俺「生存率1億分の1以下…か」back

俺「生存率1億分の1以下…か」


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1:
俺「いずれ来るんだろうな」
友「ああ…最近、かなりサイクルが早いみたいだ」
俺「その時が来て欲しいような、まだ先でいいような」
友「ま、オレ達がどうこうできるハナシじゃないさ」
俺「…そうだな」
元スレ
俺「生存率1億分の1以下…か」
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2:
モブA「おい、オレ達の小隊に集合命令が出てるぞ」
友「!!」
俺「まじかよ…今、話してたばかりだぜ」
モブB「オレ…やだよ、だって全滅が当たり前だって言うじゃねえか」
友「……そりゃ、オレだって怖いさ」
俺「でも、ここにこのままいたって一緒だ」
3:
モブA「そうだ…今はまだ若い精子、でもすぐに劣化していって……」
友「その内、老廃物……オレはその方が御免だ」
俺「友……」
友「俺、オレは征くぞ。なに…どんなに狭き門だろうと、挑まなければ通れるわけがないんだ!」
モブA「友…その通りだ」
モブB「ごめん…オレ、覚悟するよ! お前達と同期でよかった!」
俺「よし──」
友「俺…?」
俺「──征こう、オレ達の死に場所へ」
4:
小隊長「総員! 整列っ!」
ビシィッ!
小隊長「…ご苦労、諸君。尻尾を休めて聞きたまえ」
男(いつもと雰囲気が違うな…普段なら『休め』なんて言わない)
小隊長「訓練の定時ではないこの時間に集合を呼びかけた…その時点で皆、察してはおろう」
小隊長「…つい先刻、前立腺(ジェネレーター)が初期拍動の兆候を見せたとの報告があった」
5:
隊員「おお…遂に…!」
ザワザワ…ザワザワ…
小隊長「騒ぐな! …なに、知らなかったわけではあるまい」
小隊長「何しろ、ここ最近の出撃サイクルは非常に早い」
小隊長「それは言うまでも無く、我々の主たる『男』が二十数年の童貞生活に終止符を打ったからだ」
モブC「お言葉ですが小隊長殿! 我が主『男』は以前より右手の活用に余念はありませんでした!」
ドッ!アハハハハ…
…ソウダ、ソウダ!ミギテハトモダチー!
6:
小隊長「…静まれ! ……だが、この期に及んでなお、下らん野次を飛ばせる貴様らを頼もしく思う」
小隊長「状況は以前とは違う」
小隊長「主たる『男』は現在、恐るべき頻度で恋仲であり脱童貞の相手でもある『幼馴染』との性交渉を行っておる」
小隊長「右手による演習訓練とはわけが違うのだ……解ろうな?」
俺(つまり、本当に卵子に突入できるチャンスもあるって事だ)
俺(……オレ達は無駄死にすると決まったわけじゃない)
7:
小隊長「その出撃サイクルの早さ故に、貴様らに充分な訓練を受けさせたとは言えん」
小隊長「正直、もっと…貴様らをしごきヌキたかった──」
ザワザワ…ショウタイチョー
…ナイテル…?
小隊長「──騒ぐなっ!」
小隊長「例え訓練が不足していようとも…! 貴様らがいかに若きヒヨッコであろうとも…!」
小隊長「貴様らはワシが誇る精鋭、一騎当千の兵と信じる!」
俺(小隊長…)ウルッ
8:
伝令兵「報告いたします! 前立腺の大規模拍動を確認! 間もなく分泌液が押し寄せますっ!」
小隊長「すでにこの竿(ふね)は作戦区域(膣内)に突入しているっ! 端部潤滑液(カウパーリキッド)の分泌量も上々だ!」
ドパッ!ザアアアアァァァッ!
ゴゴゴゴゴゴ…!
俺(あれがオレ達が乗る分泌液…! これだけ頻繁に排出しておいて、なんて量だ…!)
小隊長「挑むは…戦うは、まさに今ぞ! 奮え、勇士よ! 総員、出撃体勢っ!」
隊員「おおおおおおぉぉぉぉぉっ!!!!」
俺(いいだろう…分泌液は今、俺を飲み込み──)
俺(──精液に変わる──!)
