梓「た、逮捕されちゃいました……」back

梓「た、逮捕されちゃいました……」


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6:
2009/11/11 16:53
 私は逮捕された。容疑はイチゴ強奪罪。手錠は輪ゴム。
 いたずら心で唯先輩のケーキのイチゴを横取りをしたのだった。
 唯先輩は涙を流しながら私の口の中で咀嚼されたイチゴを吸い上げていった。
 思いっきりディープなキス、ごちそうさまでした。
 だけど、その後が問題だったのです。
 唯先輩は中々機嫌を直してはくれず、私にあっかんべーをして、部室を出ていってしまったのでした。
紬「……困ったわね」
律「梓があんなことをするなんてな」
澪「いや、それより唯を止めるべきだったんじゃないか!」
梓「……次は、もんぶらんをお願いします、ムギ先輩」
8:
澪「梓、唯のキスを狙って奪ったのか?」
梓「はい」
紬「……や、やるわね」
律「スキルアップだ梓。おまえに伝える技はもう残ってない」
梓「ありがとうございました、師匠」
澪「犯人はおまえか!」
律「グーはやめてぇ」
 唯先輩を探すために、各々が校内を散策することになった。
 私が向かったのは、生徒会室。
唯先輩が困ったら、頼りにしそうな相手、和先輩がいるからだ。
 やがて生徒会室前へ辿り着き、ドアをノックする。
和「どうぞ」
梓「失礼します」
和「あら、梓ちゃん。軽音部はどうしたの?」
梓「実は――」
 簡単に事の成り行きを説明していった。
 和先輩は軽く溜め息を吐いてから、こう言った。
9:
和「たかがいちご程度で唯が出て行ったの?」
梓「かなり怒ってましたよ」
和「そう、よくわからないわね。まあいいわ。
 先に言っておくとここに唯は来ていないわ」
梓「……そうですか」
和「唯なら、憂のとこにいるかもしれないわね」
梓「……ということは帰ったのでしょうか?
 憂って放課後はどんな風に過ごしてましたっけ?」
和「図書室にいることが多いわね、それから帰り道でお買い物をして家事をするの」
梓「憂……立派な主婦です」
和「まだこの時間ならいるはずよ、行ってみたらどうかしら?」
梓「ありがとうございました」
11:
図書室へは生徒会室から3分も掛からない場所に位置している。
 同じ階層にあるから、当然と言えば当然なんでしょうが。
 入り口。木製の扉は、年季を窺わせていて、かなり風情がある。
 設備は古いが、この学校のクラシックな雰囲気は、とても気に入っている。
 図書室内に入ると、生徒の影がチラリチラリ。
 どうやら放課後に図書室を利用する生徒は多いようでした。
梓「……いませんです。憂も唯先輩も」
憂「あれ? 梓ちゃん、部活はどうしたの?」
梓「あ、憂。唯先輩みかけなかった?」
憂「うーん、見かけてないよ」
梓「そっか」
12:
憂「わっ、お姉ちゃんがどうかしたのかな?」
梓「……唯先輩が部活中に逃亡しちゃって」
憂「逃亡!?」
梓「そうなんだ、イチゴを食べちゃったばかりに」
 憂にも和先輩と同じように経緯を伝える。
 憂は、うーんと唸った後、
憂「機嫌を損ねちゃったんだ、それで梓ちゃんは謝りたくて探してるのかな?」
梓「そう。唯先輩、珍しく怒っちゃったし」
憂「どうやって謝るつもりなのかな? 
 一度怒らせると、お姉ちゃんを満足させないといけないよ」
13:
梓「まあ、謝罪がわりにクレープでも奢れば大丈夫でしょ」
憂「クレープ……いいかも」
梓「憂? 憂には奢れないよ」
憂「う、うん。大丈夫だよ! 憂は自分で買うから!」
梓「……なんか憂、今日はおかしいから早く帰ったほうがいいよ」
憂「う、うん。そうするね。じゃあお先に」
梓「……なーんか憂っぽくなかったなぁ」
14:
結局、全部の階を見回ったけど、唯先輩は見つからなかった。
 下駄箱で唯先輩の靴を確認できたことからまだ帰ってないはずなのに。
 何処に行ったんでしょうか。諦めて部室に戻ると、
唯「おかえりー、あずにゃん!」
 やたらご機嫌な唯先輩がいた。
 とりあえず、音楽準備室の扉を閉めて、もう一度開けた。
唯「……おかえり、あずにゃん、なんでドア閉めたの?」
梓「いえ、なんとなくです。さっきはすみませんでした」
唯「いいよ?、過去のことは水に流したよー」
 幻聴や幻視の類ではなかったようなので安心した。
 先輩方も全員が集合していた。
15:
律「遅かったなー梓」
梓「唯先輩は何処にいたんですか?」
澪「下駄箱だ。私が捕まえた」
紬「脱走犯、平沢 唯。無事、逮捕できました!」
梓「ムギ先輩?」
紬「私、学校で刑事さんごっこをするのが夢だったの?」
梓「……なんで唯先輩の機嫌が直っているんですか?」
唯「私は寛大だし! 海より広い心の持ち主だから許したんだよ?」
梓「……いささか腑に落ちないですが、よかったです」
16:
唯「今日は、寄り道して帰るんだよね! だよね!」
梓「……? 普通に帰りますけど」
唯「あ、あずにゃん! 私への謝罪は!?」
梓「さっきしたじゃないですか」
唯「……あ、あ、あずにゃんなんか大ッ嫌いだよ?!」
梓「……え? ちょっと待ってください。何がそんなに不満なんですか?」
唯「だってだって、あずにゃんがクレープ奢ってくれるって言うから?」
梓「……憂にしか話してなかったのに」
唯「それで、あずにゃんはクレープを奢ってくれるんだよね! ダブルアイス!
