小鳥「プロデューサーさんのコスプレ推しが結構ウザい」back

小鳥「プロデューサーさんのコスプレ推しが結構ウザい」


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1:
書き溜めてます
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2:
プロデューサー宅
小鳥「えへへ……プロデューサーさん、今日も良かったですよ」
P「そ、そうですか……そりゃまぁ…どうも////」
小鳥「なにいまさら顔赤くしてるんですか? あんなことしといてぇ」
P「やっぱり恥ずかしいじゃないですか」
小鳥「ふふっ、なぁんだか思春期の男の子みたいですね」
P「思春期……か」
P「小鳥さん」
小鳥「はい?」
P「…………」
小鳥「……どうしました?」
P「いや……あの……ちょっと引くようなこと言ってもいいですか?」
小鳥「引くようなこと?」
P「はい」
小鳥「ど、どうぞ」
3:
P「コスプレ……しませんか?」
小鳥「へ? コスプレ?」
P「はい」
小鳥「えっと……それって………」
小鳥「あっ! 事務服を着たままで……ってこと?」
P「いえ、違います」
小鳥「ってことは……普通にコスプレをするんですか?」
P「えぇ」
小鳥「で、その格好のまま…セッ……そういう行為を?」
P「そうです」
小鳥「…………」
P「やっぱり引きますよね」
小鳥「そ、そんなことないです!」
小鳥「同人誌をたくさん持ってるような人間が、そんなことで引いたりはしませんよ」
P「あっ、そうか……」
4:
小鳥「でもコスプレなんてやですよぉ」
P「えー? 引かないんでしょ?」
小鳥「実際にやるのとでは話が違うじゃないですか」
P「絶対可愛いと思うんだけどなぁ」
小鳥「そ、そう言っていただけるのは嬉しいですけど……コスプレはいやです」
P「そんなぁ」
小鳥「ちなみにコスプレって……何かのキャラ? それとも……」
P「制服です」
小鳥「何の制服ですか?」
P「それはもちろん女子高生の」
小鳥「あぁ……なおさら嫌ですね」
P「えーどうしてですか?」
小鳥「…………わかってるくせに」
P「???」
5:
小鳥「それにしても……どうして制服なんですか?」
P「これには非常に悲しい過去がありまして……」
小鳥「過去……?」
P「今じゃ言えない秘密じゃないけど、出来ることなら言いたくないんですが……」
小鳥(だったら言わなきゃいいのに)
P「ご承知のとおり、俺にとって小鳥さんが初めての女性です」
小鳥「私もプロデューサーさんが……」
P「つまり寂しい青春時代を過ごしたというわけですね」
小鳥「そうなりますね」
P「他の生徒がイチャコラしてて、それを横目に舌打ち一つ……ってな具合に」
小鳥「ちょいちょい分かりにくいネタを挟まないでください」
P「俺には、ときめきのメモリアルなんてこれっぽっちも無いんです」
小鳥「…………」
6:
P「つまりどういうことかと言いますと」
小鳥「…………」
P「制服を着た女の子とイチャイチャしたかったわけですよ、若かりし俺は」
小鳥「それが叶わず、憧れをこじらせた結果が……制服フェチということですか?」
P「幸いにも、女子高生に対する憧れにシフトせず、その着衣に対するものへと発展したので」
P「女子高生をどうこうしたいとかいう、危険思考を抱くには至りませんでしたけど」
小鳥「へぇーそれはよかったですねー」
P「っとまぁ、これが制服にこだわる理由です」
小鳥「だから私に着て欲しい……その格好でイチャイチャしたい……と?」
P「はい」
小鳥「う??ん」
P「やっぱり厳しいですか?」
小鳥「いや、私もね? プロデューサーさんと青春をやり直したいって気持ちは同じですよ?」
P「それなら……」
小鳥「だからって私が制服を着るのは……なんかチガくないですか?」
8:
P「なにがチガウんですか?」
小鳥「私はもう20代……後半です」
P「はい」
小鳥「そんな私が制服を着たって……着せられてる感バリバリじゃないですか」
P「ですから、着衣に対する憧れと言ったではないですか」
小鳥「それって制服着てたら誰でもいいってことでしょ?」
P「いや……それは違いますよ」
小鳥「どう違うんです? 私じゃなくてもいいってことですよ」
小鳥「それこそ、そーいうお店に行けば……」
P「それが嫌だから、こーして小鳥さんに頼んでるんじゃないですか」
小鳥「でも私が着たら、絶対『何かチガウなぁ』って言いますって」
小鳥「『出来心で娘の制服を着てみた母親みたいだ』って言いますよ!」
