈夫……計算すれば……」
智代「は!!」
ことみ「―――いまなの!!」
95:
キョン「ストライクバッターアウト」
春原「一ノ瀬選手、かすりもしませんでした!」
智代「……さてと。次が本命か?」
かなめ「お手柔らかに」
宗介「よし」
朋也「おい」
宗介「なんだ?」
朋也「何をそんなライフルで投手を狙ってんだ」
宗介「応援だ」
朋也「意味がちげえよ!!やめろ!!」
宗介「なにをする!はなせ!!」
朋也「キョン、手伝ってくれ!!」
キョン「わ、わかった!!」
智代「なんだ、あれは?」
かなめ「気にしないでいいから……」
98:
キョン「はぁ……はぁ……続きをどうぞ」
智代「―――ではいくぞ!!」
かなめ「―――ふん!」
ギィィン!!
みお「当てた!?」
澪「すごい!!」
谷口「ファールだな」
智代「さすがだ……では、これはどうか!」
かなめ「よっ!!」
キン!
春原「打ちましたー!!ボールはライトの手前に落ちたー!千鳥選手は一塁でストップ!」
鶴屋「あらら、こりゃおいつけなかったにょろ」
智代「……流石だ」
ハルヒ「―――まずは二点ね」
智代「ホームラン予告とはいい度胸だ。―――そうでないと困るが」
100:
朋也「ほらな、そんなことしなくても声援を送るだけで千鳥は打つから」
宗介「そうか」
こなた「ハルヒさん、がんばー」
智代「……」
朝倉「……(コク」
ハルヒ(何か合図を送ったわね……)
智代「―――はッ!」
ハルヒ「てい!!」
キィィン
春原「おおっと!!大きい!!大きい!!!―――あっと、切れたー!」
智代「やる」
ハルヒ「まあね」
智代「……よし」
ハルヒ「……!」
智代「―――これなら、どうだ!!!」
101:
キョン「ストライク、バッターアウト」
ハルヒ「なん、ですって……?」
春原「谷口さん、今のは?」
谷口「ドロップですね。あそこまで凄い落差があると手も足もでないでしょう」
春原「なるほど」
智代「ふう」
朝倉「流石は会長♪」
智代「まあな」
ハルヒ「……」
渚「あの、ハルヒさん……」
ハルヒ「大丈夫、まだ初回だもの」
こなた「うん、そうだよね」
かなめ「がんばりましょう」
ハルヒ「しまっていくわよー!」
渚「はい!」
102:
ハルヒ「さあ、行くわよ。坂上智代」
智代「いつでも来い。お前たちの守備陣営ははっきりいって穴だらけだ」
ハルヒ「そんなことないわよ」
智代「まあいい。こい」
ハルヒ「―――でぇい!!」
智代「―――は!」
カキン!!
みお「どわぁぁぁぁぁ!!!!!」
ドゴォ
みお「きゅぅぅ……」
かなめ「ひどっ!!」
ことみ「こっちなのー」
かなめ「わかってるって、ば!!」
智代「余裕のセーフだ。すまない」
ハルヒ「……っち」
104:
朝倉「さ、会長にホームベースを踏ませてあげましょうか」
ハルヒ「そんなことさせるわけない、でしょ!!」
朝倉「む」
キィィン
春原「ファールです!」
ハルヒ「ふふん」
朝倉「ふん」
ハルヒ「せいや!!」
ズバン!!
キョン「ストラーイク」
朝倉(い……会長とほぼ同等ね)
ハルヒ「追い詰めたわよ……?」
朝倉「ふん」
ハルヒ「―――てい!!」
朝倉「やぁ!!」
107:
キョン「ストラーイク、バッターアウト」
朝倉「ボールが……浮いた……?」
春原「谷口さん、今のは?」
谷口「ライズボールというやつですね」
春原「あれが噂の」
鶴屋「よっし、ハルっち、くるがいいさ!!」
ハルヒ「―――はぁ!!」
鶴屋「ほいさ!」
ギィィィィン!!
長門「……(パスッ」
キョン「アウト」
鶴屋「むっずいわねぇ」
佐々木「任せて」
鶴屋「まかせた!」
キョン「佐々木か……」
109:
佐々木「や!」
キィィン!
春原「打ったーー!!ボールはセンター方向だぁぁ!!」
渚「え?!あぇ!?」
こなた「渚さん!!下がって!!」
渚「あ……あ……」
朋也「古河!!!もっと後ろだ!!!」
