蒼星石と桜大蛇back

蒼星石と桜大蛇


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ジュン「グーグー」zzZ
雛苺「うんしょ、ほいしょ」ゴソゴソ
翠星石「チビ苺、もっと静かにやれですぅ」
真紅「ええ、ジュンが起きてしまうわよ」
雛苺「うぃ! 分かってるのよ。ヒナのこの動きは繊細かつ大胆さを備えた動きなの。
  緊張しすぎると、かえって手元が狂っちゃうわ」
翠星石「そういうもんですかねぇ」
真紅「まあ、ここは自分から精密動作性A(超スゴイ)を主張した雛苺の手腕を信じましょう」
翠星石「むむぅ、こういう作業は庭師である翠星石に任せてほしかったのですが」
真紅「あなた最近、庭師らしいこと何一つしてないじゃない。のりから頼まれた草むしりすら、ずっと無視してるし」
翠星石「そ、それは明日やろうと思っていたんですってば…」
真紅「明日っていつよ?」
翠星石「うぬぬ」
334 :
翠星石「マジですか!」
真紅「流石だわ雛苺! これでようやく深夜のお花見パーティができる!」
ジュン「…zzZ」
雛苺「ジュンもグースカ眠ったままなのよね!」
翠星石「いぇーい! 思う存分、お花見するでぇーす!」
ジュン「んなワケあるかーーーっ!」ガバッ
翠星石「ほああっーーーっ!?」
真紅「ジュ、ジュン!?」
雛苺「ジュンが起きちゃったのよ!!」
ジュン「当たり前だ! そんだけ騒がれれば嫌でも目がさめるわ! 何をやる気か
  様子を見ようと寝たふりしてたら…鼻の穴に変なものツッコミよってからに!」ズボッ
雛苺「うにゃっ!? ヒナが折角、綺麗に鼻の穴に植えた桜が引き抜かれたのーっ!」
ジュン「ええいっ! いちいち無駄に僕の鼻をオモチャにするんじゃあない!」
真紅「いいえジュン! これは無駄なことではなくてよ!
  植物の桜の花と、桜田ジュンの鼻を掛けた超高度なギャグを…!」
ジュン「ふざけるな! くだらなすぎてゲロが出るわ! 花見がしたいなら普通にやれ! 普通に!」
335 :
ジュン「…む? そう言えばそうだったか?」
真紅「そうよ! 金糸雀なんて、やめなさいってみんなで止めたのに
  その強風下でお花見を単独敢行して、案の定、風に飛ばされ、それ以来ずっと消息不明なのよ!」
雛苺「1週間ぐらい経っているのに、まだ見つかっていないのよね」
翠星石「だから、せめて翠星石達は室内でささやかなお花見をしようと…」
ジュン「だとしても、僕の鼻の穴を使うな」
真紅「じゃあ、別の穴だったらいいの?」
翠星石「美しき花瓶の運命や如何に? ですか?」
ジュン「ケツの穴もダメ」
336 :
  そこで花見をすれば…、と言うか、そもそも桜の枝を折って持って来たりしたらダメだろうが…」
真紅「あ、これプラスチックよ」
翠星石「100円ショップのパーティグッズコーナーで買ったんですぅ」
ジュン「え? あ、本当だ。触んないと分からないな、これ」
真紅「流石は技術大国ニッポンよね」
雛苺「でも、これ花びらにメイド・イン・マレーシアって書いてあるのよ」
真紅「……」
ジュン「ともかく、僕の安眠を妨害した罪は重い。お前ら全員正座して反省しろ」
翠星石「んなっ!?」
真紅「馬鹿言わないで頂戴ジュン! 私達西洋人形に正座を強いるだなんて拷問よ!」
雛苺「そんなの無理なの?っ」
ジュン「うるさい。正座ぐらい最近のガンプラでもできるんだ。
  ほら、さっさとやれ! その後、太ももの上にでっかい辞書を乗せるからな」
真紅「か、完全に江戸時代とかの拷問じゃない、それ!」
翠星石「膝がぶっ壊れるですぅ!」
雛苺「想像しただけでガクブルなのよーっ!」
ジュン「こっちはもう少しで脳幹にまで桜の枝を突っ込まれそうだったんだぞ」