 チョコのトッピング付きで!」
梓「いやです」
唯「……ッ! 私、帰るよもう。あずにゃんにはガッカリだよ!」
 唯先輩はギー太と鞄を抱えて本当に部室を飛び出してしまう。
 呆然としてしまい、私は足を動かすことができなかった。
18:
紬「梓ちゃん、唯ちゃんの気持ちも考えてあげないと」
律「皆伝免許取り消しだな、こりゃ」
澪「唯……可哀相」
梓「……奢るのは機嫌を直すためであって、直ってるのに奢るのは不本意だったのですが」
紬「梓ちゃん……そうじゃないわ。梓ちゃんの誠意を唯ちゃんに示さないといけなのよ」
梓「私の誠意、ですか?」
澪「そうだな、梓は唯に誠意を見せないとダメだな」
紬「そうだ、私にいい考えがあるわ、仲直りをする、とっておきの方法よ」
梓「それは、どんな方法なのでしょうか?」
紬「それは、週末のお楽しみ?」
19:
と、ムギ先輩が期待を持たせたのは2日前。
 それから、私と唯先輩は口数が少なく、ふくれっ面をされてしまう日々を過ごした。
 唯先輩が抱きしめてこない日々に、価値なんてないなと、改めて思うのでした。
 金曜日の放課後、唯先輩がトイレに行った隙に、会議は始まった。
梓「明日、ですよね? 
 私、唯先輩とすれ違う日々にはこれ以上耐えられそうにありません」
紬「大丈夫よ、明日は駅前に13:00に集合してね」
律「乗ったぁ! 私も行く」
澪「……うん、私も気になる」
紬「唯ちゃんは、誰が誘う?」
梓「私が誘います。もし、来ないと言うのであれば、私は軽音部を辞めます」
律「おいおいおい、ちょっと飛躍しすぎじゃねーか」
梓「いえ、ほのぼのとした空気のないHTTはHTTじゃありませんから」
澪「……そうだな、じゃあ梓に任せてみるか」
律「フォローはしてやるから頑張れよ梓」
20:
梓「はい、任せて下さい。まずは目をみて謝るつもりです」
紬「そう、まずは梓ちゃんが向き合わないと始まらないの」
梓「わかってるです。私はそこまで不義理な人間じゃありません」
ガラッ
唯「たっだいまー」
律「おう、おかえりー」
唯「ムギちゃーん、紅茶一杯よろしくぅ!」
紬「ちょっと待っててね」
梓「あの、唯先輩……」
唯「あ、澪ちゃん! シャンプー変えた? いつもと艶が違うよ?」
梓「……」
澪「あ、ああ……」
21:
梓「唯先輩、話を聞いて下さい」
唯「りっちゃん、昨日の――」
律「唯、梓を見てやれよ」
唯「……むぅ」
梓「唯先輩、明日私とデートしてください」
唯「……」
梓「私の精一杯の気持ちを込めますから」
 唯先輩の瞳を焦点に捉えてじっと見つめる。
 見つめすぎて、唯先輩が目を逸らした。
唯「ん、わかった、わかったよ?、何処に行けばいいのかな?」
梓「駅前に13:00でお願いします」
紬「あら、ちゃんと言えたのね。はい唯ちゃん、お茶」
22:
唯「ありがとムギちゃん……みんなで仕組んでたの?」
律「違うよ、唯と梓のデートは私たちも同行するってこと」
唯「デートじゃないじゃん」
澪「でも唯は二人きりだと困るだろ」
唯「別に、困らないもん」
律「強がるなって」
唯「明日、駅前でしょ。行くから」
梓「お願いします」
23:
次の日、私はバッチリ私服を決め、デートスタイル。女の子らしくワンピース。
 髪の毛をツインテールからロングストレートに、雰囲気が少し変わるし……。
 駅前には唯先輩が既に到着していた。
 一応10分前には来てるのに、私より早く来ているのは嬉しかった。
梓「待ちましたか?」
唯「……あずにゃん、可愛いじゃん」
 可愛いじゃん、そっけなく言われたはずなのにドキっとしてしまう。
 悔しいです。
梓「唯先輩だって、おしゃれなパーカー着ててかわ、可愛いです」
唯「ふーん、ありがと」
 他に来ている人がいないか確認するがまだいない。
 どうやら私と唯先輩の二人きりのようだった。
唯「ねえ、あずにゃん」
梓「は、はい!」
唯「そんなに緊張しなくていいよ、私別にそこまで怒ってないから」
梓「で、でも最近あんまり会話してくれなかったです」
唯「お灸だよ、すぐに許しちゃうのもどうかな、って思ったし」
梓「ずるいです……」
24:
不眠になりかけたのに、唯先輩とどうやって会話しようかいっぱい考えて、
 どうやって謝るタイミングを切り出すか、ずっと、ずっと考えてたのに……。
 
唯「泣かないの……もう、私が泣かせたみたいじゃん」
梓「……っぐす、唯先輩が泣かせたんです」
唯「ふふ、知ってるよ?」
梓「ん、なにか余裕を感じます、ずるいです」
唯「だって、今回は私そんなに悪くないし?」
