露伴「夜見山北中3年3組?」back

露伴「夜見山北中3年3組?」


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1:
ジョジョ4部とAnotherのクロスです
原作のネタバレあり
1998年なので岸辺露伴はスタンド能力まだ持っていません
3年3組座席表
ttp://www.another-anime.jp/character/images/zaseki-00.jpg
関連SS
恒一「東方仗助君? 仗助ってジョジョって読めるよね」
ttp://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1349962416/
続編ですが、上のSSを読んでなくても大丈夫です
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1357993129
2:
旧校舎第2図書室
中尾「岸辺露伴? って、あのジャンプに連載している漫画家の!?」
露伴「目の前にいる人間の名前を呼び捨てにするのか? 中尾君」
杉浦「すみません。露伴先生とお呼びすれば?」
露伴「フン、まあいいだろう」
赤沢(学校の校門付近で写真を撮りまくっている不審者がいるということだったけど……)
赤沢(まさか、有名な漫画家だったとはね)
赤沢(しかも夜見山北中の3年3組の『災厄』のことをどこから聞きつけたものか)
赤沢(『取材』ということでわざわざやってきたらしい)
赤沢(対策係としてはこういう事態にも対応しなければならない)
赤沢「岸辺さん。それで、聞きたいことがあったら我々3人が相手をしますので」
赤沢「他の生徒や学校関係者への『取材』は遠慮してもらえるでしょうか?」
露伴「……」ジトーッ
赤沢(不審者のくせに、態度でかいなコイツ……)イライラ
露伴「それが条件というわけか。でもむこうから勝手に話すのは構わないよな?」
赤沢「ッ! あなたは、興味本位でやっているだけかもしれませんが」
赤沢「私達にとって、これは……この『現象』はデリケートで真剣な問題なんです!」ゴゴゴゴゴゴ
露伴「興味本位? 結構だね。ぼくにとって好奇心は生きる糧だ、こればかりはゆずる訳にはいかない」
露伴「自分が納得するまで調べる。たとえ何日かかろうともね」バァーーーン
3:
夜見山北中校門前の道
露伴(クラスに紛れる死者。毎月訪れる身近なものの死。……そして、いないもの対策か)
露伴(正直良く出来た都市伝説っぽいが、あの3人はたしかに真剣だった)
露伴(やはり好奇心が湧いてきたぞ! この『現象』もっともっとよく調べる必要があるッ!)
露伴(明日も引き続き、夜見山で取材だな)
少女「あなた。夜見北中から出てきたけど……だれ?」
露伴(ん? 女の子が話しかけてきたぞ。私服だがここの生徒か?)
露伴「岸辺露伴。漫画家だ」
少女「へぇ。そうなんだ」
露伴「知らないのか? まぁ、ぼくの描いているのは少年漫画だからな。最近は女子にも人気出てきてるんだが」
少女「そんなことより。私に話しかけて大丈夫なの?」
露伴「ん? ああ、対策係の言ってたことか。大丈夫、ぼくから話しかけたんじゃないからね」
少女「ふぅん。でも、気をつけたほうがいいよ」
少女「ここは死に近い場所だから。部外者はあまり深入りしない方がいいかも」
露伴「好奇心は猫をも殺す、ってやつかい? あいにくこの岸辺露伴は、そのぐらいの脅しじゃあきらめないんでね」
露伴「……」
露伴「そうか! 部外者じゃなくなればもっと突っ込んだ話もできるな……。君、ありがとう」
少女「……」
4:
翌日3年3組教室
久保寺「と、言う訳で、漫画家の岸辺露伴先生には2日間。特別講師として美術の指導をしてもらうことになりました」
久保寺「こんなことはまたとない機会ですが、浮かれず、しっかりお話をうかがうように」
露伴「短期間ですが、みなさんよろしくお願いします」
小椋「ま、マジ!?」
勅使河原「すげえ、本物だ」
猿田「あとでサインもらうぞな」
多々良「でもなんでまた講師に?」
藤巻「出版社のお偉いさんと、うちの校長が知り合いとからしいよ」
ザワ…ザワ…
赤沢「あんの無能校長めェェ」ギリギリ
杉浦「泉美……」
鳴「……」ジー
露伴(ん? あの子。昨日校門前で会った)
恒一「露伴先生に質問いいですか?」
久保寺「榊原君。どうぞ」
恒一「夜見山には、なんでいらっしゃったんですか?」
露伴「フム。実はいま引越しを考えていてね。東京はゴチャゴチャしてるんで、いいところを探しているんだ」
恒一「そ、そうなんですか」
露伴「第一候補は出身地のS市なんだけど、取材がてらあちこち旅行してるんだ」
恒一「お仕事の合間に? 週刊連載ってかなり忙しいんじゃ……」
露伴「4日あれば、漫画の原稿は仕上げられる。あとの時間は色々やってるね」
望月「やっぱり天才はすごいね」
鳴「……」
5:
旧校舎美術室特別講義の時間
露伴「それではみなさんにこのシートを配ります」
恒一「キャラクター身上調査書?」
こんなの
ttp://www.nhk.or.jp/kokokoza/tv/art/chousahyou.pdf(PDF注意)
露伴「漫画や物語をつくる上でキャラクターはとても大事な要素です」
露伴「魅力あるキャラクターがいるだけで物語は勝手に進んでいく場合もある」
露伴「逆に、例えば『カエルが苦手』という設定のキャラを作ったのに、いつの間にかカエルの足の料理を食べているとか、矛盾を避けるためにこういうものが必要だ」
露伴(ま、ぼくには必要ないんだけどね)
勅使河原「うへェ。例えがちょっとキモい……」
露伴「今回は、ぼくの『ピンクダークの少年』第三部みたいに特殊能力を持ったキャラを作ってみてくれ」
露伴「出来たキャラクターのイメージをスケッチブックに描いてもらってもいい」
小椋「露伴せんせー!」ビシッ
露伴「はい、小椋さんかな?」
小椋「優秀作品は先生の漫画にキャラクター出してもらったりするんでしょうか?」
露伴「ふむ。そうだな……一番面白いキャラクターは採用しよう」
一同「オオー」
小椋「マジか!? あたし、がんばろっと」アニキニジマンシテヤル
露伴(とは言うものの、誰が一番か発表しなければ別に採用しなくてもいいんだがな)
6:
中尾「露伴先生! できました!」
露伴「早いな中尾君。なになに? 名前『ギュンター・仲戸』。特殊能力は空中に船のスクリューをいくつも出して推力を操る。クラスの一番の美人に振り向いてもらえるように奮闘している……」
中尾「ど、どうでしょう?」
露伴「月並みなキャラだね」バッサリ
中尾「ひどいィィ。あァンまりだァァァ?ッ!」
赤沢(中尾?ッ。なにノリノリで書いてるのよ!)
綾野「先生! こんなのどうですか?」
露伴「ふむふむ。特殊能力の名前が『ホットロッド・ハネムーン』。クルマを操る女の子か」
綾野「この子は、ドライブに連れて行ってもらえなかったのがトラウマになってるんです」
綾野「みんなに嫌われないように明るく振舞ってるんですけど、本当は寂しがり屋で一人になるのが怖いんです」
露伴「ちゃんとキャラクターの設定につながりがあるな。いい感じだ」
綾野「えへへ」
赤沢(むぅ?。彩まで懐柔されてるッ!)イライラ
杉浦「露伴先生。お願いします」
露伴「ほう。特殊能力が『ウソを広める』女の子か」
杉浦「好きな男の子が親友を好きになってしまって、この能力を使えるようになったんです」
杉浦「でも、2人にはこの能力を使うことができず。関係ないクラスメイトに使ってしまって大変なことになる感じです」
露伴「ストーリーも見えてくるようだね」
杉浦「ありがとうございます」パァァァ
赤沢(多佳子まで何やってるのッ!)
7:
恒一「見崎、どう? 書けた?」
鳴「……」カキカキ
恒一「い、いきなり絵のほうから描いてるんだ」アセアセ
鳴「私はこっちのほうが得意だから」
恒一「見崎らしいって言えば見崎らしいね」
鳴「榊原くんはどうなの?」
恒一「うん。大きな塔に住んでいるキャラをイメージしてみたんだ」
鳴「どんな能力なの?」
恒一「塔の壁に人間の歴史が書かれた壁画があって、そこから好きな時代にいけるって感じかな」
恒一「でも、このキャラが本当にいきたい時代にはいけないって設定」
鳴「なんか悲しげな感じだね」
恒一「H.P.ラヴクラフトの怪奇小説で、古代遺跡の壁画が出てくる話があるんだけどそれをヒントにしたんだ」
鳴「ふうん」
恒一「見崎の方はどんなの?」
鳴「まだ秘密」
恒一「……」
赤沢(見崎さんと恒一君は仲良くやってるし。もうッ!)ビキビキ
8:
柿沼「私は、ちょっと絵を描くの苦手なんですけど」
露伴「でも、シートの設定は面白いね。自然に囲まれた神社にすむ女の子。触れたPCや携帯などの精密機械が全て動かなくなってしまう能力、か」
露伴「ちょっと、スケッチブックを貸してみてくれないか?」
柿沼「あ、はい」
露伴「……」ドシュドシュドシュ!
望月「えっ!?」
勅使河原「いま、露伴先生何やったんだ?」
露伴「ちょっと君に似せた巫女さんのイメージで、このキャラを描いてみたんだが」バーン
こんなの
ttp://rdg-anime.jp/
柿沼「すごい。感動です!」
勅使河原「一瞬であんな細かい絵をッ!」
望月「漫画家ってみんなあんなに描くの早いのかな?」
勅使河原「そりゃそうだろ! じゃなきゃ週刊連載なんて無理無理」
望月「僕も見習わないとなぁ」
勅使河原「早く描けてもみんなムンクじゃあなぁ……」
望月「ムッ! ぼくの絵は全部違うんだって」
勅使河原「ハイハイそうでした。スイませェん」
9:
露伴「君、昨日はどうも」
鳴「……」
露伴「眼はどうしたんだい? ケガでもしたのかな?」
恒一「あの、露伴先生? 見崎と知り合いなんですか?」
露伴「見崎さんと言うんだね。下の名前は?」
鳴「鳴……。共鳴の鳴、悲鳴の鳴」
露伴「雷鳴の鳴ね。榊原君の下の名前もついでに聞いておこうか」
恒一「恒一です。恒久、恒星の恒です」
露伴「恒一くんか。いい名前だな」
恒一「普通の名前ですよ」
露伴「そうかな? それになんか君とは気が合う感じがするぞ」
恒一「そ、そうですか?」タジタジ
露伴「で、鳴ちゃんはシート何も書いてないんだね」
赤沢(鳴ちゃん?)ガタッ
勅使河原(なんでちゃん付け?)
鳴「……」ムスッ
恒一「あ、露伴先生。見崎はまず絵からイメージしているそうです」
露伴「ほう。見てもいいかい? 鳴ちゃん」
鳴「……露伴先生は、『露伴ちゃん』って呼ばれたら良い感じする?」
赤沢「……」プッ
勅使河原(見崎。ナイス返しだ)グッ
露伴「そんな呼ばれ方したことないが……。まぁ、ちょっと馴れなれしいと思うかな」
鳴「わたしもそう思います」
露伴「そうか、じゃあ鳴ちゃん、絵を見るよ」
勅使河原(……だめだこりゃ)
10:
特別講義後廊下
露伴(さて、誰に『災厄』のことをきこうかな)スタスタ
露伴(対策係や委員長たちはあまり話してくれなさそうだし、かといっておしゃべりな生徒は『リアリティ』のない作り話とかされそうだしな)
女性「……」ユラァ
露伴(ん、先生かな?)エシャクシテトオリスギル
女性「恒一くんのこと、よろしくお願いします」ボソッ
露伴「?」
露伴「ん? もういなくなった。そういえば、あんな先生、朝挨拶した時いたっけか?」
露伴(恒一くんか……)
11:
放課後教室
恒一「じゃあ、僕は仗助くんのうちに寄ってから帰るけど、見崎も一緒に来る?」
鳴「うん」
露伴「恒一くん。ちょっといいかい?」
恒一「露伴先生? 何か用ですか?」
露伴「いやね……。ちょいと聞きたいことがあるんだよ。これから時間いいかい?」
恒一「僕、今から風邪で休んでる友達の家にプリントやノートのコピー持って行くところなんですけど」
露伴「この岸辺露伴が頭さげて頼んでいるのに。ふ?ん、そうかい」
露伴「いいとも、人に冷たくしといてせいぜいテストでいい点とっていい学校に入りたまえ」
恒一「ワガママな人だなぁ。露伴先生って……」
鳴「……」
桜木「あの?。榊原君?」
恒一「桜木さん。どうしたの?」
桜木「もし、なんだったら仗助くんのところには私が……。家も知ってるし」
露伴「おお! ありがとう! さすが委員長君」
恒一(僕まだ何も言ってないんだけどなぁ)
露伴「じゃあそのトウホウ君だっけ? それは任せたよ」
鳴(読み方間違ってる……)
桜木「あ、は、はい」
恒一「桜木さん。ごめんね」プリントワタス
桜木「いいえ、大丈夫です///」
10
露伴「じゃ、校内で立ち話も悪いし、どこかの店でも行こうか。夕飯ぐらいおごるよ」
恒一「はぁ」
赤沢「ちょっと待ってください!」ズイッ
露伴「お、赤沢さん、だったっけ? なんか用?」
赤沢「恒一君から、色々聞きたいなら私も同席させてもらいます」
露伴「ふ?ん。君からはもう聞きたいことはないんだけど」
赤沢「そっちに用がなくてもこっちにはあるんですッ!」ドドドドドド
露伴「チッ。しかたないな。特別に認めよう」
恒一(露伴先生……。すごく偉そうだなぁ)アセアセ
鳴「わたしも一緒に行っていい?」
露伴「鳴ちゃんなら、大歓迎だよ」
恒一(今の赤沢さんに聞いたんだと思うんだけど……)
12:
イノヤ店内
露伴「赤沢さんの馴染みの店ねぇ。意外といい感じのところだな」
鳴「……」サンドイッチモグモグ
赤沢「ここなら変な話しても、ある程度は大丈夫ですからね」
露伴「そうか、早だが恒一くん。聞きたいことというのは」
露伴「3年3組の『災厄』のことなんだが」
恒一「……」ビクッ
鳴「……」ピタッ、タベルノヤメル
露伴(フム。予想以上の反応だ)
鳴「ねえ。赤沢さんこれ大丈夫なの?」ボソボソ
赤沢「大丈夫なわけ無いでしょ! でもこの男、いくら言ってもしつこいのよ」ボソボソ
露伴「昨日、赤沢さんから概要は聞かせてもらったんだけどね」
露伴「今年の『災厄』はもう終わってるんだって?」
露伴「どうやって止めたか、そのあたりを詳しく聞きたいんだ」
赤沢「きしゅべ先生!」
鳴(噛んだ……大事なところなのに)
赤沢「……露伴先生! 恒一君や見崎さんは辛い思いをしたんですよ! そんなに根掘り葉掘り聞かないでください!」
恒一「……赤沢さん」
露伴「ぼくは、恒一くんに聞いてるんだ!」
赤沢「そんな、こんなひどいことしなくたってあなたは有名な漫画家になってるじゃないですか」
13:
露伴「この岸辺露伴が金やちやほやされるために漫画を描いていると思っていたのかァーッ!!」
赤沢「」ビクッ
露伴「ぼくは『読んでもらうため』漫画を描いている。そのために『リアリティ』のある題材を探し続けている」
露伴「『傑作』が描けるという最高の『題材』をつかんだ時の気分は君らにはわからんだろうッ!」
赤沢「でも……残酷すぎますッ!」
露伴「残酷!? ど素人の小娘がこの『岸辺露伴』に意見するのかねッ!」
露伴「ぼく自身を、軽蔑しても、嫌ってもらっても構わない。だが、いい『作品』を描くためにできることなら、なんでもする」
知香「あのー」モジモジ
露伴「あ、ああ、大声を上げてしまってすまない」
知香「いえ、岸辺露伴先生ですよね? わたしファンなんです! サインお願いしてもいいですかッ?」シキシトサインペンサシダス
露伴「いいですよ」ドシュドシュ!