P「そんなこと言いませんし、それはそれでアリじゃないですか!」
小鳥「えっ……」
小鳥(私も大概だけど……プロデューサーさんもちょっと変わってるわね)
9:
小鳥「と、とにかく! 保留にさせてください」
P「……わかりました」
小鳥「それで……ちょっと聞きたいんですけど」
P「えぇ、どうぞ」
小鳥「制服って……もう持ってるんですか?」
P「いえ、コスプレ衣装って生地がチャチじゃないですか。 だから迷ってるんです」
小鳥「確かに………でもセシールとかならそれっぽいの売ってますよ」
P「……よく知ってますね」
小鳥「えっ? い、いや別に興味本位で調べたりとか……してませんよ」
P「そういうことにしときましょう」
小鳥「あとは……セーラー服かブレザーかだと、どっち?」
P「ウチの高校はブレザーでしたので、必然的にそちらです」
小鳥「…………」
小鳥(私のときもブレザーだったわね……そういえば)
10:
P「もしかして、持ってたりします? 制服」
小鳥「へ?」
P「昔着てたヤツを……」
小鳥「それは……お家に電話してみないと分かんないですけど……」
P「そうですか……」
小鳥「それにサイズだって……まぁ身長とかはそんなに変わらないかな」
P「体型は変わったんじゃないです?」
小鳥「……どーいう意味ですか?」
P「いや、他意は無いですよ」
小鳥「ホントですかぁ?」
P「え、えぇ」
小鳥「っていうか、ちょっと待ってくださいよ! まだ保留ですからね?」
P「分かってますよ。 無理やり着せるのは嫌ですから」
小鳥「申し訳ないですけど、少し考えさせてください」
P「もちろんです」
11:
――――――
――――
――
小鳥「――ってことがあったんですけど……どう思います?」
律子「いつぞやもそうですけど……その話を私にするってどうよ……」
小鳥「だって律子さんしか相談できる人が居ないんですもの……」
律子「される方の身にもなってくださいよ」
小鳥「いいじゃないですかぁ切実なんですよぉ?」
律子「切実も何も、小鳥さんはどうしたいんですか?」
小鳥「私もプロデューサーさんと同じで、暗い青春時代を送りましたから……」
小鳥「プロデューサーさんの気持ちはよーく分かるんです」
律子「だったらコスプレしてあげたらいいじゃないですか」
小鳥「でも、こんな年でしょ? だから……」
律子「恥ずかしい?」
小鳥「そんなとこです」
13:
律子「でもプロデューサーだって恥ずかしかったんじゃないですか?」
小鳥「私にコスプレを頼むのが?」
律子「えぇ……もしかしたら、嫌われるかもしれないとまで思っていたかも」
小鳥「そのくらいで嫌ったりなんかしませんよ」
律子「自分の趣味を人に晒すというのは、結構勇気がいるんですよ」
律子「それでもなお打ち明けてくれたのは、小鳥さんを信頼してるからこそ! でしょ?」
小鳥「……そうですね」
律子「ですからその勇気と信頼に応えてあげましょうよ」
小鳥「うん……まぁ、そうしようかしら……」
律子「よしよし」
小鳥「でも私だって勇気いるんですよ? 中年増の女がコスプレなんて……ねぇ」
律子「何言ってるんですか、そんなことありませんよ」
小鳥「そ、そう?」
律子「そうですよ」
律子(もうイロイロと手遅れですから……)
14:
律子「それで? 衣装はもうあるんですか?」
小鳥「うぅん、まだなの」
律子「どうするんです?」
小鳥「もしかしたら実家にあるかもしれないから……」
律子「おっ、いいですね。 本物だったらプロデューサー喜びますよきっと」
小鳥「そうね」
律子「ちょっと連絡してみたらどうです? お家に」
小鳥「え? 今から?」
律子「えぇ」
小鳥「今しなくていいですよー」
律子「いえいえ、早いほうがいいですって絶対」
小鳥「とか言って、律子さんが気になるだけでしょ?」
律子「……認めましょう、そのとおりです」
小鳥「…………」
小鳥「分かりました、やってみます」
16:
小鳥「…………」
律子「…………」
小鳥「……あっ、もしもし? お母さん?」
小鳥「うん……ゴメンね急に」
小鳥「うぅん仕事中……ちょっと聞きたいことがあって……」
小鳥「あの……私の高校のときの制服って………ないわよね?」
小鳥「…………あるんだ」
律子(…………あるんだ)
小鳥「え? いつでも着れる……?」
小鳥「ち、違う違う! 私が着るんじゃなくて……」
小鳥「ほら、アイドルの衣装の参考に……しようかなぁって」
小鳥「……うん……そう…………うん」
律子(流石に使用目的は言えないか……まぁ当然ね)
17:
小鳥「……え?」