梓「うっ、たしかに私が悪かったですけど、意地悪です」
唯「うーん、意地悪な唯先輩は、あずにゃんにもっと意地悪しちゃうんだ?」
25:
唯先輩は私を引き寄せ、手で髪の毛を梳いていく。
 優しい感触に、もうどうなったっていい、なんて思ってしまう。
 こんな世界に、不満なんてないですから。
紬「えいっ!」
 ガチャン、と私の手首に何かが繋がった。
 びっくりして手首を引いたら、唯先輩が倒れこんできた。
律「おいおいっ! 大丈夫かよ……」
澪「こっそりはマズかったかもな」
梓「いつつ」
唯「大丈夫、あずにゃん?」
紬「ご、ごめんなさい。まさか倒れるなんて思わなくて」
27:
それより、私の手首に繋げられた物体に目をやると、
 唯先輩の手首にも同じものが付けられていた。
唯「て、じょう?」
梓「しかも、本物っぽいですね。やたら頑強です」
紬「それ、本物よ」
梓「えっ!? もしかして……これがムギ先輩の言ってた作戦ですか?」
紬「そうよ、二人の距離は15cmも離れることがない。
 こうすれば嫌でも仲良くせざるを得ない……完璧だわ」
律「でも、そんなことしなくてもいい雰囲気だったよーな」
紬「どうせなら、もっと仲良くなって貰いましょう!」
唯「もぅ、ムギちゃんやりすぎだよ?」
梓「そ、そうですよ! もう唯先輩は許してくれましたですし、
 外してください」
紬「ちぇー、ちょっと待ってね。今鍵を……」
律「おーいムギどうしたぁ?」
紬「……鍵、忘れちゃったみたい」
30:
梓「じゃあ今日は、というかしばらくはこのままってことですか?」
唯「……ま、いいか」
梓「いいんですかっ!?」
唯「うん、あずにゃんならいいよ」
梓「??っ」
 素でそういうこと言わないで下さい!
 嬉しくなっちゃいますから!
紬「ごめんなさい、デートが終わるまでには持ってきてもらうから」
澪「デートは続行するんだな?」
律「ってか、あたしらはあたしらで勝手に行動するから二人で楽しめ」
紬「デートをする女の子同士を眺めながらデートだなんて、ここは楽園なのかしら」
律「ということで、お二人さんはどうぞ好きなように行動しててくれ」
唯「……そうだねー、じゃーいこっか。あずにゃん」
梓「は、はいっ」
32:
電車に乗り、揺られること数十分。私たちは繁華街に来ていた。
 手をつないでいる。大変だったのが改札口。
 このままだと通るのが無理だったので、駅員さんに切符を見せて通らせてもらった。
 物凄く奇異な目で見られたけど、唯先輩の手の感触があったのでどうでもよかった。
 歩くたびにジャラジャラと手錠が音を奏でる。
 手を繋いでいないと、歩幅が違うので手首を傷めてしまうのです。
 
唯「ね、あずにゃん」
梓「なんでしょうか?」
唯「さっきからすれ違う人の視線が凄いね」
梓「私はもう気にしません」
唯「じゃあ、腕組んじゃおうよ」
梓「はい」
 密着する面積が広くなり、手を握る力を強めた。
 どうせなら、一生このままでもいいです。
34:
唯「どこ行きたい?」
梓「どこまでも、唯先輩とならどこでもいいです」
唯「プリクラでも撮っちゃおーよ」
梓「いいですね、賛成です」
 近くにあったゲームセンターに入る。大音量の音楽に出迎えられ、気分が高揚する。
 プリクラコーナーは、カップルか女の子同士以外の立ち入り禁止となっていて、
 設備も悪くなく、女子高生で賑わっていて活性化していた。
唯「刑務所っぽい背景とかないかな?」
梓「さすがにそんな背景は……」
唯「スタンプと落書きで作ろうか」
 正面と上方からの撮影。
 手錠を堂々と見せる形でピースマークをくっ付けた。
 ラストショットになった時、
唯「あずにゃん、こっち向いて」
梓「……きゃ!」
36:
正面から抱きつく形となる。顔を上げると、唯先輩の唇が目の前にあった。
 機械が無慈悲にもカウントダウンを終える。ゼロという音声とカシャっという効果音。
 その瞬間、私の唇に暖かさを感じたのは気のせいなんかじゃない。
 だって、唇が濡れているから。
唯「えへへ、初キスだね」
梓「こないだ、ディープでキスしてたじゃないですか」
唯「……ん? んんん……おおっ、そういえばそうだったかも」
梓「でも、これがファーストキスってことにしておきます」
唯「うん、そしてこの写真は――」
 落書きによってとんでもない仕上がりになったのでした。
 YUI☆AZUという文字の下に、くちびるGETとデカデカと赤文字で描かれたのです。
 果たしてGETされたのはどっちだったのでしょうか?