知香「感激です! お店にサイン飾らせてもらいますッ!」
14:
露伴「……」
恒一「……」
鳴「……」
赤沢「……」
恒一(今の、多分、知香さんのフォローだったんだよね)
恒一(でも、まだ空気が重いな……)
鳴「露伴先生……。わたしから聞くのじゃダメ?」
恒一「見崎……」
鳴「榊原君や赤沢さんは直接『視た』ことは少ないので、わたしが説明するのがいいと思う」
露伴「いいだろう。詳しい話をお願いできるかな?」
恒一(見崎は露伴先生に、『現象』との戦いのあらましを話した)
恒一(途中、眼帯を外して死者が『視える』という事も含めて……)
恒一(もちろん、一般の人に知られてはいけないようなことはぼかして、だが)
恒一(それでもおそらく、赤沢さんが話したことよりは、かなり突っ込んだ内容になっていたのではないかと思われる)
恒一(露伴先生はスケッチブックやメモ帳にいろいろ書き殴りながら、たまに質問しつつ見崎の話を最後まで聞いた)
露伴「フムン。つまり災厄の元凶となっていた『現象』はもう起こらなくなったと?」
鳴「……多分」
赤沢「でも、一応対策係は残してあります」
露伴「なんかそれは無駄な気もするな」
赤沢「……」ギギギ
露伴「でもありがとう! 話してくれて」
恒一「あの、露伴先生。このことを漫画にしたりするんですか?」
露伴「もちろん! 素晴らしい題材だからね」
恒一「出来れば、少し特定できないような感じにすることは……?」
露伴「……」
15:
露伴「ぼくは作品に一切妥協することはしないッ!」
鳴「……」
露伴「……だが、まぁ。考えておこう」
露伴「それに、素晴らしい題材であっても、それが素晴らしい作品にそのまま反映されるとも限らないんでね」
露伴「とにかく今日はありがとう。ではまた明日の講義で会おう」デンピョウモッテバイバイ
恒一鳴赤沢「……」ポカーン
恒一「嵐のように来て、嵐のように去っていった」
赤沢「はた迷惑すぎよ……」グッタリ
恒一「悪い人じゃないんだろうけどなぁ」
鳴「榊原君、赤沢さんちょっと話が」
恒一「何? 見崎」
鳴「露伴先生。私の左目で『視た』時……」
鳴「少し……ほんの少しだけだけど『死の色』が見えた」
恒一「そ、それって」
鳴「露伴先生、危ないことに巻き込まれるのかもしれない……」
19:
夜見山市内某書店
中尾「あれ? 杉浦、こんなところで奇遇だな」
杉浦「な、中尾? ここに何しに?」
中尾「いや、ほら、露伴先生のコミック、『ピンクダークの少年』だっけ?」
中尾「俺、持ってなかったんで、ちょっと買って読んでみようかなって」
中尾(ついでに本にサインもらっちゃおうとか考えてたりして)ミーハー
杉浦「そうなんだ」モゾモゾ
中尾「杉浦は、なんか荷物多いけど何買ったんだ?」チラ
杉浦「こ、これは……」シキシドッサリ
中尾「……」
杉浦「わ、私じゃないよ。そう! と、友達とか家族に先生のサイン頼まれたの!///」
中尾「杉浦も意外と可愛げのあるとこあるじゃん」ハッピーウレピー
杉浦「か、カワイイって……///。このスカタン!」ゲシッ
中尾「プギャッ」ドスン
男「……」ギロッ
杉浦「あ、すみません。大丈夫ですか?」
男「……」スタスタ
杉浦「……。ぶつかったのに中尾が謝らないから、怒って行っちゃったじゃない!」
中尾「お、俺のせいなのかよ……」イテテ
杉浦「今の人……、なんか中尾に似た感じの人だったよね?」
中尾「そうかあ? どちらかと言えばジャズの空条貞夫みたいに格好いいおじさんッて感じだったような」
杉浦「……。それって遠回しに自分がカッコイイって言ってるつもり?」ジトー
中尾「別にそういう訳じゃ」
杉浦「人のことカワイイとかカッコイイとか、軽々しく言わないでね!」
中尾「さっきから何を怒ってるんだか……」ヤレヤレ
20:
夜見山市内路地
露伴「全く、ホテルが学校や駅から遠いのはいまいちだな夜見山は」テクテク
露伴「それにしても、見崎鳴ちゃんから聞かせてもらった今年の『災厄』の話は衝撃的だった! ドンドン創作意欲がわいてくるッ」
露伴「この勢いのまま、部屋に戻ったら、早、原稿のコマ割りだけでも済ませてしまおう」
??「……」トボトボ
露伴「……?」
露伴(誰か後ろを歩いている?)クルッ!
シーン
露伴「気のせいか……。感覚が興奮で高ぶっているせいかな?」テクテク
??「……」ニヤリ
21:
イノヤ店内
恒一「赤沢さん、『災厄』のある年って3組の先生も対象になるんだよね?」
赤沢「ええ」ハッ!
赤沢(恒一くん……三神先生のこと思い出してるのね。露伴のヤツめ?)
赤沢「でも、死者もいなくなったから大丈夫なはずよね? 見崎さん。実際あれから誰も被害受けてないし」
鳴「うん。でも、『災厄』の力がどこまで及ぶのか、完全にわかっているわけじゃないから……」
恒一「僕みたいに、『ある年』に途中から転校してきた人は過去にはいないのかな?」
赤沢「そういうのは今年が初めてだったはず。さすがに、『現象』が起こっているのがわかってるのに3組に転入はさせないでしょうから」
恒一「露伴先生みたいな特別講師の例だったらなおさら不明か……」
鳴「どうするの? 榊原君」
恒一「夜見山を離れれば大丈夫なら、露伴先生が滞在する明日を乗り切ればなんとかなる……」
恒一「露伴先生にすぐ連絡がつかないか、久保寺先生に聞いてみるね」ケイタイピッピッピ
鳴「……」
赤沢「もう、いつまで迷惑かければいいのよアイツは?」
鳴「赤沢さん、ごめんね」
赤沢「え? いえ、見崎さんのこと非難してるわけじゃないのよ」
赤沢「その……。死の色がわかるってのも怖いことだろうし……」
鳴「……やさしいんだね」
赤沢「ばっ///。た、対策係として当然のことをしてるだけよッ!」
22:
恒一「……。だめだ、ホテルに電話かけたんだけど、まだ戻ってきてないって」
鳴「そのホテルってここから離れてるの?」
恒一「歩いて15分ぐらいかな?」
赤沢「……もしかしたら、電話の取次を断っているだけかも」ファンタイサク
恒一「このままだとわからないね」
鳴「直接会いに行ったほうがいいかな?」
恒一「そうだね。もう遅くなるから、2人は先に帰ってて。僕が露伴先生の様子見てくるよ」
赤沢「恒一くん。ちょっと待って」ケイタイピッピッピ
恒一「?」
赤沢「あ、3組の赤沢と申しますが、順太くんお願いできますでしょうか?」
赤沢「……。中尾? 電話に出るの遅い! 『ピンクダークの少年』が面白いところだった? そんなの知らないわよ!」
赤沢「どうでもいいから、ちょっと今からイノヤに来なさい! すぐによ!」ピッ
赤沢「万が一のとき恒一くんだけだと危ないから、中尾と一緒に行ってくれる?」チョットタヨリナイケド
恒一「ご、強引だね」ハハ
鳴「中尾君の家って、結構遠くなかったっけ?」
恒一「たしか僕の家の近くだよ」
赤沢「これも対策係の仕事のうちよ! 大丈夫」ドヤァ
鳴「中尾君……」ドンマイ
25:
夜見山市街路地
中尾「まさか露伴先生まで3組の災厄の影響を受ける事になるなんて……」ヘックシ!
恒一「中尾君、ごめんね急に呼びだしちゃって」オフロハイッタアトダッタ?
中尾「いや榊原君! 露伴先生は日本の漫画界の至宝! ぜったい守らなくちゃ!」グッ!
中尾(『ピンクダークの少年』の続きも気になるし!)
恒一「そ、そうだね」
中尾「で、先生どこに泊まってるんだっけ?」
恒一「この先の『リプル夜見山ビジネスホテル』ってとこらしいよ」
恒一「とりあえず、無事の確認をして『災厄』の警告をしないと……」
恒一「露伴先生。いまのままだと無防備だからね」
恒一(でも、『普通』の人間の露伴先生に警告した所で、防ぐ手立てはあるのだろうか?)
中尾「……」
中尾(考えてみたら榊原君とふたりで話すって初めてのような)ゲンショウノトキハ、ノーカン
中尾(赤沢さんのこともあるし、ちょっと気まずい、か、も)
恒一「着いた、ここだね」
中尾(……。イカン! 今はそんなこと考えている時じゃないぞ中尾順太!)
中尾「よし! フロントに聞いて部屋に突撃だ!」
恒一「……。宿泊者以外は基本的に部屋には入れないよ。ロビーに先生を呼び出してもらうよう頼んでみよう」
中尾「そ、そういうものなんだ」ホテルトマッタコトナイノデヨクワカラン
26:
リプル夜見山ロビー
中尾「……」イソイソ
恒一「中尾君? 寒いとか?」
中尾「いや、ちょっと落ち着かないだけなんで」
恒一「そう? トイレとかだったら行ってきていいよ」
中尾「大丈夫大丈夫」
恒一「露伴先生遅いね。フロントの人の感じからすると、部屋には、いるみたいだけど」
中尾(この間をつなぐ話題は……そうだ!)
中尾「そういえばさ、榊原君ってお弁当自分で作ってるんだって?」
恒一「え? うん、まぁたまにね」
中尾「チラッと見たことあるけど、美味しそうだったなぁ、なんて」
恒一「東京の学校で料理研究会に入ってたんで」
中尾「なっ! それはスゴイ……」オレメダマヤキシカツクレン
恒一「料理とホラー小説が趣味、ってなんか変だよね」ハハ
中尾「そんなこともないんじゃ?」
恒一「でも、お母さんが作ってくれるお弁当ってのにも憧れるなぁ」
中尾(げぇっ! 何やってるんだ俺!)
中尾(榊原君にお母さんのこと思い出させちゃってどうするんだよ!)
中尾(15年前榊原君を産んですぐ、夜見山で、災厄のせいで亡くなったんだよな……)
中尾「う、うちの母さんの弁当は、あんまり美味しくないかも」アセアセ
恒一「自分のお母さんのこと、悪く言わないほうがいいよ」ムッ
中尾(oh……。ドツボ……)
27:
中尾「ろ、露伴先生、本当に遅いなぁ」エレベーターチラッ
中尾(先生ーッ! はやくきてくれー)
チーン
中尾(お、エレベーターが! 来てくれたかな?)
男「……」スタスタ
中尾(違ったーッ!)
中尾(でもあれ? あの人……)ジー
恒一「どうしたの? 中尾君」
中尾「いや、今フロントに鍵を預けて外に出てった人。さっき書店に行った時、見かけたなーって」
恒一「よく覚えてるね」
中尾「ジャズミュージシャンの空条貞夫に似てたから、覚えてたんだ」
恒一「……。その人はよく知らないけどS.キングに似てるのかな?」
中尾「へ?」
恒一「なんかそんな感じの人だった」
中尾「キングは名前は聞いたことあるけど、どんな人かはしらないな。有名ホラー映画の原作の人だよね?」
中尾「空条貞夫なら俺CD持っているから、後で貸してあげようか? 結構おすすめだよ」
恒一「中尾くんてジャズとか聴くんだ」シブイネ
中尾「ま、まあね」
中尾(話題が変わってくれてよかった! ありがとう! 空条貞夫似の人!)
ドドドドッ!
中尾「ん?」
露伴「ハァハァ……」
恒一「露伴先生?」
中尾「なんで階段の方から、走って?」
露伴「恒一くん、中尾君……」ガシッ
恒一「先生、顔色悪いですよ」
中尾「だ、大丈夫ですかッ!?」
露伴「ぼくは……。ぼくは今、間違いなくここにいるよな?」
34:
見崎邸付近路地
鳴「赤沢さん、振り向かないで聞いてくれる?」
赤沢「え? どうしたの?」
鳴「私達、誰かにつけられているみたい……」
赤沢「なんですって?」
鳴「もう遅い時間だし、危険だから、赤沢さん。私の家に寄って行って」
赤沢「それはいいけど、一体誰なの?」
鳴「私の『力』でもよく感じ取れない。でも、嫌な感じ、幽霊みたいな。もしかしたら私と同じような『力』を持っている者かも……」
赤沢「……」
鳴「出来れば、家の人に迎えに来てもらうか、なんだったら、私の部屋に泊まっていってもいいよ」
赤沢「わ、わかったわ」コクリ
赤沢(見崎さんの家に行くのって、初めてね。なんかちょっと緊張する)
35:
見崎邸
霧果「あら、クラスのお友達? それとも美術部の?」
赤沢「お邪魔します。3組の赤沢といいます」
鳴「急だけど、赤沢さん、私の部屋に泊めてもいいですか?」
霧果「それは構わないけど、親御さんへの連絡は?」
赤沢「もう電話したので、ご迷惑でなければ……」
霧果「そう、じゃあ歓迎するわ。鳴、ご飯は?」
鳴「ふたりとも外で食べてきたから大丈夫です」
霧果「ゆっくりしていってね」
鳴「赤沢さん。私の部屋に行こう。あと缶で悪いけどコーヒーもあるから」
赤沢「え、ええ」
36:
鳴の部屋
赤沢「ふう」フロアガリポカポカ
鳴「赤沢さん、その寝間着サイズ大丈夫だった?」
赤沢「ええ。こんなのまで用意してもらって悪かったわね。あとで洗濯して返すから」
鳴「そこまで気を使ってもらわなくてもいいよ。その……友達だしね」
赤沢「そ、そう? それにしても、見崎さんの部屋凄いわね。ちょっと意外」ロフトトカアルシ
鳴「私も髪を下ろした赤沢さん初めて見た。すごく良い感じ」ジー
赤沢「うっ。ちょっとくせっ毛だし、まとめないと大変なんだけど」
鳴「学校でもそのままでいいのに」
赤沢「勅使河原あたりから、からかわれるのが目に見えてるわよ」
鳴「……」
鳴「じゃあ、私もお風呂入ってくるね」
赤沢「うん」
鳴「暇だったら、適当に本でも読んでいて」スタスタ
赤沢「……」
赤沢(見崎さん。どんな本読んでるんだろう?)キョウミシンシン
赤沢(ロフトの床下が本棚になってるのね。どれどれ)
赤沢(画集が多いわね。漫画とかは読まないのかな?)