小鳥「い、いや……それは……その………」
小鳥「ちょ、ちょっと忙しいからもう切るねっ!」
ピッ
小鳥「……ふぅ」
律子「最後のほう、何て言われてたんですか?」
小鳥「『アンタ例のプロデューサーとはどうなったの?』ですって」
律子「あぁ、なるほど」
小鳥「『プロポーズは?』とか『孫の顔が……』とか言われる前に切ってやったわ」
律子「心配してらっしゃるんですよ、きっと」
小鳥「うん……それは分かってるんですけど……」
律子「まぁまぁ、いずれそういう報告もできるんでしょ?」
小鳥「だといいけど……どうかしらね」
律子「大丈夫ですって! 二人ほどお似合いなカップルはいませんよ」
律子(片や同人趣味で、片やコスプレ趣味だもの……)
18:
律子「それじゃ、取りに行くことにしたんですね?」
小鳥「えぇ、もう決心がついたわ」
律子「…………あっ」
小鳥「ど、どうしました?」
律子「イイこと思いつきました」
小鳥(なんだろう……すごく嫌な予感がする……)
律子「ちょっとお耳を拝借……」
小鳥「はいはい」
律子「明日の朝………が…………後に…………」
小鳥「…………」
律子「……から…………ておいて…………」
小鳥「えぇ?!? ムリですよぉ?」
律子「大丈夫ですって……ね?」
小鳥「………………わ、わかりました」
19:
小鳥「でもどうだろうなぁ……」
律子「何がですか?」
小鳥「一応お家で試着してみますけど……サイズ面が不安で……」
律子「あぁそうですね、主に胴まわりが……」
小鳥「胴まわりぃ!?」
律子「じょ、冗談ですよ!」
小鳥「せめて胸囲って言ってくれませんかねぇ」
律子「そうそう、それが言いたかったんです」
小鳥「律子さん? あんまり大人をからかっちゃダメよ?」
律子「す、すみません」
小鳥「ふふっ、冗談ですよ」
律子「あはは……なぁんだ………」
律子(目がマジなんですけど……)
20:
小鳥「なにはともあれ……相談に乗ってくれてありがとう、律子さん」
律子「大したことしてませんけどね」
小鳥「うぅん……この前だって相談に乗ってくれたし」
律子「っていうか、そうしないと仕事してくれないじゃないですか」
小鳥「え?」
律子「遠い目をして『はぁ……』とか溜息付くばかりで」
小鳥「私……今、そんな感じでした?」
律子「自覚無かったんですか?」
小鳥「まったく」
律子「わざとかと思ってました」
小鳥「そんな構ってちゃんみたいなことしませんよぉ」
律子「まぁいいです。 無事解決したんですから、仕事してくださいね」
小鳥「あっ、もう3時ですよ! 休憩しましょう休憩!」
律子「……おい」
21:
――――
――
春香「コスプレ……ですか?」
P「あぁ」
春香「それって……小鳥さんがコスプレをした状態で……す、するんですか?」
P「うん……どう思う?」
春香「普通アイドルにそんな話しますぅ?」
P「ほ、ほら! 時間的なこともあってさ、春香ぐらいしか話せる人居ないんだよ」
春香「いつかもそんなこと言ってましたよね」
P「そうだっけ?」
春香「それで? 小鳥さんは何て?」
P「保留だってさ」
春香「それなら……簡単なことですよ。 結論が出るまで待つしかないです」
P「……やっぱり?」
春香「はい」
22:
春香「だって無理やり着せるわけにいかないじゃないですか」
P「そうだな……」
春香「ちなみに何のコスプレですか?」
P「制服だよ制服。 女子高生の」
春香「制服? 何か理由があるんですか?」
P「小鳥さんにも言ったんだけど……簡単に言うと、制服フェチなわけだ」
春香「そんなに胸を張って言うようなことじゃないです……」
P「サーセン」
春香「フェチ……ですか」
春香(だから私が制服で事務所に行ったとき、ちょっと様子がおかしかったんだ)
P「どうした?」
春香「い、いえ……なんでも」
春香「とりあえず待つことです。 その間、ゼッタイこの話題に触れちゃダメですよ」
P「わかってるよ」
23:
春香「これから事務所に戻るんですから、小鳥さんと会いますよね?」
P「99パーセント会うだろうな」
春香「多分その時、小鳥さんは気まずそうにしてるはずです」
P「うん」
春香「ですから、プロデューサーさんは何食わぬ顔で接してあげてください」
春香「『コスプレの話なんて知らないよ?』って感じで……」
P「つまりは変なプレッシャーを与えないようにしろってことだろ?」
春香「そうです! 仮にあとで断られても、小鳥さんを責めないでください」
P「もちろんだ。 まぁ流石に事務所でこの話はしないだろうけど」
春香「そうですね……律子さんに『仕事しろ!』って怒られちゃいますよ」
