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【閲覧注意】死ぬ程洒落にならない怖い話を集めてみない?『公園の女』
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1:
たりがみさん
洒落にならないって程でもないけど
俺の兄貴が最近洒落にならんって騒ぎ出したお話
俺が小学2年の頃
夏休みを丸々母方の祖父の家に泊まることになったんよ
じいさんの家は父方の家と比べらんないくらい広くて
しかも親がついてこないってこともあって
一つ上の兄貴と超ハイテンションで転がり込んでさ
もうその日から虫取りやら川泳ぎやら
僕夏真っ盛りだったんだけれど
それまで活動の拠点にしてた一番風通しがよくて
明るくていいにおいがする部屋をじいさんに取り上げられて
それで何するかって言うと木で作った段々?
これは俺ら兄弟も一緒に作らされたんだけど
それによくわからん葉っぱやら何やら小道具を
一つ一つ大して変わらんのに順番においていくんよ
んで部屋の入り口と 部屋の奥に続く廊下の入り口だけあけて
壁に赤い縄をはって 部屋の中は四隅に支柱作って
段々囲むみたいに染めてないほっそい縄を結んで
あんまり物珍しかったもんだから触りたかったんだけれど
触ろうとすると普段から怖いじいさんがさらに怖くなるから
あー 何でよくわからんことで俺らの部屋とられなあかんのじゃ
とか思ってた
ばあちゃんは火曜日過ぎたら全部片付けるけんつかっていいけんね
とかいってくれたけど その火曜日までが苦痛なんだよっ!って感じで
202:
で ついさっき掃除したばっかしなのに
なぜか俺らまでその部屋の掃除に参加させられて
掃除機使えばいいのに箒でいちいちやらされて
しかも縄とか段々触ろうとしたら怒られるから
いい加減兄貴も俺もフラストレーションたまってた
「あさってね かどぬっさんがくるけんきれいにしとかんばならんと」
だれねかどぬっさんて!? とかいいたかったけど
ばあちゃんのことは大好きだから黙って従った
けどどうしても段々の中で気になったものが一つ
お猪口とお銚子 このセット
本格的に段々にじいさんが小道具セットし終わった後
二人で忍び込んでお酌しあったんよ
兄貴が飲み終わって俺が飲んでるときに
じいさんが部屋を通りかかってさ
じいさんの顔が虎眼先生みたいな顔になって
俺らは部屋の外に引きずり出されて張り倒された
俺が大声で泣いたもんだからばあちゃんが飛んできて
どうしたんね!?ってじいちゃんに聞いたら
「もとし(俺)がみなわきしよった」
とかいったとたんにばあちゃんの顔が虎眼先生より怖くなって
「あんたなんてことしたんね!!??」って
もーばあちゃんにそんなこといわれたらこの世に救いはないよって
確かに何度も注意されたけどそんないうなら
お子様の手の届かないとこにおいといてよっていいたかった
203:
当然兄貴はばっくれて
結局俺一人悪者にされて なんか目隠しされて
水吐かされそうになったんだけど結局吐けなくて
位置的に段々のある部屋の正反対の
窓もない暗いし黴臭い部屋に閉じ込められることになった
天井からドライフラワーみたいなのがいくつも下げてあって
正直気持ち悪くてさ
しかも和紙でできたカーペットのうえに変な色の長い座布団みたいなの敷いて
「その上から動いたらいかん」 って何度もいわれた
時間的に相当閉じ込められてたとおもんだけれど
不思議とおなか減ったりウンコしたくなったりしなくて
んで自然と眠った
こっから先が夢か現実かわからん
俺は段々のある部屋の奥の部屋で目が覚めて
鳥の声がチュンチュンいってて明るいから朝なんだなぁって
でもなんでこの部屋にいるんだろって思ってた
ばあちゃんがあんな部屋で寝てるのかわいそうだって運んでくれたんだろなぁって
そう思ってたんだけれど
部屋抜けて 台所とか居間に行っても誰もいないんよ
したら二階から足音がするから ああみんな二階にいるんかとおもって二階に上がったら
全身真っ白な でっかい何かがいて
姿かたちはあんまり覚えてないんだけれど
はっきり覚えてるのは 昔の貴族がかぶってた烏帽子?かぶってて
足は二本あるんだけど でっかいひとつの足袋に足を両方突っ込んでた
205:
そいつは俺に気づいたのか何なのか
爪先立ち⇒ペタン⇒爪先立ち⇒ペタン みたいな感じで器用にひょこひょこ近づいてきて
何か話しかけてきた
ただその話し声がなんていえばいいのかわかんないくらい変な感じで
ものすっごいでかくて響くコソコソ話?? とんでもなくうるさいんだけど
何いってるかは全然わかんなかったけど不思議と全く怖くなかった
伝わってないってことがわかったのかそいつは俺の手を引いて
階段をまた器用にペタンペタン下りてあの段々がある部屋まで歩いた
その段々の前をしばらくぐるぐる一緒に回った後に
お銚子とお猪口とって飲み始めた
ただどんなに飲んでもお銚子からは水(俺が飲んだときは味付けた水みたいだった)が出てて
一杯飲み干すごとにまたあのやたらでかい声でなにやらボショボショ呟いては飲んでを繰り返してた
なぜかわからないけど俺はそれを見てるうちにやたらおしっこしたくなって
そいつから手を離そうとするけど離してくれないので
ちょっと力を入れて引っ張ると意外にもそいつはお猪口持ったままついてきた
しょうがないのでそのままトイレに行って小便した
小便してる間もそいつは呟きながらちびちびやってて
うるせーこいつ とか思ってたんだけれど 小便がなかなか止まらない
というかとまらない 自分でもびっくりするくらい
207:
したらそいつがずるーっと手を伸ばしてきて お猪口を差し出してきた
やたら美味しそうなにおいがしたので小便しながらそれを飲んだら
とんでもなく渋い味で飲んだ瞬間気持ち悪くなってむせた
それと同時にあれだけ滝のように出てた小便がぴたりと止まって
おおお すげえ! そう思ったときにはいつの間にか家の門の外にいた
チンコだしたまんま
朝だと思ってたのに夜中で 怖くなったので門をくぐって玄関へ
入ろうと思ったのに鍵がかかってて なんか恐ろしくなったのでバンバンとを叩いたら
ドタドタドターっと中から音がしてばあちゃんが血相変えて飛び出してきた
「あんたどこいっとったんね!!??」って
あったことを全部じいさんとばあちゃんに話したら
「たりがみさんじゃ」 って
なんか二人で納得してるから まあ怒られないんならいいかと思ってその日は寝た
びっくりしたのは次の日
俺は鍵のかかったあの部屋を抜け出して丸一日どっかにいってたらしい
その後俺は別に何もない 怪我も病気も身内に不幸も全くない
210:
これで最後
兄貴に娘が生まれた 今年で4歳になるのだけれど
その子が最近家の中で見えない誰かとしきりに話してるらしい
で 兄貴自身はそいつを見たことがないってんだけど
兄貴の嫁さんがそいつが見えたらしい
真っ白で 大きくて 変なものかぶった奴
そういえば兄貴もあの水飲んだから
今度は兄貴のところにいったのかと あいつ閉じ込められてもいなかったし
姪っ子の話し相手になるくらいだから悪い奴じゃないと思うんだけど
嫁さんは凄くびびってるらしい
姪っ子は他にも変なものが見えるみたいで
俺が青い地蔵みたいな子供二人と手をつないでるとか
よくわからんことをいうから よくある子供の妄想かもしれないんだけれど
もんぬっさんとか たりがみさんとか まらあどとか みなわきとか
俺は一切判らんし じいさんは教えてくれない
一体何なんだろうね
250:
>>210
門主さんて言うくらいだから偉い神様(仏様?)なんだと思うよ
まろうどは客人だろうけど、あとは何だろう? 足り神さん、三縄忌?
