千冬「お帰りなさいませ一夏様!」一夏「!?」back

千冬「お帰りなさいませ一夏様!」一夏「!?」


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―次の日
【教室】
生徒A「うーん、今のとこ効果は表れないわね」ジー
のほほんさん「なにしてるのー?って何それ、のっぺらぼうの人形!?」
生徒A「あっ、布仏さん。ちょっとしたおまじないみたいなものなんだけどね、この人形を持ち続けることで不思議なことが起こるんだって」
のほほんさん「ホントにー!?すごいすごーい!」ピコピコ
生徒A「前外出したときに立ち寄ったアンティークショップで見つけたものなの。お店の人にいろいろ話を聞いたんだけど、すごい効果があるらしくってね」
のほほんさん「うんうん、それってどんなの?」
生徒A「なんでも、まずなりたかった自分に実際に出会うんだってさ。その後、自分自身の姿や性格が理想通りに変わるって聞いたわ」
千冬「ほう、それは素晴らしい」
生徒A「でしょう……って、織斑先生!?」
5: 米田 ◆YONE/zixE6 投稿日:2012/01/27(金) 03:40:27.98 ID:4Qpq8iTY0
 _, ,_  
 ( ・∀・) シュッ
 ( ∪ と 彡 ―――――=====三三?
 と__)__) 153km/h ストレート 
6: 以下、
千冬「なんだその人形は? 学業に関係ないものを持ち込むとは感心しないな」
のほほんさん「はわわわ…」
千冬「授業の邪魔になるものは預かる。もう授業だ席につけ」バッ
生徒A「ああっ」
千冬(まったく…本当に弛んでいる……)
千冬(人形か、こんな安っぽいまじないを高校生にもなって信じているとは、レベルの低下も著しいな……)
―授業後
千冬「ふう、終わりか……ん?」
7: 以下、
セシリア「一夏さん!次の休みはショッピングに付き合っていけませんか?」
一夏「おおセシリア、それが……」
箒「セシリア、悪いがもう予定は埋まっている。最近こいつは意識が高くてな私と護身術の稽古をするんだ」
セシリア「そんな、一人だけ抜け駆けは許されませんわ!」
箒「抜け駆けだと?この前、お前と鈴はいきなり一夏の部屋の掃除に押し掛けてただろう」
セシリア「そ、それは部屋に入れて頂いたとき、あまりの散らかりように清潔好きの英国人の血が騒いだだけで、それ以上の意味はありません!」
シャル「一夏、前から僕との買い物の約束してたよね」
一夏「え、それは次の休みじゃないだろ!?」
箒「私の先約が入っているんだぞ!」
8: 以下、
ワーワー キャーキャー
千冬「……」イライラ
千冬「……ふん!」スタスタ
千冬(以前はあいつが小娘どもと連れ立っていても平気だったのに……なぜこんな気持ちになる?)
一夏(あれ、千冬姉なんか怒ってる?)
セシリア「ちょっと一夏さん!聞いてますの!?」
シャル「そうだよ、よそ見しないでよ」
一夏「ああ、悪い」
9: 以下、
―休日 
【書店】
千冬「ふう、街へ買い物にくるのも久しぶりだな」
千冬「おっと、雰囲気に浸っている場合ではない。勉強のため教育書を買わねばならん」
千冬「これとこれと……」ドサドサ
女子高生A「前のバイト先無断欠勤続いたらいつの間にか辞めさせられてた?。なんかいいバイトないかなー」
女子高生B「メイド喫茶は?最近客が増えてきて儲かってるから、結構稼げるよー」
女子高生A「マジ?あの『お帰りなさいませ御主人様?』ってやつが?あんなんで稼げるんならやるよ!」
千冬(家政婦に扮装して男にへつらうことに何の抵抗も持たないのか……)
レジ係「いらっしゃいませー」ピッピッ
千冬(確かに、女尊男卑の風潮に変わった反動か、一層その手の店が増えたとは聞いている……)
レジ係「全部で8300円になります」
千冬(そんな店へ安易に逃げ込む男も男だ。一時の幻想へ身をやつす者がそれほど多いとは、今の世はなにかがおかしい!)
レジ係「ありがとうございましたー」
千冬(もはや、私が求めるような男はいないのかも知れんな……)
10: 以下、
――――――
―――

千冬「うむ……体が少し前からだるいな。本も少し買い過ぎたか」
千冬「そう言えば鞄から財布を取り出すときにぶつかったが、これは何だ……?」ゴソゴソ
千冬「ああ、この前取り上げた気味の悪い人形か。こんなもの……」ジー
人形「……」
千冬「!」ゾクッ
イチカサーン! イチカードッチニイクノー
千冬「とっ、あの声は」
11: 以下、
一夏「皆落ちついてくれよ、順番、順番にな」
鈴「さっきシャルの行きたいところに行ったから、次はわたしの番でいいじゃない!皆は同じ教室にいるんでしょ」
シャル「うう……一夏と二人でカフェに行けると思ったのに皆も付いてくるとは思わなかったよ」
セシリア「箒さん、なぜあなたまで来てるんですか!?」
箒「私も必要なものがあるから買い物についてきただけだ。それにたまには息抜きも必要だと思ってな」
ラウラ「嫁よ、トイザらスにはいつ連れて行ってくれるんだ?」
コッチヨイチカー リンサンテヲツナガナイデ!
12: 以下、
千冬(またあいつらか。そう言えば、私が最後に一夏と買い物に行ったのは大分昔だな……)
千冬(買い物袋をいくつか持っていると、あいつは重い方を取ってくれたな。ふふ、それで歩き方がふらふらになって危なっかしかったんだ)
千冬(もし、昔のように私と二人で買い物に行ったら、一夏は同じように荷物を持ってくれるだろうか?)
千冬(それにしても一夏の奴、あいつらといるときは私には見せない顔をするんだな……)
千冬「……っ」
千冬(奴はとっくに私の元を離れ、新しい仲間を手に入れている。今さら何を夢想しているんだか……)
人形「……………」キラッ
千冬「?」
13: 以下、
【IS学園 一夏の部屋前】
セシリア「一夏さん、また明日…あっ」
セシリア(襟が曲がっていますわ……でもすぐに脱いでシャワーを浴びられますよね)
一夏「ああ、また明日」
一夏「ふう……今日は疲れたな。皆元気だったなあ。あのエネルギーはどこから来るのか分からん」
一夏「さっさとシャワー浴びて、今日の分やって休もう……」ガチャ
千冬「お帰りなさいませ一夏様!」
一夏「!?」
千冬「帰って来られるのを心待ちにしておりました。ささ、お疲れでしょう、早シャワーを浴びましょう。お背中流させていただきます」
一夏「千冬姉!!?なんでこの部屋に!?っていうかそのメイド服は何?なんでこんなことしてるんだよ!?」
14: 以下、
千冬「一度にそんなに多く尋ねられても困ってしまいます……」
一夏(何より喋り方が気になる……!)
千冬「あら、襟が曲がっておりますよ、直して差し上げますね」チョイチョイ
一夏「あ、ああ、ありがとう」
一夏「と、とりあえず奥に行こう。誰かに見られたり聞かれたりしたらまずいからさ」
15: 以下、
イイヨイイヨー
16: 以下、
千冬「はい、お連れしますね」ギュ
一夏「!」ドキッ
一夏(手を握られたくらいで俺は何で……)
一夏(それに……なんか懐かしい良い匂いもする。石鹸混じりの……)
千冬「どうかなさいましたか?」スタスタ
一夏「いや、何でもない……ってどうかしてるのはそっちだろ!」
千冬「!……」シュン
17: 以下、
一夏「あ、いやごめん千冬姉ねえ……おっと、学校じゃ織斑先生だったな、はは」
千冬「呼び方は好きにして頂いて構いません。それより、一夏様はこんな私はお嫌いですか……?」ウルウル
一夏「好き嫌い以前に状況が飲み込めていないんだけど……どうしちまったんだよ千冬姉」
千冬「どうしたのかと言われましても……それより見てください!ベッドや机が服やら本やらで散らかっていましたので、片付けさせて頂きました」
千冬「それとシャワーを浴びられると思って、着替えもたたんで机の上に置いておきました!」
一夏「千冬姉が俺の部屋を片付け……?家じゃずぼらだったのに……」
18: 以下、
ピピッピピッ ピピッピピッ
千冬「あっ、ポッドのお湯が沸いたようですわ。一夏様、シャワーよりコーヒーの方を先にしましょうか?」
一夏「どっちでもいいよ……」
千冬「そうですか。じゃあ、まずおいしいコーヒーで暖まって頂きますね。私もご一緒してよろしいですか?」ニコッ
一夏「ああ……」
一夏(なんでこうなったんだ……激務がたたって精神が壊れたのかも……いや、千冬姉に限って……)
千冬「あんなに悩んだお顔をされて……よっぽどお疲れなんですね」
千冬「急いでお淹れしないと。えっと、カップを二つ用意して、ドリッパーにフィルターを張って……ポッドのお湯を小口の容器に入れ替えて」アセアセ
千冬「早く早く……ああっ!」ズルッ
ガシャーン! バシャシャア!