P「とはいえ、もう夕方。 サラリーマンだったら帰っていい時間だけど」
春香「でもプロデューサーさん定時で帰ったことないんでしょ?」
P「……まぁな。 『5時から男』なんてのはありえない話さ」
春香「なんですかそれ?」
P「いや、知らないならいい」
24:
――――
――
ガチャ
P「ただいま戻りまし……うわっ!」
小鳥「きゃっ!」
P「あービックリしたぁー」
P(いきなり飛び出してくるから、ぶつかるかと思った)
春香「わぷっ!」
P「おっと!」
春香「もぅプロデューサーさん! 急に立ち止まらないでくださいよぉ?」
P「ムチャ言うなって」
春香「あー鼻が痛い……ってあれ? 小鳥さん?」
小鳥「お、おかえりなさい春香ちゃん」
春香「ただいまです!」
P「そういう小鳥さんは、もうお帰りですか?」
小鳥「え、えぇ……ちょっと用事が………」
25:
小鳥「帰る前に……コーヒー淹れますね」
P「あっ大丈夫ですよ。 それより用事の方を優先してください」
小鳥「でも……」
律子「小鳥さん、コーヒーは私が淹れますから」
P「なんだ律子、いたのか」
律子「いちゃ悪いですか?」
P「いやいや、そういう意味でなくて」
律子「ったく……恋は盲目ってのは本当なのね。 ねぇ春香?」
春香(私も気付かなかった……なんて言えない……)
律子「どうしたの?」
春香「な、なんでもないです!」
P「……なんにもな?いなんにもな?い」
小鳥「まったくなんにもな?い」
律子・春香「「なんですかそれ?」」
P「いや、知らないならいい」
26:
律子「ほらほら小鳥さん、早く帰らないと」
小鳥「あっはい! それじゃ……お先です!」
P「…………階段を駆け下りていったぞ」
春香「随分慌ててましたね」
P「なぁ律子、小鳥さんの用事って何なんだ?」
律子「さぁ……聞いてないですけど」
春香「プロデューサーさんこそ、何も知らないんですか?」
P「うん」
春香「ま、まさか……浮気?」
P「えっマジ!?」
律子「あのねぇ……小鳥さんがそんなことするわけないでしょ?」
P「そ、そうだよな! するわけないだろ春香」
春香「……そうですね」
P・春香・律子『あっはっはっはっはー』
27:
P「用事だって、大したことじゃないよ」
律子(フッ……そうかしら?)
P「そうだ、春香も今日は帰るか?」
春香「え? 明日の打ち合わせとかいいんですか?」
P「予定の変更はないから、明日は今日と同じくらいの時間に来てくれたらいい」
春香「分かりました」
P「そいじゃ、お疲れさん」
春香「お疲れ様でした! 律子さんも!」
律子「おつかれさま」
P「……ふぅ」
律子「さて、ブラックでしたっけ? コーヒー」
P「あぁ、悪いな。 ブラックはブラックだけど……」
律子「アメリカン……ですね?」
P「イエス」
28:
翌日
春香「おっはようございまーす!」
P「おはよう春香」
春香「小鳥さんと律子さんも、おはようございます」
律子「うん、元気でよろしい」
小鳥「……おはよう春香ちゃん」
春香「あれ? 小鳥さん、どうかしたんですか?」
小鳥「え? な、なにが……?」
春香「いえ……なんとなくいつもと違うかなぁーって」
小鳥「そ、そんなことないんじゃないかしら? ねぇ律子さん?」
律子「そんなことなくもないと思いますけど……」
小鳥「ちょ、ちょっと!」
律子「あはは、冗談です」
小鳥「もう……」
29:
P「おーい春香、そろそろ行くぞ」
春香「あっはーい」
小鳥「あ、あの……プロデューサーさん?」
P「はい?」
小鳥「今日は夕方まで帰ってこないんですよね?」
P「えぇ、そうなると思います」
小鳥「そうですか……わかりました」
小鳥「…………」
P・春香(小鳥さん、もしかして……寂しいのかな)
小鳥「な、なんですか?」
P「いえ……」
律子「お二人とも、早く行かないと」
P「おっとそうだった!」
春香「行ってきまーす」
小鳥「…………」
30:
律子「行きましたね」
小鳥「えぇ……行ってしまいました」
律子「さて! ではさっそく……」
小鳥「…………」
律子「あれ?」
小鳥「あの……ホントにやるんですか?」
律子「当たり前でしょ。 何の為に昨日早く帰ったんですか?」
小鳥「でも誰か来たら……」
律子「来客なんて滅多にないし、アイドルになら見られても平気でしょ?」
小鳥「平気じゃないですよぉ」
律子「うーん」
小鳥「……仕事が手に付かなくなるかもしれないですし」
律子「分かりました。 じゃあ夕方なら良いでしょ?」
小鳥「ま、まぁ夕方なら……まだ………」
律子「よし決まりですね」