9:
──発射10秒前
波動砲充填20%──
俺「くっ…他の小隊よりも前に出なければっ!」
友「俺っ! こっちだ!」
俺「友…! どこだ、友っ!?」
ライバル「はっ! モタついてんじゃねえよ!」
俺「ライバル…! お前の小隊も出撃していたとはなっ!」
ライバル「俺よ、悪いが貴様が受精する事は無いぜ」
俺「ぬかせっ…!」
10:
──発射8秒前
波動砲充填50%──
俺「くそ…完全に友とはぐれちまった…!」
俺(かなり前にはきたが…)
俺(ライバルの姿も見えない…あいつの実力なら、先頭に近いところにいるはずだ──)
………

兄『──なあ、俺…重荷を背負わせて悪いが、いつか出撃したら…オレの分まで戦ってくれよな』
俺『な、何を言ってんだよ。…兄貴だって戦うために生まれてきたんだろ』
兄『ははっ…知ってるだろ? 産出される精子の数パーセントは不良品だ』
俺『兄貴…』
兄『不良品の精子は受精しても、うまく分裂できない……それを避けるために、早く死ぬ運命だ』
俺『兄貴は不良品なんかじゃ…!』
兄『いいんだよ、俺…。もう尻尾の先は老廃物化しようとさえしてる…自分の事は自分で解るさ──』
11:
──発射6秒前
波動砲充填70%──
俺(オレは…)
俺「負けるわけには、いかないんだ…!」ピチピチッ!
ライバル「くっ…こいつ! 食らいついて来やがるっ…!」
モブD「周囲の温度が変わってきたぞ!」
モブE「発射口に近いんだ…いよいよか」
俺(確かに、周りの壁が軟質化してきてる)
俺(おそらく亀頭部に達してるんだ…)
俺(あとは尿道との合流弁がいつ動作するか…!)
12:
──発射4秒前
波動砲充填90%──
俺(しまった…周りの密度が高すぎる…!)
俺(波動砲は最大で120%まで加圧される…このままじゃ、潰されちまう!)
俺(どこか隙間は…!?)キョロキョロ
俺(…あった! あそこへ逃げ込めば…!)ピチピチッ
ライバル「甘えんだよっ!」ババッ!
俺「ライバルッ! 貴様…!」
俺(くそ…先を越されるなんてっ!)
俺(でも、ライバルが悪いわけじゃない…みんな生き残るのに必死なんだ)
…ギュウウウウゥゥゥッ!
俺(く…そ……意識…が…)
俺(ここ…までか──)
13:
──発射2秒前
波動砲充填100%──
友「──俺っ!」ドンッ!
俺「うわっ…!?」ピチッ
俺(何が起こった…!? 幾分隙間があるところへ押し出されたが…)
──ハッ!
俺「……友っ!?」
友「くっ……」
ギュウウウゥゥゥゥッ!
俺(馬鹿な! 友が俺のいたところに…!)
友「……生きろ…俺…」
俺「友っ! 今行く…! くそっ、よけてくれっ! 友ぉっ!」ピチピチピチッ
14:
──発射1秒前
波動砲充填120%──
友「うわああああぁぁぁぁぁっ!!!」
モブ多数「ぎゃあああっ! つ…潰れるうううぅぅっ!!!」
──プチッ
プチプチプチッ!
──波動砲充填限界
生存者ハ耐衝撃体勢ヲトレ
繰返ス、生存者ハ──
俺「友おおおおおぉぉぉぉっ!!!!」
──波動砲
発 射 !!!
15:
……………
………

俺(……ここは…どこだ)
俺(暖かい…まるで母の胎内のようだ)
俺(俺は…死んだのか…?)
俺(…友は……?)
