比企谷小町「恋のキューピットにお任せあれ☆」back

比企谷小町「恋のキューピットにお任せあれ☆」


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1:
キャラ崩壊ぎみですので閲覧注意。
話もまとまりがなくて下手くそですが、それでもよろしければお付き合いください
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2:
「皆さん、おはようございます!
 初めましての人は初めまして。
 私の名前は比企谷小町、小町比企谷。今年で16歳になる華の女子高生です。」
「おい」
「そう、私は今や女子高生!
 前までの私は中学生でしたが、この春からちょっと大人な女子高生なのです。」
「おいって」
「そして皆さん、聞いておどろかないでくださいね。
 なんと
 比企谷小町は総武高校に無事合格することができました!!
 はい拍手??
 私は雪乃さんや結衣さんと同じ制服に身を包み、
 新たに始まった高校生活にちょっぴり緊張しながら、それ以上にワクワクしながら日々をすごしています。」
3:
「なあ、誰と喋ってんの?え?お前視える人なの?そうなの?
 やばいって。ってかなんでチャリんこに付いて来れんだよそいつ、めちゃくちゃえじゃねえか」
「ちょっとお兄ちゃんうるさい!せっかく小町がモノローグを語ってるのに」
「モノローグは心の声だけにしときなさい。
 ってかモノローグってなんだよ。確かにお前の人生、お前が主演だけどよ」
「わかったよ。ってかお兄ちゃんも黙って安全運転を心がけてください」
「へいへい」
4:
じゃあここからはお兄ちゃんの言う通り心の声だけにしましょう。
そう、春からはお兄ちゃんが高校3年生。
小町は1年生。
共に総武高に仲良く通ってます、お兄ちゃんのチャリに2ケツして。
はあ??座ってるだけで学校に着くとか楽だな?。
「ほれ、もう学校目の前だし降りろよ」
「はーい。ありがと、お兄ちゃん?」
「へいへい」
お兄ちゃんはそのまま自転車を漕いで学校の中へ。
小町も歩いて門をくぐる。
よし!今日も楽しい1日の始まりです!
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――――――――――――――――――――
5:
「はい、小町さん」
そう言って雪乃さんが目の前にティーカップをコトリと置く。
「わあ!いつもありがとうございます、雪乃さん」
「いいえ、ついでだから別に気にしなくてもいいわ。
 あそこの目の腐った男のように貰って当然と思ってくれて問題ないわ」
「別にそこまで傲慢じゃねえよ。いつもありがとうって言ってるよ、心の中で」
「そう、あなたにも感謝の気持ちがあったのね。だけどね比企谷くん。
 気持ちは言葉にしないと伝わらないのよ、友達のいないあなたは知らないでしょうけれど」
授業が終わって放課後の奉仕部部室。
何を隠そう小町も奉仕部の一員なのです!
別にやりたい部活もなかったし、
それに雪乃さんや結衣さん達はおもしろ……一緒にいるの楽しいし。
6:
「それにしても、ヒッキーんとこってほんと似てないよねー」
「ほっとけ。十人十色、皆違って皆いいんだよ」
「兄妹揃ってお兄ちゃんみたいな感じだと両親も可哀想ですからね?」
「………末っ子も大変よね」
「お?なんだ、雪ノ下も末っ子だから苦労が分かんのか?」
「特にあなたみたいな兄を持つ小町さんは大変でしょうね」
「いいじゃねえか。老人ホームとかで即戦力になれるくらい成長して」
「雪乃さ?ん!おなじ末っ子同士がんばりましょうね」
私は雪乃さんにぎゅっと抱き付く。
「きゃっ……ええ、そうね」
15:
雪乃さんは身体的接触に慣れてないのか、いつも抱き付いても何もしない。
頭を撫でたり、肩に手を置いたりもしない。
何時も所在なさげに手をさまよわせる。
でも雪乃さんっていい匂いがして好き。
甘ったるい花や化粧の匂いじゃなくて、石鹸のような清潔感があって、優しい匂い。
「おい小町、雪ノ下に迷惑かけんなよ」
「え!?迷惑ですか!?」
「いいえ、そんなことないわよ」
こう聞けば雪乃さんならそう言うと思った。
ほんと、優しい人。
16:
「いいな?。ゆきのん、あたしがくっつくときはいつも迷惑そうなのに」
「あなたは小町さんとは違っていつも強く抱き付くんですもの。それに小町さんはなんだか妹のような感じなのよ」
「あ?それ分かるかも」
みんなの妹キャラ、それが比企谷小町です。
「ってか今日も依頼者来ねえな。これ部活やる意味あんの?」
「確かにヒマだね?」
「あ、じゃあ結衣さん。パーティーしませんか?」
「パーティー??」
「はい!今からお菓子買って来てパーティーしましょう」
「それいいかも!」
17:
「あなた、今ダイエット中だって昨日言ってたわよね」
「ぐっ!け、けど今日歩いて帰ったら大丈夫だから!多分」
「雪乃さんは反対ですか?」
「いいえ、別にしてもらっても構わないわ」
「なんで他人事なんですか。雪乃さんも一緒ですよ?」
「私も?……………ええ、大丈夫よ」
「ならお兄ちゃん!」
「へいへい」
そう言って既に立ち上がっていたお兄ちゃんがノソノソと部室を出て行った。
18:
「あれ?ヒッキーどこ行ったの?」
「お菓子の買い出しですよ」
「え!?あのヒッキーが!?」
「……言われる前から行動していたわよ」
「え?何かおかしいですか?」
「だってあのヒッキーが……」
「言われてもやるべきことをやらなさそうな彼が……」
ありゃ、お兄ちゃんの評価は散々ですね。
「けど、お兄ちゃんは昔からああやって気をつかってくれますよ?」
「確かにヒッキーってよく気を回すけど」
「けど小町さんに対しては気を遣うというか純粋に甘い気がするわね」
「まあシスコンですから」
「シスコンなんだ!?」
「少し関係を見直そうかしら……具体的には退部の方向で」
19:
ごめんなさい、お兄ちゃん。
お兄ちゃんの評価をぐっと下げちゃいました。
じゃあこの失態は小町自らが挽回してみせましょう!
というか、こんな美女2人と1年間過ごして何も進展なしというのはどうかしてます。
お兄ちゃんの青春ラブコメは間違いだらけです。
もう、仕方ないですね。
ここは小町が一肌脱いであげましょう。
24:
「結衣さん、雪乃さん」
「なーに?」
「何かしら」
「お兄ちゃんに甘えたいですか?」
「ふえ!?………ま、まあ、甘やかしてくれるのならそれはそれで嫌じゃないって言うか」
「………彼を意のままに使えるのならそれに越したことはないわね」
「なら、小町がその秘訣を教えてあげましょう!」
さあ、ここからはずっと小町のターンです!!
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25:
「買ってきたぞ。あー疲れた」
お兄ちゃんがコンビニの袋を下げて部室に戻って来た。
「ありがと?お兄ちゃん」
お兄ちゃんにトコトコと駆け寄って腕にぎゅっと抱き付く。
「へいへい」
お兄ちゃんが面倒臭そうに小町の頭に手を乗せる。
私は後ろにいる雪乃さん達をチラチラと見る。
今ですよ!
26:
「………あ、ありがと!お………お兄ちゃん!」
「………は?」
「………お………遅かったわね………兄さん」
「………へ?」
お兄ちゃんが開けっぱなしだった扉の後ろの廊下を見る。
いやいや、誰もいないよ。
「なに?お前らも視える人なの?もうやだこの部活。
 俺以外全員視えるとかなんだよそれ、オカルト研究部かよ。今から異能バトルでも始まんの?」
「に、兄さんは何を言っているのかしら。目だけじゃなくて頭まで駄目になってしまったのかしら」
「え?目は別に駄目じゃないよ?ちょっと濁ってるだけだよ?頭も大丈夫だよ?」
27:
「お、お兄ちゃん。早く座ってお菓子食べようよ」
「……いやいや、俺にはこんなでっけえ妹2人もいねえよ」
「妹じゃないもん!」
「ええ、妹ではないわ」
「は?けど兄さんとか言ってんじゃん」
「これは………」
「そだ!ヒッキーの新しいあだ名なの!」
「あだ名?俺そんなにお兄さんキャラだったっけ。体操教えてたっけ」
「それよりも兄さん、買ってきたお菓子を早く渡しなさい」
「え?なにそのツンツン妹キャラ」
「お、お兄ちゃん!あたし早くお菓子食べたい!」
「お前は食いしん坊妹か、いやいねえよそんな妹キャラ」
28:
「まったく、五月蠅い兄さんね。馬鹿みたいなことばかり言ってないで早く皆で食べましょう」
「そうだよお兄ちゃん」
雪乃さんと結衣さんがお兄ちゃんの腕を掴んでズルズルと引き摺ってく。
「え?なに?何が始まんの?やだこわい帰りたい」
「大丈夫よ、別に何もしないわ」
「そうだよ、皆でお菓子食べるだけだよお兄ちゃん」
そう言って無理矢理椅子に座らされるお兄ちゃん。
「はい、買い出しに行って喉が渇いたでしょ?紅茶を淹れておいたわ」
「あ、ああ。ありがと」
お兄ちゃんが恐る恐る紅茶を飲む。
大丈夫だよ、農薬とか入ってないから。
29:
「お兄ちゃん、何買ってきたの?」
「あ、ああ。ほら」
お兄ちゃんが袋を結衣さんに手渡す。
「ポテチにキットカットにカントリーマアム……ふむふむ、中々いいチョイスだね」
「ありがとう、何様のつもりだ」
「お兄ちゃん、何食べたい?」
「いや、俺は別にいらねえんだけど」
もう、そんな風に避けてばっかだから進むもんも進まないんだよ、お兄ちゃん。
しょうがない、小町がアシストを出しましょう。
「結衣さん、お兄ちゃんはカントリーマアムのバニラ味が大好きなんですよ」
「あ、そうなんだ。あたしはどっちかって言うとココアだけど………… はいお兄ちゃん。あーん」
30:
「いやいや、なに袋から取り出しちゃってんだよ。自分で開けるから袋のまんまくれよ」
「え?もう開けちゃったし。ほら、あーん」
「くっ!」
お兄ちゃんがライバルに追い詰められた主人公のように結衣さんを睨みつける。
いやいや、カントリーマアム食べるだけだから。
『あーん』くらい中学生でもやるから。
「………食べりゃいいんだろ、食べりゃ。よこせ」
お兄ちゃんが結衣さんの手からお菓子を奪い取る。
「あ、食べさせてあげようと思ったのに」
「いらん、自分のメシは自分で食うわ」
31:
「それより兄さん、キットカットを食べたいからとってくれないかしら」
「いや、何スンと俺の隣座ってんだよ。お前はいつも俺の対角線上のホライゾンだろ。何アイデンティティー捨て去ってんだよ」
「何時にも増して何を言っているのか分からないわ。それより早く」
「……へいへい」
お兄ちゃんがコンビニ袋の中からキットカットを掴みとってそのまま雪乃さんに差し出す。
「ほら」
「………あーん」
「………………………………」
「あーん」
32:
「………………………………」
お兄ちゃんは雪乃さんの『あーん』を無視して、キットカットをコトリと机の上に置いた。
「なぜ食べさせてくれないの?」
「いやいや、そんくらい自分でしろよ」
「いやよ、手が汚れちゃうじゃない」
「なんでキットカット手づかみすんだよ。袋開けてそのまま食ったら汚れねえよ」
「あなたが何言ってるのかちょっと分からないわ。ならお手本を見せてくれないかしら」
「………ほら、こうやって袋掴んだまま食べたら」
そう言ってお兄ちゃんが袋ごしにキットカットを二つに割ったところで雪乃さんがキットカットにかじりつく。
なんかえろい!