31:
――――
――
春香「絶対何かありますって、小鳥さん」
P「だからその何かってのはなんだよ」
春香「それは分かんないですけど、なんとなくそんな感じなんです」
P「随分とあいまいだな」
春香「大体、私よりプロデューサーさんが気付かないといけないんですよ?」
P「どうして?」
春香「どうしてって……恋人でしょ?」
P「…………」
春香「むしろ、プロデューサーさん以外に誰が気付くんですか?」
P「……となればだ、気付かないといけない俺が気付いていないということはだよ?」
P「春香が言うような“何か”が存在しないってことだ」
春香「それって単にプロデューサーさんが鈍感なだけじゃ……」
P「ぐぬぬ……」
32:
P「とにかく、俺にはいつも通りの小鳥さんにしか見えなかった」
春香「そうかなぁ……」
P「まぁまぁいいじゃないか」
春香「でも……」
P「ほら、もうすぐ収録始まるから、とりあえず忘れなさい」
春香「プロデューサーさんは考えててくださいよ」
P「わかったわかった」
春香「何か取り返しのつかないことにならなきゃいいですけど……」
P「心配しなくても大丈夫だよ、多分」
春香「うーん……」
『そろそろお願いしまーす』
P「ほら来たぞ」
春香「あっはーい! それじゃ、行ってきますね!」
P「がんばれよ」
春香「もちろん!」
33:
『天海春香ちゃんでーす』
春香『どうもこんにちはー!』
P「…………」
P(収録時にケロッとしてるってのは……流石はプロだな)
P(しかし、小鳥さんの様子がおかしかった……か)
P(俺には普段と変わらないように見えたけどな……)
P「…………」
P(何か取り返しのつかないこと………?)
P「…………」
P「もしかして……」
P(俺がコスプレしてくれ、なんて言ったから……)
P(別れようって…………)
P「…………まさかな」
P「そんなはずないよな……?」
P「ないですよね? 小鳥さん……」
34:
春香「……どうでした?」
P「あぁ、うん……まぁよかったんじゃないか?」
春香「もう! ちゃんと見てくれてたんですか?」
P「……正直あんまり」
春香「どうせ小鳥さんのことばっかり考えてたんでしょー」
P「そうしろと言ったのは春香だろ」
春香(……そうだったっけ?)
春香「それで、何か分かったんですか? 小鳥さんのこと」
P「いや、相変わらずだ」
春香「そうですか……」
P「変なことにならなきゃいいけど……」
春香「この話を振ったのが私だから、あんまり言えないですけど……」
春香「そんなに気にしなくていいと思いますよ」
P「そうか?」
春香「はい」
35:
春香「私も分かんないですし、プロデューサーさんも分かんない……」
春香「考えて分かんないのなら、考えないほうがいいです」
P「まぁな」
春香「その方が精神的にもいいんじゃないかと……」
P「確かにそうかもしれないな」
春香「でしょう? なんとかなりますって」
P「いやしかし……」
春香「ほら、難しい顔しなくていいですから、笑って笑って!」
P「あ、あはは……」
春香「もう……これじゃ立場が逆じゃないですか」
P「いやぁ面目ない」
春香「さ、次の仕事に行くんでしょ? 早くしないと」
P「あぁそうだったな!」
春香「しっかりしてくださいよ?」
P「わかってるよ」
36:
――――
――
P「お疲れさん、今日もよく頑張ったな」
春香「えへへ……ありがとうございます」
P「もう事務所に戻るけど……お腹空いてたりしないか?」
春香「大丈夫ですよ。 それより早く戻りましょう」
P「そうか……でも、飲み物ぐらいは奢るよ」
春香「いいですって」
P「遠慮しなくてもいいんだぞ?」
春香「いつも奢ってもらってばかりですから」
P「そうだっけ?」
春香「そうですよ」
P「いつものことなら、尚のこと遠慮はいらないじゃないか」
春香「いいからいいから、早く行きましょう」
P「あ、おーい」
37:
事務所
律子「もう帰ってくるんじゃないですか? あの二人」
小鳥「えっもうそんな時間?」
律子「そろそろ準備したほうがいいと思いますよ」
小鳥「…………はぁ」
律子「なんですか溜息なんて」
小鳥「やっぱり……やめた方がいいんじゃないかしら?」
律子「もう決まったことです! 」
小鳥「で、でも……」
律子「そんなに心配しなくても平気ですって。 女は度胸! ですよ?」
小鳥「そうですけどぉ」
律子「プロデューサーさん喜んでくれますって絶対」
小鳥「…………わかりました」
律子「会議室使っていいですから」
小鳥「はい」
38:
ガチャ
小鳥(あっ来た!)
