海未「ストーブ…ですか」真姫「そうね」back

海未「ストーブ…ですか」真姫「そうね」


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1:
海未「何故石油ストーブを部室に?」
真姫「昔家で使ってたものを持ってきたのよ」
海未「それはいいのですが…危なくはないですか?」
真姫「正しい使い方すれば大丈夫じゃない?」
海未「はぁ…でも灯油はどこから?」
真姫「学校のを使っていいそうよ」
海未「許可は?」
真姫「絵里が取りに行ったわ」
海未「そうですか…」
海未「では使わせていただきますね」
真姫「うん」
3:
ボォォォォ…
海未「……」ヌクヌク
真姫「……」
海未「…それにしても随分と古いストーブですね」
真姫「そうね。何で私の家にあったのか疑問なくらいよ」
海未「私は昔、このタイプのストーブでよくおもちなどを焼いて食べていました」
真姫「おもち…」
海未「はい、とっても美味しかったです」
真姫「……」
真姫「買ってきたわ」
海未「早いですね」
4:
真姫「……」
海未「……」
真姫「何よこれ、全然膨らまないじゃない」
海未「少しおもちが大きいからでしょうね。もう少し待ちましょう」
真姫「そうね」
プクゥ
真姫「膨らんできたわ」
海未「いい感じです」
真姫「金網じゃないとダメなの?アルミホイルは?」
海未「アルミホイルでもいいですけど、引っ付きにくいのは網の方ですね」
真姫「ふぅん…」
真姫「焼けたわね」
海未「頂きましょうか」
6:
海未「」モグモグ
真姫「あちち…」モグモグ
海未「…このままでも美味しいですが、砂糖醤油が欲しくなりますね」
真姫「そうね…買ってくるの忘れてたわ」
海未「でも、素朴な味というものも悪くはないです」
真姫「素材の味って奴かしら」
海未「はい」
真姫「…みんな遅いわね」
海未「そうですね」
8:
-次の日-
海未「おや、今日も真姫だけですか」
真姫「かよちんと凛は用事があるって。三年生は冬期講座で遅れるって聞いたわ」
海未「そうですか」
真姫「穂乃果とことりは?」
海未「美容院に行きました。私はこの前済ませてきたので…」
真姫「そう」
海未「ところで真姫、ここに偶然椎茸があるのですが」
真姫「焼きましょう」
9:
海未「」サクッ プスッ
真姫「串で刺すして焼くの?」
海未「ちょっと試してみようと思いまして」
真姫「ふーん」ガサガサ
海未「そっちはアルミホイルですか?」
真姫「以前ママがやってるの見たことあるわ」
海未「なるほど…」
海未「では焼きます」
真姫「美味しくなりなさいよ」
14:
ボォォォォ…
海未「……」
真姫「…このまま食べるの?」
海未「一応醤油を少し持ってきました」
真姫「ストーブの上に落として焦がさないようにしないといけないわね」
海未「そう考えるとやはり串は失敗でしたね」
真姫「いいじゃない。そっちは浸して食べれば」
海未「そうですね」
海未「あ、ちょっと焦げてしまいました」
真姫「もう食べてもいいかしら?」
15:
海未「いただきます」
真姫「いただきます」
海未「」モグモグ
真姫「」モグモグ
海未「…少し生っぽいです」
真姫「アルミホイルの方はいい感じね」
海未「食べてもいいですか?」
真姫「いいわよ」
海未「…美味しい」モグモグ
真姫「でも、何か足りないような…」
海未「…バターでしょうか?」
真姫「それよ。ホイル焼きには欠かせないわ」
海未「だとするとえのきやしめじ…玉ねぎなども欲しいですね」
真姫「…でもよく考えたら、これって」
海未「お酒のツマミ…ですね」
17:
真姫「何だか親父臭いって思われそう」
海未「そうですね…ではこの事は二人だけの秘密にしておきましょう」
真姫「賛成」
海未「そろそろ穂乃果達が戻ってきますね」
真姫「私こっちを片付けるわ」
海未「では私は部屋の換気をしてきますね」