たりがみさんが祟り神さんじゃないといいなぁ
282:
公園の女
幽霊も怖いけど、やっぱ人間も怖いよ…って話。
高校時代バスケ部で、部活はいつも体育館でやってたんだけど、
火曜日はバレー部が全面使うため、体育館が使えなかった。
それでバスケ部は、火曜日は体力作りのために、
近所の公園までランニング→公園で筋トレ→学校までランニング
っていうメニューでやってた。
で、ある日を境に、俺らが公園に着くといつも変な女がいるようになった。
なんか髪はボサボサで服も薄汚い感じ、焦点あってないような目で、
ベンチに座ってブツブツ独り言いってる、とにかく奇妙な女。
まぁ、最近変な奴多いしなぁ…とか思いながら黙々と筋トレやってたんだけど、
たまにジーッと俺らのほう見てるときがあって、その瞬間は正直怖かった。
283:
俺はできるだけ気にしないようにしてたんだけど、
やっぱ高校生が20人くらい集まれば、ひとりは調子こくやつがいるもんで、
まぁ、すげー暑い日でイライラしてたのかもしれないけど、
Aが突然その女にキレた。
「あんたさぁ!いっつもジロジロ見てくるけど、何か用でもあんのかよ!!」
てな感じで。
確かにいっつも見られてると気になるし、集中力も奪われるわけで、
Aの気持ちも分からないではなかったけど、
あんな変な女には関わらない方がいいのに…と俺は内心思った。
んで、Aに怒鳴られた女は、言い返すわけでもなく、
ただ苦虫を噛み潰したような顔でうつむいてた。
Aも怒鳴ったことで気が済んだのかそれ以上は何も言わず、
俺らはそのまま学校へ戻った。
284:
次の週の火曜は、その公園にいつもの女がいなかった。
さすがにAにキレられたのが効いたかな?ってことで、
その日はみんな安心して、筋トレに励んだ。
で、そろそろ学校戻るかって時に、ふと水道のほうを見たら、
Aが顔を洗ってたんだけど、どこから現れたのか、あの女が横に立ってた。
俺は心底ゾッとした。いきなり現れたことも怖かったけど、
Aの横にあの女が立ってるってことは……。
と、次の瞬間、その女が手に持ってたタオルを、
Aが水道の上に置いてたタオルとすり替えるのが見えた。
Aは気付かず、うつむいたまま、タオルに手を伸ばした。ヤバイと思った。
俺を含め、それを見ていた部員みんなが、一斉に叫んだ。
「A!!やめろ!触るな!やめろー!!」」
Aが驚いてこっちを振り返った。
と同時に、その女はすごい勢いで公園から逃げていった。
俺らは慌ててAの所へ行って、すり替えられたタオルに目をやった。
タオルの内側には、マチ針がびっしり刺さってた。
285:
後日聞いた噂だと、その女は精神科を退院したばかりで自宅療養中だったらしい。
で、学校側が報告して、病院に戻されたらしいけど、
いつまた出てくるのかと思うと毎日怖かった。
結局卒業までその女を見かけることはなかったけど。
Aは今も元気にやってんのかな…。
288:
足
初めて投稿しますm(__)m
昨日の深夜二時くらいに、彼氏と車でファミレスに行きました。うちの家は住宅街で、ファミレスのある広い通りに出るには、かなり細い複雑な道を通らないといけません。
彼氏が運転してたのですが、道を間違えてしまって、行き止まりに来てしまいました。
ちょうど行き止まりの場所に、マンションの広い駐車場があったので、そこでUターンして元の道に戻ろうとしました。
Uターンして、駐車場から出て細い真っすぐな道を通ったちょうどその時。
車の前に、白い光がピカッと光ったんです。
私も彼氏も「今の何!?」とびっくり。
彼氏は「今の光なんだ?ダイヤみたいな形の光が、二回くらいピカピカッて光ったように見えたけど…」と言ったのですが、私は違う物に見えました。
私も、見た瞬間は光(ただしダイヤの形ではなく丸い光)が、右から左に移動したように見えたんです。
でも、「人間の膝から下の足。白いズボンに白い靴を履いた足が、右から左に歩いて行った」ようにも見えたんです。
その足は、膝から下だけで、膝より上はスパッとありませんでした。
彼氏に「私は足に見えたんだけど…」と言うと、きもちわるいこと言うなよ!と恐がりだしたので、それ以上言うのをやめたのですが…
幽霊って足がないとは言いますけど、逆に足だけの幽霊もいるんですね(汗)
299:
>>288
足だけの幽霊っていえば、踏切の防犯カメラに、膝下くらいの半透明の足がうごめいてるのが写ってる映像があるね。あれは不気味。
300:
残業
金曜日の夜に、明日土曜日なので、仕事のキリを良くしたいと思い、少し残業
しばらく仕事をしていると 携帯電話がなった。
友人からで、今日暇か?という内容でした。 何気に時計をみると、11時を少し過ぎて
おり、あぁまだ会社だから帰るの12時過ぎるわと返事。
終電も近いこと事があり、さっさと片付けて、帰宅することに。
社内には私しか残っておらず、戸締りをして部屋から退出。
ビルのセキュリティ上、夜22時を過ぎると通常エレベーターが停止するので、貨物用エレベーターで
地下に向かい警備室でチェックアウトし非常口から 退館
貨物用エレベーターの↓を押し、薄暗い廊下で、上がってくるランプを見つめていました
ポーン 少し古びた貨物用エレベータは、少し引っかかるようにゆっくり開きました。
B1のボタン、次に閉のボタンを押し エレベーターの壁に少し寄りかかると、、
閉まり始めたドアが、ガガッ ドアが開きなおしました
あぁ ぼろいエレベーターだなぁと再び、閉のボタン ガガッ 再びドアが開きました
あぁぁ?なんじゃ? ふっ 足元をみると、 ドアの間に上向きで、ものすごくうれしそうな
顔の黒髪の女がこっちをじっと見ていました。
一瞬 理解ができず、目がばっちりあった状態で固まっていると、首だけが、ズリュとすこしだけ
のびて、まるでエレベータの中に入ってこようとしてる・・・
恐怖のあまり思いっきり踏みつけると、ダァァンと金属音、エレベータの扉はしまり
静かにB1に。。。
あしたから会社にいくのが、いやです。。。
303:
踏み付けられた幽霊カワイソス(´・ω・`)
304:
23時に会社に一人きりで、
地下に行く為のエレベータが変な動きをした時点で怖すぎるのですが
403:
親戚の怖い話
これから書くお話は、実話です。
私たち一族を知る方には、記述内容から登場人物がバレるかもしれませんが(汗)、
わずらわしさを断ち切りたい一心で、思い切って書きたいと思います。
私の父は、田舎の大きな農家の分家の出です。
その農家(=本家)は、父の実家(=分家)から竹林ひとつはさんだ北側にあります。
私が小さい頃は、父に連れられてよく父の実家に遊びに行き、ついでに本家にもお邪魔しました。
その本家には、私よりいくつか年上の従兄弟がふたりいました。
お兄さんの方は生まれつき体の骨が一部足りない障害を持っていましたが、
ふたりともいつも私とよく遊んでくれたので、幼少の私は本家が好きでした。
その本家は地元の大地主で、家のつくりもとても大きかったんです。
私たちは(親戚も含めて)いつも居間でだけ遊んでいました。
居間を出るときは、すぐそばにあったトイレに行くときくらいでした。
ある日、例によってなにかの親戚のイベントで本家に遊びに行きました。
そのとき、理由は忘れましたが、家の中をひとりで歩くハメになったんです。
正直、子供の私には家の構造が複雑すぎて、迷いました。
いつのまにか、昼間なのに狭くて暗い一角に迷い込んでいました。
いまでも、この家のどこかにある居間では、親戚が談笑しているに違いない。
大声を出せばいいのでしょうが、気の弱い私にはそれができませんでした。
『家の中で迷って騒ぐなんて、デキの悪い子』みたいに思われたくなかったんです。
ふと廊下の奥を見ると、廊下の奥に人影(ひとかげ)のようなものが。
全身を漫然と包んでいた緊張感が、一気に目前の人影に集中しました。
誰かが座っているようなのです。
『こんなところに、誰が?』
(続く)
404:
その人影は、全身黒っぽいような、茶色っぽいような感じでした。
廊下に面した一室の入口に背を向け、椅子に腰掛けているようでした。
私は、その人影を右側から見ている位置取りです。
当時からビビリだった私は、カチンコチンに固まってしばらく動けませんでした。
しかし、その影は、ピクリとも動かない……無機物と対峙しているような感覚。
私は、ちょっとずつその影に近づいていきました。
そして、その輪郭がハッキリ見えたとき、腰が抜けるほど驚きました。
その人影は、【鎧】でした。
それは、テレビで見るようなハデなものではないですが、
全体こげ茶色の、明らかに和モノの古いヨロイでした(もちろん中の人はいない)。
ビビリのガキでしたから、そりゃあ失禁するくらいの恐怖でした(汗)。
そこからは、ちょっと記憶が飛んでます。
なにをどうして居間に戻れたのかは記憶にありません。
しかし、なんとかかんとか家族のもとに戻れました。
……この話は、私がまだ小学生の頃のことでした。
……そして、私にとっては、これが話の始まりでした。
ことの真相を知るのは、これから10年近く経ってからのことでした。
(続く)
405:
あの本家の鎧を見てから10年弱がたった頃。
私は自分の人生でいろいろあって、親元からずいぶん離れて一人で暮らしていました。
そしてその間、親戚とすっかり疎遠になっていました。
私が知らない間に、本家の従兄弟のお兄さんが結婚していたような始末です。
久しぶりに家に帰ったある日、従兄弟に子供ができたことを親から知らされました。
『なんだ、俺もおじさんかぁ??。』なんて言ったものの、親の顔色が良くない。
どうしたのかと思い、問い詰めてみたところ、
『実は、五体満足じゃないらしいんだよ…。』
私は別に偏見などないので親に切り返したところ、突然親の歯切れが悪くなりました。
『こっちにまでとばっちりが来たらたまらないんだ…』とか、
『おまえだけでも本家とのつながりを絶っておいてよかった……』とか。
あんなに親戚づきあいをしているのに、そんなことを考えていたのか……。
なんて思いながら、私は例の鎧のことを思い出しました。
そう、親にはこのときまで話していなかったんです。
そこで、私は本家で見た鎧の話をはじめて親にしました。
すると、親の顔色が見る間に一変しました。
『おまえは大丈夫かい!? ヘンなことはなかい!?』
……んなこと言われても、鎧を見たのはガキの頃だしね(汗)。
母親が、大きな大きなため息を、ひとつつきました。
そして、あきらめたように、本家の話をしてくれました。
それは、私がこれまで知らなかった……親が隠していた、本家の陰の部分でした。
(続く)
406:
本家は、倉から博物館行きのシロモノが出てくるような、由緒ある旧家。
農業と生業とし、あたり一帯の膨大な土地を持っていました。
そして、そこに大勢の小作人を住まわせ、働かせていたそうです。
本家の人間は、小作人たちに言うことを聞かせるため、暴力を使ったそうです。
その最たる暴力が、【拷問】でした。
小作人たちを拷問にかけるため、本家には専用の部屋がありました。
拷問部屋です。
あの大きな屋敷の中で拷問を受けながら、命を失った人も大勢いたそうです。
この拷問は、ずいぶん昔から行われていたとのことです。
しかし、先の戦争の終戦と同時に拷問の慣習はなくなり、拷問部屋も使われなくなりました。
それ以来、その拷問部屋は固く施錠し、【開かずの間】としたそうです。
『そして、人が近づかないように、扉の前に鎧を座らせてあるんだよ。』
え!?……鎧!?