渚「わ、わかりませーん!!!ごめんなさーーい!!!」
智代「もらった!」
佐々木「よし」
ダダダダダッ!!
かなめ「んどりゃぁぁぁぁ!!!!」
ズサァァ!!
智代「なに!?」
かなめ「―――とったぁぁ!!!!」
111:
ハルヒ「やるじゃないの!!」
かなめ「はぁ……はぁ……まぁ、ね」
澪「すごいなぁ」
みお「うんうん」
律「お、もう始まってんじゃん」
唯「澪ちゃんはどこかなー?」
裕子「みーおちゃん!おーい!」
かがみ「どっちもがんばんなさいよ」
こなた「あ、かがみん!!」
澪「あ、みんな」
みお「ゆっこ、かわってー!!」
裕子「だめー」
みお「うえーん」
智代「流石は千鳥かなめ……油断できない」
朝倉「まあ、会長の球は誰にも打てませんから大丈夫ですよ」
113:
キョン「ストラーイク、バッターアウト、チェンジ」
渚「すいません。折角、泉さんが塁に出たのに……」
こなた「まあまあ、併殺なんて珍しくないから」
かなめ「長門さん!振らなきゃ、当たんないわよ!?」
長門「無理」
佐々木「周防、お願い」
周防「わかった」
ハルヒ「よし……は!!」
ズドン!!
周防「―――い」
朋也「投手戦になりそうだな」
宗介「投手戦とは?」
朋也「点が一切入らないゲーム運びのことだ」
宗介「ほう」
朋也「見てる方はつまらないんだけどな」
115:
キョン「チェンジ」
杏「くそ。あの浮かび上がる球は厄介ね」
椋「うん……」
春原「さあ、もう三回ですが、両チーム点数はゼロのままです」
谷口「これは一点が大きな重みとなる試合になりますね」
春原「なるほど」
みお「お、おおお、おねがいします」
智代「ああ、心配するな。手加減はしない」
みお「えぇえ!?」
裕子「みおちゃん!ファイトー!!」
智代「―――はぁあ!!!」
みお「うひぃぃぃ!!!!!」
ズドン!!!
キョン「ストライク」
みお「こわ……」
116:
キョン「アウト、チェンジ」
澪「すまない」
朝比奈「すいません」
みお「ごめんなさい」
かなめ「にしても、すごいわね。あの人の球」
ハルヒ「ええ」
かなめ「……こりゃ、早く点を入れないとね」
こなた「そうだね」
かがみ「えらい膠着状態ね」
律「大変だな」
裕子「よし……」
唯「どうするの?」
裕子「少し応援をね」
宗介(―――このままではかなめはジリ貧だ)
宗介(やはりここは応援をするしかあるまい)
117:
和「くそ……」
春原「さあ、難なく八番、九番を打ちとった涼宮選手ですが、次が大変ですね」
谷口「ええ。あのパーフェクトプレイヤー、坂上智代ですからね」
ハルヒ「……」
智代「……」
ハルヒ「―――はぁ!!」
智代「―――ふ!」
キョン「ファール」
ハルヒ「―――でぇい!!」
智代「―――はぁ!!」
キョン「ファール」
春原「―――あっと、またファールだ!!もうこれで5球目です!!」
谷口「そろそろ双方とも集中力が切れてくるころですね」
ハルヒ「はぁ……はぁ……」
智代「ふー……ふー……」
124:
ハルヒ「―――いい加減に、しなさい!!」
智代「―――甘い!!」
キィィィィィン!!!
春原「おおきい!!おおきいぞぉ!!?」
渚「あ……え……!??」
こなた「かなめさん!!」
かなめ「うおぉぉぉぉぉぉぉぉおおお!!!!!」
智代「―――あれは無理だ」
ポーン……
春原「入ったーーーー!!!!!ホームラーーーン!!!!!」
ハルヒ「う、そでしょ……」
朋也「……あーあ」
宗介「……」
裕子「あーーー!!!」
唯「どっちに点数はいるの?」
125:
ハルヒ「……」
智代「……」
朝倉「きゃー!!流石は会長!!!」
鶴屋「すごいっさ!!!」
智代「ああ……でも、危なかった」
杏「どうして?」
智代「あそこでライズボールを投げられたらきっと三振だった」
渚「あの、ハルヒさん……」
ハルヒ「―――はい、切り替えましょう。ほらほら。散った散った」
こなた「う、うん」
かなめ「……」
