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アムロ「僕が一番ISを上手く使えるんだ…」


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1:
アムロ「…泣くなよ」
アムロ「女の子ってずるいよ」
アムロ「泣いちゃったら勝ちだって思ってる」
アムロ「食事を作って、優しくしたら、それでいいと思ってる!」
ヒロインは生き残ることができるか?
前に原作三巻アニメ一期辺りまで書いた奴
3:
楽しいIS学園の夏休み
ナレーター「福音事件の後、アムロ・レイは英雄的扱いを一部から受け、その能力に注目した人々は彼=ニュータイプとは何かを問いただす」
ナレーター「しかし、彼の力は抽象的で難解なものであり、誰もがその存在を“人と人が分かり合うための力”ではなく“撃墜王としての素質”と解釈した」
ナレーター「アラスカ条約と国際IS委員会を盾に、アムロ・レイの所属を勝ち取った国連軍は、彼を大尉に昇進させ、アメリカ方面への配属を決める」
ナレーター「しかしこれには、ニュータイプを危険視する思惑がある。つまり、驚異的な力を持った彼を自由に行動させぬようにする為の、事実上の軟禁であった…」
4:
国連軍本部ジャブロー
千冬(アムロの奴は何処だ? くどくどと問診を受けていたが…ん?)
千冬「アムロ、遅かったな」
アムロ「いや、まだこれから、精密検査があるって」
千冬「…なんだと?」
アムロ「別の病棟だってさ。精神病棟」
千冬「………」
5:
ジャブロー深部・進化体研究機関
研究者A「考えられるのは、神経伝達物質の放出の仕方に、常人と違う何かがあるという事です」
研究者B「活動電位の度の違いとかは?」
研究者C「まず一定だろう。調べてみるまでは分からないがね」
研究者A「一番いいのは、脳マシンインターフェイスを使い、思考を動作に置き換えてみることですが―――」
研究者B「まさか!」
研究者D「大事だよ。IS学園の英雄の脳味噌に、チップを埋め込んだりしたら」
研究者E「それに、第三世代ISのイメージインターフェースでは、ドイツ軍によるナノマシン併用でもアムロ・レイに追従できなかった。BMIでも大差があるとは…」
8:
研究者C「しかし、認めたくないことだが…こんなレベルの話をしていること自体、如何にニュータイプ研究が遅れているか告発しているようなものだ」
研究者E「イギリスの研究機関が、BT兵器を応用したサイコミュ実用化に着手したと言うのは?」
研究者A「ガセネタでしょう。BT兵器試験搭載IS二号機開発は凍結。BT兵器適性を持つセシリア・オルコットはアムロ・レイに感応を示したとはいえ、その程度です」
研究者B「研究が遅れたのは―――」
研究者A「そう、政治家が悪い! 嫌と言うほど主張したのですよ、私は。これからの戦争にニュータイプの活用は欠かせないと!!」
研究者C「新型IS建造に莫大な金を使ってもね…」
研究者E「試験管ベビーもBT適応者も、ISやサイコミュ運用に関しては出来損ないも良い所だ」
研究者D「まあ、今更その話を蒸し返しても仕方ない。ようやく手に入った検体だ、やってもらおう…」
放送『検体が準備室に入りました』
アムロ「あの…すみませーん」
10:
・・・
ゴップ「その、何だね。束博士がこの場に居たら…」
千冬「姉の話は、やめていただきたいのですが…」
ゴップ「その気持ちは分かるが、姉君の理想とやらを今一度思い出してみたまえ。確かに彼女なら世界を変化させる手段があるかもしれない」
ゴップ「しかし、彼女が消え、それが敵わなくなった以上、勝利と力で平和をもたらすのも、君の望むところであるのでもないかな?」
千冬「………」
ゴップ「彼女は幸いにISと言う力を残した…考えてくれたまえ。時間はたっぷりとある」
千冬「………はい」
12:
・・・
医師A「心拍数やや上昇。後は異常なし」
研究者A「活動電位は活性化していますが、波形に大きな特徴はありませんねェ」
アムロ「………」スゥ…スゥ…
放送『対象は完全にレム睡眠状態。緩いチアノーゼ状態が認められます…βエンドルフィン増大が見られます。心拍百二十』
研究者B「エピネフリンを多めに投与しましたからね」
研究者C「もともと精神負荷の高そうなタイプだ…戦時下と学園でのストレス?」
研究者A「それもあるでしょう。当然」
研究者D「この年齢と性別で、IS搭乗者として戦ってきたのだからな…」
アムロ「………」ハァ…ハァ…
13:
―――なんて情けない子だろう! お前は!!
―――母さん!?
―――せっかく会えた私を置いて、行ってしまうの!!?
―――放して!!
―――戦いなんかおやめ!! あれは悪い人間のすることだよ!!!
―――行かなきゃいけないんだあ!!
アムロ「………うっ!? うぅ…!!」ガチャガチャ
医師B「あっ!? いかん!!」
放送『超過負荷状態です』
研究者E「切れ! 回線を切れ!!」
医師A「エアーだ、エアー! 迅に!!」
15:
・・・
研究者D「結局何が分かったのか? 今の検査で…」
医師C「酸素濃度の低下に極めて過敏に反応しました。強い幻覚作用に見舞われています。これは、ある種の予知能力に関係するかも…」
研究者D「ふん…確認するぞ! 軍の上層部がニュータイプに期待していた要件は何か!」
研究者A「一つは常人とかけ離れた空間認識力。二つにサイコミュを可能にする強い脳波」
研究者D「それに加えて、今度は予知能力か…?」
研究者B「………何れにせよ、アムロ・レイを傷物にでもしたら、このプロジェクトはすぐに解散だぞ」
医師達「「「………」」」
アムロ「うぅ………」ハァハァ
16:
・・・
千冬「お前のIS、搭乗者保護を強化するそうだな?」
アムロ「火力に回すエネルギーのせいで、防御が疎かになりやすいからって」
千冬「当然だな。貴重な搭乗者の命は何にも代えられん」
アムロ「繰り返し利用する気なんだ…あいつら…」
千冬「お前が死ぬよりはいい………ん?」
アムロ「姉さんは何も分かってないよ…」
アントロニシルプロミン錠剤:向精神薬
17:
千冬「…アムロ、これは?」
アムロ「病院で、元気が無いからって」
千冬「精神病院では、主にカウンセリングか?」
アムロ「いや、眠らされて精密検査…脳波とかそういうのばっかり」
千冬(奴らめ、またか…)チッ
千冬「これは飲まなくていい」ザラザラ
アムロ「?」
千冬「これは問題のある薬だ。医師には飲んだと言っておけばいい。疲れるようなら検査だって受けずともいいんだぞ、アムロ」
18:
・・・
放送『シミュレーター終了』
アムロ「………」
士官A「さすがに、呑み込みが良いねェ…実戦経験者は違うな」
アムロ「いえ、そういうのは関係ないかと…ただ、絶対防御って、スポーツ紛いの試合はともかく、実戦ではあんまり意味が無いような気が」
士官A「そりゃどういうこと―――」チラッ
階級章:大尉
士官A「―――ですか? アムロ大尉殿」
アムロ「撃たれたら、普通の防御の方が機体への損傷も消費も抑えられるし、高度が低ければ、落とされそうになっても、残ったエネルギーで軟着陸するなりすれば済むでしょ」
士官A(なんかやりにくいな…)
アムロ「だから多分、あのシミュレーターとかは、基礎データからして間違ってます。まあ宇宙空間でなら…それと、コクピット周りのメンテが手間になるし…」
士官A「と、とりあえずメモっときますよ。次期主力ISの仕様で色々揉めてるんで」
士官B「で、見ます? 例の改修中の大尉の乗機の実機」
アムロ「ええ。白式Mk.?でしたっけ?」
士官B「正式には白式弐型ね」
21:
ナレーター「白式は束による脅威を撃退はした。しかし、白式の機能はすでにアムロの意思に反応しきれなくなっていた」
ナレーター「アムロの反射神経と戦闘力が拡大して、今までの白式の機能では不十分であることがわかったのだ」
ナレーター「ただちにジャブローでは白式の操縦系の整備が始められた。それでも、解決のつく問題とはいえなかったが…」
24:
・・・
アムロ「白式…Mk.2…」
モスク「なんだ? 貴様は」
アムロ「IS搭乗者のアムロ・レイです」
モスク「貴様の報告を読んだから俺が来たんだ。ま、失敗したからって恨むなよ、なにしろ碌なテストもしないで使うんだからな」
アムロ「何をしようというんです?」
モスク「俺の理論を応用して白式の動きを早くしようっていうんだ」
アムロ「そんな事ができるんですか…?」
25:
ブライト「保証の限りではないとさ。アムロ…今はもう大尉か」
アムロ「ブライト…中佐」
ブライト「モスク・ハン博士だ。電磁工学の新鋭だ。マグネットコーティングとかいってな、ISの駆動系を電磁気で包んで動きを早くするのだとさ」
アムロ「そんな事できるんですか?」
ブライト「俺にわかる訳ないだろ? 作戦会議があるんだ、後はいいな?」
アムロ「はい」
29:
ナターシャ「アムロ・レイ…ひょっとして、アムロ・レイ大尉では?」
アムロ「?…なんですか、貴女は」
ナターシャ「ナターシャ・ファイルス(CV:林原めぐみ)です。この“地図に無い基地(ジャブロー)”に配属されたと聞いて、一目会いたいと思っていたのですが、早で感激です」
アムロ「僕はそんな大したものじゃありませんよ」
ナターシャ「士官学校主席の私を、数分の一のパワーでも振り回すほどの機体を用意される搭乗者が、謙遜を言いますね…」
アムロ「じゃあ貴女が、僕の機体のシューフィッター」
31:
ナターシャ「G-4試験部隊の所属です。元は専用ISで新装備を試験していたのですが、大破しましたので…」
アムロ「大破?」
ナターシャ「シルバリオ・ゴスペル…福音ですよ。私のあの子の名前は…」
アムロ「それじゃあ、僕が…」
ナターシャ「いえ、感謝しているんです! あの子が誰かに操られて、あんなことになって…とても許せやしないけれど、大尉が止めてくれたおかげで、少し楽になりました」
アムロ「僕も許せないよ。テロリストなんて、赦しちゃいけないんだ…」
ナターシャ「お礼にキスしたいくらいですよ。ふふっ…それにしても、凄い機体です。恐ろしく反応が敏感で、機械より人が先に動くことを想定してる」
アムロ「そんなにですか?」
33:
ナターシャ「博士の話では、メカニック的干渉はすべて打ち消したから、搭乗者次第で無限大にスピードはくできる…だって」
アムロ「博士は僕の救い主だな」
ナターシャ「でも、ISの基本性能はそうはいかないから…大尉のISに対するセンスに期待するしかないわね」
アムロ「ありがとう」
イーリス「おい、ナタル。油売ってる場合か」
ナターシャ「ごめん、すぐに行く。それではこれで、大尉」
アムロ(あれはたしか、アメリカ代表のイーリス・コーリングと言ったか。なんで選手が国連軍の基地をうろうろしてるんだ?)
イーリス(あいつは、例のアムロとか言う…くそっ! 英雄だか国連だか知らねェが、アメリカの最精鋭が二人掛かりで、奴の機体のお守かよ…ッ!!)