赤沢(ッて、『岸辺露伴画集」ーーッ!? 見崎さんあいつの本持ってたのか……)
赤沢(でも、露伴先生ってまだデビュー2、3年よね? 画集出せるほど人気あったんだ。というか内容が気になるッ!)ゴゴゴゴゴゴ
赤沢「……」ペラペラァ
赤沢(……うん、やっぱりちょっと苦手。女性向けの本じゃないわよね。望月くんとか好きそうな絵だけど)
赤沢(でも、他にやることもないし、最後までみてみるか)ペラリ
37:
鳴(……お風呂から戻ってきたら、赤沢さんが熱心に画集を見ていた)
赤沢「うーむ」ペラリ
鳴「赤沢さん。その画集気に入った?」
赤沢「ひょわッ!」
赤沢「こ、これは! 別にそんなに好きだからじゃなくて! なんか怖いもの見たさというか……」
鳴「赤沢さん……。私に『ウソ』ついてもすぐわかっちゃうんだよ?」ニヤニヤ
赤沢「うう……。見ているうちに、好きになって来ました」
鳴「よろしい」フフ
赤沢「でも、見崎さんが露伴先生の本持っていたなんて」
鳴「他の人にない絵柄だから、ね。漫画はよんだことないんだけど」
赤沢「これで本人の性格も良ければいいのに。なかなかうまく行かないわよね」
鳴「『鳴ちゃん』はちょっと、嫌」
赤沢「プッ。でも、男子でたまにそう呼んでる人もいるよ」
鳴「本当?」ウウ…
赤沢「勅使河原とかもポロッと言ってたような。恒一くんに『今日は鳴ちゃんと一緒じゃないのか?』とかね」
鳴「……」
赤沢「ま、でも本人目の前にして言うのは、露伴先生ぐらいでしょうけどね」ヤレヤレ
鳴「そういえば、榊原君たちから連絡は?」
赤沢「今のところなにもないわね。特に問題なかったのかも」
38:
鳴「赤沢さん……」ズイッ
赤沢「な、何かしら?」カオチカイ
鳴「やっぱり、赤沢さんも、榊原君のこと気になるんだよね」
赤沢「そ、そうね。そうよ、見崎さんにウソついてもすぐバレちゃうし……」
鳴「私のこと邪魔だと思ってる?」
赤沢「そんなことない!」バンッ!
鳴「」ビクッ
赤沢「あ、ごめんなさい。でも本当よ。見崎さんがいなかったら、私は生きてなかっただろうし、感謝してる」
鳴「……私、4歳の時から、左目と引き換えにこの『力』を手に入れて」
鳴「私のことをわかってくれる、友達や家族はこれからもずっといないんだろうなって思ってた」
鳴「親友だと思ってた子に秘密を打ち明けたり、死の色が見えたりすることを話すと、みんな私を気味悪がって、誰も相手にしてくれなくなった」
鳴「SPW協会だか財団とかいう、怪しげな団体の人が現れて、この力が『スタンド』と呼ばれてることを教えてくれたけど、その教えてくれた人でさえ、この力を持っているわけじゃなかった」
鳴「双子の姉妹だった未咲にもひたすら隠して、他の人とつながるのを避けて……」
鳴「だから、堂々と人のためにこの力を使っていた東方君と、スタンドのことを知っても、普通に接してくれた榊原君に惹かれた」
鳴「そして一緒に『現象』に立ち向かってくれた、赤沢さん達クラスメイトにも」
鳴「だから、そんな友達を失うのが、今度は怖くなったんだと思う。都合いい考えだよね……」
39:
赤沢(そうか……そうよね)
赤沢(見崎さんはこれからも、ずっと死の色を見続けなければならない。身近な人や、大切な人の死の色を……。そして、最終的には自分自身の死をも)
赤沢(便利な力を持ってうらやましい、と思ったりもしたけど、それってものすごく残酷なことよね)
赤沢(『視たくもないものが視える』……。眼帯で隠したりでもしておかなくちゃ、たまらない)ポロポロ
鳴「赤沢さん?」
赤沢「都合よくたっていいわよ!」グスッ
鳴「!……」
赤沢「見崎さんは、私の大切な友達なんだから頼って! 遠慮なく文句言って! 悩みがあったら打ち明けて!」
赤沢「恒一くんのことは、私も譲りたくない。でもそれとこれとは別だから」
鳴「ありがとう、赤沢さん」
赤沢「わたしウソ言ってないでしょう?」
鳴「うん、わかるよ」
赤沢「よしッ! じゃあ、親友の証にハイタッチね」
鳴「え?」
赤沢「こうやるの」ピシガシグッグッ
鳴「……それ。どうしてもやらなくちゃいけない?」タラー
47:
翌早朝、見崎邸
赤沢「ふにっ、あ、もう朝か……」
赤沢(結局あのあと、見崎さんと話し込んでしまった)
赤沢(普段はなんか不思議な感じだけど、話してみれば、彩や由美、多佳子なんかと同じ、やっぱり女の子なんだな)
鳴「Zzz……」
赤沢(ロフトの上でよくわからないけど、見崎さんまだ寝てるわよね)
赤沢(起こさないように着替えて、学校の準備しちゃおう)
48:
リビング
霧果「あら、おはよう。よく眠れた?」
赤沢「おはようございます」
霧果「朝ごはんはパンでも大丈夫?」
赤沢「すみません、色々していただいて」
霧果「いいのよ。私もあの子が女の子の友人を招いて、お泊りさせるなんて初めてのことなんで、うれしいから」
赤沢「……あの、少し見崎さん――鳴さんの事うかがってもよろしいですか?」
霧果「何かしら?」
赤沢「その、ぶしつけかもしれませんが……。昨日のお母さんとのやり取りが、ちょっと……他人行儀だったな、と」
霧果「昔からあんな感じなのよね。たしかにちょっと寂しいかな」
霧果「……。赤沢さん、私達が本当の親子じゃないって、もう聞いてる?」
赤沢「……はい」
霧果「13年前。私は初めての赤ちゃんを亡くてしまったの」
霧果「その時の影響で、二度と子供も産めなくなってしまった」
赤沢「……」
霧果「ショックで、もう生きる気力もなくなってしまった時、あの子が現れた」
霧果「この子、鳴のために生きてみよう。母親になってみよう、ってね」
49:
霧果「でも、あの子にとってそれが本当に幸せだったのか。そう弱気になっちゃうこともあるのよ」
霧果「あ、ごめんなさいね。つまらない愚痴を言っちゃって」
赤沢(見崎さんのお母さんも、4月に藤岡未咲さんが亡くなって、変に後ろめたい思いがあるのかもしれない)
赤沢(養子に出した見崎さんを、返せ、とか言われないか。なんて考えてたりしたのかも……)
赤沢「本当の親子ですよ! お二人は」
霧果「赤沢さん?」
赤沢「私も、私の家にも、ある事情でお兄……従兄弟が、2年前まで一緒に暮らしていました」
赤沢「でも、私は本当のお兄……さんだと思って、慕ってました。ケンカもよくしたりして」
赤沢「うちの両親も私と同じように、本当の子供のように、接してましたし」
赤沢「だから、本当の親子かどうかなんて関係ないと思います!」
霧果「……赤沢さんも、赤沢さんのご両親もいい人たちね」
赤沢「ハッ! な、生意気なこと言ってすいません!」
霧果「いいえ、鳴に赤沢さんみたいな友達がいて、よかったわ」
赤沢「そ、そんなこと///」カァァァ
チーン
霧果「パン……焦げちゃった。焼きなおすね」コゲコゲ
53:
時間はさかのぼって……前夜、リプル夜見山ロビー
露伴「……」ドシュドシュドシュドシュ!
中尾(携帯用スケッチブックに、みるみる絵が描かれていくッ)
恒一「この絵は?」
中尾「先生の自画像……ですよね?」
露伴「よく、見るんだ」
中尾「エレベーターに乗ろうとしている、露伴先生の絵にしか見えないんですけど」
露伴「これはさっき、ぼくが見たそのままの光景を模写したものだ」
露伴「ぼくは、数分前の光景なら寸分違わず記憶から模写する能力を持っているッ!」
中尾(すげぇ、さすが露伴先生、そこに憧れる)
恒一「つまり、露伴先生は僕達に呼び出されてエレベーターに乗ろうとしたら」
恒一「『自分自身』にそっくりな人物が、そこにいたと?」
中尾(自分の後ろ姿って、そうそううまく描けるもんじゃないよな)
中尾(この絵、先生の奇抜な衣装の背中のシワまではっきりと再現されている)
中尾(すると……ドッペルゲンガー? 見ると、死ぬとか良くないことが起こるっていう……あれか?)
中尾(やっぱり、露伴先生になにか良くないことが?)
恒一「でも、僕達、露伴先生をここで待ってましたけど、先生にそっくりな人はみかけませんでしたよ」
露伴「そうか……。だが、さっき恒一くんたちが来た理由は、ぼくに『災厄』の影響が出るかもしれないから、と言っていたな」
恒一「ええ、見崎が先生が危ない目に合いそうに『視えた』そうです」
露伴「なら、やはりこいつが、関係しているかもしれない」ウーム
54:
中尾「夜見山に来てから、怪しい人物に会ったり、奇妙なことがあったりしませんでした?」
中尾(『現象』と同じようなものならスタンド攻撃の可能性が高いからな)
中尾(俺と榊原君は、スタンドの攻撃を受けたことがあるから、参考にできるかも)
露伴「ぼくはもともと、怪奇現象や幽霊とかには縁があるのでね!」フフン
恒一(それ、自慢することなんだ)
露伴「だが、今回は別になにも……。いや、ホテルに戻るときに誰かにつけられていたような」
中尾「それだ!」ビシッ
露伴「おいおい、中尾君。ぼくが『なぜ』後をつけられねばならんのだ? 理由がわからん」ファンナラベツダガ
露伴「『災厄』ってのは、話によると気づくまもなく襲ってくるんだろう?」
中尾「まぁ、そうですが」
中尾「……榊原君。先生にスタンドのこと話したほうがいいんじゃ?」ボソボソ
恒一「出来れば無関係の人には黙っておきたいんだけど。赤沢さんの時みたいに」ボソボソ
露伴「何を内緒話してるんだい?」ズィッ
恒一「いえ、なんでもないです」ハハ
中尾「先生を尾行する理由ってなんだろうな?って、話ですよ」ハハ
露伴「二人とも、何かまだ隠し事してないか?」ジロ
中尾(う、さすが鋭い)
恒一「この現象は……本当に厄介なんです」
恒一「露伴先生が特別講師になってなかったら、影響はなかったのかもしれませんが」
55:
露伴「特別講師のアイデアは、鳴ちゃんからもらったんだがね」
恒一「え?」
露伴「昨日、校門前で会ってね。部外者は深入りしないほうがいいようなこと言われて」
恒一「昨日ですか? 放課後に?」
露伴「対策係の説明が終わった後だから、そうだな」
恒一「見崎は放課後すぐ、僕と一緒に帰宅しましたけど」
露伴「そういえば私服だったな、帰宅したあとまた学校に来たんじゃないか?」
露伴「眼帯もしてなかったし」
恒一「間違いなく見崎でした? 彼女は余程のことがない限り眼帯は外しませんよ」
露伴「……」
58:
露伴「ちょっと待ってくれ。じゃああの子は……」
露伴「……」ドシュドシュドシュ!
露伴「こんな感じの子だったんだが」バァーーン
中尾(露伴先生、またあっという間に女の子の絵を)
恒一「見崎みたいですけど、やっぱり眼帯つけてませんね」
露伴「そういえば彼女、眼帯の下は義眼だったか。この子はそうじゃなかったような」
露伴「鳴ちゃんに姉妹とかは、いな――」
ギュィィィィーン
少女「わたしを認識してくれて、ありがとう」
少女「やっぱり、露伴お兄ちゃんについてきてよかった」ニヤァ
ゴゴゴゴゴゴ
59:
夜見山北中中庭
女生徒「中尾君、こんな所に呼び出してごめんね」モジモジ
中尾「な、何か用?」
女生徒「ふーっ。実はね……、私、前から中尾君のことが気になってて」
中尾(え? これって)
女生徒「よかったら、お付き合いしてください!///」カァァッ
中尾(にゃニィーッ! う、うれしいッ! こんなこと言われたの初めてだーッ!)
中尾(……。あ、でも)
中尾「ごめん。気持ちはとってもうれしいんだけど、俺、他に好きな人がいて」
女生徒「泉美のことね」
中尾「へ? なんで知って……」
女生徒「中尾君。わかりやすいからね、そういうの。3組で気づいてない人はいないかも

中尾「な、なんと」
女生徒「いいの、わたしも思いを伝えられて良かったから」グス
中尾「本当にごめん」
女生徒「そんな、私の思いを受け止めてくれない中尾くんは……殺しちゃってもいいよね?」ゴゴゴゴゴゴ
中尾「え?」
ガシィッ!
中尾(グッ! 見えない何かで首を絞められて)
中尾(これは、スタンド攻撃ッ!? 彼女はスタンド使いだったのかよ!)
中尾(……まてよ? 彼女、3組の生徒だけど、誰だ? 名前が思い出せない!)