千冬「熱いっ!!」
19: 以下、
一夏「ん……?あ、大丈夫か!?」
一夏「服にかかったか!すぐ脱いで当たったところを流水で冷やすんだ!」
千冬「あつつ……ぬ、脱ぐって」
一夏「早く!恥ずかしがってる場合じゃない!」
千冬「は、はいっ」
一夏「よし、風呂場にいって冷やそう」
【バスルーム】
一夏「ここを使ってくれ……って、床が濡れてる?」
千冬「私が一夏様の外出中に、身なりを整えようと湯浴みをしたんです。勝手に使って申し訳ありません、謝ろうと思っていたのですが」
一夏「あ、さっき石鹸の匂いがしたのはそれか。まあいいや、俺はリビングで待ってるからさ。早く冷やした方がいいぞ」
20: 以下、
千冬「はい……お心遣い感謝します」
シャアアー
一夏「ふうー……ん?」
脱ぎ捨てられたメイド服が、一夏の目に映る
一夏「こんなのどこで手に入れたんだよ、千冬ねえ……」
コンコン
箒「一夏、貴様に用があるんだが…いいか?」
一夏「げっ」
箒「ちょっと人目については気恥ずかしいんでな。入るぞ」ガチャ…
一夏(やばい、メイド服が見つかったら怪しまれるどころじゃねえ!!)
22: 以下、
一夏「入ってくるな!!」ポイッ パタン
箒「なっ……!?」
一夏(とりあえず服はクローゼットに隠したが、入ってこられると千冬姉がいることがばれる!)
一夏(そうなると確実に姉弟揃って学校側からの処分を受けてしまう……隠し通さなきゃな)
一夏「扉を開けないでくれ、悪いがお前の用には付き合えない!」
箒「……一体どうしたと言うんだ?」
一夏「いいから!出て行ってくれ!」
箒(街で買ったプレゼントを届けに来たのに……)
一夏「とにかく今日のところは引いてくれ!!!」
箒「お前……!」
シャル「ん?どうしたの箒?」
箒「おおシャルロット。それが……一夏の携帯電話のストラップがボロボロになっているのを見かけてな。同じ奴を買っといたんだが」
23: 以下、
シャル「ちょっと一夏……せっかく気を利かせてくれたんだから受け取ってあげなよ?ドアを少し開ければすぐ終わることじゃない」ガチャ…
一夏「開けるなって言ってるだろ!!」
シャル「!」ビクッ
シャル「……ど、どうしたのさ?」
箒「ちょっとおかしいぞお前……」
一夏「頼む二人とも、部屋に近づくな!お願いだから遠くに行ってくれ!!」
箒「遠くに行けだと……どうして私たちがこんなに避けられるんだ?」プルプル
シャル「嫌われちゃったのかな……うう、一夏ぁ」ウルウル
24: 以下、
一夏(悪い、二人とも……でもこれで下がってくれるだろう)
一夏(さあ、部屋に戻るんだ!)
鈴「あれー?ちょっとちょっと、一夏の部屋の前で二人ともなに涙ぐんでるのよ!?」
セシリア「ど、どうか訳をお聞かせ願えませんか?」
一夏(更に増援かよ!)
箒「ん…お前たちか……」
シャル「それがね…」
箒「かくかくしかじかで……」
鈴「ええ!?箒、それは微妙に抜け駆けっぽい……けど、ひどい話ねえ……」
一夏(予想外だ……どうする、どうするんだこの状況!?)
26: 以下、
>>25はスルーで
一夏(このままでは強引に部屋の中へ押しかけて来るのは時間の問題だ……なら!)ガチャ
一夏「千冬ねえ、すまないけど……って、うわ!」
千冬「きゃあっ!」
一夏「ごめん、出たところだったか!悪いけどもう少し風呂場でいてくれないか?」
千冬「は、はい」
一夏「しばらくの間、息を潜めて物音を立てないでくれ。バスタオルは何枚かあるから、それを羽織ってくれりゃ風邪はひかないと思う」
千冬「……かしこまりました」
一夏「よし、箒達の相手をしてくるからな、ちょっと待っててくれ」
千冬「……!」ムスッ
27: 以下、
千冬「あ、あの、一夏様!」
一夏「なんだ?」
千冬「えっと、その……」
一夏「急がなきゃいけないんだ」
千冬「……またいつか二人一緒にここに入れると良いですね」
一夏「はあ!?」
千冬「うふふ」
チョット- ナニヒキコモッテンノヨ! アケルワヨ!
一夏「ああくそ!」ダッ
28: 以下、
ドンドンドン!
鈴「返事が無いわ……」
セシリア「いくら一夏さんといえど、お二人を泣かせるような真似は看過できませんわ!」
鈴「強行突破しかないわね。せーのっ!!」
一夏「すまん、今開けるよ」ガチャ
鈴「っとと、一夏。どうして箒を入れてあげなかったのよ」
一夏「……悪い箒。ちょっと手を離せない用事があって」
箒「どんな用事だ?」メラメラ
一夏(やばい……静かに言ってるが後ろにある怒気は相当だ)
セシリア(あら、一夏さんの曲がった襟が……)
29: 以下、
シャル「ふええ……一夏がやっと開けてくれたよ……嫌われたのかと」グスン
一夏「ご、ごめんなシャル。決してそう言う訳じゃないんだ」
箒「用事で出れなかったにしても、あれほど怒鳴るのはおかしい」
一夏「それは…その、べ、勉強してたんだ!集中してて、手が離せなかったんだよ」
鈴「ふーん、それにしては机の上には服だけで教科書もペンも載っていないみたいだけど」
セシリア「……」キョロキョロ クンクン
セシリア「……!一夏さん、なにか隠していませんか?」
一夏「おい、二人とも勝手に入るなよ!か、隠してることなんて何もねえよ!」
鈴「あ!あんた、コーヒー作ろうとしてお湯こぼしてるじゃない。もしかして開けられなかったのはティータイムを邪魔されたくなかったからとか?」
一夏「ええと、まあ、うん、そんなところかな」
30: 以下、
箒「一夏」
一夏「箒!俺はなにも隠してな」ベチッ
箒「貴様のみっともない携帯電話も、それで少しは見栄えが良くなるだろう。私はもう休む」プイッ スタスタスタ
一夏「携帯電話のストラップか……(せっかく気を配ってくれたのに悪いことしちゃったな)」
鈴「あんた、ここちゃんと拭いときなさいよ」
セシリア「……これは……!」
一夏「分かったよ鈴、セシリアも何屈んでるんだよ?ほ、ほら、もう日も暮れてきたことだし、皆も部屋へ戻ろう。な!」
31: 以下、
こういうときのヒロインズの鬱陶しさは異常
千冬姉ぺろぺろ
http://www.amazon.co.jp/gp/product/B00JNN01RC/
34: 以下、
千冬さんは笑うと可愛いだろうな
そんときに可愛いって言ってやるとむすっとなって怒るだろうな
けどそこも可愛いって言ってやると頬真っ赤にしてうつむいちゃうんだろうな可愛い
33: 以下、
【廊下】
セシリア「あの、一夏さんの態度どう思います?」
鈴「さあー?なんか隠しているのは確かだけど、それ以上のことは分かんないわねー」
シャル「僕らに言えないことなのかな。あ、いや、でも本当になにも隠してないってことも……」
鈴「あんたまだあいつの言い分信じてるの?私はね、昔からの付き合いだからなんか隠してるっていうのは勘で分かるの」
鈴「ほら、一夏最近地味に成績上がってるじゃない?私の勘だと、努力してるところを見られたくなかったのよ」
鈴「だから机の上の教材を急いで片付けたってわけ」
セシリア「私は気付いたことがあります……」
鈴「へえ、何よ」
セシリア「それは……」
シャル「それは?」
セシリア「一夏さんがメイド服を着た織斑先生を脱がせてバスルームに隠しているということです!!」ババーン!
