誓子「なるかの可愛いポイント全部当てるまで帰れま１０！」back ▼
誓子「なるかの可愛いポイント全部当てるまで帰れま１０！」
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1：
成香「はい？」
誓子「だから『なるかの可愛いポイント全部当てるまで帰れま１０』」
爽「なるほど」
揺杏「なるほど?」
由暉子「……」ﾊﾟﾁﾊﾟﾁ
成香「え！？ みんな乗り気なんですか！？」
爽「そりゃあ今日はせっかく成香の誕生日会だし、こういう出し物でもいいんじゃないか」
揺杏「予想外だったけどね?」
由暉子「ですね」
成香「ユキちゃんも！？」
由暉子「いいと思います。それに私一人が嫌だと言っても空気が冷めるだけです」
2：
爽「さすがはスーパーエース。わかってるね！」
由暉子「今は麻雀の実力は関係ないと思います」
揺杏「鼻メガネかけさせてから一言もしゃべらないから、ブチ切れてんのかと思ったよ?」
由暉子「これ外していいですか？」
揺杏「その前に写メ取らせて」ﾊｲﾋﾟｰｽ
誓子「それでは司会進行役は私、桧森が務めさせていただきます」
爽「パーフェクト賞とかあるの？ てか何も食わないなら延々と続けられるぞ」
3：
誓子「外したらこれ食べてもらおうかな。飲み物無しで」
揺杏「クッキー？」
誓子「昨日私が焼いてきました」
爽「あの典型的料理下手と言われる誓子特製のクッキー……」
由暉子「粉っぽくて砂糖の分量間違えてて、リアクションの取りにくい中途半端な不味さの桧森先輩のクッキーですか」
爽「おいばかやめろ！」
誓子「ふ、ふふ、いいよ。私もう慣れた。だからこうして自虐ネタにすることにしたんだよ……」
成香「ちかちゃん……。でもあれはほんとに厳しいです（小声）」
揺杏「あれ飲み物ないときついんですよね?」
爽「みんな容赦無いな」
6：
爽「で、パーフェクト賞は」
誓子「なるかのキス」
爽・揺杏「ええ?」
成香「キス！？ てっ、な、なんですかその反応！ 私も嫌ですよ！」
誓子「え、嫌なの……？ ここですごい盛り上がると思ったのに……」ﾄﾞﾝﾖﾘ
成香「あ、いや、違っ、──私はキスいいと思います！」
由暉子「それでは本内先輩から、この企画者の桧森先輩へのキスというのはどうでしょうか」
揺杏「あ、いいねそれ名案だぞ?」
誓子「それでいいの？」
爽「私達はみなのハッピーエンドが見たいんだよ」
成香「なにやら腑に落ちない所が多々ありますが、私もちかちゃんだったら……」
誓子「なるか……」
由暉子「早く進めてください」
7：
誓子「ランキングは私の独断と偏見でも良かったのですが、ここは公平性を考えて私の友人らからアンケートを取りました」
成香「そんなことしてたのちかちゃん……」
誓子「＋道行く人になるかの写真を見せて、どこが可愛いとか聞いたりね」
成香「すごく恥ずかしいです」
誓子「インハイで私達も有名になったから、学校外の方にも知名度高かったよ。『弱くて可愛い』などなど」
成香「ひどい」
爽「今のうちに飲み物飲んでおこう」
揺杏「私もお茶頂戴。大量に」
由暉子「私もお願いします」
誓子「はいそこ飲み物ストップ！ 今から終わるまで何も飲んじゃいけません」
爽「……」ｽｽｯ
8：
誓子「それでは始めましょう。時計周りでいいよね。ユキちゃん揺杏ちゃん爽なるかの順で」
成香「私も参加するんですか！？ 自分で自分の可愛いポイントを言い当てるんですか！？」
誓子「それが醍醐味的な？」
揺杏「なるほどなるほど?」