36:
・・・
アムロ「つまり、それがマグネット・コーティングの原理ですか」
モスク「そうだ、ミノフスキー物理学の応用で安定させた磁気単極子を使用する。挙動の反応度は劇的に短縮し、ゼロ加運動に迫るまでになるだろう」
アムロ「………」
千冬「我々学園側に、詳しい資料は提示していただけないのですか? 今後の整備の為にも、必要かと思いますが」
モスク「そう、言われてもな」
アムロ「良いんだよ、姉さん。この人は、多分白式を滅茶苦茶にはしないと思う」
モスク「…これは、褒められていると思っていいのかな?」
千冬「…そう解していいと思われます」
37:
・・・
束「へぶしっ!!」
束「なんか、悪寒がする…」ブルッ
束(あっくんのISを強化するつもりだったけど、もう要らないかなぁ…)
38:
・・・
テム「このパーツを白式に組み込めば、飛躍的に情報回路の性能が上がる。白式はまだまだ使えるぞ」
アムロ「父さん…」
アムロ(こんな凄いパーツを…そう言えば、白式の開発者は父さんだった)
テム「私は嬉しいよ。お前がISの、白式の操縦者だなんて」
アムロ「僕も父さんが元気そうで嬉しいよ。それにしても、ここって酸素が薄いよね」
テム「地下基地だからな。空調に気を使わないとバカになりそうだよ」
アムロ「ところで父さん、僕、学園で姉さんにあったよ。父さん、姉さんのこと気にならないの?」
テム「ん? ああ、仕事はいつか終わる。そしたら一度、千冬の所へ行こう」
アムロ「父さん…」
39:
・・・
隊員A「ひょっとしたら、あのアムロ・レイは隊長殿のファング・クエイク以上の存在でありましょう」
隊長「歴戦の勇士のお前たちがそういうとは、な…」
隊員A「我々は、あの福音事件で…ニュータイプ能力と言うものを、初めて魅せられたのであります」
隊員B「あれほどの力ならば、アムロ大尉はお一人でもIS部隊のひとつぐらいあっという間に沈められます。その事実を知った時、我々は馬鹿馬鹿しくなったのであります」
隊員A「アムロ大尉ほどの搭乗者が現れたなら、我々凡俗などは―――」
隊長「アムロ・レイに嫉妬しているのではないのか?」
隊員B「心外であります!!」
隊員A「いや、皆無とはいえませんが、なによりも彼の実力に驚きました」
隊長「………」
隊員A「軍法会議も覚悟しております。が、彼と一緒に、あるいは彼を相手に出る時、後衛にまわることだけは認めてください」
41:
・・・
千冬「そろそろ学園も始業する。私は色々と準備があるのでもう戻るが、どうする? 一緒に来るか?」
アムロ「どういう意味だよ」
千冬「あ、いや…あんまりに軍に居るお前が生き生きしているもので、つい…な」
アムロ「一緒に戻るよ、学園に。どうせあと何年かで学園を卒業したら、僕は嫌でも軍で食っていくしかないんだ」
千冬「アムロ………」
次回予告「生徒会長が俺に一対一の戦いを挑んだ。さぁ、いよいよ俺の出番だぜ! こっちだって白式だ、正々堂々戦ってやる!!」
51:
IS学園職員室
山田「仕事が終わらない…」
山田(ISを扱える男子。専用ISの異常な数の集中。頻発する戦闘に発展するような大事件。特に締めの福音事件、もといアムロ・レイの存在)
山田(特にレイ君は…国際IS委員会からの説明要求と、果ては身柄引き渡し要求。IS運用協定違反の疑い…国連軍が介入したから落ち着いてきたけれど、それでも大事)
山田(地味に大変なのは、“代表候補生でもなければ軍にも籍を置いていない”篠ノ之 箒が専用のIS、しかも未登録のコアを所持している点)
山田(これが束博士の明確な意思と干渉によってもたらされたもので、挙句に第四世代機というISでも最も価値のある機体)
山田(レイ君の存在が大きすぎて、国連や各国の眼はあまり集中していないけれど、レイ君が下手に束博士の事を口に出したせいで、国連軍でもややこしいことが起きそうだし)
山田(軍と言えば、学園と教員への信頼が一連の事件のせいで大きく揺らいでいて、学園内でも生徒が不安を感じていたり箝口令も出さないといけなかったり…)
山田(なんて考えていたら、早休みに入ったら国連軍がレイ君と白式、それに織斑先生を連れだしてしまって…あぁ)
山田「レイ君と織斑先生、帰ってきてくださいよぉ…」
52:
『アムロ再び』
53:
IS学園正門
チェルシー「イギリス本国でのお勤め、ご苦労様でした。お嬢様」
セシリア「やっと戻ってこれましたわ」
セシリア(IS搭乗者と言うだけでなく、オルコット家の人間でもあるという事が重荷に感じたのは久しぶりですわね…いつもは誇りにしているのですけど)
チェルシー「さっそくレイ様とお会いになられますか?」
セシリア「な、何をいきなり言い出すんですの…」
チェルシー「いえ、すぐそちらの方にいらっしゃいましたので」
セシリア「え!?」ビクッ
セシリア(早々に!? ロールス・ロイスでメイド連れの登場なんて、アムロさんには明らかに嫌味に映るはず! 第一印象共々最悪に受け取られる…ッ!!)
54:
メイド(監視)「では、お荷物をお部屋の方へ」
運転手(監視)「くれぐれも、お気をつけて」
護衛(監視)「何かありましたら、すぐにお電話を。学園の保安体制に、ジャブローは酷く不満を持っていますから…」
アムロ「ああ。それじゃあ」
セシリア(アメリカの政府要人専用車を思わせる、最高級キャデラックの完全防弾仕様! おまけにメイドと運転手、そして護衛付ッ!!)
アムロ(あれはオルコットか…何をやってるんだ一体?)
セシリア「この敗北感は一体…」
55:
アムロ「呆けて、熱射病にでもなったのか?」
セシリア「え? あ、いえいえ。別に、ちょっと考え事をしていただけです」
アムロ「ふぅん。登場もさすがにお嬢様なんだな」
生徒A「あれ、例のアムロ・レイじゃない!?」
生徒B「すごっ! 生で見たの初めて」
生徒C「や?ん、思ってたより可愛い?。もっと殺伐としてるかと思った」
生徒D「でもでも、さすがにしっかりしてそうというか、貫録あるよね!」
セシリア(二年と三年ですわね、何も知らずにべらべらと…)
セシリア「また敗北感が…これは一体…」
アムロ「ハロ、行くぞ」
ハロ「ハロ、ハロ」パタパタ
56:
アムロの部屋
アムロ「」グースピー
ラウラ「ふふん」モゾモゾ
アムロ「!」ガバッ
アムロ「貴様ッ!!」
ラウラ「ま、まあ待て…今回はベッドの上で争うつもりはない。服も着てきたのだぞ?」
アムロ「まさか、本当にスクール水着を着て来たのか、こいつは」ドンビキ
ラウラ「おお、分かるか? 有能な副官のアドバイスでな!」
アムロ「どこの国にそんな頭のおかしい軍人が居るものかッ!!」
57:
ラウラ「落ち着け、嫁よ。実はこういうものがあってだな」ゴソゴソ
アムロ「何だ? 祭りか何かに出たいなら、僕に言わずに、この手のことに詳しい箒あたりでも誘えば―――ッ!?」サッ
ラウラ「!?」
アムロ「何のつもりだ!!」バシィ
カラン
ラウラ「うっ…!!」
ハロ「ナイフ、アムロ、ナイフ」
アムロ「とうとう刃物を持ち出すとは、見下げ果てた奴だッ!!」
ラウラ「ち、違う! これはその…つい」
アムロ「出て行けよ…」
ラウラ「うぐ…わ、分かったから…勘弁してくれ、睨まれると左目が痛むんだ…」
58:
アムロ(あの暴力女め…最初は敵意が無かったから油断したが、部屋に入った時点で追い出すべきだな)チッ
アムロ「副官も同類らしいし、ドイツ軍人はみんなおかしいのか? 配属がヨーロッパ方面じゃなくてよかったよ」ハァ
ハロ「ヨカッタ、アムロ」
アムロ「ああ。そうだね、ハロ」
60:
・・・
鈴「たまんないわね。日本は暑くていけないわ…なんて言うか、蒸してるせいで体感温度が違うのよ」
アムロ「南米に比べれば、気温も湿度も低いさ」
鈴「って…アムロはこの休み、どこ行ってたのよ? どこに連絡入れても、あんたにつながらないどころか、あんたが居ることすらわからなかったし…」
アムロ「話せるわけないだろ、お前に」
鈴(てことは軍の関係かぁ…)
アムロ「あ、そこが僕の部屋だし、中に入っていくか?」
鈴「! あ、うん! 入れて入れて!!」
鈴(いけない、冷静に…この発言、どうせ深い意味は無いんだから)
アムロ「………?」ガチャ
61:
鈴「あ、相変わらず工作室状態ね…」
ハロ「リン、リンイン、ゲンキ?」
鈴「あっ、ハロ! なんだ、連れてきてもらったんだぁ。良かったねぇ、ハロ!」
ハロ「ヨカッタ!」ピョン
アムロ「ハロの記憶回路の中に、僕の戦闘に関わる情報が少し記録されてたから、転入してくるころは検査に出てたんだよ」
鈴「へぇー」
鈴(当時からそこまで根掘り葉掘り調べられてたのね。まあ、初陣から凄かったって噂だし、男のIS搭乗者って時点でやばいけど)ボス
鈴(あー、なんかアムロの匂いが…そういやこいつ、いっつも部屋ん中、下着でゴロゴロしてるのよね)
鈴「………」モジモジ
アムロ(まだ暑いのか?)
62:
アムロ「何か飲むか? どうせ大したものは無いけど、氷はあるし―――」
ハロ「コーラ、アムロ、コーラ」コロコロ
鈴「あっ…いいよ、大丈夫。と、ところで、それって、アルバムよね?」
アムロ「ああ、姉さんの奴が煩いんだ。どうせ自分も大して映りに来やしないのに」
鈴「見ていい?」
アムロ「…あんまり、見られて気持ちの良いもんじゃないんだよ」
鈴「…ご、ごめんね」
アムロ「いいさ…あ、でも最後のページは構わないよ」
鈴「? そういうなら」パラッ
63:
鈴(これ、私のとこから引っ越す前に、記念にって…もう随分前だけど)
アムロ「それくらいしか、お前に見せられるような写真は無いんだ」
鈴(これより前には…両親が映ってたのかな? それとも、ここに映った姉弟のどっちかが、映ってないのかな?―――)
アムロ「…どうでもいいだろ、昔のことは」ボソッ
鈴「―――えっ、あれ? こ、声出ちゃってた?」
アムロ「………いや、別に」
鈴「………あは、はは。私、そろそろ行くね」
鈴(なんか最近、おっかないなぁ、アムロと話すの)
64:
・・・
鈴「…」ガチャ
ティナ「お、おかえり」
鈴「………」ドサッ
ティナ「結果は芳しくなかった、って感じだね」
鈴「………うぅ」ギュー
ティナ「ふ、布団を絞殺する気?」
鈴「あの空気で、遊びに行こうなんて、言えないよぉ…」
ティナ「た、大変だね…」
66:
山田「実は、白式の元々の開発室の方から、研究者が来るとかで…この休みは学校に居てください」
アムロ「いいですよ。どうせ予定はありませんから」
山田「すみません。向こうもレイ君が忙しいのを知って、ホントに簡単な作業で終わりにしてくれるそうですから」
アムロ「それくらいなら、父さんに言えば免除してもらえないかな…」
山田「いや、無理かと思いますよ…レイ君のお父さんに、プロジェクトを根こそぎ持って行かれた人達ですから」
山田(というか、どれだけ手を尽くしても、テム・レイ博士には連絡がついたためしがないんですけど)
アムロ「だったら、当時の日本のプロジェクトとはまるで別物なんですし、こんなことする必要ないじゃないですか」
山田「…えーっと」
アムロ「どうせ、下らない過去の経緯とかでいちゃもんをつけて、父さんとアナハイムの知識や技術を盗もうって魂胆なんだ。嫌になる」
山田「あはは…」
山田(頭の良い生徒だから困るって、妙な気分ですね…)
67:
篠ノ之神社
箒「まさか、お前がこんなところに来るとはな」
アムロ「ああ、縁日とかは意外と掘り出し物があったりするんだよ。それに、学園から近いからな。あまり遠くに行くと監視が煩いんだ」
箒「か、監視…」
アムロ「ほら、ああいうのが良いんだ」
箒「射的か」
アムロ「一回分」チャリン
店主「毎度」
68:
アムロ「あれ見ろよ」
一等:液晶テレビ
アムロ「ちょうどモニターが一台欲しかったんだ」チャキ
箒「…アムロ、あのな、ああいうのは絶対にとれない様に―――」パン
ゴトン
アムロ「ほら、捕れた」
箒「」
店主「」
アムロ「動くISや人間ばかり撃ってるとこんなものは…もういいか。後は箒がやれよ」
箒「あ、はい」
69:
ラウラとシャルの部屋
ラウラ「うぐぐ…うぅ………」
シャル(うなされてるなぁ)
ラウラ「………っは!?」
シャル「だ、大丈夫?」
ラウラ「あ、ああ…問題ない」
シャル「悪い夢?」
ラウラ「白い悪魔に追い掛け回される夢を…喧嘩を売ったのはこちらからなのだが…」
70:
・・・
鈴「ほげ…これでもう通算十戦十敗…」
アムロ「持久戦に持ち込もうなんて小賢しいことをするからさ」
鈴「いやだって、それが甲龍の強みだし…」
アムロ「実戦ならともかく、何の地形も無いアリーナでの模擬戦で、そんなもの意味ないだろ」
鈴「そりゃそうだけど…」
アムロ「あと、太陽を背に攻撃なんて在り来たりな手、レーダーの無力化と併用でもしなければ目くらましにはならない」
鈴「うん………」
アムロ「付き合ってくれて助かった。実は改修が終わってから一度も乗ったこと無かったんだよ」
鈴(慣らし運転でこれか…)
アムロ(あまり参考にならないなぁ…)
72:
鈴「にしても、そのISスーツ凄いわね。オーダーメイドどころか、完全に別規格でしょ?」
アムロ「あの学園支給のスーツは貧弱な構造だからな…軍からこれをもらって来られて良かった。やっぱりヘルメットと酸素発生装置くらいは無いと落ち着かない」
鈴「ふぅん」
鈴(そりゃ本気で戦うこと想定したスーツじゃないしね)
アムロ「ただ、最初は息苦しかったよ。なんて言うか、戦争させられる、って感じで」
鈴「………あ、もうお昼ね。なんか奢るわよ」
アムロ「中華はもう勘弁してくれ」
73:
食堂
鈴「はむ、はふ」ズゾゾゾ
アムロ(こいつ、朝もラーメンだったぞ…不健康な奴め)
シャル「あれ、アムロ。ちゃんとした時間に食事なんて珍しいね」
鈴(一人IS弄りながら深夜に軍用糧食とかだもんね。不健康だなぁ)
アムロ「デュノアはいつもボーデヴィッヒと一緒だな」
シャル「あ、うん」
ラウラ「………」コソ
シャル(お、怯えてる…自業自得の気がするけど…)
76:
ロッカールーム
アムロ(相変わらず無駄に広いな。まあ、文句は言えないけど)ゴソゴソ
楯無(♪)ソロリソロリ
アムロ「………」クルッ
楯無「!?」ビクッ
アムロ「…なんですか、貴方は」
アムロ(このリボン、二年か)
楯無「え、えい」ムニ
アムロ「…ふざけてるんですか?」
楯無「そ、それじゃあね。授業遅れないように」スタスタ
アムロ(この学園の連中はみんなどこかおかしいのか?)