みお「大丈夫かな?」
澪「ちょっと心配だね」
127:
朝倉「はい!」
キン!!
鶴屋「ほいさ!!」
キィン!!
佐々木「は!」
キィィン!!
春原「連打に次ぐ連打で満塁です!!!」
谷口「これは完全に崩れましたね」
ハルヒ「はぁ……はぁ……」
朋也「涼宮……」
かなめ「―――タイム!!」
渚「ハルヒさん!!」
ハルヒ「ごめん……ちょっと、疲れた……」
かなめ「―――ピッチャー交代!私がやるから!」
ハルヒ「ちょっと……!?」
128:
かなめ「ほら、そんな体じゃ無理だって」
ハルヒ「でも……」
澪「大丈夫。涼宮さんはすごかったよ」
みお「うん。あとは任せてください」
こなた「私達でなんとかするって」
朝比奈「はい。がんばります」
渚「ハルヒさん……」
ハルヒ「……わかったわ。でも、ヘマしたら許さないからね」
かなめ「ええ。まっかせないさいって!!」
周防「まだ?」
かなめ「もういいよ」
佐々木「よし、後ろにさえいけば二点は確実だ」
鶴屋「周防さんがんばるさ!」
かなめ「―――んなろぉぉぉぉ!!!!!!」
―――ギュルギュルギュル!!!!!!!
132:
ズバーーーン!!!!!
長門「……痛い」
周防「―――え?」
春原「すげええええええ!!!!!!」
谷口「単純にはええええ!!!!!」
かなめ「覚悟しなさいよ……!!」
智代「バッティングだけじゃなかったのか!?」
杏「あんなの高校生が投げていいわけ?」
椋「当たったら死にそう」
有紀寧「怖いですね」
宗介(流石だ)
朋也「すげえな……あ、あれ!?宗介がいない!?!」
かなめ「―――おらぁぁぁ!!!!」
周防「―――くっ」
ズバーーーン!!!
133:
キョン「チェンジ」
智代「一点止まりか」
朝倉「まあ、でも会長さえ打たれなければ大丈夫ですよ」
智代「……」
裕子「よし……」
唯「どこいくのー?」
裕子「ま、ちょっとね」
律「?」
智代「―――よし。さあ、いくぞ」
ことみ「がんばるの!ハルヒちゃんのために!」
智代「―――ふっ!!」
ことみ「やぁ!」
キィィン!!
春原「打った!?!?」
智代「なに!?」
134:
ことみ「あ……朋也くん、やったの!うったの!!」
朋也「ことみ!!一塁に走れ!!!」
ことみ「え?」
佐々木「は!」
椋「ごめんなさい」パスッ
キョン「アウト」
朋也「はぁ……」
ことみ「ごめんなさいなの」
朋也「まあ、いいけど」
智代「―――まさか、打たれるなんて」
かなめ「……」
智代「―――は!」
かなめ「……!?」
キョン「ボール」
智代(慎重にいかないと)
136:
キョン「フォアボール」
かなめ(慎重になりすぎたみたいね)
智代「ふう……」
ハルヒ「はぁ……はぁ……」
澪「肩で息をしているぞ」
みお「大丈夫かな……?」
智代「―――ふ!!」
ハルヒ「ふん!!」
ズバン
キョン「ストライク!」
智代(スイングに迷いがない……)
ハルヒ「はぁ……はぁ……」
智代「―――ふ!!」
ズバン
キョン「ボール」
137:
ハルヒ「……」
智代「……」
朝倉(ドロップでいきましょう)
智代「……(ふるふる」
朝倉(ええ?)
智代(直球勝負だ)
朝倉(そんな……)
智代(信じてくれ)
朝倉(……わかりました)
智代「―――は!!」
ハルヒ「くっ!?」
ギィィィン
こなた「あー!!」
智代「よし……ピッチャーフライになったな」
ハルヒ「……く」
139:
キョン「アウト」
ハルヒ「……ごめん、こなた……」
こなた「大丈夫だって」
智代「ふう……よし、涼宮さんさえ押さえれば……」
こなた「……」
智代「―――は!!」
朝倉(え?少し甘い―――)
こなた「―――せい!!!」
キィィィン!!
智代「しまった!?」
春原「打った!!!ボールは左中間をてんてんとしているぅぅぅ!!!」
谷口「千鳥かなめ、涼宮ハルヒを乗り越えたことで油断し、ボールが甘くなりましたね」
みお「はしれはしれーーー!!!」
