モバP「いつものコンビを入れ替えてみる」back

モバP「いつものコンビを入れ替えてみる」


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1:
※アイドルマスターシンデレラガールズのSSです
※注意※
若干の百合要素あり
苦手な方はご注意ください
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1382364779
2:
――――――――――――事務所
P「うちはアイドル事務所。それぞれ仲がいいのがモットーだ」
P「この事自体になんら問題はない」
P「だけど、特定の人間だけ仲がいいのは、すこし勿体無い気がする」
P「たまには違うアイドル同士で仲が良くなる必要があるよな」
P「どうしたものか……」
P「よし……ここらで仕掛けてみるか」
3:
――――――――――――昼、テレビ局控室
スタッフ「和久井さん、今日もありがとうございました」
留美「いえいえ、こちらこそ」
http://i.imgur.com/CBAtBJk.jpg
和久井留美(26)
スタッフ「来週は報道特番ですので、早めにスタジオ入りお願いしますね」
留美「わかりました。必要な資料等は事務所にFAXお願い致します」
スタッフ「了解しました。それでは……」
ばたん
留美「ふううぅ……疲れた」
留美「これで生放送は終わり……っと」
留美「あとはいつものように、向井さんに送ってもらって帰るだけね……」
5:
こんこん
留美「来たわね……どうぞ」
夏樹「ど、ども?」
http://i.imgur.com/QCtMDu5.jpg
木村夏樹(18)
留美「あら、木村さん? どうしたの? あなたも収録?」
夏樹「いやあ、Pさんから和久井さんを迎えに行けって言われまして……」
留美「そうだったの? 向井さんは?」
夏樹「拓海のや……む、向井はちょっと別件の仕事が入って」
留美「そう……」
夏樹「すいません……」
留美「別に謝る必要無いわ。私がお願いしてたんですもの。バイクで来たの?」
夏樹「はぁ……一応。向井のとは違って、乗り心地がいいかわかんないすけど」
留美「迎えに来てもらえただけでも感謝だわ。ありがとう」
夏樹「い、いえ、そんな……」
留美「今すぐ支度するわ。少し待っててくださる?」
夏樹「は、はい」
夏樹(アイドルなのに報道番組のキャスターか……すげーな、この人)
6:
――――――――――――交差点、信号待ち
留美「ねえ、木村さん?」
夏樹「はい、なんですか?」
留美「この後の予定は?」
夏樹「んー、特にないっすね」
留美「じゃあ、そこのカフェで一息入れましょう」
夏樹「え? でも……」
留美「わざわざ来てくれたんですもの。奢らせてちょうだい」
夏樹「は、はい」
7:
――――――――――――カフェ
店員「いらっしゃいませ、ご注文はお決まりでしょうか?」
留美「木村さんは何にするの?」
夏樹「え、えっと……」
夏樹(見たことねーもんばっかりだ……)
夏樹「じゃ、じゃあ……アメリカンのホットで」
店員「かしこまりました」
留美「私はいつものハーブティーで」
店員「かしこまりました」
夏樹(オープンカフェってのか? こういうところあんまこねーからな)
8:
男「なあ、あれって……」
女「あっ、和久井留美じゃない? すごい綺麗ねー」
男「一緒にいるやつ誰だろ?」
女「イケメンねえ……彼氏じゃない?」
9:
夏樹「……」ズーン
留美「気にしないで」
夏樹「えっ?」
留美「周囲の声なんて気にすることないわ。私達はそのままでいいのよ」
夏樹「は、はい……」
留美「こういう仕事ですもの。多少の色眼鏡は仕方ないと割り切ることよ」
夏樹「あ、あの……和久井さ」
留美「留美でいいわ。みんなそう呼んでるし」
夏樹「る、留美さん……」
留美「何かしら?」
夏樹「その……どうやったら、そんなにカッコイイ女の人になれるんですか?」
10:
留美「あら? 私からしたら貴女も十分カッコイイわよ?」
夏樹「アタシはほら……その……こんなナリしってから」
夏樹「さっきみたいにヤローに間違われるし……留美さんみたいな知的な女性って無理かな……って」
留美「……」
