カイジ「安藤!古畑!チョコを買い占めるぞっ……!」back

カイジ「安藤!古畑!チョコを買い占めるぞっ……!」


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6:
カイジ「そもそもチョコレートなんかもらったところで食わねぇし……」
カイジ「まあビールならもらってやってもいいけど……」
カイジ「チョコレートって……はあ?……いらないいらないそんなもの……」
カイジ「……」
テレビ「今日はバレンタインデーです。皆さん大好きなあの人にアタックするチャンス(ry」
カイジ「やかましいっ……!」ガスッ
7:
カイジ「そうっ……この空気だっ……俺が嫌いなのはっ……!
もらわないと負けだみたいに扱うこの世間の流れっ……これがそもそも悪いっ……!」
カイジ「バレンタインデーはチョコが全てみたいな風潮っ……やめろってっ……! いらないんだからっ……本当にっ……押し付けるなっ……クリスチャンっ……!」
10:
カイジ「くだらねぇ……」ゴロゴロ
カイジ「クソッ……」ゴロゴロ
カイジ「何泣いてんだっ……俺っ……」
カイジ「また逆戻りするつもりかっ……あの頃に……希望の船に乗る前の俺に……!」
希望の船、エスポワール。
カイジが一番始めにくぐった死線。
カイジはそれからもいくつもの死線を乗り越えて来た。
絶望の城……悪魔のパチンコ、人喰い沼……地雷麻雀十七歩など……。
その場所場所で苦しみ、もがき、しかし生還して来た。
14:
今日という日もまた、カイジにとって死線。
命がかかってないだけマシと言うものもいるかもしれないがバレンタインでチョコ0、もしくは母親だけからなど男にとっては死も同然、この日はチョコが全てっ……!
チョコイズマネーっ……!
いくら興味がない振りをしたところで世間からすれば侮蔑っ……哀れみの目で見られるっ……つまりは負けっ……圧倒的敗北っ……戦ってないのに敗北というレッテルが貼られる恐ろしい日なのだっ……!
カイジもまたそれに気づいていた、故の苦悩……焦燥……敗北感っ……!
17:
カイジ「……っ」
だがカイジは動けないっ……先程チョコには興味ないと憤慨しておきながら今更チョコをもらう為に必死になりたくはないと言うプライドっ……それが自身を束縛っ……!
カイジ「」ゴロゴロ
故にこうして部屋で身を固持っ……もしかしたらかつてバイトをしていた時の知り合い、西尾という女がわざわざカイジの部屋を訪れてチョコを持って来てくれるかもという淡い妄想をするもそんなことはあり得ない
しかし、
カイジ「……あっ……いたっ……俺にチョコを持って来る唯一の女がっ……!」
26:
美心『カイジくぅ?ん……私をた・べ・て(はぁと』
_ _______
 0o。
 カイジ「」ざわ……ざわ……
カイジ「ふざけるなっ……あんなやつのチョコなんているかっ……マイナスっ……あいつからもらったら寧ろマイナスっ……!」
カイジ「というか俺はチョコが欲しいのか……? そうじゃないだろっ……! そもそもバレンタインなんて日がなけりゃ……」
カイジ「あっ……」
カイジに電流走る──
カイジ「あっ……ああっ……!」
そうかっ……なくせばいいんだ……バレンタインっ……!
圧倒的閃きっ……!
31:
カイジ「しかしどうやってなくす……相手は国レベルの行事っ……今までとはわけが違うっ……」
カイジ「俺みたいなぺーぺーがバレンタインを無くそうなんて言ったところでなくなるわけもない……それにそんなこと言おうもんなら女からは憤豪っ……罵詈雑言の嵐っ……チョコを貰えるやつからも哀れみの目っ……それは避けたい」
カイジ「ならやっぱりバレンタインデーという日をなくすよりその行為を出来なくしてやる方が現実的……つまり……チョコ……チョコレートをなくすっ……消すんだっ……日本中からっ……!」
32:
そう口では言ってみたものの現実的に考えて日本中にあるチョコレート菓子、原料を消すとなると莫大な費用がかかる。
チョコレートとはカカオ種子を発酵、焙煎したカカオマスというものを主原料とし……これに砂糖……ココアバター、粉乳などを混ぜて練り固めたお菓子である。
つまりこのどれかをなくすのがチョコレートを消すことに繋がる。
カイジ「砂糖はまずいか……なくすことで家庭に打撃が行くものは駄目っ……俺の目標はあくまでバレンタインで浮かれているやつら……」
カイジ「となると……やっぱりカカオか……」
33:
カイジ「でもわざわざカカオマスから作るやつなんて少ないはず……原材料はとりあえず無視しよう……となればやはり……」
ここでも思い出されるのはエスポワールでの出来事。
カイジらが限定ジャンケンを勝ち抜く為に行なったこと……即ち買い占めである。
カイジ「チョコ菓子を買い占めるっ……一つの残らずだっ……」
財布を手に握りしめコンビニにダッシュっ……
だがここでカイジは思い知ることとなる……バレンタインデーという日を……!
34:
「いらっしゃいませー」
カイジ「なんだ……これ……」
カイジの目に飛び込んで来たのは……
チョコ……! チョコ……! チョコ……!
チョコ菓子の山っ……!
バレンタインデーフェスタと銘打ちお菓子業界がこれでもかと言わんばかりの販売戦略。
これにはカイジも唖然っ……呆然とせざるを得ないっ……!
数えるだけで優に数十種類のチョコレート菓子が処狭しと鎮座っ……
これを買い占めるとなっては一店舗に一体いくら使うことになるのか計り知れない……!
38:
カイジ「ぐっ……」
膝をつくカイジ。この時のカイジの残高、214円っ……。
現在の貨幣価値に換算しても……214円っ……!
財布の中身までバレンタインデーを祝福するかのような残高にカイジは心折られるっ……!
カイジ「帰ろう……」
踵を返し、コンビニ、いや、バレンタインという日から立ち去るカイジ。
カイジ「外にも出ずにテレビもつけなきゃいい……クリスマスの時と一緒だ……」
そうカイジが諦めようとした時……
佐原「あれ? カイジさんじゃないッスか……?」
39:
カイジ「えっ……佐原? お前なんで……死んだ筈じゃ……」
佐原「何言ってんスかカイジさん……。運良く服にリフトが引っかかって助かったって前言ったじゃないッスか……」
カイジ「えっ……そうだったか……?」
佐原「いやー……あの時はマジで死んだと思いましたよ……走馬灯ってやつ見えましたし。やっぱり人間楽して金得ようとしちゃダメッスよね……」
カイジ「あ……あぁ……」
40:
佐原「それでどうしたんですか……? そんなシケた顔して……。あっ、もしかしてバレンタインでチョコ貰えないから嫌気が差してるとか?」
カイジ「ぐっ……」
図星っ……
カイジ「お前には関係ないだろっ……お前みたいな……貰える人間からしたらっ……!」
佐原「ハハッ……そう見えます?」
カイジ「……ああ。で……どうなんだっ……もらったのかもらってないのかっ……!」
佐原「カイジさんと同じッスよ……俺もチョコ0……つまりは貰えない側の人間……ってことッスかね」
41:
カイジ「佐原……お前……本当か? 俺に遠慮して……」
佐原「よして下さいよカイジさん。こんなことで嘘なんかつきませんって」
カイジ「そうか……いかにももらってそうなのにな……」
佐原「……やっぱそう見えます?」
カイジ「ああ……」
佐原「それなんスよね……。もらってもないのにもらえそうな奴って勝手に期待する……いい迷惑ッスよこっちにとっては。その分カイジさんみたいに明らかに貰えないって思われてる方が気が楽……なんせこっちは板挟みッスから」
カイジ「明らかに貰えないは余計だっ……!」
43:
佐原「雰囲気イケメンだの髪型イケメンだのって言われても結局はこんなもんッスよ……とどのつまり貰えない……」
カイジ「……」
佐原「カイジさん、だから俺もバレンタイン嫌いなんスよ……」
カイジ「佐原……」
佐原「何か面白そうなこと考えてんでしょ? そういう顔してますよカイジさん」
カイジ「……佐原、手伝ってくれるか?」
カイジは佐原に自分の考えていたチョコ買い占めの計画を語る。
佐原はそれを笑うでもなく冷静に聞いていた。
44:
佐原「面白いッスね……それ」
カイジ「だろ?」
佐原「もしかしたらバレンタインデーを消せるかも……資金はどれぐらいあるんスか?」
カイジ「……214円」
佐原「……はっ?」
カイジ「214円だっ……!」
佐原「……カイジさん……」
カイジ「言われなくてもわかってるっ……無謀ってことぐらい……!」
佐原「違いますよ……これ」
そう言うと佐原は茶封筒を取り出しカイジに手渡す。
カイジ「……これは!」
中には10万が入っていた……!
47:
カイジ「佐原……お前」
佐原「それ……ギャンブルかなんかで増やしてくださいよ。ここら一帯のチョコ菓子消せるくらいの金にしてきてください……! 俺なんかじゃ無理でも……カイジさんならっ……!」
カイジ「佐原……佐原よぉ……!」
カイジ、佐原の心意気に男泣きっ……!
カイジ「貰う側の人間だとか少しでも軽蔑して悪かったっ……! すまない佐原っ……!」
佐原「いいんスよカイジさん。俺にはこんなことぐらいしか出来ないッスから……それじゃそろそろ休憩終わるんで行きますね……」
カイジ「ありがとう……佐原っ……!」
48:
佐原「あ、勘違いしないでくださいよ? ちゃんと後で色付けて返してくださいね」ニコッ
カイジ「あぁっ……バレンタインを消したら働いてでも返してやるっ……だから心配するな佐原っ……!」
佐原「その言葉聞いて安心しましたよカイジさん……。じゃあ頑張って……」
カイジ「佐原……俺はお前の為にも必ずバレンタインを消すっ……待ってろよっ……佐原っ……!」
49:
コンビニ
佐原「相変わらず面白そうなことしてんなカイジさんは……」
バレンタインをなくす?
無理無理そんなこと……。
佐原「でもまあ本当ちょうどいい時に来てくれるよな……。色付けて返すって言ってたし……」
店長「なあ佐原」
佐原「あ、店長。なんスか?」
店長「あそこの上に置いといた茶封筒知らないか?」
佐原「いや、知らないッスけど」
店長「あっれ?……おかしいな……」
佐原「ククク……」
50:
西尾「佐原さーん一緒にチョコレート食べませーん? 大福もありますよー」
佐原「マジで? 食べる食べる。店長も一緒にどうッスか?」
店長「あ? ああ……もうちょっと探してから行くよ」
佐原「そうッスか」
西尾「あ、これチョコレートどーぞ」
佐原「悪いね?今度お返しにどっか付き合うよ」
西尾「それってデートの誘いですかぁ??」
佐原「あっはは、違う違う」
ふふふ……頑張ってくださいね……カイジさん。
店長「おっかしいな?……佐原の給料どこにやったかな……」
52:
競馬場
カイジ「10万じゃ足りない……どれぐらい金がいるかわからないが少なくとも億単位はいる筈……なら沼のような高レートなギャンブルをする必要がある……。
その場に立つには10万は余りにも少ない……そう思い競馬場に来てどれぐらい経ったろうか……」
気がつけば10万は紙屑と化していたっ……!