33:
「………なるほど、そうやって食べれば手が汚れないのね」
「」
そこでお兄ちゃんが無言で立ち上がる。
やばっ!遊び過ぎたかも。
いくら温厚なお兄ちゃんでもさすがに怒るよね。
「ご、ごめんね?お兄ちゃん。これはね」
私が謝ろうとお兄ちゃんに声を掛ける。
すると
お兄ちゃんは走って部室から逃げて行った。
「あ!ヒッキー…じゃなかった、お兄ちゃんが逃げた!」
「兄さんを追うわよ」
「わかった!」
バタバタとお兄ちゃんを追いかけて部室を出ていく二人。
34:
は?本当に雪乃さん達は面白いな?。
『お兄ちゃんは妹が好きなんですよ』って言ったら本当に妹になっちゃった。
いや、冗談。ちょっとしたお遊び。
今度はちゃんとするから。
なんてったって、お兄ちゃんの明るい青春と、お二人の淡い恋心のためなんですから。
けどそれは明日からね。
今日は面白いからこのままでいいや。
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43:
「小町、今日俺部活休むから」
「え??なんでさ」
翌日、今日も兄の漕ぐ自転車の後に座ったまま登校する。
「いや、そりゃあれだってあれ……………行くの恐い」
昨日の妹パラダイスはお兄ちゃんにとってトラウマになってしまったみたい。
可哀想に。
「大丈夫だって、昨日のは遊びだったんだから。今日はもういつも通りになってるよ」
「本当か?お前を信じてもいいのか?」
「うん!小町を信じて!」
「今一信用しきれんがまあいい。それに行かなきゃ卒業できないって平塚先生に言われてっしな……」
お兄ちゃんが心持ち肩を落とす。
「大丈夫だよ、何かあったら小町が守ってあげるから」
「おう、お前だけは俺の味方だと信じているぞ」
「うん!」
さあ、今日はどうやって遊ぶ……もとい、どうやって結衣さん達を応援しようかな?。
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44:
良く分からない授業を6コマ受けて放課後になった。
テスト前にお兄ちゃんに勉強教えてもらお。
トコトコと廊下を歩いて特別棟にある部室へ。
部室に面している廊下を歩いていると、部室の扉の前に佇む不審者が。
「お兄ちゃん、なにしてんの?」
「っ!!……なんだ、お前か」
「そうだよ、小町だよ。ってか、だからなにしてんの?」
「いや、部室に入る勇気が」
「もう!仕方ないな?小町が一緒に入ってあげるから」
「お、おう」
部室の扉を開けて一歩中へ。
「やっはろ?!です。雪乃さん、結衣さん」
「ええ、こんにちは小町さん」
「やっはろ?小町ちゃん」
45:
お兄ちゃんのブレザーの裾を引っ張って中へと進む。
「ヒッキーもやっはろ?」
「あ、ああ」
「比企谷くん、あなたは挨拶一つ満足にできないのかしら」
「……うす」
「ええ」
お二人の呼ぶ方がいつも通りになっていて安心したのか、お兄ちゃんがいつもの椅子に腰掛ける。
「あ、ねえねえヒッキー」
「あ?なんだ?」
「明日ライティングの小テストあるよね?」
「ああ、そういやそう言ってたな」
46:
「だから勉強教えて?」
「いやだ」
「ええ!?教えてよ?グス」
「いや、泣くなよ。ったく、じゃあついでに教えてやるよ。俺も今終わらせときたいし」
「うん!ありがと、ヒッキー」
「ほれ、とっとと教科書開け」
「はーい」
というわけでお兄ちゃんと結衣さんは勉強することに。
「………ヒッキー、これってこれで合ってる?」
「あ?こっちからじゃ読めねえよ」
「じゃあこっち来てよ」
「やだ」
47:
「もう、じゃああたしが隣行くから」
「え、あ、おい」
そう言ってお兄ちゃんが止めるのも聞かず、結衣さんが椅子を持って隣りに座る。
いいですなーいいですなー。なんか青春ってかんじ。
その後も、結衣さんがお兄ちゃんに質問してはお兄ちゃんが面倒臭そうに答えるという勉強会が続いた。
「ほれ、これで明日のテスト範囲は終わりだ」
「やった?!ありがと、ヒッキー」
結衣さんがお兄ちゃんの右腕にぎゅっと抱き付く。
「ぬわっ!!」
お兄ちゃんが驚いて結衣さんを振りほどく。
48:
「え?」
「いきなりくっつくなよ」
「え??こんくらい普通だよ」
「リア充界ではそうかもしれんがボッチ界では違うんだよ」
「ぶー」
ありゃりゃ。
普通の男の人だったら、結衣さんみたいに可愛いくて胸おっきい人が抱き付いたら喜びそうなもんなのに。
「勉強は終わったかしら」
「あ、ああ」
「ではお茶にしましょうか」
そう言って雪乃さんがコトリと二人の前に紅茶を出す。
49:
「ゆきのんありがと!」
「……どうも」
「それより比企谷くん、私からもあなたにお願いがあるのだけれど」
「あ?お前が?珍しいな」
「これなんだけど」
雪乃さんがお兄ちゃんの横までやってきてノーパソを机に置く。
「なんだ?……また千葉県横断お悩み相談メールかよ」
「それで、今表示されている相談にだけはどうしても答えられなくて…… 比企谷くんに任せてもいいかしら」
「まあ、俺が答えられるならな。なになに?」
50:
『PN 結婚相手急募中相手方条件応相談
 
 最近、結婚がしたくてしたくて仕方ありません。
 ですが良縁に巡り合えなくて困っています。
 私は仕事もしっかりしていますし、容姿の方もそれほど問題があるとは思えません。
 それに、料理や掃除といった家事も少しずつではありますが練習しています。
 それなのに合コンに行っても男性は若い子にばかり………
 そこで質問です。
 
 男性に好かれる女性の仕草や性格を教えて頂けないでしょうか。
 やはり天然ぶった(笑)子を可愛いと思うのでしょうか』
「……うわ、ガチなのぶち込んできやがったよ」
「先生も必死なのよ。それで、この部には男と言えばあなたしかいないのだけれど、どうなのかしら」
「そんなん言っても俺も分かんねえよ、こんなの」
「なら比企谷くんの個人的な見解でもいいわ」
「……わかった」
お兄ちゃんがキーボードに手を置いて返信を考える。
51:
「………よし」
『奉仕部の回答
 
 天然ぶった女に騙される男も多いでしょう。
 ですが、そんなのに騙される男なんて所詮その程度のレベルということです。
 天然ぶったり、何かを演じたりして付き合えたとしても、その先ずっと演技するのは無理があります。
 ですから、自然体のままの自分を受け入れてくれる人と出会えるよう頑張ってください。』
「おい、こんな感じでいいか?」
お兄ちゃんが文章を打ち終えて、隣りにいる雪乃さんに尋ねる。
「少し確認するわ」
雪乃さんがお兄ちゃんの肩に手を置き、肩越しにパソコンを覗き込む。
顔の距離ちかっ!
もう横向いたらキスしちゃいそう。
52:
「ちょっ!」
お兄ちゃんが椅子ごと横にスライドして雪乃さんから距離を取る。
「すまん、俺が邪魔で見辛かったよな。どうぞ存分に見てくれ」
「…………なるほど。比企谷くんは自然体な女性が好きということなのね」
「俺が好きとかじゃなく一般論だろ」
「わかったわ。ではこの内容で平塚先生に返信するわね。ご苦労様」
「もうペンネームの意味ねえな」
ふむ、雪乃さんでも駄目でしたか。
そろそろ気づいてる人もいるでしょうからネタばらし。
今日のテーマはずばり「ボディータッチ」。
53:
小町は結構お兄ちゃんに抱き付いたりするけど、お兄ちゃんは嫌そうな顔をしたことない。
むしろちょっと嬉しそうな時だってある。
そのことを言ったら雪乃さん達の目の色が変わった。
雪乃さんは綺麗だし結衣さんも可愛いからお兄ちゃんも喜ぶかなって思ったんだけど。
結果は失敗みたい。
やっぱりお兄ちゃんは警戒心が強いみたい。
いきなり触ったら恐がっちゃう。
むむむ??我が兄ながらなんて面倒くさいんでしょう。
55:
その後も雪乃さんと結衣さんのチャレンジは続く。
雪乃さんがお兄ちゃんの読んでる本を隣りから覗く振りしてちょこんと抱き付いたり、
結衣さんもお兄ちゃんの髪を撫でようとしてみたり。
けど全部お兄ちゃんはそれらを振りほどいてしまう。一騎無双状態。
しまいにはお兄ちゃんの両隣にぴったりと結衣さんと雪乃さんが座る。
「ねえ比企谷くん」
「ねえねえヒッキー」
「」
そして今日も無言でお兄ちゃんが立ち上がる。
あ、デジャブだ。
56:
そして案の定、お兄ちゃんは何も言わずに走り出して部室から出て行ってしまった。
あちゃ?今日も失敗かー。
けどまだまだ!
お兄ちゃんのためにも小町、頑張るからね!
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――
65:
翌日の放課後。
部室に行くとお兄ちゃんの姿がなかった。
「やっはろ?です?。あれ?お兄ちゃんは?」
「まだ来てないわ」
「ヒッキー、あたしより先に教室出たんだけどなー」
むむむ、どこに行ったんでしょうか。
部活をさぼると卒業できないって脅されてるから学校にはいるはず。
ならばとお兄ちゃんにメールを送る。
すると返って来たメールには自販機の横のベンチにいるとのこと。
「じゃあお兄ちゃんをちょっと迎えに行ってきますね」
「ええ、お願いするわ」
「いってらっしゃ?い」
66:
部室を出てテニスコートの横にある自販機へ。
お兄ちゃんは…………あ、いたいた。
「なんでこんなところにいるの?」
「あ?………小町か」
一度こちらを見た後、視線はまたテニスコートに戻された。
その先を見てみると男子の姿が。
男の人なら女子のアンスコ見たいと思うはずなんだけどな?。
テニスコートにいる男子をよ?く見てみるとその中に戸塚さんの姿が。
もしや!!!
これは………姫菜さんが良く言っている禁断の掛け算!!
はち×さい!!???
67:
駄目だ!
このままじゃ小町にもう一人兄(お義兄ちゃん)ができちゃう!
小町はもうお兄ちゃんはいらない、例え戸塚さんみたいな可愛い男の子でも。
出来るならお姉ちゃんがいいかな。
「今日は部活行かないの?」
「部活?…行きたくねえな?」
「大丈夫だよ、お兄ちゃん」
「ん?何がだよ」
「昨日一昨日と結衣さん達の様子が変だったけど、さっき小町が『めっ!』って怒っといたから。
 だから今日は絶対普通だよ」
「小町……」
お兄ちゃんが潤んでるけど死んだ魚のような濁った目でこちらを見て来る。
この目さえなかったらもてるだろうにな?。
68:
「やっぱり小町だけだよ。俺には」
「ふふん、もっと感謝してもいいよ!」
「ああ。今日の帰り、コンビニでプリン買ってやるよ」
「プリン?!!」
本当は全部小町のせいだからちょっと罪悪感が……。
けどもらえる物はもらっとこう。
「よし、じゃあ部活行くか」
「らじゃー!!」
お兄ちゃんと二人並んで部室へと向かう。
69:
「お兄ちゃんを連れてきました?」
「ご苦労様、小町さん」
恐がるお兄ちゃんを引っ張って部室の中へ。
「ヒッキーどこ行ってたの?」
「自販機」
「そっか?」
今日は妹キャラでもないし、ボディータッチもなし。
至って普通なかんじ。
皆揃って席に着いたところで今日も雪乃さんが飲み物を淹れてくれる。
「どうぞ」
「ゆきのんありがと?」
「雪乃さん、ありがとうございます」
「いいえ」
雪乃さんが小町と結衣さんの前にコトリとティーカップを置く。
「………俺の分は?え?ないの?」
70:
「比企谷くんにはこちらをあげるわ」
そう言って出されたのはコーヒー。
「あれ?コーヒー?今まで紅茶だったじゃねえか」
「ええ、けどいつもあなたは甘いコーヒーを飲んでいたからコーヒーメーカーを持ってきたの。嫌だったかしら」
「いや、確かにコーヒー好きだが……わざわざ持ってきたのか?」
「ええ」
「そうか、そりゃすまんかったな」
「いいえ、このくらいなんでもないわ」
部室の端を見てみると、確かに昨日までなかったコーヒーメーカーが。
コーヒーポットもステンレスだし、なんかめちゃくちゃ高そうなんですけど。
71:
「それで、味はどうかしら」
「美味いんじゃね?多分」
「なぜ多分なの?」
「そんな違いなんか分かんねえよ。コーヒーは甘けりゃそれでいいんだよ」
「そうなの」
コーヒーメーカーの横に置いてある豆も高そうなんだけど。
わざわざミルで挽いたっぽいんだけど。
お兄ちゃんのバカ!アホ!
72:
「まあありがとな、これで今度から部室でもコーヒー飲めるわ」
「喜んでくれたならそれでよかったわ」
「ねえねえヒッキー」
「なんだ?」
「ヒッキーって肩こってるでしょ」
「凝ってるでしょって……見た目か?そんなに俺は世に疲れたおじさんみたいな顔してるか?」
「だっていっつもヒッキーってだるそうなんだもん。肩もんであげようか?」
「いや、肩は凝ってないんだが」
「まあまあ、遠慮しなくてもいいよ」
「あ、ちょ、おい」
止めようとするお兄ちゃんを無視して、別に凝ってないお兄ちゃんの肩を揉み始める結衣さん。
73:
「どう?これでも肩もみはお父さんに上手だね?って言われるんだよ?」
「痛っ!いたたたたたっ!痛いっつうの!お前のお父さんどんだけ優しいんだよ!」
「お父さんも痛いくらいがちょうどいいって言ってたからこれでいいんだよ」
「んなわけあるか。気持ちいいくらいでいいんだよ。痛い痛い!」
「もう、仕方ないな?じゃあ緩めにもんであげるよ」
「いや、だから俺別に肩凝ってねえし……あ、でも気持ちいいかも」
「えへへ?そうでしょ??」
「比企谷くん」
「お前までなんだよ」
「じゃあ私は手を揉んであげましょうか?」
「手?……すまんが俺は肉球ないぞ」
74:
「当然よ、ホモサピエンスなんですから。そうじゃなくて手のツボを押すのよ」
「つっても別に悪いところなんてねえけどな」
「それはやってみないと分からないわよ。見えない所が痛んでることだってあるんだから。ほら、左手を出して」
「あ、ああ」
差し出されたお兄ちゃんの手を雪乃さんがとる。
結衣さんに肩を揉まれて、雪乃さんには手のマッサージ。
なにこれ、ハーレム。
「じゃあ始めるわよ」
「ああ、頼……痛い痛い!お前のも痛い!なにそこ、秘孔押してんの!?」
75:
「いいえ、ここは合谷と言って万能ツボとも呼ばれるところよ。
 頭痛や歯痛、目の疲れや肩こり、果ては花粉症や蓄膿症といったものにも効果があるツボよ」
「いや、それ絶対嘘だろ、いろんなとこ繋がりすぎだろ。ってかだから痛い!」
「比企谷くんは目が人より少し曇ってるから効果があるのかしら。このまま押し続ければきっと澄んだ瞳を取り戻せるはずよ」
「この目は生まれつきだっつうの、先祖代々に謝れ」
「そう、ならツボを押したところで効果はなさそうね。なら他に悪いところがないか一通りしてみましょうか」
「これで心臓悪いとか言われたらどうすりゃいいんだよ……」
その後もハーレムマッサージが続く。
ってかマッサージなら結衣さん達に触られるのも大丈夫なんだ。
目的が明確なら別にいいのかな?