鈴シャル「…………………………………………………………………………………………………」ポカーン
35: 以下、
鈴「あ、あ、ああ、あんた、な、何を、何をいっていって言って、い、いるのよ?」
シャル「発想が突飛過ぎるよ!何?それが英国風ジョークってやつなの?」
セシリア「私もこの結論に達したときは信じられませんでしたが……手掛かりを検討するとこうなるんです」
セシリア「鈴さん、一夏さんの部屋に入ったとき、僅かに石鹸の匂いがしたでしょう」
鈴「あ、そう言えば」
セシリア「時間的にも私と別れてから箒さんの訪問を受けるまでは時間的余裕もありません。それに一夏さんの服もそのままで、髪も濡れていませんでしたしね」
シャル「じゃあ」
セシリア「はい。その人物が使ったバスルームが一夏さんの部屋のものか、どこか別の部屋のものかは分かりませんが、恐らく前者だと睨んでいます」
36: 以下、
鈴「誰かが一夏の部屋にいるってこと?よくそんなことに気付けたわね」
セシリア「実は私、学園に戻って一夏さんと別れるとき、襟の後ろが曲がっているのを見ているのですわ」
セシリア「自力では気付きにくいところなんですが、さっき部屋に戻ったときには直っていました。このことから誰かに直してもらったのではと疑ったのです」
箒「その人物がどうしてメイド服姿の織斑先生ということになるんだ?」
鈴「わあ!箒、あんた先に部屋に戻ったんじゃ!?」
箒「かっとして帰ってしまったが、やはり心配になってな……」
セシリア「箒さん……それは部屋の中に『メイド服があった証拠』と『織斑先生がいた証拠』が見つかっているからですわ」
セシリア「実は私、クローゼットの扉の隙間に、濡れたフリルが付いた布切れがはみ出ているのを見たのです」
箒「それがメイド服だというのか?まあ、セシリアはメイドと接していたのが日常だったろうから、見間違えることはなさそうだが」
セシリア「恐らく一夏さんは箒さんの急な来訪に慌てて、咄嗟にクローゼットの中に放り込んだのでしょうね」
37: 以下、
セシリア「そのメイド服は一夏さんのものではないでしょう」
セシリア「前の休日にやった掃除の際には見つかりませんでしたし、今日も一夏さんが買っているところは見ていませんから」
箒「あ、当たり前だ!こんなもの買って何に使うというんだ!」
セシリア「一夏さんの部屋が片付いていたのは鈴さんも見たことと思います。それで鈴さん、机の上に一夏さんの服が畳まれていたことはご存じでしたか?」
鈴「うん」
セシリア「そこにですね、恥ずかしながら一夏さんのトランクスと、あるものが覗いているのが見えたのですわ」
鈴「あ!」
箒シャル「?」
38: 以下、
セシリア「鈴さんはこの前私と一夏さんの部屋へ掃除に行ったことがありますからね」
セシリア「そのとき、私と鈴さんは……」カアッ
鈴「ああ……」カアッ
シャル「どうしたのさ?」
鈴「実はね、掃除中あいつのトランクスを見つけて固まっちゃってね……掃除前はそんなこと全然考えてなかったから」
セシリア「凍りついた私たちに気付くと、一夏さんは慌てて下着類を取り上げて自分で片付けてしまいました」
セシリア「掃除とは言え、私たちのような乙女は同年代の男子の下着を片付けるのは抵抗がありますからね。IS学園の生徒ならどなたも同じことでしょう」
シャル「そうか。セシリアは一夏の下着を整理できるのは、姉である織斑先生しかいないって言いたいんだね」
39: 以下、
箒「だが織斑先生がそんなことをするとはとても思えん……着替えも一夏本人が畳んでおいたのではないのか?」
セシリア「それがですね、一夏さんの部屋に落ちていたこの毛を見ていただいたら分かります」スッ
シャル「そんなに長いって訳じゃないけど、艶やかな黒髪だね……ってそれは!」
セシリア「はい。この長さ、色、艶、硬さ……すべてが学園中の憧れ、織斑千冬先生の毛髪だと物語っています」
セシリア「実は一夏さんの着替えの間にも、これと同じものが挟まっているのを発見したのですわ。さっき言ったあるものとはこのことです」
鈴「私も部屋に入ったけど、お湯がこぼれてるのに目を奪われてそこまで気付かなかったわよ……」
箒「信じ難いが……全く平仄がない話でもなさそうだな」
箒「思えば、今朝稽古に誘いに行ったときは整理の手が行き届いていなかったのに、さっきの一夏の部屋は妙に片付いていた……」
セシリア「そうそう、床に転がったポッドの近辺を眺めたところ、カップが二つ並べてあるのが確認できたのですわ」
40: 以下、
頭回りすぎだろセッシー…
41: 以下、
名探偵セッシー
42: 以下、
シャル「二人分ということは、ますます一夏以外に誰かがいたのは確実そうだね。で、それが織斑先生という証拠がある……」
セシリア「ええ、そうです。それと、私がバスルームに織斑先生を匿っていると最初に言いましたね」
鈴「そうよ、なんでそう思ったのよ……?」
セシリア「単純な話で、一番隠れやすいクローゼットの中に隠れるなら、そのためのスペースを作るために中のものを外に出さなればなりません」
セシリア「クローゼットは私たちが前に掃除したとき、一夏さんの私服や本をぎっしり詰め込みましたからね」
セシリア「しかし出されてはいませんでした。あの部屋で他に人を隠せるような場所を考えたら、バスルームくらいしかありませんから」
鈴「待って。メイド服があったってことはどういうこと?まさかあいつ、実の姉に着せようとしてたとか?」
箒「いや、一夏が買ったものではないと、さっきセシリアが話していただろう。ということは織斑先生が持ち込むか着込むかして……」
シャル「着てきたと仮定すると、それがクローゼットから見つかったということは……織斑先生は今裸ってこと!?」
43: 以下、
鈴「きっと一夏が欲情して脱がせたのよ……魅力的だしね、織斑先生……」
箒「そうか、話が見えたぞ……織斑先生へ襲いかかろうとしたところを私が訪問したから、あれほど必死に入室を拒んだわけか……はは」
シャル「なんか焦ってるみたいだったしね、あのときの一夏……そっか、そういう事情があったんだ……」グスッ
箒鈴シャル「うわあぁぁぁぁぁぁ…………」ドヨ?ン
セシリア「み、皆さんお気を確かに!織斑先生はメイド服を着ていたのだと思いますが、一夏さんが欲情して脱がせたのではないはずです!」
セシリア「先ほどお話した、クローゼットから覗いた布切れは濡れていたということを思い出してください!」
セシリア「恐らく脱がせたのはポッドのお湯がかかってしまったからに過ぎないでしょう。きっと火傷の処置に邪魔になっただけです!」
箒「そ、そうか……良かった」
シャル「それに、襲いかかろうとしてたならドアの鍵くらいかけておくはずだよね……」
44: 以下、
鈴「って、織斑先生が一夏の部屋にいるなら、こんなところで集まってる場合じゃ無いじゃん!さっさと引き返すわよ!」ダッ
箒「突飛過ぎる話にも思うが、私もこの目で確認しておきたい」ダッ
シャル「本当に織斑先生がいたらどうしよう……でもやっぱりじっとしてられないよ」ダッ
セシリア「皆さん、お待ちになって!」ダッ
ラウラ「どこへ行くお前たち」ヒョコ
箒「おお、ラウラか。それが……いや、お前には関係ない」
シャル「話すと長くなるもんね」
セシリア「失礼します、ラウラさん」
鈴「一夏も先生もどういうつもりよ!」
ダダダダダダダダダダ……
45: 以下、
ラウラ「おかしな連中ですね、教官」
千冬「うむ。あいつら、廊下を全力疾走しおって……罰は厳しく与えるからな」
ラウラ「では教官。失礼します。射撃の型のアドバイスを頂き、ありがとうございました」
ラウラ「それと……先ほどから顔色が優れないように見受けられましたが、いかがですか?」
千冬「……余計な気を回さんでいい。授業に備えてもう休め」
46: 以下、
【一夏の部屋】
一夏「千冬姉、はい服」
ドンドンドン!