佐原の給料は馬券へと消え、手持ちは再び214円っ……!
カイジ「佐原よぉ……っ」
そう簡単に増やせる程現実は甘くない……チョコのようにはいかないっ……!
54:
どれだけ立ち尽くしていただろうか……このままバレンタインデーが終わってしまえばいい……だがバレンタインデーはまだまだ残されている。
カイジ「……」
とにかく競馬場を後にしようとしたカイジだったが……
カイジ「あれ……?」
古畑「」
思いがけない人物を目撃するっ……!
カイジ「古畑……古畑じゃないか……!」
古畑「カ、カイジさん……?」
55:
カイジ「このクズっ……やり直すとか言って結局元の鞘かよっ……!」
古畑「カイジさんこそっ……!」
カイジ「ちっ……」
濁す為に無造作に煙草に火を付けるカイジ。
カイジ「ふぅ……で?」
古畑「えっ……?」
カイジ「もらったのか……?」
古畑「……? 何がッスか……?」
カイジ「……チョコ」
古畑「……は?」
カイジ「今日チョコレートもらったのかって聞いてんだよっ……!」
56:
古畑「いや……もらってないッスけど」
カイジ「……だよな」
古畑「カイジは……?」
カイジ「こんな場所にいるやつがもらうわけねぇだろわかれよっ!」ボカッボカッ
古畑「カ、カイジさんっ……! ぼ、暴力はっ……!」
カイジ「ちっ……で、今バレンタインデーをなくす為に動いてたんだよ……」
古畑「バレンタインデーを……なくす?」
カイジは古畑にこれまであったことを話した。
57:
古畑「それって夢じゃないッスか……! モテないやつの……貰えない側の人間にとっては……!」
カイジ「だろ?」
古畑「で……資金はどれぐらい……」
カイジ「……214円」
古畑「は……?」
カイジ「214円だよっ……!」
古畑「佐原っていう人から借りた10万は……?」
カイジ「……さっきのレースでスッた」
古畑「はあ?……カイジさん……あんたって人は……」
カイジ「うるせぇっ……裏切った癖にっ……!」ボカッボカッ
古畑「す、すいませんカイジさんっ……いたっ……痛いからっ……」
58:
カイジ「で……協力するよな当然」
古畑「はあ……いいッスけど俺も金ないッスよ?」
カイジ「いくらだ……?」
古畑「3000円と馬券ッスね……」
カイジ「馬券ってこのレースのか?」
古畑「ええ。一発逆転大穴狙いッスよ」
カイジ「大穴……?」
古畑の買った馬券は2-6の連番。
つまり……。
カイジ「2番……バレンタイン……6番ミココノチカラって1000倍じゃねぇか……! いくら賭けてんだ……?」
古畑「1000円ッス。来れば1000万ッスよカイジさん……!」
62:
カイジ「はあ……来るわけないだろ……。ていうかお前もしかしてさっきからずっとそんなやり方で賭けてんのか……?」
古畑「元々1万しかなかったんで……」
カイジ「はあ?……まるでダメ……相変わらず能天気……それじゃまたあの船に乗ることになるぞ……」
古畑「じゃあさっきカイジさんはどう賭けたんスか?」
カイジ「単勝一本に決まってる……単勝は馬連や枠連に比べて控除率が低い……つまり戻しがいいってことだ……」
古畑「控除率が良くてもハズシてりゃ世話ないッスよ……」
カイジ「うるさいっ……」ボカッボカッ
古畑「か、カイジさん始まりますよレース!」
65:
カイジ「来るわけねぇだろ……」
再びタバコに火を付けるカイジ。古畑は興奮したように両手を握りしめ自分の賭けた馬を応援している……。
カイジ「(競馬なんてもんはこの時だけの為……言わば高揚感を買ってるようなもの……一種の麻薬だ……終われば覚める……現実を嫌でも見さされる……バレンタインデーという現実を……)」
古畑「ほらっ! カイジさんも応援してくださいよ! 当たったらチョコレートでも何でも買い占めてやりますよ!」
カイジ「はいはい……」
カイジ「(さっきの俺もこんな顔してたのかぁ??アホらしい……間抜け顔にも程がある……)」
そしていよいよレースは後半、最後の直線へ。
67:
特等席
「ふんっ……来るわけがない……あんな馬が……」
「ククク……」
「なるほど……確かにバレンタインとミココノチカラならそうかもしれない」
「な… なにぃ……?」
「ククク……擦り替えさせていただきました」
「バカなっ……! そんなことがあってたまるか……!」
「ならあの馬は……!」
「そう……二頭ともラムタルです……!」
「バ、バカな……!」
68:
『おっと?これはどういうことでしょうか! 後ろからぐんぐん差を詰めてくる二頭がいるぞ?!!!』
カイジ「えっ……」
古畑「カイジさんっ……来ましたよ……!!」
『猛烈に追い上げて来たのは2番バレンタインに6番ミココノチカラ! 早い早いどんどん追い上げてくるぅぅぅぅぅぅ!!! 先頭まで残り4馬身!!!』
カイジ「嘘だろおい……!」
古畑「そこだっ……! いけっ……!」
カイジ「……いけっ! いけっ……バレンタインミココノチカラっ……!」
気づけばカイジも身を乗り出して応援っ……!
70:
バレンタインを消すために動いていた筈がいつの間にか応援しているという珍事……勿論意味合いは違う、が。
カイジ「差し込めっ……美心!!! 馬面ねじ込めっ……!」
『先頭のヒジアマゾンに迫るか? 追い抜くかっ!? そして今三馬同時にゴール!!!!!! 写真判定となります!!!』
カイジ「い……今のバレンタインとミココノチカラだよな?」
古畑「え……ええ……多分」
カイジ「あんたっ……さっきの2-6だったよな……?」
黒沢「アジフライ食ってたからわかんねぇな」
カイジ「ぐっ……バレンタインっ……ミココノチカラっ……」
願うかのように掲示板を見つめる二人……。
72:
一等 2番
二等 6番
カイジ「はは……はははは」
古畑「カイジさん……カイジさんっ!!!」
カイジ 「よっしゃああああああああああああ」
古畑「うおおおおおおおおおおおおおおお」
雄叫び。バレンタインで男二人で抱き合いながら歓喜っ……!
人はとてつもない喜びと相対した時、誰かと分かち合いたくなる。
それの典型……。
カイジ「これでバレンタイン潰せるなっ……古畑!!!」
古畑「……」
しかし、現実に戻ればそれも終わる。
73:
古畑「いや……その……あれは物の弾みって言うか……そもそも1000万でチョコ買い占めるなんてアホらしいじゃないッスか……ねぇ……カイジさん……?」
カイジ「おいおいおいおいっ……さっき当たったらチョコでも何でも買い占めるって言ったろっ……! あれは嘘かっ……!?」
古畑「いや……その……奢りますから! パァーとどっか飲みに行きましょうよカイジさん!」
すり替え……。
カイジの話したチョコ菓子買い占めという無謀な作戦の前には1000万とて造作もなく消える。
それを悟った古畑はすぐさま他の餌でカイジを誘導……保身……こうすればカイジも自分を殴ったりはしないだろうと言う安易な考え……。
74:
カイジ「このっ……」
古畑「ひっ……」
古畑「……あれ?」
咄嗟に身構えるも何も来ない、古畑は意を決して防御した腕の間からカイジを見た、すると……。
カイジ「うっ……なんでだよ古畑……」
古畑「カイジさん……何泣いてんスか……」
カイジ「あの船であれだけ金に踊らされたのに……まだそんなもんに執着するのかよっ……!」
古畑「……」
カイジ「人間金だけじゃない……確かにその1000万をはべらせれば安い女はほいほいついてくるだろ……チョコぐらいくれるかもしれない……けどな……」
カイジ「それはお前の為じゃないっ……金の為だ……! また金に踊らされたいのかお前はっ……! 古畑ァ!」
75:
古畑「ぐっ……ぐふんっ……うぇふっ……」
気づけば古畑も泣いていた……!