76:
「ほいヒッキー、肩終わったよ」
「おう、さんきゅー。なんかすっきりした気するわ」
「ちょっと由比ヶ浜さん」
「ん?何?」
「比企谷くんの爪が伸びているわ。切ってもらってもいいかしら」
「おっけーゆきのん。まっかせて」
「あ、おい。そんくらい自分でするっての」
「いいのいいの。あたしに任せて?」
そう言って結衣さんがお兄ちゃんの手を取って爪切りを始める。
「手のマッサージは終わったわよ。次はなにをすればいいかしら」
「え?いや、別になにもしてくれなくていいんだけど」
「そう………」
そう言われてしょんぼり肩を落とす雪乃さん。
77:
「あ、いや………じゃあコーヒーのお替りもらってもい
「ええ、任せて」
お兄ちゃんの要望を受けて即座にコーヒーを作りはじめる雪乃さん。
こんなメイドさんいたらいいな?。
今日のテーマは「お兄ちゃんを甘やかす」。
小町も家ではお兄ちゃんに料理を作ってあげたり家事してあげたりと何かと面倒を見ている。
そういうのが多分、お兄ちゃんが小町に甘かったり心を許してる理由だと思う。
だからそのことを昨日メールで伝えたらこういうことになっちゃった。
雪乃さん達、お兄ちゃんを甘やかそうと必死過ぎ。初孫を喜ぶお祖母ちゃんのごとし。
78:
雪乃さんが淹れたてのコーヒーをお兄ちゃんの下へ。
「今度は少しお砂糖を多めにしてみたわ。どうかしら」
お兄ちゃんが一口飲んでみる。
「……甘い、まあいい感じだな。けど俺は砂糖よりは練乳の甘さの方が好きだな」
「練乳……」
雪乃さんがメモを取り出して何やら書いている。いや、確実に「練乳」って書いてるんだろうけど。
今日の帰りにでも買って帰るのかな?健気すぎ。
「それとこれ、温かいおしぼりよ。目をこれで休めなさい」
「お前はどんだけ俺の目を目の仇にしてんだよ………」
お兄ちゃんがブツクサ言いながらもタオルを目の上に置く。
80:
けど私もここ最近は傍観者ばっかりで飽きてきたな?。
「お兄ちゃん、小町にしてほしいことない?」
「お前に?……そうだな、じゃあ今日の帰りはお前がチャリ漕いでくれよ」
「いや? そうじゃなくて今!」
「今?っつっても爪切ってるから動けねえし、タオルで目の前見えねえし特にしてほしいこともねえし」
「ふーん?そうなんだ。じゃあもうお兄ちゃんには何もしてあげないんだから」
「え!?………あ!じゃあ帰ったら耳掃除してくれ」
「今じゃないじゃん」
「う……けど今頼みたいこともねえし」
83:
「……わかったよ、じゃあ今日はお風呂上がりに耳掃除してあげるね」
「あ、ああ。頼むわ」
帰ってからだったら別にお兄ちゃんで遊んでも仕方ないんだけどな?。
まあいっか。耳掃除くらいしてあげよ。
「比企谷くん、耳掃除くらいなら今私がしてあげましょうか?」
「あたしがしてあげる!」
「あ、いや………風呂上りの方がいいし今はいいわ……」
――――――――――――――――――――――――
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99:
学校は今日で終わりで明日は休み!
部活はまだあるけど奉仕部だし楽だ??。
今日は何して遊ぶんだろう?
昨日はいい感じだったから、今日もお兄ちゃんにご奉仕するのかな。さすが奉仕部。
部室の扉を元気よく開けて挨拶をする。
「やっはろ?です!」
「やっはろ?」
「こんにちは、小町さん」
「ちゃんと勉強してきたか?妹よ」
よかった、今日はお兄ちゃんもちゃんといるみたい。
昨日のようなアプローチだとお兄ちゃんもイヤじゃないみたい。
100:
「ちゃんと勉強してきたよ?だからテスト前はよろしくね?」
「できてねえじゃねえか」
小町も席についたところで雪ノ下さんが紅茶とコーヒーを淹れてくれる。
「はい、由比ヶ浜さんと小町さんには紅茶を」
「ありがと、ゆきのん」
「わ?ありがとうございます」
「それと、比企谷くんにはコーヒーとこれを」
そう言って雪乃さんがお兄ちゃんの目の前にコーヒーとコンデンスミルクを置く。
あれ?いつも家で使ってる牛さんがかかれた赤色のチューブじゃない!
英語がびっしり書いてあるし缶詰だ!
ぜったい高い!
101:
「ああ、すまん。わざわざ買ってくれたんだな。いくらだったんだ?お金払うわ」
「いいえ、貰いものだから別にいいのよ。家にあっても使わないし」
「そっか、ならありがたくもらうわ」
そんなわけないじゃん。
コンデンスミルクもらうとかどんな状況よ。
お兄ちゃんがスプーンでコンデンスミルクを掬ってコーヒーへと入れる。
「ど、どうかしら。甘すぎないかしら」
オロオロと心配そうに尋ねる雪乃さん。
「……おい雪ノ下」
「は、はい!」
102:
「めちゃくちゃうめえじゃねえか。え?なにこれ。めちゃくちゃコクっつうか深みがあるっつうか。
 とりあえず美味い!ちょう美味い!」
「ほっ……そ、そう。それはよかったわね」
雪乃さんが憮然とした表情で腕を組む。
今更取り繕っても遅いですよ?。
「は??やべ??。この練乳そのまま食ってもうめえんじゃねえの?」
「まだ家にたくさん余ってるから好きに使ってもらって構わないわ」
「まじか。お前ん家、良い家だな」
「あなたの中では甘い物があればいい家なのね」
「ああ、甘いのが丁度いい。甘くないのは人生だけで十分だ。じゃあいただきます」
お兄ちゃんがコンデンスミルクをそのまま食べる。
さすがに小町もひくな?。見てるだけで甘ったるい気分になっちゃう。
105:
>>104ミス 訂正
「ねえねえヒッキー」
「あ?なんだ、お前も練乳ほしいの?ちょっとだけだったら分けてやらんでもない」
「ゆきのんが持ってきたのになんでヒッキーが偉そうだし!ってかそうじゃなくて。今日ね、ケーキ……」
「まじか!今日はいいこと尽くめだな」
「を焼いてきたんだ」
「じゃあ溜まってる千葉県横断お悩み相談メールでも片づけるか。
 まずは1人目、PN『女教師ものって興味ありますか?』さんから。生徒に何聞いてんだよ」
107:
「もう!ヒッキーってばムシしないで!頑張って作って来たんだよ!」
「いや、だってクッキーさえ満足に作れない奴がケーキは無理あるだろ。自宅警備員が自衛隊に行くくらい無理」
「けどヒッキー、前に気持ちが大事だって言ったじゃん」
「気持ちは1スパイスであってそれが全てじゃねえよ。ってかその気持ちも憎悪とかならやばい」
「ヒ、ヒッキーのために頑張って作って来たのに………食べてくれないの?」
結衣さんが涙目に。可愛い子っていじめたくなるよね。
小町がお兄ちゃんに耳打ちする。
「……お兄ちゃん、結衣さんって料理できないの?」
「木炭錬成を料理というのなら出来ると言って差し支えない」
「いや、差し支えるよ。木炭って燃料じゃん」
「まあそういうことだ」
「……けど、結衣さんが頑張って作って来たんだよ?とりあえず一口だけでも食べて上げたら?」
108:
お兄ちゃんが眉間を揉みながら溜息を吐く。
そんなに躊躇しちゃうくらいやばいんだ、結衣さんって………
「……おい由比ヶ浜、腹減ったからケーキくれ」
「え?」
「なんだ?散々ケーキを自慢するだけしてくれねえのかよ。スネ夫か」
「う、ううん!ちょっと待って!今出すから」
結衣さんが冷蔵庫から箱に入ったケーキを取り出す。
どうでもいいけど冷蔵庫とかコーヒーメーカーとか部室に勝手に持ち込んでもいいのかな。
「はい、食べて!」
お兄ちゃんがごくりと唾を飲みこみ、箱をオープンする。
109:
「…………お?タルトか。え?ってかめっちゃうまそうなんだけど」
タルトの上には洋ナシやキウイ、バナナが盛り付けられてる。
苺はこの季節ないから彩りに欠けるけど、それでも綺麗でおいしそう。
「お母さんと一緒に作ったからあたし1人ってわけじゃないけど……… けど頑張って作ったんだよ?」
「そうか………由比ヶ浜、さっきは失礼なこと言って悪かった」
お兄ちゃんが深々と頭を下げる。
「い、いいよいいよ。料理上手ってわけじゃないし!」
結衣さんが胸の前でブンブンと両手を振る。
「そ、それより食べてみて!お母さんに味見してもらってるから大丈夫なはず!」
「ああ、じゃあ頂くわ」
111:
お兄ちゃんがタルトを一口パクリ。
「……おう、ちゃんとうめえ。すげえうめえよ。作って来てくれてありがとうな」
「う、ううん!」
結衣さんが満面の笑顔を浮かべる。
やっぱり結衣さんは笑顔がすてき。
「あ、ゆきのんも小町ちゃんも食べて食べて?」
「ええ、じゃあ頂くわね」
「やった?!いただきます、結衣さん」
112:
紅茶片手にケーキを楽しむ部活、それが奉仕部!
奉仕部でよかった??。
お兄ちゃんもタルトと甘ったるいコーヒーにご満悦の様子。
こんなに甘やかされてブクブクになっちゃわないかな?
「ねえね、ヒッキー」
「今度は何だ?」
「あたし、頑張ったよね?」
「あ?まあそうだな。こんな美味いタルト作ったんだし」
「じゃあ……ごほうびほしいな?」
「ご褒美?なに?金とんの?」
「お金とかじゃなくて」
「じゃあ何が欲しいんだよ」
113:
「………あたまナデナデして?」
「は?そんなんでいいの?」
「……うん。それで十分だよ」
「そっか、なら失礼して」
お兄ちゃんが結衣さんの頭を撫でる。
お兄ちゃんのナデナデって気持ちいいんだ?。手があったかいからかな?
「ふわぁぁぁ?」
結衣さんが幸せそうな、というかだらしない顔をする。
「こんなんでいいか?」
「うん!ありがと!」
「ひ、比企谷くん」
「なんだよ俺忙しいな。何でもかんでも俺に言うなよ、俺はお前らのお母さんじゃねえぞ」
114:
「わ、私もあなたのために色々用意したのだから、それ相応の褒美をもらっても罰は当たらないと思うわ」
「じゃあ何が欲しいんだよ」
「……どうせ比企谷くんにできることなんて高が知れてるでしょう。それに、お金にも生憎困っていないの。
 だから………頭を撫でるだけでチャラにしてあげるわ」
「マジか、俺のナデナデで全部チャラにできるなら安いもんだな。じゃあ撫でるぞ?」
「え、ええ」
今度は雪乃さんの頭をナデナデ。
綺麗な黒髪の上をお兄ちゃんの手が流れる。
「………ふにゃぁぁ?」
にゃあ!?
雪乃さんとろけすぎ!
「こんなんでよかったか?」
「え、ええ。今日はこれで許してあげましょう」
お兄ちゃん、今度からコンデンスミルクと引き換えに何やらされるんだろう。
115:
結衣さんも雪乃さんも自分で考えてお兄ちゃんにアタックしてる。
うんうん、なんだか雛鳥が飛び立ったかのように嬉しくもあり、寂しくもあるかな。
けど、これで小町がいなくてももう大丈夫かな。
「ヒッキー!なんかしてほしいことあったら言ってね!」
「比企谷くん、今何をしてほしいのかしら」
「そうだな………今から本読むから静かにしててくれたらそれでいいよ」
えーーー………お兄ちゃんひどい。もう色々とひどい。
結衣さんと雪乃さんがソワソワしながら読書中のお兄ちゃんを凝視する。
「………ヒッキー膝枕してあげよっか?」
「は?いや別にいいよ。寝っ転がったら本読みにくいし。ってか寝っ転がるにしても膝枕はいらん」
「そ、そっか………」
116:
雪乃さんが立ち上がり、お兄ちゃんの隣の椅子に腰掛ける。
「……何か用か?」
「あなたがどんな本を読んでいるのか気になったのよ」
そう言って雪乃さんがお兄ちゃんの読んでいる本を覗き込む。
ふりをして肩に寄り掛かろうとしている。
ファイト!雪乃さん。
けどお兄ちゃんがそこですっと椅子を動かして距離を取る。
「そんなに読みたいなら先に読んでいいぞ」
お兄ちゃんが本を雪乃さんに差し出す。
「……いいえ、少し内容が気になっただけだから。比企谷くんがそのまま読んでいてくれて問題ないわ」
117:
「そうか」
そう言って本の世界に戻るお兄ちゃん。
我が兄のなんと鉄壁たることか。
せっかく雛鳥が、とか言ったあとなのに台無し。
むむむ………これは新たな一手を講じる必要があるかな。
―――――――――――
―――――――――――――
――――――――――――――――――――――
130:
今日は学生も社会人の多くもお休みの土曜日。
お兄ちゃんは昨日も夜更かししてたのかまだ起きて来てません。
もうお昼なんだけどな?。
「ふわぁぁぁ??……おはよ」
「おはよお兄ちゃん。もうお昼だよ」
「おはよ!ってかヒッキーって寝間着ジャージなんだ」
「日中は怠惰に過ごしているのに。寝ている時のほうが活動的ということかしら」
「……………………………なんでお前らいんの?」
お兄ちゃんが雪乃さんと結衣さんを見て固まる。
132:
「なんでって。ヒッキーん家に遊びに来たんだよ」
「遊び?遊びってかくれんぼと称して置いてけぼりにしたり鬼ごっこが気が付いたら比企谷菌ゲームになったりするあれのこと?」
「何を言っているのか分からないけれど、多分違うと思うわ」
「ヒッキー……それってイジメ……」
「今日は別にあなたをいじめにきたわけじゃなくて、単純に皆で遊ぼうと思ったのよ」
「……皆ってその膝の上に座ってるカマクラ含めか?」
「ええ、もちろんよ。カマクラを仲間外れになんてできないわ」
膝の上にいるカー君をギュッと抱きしめる雪乃さん。
「……由比ヶ浜恐がってんぞ」
「え!?そ、そんなことないよ。ね、猫ちゃんかわいいな?」
「いや、無理に構わなくていいぞ」
「む、むりじゃないもん!」
133:
「まあなんでもいいけど……ってか遊ぶって何すんだよ。どっか出掛けんの?」
「比企谷くんはどこか行きたい所とかあるのかしら」
「自分のベッド」
「却下よ」
「なら特にねえ」
「じゃあ今日はお家で遊ぼう!」
「ええ、そのほうがカマクラも一緒に遊べるわ」
お兄ちゃんの目線が慌ただしく動く。
どうやって追い出そうか思案してるのかな?
自分の家なのに肩身狭そうに縮こまってる。
134:
「ヒッキー、何したい?」
「なにって……」
ぐ???