 満足そうな唯先輩を見ていたらどっちでもいい気がしてきました。
37:
唯「次はどこ行こうか?」
梓「そうですね……私タイヤキが食べたいです」
唯「たいやきでにゃんにゃんする?」
梓「はい、にゃんにゃんしたいです」
唯「よし、じゃたいやき食べようか」
梓「はい」
 都内の繁華街には基本的に何でもある。
 露店だろうが、占いだろうが、歩けば棒に当たるくらい発見できる。
 でもやっぱりクレープ屋が多いかな。スイーツ関係だと一番人気だし。
 ちょっと前まで白いたいやきっていうのが流行ってたけど、ブームなんてすぐに去っちゃうし。
 シンプルな生クリームチョコクレープが一番美味しいもんね。
 今はたいやきの気分だけど。
唯「あ、あそこにたいやき売ってそうだよ」
梓「綺麗なお店ですね」
 たいやき屋という割には、店構えがしっかりしている。小屋を改造したのでしょうか。
 窓ガラス越しに作っている所がよく窺えた。あんこ、カスタードクリーム、ジャムあん、
 さつまいもあん、あんこ、つぶあん、こしあん何でも揃っている。
 人も5、6人が並んでいた。私たちも後続して並んでいく。
38:
唯「あずにゃん何食べる?」
梓「私はつぶあんで」
唯「じゃ私はカスタードクリームにしよ?」
梓「え、じゃあ私もカスタードにしようかな」
唯「あずにゃんはあんこでいいんだよ?」
梓「どうしてですか?」
唯「食べあいっこができるから!」
梓「……ふふっ、そうですね」
店主「いらっしゃい」
唯「つぶあんとカスタードを一つずつでお願いしまーす」
店主「元気な子だね?、ん? どうしてそんな物騒なもの付けてるんだい?」
唯「ファッションです!」
店主「……最近の若い子は面白いわね?」
梓「納得しないで下さい、ちょっとした手違いです」
店主「なんか大変そうね、1個オマケしてあげるわ」
40:
結局、こしあん、つぶあん、カスタードと三つのたいやきが手に収まっていた。
 どれもきつね色に焼けていて、とっても美味しそう。唯先輩も私も、一口目を食べていった。
 
唯「あずにゃんあずにゃん、カリッカリのふわっふわだよ?」
梓「……本当です、美味しい」
唯「あずにゃん、あ?ん」
梓「……あ?ん」
唯「どう、カスタードも美味しいでしょ?」
梓「ふぁい、もぐもぐ……んっ、最高です」
唯「私にもあ?ん」
梓「あ、あ?ん」
唯「んくんく、んあーおいひいよお」
梓「あ、唯先輩口元にあんこついてますよ」
唯「えーとってとって?」
梓「……それじゃ失礼して」
 頬についた小豆色のあんこに口をつける。
 舌で唯先輩の肌の感触とあんこの食感を堪能していく。
 くずぐったい表情もまた素敵です。
41:
唯「お返し?」
梓「え? 私には何もついて――」
唯「ん……ちゅ……くちゅく……うん、美味しい」
梓「も、もう! いきなり大胆です!」
唯「いきなりじゃなきゃ、いいのかな?」
梓「だ、ダメです」
唯「え?、じゃあどうすればいいの??」
梓「こうすればいいんです」
 三つ目のたいやきを唯先輩の口に入れ、反対側から私が食べていく。
 頭は唯先輩、しっぽは私。意図が理解できたのか、ぱくぱくたいやきを食していく。
 ああ、食べ物で遊んでしまい申し訳ございません。
 でも、私は今とっても幸せなのです。これくらいは許して下さい。
唯「はぁ………ぁっむ…は…ぁ…………っむ…………」
梓「あぁぁ……っぁ…!」
唯「ん……っ、くっ……、あむっ!」
梓「んん??っ! んっ! んっ!」
唯「えへへ、あんこ味?」
43:
梓「……たいやきは最高です」
唯「私ももう満腹だよ?」
梓「はい、それじゃ、ちょっと休憩しましょう」
唯「ねーねーあずにゃん」
梓「なんですか?」
唯「後ろの3人、まいてみない?」
梓「……面白そうですね、デートを見られながら会話のタネにされてると思うとやるせないです」
唯「じゃあ、あそこのベンチで5分休憩したら、百貨店に入ろう」
梓「はい」
 古びた木製のベンチ、赤ペンキで色を塗られている。座っている人はいない。
 街の中にあるには景観から浮いてるかもしれないけど、ポツンと佇む感じがなんとなく私に似ていた。
 でも、私には唯先輩がいるから浮いてるわけじゃない。
 二人で浮いてるんだ。そう思うことにした。
 私が唯先輩の肩に頭をちょこんと乗せると、唯先輩が私の頭を撫でていく。
 このまま眠ってしまうのも、いいかもしれない。
 何で喧嘩してたんだろうって思うくらい、今の安堵感は確かだった。
44:
唯「はい、休憩終了! それじゃ作戦を実行します!」
梓「作戦名は?」
唯「逃避行、その果てはらくえんロケット! だよ!」
