亜里沙「まぶしがりや」【モバマスSS】back

亜里沙「まぶしがりや」【モバマスSS】


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1:
P「は? ハロウィンクイーン、ですか」
ちひろ「ええ、イベント会社から申し出がありまして」
P「いやしかし、その、女王様系っていうんですかね」
P「亜里沙には似合わないと思うんですが……」
ちひろ「うーん、こないだのイベントで、ずいぶん迫力があるからってことで」
ちひろ「いたく先方が気に入っちゃいまして」
P「しかし……」
ちひろ「どうします? 別にお断りしてもいいですけど」
P「い、いや」
P(チャンス、だよな。売れる)
2:
P(いや、しかし、うーん……)
ちひろ「一応、他の娘の割り当てもありますので……」
P「……亜里沙に、聞いてからでもいいですか」
ちひろ「はい、大丈夫ですよ」
ちひろ「そうですよね?、路線変更みたいなものですものね」
P「ええ、まあ」
ちひろ「でも、結構大きいイベントなんで、早めに」
P「はい、分かってます」
3:
――
亜里沙「ふふん、ふーん♪」
亜里沙「ハサミのおーともかろやっかに?♪」
P(いるな……)
P「あー、その、亜里沙」
亜里沙「はぁい、いますよ?」
P「ああ。ちょっといいかな」
亜里沙「どうぞ。せんせいに何でも話してね」モフっ
P「おう、実はな……」
4:
亜里沙「……」
P「というわけで、向こうの方から、こういうイメージでやりたいと言ってきているんだ」
P「も、もちろんな、嫌だったら断っていいんだ」
P「うたのおねえさんって路線でやってきたわけだし」
P「ただほら、まあ、向こうからの申し出だし、売り出しに力を入れてくれることは確かで」
P「でも、いくらなんでもこれまでのイメージがだな」
亜里沙「……うん」
P「お、おう。どうする?」
亜里沙「クイーンってことは、女王さまよね?」
P「そ、そうだな」
亜里沙「女王さまには……やっぱりナイトがついてくれるのよね♪」
P「……あい?」
5:
亜里沙「せんせい、Pくんが守ってくれるなら、大丈夫よ」
亜里沙「好きなようにして?」
P「えっと……」
P(どうしよう……)
P(いや、チャンスだ。チャンスなんだ)
P(……これを逃す手はないじゃないか)
亜里沙「うふふ」
P「えっと、そうしたら」
P「……受けようか。せっかくだし」
亜里沙「……はい♪」
6:
P「そうしたら、ちょっと先方に連絡して、早準備するから」
亜里沙「あ、衣装は、どんな感じになるのかしら?」
P「えーっと、そうだな」
亜里沙「やっぱり、ウサコちゃんもおそろいにしたいし」
P「そこは拘るんだな……」
亜里沙「もちろん! ねー、ウサコちゃんも女王さまになりたいもんねー」
亜里沙「(愚民どもを跪かせてやるウサ!)」
P「ウサコちゃん、そんなにアグレッシブだったっけ」
7:
――
「うふ♪ 控えなさい?」
\ヴぉおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!/
「何をしてるの? 今あなたはクイーンの前にいるのよ? 頭が高いわよ、そこに跪きなさい!」
\ヴァアアアアアアアアアアアアアア!!!!/
P(盛り上がってるな……)
P(……良かったんだよな)
ちひろ「スゴイですねー」
P「ち、ちひろさん」
ちひろ「うーん、やっぱり亜里沙さん、何でも出来る人って感じですよね」
P「……そうですね」
8:
ちひろ「それで、どうしましょう」
P「何がですか」
ちひろ「アレですよ、アレ」
P「ああ……いや、亜里沙には見せないでください」
P「俺が処分します」
ちひろ「でも、いいんですか」
P「いーんです、俺が騎士ですから」
ちひろ「えっ、なんですか!?」
P「……俺が騎士(ナイト)ですから」
ちひろ「ぶふぉっ」
P「笑わないでくださいよ」
9:
――控室。
亜里沙「ふー」
P「お疲れ様」
亜里沙「あっ、Pくん!」
P「うん、ドリンク」
亜里沙「えへ、ありがとう」
亜里沙「……あっ、コホン。大儀であるぞ♪」
P「ハハッ、女王陛下」
亜里沙「あはは、かしこまってる」
P「衣装外して、もう移動するだけだから休憩時間たっぷりありますので」
亜里沙「うん、ありがとう」