和「鶴屋さん!!」
鶴屋「まかせるっさ!!!」
149:
かなめ「ぬおぉぉぉぉお!!!!!」
朝倉「バックホーム!!!」
鶴屋「でやぁ!!!」
こなた「えぇぇぇぇぇい!!!」
春原「一塁ランナー三塁蹴ったぁぁぁ!!!」
谷口「泉選手も二塁蹴りましたよ!!!」
かなめ「はぁぁぁ!!!」
ズサァァ!!
キョン「セーフ!!」
澪「止まれ!!こなた!!」
宗介「―――止まるなァァァァ!!!!!」
みお「え?」
かなめ「宗介!?」
宗介「止まれば負けるぞ!!!戦士ならそのまま走れ!!!」
こなた「―――うん!!!」
150:
朋也「あいつ、いつの間に三塁側の客席に?!」
周防「……」パスッ
春原「周防選手、中継に入った!!!」
周防「―――ふ」
春原「まさにレーザービィィィィム!!!同点で押さえられるか!?それとも逆転かぁぁぁ!?!?」
谷口「どうなるぅぅぅぅ!?!?」
こなた「―――はや!?」
かがみ「こなたぁぁぁぁ!!!!死ぬ気で走れぇぇ!!!」
律「何かよくわかんないけど、いったれー!!!」
唯「がんばってー!!」
朝倉「ギリギリ、いける……!?」
こなた「―――どっせい!!!」
ズサァァ!!!
朝倉「―――これでおしまい!」
―――パン!!!
152:
キョン「―――セーフ!!!」
こなた「―――やったぁ!!」
ハルヒ「やるじゃないの!!!」
かなめ「足いのね、こなた!!」
渚「凄いです!すごいです!!」
澪「やるじゃないか!!」
みお「すごいすごい!!」
朝比奈「逆転ですね!」
長門「……」べしべし
こなた「いた!ちょ!!頭たたかないで!!」
朋也「はは……やりやがった」
宗介「流石だ。戦場に立つ者はいつでも雄々しくなければならない」
朝倉「すいません、会長」
杏「やるじゃない」
智代「……ふふ……すごいな……よし、みんな仕切り直しだ」
155:
春原「さあ、長門選手はまったく振らずに終わりました」
かなめ「だからー」
長門「無理」
春原「ただ今、チームSOSが2点。生徒会オールスターズが1点となりました」
谷口「好ゲームですねぇ」
春原「全くです。さあ、次は藤林椋選手からですよ」
かなめ「どりゃぁぁぁ!!!」
椋「きゃぁ!!」
春原「あーっと、全然当たりません!!!」
谷口「まあ、あんな超高校級の球なんて誰も打てないでしょう」
春原「とかなんとかいってるうちに、三者凡退ー!!さあ、いよいよ最終回だ!!」
智代「よし。ここを守って次で逆転だ」
朝倉「はい!」
鶴屋「面白くなってきたにょろ」
佐々木「うん」
159:
智代「―――はあ!!」
渚「わ!」
キョン「バッターアウト」
智代「―――せい!!」
みお「うわ!?」
キョン「バッターアウト」
智代「―――とどめ!!」
澪「きゃぁ!!」
キョン「チェンジ」
春原「見せ場なしだぁぁ!!!!」
谷口「まあ、坂上選手とのスペックに開きがありすぎますかねえ」
ハルヒ「しっかり守りなさいよ!!」
かなめ「まかせないって」
渚「打てなかった分、がんばります」
澪「お、おお!」
161:
和「……」
かなめ「はぁぁぁ!!!」
ギューーーン!!!
ズバーーーン!!!
和「こ、こんなの打てるわけ……」
智代「タイム!」
春原「おっと、どうしたんでしょうか」
谷口「なにか囁いてますね」
和「わ、わかりました」
智代「よし」
春原「さあ、なにをしかけてくるのか」
谷口「なんでしょうねえ」
かなめ「―――んりゃぁぁぁぁ!!!!」
和「―――えい」
春原「ここでバントだぁぁぁぁ!!!!!」
162:
コツン
かなめ「うそ!?」
ことみ「有希ちゃん!」
長門「……」
春原「長門選手動かない!!!どこまで受動的なのか!!!」
みお「あわわ……」
スルー
谷口「あーっと、長野原選手、トンネルだー!!!」
澪「まずい!!」
春原「レフトがカバーに入るが、真鍋選手は悠々と二塁にぃぃぃ!!!」
みお「ごめんなさい」