しかし、報われない小作人たちの無念は、拷問をやめた程度では消えなかった。
本家の人間たちを許しはしなかった。
本家が気づかないうちに、本家に祟っているようなのです……。
(続く)
407:
親が続けて語ったのは、耳を疑うような本家の系譜でした。
そのとき生まれた従兄弟の子(=私の甥)は、男の子で嫡男。
その子が五体満足で生まれなかった。
詳しくはわかりませんが、内蔵に問題があるようです。
その父親(=私の従兄弟)も、本家の嫡男。
この人も冒頭で書いたとおり、先天的に骨が足りません。
外科的に人工の骨を埋め込んで、不自由ながらがんばっている。
その先代は、子供が生まれなかったので、分家からの養子(=父の兄)だった。
そうなんです、もっと早く、この不自然さに気づいてもよかったんです。
なぜ【分家】だけでなく【本家】の跡取りが、私と【従兄弟】の関係なのか……。
その前の代も、その前の代も、おかしなことがあったそうです。
生まれても生まれても死産だった代もあった。
生まれてきた子の精神面に問題があり、なかったこと(!)にした代も。
その度に、遠くの町から婿養子を金で買ったり、分家の子を養子にしたり。
その前の代も、その前の代も……。
そうなんです。
代々、跡取り(嫡子)がまともに生まれないんです。
『……マジで……?』
私は思わず……自分の家にある仏壇に目がいってしまいました。
私も戸籍上は長男(ひとりっこ)だけれど、早産で死んだ兄がいる……。
『本家が気づいているのかどうかしらないけどね。』
『分家はみんな気づいてるけど、とばっちりがイヤだからなにも言わないんだ。』
『だから、おまえが一人暮らしを始めたとき、親戚から遠ざけたんだよ。』
……そうだったのか、そんなことがあったのか。
(続く)
409:
あれから10年以上、私は他の親戚ともほとんど関わりを持っていません。
親の話では、本家は相変わらずだそうです。
まだ気づいていないのか、それとも気づいてどうしようもないのか。
もしかしたらこの話は、親戚一同の壮大な思い違いかもしれません。
この話が思い過ごしかどうかは、しばらくすればわかると思います。
いまはまだ子供の本家の跡取りが、将来健康な子を産んでくれればいいのです。
しかし、もしも次の代も、なにかあったら……。
親戚一同、ますます【祟り】を信じて疑わなくなるでしょう。
そして、一族みんながバラバラになっていくのだろうと思います。
私の家庭は、工場勤めの会社員を父に持つ、平凡な核家族でした。
だから、子供の頃は、こんな話の当事者になるなんて、夢にも思いませんでした。
ちなみに私もすでに家庭を持ちましたが、数年前に一人娘を病気で亡くしました。
関係あることかどうかはわかりませんが、疑いたくもなろうというもの。
ここに書くことで、鬱屈とした思いを吹っ切りたかったんです。
……ちょっとすっきりしました。
お読み頂いてありがとうございました。
(終了)
517:
擦る音
真新しいアパートで夜背中を丸めて勉強をしていた。
スッスッスと何かを擦るような音が聞こえた、振り返ると家具と壁、ハンガーに
かけてあったナイロン性のジャージ。
何だ?と思い勉強を続ける、またスッスッスと聞こえる。
振り返り何もない事を確認、眠くなったのでベットに入りすぐに眠りに着いた。
数時間たった時にまたスッスッスと音がして目が覚めた、うす暗闇の中部屋を
見渡すとハンガーにかかっているジャージに違和感を覚える、
ジャージの下のズボンの部分は折って上着はその上からかけてある。
ズボンの裾の部分から足の先が見えている、あわてて起き上がり布団を
はね除けたらその足はサッと引っ込んだ。
見間違い?寝ぼけていた?と思いながら眠れぬまま朝を向かえた。
それから毎日同じ事が起きる、ジャージを別の場所に移すか捨ててしまう事も
考えたが壁の中から足が出て来たらと思い出来なかった。
数週間は恐怖に怯えながら過ごしたが、こちらが気付くと消えてしまうと言う事に
気付いた、何もしなかったら?気付かないフリをしていたらどうなるのか?
素朴な疑問が恐怖に勝ち試してみる事にした。
夜、やはりスッスッスと聞こえる、手鏡を用意し振り返る事も気にする素振りも
見せずに後ろが見えるように角度を変えた。
裾から足が、上着の肩部分から顔が見えている、だんだん人間の形に
なっていくのを見続け、もう少しで全身がという時に言ってやった。
「見えてるよ」と、鏡の中で驚いた表情の男と目が合った。
それはパッと消えた、それから二度とあの音を聞く事は無い。
523:
>>517((((;゜Д゜)))ガクガクブルブル
586:
赤い女の人
中学時代の話です
6月くらいにおばあちゃんが危篤状態におちいって 心配してお見舞いに行った時におじいちゃんから聞いたんですが
朝におばあちゃんがうなされてるのに気づいて見に行ったら「赤い女の人が扉の前に立っていた」って言ってたらしいです。
その一週間後に亡くなったそうです
ボケて赤い女の人が見えたのかそれとも死神だったのでしょうか?
591:
>>586
私のお祖父ちゃんも今肺癌で入院してるんだけど
赤い女の人が見えるってひどく怖がってた。。
592:
思い込み
ラジオでキンキの曲が掛かってて、
それを聞いていたら思い出した話がある。
少し前に古本屋でジャニタレに関する本があって、
それに載ってた話なんだけど、結構洒落になってないと思う。
本当はこの手のタレントの出てくる話は「?にまつわる怖い話」に
書き込むべきなんだろうけど・・・。
自分は話下手の方なので、上手く伝わるか分からない。
ある時、堂本光一(以下 光一君)に、ファンレターが送られてきた。
差出人の女性の名前は仮にA子とします。
「光一君。今日は喧嘩しちゃってごめんなさい。」
手紙はそんな出だしで始まっていた。どうやらA子は
光一君と脳内でお付き合いしているらしい。
手紙の内容は、「自分が悪かったから光一君怒ったんだよね。それなのに
私はそれに気付かなくって・・・ごめんね」と言う感じで、
仲直りしましょうねみたいな内容だった。
こういう「自分は○○君とお付き合いしてる」と言う設定の手紙は
タレントをやっていると結構送られてくるらしく、
今回のもそのたぐいの手紙だろうと光一君は思っていた。
その手紙を境にA子から毎週、毎日のように手紙が送られてくるようになった。
「今日は○○デパートでデートして楽しかったね。」
「××レストランで食べた食事おいしかったね。」
「昨日は何時に帰ったね。遅かったね。」
全てA子の脳内で起きた話だった。
「ナントカホテルに飾ってあったドレス、素敵だったね。」
しかもどうやらA子は光一君と脳内婚約までしているらしい。
593:
続き。
そのうち、A子からの手紙の内容は光一君の身辺の事に変わっていった。
自分が何時に家を出て、どんな仕事をして、何時にそのスタジオを出て、
どこのコンビニで何を買って、何を食べ、どんなものを着ていて、
何時に家に帰って、何時に寝たか・・・。
それは作り事ではなく、全て自分の行動と一致した。
一度だけではなく、何度もその内容の手紙は送られてきた。
ここまで来ると、もう本当に怖い。
常にみられている気がする。ロケの時もコンサートの時も、
どこにいてもA子に付きまとわれている気がしたという。
しばらくすると、A子からの手紙は来なくなった。
光一君も、A子の事をすっかり忘れていた。
それから数ヶ月後、見覚えのある字の手紙が光一君の元に届けられた。
A子からの手紙だった。気味が悪い。
正直言って関わりたくない。
「光一君へ。
赤ちゃんが生まれました。(光一)と名付けました。
光一君との思い出を胸に、これからはこの子と生きていきます。
光一君もお元気で。」
写真が一枚同封されていた。
生まれたばかりの子猫を満面の笑みで抱っこする30代くらいの女性が写っていた。
この話を思い出したのと同時に思い出した言葉がある。
高校時代の同じ部活にいた女の子の言葉だ。
「ジャニーズのタレントってさー、自分の知らない間に
見ず知らずの変なファンの人に勝手に婚姻届出されてたりして、
いつの間にかその人と結婚してる事になってるって事、
公にならないだけで案外あるのかもしれないよね。」
長文失礼しました。
674:
手
僕は若い時から頭に毛がありません。男性型脱毛症というやつです。
ある晩、僕が風呂上がりに鏡の前で歯を磨いていた時のことです。
ふと、頭の上に何かが乗ったような感覚がありました。
前述の通り、僕には髪の毛が無いので、その感覚は確かでした。
恐る恐る鏡を覗き込み、僕は唖然としました。
「手」です。毛ではなく、手なのです。女性の、白くそして冷たい手。
その手は僕の頭をゆっくりとさすり、やがて段々と横へずれてゆきます。
次の瞬間、頭に激痛が走りました。
その手が今度は、僕の残り少ない髪の毛をひっぱったのです。
僕は必死に抵抗しました。でもその手はもの凄い力です。
『ブチブチッ』快音と共に、頭の中が真っ白になりました。
しばらくして、目が覚めましたが、自分の手を見て驚きました。
鮮血に染まり、髪の毛が握られていたのです。
これは、病院でタミフルを処方してもらってから数日後の話です。
878:
引きずり込まれる
私が本当に小さいころの話。いくつだったかはっきりは覚えていないけど、幼稚園くらいだったかな。
ある日おかんと一緒に何か大きな建物にいったんだ。
何か市役所的なところにおとんの必要な書類を取りにいったとか、そんな感じだったと思う。
そこは数階建てで、エレベーターがあった。
私はおかんが受付の人と話してる間、横にくっついておかんを見てた。
そしたら急に何かに足をつかまれて、前に倒れた。
それでそのまま足を引っ張られてエレベーターに凄い勢いで引きずり込まれた。
私はボーゼンとしてしまって何もできず、そのままエレベーターが閉まって上下に行ったり来たりしていた。
田舎に住んでいてエレベーターなんて乗らなかったし、ボタンを押すなんて分からないし届かないしでどうしようもなかった。
どこかで開くこともなく、私はエレベーターに閉じ込められていた。
しばらくしてエレベーターが開くとおかんがいて泣きそうな顔で私を見つけた。
それから十数年たってそのときの話になって、
「あんたあの時勝手にエレベーター乗っちゃって、急にいなくなるんだもの。びっくりしたわよw」
とおかんは言っていた。
私は「あの時誰かに足を引っ張られた」と思わず言ったが、おかんが信じるはずもなく。
でもあの時のあの引っ張られて引きずられる感覚を、私は今でもはっきり覚えてる。
凄く怖かったことも。
940:
とまって・・・
以前他のスレに投下したんだけど
同じものを再投下。
大学の先輩(以下N)は霊が見える人。
ある日Nはサークル仲間と夜景を見に、車二台で高原に出かけた。
高原で一行は綺麗な夜景を楽しんだ。
そのうち日付も変わり、「そろそろ帰ろう」と言う話になった。
一行は帰り支度をし、車に乗り込んで
前の車はNの運転、後ろの車はKの運転で下り坂を帰る。
はじめは何事もなく普通に帰っていたが、途中からKはおかしな事に気づいた。
前を走るNの車が徐々にスピードを上げ始めている。
道はそれなりに傾斜のある下り坂で、あまりスピードを出すと危険だった。
しかしNの運転する車はどんどんスピードを増し、Kもいよいよヤバイと判断すると
前の車に電話をかけた。(おそらく前の車の助手席の友人にかけた)
電話口の友人に、どうかしたのかと問いただすが
「とまれない!とまれない!」を繰り返すばかりで要領を得ない。
Kはブレーキの故障と判断し、
「最悪の場合は車ぶつけてでもとめるから!」と叫んだ。
しかし予想外の答えが返ってきた。
「違う!後ろから女が憑いてきてる!!」
あとからNに聞いた話では
運転中ずっと、宙に浮く女の首が「とまって・・・とまって・・・」と言いながら
追いかけてくるのが見えていたらしい。
580:
【芽殖孤虫】(Sparganum proliferum)
人体寄生虫の一種。
「孤虫」の名は成虫が正体不明であることによる。そのため生活史も不明。
はっきりしたことはわかっていないが、日本での感染報告例が多い。
摘出されたことのある虫体は数mm程度の大きさ。
主な感染症状は臓器の破壊。その際には胸痛や下痢などを起こすという。
皮下で増殖すると皮膚が膨れるという。
幼虫のままで宿種体内で分裂増殖する。
人の体内では成虫になれないためであるが、
ならば他に宿主が存在するはずであるのに全く不明である。
不明な点が多すぎ、治療法は確立していない。
手術で取り出す以外にないと言われるが、分裂しているため実際は困難で、
現在のところ致死率100パーセント。感染した患者を救命できた報告は無い。
さて、今から50年ぐらい前に、九州の天草というところに24歳の女性が住んでいたそうです。
この女性の下半身に奇妙なブクブクした皮下の膨らみが現れました。
この膨らみは、徐々にですが、確実に増えて行きました。
誰も診たことのない不思議な膨らみに、意を決したある医師が、思い切ってメスを入れてみました。
すると……
膨らみは皮下に出来た水の入った袋で、中に長さ数cmの白いクネクネした虫が入っていました。
袋はたくさんあり、中にそれぞれ虫が入っている様です。
なんということか!!