梓「状況開始……ですね。」
唯「りっちゃん達が私たちを見失えば終了だよ」
梓「ですが、どうやって撒くんですか?」
唯「走っていく?」
梓「明らかに無理です」
唯「手錠で繋がってるもんね……」
梓「撒くのは意外と簡単ですよ。エレベーター、出口が複数ある、地下駐車場があれば」
唯「うーむ、なるほどぉ……」
梓「それじゃあ、今度こそ」
唯「うん! いっちゃおー」
――――――
――――
――
47:
梓「――どうですか?」
唯「うん、まだついてきてるよ」
 大型百貨店に入った私たちは、後方から追跡してくる3人を確認しつつエレベーターに乗る。
 律先輩が慌てて追いかけてくるけど無慈悲にも扉は閉められた。
 階数は13階まである。素晴らしく広い。たった3人では追跡することは不可能。
 勝利を確信し、とりあえず最上階まで昇り、別口のエレベーターを使い2階まで降りる。
 あ、なんか股間が疼いてきた。
唯「……あずにゃん?」
梓「すみません。トイレに行かせて貰えないでしょうか?」
唯「……うん、いいよ」
 2階の女子トイレに入っていく。
 だけど、とんでもないことに気がついてしまう。
梓「……あれ? もしかして、一緒だったりします?」
唯「まぁ、取れないし。この手錠」
梓「私、我慢します」
唯「ダメだよあずにゃん! ぼーこーえんになったらどうするの?」
梓「なりませんっ!」
48:
唯「じゃあおしっこもらすまで我慢する? あずにゃん、一瞬の羞恥心を捨て去るだけでいいんだよ?」
梓「なんでこんな時だけ真面目なんですか!」
唯「……困ってるあずにゃんの顔が可愛いから♪」
梓「……むぅ?、唯先輩にはトイレしてるとこなんて見られたくないです」
唯「どうしてかな?」
梓「……言わせないで下さい」
唯「えー、言ってくれないとわからないよ?」
梓「……きだからです」
唯「聞こえなかったよ、あずにゃん」
梓「す、好きだからです! おしっこしてる汚いとこなんて見られたくないです!」
 ああ、もう! こんな恥ずかしい場面で告白なんてありえないです!
 顔見れないじゃないですか!
唯「好きだから、綺麗な部分だけを見つめて欲しいってことかな?」
梓「……っ、そうです」
唯「……あずにゃんに汚い部分なんてないよ?」
梓「じゃあ、唯先輩は私の前でおしっこできるのですか……」
50:
唯「できるよ」
梓「簡単に頷かないで下さい?っ!」
唯「もう、早く行かないとダメなんでしょ?」
 た、確かに……。
 さっきからふとももを擦り合わせて我慢してたけど、なんだかもう限界が近いです。
 仕方がないので、ピンク色のタイルに個室が12室完備された綺麗な所に入る。
 狭い空間で二人きり、それだけでも心臓バクバクなのに、トイレとなると叫び出したくなります。
唯「ワンピースだと、脱がしにくいね」
梓「もうちょっとで横のファスナーに指が届くのですが……」
唯「そうだ、私がスカート部分を持ち上げてるよ!」
梓「え、ちょ、ちょっと待っ――」
 膝上まであった裾部分が持ち上げられ、
 白いフリル付きのショーツが全開になってしまい、言葉を失う。
唯「あずにゃん、可愛いショーツだね。ちっちゃくてヒラヒラ?」
梓「ど、どどどう! なんてことしてくれるんですか!」
唯「私しかいないんだから気にしない?」
梓「……ずぅーと、このままの状態なんですか?」
51:
唯「ショーツも私が下ろしてあげようか?」
梓「じ、自分で出来ます!」
 繋がってない左手を使って、ショーツを下ろすものの、かなり恥ずかしい。
 だ、誰にも見られたことのない部分が今まさにに見られてしまう。
梓「あの、できたら目を瞑っていていただけませんか?」
唯「おっけー」
梓「……」
唯「……」
梓「早く瞑って下さい!」
唯「ちぇ、しょうがないなぁ」
 唯先輩が目を閉じたのを確認してから、ショーツを膝の辺りにまで下ろす。
 おしっこをするためにはしゃがまないといけないことに気づき、唯先輩に耳打ちした。
梓「しゃがんで下さい、座れません」
唯「うん、わかった」
梓「あの……どうして私の正面に?」
唯「見えやすいから♪」
53:
裾を持ちあげられ、しゃがみこまれると余計に恥ずかしくなってくる。
 でも、暗くてわかりにくいはず。さらに目は瞑っているんだし、だ、だ大丈夫だよ私!
唯「あーずーにゃん、まだー?」
梓「ま、待って下さい! 唯先輩の顔がすぐ近くにあると、だしにくいんです」
唯「りらっくすだよあずにゃん! 私が手伝ってあげるよ」
梓「絶対嫌な予感しかしないのでや――」
 ふぅー、ふぅーと冷たい吐息が送られてきた。
 くすぐったくて……あ、でも出てくる!