真紅「人間の脳は30%ぐらいしか使ってないそうだから、いいじゃない別に」
ジュン「よくねぇよ」
337 :
ジュン「ッッ!?」
雛苺「みょわわっ? そ、蒼星石ぃ!?」
真紅「そ、蒼星石がジュンの机の引き出しから出てきた!?」
翠星石「ドラえもんですか、蒼星石は!?」
蒼星石「こんばんはドールズ。夜遅くだから、静かに登場しようと思ったんだけど、君達はいつも元気だね」
ジュン「静かに登場する=机の引き出し、という発想なのかよ蒼星石は」
蒼星石「いやぁ、それほどでも」テレテレ
ジュン「褒めてるわけじゃないぞ」
338 :
蒼星石「実は力を貸してほしい」
雛苺「うゆ?」
蒼星石「nのフィールド内のとある山に大蛇が出た。退治したい」
真紅「どういうこと? 要点を簡潔にまとめすぎよ蒼星石」
ジュン「まったくだ」
339 :
雛苺「桜?」
蒼星石「花見の名所でもあるんだが、そこに大蛇が現れて
  観光に来ていたnフィー内の住人が襲われたそうだ。幸い、死傷者はまだ出ていない」
翠星石「なーんか、キナくせぇ話になってきたですね…。そういうのって庭師連盟(※)の管轄じゃねーのですぅ?」
※nフィー内に存在する夢の庭師達の共同体
340 :
翠星石「やっぱり…。と言うですか、どうして毎度毎度、蒼星石は安請け合いするのですぅ!」
蒼星石「別に安請け合いしたわけじゃ…」
真紅「まあまあ翠星石、落ち着きなさい。ここは逆に考えればチャンスでもあるわ」
翠星石「へ?」
雛苺「うぃ! nのフィールドの中でそんなお花見スポットがあったとはヒナ達知らなかったの!」
翠星石「むぅ…。そう言われれば確かに。桜を見ながら蛇退治というのも乙なものかもしれんですぅ」
ジュン「全然、乙じゃないと思うが…」
蒼星石「それじゃ、手伝ってくれるかな? みんな?」
翠星石「どのみち、蒼星石だけに蛇退治だなんて危険なことはさせられんです」
真紅「ま、そういうことだわね」
雛苺「うぃ! ヒナもお手伝いするの」
蒼星石「ありがとう、みんな」
ジュン「僕は行かないからな。ヘビ、嫌いだし」
真紅「ふんっ、意気地のない男ね」
ジュン「くっ…」
341 :
翠星石「さくらのおろち?」
ジュン「何だ、それ?」
蒼星石「桜の山に出現した大蛇の名前だ」
真紅「ヤマタノオロチみたいな名前ね」
蒼星石「同類だからね。サクラノオロチはヤマタノオロチと同じくヒュドラ…
  すなわち頭部が複数ある大蛇で、サクラノオロチは全部で5つの頭を持つ」
ジュン「お馴染み、nフィーのびっくりどっきり生物か」
雛苺「頭が5個あるから、ヒナ達も5人がかりじゃないと危ないってことなのよ?」
蒼星石「そういうこと。その全ての鎌首をもたげた姿が、まさに桜の花にそっくりなことから
  サクラノオロチと名付けられた。だが、サクラノオロチの特徴はそれだけじゃあない」
翠星石「と言うと?」
蒼星石「この時期のサクラノオロチは鱗も桜花とそっくりの色と形をしているんだ。
  だから、桜の花びらが絨毯のように降り積もった山では、無類の迷彩となっている」
真紅「保護色ね。だとすれば見つけるのも困難…」
蒼星石「一人が一つずつの頭に気を配りながら戦わないと、うっかり別の頭に飲み込まれかねない」
翠星石「それは危険がデンジャーですぅ。是非ともチビ人間に来てもらわねば」
ジュン「だから、ただの人間の僕を大蛇退治に引っ張り出すな。あと一人ぐらい、他の姉妹を誘え」
蒼星石「金糸雀がいてくれれば適任だったんだが…、彼女には聖譚曲(オラトリオ)『荒野に燃え立つ蛇』がある」
翠星石「ああ、あの蛇だけに火を点ける曲ですか(※)」
※ある朝、真紅が愉快な夢から目覚めてみると白い大蛇に呑まれていた。 参照
342 :
