海未「もうちょっと足を横に向けてください」真姫「嫌よ」back

海未「もうちょっと足を横に向けてください」真姫「嫌よ」


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1:
海未「何故ですか…」
真姫「だって熱源から離れちゃうじゃない」
海未「でもそうしないと私が肩まで温もれないじゃないですか」
真姫「じゃあ私の足に乗せていいわよ」
海未「それは金具で火傷しそうになるから嫌です」
真姫「なによー。じゃあどうすればいいのよ」
海未「さっき言ったじゃないですか。足をもう少し横に向けて下さい」
真姫「しょうがないわねー」
海未「初めからそうすればいいのに…もう」
海未「ふぅ…この時期のこたつは素晴らしいですね」
真姫「そうね」
2:
海未「ところで真姫」
真姫「何?」
海未「何故私の家でこたつに入って寝ているのですか」
真姫「いいじゃない休みなんだし」
海未「まぁ別に悪いとは言いませんが…」
真姫「ならいいでしょー…」ヌクヌク
海未「真姫の家にはこたつはないのですか」
真姫「うち、床暖房とヒーターだから」
海未「そうですか…」
海未「…そっちのほうが十分温かいのではないですか?」
真姫「私はこたつの方がいいのよ」
4:
海未「…お茶が飲みたくなりましたね」
真姫「あ、私も」
海未「…飲みたくなりました」
真姫「うん」
海未「……」
真姫「……」
海未「じゃん」
真姫「けん」
二人「ぽんっ」
真姫「よろしくー」
海未「うぅ…寒い」
6:
海未「淹れてきましたよ」
真姫「ありがと」ノソノソ
海未「」ズズッ
真姫「」コクッ コクッ
海未「…ふぅ。沁みますね」
真姫「そうね…温まるわ」
海未「でも、何か足りませんね…」
真姫「…みかん?」
海未「そう。それかお煎餅が欲しいです」
真姫「お煎餅…」
真姫「買ってきたわ」
海未「早いですね」
8:
海未「寒いのによく外に出ようと思いましたね」
真姫「この真姫ちゃんの行動力を舐めてもらっては困るわ」
海未「羨ましいです」
真姫「はい」
海未「ありがとうございます」
真姫「…あ、お茶がもうない」
海未「こちらも冷めてしまいました」
真姫「またじゃんけん?」
海未「いいえ、その必要はありません」
海未「予めポットをこちらに持ってきました」コポポポ
真姫「かしこいわね」
9:
海未「はいどうぞ」
真姫「ありがとう」
海未「……」ペリペリ
真姫「海苔巻きの海苔剥がしてる…」
海未「すみません。癖でどうしても…」
真姫「別にいいわ。気持ち分かるから」
海未「そうですか」
真姫「うん」
真姫「でも海苔剥がすと表面のタレが指に付いちゃうわよ」
海未「はい。それでいつも後悔しています」ペロペロ
11:
海未「……」ポリポリ
真姫「……」ズズッ
真姫「…時間がゆっくり流れていくわね」
海未「はい…とても心地いいですね」
真姫「みんな今頃なにしてるのかしら?」
海未「さぁ…それぞれ自分の休日を過ごしているのではないでしょうか」
真姫「そうね…」
海未「はい」
真姫「みかん食べたい」
海未「食べてばかりじゃないですか」
15:
真姫「ダメ、何だか食べ始めたら止まらない」
海未「もうすぐお夕飯の時間ですから、あまりお腹を膨らませない方がいいかと」
真姫「そうね…」モゾモゾ
海未「あ、また真ん中に潜り込みましたね」
真姫「ちょっとだけ…」
海未「もう…」
真姫「海未、そっちの枕とってくれる?」
海未「いいですよ。はいどうぞ」
真姫「ん。ありがと」
海未「…真姫、さり気なくこたつ布団を自分の方に寄せないでください。こっちが空いて寒いです」
真姫「あ、バレてたのね」
16:
海未「当たり前です。妙にスースーしてると思ったら…」
真姫「悪かったわよ。そっちから引っ張って」
海未「お茶をこぼさないように机押さえて下さい」
真姫「分かったわ」
海未「よいしょ」ゴソゴソ
真姫「もういい?」
海未「はい。結構です」
真姫「そっ」モゾモゾ
真姫「」ズリズリ