箒「一夏、私たちだ。開けてくれ、いや開けろ!」
一夏「また来ただと?」ビクッ
千冬「一夏様?アイロン当てて乾かしてくれたんですね。ありがとうございます」
47: 以下、
一夏(千冬姉すまん、ちょっと静かにしててくれ)ヒソヒソ
一夏「なんだー箒、まだ何か用なのか?」
箒「一夏、おまえ、とんでもないことを隠していたな」
一夏「だから、何も隠してねえって……」
箒「あくまでシラを切り通すか」
鈴「ネタは上がってるのよ!織斑先生があんたの部屋にいるってこと!」
一夏「!!??な、何をい、言っているのかね!?」
セシリア「この反応……やっぱり……」
「!?」
シャル「一夏、きっと先生の身分を気遣って言えなかったんでしょ」
シャル「寮監でもある教師がコスプレして生徒の――しかも弟の部屋に押し掛けるなんて、大問題だもんね……」
「おい」
48: 以下、
一夏「…………」
一夏(万事休す、か)
箒「まさかそんな仲だったとはな」
鈴「先生がメイド服なんて信じられないわ……でも私たちも気付くべきだったわね」
シャル「うん。なかなか振り向いてくれないなって思っていたけど、パーフェクトな実姉がいたんだよね……敵いっこないよ」
「おいと言っているだろう」
セシリア「誰ですの、今取り込み中で……」クルッ
千冬「ほう……何の話をしていたんだ?」
箒「ええ!?い、いつからそこに居られたのですか……」
千冬「私が一夏の部屋にいると、凰がまくしたてていた頃だな」
鈴「き、聞かれていたんですね……」サァッ
49: 以下、
千冬「おまえたちは言うに事欠いて、私がメイド服だとか、一夏とみ、妙な関係にあると言っていたな……!」
千冬「廊下を走っていたと思えば、今度はそんなたわ言か!」
千冬「貴様らは一体どういうつもりだ?代表候補生の資格の取り消しもあり得るぞ!」
セシリア「申し訳ございません!」
千冬「まあいい。懲罰も兼ねて、貴様らには一足早い特別意識改善メニューを行う!」
千冬「明日からは地獄だぞ!覚悟しておけ」
全員「は、はい……」
千冬「いつまで溜まっている!!もう日暮れだ、さっさと部屋に戻れ!!」
全員「はいっ!!!!」
千冬「……ふう……うっ!」ガクッ
千冬「立ち眩みか……私も早く休まねばな。だがその前に」
51: 以下、
※ここから一夏さんの部屋にいる方の織斑先生は「ちふゆ」表記になりますわ
一夏「今の声は……何で千冬姉が二人いるんだ?」
一夏「……」チラッ
ちふゆ「どうかされましたか?」ニコッ
一夏「あ、いや……」
コンコン
千冬「おい」
一夏「織斑先生!何かご用でしょうか!?」
千冬「先ほどあいつらが下らん与太話をしていたが、おまえにも原因の一端はあるかも知れんと思ってな」
一夏「い、いえ!何も!」
52: 以下、
千冬「そうか……」
ドンッ!!
千冬「おまえが隠し事をしていることくらい見抜けんと思っているのか!?」
一夏「ひええ!」
一夏(今日は厄日すぎるぜ!俺なんかしたか?)
一夏「俺は……そう!実はあいつらに日頃のお礼をしようと思ってさ!稽古やら飯やらでお世話になってるし!」
千冬「礼だと?それがどうしてああいった話になるんだ!?」
一夏「それがさ、秘密であいつらの服を買ってやったんだ。それがたまたま渡す前に見つかっちゃってさ」
一夏「咄嗟に俺は『これは千冬姉のなんだ』って言ってしまったんだ!」
千冬「……」
一夏「でも、俺、女の子の服のことなんかよく知らなくってさ。適当に買った中にメイド服があって」
一夏「皆は別れたあとにそのことに気付いて、好き勝手空想ふくらましたみたいでさ」
53: 以下、
一夏「ほら、先生もあいつらが暴走したり思いこみが強いことは知ってるだろ?」
千冬「馬鹿者共が……」
一夏(我ながら苦しい言い訳だ)
一夏「せ、先生もこんな時間に生徒の部屋の前にいたら妙な噂が立っちゃうぜ?」
千冬「ぐっ……」
千冬「明日からおまえにも徹底した強化プランを施してやる!最近お前らの暴れっぷりは目に余る!」
千冬「ふん!」プイッ スタスタスタ
54: 以下、
一夏「ふうぅぅ????何とか誤魔化せた」
ちふゆ「怖かったですね、今の人」
一夏(あ、そうだ。明日の授業前に箒たちと言い訳を擦り合わせないと)
ちふゆ「でもあんなに言ってくるなんてひどくないですか?一夏様は私を庇おうとしてくれただけですのに」
一夏「なあ、君は誰なんだ?っていうか何なんだ?どうして俺の姉とそっくりなんだ?」
ちふゆ「え?わたしが千冬ですよ」ムッ
一夏「……千冬姉はさっきドアの前にいた人だ!君じゃない!」
ちふゆ「!」ビクッ
ちふゆ「き、君じゃない……………うっ……うぅぅ」ポロポロ
55: 以下、
一夏「す、すまん。泣かせるつもりはなかったんだ」
一夏「ただ、君が自分のことを千冬なんていうからさ……ごめんよ」
ちふゆ「……嫌じゃないんですか」
一夏「え?」
ちふゆ「厳しいだけの姉なんてうっとおしいだけじゃないですか?一夏様は辛くないんですか?」
ちふゆ「もっと包容力があって、家庭的で、気軽に悩みを打ち明けられる優しい姉の方がいいでしょう?」
一夏「……そんな話はしてないだろ」
ちふゆ「さっきだってまず弟の話を聞いてやるべきだったんじゃないんですか?それをただ怒鳴りつけるだけなんて」
一夏「千冬姉はあれでいいんだよ!」
56: 以下、
ちふゆ「………!」ムスッ
ちふゆ「分かりました。でもあの人、明日からは一層一夏様に厳しく当たると思いますわ。慈悲なんてありませんよ」
一夏(千冬姉が来てからちょっと変わったなこの子……)
一夏「……で、君はこれからどうするんだ?もう外出はできないし、明日の朝早くに抜け出してもらわないと俺も困るぞ」
ちふゆ「そうですね。じゃあ、もう休みましょう。空いているベッドを使わせていただきます」
ちふゆ「おやすみなさいませ」モゾモゾ
一夏「おい、勝手に……その格好のままでいいのかよ?」
ちふゆ「……気に入って貰えると思ってこの服を着けてきたんですけどね。まあ、私も明日からは少し変わると思います」
一夏(明日は変わる……?)
ちふゆ「一夏様もお疲れでしょう。早く休みましょうよ」ニコッ
一夏「疲れたのは君のせいだよ!」
57: 以下、
【職員室】
千冬「あいつらめ、専用機持ちは他の生徒の規範とならねばならないのに……鍛え直してやるからな」
千冬「しかし校則も改造制服を許すなど甘さが目立つ。小娘どもには必要のない処置だ。改正も考えなければ」
山田「皆さん元気が良すぎるところがありますからね」
千冬(しかし、奴らめ……私がメイド服だと?)
千冬(ありえん話だ!!しかし、今日考えていたことと妙に照応していたから焦ってしまった)
山田「織斑先生、気難しい顔をされてますが、あまり考え込まない方が……」
千冬「いや、お前が気にすることじゃない」
千冬「しかし、先ほどからどうも気分が優れん。コーヒーでも飲もう」
58: 以下、
千冬(ドリッパーにフィルターを張って……ポッドのお湯を小口の容器に入れ替えて)
千冬(……一夏はさほど悪い訳ではなかったのに、さっきは少々強く言いすぎたな)
千冬(そういえば、あいつには今まで厳しくしてばかりだったな。私は父親のような真似ばかり)トポトポ
千冬(……そもそも『母親』とはなんだ?私はうまく母代わりになれたのか?)トポトポトポトポ ズルッ
ガチャ バシャシャア!!