60:
3組教室
男子生徒「やあ、榊原君。体の方は調子どうだい?」
恒一「うん、もう気胸は大丈夫だよ。運動もできるようになったし」
男子生徒「そうか、よかった。体育見学ばっかりじゃ飽きちゃうしね」
恒一「スポーツも勉強も得意なんてうらやましいよ、本当」
男子生徒「勉強じゃ榊原君には到底かなわないと思うけどな」
恒一「そう?」
男子生徒「ところでさ、榊原君は怪奇小説とか伝奇とか詳しいんだって?」
恒一「小説とかはよく読むけど……。どうしたの?」
男子生徒「ちょっと、見てもらいたいものがあるんだ」カラン
恒一「こ、これは……剣?」ゴゴゴゴゴゴ
男子生徒「うちに伝わってた珍しいものでね。『流子守の剣』ていうんだ。なんでも隕石から採取した鉄を鍛えたものらしい」
恒一(あれ? これって)
男子生徒「もっとよく近づいてみてごらん」ドドドドドド
恒一「君は……。誰だ?」
男子生徒「切れ味も試してみるかい? 君の体でさ!」
61:
少女「これが、幽波紋『ファントム・アゴニー』」
少女「露伴お兄ちゃんは、2人がやられるの見てるだけでいいからね」ゴゴゴゴゴゴ
65:
リプル夜見山ロビー
露伴(目の前にいきなり、女の子が! 昨日の校門前であった子か)
露伴「ユーハモン? 君は幽霊か何かか?」
少女「まあ、そんなとこ」
露伴「2人に何をしている? なぜ気絶してるんだ?」
少女「フフ」
露伴「これは幽霊の呪いか何かなのか? どんな呪いをかけたんだ?」
少女「現象の犠牲者の未練を叶える能力。自分の理不尽な死を相手にぶつける能力」
少女「『災厄』がなくなって、死者として蘇ることができなくなってしまった者達の『揺り返し』」
少女「きっと、2人とも怖い目に会ってるんでしょうね」
少女「露伴お兄ちゃんが、私をこの2人と一緒に認識してくれたから、発動できたのよ」
少女「せっかく夜見山は死に近い場所だって警告したのにね」
少女「知りたいって好奇心と『波長が合う』とか『相性がいい』みたいね。お兄ちゃんには、もしかしたらそういう『素質』があるのかも」
露伴「……」
少女「露伴お兄ちゃんは、私の目的をかなえてもらうために攻撃しないでおいてあげる」
露伴「おまえは……。見崎――?」
少女「そう、ミサキ。よろしくね」
露伴「2人を今すぐ開放しろ!」
少女「せっかく攻撃しているのに、それじゃつまんないよ」
少女「それよりさ、私のやりたいことなんだけど」
少女「私のことを『認識』させたい人がいるの、それを手伝ってくれるかな?」
少女「私の姿を見れば、だいたい誰だか想像つくよね?」
露伴「その子を犠牲にすれば、ぼくを攻撃しないというんだな」
少女「そうそう、早く楽になっちゃったほうがいいよ」
露伴「だが嫌だね」
少女「なんですって!?」
露伴「この岸辺露伴が最も好きな事のひとつは、優位に立っていると思ってるやつに『NO』と言うことだ!」
66:
3組教室
ドシュッ!
男子生徒「榊原君、嫌だなぁ。友達の刃物は避けないでくれよ」ウォォン
恒一(これは! スタンド攻撃!?)
恒一(そうだ、僕は露伴先生たちとホテルのロビーにいたはず)
恒一(スタンド使いの奇襲を受けているのか!)
男子生徒「それとも『死んでいる』クラスメイトの言うことは聞いてくれないのかな?」ユラァ
恒一(このクラスメイト。3組の生徒という『認識』はあるけど……。誰だか思い出せない)
恒一(死んでいる、と言ったな。彼は『死者』? 昔の3組で亡くなった生徒か?)
恒一「君は、君の名前は一体?」
男子生徒「友達の名前を忘れるなんて、ひどいね。やっぱり切らないとダメか」チャキ
恒一「君が誰か分かれば、攻撃しないでくれるのか?」
男子生徒「僕? 僕は……うう、僕は誰だ?」
恒一(攻撃がやんだ。今のうちに逃げる? ……いや、ここは夢のなかのようなもの、か)
恒一(いくら逃げても無駄のような気がする。それにここで殺されたりしたらどうなるのか……)
恒一(……あの剣、現象の戦いの時のだよね? 桜木さんの言ってた)
恒一(持ち主は誰か謎だったけど、『災厄』が始まる原因となったのは、確か……)
恒一「夜見山……岬君かい?」
男子生徒「」ピクッ
67:
恒一「やっぱり夜見山岬君だね?」
岬「榊原君。僕を恨んでるかい? 僕がいなければこんな災厄、起こることもなかったって思ってるかい?」
恒一「……」
恒一「あなたのせいじゃない。それに誰にも悪意はなかったって千曳先生も言ってました」
岬「そうか、千曳先生が……」
岬「他の人もそう思ってくれるかな? 死んだり、クラスメイトや家族をなくした人たちも」
恒一「あなたが災厄を始めたわけじゃないのは、みんな知ってます。あなた個人を恨んだりはしません」
岬「……」カラン
岬「ありがとう榊原君。剣を向けたりしてすまなかった」
岬「僕は家に帰るよ。それじゃあ、さようなら」ガラガラ
恒一(夜見山岬は教室を出て行った……)
恒一(彼の家は火事で全焼だったはずだけど、ここにはあるのかな? ちゃんと帰れるといいけど)
ギュィィィィーン
68:
リプル夜見山ロビー
中尾「ゲホッ。うう、助かったのか?」ハキソウ
恒一「中尾君大丈夫?」
中尾「これ、スタンド攻撃か?」
恒一「多分ね。夢のなかで危ない目に合わなかった? 僕は夜見山岬に刺されそうになったけど」
中尾「女生徒の告白を断ったらスタンドで殺されそうになったんで、仕方なくOKしたよ」シニタイ
恒一「……」
中尾「そういえば露伴先生は? 無事なのか?」
露伴「……」グッタリ
恒一「先生も攻撃を受けているみたいだ」
中尾「クソッ!」ガタッ
恒一「中尾君? どこいくの?」
中尾「スタンド攻撃なら、近くに本体がいるはず。俺はあたりを探してみるから、榊原君は露伴先生を頼む」
恒一「危険だよ!」
中尾「いや、大丈夫。それに先生の言ってたドッペルゲンガーが怪しい……。10分後までには戻ってくるから」
中尾(それにこのまま手がかりなしじゃ、赤沢さんに叱られるからな)
恒一「わかったよ。怪しい人物を見つけても、一人で無理はしないでね」
中尾「おう! まかせろッ」
71:
3組教室
男子生徒「……」
露伴(3年3組の教室。これがあの幽霊の呪いってやつか?)
露伴(窓際の一番後ろの席に、一人だけ生徒が座っているな)
露伴「オイ。君は3組の生徒だな? 名前はなんだっけ? 全員覚えているわけじゃないからな」
男子生徒「……」
露伴「無口なやつだな。この岸辺露伴が尋ねているんだ。少しぐらい反応したらどうなんだ?」
男子生徒「俺のせいじゃない」
露伴「ん? 何を言っている」
男子生徒「俺が悪かったんじゃないんだよ」
露伴「ぼくは名前を聞いているだけなんだが」
男子生徒「みんなが死んだのは俺のせいじゃない!」
露伴「話がかみあわん……。ぼくの話を聞けないのなら、黙っていたほうがマシだな」
ドグシャァァ
露伴(!……。窓際の机の一つが潰れた?)
男子生徒「俺は、ちゃんと『いないもの』になってたんだ。それなのになんで」ユラァ
男子生徒「先生……教えて下さいよ。俺の何が間違ってたんですか?」コツコツ
男子生徒「教えてくれないんなら、先生を潰しちゃうしかないか……」ドドドドドド
露伴(これが、呪いの攻撃なのか? あの生徒は『死者』か)
72:
露伴「あいにく、ぼくは、まだ死ぬ気はないんでね」
露伴「まして幽霊に殺されるなんて、馬鹿らしい! 未練なんか残してないで、幽霊は幽霊らしくさっさと成仏するんだな!」
ブゥン――ドガッ!
露伴(机が勝手にこちらに飛んできて、黒板にブチ当たった)
男子生徒「先生。俺はね、『いないもの』になったのは、みんなの犠牲になりたいとかヒーローになりたいとか、そういう理由じゃなかったんですよ」
男子生徒「ただ単に、死ぬのが怖かっただけ。『いないもの』になれば『災厄』からも『いないもの』とされて、逃れることが出来るはずだ、とね」
露伴「……」
男子生徒「なのに『始まって』しまった。俺はみんなから罵られ、耐えられなくなって……。こんなバカなことはないですよね」
露伴「そんなことを話して、ぼくに同情でもしてもらうつもりか?」
男子生徒「別にどっちでもいいですよ。ここで先生を、俺の『幽波紋』でブッ殺せば、スッキリ爽やかになる気がするからネェーッ!」
露伴(また『幽波紋』か! 幽霊はみんなこんな特殊能力を持っているのか?)
露伴(金縛りとか祟り、呪い、更には心霊写真にラップ音とかも、この幽波紋が原因なのかもな)
露伴(フム。ここから脱出できたらメモしておこう)ウンウン
男子生徒「……テメーっ! 先生! 何考えこんでるんだよ! ブッ殺すぞ!」
露伴「うるせえなあ????、やってみろ!」
男子生徒「うわあああ」
露伴「……」シュパッ!
男子生徒「ギャッ! 眼が、眼がァ」
露伴(黒板にあったチョーク2本の先をすりつぶし、粉を出してから、相手の両目に向かって投げ抜けるッ!)
露伴(幽霊相手でもちゃんと攻撃はできるようだ)
露伴「ちょいと、正確かつ素早かったかな? じゃ! ぼくは逃げるよ」
73:
露伴(ここは夜見北中のようだが、外にはでられないんだな。旧校舎の方に行ってみるか)
露伴(あの男子生徒以外には、他の生徒や恒一くんたちも見あたらない)
露伴(さて、呪いをどうやって解いて脱出したらいいものか……)
??「あの、すいません」
露伴「!……。誰だ!」
女性「あなたもここに捕らわれたのですか? えーと……」
露伴(この女性。昼間、学校の廊下ですれ違った)
露伴「岸辺露伴、漫画家だ」
女性「まぁ! 先生じゃなくて漫画家の方だったんですね?」
女性「漫画家の方って、ベレー帽かぶってメガネかけてるようなイメージが……。こんな若くてかっこいい人もいたんですね」
露伴「は、はぁ。あなたもここで攻撃を受けているんですか?」
女性「露伴さんは、私を『認識』できたんですよね。私がここに捕らわれているのは、それが原因かもしれない」
露伴「『認識』……。ぼくを攻撃しているらしい、あの女の子もそう言ってたな」
女性「私たちは『認識』してもらわないと、あらわれることができないですから」
露伴「……。まさか、あなたも幽霊?」
女性「露伴さんは、幽霊を『認識』しやすいみたいですね。そういう体質の人はたまにいます」
露伴「あなたもぼくを攻撃するのか?」ミガマエ
女性「いいえ、私はあなたと一緒にたまたま、ここに紛れ込んだだけ。ここを支配しているルールの対象になっていないようです」
露伴「ルールか……」
74:
ドガッ!
露伴「ムッ! 壁に穴が」
男子生徒「逃げてんじゃねーぞ、先生よォ!」
女性「彼は……ルールに縛られた幽霊ですね。幽波紋を使えるのか。魚の幽波紋を」
露伴「?」
男子生徒「先生なら、先生らしく生徒の意見を聞くもんだろうがァーッ!」
女性「ここは、私が対処したほうがいいみたいですね」
露伴「あ、危ないですよ!」
女性「大丈夫、私、結構強いんですよ」グオン
露伴(何か空気が変わったな。この女性から何かが出ている? これが幽波紋なのか。なるほど全然わからない)
男子生徒「ああ? そこの先生、俺と戦うのか?」
女性「私も、露伴さんもあなたの先生じゃありません。でも、言うことを聞かない若者は」ビシッ!
女性「教育してあげますッ!」バァーーーーン
女性「幽波紋の戦いの心得、その1。先手必勝ッ!」バゴッ!
男子生徒「ハガッ」ドッパーン
女性「幽波紋の戦いの心得。その2。相手に反撃の隙を与えない!」バゴバゴバゴバゴッ!
男子生徒「おぼぼぼぼ……」ドグシャァァ
女性「幽波紋の戦いの心得。その3。追撃は……、ってあらら」
男子生徒「」シューッ
露伴「決着、ついたみたいですね」ポカーン
露伴(目に見えない力のぶつかり合いで、男子生徒は再起不能になったようだ)
75:
女性「いやぁ、久々に戦えてスッキリした気分です。露伴さん、ありがとう!」
露伴「そ、それはよかった」
露伴(戦う、というより一方的だった気もするが……)
男子生徒「」スーッ
露伴「あ、彼が消えていく」
女性「きっと彼も思い切り戦えて、未練がなくなったんでしょうね」
露伴(そ、そうかな?)タラー
女性「これで、露伴さんも開放されると思います」
露伴「助かりました」
露伴「そういえば、あなたも、幽霊ということは、未練があるんですよね」
女性「……」
女性「もしかしたら露伴さん、また同じ攻撃を受けるかもしれません」
女性「その時は、私が助けに行ってもいいでしょうか?」
露伴「それはかまいませんが、あなたは一体? 名前も聞いてませんよ」
女性「恒一くんを、よろしくお願いします」パァァァァ
76:
リプル夜見山ロビー
露伴「ハッ!」
恒一「露伴先生? 気が付きました? よかった」
露伴「恒一くんか、幽霊の攻撃は大丈夫だったか?」
恒一「なんとか……。今、中尾君が辺りを見回りに行ってます」
露伴「詳しい話は、中尾君が戻ってからするが、とりあえずスケッチブックをとってくれるかな?」
恒一「? はい、どうぞ」
露伴「……」ドシュドシュドシュ!
恒一「これは、このひとは……」
露伴「やっぱり見覚えがあるか? 恒一くん」
恒一「怜子さん……。三神怜子先生。2年前に亡くなった僕の叔母です」
81:
リプル夜見山近くの道路
中尾(さすがにこの時間帯、人通りは少ないか)
中尾(これは空振りかな? そろそろ10分だし一旦戻るか)
男「……」スタスタ
中尾(ん? あれは……空条貞夫似の人)
中尾(ホテルに戻ってきたのか……。でも、まてよ)
中尾(露伴先生は、確かエレベーターに自分そっくりの男が乗るのを見たんだよな)
中尾(先生が来る直前にエレベーターを使っていたのは、この人だ)
中尾(姿は露伴先生とは似ても似つかないけど、怪しいな……)
中尾「あの、ちょっとお聞きしてよろしいですか?」
男「……何かな?」
中尾「あなた、ミュージシャンの空条貞夫さんじゃありませんか?」
男「いや、違うが」
中尾「そうですか? なんかそっくりだったもので、すいません」
男「……」
中尾「でも、見れば見るほど似てるなァーッ! よく言われませんか? そっくりさん大賞に出れば優勝間違いなしだと思いますよ」
男「君、もういいかい?」
中尾「周りの人からも似てるって言われたことありますよね? これだけそっくりなんだから」
男「……確かジャズの人だよね。それなら言われたことあるかもな」
82:
中尾「彼の歌声はすごいですからね。やっぱ似ていると色々言われるんですね」
男「ああ、全く歌なんかできないのに、歌ってくれなんて頼まれたりね」
中尾「……まあ、歌はしょうがないですよ。僕みたいなのに声かけられるぐらい似てますからね」
男「もういいかな?」
中尾「あ、すいません。色々失礼しました」
男「……」スタスタ
中尾(ホテルには戻らないのか)
中尾(……)
中尾(でも、今のやり取りで『疑惑』が『確信』に変わったぞ。空条貞夫は『歌』なんか歌わないッ!)