夏樹「変なこと聞きましたね。すんません、忘れてください」
留美「……ねえ、木村さん。私も聞いていい?」
夏樹「は、はい」
11:
留美「私もロックを目指すこと、できるかしら?」
夏樹「え? そりゃあ、出来ますよ。留美さん、歌も上手いしその気になれば出来ます」
留美「そう」
夏樹「ロックは別に資格とかそういうの無いですし、目指そうと思えば誰だってできます」
留美「でも、私は貴方のようにロックに触れた時間は多くないわよ?」
夏樹「アタシはたまたま、ガキの頃から聞いてただけっすよ。留美さんが今からやって無理なことないです」
留美「ありがとう。その答えが私のさっきの答えよ」
夏樹「へ?」
13:
留美「あなたが幼少期からロックに触れていたように、私も前の仕事柄、経済や海外情勢に詳しかった。ただそれだけよ」
留美「だから、今回のようなキャスターのお仕事を頂けてるの。別にカッコイイと自覚したことはない」
留美「木村さんも勉強すればきっとそういう仕事につけるわ」
夏樹「そうですか……?」
留美「ただし、猛勉強が必要になるけどね。それは私が貴方以上にロックを聞きまくるのと同じことよ」
夏樹「……」
留美「隣の芝は青いとでも言うのかしら? 人は誰しも自分にないものを持ってる人に憧れを抱くものよ」
留美「あなたが私をカッコイイと思うのと同様に、あなたもまた違う人達からはカッコイイと思われてるの」
夏樹「そ……そうなんすかね?」
留美「自信を持ちなさい。そして、同じことを聞いてくる人がいれば貴方もきっとこう答えるはずよ」
夏樹「あ、ありがとうございます」
15:
留美「ふふふ……この話をするのはこれで二度目ね」
夏樹「そうなんですか?」
留美「そう。最初は向井さんだった」
夏樹「拓海も……」
留美「あなた達はもっと素敵になれる。私が保証するわ」
夏樹「な、なんか照れるな……」
16:
――――――――――――事務所前
夏樹「到着です。お疲れさまでした」
留美「助かったわ、木村さん」
夏樹「夏樹です」
留美「えっ?」
夏樹「皆そう呼んでるんで。苗字だとなんかくすぐったいって言うか」
留美「ふふふ、わかったわ……ありがとう夏樹ちゃん」
夏樹「これぐらいお安い御用ですよ」
17:
留美「そうだ、ほっぺを出してくれる?」
夏樹「へ? こうですか?」
ちゅっ
夏樹「な、な、な、な、な……なにを!?」
留美「いつものお礼。向井さんにもしてるのよ?」
夏樹「へ? へ? えええええっ!!」
留美「今はこんなお礼しか出来ないけど。いつでも頼って頂戴ね」
夏樹「……」
留美「それじゃ、先に行くわ」
夏樹(やべえ……ドキドキする)
18:
――――――――――――夕方、新幹線車内
涼「……」シャカシャカ
http://i.imgur.com/maCsaqX.jpg
松永涼(18)
李衣菜「……ねえ、涼ちゃん?」
http://i.imgur.com/Lj78Lu0.jpg
多田李衣菜(17)
涼「♪?」シャカシャカ
李衣菜「涼ちゃんってば!!」
涼「うおっ!! なんだよ、リーナ?」
李衣菜「せっかくだからお話しようよ?」
涼「さっきまでずっと仕事で一緒だったろ?」
李衣菜「そうだけどさ……一人じゃつまんなーい」
涼「わーったから、引っ張るなって!」
20:
李衣菜「今日はお客さんいっぱい来てくれたよね!?」
涼「誰かさんは最初、地方のライブハウスは嫌だと駄々こねてたけどな」
李衣菜「MCも盛り上がってたよね!?」
涼「誰かさんはカミカミだったけどな」
李衣菜「ライブもすごく盛り上がったよね!?」
涼「誰かさんがすっ転んでギターアンプからコード抜いちまったけどな」
李衣菜「……」
涼「……」
李衣菜「涼ちゃーん、意地悪言わないでぇええ!」ポカポカ
涼「わかったから、叩くなって!」
21:
李衣菜「涼ちゃん……あのさ」
涼「ん?」
李衣菜「聞きたいことあるんだけど?」
涼「なんだよ?」
李衣菜「『ロック』って……なんだろうね?」
涼「それなら夏樹に聞きなよ。今更アタシに聞くまでもねーじゃん?」
李衣菜「違うの。そうじゃなくって……よくわからない」
涼「イマイチ、話が見えねーな……」
李衣菜「なつきちの言うロックが、私にはわかんないの」
涼「と、言うと?」
22:
李衣菜「去年の年末にさ、なつきちとカウントダウンライブ行ったんだ」
涼「あー、なんかそんなこと言ってたな」
李衣菜「ライブ自体は盛り上がったんだけど、しばらくしたら、巴ちゃんが乱入してさ」
http://i.imgur.com/RZEzII1.jpg
村上巴(13)
涼「……なかなか豪快だな」
李衣菜「そんで、いきなり演歌を歌い始めたの」
涼「……」
李衣菜「でもね、すごく盛り上がって、なつきちも『ロックだな』って……」
涼「まあ、ある意味な」
李衣菜「おかしいじゃん? 演歌とロックって違うのに」
涼「んー……」
李衣菜「でね、次の日、私も巴ちゃんに衣装借りて、なつきちに見せたの」
涼「なにやってんだか……」
李衣菜「そしたら、なつきち、『わかってねー』だって!」
涼「まあ……そう言うだろうな」
23:
李衣菜「どうして? 何がロックなのか、さっぱりだよ!?」
涼「うーん」
25:
涼「あのなあ、リーナ」
李衣菜「ん?」
涼「お前の言うロックってのは、ギターがジャカジャカ鳴って、ドラムがドンドン響けばいいと思ってないか?」
李衣菜「違うの?」
涼「半分合ってる。だけど半分違う」
李衣菜「??? どういうこと?」
涼「お前が言ってるのは音楽の1ジャンルとしてのロックだ」
李衣菜「うん」
涼「だけど夏樹が言ってるのは、ジャンルを超えた……こう、なんていうか……魂みたいなもんなんだよ」
李衣菜「魂? 涼ちゃんが見る映画に出る、青白いフヨフヨ浮いてる奴?」
涼「そりゃ、人魂だバカ。そうじゃなくて、スピリットというか……ソウルってのかな?」
李衣菜「うーん……よくわかんない」
27:
涼「そりゃそうだ。アタシにだってよくわかんねえからな」
李衣菜「涼ちゃんもわかんないの、私にわかるわけ無いじゃん」
涼「そうだよ。誰にもまだわかんねえ。アタシも夏樹も……今はその答えを探してんだよ」
李衣菜「……答えを?」
涼「厄介なのは、それには正解がなくて人それぞれ違うってとこだ」
李衣菜「そうなの?」
涼「そうさ。アタシと夏樹では多分答えは違ってる」
涼「ジミ・ヘンドリックスやカート・コバーンだって違うロックの答えを持ってたはずさ」
李衣菜「……蚊と小判?」
涼「……聞く気がねえなら寝るわ。おやすみ」
李衣菜「うそうそ! ごめん涼ちゃん! 初めて聞く名前だから戸惑っただけだよ」
涼「ったく……」
28:
李衣菜「じゃあ、巴ちゃんの歌には魂があると?」
涼「歌ってるジャンルは違えど、夏樹が求めるロックに近いものを感じたんだろうな」
李衣菜「なるほど……じゃあ、私も演歌で」
涼「そこがブレてんだよ」
李衣菜「えっ?」
涼「巴にしか出せないものを、お前が付け焼き刃で真似ても出せっこないだろ」
涼「それをあの夏樹がロックだなんて絶対いわねーよ」
李衣菜「そっか……」
涼「今はとりあえず、リーナ自身の追い求めるロックを探す所から始めりゃいいさ」
李衣菜「……」
涼「まあ、なんかあったら手伝ってやるから、な?」
29:
李衣菜「……涼ちゃん」
涼「ん?」
李衣菜「……優しい」
涼「ばば、ば、バカやろっ! 何言ってんだよ!?」
李衣菜「涼ちゃんって……最初、怖いなー、ヤンキーなのかなー、刃向かったらボコボコにされるのかなーって思ってた」
涼「……それで褒めてんのか?」
李衣菜「でも、相談してよかった! ありがとう!」
涼「……あ、ああ」
李衣菜「もう寝るんでしょ? じゃあ、静かにしてるよ」
30:
涼「……リーナ」
李衣菜「ん?」
涼「お前のヘッドフォンのプラグ貸しな」
李衣菜「えっ? どうして?」
涼「アタシのiPod貸してやるから……その中の曲、聞いてみなよ。ヒントになるかもな」
李衣菜「いいの? 本当に?!」
涼「その代わり静かにしてるんだぞ」
31:
涼(珍しくアツくなっちまった……らしくもねえ)
涼(でも、それはアタシ自身にも言えることなんだよな)
涼(アタシの求めるロックも、どこにあるかわかんねえけど)
涼(何か吹っ切れた気がする)
涼(あんがとな。リーナ)
32:
李衣菜「……」
涼「リーナ?」
李衣菜「……ぐぅ……Zzz」
涼「人を枕に寝ちまいやがった……しょうがねえな」
涼「…………ちょっと……いい匂いがする……」
涼(って! 何言ってんだよ! アタシのバカ!!)