誓子「はいではスタート。ユキちゃん」
由暉子「『雑魚可愛い』」
爽・揺杏「「！？」」
爽「くっそぉ、それ言おうと思ってたのにー」
揺杏「同じく?」
成香「……」
誓子「デデデンデンデデン デデデンデンデデン 『雑魚可愛い』はぁ? ８位でしたー」ﾍﾟﾛﾝ
揺杏「おお?、無駄に手の込んだボード」
爽「まんま『雑魚可愛い』って言葉がランクインしてるんだね。みんな厳しいな、成香」
成香「私への罰ゲームですかこれー……」
13：
由暉子「……ふぅ」
揺杏「お、いま安心したな?」ﾁｮｲﾁｮｲ
爽（『雑魚可愛い』という言葉がランクインしてるこのランキング、もしかしたら似たニュアンスでもトップ１０内にいくつか散在するのではないだろうか）
爽（さきほど誓子の発言から『弱くて可愛い』という単語がアンケから拾えたみたいだし……。それを誓子がわざわざ『雑魚可愛い』と言い直すかな。違うよなたぶん）
爽（つまりこのランキングには『弱い』＋『可愛い』を持つ言葉がいくつか在り、それをどうにかやりくりして答えていけば誓子クッキーを食わずに済む）
爽（考えろ私、『弱い』の類義語だ。もろい、やわい、か細い、……華奢？ いや、身体的特徴は奥の手だ。しかし、それを他の三人に答えられては……）
揺杏「手が小さくて可愛いー、かな？」
爽「！」
誓子「『手が小さくて可愛い』でいい？」
揺杏「え、え?じゃあ、『手が綺麗で可愛い』で」
誓子「ファイナルアンサー？」
爽（誓子楽しそうだなー）
14：
揺杏「ファイナルーアンサー」
（例のＢＧＭとドラムロール）?♪
揺杏「うわあ懐かしい?」
誓子「デデン １０位でしたー」ﾊﾟﾁﾊﾟﾁ
由暉子「あれ？ 『手が小さくて綺麗で可愛い』なんですね」
誓子「うん、あれはＢＧＭ用意したから使ってみたくって。どっちも正解だよ」
爽「！？」
そのとき爽に電流走る
もしかして、誓子は適当にランキングを作っていたのではないかという疑惑……！
爽は誓子のマメな性格から、一つのルールを作りそれに則ってランキングを制作しているものだと思っていたのだ。
──『手が小さい』と『手が綺麗』は意味が異なる。おそらく別々の回答を混合しランキング入りさせたのだろう。
つまりそれは、先ほどのニュアンス別で似た答えがランキングに散在するという爽の予想を裏切る結果となった。
回答に安牌はない。
爽がここまで必死になるには理由がある。爽は誓子のクッキーが死ぬほど嫌いだった。
誓子「どうしたの？ 爽震えてるよ大丈夫？」
爽「ばっちぐー」ｶﾀｶﾀ
15：
誓子「それでは爽さんどうぞ」
爽「……よ、『弱くて可愛い』……」
成香「うう?、みんなひどいです……」
誓子「はい１１位」ﾍﾟﾛﾝ
爽「雑だなおい！ てか１１位！」
誓子「惜しくも外した爽には私特製クッキー一年分が贈呈されます」ﾊﾟﾁﾊﾟﾁ
爽「そんなにいらないから……、これ何個食えばいいの？」
誓子「そういえば決めてなかった。お腹いっぱいまでかな？」
揺杏「さすがに?？」
爽「三個で」
誓子「五個」
揺杏「きち?」
誓子「そんなに美味しくないかなぁ」
爽（そんな顔するなら持ってくるなよ）
19：
爽「……」ｻｸｻｸ
爽「おっふ、お゛ふっ」ｺﾞﾎｺﾞﾎ
揺杏「出た、ガチえずき」
由暉子「そこまで不味くはないと思うのですが」
爽「私はこの味が生理的に受け付けないんだ」
誓子「そ、そこまで言わなくても……」
揺杏「一体誰がこのゲーム得するんだろ？」
誓子「……それでは気を取り直して、あ、爽はちゃんと完食してね。次はなるか！」