早、何という虫か調べられましたが、条虫(扁形動物)の幼虫らしいのですが、
何の幼虫か、さっぱりわかりません。
この虫は、恐ろしいことに、幼虫でありながら、人の体内で分離して増えているようです。
日本で当時4例目、芽殖孤虫出現す!!!
どこから来たのか、幼虫は人の体内に入り、
人固有の寄生虫でないためか成長せずに皮下をさまよい、
そして自分の周囲に水の入った袋を作り、
中で植物が発芽するように枝分かれして増殖し、増えた幼虫はまたさまよい増殖する。
治すには、一匹残らず手術で取らなくちゃいけませんが、
すでに大変な数だったらしく、残念なことにその患者さんは亡くなってしまいました。
化け物……
ヒトを喰い尽くす虫と書きましたが、実際に人を喰っているわけではないと思います。
しかし、増殖する虫が全身を這い回れば、
大変な臓器出血か臓器不全を引き起こすのは必定で、間違いなく命が危ない疾患です。
1990年、50年近い沈黙を破って、芽殖孤虫は忽然と東京に現れました。
さまざまな感染経路が考えられ調査されたそうですが、
結局、虫の正体も感染経路もはっきりしないまま、今日を迎えています。
その後、報告はありませんが、次はいつどこでこの虫は現れるのでしょうか?
感染経路が分からない以上、あなたでないと、誰も言えないのです……
殖孤虫、今の所「皮膚科」で見つかることが多いそうです。
虫さされ程度のポチッとしたふくらみで、赤みもかゆみのないのですが気になって皮膚科に行ったところ、
芽殖孤虫であることが分かるといったケースが相次いでいるようです。
当然ながら皮膚科ではどうすることもでいないので、然るべき医療機関に送られるわけですが、
それは皮膚科の医師が芽殖孤虫の症例を知っていた場合の幸運なケースで、ほとんどの場合は、
何らかの虫刺されやかぶれなどと診断されてしまい、芽殖孤虫とは気づかないままらしい。
またそれ以上に、痛くもかゆくもなく、赤くもなってないごくごく小さな腫脹程度では、
せいぜい市販薬を塗ったりするくらいで気にしない、気づかないという人がほとんどだろう。
寄生から増殖を始めるまで約三ヶ月、最近妙なポツポツができたという人はいませんか?
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ちょっと違うけど私の従妹がボランティアで南米だかに行った時のこと。
現地の人に外に干したものは必ずアイロンかけてくれって言われたそうな。
ところが従妹はそれを忘れて直接Tシャツかなんか着てしまった。
実はその地方にはおかしな虫がいて、成虫が干してある洗濯物にタマゴを産む。
その幼虫は植え付けられた衣類から、人間の体温等で孵化し、人間の肉を食って成虫になるらしい。
そのタマゴを殺すためにアイロンかけろ、って言われたわけで。
(ちなみに現地の人は黒人で肌が硬いから平気らしい)
従妹は後日、腕の下を妙な幼虫がはいずるようになったそうです。
その虫は従妹の身体を食いあらして、つめで押すとぷちっと出てきたらしい。
結局殺虫剤入り塗り薬で直したらしいけどそんなこと焼肉やで言わないでくれよ…。
気持ち悪くて喰えなくなっちゃったじゃないか。
779:
喪服の女
高校生の頃、俺達のクラスに短期交換留学生が2人やってきた。
そいつらとの出来事を書こうと思う。
そいつらが来てから暫らくして、クラスの女子たちが留学生2人の事を軽く無視し始めた。
その時は原因は良く解らなかったが、俺たちはとくに深く考えず、
差別するのも良くないと留学生2人と仲良くしていた。
2人ともいいやつで、日本のことも好きだというし、
ぶっちゃけ当時はなんで女子から嫌われていたのか解らなかった。
そんな事が続いた夏休み少し前のある日、俺たちは以前から
気になっていた、廃墟になっている空き家へ肝試しに行こうと計画をした。
行くメンバーは、俺、A、B、Cと、留学生のD、Eの6人。
DとEは当初メンバーに入っておらず、一緒に行きたいと言われたときも、
あまり人数が多くなるとゴタゴタしそうなので断ったのだが、
迷惑はかけないからと押し切られて連れて行く事にした。
当日土曜の夜8時頃、俺たちは空き家から一番近いBの家に泊まる
という名目で集合し、そのままBの家で10時まで時間を潰してから現地へと向かった。
少し山道を登った先にある廃墟の空き家は、懐中電灯に照らされてやけに
大きく見え、昼間見るのとは桁違いに不気味だったのを覚えている。
空き家に近付くと、どこから仕入れてきたのか、
Aが「裏の勝手口のドアの鍵が壊れてて、そこから入れるらしいぞ」と言ってきた。
雑草を掻き分け裏に回ると、勝手口ではなくただの裏口っぽかったが、
たしかに鍵の壊れた扉があり、みんな一瞬躊躇したが中へ入る事にした。
続く
780:
>>779の続き
ドアを開けて中に入ると、そこには先が真っ暗でよく見えない廊下が続いていた。
以前にも誰かが侵入した事があるようで、埃まみれの板張りの床には
いくつか靴跡も確認できる。やはりここは有名なようで、
俺たちのように肝試しにやってくるやつは結構いるようだった。
廊下を進むと、すぐに板張りされて更に何か色々と荷物が置かれて封鎖されている玄関に出た。
玄関の左手には和室らしき部屋が、右側は暗くてよく見えないが、
ガラス張りの戸になっているので恐らく台所だろうか、そして、台所のあるらしき側の
壁に二階へと続く階段がある。
俺たちはまず左手の和室らしき部屋に入る事にした。
中に入ると結構広く、8畳くらいの部屋が2つ、真ん中を襖で仕切る構造に
なっている。家具類は一切無いが、なぜかぼろぼろの座布団が一枚だけ落ちていたのを覚えている。
とくに何も無さそうなので、俺たちが外に出ようとするとCが何かを見つけたらしく
「ここ開くっぽいぞ」と床の間の辺りにしゃがみこんだ。
俺も言われて気付いたのだが、床の間の板張りの部分が一部ずれていて、
どうもそこの板だけ取り外せるようになっているようだった。
先に部屋から出ていたA、Bと留学生2人も戻ってきたところで、
最初にみつけたCが板を外してみた。
板を外すと、そこには幅40cmくらい、深さ30cmくらいの空間があり、中にこげ茶色の木の箱があった。
Cが板をあけた時の勢いのまま木箱を取り出し蓋を開けると、中には更に小さい
桐製と思われる小さな小箱が納められている。小箱そのものは何年も放置
されていたせいか黒く変色しカビらしきものも生えているが、明らかに高そうな
品物を入れているっぽいつくりだった。
続く
781:
>>780の続き
Cも流石に躊躇したのか、桐の小箱に伸ばした手が一瞬とまった。
が、Bの「早くしろよ」という言葉におされてそのまま箱の中から小箱を取り出し、
蓋を開け中身を取り出した。
中には素人目にも高そうに見える懐中時計が入っていた。
そのとき、さっきまであまり喋っていなかった留学生の片割れのDが、カタコトの
日本語で「それ、高いの?」と聞いてきた。
俺は「よくわかんないけど、たぶん高いんじゃないかな、なんか金っぽい装飾も
あるし、骨董品っぽいし」と返すと、DもEもそのことに興味津々っぽいようだった。
でも俺たちは当然持ち帰る気は無かった、当たり前の事だがこんな怪しい場所に
明らかに「隠されてた」ようなものだ、当然相応の理由があるはずだ。
そんな話をしていると、BとCの「…うわ」という声がした、何かにどん引きしているようだ。
2人の見ているほうを見ると、どん引きしているものの正体にすぐに気付いた。
最初のでかい方の木箱が入っていたスペース、箱を出した時は気付かなかった
のだが、底のほうに明らかにお札と解る、変色した紙くずが大量に落ちている。
Bが「この時計やばいって…早く戻して帰ろう…」というと、
Cも「だな、ちょっと洒落にならんわ…」と、時計を箱の中に戻した。
その時
メキメキメキッ!