真姫「うん」
海未「…口の中が椎茸って感じです」
真姫「飲み物買ってくるわね」
18:
-次の日-
真姫「…あれ?他のみんなは?」
海未「穂乃果とことりは昨日の美容院で髪を切られすぎたのでクレームを言いに行ってます」
真姫「ふぅん…」
海未「一年生二人は?」
真姫「デートしに行ったわ。三年生は冬期講座?」
海未「そうですね」
真姫「じゃあまた二人だけね」
海未「はい」
真姫「今日は何持ってきたの?」
海未「パンです」
21:
真姫「パンだけ?」
海未「いえ、それだけでは物足りないと思ったので…」
海未「チーズを持ってきました」
真姫「流石ね」
海未「早焼いてみましょう」
真姫「今日はパンの上に乗せるだけだから簡単ね」
海未「そうですね」
真姫「あ、パンくずが溢れちゃったわ」
海未「後で掃除しておきましょう」
22:
ボォォォォ…
海未「……」
真姫「…地味ね」
海未「そうですね」
真姫「なんか…オーブンで焼いてるのを黙々と見てるだけっていうか…」
海未「チーズももうちょっととろけるのを想像していたのですが…」
真姫「私もよ」
海未「何かもうちょっと工夫が必要だったかもしれません」
真姫「でも食べるのでしょ?」
海未「当然です」
25:
真姫「いただきます」
海未「いただきます」
真姫「」サクッ
海未「」サクサク
真姫「…パンね」
海未「チーズの乗ったパンですね…」
真姫「まぁ、大体は想像通りだったけど」
海未「両面焼きにすれば少しは変わったのでしょうか?」
真姫「チーズを最初に乗せたのも間違いだったのかもしれないわ」
海未「そうですね」
真姫「そういえば、さっきホットココア買ってきたの」
海未「流石です。真姫」
28:
-次の日-
海未「…おや」
真姫「ん」
海未「穂乃果とことりは美容院を訴えるみたいなので今日は弁護士に相談に行っています」
真姫「かよちんは腰痛で学校休んでるわ…昨日何かあったのかしら?あと三年生は冬期講座」
海未「ではまた二人だけですね」
真姫「最近多いわね」
真姫「で、今日は何を焼くのよ?」
海未「真姫、あなたハマりましたね」
32:
海未「今日はじゃがいもを持ってきました」
真姫「ということは…」
海未「はい。じゃがバターです」
真姫「…いぃ」
海未「今回はちゃんと調べてきました」
海未「アルミホイルのに包んでストーブに乗せるだけです」
真姫「簡単ね。私でもできそう」
海未「では焼いていきましょう」
真姫「そうね」
海未「……」
真姫「…長いわね」
33:
海未「まだ串が刺さりませんね…」
真姫「どのくらいかかるの?」
海未「ざっと30分だと書いてあります」
真姫「…待ち遠しい」
海未「それまで何かしていましょうか」
真姫「そうね、何する?」
海未「あ、ひとつ思いつきました」
海未「バターと塩コショウを忘れたので買い物に行ってきます」
真姫「行ってらっしゃい」
37:
真姫「出来たわ!」
海未「ふふっ…すごく嬉しそうですね」
真姫「30分も待たされたもの。嬉しいに決まってるじゃない」
海未「そうですね…ではいただきましょう」ガサッ
真姫「いただきます」
海未「」ホクホク
真姫「…!」ハフハフ
真姫「美味しい…幸せ…」
海未「はい…とっても美味しいです…」
41:
真姫「何これ…殺人的な美味しさじゃない…」ホクホク
海未「立派な男爵芋に…パターと塩がすごくいい感じに合わさって…」
真姫「気分は北海道ね…」
海未「はい…季節感もばっちりです」
真姫「美味しい…」ホクホク
海未「とっても…」ホクホク
真姫「…食べ過ぎたわ。今日晩ご飯入らないかも」
海未「私もです…母に怒られそうですね」
43:
-次の日-
真姫「あ」
海未「はい」
真姫「かよちんは無事治ったみたいよ。凛は今かよちんと病気が治ったお祝いに家デートしてるわ」
海未「穂乃果とことりはどうやら敗訴だったようです。ですが弁護士を変えて控訴するそうです」