10:
亜里沙「うーん、しょ、と」
P「ステージ、どうだったかな」
亜里沙「……いつもと全然違ったわ」
P「うん?」
亜里沙「おねえさんの時とは違って、ライトがビカーってなってて」
亜里沙「もう、音も何もかもすっごい洪水状態で」
P「ああ、たしかにな」
亜里沙「リハの時から目がチカチカしちゃって凄かったぁ」
P「だ、大丈夫か?」
亜里沙「……」
P「おい」
亜里沙「(あの程度のライトアップじゃウサコには足りないウサ!)」もふもふ
P「ウサコは派手好きだなぁ」
11:
亜里沙「Pくん」
P「ん?」
亜里沙「ファンのみんな、喜んでくれたかしら?」
P「……」
亜里沙「わたし、うまく、出来たと思う?」
P「……ああ」
P「すごい歓声だったじゃないか」
亜里沙「そう……よね」
P「うん、大丈夫だ」
P「何も心配することなんてない」
亜里沙「……」
12:
P「えっと……その……」
P「……私めが女王陛下をお守りするナイトでありまして」
亜里沙「えへへー、Pくんが守ってくれるなら女王さまもいいかな」
P「うん」
亜里沙「よぉし、それじゃ、二人組をつくって♪」
P「ぐふっ、トラウマを」
亜里沙「じゃあ、肩がこっちゃったから」
P「はいはい、マッサージしますよ」
亜里沙「よきにはからえ?」
13:
――
ちひろ「成功だったみたいですね」
P「ええ! 実際、売れましたし」
ちひろ「でも、どうするんですか」
ちひろ「ファンレターというか、反対意見というか……」
P「……亜里沙には見せないでください」
ちひろ「バレちゃいますよ?」
P「それはそうですけど」
P「でも、あんな大舞台に立てるの、めったになかったんだ」
P「ファンが喜ばないわけないでしょ」
P「ふ、複雑に、思う人も、いるかもしれないけど」
ちひろ「……『天帝、最高!』って人もいますけどね」
P「……新しいファンが獲得できたわけで」
14:
P「プロデューサーの仕事は、新たな一面を引き出すことでもあって……」
P「それに、先方からの申し出だったんだ」
P「断るより、受けたほうがいいに決まってる」
P「良かったんです」
ちひろ「そ、そうですね」
ちひろ「私も、その、勧めた手前……」
P「とにかく、これでファンが増えたんだから、もっと躍進を狙ってですね」
P「新しい企画を作ると」
ちひろ「うーん、そうですね」
15:
ちひろ「そしたら、今度アイドル総選挙があるから……」
P「なるほど」
P「とにかく、それを目指していろいろと活動していけば」
P「大きな露出を増やして」
ちひろ「そうですねぇ」
P「結構、セクシー路線も、大丈夫だと思いますし」
ちひろ「冬場に脱ぐのはどうかと思いますけど」
P「あっ、まあ、そうですけど」
16:
バタン。
亜里沙「……」
P「あっ、亜里沙」
亜里沙「……」
P「どうした? おはよう」
亜里沙「……あっ、Pくん」
亜里沙「うふふ、おはよう」
P「……?」
P「あのな、今度のアイドル総選挙に向けてだな……」
亜里沙「うん、うん」
17:
P「やっぱり、今人気がある内に、いろいろやっておいた方がいいと思うんだ」
亜里沙「そうねぇ」
P「だから、女王様路線は意外と好評だったし……」
亜里沙「ね、ねえ、Pくん」
P「どうした?」
亜里沙「女王さまもいいけど、わたしはわたしらしいのが一番かなって、思うんだけど」
P「……えっと」
亜里沙「みんなのおねえさん、みたいな」
P「そう……か?」
18:
P「でも、こないだのイベントだって……成功しただろ?」
亜里沙「う、うん」
P「やっぱり嫌だったか?」
亜里沙「嫌じゃないのよ?」
P「うん」
亜里沙「先生、女王様だって、がんばってやったし……」
亜里沙「えっと、嫌いじゃないっていうか」
P「うん……」
亜里沙「でも、その」
P(もしかして、見ちゃったのかな。ファンレター)
P(ま、まずいな……「がっかりした」とか、書いてあったしな)
19:
P「あの、もしかして……」
亜里沙「あっ、わがまま、言ってるね、私」
亜里沙「ごめんね?」
P「えっ、いや、その」
亜里沙「Pくんが守ってくれるなら、何でもやるって言ったのに」
P「……」
亜里沙「うん……よし」
P「あの」
亜里沙「よし、大丈夫よ」
亜里沙「(どんと来いウサ!)」モフモフー!