真紅「久しぶりに金糸雀が活躍できそうな機会なのに、当人が行方不明だなんて」
ジュン「金糸雀がいないなら水銀燈か雪華綺晶にでも頼めばいいだろう」
蒼星石「その二人も、ちょっと見つからなかった」
ジュン「?」
蒼星石「水銀燈はめぐさんを連れてnのフィールドをあちこち移動しているみたいだし
  雪華綺晶も、今はもう一人のジュン君の家を留守にしているらしい」
真紅「やれやれだわ。どの子も好き勝手しちゃって」
ジュン「真紅だってそうだろうが」
雛苺「じゃあ、もう薔薇水晶に頼むしかないのよ?」
蒼星石「薔薇水晶は槐先生と温泉旅行に行ってる」
翠星石「本当にもう、どいつもこいつも…」
真紅「じゃあ、やっぱりジュンしかいないわね」
ジュン「マジで!?」
蒼星石「大丈夫、5人がかりでやれば相手はちょっと大きいだけの蛇だ。噛まれても毒は無いし」
ジュン「人を丸呑みするような蛇相手に、毒とか心配する余裕ないだろ」
真紅「ぐちぐちと男らしくないわよジュン! ここまで来たらやるしかないでしょ! 蛇退治を!」
翠星石「ここで退いたらチビ人間は一生負け犬のままですぅ」
雛苺「うぃ! トモエにも嫌われちゃうの」
ジュン「くっ…」
343 :
ジュン子「…で、何で僕は女装させられているんだ?」
蒼星石「やだなぁジュン子ちゃん。サクラノオロチはヤマタノオロチと同類だと言ったろう?
  生贄の少女とお神酒を餌におびき寄せるのさ」
真紅「白無垢が良く似合っているわよジュン子ちゃん」
翠星石「いいですね?! 綺麗ですよ?、ほらほらこっち向いて! もっと笑ってですぅ」
雛苺「目線をちょうだいなの?」パシャパシャ
ジュン子「勝手に写真を撮るな! 大体、少女ならお前達が…」
蒼星石「サクラノオロチはピット器官も持っている」
ジュン子「は?」
蒼星石「つまり赤外線…獲物の体温も、普通の視覚とは別に、補助的に感知する」
真紅「人形である私達よりもジュン子ちゃんの方がオロチを呼び寄せやすいってわけね」
蒼星石「そういうこと」
ジュン子「最初からそのつもりで僕を蛇退治に引き込んだのか」
蒼星石「まあね」
翠星石「流石は蒼星石! 何もかも計算ずくですぅ!」
ジュン子「……」
真紅「さて、それじゃあ私達はサクラノオロチがジュン子ちゃんに引きよせられるまでの間
  のんびりと、この満開の桜の花でも愛でましょう。ね、雛苺…」
344 :
翠星石「どうしたですぅ? 真紅?」
真紅「雛苺が見当たらないわ」
蒼星石「そう言われれば…」
ジュン子「どこ行ったんだ? かくれんぼか? こんな時に? あいつ、かくれんぼ好きじゃないくせに」
翠星石「チビ苺も色的に、この桜の花びらの絨毯に同化するですからね…、て、おぉっ!」
真紅「どうしたの翠星石?」
翠星石「見ろです、真紅! ほら、あそこ! 桜の絨毯が少し盛り上がっているところにチビ苺のケツが」
真紅「あら、本当だわ」
翠星石「くっくっく、お粗末な隠れ方ですぅ。頭隠して尻隠さずとは、まさにこの事…。
  ひひひっ、こっそり近づいて思いっきりカンチョーをぶちかましてやるですぅ」
蒼星石「っ! 止すんだ翠星石!」
翠星石「あぁん? 止めてくれるなですぅ蒼星石。下手な隠れ方をしているチビ苺がいけないんです」
345 :
翠星石「ッ!?」
雛苺「ーーッ!」じたばた
真紅「えっ!? それじゃあ、もしかして!」
蒼星石「目を凝らせば分かるはずだ! サクラノオロチだ! 既に近づかれていた!」
ジュン子「な、何!? こ、ここまで背景に溶け込んでいるなんて!」
翠星石「そ、蒼星石に指摘された後でも、まだよく分からんですよ!」
真紅「と、とにかく雛苺を助けなくちゃ!」ダダッ
蒼星石「迂闊に近づいちゃだめだ真紅! あの雛苺を飲み込む動き! 演技くさい!