P「ただいま戻りま……し………た?」
小鳥「お、お帰りなさい」
春香「わぷっ!」
P「…………」
春香「もぅプロデューサーさん! 急に立ち止まらないでって………あれ?」
小鳥「…………」
P「小鳥さん……その格好……」
小鳥「え、えと……制服です」
P「……ですよね」
小鳥「…………」
P「…………」
春香(ど、どーいうこと?)
39:
律子「さーて、帰るわよ春香」
春香「えぇ!?」
律子「何よ?」
春香「いや……別に……」
律子「プロデューサー? 明日、春香は?」
P「へ? なに?」
律子「だから、春香は明日どうしたらいいんですか?」
P「あっ……えぇっと、明日はレッスンだけだから……その時間に遅れないようだけ頼む」
律子「ですって……春香、わかった?」
春香「は、はい」
律子「それじゃ、私と春香はこれで」
春香「お、おつかれさまでした」
P「…………」
小鳥「……また明日ね」
40:
バタン
小鳥「…………」
P「そ、それって……本物ですか?」
小鳥「えぇ、私が高校時代に着てたものです」
P「そうですか……」
小鳥「…………」
P「あの……」
小鳥「は、はい?」
P「いえ………」
小鳥「分かってますよ……変ですよね、やっぱり」
P「そんなことないです! すっごく似合ってますよ!」
小鳥「そ、そうですか?」
P「……いや、本当ですよ? お世辞抜きで」
小鳥「お気遣いどうも……」
41:
小鳥「あの……プロデューサーさん、今日は?」
P「今日ですか? もう帰ろうかと思ってますけど」
小鳥「そうですか……だったら、行きましょう」
P「えっ……あ、そうか! 今日は俺んちに来る日でしたね」
小鳥「はい」
P「でも……その格好で家まで?」
小鳥「…………ぁ」
小鳥(帰るときのこと考えてなかった……)
P「着替えます?」
小鳥「で、でも……アレですよね。 制服の子とイチャイチャしたかったんですよね?」
P「それはまぁ、そうですけど」
小鳥「だから、その……いっしょに帰りましょう」
P「えっと、いいんですか?」
小鳥「ちょっと恥ずかしいですけど、頑張ります」
42:
小鳥「あ、でも……援助交際とかに間違われちゃいますかね?」
P「それは大丈夫だと思いますけど」
小鳥「むっ……ちょっと、どーいう意味ですか?」
P「は?」
小鳥「私がオバサンだからって言いたいんですか?」
P「いや、違いますよ! ほら、アレですよアレ!」
小鳥「どれですか?」
P「えーっと……あのぅ……き、兄妹に見えるって言いたかったんです!」
小鳥「……ホントですかぁ?」
P「本当ですよ。 やだなぁ?」
小鳥「う?ん」
P「さ、さぁ行きましょう!」
小鳥「なんだかなぁ?」
43:
P「…………」
小鳥「…………」
P「…………」
小鳥「な、なんですかコッチばっかり見て……しっかり前を向いて歩いてください」
P「いや……かわいいなぁ?と思って」
小鳥「も、もう………ばか」
P「女子高生がこんな服着てたら……そりゃ変質者も出ますよね」
小鳥「本物には手を出さないでくださいよ?」
P「分かってますよ。 小鳥さんで我慢します」
小鳥「我慢だなんて……妥協してるみたいに……」
P「なに言ってるんですか。 俺は小鳥さんだけしか見てませんよ」
小鳥「んなっ!?」
P「どうしたんですか? 鯉みたいに口をパクパクして」
小鳥「さらっと恥ずかしいこと言うの禁止です!」
P(俺なんか言ったっけ……?)
44:
P「そういえば、鞄もあるんですね」
小鳥「えぇ、母が残してたみたいで」
小鳥「制服着てるのに鞄だけいつものだと……変でしょ?」
P「お母さんグッジョブ!」
小鳥(お母さん……か)
P「どうかしました?」
小鳥「あの……義はつきますか?」
P「ギ? なんですかそれ?」
小鳥「い、いえ……お気になさらず」
P「ぎ、ぎ、ぎ………うーん」
小鳥「考えなくていいですってば!」
P「あっはい」
小鳥「さ、早く行きましょー!」
P「あっ、待ってくださいよー」
小鳥「うふふっ、敬語はダメですよ」
45:
P「……さて、無事に着きましたね」
小鳥「職質されることもなく」
P「流石にそれはないでしょ」
小鳥「でも、ものすごく怪しいですよ私たち」
P「そうですかね?」
小鳥「そうですよ」
P「まぁいいや……早く中に入りま……」
小鳥「あっ、ちょっと待って!」
P「なんですか?」
小鳥「私が先に入ってますから、いいって言ったら来てください」
P「え? でもなんで……」
小鳥「いいから!」
P「わ、わかりました」
46:
P(一体何なんだろう……?)
