あずさ「あら〜、ここはどこかしら〜?」back

あずさ「あら〜、ここはどこかしら〜?」


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1:
律子「……それはわたしたちが聞きたいです」
あずさ「あら?」
伊織「なによここ……、建物と言えばお寺ばっかりじゃない……」
あずさ「てら?」
亜美「お寺がいっぱい……お寺と言えば……」
あずさ「なら?」
律子「でも人の気配は一切ないし……」
伊織「んもー!ここは一体どこなのよおー!」
4:
伊織「本当に誰もいないわけ!?失礼しちゃうじゃない、まったく!」
律子「携帯も電波が入らないわ……」
亜美「うあうあー!ガッツリ迷子だよー!」
あずさ「あらあら?」フラフラ
律子「ちょ、あずささん!勝手に行かないでください!」
伊織「今あずさを迷子にする隙はないわ!追いかけるわよ!」
あずさ「うふふ、ヘンな建物がいっぱいね?」フラフラ
亜美「待ってよー、あずさお姉ちゃーん」
あずさ「あ」ピタ
伊織「わっ、何よ、急に止まって」
あずさ「あれー」
亜美「何?」
あずさ「倉?」
5:
伊織「倉……?」
律子「この倉がどうかしたんですか?あずささん?」
あずさ「入ってみるわねー」ガラガラ
伊織「ちょっと、待ちなさいって……」
あずさ「……」
亜美「どしたの?あずさお姉ちゃん」
あずさ「カラ?」
7:
伊織「……そうね、カラね」
律子「……残念でしたね、あずささん」
あずさ「ええ、残念ね?」キョロキョロ
亜美「ていうかココ、埃っぽいよー」
伊織「ほら、満足した?出るわよ……」
グルルルルル
律子「……な、何の音……?」
グルルルルルル
亜美「嫌な予感がするよ……」
あずさ「あらー、何かしらー」クルッ
あずさ「……」
あずさ「あら?、トラ?」
8:
伊織「ひいいいいい!」
亜美「と、トラああああ!」
トラ「グルルルルルル……」
律子「どどどど、どうしましょう……」
トラ「グルルルルルルルル……」
伊織「決まってるじゃない!逃げるのよ!」
亜美「亜美お先に!」ダッ
律子「ま、待ちなさいよ!亜美!」ダッ
伊織「わ、私も……!」
あずさ「……」
伊織「何してるのよ!あずさ、逃げるわよ!」ガシッ
あずさ「あら?」
ダダダッ
10:
律子「ハァ、ハァ……」
亜美「ゼェ、ゼェ……」
伊織「ハァ……、ゲホッ」
亜美「に、逃げ切ったの……?」
律子「え、ええ、そうみたいね……」
伊織「ハァ……、で、ここは、ハァ……どこなのよ……」
亜美「なんか……さっきとはまた違う感じの所だね……」
あずさ「あらあら?」テクテク
律子「ちょ、ちょっとあずささん、勝手に行かないでってば……」
あずさ「みんな、あれ?」
伊織「何よ……?」
あずさ「村?」
11:
伊織「は?……村?」
律子「あずささん、村があるんですか?」
あずさ「ええ、そうみたいですね?」
亜美「い、行ってみようよ!」
12:

律子「ホントに村ね……」
伊織「随分古臭い村ね……」
亜美「あ、屋根が藁だよ」
あずさ「わら?」
律子「……それにしても」
伊織「……ええ、ここも人っ子一人見当たらないわね」
亜美「みんなお出かけ中なんじゃない?」
ボオオオオオオオ
亜美「あ、なんか聞こえるよ」
伊織「この音……法螺貝?」
あずさ「ほら?」
14:
ボオオオオオオ、ボオオオオオオ
律子「随分長いこと吹くわね……」
亜美「な、なんか不気味だよ……」
あずさ「あっ」
伊織「今度は何よ!」
あずさ「トラ?」
トラ「グルルルルル……」
律子「ま、またトラー!」
亜美「しかも今度は1頭だけじゃないよ!」
トラたち「グルルルルルル……」
伊織「完全に、囲まれたわ……」
あずさ「あらあら?」
15:
亜美「ど、どうすんのさ!これえ!」
律子「どうったって……」
伊織「こんなのどうしようもないじゃない!」
亜美「もうだめだぁ、おしまいだあ……」
あずさ「……」
あずさ「大丈夫よ?みんな?」
18:
伊織「はあ!?大丈夫って……」
律子「何処が大丈夫なんですか!?」
あずさ「うふふ?、見ててね?」スタスタ
あずさ「こんにちは、トラさん」
トラ「グルルルルルル」
亜美「あ、危ないよ!お姉ちゃん!」
あずさ「……オラ?」ドゴ
トラ「グルッ……」
あずさ「うふふ、もう一回、オラ?」ドゴォ
トラ「」
あずさ「うふふ?、安全でしょ?」
伊織「」
律子「」
亜美「……えっ」
22:
あずさ「残りも任せて?」
あずさ「オラオラオラオラオラオラ?」ドドドドドドド
トラ「」
亜美「す、すごいトラたちがみるみる……」
あずさ「仕上げよ?」
あずさ「メラ?」
ボウッ
亜美「」
トラ「……」ボウ
亜美「と、トラが……」
あずさ「はい、お終いよ?」
25:
あずさ「もう大丈夫よ?亜美ちゃん」
亜美「あ、う、うん……」
律子「」
伊織「」
亜美「あ、二人とも、もう終わったってさ……」
律子「……はっ!」
伊織「いけない、ちょっとボーっとしてたわ……」
伊織「って何よこのトラの山……」
亜美「……気にしない方が良いよ……」
村長「す、素晴らしい!」
あずさ「あら??」
27:
伊織「……誰よ、アンタ」
村長「ワシはこの村の村長じゃ」
亜美「村長さん?」
村長「いかにも」
村長「……時にそこの大きいお方!先ほどのこと、見ておりましたぞ!」
あずさ「あら??」
村長「素手であの数のトラを対峙してしまうとは、恐れ入る!」
あずさ「うふふ?、ありがとうございます?」
村長「お礼ががしたい、ぜひワシの家へ……」
28:
村長「それ、こんなものしかないが召し上がってくれ、鱈と鯔の鍋じゃ」
あずさ「うふふ、頂きます?」
律子「久しぶりの食べ物……」
亜美「美味しい、美味しいよ?」グスッ
伊織「泣くんじゃないわよ……」
村人A「トラを倒してくれてありがとう!」
村人B「これでしばらくはトラを恐れずに狩りができます!」
村人C「沢山召し上がってください!」
29:
伊織「何よ、この村、いっぱい人がいるじゃない」
村長「ああ、それはな、法螺貝の音が聞こえたじゃろ」
律子「そう言えば、鳴っていましたね」
村長「あれが、トラが現れたっちゅう合図でな、みな一斉に家の中に非難するんじゃ」
伊織「ああ、それで……」
グワァァァァァァン! グワァァァァァァン!
亜美「うるさ!何の音?」
あずさ「ドラ?」
村長「い、いかん!ドラの音じゃ!」
30:
伊織「は?ドラの音が何なのよ?」
村長「実はこの村を襲う動物は、トラ共だけでは無くてな……」
村長「このドラの音は、もう一方の奴が来ることを知らせるドラじゃ……」
律子「……どんな奴なんですか?それって」
亜美「ん?トラとくれば、ライオン?」
あずさ「コカトリスよ」
亜美「へ?」
あずさ「この村を襲っているのは、大怪鳥コカトリスよ」
伊織「……は?あんた何言ってんの?」
31:
律子「そ、そんなわけないじゃないですか、ねえ村長?」
村長「……いや、残念ながらその通りじゃ」
伊織「は、はああああああ!?」
伊織「いや、アンタたち何言ってんのよ!」
伊織「○ラの法則どこ行ったのよ、○ラは!」
伊織「今まで全部そうだったじゃない!」
あずさ「……?何のこと?」キョトン
村長「そんなに都合のよい法則があるわけないじゃろ?」
伊織「きいー!ムカつくー!」
32:
亜美「……で?そのコカなんとかってのはどこから来るの?」
あずさ「そら?」
伊織「!!」
律子「……伊織、ここは我慢しましょう、ね?」
伊織「……」
村長「い、いかん!そうこうしているうちに奴が来るぞ!」
律子「そ、そうよ、逃げないと!」
村長「そうじゃ、言い忘れておった」
村長「特に奴は、幼い女児を良く狙うぞ!」
34:
伊織「……は?」
村長「そう、特にアンタぐらいの感じの子をな!」
伊織「は、はあああああ!?」
伊織「何よその理不尽!じゃあ亜美はどうだってのよ!」
村長「相手は人間じゃない!見た目重視に決まってじゃろ!」
亜美「だってさ、いおりん」
村人A「うわああああああ!コカトリスが来たぞおおおおおおお!」
35:
コカトリス「ギャース!ギャース!」
亜美「でっか!コカトリスでっか!」
コカトリス「……」キョロキョロ
律子「獲物を探してるわね……」
伊織「……大丈夫、大丈夫よ伊織……」ブツブツ
コカトリス「……!」ピーン
亜美「あ、いおりんと目があったね」
コカトリス「ギャァァァァース!!」バサー
伊織「いやああああああ!」
36:
伊織「……何で、こんなことに」ブツブツ
亜美「逃げて!いおりん逃げて!」
伊織「そもそも最初っからバッカじゃないの、何よ語尾が『ラ』縛りって」ブツブツ
律子「伊織ー!」
伊織「あー、分かったわよ、分かったわよ、やってやるわよ」ブツブツ
コカトリス「ギャース!」
亜美・律子「伊織ーん!」
伊織「は……」
伊織「腹ぁ!」スドォ!
コカトリス「!!」
38:
亜美「い、一撃入った……!」
伊織「裏ぁ!」ドゴォ!
律子「う、裏拳!」
伊織「皿ぁ!」バキィ!
村長「ひ、膝を折りに!」
コカトリス「グェェ……」ヨロッ
亜美「よろけた!」
律子「と、とどめよ伊織!頭に思いっきりいっちゃいなさい!」
伊織「お……」
伊織「オラああああああああああああ!!!!」
グワァァァァァァン!
あずさ「ドラ?」
40:
伊織「ハァ……ハァ……」
コカトリス「」
亜美「す……」
亜美「凄いぜいおりん!コカトリスを倒しちゃったよー!」
律子「人間追い込まれればやるもんね……!」
あずさ「あらあら?」
村長「あ、ありがとうございます!まさかコカトリスまで……!」
伊織「い、いいってことよ……」ゼェゼェ
村長「今夜は祭りです!ぜひご参加ください!」
42:

村人たち「わーっしょい、わーっしょい」
亜美「うまっ!コカトリスうまっ!」モグモグ
伊織「ダシがきいてるわね……」
あずさ「鳥ガラ?」
律子「それはもういいです……」
44:
伊織「まあ、この村が助かったのは良いんだけど……」
律子「結局、どっちに行けば事務所に帰れるのかは分からないままだったわね……」
亜美「亜美は楽しかったから、もうちょっとこの辺で遊んでもいいけどねー」モグモグ
伊織「アンタは能天気ね……」
あずさ「楽しかったかしら??亜美ちゃん」
亜美「うん!」
あずさ「うふふ?それは良かったわ?」
律子「でも、ずっとこうしてるわけにもいかないでしょう」
伊織「そうよ、仕事だって立て込んでるんだし……」
あずさ「あら?それじゃ、帰りましょうか?」
伊織「え?」
律子「え?」
亜美「あ、ニラも入ってる」モグモグ
47:
律子「か、帰れるんですか!?」
あずさ「ええ、帰れますよ?」
伊織「アンタ、それを早く言いなさいよ!」
あずさ「今すぐ帰りますか?」
律子「か、帰ります帰ります!」
あずさ「うふふ?、それじゃ、行きますよ?」
あずさ「ぐらぐら?」
ゴゴゴゴゴゴ…
伊織「きゃあ!何よこれ、揺れてるじゃない!」
律子「あわわわわわ!」
あずさ「ぐらぐら?」
ゴゴゴゴゴゴゴ…
律子「ちょ、立ってられないわ……」
伊織・律子「きゃああああ!」
グニャア?
48:
伊織「はっ!ここは……」
律子「765……プロ……」
小鳥「あら、お帰りなさい4人とも」
亜美「帰って来たのー?」
伊織「な、何だったの一体……」ドサッ
律子「疲れた……」ドサッ
小鳥「あらあら、お疲れですか?」
伊織「ああ、ごめん小鳥、そのあらあらってやめてくれないかしら」
小鳥「え、ええ?」
伊織「当分聞きたくない言葉ね……」
49:
伊織「ホント、何だったのよ……」
あずさ「うふふ、でも、やっぱりみんなで行くと楽しかったわね?」
伊織「……みんなで行くと?」ピクッ
律子「……楽しかった?」ピクッ
あずさ「あっ」
伊織「……ふーん、あずさアンタ、前に一人で行ってきた見たいな言い方するのね?」
あずさ「あ、あら??」
律子「……そういえば、あずささんに言えばすぐ帰れたんですよね?どうして最初っからそうしなかったんですか?」
あずさ「あ、そ、それは?……」
伊織「それは?」
律子「何ですか?」
あずさ「あ、あの……」
あずさ「……しら?」
5

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