と大きな音がして、Aが胸の辺りまで下に落っこちた。
どうもAのいた辺りの畳と床板が腐っていたらしい。
Aは「いった?」と声をあげて暫らく痛そうな顔をしていたが、怪我は無さそうで
「足が地面につかないから上に上がれない、引き上げてくれよ」と元気そうに言ってきた。
どうやら下はすぐに地面では無く結構深いらしい、Aは開いた穴にぶら下がるような形になっているようだ。
続く
782:
>>781
俺たちはそのマヌケな姿にさっきまでの気味の悪さから来る恐怖心も吹っ飛び、
Aを「かっこわる?」とAを指差しながらゲラゲラ笑った。
この間、DとEは殆ど俺たちと絡まず、2人でずっと何か話していた。
こういう状況なのに妙におとなしいのを、少し怪しむべきだったかもしれない。
が、そのままにしておくわけにはいかないので、俺とBとCがAの背後と左右にまわり引っ張り
あげようとした。
しかし、どうも床板の部分が“かえし”のようになってしまているらしく、力ずくで引っ張り
あげようとしても無理そうな感じだった。
さてどうしようかと考えていると、Aが「ちょっと静かに、なんか上から聞こえる」と言ってきた。
耳を澄ますと、微かだが二階のほうから何か聞こえてくる。
カリ…カリ…カリ…
壁か床を爪で引っ掻くような、そんな感じの音だ。
DとEはお札にはあまり反応しなかったのだが、流石にこの状況の異常さはきついらしく、
かなり不安そうな顔をしている。
というか、よくみると男同士なのに手を繋いでいる…
音はなおも二階から聞こえている。
Cが「ここ、俺たち以外誰もいないはずだよな…上に誰かいるってことは無いよな…?」
というと、Bが俺に「なあ、2人でちょと確認に行かないか…」と言ってきた。
Aがかなり不安そうに「俺このままかよ!」というと、
「CとDとEでAを引き上げてくれ、俺たち見に行ってくる」と俺を誘って部屋を出た。
まず言いだしっぺのBが階段を上り、俺がその後に続いたのだが、Bが階段を登りきる
辺りで立ち止まり動かなくなった。
続く
783:
>>782の続き
俺が「おいBどうした?何かいたのか?」というと、Bは「しっ!静かに」といって階段を登りきった
先のほうを凝視している。
暫らくするとBは「おい、ゆっくりだ、騒がずゆっくり逃げるぞ」と小声で言い、
俺に後ろに下がるように言ってきた。
どうもBは二階に何かを見たらしい。
俺が「なんだ、何かいたのか?」というと、Bは「後で話す、ここはヤバイ、早く逃げよう」とだけ言った。
そして俺が降り始めたとき、突然Bが
「こっち見た!やばい!早く下りろ!」
と叫び出した。
何がなんだか解らずおれは階段を駆け下り、A達のところに向かうと、まだAは引き上げられていなかった。
Bが「何やってんだ!早くしろって!ここから逃げるぞ!」というと、AもCも事態がつかめず、
「なんだよB、何があったんだ?」と不安そうに聞いてきた。
その時、天井から聞こえていた何かを引っ掻く音が
ガリガリガリガリガリ!
と急に激しい音になり、次いで
…ギシ…ギシ
と二階を誰かが歩く音が聞こえてきた。
足音はゆっくりとだが階段の方へ向かっているように聞こえる。
続く
784:
>>783の続き
流石に俺とA、Cも何かヤバイという事が解り、無理矢理にでもAを引き上げようと力いっぱい引っ張る事にした。
その時、ふと俺が顔を上げたとき、床の間の方に信じられないものを見た。
なんと、DとEが懐中時計の入った箱を手に持ち、俺たちを置いて逃げようとしている。
俺は「おいD、Eお前ら何やってんだ!そんな事してる場合じゃないだろ、こっちきて
A助けるの手伝えよ!」というと、2人は一瞬こちらを振り向いたが、そもまま部屋を出て
逃げて行ってしまった。
ありえない、この状況でこんな事できる神経が信じられなかった。
一瞬俺とBが2人を追いかけようとしたが、まずはAを助けるのが先と気付き追うのをやめた。
そして、“かえし”になっている床板部分が問題という事で、急いでその部分を踏みつけて
崩していると、とうとう足音が階段の近くまでやってきた。
そして、また
ガリガリガリガリガリ!
と激しく壁か床を引っ掻く音が聞こえてくる。
俺たちはかなり焦っていた、夏場で熱いのもあるが、明らかにそれとは違ういやな汗を
かいていた。
…ミシ
足音はとうとう階段を下り始めた。
そのとき、やっとの事でAを引き上げることに成功した。
俺たちは大急ぎで部屋を出ると、もと来た廊下を戻り外に出た。
その時、俺は一瞬だが階段のところに人の足を見た、一瞬だったので
良く解らなかったが、白い足袋を履いているように見えた。
そして全員裏口から外に出ると、そのまま外に停めてあった自転車に乗り、
全力でBの家まで逃げ帰った。
続く
785:
>>784の続き
Bの部屋に入ると、Bがやっと廃屋の二階で見た事を話し始めた。
階段を登りきる辺りで、Bは何かを引っ掻くような音が二階の部屋ではなく
二階にある壁そのものから聞こえている事に気付いたらしい。
そして、音のする壁がどこなのか探していると、月明かりに照らされた一番
奥の壁に何か黒っぽいしみのようなものがあるのを発見した。
音はどうやらその壁から聞こえてきているようだったという。
ここまで聞いて、俺は「それだとその壁のある部屋の中から聞こえているって
可能性もあるんじゃね?」と聞くと、Bは「いや、それなら音が少しこもるから
解るだろ、まあ説明するから聞いてくれ」といって話を続けた。
黒い沁みのようなものを凝視していると、まず壁から人の手が伸びてきて
壁を引っ掻き出し、次に顔、体、足という順に喪服を着てガリガリに痩せた
老婆?のような人影が出てきたらしい。
そしてその老婆は、完全に壁から出てくると廊下に正座し、壁をガリガリと
また引っ掻き出したんだという。
Bはここまで話すと一瞬身震いして右手で左腕の肩の辺りを触りながら、
「俺、それをじっとみてたんだよ、そしたらさ、その婆さんがこっちを振り返って
ニヤニヤって感じで笑ったんだよ…」
それで俺に「こっち見た、早く逃げろと」
言った部分に繋がるらしい。
Bは続けて「あのニヤニヤ顔はヤバかった…月明かりだけで薄暗かったけど、
『悪意のある顔』ってのがどういうものか、俺はほんと良く解ったよ…」と、そして
「あの顔一生忘れられねーよ…」と頭を抱えて黙ってしまった。
Bの態度を見て全員沈黙してしまったのだが、暫らくしてAが「そんな事より
DとEだ、あいつら最悪だろ!俺たち見捨てて逃げやがった!」とかなり
怒っている。
続き
786:
>>785の続き
Aは自分が一番危ない状況だったのだから当たり前だが。
そして俺が「あいつら見捨てて逃げただけじゃないぞ、あの時見つけた懐中時計
を盗んで逃げやがった、しんじらんねぇよ…」と、懐中時計が盗まれている事も皆に教えた。
その日はそのままBの家に泊まり、DとEに文句言うのは月曜ということになった。
月曜日、俺たちが学校へ行くと、DとEは予想通り俺たちを避けていた。
文句を言おうにも授業が終ると教室の外へ行き、次の授業まで帰ってこない、
そんな状態が暫らく続いた。
その間俺たちは、DとEの話をクラスのみんなに話したのだが、その時初めて
何故女子が無視していたのかを知った。
なんとDとEは、女子相手にクラスの男子の陰口や自分達の自慢話をしていて、それで
嫌われていたらしいのだ。
その結果、3日もしないうちにDとEはクラスで完全に孤立した。
それから数日後、俺たちはこの事件がまだ終わっていない事を思い知らされた。
最初の変化はBのところに現れた。
Bによると、夜中寝ているとBの部屋の窓のところに老婆が現れ、一晩中ガラスを引っ掻いていたらしい。
そして、同じ事それから一日後にAと、更に1日あけて俺ところにもやってきた。
ただ、窓辺に立って引っ掻く音を立てるだけで、実害らしい実害はなかったが、
空き家であれの顔を見ていたBはかなり怯えていた。
俺のところに老婆がやってきた翌朝、その事を教室で話していると、
Aが「もしかして…」と携帯を弄り始めた。
何かと思ってみていると、Aは携帯の地図を見せながら「ここがBの家で、ここが空き家で…」
と説明し始めたのだが、俺はその意味がすぐに解った。
「問題の空き家から近い順に回っている?でもなんで?」Bが答えると、
Aは「解らないけど、もしかして例の懐中時計を探しているとか…?」と言った。
続く
787:
>>786の続き
たしかに可能性はある、でも、懐中時計を持っていったのはDとEで俺たちは関係が無い、
Cもそう思ったのか「俺たち関係ねーじゃん、なんで付き纏われるんだよ」という。
たしかに、懐中時計が原因だとすると凄く理不尽だ。
そして肝心のDとEなのだが、2人がホームステイしている家はあの日のメンバー
の中で一番空き家から遠い、俺たちが考えている通りならば、まだ留学生2人のところにも
来る可能性はあった。
とにかく次は距離的にCのところに老婆が来る可能性が凄く高いので、
一応部屋に盛り塩をして警戒しようという話になった。
何かあるにしてもそれはDとEに対してであって、Cのとろこに来ても俺たち3人に起きた
程度のことだろうとタカを括っていたからだった。
Cの家に来る予定だった日の翌朝、学校へ行くとCが入院したと言う話を聞かされた。
詳しく聞いてみると、入院と行ってもすぐに退院できる程度らしいが…
放課後俺たちが病院へ行くと、擦り傷だらけで真っ青な顔のCがベットに横になっていた。
意識もあるしぱっと見怪我も大した事無さそうだが、精神的に相当まいっているようだ。
俺たちはCに何があったのか事情を聞いた(以下はCの話)
Cが夜寝ていると、俺たちのときと同じように窓のあたりから
…カリ…カリ
と何かを引っ掻くような音が聞こえてきたらしい。