成香「ふぇっ、…………えーーーーっと」
誓子「なんでもいいんだよ。顔が可愛いとか片目が隠れてて可愛いとか」
成香「可愛いだなんてそんな……///」
爽「……」ｻｸｻｸ
23：
成香「『小さくて可愛い』、で」
揺杏「なるほど成香は自分を小さくて可愛いと思ってるんだな?」
由暉子「そういうことですね」
爽「自分で可愛いって言っちゃうタイプかー」ｺﾞﾎｺﾞﾎ
成香「だ、だってルール上しょうがないじゃないですかあ！」
誓子「わ?なるか顔あかい」
成香「ち、ちかちゃんまで……」ｳﾙ
誓子「大丈夫、なるかは本当に可愛いから。自身持っていいよ」
成香「私、別に可愛くなんて……」
誓子「ならばこの帰れま１０で証明してみましょう。それでは──開示」ﾍﾟﾛﾝ
誓子「なんと三位でしたー。おめでとうなるかー」ﾊﾟﾁﾊﾟﾁ
成香「///」
24：
由暉子「残すは７つです。みなさん集中していきましょう。私は可能な限りあのクッキーを食べたくありません」
揺杏「がんばるぞ?」
爽「ふふふ。私もお腹いっぱいだ」ｹﾞｯｿﾘ
誓子「もっとみんな外すと思ったんだけどね。では、」
由暉子「その前に、作戦会議いいですか？」
誓子「作戦会議？」
由暉子「はい作戦会議です。とは言え、流石に皆で答えを予測し口裏合わせるのは興ざめなので、ランキングの方向性でも話し合いで推測しようかと」
揺杏「それも結構冷めるぞ?」
由暉子「しかし、獅子原先輩を見てください。あれ以上毒物を摂取すると命に関わるのでは？」
爽「ユキは優しいな……」ｹﾞｿ…
25：
由暉子「いかがでしょう」
誓子「爽が辛いならクッキーはもういいよ？」
由暉子「それではゲーム性が薄くなり盛り上がりに欠けます。罰ゲームは続行しましょう」
爽「変なところで堅物なんだな……（というか先輩の差し入れを毒だの罰だの言い切る肝玉がすごいよ）」
誓子「ふーむ。あ、もちろんいいよ。話し合い何分とか決める？」
由暉子「五分いただきます」
27：
由暉子「私は、獅子原先輩の考えに賛成です」
爽「私まだ何も言ってないんだけど」
由暉子「『ランキングにはいくつか似た表現が混在し、それが上位を占めている』とお考えでは？」
爽「うんまぁそう考えてたけど……。なんでわかったんだ？」
由暉子「根拠はありませんが、おそらくそう考えているだろうなと。獅子原先輩が私の回答のすぐ後に考え事をしていたので」
爽「……でも私は揺杏のあの中途半端な回答がランキング入りしていたからすごく揺らいでいる」
由暉子「しかし『弱くて可愛い』は１１位でした。……今回このランキングは某番組と違い完全に回答者の自由回答なので、」
揺杏「なんだ、ユキもバラエティ見てるんだな?」
由暉子「私だってバラエティ番組ぐらい見ます。それよりもお二方も参加してください」
成香「私はお邪魔になっちゃうから……」
揺杏「左に同じ」
29：
由暉子「じゃあ黙って聞いててください。──自由回答なので、似たような回答がある場合は曖昧さを残すため、いくつか統合するのが基本です」
爽「それが『手が綺麗で小さくて可愛い』だったんだ」
由暉子「細かいニュアンスを混ぜた模範的な回答です。これなら『手が綺麗』でも『手が小さくて』でもどちらでも正解になり得ます。一字一句間違えるなと言われたら別ですが」
爽「だけど語の順序から『綺麗』がないと不正解だったんじゃないか？ 修飾語は先に来たほうが微有利だろ？」
由暉子「それは完全に質問者のさじ加減ですが、……桧森先輩からしたらゲームを楽しんでもらいたいというのが本心なので、かなり基準は緩いはずです」