33:
――――――――――――夜、事務所
がちゃ
拓海「ただいまーっと……すっかり遅くなっちまった……」
http://i.imgur.com/rs85jDK.jpg
向井拓海(18)
拓海「さすがに一人の現場はしんどかったな……ん?」
拓海「応接室から光が漏れてる……誰だ?」
拓海「おーい、誰かいんのか?」
小梅「ひぃっ……!」
http://i.imgur.com/A0plEAg.jpg
白坂小梅(13)
拓海「おわっ!……なんだ、小梅か……何やってたんだ?」
小梅「……え、映画……見てたの……」
拓海「ああ、例のホラー映画か……一人でか?」
小梅「……う、うん……」
拓海(どうも、こいつは苦手なんだよな……)
34:
拓海「もう夜遅いぞ。早く帰るぞ」
小梅「りょ、涼さん……待ってる……」
拓海「涼を待ってたのか……あいつなら、まだまだかかるって連絡あったぞ」
小梅「そ、そうなの……?」
拓海「まあ、おめーも13歳とはいえ、まだガキだ。そろそろ帰らねえと」
小梅「う……うん……」
拓海「涼となんか約束してたのか?」
小梅「ううん……でも、い……一緒に……行きたいとこ……あった」
拓海(買い出しか何かか?)
35:
小梅「…………」
拓海「……わーったよ。ついていってやるから」
小梅「え……」
拓海「ほら、メット被れ。場所は指示しろよ」
小梅「い、いいの……?」
拓海「女に二言はねえ。いくぞ」
小梅「う……うん!」
36:
――――――――――――山奥、トンネル前
拓海「…………」
小梅「こ、ここ……来たかった……」
拓海「……真っ暗だな」
小梅「うん……」
拓海「……誰もいねーぞ」
小梅「い、いま……使われて……ない」
拓海「……ここで……何すんだよ?」
小梅「あ、歩く……」
拓海「……どこまで?」
小梅「……む、向こうまで」
拓海「……どれぐらいの長さなんだ?」
小梅「せ……1000m」
拓海「……バイクで行こうぜ」
小梅「だ、だめ……みんな……おどろく……」
拓海「みんなって誰だよ!!!」
37:
小梅「…………」
すたすた
拓海「お、おい! どこ行くんだよ!!」
小梅「ひ、一人で……行く……」
拓海「バカ言ってんじゃねーよ!! あぶねーだろ!!」
小梅「む、向井さんは……待ってて……」
拓海「そんなことできっかよ!!」
小梅「で、でも……」
拓海「これ……涼も行くつもりだったのか?」
小梅「ま、前に……誘ったけど……苦手って……言ったから」
拓海「だろうな……」
38:
小梅「涼さん……無理って……いったとこ……向井さん……もっと無理……」
拓海「あ゛? 涼と一緒にすんじゃねーよ! あたしも行くぞ!」
小梅「ほ、本当……?」
拓海「おう」
小梅「こ、怖くない……?」
拓海「たりめーよ。天下無敵、喧嘩上等の向井拓海様だぞ? 怖えーもんなんてねーんだよ」
小梅「す、すごい……えへへ……う、嬉しい」
拓海(とは、言ったものの……薄っ気味悪ぃとこだな)
拓海(まあ、幽霊なんざ迷信よ。チャッチャとすませて帰るぜ)
39:
――――――――――――トンネル内
拓海「……真っ暗だな。電気つかねえのか?」
小梅「も、もう……使われてないから……で、電気……きてない」
拓海「そ、そうだったな……」
拓海(うううう……気持ち悪ぃぜ……)
小梅「…………む、向井さん」
拓海「な、なんだよ……」
小梅「む、無理しなくて……いいよ?」
拓海「べ、別に無理なんかしてねえ」
小梅「わたし……ひとりで……大丈夫」
拓海「そんなことできるかよ。怖いからちびっ子ひとりで行かせたなんざ、向井拓海の名折れだ」
小梅「……」
40:
拓海「それに、もし涼の耳にそれが入ったら……」
涼『え? え? なになに? 拓海でもオバケこわいんだ? へー(笑)』
拓海「……ムカツク」イライラ
小梅「りょ、涼さん……明るくなった……む、向井さんに会って……仲良しだし……」
拓海「は? ジョーダンやめてくれ。ケンカばっかしてるよ」
小梅「む、向井さんも……柔らかく……なった」
拓海「なんだよ? アタシ、そんなに尖ってたか?」
小梅「ううん……でも……いつも……イライラしてて怖そう……だった」
拓海「……」
小梅「だけど……本当は……優しい……ひと……わかる」
拓海「や、やめろよ! 今更、何言ってんだよ!」
41:
小梅「わ、わたし……ともだち……つくるの……にがて」