P「…………」
小鳥「いいですよー」
P「はいはい」
ガチャ
P「……っと」
小鳥「お帰りなさい……お、お兄……ちゃん」
P「」
小鳥「あれ?」
P「い、今なんと……?」
小鳥「だから……お帰りなさい、お兄ちゃん!」
P「……すばらしい!」
小鳥「そ、そう?」
47:
P「ちょっと俺、もう一回出ますから! 次はセンパイでよろしく!」
小鳥「え? あっ、ちょっと!」
バタン
P「いきますよー?」
小鳥「は、はい」
ガチャ
P「ただいまー」
小鳥「お、お帰りなさい……センパイ」
P「うん、いいですね……」
小鳥「…………」
P「次はセンセで」
小鳥「えっ……まだするんですか?」
P「先生じゃなくて、センセですからね!」
48:
小鳥「はい、どうぞー」
ガチャ
P「ふぅ」
小鳥「お帰りなさい、セーンセ」
P「おぉ……この背中がむず痒くなる感覚は実にいいものだ」
小鳥「…………」
P「いやーどれもすばらしい!」
小鳥「…………」
P「えーっと次は……」
小鳥「もう! いい加減にしてください!」
P「あっ、待って小鳥さん。 ちょっと向こう向いてください」
小鳥「えっ? こ、こう……?」
P「そのままそのまま…………よっと」
小鳥「うひゃぁ!?」
49:
小鳥「ちょ、ちょっとなにやってるんですかぁ!?」
P「ほぉ……これがスカートめくりかぁー」
小鳥「や、やぁ……恥ずかしい」
P「なに恥ずかしがってるんですか?」
小鳥「だ、だってぇ」
P「制服に似合わず、大人っぽい下着っていうギャップが実に素晴らしい」
小鳥「うぅ……恥ずかしくて死にそう」
P「うーんでもやっぱり……パンツってのはチラッと見えるからいいんだな」
P「うん! パンモロよりパンチラだ!」
小鳥「いいから早くスカートを下ろしてくださいぃ?」
P「え? 脱がすんですか?」
小鳥「違いますよ! めくってるのを下ろしてって言ってるんです!」
P「あぁそういうことですか」
小鳥「んもうっ!」
50:
P「…………」
小鳥「えと……もう………するんですか?」
P「まぁ……そのつもりですけど」
小鳥「わ、わかりました」
P「…………」
小鳥「………んっ」
P「な、なんだか……イケナイことしてるみたいです」
小鳥「そ、それは……なりきり度が足りないからですよ」
P「なりきり度?」
小鳥「私は女子高生で、プロデューサーさんは学年がひとつ上の男の子……」
小鳥「そう考えれば普通でしょう?」
P「えぇまぁ」
小鳥「私も無理は承知で、それでも頑張ってなりきりますから」
P「でも、どうして俺の方が学年が上なんですか?」
小鳥「い、いいじゃないですか別にそれくらい!」
51:
小鳥「私たちは今高校生で、二人は付き合ってるんです」
P「はい」
小鳥「それで……都合のいいことに、ご両親が旅行で居ないわけですよ」
P「だから初めて泊まりにきた……ということですね?」
小鳥「そう」
P「でもなんか……同人誌でそんなのありませんでした?」
小鳥「……余計なことは考えない」
P「すんません」
小鳥「それで、二人はドギマギしながら帰ってきて……」
P「帰ってきて……」
小鳥「今に至る」
P「…………」
小鳥「どうですか? なりきり度が高まってきました?」
P「うん、まぁ……」
小鳥「大事なのはイメージを維持し続けることです。 では、続けますよ?」
52:
小鳥「…………」
P「…………」
小鳥「え、えと……わたし……ハジメテなんです」
P「…………」
小鳥「だから……そのぅ………」
小鳥「優しくしてくださいね、センパイ」
P「……こ、小鳥さん」
小鳥「あーダメですよ」
P「えっ?」
小鳥「貴方は今、プロデューサーじゃなくてセンパイなんですから」
P「は、はぁ」
小鳥「ですから……私のことは小鳥って呼んでください」
P「こ、小鳥……」
小鳥「センパイ……」
53:
――――――
――――
――
小鳥「あぁ?あ、プロデューサーさんと高校時代に会いたかったなぁ」
P「あはは……そうですね」
小鳥「二人で青春を謳歌したかったです」
P「まぁまぁ、過ぎた日のことを嘆いたってしょうがないですよ」
小鳥「それはそうですけど……」