千冬「熱っ!!」
山田「大丈夫ですか!?」
千冬「くっ……すまない、冷やしてくる」
千冬(くそっ……何をやっているんだ!こんな下らんミスを……)
59: 以下、
【箒の部屋】
箒「ふう、とんでもない目にあった」
箒「結局セシリアの言うことは間違っていたのだろうが……なら部屋の前に来たときの一夏の反応は一体何だったのだろう」
箒「まあいい。考えるだけ無駄だ」
箒(それにしても、今朝一夏の部屋が散らかっていたとあいつらにも話したが、何も一夏が整頓を忘れていたのは今日だけのことではない)
箒(数日前にセシリアと鈴が掃除に押し掛けたのも、散らかりようが目に余ったからだろう)
箒(あいつは片付けにはマメなやつなのに……どうしてだ?)
箒(積極的に稽古に打ち込むようにもなったのも妙だ。一夏は何のつもりなんだ……)
箒(もういいや、寝てしまおう)
60: 以下、
【千冬の部屋】
千冬「ごほっごほっ。なんだか妙に体がだるい」
千冬(しかし、最近一夏の顔がよく頭に浮かんでくるようになった)
千冬(今一度考え直してみると、私は奴にどれほどのことをしてやれただろう)
千冬(仕事で飛び回ったり、叱りつけたり……あいつは、こんな姉を持って窮屈な思いをしていないか?)
千冬(そういえば前に実家に戻ったとき、あいつは部屋に籠ったり、用も伝えず出かけたりでろくに話もできていない)
千冬(自立の兆しというのなら構わん。しかし、もう二度とあいつが重い荷物を持ってくれた日々は帰ってこないんだな……)
千冬(もし弟への接し方が間違っていたとしたら、挽回できるチャンスはないのか……い、いや、私はこれで合っているはずだ!)
千冬(あいつはここの生徒で、私は教師だ。自分の弟だからといって甘くしていては信用に関わる!)
千冬(そうだ……間違ってはいない……そのはずだ)
61: 以下、
?次の日?
千冬「たるんでいるぞ!もう一周だ!」
セシリア「ひい!」
箒(千冬さん、何か焦っているような……)
ラウラ(嫁は私たちより多く走らされてるんだ……このくらい)
シャル「はあ、はあ……先生、何か一層厳しさが増した気がするね……」
鈴「昨日のことを根に持ってるんでしょ……ぜえぜえ……」
箒「今朝、昨日の出来事の口裏を合わせるように、一夏が言ってきたが、はぁ、真相は、未だに、はぁ、藪の中だ……」
千冬「こらそこ、喋る気力がまだ残っているようだな?三周追加だ!……ん?」
一夏「…………………」
62: 以下、
千冬「こらっ!!何をへたり込んでいる!まだまだ序の口だぞ!」
一夏「……もう三十周は走ったぜ?俺だけ特にきつくないか?」
千冬「何を言っている。お前は男で基礎体力が違うから当然だろう」
一夏「……だからって女子達の二倍はやり過ぎじゃ」
バチン!!
一夏「ってえ……いきなり平手飛ばすなよ!」
千冬「言い訳はいらん!サボった罰としてプラス五周だ。終わったら素振り四百本だからな」
一夏「……ぐ」
千冬「返事をしろっ!!」
一夏「はい!」
千冬「……まったく……うっ!」ガクッ
千冬(また立ち眩みか……昨日から全く調子が戻らん……一体どうしたのだ?)
千冬(しかし、奴らの前で情けないところを見せられん。隠し通さねば)
63: 以下、
女生徒「うわぁ……織斑君たち超スパルタ教育受けてるね」
女生徒「近いうちに私たちも似たようなことやらされるって聞いたけど……」
女生徒「えええ??!耐えられないよ、あんなの……織斑先生急に厳しくなったなあ」
?三時間後?
【道場】
一夏「ぜぇっ……ぜぇ……う、腕が……」ドサァ
一夏「ぜえぇ…はあ…はあ…くそ、転がってたら千冬姉の怒鳴り声が……」
一夏「怒鳴り声が………聞こえない?」
一夏(おかしいな……千冬姉どうしたんだ)チラッ
一夏「あっ!!」
64: 以下、
千冬「はぁ……はぁ……くっ……うぅぅ……」フルフル
一夏(何だ?あんな苦しそうな顔して……!?)ダッ
一夏「だ、大丈夫ですか、織斑先生?」
千冬「はぁ……し、心配いらんっ……それよりもうメニューは片付けたのか?」
一夏「あと少しだったけど……」
千冬「今日のところはもう勘弁してやる。げほっ、片づけをしてやかに部屋に戻れ……げほっ」
一夏「わかりました……でも、本当に大丈夫かよ?顔色も悪いみたいだけど……」
千冬「部屋に戻れと言ったはずだ!!」
一夏「は、はいっ!!じゃあ失礼します」」
66: 以下、
【廊下】
一夏「はあ……疲れた。もうこんな時間か」
のほほんさん「おりむー!大丈夫!?」
一夏「あ、のほほんさん。かろうじて歩ける体力は残ってるよ」
のほほんさん「先生にビンタ貰ってたでしょ?痛くなかった?」
一夏「まあ、痛かったけど平気だよ。あんなの」
のほほんさん「怖くなったねえー、織斑先生。前人形取られた子がいたんだけど、返して下さいとは言えない雰囲気だよ」
一夏「人形?」
のほほんさん「そうだよー。なんでもなりたかった自分に出会って、理想の自分に変われるんだって」
一夏「……え?」
――――――
―――

67: 以下、
ブンッ! ブンッ!
千冬(私も素振りぐらいせねばな。指導者はもっとも厳しい試練を自分に与えなければならない)
千冬(気分が優れんが、言い訳にしていたら人は堕ちていく一方だ。付きまとっていた邪念を振り払う良い機会でもある)
千冬(しかし……)ガクッ 
千冬「……ぐっ!?げほっげほっ!……はぁ」
千冬「はぁ……どうしてだ?なぜこんなに疲労が溜まっている!?体の調子には気を使っているのに……!?」
千冬(……頭が……体調もさっきから戻らん……)ガクッ
千冬(意識がっ……だめだっ……だ、誰か……!!)ドサッ
68: 以下、
「千冬姉っっ!!」
一夏「はあはあ、無事か!?」
千冬「ぅ…………」フルフル
一夏「白目剥いちまってる……!早く医務室に…!」
一夏「普通に担いでたら間に合わない!!白式!出番だぞっ!」パアァァァ
千冬「はぁ……はぁ……」
一夏「千冬姉……すぐだから、しっかりしろ!」
69: 以下、
【医務室】
医者「ふうー」
一夏「どうなんですか?織斑先生の容態は?」
医者「丸一日は安静にしている必要があります。根本的な原因はまだ分かっていませが、過労が祟ったのだろうと推測しています」
一夏「そうなんですか」
医者「明らかに無理をし過ぎていますよ……織斑君、いいですか?」
一夏「はい。何でしょう」
70: 以下、
医者「我々医者は患者への診断と適切な処置、復帰後の注意の勧告などを任されています」
医者「しかし、根本的な原因――『なぜその症状が出たのか』を追求することは、再発防止の観点から見て必要なことです」
医者「これは我々だけではどうしてもカバーしきれません。時には患者本人が原因に気付いていないこともありますしね」