海未「また引っ張ってますから。もしかしてわざとですか」
18:
真姫「布団があると巻き込んじゃう癖があるのよ」
海未「真姫だけに巻き込むですか」
真姫「つまんない」
海未「すみません」
真姫「もう一回そっちから引っ張ってくれない?」
海未「全くもう…これで終わりにしてくださいよ」
真姫「ごめん。気をつけるわ」
海未「分かればいいです」
真姫「」グイグイ
海未「私を外に追いやろうとしないでください。寒いですってば」
21:
真姫「何でバレちゃうのかしら…」
海未「むしろバレないと思っている真姫にビックリしました」
真姫「むぅ…」モゾモゾ
海未「少し温度を上げましょうか?」
真姫「お願い」
海未「分かりました」モゾモゾ
真姫「……」
真姫「……」モゾモゾ
海未「何故真姫まで中に潜るのですか」
23:
真姫「んと…海未の家のこたつの中ってどうなってるのかなって」
海未「こたつなんてどのご家庭でも変わりませんよ」
真姫「そうね」
海未「えっと調節ネジは…こっちにありませんね」
真姫「…あ、こっちにあったわ」
海未「ではそっちからお願いします」
真姫「分かった…はい、温度上げたわよ」
海未「ありがとうございます」
海未「…何故潜り込んだままなのですか」
真姫「そっちこそ何で出ないのよ」
26:
海未「…肩がちょうどいい具合に温まるのですよ」
真姫「私も。ちょっと体勢キツいけど」
海未「ふふっ…何だか子供の頃を思い出します」
海未「よくコタツの中に潜って母に叱られましたっけ…」
真姫「ふぅん」
海未「頭に金具が当たって熱い思いをしたこともありました」
真姫「結構無邪気だったのね」
海未「家の中では、ですけどね」
真姫「そう…」
真姫「…こたつの中って、秘密基地みたいね」
海未「分かってくれましたか。嬉しいです」
28:
真姫「…そろそろ息苦しくなってきたわ」
海未「私もです。出ましょうか」
真姫「そうね」モゾモゾ
海未「ふぅ…」ボサボサ
真姫「…海未、髪凄いことになってるわよ」ボサボサ
海未「人のこと言えませんよ真姫」
真姫「え…やだ、ホント」
海未「私の部屋に櫛があるので溶かし合いっこしましょうか」
真姫「いいわね…お願いするわ」
海未「ではどっちが取りに行くかジャンケンを…」
真姫「私海未の部屋のどこに櫛があるのか分からないから」
海未「くぅ…そうでした」シブシブ
29:
海未「取ってきました…うぅ寒い」
真姫「ありがとう。私が先にしてあげるわ」
海未「お願いします」
真姫「ちょっと後ろ向いて」
海未「はい」
真姫「……」スッ
海未「……」
真姫「この櫛、すごく溶かしやすい」
海未「つげ櫛です。これで溶かすと抜け毛が少なくなるなるそうです」
真姫「へぇ?いいわね。私も買おうかしら」
海未「それほど高くはないので、是非使ってみてください」
真姫「……」イジイジ
海未「さり気なく三つ編みにしないでください。バレてますから」
31:
真姫「終わったわよ」
海未「ありがとうございます。では私の番ですね」
真姫「うん。よろしくね」
海未「……」サッサッ
真姫「…私の髪、溶かしにくくない?」
海未「いいえ、とても触り心地がいいですよ」
真姫「…そう」
海未「……」
真姫「……」
海未「あ、白髪がありました」
真姫「嘘!?」
海未「冗談です。ふふっ」
33:
真姫「もう…びっくりするじゃない」
海未「すみません、ちょっとからかってみただけです」
真姫「まったくー」
海未「はい。終わりましたよ」
真姫「ん、ありがとう」
海未「ふぅ…」モゾモゾ
真姫「……」モゾモゾ
海未「…何故あちら側で寝転がらないのですか?」
真姫「あっちに行くまでが寒いからしょうがないじゃない」
34:
海未「それぐらい我慢して動いてくださいよ」
真姫「いや」
海未「でもこのままでは狭くないですか?」
真姫「別に問題ないわ」
海未「ならいいですが…」モゾモゾ
真姫「そういうこと」モゾモゾ
海未「……」
真姫「……」
海未「スゥ…スゥ…」 zzz...