 じょ?って音が普段より大きく聞こえるのは意識がおしっこに向かってるからなのでしょうか?
唯「……ふふ、やっと出てきたね」
梓「って唯先輩! 目! 目閉じて下さい! 音聞かないで下さい!」
唯「あずにゃん、声大きいよ? 誰かに聞かれたらどうするの?」
梓「??っ」
 ぜ、全部おしっこが出終わるまでの時間が長いです!
 唯先輩は意地悪にも私のしてるとこ見てるし、止られない。
 ……も、もう開き直っちゃいます!
54:
唯「あーあ、終わっちゃった……でも、我慢したり焦ったりするあずにゃんが見れたから満足満足」
梓「……唯先輩も見せてください」
唯「ん? んーでも私今おしっこ出ないよ?」
梓「そんなわけないです。出ないなら、出させてあげます!」
唯「あ、あずにゃんに犯される……っ」
梓「犯しません! くすぐり地獄を味あわせてあげるです!」
 唯先輩を便座に座らせて、脇下を徹底的に責めていく。
 ギターで鍛えたフィンガーテクニックを披露するときが来たのです!
唯「え、ちょ、こらぁ! あ、あずにゃ! 待って! ま、あっは、ぱ、ぱんつ、お、おろしっ」
梓「待ちません! このまま漏らしやがれですぅ!」
唯「あっ! や! んぁ! ほ、ほぉんと! も、漏れちゃ、っからぁ! だ、ダメっ!」
梓「スカートはさすがに汚せません……」
 左手でくすぐりながら、右手で互いの指を絡ませ、口でスカートを咥えて持ち上げる。
 唯先輩のショーツがよく見えないのが難儀ですが、もう泣かせてやるです!
唯「で、でちゃう! あずにゃん待って、よ! あはっ、は我慢できな――っ」
55:
唯先輩のショーツに透明なシミが出来てくる。
 見えづらいけど、視界の端で少しだけ捉えることができた。
 つーっていう音がじょぉおおという音に変わっていく。
唯「ふぁああ! あずにゃんのばかばか! パンツびしょびしょだよ?!」
梓「……ふぅ」
唯「ふぅ! じゃないよ! もぅ! 脱がないとダメじゃん!」
梓「脱がして差し上げましょうか?」
唯「お願いしちゃおう……パンツ、好きにしていいよ?」
梓「べ、べべ別に何もしませんです!」
唯「じゃあ捨てちゃおうか」
梓「…………」
唯「……あずにゃん?」
梓「……も、もらいま――いえっ、ゴミ箱に捨てておきましょう!」
唯「……ほんとは欲しかったりしてー」
梓「わ、私はパンツに欲情するような変態じゃないです」
唯「欲情……?」
56:
しまった失言です!
 ここは冷静に……目を閉じて深呼吸をする。ほんのりと新鮮なおしっこの匂いがした。
 す、すいへいりーべぼくのふね! 3.1415926535……
梓「と、とりあえず! トイレから出ましょう!」
唯「あ、待って。まだパンツ脱ぎ終わってないよ?」
 目の前の光景はきっと天国。私は今天国への扉をノックしているみたいです。
 閉じた目を見開き、刮目して見入ることにする。
 ふとももにまで垂れたおしっこを拭いている唯先輩。
 ぐしょぐしょになったショーツを親指と人差し指でつまんでる唯先輩。
 ぐっじょぶ、私。
唯「……もう大丈夫かな」
梓「新しい下着を買わないとダメですね」
唯「……あーずーにゃーん」
梓「私が費用を持つので許して下さい」
唯「……今回だけだよ、許すのは!」
梓「はい」
 ――隙があれば何度でもやってやるです。
57:
トイレのゴミ箱に唯先輩の下着を捨ててから、こっそりと出て行く。
 それにしても人がこなかったのは僥倖でした。
 あんなの、誰かに聞かれてたら通報されちゃいます。
 
梓「すーすーしませんか?」
唯「するよー、今スカート覗かれたら私生きていけないよ?」
梓「大丈夫です。唯先輩は私が死守しますから」
唯「ここが百貨店でよかったよ?」
梓「はい、下着は私が選びますね」
唯「可愛いのじゃないと私はかないからね」
梓「任せて下さいです!」
 下着売り場は4階のイースト館。
 今はイースト館の2階なので、階段か、エスカレーターかエレベーターを使う必要がある。
梓「どうやって上の階に行きますか?」
唯「一番安全なのはエレベーターだよ」
梓「……そうですね」
59:
エレベーター前で立ち尽くす。こういう時に限って中々やってこないもの。
 唯先輩はむずむずしてるし、私はハラハラしている。
唯「うー、遅いよお」
梓「あと少しで来ますよ」
律「そうだな、あと少しで来るな」
梓「……」
律「ったく、いきなりいなくなりやがって、焦ったぞ」
唯「りっちゃん、後ろで見ててよ?、デートの邪魔禁止だよ」
律「いやな、おまえらがあんまりにも不憫でつい、な」
梓「不憫って、別にそんなことありませんけど」
律「いやだって、すげえ見られてるぞおまえら」
梓「もう気になりませんよ」