78:
全校集会
ザワザワガヤガヤ
アムロ(女ばかりがこれだけ集まると、姦しいな)
司会「それでは、生徒会長から説明をさせていただきます」
楯無「やあみんな。おはよう」チラッ
アムロ「あいつは…」
楯無「ふふっ、今年はいろいろ立て込んでいて、正式な挨拶がまだだったね。私は更識 楯無。君たち生徒の長だよ。以後、よろしく」
アムロ(嫌な感じだ…)
楯無「では、今月の一大イベント学園祭だけど、今回に限り、特別ルールを設けるわ。その内容と言うのは―――」
プロジェクターで投影される、国連軍広報部のポスター
楯無「各部対抗アムロ・レイ争奪戦!!」
生徒達「「「えええっ!!?」」」
山田「各国対抗の間違いでは?」
千冬「それは一応の決着を見せたからな」
81:
楯無「アムロ・レイを、投票一位の催し物を行った部活動へ強制入部させましょう!!」ビシッ
生徒達「「「おおおっ!!!」」」
アムロ「僕の了承は無いのか!?」
楯無「あは♪」
アムロ「こ、こいつ―――ッ!!」
82:
職員室
アムロ「僕らの組は喫茶店をやるって」
千冬「そうか…なんというか、面倒なことになったな」
アムロ「姉さんが勧めた学園だぞ…」イラッ
千冬「す、すまん…申請書、早めに出せよ。それと、一般の参加は不可能だが、生徒に渡されるチケットなら一人まで入場できる。良く考えておけよ」
アムロ「ああ。それじゃ」バタン
アムロ(姉さんも丸くなったな。中学の頃の怒りっぽい姉さんとは話したくも無かった…後の事は良く知らないが、その時にあの束とつるんでいたのだとすると―――)
アムロ「―――ん?」
楯無「やあ」
84:
アムロ「………」
楯無「そう警戒しないで、初対面のインパクトは大事でしょ?」
アムロ「あれだけ最悪なら、忘れるもんか」
楯無「まあまあ、そうふさぎ込まず。若いうちから自閉していると良いこと無いわよ?」
アムロ「貴様…馬鹿にしているのか!?」
楯無「そう怒らず…それなら、交換条件を出しましょう。私が当面ISのコーチをしてあげる。それdアムロ「要るかよ、そんなもの」
楯無「そんなこと言わずに。なぜなら私は生徒会長なのだから!」
アムロ「“生徒の長たる存在は、最強たれ”って言う無茶苦茶なあれか。それこそ、馬鹿らしい…ん?」
楯無「良く知ってるね。そう、私は―――」
アムロ(何だ? これは敵意…僕へのものじゃないのか?)
85:
楯無「―――って、無視はよくないよ」
アムロ「ええい! このロッカーだッ!!」ドグシャ
生徒A「!?」
楯無(私より先に刺客を―――!?)
生徒B「くっ…覚悟ぉッ!!」
アムロ「迷いのない踏込! やる気なのか!?」
楯無「あ、大丈夫だよ。狙いは私だから」
87:
・・・
楯無「つまり、私に勝てば生徒会長。そうすれば、学園祭を待たずにアムロ・レイ君の身柄を手にできるしね」
アムロ(本当に馬鹿らしい制度だな。良くこんな学園でISの運用なんかやって行けるもんだ…いや、だからこそ好き勝手してるのか)
のほほん「ねぇねぇ?。お姉ちゃんの紅茶飲んでいきなよー。ケーキもおいしいよ?」
虚「レイ君もどうぞ」
アムロ「悪いけど失礼するよ」ガタッ
のほほん「そんなぁ」
楯無「あのね、せめて、説明させてもらっていい? 実を言うと、キミをどこかの部の所属にしないと、苦情が多くて…まずいことになってきてるのよ」
アムロ「学園の中でまで、そんなことに振り回されるのかよ…大体、なんで最初に説明しなかったんですか!?」
88:
楯無「怒鳴らないでよ。面白い方が良いでしょ?」
アムロ「良くありませんよ。それに、僕はISに乗るのと、死なない様にするので精一杯なんです。部活なんかやりませんよ」
楯無「またまた、いつも部屋に籠って機械いじりしてるくせに」
アムロ「………」
楯無「ISに乗るのに精いっぱいなら、私が付き合ってあげた方が楽になるでしょ? キミだって、一年の専用機持ちじゃ相手にならないって、内心嘆いてると思うんだけどなぁ」
アムロ「そうやって煽って、卑怯ですね。貴方って人は」イラ
楯無「それで、その卑怯者から逃げるのかな? キミは」
アムロ「…なんだと」ピタ
楯無「例えば、私と戦って勝ったら、こんな競争は無かったことにしてしまえばいいんじゃないかな? 勝った方が、強い方が生徒会長って、制度なんだからさ」
アムロ「また、安い挑発を…僕は遠慮しますよ。それじゃ…」
89:
楯無「あの織斑 千冬先生が、キミのことを“野生の虎だ”っておっかながってたんだよ…おかしいでしょ?」
アムロ「………野生の虎?」
楯無「いつかキミのお姉さんが、キミの事をエスパーかもしれないって言ったのが、私はいかにもキミの事らしいと思ってたんだ。いいかげんに―――」
アムロ「ふっ、姉さんか。自分の言葉でお説教したらどうなんです?」
楯無「―――残念だよ。ひょっとしたら、お姉さんも“超えられる”逸材じゃないかと思っていたのに…」
アムロ「………僕が―――」ブチ
楯無「うん?」
アムロ「―――僕が一番ISをうまく使えるんだ。一番、一番うまく使えるんだ…!」
楯無(長かった。やっとその気になった)
92:
放課後
畳道場
アムロ「なんですか、これは」
楯無「袴だよ?」
アムロ「知ってますよ。ISじゃなく、生身でやり合うんですね」
楯無「まずはね。その代りハンデを付けてあげる。私を一回でも床に倒せたらキミの勝ち。逆に、キミが続行不能になったら私の勝ちね。それでいいかな?」
アムロ「そうやって…!」
楯無「じゃあ、始めようか」
93:
アムロ(焦るな、また安い挑発だ。こっちは箒の道場や戦争で素手での戦い方・殺し方も知ってるんだ。まずは…!)ダッ
楯無「おっと」パシ
アムロ「そんな!?」ドサッ
倒れたアムロの頸動脈を指でなぞる楯無
楯無「これで、一回ね」スッ
アムロ(ま、またか! 馬鹿にして…だが―――)
アムロ「―――こ、こんな筈じゃ…こんな筈じゃないんだ…!」
アムロ(油断したな、この人はかなり強い。でも、姉さんを相手にするくらいのつもりでやれば勝てる。相手の動きを読むんだ)
アムロ「………」
95:
楯無「ん? 来ないの? それじゃあ私から―――」
アムロ(まずは古武術…無拍子での急接近。そのままこちらの体と思考の律動の空白をついて、肘・肩・腹への軽い掌打。そして本命の打撃が…両肺へ来る!)
楯無「―――行くよ」ダッ
アムロ「手慣れた女だ! しかし、パターンは読んだぞッ!!」グイ
楯無「あら?」グラッ
アムロ(次は古武術じゃない。マーシャルアーツやカポエラの動きか?)
アムロ「行くぞぉッ!!」
楯無「攻め方はいいけれど…あれ―――きゃんッ!?」ドサッ
アムロ(刻(とき)が見える…)
ナレーター「戦いの中、覚醒を強めるアムロの精神は、宇宙(そら)を漂う」
楯無「ま、負けた…!?」
楯無(なんだろう、この置いてけぼり感…何にしても、生身であれば技術でも体力でもこちらが勝っていたはず)
楯無「勘が良いの? それとも、例の新しいタイプなの…?」
97:
・・・
箒「最近、アムロの様子がおかしいんだが」
鈴「そりゃあんな話が出れば、そうなるでしょ」
セシリア「いえ、なんというか…怪しげな電波を受信していると言うか…目つきが…」
シャル「…?」
ラウラ「いや、分かる。分かるぞ」
99:
第三アリーナ
シャル「あれ、アムロ?」
セシリア「アムロさん? 今日は第四アリーナで訓練と聞いていましたけど…そちらの方は?」
アムロ「僕も忘れてたが、生徒会長なんだ」
楯無「そう邪険にしないで。あ、これから私はアムロ君のコーチをするから」
アムロ「まだ決まったわけじゃない。この模擬戦の結果で決めるんだ…」
セシリア「そ、そうですの」
セシリア(アムロさんから異様な圧力を…し、痺れが…)
シャル(け、険悪…飄々としたキャラがアムロの神経を逆なでしたんだろうなぁ…)
楯無「障害物を配置して、お互いを視認していない状態で、第三アリーナの全域を使用した、実戦形式で行う…いいよね? アムロ君」
アムロ「………」
103:
・・・
アムロ「来るな。見えるぞ、四機か五機…ECMと障害物で判別はつかないが…やってみる!」ビチューン
アムロ「ミサイルでもない。ダミーか…?」
アムロ(水で作った偽物? ナノマシンが本体で、素材に水を利用しているだけか)グチャ
アムロ「これも………最後の一機…なに?」
アムロ(障害物に囲まれた空白地帯…反応があるな。大きいぞ、これは本体か)
アムロ「こいつのところへ誘い込むための作戦だったのか」
楯無「さぁて、来てもらおうか」
アムロ「こいつ、小賢しいと思う…!」
104:
ドドォン
楯無「あははは。戦いをまともにやろうとするからこうなるんだよ!」
アムロ「………ちっ」ビチューン
楯無「おおっ?」バシィ
楯無(ここまでで消耗するどころか、ダミー相手より反応がい?)
楯無「でも、その程度じゃ、水は破れないわ」
アムロ(装甲が薄いと思ったが、水のベールは、盾にもなるのか。ナノマシンがISから直接エネルギーを得ているのなら、あのランスより面倒だぞ…)
アムロ「ん? また奥へ逃げるのか」
105:
・・・
どこぞの高級ホテル
スコール「何を見ているの?」
エム「IS学園の監視システムをクラックした…いけないのか?」
スコール「あれは、アムロ・レイね…構わないわ。私もIS学園の専用機持ちとやらのお手並みを見せてもらおうかしら」
エム「それは見るまでも無い。すぐに白い奴が勝つ」
スコール「…分かるの?」
エム「ああ………ん?」ビクッ
エム(な、なんだ…今の、痺れるような感覚は?)キーン
107:
・・・
アムロ「ん?…違うな」サッ
アムロ「うわぁっ!!」ドドォン
アムロ「…こ、こんな水蒸気爆発程度で」
楯無(もう一瞬で判別できるようになっている。水蒸気爆発の有効加害半径にすら踏み込まない…やはり、削りきれはしないか…)
アムロ「………水色のIS」ギュビイーン
楯無「ふふ。でも、今までの戦闘でビームを使いすぎたわね」ジャキ
楯無(接近戦ではこちらに分がある。リーチの差で一気に―――)
アムロ(敵の間合いに入った)ズアッ
108:
バシィィン
楯無「―――うぅっ!?」グラッ
アムロ「………」ガギィン
楯無「これは、さすがに…重い―――ッ!?」バキン
アムロ「………もう、剣を引け」ブォン
ゴゴゴゴゴゴゴ
楯無「なんと!!」バシィィィ
楯無(押し潰される! 私も、私の“ミステリアス・レイディ”も…ッ!!)