お兄ちゃんのお腹から気の抜けた音が聞こえてきた。
「そうね、まずはご飯にしましょうか」
「……そうだな、腹減ったし」
「じゃあゆきのん、一緒にご飯作ろ?」
「由比ヶ浜。お前、母ちゃんいなくても料理できんの?」
「多分大丈夫!!だってお母さんが料理してるの結構見たし!」
「いや、だからそれ練習って言わ
「大丈夫!イメトレばっちし!ちゃんとおいしい料理作るから待っててね。ほらゆきのん、行こう?
 台所借りるね?」
雪乃さんの背中を押して結衣さん達は台所へ。
135:
「………俺はとりあえず着替えて来るわ」
「わかった?、じゃあ小町は雪乃さん達を手伝ってくるね」
「任せた」
お兄ちゃんは着替えるために部屋に戻り、小町は台所へ。
「ゆきのん、もうパスタ入れてもいい?」
「駄目よ。まだ沸騰していないわ」
雪乃さんが結衣さんの手からパスタの束を奪い取る。
「じゃああさり洗おうか?」
「由比ヶ浜さん。洗剤はいま必要ないの。洗剤は食べた後に食器を洗う時に使うから」
雪乃さんが今度は洗剤を奪う。
136:
「あ、じゃあじゃあサンドイッチ作るね」
「由比ヶ浜さん、その手に持ってる缶詰は?」
「え?もちろんサンドイッチに入れるんだよ」
「由比ヶ浜さん。そんなの入れたらパンがべちゃべちゃになっちゃうから。
 缶詰のフルーツはフルーツポンチやタルトを作るときにしましょう」
そう言って缶詰も雪乃さんに奪われてしまう。
駄目だ。
結衣さんと雪乃さんの1on1のせいで一向に料理が進まない。
昨日のタルトってどうやって作ったんだろう。
もしかしてお母さんが作るの見てただけ………そんなことないと願おう。
「雪乃さん。小町も手伝います。何をすればいいですか?」
「助かったわ小町さん。今日はボンゴレビアンコとサンドイッチにするつもりなの」
「了解しました」
137:
「ゆきの?ん。あたしはなにすればいいの?」
「由比ヶ浜さんには……なら小町さんに切ってもらったパンにバターを塗ってもらえるかしら」
「はーい」
「というわけで、小町さんはとりあえずパンを切ってもらってもいいかしら」
「大丈夫ですよ」
というわけで役割分担をして料理開始。
そのあとも結衣さんが隠し味とかアレンジをしようとしてたけど、何とか雪乃さんとタッグを組んでそれらを阻止した。
雪乃さんと二人でやった方が早かったのでは?
と思うような苦労をしてやっと料理が完成。
お料理を持ってお兄ちゃんの待つリビングへ。
138:
「お兄ちゃんお待たせ?」
料理の乗ったお皿をテーブルに並べる。
「よかった。普通に美味そうだ」
「大変だったんだから」
「そりゃすまんかったな」
雪乃さん達も取り皿とかを持ってリビングへやって来た。
「ごめんなさい。今からお米を炊くと時間がかかるからパスタにしたのだけれど。よかったかしら」
「ああ、別にパスタだろうと何だろうと食べられたら十分だ」
139:
「それはよかったわ。それでは頂きましょうか」
「ヒッキー、頑張ったからいっぱい食べてね」
「ああ。作ってくれてありがとな、雪ノ下も」
「べ、別にこのくらい……どうってことないわ……」
「ほらほら、お兄ちゃん。冷めちゃう前に食べちゃお?」
「ああ、そうだな。じゃあ頂きます」
お兄ちゃんがパスタをクルクルっとフォークに巻きつけ一口頬張る。
「……どうかしら」
「やっぱり雪ノ下は料理上手だな。普通に店で出せるんじゃねえか?」
「このくらい誰だってできるわ」
パスタを美味しいと褒められてほっと胸をなでおろす雪乃さん。
雪乃さんかわい??
140:
「ヒッキーヒッキー!これも食べて」
結衣さんが手製のサンドイッチを指さす。
「………なにこれ」
「なにって、サンドイッチだよ」
「いや、サンドしてねえじゃん、オープンしちゃってるよ。ってか何でパンの上に桃……」
「タルトみたいで美味しそうでしょ?昨日、ヒッキーが美味しい美味しいって言ってくれたから」
「……別々に食いたかったよ」
ごめん、お兄ちゃん。
目を離してる隙に結衣さんが作っちゃってて。
お兄ちゃんが恐る恐る結衣サンドを手に取る。
そして一口。
「どう?ヒッキー?」
141:
「………手がべちゃべちゃ」
「缶詰に入ってたシロップも勿体ないからかけといたんだ」
「……そか」
お兄ちゃんが無表情のまま無心で咀嚼する。
「またヒッキーのために料理作ってあげるね」
「……ああ、また今度な」
小町、涙でそう。
モテる男も大変だ。
「お?これは小町が作ったのか?」
そう言ってお兄ちゃんがサンドイッチを指さす。
「うん、そうだよ」
142:
「やっぱりサンドイッチって言えばこれだな」
そう言ってお兄ちゃんが小町の作ったサンドイッチを頬張る。
「うん、今日も美味い」
別に何てことはないサンドイッチ。
チーズとハムを挟んで、ケチャップで味付けしてトースターで焼いただけ。
けど、お兄ちゃんは昔からこれが好き。
八幡歴は小町が一番長いから、やっぱりお兄ちゃんが好きなものは小町が一番知ってる。
雪乃さんもまだまだ八幡マスターには遠いかな……結衣さんほどじゃないけど。
151:
食事も終わり、皆で再度なにをするか話し合う。
「ヒッキーなにしたい?」
「自分の部屋に籠りたい」
「そう、ならカマクラを含めて5人で比企谷くんの部屋に行きましょうか」
「やめて下さいお願いします。っていうかお前はまずカマクラを置け」
「今日はみんなで遊ぶの決定なの!だから部屋にこもるとかはナシ! もっと他にしたいことないの?」
「つっても人となんかするなんて俺経験ねえし」
「そう言えば私も基本1人でできることしかしないわ」
「ゆきのんまで……」
152:
「じゃあお前らリア充って普段何して遊んでんだ?クラブとか行ってクスリして踊り狂ってんの?」
「薬?薬は風邪の時くらいしか飲まないけど。 ん??優美子たちとはショッピングとか甘いの食べに行ったりかな。
 隼人君達もいるときはボーリングとかカラオケとか皆でしてて楽しいことしてるよ?」
「皆でしてて楽しいこと……」
雪乃さんが口元に手を当てて何やら考え込む。
「皆でやって楽しいこととかイジメくらいだろ」
「なにそれ!?ヒッキーひどい!!」
「は?俺はイジメなんてしねえよ。けど皆、俺いじめるときは楽しそうに一致団結してるぞ」
「ヒッキー………」
またお兄ちゃんのネガティブ思考が……。
可哀想過ぎてお兄ちゃんの頭をなでる。
お兄ちゃんが「なに?」ってかんじの目を向けて来るけど気にしない。
153:
「そうよね、女子も女子を排斥するときだけは嬉々として団結するわよね」
「ゆきのんまで………」
雪乃さんが淡々と言う。
やっぱり雪乃さんくらい華やかな人だったらヤッカミとかすごいんだろうな。
ってかお兄ちゃんも雪乃さんも人と何かするってのに慣れてないんだと思う。
二人とも、別に気遣いできないわけじゃないし。
多分、経験が足りてないだけ。
なら、今からでも『友達と遊ぶ』ってのに慣れてほしい。
けど皆でできることって何かあるかな?。
トランプ?ツイスター?ジェンガ?
154:
「あ」
「ん?小町ちゃん、どしたの?」
「wiiなんてどうですか?」
「wii?あるの?」
「はい、ありますよ」
「そっか、じゃあ皆でしよっか」
結衣さんも賛成みたい。よかった。
「wii?wiiってゲーム機のことよね」
雪乃さんが尋ねてくる。
155:
「はい、そうですよ」
「そう………た、例えばだけど………パ、パンさんが出て来るゲームとかあるのかしら」
「パンさんですか?ありますよ。皆でミニゲームとかして楽しむゲームなんですけど」
「そ、そう」
雪乃さんが途端にソワソワしだす。
これってパンさんが好きってことかな?
「じゃあ皆でそのゲームします?」
「え、ええそうね。小町さんがしたいというのならそのゲームをするのも吝かではないわね」
「そのゲーム楽しそう!あたしもしたい」
「お兄ちゃんもそれでいい?」
「ああ、けどうちってリモコン2個しかねえけど」
「あ?じゃあちょっとだけ待ってて」
「? ああ」
156:
携帯を持ってリビングから出て自分の部屋へ。
電話帳からある人に電話を掛ける。
『もしもし?』
「あ、大志君?」
『比企谷さん?久しぶりだね』
「うん。あ、でね。大志君にお願いがあるんだけど」
『お願い?』
「wii持ってるって言ってたよね?ちょっとwiiリモコンを2個借してほしいんだけど」
『別にいいよ。じゃあどこに持っていけばいいかな』
「あ?じゃあ出来たら今から住所言うから家まで持ってきてもらってもいいかな??」
『わかった!』
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――
157:
リビングに戻ってwiiをセッティングして、ぼ??とテレビを見ていたら家のチャイムが鳴った。
多分、大志君だ。
玄関のドアを開けると予想してた通りの人が立っていた。
「はぁはぁ……比企谷さん、久しぶり」
「大志君久しぶり!」
「はい、これ」
そう言って大志君から紙袋を受け取る。
「うん、確かにブツは受け取った」
「あ、比企谷さん。久しぶりに」
「大志君ごめんね、いまちょっと人が来てて立て込んでるの! だからまた今度ゆっくり会って喋ろうね?」
「う、うん!わかった、また今度、ゆっくりと」
「そういうわけで。リモコンありがと? じゃあね?」
30秒ほどで用事を済ませてリビングへ。
158:
「お待たせしました?。皆さん、コントローラーが来たのでゲームしましょ」
「そう、では早始めましましょうか」
そう言って意外なことに雪乃さんが一番乗り気だった。
大志君に借りたwiiリモコンをさくっと登録する。
「はい、準備できましたよ」
大志君に借りたコントローラーを結衣さんと雪乃さんにそれぞれ手渡す。
「私、このゲームをしたことがないのだけれど」
「あたしもwiiは持ってないからやり方わかんないや」
「大丈夫ですよ。そんな小難しい操作とかはないんで多分やってる内に慣れてきますよ」
「そう。ならとりあえずやってみましょうか」
「そだね」
というわけで早ゲームを起動。
159:
このゲームはパンさんやディスティニーのキャラを操作してミニゲームを楽しむもの。
まあ簡単に言えばマリオパーティみたいなもんです。
このゲームの目的はお兄ちゃんと結衣さん達の仲を進展させること。
だからまずは二人で協力プレイを楽しむモードを選択する。
「じゃあとりあえずは2対2で勝負です。お兄ちゃんと小町はこのゲームに慣れてるんで、後で交替するとしてとりあえず結衣さんと雪乃さんがどっちかについてください」
「そう、なら……」
「じゃあゆきのん、じゃんけんで決めよっか」
「ええ、そうね」
「「じゃんけーん」」
「ぽい!」
「ぽん」
雪乃さんがチョキ、結衣さんがパーで雪乃さんの勝利。
「あ、じゃあとりあえずあたしが小町ちゃんとチームだね」
「ええ、そうしましょうか」
160:
「じゃあまずは……」
私が選んだゲームは、懐中時計を持った白いウサギちゃんが迷路の中を逃げ回るのを二人で追いかけ回して掴まえるというゲーム。
「雪乃さん、お兄ちゃんと協力して逃げる白ウサギを捕まえて下さいね」
「え、ええ」
「じゃあスタート!!」
「おい雪ノ下。そっち封鎖しろ」
「そっち?そっちってどっち?」
「そっちって言えばそっちだろ……あ、馬鹿。お前がちんたらしてるせいで逃げ放題じゃねえか」
「馬鹿?私があなたより馬鹿だと言うの? そもそも、こういうゲームにおいては隅に追いやるのがベターなはずよ。
 それなのにあなたが無暗矢鱈と追いかけるから穴ができるんでしょ」
161:
「ちげえよ、追いかけねえと範囲が広すぎてカバーしきれねえんだよ」
ああ、お兄ちゃん。
雪乃さん初心者なんだからもっと優しく教えてあげて。
小町相手みたいに「あっち」とかじゃ伝わんないから。
「それにしたってもっと考えて」
「考えてる暇あったら追いかけろ。じゃねえとお前が好きな隅にも追いやれねえんだよ」
「別に好きではないけれど………あ、また逃げたわ」
お兄ちゃんも雪乃さんも好き勝手に追いかけるからウサギちゃんが間を縫ってびゅんびゅん逃げる。
「いや、だから封鎖しろっての。隅においやりたいなら隅に行くように誘導しろよ」
「してるじゃない」
162:
「お前のいう隅ってどっちだよ」
「左上よ」
「なんで一番遠い左上なんだよ、今右にいんだし右側にしろよ」
「それを早くいいなさい……あ、時間切れだわ」
二人でぎゃーぎゃー言い合いをしている内にタイムアップ。
これ、簡単なゲームなはずなんだけど……。
「まったく。比企谷くんのレベルに合わせるのがこんなに苦労するなんて」
「いや、ゲームに関しちゃお前の方が下手だからな。 なんで右にいるウサギを左に追い詰めんだよ」
「右にはスペースがあるのだから、逃げ道が少ない左の方が良いに決まってるじゃない」
「左に追い詰めるにしても残り時間と相談して決めろよ。どう考えたってさっきの状況じゃ右下がベストだろ」
163:
「どうやら比企谷くんと協力して何かをすると言うのは無理な様ね」
「はあ?俺のせいじゃねえだろ。お前が頭でっかちなせいじゃねえか」
「いいえ、あなたが馬鹿なせいよ」
「いいや、お前だね。ゲーム初心者には分からんだろうがな」
「ゲームは初めてだけれど、だからと言ってこんな簡単なことができないのはあなたがパートナーだからよ」
「言ったな?じゃあもうチーム戦止めて直接対決にすっか」
あれ?