P「青春なんて、これから謳歌すればいいじゃないですか」
小鳥「えっ?」
P「早くに出会えなかった分、ずっと一緒にいればいいんです」
P「一生かけて、青春の穴埋めをしますから」
P(なかなか良いこと言うなぁー俺も)
小鳥「…………」
小鳥「あ、穴埋めだなんて……いやらしい」
P「うそーん」
54:
P「さぁ次はどんな格好でしましょうか?」
小鳥「…………なんですって?」
P「だから、どんなコスプレをしますか? スク水? メイド?」
小鳥「いやいやいや……私はもう………」
P「待てよ……小鳥さんの最大の魅力は、なんといってもグンバツの脚!」
P「その美脚を活かすには……チャイナ服しかないっ!!」
小鳥「ちょ、ちょっと!」
P「問題は服の色と……スリットの長さだな」
小鳥「プロデューサーさ?ん?」
P「短すぎるのもダメだし、長すぎるとイヤラシさだけが際立ってしまう」
小鳥「いい加減に……」
P「あくまでも上品なエロスでなくては……」
小鳥「いい加減に………しなさい!!」
P「いでっ! 何ですか!? チョップはないでしょチョップは!」
小鳥「ったくもう……」
55:
小鳥「もうコスプレなんてしませんからねっ!」
P「えーどうして?」
小鳥「どうしてって……もういいじゃないですか」
P「そんなぁ?もったいなーい」
小鳥「なんといわれようと、ダメなものはダメです!」
P「だったら、せめてチャイルドスモックだけでも………」
小鳥「チャイルドスモックぅぅ?」
P「ほら、幼稚園児の格好ですよ」
小鳥「幼稚園児って……い、一番ダメですよそんなの!」
P「一番ダメなんですか!?」
小鳥「いやだって……アイドルの子達の年齢ならまだ分かりますけど……」
小鳥「私だったら、保母さんとかになるのが普通じゃないですか!」
P「何をおっしゃいますか! 成人女性にチャイルドスモックはポピュラーですよ!」
小鳥「どの世界のポピュラーですか……」
56:
P「視覚的に可愛いってのはもちろんですけど……」
小鳥「…………」
P「そこに『この年でこんな格好……恥ずかしいわ』っていう羞恥心が加わってですね」
P「なんとも名状しがたい魅力が、身体中から醸し出されるわけですよ!」
小鳥「…………」
P「体操服でも同じような効果がありますけど……やっぱりここは園児服でしょ!」
小鳥「いや……あの………」
P「よし! そうと決まれば……」
小鳥「ちょっ、なに勝手に話進めてるんですか! 私は着ませんからね!」
P「往生際が悪いですねぇ」
小鳥「だって……」
P「もう次で最後にしますから……多分」
小鳥「やですよぉ?」
P「そうですか………」
小鳥「…………」
57:
P「はぁ?あ、見てみたかったなぁ……残念だなー」
小鳥「…………」
P「ぜっったい可愛いんだけどなぁ……残念だなー」
小鳥「…………」
P「小鳥さんの新たな魅力が見つかると思ったのになぁ……残念だなー」
小鳥「…………」
P「美人で可愛くてエロい小鳥さんに、ロリ要素が加わったら最強なのになぁ……残念だなー」
小鳥「…………」
P「はぁ……残念だなー」
小鳥「そ、そんなに……」
P「え?」
小鳥「そんなに着て欲しい……ですか?」
P「えぇ、そりゃーもう!」
小鳥「そう……」
58:
小鳥「じゃあ……着てあげてもいいかなぁ………」
P「えっマジですか!? ぃやったー!!」
小鳥「…………そのかわり、最後ですよ?」
P「それは……」
小鳥「やっぱり止めよ」
P「あー嘘です嘘です! 次で最後!」
小鳥(こんなに必死なプロデューサーさん初めて見た……)
P「さっそく衣装を……あっそうだ! 絆創膏も要るな……」
小鳥「…………」
P「えーっとまず、上と下で最低でも三枚は必要だろ? あとは膝に一枚……」
P「そうだ! カミソリも準備しておかないと!」
小鳥「…………はぁ」
小鳥(もうやだこんなプロデューサー……もうやだこんな恋人……)
END
59:
お粗末さまでした
61:

園児服は真美にも着せたい
62:

そこはPもコスプレすべきだろ
6

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