一夏「……はい」
医者「原因が過労だとしたら、職場が特に厳しい環境でない場合、自分で自分を追い込んでしまっていると考えられるのです」
71: 以下、
一夏「自分の意思で、ですか?それなら、医者に聞かれても強がって『特に無理はしていない』と答えることも……」
医者「そう、だから周りの人間の助けが必要とされるのです。目を配り、気遣い、ストップをかけてあげられる人が」
一夏「俺は織斑先生の弟です。真っ先に気付いてあげなければならない立場ですね……」
医者「失神は原因がわからないことも多いんですよ。もし、織斑君が協力してくれるなら助かります」ニコッ
一夏「そうだ、俺が……」グッ
72: 以下、
【病室前廊下】
ワイワイ ガヤガヤ
鷹月「織斑先生が倒れたんだって!」
のほほんさん「あわわわ……先生どうしちゃったの……」
セシリア「今日はすぐ休もうと思いましたのに……」
鈴「こんなことが起こっちゃったら心配になっちゃうじゃない」
箒(一夏が医務室へ運んでいるところを見たが……)
シャル「何か変だったもんね。結構寛容なところもあったのに、今日の特訓はそれが感じられなかったもん」
ラウラ「シャルロット……教官はどうなってしまわれたのだ……」フクノスソ クイッ
シャル「一夏も付いてるし、心配はいらないはずだよ……きっと」
74: 以下、
――――――
―――

ちふゆ「遅いなあ……さっき外が騒がしかったけど、何かあったのかなあ」ソワソワ
ちふゆ「なぜか『供給』が止まっちゃったから、早めに勝負掛けないと……」
ちふゆ「もしかして、あれが本体から離れちゃったのかな?」
ガチャ
ちふゆ「あ、おかえり!」
75: 以下、
一夏「……やっぱり、まだいるのか」
一夏(結局今日の朝帰らなかったし……)
ちふゆ「昨日言った通り、大分あの人にしごかれたみたいね」
一夏(しかも今回はエプロン姿か。話し方もちょっと違う……)
ちふゆ「すごく疲れてるみたい。お姉ちゃんがマッサージしてあげる。シャワー浴びたら横になってね。気持ちいいわよ?」
一夏「……なあ」
ちふゆ「何よ?」
一夏「……君は……千冬姉の理想の姿なのか?」
ちふゆ「……何を言ってるの?」
76: 以下、
一夏「この部屋に戻る前にクラスの子から聞いたんだ。千冬姉が取り上げた人形が妙な力を持ってるってこと」
一夏「確か――なりたかった自分に会ったあと、自分の性格が理想通りのものに変わるんだってな」
ちふゆ「ど、どうしたのよ?」
一夏「本題はここからだ。もしかしたら、君は千冬姉に成り替わるつもりなんじゃないか?」
ちふゆ「……!」
一夏「ドッペルゲンガーの話を思い出したんだ。それは自分と同じ姿をしてて、出現するのは死期が近いサインだって話もある」
一夏「逆の考え方をすると、ドッペルが生命力を奪うから、本物の方は間もなく死んでしまうのかも知れないと思ってさ」
ちふゆ「疲れてるんじゃない?さ、お風呂入ろ」
一夏「どうなんだ」
ちふゆ「………」
77: 以下、
一夏「返事をしてくれ!!」
ちふゆ「……そうよ。どうしてか分からないけど、全部気付かれてしまったみたいね。私が偽物に会う前にばれちゃったか」
一夏「やっぱりか。でも、何で君は俺に会いに来たんだ?千冬姉の方でなくて」
ちふゆ「だって、一夏は偽物の欲求の中心だったんだもん」
一夏「え?」
ちふゆ「偽物ってば、最初は一夏の気を惹きたい気持ちが強かったんだけどね」
ちふゆ「だんだんと気を惹くだけじゃなく、優しい母性を発揮して、一夏を世話してあげたい気持ちに成長してきたの」
一夏「(偽物ってのは千冬姉のことか)……本当にそんなことを?」
ちふゆ「うん。ふとしたきっかけで自分の今までのやり方に疑問を感じてね」
ちふゆ「でもそんな気持ちがあることを認めたくないから、押し込めるように更に厳しい自分を演じて、これが正解だって自分に言い聞かせてた訳」
ちふゆ「そんなことしても気持ちは消えないのに。それどころか却って大きく膨れ上がっちゃうのよ。お馬鹿さんね」
78: 以下、
一夏「……人の姉をそんな風に言わないでくれるか?」
ちふゆ「あら、自分の内なる声に向き合う勇気が無かったのは事実じゃない。なんでそんな庇おうとするの?一夏も被害にあったんじゃないの?」
ちふゆ「それに私と偽物と、どっちが自分の正直な気持ちで、どっちが嘘の気持ちで動いてると思う?」
ちふゆ「一夏ももう分かってるんでしょ?間違いなく私の方が本心で動いてるじゃない。偽物は嘘、嘘、嘘まみれよ」
一夏「……」
ちふゆ「ほら、言い返せないんでしょ……ちょっと頬見せてね」スッ
一夏「っ!」ドキッ
79: 以下、
ちふゆ「赤い腫れが残ってる……偽物が叩いたのね。かわいそうに」
一夏「へ、平気だよこれくらい……」
ちふゆ「でも、まだ熱持ってるよ」レロッ
一夏「な、何するんだよ!」ドキドキ
ちふゆ「くすくす。冷ましてあげようとして舐めてあげたのよ」
ちふゆ「ねえ、あんなの見限って私を認めてよ。そしたら一夏ももっと楽しくなるよ!」
ちふゆ「一夏に認められるお姉さんにならなきゃ、私も偽物と替われないのよ。もう生命力は充分取れたし、他の準備は全部終わってるの」
81: 以下、
一夏「残念だがそれはできない」
ちふゆ「も??一夏も結構ドキドキしてた癖に。クラスメイトにもあんな気持ちになったことはないんじゃない?」
一夏「!」
ちふゆ「あら、もしかして図星?」
一夏「で、でもな、見ろ!こっちはもう君を生み出した人形を千冬姉から離してるんだよ!」バッ
ちふゆ「あっ!」
一夏「部屋に帰る途中にクラスメイトから人形の話を聞いて、急いで千冬姉のいたところに戻ったんだ」
一夏「そしたら地面に突っ伏してて……目も虚ろで呼吸も荒かったよ」
ちふゆ「活力無いときに無理するからよ……一夏もなんでそんな馬鹿にそこまでするの……」
一夏「急いで医務室に連れて行ったんだ。途中で生徒に見つかって大騒ぎになったよ。職員室も慌ただしくなって、その隙に鞄から人形を回収したってわけだ」
ちふゆ「そんな……供給が止まったのはそういうわけだったのね……」
82: 以下、
一夏「驚いたよ。こんなことが起こるんだな」
ちふゆ「わ、私なんでもするよ?一夏を喜ばせるためなら本当になんだってできるのよ」
ちふゆ「家事もするし、マッサージだってしてあげちゃうよ。無事に入れ替われたら偽物よりずっといい生活を約束するわ!」
一夏「いいんだよ、そういうのは!」
ちふゆ「もう……!」
一夏「これなんだろう。君を作ったのは」スッ
ちふゆ「や、止めてよ」ビクッ
一夏「え、ただ人形を差し出しただけなんだけど」
一夏(まさかこれに触れたら消えるのか?)