アムロ「汚い手しか使えないお前は、もうパワー負けしているッ!!」ギリギリ
楯無「おおっ!!?」バギィ
ズバアァ
ドドドォン<アレハイイモノダー
111:
シャル「せ、セシリア?」
セシリア「」ガクガクガクガク
アムロ「…え? なに?」キュイィン
アムロ「誰かが僕を見ている…これは、束じゃない」ピキーン
アムロ「ま、ど、か…おり、むら…?」
セシリア「」ドサッ
シャル「い、意識が無い!?」
116:
・・・
エム「………うっ…!?」ビクン
エム(何かが私の方へ来た…私の心を触った………ッ!?)ビリビリ
エム「これが、あ、アム…ロ?」
スコール「どうしたの?」
エム「い…いや………なんでもない」
117:
学園長室
楯無「―――ISに関して順調と言う次元ではありませんね。驚きの連続です。異常な勘の良さや反射度もそうですし、戦闘技術が圧倒的に高い」
楯無「戦うことにおいて、生来の素質も成長度も、今までのどの女子にも追随を許しません。その能力の異常拡大は、福音事件が終着と言うわけではないようです」
轡木「織斑先生の弟と言うこととは、関係のない異能でしょうね。最初期の時点で学園の中立性を脅かす逸材であったのに、もはや介入してきた国連軍すら彼の力を恐れている」
楯無「福音事件(ゴスペル・ショック)の再来が、より大規模にありうるという事でしょうか?」
轡木「それもあるでしょうが、彼にはISや戦争とは無関係に力がある。人類種そのものの革新など、世界をひっくり返す思想を生むでしょうね」
楯無「新しいタイプの人間…しかし、私には最強の兵士に見えます」
轡木「…苦労を掛けますね」
楯無「いやほんとですよ。もうやめていいですか?」
119:
アムロの部屋
アムロ「…この学園はどうかしてるぞ」ガチャ
楯無「お帰りなさい。ごはんにしまsアムロ「」バタン
アムロ「…姉さんの部屋に泊まるか」
楯無「ちょ、ちょっとまってよアムロ君」ガチャ
アムロ「貴様みたいな女は嫌いだ。図々しいから」チッ
楯無「も、も?。裸にエプロンの女の子を廊下に立たせてそれはないでしょ」
アムロ「…どうせ下に水着でも着てるんでしょう?」
楯無「あ、あれ? ばれたか」
120:
アムロ「そうやって訳の分からないことをして、自分って人間を分からせないようにして誤魔化してるんだ。相手にとって丁度いい人間を演じて、人たらしをしようって…」
楯無「………」
アムロ「更識 楯無って、芸名みたいなもので、更識家で襲名されてるものでしょう? 名前も偽物の女が男を試したって、心を動かせやしないんだ…いくぞ、ハロ」
ハロ「イクゾ、アムロ」ポヨンポヨン
アムロ「はは、あんまり急ぐなよハロ」
楯無(もうやめたい)
箒(疲れたアムロに差し入れを持っていて得点を…と考えて来てみれば、なんだこれは)
ハロ「モップ!」コロコロ
箒「おい、アムロ! まだ小さいころに冗談で教えた呼び名のままなのか!?」
122:
学園祭当日
アムロ・レイの争奪戦は空中分解し、至って平和だった
生徒A「え、一組でレイ君の接客が受けられるの?」
生徒B「いや、それがね…生徒会長に取り入って、争奪戦の廃止に加えて、学園祭一日中自由時間にしてもらったとかで…」
生徒C「あ、噂をすればだ」
アムロ「フラウ・ボゥ! 正面玄関で、っていったろう?」
フラウ「そうは言っても、見えたんだから良いじゃない」
生徒A「レイくーん!」
生徒B「なんでレイ君は接客しないのよぉ」
生徒C「一組には絶対行くからねー!」
アムロ「………」
フラウ「人気者なのね」
アムロ「パンダやウーパールーパーみたいなもんだよ。気楽なものさ、IS学園なんて言っても、誰かが言ってたが、ISをファッション程度にしか思ってない。兵器なんだぞ…」
フラウ「そんなこと言って、ここの生活が無くなるのが怖くって、お姉さんのいいなりになってるんじゃないの?」
アムロ「ここの生活は地獄だよ…」
フラウ「呆れた。倍率一万倍のIS学園に対して容赦ないのね」
123:
ハロ「ゲンキナイナ、アムロ」
アムロ「ハロはいつも元気だね」
ハロ「サンキュ、アムロ」
アムロ「………そう言えば、いつからだっけ?」
フラウ「何が?」
アムロ「僕ら、話しなくなって」
フラウ「そうね…サイド7がISに襲撃されてから、無我夢中だったからね」
アムロ「うん…」
124:
フラウ「あたしなんか届かなくなっちゃったのね。でもいいのよ。弱虫のアムロなんて見たくもないし、みんなこうして大人になっていくんでしょ?」
アムロ「ご、ごめん。フラウ・ボゥ、何も僕は―――」
フラウ「良いんだってば…あの後も、戦ってたんでしょ? 何があったの? アムロ、変わったみたい」
アムロ「―――そ、そうかい? べ、別に…いつか、話せるようになったら話すよ、いろんなことがあったんだ」
フラウ「そう…あ、こら! 歩きながら食べて、お行儀悪いのね」
アムロ「ん………」モグモグ
125:
会話抜けてたでござる
フラウ「アムロって、怖いくらいに逞しくなったのね」
アムロ「え?」
フラウ「あたしなんか届かなくなっちゃったのね。でもいいのよ。弱虫のアムロなんて見たくもないし、みんなこうして大人になっていくんでしょ?」
アムロ「ご、ごめん。フラウ・ボゥ、何も僕は―――」
フラウ「良いんだってば…あの後も、戦ってたんでしょ? 何があったの? アムロ、変わったみたい」
アムロ「―――そ、そうかい? べ、別に…いつか、話せるようになったら話すよ、いろんなことがあったんだ」
フラウ「そう…あ、こら! 歩きながら食べて、お行儀悪いのね」
アムロ「ん………」モグモグ
126:
美術部
部長「芸術は爆発だ! というわけで、爆弾解体ゲームをやってまーす」
部員A「お、レイ君!」
部員B「さあさあ! いっちょやってみてよ!」
アムロ「やたら簡単な作りの爆弾ですね」
部長「そりゃ、プロじゃないしね。しかし自信ありげだねェ、最高難易度の制限時間付コースやっちゃう? レントゲン写真はつくよ」
アムロ「いいですね。それ、やります」
・・・
アムロ「…つまり、プラスチック爆弾を磁石からむしり取ろうとしたら爆発する…」ブツブツ
部員A「あと十二分だよー」
・・・
アムロ「………」
部員B「二つ目をばらした」
部長「やるねェ」
部員A「あと八分…間に合うかな?」
127:
・・・
フラウ「手伝おうか?」
アムロ「我慢するのも勇気って言うだろ? 僕の方が上手だし、ホントに死の危険があるものだったら、犠牲者候補は一人で済ますのさ」
部長「うーん、頑張るなぁ」
部員A「あと、一個だね」
部員B「粘るなぁ」
・・・
アムロ「………」
部長「さあ、残り一個の最終完全無力化段階!」
部員A「赤か青か!」
部員B「映画みたいだね!!」
部長(さあ、アムロ・レイの異常に優れた勘って奴を、見せてもらおうか!!)
130:
アムロ「この細い線が信管の替わりだろ、じゃあ赤だな」ブチッ
部長「」
部員A「の、残り十八秒…」
部員B「ほんとに全部ばらしたの!?」
部長(想像してたのとは違うけど普通に化け物だ。機械いじりが好きって次元じゃない)
・・・
フラウ「凄かったわね。変な汗かいちゃった」
アムロ「いいよなぁ。戦争を知らないって、気楽で」
131:
更衣室
アムロ(フラウも元気だな。今は劇を見てる頃だろうけど…軍や政府の高官の目線も気になるし、疲れるな、この学園祭…)
オータム「ちょっとよろしいですか?」
アムロ「なんですか…こんなところまで」
オータム「失礼しました。わたくし、こういう者です」
アムロ「…IS装備開発会社“みつるぎ”」
オータム「はい。ぜひ、レイさんにわが社の商品を使っていただけないかと思いまして―――」
アムロ「なんですか、貴方は一体?」
オータム「―――はい?」
アムロ「そりゃ、僕って言う人間に商品を使ってもらえば、これ以上ないくらいの宣伝になるでしょう」
アムロ「けど、だからこそ、そこら中からお誘いがあって、学園が管理してるんです。それでも、僕は僕個人の意思でそういうのを一度もまともに取り合ったことは無い」
アムロ「馬鹿な化粧品セールスじゃあるまいし、学園を通さない押し売りみたいなことしてリスクを冒してまで、売り込みを跳ね除けた本人に、ですか?」
アムロ「まともな商人だったら、僕に機体と装備を提供したアナハイムと正式に交渉して、僕が使わざるを得なくするでしょうね。もちろん、学園を通して…貴方はなんです?」
オータム「………」
133:
アムロ「人を呼びますよ? 今すぐに―――ッ!?」サッ
オータム「マジでムカツク野郎だな! てめぇはよぉッ!!」ズザッ
アムロ「くっ!」ガッ
オータム(冗談じゃねェ、不意打ちを含めて二撃もいなしやがったぞ!? こりゃ、使うしかねぇのか…!)バリッ
スーツが破け、爪の生えた八本の装甲脚が飛び出す
アムロ「IS?―――うぐ!」ガシィ
アムロも量子化されたISを展開する
アムロ(エネルギーの消費が大きすぎるから、戦闘には耐えないが…!)
オータム(おいおい…こっちは事前に部分展開していたのに、あいつの方がい上に防御も正確だぞッ!!)
オータム「だが、待ってたぜ、それを!!」バシュ
アムロ「こんなもの―――ッ!!」バチィッ
拘束状態のアムロは、撃ち出されたものを避けずに盾で受け止めたが、直後に電流のようなものが走る
アムロ「ISが強制解除された…対IS用の剥離剤(リムーバー)か!!」
オータム「ご名答。こっちの秘密兵器だ、生きてる内に見れて良かったな?」
134:
アムロ「こっちの? そのISは、米軍の第二世代“アラクネ”。剥離剤もアメリカで開発中だったはずだ…だが、お前みたいな間抜けが米軍とも思えない」
オータム「口は達者だな。秘密結社“亡国機業(ファントム・タスク)”のオータム様って名乗っとくよ。実は前にも、お前の身柄を抑えようとしたこともあったんだがなぁ―――」スッ
アムロ(ふん…ほんとに間抜けじゃないか)
ISが完全に無力化されるとともに、拘束も緩む
アムロ(今だ―――!!)ダッ
オータム「てめぇ! 逃げる気かよ!!」
アムロ(逆上して素手で殴りかかると思ったのか? 間抜けではなくただの馬鹿だな)
135:
オータム「糞がッ!!」
オータム(センサーの目をかいくぐるように、ちょこまかと…陽動があるとは言え、時期に人が来るぞ…ん?)
アムロ「…こちらを見つけたな」
アムロ(僕が外付け武装の盾でガードしていたのに気付いていないようだな。こちらのISは完全に無力化されたが、武装に関しては不完全だ)
アムロ(実体弾のバズーカと、接触通信用ケーブルが呼び出せれば、ISからのエネルギー供給と操作が無くとも、生身で―――)
オータム「そこか!!」
アムロ「撃つことができる…!」グイ
バシュウッ
オータム「あ―――!?」
ドゴォーン
アムロ「ふん………迂闊な奴め」
アムロ(仮に歩兵に反撃されても、その程度は無力化できる絶対防御があると、回避も防御も頭に無かったな)ドン ズズン
アムロ(後は外から聞こえる爆音…おそらくは、主目的の僕を確保しやすいように、同時に陽動を行っているISが居るな)
アムロ「一先ず近場の格納庫へ行って、適当な機体を手に入れるか。全部壊されてなければいいが…」タタッ
楯無「アムロ君! 助けに―――あれ?」
136:
・・・
格納庫
生徒A「ようし、一機復旧! 何時でも出せる!!」
生徒B「このISに乗る三年か戦闘教員は?」
アムロ「僕が乗ります」スタスタ
生徒C「あ、アムロ・レイ!?」
生徒D「学園襲撃と福音事件の!」
アムロ「問題ないでしょう? 専用機として製造されてない量産型IS“ラファール・リヴァイヴ”なら、多少不一致があっても動かせる」ガシャ
生徒A「で、でも…ISスーツは? それに、そのISは個人用に調整が…」
アムロ「私服で乗ったのはこれが初めてじゃないし、他人のISに乗るのも慣れてますから」キュイイイン
生徒B「す、すごい…初めての機体なのに…」
山田「ひぃ…はぁ…」パタパタ
山田「あ、ああ!? 私のISがぁー!」
生徒A「遅いからだよ…」
137:
・・・
ドン
ズズゥン
フラウ「あ、アムロ…」
フラウ(戦争なんだわ。また、ISが戦っている…あら?)
フラウ「…アムロ?」
アムロ(僕の好きなフラウ、次に砲声が止んだら一気に走り抜けられるよ)
フラウ「アムロなのね…どこにいるの?」
アムロ(シェルターのところへ行くんだ。いいね?)
フラウ「アムロ…」
141:
陽動側
エム「ふん。情けない連中だ…奇襲を受けたとはいえ、迎撃に上がるのが生徒だけとは…」
セシリア「つ、強い…ッ!」
セシリア(あの機体は、イギリス製BT二号機“サイレント・ゼフィルス”…何故あんなものが…いえ、それより―――)
セシリア「―――BT適性最高位の私より、完全にあの機体を…ビットを使いこなしている!?」
ラウラ「引けッ! 戦闘教員が上がり始めた。これ以上持たせる必要はない―――なに!? あれは…」
セシリア「アムロさん!?」
エム「!!」
アムロ「お前たちでは無理だ! 下がっていろ!!」
ラウラ「そ、そんな機体で…!」
142:
アムロ「あのISはイギリス軍の開発中のものに似ている…? くそ、新型だから何だ!」バババン
アムロ「…駄目だ! システムは同じなんだろうが、扱いやすくしてあるせいで遅すぎる。弾の低さもあってとても…」ライフルポイー
エム「ほぉ、もう一匹…活きのいいのが居た!」
アムロ「おお―――ッ!!」ブォン
エム「!…なるほど、そうか。まさか、お前とこんな形で合うとはッ!!」ガギィィン
アムロ(こいつ、やはりあの時に感じた気配の…!)
エム「ふふっ…ん?」ピピッ
スコール『状況はモニターしているわ…退きなさい、エム。貴方が相手にしているのは、あのアムロ・レイよ。せっかくの機体、失うわけにはいかない』
エム「退く?…冗談ではない! あんな情けないIS一機、落として見せる!!」
スコール『何も分かっていないのね。ISに彼を乗せてしまった時点で作戦は失敗よ。彼の捕縛は不可能だし、ここで長引けばどれだけの被害と騒ぎがあるか想像もつかないわ』
スコール『そうなれば、仮にあなたが勝てたとしても、あまりに危険が大きすぎるのよ』
スコール『監視用のナノマシンを忘れないことね。その気になれば、下手なことが起きないように、貴方をアムロ・レイに落とさせることだってできるのよ』プツ
エム「ええい…―――あ!!」
アムロ「そこッ!!」ズバァッ
143:
エム「―――ぐっ! 右腕が…バランサーもいかれたか!!」
エム(隙を突かれた…いや、どうやってこちらが通信中と分かった? なんだ、これは!?)