中尾(なぜ、知っているようなフリをする必要がある?)
中尾(とにかく、戻って露伴先生を移動させよう)
中尾(万が一、あいつがスタンド使いなら『射程距離』外に出れば、攻撃が止むかも)ダッシュ
83:
リプル夜見山ロビー
中尾「榊原君! って、露伴先生気がついたんですね? 無事ですか?」
露伴「問題ない。色々と衝撃的な体験はしたがね」
恒一(露伴先生……。ひどい目に会ってるのになんか楽しそうだ)
中尾「それで、先生、できたらここを移動したいんですが」
露伴「あの幽霊の呪いなら、大方の条件は予想済みなんだが……」
中尾「念のため。です」
露伴「どうしても、というのなら君の頼みを聞くがね」
恒一(スタンド攻撃を回避するの残念がってない? まぁ、先生らしいのか)
恒一「じゃあ……とりあえす、僕の家へ」
露伴「助かるよ、恒一くん。ちょいと気になることもあるしな」
露伴「幽霊の尾行をまけるかどうかわからんが、タクシーで行こう。中尾君、フロントに頼んでくれるか?」
露伴「その間にぼくは荷物を取ってくる」スタッ
84:
三神家、恒一の部屋
中尾(俺達はそれぞれが体験したスタンド攻撃を、説明し合った)
中尾(露伴先生はスタンドのことを、幽霊の呪い『幽波紋』だと思っているみたいだったけど、まあ問題無いだろう)
恒一「『認識』すると、幽霊が現れる。ですか」
露伴「ぼくらに攻撃を仕掛けてきた女の子の幽霊によればそうらしい。『災厄』の副作用で現れたようなことも言ってたな」
恒一「露伴先生が、特に幽霊を『認識』しやすいので標的になってしまったんですね」
露伴「おそらく彼女の真の標的は……見崎鳴ちゃんだ」
恒一「……見崎」
中尾(これって思ったより深刻なんじゃないのか? 見崎さんに幽霊を『認識』させるのが相手の目的)
中尾(それを阻止するとなると、見崎さんにはこのことを言えない)
中尾(必然的にスタンド使いの見崎さんの協力を得ることは、できなくなる)
中尾(俺や榊原君だけで対処するしかない)
中尾(もし相手がスタンド使いだったら、一般人の我々が勝つことは出来るのだろうか?)
中尾(あとは東方君だが……、なんか風邪がまだひどいみたい。彼のスタンド、病気や自分自身は治せないって、辛いな)
露伴「そうだ、恒一くん。三神先生の写真あったら見せてもらえないか?」
恒一「探してきます」
中尾「あ、俺も手伝うよ」
85:
三神家、奥の和室
中尾「夜分にバタバタしちゃって、すいません」
民江「いえいえ、怜子の写真があるアルバムは奥にしまっちゃってね、ここの押し入れにあると思うから」
恒一「おばあちゃん、ありがとう」
民江「先生の布団も隣の部屋に用意してあるからね。あまり遅くならないように」
恒一「はい」
中尾「ぼくも、用がすんだらすぐ帰りますので」
民江「片付けるのは明日でいいからね」スタスタ
中尾「……榊原君、露伴先生のいる前では話さなかったけど、ホテルの外で怪しい人物と遭遇したんだ」
恒一「え?」
中尾「覚えてないかい? 先生がロビーに降りてくる前に空条貞夫そっくりの人物がホテルを出て行ったこと」
恒一「あ、あの人か」
中尾「外を見回っていた時、そいつに会ったんだが、俺のハッタリにつかなくてもいい嘘をついて返答してきた」
中尾「もしかしたら、今回のスタンド攻撃の本体かも」
87:
恒一「……だとしても、狙われている見崎に知らせるのは難しいよね」ウーン
中尾(榊原君、見崎さんのことかなり心配してるな)
中尾「幽霊のスタンドのことはともかく、気をつけるように言うだけならいいんじゃないかな?」
恒一「見崎にはウソがつけないからね」
中尾(そうだった―ッ! ……でもそんな見崎さんと親しくしている榊原君も、なかなかのものだと思う)
恒一「でも、ありがとう中尾君。今日は一緒にいてくれて助かったよ」
中尾「まぁ、赤沢さんの頼みだったし。そ、そうだ、榊原君にちょっと聞きたいことが」
恒一「何?」
中尾「俺が赤沢さんのこと……その、好きだって、3組のみんなに知れわたってるのかな?///」
88:
恒一の部屋
露伴「……」ドシュドシュドシュ!
恒一「露伴先生。アルバムと写真持って来ましたよ。うわ」
露伴「ああ、ありがとう」ドシュドシュ!
恒一(怜子さんの肖像の絵がいっぱい)
露伴「じゃあ、写真見せてもらうよ」ペラペラッ
恒一(怜子さんは幽霊スタンド攻撃から先生を助けてくれたんだよね。幽霊でもいいから僕も会ってみたいな)
恒一(肖像画と写真を見比べているのは、怜子さんの『認識』を強めるため?)
露伴「……ふむ、恒一くん。ところでなんで中尾君はあんなことに?」
中尾「」ドヨーン。ミンナシッテタ、ミンナシッテタ…
恒一「その、色々事情が……」タラー
露伴「ま、いいか」ペラペラ
恒一「あの、露伴先生。この現象の回避方法なんですが、夜見山を離れれば起こらなくなると思うんです」
露伴「ぼくにすぐ逃げろ、と言うんだね恒一くん」
恒一「はい。幽霊の標的が見崎だとしても、その前に先生が狙われるのは確実ですから」
露伴「……確かに最初は、ぼくは部外者だったけどね」
露伴「今では、仮にも君たちの『先生』だからね。生徒を盾にして逃げ出すってのは、ぼくのプライドが許さないな」
恒一「露伴先生……。実はこの状況楽しんでませんか?」ジトーッ
露伴「さすが恒一くん。そういうことにしてくれていいよ」
89:
恒一(露伴先生。どんな状況でも、自分が巻き込まれようとも題材を取り込もうとするんだ)
恒一(ここまでくると、もう逆に誉めるしかないか)
露伴「明日だ。明日まで僕は君たちの特別講師だからな」
露伴「それまでに、この『幽霊』をなんとかする!」
恒一「わかりました」
露伴「あと、幽霊の攻撃だが、ぼく達が襲われた状況をまとめると……」
露伴「夜見北中を舞台にした夢を見せられ、未練の残った昔の3組の生徒の幽霊1名に襲われる」
露伴「幽霊はこちらを殺そうとする。殺されてしまった場合どうなるかは不明」ロクナコトニナランダロウガ
露伴「そして、対処方法だが……」
露伴「1.現れた生徒の幽霊そのものを倒す。これは、難しいが確実らしい」
露伴「2.幽霊の未練をかなえる。中尾君が会った女生徒の例だな。これも有効そうだ」
露伴「3.幽霊の『名前』を相手に教える」
恒一「え?」
露伴「恒一くんが会った夜見山岬は、自分の名前を『認識』したら去っていったんだろう?」
恒一「そうですが……」
露伴「三神先生も自分の名前を認識してないようだったし、もしかしたら特別な条件なのかもしれない」
恒一「名前、か」
露伴「そう考えると、あの鳴ちゃんを狙っている、女の子の幽霊」
露伴「彼女に『名前』を告げれば……あ、でも、あいつ自分から名乗ってたな」ウーン
恒一「そうなんですか?」
露伴「ミサキって自分から言っていた」
90:
恒一「ミサキですか……」
露伴「恒一くんは、彼女に心あたりがあるのかい?」
恒一「ないではないんですが、見崎のプライベートなことなので……」
露伴「緊急事態だ。教えてくれないか?」
恒一「……藤岡未咲さん。今年の4月に亡くなった。見崎の従姉妹です」
露伴「藤岡未咲か」
恒一「で、でも、見崎の話によると、二人は仲が良かったはず。藤岡さんが見崎に危害を加えようとするなんて!」
露伴「恒一くんは、その子に会ったことはないんだろう? 鳴ちゃんから話を聞いただけで」
恒一「そうですけど……」
露伴「ぼくは自分の『体験』の方を信じる。もし次に攻撃を受けたときは容赦なく対応させてもらう」
恒一「……」
露伴「とにかく、もし再度幽霊の攻撃を受けたときは、今の話を参考にしてくれ。中尾君も分かったな?」
中尾「」ハイ
露伴「そういえば、三神先生の小さい頃や学生の時に。隣によく写っているこの女性は誰だ?」
恒一「……それは、15年前に亡くなった僕の母です……」
中尾「榊原君……」
露伴「はっ! ……そうだったのか」
91:
恒一「露伴先生は、ずるいですよ。僕や見崎の知られたくないようなことも聞き出して」
露伴「必要だから、聞いているだけだ」
中尾(榊原君がこんなに怒るなんて……でも、仕方ないか。そして露伴先生……もうちょっと優しい言い方してやってくれェーッ!)
露伴「ともかく、方針は以上だ。僕は明日に備えて寝る。中尾君も今日は帰れ」
中尾「はい、榊原君。赤沢さんには明日俺が報告するから」
恒一「うん……」
中尾(榊原君、露伴先生が描いた三神先生の絵を見てるな)
露伴「その絵は恒一くんにあげるよ。それじゃ、おやすみ」
94:
翌朝、恒一の部屋
ブーッ、ブーッ、ブーッ
恒一「んん……。あ、携帯? 見崎か赤沢さんかな?」
携帯「オヤジ」
陽介「おう、恒一! 元気にしてたか? まだまだ暑いぞおインドは!」
恒一「こんな朝早くどうしたの?」
陽介「こっちは夜中の3時過ぎだ。暑くて目が覚めたからな。最近電話もしてなかったし、モーニングコール代わりだよ」ガハハ
恒一「特にかわりなくやってるから。あ、そうだ、怜子さんのことについてなんだけど…ちょっと聞いてもいい?」
陽介「……そういえば、怜子くんが通り魔に襲われてから、そろそろ2年……。三回忌か……」
恒一「ううん。そうじゃなくて、昔、怜子さんからなにか聞いてないかなって。ちょっと不思議なこととか」
陽介「うーむ、特には聞いたことはないが……。そういやあ、小さい頃のおまえはよく怜子くんに懐いてたからな」
陽介「なにか気になることでもあったのか?」
恒一「いや、なんでもないよ。ちょっと思い出しただけで」
陽介「そうか、まぁなんかあったら気軽に連絡してくれ。お義父さんとお義母さんにもよろしくな!」
陽介「それにしても、暑いぞおインドは!」プツッ
95:
三神家、縁側
レーちゃん「レーチャン、ゲンキダシテ」
露伴「……」カリカリ
恒一「あ、露伴先生、おはようございます。早いですね」
露伴「おはよう、恒一くん」
恒一「レーちゃんを描いてるんですか?」
露伴「九官鳥ってのも、ありふれているようで、じっくり近くで見たことはなかったんでね」
レーちゃん「ドーシテ、レーチャンオハヨ」バサバサ
露伴「この家は良い感じだね。祖母の家をちょっと思い出すよ」
恒一「……」
露伴「ぼくはね、子供の頃――といっても3、4歳ごろだけど、とても『泣き虫』だったんだ」
露伴「いじめられたり、童話を聞かされて、退治される鬼がかわいそうだとか、そんな理由で泣いたりだったかな?」
露伴「でも、近所のお姉さんに『泣き虫』は悪いことじゃない、他の人より感性が優れているから泣くんだ、と言われてね」
恒一「なんでそんな話を、僕に?」
露伴「恒一くんとは、今日一緒に協力して、幽霊に立ち向かわなければならないからな」
露伴「聞いてばかりじゃなく、ぼくの恥ずかしい話もしようかなと思って」
露伴「勘違いするなよ! あくまでお互いに信頼するために、だからな」
露伴「ぼくの昔話ぐらいじゃ釣り合わんかもしれんが」
恒一「それで、『泣き虫』は直ったんですか?」
露伴「ある日、ぱったりとね。原因はよく覚えてないんだが……」
露伴「こんな話、誰にもしたことなかったな。恒一くんだけだぞ。……まぁ鳴ちゃんになら話してもいいが」
レーちゃん「レーチャン、ゴハンヨ、レーチャン」
97:
朝、3年3組教室
鳴「前島君。赤沢さん今日教科書いくつか持ってきてないんで、見せてあげて」
赤沢「ごめんね」
前島「いいよ。でもどうしたんだい?」
赤沢「昨日、見崎さんの家に泊まったのよ。家に帰れなかったので準備ができてなくて」
勅使河原「何ィーッ!」ガタッ
望月「あの2人って、ライバル同士じゃなかったっけ?」
綾野「ふーん。なんのライバルなのかな? モッチー」
望月「あはは」アセアセ
杉浦「どういうことかわたしに説明してもらえるかな? 中尾」
中尾「べ、別に仲良くなるのはいいことじゃないかッ」メガコワイ
杉浦「その様子だと、いきさつを知ってるみたいね。さあ、全部吐き出しなさい」グググ
恒一「杉浦さん。後でちゃんと説明するから、中尾君を締めあげるのは……」
中尾「」
杉浦「そう、榊原君に免じて、今は聞かないけど、ちゃんとあとで教えてよ?」ドサッ
中尾「わかってるって」タスカッタ
恒一「……中尾君、赤沢さんには、昨日のこと教えたの?」
中尾「ああ、簡単に説明したんだけど……まさかあんなに見崎さんと仲良くなってるとは」
中尾「赤沢さんには、見崎さんに幽霊スタンドのことを内緒にするよう言ってあるけどね」
恒一「わかった、僕も見崎に中尾君の見た空条貞夫の事、話してくるよ」
恒一「あと、赤沢さんにもちょっと打ち合わせを」
中尾「了解。東方君は今日もお休みか……やっぱり俺達で何とかしないとね」
98:
恒一「おはよう、見崎」
鳴「おはよう。昨日は露伴先生大丈夫だったの?」
恒一「ちょとホテルでゴタゴタしたけど、大丈夫だったよ(ウソはついてないよね?)」
鳴「そう、なんか中尾君がよそよそしかったので気になって」
恒一(中尾君―ッ!)