真姫「三年生は?」
海未「冬期講座」
真姫「さつまいも持ってきたのだけど」
海未「…!」ガタッ
45:
海未「…とうとうそれを持ってきてしまいましたね」
真姫「えっ?」
海未「さつまいもと石油ストーブは、相離れない関係だと言っても過言ではないでしょう」
海未「しかし…ストーブでさつまいもを作るためには、様々な物が必要となります」
真姫「必要なもの?焼くだけじゃないの?」
海未「はい…正確には蒸す。ですが」
真姫「じゃあ…焼き芋食べれないの?」
海未「残念ですが…」
真姫「……」
真姫「……」シュン
海未「そんな露骨に落ち込まないでください。何とかしますから」
47:
海未「借りてきました」
真姫「こっちも貰ってきたわ」
海未「鍋蓋とアルミホイル、そして軍手です」
真姫「新聞紙はこのくらいの枚数でいいの?」
海未「はい。十分です」
真姫「じゃあ作り方教えて欲しいわ」
海未「まずは新聞紙にさつまいもを包んで、それに水で濡らして絞ります」
真姫「滴るくらいでいいのかしら」
海未「十分です。次にアルミホイルを二重に巻いて、ストーブに置いてくだだい」
真姫「置いたわよ」
海未「では鍋蓋を…こうすることで熱効率がよくなり、時間短縮ができるのです」
真姫「この前のじゃがバターもそうすれば良かったのね」
海未「そうですね…ではしばらく待ちましょう」
51:
真姫「もういいんじゃない?」
海未「では軍手をはめて…こっちはいい感じです。真姫の方はどうですか?」
真姫「フニャっとしてるわね」
海未「それで大丈夫です。ではアルミホイルを剥がしてみてください」
真姫「ちょっと、新聞紙焼けちゃってるじゃない。大丈夫なの?」
海未「それで構いません。水で濡らした新聞紙のおかげで蒸らすことができたのです」
真姫「へぇ…すごいわね」
海未「では早」
真姫「いただきます」
49:
いい雰囲気だな
53:
海未「」ホクホク
真姫「」ムキムキ
海未「…このさつまいもの味…懐かしいです」
真姫「私も…焼き芋なんて随分と食べてなかった気がする」
海未「だからこそ…なんでしょうか」
真姫「うん…すごく美味しい」
海未「今日はお腹が脹れないように、少しお昼を少なめにしておきました」
真姫「あ、私も」
海未「考えることは同じ…ですね」
真姫「クスッ…そうね」
真姫「でもこれ作るのも片付けるのも手間がかかるから今回だけでいいわ」
海未「そうですね」
54:
-次の日-
海未「…はい」
真姫「…ん」
海未「穂乃果とことりは今日は最高裁の日らしいです。勝ち取ってくることを願ってます」
真姫「かよちんと凛は今日私の病院行ったわ。陰性や陽性がどうとか言ってたわ」
海未「三年生は?」
真姫「ニコちゃんだけ模試の結果がBFランクだったから今必死にエリーと希で勉強教えてるわ」
海未「ではまた」
真姫「二人ね」
海未「…真姫、そのクーラーボックスは何ですか?」
真姫「牡蠣持ってきたの」
56:
和むわ
59:
海未「牡蠣…ですか?」
真姫「お母さんに最近の事話したら、これ持って行っていいよって言うから…」
海未「よく先生に止められませんでしたね…」
真姫「理事長に話してたらしくて…何とかなったわ」
海未「…後で出来上がりを持っていきましょうか」
真姫「そうね」
海未「それにしても…牡蠣なんて初めて調理します」
真姫「品質はいいものだってお母さんが言ってたから、当たることはないわ」
海未「そうですか」
海未「では早焼いていきましょうか」
真姫「ワクワク」
61:
海未「まずは網を敷いて、牡蠣を置きます」
真姫「うん」
海未「そして蓋をします」
真姫「…次は?」
海未「終わりですよ?後は焼き上がるまでしばらく待ちます」
真姫「意外と簡単ね」
海未「まぁ、あまり調理法の少ない食材ですからね」
真姫「そんなものなのね…」ボンッ!!