  飲み込むのにもたついているように見せかけて、僕達を雛苺の傍へ行くように誘っている!」
真紅「なんですって!? 演技?」
雛苺「ーーッ」じたばた
翠星石「蛇が演技なんてことするわけないですよ! 早く助けねばチビ苺が全部飲み込まれるですぅ!」
346 :
  このオロチの知能は高い! 本能だけで襲いかかるただの野獣じゃあない!」
真紅「とにかく近づかなきゃいいんでしょ! ならば…ローズテイル」しゅどばっ
バチィッ
ジュン子「なっ!? ローズテイルが空中で消えたぞ! 雛苺のところまで届いていない!」
翠星石「何やってるです真紅!」
真紅「い、いえ私は、ちゃんと…!」
蒼星石「サクラノオロチの尾で弾き飛ばされたんだ。僕達の目では、蛇の尾をまだ認識できていない」
ジュン子「何ぃっ!?」
真紅「薔薇の尾が蛇の尾になぎ払われるとは…」
翠星石「なんてこったいです! ただの桜の花びらそっくりの鱗のトリックですよね! それがまるで光学迷彩…」
蒼星石「体の各部ごとの一つ一つの鱗を収縮度まで変えている! つまり保護色で遠近感まで演出している!」
真紅「と、とんでもない生き物!」
347 :
翠星石「ああっ! ち、チビ苺が消えたですぅ!?」
蒼星石「全部、飲み込まれたんだ! ま、まずい!!」
ジュン子「おいおい、こっちの人数が減ったら一気に不利になるんだろ!?」
翠星石「そ、それにチビ苺の姿が見えなくなったせいで、オロチの位置もまた分からなくなったですぅ!」
蒼星石「落ち着いて翠星石! オロチが動けば景色にわずかな歪みができる、それを…っ!」
翠星石「んなこと言ったってですね! 飲み込まれたチビ苺も早く助けてやらねば消化されてしまうです!」
蒼星石「分かってる! 今、一生懸命その方法を考えている」
真紅「待ちなさい蒼星石」
蒼星石「真紅!?」
真紅「雛苺を助ける必要はないわ」
ジュン子「お、おい!? 真紅…?」
348 :
真紅「そういうことじゃあないわ。雛苺は今の状態がいい」
翠星石「!?」
真紅「サクラノオロチも雛苺も、今のままが物凄く、いい!!」ズドッ
ジュン子「真紅!? 真紅がいきなり何もない空間を殴ったぞ!」
翠星石「何やってるです! 末堂みたいに正拳突きでチビ苺を応援しているつもりですか!」
蒼星石「違う! 真紅が殴ったのは…」
オロチ「ぎしゃーーーーーっ!」ズドドドオオン
ジュン子「何か重量のある物体が倒れた音と地響き!? オロチか!」
翠星石「なんですとーっ!」
雛苺「ーーっ!」ズポーン
蒼星石「ひ、雛苺が吐き出された!」
オロチ「……」ピクピク
ジュン子「ようやく、僕の目でもオロチの全貌が見えてきた」
蒼星石「オロチが気絶して保護色の能力が落ちてきているんだ」
翠星石「ひーふーみー、うわっ! 本当に頭が5本もあるですぅ」
349 :
真紅「ミスティカの気配よ。雛苺のローザミスティカの気配を探った」
ジュン子「そ、そうか! 真紅達はお互いのミスティカの気配を感じ取れるんだったな!」
蒼星石「でも、それはただ何となくミスティカが近くにあるというだけの感じ方のはず。
  方角が分かったりするようなものでは…。それに僕や翠星石のミスティカもここにあるんだ。
  雛苺のミスティカだけを区別できる方法なんて…」
翠星石「そうです。現に翠星石も蒼星石も、オロチの居場所はつかめなくて困って…」
真紅「確かに、そのとおり。しかし、感覚の目でよーく見れば分かったはずよ」
蒼星石「!?」
真紅「何故なら雛苺は、オロチの腹の中で敢えて自分のミスティカを放出したのだから」
翠星石「え?」
雛苺「……」ぐったり
ジュン子「ああっ! 本当だ! こいつ、抜け殻だ! ミスティカを吐き出してやがる! 早く戻してやらなくちゃ」