P「お、おう?」
20:
P「あ、あのな」
亜里沙「うん、大丈夫よ、何でもやるウサよ」
P「混じってる混じってる」
P「……やっぱり嫌だったのか?」
亜里沙「うーん、そうじゃないんだけど」
亜里沙「……ごめんなさい、ちょっと秘密?」
P「お、おう」
P(どうしよう)
21:
――
P「ちひろさん、亜里沙が元気ないんです」
ちひろ「そうですか?」
P「もしかして、手紙とか、見せてないでしょうね」
ちひろ「ちゃんとプロデューサーさんに渡してますよ」
ちひろ「でも、ほら、ネットの書き込みとかありますから」
P「亜里沙、ショックを受けたのかな」
ちひろ「……そんなに弱い人にも見えないですけど」
P「だって、何でもやるって言ってたんです」
P「イベントだって成功して……」
P「急になんか」
ちひろ「うーん」
22:
ちひろ「ファンから直接言われたんでしょうか」
P「え」
ちひろ「こないだお休みでしたし、その時に」
P「いやそんなまさか」
ちひろ「……えーっと、行き先とかは聞いてないですけど」
P「ちょっと俺、聞いてきます」ダッ
ちひろ「あ、ちょっと」
23:
ちひろ「ちょっと待って下さい!」ガシッ
P「うおっ」
ちひろ「本人が言いにくいことかもしれないじゃないですか」
P「確かに……」
ちひろ「何かその、言いかけたこととか、ないんですか」
P「ちょっと秘密って言われましたけどね」
ちひろ「あーあー」
P「!?」
ちひろ「これは、もう」
P「ダメかもしれない?」
ちひろ「聞かない方が賢明でしょう」
P「!?」
24:
P「そんな、でも……」
ちひろ「無理に聞いたらかえって傷つけることになるかもしれませんよ?」
P「いや、だって」
ちひろ「だってじゃなくて」
P「……」
ちひろ「他になにか言ってなかったんですか?」
P「まあ、その」
ちひろ「はい?」
P「女王様じゃなくって、わたしらしくやりたいって……」
ちひろ「……ああ、そうなんですね」
25:
ちひろ「プロデューサーさん、私から振った話ではありますが……」
ちひろ「この路線、続けるのはやめた方がいいんじゃないでしょうか」
P「……なぜです?」
ちひろ「イベント会社から持ちかけられた話ですけど、イベントも終わったわけで」
P「で、でも、成功したじゃないですか」
ちひろ「確かにそうです」
ちひろ「けど、あの亜里沙さんが、自分らしく、なんて言うの、初めてでしょう?」
P「それは……」
ちひろ「無理をしてたわけじゃないと思うんです。ノリノリだったし」
P「そうですよね」
ちひろ「でも、やっぱり、何かあったんでしょう」
26:
P「ですが、ちひろさん。今度総選挙があるって言うじゃないですか」
P「ここでテコ入れしないと、勝てないじゃないですか!」
ちひろ「そ、それは……」
P「なんだってファン獲得出来るならやりますよ」
P「やるだけやらなくちゃ意味無いでしょう」
P「俺は亜里沙を守りますよ、だから……」
ちひろ「……」
P「……そ、それとも、やっぱり、守るつもりで傷つけているんですか」
P「俺は、俺は、その」
ちひろ「……うちの事務所には、他にもアイドルがいますから」
P「……!」
27:
ちひろ「あの、誤解しないでくださいね、決してプロデューサーさんを」
P「……いえ」
ちひろ「と、とにかくですね。亜里沙さん本人が言ったことを、もっと尊重することは大事じゃないかと」
ちひろ「あ、えっと、なんか言ってることがまとまりませんが」