恒一「そうだ、その中尾君が昨日ちょっと気になる人物と遭遇したらしい。スタンド使いかも」
鳴「……」
恒一「空条貞夫ってミュージシャンに似ている男で、かなり不審な感じだったらしい」
恒一「怪しいってだけで確証はないんだけどね。でも、気をつけて」
鳴「……榊原君。昨日はずっと先生のところにいたよね?」
恒一「そ、そうだけど?」
鳴「私と赤沢さんの後をつけたりしてない?」
恒一「? してないけど、どういうこと?」
鳴「ううん、私の気のせい」
恒一「とにかく、気をつけてね。見崎は強いスタンド使いだと思うけど、心配なんだ///」
鳴「わかった、ありがとう」
恒一「それじゃ、赤沢さんにも報告してくるよ」
99:
恒一「赤沢さん、おはよう。ちょっといい?」
赤沢「おはよう、恒一くん。中尾から聞いたけど、スタンド使いに襲われたって本当?」
恒一「うん、3人とも危なかったけど、何とかなったよ」
赤沢「岸辺露伴め?。ホント厄介な事を持ち込んでくれるわね!」
恒一「露伴先生のせいってわけでもないと思うよ。今回のスタンド使いの狙いは見崎らしいし……」
赤沢「心配……よね。見崎さん」
恒一「攻撃が『認識』から始まるので、見崎には言えない。遠回しに警告はしてきたけどね」
赤沢「見崎さん、大丈夫かな?」
恒一「昨日だけで、ずいぶん見崎と仲良くなったんだね」オトマリ
赤沢「///。変な奴に後をつけられてたみたいだから、仕方なくだったのよ!」
恒一「そうだったんだ。その尾行者がスタンド使いかな?」
赤沢「多分……。陰湿なやり方よね。正面からだと見崎さんにかなわないからかな」
恒一「それで、中尾君から聞いたかもしれないけど、スタンドへの対策で赤沢さんに協力してもらいたいことが……」
赤沢「何をすればいいの?」
恒一「放課後、このスタンドに攻撃される前に、見崎をなるべく早く自宅へ返してほしいことと」
恒一「露伴先生の特別講義の時に、これをみんなの前で発表して欲しいんだ」
100:
放課後、3組教室
勅使河原「あーあ、露伴先生の授業も終わりかー。もっと色々教わりたかったな」
赤沢「あんたの頭じゃ、半分も理解できてないでしょうけどね」
勅使河原「俺ってそんなにバカに見えるのかよ……」
赤沢「はっきり言われたい?」
勅使河原「それも悪くねェが……。でも、楽しかったぜ!」
赤沢「はぁ、脳天気でいいわね」
杉浦「泉美。今日は演劇部には行かないの?」
赤沢「うん、ちょっと急用でね」
露伴「あー、いいかな?」コンコン
勅使河原「露伴先生!?」
露伴(プッツン赤沢と一緒にいるのは……。アホの勅使河原とムッツリ杉浦か……)
露伴(正直、3人ともぼくとは話が合わないヤツらだが……)
露伴「赤沢さん、じゃあこれを」バサリ
勅使河原「あ、イイなぁーッ。先生のサイン?」
赤沢「そんなんじゃあないわよ!」シッシッ
杉浦「?」
101:
露伴「じゃ、赤沢さん、鳴ちゃんをよろしくな」スタスタ
杉浦「先生、ちょっと待って下さい」
勅使河原「ん? 杉浦が先生追っかけて行くなんて」サインモライニ?
赤沢「あんたも、帰宅部なのにまだ帰らないの?」
勅使河原「なんか、サカキも用があって一緒に帰れないみたいだし、ヒガシは休みだしなぁ」
赤沢(じゃあ、なおのことさっさと帰りなさいよッ!)
杉浦「……」トボトボ
勅使河原「お、杉浦。サインもらえたか?」
杉浦「頼んだけど、今日中にはもらえないみたい」ガッカリ
赤沢(多佳子……。本当にサイン頼みに行ったのか)タラー
杉浦「泉美。もう帰る?」
赤沢「ごめんなさい。今日は見崎さんと一緒に帰る約束してて」
勅使河原「……」ガタッ
鳴「赤沢さん、おまたせ」
赤沢「じゃあ、帰りましょうか。2人とも、また明日ね」バイバイ
杉浦勅使河原「……」
102:
旧校舎第2図書室
露伴「では、幽霊のお祓いを始めようか」
中尾「なあ、榊原君」ボソボソ
恒一「何?」ボソボソ
中尾「露伴先生、どうやってスタンドを呼び寄せるつもりなんだ?」ボソボソ
恒一「なにか考えがあるらしいよ」ボソボソ
露伴「よし、二人以外は、ここにはいないな?」
恒一「はい、千曳先生もこの時間は演劇部に行っているそうです」
露伴「もし、2人が幽霊の攻撃に巻き込まれた場合は、打ち合わせ通りに頼む」
中尾「まかせてください」
露伴「巻き込まれなかったものはバックアップを。鳴ちゃんは赤沢さんと帰ったかな?」
恒一「下校済みです」
露伴「よし、じゃあ、やるぞ」ペラリ
恒一(露伴先生、自分で描いた絵を見る? ホテルの時に描いた藤岡さんと怜子さんの絵か!)
露伴「この岸辺露伴が、わざわざ自分から『認識』してやったぞ! 幽霊!」
ギュィィィィーン
103:
帰り道、河原沿い
赤沢「これから見崎さんの家に行ってもいい? 見崎さんのお母さんに、改めて挨拶してから帰るね」
鳴「それはいいけど……。今日みんな、おかしくなかった?」
鳴「榊原君も中尾君もなんかよそよそしかったし」
鳴「露伴先生も授業最後だっていうのに、あまり目を合わせてくれなかった」
赤沢「き、気のせいじゃないかな」アセアセ
鳴「……」ジー
赤沢(だめか、バレちゃいそう……。恒一くん、ごめん)
鳴「赤沢さんがそう言うなら、そういうことなんだろうね。わかったよ」
赤沢(いや、絶対私がウソついてるってバレてるでしょこれ……。やっぱり正直に話そう)
赤沢「見崎さん。これには理由があるの、だから気を悪くしないで」
鳴「うん……」
赤沢(見崎さん、悲しそうな顔しないで。こっちも辛いんだってば)
赤沢「終わったら、ちゃんとどういうことか説明するから……そうだ!」
赤沢「お詫びに、今度は見崎さんがうちに泊まりに来て。夕飯とかも用意するから!」
鳴「赤沢さん。料理とか出来るの?」
赤沢「うっ、あまり得意じゃないけど……」タラー
鳴「私もだから、大丈夫」
赤沢「そっか! お互いにできるようにならないとね!」
鳴「ふふ」
赤沢(よかった。やっと笑ってくれた)
104:
鳴「!」ピタッ
赤沢「見崎さん?」
鳴「赤沢さん! 下がって」
赤沢(え? まさか……。スタンド使いの攻撃?)
??「……」ユラァ
鳴「昨晩から、私たちの後をつけていたのはあなたね?」
赤沢「これは、どういうこと?」
恒一「……」
赤沢(なんで恒一くんがここに? 学校に露伴先生といるはずじゃ?)
鳴「私には、あなたのスタンドの特性が『視える』。見た目で騙すことはできない!」
恒一「そうか、強敵だな」スチャッ
赤沢「恒一くん……なんでナイフなんか構えて……」
鳴「あいつは、榊原君じゃない。 赤沢さん、私の影に隠れて!」グオン
赤沢(コイツが見崎さんを狙っているスタンド使いか。でもなんで恒一くんの姿なの?)
恒一?「奇襲は無理だったか。ならば正面から行くしかないな! 覚悟しな、夜見北中のスタンド使い!」グオン
赤沢(くっ! スタンドが見えない私は何もできない……)
鳴「私と戦いたいと言うのなら、全力で迎え撃つだけ」ググッ
鳴「あなた自身は『覚悟』して攻撃してくるようなスタンド使い、ではないようね」
鳴「でも、『覚悟』しなくてもいい……『後悔』する必要もない」
鳴「無言で叩き潰すまで」バァーン
107:
恒一(『スタンド』という存在を知ったのは、5ヶ月ほど前だ)
恒一(生命エネルギーが形になったもの。超能力が具現化したもの。自分の分身。立ち向かう意志)
恒一(実際に物が壊れたり、直されたりするのを見て。僕はその存在を信じた)
恒一(信じたが、自分の目でそれを直接見たことは、実はまだ一度もない)
恒一(『虚ろなるもの』。例えば人間の魂と同じく、とらえどころのないもの)
恒一(しかし、確かに存在するものとして『認識』し、知ることができたもの)
恒一(誰かが言った『見えていいものではない』と)
恒一(また誰かは言った『スタンド使いと一緒にいると戦いに巻き込まれることになる』と)
恒一(警告を受けても、僕は友人たちを助けるために一緒に行動した)
恒一(スタンドの存在を知らされても、信じない人間は多いのだろう)
恒一(でも、僕は信じた。日常が今までと違うものに見えても、構わないと覚悟して)
恒一(友人を助けたいと)
108:
3組教室
恒一(そして今、僕はスタンドの攻撃を受けている。友人を助けるために)
恒一(露伴先生を介して、見崎を攻撃しようとしているスタンドの……)
恒一(最初の攻撃と違って、僕に危害を加えようとする『死者』は現れていない)
恒一(いない、がそれが問題だ)
恒一(ここから抜け出す手段は『死者』を追い払うことだと思っていた)
恒一(肝心の死者がいないとなると、僕はどうしたらいいんだろう?)
恒一(学校の中を動きまわってみても誰もいない。外に出ることもできない)
恒一(いつ不意に『死者』が現れるかもわからず。気を抜くこともできない)
恒一(すでに数時間が経過しているように思える。それとも数日か?)
恒一(露伴先生や、中尾君。見崎は無事なのだろうか?)
恒一(自分と同じような攻撃を受けているのだろうか?)
恒一(窓際の一番後ろの席、見崎の机を見つめる)
恒一(傷だらけで古い机。『スタンド使いは誰?』という落書きを指でなぞってみる)
恒一(自分の戦う覚悟を、意志を忘れないようにして、待つしかない!)
109:
旧校舎第2図書室
中尾「ぐはっ!」ガバッ
中尾(やったぞ! 幽霊――『死者』の攻撃を撃退できた! さすが露伴先生の作戦)
露伴「……」
恒一「……」
中尾(2人は、まだ攻撃にさらされているのか……。だが、俺でもうまくできたんだ。なんとかなるだろう)
ガラガラッ
杉浦「中尾、こんなところで何やってるの?」
中尾「うわっ。杉浦!」
杉浦「露伴先生? 榊原君? 一体どうしたの?」
中尾「だ、大丈夫だから、入ってくるな! おまえも近づくと巻き込まれるぞ!」
杉浦「巻き込まれるってなんのこと? 2人を放っておけないじゃない!」ツカツカ
中尾「ダメだ!」ガシッ
杉浦「ちょっと!///。肩つかまないでよ!」
中尾「マジで、危ないんだって」
杉浦「危ないなら、まず2人を何とかし……」ガクッ
中尾「クッ!」ダキトメ
杉浦「……」グッタリ
中尾(杉浦も攻撃を受けちまったか! とりあえず椅子に寝かせて)
中尾(万が一、3組の他の連中が巻き込まれた場合の手は打ってあるが……)
中尾(俺は杉浦に向かって、『対策』の内容を大声で話しかけ続けた)
110:
3組教室
男子生徒「杉浦さん。泉美ちゃんはどこかな?」キョロキョロ
杉浦「泉美ちゃ……って、あなた泉美に馴れなれしいわね!」
男子生徒「そうかな?」
杉浦「泉美なら、見崎さんと帰ったわよ」
男子生徒「いつも杉浦さんと一緒だから、まだ残ってるのかと思ったよ」
杉浦「……」
男子生徒「見崎さんに泉美ちゃんを取られて、悔しいかい?」
杉浦「そんなことない……」
男子生徒「かわいそうに、杉浦さん。苦しい思いをするぐらいだったら」グオン
杉浦「え?」ゾクッ
男子生徒「僕が殺して楽にしてあげようか?」
杉浦(なに? これ)
杉浦(なんで急に私を殺そうと? それにこの人、名前が思い出せない……)
杉浦(でも……こんな話どこかで聞いたような)
111:
回想、露伴の特別講義中のやりとり
赤沢「幽霊を祓うキャラです。名前を奪われ、そのせいでクラスメイトを攻撃する幽霊の生徒が現れるので」
赤沢「『自分の机』に亡くなった生徒の名簿を入れておき、幽霊が現れたらその名前を見せて撃退します」
勅使河原「なんだそりゃ? 変なキャラクターだな」セッテイモナ
赤沢(勅使河原、うるさいッ! 私が考えたわけじゃないのよ!)
露伴「まぁ、ユニークなキャラではあるね。『自分の机』が攻撃方法になっているわけだ」
赤沢「(あんたの指示でしょうがァーッ!)ソウデス……」ピクピク
回想終わり
112:
杉浦(泉美が授業で言っていた、あの話と似ているッ!)
男子生徒「……」ユラァ
杉浦(この生徒は幽霊なの? そして『自分の机』? 泉美の机の中か……)ガサゴソ
杉浦(これかな?)ドジャァァ
杉浦(なんかいっぱいの紙が……。さっき露伴先生が泉美に渡していたやつ?)
杉浦(肖像画と名前の描かれた紙が、いっぱい……。露伴先生の絵だ)
杉浦(これは……これはみんな『災厄』の犠牲になった生徒の絵と名前?)