真姫「…クー」 Zzz...
35:
海未「…んぅ」
海未「あ…寝ていました」
真姫「んん…何?」
海未「起きてください。それ以上寝てると風邪引きますよ」
真姫「ん…ふぁーぁ」グシグシ
海未「今日は確か…父と母が遅くなる日でしたね」
真姫「そうなの?」
海未「はい、だから自分でご飯を作らなければ…」
真姫「…この寒い中台所に立たないといけないのね」
海未「……」
海未「店屋物にしましょう」ピポパ
真姫「私の分も頼んで」
36:
海未「いただきます」
真姫「いただきます」
海未「」ツルツル
真姫「…そのうどん、美味しそうね」
海未「食べてみますか?」
真姫「一口くれないかしら」
海未「ではお互いに一口交換ということで」
真姫「ありがとう」
海未「……」モグモグ
真姫「……」ツルツル
海未「…こちらの玉子丼も美味しいですね」
真姫「でしょ?」
38:
海未「ふぅ…ご馳走様でした」
真姫「あ、お金ここに置いておくわね」
海未「はい。ありがとうございます」
真姫「」モゾモゾ
海未「食べてすぐ寝転がると胃に悪いですよ」
真姫「分かってるわ…でも食べてる時肩が冷えちゃって」
海未「…ちゃんちゃんこならありますけど」
真姫「何それ」
海未「ちょっと待ってて下さい」ノソノソ
海未「はい。母の愛用でよければどうぞ」
真姫「なにこれすごく暖かそう」
39:
海未「どうですか?」
真姫「うん。温まってきたわ」
海未「それはよかったです」
真姫「昔の人ってすごいわね…こんなの作っちゃうのだから」
海未「天才はいつの時代にもいますからね…」
真姫「そうね…」
海未「……」
真姫「そう言えば、こたつって誰が作ったのかしら?」
海未「さぁ…寒い地方の方でしょうか?」
40:
真姫「あ、お茶淹れる?」
海未「お願いしていいですか?」
真姫「いいわよ」コポポポ
真姫「…あ、ちょっと出が薄いかも」
海未「構いませんよ。後で入れ直してきます」
真姫「分かったわ。はい」コトッ
海未「ありがとうございます」
真姫「……」ズズッ
海未「……」フーッ
真姫「…幸せ」
海未「はい…そうですね」
42:
真姫「そろそろ帰らなきゃ…」
海未「そうですか…送っていきましょうか?」
真姫「ううん、お母さんにメールしたら迎えに来てくれるって」
海未「そうですか」
真姫「…ねぇ、こたつで食べると美味しい料理って何かしら」
海未「こたつでですか…そうですね」
海未「鍋物は定番ではないでしょうか?寄せ鍋やおでんとか…」
真姫「…今度みんなで鍋パーティしない?」
海未「いいですね。鍋は何にしますか?」
真姫「人数多いから二種類あったほうがいいかもしれないわ」
海未「では話し合って決めましょうか。材料や調理も分担して」
真姫「そうね」
44:
海未「では決まり次第みんなを招待しましょう」
真姫「楽しみね」
海未「はい」
真姫「あ、お母さんもうすぐで来るって」
海未「そうですか」
真姫「…出たくない」
海未「気持ちは分かりますが…待たせてしまってはいけませんよ」
真姫「もうちょっとだけ…」
海未「もう…」
真姫「…こたつっていいわね」
海未「そうですね」
?おわり?
4

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