なんでゲームしてたんだっけ。
仲良くなるためじゃなかったっけ。
「小町、チーム戦止めて4人対戦にするぞ」
「え?え?」
164:
「由比ヶ浜さん。交替してあげられなくてごめんなさい。 けれど、この馬鹿な男にどちらが上かはっきりと教えてあげないといけなくなったわ」
「え?そ、そっか」
「由比ヶ浜さん、一緒に比企谷くんに勝ちましょうね」
「そ、そだね。け、けどゲームなんだし皆で楽しくワイワイやれたらそれでいいかな?なんて」
「甘いわ由比ヶ浜さん。やるからには勝利を目指さなきゃ。 ゲームでもなんでも本気でやるから面白いのよ」
「そうだぞ、本気でやるからゲームも盛り上がるんだろうが。 俺ネット対戦しか知らねえけど」
なぜかお兄ちゃんと雪乃さんの意見が一致する。
それなら仲良くする方で一致してよ。
165:
「じゃあどっちが上か白黒つけてやる」
「ええ、望むところよ」
というわけで二人の火蓋が切って落とされる。
その後はお兄ちゃんも雪乃さんも本気でやり合ってた。
もうガチ。パーティどころじゃ済まされない。
気が付いたら結衣さんも二人の熱気にあてられて本気でゲームに取り組むことに。
高校3年生が3人でギャーギャー言いながら真剣にwiiリモコンを操作するのはちょっとシュールだった。
まあ、仲良し小好しってわけじゃないけど、皆で楽しめてるからこれはこれであり、かな?
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――
177:
その後もスマブラやったり色々なソフトで高校3年生達が白熱した勝負を繰り広げる。
仲いいのか悪いのか分かんないなあ。まあ仲いいんだろうけど。
けど時間は有限で、気が付いたらもう日が暮れ始めていた。
「おい、もうそろそろ6時だぞ。いい子は帰る時間だろ」
「? 比企谷くんは何を言ってるのかしら」
「ああ、お前別にいい子じゃねえもんな。けど俺ん家もそろそろ夕食の用意とかあるからさ。 ほら、なんていうの?………そろそろ帰れよ」
「ヒッキー、今日あたし達お泊りしていいって聞いてたんだけど」
「は?お泊り?」
「そう。小町ちゃんが泊まってってほしいって」
178:
「はあ?俺そんな話聞いてねえんだけど。小町どういうことだよ。泊まるとか無理に決まってんだろ。
 親父とか………ってか親父達どこ行ってんの?」
「お兄ちゃんいまさら?お父さんは今日は出張だよ。お母さんもそれに付いてってる」
「は?じゃあ今日帰って来ねえの?」
「うん、ってか昨日からいなかったじゃん」
「ああ、それで昨日家の中が静かだったのか。部屋に籠ってて分かんなかったわ。
 え?じゃあ今日こいつら泊めるの?」
「うん。お母さんたちには了解もらってるよ」
「え?俺には?俺もこの家のメンバーなはずなんだけど」
「お兄ちゃんに決定権はありません」
「え?……そりゃヒエラルキーぶっちぎりで底辺だけどそれってあんまりじゃね?」
「もう今日は雪乃さん達もお泊り道具持ってきちゃってるから、今度からはお兄ちゃんにも言うね」
「ほうれんそうは社会人の基本だろうが。俺社会人になんねえけど」
「はいはい、今度から気を付けるよ」
180:
「ヒッキー。あたし達が泊まったらその……迷惑、かな」
結衣さんが俯きながらお兄ちゃんに問う。
「え?あ、いや……」
「迷惑ならはっきりと言って頂戴。その時は、帰るから」
そういうものの雪乃さんも寂しげにカー君を抱きしめる。
「…………………はあ。小町がもういいって言ってたんだろ?なら今日だけだからな」
「ほんと!?やった?!!ヒッキーありがと!」
結衣さんが零れんばかりの笑顔をお兄ちゃんに向ける。
「お、おう」
こんな笑顔向けられたら、コミュ障気味のお兄ちゃんじゃなくてもドギマギしちゃうよ。
「そう、なら今日はカマクラと一晩一緒に過ごせるのね」
雪乃さんも口元が笑ってる。
そこは素直にお兄ちゃんと居られることを喜んだらいいのに。
181:
「けどどっちにしようとそろそろ晩飯の用意しなくちゃなんねえだろ。どうすんの?外食か?」
「いいえ、今日こちらに来る最中にすでに由比ヶ浜さんと買い出しは済ませてあるの」
「そ!だから晩御飯も皆で料理するんだよ」
「おい由比ヶ浜。お前との決着はまだついてねえ。お前は俺とスマブラだ」
「え?さっきぶっちぎりでヒッキー1位だったじゃん」
「それは4人対戦だったからな。けどタイマンだと分かんねえ。この短時間で急成長したお前と俺はもっと勝負がしたい」
「ヒッキー……分かった!」
「ま、マジか!」
「なら晩御飯終わってから勝負しようね。だからさっさとお料理してくるよ」
「そ、そうか。ならゆっくり、丁寧に、確実に料理してきてくれ」
お兄ちゃんががっくりと肩を落とす。
どうやったって結衣さんの料理は止められないよ。
だって、好きな人に手料理たべてほしいもん。
182:
「わかった!じゃあちょっとお料理してくるね」
そう言って結衣さんがキッチンの方へ。
「じゃあ雪乃さん。小町達も行きましょうか」
「ええそうね」
「じゃあお兄ちゃん、ちょっとだけ待っててね?」
「今日の晩御飯と俺の命はお前たちにかかってるからな。頼んだぞ」
「出来る限り善処するわ」
「小町に任せて!」
お兄ちゃんの健康と結衣さんの恋心、両方小町がなんとかしてみせましょう!
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――
183:
「ねえ、このジェル状のものなに?新素材?シャーペンのグリップ?」
お兄ちゃんが結衣さんの作った酢豚を指さす。
「お兄ちゃん失礼だよ!せっかく結衣さんが頑張って作ったのに!」
「いや、けどよ………酢豚のタレが皆仲良さそうに肩組んでんだけど。プルプル震えてんだけど」
お兄ちゃんが酢豚の皿を揺らす。
「だ、だって!トロトロのやつより『じゅれ』みたいな方が美味しいと思ったんだもん!」
「だからってこんな徒党組まなくていいじゃねえか。これどうやったらこうなんの?」
「ゼラチンよ」
「なんでゼラチンなんだよ。普通片栗粉だろうよ」
184:
「大丈夫よ比企谷くん。由比ヶ浜さん曰く『ジュレ』みたいなもの以外は私や小町さんも手伝って作ったから。
 それに味見もちゃんとしてあるわ」
「そうか、なら肉が生だったりとかそういう心配はないな」
「ヒ、ヒッキー……食べてくれる?」
潤んだ目で結衣さんがお兄ちゃんを見る。
「………はぁ。分かったよ」
そう言ってお兄ちゃんがゼラチンをお箸で切り分けて酢豚を口の中に。
「………ど、どう、かな」
「………うん、味は酢豚。間違いようもなく酢豚。ただ食感がすごい、新鮮。プリプリしてる」
「ま、不味かったら食べなくてもいいよ!?」
「いや、不味くはねえ。むしろ味は美味い」
185:
「ほっ………よかった?」
結衣さんが胸をなでおろす。
よかったですね、結衣さん。
雪乃さんにも教わりながらあんなに一生懸命作ったんだから、報われないとですね。
結衣さんの酢豚試食も終わったところで皆で席について夕食をとる。
普段、小町が作らないようなオシャレな料理を雪乃さんがたくさん作ってて、
それをお兄ちゃんが美味しい美味しい言うたびに雪乃さんが赤面してるのがちょー可愛かった。
確かに雪乃さんの料理はすごく美味しかった。
これならお兄ちゃんを任せられるかな。
お兄ちゃん主夫志望だけど。
186:
夕食も終わって一段落したところで時刻は既に9時を回っていた。
「もうこんな時間ね。そろそろお風呂に入らないと最後の人が遅くなるわ」
「あ、そうですね。じゃあお兄ちゃん、とりあえずお風呂沸かしてきて」
「へいへい」
お兄ちゃんがソファから立ち上がり、のそのそとお風呂場の方へ。
「それで順番はどうしましょうか。やはり比企谷くんが先の方がいいのかしら」
「だよねー、ヒッキーの家なんだからヒッキーが先の方がいいかも」
「別にお兄ちゃんは先でも後でもいいと思いますけど。
 お兄ちゃんが入った浴槽に雪乃さん達入れます?」
187:
別に小町はお兄ちゃんと兄妹だから気にしないけど。
結衣さんも雪乃さんも男兄弟すらいないし、しかもお兄ちゃんは他人なんだし。
「…………やはり彼は最後ね」
「そ、そだね。ヒッキーには最後に入ってもらお」
「けれど、私達3人が入った後というのも彼を待たせすぎないかしら」
「あ、だね。どんだけ急いだって40分くらいかかっちゃうもん」
「あ、じゃあじゃあ。小町からの提案なんですけど」
「? なにかしら」
「なに?小町ちゃん」
「皆でイッセイに入りませんか?そうしたら結構時間短縮できると思うんですけど」
189:
「皆で?3人で入っても大丈夫なのかしら」
「はい!」
「じゃああたしはそれでもいいかな。ヒッキー待たせるの悪いし」
「………そうね、では皆で入ってしまいましょうか」
というわけで皆いっぺんに入ってしまうことに。
お風呂が沸いて女の子3人でお風呂場へ。
小町は裸になるのは別に恥ずかしくないけど、雪乃さんはちょっと恥ずかしいみたい。
タオルで体を隠してそそくさと浴室へ。
かたや結衣さんは堂々としたもんで丸出しのまんま浴室へ。
小町も続いて浴室に入る。
191:
「小町さん、シャンプーはどこにあるのかしら」
「あ、これですよ」
シャンプーボトルを雪乃さんに手渡す。
「ありがとう」
ふむふむ、雪乃さんは頭から洗う派ですか。
結衣さんは?
そう思って見てみるとクレンジングオイルでお化粧を丁寧に落としていた。
ってか雪乃さん、スッピンであんな美人て卑怯だなー。
小町もいつも通り体から洗い始める。
「あ、小町ちゃん。あたしも体洗うからボディーソープ貸して?」
「あ、はい」
「ありがと??」
結衣さんも体から洗う派か。
192:
「あれ?結衣さんタオルは?」
「ん?あたし、体は手で洗うんだ?。タオルとかでゴシゴシすると肌弱くて乾燥しちゃうから」
「あ、なるほどです」
そう言って結衣さんが自分の手で体をくまなく洗っていく。
うん、なんかエロい。
やっぱり結衣さん胸おっきいな?。
「ん?小町ちゃんどしたの?」
「あ、いえ。結衣さんスタイルいいな?って」
「え?そうかな」
「はい、おっぱい大きいですし。それにお腹もへっこんでて」
「へへ、それなりに運動したりしてるから」
そっか、結衣さんも天然ってわけじゃなくて頑張ってスタイルを維持してるんだ。
193:
結衣さんと二人で体を洗い終わって次はシャンプー。
「ってかゆきのんまだ頭洗ってたんだ」
「ええ、髪が長いとどうしても時間がかかってしまうのよ」
「ゆきのんの髪って長くてキレイだよね?」
「あ、ですよね。枝毛もないですし、つややかできれいな黒ですし」
「そ、そう……ありがとう」
「なんでゆきのんは髪のばしてるの?」
「別に、何か理由があって伸ばしてるわけじゃないけれど。なんとなく、かしら。
 姉と顔は似ているから私まで短くすると他人に間違われたりして面倒ってのもあるわね」
「そっか、陽乃さんとゆきのんって顔のつくりは似てるもんね」
「ええ、残念ながらね」
そこでやっと雪乃さんが頭の泡を洗い流す。
196:
>>195なんかバグってる…訂正!
ふむ、雪乃さんの体もなんかエロい。
折れそうな細さが女性らしいというか守ってあげたい!と思わせる弱さがある。
お胸は………小町の勝ちかな。
けど陽乃さんはおっきかったから、まだ分かんない!はず。
皆がそれぞれ体を洗い終わって浴槽へ。
「同級生とこうやって一緒の浴槽に入るのなんて初めてだわ」
「あたしは小っちゃい頃、友達の家に泊まりに行ったときとか入ったかな。
 でもこの年ではたしかに久しぶりかも」
「……なんだか、恥ずかしいわね」
「そう?ゆきのんキレイだから別にみられてもいいじゃん」
「綺麗かどうかは問題じゃなくて、自分の裸を見られると言うのがもう恥ずかしいのよ……」
197:
「そんなもんなのかな?。あ、じゃあ修学旅行とかどうしてたの?」
「バスタオルを巻いて入ったわ」
「バス……え?」
「だって普通のタオルじゃ小さいじゃない」
「けどバスタオルって……え?拭く用のバスタオルは?」
「もちろん別に用意してあるわ。だから修学旅行とかだといつもバスタオルで荷物が一杯になって大変なのよ」
「そりゃそうだよゆきのん……」
雪乃さんは恥ずかしがり屋さん。なんだかそれも可愛らしい!