83: 以下、
ちふゆ「うう」
一夏「……おい、これに触れたら消えるからってそんな後ずさりしなくていいよ」
ちふゆ「な!」ビクッ
一夏「やっぱりか」
一夏「……安心してくれ、これを君に押しつけるつもりはないよ」
ちふゆ「え、じゃあ、私を姉と認めてくれるの!?」
一夏「そういう訳にはいかない。俺はあくまで千冬姉を救いたいだけなんだ」
一夏「人形をとったときはこれで君が消えてくれればと思っていたよ。でも、君の成り立ちが分かったらそういう訳にはいかなくなった」
一夏「君は俺が求める姉になりたかったらしいな。そんなことはもうしなくていいってことを分かってもらう」
84: 以下、
ちふゆ「……一夏は偽物なんか嫌でしょ」
一夏「偽物なんかじゃねえよ!」
ちふゆ「!」
一夏「君から見れば偽物かもしれないけどさ、俺にとってはたった一人の姉なんだ!」
一夏「そりゃ不満もあるし、納得いかないことだってあるよ。でも良いとこも悪いところも全部ひっくるめてこそ千冬姉なんだよ、それが俺が認める姉の姿なんだよ」
一夏「悩んだり、自分の気持ちに素直になれなかったりで苦しむこともあるさ。でも、俺に弱いところを見せまいと、押し隠してしまうんだよ」
一夏「君はただ俺を気持ちよくさせようとしてるだけだ!上手く言えないけど、話をしたり、苦労を分けあったりするのが……」
一夏「……!(俺も最近ほとんど千冬姉とまともな会話をしていない……)」
ちふゆ「そんな……一夏に好かれたくて喜ばせようとしたのに、その必要はなかったわけ……」
ちふゆ「じゃ、じゃあ私は何のために……?」
85: 以下、
一夏「……」
一夏「だから言っただろ、全部ひっくるめて千冬姉だって」
ちふゆ「え……」
一夏「俺は、まあ色々苦労させられたけど、君に会えて良かったと思ってる」
ちふゆ「私に会えて良かった……?」
一夏「ありがとう。君は千冬姉がそんな気持ちを持ってたことを気付かせてくれた。絶対に忘れないよ」
ちふゆ「ほ、ホントに?」
一夏「うん。これから何をするべきか――それも見えてきたんだ。君のおかげだ」
ちふゆ「ううっ……もう、ずるいなあ。一夏を喜ばせるために来たのに私の方が……」
一夏「もう君が無理をする必要はない。安心して消えてくれ」
ちふゆ「……」
86: 以下、
ちふゆ「……本当に、一夏が求めてたのは元のまんまの千冬姉ってわけね」
一夏「ああ。はっきり分かったよ」
ちふゆ「私が消えちゃっても……もう、いいのよね」
一夏「もし、君が消えたとして千冬姉の元気はすぐに戻るのかな」
ちふゆ「回復は多分、疲労していったペースよりは遅くなるわ。二、三日くらいかな」
一夏「そうか……」
ちふゆ「最後に二つ、お願いしていいかな?」
一夏「うん、何でも言ってくれ」
ちふゆ「偽物……じゃなかった、お姉さんのこと、大切にしてあげて。それが私を生かすことにもなるから……」
一夏「分かった。もう一つは?」
87: 以下、
ちふゆ「その……きつく、壊れちゃうほどきつく抱きしめて欲しいの」
一夏「!わ、分かったよ。最後だもんな」ギュウッ
ちふゆ「心臓の動きも分かるよ……」
ちふゆ「一夏、ありがとう……人形、出して」
一夏「おう」
ちふゆ「私も千冬の一部。また、すぐ会えるね」スッ
――――――
―――

88: 以下、
一夏「消えちまったか……あ、そうだ、ちょっとだけ」ピッ
TVの電源を付けると、少年が母親の買い物袋を持とうとするシーンが映し出される
一夏「このドラマをたまたま見たのがきっかけで、勉強と稽古に身を入れるようになったんだよな」
一夏「もう最終回なんだな……見たかったけど、今は無理だな」プツン
一夏「さて、と」
90: 以下、
【医務室】
千冬「ふー…はぁ……はぁ……」
千冬「うん……誰かそこにいるのか……」
一夏「織斑先生。意識はまだ戻りきってはいないみたいですね」
千冬「何だ……?私はなんで医務室にいるんだ?」
一夏「道場で私の稽古が終わったあとに倒れてしまったんですよ。それで急いでここに運んだんです」
千冬(この男、一夏か?何故かいつもと違った感じだ……)
91: 以下、
やだなにこの超大作
92: 以下、
一夏「一時はどうなることかと思いましたよ」
千冬(まだクラクラする……意識が混濁して状況が把握しにくい……)
一夏「どうかされましたか」ニコッ
千冬(夢か……あいつにはこんなに余裕のある雰囲気はない)
千冬「何しに来た?」
一夏「心配になったので、織斑先生の様子を見に来たんです。医者の許可は得ていますよ」
千冬(夢ならどうせあのことも……)
千冬「おい」
一夏「なんでしょう?」
93: 以下、
千冬「少し話を聞いてくれないか。一夏には打ち明けにくいことなんだが、夢の中なら何を言ってもいいだろう」
一夏「………」
一夏「構いませんよ。どうぞ」
千冬「それが、最近ふとしたきっかけから弟に対する接し方に疑問を覚えるようになってな」
一夏「はい」
千冬「親となって育ててきた訳だが、私は未だに自分に母性というものがあるのかよく分からない」
千冬「もしかしたら私の接し方は間違っていたのかも知れない。他の子供が当然受け取っている何かをおまえに与えられなかったのかも……」
千冬「そう考えたとき、不安と後悔の念が湧いてきて、どうしようもなく混乱してしまうんだ……その後もその思いはずっとついて回っている。今もな」
一夏「……はい」
千冬「何とかしようと焦っていたんだが、おまえは同年代と仲良くするし、どんどん私の元から離れていくだろう?」
千冬「そういうとき、少しは戻ってきて欲しい気持になってしまうんだ……」
94: 以下、
千冬「悩み、焦り、虚しい想像に逃げ……そんな現状に疲れてくると、私はよく昔のことを思い返すんだ」
千冬「……ごほっ、ごほっ……」
一夏「大丈夫ですか?ゆっくりでいいですよ」
千冬「一夏と買い物に行って服を見つくろってやったり、遊んでやったりな……心配してくれているのか?ふふ、ありがとう。」
千冬「しかし、もう二度とあの日は帰ってこない。そのことに一抹の寂しさを感じるんだ」
千冬「一夏、覚えているか。買い物の帰り、おまえが私から重い方の袋を取ってふらふらになってたことを」
千冬「すぐに私が持ち直そうとも思ったんだが、真剣な表情からおまえなりに私を気遣ってくれていることが分かってな」
千冬「結局そのまま後ろからハラハラしながら見守っていたよ。そのときにとても暖かい気持ちになったことが、鮮明に思い出されてな……」
千冬「……う……うううぅぅ……ぐすっ……くそっ、と、止まれ……」ポロポロ
一夏「千冬姉!」
95: 以下、
千冬「うう……ぐすっ……涙が…ごほっごほっ……止まらん……」
一夏「無理しちゃ駄目だ!体も弱ってるのに!」
千冬「ぐすっ……はあ、はあ……はっ……どうした……演技はもういいのか?」
一夏「あっ」
千冬「最初見たときは妙に堂々として見えたのにな。今は口調も戻っているぞ?何のつもりだったんだ」
一夏「……千冬姉にさ、しっかりしたところを見せたいと思ってたんだ」
一夏「千冬姉を安心させて、俺を頼ってくれるようにさ。そのために前からいろいろ勉強も稽古もしてたんだぜ?」
一夏「ま、そればっかりやってたせいで千冬姉との会話が減ったり、片付けに気が回らなくなったりしたけどさ」
千冬「そうなのか……」
96: 以下、
一夏「なあ、千冬姉の育て方は間違ってないよ。俺を強く育ててくれたおかげで、困っている人を助けられた」
一夏「今だって苦しんでいる千冬姉を見て、何ができるか分からないけど必死に力になりたいと思ってる」
一夏「なあ、頼むから足りないところばかり見ないでくれ!今あるものを見てくれよ!」
千冬「……!今、あるもの……」
千冬(一夏が目の前にいてくれる…………)
千冬「はは、どうしてそのことに考えが至らなかったんだろうな」
千冬「ただな、かなり恵まれた立場にいるというのに、こういうことは誰にも言えなかったんだ」
千冬「いや、言える相手がいなかったと言うべきか。山田先生も束もこんなことを相談されては困ってしまうだろう」
一夏「……」
97: 以下、
千冬「ふう、泣いたり驚いたりしたせいで、意識もはっきりしてきた。どうやらこれは夢ではないようだな」
千冬「私は今まで隠してきた気持ちを、洗いざらいおまえに話してしまったわけか」
千冬「ふふ、今まで頑なに悟らせまいとしていたのにな。何をやっていたんだろうな、私は」
千冬「だが……気が楽になった」
一夏「うん。なあ、千冬姉」ギュッ
千冬「どうした……っておい、急に手を握るんじゃ」
