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やよい「うっうー……」 P「どうしたやよい? 元気がないな」
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2:
――事務所
やよい「うっうー……」
P「どうしたやよい? このごろ元気がないじゃないか」
P「最近仕事も増えてきたし、疲れてるのか?」
やよい「ふえっ!? い、いえ……そうじゃないんです」
P「しかし、何もないわけじゃなさそうだが……」
やよい「なんていうか……よくわかんないけど、疲れるんです……」
P「ふむ……」
4:
――給湯室
P「というわけで、だ。やよいを元気にしよう会議を行う」
小鳥「確かにやよいちゃんは最近元気がないですね」
伊織「あんたが何かしたんじゃないの?」
P「馬鹿言え。やよいLove倶楽部の創設者のこの俺が、そんなことするはずがない」
千早「確かにプロデューサーがそんなことをするとは思えません」
千早「やよいLove倶楽部内で唯一SSランクのヤヨイスキー称号を持っているプロデューサーが」
小鳥「私まだCランクですよ……」
伊織「ふふん、私はAよ。まだまだね」
千早(……まあ私はとっくの昔にSランクですが)
5:
P「まあクラスはこの際どうでもいい。今はやよいの状況だ」
P「伊織、最近元気がない以外でやよいに変わったことはなかったか?」
伊織「そうね……。この前は仕事が増えてお金がたくさん入って、家族に美味しいごはんをたくさん食べさせられる、と嬉しがってたわね」
P「天使か」
千早「天使ね」
小鳥「天使すぎるわ」
P「しかしそれなら元気になるはずだが……。やっぱり仕事が多かったんだろうか」
P「千早は何か知ってるか?」
8:
千早「そうですね……。先日、私の家に高槻さんが来て、ご馳走を作ってもらいました」
千早「材料は肉に魚に彩り豊かな野菜、和洋中はもちろんロシア料理やベトナム料理まで」
千早「私はいいと言ったんですが、普段お世話になってるお礼ですと」
P「天使ヤヨイだな」
小鳥「福音書に出てきそうですね」
伊織(マタイかしら?)
千早「その日は春香と真と萩原さんも呼んで、五人で食卓を囲みました」
P「なぜ呼んでくれなかったんだ!」
千早「その日は忙しくて事務所に泊まるとか言ってませんでしたか?」
P「呼んでくれたら頑張って終わらせたのに……」
9:
P「まあいい。小鳥さんは?」
小鳥「やよいちゃん、最近もやしを食べなくなったって言ってました」
小鳥「今はもう張り切って節約しなくても良くなったって」
伊織「やよい……」
千早「高槻さん……よく頑張ったわね」グスッ
P「ふむ……ちょっとわかってきたぞ」
小鳥「へっ、今ので、ですか?」
P「ああ、最近はもやしを食べない。これだよ」
千早「はい?」
伊織「意味がわからないんだけど」
10:
P「俺も信じられないが、やよいはもしかすると、もやしを食べなくなったから元気がないんじゃないかと思う」
小鳥「確かにもやしは栄養がありますけど……でもそれくらいで元気がなくなるほどじゃ……」
P「ものは試しです。やってみて、だめなら違うんですよ」
伊織「適当ね……」
千早「まあ、可能性はひとつずつ潰していくしかないですね」
P「だめだったら仕事がキツくないかとか、色々訊いてみるさ」
小鳥「順番が違う気がするんですけど……」
13:
――事務所
P「やよいー」
やよい「プロデューサー、なんですかー?」
P「久しぶりにもやし祭りを開催しないか?」
やよい「も、もやし祭りですかー? い、いいですけどー……」
P「どうした?」
やよい「弟たちがなんて言うか……」
P「……それなら多分、大丈夫だ」
やよい「……?」
14:
――やよい家
P「おじゃましまーす」
かすみ「あ……」
長介「久しぶりだな、にーちゃん!」
P「はは、本当に久しぶりだな」
やよい「じゃあみんな、もやし祭り開催するよー!」
高槻家+P「はーい!」ワアアア
15:
――やよい家玄関
P「うん、やっぱりうまかった。やよいの家のもやし祭りは最高だな」
やよい「久しぶりに食べましたけど、やっぱりもやしも美味しいですー!」
やよい「あ、でも、なんでいきなりもやし祭りだったんですかー?」
やよい「今ならわたし、いろーんな料理、作れちゃいますよ?」
P「……貧乏だった頃を、忘れようとしてないか?」
やよい「えっ……?」
18:
P「家族に美味しいものを食べさせたかった。でもお金がないから、安いもやしでお腹をふくらませていた」
P「そんな意識が、やよいに無意識にもやしを使わせなかったんじゃないのか?」
やよい「……」
P「きっとお金が入るようになったら、いろんなものを家族に食べさせてやりたかった」
P「だから、いろんな料理を覚えた。そして今、それを実際に作れるようになった」
P「すごく楽しかっただろ。すごく幸せだっただろ」
やよい「……」
P「だからやよいは、大事なことにフタをして、見ないようにしていたんじゃないのか?」
19:
P「お金がなくても、幸せだった昔のことを、さ」
やよい「……」
P「……」
やよい「……難しくて、よく分かりません」
P「……そっか」
やよい「でも、ちょっと無理してたかもしれません」
やよい「お金が入って、今までできなかったことができるようになって、じゃあそれをしなきゃって思っちゃって」
やよい「焦って、他の大事なことが、見えなくなっちゃってたかもしれません」
P「……」
20:
P「やよいは、そのままでいいんじゃないか」
やよい「えっ?」
P「お金があってもなくても、やよいはやよいじゃないか」
やよい「……」
P「やよいは、もやし嫌いか? もやし祭り、楽しくなかったか?」
やよい「そ、そんなことないです! とーっても好きだし、楽しかったです!」
P「じゃあ、それでいいじゃないか」
やよい「プロデューサー……」
P「無理に変わる必要はない。変われる時に変わればいい。変わりたくないなら、変わらないでいい」
P「俺の中では、やよいはいつも、家族思いの立派なお姉さんで、俺のかわいい担当アイドルだよ」
21:
やよい「……えへへ、嬉しいですー!」
やよい「プロデューサー、明日からもお仕事がんばりましょー! おやすみなさーい!」ガルーン
P「ああ、おやすみ!」
P「……これで良かったかな」
やよい(プロデューサー。私、実はお金のこと以外にも変わったことがあるんです)
やよい(それで少しみんなに心配かけちゃってたかも……。でも)
やよい(……いつかきっと、教えちゃいますから!)
24:
――事務所
やよい「うっうー! おはようございまーす!」ガルーン
P「おお、おはよう。今日も元気だな」
やよい「はい! もやしパワー全開でーす!」
千早「元気な高槻さん、やはり天使ね」
伊織「天使とかなんだとか、人間の決めた枠で収まるものじゃないでしょ」
小鳥「そうね、やよいちゃんのかわいさはもはや人智を超えているわ」
やよい「あ、そうだ。プロデューサー!」
P「ん? なんだ?」
やよい「だーいすきですっ! これからもよろしくお願いしまーす!」
26:
P「」ズキュ ̄ ̄ ̄ ̄Z____ゥゥゥン!!!!!!!!!!
小鳥「」
伊織「」
千早「Sランクじゃ……Sランクじゃダメだっていうの……!」
春香「おはよー! って、なにが起こってるの!?」
真「うわぁ!? よ、四人ともしっかりしてー!」
やよい「うっうー! 私は今日も元気ですー!」
おわり
27:
おつ
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