俺「友…? ……友っ!?」パチッ
俺「………いない…」
俺「そうだ…ここは、膣内…俺は…友の、兄貴のためにも」
俺「ここで倒れるわけにはいかないんだっ!!!」
16:
モブF「ぎゃあああぁぁぁっ! なんだ…こいつらはああぁぁっ!?」
俺「!?」
モブF「うわあああぁぁぁぁ……! たす…け…て……」ジュウウウウゥゥゥゥ…
俺「なっ…!? 体が溶けて…!」
ライバル「ボーッとするな!  そいつに触れたら死ぬぞ!」
俺「ライバル! 生きていたのか!」
ライバル「くそっ…どうやら、主…『男』はオレ達を見限ったようだぜ」
俺「どういう事だ…?」
ライバル「お前にはアレが見えないのか」
俺「……!!」
17:
俺(何だ…あの壁はっ!)
俺(全方位を囲んで…オレ達の進撃を阻んでいる…!)
ライバル「聞いた事くらいはあるだろう…あれが『絶対防御壁(ゴム)』だ。…オレも見るのは初めてだがな」
俺「あれが…ゴム…」
モブG「ぎゃああああぁぁぁっ!」ジュウウウウゥゥゥッ
ライバル「そしてあのオレ達を溶かす物体は、ゴムに塗布された殺精子ゼリー!触れたら終わりだぞっ!」ピチピチッ
俺(何て事だ…! でも、それじゃいくら逃げても…!)
俺(くそっ! 『男』はただ快楽のためにオレ達を利用したってのか…)
俺(受精させる気も…!)
俺「……戦う事を許す気も無いってのかよぉっ!」
18:
──フワリ…
俺(…風? こんな閉ざされた空間で、どこから)
俺(でも間違いない、どこかから吹いてくる)
俺(風が吹くなら…どこかに出口があるはずだ…!)ピチピチッ
ライバル(アイツも気付いたようだな…)ピチピチッ
俺(どこだっ!? どこに出口が…!?)
──ヒュウウゥゥッ
俺「!!」
俺(あった…! 円形の穴が空いてる…!)
ライバル「ハハッ…! どうやら『男』がオレ達を見限っても『女神』は見捨てなかったようだな!」
俺「女神…?」
ライバル「あれは人為的に空けられた『針穴(トラップホール)』だよ…! 『幼馴染』の仕業だろうな!」
19:
俺「くそっ…しかし殺精子ゼリーの布陣が濃い…これじゃあ近づけない!」
ライバル「チッ…情けねえ、ついて来い!」ピチピチッ
俺「なっ…よせ! ライバル! 死ぬ気かっ!」ピチピチッ
ライバル「殺精子ゼリー、心も持たぬ無機物の兵士よ…! 道を──」
俺「ライバルーーーッ!」
ライバル「──開けろおおおぉぉぉっ!!!」
グチャアッ!
バキッ!ドロッ!ジュウウウウゥゥゥ…
20:
ライバル「…早く…行けっ……このウスノロ…め…」ジュウウウゥゥ…
俺「なぜ…なぜだっ! ライバル!」
ライバル「ふんっ…勘違いする…な……オレは…さっき一度、ゼリーに触れて…いたんだ…」ジュウウウゥゥ…ブスンッ…ブスッ
俺「…そんな……」
ライバル「尻尾が…焼け落ちる前に…ここをクリアにでき…て…良かった…ぜ…」ボロッ…ボロボロッ…
俺「ライバルッ! 崩れ落ちて…!」
ライバル「さあ…早く……行けっ! オレの死を無駄にしないでくれ…! イクんだ…俺……頼…む──」サアアアァァァ…
俺「ライバルーーーッ!!!」
21:
俺「ライバル……」
俺「友……兄貴……」
俺「みんな……」
俺「オレは…必ず、受精してみせるっ!!!」
俺「例え主の意思がどうであろうとも……!」
俺「避妊なんか…許さないっ!」
俺「待ってろ…卵子…!」
──みんな、俺を
俺「うおおおおおぉぉぉぉっ!!!!」ピチピチッ
見守ってくれ──
22:
──この日の戦いは後に『壁越えの聖戦』と呼ばれ、永く歴史に刻まれる事となる
戦死者1億1284万8635名
任務達成者1名
後に明らかとなった破られし壁は『超うす12個入(小さめ用)』だった
無論、穴は人為的に穿けられたものであり、決して商品の質に問題は無い──
23:
──三ヵ月後
幼馴染「責任とってよね」
男「あい」
24:
【End】
過去作置場、よかったら覗いてやって下さい
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