唯「あれ? 澪ちゃんとムギちゃんはどったの?」
律「下で待ってる。唯たちが出て行っても見つけられるように」
梓「運いいですね、律先輩」
律「ほんとそうだ。上の階からしらみつぶしに周って疲れた」
60:
唯「私たち、ランジェリー見に行くんだけどりっちゃんも来る?」
律「いや、私は正面口で待ってるから……逃げるなよ?」
梓「もう逃げませんよ」
唯「でもりっちゃんも面白かったでしょ?」
律「少しは……ああそうだ30分程度で降りてこいよー、それ以上待たせたら電話かけるから」
梓「大丈夫ですよ、下着を選ぶだけですから」
 エレベーターが到着したので律先輩とは一旦別れて、4階まで。
 ランジェリーコーナーは意外と広く、品数も充実していた。
 自分の分も買いたいくらいです。
唯「すっごーい! いっぱい売ってるよー」
梓「凄いですけど、ハデなのもいっぱいありますね」
 ガーターベルトやヒモパンみたいのはさすがに遠慮したいです。
 
唯「あずにゃんあずにゃん!」
梓「どうしましたか?」
唯「ほら、左の方にあるランジェリー可愛いよお?」
 唯先輩がサンプルを手にとって広げる。私の右手も同じように引っ張られる。
61:
唯「あれ? このショーツ、前に穴が空いてるよ?」
梓「そういうタイプなんですよ」
 いわゆる勝負下着。必要性は、あまり感じない。
 私や唯先輩が身に着けるよりかは大人のさわ子先生がつけるべきだと思う。
 あとは無理やり澪先輩辺りに罰ゲームで陥れたり……。
梓「1500円ですか、随分と安いですね」
 デートのセッティングのお礼としてムギ先輩にプレゼントでもするか悩むところです。
 たぶん顔を真っ赤にしてありがとうって言われるかもしれないですけど。
唯「あずにゃん、誰のことを考えてたのかな?」
梓「えっ!」
唯「私以外の人のこと、考えてたでしょ?」
梓「……はい」
唯「あずにゃん、私とのデートつまらない?」
梓「ありえません! 生きてきた中で一番楽しいです」
唯「このランジェリー、ちょっと私には似合わないよね」
梓「そ、そうですよ。こんなのは唯先輩には必要ありません!」
唯「うぅ……あずにゃんは、誰なら似合うかな?って思ってたのかな?」
63:
梓「……澪先輩とか」
唯「澪ちゃん」
梓「ムギ先輩とか……」
唯「ムギちゃん」
梓「さ、すぁ子先生とか」
唯「さわちゃん」
梓「はい、この人たちなら似合うかなあなんて」
唯「……私、これが欲しいよ」
梓「えぇっ!?」
 
唯「あずにゃんには、私がこういう大人っぽい下着は似合わないって思ってるんだもん」
梓「これは、大人というより変態……」
唯「ふんす! 私だってやればできる子だってことを証明しちゃうもんね!」
梓「変なとこにこだわる人だー」
唯「えーと、これはこのパックの奴でいいんだよね……」
 どうやら、購入することが決まったみたいですが、本当にこんな布面積も小さければ、
 あ、ああ、穴開きタイプの下着をはかれてしまわれるのでしょうか!?
64:
梓「……えへへ」
唯「あずにゃんが不気味だよ!」
梓「さぁ、行きましょう! はきましょう! 見せて下さい! 唯先輩の闘志を!」
唯「え? う、うん」
 レジに持っていき私がプレゼントとして購入。
 店員さんがにこやかに笑っていたのは、手錠を見たからなのでしょうか。
 繋がれた手を見たからなのしょうか。それとも、つらいからなのでしょうか。
 早トイレに行って、唯先輩に手渡す。
 そうだ、私が……。
梓「唯先輩、片手じゃはけないですよね?」
唯「うーん、そうかも」
梓「私が半分持つので、唯先輩はもう片方を持って下さい」
唯「ありがとうあずにゃん」
 スカートをたくしあげると……ごほっごほっ。
 表現は憚れるです。いや、これは表現してはいけないZONEであることに間違いないです。
唯「あずにゃん、顔が緩みきってるよー」
梓「そ、そんなことありません! 私の顔はキリッとしてます!」
唯「目だけキリッとされても……」
65:
便器に座らせた後、靴を脱がせ、ショーツタイプのランジェリーを左足、右足と通していく。
 このとき、唯先輩の脚が持ち上がり鼻血ものの光景を目にしました。
 膝を通して、ふとももにまでラメがかすかに光るランジェリーが通っていく。
 このとき、さりげなくふとももを撫でていきます!
唯「あ! あずにゃん、くすぐったいよ?」
梓「すみません、手が滑ってしまって」
唯「そっか?、それならしょうがないよね?」
梓「はい、仕方ないんです」
唯「はきおわったけど、すっごくスースーするよー」
梓「それはそんなに小さい下――」
 ばっさばっさとスカートを持ち上げて風を送る唯先輩。
 っく! 見える! 見えます! 至福なスイーツが見えてしまいます!