古畑「そうッスよね……そしてまた金がなくなったらこんな暮らしの繰り返し……俺達が真にチョコレートなんてもらう日なんて来ないんスよね……」
カイジ「ああ……だからよぉ古畑……二人で消してやろうぜ……! バレンタインデーっ……! そしたら金はなくとも心には風穴が開くっ……これからどんなことがあってもやっていけるっ……! そんな気がするんだ……」
古畑「はいっ……はいっ……やりましょうカイジさんっ……!」
カイジ「古畑……次は裏切るなよ?」
古畑「当たり前ッスよカイジさん! 二人でバレンタインと言う日に風穴を開けてやりましょう!!! 歴史に名前を残しましょう……!」
76:
「なんだありゃ……男二人抱き合って気持ち悪りぃなおい……」
「まあまあそう言ってやるなよ。大方俺達の馬に賭けてバカ勝ちでもしたんだろあの感じじゃ。まあああいうやつらがいるから俺達が食っていけるわけで……」
「全くだな。しかし今回は危なかったな銀さん……」
「ああ……本当ギリギリだったよ……負けてりゃああなってたのは俺達だ……」
「まあこれでも食えよ。勝った景品だ」
「ん……? なんだこりゃ」
「チョコレートだよ。さっき安田が暇つぶしに女の子と話してちょこまかして来たんだと」
「ちょろまかすとは失礼だなおい。くれたんだよ」
「……俺はいい。チョコレート何かより森田が欲しいよ」
「ははっ、違いねぇ」
77:
居酒屋
カイジ「とりあえず乾杯……!」
古畑「乾杯……!」
カイジ「」ごくっ……ごくっ……
古畑「」ごくっ……ごくっ……
カイジ「ぷはぁっ……殺人的だな相変わらず……! なんでチョコレートなんか欲しがるかね?……」
古畑「酒の方が絶対いいッスよね」
カイジ「全くだ」
ハハハ、と笑い合い、いよいよ本題へと移る。
古畑「で……これからどうするんですか?」
カイジ「まずは大手のスーパーからチョコを消す。大体義理チョコ、本命チョコを作るにしてもスーパーで買い物するやつがほとんどの筈だ……」
古畑「なるほど……」
78:
カイジ「買い占めるのは溶かしてチョコだけが残るもの……余裕があればチョコの中にアーモンドとかブランデーが入ってるやつも買い占めたい。本命チョコだけはなんとしても防がなきゃな……」
古畑「ええ……」
カイジ「」ごくっ…ごくっ……
カイジ「ぷはァ……! スーパーが終われば次はコンビニ、商店街、駄菓子屋……」
古畑「駄菓子屋までっ……」
___
美心『わしゃ……!』
_ _
 0o。
 カイジ「板チョコは存在さえ許すな……例え駄菓子屋であろうともだっ……! 恋する乙女ってやつは何でもやってくるからな……」
古畑「はあ……」
79:
設定ミスった
今までのは13日の話にしといてください
まあ細かいこと気にせず読み流してくださいよ……ククク……
83:
カイジ「スーパーが開店すると同時に買い占める……いいな?」
古畑「ええ……」
カイジ「本当は日本中から消す予定だったが1000万じゃ不可能……ならこの辺りだけでもチョコを渡してイチャイチャする輩を消すっ……」
古畑「……」
カイジ「それにここでカップルを潰しておけば後々クリスマスにも効いてくる……カップル成立を未然に防ぐことにもなるんだ……!」
古畑「……カイジさん……俺達ってモテないから僻んでこんなことしてるわけじゃないですよね……?」
カイジ「当たり前だろっ……ただ押し付けがましいこのバレンタインって日を消したいだけだ……!」
古畑「ならいいんスけど……」
84:
そうして翌朝……運命の2月14日。
店員「なんだ……あれ……?」
店員「パチンコ屋と間違えてんじゃないの?? ははは」
朝のスーパー開店5分前、男二人が正面玄関に佇んでいた。
古畑「寒いッスよカイジさん……こんな朝早くから並ぶ必要あったんスか?」
カイジ「念には念をだ……先に変われたら買い占めの意味がなくなる……月曜日だからって油断するなよ古畑」
古畑「はあ……」
85:
店員「開店で?す」
古畑「やっと入れる……」
カイジ「!? 古畑っ!! 後ろだ!!!」
女の子「(朝ごはん買わないと……)」
古畑「えっ……? えっ?」
カイジ「やつはチョコ買うつもりだ!!! 俺がダッシュで買い占めて来るっ……その間なんとかして食い止めろっ……いいなっ……!」タッタッタ……
古畑「ちょっ、ええっ!? カイジさんっ……! そんな無茶苦茶な……!」
女の子「(朝パン朝パンっと)」
古畑「ぐっ……やらなきゃ……やるんだっ……俺がバレンタインを防ぐんだっ……!」
86:
古畑「あっ、あのっ……!」
女の子「うわびっくりしたっ! なんですか?」
古畑「一緒に朝ごはんとかどうですか? あそこのパン屋で買ってテーブルで……(断られるに決まってる……けどこうしてる間にカイジさんがっ……!)奢りますから」
女の子「(何この人……こんな朝っぱらからナンパ? しかもバレンタインにって……まあ幸薄そうな顔だけど悪そうな人には見えないわよね……。おごってくれるって言ってるしスーパーのパン屋の中で変なことも出来ないだろうし……)」
女の子「本当ですか? 行きましょう行きましょう。私もちょうどここのパン買いに来てたんですよ?」
88:
古畑「えっ……パン買いに……あれ……?」
女の子「先いきますよ??」
古畑「あっ……うん……。ま、まあ時間稼ぎにはなるか……」
一方その頃カイジは
ガサッ……ガサッ……
カイジ「次だっ!!!」
ガサッ……ガサッ……
カイジ「思ったより少なくて助かるぜ……!!!」
板チョコ、粒チョコ、アーモンドチョコ……チョコというチョコをカゴに詰めて行く。
気づけば両手のカゴはチョコで埋め尽くされていた。
カイジ「これ、とりあえず置いといて」
レジの店員「えっ……はあ……」
カイジ「あ、後在庫のチョコある? 全部出してくれ……!(店頭に並べさせるわけにはいかないからな)」
90:
店員「ちょ、ちょっと待ってください……て、てんちょ?!」
助けを求めるかのように店長を呼びに言った店員。
カイジ「へっ……あげる側かあいつは。そりゃ困るよな……チョコがなくなったら……!」
悠然と立ち尽くしているの大きな箱を持った店長らしき人が現れた。
「お待たせしました。とりあえず板チョコの在庫はこれで全部ですけど他のチョコも……」
カイジ「お前まさか……安藤か?」
安藤「あれ……? カイジさん……?」
93:
安藤「カイジさんじゃないッスか! 久しぶりですね! エスポワール以来ッスか!」
カイジ「……今ここの店長か?」
安藤「そうなんスよ! 色々あって雇ってもらうことになったんスけどあの船での苦い思い出を糧に頑張ってたら店長にならないかって言われまして! まあ雇われッスけどね!」
カイジ「……やめろよ」
安藤「えっ……」
カイジ「人を見下したような目でペラペラと……この裏切り者がっ……!」
安藤「うっ……それは……確かにそうッスけど別に見下してなんか……!」
カイジ「あんだけのことしといてよくもまあ俺に嬉しそうに現状報告出来るもんだなおい……! お前の取るべき態度は震えながら目線を反らして他人を装うだろうがっ……!」
95:
カイジ「それをまるで親しい友人みたいに接して来るのは見下してるいい証拠……お前は大方俺が今のお前を見て……変わったな……ちゃんとやってるな……それに比べて俺は……っていう弱心につけこんだんだろうがそんな気持ちこれっぽっちもねぇよっ……!」
安藤「カイジさん……」
カイジ「安藤から聞いたよ……最初に星を手放さないって言い出したのはお前だとっ……! 古畑はそれがなかったら指名してたと……今更言っても仕方ないと泣きながら言っていた……だからまだ許せた。が、お前はなんだ……?」
カイジ「お前は自分じゃ人として立派になった気でいるだろうが根本はあの船から全く変わっていない……ただの裏切り者だっ……!
その内何かあればすぐボロが出て真っ逆さまがいいオチ……!」
安藤「……参ったな……カイジさん」
99:
カイジ「あ?」
安藤「俺にもうそんな気持ちはないんスよ……本当に。まあいくら言葉で言っても伝わらないとは思いますけどね……」
カイジ「……」
安藤「次に会ったらあの時のことを償おうって思ってたんスよっ……! 信じてくださいっ……! 俺が出来ることなら何でもやりますから……!」
カイジ「なんでも……だと?」
安藤「はいっ……! ただ出来る範囲でですけどね。スーパーのもの毎日寄越せとかはやめてくださいよ」
カイジ「しねぇよそんなことっ……! バカにしやがって……!」
100:
カイジ「……もらったか?」
安藤「……いえ」
カイジ「そうか……。今俺と古畑はバレンタインデーを潰すためにチョコを買い占めるんだ……ここら一帯のな」
安藤「買い占め……懐かしいッスね」
カイジ「安藤……また三人で買い占めないか……?」
安藤「……チョコを買い占めるのを手伝えってことですか?」
カイジ「ああ……」
安藤「……」
ピポパ
プルルル……
安藤「あっもしもし……○○店の安藤ですけど。今から言う品名こっちに持って来てくれませんかね? チョコ何ですけど。 ……そうです、そっちにある店頭に並んでると在庫全部です」
安藤「……全部だって言ってんだろ……!!!!!」
102:
安藤「売り上げなら全部そっちに回すからチョコ持って来いっ……いいな!!!」
カイジ「安藤……」
安藤「これぐらいで償えるとは思ってないですが……手伝いますよカイジさん……! チョコ買い占めましょう……!!」
カイジ「……ああっ! 次はエスポワールの時のようには行かない……! 成功させるぞっ……! この買い占めっ……!」
103:
>>96
古畑……古畑……
106:
女の子「でさ?それが面白いのなんの」
古畑「はあ……」
女の子「……もぅ?さっきからそうやって頷いてばっかりじゃない古畑さん」
古畑「ご、ごめん……あんまりこういうの慣れてなくて」(漫画的に
女の子「そっちから誘って来たのに?……まあいいけど」
古畑「ごめんね……(なんでこんなことになったんだろ……)」
カイジ「古畑! 次行くぞ……!」
古畑「あっ……カイジさん! 遅いッスよ! 大変だった……あれ?」
安藤「よっ、久しぶり古畑君」
古畑「お前……」
カイジ「心配するな、話はもうついた。安藤も買い占めを手伝ってくれる」
108:
安藤「そういうことだからまたよろしく、古畑君」
古畑「……そういうことなら……よろしくな……安藤」
女の子「誰? 古畑さんの知り合い?」
古畑「あ、うん……」
カイジに電流走る──
カイジ「おい……ふるはたぁ……まさかまた裏切ったか……?」
安藤「カイジさん……チョコの臭いがプンプンしますよこいつ……!」
古畑「まっ、まてよ……! それはさっき食べたチョココロネで……」
110:
カイジ「ふるはたぁっ……なんでだよ……なんで裏切る俺をっ……!」
安藤「見損なったよ古畑……」
古畑「だからこれには理由があるんだって……! ほらっ……! よく見てくださいよカイジさんっ……! この子朝いた子ッスよ……!? カイジが言ったんじゃないッスか……! 足止めしとけって……!」
カイジ「……」
女の子「やっほ」
カイジ「……朝並んでた子がこんな可愛いわけがないっ……!」
安藤「落ち着いてくださいカイジさん……!」
古畑「と、とにかくもらってませんからっ……! チョコなんて微塵も……!」
女の子「あ、チョコ欲しいの?」
113:
女の子「ほら?いっぱいあるよ。クラスの子と友チョコしようと思ってさ! 義理だけどどーぞ」
カイジ「えっ……」
古畑「あ……」
女の子「おでぶちゃんには二つあげよう!」
安藤「うっ……」
安藤「ど……どうします? カイジさん……?」
無理矢理手のひらに乗せられたチョコレート……。
カイジ「(これをこのままもらってしまったら……一体俺達は何をしていたんだってことになるっ……)」
カイジ「買い占めだっ……! お前のチョコレート全部出せっ……!」
女の子「えっ……ちょっと!勝手に漁らないでよ!」
安藤「そう来ましたかカイジさん……!」
古畑「それはやりすぎッスよカイジさんっ……!」
114:
結局返品。
女の子「全くなんなのよ! 人がせっかくあげたのにっ!」
古畑「ごめんよ……色々理由があってさ」
カイジ「古畑!!! 早く次に行くぞっ……!」
安藤「僕はぽっちゃり系だからね、受け取れないよ……ふふふ」
女の子「ま、いいけどねっ! また今度パンおごってね!」
古畑「えっ……ああ……うん」
カイジ「ふるはたぁっ!」
古畑「今いきますよ!」
118:
──
もぐ……もぐ……
カイジ「ここら一帯のスーパーはこれで買い占めたな……」
もぐ……もぐ……
安藤「そうなりますね。思ったより少なくて助かりましたね」
もぐ……もぐ……
古畑「次はコンビニでしたっけ?」
カイジ「ああ。金は?」
古畑「まだ全然。100万も使ってないッスよ」
カイジ「スーパーのチョコは安いからな……この街のスーパー自体少ないのも助かった……」
安藤「チョコみたいな保存がそこまで効かないお菓子は在庫もあんまり置きませんしね」
カイジ「よし、昼飯食べたら各自コンビニを回って買い占めてくれ」
古畑&安藤「了解ッス」
カイジ古畑安藤「」もぐ……もぐ……
120:
そうしてこの街のチョコを買い占め続けること数時間……。
その量実にトラック5台分っ……!