杉浦「……」ジワッ
男子生徒「杉浦さん。なんで泣いてるの?」
杉浦「こんなに……たくさん死んだ生徒がいるのね」ボロボロ
男子生徒「僕達のために、泣いてくれるのかい?」
男子生徒「杉浦さんって、優しかったんだね。ちょっと冷たい感じだと思ってた、ごめん」
杉浦「あなたの名前がわかった」サッ
男子生徒「あ、僕の絵だね。誰が描いたんだろう? うまいね」
113:
杉浦「あなたは赤沢……」
男子生徒「うん、思い出した。杉浦さんは泉美ちゃんの親友なんだね」
杉浦「泉美は……、あなたのこと、一度私に話してくれたことがあります。いいお兄さんだったって」
男子生徒「なんか恥ずかしいな」ポリポリ
杉浦「もし……もし、泉美になにか伝えたいことがあったら言ってください」
杉浦「必ず伝えますから!」
男子生徒「じゃあ、杉浦さん。僕に会ったことは泉美ちゃんには内緒にしてくれないか?」
杉浦「そんな」
男子生徒「もう泉美ちゃんには、杉浦さんや、見崎さんや、新しい友だちがいるからね」
男子生徒「僕はもう必要ないんだよ」
杉浦「でも、それじゃ泉美がかわいそうです」
男子生徒「僕の未練は……泉美ちゃんとは関係ないものだったんだ。彼女をがっかりさせたくない」
杉浦「ウソを付くのが下手ですね……」
男子生徒「杉浦さん。幽霊のウソも見破れるのかい?」
杉浦「あなたの顔を見ればわかります」
男子生徒「まいったね……。それでも、ぼくの未練は隠しておきたいんだ。すまない」パァァァ
杉浦「ちょっとまって! 話はまだ」
男子生徒「君にも、ひどい目に合わせてすまなかった。じゃ」スーッ
114:
第2図書室
杉浦「まって!」ガバッ
中尾「うおっ! 杉浦! よかった、気がついたか」
杉浦「中尾……」
中尾「一生懸命呼びかけたかいがあったぜ」
杉浦「……中尾の声、聞こえなかったよ」ウルウル
中尾「へ? あ、そうだったか?。でも、戻ってこれたし、よかったよ」チョットガッカリ
杉浦「中尾、約束してくれる?」ボロボロ
中尾「ど、どうした? どっか痛いのか? それとも怖い目に会ったとか?」オロオロ
杉浦「約束して!」
中尾「な、何をでしょうか?」
杉浦「私が未練を残さないように。絶対に死なないでね」ボロボロ
中尾「な、なんかわからんが、とりあえず約束するよ」マカセロッ
117:
旧校舎廊下
露伴(ここは3組の教室じゃないな。最後に、幽波紋の攻撃を受けたところか)
露伴(ここには『仕込み』がない。生徒の幽霊が出たら教室に戻らなければならないが……)
少女「露伴お兄ちゃん、おまたせ」
露伴(やっぱり、まずコイツが現れたか)
露伴「質問していいか? 幽霊ってのはいつも同じ服装で現れるんだな。理由はあるのか?」
少女「この服かわいいでしょ?」
露伴「また、話がかみ合わないな。質問しているのはこっちなんだが」
少女「ずいぶんと余裕なんだね」
露伴「じゃあ別の質問をする」
少女「ほんと『知りたがり』だよね」
露伴「見崎鳴への攻撃をあきらめて、ぼく達の前から永遠に去るつもりはないか?」
少女「……」
露伴「これは質問と言うより、お願いだな」
少女「なにふざけたこと言ってんの?」ギロ
露伴「鳴ちゃんにどんな恨みがあるっていうんだ? ぼくが代わりに聞いてやるから、成仏しろって行ってるんだよ」
少女「幽霊には同情しないんじゃなかったっけ?」
露伴「僕が同情なんかすると思ったか?」
少女「そうだよね。そっか、そんなに私の恨みが知りたい?」
少女「見崎鳴……彼女の存在自体が、私の恨みなんだよ、露伴お兄ちゃん」
118:
露伴「ひどい嫌われようだな。ぼくは個人的にはああいう子は好きなんだけどね」
露伴「まぁ、それぐらいの恨みがなければ、こんなことはしていないか」
少女「『災厄』がなくなったおかげで、いろいろ力も使えるようになったしね」
露伴「『幽波紋』か」
少女「もともと私には素質があったみたいだけど」
露伴「それじゃあ、鳴ちゃんをどうしても攻撃しないと気がすまないのか」
少女「そうね」
露伴「こんなにお願いしても?」
少女「そうよ」
露伴「それじゃあ、おまえの負けだ、お嬢ちゃん」バッ
少女「……」
露伴「……」
少女「スケッチブックを見せてなんのつもり? それは私の肖像画ね。でも、実物はもうちょっとやせてない?」
露伴(この対策……コイツには通用しないのか?)
少女「大きく名前も書いてある……『藤岡未咲』か」ククッ
少女「私が、名前に関した『幽波紋』使いだと気づいたのはさすがね」
少女「でもね、露伴お兄ちゃん。残念ながらそのやり方では私は無敵よ」
少女「そもそも、私は『藤岡未咲』じゃないしね!」ニタァ
119:
川沿いの道
鳴「……………………………………」ドゴドゴドゴドゴドゴッ!
恒一?「スタンド戦はいいねェ、やっぱりこうでなくちゃな!」チュインチュイン
赤沢(2人とも土手の道から河原沿いに降りて、橋の下の方に移動しながら戦っている)
赤沢(ニセ恒一君の奴は、ナイフを使って見崎さんの無言ラッシュを防いでいるようね)
赤沢(スタンドが見えないので、2人が少し離れて向かい合って移動しているだけにしか見えないけど)
赤沢(それでも、力が連続してぶつかり合っている気配を感じることは出来る) 
鳴「……」ピタッ
鳴「あなたの能力。自分自身の姿を『違う者に見せる』スタンドね」
恒一?「見破られてしまうなら、ごまかしても仕方ないね。そうだよ」
恒一?「君たちには、俺が同一人物に見えるんだね? この姿の主はかなりの人気者だな」
鳴「見る人によって姿が変わるのか」
恒一?「相手が男なら敬愛する人物、女なら好きな人物に変わるはずだ」
赤沢(コイツの姿が恒一くんに見えるのは……。そういう理由か……)
赤沢(って、なんて奴! 人の心をもてあそんで!)ギリギリ
赤沢(でも……コイツ、幽霊のスタンド使いじゃないの?)
赤沢(見崎さんを狙っているスタンド使いは、2人いた!?)
120:
赤沢(中尾の言ってた『空条貞夫』の男がコイツか! 中尾ジャズ好きらしいし)
赤沢(え? でも露伴先生が見たっていうドッペルゲンガーはどういうこと?)
赤沢(もしかして……アイツの『敬愛する人物』って……。自分自身なのね!)タラー
赤沢(いや、もう私もそんなことぐらいじゃ驚かなくなってきたな)ヤレヤレダワ
鳴「あなたが私を狙う目的は何?」
恒一?「夜見北中のスタンド使いなら誰でもよかったんだが、あいにく君しかいないみたいだったんでね」
恒一?「そいつらなら、何故か殺しても死亡日や死因が変わる……」
恒一?「好きに殺人を楽しめるからな」ニヤリ
鳴「……」
赤沢(コイツは……。何人も殺してるの?)
赤沢(犠牲者は3組の『子守唄』のスタンド使い達、か……。でも、もう『現象』は起こらない)
鳴「私を殺しても、そんな事にはならない」
恒一?「そうか、やっぱり2年前からそういうことはなくなったんだな」
恒一?「夜見北中の女教師のスタンド使いを殺したんだが、『俺』が殺したことにちゃんとなっちまったからなァ」
鳴「!」
赤沢(まさか……)
鳴「2年前に三神先生を殺したのは、あなた?」キッ!
恒一?「そうだ、そんな名前だったな。おかげで、適当なヤツらを切って『通り魔』のせい、ってことにしなくちゃならなかった」
通り魔「全く面倒だったよ」
121:
鳴「ゆるさない」
通り魔「夜見山で暴れるのは、もうやめだな」
通り魔「でも、せっかくだからあんたは殺しといてやるよ」
通り魔「なあに、夜見山以外で殺す時のやり方にすればいいだけだからなァ」ケケッ
鳴「……………………………………」バゴバゴバゴバゴバゴバゴッ
赤沢(橋脚の壁面が一面、煙に覆われて通り魔が見えなくなった)
赤沢(見崎さんのラッシュが壁面ごと、アイツを叩いたのか)
赤沢(でも、煙が晴れても通り魔は平然とそこに立っていた)
通り魔「普通に戦っても俺は負けない」
通り魔「あんたは、俺を殺す気で殴ってないだろ? そんなことしたら俺と同じ殺人者になっちまうからな」
通り魔「でも俺の方は違う」
通り魔「おれは、常にあんたを『殺す気』でやってるからな」ニヤァ
鳴「くっ……」ダラダラ
赤沢「見崎さん!」
赤沢(見崎さんの手……拳から血が!)
通り魔「さっき『覚悟』がどうとか言ってたよな」
通り魔「それが必要なのは、あんたの方だね」
通り魔「『死ぬ覚悟』はできたか!?」
127:
旧校舎廊下
露伴「おまえは一体、何者だ?」
少女「『幽霊』、『未練を残すもの』、『幽波紋使い』、『見崎鳴を攻撃するもの』……」
少女「そして、露伴お兄ちゃんに『取り憑いたもの』、だよ」
露伴(コイツはとぼけるつもりだな。正体を探られるのは嫌ということか?)
少女「そろそろあきらめて、見崎鳴に私のこと『認識』させてよ」
露伴「ぼくは、あきらめの悪い方でね。それに、ちょいと推理してみたんだ」
露伴「おまえは、いつも攻撃の起点が僕に限られている」
露伴「もしかして……僕を介してしか、攻撃できないな?」
少女「……」
露伴「つまり、僕を殺してしまったりしたら、目的が達成できなくなる」
少女「前の時は攻撃したけど?」
露伴「あれは、単なる脅しだったんじゃないか? ずいぶん簡単に危機を脱出できたぞ」
少女「自信たっぷりの推理だね」
露伴「ぼくは、常に自信を持っているからな。当たっちゃったかな?」フフン
少女「それが、当たりだとしてもね……やり方をちょっと変えればいいんだよ」
128:
少女「榊原恒一……恒一お兄ちゃんを、私は確保している」
少女「攻撃はしていないよ。でも、閉じ込めていてね」
少女「露伴お兄ちゃんが言うこと聞いてくれないと、恒一お兄ちゃんはずっとこのままだけどいいのかな?」
露伴「恒一くんを人質にとった、だと?」
少女「どうする?」
露伴「フン! そんなことで、ぼくを動かせると思ってるのか?」
露伴「ぼく自信が危機に陥っているならともかく、他人の心配までする義理はないね」
露伴「恒一くんは、恒一くんで何とかするだろうよ」
少女「ひどい……。見捨てるっていうの?」
露伴「ひどいのはそっちだろ! なんでも人のせいにするのは良くないぞ」
少女「でも、恒一お兄ちゃんを見捨てると困る人は他にもいるよね」ニタァ
露伴(チッ。気付いているのか)
少女「私と同じ、『幽霊』、『未練を残すもの』、『幽波紋使い』」
少女「露伴お兄ちゃんに『憑いているもの』……近くにいるんでしょ? 出てきてよ!」
ゴゴゴゴゴゴ
女性「露伴さん、大丈夫ですか?」スタッ
129:
少女「おばさん、出てくるの遅いよ」
女性「……」
少女「ねぇ、露伴お兄ちゃんを説得してよ。恒一お兄ちゃんを助けてって」
女性「……」
少女「このままだと、どうなるかわからないよ?」
女性「……ずいぶんと、ひどい有様ですね、あなた」
女性「『災厄』を利用しようとして、逆に悪影響を受けてしまっているのですか?」
少女「うるさい!」
女性「恒一くんに危害を加えたら、あなたをすぐに倒します!」
女性「でも、まだ、考え直す余地はありますよ」
露伴(この人……今回は幽波紋で力任せに解決するんじゃないんだな)
少女「あなただって……」
少女「あなただって、露伴お兄ちゃんを利用しようとしてるんでしょ!」
少女「こんなに強く幽霊を『認識』してくれる人は、なかなかいないからね」
少女「お兄ちゃんを利用して、自分の未練をかなえてもらおうとしてるんだよね?」
女性「……」
露伴(そういえば、彼女の未練はまだ聞いてなかったな)
少女「お互い幽霊同士、ここは協力して、未練をかなえたいとは思わない?」
少女「あなたと私が一緒になれば、無敵になれるよ」
130:
露伴「ぼくを無視して、勝手に話を進めないでもらえるかな?」
少女「あら、ごめんなさい」
少女「でも、露伴お兄ちゃんも彼女の未練がどういうのか気にならない?」
露伴「興味ないね」
少女「珍しいね。他のことはあんなに知りたがってたのに」
露伴「ぼくが今、一番興味あることは……。おまえの正体だ」
少女「……」
露伴「おまえの好きなマンガはなんだ?」
少女「……なにそれ?」
露伴「答えられないか? じゃあ質問を変えよう。マンガってなんだかわかるか?」
少女「……」
露伴「やはり、マンガを知らないか……」
露伴「最初に校門であった時も、ぼくが漫画家だといっても驚かなかったよな」
露伴「まるでそんなものに興味が無い感じだった。と言うよりは……」
露伴「そもそもおまえはマンガを読んだことがないんだな、と……。そんな子供が果たして存在するのか?」
露伴「他の幽霊の名前を支配する。というのも、理由があるのだろ?」
露伴「『名前に関しては無敵』と言っていたな。なぜ無敵なのか」
露伴「もしかしたら、おまえ、元々名前がないんじゃないか?」
露伴「その反動で、他の幽霊の名前を奪っている。自分と同じ存在にするために、ね」
露伴「そして最後。ぼくが初めておまえを『認識』したのは、鳴ちゃんの姉妹ではないか、というものだった」
露伴「『藤岡未咲』ではない。だが、『見崎鳴』にそっくりな少女……『ミサキ』」
露伴「おまえは、鳴ちゃんの……他の亡くなった姉妹だな?」
露伴「それも、赤ちゃんの時に亡くなった姉妹じゃないか?」
露伴「それなら、マンガも知らず、名前もないことに説明がつくからな!」
131:
少女「さすが、露伴お兄ちゃんだね」
少女「じゃあ……そんな私が、なんで見崎鳴を恨んでいるかわかる?」
露伴「いいや。彼女はいい子じゃないか」
少女「アハッ! 『いい子』ですって? とんでもない!」
少女「見崎鳴……いいや、藤岡鳴は私のお母さんをいじめているのよ!」
少女「あの女は、私の代わり、まがい物なの」
少女「それでも、お母さんはあいつを本当の娘のようにかわいがっていた」
少女「なのに、お母さんやお父さんにあいつは冷たかった」
少女「そのたびにお母さんは悲しい顔して……」
少女「私だったら! 私だったらそんなことはなかったのに!」
少女「私が生まれていれば、全てうまくいってたのに……」
少女「夜見北中にも今年入学して、恒一お兄ちゃんと仲良くなるのも私だったかもしれないのに!」
露伴「そして、恒一くんは『現象』に殺されただろうね」
少女「……」ギロ
露伴「なるほど、おまえの未練はよく分かったよ」
露伴「でもそれは、今の『結果』を見ただけの、ただの逆恨みだな!」
露伴「生きている人間ていうのは、常に動いているんだ。常に努力してより良くしようとね」
露伴「鳴ちゃんだって、色々苦しいことはあるだろうし、お母さんとだってもっとうまくやりたいと思っているだろう」
露伴「それを、これから良くしていこうという人間の生き方を……生き方の『過程』をおまえは理解してるのか?」
133:
少女「そんなの知らないよ、露伴お兄ちゃん」
少女「だって私は、生きる『過程』も『結果』も体験したことないんだから」
露伴「それにしては成長してるじゃないか」
少女「お母さんが……私の人形を作ってくれたからね。それで、私の形とまわりの世界を認識できるようになった」
少女「世界の方は私をずっと認識してくれなかったけどね」
少女「『災厄』がなくなり、その力を手に入れ、露伴お兄ちゃんが来たのは『運命』だと思ったわ」
少女「これを逃したら私は世界に認識されないまま終わってしまう」
少女「見崎鳴に私の思いを伝えることもできないままね」
露伴「そんな『運命』ぼくは認めないね」
少女「で、お兄ちゃんどうするの? 私を倒す? 倒せる?」
少女「それとも、そっちのおばさんに、私を倒してもらうの?」
女性「ちょっといいですか」
少女「なに? 私と幽波紋で戦う気になったとか?」
女性「もし、その見崎鳴さんがいなくなっていたら、あなたはどうするの?」
少女「あの女がいなくなる?」
女性「もし、あなたが彼女に復讐する前に、彼女が死んでしまっていたら?」
134:
橋脚近くの河原
赤沢(コイツが三神先生の仇)
赤沢(見崎さんは強いスタンド使いだけど、この通り魔のほうが戦い慣れているのか……)
赤沢(……そうだ!)ケイタイピッピッピ
通り魔「おい! そっちの! 何してやがる!」ブウン
赤沢「痛ッ!」パキン
赤沢(携帯が真っ二つに! 私の左手にも切り傷が)
赤沢(ナイフのスタンド? 切るのが攻撃方法なのか)
通り魔「次、変なことしたら腕ごと切るからな」
赤沢(仗助君に応援を求める道も断たれた。見崎さん……)
鳴「よくも、赤沢さんを!」キッ
通り魔「人のことより自分を心配したらどうだ?」
通り魔「君はなかなかのスタンド使いだけど、2年前の先生のほうが強かったな」
鳴「……」
通り魔「俺のスタンドはナイフにまとう小さいもの」
通り魔「だが、スピードと正確さでは誰にも負けない!」
135:
鳴「あなたのスタンド……。なんで暴走してるの?」
通り魔「そんなことまで『視える』のか」
鳴「殺人をしているのも、それが原因?」
通り魔「いーや、違うね。殺人は元々俺の趣味だからな」
通り魔「スタンドの暴走は、もう十数年も続いているから、慣れたな」
通り魔「昔、DIOってやつの下で仕事をしたことがあってね」
通り魔「その時に頭に変なものを埋め込まれたらしい」
通り魔「DIOがくたばったと同時に、その頭のモノが狂って、それが原因で俺のスタンドは暴走状態になったようだ」
通り魔「だが、常にスタンド能力が発動しているだけで、一般人には全くわからないからな」
通り魔「有名人と間違われるのはうっとおしいけどよ」
136:
通り魔「さて、それじゃそろそろ君に止めを刺すか」
鳴「……」グッ
通り魔「全力で来いよ」チャキッ
鳴「……………………………………」ドガドガドガドガドガッ!