198:
お風呂から上がってパジャマに着替える。
雪乃さんはワンピースタイプのパジャマ。
生地はシルクなのか光沢感があってなんか高そう。
ザ・お嬢様!ってかんじ。
結衣さんはモコモコのフリースのパジャマ。
けど下はショーパンで太もも丸出し。
どこかの千葉県の兄貴ラブの妹みたい。
小町も今日はちゃんとパジャマを着てます。
いつもみたいにお兄ちゃんのTシャツ着てたら、
お兄ちゃんがシスコンなだけじゃなくてロリコンの疑いまでかけられちゃう。
ちゃんとパジャマを着こんでリビングへ。
お兄ちゃんごめんね。ラッキースケベまでは小町、発生されられなかったよ。
199:
ソファーに座ってるお兄ちゃんに声を掛ける。
「お兄ちゃ?ん、お待たせ?。お風呂空いたよ?」
小町の声に反応してお兄ちゃんがこっちを振りかえる。
「あ、ああ。じゃ、じゃあ次入らせてもらうわ」
そう言ってお兄ちゃんが着替えを取りにそそくさと自室へ。
ふむ、やっぱり風呂上りの同級生って新鮮に映るのかも。
髪が濡れてたりしていつもと雰囲気違うからね。
それに結衣さん、太もも丸出しだし。
「私達は今日どこで寝ればいいのかしら」
「あ、今日は小町の部屋にお布団を敷くつもりです」
「そう、なら小町さんの部屋へ行きましょうか」
「はーい」
というわけで先輩方をともなって小町の部屋へ。
200:
「じゃじゃーん、ここが小町の部屋でーす」
扉を開けてお二人を招き入れる。
「へ??小町ちゃんの部屋きれいだね」
「はい。この家の家事はだいたい小町とお兄ちゃんがやってるので、自分の部屋とかもちゃんと掃除してるんです」
「小町ちゃん偉いね」
「そんなことないですよ」
「けど比企谷くんも家事をすると言うのは意外ね」
「お兄ちゃん、やる気なさそうに見えますけど家事とかはちゃんとやってくれますよ?」
「へ??やっぱり小町ちゃんには甘いのかも」
そう言いながら結衣さんが自分のバッグから化粧水とかを取り出す。
「結衣さんって化粧水とかもちゃんとしてるんですね」
201:
「え?普通じゃない?」
「普通じゃないでしょ。私もしないもの」
「うっそ!?ゆきのんダメだよ!ちゃんと肌のお手入れしなきゃ大人になってシミとか出来ちゃうよ」
「日焼け止めとかでちゃんとUVカットはしているわ」
「それだけじゃダメなんだって!もう、ゆきのんは女子力低すぎ!」
「またそれ……」
「ほら!ゆきのんも小町ちゃんも並んで!」
「へ?」
「小町もですか?」
「そう!小町ちゃんも高校生なんだからこういうのちゃんとしなきゃダメなんだから」
202:
確かに周りの子とかも化粧とか肌のお手入れとかちゃんとやってるみたいだけど。
小町はあんまりそういうのに興味ないかな。
だってめんどうだもん。
「はい、ゆきのんもこれ!」
そう言って化粧水を染み込ませたパフを結衣さんが差し出す。
「私は別に」
「だーめ。ゆきのん、せっかく肌きれいなんだからちゃんとお手入れしないともったいないよ!」
「…………姉さんみたいなこと言うのね」
溜息を吐きながら雪乃さんがパフを受け取る。
小町もお姉さん二人を見習ってパフパフ。
「はい、じゃあそのあとはこの乳液塗ってね」
結衣さんに言われるまま乳液もぬりぬり。
むーーー、せっかくお風呂入ったのになんかベタベタする。
203:
結衣さんはその後も体に保湿クリームを塗ったり柔軟したりと忙しそうだった。
お兄ちゃん。結衣さんすっごく努力してるんだよ?分かってるの?
ボディーケアも終わってお二人のお布団を敷く。
「よっし、じゃあゲームにしにいこっか」
「え?由比ヶ浜さん、もう11時よ」
「え?まだ11時だよ。それにさっきヒッキーがスマブラ勝負するって」
「もう明日にしなさい」
「え??眠くないよ?」
結衣さんが布団の上をゴロゴロ。
イメージだと結衣さんの方がすぐ寝ちゃいそうな感じだったけど。
お泊りで興奮してるのかな?
204:
「雪乃さんっていつもこのくらいの時間に寝るんですか?」
「遅くとも12時ね。朝からお弁当の用意があるから早く起きないといけないし」
「ゆきのん、毎日ちゃんとお弁当作って来てるもんね」
「は??大変ですね」
「別にそのくらい……自分が好きでやってることだから別に大変と思ったことないわ」
「小町もさすがにお弁当までは作らないですね」
「小町さんは比企谷くんの世話で大変じゃない」
「たはは??ヒッキー、小町ちゃんに甘えっぱなしだしね」
結衣さんと雪乃さんが布団の上に寝転がる。
ふむふむ、なんとなくこのままおしゃべりが続くかんじ。
なら、今日はガールズトークで盛り上がりましょう!
209:
「お兄ちゃんって学校でもだめだめですか?」
「そうね………捻くれっぷりは学校でも随一じゃないかしら」
「ヒッキー、本気で友達いらないって思ってるもん。仲いいのさいちゃんと中二くらいじゃない?」
「あ??昔色々ありましたからね。あれは兄なりの処世術なんですよ」
「処世術、ね………普段はそれでもいいんでしょうけれど」
「そだよね??何か問題あるとヒッキーばっか泥かぶってるもんね」
あちゃ?やっぱりそうでしたか。
お兄ちゃん、高校になってからはどうしてるのかあんまり喋ってくれなくなったから分かんなかったけど。
やっぱり自分を犠牲にしてたんだ。
210:
「お二人はそういう兄が嫌いですか?」
「「え?」」
二人の声がきれいに重なる。
「あたしは、やっぱりいやかな。ヒッキーのせいじゃないのにヒッキーばっか痛い目見るの」
「そうね、彼のやり方は確かに問題の解消にはなるでしょうけれど、解決にはなっていないわ」
「それってお兄ちゃんが心配だからいやだってことですよね。ってことはお兄ちゃんのこと、好きなんですか?」
「ふえっ!!?えっと、ええっと」
結衣さんが顔を真っ赤にしながらあたふたあたふた。
結衣さんってこれで本気で自分の気持ちを隠せてると思ってるのかな。
そこがまたかわいいんだけれど。
「ヒ、ヒッキーはサブレの命の恩人だし、奉仕部一緒だし、同級生だし。 と、とりあえずそんなかんじ!!」
211:
「雪乃さんもお兄ちゃんに傷ついてほしくないんですよね?」
「ええそうね。私は奉仕部部長で彼はその部員なんですから、彼が使い物にならなくなったら私が困るもの」
雪乃さんも素直じゃないな?。
「じゃあお兄ちゃんが奉仕部を辞めればいいんじゃないかな? だったらお願いをむりに叶えようとしなくなるわけですし」
「駄目よ。彼の人格破綻振りは目に余るもの。平塚先生にも彼の矯正を頼まれているの。途中で投げ出すなんて出来ないわ」
「じゃあ結衣さんも雪乃さんも別にお兄ちゃんが別に好きってわけじゃないんですか?」
「そ、それは??………ないしょ!」
「少なくとも大嫌いではない、と言ったところかしら」
212:
「そっか?お二人のどちらかがお姉ちゃんになってくれると思ったんだけどな?。お兄ちゃんの就職どうしよう。
 あ!じゃあお兄ちゃんのことは沙希さんにでもお願いしようかな」
「沙希……?川崎さんのことかしら」
「はい!」
「なぜ川崎さんにお願いするのかしら」
「いや??お兄ちゃん、ちょこちょこ川崎さんと会ってたりするんですよね?」
これは別に嘘じゃない。
予備校でだってたまに会うし、
それに大志君の相談に乗ったりするときにも沙希さんと会ってる。二人きりじゃないけれど。
213:
「由比ヶ浜さん、あなたはこのことを知ってたのかしら」
「え!?あたしも知らなかったよ……そっか?ヒッキー、川崎さんと会ってたりしてたんだ?」
結衣さんがお空きれい状態に。
「なに弱気になってるの。あんな不良少女に比企谷くんをとられてもいいの?」
沙希さん、別に不良じゃないですよ。
「そ、そだよね!気持ちで負けちゃダメだよね!」
「ええ。川崎さんも彼と会ってるでしょうけれど、私達の方がより多くの時間を共に過ごしているはずよ。
 だからアドバンテージはこちらにあるはず。まだ負けたわけじゃないわ」
そこまで必死になるのなら好きって言っちゃえばいいのに。
214:
妹の小町には恥ずかしくて内緒なのかな?
その後もガールズトークは続いたけど、結局お二人からお兄ちゃんが好きとの言葉は引き出せず……
けど、お二人がどれだけお兄ちゃんが好きなのかは言葉の端々から何となく伝わって来た。
よかった、こんなに素敵な人達にならお兄ちゃんを任せられるよ。
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――
215:
「今日はどこに行きましょうか」
朝食も終わって雪乃さんが切り出す。
「それぞれ自分ん家で過ごすってのはどう?」
「ん?ショッピングとかどう?ゆきのん」
「え?無視?」
「けどお兄ちゃんがいるからショッピングってのも難しいと思いますよ」
「いや、俺抜きで行って来たらいいよ、うんそれがいい」
「そうね………なら皆で楽しめるところ……ディスティニーランドとかかしら」
「お前パンさんのことす痛っ、無言で殴るなよ」
216:
「ディスティニーは日曜だし混んでるんじゃないかな。行こうと思えば平日でも行けるし」
「あれ?なあ、今日の朝刊どこ行った?まだとって来てねえの?」
あれ?雪乃さん達、お兄ちゃんのこと好き、なんだよね?
無視されまくってお兄ちゃん可哀想……
お兄ちゃんは仕方なく自分で朝刊を取りにポストへ。
「確かにそれはそうね」
「う?ん……カラオケ、はお兄ちゃんが好きじゃないですし」
「ボーリングとかは?」
「ボールを転がしてピンを倒すことに何の意味があるのかしら」
「それ言っちゃったらほとんど無意味になっちゃうよ、ゆきのん……」
「じゃあスポッチャとか」
217:
「おい!!!」
お兄ちゃんが新聞紙を持ってリビングに駆け込んできた。
「もう!お兄ちゃんうるさい!今こっちは必死なの!」
「お前らの無駄な会議はお仕舞だ」
「へ?なんで?」
「これを見ろ!」
「そ、それは!!?
 見えないからちょっと貸して」
「ああ、はい」
お兄ちゃんから1枚のチラシを受け取る。
そこに書かれていたのは
218:
「比企谷くん、すぐに行きましょう。今すぐに」
「あ、ゆきのんちょっと待ってよ!まだお化粧もしてない」
「早くしなさい。時間は待ってはくれないのよ」
「わ、わかった!急ぐからちょっとだけ待ってて」
『東京わんにゃんショー201×年 開催』の文字が。
「お兄ちゃんよくやった!!」
「ははは!もっと俺を褒め称えろ!」
「キャー!ステキー!」
「うるさい兄妹ね」
あれ?去年もこんなことしてなかったっけ。
219:
「騒いでいる暇があったら、由比ヶ浜さんの用意まで時間がかかるでしょうから私たちは今のうちにお弁当でも作って行きましょうか」
やばい、雪乃さんがガチだ。
お弁当持ってってまで1日あっちで過ごす気だ。
「あ??……雪ノ下」
そこでお兄ちゃんが頬を掻きながら声を掛ける。
「なにかしら」
「その、逸る気持ちは分からんでもないんだがな………
 
 とりあえずお前もパジャマ着替えたらどうだ?
 俺達全員パジャマのまんまだし、それにわんにゃんショー開始時刻にまだなってねえし」
「……そうね、まずは私達も出掛ける準備をしましょうか」
東京わんにゃんショーたのしみ!
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――
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220:
バスに乗って幕張メッセへ。
小町たちが降りるバス停でたくさんの人達が降車する。
みんなわんにゃん好きなのかな。
小町達も人波に乗ってバスから降りる。
「小町は……ちゃんといるし雪ノ下達もいるな、よし。じゃあ行くか」
お兄ちゃんが皆いるのを確認して歩き出す。
目的地が近づくにつれて人込みの密集度がどんどんと増してくる。
2、3歩ほど先を歩くお兄ちゃんがこちらも見ずに左手を伸ばしてきた。
小町はそれを右手で掴む。
221:
昔っから両親共働きだったから、お出かけするときにはいつもお兄ちゃんと手を繋いでた。
小町はもう高校生で迷子になったりしないし、
はぐれたとしても携帯で連絡取れるから手を繋がなくてもいいんだけど、
それでも今まで通り手を繋ぐ。
別にそれを恥ずかしいとは思わない。
なんだったら少し嬉しい。
「………ねえねえゆきのん」
「………なにかしら」
「兄弟とか姉妹って出かけたら手つなぐもんなの?あたし一人っ子だから分かんないんだけど」
222:
「いいえ、少なくとも私のところは手を繋いだ記憶すらないわね」
「そっか……」
後ろに付いてきている結衣さん達の声が耳に入る。
そういやこれはお二人の恋の応援でした。
いつも通りにお兄ちゃんの手を繋いじゃったら駄目だった。
「お兄ちゃん、結衣さん達とはぐれちゃうよ」
「あ?あいつらもいい年だしはぐれたりしねえよ。はぐれても携帯あっし」
それは小町にも言えることなんだけどね。
「けどせっかく皆で来てるからはぐれちゃったら楽しさが半減しちゃうでしょ。ってことでお兄ちゃんは結衣さんと雪乃さんと繋いで」
223:
「は?んじゃお前はどうすんだよ」
「小町は結衣さんか雪乃さんと繋ぐよ。お姉ちゃん出来たみたいで嬉しいし。
 というわけで、ほら結衣さん!雪乃さん!はぐれないようにお兄ちゃんと手を繋いでください」
「え?ちょ、俺まだいいって言って」
お兄ちゃんの返事を無視して小町はぱっと手を離す。
「し、失礼します」
お兄ちゃんの右手を結衣さんがぎゅっと掴む。
「比企谷くんはまず人として既に迷子だから道くらい迷子にならないように私が見ててあげるわ」
雪乃さんは少し恥ずかしいのかお兄ちゃんの左手首をつかんだ。
234:
「………こんな人混みで3人も横に並んだら迷惑だろ」
「大丈夫だよ、親子連れとかもしてるんだし。それよりほらほら、お兄ちゃん進んで進んで」
お兄ちゃんの背中を押して無理矢理歩かせる。
お兄ちゃんがぶつくさ言いながらも歩き出したから、小町も雪乃さんと手を繋ぐ。
「雪乃さん、失礼します」
「ええ。その……ありがと」
「え?なんのことですか?それより小町のほうがありがとうって言いたいですよ。
 だってお姉ちゃんができたみたいでうれしいですし」
「お姉ちゃん、ね。なんだかくすぐったいわ」
そう言って雪乃さんが照れたように笑う。
236:
人混みにそって歩いて行くと去年と同じようにまずは鳥さんゾーンが見えてきた。
「あ、ペンギンだよヒッキー!わ?カワイイな??」
結衣さんがペンギンの登場に大はしゃぎする。
「ああ、かわいいな」
「だよねだよね!?」
「あのよちよちと歩く感じが何とも愛くるしい。まるでちっさい頃の小町を見てる気分だ」
「シスコンだーー!!?」
お兄ちゃん、そんなこと覚えてんの?