カイジ「圧巻だよな……古畑、安藤」
古畑「はいっ……」
安藤「やりましたね……カイジさんっ……!」
カイジ「ああ……俺達はこの街のバレンタインという構造に足を突っ込み……そして解体っ……分解した……!」
カイジ「これでこの街でチョコの渡し合いなんて出来ない……俺達は両腕を振ってこの街を歩けるんだっ……!」
「フフフ……聞いていればおかし(お菓子)なことを。あの時は蛇だ蛇だと思っていたが……存外に羊だったか……カイジ」
カイジ「お前はっ……!」
124:
カイジ「利根川っ……!!!」
利根川「久しぶりだな……ゴミめら」
カイジ「何しに来たっ……お前っ……!」
利根川「ふんっ……見てわからんのか……宝拾いだ……」
古畑「その……後ろに背負ったカゴの……カンカンの山は……?」
利根川「こうやって缶を拾って集めれば売れるのだ……そんなことも知らんのかゴミめら……!」
カイジ「利根川……お前……」
利根川「哀れむような目で見るな! 確かに私は貴様に負けて帝愛から追われ……こんな歳だ、それからはロクな職にもつけず……ただ時間と金を食い潰す……所謂ニートっ……! そうなっていた……!」
125:
>>123
脳内……変換……
1万か……万倍か……
よろしく……よろしく……
128:
利根川「そうすれば当然金も尽きる……ならどうするか? 死ぬか? お前たちならそうしただろう……だが私は成功者、言わば勝ち組だ。そんな終わり認められない! 勝ち組はどこまで言っても勝ち組だ。
例え泥をすすり、ゴミにまみれようとも」
利根川「それにこうして落ちて得ることもある……あの頃はゴミにしか見えなかった缶も今見れば宝だ。人はいる立場、状況、環境によって見方が変わってくる」
利根川「本当のゴミは貴様らのような出来るのに何もせず、のうのうとしているのもこそが本当のゴミなのだ」
利根川「わかったか……? このゴミめらが」
安藤「いやゴミはお前だろ」
130:
カイジ「落ち着けよ安藤……どうやらこのじいさん何か言いたいことがあるらしい……そうだろ? 利根川」
利根川「ふん……お前達チョコを買い占めてるらしいな……」
古畑「それがどうしたっ……!」
利根川「そんな無駄なことをしてなんになる?」
安藤「俺達はこの街のバレンタインデーをなくす為に……! この街で大腕振って歩けるように……! それをっ……!」
カイジ「……いや……まさか……!」
利根川「ククク……ようやく気がついたか……」
古畑「どうしたんですかカイジさんっ……!?」
131:
カイジ「安藤……お前もしその商品が売れてて……なくなったとする、在庫も全部だ。そしたらどうする……?」
安藤「どうするってそりゃ発注しますけど……でもそんなに早く……ああっ……!」
古畑「どうしたんだよ安藤までっ……! 俺にもわかるように教えろよ……!」
安藤「……普通商品は発注して届くまで2.3日はかかる……けどお菓子……特にチョコ菓子に限ってはその例に当てはまらない……何故なら……」
カイジが指差す、そこには……!
カイジ「森永製菓の工場……この街にありやがったっ……! とんだ誤算っ……!」
134:
古畑「つまり……?」
安藤「ああ……つまりなくなれば電話一本で森永製菓のチョコレートはほぼ無尽蔵に沸き出て来るってことさ……!」
古畑「ってことは……!」
カイジ「失敗だ……この買い占め……後数時間もしない内にまたチョコレートが街に溢れる……今からまた買って回った頃には夕方……チョコを求めて買う輩がわんさか出てくるだろう……!」
古畑「そんなぁっ……カイジさんっ……! 何とかならないんスかっ……! 1000万出して失敗とかやめてくださいよっ……!」
カイジ「だが……これ以上はもう……」
安藤「諦めるんスかカイジさん……?」
カイジ「安藤……」
136:
安藤「あれだけ偉そうに言っておきながら諦めるんスかっ……! カイジさんのバレンタインをぶっ潰したいって思いはそんな甘ったるいもんだったんスかっ……!」
カイジ「安藤……」
古畑「そうッスよカイジさんっ! 確かに多少買われるかもしれませんけどそれが何だって言うんですか! 今までも回ってる間に多少は買われただろうし……けど……言わば本流っ……!
それを止め続けるのが俺達じゃないんスか……!」
カイジ「……そうか、そうだな……! ここで諦めてもしょうがない……! ここは少しでも買わさない為に動くところ……! すまない古畑、安藤……目標を見失っていた」
カイジ「俺達はあくまでバレンタインデーに浮かれているやつの目を覚まさせる為にやってたんだよな……!」
138:
利根川「カイジの言葉がどんどん変わってることに気づいたか……? 最初は日本中から……次はこの街から消して大腕振って歩きたい……そしてしまいには浮かれてる奴らの目を覚まさせるだけ……。
つまりあいつは結局のところ恐れているのだ……バレンタインを。チョコがもらえないことに後ろ指指されるのを……」
安藤「誰に話してんだよおっさん」
利根川「そうか……黒服はもういないか……」
カイジ「じゃあ早買い占めに……」
「面白いことしてるって聞いたから来てみれば……小さいことしてんなカイジ」
カイジ「お前は……!」
141:
カイジ「北見っ……!」
北見「フフ……あの船以来か」
カイジ「何しに来やがったっ……!」
北見「おいおいそんなつれない顔するなよ。俺はお前達の買い占めを応援しに来たんだぜ……?」
カイジ「応援だと……?」
古畑「また何か考えてるんじゃないだろうな……?」
北見「同じ買い占め仲間の誼だろ?」
カイジ「……話だけは聞いてやるよ……」
北見「フフ……そうこなくっちゃな……!」
147:
カイジ「……で……俺達は何をすればいい?」
北見「簡単さ……そこにあるチョコを食べてお腹が痛い振りをすればいい……たったそれだけだ。なぁに後の手配は俺がやる……株ってのは非常に敏感でな……ちょっとでも何かあるとすぐ値が安くなる……」
古畑「お前まさか……!」
北見「お前でも知ってるだろ……? 雪印集団中毒事件……」
安藤「でもさっき株って……! 買ってるんじゃないのか……? そんなことしたら……」
北見「売りから入るってやり方があるんだよ……まあ簡単に言えば儲かるってことさ……ククク……」
150:
カイジ「……北見」
古畑「カイジさんっ……まさか乗るんスか……!?」
安藤「やめましょうよカイジさんっ……! そんなことしてまでやって何になるんですか……!」
北見「後ろでごちゃごちゃと……相変わらず変わってないなお前らは。
だからあの船でもカイジにおんぶにだっこ……仕舞いには裏切ったそうじゃねぇか?
カイジ……一回裏切ったやつはまた裏切るぞ……?」
北見「こんなやつらより俺と手を組まないか……?
買い占めを発案した俺とお前ならいくらでも儲けられる……チョコだって好きなだけもらえるぜ……?」
カイジ「北見……お前……チョコもらったのか……?」
152:
北見「あ? チョコ……? ああもらったもらった……」
そういうと北見はポケットからいくつかのチョコレート(手作り)を取り出し……
北見「欲しいならやるよ。俺チョコとか甘いもの大嫌いなんだわ……あの船の俺みたいで……さっ!」
踏み潰したっ……!
カイジ「……なるほど……相変わらずわかりやすくていいな……北見」
北見「ああん?」
カイジ「あの時もそうだった……ちょっと煽ったらホイホイ勝負に乗ってきた……
さっき古畑と安藤に変わってないって言ったが……一番変わってないのはお前だよ……北見……!」
北見「一体なにを……」
154:
カイジ「どうせお前は俺達の行動を知りそれにつけこんでそんなことをやらそうとしたんだろうけど甘かったな……!」
北見「なっ……!」
ピッ……
「簡単さ……そこにあるチョコを食べてお腹が痛い振りをすればいい……」
北見に電流走る──
北見「なっ……!」
ピッ……
「お前達でも知ってるだろう……雪印集団中毒事件……」
北見「貴様ぁ……!」
カイジ「お前はいつも自分を語りたすぎなんだよ北見っ……! ちょっと小馬鹿にして俺を煽って承諾させるつもりだったろうがその前からこっちはお前を利用するつもりだったんだよっ……!」
北見「ぬぐぅっ……カイジいいいいいっ……!」
155:
カイジ「まあこんなことをしなくてもお前は協力してくれるだろうけどな……。
俺達は仲間だ……そうだろ? 北見……。
他の方法でバレンタインを一緒に潰そう……!」
北見「……」
古畑「何言ってんスかカイジさんっ……! こいつチョコもらってるんですよ……!?」
安藤「そうッスよっ……! こんな裏切り者仲間になんて……!」
利根川「……この宝値札がついてるな……何々……」
北見「バカっ……よせっ……!」
利根川「これであなたもモテモテ……手作り風チョコレート……ご丁寧に一個一個包みも違うわけか……なるほど」
北見「よせぇっ……! 言うなっ……!」
158:
カイジ「これを女からもらったって嘘をつき続けることは出来る……だが北見……お前は本当にそれでいいのか……?」
北見「ぐっ……」
カイジ「お前も俺達と同じでバレンタインデーって日に踊らされてるんだ……この日はチョコが全て……もらってないものそれイコールモテない……ダメなやつっ……!
そんなレッテルを勝手に貼られるのが嫌で俺達は戦ってる……!」
古畑「うぅ……」
安藤「カイジさん……その通りッス……!」
気づけばこの場の全員涙していた……!