蒼星石「な、なぜ雛苺はそんなことを?」
真紅「雛苺がミスティカを放出した瞬間、その瞬間だけはわずかにミスティカの感じ方が変わった。
  そのお陰で、私はオロチの居場所が分かったのよ」
蒼星石「しかし、そんな微妙な違い。あらかじめ予測して、それに備えていて、やっと分かるような」
真紅「雛苺は強い子よ。ただでやられるはずはない。
  きっと私達にオロチ打倒の手がかりを示してくれるはず。私はそれを信じていた」
翠星石「信じて…」
350 :
ジュン子「よしっ! 雛苺が意識を取り戻したぞ!」
雛苺「し、真紅…ヒナのメッセージちゃんと受け取ってくれたのよね」
真紅「勿論よ」
蒼星石「…なんてことだ。僕は狼狽えてばかりで、姉失格だ…こんなザマじゃ」
翠星石「そ、蒼星石…」
真紅「いいえ、それは違うわ蒼星石」
蒼星石「?」
真紅「私と雛苺の作戦も上手くいくかは微妙だった。雛苺が本当にミスティカを吐き出したのかどうかも
  分からなかったし、それでミスティカの感じ方に違いが出るかも今の今まで分からなかった」
翠星石「じゃ、じゃあ真紅はどうして、それを信じて…?」
真紅「あなた達がいたからよ。まだ私の姉が二人もいる。だから私は無謀な賭けもできた」
蒼星石「……」
真紅「そういう意味では、私は雛苺だけじゃあなく蒼星石と翠星石の事も信じていた。
  私が失敗しても、あなた達ならきっと助けてくれる…とね」
翠星石「…真紅」
蒼星石「ふぅ、敵わないな真紅には…本当に」
351 :
真紅「景色に隠れて獲物を襲うということは、裏返せばそれが弱点。打たれ弱い蛇だった。
  それに私達から見えていないと思っていて油断していたようだわ」
ジュン子「油断て、蛇が…か?」
真紅「中途半端に高い知能がそうさせたのかもね」
雛苺「ヒナはただ単に真紅が馬鹿力だっただけだと思うの」
翠星石「…で、どうするんです? この気絶したオロチは?」
オロチ「……」ぐったり
蒼星石「庭師連盟に連絡して引き取りに来てもらおう。そしてもっと人のいない所に移送してもら…ッ!?」
真紅「蒼星石? どうしたの?」
蒼星石「い、いや何でもない! オロチが目覚めて暴れられると厄介だ。雛苺、苺わだちで縛っておいてもらえるかい?」
雛苺「うぃ! お任せなのよ?」シュルルル
翠星石「これにて一件落着! この山は楽しくお花見できるようになったですぅ!」
蒼星石「……」
352 :
蒼星石「……」
翠星石「どうしたですぅ蒼星石? 疲れたのですか?」
ジュン「そりゃ疲れもするよ…。あの後、連盟からお礼の品をせしめて、そのまま花見の宴会を始めやがって」
真紅「ついでよ、ついで。折角の桜盛りの山を、蛇を退治しただけで帰ってくるのはもったいないでしょう?」
雛苺「うぃ! ヒナも体を張ったんだから、少しは元を取って楽しみたかったの」
ジュン「逞しい奴らめ…」
353 :
ジュン「どうした? 急に大声を出して? 蒼星石?」
翠星石「何が『そういうことか』なんですぅ?」
雛苺「うみゅ? 蒼星石が今、手に持っているそれはヒナ達が100円ショップで買った桜の枝なのよ」
真紅「確かによくできているわよね、それ。私も100円ショップで見つけた時は驚いて…」
蒼星石「いや、そういうことじゃあない。こっちの方も見てくれ」スッ
ジュン「ん? 桜の花びら? こっちは本物の?」
翠星石「nフィーの山から持って帰っていたですか?」
蒼星石「違う、これはあのサクラノオロチの鱗だ。剥がれて落ちていたのを一枚拾ってきた」
真紅「なんでまた、そんな?」
蒼星石「この鱗の隅に、微妙に文字のように見える模様が気になったからなんだけど…」
ジュン「んー? そう言われればそうだな。しかし、ただの模様だろ?」