一夏「千冬姉はさ、色々苦労して俺を育ててくれたんよな」
一夏「俺は千冬姉が親代わりだったけど、千冬姉には親となってくれる人間は誰もいなかったんだろ」
一夏「今回だってさ、信じられる指針を持ってなかったから、誰にも相談できなかったからこんなことになってしまったと思うんだ」
千冬「……確かにな」
98: 以下、
一夏「だからさ、これからは俺を頼ってくれよ!なんでも話してみてくれ!」
千冬「!」
一夏「頼もしく見えるよう取り繕った演技もすぐぼろが出ちまったけど、千冬姉を支えたいっていう気持ちは本物だからさ!」
千冬「………」キュンッ
一夏「ごめん、話を聞くよう頼まれてたのに、こっちが一気にまくしたてちゃって」
千冬「……私はさっきおまえが離れていくことに焦りを感じていたといったな」
千冬「だが、違っていた。おまえはすぐそばにいてくれていたんだな……こ、こんな近くに」
千冬「今だって厳しい特訓のあとで疲れているのに、倒れた私を介抱し、また様子を見に来てくれた……ありがとう」
一夏(そういえばここ数日は精神的にも肉体的にもかなり疲れたな……)
99: 以下、
千冬「ふう……今はとても気が楽だ。ばれたら死んでしまうくらいの勢いだったのに不思議なものだ」
一夏「よくがんばったよ。もう苦しまなくていいんだよ」ナデナデ
千冬「……うん」
一夏「これからはお父さんになんでも言いなさい」
千冬「ふっ。何だその台詞は」
一夏「千冬姉が俺の母親代わりだっただろ。だから俺が千冬姉の父親代わりになれたらなって」
一夏「今まで育ててきてありがとうな。これからはずっとずっと俺が支えていくよ!」
千冬「!」ブワッ
100: 以下、
一夏「千冬姉!?」
千冬「ううっ……あまり女を泣かせるな馬鹿者……そんなことまで言われたらっ……!」
一夏「え、なんか泣かせるようなこと言ったか?とにかく、ごめん」
千冬「ぐすっ……まったくおまえというやつは………ふふっ」
――――――――――――
―――

102: 以下、
一夏「そろそろ俺は部屋に戻るよ。千冬姉も明日の授業は休むんだろ?」
千冬「いや、学校にこれ以上迷惑を掛けるわけにはいかん。それに話したら元気が戻ったしな」
千冬「おまえの方は大丈夫なのか?無理をし過ぎだ、大分気だるそうに見えるぞ」
千冬「もし辛いなら授業は出なくてもいいぞ……無理をさせたのは私の責任だから、教員には連絡を入れといてやる。すまなかったな」
一夏「いや、しなくていいよ。でも、かなり疲れてるのは事実だからすぐ寝るよ」
千冬「分かった。手間を掛けたな」
一夏「じゃあ行くな」
千冬「……最後に、その、なんだ。もう一度だけ手を握ってくれないか」
103: 以下、
一夏「ん?良いけど」ギュ
千冬「大きな手だな(あの日の小さな手が今はこんなに……)」
一夏「ああ。千冬姉、おやすみ!」
バタン
千冬「あいつもああ見えて成長していたんだな」
千冬(なんだか、今になって凄く胸のあたりが暖かくなってきた)
千冬(今日の件だけで一夏に大きな迷惑を掛けてしまった。奴はああ言いはしたがまだ十六にもなっていない)
千冬(やはり私が見守ってやらねばな。『支えていく』と言われたが、そういう訳には……)
千冬「ふう、完全回復するためにもう一寝入りするか」
千冬(あ……思いだした。この胸の感覚は、あの日一夏が重い荷物を持ったときの……)
105: 以下、
【一夏の部屋】
一夏「ごほっごほっ……ふう……っと」クラッ
一夏「眩暈か。今になって疲労がどっと来たな」
一夏「さっさとシャワー浴びて休むか。……?」
一夏「でもなんか忘れているような……だめだ、思いだせない。頭が休みたがってる……」
一夏(それにしても、千冬姉のドッペルは体は同じだけあって色っぽかったなあ)
一夏(い……いやいや。何を考えてるんだ俺は……そんなの考えちゃドッペルの方にも悪いだろ)
人形「……………」
106: 以下、
?次の日?
鈴「ラスト一発、行きます!」ドゴォォォ!
千冬「うむ。すっかり自信は取り戻したようだな」
鈴「はい。皆と合同訓練すると自分の欠点ばかり目に付いちゃって。自分は駄目なんだなと思っていたんですが」
鈴「そのとき先生が『まず得意なことから始めろ』と言ってくれて……自信を取り戻すきっかけをくれて、ありがとうございます」
千冬「そうだ。鳳、おまえにしかできないこともある。そのことを忘れるな」
107: 以下、
セシリア「先生、どこか変わりましたわね」ヒソヒソ
箒「ああ、少し寛容になったというか、余裕が出てきたというか」
シャル「僕も『今までのなかで最高の動きを思い出せ、今はそれを超えられる』って言われて、励まされたよ」
ラウラ「おまえたちの不甲斐ないところをみて当初の訓練計画は無理だと判断され、長所を伸ばす方針に変えられたのだろう」
千冬「こら、そこ。時間を無駄にするな。さっさと訓練に戻れ」
一同「はい!」
千冬「まったく。……ん?」
108: 以下、
一夏「はあぁぁぁ!」ズパァッ!!
一夏「ふうー」
千冬「一夏。太刀筋のキレが良くなっているな」
一夏「そうですね。地道に勉強と訓練重ねてきましたからね」
千冬「しかし一夏、体の方は大丈夫なのか?一昨日は大分無理をさせてしまっただろう」
一夏「平気だって言えば嘘になりますね。ちょっと疲労が抜けきっていなくて。それより、その……」
千冬「なんだ」
一夏「学校では『織斑』でお願いします……」
千冬「!そうだったな。なぜだろうな。いつもは間違えんのに」
109: 以下、
一夏「まだ回復しきっていないのは先生もってことですよ」
千冬「むむ」
一夏「……っと」クラッ
千冬「おい、立ち眩みを起こしているじゃないか。もうストレッチをして上がれ」
一夏「すみません。そうさせてもらいます。ごほっ」
生徒A「ねえ、布仏さん見て。先生が優しくなってるのよ」
のほほんさん「うん。昨日の鬼教官っぷりが嘘みたいだね??」
生徒A「やっぱり、あの人形は効果あったのかしら。本心は優しい先生でいたかったってことなのかな?」
のほほんさん「でも、厳しくなったときは『あれが織斑先生の真の姿なの!?』って驚いてたね?」
生徒A「うん。変わったのは事実だけど、厳しくなったり優しくなったり……よく分からないわ」
111: 以下、
のほほんさん「人形さん、返してもらいにいかないの?」
生徒A「行くわよ、結局言われた通りの効果があるのかまだ疑問だけどね」
セシリア「たまたま器具を取りに来たら……聞いてしまいましたわ、今の話……」
セシリア(人形?それを持っていたら本心が出るんですの?先日のメイド服先生事件と何か関係が?)
112: 以下、
一夏「先生。ここにある袋に入ったダンベル、片付けていきますね」
千冬「待て、ISは体に負担がかかるかもしれんからな。使ってはいかんぞ」
一夏「そっか……」
千冬「だから私も持とう。五つあるな、私が三つ引き受ける」グイ
一夏「あ、重いですよ。病み上がりなんだから無茶は…」
千冬「気にするな。だが、結構な重さだな……っと」フラ……
一夏「おっと」ポス
千冬「す、すまない」
113: 以下、
一夏「俺が三つ持ったほうがいいでしょう」
千冬「それではおまえが……」
一夏「……じゃあ、こうしましょう。二人並んで、外側の手に二つずつ持って」
千冬「なるほど。残った三つをお互いの内側の手で――」
一夏千冬「「一緒に持ち合う」」
114: 以下、
一夏「あはは!それで行きましょう」
千冬「ふふ。そうだな、名案だ」
千冬「……こうすれば良かったんだな」
一夏「はい、こうすれば良かったんですよ」
千冬「……ふふ」
一夏(凄く嬉しそうな顔をしてるなあ)
一夏(まったく、そんな顔見せられたら、こっちもいい気分になっちまうなあ)
夜の気配が迫る学園の一角に、互いを支え合う姉弟の笑みが咲いた
?終わり?
115: 以下、

面白かった
116: 以下、
モヤモヤする

117: 以下、
この一件のあと、一夏は学園内で倒れ、医務室に運ばれる。
しかしベッドに寝ているはずの一夏が姉の部屋に隠れるという事件が起こる。
そのとき、金髪の英国少女が鋭い観察眼と推理力を以て、騒動を収めることになるのだが……
それはまた、別のお話。
119: 以下、
見てくれた人、ありがとう
たまにはこんな千冬スレも良いんじゃないかと思った
126: 以下、
むちゃくちゃによかったおつ!!
IS9 (オーバーラップ文庫)
オーバーラップ 弓弦イズル, CHOCO 2014/4/24
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