エム「ビット!!」キュインキュイン
アムロ「う…ビットが自爆? 前が―――」ドドン
エム(うぅ…なんだ? 頭が、痛い…!)
アムロ「―――奴め…この隙に逃げたな」
セシリア「ラウラさん、すぐ学園に連絡を! 私はアムロさんと追跡します!!」
ラウラ「止めろ! もう追ってもアムロのISでは追いつけん。追いついたところで、私やお前では結果が見えている」
楯無(こ、こっちも終わってる…)
千冬『アムロ、聞こえているか? 大丈夫か?』
アムロ「大丈夫だ、取り逃がしたけど」
千冬『苦労を掛けたな。お前が落としたもう一機の搭乗者は、奴に奪われた…損害も大きい』
アムロ「…そうだろうな」チラッ
楯無(あ、こっちに駆けつけずにあそこで見張ってれば、一人は確保できてたのか…)
ナレーター「アムロは疲れていた。しかし、新たな敵、ファントム・タスクが現れた。新型ISの破壊力は、学園を弄ぶ。そして聞こえる、あの女の声が」
167:
・・・
千冬「展開が早いせいもあるが、何もできなかったぞ…また学園が無能だと叩かれる…」
山田「実際、保安体制に問題ありかと…迎撃に出れそうだったのも私だけですし…」ゼェゼェ
アムロ「いっそまともな防衛戦力を整えればいいんだ。ISの軍事利用を禁ずるなんて、下らない建前、だれも本気にしちゃいないのに」
アムロ「大体、ここで使用してるISだって、“人殺しはしないこと”って規則で縛ってるだけで、元々は軍が戦争で使うために開発した機体じゃないか…それなら―――」
千冬「頼むからそういうな、アムロ。それと、今回の件について生徒には情報を伏せてある。知っているのは、軍内部の機密に詳しいお前とボーデヴィッヒだけだ」
アムロ「―――学園にとっては、ただIS専門に的を絞ったコソ泥だろ…大戦中に立ちあがった秘密結社なんて言っても…」
アムロ(フラウをとんでもない目に合わせてしまったな。ここがとても安全じゃないって、分かっていたのに…)
169:
翌日、授業時間
アムロの自室
アムロ「………」カタカタカタカタ
楯無「あーむーろー君」ガチャ
アムロ「…何ですか?」
楯無「授業も受けずに、偉く熱心ね。それ、例の襲撃機?」
アムロ「戦闘シミュレーションを作ってるんです」
楯無「けど、新型のサイレント・ゼフィルスはどうにもならないでしょ?」
アムロ「軍のコネとオルコットを使って、イギリス軍からブルー・ティアーズの具体的な性能を聞きだしたんです。その20%増しでやってます。後は白式の性能と合わせて…」
楯無「さすがアムロ君ね…先生たちが、保安体制云々で話し合いしてたわよ?」
アムロ「良いです。どうせ意見を言ったところで実際にやるのは学園上層部ですし」
楯無「…それ、ちゃんと電算室でやったら?」
アムロ「嫌なんですよ、あそこ。煩いし、中に熱籠っちゃって…」
楯無「タンクトップもパンツよれよれだね」
アムロ「…気が散るんで出ってってくれますか?」カタカタカタ
171:
しばらく後
アムロ「そろそろ、九月二十七日か」
シャル「なに?」
アムロ「ほら、あれがあるだろ」
箒「ああ、そう言えば…」
ナレーター「“キャノンボール・ファスト”。ISがあくまで競技用であることをこれ見よがしに主張すべく、民間のアリーナで開催される、一種のレースである」
ナレーター「しかし、その実態は、対IS高戦闘における自国・自社のISと搭乗者の戦闘能力を確認するための軍事演習であり、あらゆる妨害と武装が許されている」
ナレーター「真っ向からISの兵器としての性能をぶつけ合い、その勝敗によって最強を決する国際大会“モンド・グロッソ”と同様、各国軍が注目するイベントだった」
172:
アムロ「高機動向けの調整か…高機動パッケージがあるお前らは楽なもんだよな」
セシリア「と言っても、使えるようにするにはいろいろと手間が…アムロさんの白式なら、その機動力は元から高機動パッケージにも引けを取らないのでは?」
ラウラ「あの赤い奴もだな」
箒「ふふん。ま、まあ、あれだな。私の機体とIS適性くらいが無ければ、アムロには合わせられん。燃費の悪い白式も、赤椿の単一使用能力、エネルギー増幅・譲渡機能がある」
アムロ「そうは思わないな」
箒「え?」
アムロ「IS同士のエネルギー譲渡なんて機能をわざとらしく乗せて、燃費が悪い白式に乗る僕に“赤椿を使わせたい”って思わせようとしてるみたいで、嫌いだな」
アムロ「それに、二機一組で最高性能ってことは、一度それに頼ったら最後、どちらか一機がもう一機の最高性能を発揮させない抑止力として機能するわけだろ?」
アムロ「おまけに、IS適性の不自然な向上も…僕に対してのあてつけなんだ。束も姉さんも、箒にそんな機体を使わせて、僕を…」ギリッ
箒「………」
他四人組(気まずい…)
アムロ(箒と紅椿…束は、姉さんと白騎士を再現しようとでも言うのか?)
174:
深夜
アムロの自室
アムロ「ハロ、ほら、遊んでないで部屋に入れよ。もう勝手に出るんじゃないぞ」ガチャ
ハロ「アムロ、シンニュウシャ」コロコロ
アムロ「………」
楯無「ちょっとまって、閉めようとしないで、真面目な話」
アムロ「真面目な話をする人が、人の部屋に寝転がって雑誌を読むんですか…?」イラッ
楯無「ごめんごめん。例の組織についてね。やっぱりアメリカ軍の基地を襲撃したことがあるらしくて…IS本体目当てらしいけど、アムロ君の場合は―――」
アムロ「僕の身柄、ですか…」
楯無「気を付けてね。一応」
アムロ「………」
176:
翌日
職員室
千冬「アムロ…お前、自室に女子生徒を泊めたそうだな?」
アムロ「なんだよそれ、知らないぞ…」
千冬「お前にその意思は無かったのかもしれんが、特別規則第一条違反だ、反省文を書いておけ。泊まった奴は懲罰房に入れておく」
アムロ(厳しすぎるよ、姉さん。僕は何も悪くないのに…)
千冬(色々と理不尽な目にあってばかりだから、これくらいに勘弁してやらねば)
懲罰房
楯無(もう止めよう)
177:
第六アリーナ
山田「一度通しで実戦形式の高機動戦闘やってみますか?」
アムロ「良いですね。お願いします」
山田「実は私のISも、これを機に増設スラスターを付けたんですよ。これ、大気圏離脱用のロケットブースターの転用で―――」
・・・
山田「」グッタリ
アムロ「ロケット機って小回り効かないし、簡単に落ちるんですよね。何時だったかも山ほど撃ち落としましたよ」
山田(まさか切り落とされるなんて)
千冬「慣性制御なしに空中戦をこなした実績のあるアムロ相手では、こうもなるか」
180:
キャノンボール・ファスト当日
アムロ「IS産業関係者に、軍・政府関係者とその警護…か。大入りだな」
箒「よそ見をするな、アムロ。二年のレースも終わって、我々一年の専用機持ちの出番なのだからな」
アムロ(鈴も専用のパッケージか…デュノアはスラスターの増設だけのようだが)
鈴「ふふん。最高度なら、セシリアにも引けを取らないわよ」
箒「ふん。戦いは武器の性能で決まるものではないという事を、教えてやる」
アムロ(その機体に乗ってどの口が言うんだ、そんな台詞)
ラウラ「戦いとは流れだ、全体を支配するものが勝つ」
シャル「みんな、全力で戦おうね」
アムロ「ん…?」ピキーン
箒「おい、ぼうっとするな」
181:
アムロ「呼んでいる? なんだ…やってみるか」キィィィン
エム(………)
アムロ「…誰なんだ?」
ラウラ(なんだ、アムロから感じるプレッシャーは…)ビクッ
セシリア「」ガクガク
シャル「ど、どうしたの…」
山田『みなさーん、準備良いですか? スタートポイントに移動してください』
放送『それではみなさん、一年生専用機によるレースを開催します!』
185:
3…2…1…
アムロ「………」
GO!
アムロ「行きまぁす!!」ビチューン
鈴「ぎゃあああ!!」ズドォン
シャル「う、うわぁ!! 鈴がやられたぁ―――ッ!!」
ラウラ「おのれ!!」
アムロ「四機や五機のISなぞ!」ビチューン
ラウラ「あ、当てたはずなのに―――ぐああああ!!」ドドーン
セシリア「あわわ…」ガクガク
シャル「や、やられた? 撃たれたの!? 何時の間に!!?」
箒「止まるなぁー!! 止まったら、助かるものも助からんぞぉ!! 飛べぇッ!!」
アムロ「逃がすものか…」ギュビィィン
シャル「ま、まだ来る…うわっ!?」ズバァ
セシリア「ひっ! く、来る―――」ゴシャァ
189:
千冬「レース用に高移動に特化した第三世代とはいえ、一瞬のうちに四機も仕留めたか。腕を上げたな」
山田「白式弐型…大したものですね」
千冬「いや、アムロだよ。あれだけ使いこなせるからには…」
箒「白式…この前までのとはまるで違うぞ! だが、この最高度の差なら、逃げ切れるッ!!」
アムロ「ん、来るな…まずい! 箒、下がれ!!」
191:
突如、上空から飛来した機体が、トップを走る箒を撃ち抜く
箒「!!?」ドドォン
アムロ「七機に見えるが…違う、サイレント・ゼフィルスと付録か…」
エム「………」ニヤッ
アムロ「箒がやられたな。こいつと、あともう一つ…」
スコール「………」
アムロ「もらったッ!!」ビチューン
エム「!?」キュイン
スコール「そ、そんな!!」ビットミガワリー
エム(私のビットによるオールレンジ攻撃でも、かなりの負担を伴う距離で!?)
エム「ええい! 貴様の相手は私だ!!」
アムロ「ビット…こいつが邪魔をする!」ビチューン
エム(い! シールド・ビットが間に合わない、攻撃を!!)キュイン
アムロ「そんなもので…」ヒョイ
エム「こ、これは凄い…奴は、射撃用のビットとこちらの一直線上が読めるのか…迂闊には撃てないが、しかし…!」
196:
ビットの撃ち出したビームが湾曲し、アムロを襲う
アムロ「偏向射撃!? こんなことが可能なのか?」
エム「ビットにはこういう使い方もある!」
アムロ「こいつ、違うぞ…セシリアなんかとは、スピードもパワーも…だが!!」ビチューン
エム「ビットを狙ったのか!?」
アムロ「邪魔だ!!」ビットスパー
エム「ちぃッ!!」
197:
ゴゴゴゴゴ
エム「ぐっ………う、うぅ…!」
アムロ「………」
エム「何故だ!? ビットの動きが…これが奴のプレッシャーだと言うのか!!」キィィィン
スコール「何をしているの、エム!」
アムロ「こいつもISを使うのか…」ビチューン
エム「スコール? 邪魔だ、下がれ!!」
スコール「良く立ち回るものだわ、アムロ・レイを相手に。しかし、もう少し頑張ってもらいたいわね…攻撃を続けなさい。加勢するわ」
エム「けれど…あ、頭が押さえつけられるように重いんだ…ッ!!」
スコール「なんですって!?」
アムロ「今だッ!!」ゴゥッ
エム「があッ!!」ゴシャァ
201:
やたらキラキラした宇宙的なあれ
アムロ「貴様は何だ? 織斑 マドカ!!」
エム「わ、私の名前を!?」
エム(私が私であるために、お前を倒さなければならん!! 私は、お前だからだッ!!)
アムロ「何を言ってるんだ?」
エム「お前のその力が示している! お前を倒さなければ―――」
エム(そして、姉さんとの決着を…!)