北見「ああそうだ……そうなんだよ……! モテそうっていう中途半端なのが一番キツいんだっ……!」
利根川「くぅっ……(こんないいもの久しぶりに食べたっ……!)」
160:
北見「わかった……! 俺に出来ることなら協力しようっ……!」
カイジ「ああっ……! 裏切るなよっ……! 北見っ……!」
北見「それは後ろのやつらに言えよカイジ……!」
古畑「そんなぁ……!」
安藤「俺達裏切る気なんて毛ほども……!」
カイジ「わかってるさ……今の俺達は一蓮托生っ……! 艱難辛苦っ……! 裏切れるわけがないっ……!」
カイジ「(そうだ……あいつらとは違うっ……違うんだっ……!)」
164:
もぐ……もぐ……
北見「で……どうする? あの手は使わないとして……他に手はあるのか? カイジ」
カイジ「ああ……翌々考えればもっと簡単な方法がある……」
もぐ……もぐ……
古畑「(チョコ飽きた……)」
もぐ……もぐ……
安藤「なんスかその方法って……?」
むしゃっ……カリッ……むしゃっ……くちゃっ……
利根川「……」
北見「利根川さんあんたマジ食いかよ……」
安藤「というかなんでついてきてんだこのおっさん」
カイジ「どうせ食いきれない……好きなだけ食わせてやろうぜ……」
165:
カイジ「で……その方法なんだが……」
カイジ「森○製菓の工場……その工場長を落とす」
北見「なるほど……確かに手っ取り早いな……」
古畑「さすがカイジさん……!」
カイジ「まあ電話を取るやつら……受け付けみたいなやつらも落とすだろうが工場長を抱き込めばこっちのもんさ……
ただ今日だけはチョコレートを発送しない……それだけで数百入って来るんだから安いもんだろ……」
安藤「いつもはお世話になってる森○製菓も今日ばかりは敵ってことッスね……!」
利根川「カイジ……」
カイジ「あ……?」
利根川「ティッシュあるか……?」
166:
ちょっと休憩……
177:
そうしてカイジ達は森製菓の工場に行った……。
工場員「見学ですか……わかりました。少々お待ちを……」
カイジ「けっ……甘ったるい臭いさせやがって……!」
古畑「落ち着いてくださいよカイジさん……そんな物腰じゃビビりますよ工場長も……!」
カイジ「まあ……それでご破算になったら元も子もないからな……我慢するか」
北見「……来たみたいだぜ……」
利根川「なるほど……北見だけにか……」
安藤「……」
「やあやあどうもお待たせしました……! 私がこの皆様に夢を提供する発祥地、その長をさせていただいてる一条と申します」
183:
カイジ「一条……どうしてお前がここに……?」
一条「あれ……? 良く見ればカイジじゃないか! それに利根川さんまで……! いや?今日は幸せな日だなあ?旧友二人に会うなんて」
利根川「私はお前と友達になった覚えはないがな……」
一条「フフ……それはすみません」
カイジ「……」
一条「ああそう言えばどうしてここに? でしたね。
カイジに負けた後本当は地下労働施設に送られる筈だったんだけどそれまでの功績があったからね……
帝愛づてでここに転勤になったのさ……!」
カイジ「ってことはここは帝愛の……!?」
186:
一条「違う違う。ここはあくまで森○製菓の工場さ。帝愛はただここを紹介してくれただけ……」
カイジ「だが……借金は……」
一条「ああ、まだ7億以上残ってる」
カイジ「……そうか」
一条「そう気に病むなよカイジ。確かにあの時は恨んじゃいたが勝負だったんだ……仕方ないさ」
カイジ「一条……お前」
一条「それに最後に言ってくれたあの言葉…あの言葉のおかげで諦めずに這い上がり続けることが出来るんだ」
187:
>>184
クソワロタ……クソワロタ……
190:
一条「返済分とは別にヘソクリがあってさ……それがある程度溜まったらお菓子会社を作ろうと思うんだ……!」
カイジ「そんな簡単に作れるのか……?」
一条「今は1円からでも会社は作れる……まず何個か作って売り出すんだ。
作るのは工場なんかじゃなくていい……小さなアパートで手作業さ……!」
一条「軌道に乗ったらいよいよ社員なんかを雇って本格的に行く……! 借金は帝愛側にもっと儲かるってわからせればやり込めるさ……!」
カイジ「一条っ……お前っ……お前っ……!」
一条「カイジに負けてさ……ここで働いてみて気付いたんだ……
工場を見学する小さな子達の目の輝き……あれはあの裏カジノなんかじゃ一生見れない……!
俺が応援する夢はこっちだったんだっ……! あの子達の為に美味しいお菓子……夢を提供するっ……それが俺の仕事だってな……!」
197:
カイジ「ああっ……お前すげぇよ一条……! 俺なら見た瞬間殺しにかかったかも知れないってのに……!」
一条「よせよカイジ?……お菓子工場で殺しなんて言葉?」
カイジ「あっ……すまねぇな……」
一条「で? 何? 本当にただ見学しに来たわけ……?」
カイジ「……ちょっとだけ……見学してもいいか?」
古畑「カイジさんっ!?」
北見「おいおいそんなことしてる暇ねぇだろっ……カイジっ……!」
安藤「そうッスよカイジさんっ……!」
カイジ「頼む……こいつが頑張ってる工場見てみたいんだ……! この通りっ……!」
深々と頭を下げるカイジ……。
199:
北見「ちっ……まあうちの大将はお前だ……お前がどうしても見たいって言うなら俺は構わねぇよ……」
カイジ「古畑、安藤、お前達は……?」
古畑「……まあ少しだけなら」
安藤「敵情視察ってことで……」
一条「……」
カイジ「利根川は……」
利根川「一条……」
一条「何ですか利根川さん?」
利根川「お菓子は食べられるのか……?」
一条「……え、えぇ勿論……少しだけなら……」
利根川「わかった……行こう」
カイジ「決まりだな……案内してくれ一条……!」
204:
一条「ああわかった! あっちに見学者用の着替えがあるから着替えて来てくれ」
カイジ「わかった……」
カイジ達はぞろぞろとその場を後にし着替えがある部屋へと入り込む……。
一条「……」
一条は社内電話を取るとどこかへかけ始めた。
一条「あ、もしもし? 一条だけど……お客様に出すお菓子前の企画で俺が出したやつにしといて……そうそう……うん……頼んだよ」
ガチャリ
一条「さて……夢の工場を案内するとしますか……ククク……」
206:
カイジ「すげぇ……森○キャラメルが流れてやがる……!」
一条「まあ森○製菓と言えばキャラメルだからな。後で出来たてをやるよ!」
カイジ「うおっ……マジか……!」
一条「出来たては甘くて美味しいぞ……?」
カイジ「そいつは期待だな……!」
古畑「あんな楽しそうにしちゃって……カイジさん目的忘れてんじゃないか?」
北見「いや……カイジのことだ……何かしら考えがあってのことだろう……」
安藤「だといいんだけど……」
利根川「ククク……バカ共が……」
安藤「何っ……?」
利根川「相容れるわけないだろう……あの二人が……!」
北見「どういうことだ利根川……!」
209:
利根川「あの二人はかつて戦い……そして一条は破れた。そのせいで帝愛から多額の借金をしている……確か…7億ぐらいか……」
北見「なっ……!」
古畑「7億っ……!? それでさっき殺すとかなんとか言ってたのか……」
安藤「あのにあんな仲良さそうなんすかあの二人……?」
利根川「あれが仲良く見えるなら……お前の目は節穴だ。ああやってお互い腹の探り合い……いつ仕掛けて来るか見計らってるんだ……」
カイジ「おおっ……一条っ……あれなんだっ……!」
一条「あれはチョコレートを固める機械で……」
北見「あれで腹の探り合い……ねぇ」
214:
「……」
「……」
カイジ「あれ……あいつらどっかで……」
一条「どうしたカイジ? 早く行かないと出来たてがさめちまうぜ……!」
カイジ「ああ……」
そうしてカイジ達は見学を終え、客室でお菓子を振る舞われることになった……。
一条「これがさっき出来たばかりのキャラメルだ……!」
くちゃ……くちゃ……
カイジ「うめぇ……やわらけぇっ……!」
古畑「確かに……普通より美味しいぞ……これ……!」
安藤「キャラメルなんて久しぶりだなぁ?……!」
北見「ちっ……」
利根川「……」ごくん
220:
一条「そしてこれが新商品……イチゴキャラメルだ……!」
カイジ「お?……!」
真っ赤なキャラメルが綺麗に箱に収まっている。
一条「実はこれ俺が企画したやつなんだ……口に合えばいいが……」
カイジ「いただくぜ……」
古畑「イチゴか?」
安藤「美味しかったら今度うちでもとりますよ」
北見「イチゴねぇ……」
利根川「……」
一条「あれ? 食べないんですか利根川さん……?」
利根川「ああ……腹がいっぱいでな……」
一条「ふ?ん……そうですか……」
222:
一噛み……二噛み……それは段々と露になって行く……
カイジ「がはっ……なんだごれ゛っ……!」
古畑「辛……辛いッス……!」
安藤「いたたたたたたっ……!」
北見「うごぉっ……口の中の水分が買い占められ……があっ……!」
一条「ククク……どうですか? 新作の超激辛ハバネロキャラメルの味は……?」
カイジ「いぢじょ……あれ゛……?」
一条「上手くしゃべれないだろうなそりゃ?……」
一条「なんたってキャラメルの中には超強力な接着剤が入ってるんだからっ……!!! ククク……コキキキ……!」
カイジ「い゛じじょ?っ……!!!」
231:
一条「夢のようなコラボだろっ……? ハバネロの一番辛いやつの原液をたっぷり混ぜ込んだキャラメルが口の中でいつまでも残り続けるっ……!」
一条「吐き出したくても吐き出せないっ……! 接着剤が歯と歯をくっ付けるから……! ククク……キキキ……!」
カイジ「????っ……」
カイジ、悶絶……!
古畑「っ……っ」
安藤「ん゛ん゛ん゛」
北見「ぬ゛ん゛ぐううう」
一条「他のやつらには悪いがこの悪魔と一緒にいること自体が悪いんだ……諦めろよ……!」
カイジ「いぢじょ……ナん″でだ……?(一条なんでだ?)」
一条「はあ……? 忘れたのか? 自分で言ってたのに? 相変わらずバカなやつだなカイジは……」
233:
一条「這い上がって自分に報復しに来いって……お前自分で言っただろうがっ……!」
カイジ「ぐっ……!」
一条「それをあんな演技でコロッと騙されやがってっ……! バーカバーカ底無し沼バーカっ……!」
カイジ「ぐぬぬぬっ……!」
一条「そのまま一生何も食べれずチューブとかで生活してろっ……!」
カイジ「……っ!」
一条「夢でも見てるんじゃないかって顔だなおい!!! ところがどっこい夢じゃありませんっ!!!! 夢が詰まったお菓子工場だけど夢じゃありませんっ!!!!」
236:
三好「すいませ?んお茶持って来……」
カイジ「うごっ……み゛よじかっ……!?」
三好「カイジさん……? 何でこんなところに……」
一条「ああわざわざ持って来てくれたのか……残念だけどお客様は口が開かないから飲めないってさっ……! クコキキキ……!」
三好「……?」
利根川「もらおう」
三好「あ、どぞ……」
一条「しかしさすがは利根川さん……! 落ちたとしてもその眼力……さすがです……!
さすが元No.2っ……! そう簡単には騙せないっ……!」
利根川「ふん……(チョコ食べ過ぎて腹が……ぐっ……)」ぎゅるるる
240:
利根川「一条……もういいんじゃないか?」
一条「何がですか? このゴミ共のことですか? 大丈夫ですよどうせしゃべれないんですから……勝手に接着剤が口に入った的な事故にしとけば……」
利根川「確かにお前はカイジに報復することは成功した……だがそれで借金が減るわけでもない……。
そしてこれでカイジ達が病院送りになれば担当のお前は当然クビ……お菓子を売り出すなんて夢のまた夢……クズみたいなニートになりたいのか?」
一条「……」
利根川「いくら攻性と言っても口内だ……唾液でそこまで上手く固まってはいない……そこに熱いお茶など流し込めば最悪の自体は間逃れられるだろう……」
242:
一条「しかしっ……」
利根川「カイジに報復する気持ちは本当だった、だがお菓子の会社を作ると言ったお前も本当だった……そうだろう?