 眩しすぎて目がくらんできました……。
唯「のっくだうん? 大丈夫あずにゃん?」
梓「待って下さい。今脳内に画像をキャプチャー中ですから」
唯「ばっさばっさ」
梓「な、名前をつけて別保存です!」
唯「……面白いかも」
66:
しばらく唯先輩といちゃいちゃしていたら電話のコール。
 律先輩だった。なんと、30分なんてあっという間でした。
唯「それじゃ戻ろうか」
梓「そうですね」
 トイレから出て、そのまま百貨店の外へ。
 ガードレールに腰掛けていた律先輩が手を挙げ、澪先輩とムギ先輩も近づいてくる。
 
紬「お待たせ、鍵を持ってきたわ?」
澪「後ろから見ててハラハラしたぞ、途中からドキドキに変わったけど」
律「公道で堂々といちゃいちゃされればなー、見てた私たちが虚しくなった」
唯「りっちゃん……私たちは大人の階段をのぼったんだよ」
梓「3段くらいのぼりましたね」
紬「わ、私たちが見ていない数十分で一体なにが……?」
梓「それは秘密です」
唯「うん、秘密秘密♪」
澪「そこはかとなく気になるぞ」
 ムギ先輩が私たちの手錠を外し、鞄の内ポケットに収めた。
 手首にあった重しがなくなっただけで、すごい開放感を得られる。
67:
だけど――
紬「唯ちゃん、梓ちゃん。もう手を離してもいいのよ?」
澪「ほら、手首が赤くなってるぞ、大丈夫か?」
唯「いいんだよ、私たちはこのままで」
梓「はい」
律「……」
梓「だって、私たちはずっと繋がっているのですから――」
 2009/11/14 16:53
 私は再逮捕された。容疑はハート強奪罪。手錠は赤い糸。
 だけど、私だけが逮捕されたのではない。
 私と唯先輩はお互いにお互いを逮捕し合っているのです。
 
澪「見えない絆か、甘く響く魂の鼓動が聞こえてきそうだ」
律「いや思いっきり目に見える形で表してるぞ、つか変な表現するな」
紬「幸せそうでいいわぁ」
唯「あずにゃん」
梓「はい」
唯「好きだよ」
69:
私は答えた。とびっきりの笑顔と甘い唇で。
 好きな気持ち伝えるのは言葉だけじゃない。
 必要なとき、必要以上に伝えることができること。
 それを、ただやっているだけなんです。
 でも、誰だってそうしてるんです。
 好きな気持ちを伝えることの難しさを、頭の中で考え、心で感じて、
 笑って、泣いて、落ち込んで、また笑う。
 今回は、道具に頼ってしまったこともありましたが、私はそれを厭わないです。
 唯先輩はこの世に1人しかいないのですから。
 卑怯でも、運でも、使えること、できることは試す。
 その貪欲さが、人を変えることのできる鍵、なのです。
澪「でも、唯はなんであんなに梓に怒っていたんだ?」
唯「好きだったからだよ。私はね、
 あずにゃんならしないだろうなーってことをされたからびっくりしちゃって」
梓「私は好きだからこそ、その場でちょっと怒られる程度だと思っていました」
唯「あずにゃん、次にケーキのいちごを取ったら、あずにゃんのイチゴを食べちゃうからね」
梓「はい、ぜひお願いします」
71:
律「帰るか……これ以上聞いてたらドラムを無性に叩きたくなる衝動に駆られちまう」
澪「……そうだな、こうスラッピングでベンベーンとベースを弾きたくなるな」
紬「結婚式と披露宴は、ぜひ私たちも呼んでね」
梓「勿論です。律先輩と澪先輩も来て下さい」
律「ご馳走様!」
唯「りっちゃん、おかわりは?」
律「謹んで遠慮させていただきますざます!」
 こんな日々がずっと続けばいい。
 子どもながらにそう思ってしまう。
 だけど、時間は人を変えていくということを私は知っている。
 中学までの私と高校生の私。全然違うから。
 これから大学生になって、社会人になって、何になれるのだろう。
 考え出したらキリがなくなります。
 だから私は、今を精一杯楽しむことにします。
 現在を楽しむためには、未来のことは考えなくていいんです。
 目の前にある幸せを、ありのまま受け入れることが、私の青春なのですから。
唯「あずにゃん、難しいことは考えなくていいんだよ」
梓「どうして唯先輩は私の考えてることがわかるのですか?」
唯「知りたい?」
72:
梓「はい、教えてください」
唯「それはね……ひーみーつ!」
梓「あぁ! そういうとこで隠し事なんてずるいです!」
唯「手を繋げば、それでいいんだよ」
梓「答えになっていません!」
唯「中野あずにゃん!」
梓「は、はいっ!」
唯「私はあずにゃんを逮捕します。容疑、可愛いは正義。
 罰は私とずーっと一緒にいること。問題は?!」
梓「ありません!」
唯「私とあずにゃんは、永遠に、逮捕しあわなければいけないのだー」
梓「永遠に……」
唯「はい、あずにゃん捕まえた!」
梓「た、逮捕されちゃいました……!」
END
73:

二人のラブラブっぷりに俺も逮捕されそうです
75:
良い話だった

76:

良かった
81:
乙。大変よろしい
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