澪「仕方ないって」
ハルヒ「ちょっと、なにやってんのよぉ!!!」
澪「すまなかったよ」
裕子(―――この辺でいいかな?)
164:
智代「よし……一打同点だな」
かなめ「させるわけないでしょ」
智代「……」
かなめ「―――はぁああ!!!」
智代「ふ!!」
ギィィィ!!
キョン「ファール」
春原「いきなり当てた!!これはもしかしてもしかするぞー!!」
かなめ(ちょっと厳しめにいく。内角高めで)
長門「……(コク」
かなめ「―――でりゃぁぁぁぁ!!!!」
ズルッ……
かなめ「しまっ―――」
春原「うわぁぁぁぁ!!!!!失投だぁぁぁ!!!!甘すぎる球がストライクゾーンに向かっていくぅぅぅぅ!!!!」
智代「―――貰った!逆転サヨナラだ!!!」
167:
バァァァァン!!!!
智代「え?」
かなめ「は?」
朋也「なんだ!?ボールが消えたぞ!?」
春原「なんだ!?」
宗介「―――よし」
ダダダダダッ!!!―――スパーーーン!!!!!
宗介「千鳥、痛いじゃないか」
かなめ「なにやってんのよ!!!!」
宗介「応援だ。失投したようだったので、仕切り直させるために白球をライフルで粉砕した」
かなめ「アホかぁぁ!!!!」
智代「どうする?」
キョン「うーん……じゃあ、ボールで」
朝倉「えええ!?!?」
智代「ふふ……いいだろう。確かに打ってないし、このまま私が塁に進めば得点を得る可能性が薄くなるからな」
168:
かなめ「いいの?」
智代「ああ。もう一度、全力を投げてくれ」
かなめ「―――よし」
智代「……」
かなめ「はぁぁぁ!!!」
智代「ふ!!」
キィィィィン!!!
春原「打ったぁぁぁ!!!!!ジャストミーーート!!!!」
谷口「これはでかい!!!!レフト方向だ!!」
裕子(きたーーー!!!!)
澪「うそ!?」
みお「ぎゃぁぁぁああああ!!!!!」
かなめ「レフトバック!!!」
澪「そんなこといわれても―――」
裕子「―――みおちゃーーーん!!!こっちみてぇぇぇぇぇ!!!!!」
174:
みお「ゆっこ!?レフトスタンドでなにを―――」
裕子「みおちゃんのノートを見つけたんだけど、この裸の男の人って―――」
みお「―――ふざけんなぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!」
ダダダダダダダッ!!!
裕子「澪ちゃん、みてみてー」
澪「いや、それどころじゃあ―――」
みお「―――魂をもやせぇぇぇぇぇ!!!!!!」
ハルヒ「はや!?」
こなた「すご!?」
智代「なに!?」
澪「ちょ!?」
みお「うおぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!一般人にはみせられなーーーーーい!!!!!」
シュバ!!!
澪「フェンスに上った!?!?」
みお「返せーーーー!!!!!そのノートかえせーーーー!!!!」
175:
ハルヒ「澪!!みお!!!上!!」
澪「え!?」
みお「ん!?」
春原「ボールは伸びてる!!!」
谷口「これはスタンドにインかぁぁ!?!?」
澪「みお!そこから飛べ!!」
みお「無理だよ!!」
裕子「ノート返すねー!」
バサァ!
春原「秘密のノートも宙を舞った!!」
みお「―――ジャスティス!!!!!」
谷口「長野原選手、飛んだぁぁ!!!」
みお「―――ぐほぉ!?」
澪「球を背中で受けた!?」
春原「なんと!?ホームランボールが長野原選手によって阻まれたーーー!!!?」
178:
澪「ありがとう!!」
みお「は、はやく……なげ……」
澪「でも、私の肩じゃ……」
長門「……」
澪「長門さんが三塁に……よし!!」
春原「さあ、真鍋選手は三塁を蹴った!!!」
かなめ「長門さん!!」
長門「……」パスッ
和「ここまでこれば―――」
シュン!!
和「え?」
かなめ「―――はい、お疲れ」
キョン「アウト!!!」
かなめ「―――させるかぁぁ!!!おりゃああ!!!!!」