だから一応の為にお茶を持って来させた……違うか……?」
一条「はは……利根川さんには何でもお見通しってわけですか……」
利根川「報復はもう終わりにしろ……帝愛に長く居ればわかるだろう……
憎しみは連鎖しか生まん……」
一条「……」
利根川「そこのボウズ、そのお茶を一人づつ無理矢理ぶちこんでやれ……!」
三好「……わかりました……カイジさん以外はそうしますっ……!」
カイジ「っ……!?」
244:
三好「裏切ったこと……まだ許してませんよっ……! カイジさんっ……!」
カイジ「?っ!」
利根川「ククク……カイジ……お前つくづく恨まれてるな……」
カイジ「っ!!!」
利根川「私の分をぶちこんでやろう……ならいいだろ小僧?」
三好「……はい」
カイジ「(利根川……!)」
利根川「もらった恩は返す……これもまたニートになって初めて学んだことだ。チョコの恩……これでなしだからなカイジ」ヌフッ
カイジ「(利根川……! ありがとうっ……!)」
248:
熱いお茶を流し込み続ける……!
利根川「我慢しろっ……こんなもの焼けるようなあの土下座に比べれば赤子も同然っ……!」
カイジ「ぐぇ……あっぢっ……!」
古畑「あっず……にゃんっ……!」
安藤「あぶぶぶぶぶぶぶぶぶ……!」
北見「お゛お゛っ……(歯茎にダイレクトに来やがるっ……!)」
流し込み続けた結果……
カイジ「はあ……はあ……」
何とか生還っ……上陸っ……生存大陸へっ……!
古畑「噛む度ギチギチ言いますよ……」
安藤「キャラメル食べて歯が抜けたの思い出した……」
北見「ぐっ……口の中がセメダインっ……!」
255:
北見「さあてと……こいつをどうしてくれようかな……! えぇっ! お菓子の工場長さんよぉっ……!」
古畑「危うく殺されるところだったよ!」
安藤「ここの工場のはうちのに入れないかなこれは……森○製菓の信用問題だよ」
一条「うるせぇよデブっ……何偉そぶってんだ雇われがっ……!!」ゲシッゲシッ
安藤「ぼ、暴力は良くないっ……!」
北見「こいつっ……!」ボカッボカッ
一条「ぐふっ……」
古畑「こいつっ……!」ポカッポカッ
一条「ぐっ……」
安藤「このっ……このっ……!」ポカリーノ
一条「便乗してんじゃねぇよっ……!」ボカッ
安藤「あぅんっ……!」
256:
飯……飯……
264:
実はさっき休憩した時にちょっとした仕込みをしていてね……昼飯はもう出来ていた……後は食うだけとなれば容易い……
物の10分で完食っ……!
とどのつまり続行っ……!
266:
安藤「カイジさんっ! 何ぼーっと突っ立ってるんですかっ……! カイジさんの得意な膝蹴りぶちこんでやってくださいよっ……!
昔俺に食らわしたみたいな強烈なやつっ……!」
カイジ「……いや……俺はいい……お前達は何もしてないのに巻き添い食らったから怒るのもわかる……だから好きなだけ殴ればいい……
俺にそれを止める権利はない……ただ……手はやめてやってくれ……お菓子が作れなくなるからな……」
安藤「カイジさん……」
北見「おらっおらっ」ゲシッゲシッ
古畑「このっ……!」ボコッ
制裁に混じる振りをして一条のポケットを漁る利根川
利根川「っ……もう菓子持ってないのか……」
273:
一条「気はすんだか……?」ボロ……
北見「まだそんな口が利けるかこいつっ……!」
カイジ「北見……もういいだろ……」
北見「カイジっ……でもよぉっ……!」
カイジ「怒る気持ちもわかる……だが何も解決していないだろっ……!
俺たちは何をしに来たっ……!?」
北見「ここのチョコレートを街に出させないようにこいつをもっとボコボコにすりゃあいいっ……!」
カイジ「こいつが直接言わないと無理だろ……!」
北見「ならこいつを警察に突き出せばっ……!」
カイジ「北見……俺達はチョコ買い占めなんてことやってるんだ……警察なんて行けると思うか……?」
北見「まあ……確かにな……」
276:
カイジ「だから一条を仲間に引き入れてその命令を出させる……こいつなら自然に受け付けの奴らにも上手く言えるだろうからな……」
古畑「チョッコカイジさ……ちょっとカイジさんっ……! どういうことですか仲間にするって!」
カイジ「言葉通りの意味だ……」
安藤「さっき裏切ったばかりじゃないッスか! そんなやつを仲間になんて……!」
カイジ「裏切ったわけじゃない……こいつは俺のあの言葉通り報復する為に這い上がって来た……ならこれぐらいの報いは受けて当然……」
安藤「それはカイジさんだけの気持ちじゃないッスかっ……! 俺達の気持ちはどうなるんスか……!」
古畑「そうッスよカイジさんっ……!」
北見「俺は我慢出来ねぇっ……!」
283:
カイジ「そうか……なら街で俺達は隅っこを歩くことになるが……それでもいいのか……?」
古畑「それは……」
安藤「真ん中歩きたいッス……」
北見「……だがっ……!」
カイジ「またあのチョコ買って誤魔化すのか……? 北見」
北見「ぐっ……クソッガァッ!!! 好きにしやがれっ!!! ただ次に何かしたらお前にも口ボンドだっ……いいなっ……!」
一条「俺は頼んでないっ……そんなことっ……!」
北見「てめ(ry」
カイジ「一条……これで対等だ。俺とお前……全くの垣根なし……まっさらの状態だ」
一条「だからどうしたっ……?」
カイジ「俺達が手を組めば……いつかなくせると思わないか? バレンタインデー……」
289:
一条「……バレンタインデーに何の関係が」
カイジ「惚けるなよ一条……お前……チョコ嫌いだろ……?」
利根川「クックック……」
一条「何でそれを……」
カイジ「お前がチョコレートを固める機械を説明した時の目を見ればわかる……そりゃもう嫌そうな顔してたぜ……? お前……」
一条「……この日一日の為に何千個と試食しなきゃならない……! その苦しみがお前らにわかってたまるかっ……! こんなバレンタインデーなんかのせいで虫歯も出来るわニキビも出来るわっ……!
そんな俺の気持ちがわかるかっ……!?」
290:
安藤「いやそういう職業でしょ」
カイジ「一条……お前も端っこ歩いてたんだな……お菓子の王道チョコを避けた……それはつまり端っこを歩いているも同然っ……!」
一条「……はあ?」
カイジ「なら俺達と同じだっ……! バレンタインデーなくしたいんだろっ……!?」
一条「ん……あぁ……まあな……チョコ菓子は作るつもりもないし……なくなっても痛いのは会社とバレンタインで浮かれてるバカップル達だけだろう……」
カイジ「聞いたかっ……お前らっ……!」
古畑「……」
安藤「……」
北見「……」
利根川「コングラチュレーション……!
お菓子会社の工場長なのにバレンタインを消すと言う暴挙……歓迎するぞ……勇者よ……!」
294:
カイジ「一緒にやってくれるな……? 一条……!」
一条「カイジ……ってそんなもんで納得するわけないだろっ……! バカかっ……! お前のせいでこっちは7億だぞっ……!
一生ここでチャーリーとチョコレート工場しなきゃならないのは元はと言えばお前のせいだろっ……!」
カイジ「だがお前も俺やみんなの命を狙った……それであいこだっ……!」
一条「7億とお前らみたいな安い命を一緒にするなっ……! 言ってやってくださいよ利根川さんっ……!」
利根川「……金は命より重い……」
一条「ははっ! 聞いたか? そういう事……」
利根川「そう思ってた時期もあったな……。だが今は考えが変わった……!
言い直そう……命は金よりも尊いっ……!」
301:
この言葉により一条、カイジ達に荷担……!
荷担せざるを得ない……!
あの後つらづらと語られた利根川の半生……!
その余りにも過酷な様に一同泣きながら聞き入りっ……そして鳴りやまない利根川コールっ……!
感謝っ……利根川幸雄という男に出会えたことをっ……!
ありがとうっ……利根川幸雄っ……!
頑張れっ……利根川幸雄っ……!
__ ___
 Oo。
 利根川「」うんうん……
一条「受け付けに今日は機械のメンテナンスかなんかで休みだと言わせる……それでいいんだろ?」
カイジ「ああ……すまないな一条」
305:
三好「カイジさん……」
カイジ「もういい……疑うなら好きなだけ疑え……。俺は事実を言った……それで信じられないのなら仕方ない……
どんな流れでここまで来たのかは知らないが……頑張れよ、三好」
三好「カイジさん……!」
一条「なんだ……知り合いか……?」
カイジ「ああ……地下労働施設の時の……」
一条「ヨンゴー組とか言うやつらか。……ははっ……なるほどなるほど……どうせこのバカイジはあの出した7億をみんなで分けようっ……とか何とか言ってたんだろ……?」
三好「はい……でも結局もらったのは雀の涙程度で……」
カイジ「……」
一条「ククク……そりゃ当然だろ……。こいつ遠藤っていう帝愛の金融してる奴に騙されたんだからっ……つくづくお人好しな奴っ……!」
306:
三好「えぇっ……!? じゃ本当に……」
カイジ「だから何回も言ったろ……」
一条「よく読まずに10分複利何かの契約書にサインなんかするからだ……! ざまみろカイジっ……!」
カイジ「俺に負けて7億借金があるやつに言われたくねぇなっ……! なんだぁ最後の風圧はっ……! イカサマもあそこまで行けば立派な見世物だなっ……!」
一条「あのまま負ければ良かったんだよお前はっ……悪運だけはいっちょまえにありやがるっ……!」
カイジ「お前こそ地下行きになってりゃ良かったんだよっ……! ボンドなんざ食わしやがってっ……!」
三好「あ、あの……」
北見「懐かしくて嬉しいからってじゃれあうなよ」
カイジ「うるせぇバランス野郎っ……!」
北見「俺は北見だっ……!」
308:
三好、前田「すみませんでした……カイジさんっ!」
カイジ「前田もここだったのか……」
前田「はい……あそこがなくなってから色々あって……ここ紹介されたんです……」
カイジ「そうか……」
三好「今更許してもらおうとは思ってません……でも少しでもカイジさんの役に立ちたいんですっ……!」
前田「俺もっ……!」
カイジ「ああわかった……一つ聞くがお前らチョコなんてもらってないよな?」
三好「えっ……」
前田「あっ……」
カイジ「まさかお前らっ……! もらってんのかっ……!? チョコレートっ……!」
311:
三好「あの……もらったっていうか……その……」
前田「これってカウントされるのかな……?」
カイジ「なんだよ……モジモジしやがって……! もらったんならはっきり言えっ……!」
三好「と、友チョコッスよ……カイジさん」
カイジ「友チョコだあ?……?」
前田「はいっ……友達同士でチョコを交換し合うです……!」
カイジ「交換しようが何しようが女からもらったってことだろっ……! この裏切り者っ……!」
三好「違いますよカイジさんっ! 交換したのは……」
前田「……俺ですよ」
カイジ「……あ?」
一条「ブフフっ……」
312:
>>309
そういう意味じゃなくてさ……ほら……
北見とバランス野郎ってキャラ的に……ね?