Cはとにかく気にしないように、窓とは反対方向を向いて寝ていたのだが、はじめ
外から聞こえていた引っ掻く音が、暫らくすると「部屋の中」から聞こえるようになった。
なにかおかしい。
そう思ったCが寝返りをうつ振りをして窓の方を見たとき、なんと自分の顔のすぐ横にやつの顔があり、
やつはニヤニヤという感じの明らかに悪意のある顔でCを覗き込んでいた。
続く
788:
>>787の続き
びっくりして布団から飛びのくと、そのままやつはニヤニヤと笑いながら両手を
伸ばして近付いてきたらしい。盛り塩なんて何の役にも立たなかったとCは言っていた。
Cは部屋から飛び出して1階まで逃げたのだが、やつはCをずっと追いかけてきた。
それでパニックになり、Cは玄関から飛び出して外に逃げ出した。
ただ、その時は勢いで外に逃げ出したので、その後どうすればいいか全く考えて
おらず、とにかくあても無く夜道を走り続け、ふと目に付いた小さな神社に逃げ込んだ。
そして、拝殿の中に逃げ込みそのまま朝まで篭城するつもりだったらしい。
だが、Cの目論みは外れてしまった。
神社の中なら大丈夫だろうと思っていたらしいが、暫らく拝殿の周囲を歩き回って
いたがやつは何なく拝殿の扉をすり抜け
ハハハハハ!ヒュー…
ハハハハハ!ヒュー…
と喘息患者みたいな呼吸と笑い声を上げながらCに近付くと、Cの首を絞め始めた。
Cは「あ、俺こんな事で死ぬのか…」と思いながら気を失ったらしい。
翌朝、Cは神社に掃除に来たお爺さんに発見され、そのまま救急車で病院へ運ばれ今に至ると。
病室でCは続けてこう言った「あいつ婆さんじゃなかった…ガリガリに痩せてたから
ぱっと見婆さんに見えたけど、声は明らかに若かった…たぶん20代くらいなんじゃ
無いかと思う」と。
色々とんでもない話だったが、一番とんでもなかったのはCが殺されかけたって
事で、話を聞いて相当ショックを受けた。
俺たちとCに何か違いがあったのか、それとも俺達はただ偶然助かっただけ
なのか、原因がさっぱり解らない。
Cは体に異常は無いとうことらしく、その日1日入院するだけで退院できた。
続く
789:
>>788の続き
翌日は1学期の終業式で授業もなく学校が早く終った。
しかし、俺たちは担任に生徒指導室へと呼ばれた。
担任の話はこうだった。
俺たちがDとEを連れて空き家に肝試しに行き、そこでDとEを置き去りにしたと、
そして、学校に来てからも2人を泥棒呼ばわりしてクラス全員で無視していると。
しんじられん、最悪だ。
それが俺の率直な感想だった。
DとEがやけに最近余裕そうな顔をしていると思ったら、ある事無いこと担任にチクって
俺たちを完全に悪者にしていたのだ。
そして担任は、DとEをこれから呼ぶからお前たちは2人に謝罪しろと言い出した。
俺もAもBもCも相当ムカついたが、まずは誤解を解かないといけないので担任に
あの日あった事をすべてありのままに話した。が、まったく取り合ってくれない。
挙句に「D君とE君が嘘をついているとでも言うのか!」と逆切れし始めた。
どうやらこっちの話ははじめから聞く耳持たないらしい。
それどころか、謝罪しないなら内申にも響くし、親を呼んで生徒指導をするとまで言い出した。
その一言で俺たちも完全にぶち切れ担任と口喧嘩になり、「親呼ぶなら呼べば良い
じゃないですか!」と捨て台詞を残してそのまま生徒指導室を出た。
翌日、なぜか親は呼ばれなかったが、俺たちは学校に再び呼び出された。
生徒指導室に入ると、担任はみょうにヘラヘラしていて、昨日あれだけ喧嘩したのにやけに馴れ馴れしい。
担任の話はこうだった「D君E君とお前たちの意見に行き違いがあったらしいから、
昨日の話はなかった事にする。ただ、2人を肝試しに連れて行った責任はお前たちにも
あるから、これはお前たちが責任もって返してきてくれ」そういうと担任は例の桐の小箱
にはいった懐中時計を長机に置いた。
意味が解らない。
続く
790:
>>789の続き
後から知ったのだが、こんな事を言い出した事の顛末はこうだった。
予想通り、DとEのところにあのガリガリに痩せた喪服の女が現れたのは確実のようだ、
そして、恐らくCがあったの以上に酷い目にあったのだろう。
ビビりまくったDとEは、その日の朝に駅の近くにある質屋に懐中時計を持ち込んで売ろうと
したのだが、当然の事だが店主に怪しまれ、それで騒ぎとなり担任やホームステイ先の人たち
まで質屋に呼び出され、逃げられなくなって事の真相をゲロったらしい。
それで今、それでも2人の肩を持とうとする担任がこんな都合のいい話をし始めたと。
当然の事だが、ここまでバカにされて言う通りにする義理など俺たちには無い。
Aがキレ気味に「なら先生が返しに行けば良いんじゃないっすか、俺たちがそこまでしてやる義理ないし」
というと、そのまま生徒指導室を出て行ってしまった。
俺もBもCも顔を見合わせ、Aのあとをついて生徒指導室を出た。
この後、俺たちにはとくに何もなかったのだが、3つ後日談がある。
まず一つ目。
担任のその後なのだが、休みが明けると学校には来ておらず、
始業式では病気療養のため長期入院する事になったと言っていた。
あの懐中時計を持っていたのだから、恐らく何かあったのだろう事だけは容易に想像が付いた、
何があったのかは解らないが、学校にこれなくなるほどだから余程の事があったのだろう。
出家したなんて噂もあったが、真相は解らない。
その後卒業まで担任は学校に戻ってくる事はなく、結局別の教師が俺たちを受け持つ事になった。
ちなみに、懐中時計に関してはその後どうなったのか完全に不明だった、三つ目の後日談に
関わるので後で書くが、少なくとも空き家には戻されていなかったのが確実だからだ。
続く
791:
>>790の続き
二つ目
問題の留学生2人なのだが、やつらは予定を切り上げて夏休み中に母国へ帰国した。
で、その見送りに生徒会の役員が何人か行ったらしいのだが、
そいつらの話だとDとEは明らかに様子が変で、げっそりとやつれて常に周囲を
キョロキョロと挙動不審に見ていて、ちょっとした物音にも過剰に反応したとか。
そして、なぜか2人とも両手をぐるぐる巻きに包帯で巻いていたらしい。
あとホームステイ先の家もかなり異常なことになっていて、なにか建物中から
線香のような臭いがたちこめ、玄関のところにはあからさまにでかでかとお札が貼ってあり、
明らかに「家そのものに何かあったのは確実」だったとか。
それと、DとEは両親が迎えに来ていたのだが、それ以外に首からロザリオ?を下げた
神父か牧師のような人が付き添っていて、一緒に車に乗って帰って行ったそうだ。
ちなみに、その牧師か神父のような人も、日本語が通じていなかったっぽいので
DとEと同じ国の人のようだったと言っていた。
三つ目
俺は高校卒業後進学して地元を離れたので知らなかったのだが、今年のGWに戻ったときに
あの空き家が道路拡張のために取り壊されたという話を聞いた。
そして、同じく帰って来ていたAから聞いたのだが、どうもAの中学校時代の友達がその
解体に関わっていたらしく、Aが変なことなかったか色々聞いていたらしい。
それで聞いた話によると、解体中何度か「喪服を着た女」を
見かける人がいたようで、当時少し噂になったとか。
Aの友達も夕方帰る時に見かけたらしい。そこで俺はあれ?と思ってAに聞いてみた。
「あのさ、俺たちあいつがガリガリに痩せてたから婆さんと見間違ったんだよな?でも話
聞く限り容姿が違わないか?」と、
すると、Aもそれを不思議に思って友達に聞いたらしいのだが、
その友達曰く「普通の女だった」とかでガリガリでも老婆っぽくもなかったと、
その友達ははっきり言っていたのだという。
続く
792:
>>791の続き
それと肝心の懐中時計なのだが、友達曰く「そんなものはなかった」とのこと。
そういうものが現場で見付かれば普通は話題になるのだが、誰もそんな話はしていなかったし、
床の間のスペースや箱などは珍しいつくりだったので友達も覚えていたのだが、中は空っぽ
で何も入っていなかったとの事だった。
途中から後から聞いた伝聞を繋ぎ合わせた内容なので、
かなり中途半端で変な話になってしまいました、ごめんなさい。
以上でこの話は終わりです。
長々とおつきあい、ありがとう御座いました。
835:
赤い女
深夜、コンビニで酒とつまみを買おうと自宅のマンションの部屋からエレベーターで一階に降りようとしたら
エレベーターの中に長い黒髪の赤い服の女が俺に背を向いて立っていた。
それも鮮やかな真紅の服で黒髪も深い色だった。コントラストがなんとも言えない、そして微妙だにしない。
俺は深夜に女性一人でエレベーターに乗ってることに始め驚いたが
その異様な雰囲気とその場の空気に不快感を覚えく一階に出たかった。
気をまぎらわすため、好きなテレビ番組を思い出していたら気付いてはいけないことに気づいてしまった。
何気に目線を女の足元にやると、俺は目をギョッとして心臓に冷水が一気に流れこんだ。
靴がこちらを向いていた。
つまり、俺に背を向けていたわけでなくずっとこちらを向いていた。
リングの貞子のように長い髪の毛を顔から胸に垂らしてこちらに向いていた。
冗談じゃない、こんな所にいられるかと思い3階に飛び出すように降りた。
そのまま、近くのコンビニへ駆け込んだ。夜に虫が光に群がる気持ちが分かったような気がした。
ふと、冷静に考えてさっきの出来事を考えると、変なところに思考がいった。
両腕は、女の異様に気づく前は両腕をへその下の辺りで結んでいるのかと思ったが
実際はお尻の辺りで両腕を結んでいた。こちらを向きながら・・・
もしかして、俺を凝視しながら背後に隠した刃物とかで殺してやろうかと思っていたのだろうか?