真姫「きゃ!…何の音?」ドキドキ
海未「牡蠣が破裂したのでしょう。よくあることだとネットに書いてあります」
真姫「そうなんだ…」
海未「どうでも良いのですが、真姫と牡蠣って何か似てませんか?」
真姫「ほんとにどうでもいいわね。いや似てないし」
64:
真姫「出来たわ」
海未「軍手をはめましょう」
真姫「殻を剥くのね」
海未「はい、道具は真姫のお母さんが全部用意してるみたいですね」
真姫「…何だかバーベキューをしてる気分ね」
海未「その分片付けも大変そうですね」
真姫「そうね…」カパッ
真姫「あ、開いた」
海未「意外と簡単に取れますね…」パキャ
真姫「じゃあ早…」アーン
海未「待ってください」
真姫「…何?」
海未「牡蠣は食べ方というものがあるそうです…それをやってみませんか?」
真姫「面白そうね。やってみましょう」
68:
海未「えっと、まずは出汁を飲むそうです」
真姫「出汁?」
海未「この牡蠣の殻に溜まってる水分のことでしょうね…あつっ」
真姫「こ、これ…熱くて口付けられないのだけど」
海未「少し冷ましましょう…ふーっ、フーッ」
真姫「…コクン」
海未「……」ゴクン
海未「…美味しいですね」
真姫「うん…」ホッコリ
69:
真姫「味に深みがあるわね…」
海未「これが大人の味というものなのでしょうか…?」
真姫「ちょっとしか入ってない所がミソなのかしら?」
海未「そうですね…」
真姫「身の方はどうするの?」
海未「ポン酢や醤油を好きに使って食べていいと書いてありますね。あ、ネギも相性抜群らしいです」
真姫「じゃあ…殻に少し垂らして」
海未「いただき」パクッ!
真姫「ます」パクッ
うみまき「美味しい」
71:
海未「…ふぅ、とっても美味しかったです」
真姫「でも…あんまり食べたら気分が悪くなりそうね」
海未「では一つだけにしておきましょうか」
真姫「そうね。片付けるわ」
海未「あ…理事長の分忘れてました」
真姫「…あ」
海未「……」
真姫「……」
海未「…二人だけの秘密にしておきましょう」
真姫「そうね…」
74:
-次の日-
ガララッ
海未「こんにちわ」
真姫「あ、海未」
海未「穂乃果とことりから勝訴の連絡が来ました。この慰謝料で音乃木坂の増改築が予定されるそうです」
真姫「私もさっきかよちんと凛からメールが来たわ。新しい生命が宿ったって」
海未「三年生は今からこっちに来るそうです。にこも何とか安全ラインに乗ったそうですよ」
真姫「色々とめでたいわね」
海未「そうですね…では今回はみんなにストーブ料理を披露してあげましょう」
真姫「いいわね。何を作るの?」
海未「そうですね…おしるこなどはどうでしょうか?」
80:
真姫「おしるこ…準備が大変そうね」
海未「二人でやれば大丈夫ですよ。一緒に頑張りましょう」
真姫「分かったわ。私もできることは手伝う」
海未「ふふっ…ストーブを置いてから何だか楽しいですね」
真姫「そうね…冬がずっと続けばいいのに」
海未「では春になったらどちらかの家で料理を作って食べるというのはどうでしょうか?」
真姫「…いいわね、賛成。私もちょっと料理勉強してみるわ」
海未「はい。…春が楽しみです」
真姫「私も」
真姫「じゃあまずおしるこ作る準備をしないとね」
海未「そうですね。まず用意するものは小豆と…」
?おわり?
81:
うみまき珍しいね

85:
乙!
おもしろかった
8

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