影薄いだろ……?
315:
カイジ「じ、ゃあなんだ……三好は前田に、前田は三好にやったってことか……? チョコレート……」
三好「そうッス!」
前田「三好の結構凝ってたよな……!」
三好「そういう前田さんこそ……」
カイジ「……」
ぽんっ……
北見「カイジ……行くぞ」
黙ってその場を後にしようとする一同。
三好「待ってくださいよカイジさんっ! 俺達も仲間に入れてくださいよっ……!」
前田「そうですよカイジさんっ……!」
カイジ「お前はいい……」
三好「なんでッスかカイジさんっ……!」
カイジ「気持ち悪いから」
三好「えっ……」
前田「えっ……」
319:
残された三好、前田……そして利根川
利根川「……」
「利根川?行くぞ?」
利根川「」ヌフッ
悠然と三好と前田の前を通り過ぎる利根川。
バシッ!
三好「……?」
前田「……?」
いきなり利根川が二人の肩を両手で叩きながらこう言う。
利根川「アメリカではきっとウェルカムだ……勇者達よ」
利根川「ハハハっ……」
三好と前田がこの意味を知るのはずっと先……二人が性別の壁にぶつかった時であった……。
322:
集結する一同……。
バレンタインデーを阻止する立ち上がった6人の男達……!
カイジ、古畑、安藤、北見、一条、利根川幸雄。
カイジが発案し、古畑が資金を、安藤は移動の車やスーパーのパイプや場所提供、北見も資金と何かあった時の暴力係、一条は工場のチョコをストップ、利根川は買ったチョコの……処理!
そして成したっ……!
この街だけだが……バレンタインをなくすことに成功っ……!
スーパーやコンビニにはチョコレートは存在せずっ……!
まるで心霊現象の如く消え去った……!
326:
カイジ「感動だよな……俺達やったんだ……この街からバレンタインを奪ってやった……!」
古畑「ええっ!」
安藤「こんなことルパンにだって出来ませんよぉっ!」
北見「だ、な」
一条「まあ全国のバレンタインを消すのにはほど遠いがな……」
カイジ「来年には消してやるさ……必ずな」
一条「だといいけどな……」
利根川「」もぐ……もぐ……
安藤「あれおっさんその弁当うちの商品じゃないか!」
利根川「店長と知り合いなら基本無料……常識だろうが社会の……!」
安藤「いいから金払えよっ……!」
カイジ「まあまあ安藤……古畑、頼む」
古畑「」ピッピッピッ……
カイジ「なにやってんだ古畑?」
330:
古畑「いや……なんでもないッス」
カイジ「……?」
バイトの子「てんちょ?補充手伝ってくださいよ!」
安藤「あ、え?と」チラッ
カイジ「ああ、行けよ」
安藤「すいませんカイジさん。今いくから」
バイトの子「てんちょ?サボりすぎですよ?」
安藤「あはは、ごめんごめん。ちょっと友達の付き合いでチョコをちょこっと……なんてね」
バイトの子「てんちょ?つまらないですよそれ?ってかもう親父ギャグとかてんちょ?一体いくつ……」
カイジ「……」
北見「なあカイジ……」
カイジ「言うなっ……俺は安藤を信じてる……!」
北見「ならいいけど……さ」
332:
北見「というかこいつはもらってるだろっ……? イケメンっぽいしよっ……!」
カイジ「……どうなんだ……? 一条」
一条「毎日チョコ食って嫌そうにしてるやつにチョコレート渡す女がいるわけないだろ……? これだから童貞は……」
北見「はっ? 童貞じゃねぇし……!」
一条「ふ?ん……カイジは?」
カイジ「……」
カイジ「そんなことよりだ……そろそろ外に確認しに行かないか? やつらがどんな顔して歩いてんのかも気になるしな……」
北見「明らかに話反らしたな今」
一条「俺が言った時に済ませてれば良かったのに……」
カイジ「いいから行くぞ……」
336:
利根川「ククク……バカ共が……」
カイジ「なに……?」
利根川「まだ気づかないか……いい加減呆れ果てたぞ……」
カイジ「どういう意味だ利根川っ……!」
利根川「この時間ならまあ……外を見ればわかる……」
カイジ「……」
北見「乞食のおっさんなんて放っておいて行こうぜカイジ……」
カイジ「ああ……」
利根川「さて、腹もいっぱいになったしそろそろ戻らんとな……ククク……」
338:
いちゃ……いちゃ……いちゃ……いちゃ……
いちゃ……いちゃ……いちゃ……いちゃ……
カイジ「なんだこれは……!」
いちゃ……いちゃ……
北見「どいつもこいつもいちゃいちゃしてやがる……!」
一条「……」
古畑「……」ピッピッピッ
カイジ「どうしてだっ……何故チョコレートがないのにいちゃいちゃしてやがるっ……!」
北見「カイジあれを見ろっ……!」
いちゃ……いちゃ……
女「はい……これ」
男「ありがとう……へへへ」
いちゃ……いちゃ……
カイジ「胸焼けがしやがるっ……!」
北見「そんなことよりあいつらチョコレート持ってやがるぞっ……!」
利根川「それは当然だろう……!」
カイジ「利根川っ……!?」
340:
利根川「この日のチョコレートは愛情だ。手の込みようで愛情が決まる……誰がそんなものをその日に買って作ったりするものか……!」
カイジ「ぐうっ……!」
北見「だ、だがカイジ……義理チョコは防いだっ……それだけでも……」
利根川「お前はバカかっ……! 義理チョコでもその日に買って行くなんてやつは少ない……ましては夕方……この時間帯に買いに来る客はお前達が邪魔したくないと言っていた家族……寧ろそっちがメイン」
利根川「バレンタインが終わりかけて安くなったチョコを主婦は狙う。子供のおやつに、自分のおやつに、買い込んで料理、綺麗な箱があれば小箱入れにしたり……!」
カイジ「じゃあ俺達の買い占めは……」
利根川「とどのつまりお前ら……バレンタインを舐めるなっ!
そんな覚悟で潰されるほどお菓子業界が撒いてきた種は浅くないっ……!
チョコのように甘くはないんだっ……!」
344:
北見、放心
北見「は、ははは……」
一条、わかりきっていたと言う顔
一条「まあそういうことだ……存分に夢を見れたか? カイジ……」
古畑、メール……!
古畑「」ピッピッピッ
安藤、女店員と共に駆けつける
安藤「なんスかこれ……! 結局成功しなかったじゃないですか……! カイジさんっ……!」
焦燥、絶望……それでもまだ諦めないカイジ……!
カイジ「……まだだっ……! まだ何か手はある筈……!」
「検問でもしてさ……チョコ型爆弾がどうの言って適当に理由つけて奪っちゃえばいんじゃね……?」
カイジ「お前は……」
346:
和也「よっ……カイジ」
カイジ「和也……」
和也「チョコ持ってるやつらが気にくわないんだろ……? なら俺が全員から没収してやるよ……」
カイジ「俺は……そうじゃなくて……ただ……貰えないことがダメなんて……それが嫌で……クソッ……クソッ……!」
和也「なに……? じゃあチョコ欲しいわけ? なら今から可愛い女の子呼ぶからさ……行っちゃう……?
朝まで……」
カイジ「ぐっ……だからそういうのじゃなくて……」
和也「はあ?……? ならどうしたいわけ……?」
カイジ「もらうとしても……」モジモジ
カイジ「ちゃんと俺のこと好きっていうか……」イジイジ
和也「ぶふっ……! それて本気で言ってんのかカイジ……?」
348:
和也「ないってそんなの今時……夢見すぎだろ……あるとしても……いや……なんでもない」
カイジ「まあ……ってわけだから……いらないんだ……そんなチョコは……」
和也「あっそ、焼き土下座したら日本中からチョコなくしてやっても良かったけどな……カイジのために」
利根川「」ガタッ
カイジ「誰がやるかっ……あんな悪魔の儀式っ……!」
和也「それは残念……」
カイジ「みんな……聞いてくれ。確かに今回の買い占めは……結果的には失敗した……」
カイジ「けどこれは敗北じゃないっ……! 俺達はバレンタインと戦いっ……善戦っ……半ばで頓挫したものの……よくやったろっ……! なあっ……そうだろっ……!?」
349:
北見「ああっ……! 俺達はやったさっ……! 戦ったっ……!
これで胸を張って歩けるっ……!
逃げ回るバレンタインからは卒業だっ……!」
カイジ「北見っ……!」
カイジ「古畑っ……安藤っ……お前達もそう思うよなっ……!」
バイトの子「ほらてんちょ?あ?ん」
安藤「コラっ……カイジさんがしゃべってるんだからまた後で……」
バイトの子「え?いっつもしてるじゃ?ん」
安藤「だからそう言うことを言ったら……」
カイジ「……安藤っ!!!!!!!!!!!!!!!
お前またよくもよくもよくもよくもよくも俺を裏切れ…… 」
安藤「ひぃっ……」
殴りかかろうとするカイジに防御姿勢の安藤、またエスポワールの時の様な膝蹴りが決まるかに思われた……。
350:
バイトの子「やめてください……!」
カイジ「えっ……」
バイトの子「モテないからって僻んで暴力は良くないです!」
カイジ「えっ……ああっ……?」
安藤「僕はいいから……裏切った形になったのは事実だし……」
バイトの子「私がてんちょーの食べるところ好きだからやってたことなんです! それが駄目ならてんちょーじゃなく私を殴ってください!」
カイジ「……なんだよ……俺が悪者かよっ……わかったよっ……!」
拳を収めるカイジ
バイトの子「良かったですねてんちょー」
安藤「あ、あの……カイジさん……」
カイジ「消えろっ……! 二度と俺の前に現れるなっ……!」
353:
バイトの子「ひっどーいなにあれー」
安藤「いいんだ……行こう……」
バイトの子「まあてんちょーがいいならいいんですけど……」
安藤「カイジさん……色々……楽しかったです、今日」ペコリ
そう言って安藤はスーパーに戻って行った……。
カイジ「裏切り者がペラペラとっ……!」
北見「全くだな」
古畑「……」ピッピッピッ
北見「さっきからなにやってんだ……よっとぉ……!」
古畑「あっ……ちょっとっ……!」
北見「何々?……この後夕パンでもどうですか……? だとぉぉぉぉぉ……?!」
古畑「いやっ……それは……その……」
カイジ「古畑……お前もか……」
356:
カイジ「口では先に安藤が裏切っただのなんだと言っておいて結局お前もとどのつまり裏切るんじゃねぇかっ……!」
古畑「カイジさん……でもカイジさんだって悪いんスよっ……!」
カイジ「なにぃ……?」
古畑「金を出してるのはほとんど俺なのにっ……! そもそも発案しただけでカイジが一番何もやってないじゃないですかっ……!」
カイジ「なっ……」
一条「考えただけだもんなこいつ」
北見「そう言われりゃ……」
カイジ「いや……やっぱりこういうのって発案者が大事だろ……?