爽「そうなると『弱い』と『雑魚』を分けたのが不可解だ」
由暉子「ランキングの製作段階で、桧森先輩の意志が介入し生まれたダブルスタンダードです」
由暉子「桧森先輩はランキングトップ１０内に『手が綺麗で小さい』という回答を入れたかったんだと思います」
爽「わかった。アンケートは他人から採ったものだが、そこから手を加えてるんだな。誓子の独断と偏見のトップ１０に近づくように」
由暉子「『弱くて』と『雑魚』などの本内先輩の実力が関係する回答を統合した場合、他と大差をつけた一位だったのでしょう。なので分散した、と」
成香「……」ｳﾙｳﾙ
揺杏「成香泣くな?。堪えるんだ」
30：
由暉子「もう一つの『弱い』という意味に近い言葉。これを次に獅子原先輩は答えてください。それがトップ１０内に在る可能性は高いです」
爽「私の身を案じてくれるのはありがたいが、容姿関連で答えたほうがトップ１０の確立は高くないか？」
由暉子「それを決めるのは獅子原先輩です。……ですが、先輩が容姿関連を答えるのであれば私は『弱い』という意味に近い言葉を答えます」
爽「なんという自信……。今決めた方がいい？」
由暉子「できれば」
爽（あの、ユキの自信は本物だ……。ならばそれに乗っかろう。それが最善手。もうあのクソマズパサパサクッキーはいやだ）
爽「決めた『弱い』のほうで」
由暉子「わかりました。ではお二方は何も考えずに本内先輩の容姿を思い浮かべ感じたままに答えてください」
成香「それでいいんですか？」
由暉子「ヒントは桧森先輩が本内先輩をどう見てるかです。それに基づいてランキングを操作しています」
揺杏「まぁ私らはそこまであのクッキーに抵抗ないしね?。成香、気軽に行こうよ」
34：
誓子「はい、では二周目です」
由暉子「『髪型が可愛い』」
成香「///」
揺杏「奇抜ではあるね」
爽（ユキのやつ、踏み込んでいくなぁ。私でさえあれにツッコミ入れたことなかったのに）
誓子「『髪型が可愛い』は……デデドン！ ５位でしたー」ﾊﾟﾁﾊﾟﾁ
揺杏「いいゾ?これ」
誓子「私がいつも結ってあげてるんだよ。だから私も嬉しいな」ﾖｼﾖｼ
成香「あうう///」
誓子「次、揺杏ちゃんどうぞ」
揺杏「うーん、『猫耳が似合いそう可愛い』とか？」
爽「揺杏は冒険家だなあ」
35：
誓子「デロデロデロ デロデロデロ なんと６位にランクインです！」ﾍﾟﾛﾝ
揺杏「『獣耳が似合いそう可愛い』なんですね」
誓子「うん、うさ耳だったり猫耳、あとは犬のタレ耳とかね。ばらけちゃったから」
爽「ふむふむ」
爽（ポジティブな回答はこうやって票を混ぜて、無理やり押し上げて入れてるのかやっぱり）
誓子「準備はいいかな？ 爽くん」
爽「もろちん」
爽「……『不甲斐ない可愛い』。これでしょ」
成香「……不甲斐なかったかな」ﾎﾞｿ
揺杏「まぁまぁ、これは一般ピーポーの印象だからなー？」
由暉子「フォローになってませんよ」
誓子「１２位」ﾍﾟﾛﾝ
爽「ファッ！？」
40：
爽「またクッキーかよー……」
由暉子「……」
爽「……」ﾁﾗ
由暉子「……」ｻｯ
爽「ユキ」
由暉子「すみませんでした」
爽「こっち向きなよユキ」
揺杏「お、御大将がヤキ入れるぞ?」
成香「喧嘩はやめましょう喧嘩は」
誓子「はい５個」ﾄﾞｻ
爽「ふがふが」
爽（なぜ砂糖と粉と焼き加減でこんな不味いものが作れるのだ誓子よ）ｹﾞﾎｹﾞﾎ
41：
誓子「お待ちかねなるかの番です。頑張って」