通り魔「遅い動きだな」ドドドッ
鳴「くッ!」ブウン
通り魔「死ね……」ドスッ!
赤沢(そ、そんな……)
通り魔「手応えありだな……。これは致命傷だ」
赤沢(見崎さん正面から体にナイフを刺されて!)
鳴「……」ツー
通り魔「そこそこ楽しめたぜ、じゃあな」ググッ
通り魔「?」
鳴「ナイフの……スタンドが私に刺さったままなら……」
鳴「もう防御する手段はない!」ググッ
通り魔「なっ! こいつ、素手で刺さったナイフをつかんで離さないッ!」
鳴「私の……スタンドの両手は自由よ」
通り魔「ば、ばかな。わざと俺の攻撃を食らったのか?」
通り魔「俺の動きを止めるだけのために!」
鳴「三神先生や他の犠牲者の分も……ひとつひとつ……叩きこんであげる!」グッ
137:
鳴「………………………………………………!」ドガドガドガドガドガドガッ!
鳴「………………………………………………!」バコバコバコバコバコバコバコバコッ!
鳴「………………………………………………!」ボゴボゴボゴボゴボゴボゴボゴボゴッ!
通り魔「マッギッラァァァァァ」ドッゴォォォォォン
鳴「」ドサッ
138:
通り魔(や、やられた)ドグシャァァ
通り魔(まさか自分の命と引き換えに俺を倒すとは……)
通り魔(だが、這いずってでも逃げてやる)ズルズル
通り魔(俺のこの能力さえあれば、誰にも追われず、誰にも捕まることはない)ズルズル
通り魔(そう、俺の顔は自由自……)ペタペタ
通り魔(……)ウジュルウジュル
通り魔(な、なんだ、俺の顔……どうなってるんだ?)
通り魔(なんでこんなにゴツゴツザラザラベトベトなんだ? ケガのせいだけじゃないよな?)
通り魔(ま、まさかさっき激しく殴られたショックで暴走がおかしく……)
通行人「だ、大丈夫ですか?」
通り魔「あんた……俺の顔どうなってるんだ?」
通行人「う、うわぁぁぁぁ。バケモノだァァ!」
通り魔「お、おい!」
通行人「誰か警察を! 助けてくれェ!」
通り魔(い、一体、俺の顔は他人にどう見えてるんだァァァァッ!)ウジュルウジュル
141:
赤沢「見崎さん! 見崎さん……しっかりして!」ダキアゲ
鳴「赤沢さ……大丈……夫?」
赤沢(見崎さん、意識はあるけど……。血が、止まらない……)
赤沢「ダメよこんなの! 認めないから!」
赤沢「一緒に料理の練習するって、言ったじゃない!」ポロポロ
赤沢「それに、見崎さんを『いないもの』にしたこと、まだちゃんと謝ってない!」
鳴「……赤沢さん、私の眼帯……外して……」
赤沢「うん……」ハラリ
鳴(あれ? 赤沢さんの眼に……死の色が視える……)
鳴(ああ、そうか……。赤沢さんの泣いている眼に、私が映ってるんだ)
鳴(死んでいく私が……。やっぱり死ぬんだね……)
赤沢「見崎さん! 死んだら、ゆるさないから! 死んだら、恒一君とっちゃうから!」ボロボロ
鳴「榊ば……ら君……。ごめん」メヲトジル
赤沢(見崎さん。もうあきらめちゃってるの?)
赤沢(何とか! 何とかできないの?)
赤沢「仗助君がいれば、こんなケガすぐに治るのに……」
赤沢「なんでよ! 見崎さんがなんでこんなことに! ウソでもいいから、誰か治せるって言ってよ!」
鳴(ウソ……。東方君……。赤沢さん……。榊原君……!)メヲフタタビアケル!
鳴(そうだ! 死の色なんて、乗り越えられる! 『現象』と戦った時だって、みんな死の色から逃れることができた!)
鳴(私だって、生きたい!)グオオン
142:
赤沢(見崎さん! スタンドを出したの?)ドドドドドド
鳴(私のスタンド能力!)
鳴(みんなと会えて、戦ってきたから発動できるこの力に賭ける!)ゴゴゴゴゴゴ
鳴「…………………」ドギュウゥーン
赤沢「見崎さん?」
赤沢(どういうこと? 出血が止まった!)
赤沢(そればかりか、傷口もふさがっている)
鳴「赤沢さん、ありがとう。あなたがはげましてくれなかったら、多分私はここで死んでいた」
赤沢「見崎さん、大丈夫なの?」
鳴「私自身にウソを『視せた』の。東方君のスタンドに『治された』と強力に思い込ませた……」
鳴「ウソや思い込みでも、それが強ければ真実になる時がある」
鳴「赤沢さんや、みんなと会えたおかげで使えた力だよ」
鳴「でも、絶体絶命だったからできたみたい。赤沢さんの傷は治せないな。ごめんなさい」
赤沢「よかった! よかったよ!」ダキツキ
鳴「あ……///」
赤沢「え? ごめん。まだ痛かった?」
鳴「それは大丈夫だけど……。赤沢さん、ちょっとお願いしてもいいかな?」
赤沢「親友なんだから、そんなこと言わなくてもなんでもするわよ!」
鳴「ありがとう。傷は治ったみたいなんだけど、立てそうになくて……」グッタリ
鳴「赤沢さんの、肩を貸してもらってもいいかな?」ニコリ
鳴(笑顔になった赤沢さんの眼には、もう死の色は映っていなかった)
143:
旧校舎廊下
少女「見崎鳴が死ぬ? そんなの……」
女性「そうなったらどうするの? あなたの『復讐』は永遠にできなくなるけど?」
少女「そんなことになったら……。かわりに他の攻撃できる人。私を『認識』できる人を苦しめて……」
女性「そんな考えが出てくる事自体が『災厄』に取り込まれている悪影響よ!」
女性「私の……。私の未練をかなえたかった人たちのうち、一人は2年前に死んでしまった」
少女「……」
女性「それでも、私は他の人を苦しめようだなんて思わなかった」
女性「あなたは『災厄』を利用しようとしているのかもしれないけど、それは逆」
女性「『災厄』のほうが、あなたを利用して復活しようとしているんじゃない?」
少女「見崎鳴をあきらめろって?」
女性「おそらく、見崎さんに復讐できたとしても、なにか物足りなくなると思う」
女性「自分でも気づいてるんじゃない?」
女性「その後は、死を振りまくだけの存在として、ずっと苦しみ続けることになる」
女性「あなたの、その壊れた人形のような幽波紋も『災厄』が形になっただけのもの」
144:
少女「それじゃ、このまま未練を残したままにしろって言うの?」
女性「……あなた一人には、背負わせない!」
少女「え?」
女性「私も、自分の未練はあきらめる! だから一緒にいきましょう?」
少女「なんで、そこまでして……」
女性「あなたは、私に似ているから……。いえ、立場は逆だけど」
女性「私たちは、この世界にとって『いないもの』なのよ」
女性「いくら未練があっても『いないもの』は消えなければならない」
露伴「……」ドシュドシュドシュドシュ
露伴「1ページしか描けなかったが、これが『マンガ』だ……。持ってゆけ」
少女「赤ちゃんが生まれて、お母さんと幸せに暮らしている……」
少女「マンガってこういうものだったのね」
少女「マンガ、もっと見てみたかったな。お母さんに甘えたかったな。生まれたかったな……」パァァァ
露伴(少女が、小さくなって……赤ん坊の姿に)
女性「じゃあ、一緒に行きましょうか」ダキカカエル
赤ん坊「キャッキャッ」ニコニコ
145:
露伴「ちょっと待つんだ」
女性「……」ピタ
露伴「本当に、未練をかなえなくていいのか? 僕から恒一くんに伝言してもいいんだぞ?」
女性「この子と約束しましたからね」
露伴「それに、ぼくは正しくあなたを『認識』できたが、恒一くんはあなたを三神先生だと思っている」
露伴「それも伝えちゃダメなのか?」
女性「母親になりたかった未練を、母親のいない子に伝えても辛くさせるだけでしょう?」
女性「怜子が恒一くん……恒一に慕われていたのが分かっただけで十分です」
女性「露伴さん。いろいろありがとうございました」
女性「未練はかなえられませんでしたが、あなたと会えてよかった」スーッ
女性「あなたのマンガ、私も見てみたかったな」パァァァァ
露伴「理津子さん! 榊原理津子さん……」
ギュィィィィン
146:
後日、3年3組教室
仗助「オイ、恒一! 中尾っちから聞いたんだけど、スタンド使いとやりあったんだって?」
恒一「う、うん。幽霊だったんだけどね」
仗助「まったく、無謀だよなァ」
恒一「見崎にも怒られたよ」タジタジ
仗助「まぁ、無事でよかったぜ。しかし……」
鳴「赤沢さん、つぎの土曜の夕方空いてる?」
赤沢「大丈夫よ」
鳴「今回はカレーに挑戦するつもり」
赤沢「前みたいにじゃがいもの芽、切る時気をつけてね」
仗助「あの2人……あんなに仲良かったか?」
恒一「この間から、あんな感じなんだ。でも元から仲良かったんじゃない?」
仗助(恒一のせいで、仲が微妙だったんじゃないのかよッ!)
綾野「ジョジョっちゃーん!」ダキツキ
仗助「うわっ、びっくりさせるなよォ!」
綾野「ねえねえ、こういっちゃん、ちょっと怖い話があるんだけど、きく?」
恒一「え? どんなの?」
綾野「山奥に現れる包丁を持った怪物の話。目撃者にとって姿はまちまちなんだけど、どれもぐちゃぐちゃのおぞましい姿してるんだって?」
綾野「最近、このへんの近所の山で、目撃されてるんだってよ?」
仗助「へ、へぇ?」
恒一「なんか、変な噂だね。そういう都市伝説はきっかけがあるはずなんだけど」
仗助「難しく考えすぎなんじゃないか?」
147:
杉浦「榊原君、はいどうぞ!」
恒一「杉浦さん? これは、色紙?」
杉浦「露伴先生にクラスみんなの分もサインしてもらうよう頼んでおいたの、昨日届いてたので配ってるところよ」
仗助「その、ご飯先生って漫画家だったんだって?」
恒一「仗助くんもファンなの?」
仗助「いや、俺はマンガにはあんまし興味ないんだけど……。おお! 恒一の似顔絵付きじゃん!」
仗助「スゴイな……なんかアニメの主人公みたいに格好良く描かれてるぜ!」
恒一「そ、そうかな?」アセアセ
仗助「それに引きかえ、あっちは……」
勅使河原「ああー。なんだこのギャグマンガみたいな似顔絵……」
望月「僕なんか女の子みたいに描かれちゃってるよ……」
杉浦「はい、これ東方君のよ」
仗助「へ? 俺、その岸本先生とかとは会ったことないんだけどな」マァモラットクカ
仗助「……」
仗助「オイ、杉浦!」
杉浦「どうかした?」ニヤニヤ
仗助「なんで俺の似顔絵、服を着たネコなんだよッ! しかも、名前『トウホウ君へ』って間違ってるし!」
杉浦「欠席してたし仕方ないんじゃない?」クスクス
仗助「しかも、このネコ、下に『昔近所で飼ってた、ネコのメイちゃん』て書いてあるぞ!」
恒一(だから見崎、鳴ちゃんて呼ばれてたのか……)タラー
仗助「こんなのいらん! おーい、見崎ィ! おまえにこのサインやるよ!」
148:
恒一(結局、露伴先生はあの後、挨拶もそこそこにすぐ東京へ帰っていった)
恒一(しばらくして、人形使いの少女と、姉と母親を慕う幽霊と、自分の生んだ子を心配する幽霊の出てくるマンガが連載された)
恒一(『ピンクダークの少年』の中でも異色の話だったが、好評だったようだ)
恒一(見崎と赤沢さんは、料理の練習をしているそうだ。お互いの家に行って色々作っているらしい)
恒一(今度、僕に料理の出来を確かめて欲しいと言われている。仗助くん達も誘って行ってみようか?)
恒一(中尾君は相変わらず、赤沢さんにアタックしているようだ)
恒一(でも、最近は杉浦さんとも仲がいいような……)
ドドドドドド
恒一(こうして、1998年の秋の夜見山の事件は終わった)
恒一(夜見山北中3年3組の奇妙な『幽霊』についての物語はこれまで)
恒一(他の奇妙な出来事については、また別の機会に)
Knockin' on Heaven's Door
露伴「夜見山北中3年3組?」 完
149:
以上で終わりです
前作みたいなスタンドバトル期待してた方、すいませんでした
Anotherで全然出てきたこと無いキャラを出してみたかったのです
最後までお付き合いありがとうございました
150:
乙ッ!!!
151:

152:
乙です!面白かった!
もしかしてまた続きとか短編的なものも各予定とかはありますか?
153:
みなさんレスありがとうございます
>>152
とりあえず、面白いネタあれば続きあるかもしれません
でも、夜見山の日常(スタンドでのツッコミあり)とかで短編連作、いいかもしれませんね
Anotherは登場人物いっぱいいるので、色々いじりがいがありますし
15

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