………恥ずかしいから人様にそういうこと言わないでほしいな。
237:
「……比企谷くんが動物を見て愛くるしいと思うなんて意外ね。 というか人としての感情があったのね」
「おう、だから今度からそういう鋭いナイフのような言葉は出来るだけ投げないでくれ。泣きそうになるから」
「お兄ちゃんは動物全般好きなんですよ?」
「それも意外だわ」
「俺は動物みな友達を地で行く男だからな」
「………なら私達にもそれくらい優しかったらいいのに」
雪乃さんが苦笑しながら小町にだけ聞こえるようにぽそりと呟く。
ほんとですよね??。
けど
「お兄ちゃんは雪乃さん達には結構気を許していると思いますよ?」
だって今日は迷子にならないようにっていう目的があるにしても、手を繋いでるわけですから。
「そうだったらいいのだけれど」
238:
赤や黄色のカラフルな羽を生やした鳥や、眠たげな目でこちらを見てくる梟などを見て回り、
鳥さんゾーンを抜けて続いてやって来たのはわんちゃんゾーン。
去年は小動物ゾーンだったけど今年は順番が違うみたい。
「あ、パピヨン!それにチワワにコーギーも!」
犬好きの由比ヶ浜さんがわんちゃんゾーンに入った途端ギア3に。
手を繋いでるお兄ちゃんも自然とそれに引っ張られる。
けどお兄ちゃんの左手と手を繋いでる雪乃さんが立ち止まる。
結果、お兄ちゃんは右手は前に、左手は後ろに引っ張られて綱引き状態。
「痛い痛い!お前ら好き勝手に動くなら手はなせよ!」
239:
けど結衣さんはお兄ちゃんの言葉も聞かずに進もうとする。
そこで雪乃さんがぱっとお兄ちゃんの手を離す。
雪乃さんと離れた二人はそのまま人混みの中へと入って行った。
「いいんですか?雪乃さん」
小町は雪乃さんと手を繋いでたから一緒に取り残されちゃった。
「ええ、私はここで待ってることにするわ。だから小町さんも見たいのなら二人のところに行ってきていいわよ」
「え?けど」
雪乃さんを一人にしてもいいのかな。
せっかく皆で来たのに。
「大丈夫よ。私が見たい場所では私の我儘に皆を付き合わせるのだから。だから由比ヶ浜さんにも見たい場所をゆっくりと見せてあげないと不公平よ」
本当に素直で、正直者で、まっすぐな人だと思う。
そんな優しさを見せていたら、誰かにお兄ちゃんとられるかもしれないのに。
246:
けど、それが雪乃さんのいいところなんだと思う。
「分かりました。じゃあ小町もちょっと見てきますね」
「ええ」
雪乃さんが胸の前で小さく手を振る。
お兄ちゃんたちが消えて行った人混みの中に小町も突っ込んでいく。
むぎゅ!
小町は身長が低いから人混みの中でもみくちゃにされちゃう。
く、苦しい??!!
小さな隙間を見つけては体を滑らせて入り込み、なんとか前へ前へと進む。
すると、柵の中で放し飼いにされたわんちゃんと戯れる結衣さんの姿が。
247:
「結衣お姉ちゃん!」
結衣さんの右腕にがばりと抱き付く。
「きゃ!こ、小町ちゃん。あれ?ゆきのんは?」
「雪乃さんはあっちで休憩中です」
「あ、そうなんだ」
お兄ちゃんの綱引きをしているときに気付いてもよさそうだったのに。
結衣さんって一つのことに集中すると周りが見えなくなるのかな。
「ってかお姉ちゃん?」
「今日はお二人とも小町のお姉ちゃんです」
「お、お姉ちゃん………」
結衣さんがよだれをたらしそうなほどだらしない顔をする。
お兄ちゃんと結婚したら、本当に小町のお姉ちゃんになりますから。
だから頑張ってくださいね!
248:
「おい小町、一人でチョロチョロすっと迷子になんだろ」
「もう!こんくらい大丈夫だよ。もう小町も高校生なんだから」
「高校生だろうとそんだけ小さかったら危ないっつうの」
「お兄ちゃんたち探すくらいできるもん!」
「へいへい、けどあんまり単独行動すんなよ。ちっさくて見つけんの苦労すんだし」
む??。
ちっさいちっさいって。
小町のコンプレックスをそんなにつつかなくてもいいじゃん。
「あ、ほらヒッキー!あっちにハスキーの子犬いるよ!」
そう言って結衣さんが小町とお兄ちゃんをぐいぐいと引っ張っていく。
肝っ玉母さんになれそう。
これだけ力強かったらお兄ちゃんもぐいぐい引っ張ってってくれそうで安心しましたまる
249:
ハスキーの子犬がいるゲージの前へ。
結衣さんの両腕が塞がったままだとわんちゃんと触れ合えないから、小町は結衣さんの腕をぱっとはなす。
結衣さんは左手をお兄ちゃんとつないだまま、上から右手を伸ばして子犬に触れる。
「もふもふ??あったか?い」
「結衣さんは犬が好きなんですね」
「うん!今はサブレ飼ってるけど、犬ならなんでも好き! 小町ちゃんは?やっぱり猫派?」
「ん??小町もお兄ちゃんと一緒で動物全般好きですよ? カー君はなんとなく気に入ったので買ってもらっただけで、犬よりも猫が好きってわけじゃないですし」
「そっか。犬かわいいよね」
「はい!この無垢な瞳で見つめてきて、なにも疑わない無知で馬鹿そうなところがカワイイです!」
「………ヒッキー」
「こいつも残念ながら俺の妹だからな。人様と感性は少しずれちまってる」
250:
変かな?
餌持ってるフリしてお座りとかさせるのとかちょう楽しい。
臭いで分かっちゃう子もいるけど、馬鹿な子は何も持ってなくても手を握りこんでるだけで餌を持ってると勘違いして尻尾フリフリして従順になっちゃうなんて。
はしたない子犬ちゃんたちだぜ。
その後も3人で色んなゲージの子犬ちゃん達を見て回る。
お兄ちゃんも結衣さんも犬が好きだから自然と表情も笑顔になってる。
うん、なんだかいい感じ。
これだと小町がお邪魔虫みたい。
けど雪乃さんがいる場所を知ってるのは小町だけだから、ここで小町まで離れちゃったら合流できない。
まあ携帯で連絡取り合えば済むんだけど。
お兄ちゃんの腕をぐいぐい引っ張って色んなゲージを見て回る二人の後をチョコチョコとついて行く。
小町もいつか、結衣さんにとってのお兄ちゃんみたいな人が現れるのかな?
まだそんな人いないから分かんないや。
251:
たっぷり時間をかけて全てのゲージを見終わってから雪乃さんの下へ。
「雪乃さ?ん、すいませんお待たせしました?」
てててと駆け寄って雪乃さんの胸に飛び込む。
「きゃっ……いいえ、私も遠くから子犬を見ていたから別に暇はしてなかったわ」
「ゆきのんごめんね?」
小町に遅れてお兄ちゃんたちもやって来る。
「いいえ、別に気にしなくてもいいわ」
「ゆきのんが見たい所もゆっくり見ようね」
「ええ、そうさせてもらうわ」
「じゃあ次のエリアに進むか」
お兄ちゃんが結衣さんと手を繋いだまま次に向かって歩き出す。
253:
「ほらほら、雪乃さんもお兄ちゃんと繋いでください」
「え?けど……」
「迷子になっちゃいますから」
「……わかったわ。けど小町さんも迷子になるといけないから」
そう言って左手を差し出す雪乃お姉ちゃん。
小町はその手をぎゅっと握ってお兄ちゃん達の後を追う。
「お兄ちゃん、雪乃さんとちゃんと手繋いでくれないと迷子になっちゃうよ」
「あ?……ああ、ほら」
お兄ちゃんがぶっきらぼうに左手を差し出す。
今度は雪乃さんもお兄ちゃんの手をつかむ。
「……行きましょうか」
な?んか初々しくて見ててこっちが恥ずかしくなっちゃう!
255:
次のエリアは猫ちゃんエリア。
カー君にあった日のこと思い出すな?。
このにゃんちゃんエリアに来た途端、通常の3倍で動く1機が現れた。
「おい雪ノ下、落ち着け。動き回りたいならとりあえず俺の手を放してくれ」
「な、何を言っているのかしら比企谷くんは。私はいつもどおり落ち着いているわよ。落ち着いて、1匹ずつ、どの子が一番可愛いのかじっくりと………じゅる」
あ、駄目だ。雪乃さんがブレイクした。
その一方でさっきまで元気だった結衣さんがどことなく意気消沈気味。
「あ、ヒッキー。あたしちょっと………」
「……そっか。なら俺らはとりあえずここのエリアみてるが、お前はどうするんだ?」
「じゃああっちのベンチで休んでるから」
そう言って結衣さんが休憩所に向かって歩き出した。
256:
ふむふむ、なにやらお兄ちゃんと結衣さんとで通じ合ってるかんじでしたね。
なにかお兄ちゃんは知ってるんでしょうか。
「では比企谷くん、猫たちを見て回りましょうか」
「……へいへい、もうお前いい加減猫飼えよ」
「な、なんで私が猫なんて飼わないといけないのかしら。あんな手のかかって気まぐれでモフモフでぬくぬくで
 ティッシュとかちらかしたりキーボート操作してる両手の上に座ったり猫じゃらしに反応しちゃう動物なんて好きじゃないわ」
「そうかよ」
小町はさっきの結衣さんのときのように二人の後ろをチョコチョコついて行く。
雪乃さんの手はすでにパージ済み。じゃないと雪乃さんが猫に触れないからね。
一番近くにいた子はヒマラヤンの子猫。
さっそく雪乃さんが手を伸ばす。
「………ふわあぁ??」
雪乃さんが恍惚とした表情をする。
257:
「雪ノ下は長毛種の方が好きなのか?」
「ええ、もち……ごほん。そうね、強いてどちらが好きかと問われればそうなるわね」
なんで雪乃さんってパンさんとか猫好きっての隠してるんだろ、もうばればれなのに。
ひょっとして自分のキャラに合ってないとか?
雪乃さんも他人の目を気にしたりするのかな。
「ヒマラヤンはお前に合ってるな」
「そ、そうかしら」
「ああ、青い目とか特にな」
「そ、そう………」
あ、雪乃さんが値札を見た。
やばい、本気で今日買っちゃうのかな。
258:
雪乃さんがひょいっと子猫を抱き上げる。
「……あったかい」
「猫の体温って気持ちいいよな。冬場なんかに抱いてるとポカポカしていい感じだ」
「へ、へえ。そうなの………それは一度体験しておく価値がありそうね。では比企谷くん、次の猫を見に行きましょうか」
そう言って雪乃さんが歩き出そうとする。
「待て待て、その抱えた猫はここに置いていけ」
「……だめ?」
雪乃さんが上目遣いにお兄ちゃんを見つめる。
「駄目だ。一応、そいつだって即売会の対象なんだから決まった場所以外に運んじゃまずいだろ」
259:
「……そう、一箇所に子猫を集めたかったのに」
「集めてどうすんだよ………」
「もちろん皆で遊んでる姿を見たり、両手いっぱいに抱えてみたりするのよ」
雪乃さんが渋々猫ちゃんを元の柵の中に戻す。
あれ?ってか別に小町は一緒に見て回らなくてもいいんじゃない?
さっきは雪乃さんの場所を知ってるのが小町だけだったけど、今は結衣さんの居場所を皆知ってるし。
じゃあお邪魔虫は退散しますかね。
「お兄ちゃん、雪乃さん。小町、あっちの猫ちゃんたち見たいからあっち行ってくるね?」
「おいおい、一人でウロチョロすっと迷子になんだろ」
「大丈夫だよ。携帯だってあるし、それに結衣さんのいる場所に集合すれば大丈夫でしょ」
「まあそうなんだが………わかった、じゃあ見終わったら由比ヶ浜のところに行けよ」
「はーい、じゃあ行ってきま?す」
お兄ちゃんたちに手を振って小町は離脱する。
260:
振りかえって見てみると、お兄ちゃんたちは律儀に手を繋いだままだった。
うむうむ、これで二人の距離が近づけばいいよね。
けど、結衣さんと雪乃さん二人とも仲良くなっちゃったら後で問題にならないかな?
もしかして修羅場になっちゃったり!?
まあ甲斐性なしのお兄ちゃんだとそんなことにならないか。
とりあえずお兄ちゃんたちから離れて猫ちゃんたちを見ていく。
はあぁぁ?やっぱり猫ちゃんは可愛いな??。
カー君のためにもやっぱりもう1匹飼ったほうがいいのかな?
多頭飼いってもたのしそうだし。
ペルシャ、スコティッシュ、シャム……色々な猫ちゃんを見ながらカー君との多頭飼い生活を妄想する。
やっぱりもう1匹ほしい??!