アムロ「姉さん…織斑 千冬? たった、それだけの為に?」
エム「不自然なのはお前だ! なぜ、何も持たないお前が戦える!? 自分であるために…そうして生きるのは真理だ!!」
アムロ「妄言を…ッ! 貴様のエゴを認めるわけにはいかない!!」
203:
現実
アムロ「敵意がそのまま力になっているのか…」
スコール「エム! 戯言は止めなさい!!」バシュンバシュン
アムロ「話を聞かないと言うのなら―――」スイー
スコール「あ、あの白い奴は、反対からの攻撃も読んだの!? この…!!」ズァッ
アムロ「―――墜ちろッ!!」ギュビィィン ギャリィ
片手でスコールの一撃を受け止め、残った手でエムを串刺しにするアムロ
エム「ぐあああああ!!」ドドォーン
スコール「エムぅ―――!?」
205:
アムロ「えぇい、こいつも!!」ズバァ
スコール「そ、そんな!!」バチバチ
アムロ「…浅かったか」
スコール「この程度なら私の“ゴールデン・ドーン”は爆発しない…エムには悪いけれど、退くしかないわね」キィィーン
アムロ「ビームの容量は無い…追いつけるか…?」
千冬『アムロ、逃亡機の確保には構うな! すぐに格納庫へ向かえ、戦闘教員と軍のISも上がっている―――』
アムロ「しかし…!」
千冬『―――おい、アムロ! 仕掛けたのが奴らとはいえ、ISで市街戦を繰り広げたんだぞ!! これ以上、迂闊に動くわけにはいかんのだ!!』
207:
・・・
千冬「―――つまり、アリーナ内での交戦だったのが幸いした。ほぼ被害は出ていない…それでも、そこいらの交通事故なんぞとは比べ物にならん損壊だがな」
千冬「とは言え、来賓に死者も無いし、いろいろと面倒な聴取はお前の報告書で済ませよう。謹慎処分も免除される。無論、法にも裁かれん…」
千冬「それと、お前が落としたサイレント・ゼフィルスの搭乗者は、捕虜にすることも、死体を確認することもできなかった…」
アムロ「そうか、殺せていなかったのか…」
千冬「…そんなことを言うな、アムロ」
アムロ「…そんなこと? じ、じゃあ、姉さんは、生き残ったあいつに僕がやられても良いって言うのかい? あ、遊びじゃないんだぞ!!」
千冬「そんなつもりは無い! ただ、私は―――」
アムロ「なら、何故あの織斑 マドカの事を、僕に黙ってた? 姉さんが昔そっちの母親に捨てられたとかで、織斑家の事を何も話そうとしないで…!」
千冬「そんなものはいない。私の家族は、お前だけだ…」
アムロ「嘘をつけ!!」
209:
千冬「―――アムロ、お前をそんな風に育てた覚えはないぞ…昔の優しいお前に戻ってくれ…」
アムロ「そうしたのは誰だ…いつもは僕に構いもしなかったくせに、ISに乗れるようになってから、“お前は特別だ”、“お前ならできる”って!」
アムロ「皆しておだてて来たじゃないか! 僕の気持ちに関係なく、僕を戦わせて!! まるで僕が好きで戦ってるみたいに!!」
アムロ「僕は何時だって怖かったさ! 嫌で怖くて仕方なかった…でも、みんなが居ると思ったからこそやったんだ!!」
千冬「私はお前のことを本当に心配しているんだ…あの福音事件で何があったかは知らないが、それだけは信じてくれ」
アムロ「姉さんは、強いんだな…自分の友達に、自分の妹に、僕たちが何度も殺されそうになったって言うのに、平然とそんなことが言える…」
千冬「………」
アムロ「でも、僕は戦って、勝ってしまうぞ…束もマドカも殺す。姉さんの友達を、妹を…それでもいいんだな?」
千冬「………構わない」
アムロ「………」
211:

アムロの屋敷
シャル「す、すごいんだね。アムロの新居って」
セシリア「我家にも負けず劣らず、と言いますか…」
箒「地下にISでも隠してありそうだな」
アムロ「酷いものさ、使用人は全部僕の警護って言う名の監視のためだよ」
ラウラ「確かに、そこらのメイドまで我々の挙動に目を光らせていたな。連絡も欠かしていないようだ」
鈴「でも、ぜいたくな暮らししてるんでしょ?」
アムロ「滅多にここへ来やしないよ。軍の施設か、学園に居るし…それで、なんだったかな?」
213:
シャル「いやぁ、アムロの勝利を讃えて―――的な…ねぇ?」
セシリア「ええ…」
ラウラ「情けないことに、何もできなかったからな」
箒「すまん。お前はこういうのを嫌うとは思ったのだが、元気づけようと…」
アムロ「ああ、そうか…ごめんよ、気を使わせて」
鈴「ラーメン作るよ!!」
アムロ(こいつはそれしかできないのか?)
セシリア「わ、私も汚名返上をしようかと思いますの!」
箒「お前をイギリスに返上してやる」
215:
深夜、どこぞの自販機前
アムロ「売り切れは無いか…」ポチ ガコン
アムロ(最近、僕が何かしようとすると、僕にそんなことさせるわけにはいかないなんて言いだす奴が出るが、あれは何なんだろう)スタスタ
アムロ「にしても、やっぱり、戦いの後に騒いだり飲んだりって言うのは、理解できないな…ん?」
アムロ「………なんだ?」
エム「………今回は、世話になったな」スッ
アムロ「…それ以上近づけば、撃つ!」ジャキ
エム「…私は、お前を殺す!」パァン
アムロ(こいつ、気配だけでなく、見た目まで姉さんそっくりの―――!)キュィーン
216:
アムロ「このぉ!!」バンバン
エム「!?」バチュ
エム(掠っただけとは言え、こうも容易く…! 生身での撃ち合いでも、これだけの…!!)パンパァン
アムロ「なぜこんなことをする? 姉さんが目的ではないのか!!」バン
エム「貴様が最強の兵だからだ!!」チューン
アムロ「この!……うん?」
兵士A「アムロ大尉、下がってください!!」
エム「糞っ…!!」
兵士B「こちらへ、大尉殿!」
アムロ「あ、ああ…監視付の生活に、感謝しないとな」
アムロ(サイレント・ゼフィルスの操縦者…分からない。やはり、僕よりは、姉さんの方に関係があったようだが…)
219:
亡国機業の医療施設
オータム「エム、昨日の無断行動について、説明をしてもらうわ」
エム「………」
オータム「あなたにとっては、何か特別な意味のある出会いなのかもしれないけれど、あまり勝手なことをされては困るのよ」
エム「分かっている」
オータム「あなたの任務は、世界各国のISの鹵獲。そして、アムロ・レイと言うIS搭乗者の拉致。それ以外の事を…まして、優先目標であるアムロ・レイを殺す?」
ドン
エム「黙れ…」
オータム「それは、此方の台詞よ。大破したIS一機で、下らない反抗心を抱かないことね。それに、今回の治療で、医療用以外のナノマシンも山ほど投与したのよ」
オータム「あなたが織斑 マドカであろうと関係ない。でも、仕事が終わるまでは、亡国機業の実働部隊員“M”でいなさい」
エム「………」
オータム「アムロ・レイも、かつて最強と言われたその姉も…どちらが本命か知らないけれど、今のあなたでどうこうできる相手でもないのでしょう? もちろん、私にも」
エム「ふん…いいだろう、自重してやる」
オータム「素直な子は好きよ。どうせ、アムロ・レイの拉致なんて、当分先だしね。ISの当てが付くまで、ゆっくりしてなさい」
222:
・・・
黛「やっほー、レイ君。実は私の姉が出版社に勤めてるんだけど、独占取材いいかな?」
アムロ「嫌ですよ。大体、メディアへの露出は学園上層部と国連から止められてるんです」
黛「いやぁ、事件に関わることや戦いに関することは良いんだよ。専用機持ちって、各国の代表選手も兼ねることが多いから、タレント的なこともするって、知らない?」
アムロ「この学園の中だけでも、下らないことで持ち上げられるのに、外でも…ですか?」
鈴「なによ、アムロ。あんたってモデルもやったこと無いわけ? 世界で唯一の男のIS乗りなのに?」
アムロ「下らない…」
鈴「ほら、私の写真見せてあげるわ!」
アムロ「いいよ、別に…どうせ、調子に乗って変なポーズ取ったり―――おい、叩くな!」スイ
鈴「おわっ!?」スカッ ドシャ
千冬「おい、とっとと二年と二組へ帰れ」
アムロ(この新聞部の二年はともかく…こいつ、ひょっとして自分のクラスに友達はいないのか?)
225:
アムロの部屋
楯無「アムロ君、ちょっといい?」
アムロ「僕は疲れてるんだ、もう寝る。邪魔をするなら追い出すぞ」
楯無「いや、授業中なんじゃ…そう言えば襲われたんだって? うちの人間も警護に付けようか?」
アムロ「対暗部用暗部“更識家”の人間を? 要らないよ、別に…国連軍の監視で間に合ってる。なんだかもう、使うISも残ってないみたいな感じだったしな」
楯無「まあ、それはともかく、頼みごとがあってきたのよ。妹の事でちょっと頼まれてくれない? お願いっ!!」オガミー
226:
・・・
アムロ「―――で、その簪って妹の面倒を見つつ、タッグマッチに出場しろ…か。おまけに専用機組のも手伝えとか、僕をそんなに便利に使いたいのかよ」
楯無「お願い、この通り…あの子、私に対して引け目があるって言うか、その……私じゃ無理だから、どうか…」オガミー
アムロ(あれだけ調子に乗っていた奴が、頭を下げて、情けない…しかし、未完成の専用機を組む手伝いか、面白そうではあるんだよなぁ)
アムロ「分かりましたよ。タッグマッチの事、パートナー決め面倒くさいと思ってたんで、それでいいです」ハァ
楯無「恩に着ます。整備課の人たちには話付けやすいように手を回すから」
228:
・・・
五人組「タッグマッチのパートナーをもう決めている!?」
アムロ「ああ」
五人組「誰!?」
アムロ「なんて言ったかな、四組の簪とかいう奴だよ」
五人組(あ、これは優勝は消えたな)
アムロ「ところで、簪ってどんな奴が知ってるか?」
五人組「…知らない」
アムロ(なんで機嫌悪くなってるんだ)
237:
四組
生徒A「レイ君があの根暗と」ヒソヒソ
生徒B「まあちょっと似てるところあるよね。姉の七光りにどっぷりなのは、簪の方だけど」ボソボソ
アムロ「やあ、君だろ? 更識 簪って言うのは」
簪「…アムロ、レイ」
アムロ(へぇ、メガネはIS用の簡易ディスプレイ。キーボードは空中投影ではなく信頼性の高いメカニカル。弄っているのはIS関係のOSに加えて…アニメの情報サイトか)
アムロ「またトーナメントをタッグでやるらしいけど、僕と一緒に出てくれないかと思って…既存の機体より、未完成の方が、仕様レベルで白式と併せられるだろ?」
簪「………イヤ」
アムロ「…各駆動部の反応が悪そうな設定だな。そのコアのタイプに向いてないから、適正値も低いんじゃないか? 打鉄と方向を変えて、機動力に特化するべきだと思うけど」
簪「!?」
239:
・・・
楯無「そう、上手くいったの」
アムロ「白式の煽りで未完成と言っても、白式開発計画は結局アナハイム社が接収したからな。さほど難しくないさ」
楯無「そうじゃないわよ。あの子を良くその気にさせたわね」
アムロ「特に何もしなかったぞ…」
楯無「そう言えば、アムロ君って、兄弟仲良いよね。織斑先生も君にだけは優しいし」
アムロ「そんなこと無いだろ…仮にそうだとしても、腫物みたいに思ってるのさ。戦争の時も、何もしてくれなかったんだ」
楯無(あ、やっぱり仲悪いかも)
241:
・・・
アムロ「え、アニメ?」
簪「…おたくなのに、見ないの?」
アムロ「何が言いたい!」ガタッ
簪「これ、見ておいて…好きな奴………戦う時、参考になる」ドサッ
アムロ(鋼鉄ジーグ、聖闘士星矢、特務機兵ドルバック、キャシャーン、宇宙空母ブルーノアetc.…なんだ、このラインナップは…)
簪(これで、アムロ・レイが現実に現れた最強の勧善懲悪ヒーローに…)ウキウキ
アムロ「どうでもいいけど、渡しておいたデータを、ちゃんと打鉄弐型の火器管制に入れておけよな。せっかく同じ粒子ビーム使ってるんだから」
簪「…あ…うん」
アムロ「あと、ミステリアス・レイディの実稼働データサンプルも、楯無が渡してくれてるんだ。僕のは軍が機密だとか言って煩いし…ま、上手く使えよ」
簪「………え?」
243:
・・・
アムロ「なんだ、もうトーナメント表が出ていたのか…」
アムロ(第一回戦の最後が出番で、箒と楯無の…あいつらが組んだのか、いきなり面倒なのにあたったが、その後は大したこと無さそうだな)
箒(い、一回戦敗退か…いや、簪とか言う、最近まで専用機も持っていなかった奴と組んだと言うのなら、国家代表でもある会長と、第四世代相当機の私で…)
楯無(あれ? ここでアムロ君が両方落としたりすると、あの子に自信付けさせることもできないような…)
黛(賭けのオッズが酷いことに…ほぼアムロ・レイ…)
簪(結局、みんな姉さんの計らいだったなんて…)グス
ナレーター「トーナメントに乱入した敵は、見慣れぬ機体であった。その無人機の名はゴーレム?」
ナレーター「再びあの女が敵となったと分かるまでに、アムロは箒・楯無と戦場で再開し、そして簪の戦い方に苛立つのだった」
ナレーター「次回、機動戦士白式“英雄の条件”。君は、時の涙を見る…」
245:
当日
アムロ「………」
鈴「あっ、ここに居た!!」ガチャ
鈴「もうみんな待ってるんだから、早く第四アリーナへ行きなさい!!―――」グイ
アムロ「………」シロメピカー
鈴「ひっ!?」ビクッ
アムロ「…なん、だ………これ…?」
鈴「あ、アムロぉ…ど、どおしちゃったのぉ…!?」ガクガク
アムロ「…来る…だれ?」キィィィン
アムロ「………束ッ!?」カッ
246:
鈴「アムロ!?」
アムロ「くっ…!」ダダダッ
教師A「あ! ちょ、ちょっと、レイ君!!」ガシッ
教師B「待て! そっちはアリーナではないだろう、どこへ行く気だ!?」ガシッ
アムロ「離せよ! 来るんだ、奴が!!」
教師A「なんですって?」
アムロ「束が来るんだよぉッ!!!」
ズドォォォン
鈴「!?」
アムロ「奴が、また…!!」
放送『非常事態警報。全生徒は地下シェルターへ避難を―――』
249:
・・・
アリーナ管制室
千冬「どうなっている? 数は!?」
山田「五機です! アリーナのピットへ上空から急降下! 専用機持ちの生徒が襲われて…待機中のものはともかく、試合後で消耗している機体は…」
千冬「くそっ………早すぎる。“あいつ”はまだ出せない…」ギリッ
山田「えっ?」
千冬「アムロは!?」
山田「前回のように、各セクションの隔壁がロックされています! それに、通信妨害もあって、状況は…」
千冬「教師は生徒の非難を優先し、戦闘教員はレベル?の装備で突入準備。ロックが解除でき次第突入するんだ!」
252:
・・・
ラウラ「アムロは何処だ? あの、白い奴は!?」
鈴「知らないわよ! さっきまで一緒だったのに…こ、このままじゃ、前の借りを返すどころか、また落とされる…!!」
ラウラ「停止結界を無視するほどの瞬間加ある! 距離を取れッ!!」
セシリア(ようやく会得した偏向射撃すら回避する…! これほどの性能が―――あら?)