智代「しまっ!?」
182:
長門「……」
トン……
智代「な……」
キョン「アウトォォォ!!!!」
春原「三塁を狙っていた坂上選手を殺したー!!!」
智代「……すごい」
長門「作戦勝ち」
智代「誰が考えたんだ?」
長門「知らない」
智代「そうか……ふふ」
春原「さあ、最後のバッターとなるか、朝倉選手!!」
かなめ「……」
朝倉「……」
かなめ「―――はぁぁぁ!!!」
朝倉「……負けられない!」
185:
春原「試合しゅーりょー!!!!」
谷口「2対1でチームSOSの勝利ですね!」
智代「流石だ。涼宮さん」
ハルヒ「いえ、あなたこそ」
かなめ「はぁ……つかれたぁ」
渚「はい……あまり活躍できませんでしたけど」
朋也「古河はあまりじゃなくて、全くだな」
渚「酷いです!」
鶴屋「あっはっはっは、負けちゃったさ!」
杏「そうね……完敗」
みお「いたたぁ」
澪「大丈夫?」
智代「みんなよくやってくれたな」
ハルヒ「ええ、楽しかったわ!!」
キョン「やれやれ……やっと満足したか……ったく」
187:
こなた「さーかえろー!」
かがみ「ちゃんと汗を拭きなさいよ。風邪引いちゃうわよ?」
唯「澪ちゃんかっこよかったよー」
律「おう!最後なんて叫び声あげたぜ」
澪「あはは……」
みお「ちょっと、ゆっこ!!!なんてことしてくれたのよぉ!!!」
裕子「結果的には私のおかげでかてたからいいじゃん!!」
みお「そういう問題じゃないの!!!」
宗介「なんだ勝ったのに仲間割れとは感心せんな」
ハルヒ「さてと……まあ、これで私は生徒会長にならず済んだ訳だけど」
朝比奈「そういえば……どうして涼宮さんを生徒会長にしようとしたんですか?」
智代「彼女の凄まじい行動力は私にはないものだった。それにどこか彼女にはカリスマもあるようだったし、適任かと思ったのだが」
ハルヒ「ま、気が向いたらなってあげてもいいけど?」
キョン「やめとけ。次年度から入学生がゼロになるだろ」
ハルヒ「なんですって!?!」
189:
―――数日後
ハルヒ「えー、明日から夏休みなわけだけど」
渚「はい、そうですね」
ハルヒ「私は暇なのよね」
キョン「なんか言いだしたぞ?」
朋也「もう止まらないんだろ?」
朝比奈「あわわわ……」
ことみ「なにかするの?」
ハルヒ「ええ。最近、ナデシコジャパンがすごいらしいじゃない」
キョン「おいおい」
朋也「まさか……!!」
ハルヒ「もうみんなも呼んだし、今から早特訓よ!!!」
キョン&朋也「はぁ……」
ハルヒ「次も勝つから安心しなさいって♪―――さ、渚!!いくわよ!!」
渚「は、はい!がんばります!!」
       END
190:

192:
乙b
194:
乙おもしろかった
195:
乙!最高だった
198:

また書いてくれ
19

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エアバイブ出てないのに出た気がする現象

脳に微弱電流を与えて記憶力と注意力アップ&痛みの除去が可能と判明

行ってみると、控室にはなぜか女子高生の制服が

【マジキチ】女性10数人が性的暴行被害で泣き寝入り・・・・

【画像】カービィの漫画でこのシーンが未だに理解できないんだけど

友達多いし顔も広いって言われるけど何か居場所がない

【マジキチ】女性10数人が性的暴行被害で泣き寝入り・・・・

立命館大学1年の19歳・井上愛香さんがかなり美形 これは即ハボ

【速報】 白人のイケメンが凄い件についてwwww (※画像あり)

スカートめくりしたら反省文書かされた(´・ω・`)

『織田信奈の野望』BD-BOXが9月17日発売決定! 2期まだかよ

栃木女児殺害 捜査協力した霊能者は犯人の名前を言い当てた

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