けどお父さんの薄給にこれ以上負担かけれないし、それにカー君も嫉妬しちゃうかも。
仕方ない。今日目一杯構って猫ちゃん欲求を我慢しますか。
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――――――――――――――――――――――
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267:
一通り猫ちゃんたちを見て回って結衣さんが待っている休憩所へと向かう。
「結衣さ?ん」
ベンチにちょこんと座っている結衣さんに向かって声を掛ける。
「あ、小町ちゃん。あれ?ゆきのんたちは?」
「あ、まだでしたか。お兄ちゃんたちは多分まだ猫を見て回ってると思います。小町は別行動してたんで」
「そうなんだ?」
結衣さんの隣に腰掛ける。
「結衣さんは猫嫌いですか?」
「え?ううん、嫌いじゃないよ。ただ、ちょっと………苦手、かな」
268:
「苦手?ですか」
「うん、えっとね……」
結衣さんによると、昔団地に住んでいた頃に友達と一緒に飼っていた野良猫が急にどっか行ってしまい、そんなことがあってから猫は苦手になってしまったそう。
まあ猫ちゃんは自由人ですからね。
飼い猫ですら脱走して帰ってこない子だっているんだから、野良猫なんて自由気ままにどっか行っちゃって当然。
「けど、見る分には平気なんだよ?だからさっきもちょろっと覗いてきたんだ」
「そうでしたか。あ、お兄ちゃんたちも来たようですね」
結衣さんと話してると雪乃さん達がこちらにやって来た。
269:
「ごめんなさい、お待たせして」
「ううん、さっきわんちゃんエリアでゆきのん待たせちゃったもん。おあいこだよ」
「小町もさっき来たところですから大丈夫ですよ」
「そう、ならよかったわ」
「なあ、もう昼過ぎだけどどうすんの?予定だと全部見終わってるはずなのに、小動物エリアとか行けてないんだけど」
「あ、小町小動物エリア行きたい!」
「あたしも見ときたいかな」
「じゃあすっ飛ばすってのはナシだな。ってなると先に昼飯にすっか」
「そうしましょうか。この休憩所は飲食可能なのかしら」
「あ、はい。どうやらいいみたいですよ」
「そう、ならここで食べましょうか」
271:
「ってかゆきのんすごいね、朝時間なかったのにこんなに作ってたんだ」
「別に大したことないわ。中身も簡単なものばかりですもの」
重箱の蓋をオープンすると色とりどりのおかずが入っていた。
ほうれん草とベーコンのソテー、唐揚げ、卵焼き、豚の生姜焼き、プチトマトなどなど。
時間のかかる煮物とかはないけど、それでも十分手の込んだお弁当。
「美味しそう!雪乃さん、朝は手伝えなくてすいませんでした」
「朝にも謝ってたじゃない。別に気にしなくてもいいわ、私がしたくてしたんだから」
「ゆきのん、ありがと!」
「どういしたしまして。では頂きましょうか」
いただきますをして雪乃さんが作ってくれたお弁当を皆で食べる。
272:
こうやってると何だか家族みたい!
雪乃さんがお母さんで、
結衣さんはお姉ちゃんかな。
小町は妹で
お兄ちゃんは………
ペットかな?
お父さんってかんじじゃないし。
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273:
昼食も終わり、ふたたびわんにゃんツアー再開!
次のエリアは爬虫類エリアだった。
「あー……ここはちょっといい、かな?」
「私もちょっと」
お姉さん方二人はどうやら苦手の様。
「じゃあここは飛ばすか」
というわけでここのエリアは通り抜けるだけ。
爬虫類エリアをスルーしてゲートをくぐると次は小動物エリアだった。
「やっと小動物エリアか。じゃあこれで最後か」
お兄ちゃんがパンフレットで確認しながら言う。
274:
「ここはどうしますか?皆で見ます?」
「いや、こんだけ空いてたら迷子とかは大丈夫だろ。ってわけで個人行動でいいだろ」
そう言ってお兄ちゃんがスッと離れてった。
今日1日、誰かしら隣りにいて疲れちゃったのかな。
お兄ちゃんが濁った目でハムスターのゲージに手を差し入れる。
ハムちゃんに一杯癒されてね。あ、逃げられた。
結衣さんもハムスターを見たいのかお兄ちゃんの隣に並ぶ。
「ヒッキーもハムスター好き?」
「あ?まあ好きか大好きで言えば大好きだ」
「好きしか選択肢ないんだ………」
275:
結衣さんを追って雪乃さんもお兄ちゃんの下へ。
「比企谷くんが小動物と触れ合ってる姿はアニマルセラピーにしか見えないわね」
あ??、お兄ちゃん一人にしてほしいときに構われるの極端に嫌うんだよね。
大丈夫かな?さすがに怒ったりはしないだろうけど。
けど、無理矢理結衣さん達を引き離したらそれはそれでおかしいし。
まあ大丈夫かな。
じゃあ小町は先輩方の恋を邪魔しないようにウサギちゃんやリスちゃんと戯れようかな!
子ウサギが放し飼いにされているゲージに行き、一匹の子ウサギちゃんを抱っこする。
もふもふ??。
顔を覗き込むと鼻をヒクヒク動かしててちょう可愛い!
276:
やっぱり小っちゃい動物って可愛いよね?。
この儚い感じというか弱々しい感じというか。
つまりは守ってあげたいと思わせる魔性の魅力がある!
小町もこんな感じになりたいと思いました。
30分もすると小動物エリアも見終わってしまった。
エリア内をキョロキョロしてみると、まだお兄ちゃん達は終わってないみたい。
ふむ…………じゃあ小町は先に帰ろうかな。
だって、ここにいてもお邪魔虫になるだけだし。
それに、お兄ちゃんも雪乃さん達と上手いことやってるみたいだし。
277:
そうと決まればさっさと帰りましょう。
帰ってお兄ちゃんのTシャツ一枚でだらけたい。
昨日今日とお客さま用の小町を演じてたからちょっと疲れちゃった。
出口に向かいながらお兄ちゃんにメールを入れる。
『小町は先に帰るから、お兄ちゃんはごゆっくりとね?』
よし、これでお兄ちゃんも心配しないはず。
帰ったらどうしよっかな?。
お父さんたちも今日帰ってくるから、皆で外食とか?
お兄ちゃんが帰って来るの遅かったら置いてっちゃおう。
お兄ちゃんは雪乃さん達といちゃいちゃしてるんだしそのくらいいいよね?
278:
バス停について時刻表を見る。
あと10分か、微妙にあるな??。
ベンチに座ってバスが来るのを待つ。
お兄ちゃん、結衣さんか雪乃さんと付き合うのかな?
今すぐじゃなくても、いずれ本当に恋人同士になるのかな?
そうなったら本当に嬉しいな。
あのお兄ちゃんが誰かと付き合うなんて。
けど
そうなったら多分、お兄ちゃんは彼女さんに一生懸命になるんだろうな。
279:
目が濁ってたり、主夫になりたいって言ったり、友達作らなかったりしてるけど
けど、お兄ちゃんは別に怠惰でも不誠実でもない。
だから、多分恋人に夢中になっちゃう気がする。
そうなったら、
それはそれで寂しいのかもしれない。
お兄ちゃんが小町だけのお兄ちゃんじゃなくなるから。
280:
小町はもう高校生だけど、それでもお兄ちゃんを誰かにとられるのは気分がいいもんじゃない。
今までずっと二人で色んなことをやって来た。
一番、家族として一緒にいたのはお兄ちゃんだった。
一番、仲のいい友人もお兄ちゃんだった。
お父さんみたいで、お兄ちゃんで、親友で、小町の一番大切な人。
そんなお兄ちゃんが誰かの物になるのを、小町は我慢できるのかな。
我慢、しなくちゃな。
今まで一杯わがまま聞いてもらったんだから。
281:
「おい、置いてくことねえじゃん」
後ろから声が掛けられるとともに小町の頭に手が置かれる。
声で分かる。
手の大きさで、温かさで分かる。
「なんでお兄ちゃんまで出てきちゃうかな」
小町は前を向いたまま返事する。
「だってあいつら、小動物エリア終わってまた犬と猫見ようとか言うんだぜ?もう無理。さすがに1人になりたいし疲れた」
「もう……ほんと、ごみいちゃんだなぁ」
思わず笑顔になっちゃう。
282:
「なにごとも程々がいいんだよ。動物に癒されに行ってんのに疲れるってのどうなの? ってかバスいつ来んの?」
「あと3分ほどだって」
「そっか。はあ??早く帰ってのんびりしてぇ」
「ごめんね?小町が雪乃さんたち呼んだせいだよね?」
「まああいつらももうお前の友達だしな。別にいいんじゃね?たまには」
「お兄ちゃん」
「あ?」
283:
お兄ちゃんって本当に駄目な人。
あんなきれいでかわいい人達から好意を寄せられてるのに。
それと、小町もほんと駄目な妹。
お兄ちゃんに恋人ができなくて喜んじゃうなんて。
お兄ちゃんのことシスコンってばかにできないや。
「帰ったらモンハンしよっか!」
「ああ、そういやここ最近してなかったな。じゃあ親父達が帰って来るまでやるか」
「うん!」
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284:
月曜日の放課後。
今日も今日とて小町は大好きな先輩お二人と、それと大好きなお兄ちゃんがいる奉仕部への部室へ。
「やっはろ?です?」
「こんにちは、小町さん」
「やっはろ?小町ちゃん」
「先輩方、ちゃんと用意はして来ましたか?」
「ばっちし!!」
結衣先輩が親指を立ててサムズアップ。
「用意はしてきたけれど……本当にやるの?」
雪乃さんが持ってきた紙袋の中を見て躊躇する。
285:
「雪乃さん!昨日のお兄ちゃんを見ましたよね?つまり、今日の作戦こそはお兄ちゃん攻略に最も効果的なんですよ!」
「…………ええ、そうね。やりましょう」
雪乃さんが内なる闘志に燃えながら頷く。ちょろい。
「じゃあお兄ちゃんが来る前にとっとと用意しちゃいましょうか」
それぞれが持ってきた道具をセッティングして準備万端!
後はお兄ちゃんが来るのを待つだけ。
「う?す」
お兄ちゃんが部室の扉を開けてダルそうに入ってくる。
286:
「ヒッキー、待ってたわん!」
結衣さんがお兄ちゃんにとととっと駆け寄る。
「……は?」
「ひ、比企谷くん。待ってたにゃー」
雪乃さんが猫のポーズをしながら言う。
「……………え?」
お兄ちゃんが雪乃さんや結衣さんをみてフリーズする。
「お兄ちゃん、説明するぴょん」
「…………いや、兎はぴょんて鳴かねえよ。それ擬態語じゃねえか」
お兄ちゃんが小町の頭の上にあるウサミミを凝視しながら言う。
287:
「細かいことはどうでもいいぴょん!今日の奉仕部はアニマルコスプレぴょん!」
「アニマル、コスプレ?」
「そうだぴょん」
「いや、ぴょんぴょんうるせえ。ってかなんでそんなことしてんだよ」
「ちょっとしたお遊びだよ」
そう、ぶっちゃけて言うとこれは単なるお遊び。
ちょろ……純粋な先輩方には『お兄ちゃんに好かれるため』とかなんとか言って納得してもらってるけど、
本当は単に小町が遊びたかっただけ。
288:
「では飲み物を入れるにゃー」
ネコミミとしっぽを付けた雪乃さんが立ち上がって用意をする。
ふむ、本当にネコミミメイドさんみたい。
「ヒッキー、今日は何して遊ぶわん?」
「なんだ、散歩でも連れってってほしいのか?」
「もう!犬のマネしてるけどほんとの犬じゃないんだしそんなのはいいの!」
結衣さんがお兄ちゃんの周りにベタベタくっつく。
うん、本当に犬みたい。
「由比ヶ浜さん、とりあえずお茶が入ったからお茶にしましょう」
雪乃さんがテーブルに飲み物とお兄ちゃんのためにかケーキまで用意する。
289:
「今日は頂いたケーキがあったから家から持ってきたにゃー」
「………いやいや。なんでお前、俺の隣に座ってんの?いつも机のあっち側じゃん」
「……駄目だったかしら」
雪乃さんが上目遣いに尋ねる。
これでダメとか言える人いるの?
「……別にいいけどよ」
はい堕ちた?お兄ちゃんも堕ちました?。
「ゆきのん、お茶ありがと!じゃあさっそく食べるわん!」
「……お前も俺の隣に座んのかよ。まあもうどうでもいいけど」
いいねいいね!
結衣さんと雪乃さんが耳と尻尾を付けてお兄ちゃんに甘える姿にキュンキュンする。
292:
けど小町はウサギさんなのです。
ウサギさんは寂しいと死んでしまうのです。
だから見てるだけってのは無理みたい。
「お兄ちゃん、昨日の続きは?」
「ああ、今日も暇みたいだしすっか」
お兄ちゃんが鞄の中からDSを取り出す。
小町もDSを取り出してお兄ちゃんの傍へ椅子を移動させる。
じゃないと通信できないしね。
「えっと……小町ちゃん、ヒッキー。そんなにくっ付いて座ってなにするの?」
「なにって見て分かんねえの?」
「DSしてるのは分かるんだけど」
「モンハンですよ、結衣さん」
293:
「あ、モンハン。聞いたことある、わん。とべっちとかやってるやつだ」
「それで、なんで兄妹仲良く部室でゲームをしているのかしら」
「いや、昨日久しぶりにしたらまた俺の中の狩人魂に火がついたっつうかなんつうか」
「楽しそう……あたしも一緒にしたいかも」
「結衣さんも一緒にしましょ!面白いですよ?」
これでまたお兄ちゃんと結衣さんの仲がググッと縮まるかも!
「小町さん」
「ん?なんですか?」
「そ、そのちょこちょこついて来てるのは?」
そう言って雪乃さんが画面を指さす。
「あ、アイルーですか?これはお供アイルーって言って、いわば仲間ですね」
「…………小町さん、そのゲームをするにはどうすればいいのかしら」
あ、雪乃さんがアイルーに興味持っちゃった。
294:
「このDSと、ソフトを買えばできますよ」
「そ、そう。なら私もやってみようかしら。ぶ、部員との交友を深めるためにも」
「はい!雪乃さんも一緒にやりましょ!」
これで雪乃さんとの仲も!
けど、お兄ちゃんと結衣さんか雪乃さんが付き合ったなら、それはそれで嬉しいけれど。
それはまだ先でいいよね?
小町はもうちょっと今の奉仕部を楽しみたいな。
それに、お兄ちゃん一人だったら昨日みたいに逃げちゃうだろうし、
まだ当分は小町の協力が必要かな。
じゃあ次はモンハンを皆でして仲良くなろう!作戦でもしようかな。
お兄ちゃんが将来、彼女できるように小町もお手伝いしてあげなきゃ。
「恋のキューピットにお任せあれ☆」
「ねえ、だからそれ誰と喋ってんの?やっぱ視えてんの?」
了?
295:
思えば遠くに来たものだ……
始めは妹パラダイスを思いついて雪乃とかとイチャイチャしたかっただけなのに、
気が付いたら小町の話になっちゃいました。
こんな駄文を読んで下さった方、レスを下さった方には本当に感謝です。
297:
おつおつ
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