小梅「みんな……こんな風に……きてくれない」
小梅「こんな怖いことしたり……ホラー映画みるの……きもちわるいって」
小梅「先生から……も……やめなさいって……」
拓海「……そうか」
小梅「……」
拓海「……わかるよ」
小梅「え……」
42:
拓海「あたしも気に入らない奴がいたらぶん殴り、気に入らないことがあるとバイクでかっ飛ばしてさ」
拓海「だからクラスの連中も、先公もビビっちまって……」
小梅「……」
拓海「だけど、あたしはそれを否定しない。バカだなとは思ったりするけど、やらなきゃよかったなんて思わねえ」
拓海「小梅もそうだろ?」
小梅「う、うん」
拓海「外野の言うことなんざ気にすんな。お前の今やりたいことやれよ。我慢すんじゃねえぞ」
拓海「それに、友達なら涼や夏樹、あたしがいるだろ?」
小梅「む、向井さん……」
ぎゅっ
拓海「なんだよ、急に抱きついてきて?」
小梅「えへへ……向井さん……あったかい」
拓海「や、やめろよ……ったく」
43:
拓海(偉そうなこと言ったけど)
拓海(あたしもこいつのこと、苦手なんて思ってたんだよな……)
拓海「小梅」
小梅「んー?」
拓海「すまねえな」
小梅「???……ど、どうしたの?」
拓海「なんでもねーよ」
44:
拓海「見ろよ、小梅! 向こうに光が見えるぞ?!」
小梅「ほ、ほんとうだ……」
拓海「もうすぐゴールだよな!! よっしゃあ!!」
きゅっ
拓海「どうした? いきなり手をつないできて?」
小梅「一緒に……ゴール……したい」
拓海「そっか……いいぜ」
拓海(なんだかんだ言っても子供だな。可愛いとこあるじゃねえか)
小梅「みんな……一緒……さ、三人で……」
拓海「おう!!…………………………」
小梅「……」
拓海「…………………………三人?」
小梅「うん………私と向井さんと……………」
拓海「…………」ゴクリ
小梅「む、向井さんが……おぶってる………………………その子」
拓海「ぎゃあああああああああああああああ!!!」
だだだだだだだだだだ
小梅「む、向井さん……やっぱりいいひと……あの子も……すきになってくれた」
45:
――――――――――――後日、事務所
がちゃ
夏樹「おはよーっす」
涼「おっはー」
拓海「おう」
夏樹「なんか……お前らに久々会ったような気がする」
涼「アタシも……一日しか空いてないのにね」
拓海「まあ、たまにはいいだろ。こういうのも」
46:
夏樹「そういや、涼。お前、だりーに何か言ったか?」
涼「別にー、どうしてさ?」
夏樹「なんかさ、昨日電話があって『私、生まれ変わるから!』って興奮しながら言ってたから」
涼「そう……いいことじゃん」
夏樹「今日もさ『なつきち、タワレコに演歌コーナーってあったっけ?』って聞いてきて」
涼(あちゃー……やっぱ、わかってねーな)
涼(…………まあ、それがリーナらしいか)
47:
涼「あ、そうだ! 拓海、あんた小梅のミステリーツアーに付き合ってあげたの?」
拓海「お……おうよ! あんなもん屁でもねえや!! はははは」
涼「ほええー。アンタ見かけによらずすごいんだね? 小梅も喜んでたよ」
拓海「ま、まあな……」
拓海(ビビって走りだしたのは内緒にしてくれたのか……)
涼「んでさ、来週アンタとあたしと三人で墓地巡りしたいって……」
拓海「ぜってえええええいかねええええ!!」
48:
拓海(昨日から背中の寝汗がすげえんだよ……)
拓海(これ以上は勘弁してくれ!)
49:
拓海「おう、夏樹。お前、和久井の姐御を迎えに行ってくれたんだってな」
夏樹「まあな」
拓海「あの人に渡すメットには、ちゃんと中にハンカチ入れとけよ」
夏樹「そうなのか?」
拓海「そりゃそうだろ。あの人、あたしらと違ってメイクやヘアスタイル気合入ってんだ」
拓海「蒸れて台無しになっちまうだろ?」
夏樹「お、おぅ……今度から気をつけるよ」
夏樹(どこまでに大切にしてんだよ……ったく)
夏樹(まあ、気持ちもわかるけどな)
50:
涼・拓海・夏樹(やっぱ、慣れてねーとダメだな)
涼・拓海・夏樹(でも、まあ…………可愛かったからいいか)
おわり
51:
これで終わりです。
長時間ありがとうございました。
52:

57:
乙でしたっ☆
確かにいいカップリングチェンジでした。これは妄想はかどる。
5

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