シャル「こ、高熱源体接近!!」
パパパパー(どこからか響きだす長い眠り)
253:
アムロ「相手はあの無人機の改良型か…だが、その程度の動きならば」ピピピピ...キュピ
ビチューンビチューンビチュー(ry
黒い無人ISの隙を突き、搭乗者に当たる部位、推進装置、武装である両腕部を一気に撃ち抜くアムロ
ラウラ「な、なんだぁ!?」
ズズゥン
ドゴォォォン
アムロ「………」
鈴「あ、アムロだ…あの、白い奴だ!」
アムロ(簪がやろうとしてたマルチロックのまねごとがマニュアルで上手くいったな。問題は、ミサイルと違って、ビームのエネルギーが持つかだが)
アムロ「次…!」
シャル「…ちょっと、くやしいなぁ。情けないよ」
鈴「アムロは、違うから…あいつは、私たちとは違う」
267:
・・・
ダリル「どうすっかなぁ…」
フォルテ「お先どうぞっス、先輩」
ダリル「てめー、それが先輩に対する態度―――ん?」
アムロ「そこの二年と三年、道を開けろッ!!」ギュビィィン
アムロ「これで…!」ズバァッ
ドドォーン
ダリル「」
フォルテ「」
アムロ「………」キィィーン
フォルテ「…先輩に対する態度を改めなくていいんスか?」
ダリル「…もうあいつに任せとけ、お前も寝れるぞ」
270:
・・・
簪「あ…あっ………」
簪(なに…これ? なんなの………)
無人機「―――」
簪「…ひっ!?」
ナレーター「突然の襲撃者と言う事態に対応できず、簪は未だにISすら展開できていなかった。恐怖が、彼女の思考を遮断していたのだ」
ナレーター「祈るようにひたすら念じる。ヒーローが、己を救ってくれるに違いない、と…そして、簪は叫ぶ」
簪「アムロ君…っ!!」
ピシッ
アムロ「あと、ここに二つ…!」バキッ ガラガラ
簪(ホントに来たっ!?)
アムロ「簪…所詮は実戦経験のない子供か…ッ!」チッ
271:
アムロ(エネルギーが無い! そして、ISの展開すらしていないこいつを守るには…これだ―――ッ)ドゴォッ ゴシャァ メキメキ
アムロは無人機に踊りかかり、本来搭乗者のあるべき腹を蹴りつけ、頭部のハイパーセンサーを殴り、配線を引きちぎりながら勢いに乗せて壁に叩きつけた
簪「!?」
簪脳内
アムロ「こうなりゃ体当たりだッ!!」
アムロ「ナックルボンバァー!!」
アムロ「ダイナマイトキィィーック!!」
アムロ「白式ブリーカァァー!!!」
アムロ「みたか、これが百式の力だ!」
275:
現実
簪「………」ボケッ
アムロ「無事か、箒? この隙に、残余エネルギーを渡せ!」
箒「ぐっ…あ、ああ! こっちは機体のダメージが大きい、戦える貴様に全て渡すぞッ!!」ピカー
アムロ「よし…箒は下がれ、後は僕がやる!」
無人機「」グッタリ
簪「よ、よし…行くよ、打鉄弐式!」
簪(あれなら外さない!)ジャキ
しかし、簪の攻撃は、殴り飛ばされて離れた位置にあった、無人機の可変シールド・ユニットが簪の背後から割り込む形で防がる
アムロ「何をやっている! 後ろにも目を付けるんだ―――!!」ビチューン
ドドォーン
277:
アムロ「―――いいか、ここから逃げろ…楯無がそう言ってる。その機動力を生かして、外へ脱出しろ。援護する」
簪「姉さんが…?」
アムロ「今の声が楯無のなら、彼女は命を懸けて簪を脱出させようとしている…」
簪「…わ、分かるの!?」
アムロ「人の善意を無視する奴は、一生苦しむぞ! 行け、簪ッ!!」
簪「アムロ君………わ、分かった…行く!」
279:
・・・
楯無「満身創痍とはこのことね…でも、落として見せるわ…ミステリアス・レイディの最大火力。全てのナノマシンとエネルギーを利用した“ミストルティンの槍”で…!!」
無人機「―――」ザシュッ
楯無「ああっ!!」
楯無(絶対防御を貫通された…出血が大きい…これは、道連れ、ってことになるのかもね………発動―――ッ!!)
ドガァァン
アムロ「な、なんだ?…そうか、楯無がやられたな」
無人機「―――」ボロッ
アムロ(あとは五つ目のみ。いくらか損傷があるようだな…あの水色のは、落とされた楯無か!)ジャキ
アムロ「直撃させるッ!!」ビチューン
282:
・・・
束ラボ
束「ほげ…対IS用の“ゴーレム?”があっくん一人に全機大破、しかもコアを避けてっていうのは完全に予想外…箒ちゃんも紅椿動かしてたけど、ろくなデータが取れないよ」
束「無人機って時点である程度の戦力低下は想定してたけど、あっくんの場合、人が乗ってた方が落としやすいと思ったんだけどなぁ」
束「ホントに強くなったねェ、あっくん。だからかなぁ、ちーちゃんがISで出なかったのは? でも、ちーちゃんなら、一人で大丈夫としてもあっくんを戦わせたくないよね…?」
束「んー…でも、あっくんもちーちゃんが戦うのを嫌がるだろうし………んんー? 一応、くーちゃんに見て来てもらおうかな」
クロエ「はい、束様。どちらへ?」
束「もー、くーちゃんは束さんのことをママって呼んでいいのに…あ、届け物をしてほしいんだよね、IS学園の地下特別区画へ―――」
ナレーター「束が巻き起こした多大な混乱と、それによる被害は、すべてたった一機のISとたった一人の人間のデータを収集するためだけに払われた代償だった」
ナレーター「暴走する天才の前に、人々は涙するしかないのだろうか? 束は笑う。そして、アムロは感じたのだ。彼女の中に宿る、無邪気な悪意の影を」
283:
・・・
地下特別区画
千冬「未登録コア、何個回収できた?」
山田「四つ、まったく無傷なのは二つです。最後の一個は、余裕が無かったのか、コアを直撃されてます。破片の回収はできましたが…」
千冬「すべて破壊されたと伝えろ…未登録コアも、無人機化技術も、すべて各国政府がのどから手が出るほど欲しいものだ」
山田「隠し通すのにも限界があると思いますよ、これだけの大事です。それに、レイ君のこともありますし、学園の上位組織とも言える国連は、間違いなく介入をするかと…」
千冬「どうしようもなければ、国連軍に渡してしまえばいい。どこか一国の軍隊のエゴで利用されるよりは、はるかにましだ」
山田「どんどん、情勢がきな臭くなっていきますね…」
千冬「私はこの学園を命を懸けてでも守るつもりだ」
千冬(私は自分の意思で束に協力したし、アムロも学園に招いた。自分のまいた種と言うのなら………)
285:
・・・
山田「レイ君、事情聴取と報告書の作成、疲れたでしょう?」
アムロ「慣れましたよ、もう…他の奴らの方が疲れてるんじゃないですか?」
山田「アムロ君に比べれば簡単なものでしたからね。日本政府のIS特務機関が主で、国連軍や学園上層部は彼女たちにあんまり興味なかったみたいですし…あはは」
アムロ「ところで、この後も何かありますか? 夕食に呼ばれていて…」
山田「あ、大丈夫ですよ。でも珍しいですね」
アムロ「軍の人が、お祝いとかでとってくれた予約なんです。篠ノ之と一緒に…」
山田「そうですか」
アムロ「これも、政治とかなんだなぁって思うと、やり切れませんけどね…戦傷祝賀とか、嫌いなんです」
山田(かわいそうなくらい人生が荒んでる…ただの日本代表候補止まりで良かった)
288:
・・・
某ホテルの最上階レストラン
アムロ「困ったな。これ、一応国連軍の士官服なんですけど…」
ウェイター「申し訳ありません。そのような格好での入店はお断りしていまして…タキシードかスーツでお越しください」
アムロ(略礼装のスーツは良いのに、軍のメスドレスは駄目なのかよ…これだから日本は嫌だ)チッ
スコール「どうしたの? トラブル?」
アムロ(…こ、こいつは!)
ウェイター「これは、ミス・ミューゼル。いえ、ただ、こちらのお客様のお召し物が当店の規定に沿わないため、入店をお断りしたところです」
スコール「入れてあげたらいいじゃない。かわいそうだわ」
ウェイター「申し訳ありません。ミス・ミューゼルのお願いでもこればかりは―――」
アムロ(そ、そうだ、知っている。僕はこいつを、知っている)
290:
スコール「―――ふぅ、仕方ないわね。じゃあ、貴方、行きましょうか?」
アムロ「え?」
スコール「お店。服を買ってあげるわ」
アムロ「…いえ、ご厚意は嬉しいんですが、僕には結構です」
スコール「あら、どうして?」
アムロ「あなたに、物を恵んでもらう理由がありませんので」
スコール「ふふ、これは一本取られたわね。でも、私が満足できる、と言うのでは駄目? 私は優越感に浸れるし、虚栄心も守れる。ね?」
アムロ「そんな、結構です。そんなことの為に…僕は、乞食じゃありませんから…」
スコール「…ますます気に入ったわ、ほんとうにはっきりものを言うのね。良い目をしているわ。度胸もある」
アムロ「………」
スコール「警戒なんて要らないわよ、私はあなたに勝てないからね。アムロ・レイ君」
アムロ「スコール、スコール・ミューゼルだな………あの女が、そう呼んでいた」
スコール「………」
293:
・・・
アムロ「箒のドレス、店からの借りものだろう?」
箒「やはり、分かるか?」
アムロ「箒なら、仮に正装の要るレストランだと知っていても、和服を着てくるだろ…女性優遇もここまで来ると気味が悪いな」
箒「そっちは自前か?」
アムロ「ポケットマネー程度だよ。ま、どうせ使い道の思いつかない金だから、これもいいさ」
箒「…アムロ、許せ。お前が、どういうつもりで私の紅椿を戦いから遠ざけていたのかは、いまだによく分からない。だが、私は結局、戦ってしまった」
アムロ「………あまり話してると、冷めるぞ」
箒「ああ、そうだな…」
297:
・・・
箒「それで、私は、その…」
ゴップ「安心したまえ、一切の処罰はしない。博士にあてがわれた機体は、君のものだ」
箒「ありがとうございます」
ゴップ「しかし、彼女が隠れなければ、また違った人生も歩めたのかもしれないのは、残念でならんね」
箒「………」
ゴップ「ま、なんだ。このごたごたが片付いたときには、お婿さんの世話でもさせてくれんかね?」
箒「え? あっ、いや、それは…」
ゴップ「ん?………ああ! すまん、すまん。想い人が居たんだったな。ははは」
・・・
アムロ「顔、赤いぞ。アルコール頼んだんじゃないだろうな?」
箒「へっ? あ、違うんだ、何でもない!」
アムロ(何だこいつ…いや、戦いの後なら、こうもなる………そして、これは戦いから遠ざけられなかった、僕のせいでもあるのか)ギリッ
アムロ「ごめんな、箒…」
箒(え、何だこれは…もしかして私の好意についての否定か!?)
300:
後日何食わぬ顔で平常運転する学園
鈴「だから、例の簪とは何もなかったって…」ボソボソ
シャル「生徒会長に言われてタッグ組んだとか…」ヒソヒソ
ラウラ「いや、その生徒会長に勝利したと言われるアムロが…」コソコソ
箒(ふふん)ドヤッ
千冬『何をやっている、馬鹿共。先の戦闘でISに大きな損傷を負ったお前たちにできることは少ないんだ、真面目にやれ』
山田「みんな、気になるんですね。色々と」
千冬「いや、あいつらが気にしているのは、どうせ大したことではないと思うが…ただ、私にもその気持ちは分かる」
山田「と言うと?」
千冬「アムロが居ない間、指揮者として私は酷く不安だったという事さ」
山田「不安…」
千冬「教師はもちろん、あいつら生徒でも頼りになると思っている。しかし、アムロだ。あいつが居なくなった時に感じた不安と言うのは絶大だ。一体何なのだろうな?」
303:
・・・
アムロ「みんな強化外骨格のテストしているんでしょう? 僕は混じらなくていいんですか?」
山田「レイ君は大丈夫です。でも、専用機持ちがここまで駄目になるとは思いませんでしたね。二年や三年にも本国の工場送りになった人、居るんですよ?」
アムロ(あいつらか? いや、あれは僕が落としたからなぁ…ついたときには落とされてたやつがいるのか)
山田(最悪のタイミングでの襲撃を避けるかのように、試合をボイコットしたレイ君。やっぱり、襲撃を知っていたんでしょうか? ニュータイプだから?)