成香「あと５つ……。５つかぁ……。…………」
成香「…………」
成香「……」
成香「か、かおが、」
成香「///っ」ﾎﾞｯ
成香「今のナシで！ ナシでお願いします！」
誓子「いいよ」ﾆｺﾆｺ
爽（サディズムを感じる）
44：
成香「『涙目が可愛い』……でお願いします……」
揺杏「涙目可愛い入りましたぁーー」
爽「うぇーーーい」ｹﾞﾎｹﾞﾎ
揺杏「すごいぞ成香、全身の血液が顔に集まってんじゃないかってぐらい真っ赤だぞー」
成香「だってぇ」
誓子「『涙目可愛い』これはいったい何位に……！？ あ、も、もしや！」ﾁﾛﾁﾛ
由暉子「桧森先輩すごい楽しそうですね」
誓子「ババーン なんと１位です！ おめでとうなるか！」ﾊﾟﾁﾊﾟﾁﾊﾟﾁ
爽「ネット掲示板に涙目画像とコラが大量に出回るぐらいだからなー」ﾀﾍﾞｵﾜｯﾀ
揺杏「私もコラ作ったな?」
47：
誓子「ちなみに沢山のコメントが寄せられています」
誓子「『泣かしたい』『準決勝で途中からほとんど涙目なのが良かった』」
誓子「『できれば一生泣いてて欲しい』『成香ちゃんの制服のポケットにカナブンいっぱい詰め込んで泣かせたい』」
成香「ひっ！」ｻｯｻｯ
爽「実際入れられたわけじゃないから大丈夫だよ」
ｷｰﾝｺｰﾝｶｰﾝｺｰﾝ
爽「あ、もうこんな時間かぁ。どうする？ 誓子」
誓子「片付けする時間も必要だから、ここまでだね」
爽「というわけで諸君撤収?」
揺杏「帰れま１０では？」
誓子「あはは、ランキングがやってみたかったってだけだから」
48：
揺杏「あ、ほかのランキングみていいですか?？」
誓子「うん」ﾄﾞｳｿﾞ
揺杏「おりゃりゃー」ﾍﾟﾘﾍﾟﾘ
１涙目が可愛い
２笑顔が可愛い
３小さくて可愛い
４いじめたくなる可愛い
５髪型が可愛い
６獣耳が似合いそう可愛い
７絶望顔が可愛い
８雑魚可愛い
９鬼太郎可愛い
１０手が綺麗で小さくて可愛い
揺杏「顔関係めっちゃランクインしてますね?。ま、成香は可愛いからしょうがないかー」ｳﾘｳﾘ
成香「あうう」
爽（なんだあれ──『鬼太郎可愛い』？）
爽（このまま続けていたら我々はあの回答に辿り着くまでに、何個のクッキーを食わなきゃならなかったのだろう）
50：
帰り道
誓子「私の出し物、どうだった？」
成香「恥ずかしかったです……」
誓子「そっかぁ。ごめんね」ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ
成香「で、でも！ 盛り上がって楽しかったですよ！」
誓子「ほんと？」ﾊﾟｧｱ
成香「はい！」
51：
誓子（なるかごめんね、あれは私が独断と偏見で作ったものだったんだ）
誓子（なるかの涙目と赤面はもちろん、あの爽に私のクッキーを食べさせるためには必要だったから……）
誓子（私の性格を読んで勝った気になった爽にいっぱい喰わす……ふふふ）
誓子（なるかも自分で可愛いだなんて……しかもあんな顔真っ赤にして）
誓子（あとで揺杏ちゃんからなるかの顔写真もらおーっと）
成香「ちかちゃん、６月に遊びに来てくださいね」
誓子「いいけど、なんで６月？」
成香「お誕生日会です！」
誓子「あ、私の？」
成香「楽しみにしててくださいね！」
誓子「……うん！」
おしまい
55：
おつおつ
5
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貴音「本日はおやつに」
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