蒼星石「でも、この100円ショップの桜の花びらと見比べてみると…?」
真紅「ッ! メイド・イン・フィリピン…!? そう読めないこともないわね、この鱗の模様も!?」
翠星石「た、確かに! そう言われてから見ると、そうとしか見えないです! アハ体験のようです!」
ジュン「ど、どういうことなんだ? まさか、あのサクラノオロチもメイド・イン・フィリピン?」
蒼星石「違う! だが、しかし! これで僕の抱いていた小さな謎も解けた!」
雛苺「小さな謎?」
354 :
  これ見よがしに用意したジュン子ちゃんを無視して、最初に雛苺を襲ったわけも。
  演技や油断をした知能の高さも! そして真紅のパンチ一発でダウンしたのかも…っ!」
真紅「え? なになに? どういうこと?」
ジュン「一人だけで納得していないで、僕達にも分かるように説明を…」
蒼星石「…サクラノオロチの鱗の桜の花びらへの偽装、完璧だったろう?」
翠星石「え、ああ、まあ、そうでしたね」
真紅「雛苺がミスティカの機転を利かしていなければ全然、分からなかったわ」
蒼星石「それはサクラノオロチが成長の過程で、春が来るたびに自らの周囲の桜の花を観察し
  それに合わせた形の鱗へと成長するからだ。年若いサクラノオロチの子供は擬態も上手くない」
ジュン「おい、蒼星石! 何を回りくどい説明を…! 僕達が今、聞きたいのはそんな解説じゃ…」
蒼星石「nフィーの桜の山の花びらにも似ていたが、それ以上にあのサクラノオロチの鱗は
  この100円ショップの桜の花びらに似ているということだ」
雛苺「?」
蒼星石「つまり! あのオロチは人工の桜の花びらに囲まれて成長していた…いや『育てられていた』!」
ジュン「ッ!!」
翠星石「てぇことは!」
真紅「誰かが意図的に、あのサクラノオロチを山に放った…ッ!?」
355 :
  体温のあまり無い人形も積極的に襲うように! 演技をし、僕達を誘うような真似も、きっと。
  そして思いのほか打たれ弱かったのは人工温室での促成育種だったからと考えれば…」
翠星石「蒼星石のその推理が正しければ、完璧に私達を狙った罠だったですか今回!?」
雛苺「うぇえっ!? ほ、本当なのよ、それ!?」
蒼星石「偶然にしては出来過ぎている気もする」
ジュン「しかし、nフィーの奴が何で100円ショップのプラ製の桜の花びらを利用してたんだ…?」
真紅「nフィーの人達に、日本の100円ショップが大人気だって話を聞いたことあるわ」
ジュン「マジっすか」
翠星石「そんな…っ! で、では庭師連盟が蒼星石を騙したのです!?」
蒼星石「蛇退治を僕に持ちかけたのは確かに連盟だが…」
ジュン「ただ、何かnフィーで事件が起きれば、連盟から蒼星石に連絡が行くのもほぼお約束だしな」
真紅「庭師連盟以外でも、仕組める罠というわけね」
翠星石「うぬぬ…。だ、だったらあのオロチをもっと調べておくべきだったのじゃあないですか?」
蒼星石「ジュン君の部屋に帰って来てようやく、この鱗に対する違和感の正体が掴めたんだ。
  あの時点では、ここまでの推論には至っていなかった」
真紅「それに結果として私達がサクラノオロチの罠に気づいていなかった方が、あの場では良かったのかもしれない」
翠星石「どういう意味です?」
蒼星石「サクラノオロチの飼い主が僕達を見張っていた可能性もあるということだ」
ジュン「罠を仕掛けた本人が…?」
真紅「私達に気付かれていないと思っているのなら、蛇の飼い主もきっと油断する」
雛苺「うゆゆ…。け、けど、その蛇の飼い主って一体…?」
356 :

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