俺がやらなかったら誰も動いてなかっただろうし……」
古畑「それで失敗してるんスからお笑いッスよ……!」
358:
古畑「でも俺はカイジさんを恨んだりはしませんよ……何故なら……」
女の子「やっほー待った?」
古畑「い、いや待ってないよ!」
女の子「そっか?じゃあパン食べるか!」
古畑「うんっ」
女の子「その前に?じゃじゃんっ!」
古畑「そ、それは……!」
女の子「チョコレートだぞ?? 欲しい?」
古畑「……」
カイジ「ふるはたぁっ……裏切るなっ……俺をっ……俺を見ろっ……!」
古畑「ごめん……カイジさん」ニコッ
古畑「チョコ欲しいっ……!」
女の子「一粒500万だ?なんちゃって」
古畑「星かよ!」
女の子「星?」
古畑「ううん何でもない」
女の子「さ?欲しかったら取ってみろ?」
古畑「あはは?待ってよ?」
364:
カイジ「ふるはたぁ……なんで……なんで裏切る……俺を……」
北見「(あれで裏切るもへったくれもないだろ……今ので確信した……こいつが一番クズ……!)」
一条「安心したよ……カイジ」
カイジ「あっ……?」
一条「7億も俺からぶんどって……どんな生活を送ってるかと思えば惨めも惨め……」
カイジ「一条ォ……!」
一条「悪いなカイジ、これから女の子達と飲み会があるんだ。あ?……安心してくれ……勿論チョコなんてもらわないから……ククク……コキキキ……」
カイジ「くううううう……北見……お前は裏切らないよな……?」
北見「裏切りたいところだが……残念ながらその相手もいない……お前と同じさ……カイジ」
カイジ「北見っ……北見っ……ありがとうっ……! 居るだけで感じる温もり……まるで鉄骨渡りの時の俺と佐原の様っ……!」
368:
北見「朝まで飲もうぜ……カイジっ……!」
カイジ「ああっ……死ぬまで飲もうっ……!」
北見「さてどこの飲み屋に行くか……」
「あの……」
北見「あん?」
「こ、これっ……受け取ってくださいっ!」
北見「えっ……」
カイジ「あっ……」
手渡されたのはチョコレート……しかも恐らくは……!
カイジ「本命……? えっ……北……見……?」
北見「いや……カイジ……俺にもわけがわからねぇんだ……まるで交通事故……突然始まった恋っ……!」
「見覚えないですか……? 昨日三回も来てくれたじゃないですか……」
北見「三回……昨日……あっ……ああっ……! そうか……あんたっ……!」
「はい……モテモテ本命チョコ売り場の店員です」
370:
北見「なんでこんなとこに……?」
「昨日その……一目惚れしちゃって……」
カイジ「はあっ? おいおいおい嘘だろあり得るわけないだろ一目惚れとかっ……! 北見気をつけろっ……そいつ金目当て」
北見「黙ってろよ……クズ」
カイジ「はっ……? おかしいおかしいその反応っ……! さっきまでの友情どこ行ったっ……?」
北見「それでなんでここが……?」
「ここのスーパーに友達の女の子がいるんですけどその子が今日似た感じの人が出入りしてるよって言うからもしかしたらと思って……」
北見「そっか?……」
カイジ「北見いいいいっ」
カイジと北見の違い……それは全くモテないのとまあまあモテるの違いである。
北見は確かに一条なんかと比べるとワンランク落ちるが決してモテないわけじゃない。
その差がここに来て現れたのだ……。
371:
「それであの……今日しかないって思って……バレンタインの力借りて……大胆な行動しちゃいました……。迷惑でしたか……?」
北見「いやいや、嬉しいよ?。これくれるの? 食べていい?」
「はいっどうぞ!」
カイジ「お、まて……北見……まさか……嘘だろ……やめろ……やめろおおおおおおおおおおおおおっ」
パクっ
北見「美味い! やっぱ本物の本命チョコは愛がこもってる文美味いね?」
「ふふ……なんですかそれ??」
北見「ああちょっと待ってて、車回して来るから。いいレストラン知ってるんだ」
カイジ「北見……」ポロポロ……
375:
北見「カイジ……色々世話になったな」
カイジ「そんなこと言うなっ……! 飲みに行こうぜっ……! 何なら三人でも……!」
北見「邪魔すんなよ……!」
カイジ「邪魔とか……そういうつもりじゃなくて……」
北見「ちっ……おらっ」
カイジ「な、なんだよ……この金……?」
北見「どうせ金ないんだろうがっ……これでフライドチキンでも買ってしこって寝てろっ……!」
カイジ「うぐっ……げすっ……きたみ゛よぉ……」
北見「そう言いながら金はしっかり仕舞い込むんだな……このクズが!」
北見「あばよカイジ……」
カイジ「北見いいいいいいいいいいいいいいいいっ……!!!!!!」
378:
「いいんですかあの人?」
北見「いーのいーの。ああいう周りの目気にしてる女々しいやつはほっとけば」
「北見さんは男らしくモテモテチョコ買ってましたもんね」ニコッ
北見「痛いとこつくね?……でもそんな一面に惚れたんじゃないの?」
「はい……」キュンッ
北見「やっぱバレンタインは女の子と過ごすに限るなっ……!」
カイジ「安藤……古畑……一条……北見……俺ら艱難辛苦じゃなかったのかよ……!」
利根川「そろそろ私も帰る……色々と面白かったぞカイジ……」
カイジ「ふん……乞食が偉そうに……」
「あっ! てんてーだ!」
「ほんとだ?利根川校長先生?!」
カイジ「えっ……」
382:
利根川「みんな今日も一日元気にしてたか……?」
「は?い」
「せんせいこれあげる?」
利根川「ん……?」
「ちょうりじっしゅうで作った手作りのちょこれーとだよ!」
「あ?ズルい?わたしもとねがわせんせにあげる?」
利根川「ははは……食べきれるかな」
利根川「今日はもう遅い、先生が家まで送ってやろう」
「わ?い!」
「とねがわてんて?と一緒に帰ろっ帰ろっ」
「あははは?」
カイジ「利根川……校長?」
利根川「カイジ……大人は嘘をつく……それと……」
利根川「本命チョコは命より重い! 覚えておくんだな……」
そうして利根川は両手を何人もの生徒に捕まれながら帰って行った……。
その時カイジには背中の空き缶が本物の宝物に見えたという……。
386:
カイジ「なんだよこれ……! こんなのってありかよっ……! 結局一人なのは俺だけっ……!」
和也「ククク……残念だったなカイジ……」
カイジ「来年こそっ……来年こそはっ……!」
和也「そんなチョコ欲しかったんだなカイジは……」
カイジ「本音を言えば……やっぱり欲しかった……かな」
和也「じゃあ問題ないって……! というかむしろちょうどいいっ……!」
カイジ「は……? お前何言って……」
そう言うと和也は懐からごそごそと何かを取り出した……。
和也「ほいっ……友チョコ……!」
カイジ「あ、あ、あ、あ、あああああああアアアアアアアアアアアアアアア」
392:
カイジ「」ぐにゃ?
視界が歪む……あれだけ戦った結果……その集大成がこの友チョコっ……!
和也「前から結構さ……お前のこと気に入ってたんだぜ……?」
カイジ「」ぐにゃ?
チョコレート……たかだかチョコレートと思うかも知れないがバレンタインにのみもらうチョコレートの貨幣価値は計り知れないっ……!
本命チョコなど一生に一度貰えれば僥倖っ……そんな人もいるだろう。
カイジもまた、そんなチョコレートに踊らされた一人……。
チョコイズマネーっ……!
結局金がチョコに変わっただけっ……!
そう気づかされたカイジは吼えた……!
カイジ「うんざりなんだよっ……チョコだチョコだチョコだチョコだ……! そんな話をするたび浅ましく這い回ることになるっ……このバレンタインって日をっ……!」
395:
和也「カイジ……」
カイジ「だからこんなもんは……」
カイジは集めたチョコをいくつか手に取り……。
カイジ「受けとれっ……!」
通行人「えっ……?」
カイジ「遠慮するなっ……! ただっ……持ってけっ……! あんたらも聞けっ……! ここにあるチョコレート全部ただで持って行って構わないっ……!」
ざわ……ざわ……
カイジ「早い者勝ちだっ……!」
その瞬間群がるっ……!
チョコレートにっ……人っ……人っ……人っ……!
和也「カイジ……」
カイジ「これでいい……これで……」
カイジは拳を握りしめ……叫ぶっ……!
カイジ「ハッピーバレンタインッ!!!!!!!!」
終わり
402:
ちょっとだけオマケ
坂崎家
美心「開けてお父さんっ……!」
坂崎「絶対開けんぞっ……! 開けたらお前はあの野良犬カイジのところへ行くだろうっ……!?」
美心「それのどこが悪いのっ……!?」
坂崎「可愛い可愛い美心をあんな野良犬なんかに種付けさせるわけにはいかんっ……去勢っ……」
美心「去勢は睾丸を抜くことですーっだっ……!」
坂崎「睾丸っ!!!? どこでそんな卑猥な言葉を覚えたっ……! あいつかっ……! あの野良犬が睾丸プレーとかなんとか……!」
美心「カイジ君はそんなこと言いませんっ……!」
405:
どこかの中学校
アカギ「……」
「あの……アカギ君……これ……!」
アカギ「断る……ケチな義理チョコ拾う価値なし……」
「やっぱり駄目か?……」
「だから言ったでしょ? アカギ君は本命狙いなんだって……!」
「なんせ本人が言ってたからね?」
「そうなんだ?」
「あのっ……これもらってくださいっ……!」つ本命チョコ
アカギ「……断る、倍プッシュだ」
「ああん出たわ?アカギ君の倍プッシュ?っ!」
「これも食べて?」
「あ?私が先よ?」
「みんな一斉に倍プッシュよっ……!」
するとアカギの机上はチョコで溢れるっ……!
未曾有のチョコの山っ……!
アカギ「あらら……本命以外興味ないんだけどね……そう……本命(本当の命のやり取り)以外」
410:
本当に終わり……終わり……
しかし焦った……>>116>>117辺りでのこの会話っ……!
殺しに来たっ……!
先読みっ……!
だがその前からその伏線は垂らしていたっ……!
チョコが思ったより少ないとかっ……言ってたろっ……!
ならそれしかないっ……!
ないんだっ……! オチも美心ネタは安易っ……!
そこで和也っ……起死回生の友チョコっ……!
が、駄目っ……!
後半のぐだり解消ならずっ……だが利根川先生が受けたからよしっ……ハッピーバレンタインっ……!
ちなみに作者はチョコ2つでしたっ……!
ではまた……次のクリスマスかバレンタインで……!
いちゃ……いちゃ……
396:
泣いた
397:
なんというクリスマスキャロル……!
つ……つ……お……おつ……乙……乙!
398:
これは大作…!
後世に語り継がれるべき大作っ…!
400:
素晴らしい
406:
面白かった、乙!
40

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■困ったその生徒は回答欄に「読みました」と記入した

新聞のオワコンぶりが加速し部数減少に歯止めがかからず・・・読売新聞は半年で52万部減少、朝日新聞も9万部減少

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