全身に鳥肌がたち、寒気と同時に一瞬体が麻痺した。
837:
俺は幽霊を信じない達なので、精神異常の女が夜中フラフラしているのかと思った。
つまみとか買える気分じゃない。まだマンションの中をうろついているのかもしれない。
とうまきにマンションの外から様子を見ようと思い、気持ちを整えてからコンビニをでた。
マンションの前まで来たら・・・女が外に出ていた。
長い髪の毛を顔から垂らしながら、かなりの猫背の股を開いた
ガリマタの姿勢でなにかを探す素振りをしていた。
もしかして俺を探してるのか?目の前の風景に血の気が引いて
石の棒のようにぼっと突っ立ってて体が動かない。
マンションの無機質な照明の光に照らされ、それは激しく頭を揺らしながら
聞き取れない笑い声のような声を出していた。
腕の部分は始め暗くてはっきり見えなかったが、照明よって照らしだされた。
錆びた出刃包丁を持っている。
これはだめだ。はやく警察に電話しないとと思ってる最中、女と目があった。
エレベーターでは顔が見えなかったが、見開いた狂って笑ってる目がはっきり見えた。
張りつめた弦が切れるように俺はマンションを背にして逃げた。
まるでいつもの風景が異界に迷いこんだかのように変化している雰囲気がした。
840:
暗い夜道を必死になってもがきながら逃げた。後ろから女が大股で頭を揺らしながら追いかけてくる。
とりあえず、さっきのコンビニに逃げよう、店員に保護してもらって警察に電話してもらおう
そう思いながらも必死に走った。女は大股で出刃包丁を振りかざしながらおってきたがさほど早くない
これなら振り切れられる。コンビニは、自宅から十分くらいのところにある。もうすぐだ。
心の中に少しだけの安堵が芽生えたが、後ろから気持ち悪い笑い声が耳障りだった。
そして、おかしなことに気づくのにそう時間はかからなかった。
844:
走ってきた道や建物は認知出来、あとどれくらいでコンビニに着くのかは分かるけれども
うまい言い方ができないが走っているのに止まっている感じがした。
もうコンビニに着いてもいいはずなのに絶対おかしい。
不安がどんよりと体を包むなか、後ろを振り向くとそんなに早くないのに
笑い声をあげた女がさっきより近くに来ている。まるで余裕があるかのように
全身を針で刺されたような悪寒に包まれ、死んでしまうという恐怖が支配した。
顔がくしゃくしゃになって回りの風景が目に入らない。黒い霧のなかを走っているようだ。
笑う女がちかずくごとに視野が狭くなる。恐怖で自分が今走っていることもわからなくなる。
どんよりとした真夜中の空気と一体化した気分だった。
もう後ろを見たくない。振り向くと目と鼻の先にあいつの顔があったら俺はどうにかなりそうだ。
笑い声は近づいてきて、俺の耳まで息がかかるまで来た。
俺は目を瞑り、夢ならさめてくれ、頼むと祈った。
次の瞬間、俺は横転した。やつに押されたのか、バランスを崩してこけたのかはわからない。
尻をついて前を見るとその女がこちらを見ていた。
849:
女は、長い髪の間から口を覗かせ狂った目を輝かせてニタニタと笑っていた。
出刃包丁を手首で回しながら俺に顔を近づけてくる。
放心状態の中、俺は直感で女の顔をはっきり見てはいけないことはわかり目を強く瞑る。
女は、指で目を開かそうとする。そして俺は気絶した。
次の日、コンビニの近くで倒れていたところを通行人の人がおこしてくれた。
俺はすぐにそのマンションから引っ越しした。これで終わりではないような気がする。
いつあの女に出くわすか、脅える毎日だ。
984:
首刈り地蔵
小学生の頃、両親が離婚し俺は母親に引き取られ母の実家へ引っ越すことになった。
母の実家は東北地方のある町でかなり寂れている。
家もまばらで町にお店は小さいスーパーが一軒、コンビニもどきが一軒あるだけ。
その町の小学校へ通うことになったが全学年で20人弱同級生は自分を含めて4人しかいなかった。
越してきて1年半ほど経ったある日、一学年上の子にいじめられるようになった。
原因はなんだったか思い出せない。まぁたいしたことじゃないと思う。
とにかくその子のことが大嫌いでいなくなって欲しかった。
その時、首刈り地蔵のことを思い出した。
首刈り地蔵のことは越してきたときにじいちゃんに教えてもらった。
小さな公園の奥の林の中にある首のない3体のお地蔵様。
絶対にお供え物をしてはいけないと言われた。
理由は教えてくれなかったが、越してきてしばらくして同級生に教えてもらった。
このお地蔵さまにお供え物をして「○○を殺してください」とお願いすると、その相手を殺すことができる。
985:
首刈り地蔵にお願いしよう。そう思った。
週1回のお弁当の日。おにぎり2つを食べないで我慢して
学校の帰りに首刈り地蔵にお供えし、お願いした。
その日の夜、寝ていると足音が聞こえた。ガチャ、ガチャと鎧を着て歩いているような音。
「足りない」そう聞こえた。ああ、そうか。お地蔵様は3体だった。
おにぎりがひとつ足りなかったか。
翌朝、おにぎりを一つ持って登校した。
登校途中にある首刈り地蔵のもとへ行くと2つのおにぎりはそのままある。
持ってきたおにぎりをお供えしようとすると、「こんのクソガキが!なにやってんだ。」と怒鳴り声が聞こえる。
後ろから顔見知りのおじさんが走ってきて、おもいっきり殴られた。
986:
引きずるように自分の家に連れて行かれ、じいちゃん、ばあちゃんに怒鳴り声でなにか言い帰っていった。
夕方になるとたくさんの大人が家へやって来た。
じいちゃん、ばあちゃんはとにかく謝っている。
東北弁がきつく、何を言ってるかわからなかったが俺も一緒になって謝った。
とにかく大変なことになってしまったらしい。
何日か話し合いがされ、うちは村八分ということになった。
首刈り地蔵にお供え物をした一家は村八分。昔からそうらしい。
実際、村八分がどういうものか知らないけどそれ以上だったかもしれない。
うちの人間とは一切会話が禁止され、スーパー・コンビニで何も売ってもらえなくなり、
母は町の病院で看護師をしていたが解雇され、俺は学校に通わせてもらえなくなった。
母と一緒に町役場に抗議しに行ったが話を聞いてもらえない。
どうにもならない。ここではとても生きていけない。
987:
東京にでも引っ越そうと話したがじいちゃん、ばあちゃんはここを離れたくないという。
生まれてからずっとこの町で過ごしてきた。
死ぬ時もこの町で死にたいと。自分たちは大丈夫だから二人で東京へ行きなさいと。
母はかなり心配していたがここにいては俺は学校へ通えないし母も働くところがない。
生活がまともに出来ない。
母と俺は東京へ引っ越すことにした。
実家にはまめに電話をし食品など荷物を送っていたが、しばらくして
電話線を切られたらしく電話が通じなくなった。
町に買い物に出たときに公衆電話でこっちにかけてくる以外は手紙が連絡手段になってしまった。
帰省した時電話線を直そうといったが、じいちゃん達はこのままでいいという。
たぶん他にも何かされていたと思うけど、
何かすべてをあきらめているというか受け入れているというかそんな感じだった。
988:
それから何年か経ち俺は高校に入学した。高校生になってもあの町のことが頭にあった。
とんでもないことをしてしまったとかじいちゃん達に悪いことをしたとかいう理由ではなく、
あれ以来あの足音と声が未だに聞こえるからだ。
別になにか起こるわけじゃない。ただ聞こえるだけ。
それでもやはり不気味でいい気分じゃない。
ある日、運送会社から電話がかかってきた。実家に荷物を送ったが何度行っても留守だと。
嫌な予感がした。というよりも半分ぐらいそうなんじゃないかと思っていた。
何かあれば電話をしてくるはずなのに
何度行っても留守。すぐに実家に行くことになった。
家についたのは夜遅くなのに、家に明かりはない。玄関を叩くが応答がない。
玄関は引き戸で簡単に外すことができる。
ドアを外し一歩家に足を踏み入れた瞬間に確信した。ものすごい腐臭がする。
母を見ると少し嗚咽を漏らし震えていた。
989:
中に入り明かりをつける。どこだろう。寝室かな?玄関を入り右へ進んだ突き当たりが寝室だ。
寝室へ行く途中の左の部屋のふすまが開いていた。
仏間だ。ちらっと見るとばあちゃんが浮いていた。首を吊っている。じいちゃんは同じ
部屋で布団の中で死んでいた。母は子供のように泣いた。
とりあえず外に出ようと言っても動こうとしない。警察を呼ぼうとしたが、
まだ携帯が普及し始めた頃でそこは圏外だったので最寄りの交番まで歩いて行った。
じいちゃんは病死、ばあちゃんは自殺と警察から説明された。
じいちゃんの跡を追ってばあちゃんが自殺をした。そういうことらしい。
葬儀はしないこととし、お坊さんを霊安室に呼んでお経を上げてもらい火葬した。
家に帰る日、写真などを持って帰りたいから実家によってから帰ることにした。
財産はこの家以外に何もないから相続しないらしい。
990:
この町に来るのはこれで最後。母がいろいろやっている間、俺はなつかしい道を歩いた。
学校へ登校する道。公園でブランコに乗りながら考えた。
どうしようか。もうこの町と一片の関わりも持ちたくない。
このまま帰ったほうがいいか。でもあの足音と声がある。
そうすることこそがこの町との関わりをなくすことなんじゃないかと思った。
林の中へ入り首刈り地蔵へ持ってきたおにぎりをひとつお供えした。
何を願おう。誰を。すぐに思いつく名前はなかった。俺は誰を殺したいんだろう。・・・・・・
(この町の人間全員を殺してください。)そう願った。
公園の方を向くと5,6人の人がこっちを見ていた。見知った顔もある。
向こうも俺が誰だかすぐに分かったと思う。
俺が近づいていくと目を逸らし誰も何も言ってこなかった。
俺も何も言わず無言ですれ違った。
足音と声は聞こえなくなった。
あの町の人達がどうなったのかはわからない。
137:
巣くうもの
128 1/5 sage 2009/02/28(土) 22:08:06 ID:+BuEMFrL0
洒落コワはここでいいのか?