P「……」
ちひろ「なんでもやればいいとは思わないんです、私は」
P「……」
P「……はい」
ちひろ「あ、あの」
P「……」
28:
P「……確かに、そうですよね」
P「一時的に、ファンが増えても、この路線を続けるのは難しいし」
ちひろ「はい……」
P「でも……」
ちひろ「あ、えーと、ですね」
P「いや、いいです。ちゃんと、亜里沙と話し合っていきます」
ちひろ「あ、は、はい」
P「他のアイドルのこと、忘れてました」
P「立ち位置だけで、路線を決めちゃダメですよね」
ちひろ「……そうですね」
29:
持田亜里沙は第一回、第二回シンデレラガール選抜総選挙にて、ともに圏外だった。
30:
――
亜里沙「……ふふふん、ふ?ん♪」
亜里沙「ヘッドライトのあまの?がわ?♪」
P「亜里沙」
亜里沙「あ、Pくん」
P「お疲れ様」
亜里沙「お疲れ様です♪」
P「うん、休憩時間?」
亜里沙「えっと、そうですよぉ」
亜里沙「Pくんも休憩?」
P「あ、うん。ちょっとだけ」
31:
亜里沙「コーヒー? 紅茶?」
P「ああ、大丈夫」
亜里沙「(先生の淹れるお茶が飲めないウサかー!)」
P「じゃあ、一杯」
亜里沙「はぁい」
P「……」
亜里沙「♪?はい、どうぞ」
P「お、ありがとう」
32:
P「ん……」ズズッ
亜里沙「Pくん、何か、お話?」
P「ああ、うん」
P「……仕事の、路線のことなんだけど」
亜里沙「はい」
P「やっぱり、亜里沙が一番望む形で、やろうか」
亜里沙「えっと……」
P「子どもと遊ぶの、好きなんだろ」
P「恐いおねえさんじゃあ、なかなか、そうもいかないだろうから」
亜里沙「……」
33:
P(ちひろさんが、調べてくれた。イベント後の休みの日に……)
P(亜里沙は久しぶりに幼稚園に行って)
P(子どもたちに怯えられたんだとか)
P(……ダメだよな、そんなん)
亜里沙「……でも」
P「うん?」
亜里沙「うたのおねえさんじゃ、売れないかもしれないよ?」
P「……」
亜里沙「アイドルっぽくないし」
P「……」
亜里沙「わたし、きっと、そんなに……」
P「大丈夫」
34:
P「道はひとつじゃないから、大丈夫」
P「本当の亜里沙を見てもらった方が、ずっとずっと、いい」
亜里沙「……本当に?」
P「うん」
亜里沙「……」
P「お願いします」ペコリ
亜里沙「……」
P「もう一回、プロデュース、させてください」
亜里沙「……」
亜里沙「……はい」
35:
亜里沙「よろしくおねがいします、Pくん」
P「……うん、よろしく」ホッ
亜里沙「えへへ、それじゃあ、どうしようかしらぁ」
P「なんかやりたいこととか、ある?」
亜里沙「お祭りとか、いいかも! 浴衣を着て――」
P「うん、うん」
亜里沙「それから、あっ、Pくんがうたのおにいさんになって――」
P「え!? それはちょっと」
亜里沙「でも、やっぱりうたのおねえさんとおにいさんはセットだと思うのよ!」
P「いや、しかし、それは……」
亜里沙「(ウサコも相棒がほしいウサ!)」
P「……ウサオくん?」
36:
それから、二人でしばらく、夢のような話をして、帰った。
笑いながら、夢のような話をして。
終わり
37:
ハロウィンクイーンについての自分の感情がだいたいケリがついたので書きました
うたのおねえさんがきて本当に良かった。本当に良かった
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