何年か前にあった怖い話を投下する。
そん時は俺は地方大学の学生で、同じ科の連中とグループでよく遊んでた。
たまに混ざる奴もいて、男4?6人で女4人。
一人暮らしの奴の部屋で集まって飲んでると、よく怪談したがる女の子がいた。
決まって嫌な顔する子も居て、Aとする。
こっちの子が俺とかなり仲良かった。
怪談好きな方をBとするが、Bも別に電波とかじゃなくて、
怪談も体験談はなくて、それこそこのスレで面白い話を仕込んできてんじゃないか、
みたいな怖い話をする子で、本当は幽霊とか信じてなさそうだった。
むしろAの方が「見えるんだ」と言ってて、AはいつもBを避けてる感じだった。
2人で遊ぶとかは絶対ないし、グループでも距離を開けたがってる雰囲気で、
俺とあと一人、Aの「見える」を聞いて信じてる奴(Cとする)は、
本当に霊感があったら遊びで怪談するなんて嫌なのかもしれない、と思ってた。
ある日、Bと仲のいい男の一人が、恐怖スポットの話を仕入れてきてた。
車で30分くらいで行ける場所にあるそうで、Bも他の連中も面白がって、
その場で肝だめしツアー決定。
来てない他の連中も呼び出そうってことになって、俺はAに電話した。
俺自身は行く気だったけどAは来ないだろうな、と思い、
「これから??の辺りに行くってことになったんだ。ただ、肝試しだし他にも来ない奴いると思うし」
と言った。そしたら、Aは遮るように
「それって、何か大きな空き家のこと?その辺りで肝試しって」
「あ、そう。その家の裏に何かあるらしいから」
「………よした方が良くない?ってか、やめなよ。誰かの家で飲んで怪談したらいいじゃん、
わざわざ行かなくても」
よりによってAに怪談話を進められて少し驚いたが、仲間たちは既にノリノリで準備中。
「いや……みんな行く気だし。Aは気が進まないなら、今回は外していいと思うけど」
するとAは少し黙って、
「………Bは行くの?」
「行くよ。一番、やる気満々だし」
「……そうなんだ……じゃ、私も行くから、ちょっと待ってて」
たまげたことに、Aは本当に来てBと一緒に車に乗った。
結局これない奴も居て、総勢6人で、一台(ワゴン)に乗って出発した。
Bは少しKYなとこがあって、Aに距離置かれてるのもあんまり解ってないっぽく、
車中で初めは面白そうにお喋りし続けてたが、すぐに欠伸をし始めた。
「バイトとかで疲れてんのかなー。眠い?」
眠そうに呟くBに、Aが
「寝てなよ。着いたら起こしたげる」
「ありがと。ごめん、少しだけ寝る」
Bは運転してる奴に断ってうとうとし始め、Aは黙って窓の外を見てた。
154:
で。着いたときもBは起きなくて、もはや完全に熟睡。
てか爆睡、「寝かしとく?」って俺らが顔を見合わせたら、
Aが「連れてくね。後で怒るよ、置いてったら」
ってBを担ぎ起こして、強引に車から出したんだよ。
仕方ないからCが背負ってやったんだけど、AはBの手を掴んでて、
他の車の奴らが降りてきたら、一番先頭に立って歩いてった。
そこにあった古い家は、普通に不気味な空き家で、皆は結構もりあがって、
「うわー」とか言ってた。Bは起きないまま。 AはBの手を掴んだまま。
いよいよ本番で、家の後ろに回ったら、何かぽつんと古井戸みたいなもんがあった。
近寄ってのぞいて見ると、乾いた井戸の中に、ちっちゃな和式の人形の家みたいなもんが見えた。
「何だー?」って一人が身を乗り出したのと、
Aが「さがってっ!」て叫んだのが同時だった。
覗いた奴がびびって身体ひっこめた、
そのすぐ後に、「カシャ……」だか「ズシャ……」だか、何か金属っぽいような小さな音がした。
「下がって!下がって!こっち来てっ!」
Aが喚き出すまでもなく、もう何か、すごい嫌な感じが一杯だった。
カシャカシャ、ガシャズシャ、て変なジャリジャリした音が、
しかもどんどん増えながら来るんだよ。
その訳解らん井戸の中から、こ っ ち に む か っ て 。
もう逃げたいのに身体が動かなくて、横見たらやっぱり仲間がへたってるし、
音は近づいてきて、姿は見えないけど絶対に何か居たと思う。
「俺君、もっとこっち来て!!!!」
Aが怒鳴りながら俺の手を掴んで、何かを掴ませた。
俺が掴んだのを見たAは、今度は少し横でヘタってる奴を必死で引っ張って、
また何かをつかませてる。
てか、よく見たら、俺が掴んでるのはBの右足。さっきの奴が掴んだのはBの左手。
Bの右手はAが掴んでる。Cは相変わらずBをおぶってる。
AはBから手を離さずに必死に他の仲間を引っ張り寄せてた。
165:
その後のことは、色々とよく解らなかった。
ただハッキリ覚えてるのは、気がついたら、目の前に何かがいたこと。
白いんだかグレーなんだか透明なんだか、煙なんだか人影なんだか、
何か良く解らない「何か」が俺らの前に居た。
ちょうどその辺りから、ガシャガシャガシャガシャガシャ、ズシャズシャズシャズシャズシャ、
みたいな金属音が耳一杯に響いてきてた。
いや、こう書くとその煙みたいなもんが金属音立ててたみたいだけど、そうじゃなかった。
俺らは「煙か人影みたいなもん」の背中を見てて、
それが「見えない金属音の奴」とぶつかり合って止めてるんだって、そういう光景だった。
「俺君、C君、動ける?逃げよ!!く逃げようよ!」
Aが叫んで、俺らは必死で身体を動かして車へ向かって、何とか乗り込んで逃げ出した。
Cがハンドルを握る車の中で俺が振り返ったとき、もう何も見えなかったけど、
金属音だけは結構長いこと耳に残ってた。
その後。結局帰り着くまで熟睡こいてたBに「何も出なかったから起こさなかった」と
説明して帰らせた後、皆で震えながら明け方まで飲んだ。
数日後にAを捕まえて経緯を聞いたら、げんなりした顔でいろいろ教えてくれた。
あの古井戸がマジで危ない本物だったのは予想通り。
「家の正面に居る分には大丈夫だけど、裏に回って井戸まで見たらダメ」だそうだった。
問題は俺らを助けてくれた妙な影なんだけど、Aは凄い嫌な顔で、
「あれはBの……何ていうか、ついてるものなの」と言った。
AがBを避けてたのは、嫌いだからじゃないそうだった。
ただ、Bに纏わりついてるものがいて、それが凄く強くて薄気味悪いものだったんだと。
で、初めはBに取りついてる霊か、と考えたがどうしても違和感があって。
ある日、Bから出てくる『それ』を見て、不意に気づいたんだそうだ。
『それ』は『Bの中』にいるんだと。
「……Bがあれのいる世界に繋がってて出入り口になってるのか、
それともB自体があれの棲む場所なのか、どっちかだと思う」
Aもよくは解らないようで、とにかくそれはBから出てきてまた戻っていくんだと言っていた。
他の霊的なものは全部Bを避けるそうで、多分あれのせいで近寄れないんだとも。
180:
「あれは私たちを守ったんじゃないし、Bのことも大事だとかじゃないと思う。
ただ、ドアとか家が壊れたら困るでしょ。だから」
何とかした方がいいのか、と思っても、Bは本気では霊を信じていないようだったし、
普通の霊じゃないから払えるとも思えなかった。
だから放っておいたけど、自分は近寄りたくなかったんだ、とAは言った。
ただ、『それ』がBを深刻な危険から守っているのは知っていた。
そして、あの日俺らが本当に危ない場所に行くと感じて、
止められないならBの中に居る『それ』に守ってもらうしかない、と考えてついてきたのだという。
「あれが守るのはBだけだからね。少しでも離れたら、
井戸から来てた方に憑かれて人生終わってたよ。俺君も、他の皆も」
言われて背筋が寒くなったのを紛らそうとして、
「……でも、何だろうな?Bについてるのって。結構よくないか?結局守ってくれるんなら」
そう言ったら、Aは羨むような蔑むような複雑な眼を向けてきた。
「あのね俺君。お腹に住みついた寄生虫が孵化するまでは守ってくれるって言ったら、それって嬉しい?」
「……」
……何となく、言いたいことが解った。
Bに巣くってるモノは、とにかく自分だけの都合でBの中に居座ったり顔を出したり
するわけで、ひょっとしたらBから何かを奪ってるのかもしれないわけで。
いつか自分の都合でBをぶち破って出て行ったりするかもしれないわけで、
その時には周りにも影響するかもしれないわけで、
しかもBは本気で何ひとつ全く気づいていないわけで。
「放っとくしかないんだよね」
そう言ってAはため息をついた。
「井戸から出てきた方も、凄かった。神様が最悪の状態になったみたいな感じだった。
並みの霊能者とかじゃ負けちゃうだろうって思うくらいの奴だった。
あんなのと渡り合える、Bの『あれ』も、どうせ何やってもどうもできない」
133 6/5 sage 2009/02/28(土) 22:19:22 ID:+BuEMFrL0
収まりきらなかったorz
それから時間が経って、俺もAもBも社会人。
ふと思い出したんで、投下しました。
ちなみに、理由はBから連絡あったから。
結婚した上に子供も生まれて元気にやってるそうです。
Aに電話してそう言ったら、
「Bが寿命になるまで、あれが大人しくしててくれたら、それが一番いいよね」
と言ってたところからして、Aは、Bが今もあれを背負ってると確信してるようです。
普通の霊と違う、そして人間の『中』に居る『何か』って、何なんでしょうね?
いや、井戸の底のミニハウスから来た金属音も気になりますが。
どっちでもいいんで、誰か心当たりでもあったら、教えて下さい。
長文すみません。以上です。
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