アムロ(これで、大丈夫なのか? 束は来るぞ、必ず。無人機を全て失っても、必ず来る)
307:
・・・
アムロ「もしもし、父さん? なんか、篝火 ヒカルノ…とかいう奴が、白式を調べたいって―――分かった、断っておくよ」
篝火「駄目?」
アムロ「駄目です。ウザったくなって電話までしましたけど、もうこれ以上はしませんからね」
篝火「そこをなんとか…アナハイムの技師とかにも電話してみてよ…」
アムロ「嫌ですよ。それに、貴方は人にものを頼む態度ってもの、知らないんですか?」
篝火「お姉さんみたいなこと言わないでよ…ほら、釣りでもしながらゆっくり話を―――」
アムロ「もう帰りますからね、僕は…」スタスタ
篝火「ああ、待って! これ以上駄目になると、私の立場が…!!」
アムロ「知りませんよ、そんなもの!」
308:
・・・
アムロ「釣りかぁ…」
鈴「なによ、アムロ。珍しくアウトドアでも行きたいの?」
アムロ「釣りと言えば、エサはゴカイとかだよな」
鈴「ゴカイ?」
アムロ「あの、海に居るミミズと毛虫の合いの子みたいな…やっぱり、中国だと料理して食べるんだろ?」
鈴「はぁ!? なに、そんなもの釣りエサにって、日本人頭おかしいんじゃないの? まして、食べるわけないじゃない!!」
アムロ「生餌は万国共通だろ…それに、椅子や机以外何でも食うって偉そうに嘯くくせに、何言ってるんだ…」
鈴「そんなの一部の奴らよ!!」
アムロ「煩いなぁ、勝手に人のところに来て怒鳴るなよ」ハァ
鈴「そんなもの使わなくてもおいしい物作れるって、教えてあげるわ!!」
アムロ「中華はいいよ、食べたくないんだ。本当に」
鈴「何でそういうこと言うのよ!!」ビュッ
アムロ「!?」サッ
鈴「ほぎゃ!?」ズザァッ
312:
・・・
鈴「専用機持ちまで、ツーマン・セルで行動かぁ…」
シャル「しょうがないよ、分解整備状態のISなんて、分解した銃みたいなものだし」
鈴「一人でうろついてるのは、アムロと…あ、二年の楯無さんとかいうのが、病室にいるんだっけ? IS共々再起不能とか言う」
シャル「後者はともかく、アムロは大丈夫だと思うけどね。IS無事だし、本人は迷惑だろうけど、しっかり監視もされてるし」
鈴「まあね。学園で唯一まともに専用機使える一年って価値までついたもんだから、もう箱入り状態よ」
シャル「会いに行けないって?」
鈴「いや、あのね、私はただ―――ありゃ? 暗い」
シャル「停電? うわっ! シャッターも閉まってる!?」
314:
・・・
アムロ「束が来たんだ。だが、何をしに来た? 電源を奪うと同時に、攻撃を仕掛けるはずじゃないのか?」
アムロ(という事は、学園の管理システムのソフト面への攻撃そのものが目的か? どういうつもりだ、一体…)ピピ
千冬『聞こえるか、アムロ? 状況は把握しているか?』
アムロ「敵にクラックされて、学園のシステムがダウンしているんだろ? だが、空調も死んでいないし、混乱に乗じて同時に直接侵攻してくる気配もない」
千冬『そうだ。かなり余裕のある展開だと思うが、どうだ?』
アムロ「まともに動けるのが僕だけだから、便利に使おうって言うんだろ?」
千冬『………』
アムロ「この胡散臭い学園に何が隠されていて、それを守れって言われても、僕にはピンとこないんだよ。姉さんの都合は、知らない。姉さんが話さないんだからな」
千冬『…すまない。何をしているんだろうな、私は…守るべき生徒に、弟に、戦わせようとして―――』
アムロ「僕は敵を撃つ。それでいいんだろ、姉さん」
千冬『―――…私は、ISが使い物にならない専用機持ちと、システムの復旧を目指す。頼んだぞ』プツ
アムロ「…さて、無人ISを失った束は、自分の脚で来たのか? いずれにせよ、奴の尻尾をつかめるはずだ」
316:
学園外周部上空
隊長(事前にリークがあったとは言え、これだけ兵を集めてまで監視してみるものだな)
隊長『各班行動開始。目標は地下区画最奥部の情報収集、および自立型ISのコア回収だ』
隊員A『隊長、ISが上がってきました。例の、白い奴です!』
隊員B『あの戦闘で整備中ではないのか?』
隊長『慌てるな。白い奴は消耗しているはず…地下区画に突入できれば、ごく一部の戦闘教員以外は学園側でも立ち入れない。奴を落としてやかに突入路を確保する』
隊長「アムロ・レイ…その大げさな伝説も今日までだッ!!」
隊長(いや、しかし…錯覚じゃない! プレッシャーを感じる!!)
317:
アムロ(束じゃない、日和見していたのが居るな)
アムロ「アメリカ軍の部隊か…墜ちろッ!!」ビチューン
隊員A「ジ、ジョイス!?」
隊長(隠密戦型のステルス仕様ファング・クエイクを、この距離から!?)
アムロ「………」ビチューン
隊員A「…嘘だ。まさかこんな、ああっ!!」
アムロ「………」ヒョイー
隊員B「まるで、こっちの動きを読んでいるようだ」
隊員C「き、気まぐれだよ、まぐれだ」
隊員B「こうなればかく乱するしかない、例の手で行くぞ!」
隊員C「分かった」
318:
アムロ「うっ!………見える、動きが見える…」ビチューン
アムロ「…見える…このっ!」ビチューン
アムロを取り囲んでグルグルしたり両側から撃ったりするのでいけるかと思ったが全然そんなことは無かった
隊員A「掛った!!」後ろから不意打ち
アムロ「………」不意打ちに先制攻撃
隊員A「うわっ!? ま、待てよ…ああ!!!」ドゴォーン
アムロ「エネルギーがあがった。ビームライフルが使えないとなるとバズーカか接近戦しかない」
アムロ(学園じゃなくこっちに突撃してきたぞ、焦っている証拠だ。指揮官機は何処だ?…あそこか………上からか下からか…下か)
隊長「たかが傷ついたIS一機に…は、話にならん。この私が―――ISらしき高熱源!? し、下から反応が…い、いや、左!!」
アムロ「………」ギュビィィン
隊長「な、なにぃ!!」ザクゥッ
アムロ「こんな連中に構っていられるか、束を探すんだ…」
321:
・・・
少し離れたところにあるカフェ
クロエ(任務は完了………ここを離れなくては)
そして、クロエは店を去った
後ろに追跡者が居ることも気づかずに
オータム「………」
アムロ「………」
323:
・・・
どこぞの地下
スコール「それで、束博士。我々への新造IS提供の件、考えていただけましたか?」
束「あはは、いやだよー。めんどくさいじゃん」ムシャムシャガツガツ
オータム「どうしても、ですか?」
束「うん」
スコール「では、これではどうかしら?」パチン
オータム「…ふふ」ナイフツキツケー
クロエ「………」ダルマー
束「………」
スコール(…動揺しない?)
325:
束「あっくんの匂いがするね、君たちから」
スコール「…アムロ・レイの件、ご存知でしたか」
束「馬鹿だなぁ、それは知ってて当たり前。今する匂いは、すごく新しいものだよ…」
アムロ「………!」ザッ
スコール「まさか、追跡されていたの!?」
オータム「こ、このガキィ!!」シュッ
アムロ「来るな! 僕を一人にしておいてくれッ!!」スイー
オータム「生身での戦いならば!!」
アムロ「余計なことを…!!」ガシッ ブスゥ
オータムは斬り合いでも敗北し、ISどころかヘルメットやノーマルスーツも無かったので再起不能となった
326:
アムロ「束ッ!!」ズキューン
クロエ「くっ…!!」ガキィン
クロエ(分かる、奴からは逃げられない! 確かなプレッシャーを、恐怖を感じる!!)
アムロ「邪魔をするな!! 束を撃たせろッ!!!」
束(いけない! くーちゃんと、IS“黒鍵”では、とてもあっくんに対抗できない!!)
アムロ(束が使っていたあのクラッカーの眼…ボーデヴィッヒと同じ作り物の兵士だな。展開したISも生体同期型のようだが、どんな手を使う?)
クロエ(殺さないとダメだ…正面からは無理でも、いける!………ワールド・パージ!!)
突如、IS展開中のアムロの視界が奪われ、真っ白な空間に閉じ込められる
アムロ「目くらましなんか効くもんか…そこぉッ!!」盾グサー
クロエ「………!?」ゴシャァ
アムロ「ふっ…人形なんかに負けたら、みんなに笑われるな」ズオッ
328:
束「それ以上はいけない!」ガバッ
アムロ「うっ!…シールドが、解体された!?」サッ
アムロ(迂闊だったな。奴はISの開発者だ、通常の手段以外で、ISを無力化する方法を知っていてもおかしくない。剥離剤の様にではなく、直接量子化されてしまう!)
束「これでなんとか、時間を…!」
アムロ「間合いを取って―――い!」
束(あっくん…!)
アムロ(なに…?)
331:
全裸空間
アムロ「あの光を見ても、こんなことを止めようとせずに、戦いと闇を広げようと言うのか!?」
束「あの光を見たからこそだよ。それに、あっくんが人に見せようとした、あの光、その力…戦いが無ければあっくんの目覚めはあったのかな?」
アムロ「それは理屈だ!」
束「でも、正しいものの見方だよ。戦いの中でしか生きられなくなっていったあっくんが、戦いを否定するの?」
アムロ「人間は戦い続けることによって歴史を作ってきた…それが無ければ、人間は滅んでいたさ」
束「そうだよ。だから、仮に手段として戦いを用いたとして、それが世界のより良い変革につながるなら、あっくんは肯定してくれると思ったのに」
アムロ「一人の天才に変えられるほど、世界は小さくない。一人の力で世界が救えるものか!」
束「ちーちゃんは手伝ってくれたよ…あっくんだってね、そうしてくれると思った」
アムロ「貴様のエゴに、姉さんや他人を巻き込むな!!」
束「ちーちゃんは、私の考えに共感してくれた」
アムロ「違うな…姉さんはそこまで世界に絶望しちゃいない。絶望するとしたら、貴様のようなエゴの塊の人間ばかりとなった世界にだ! だから、貴様から離れた!」
アムロ「そして、コマが無くなったと見るや、下らない戦いを引き起こして、箒や僕までコマに仕立て上げるつもりか!?」
アムロ「人の生き方まで支配しようとする貴様は、上からしか物を見ていない!」
333:
束「違うよ、私は対等な存在として、あっくんを見ているんだよ」
アムロ「なに?」
束「私の同志になろうよ、あっくん。ちーちゃんも喜ぶよ?」
アムロ「………」
束「あっくんが言ったように、世界を変えられる天才は私しかいないと思った…でも、もう、それがすべてではないと分かった。これからは“私たち”ニュータイプの時代だよ」
束「人は分かり合わなければいけないんだよ。でも、有史以来人は争い続けている…ただの人間には、それができない」
束「だから、争いと言う手段を用いてでも世界を変えようとした。でも、ニュータイプ“のみ”それができる」
束「人は人を変えられない…でも、新しい人なら変えられる―――」
アムロ「…まて、束」
束「―――ん?」
336:
アムロ「僕は、こうしてお前の声が聞こえる…だが、心が見えない。お前の考えている世界なんか解らないし、認める気にもならない」
アムロ「お前も僕の心が見えていないから、わけの解らないことばかり言う…すぐそこに来るまで、僕の存在を感じ取れない」
束「………」
アムロ「ニュータイプなんかじゃない、僕とは違う。束、お前にも分かっているはずだ」
束「…それでも、あっくんが、ニュータイプが、戦争の道具として利用されるだけの未来を、変えられるかもしれないんだよ?」
アムロ「僕が自分の為に世界をどうこうすると思うのか? 情けない奴…!」
束「戦うだけのニュータイプなんて―――」
アムロ「負け惜しみをッ!!」
338:
現実
束「―――あ、あっくん!」
アムロ「喋るなッ!!」
クロエ「…束様!!」
束は振り放される直前に白式の頭部を解体し、隙をついて姿を消した
アムロ「まだだ! たかがセンサーをやられただけだ!!」
束(くーちゃんひろったら急いで逃げないと)コソコソ
スコール「私はオータムを回収する! エム、飛べる!?」
エム「一回だけなら…!」
339:
束(ありゃ、あの子は…?)ヒョイ
アムロ「いるな、束!!」バズーカシュートォ
束「おわっ!!」
しかし、量子化された状態からISと共に展開した砲弾は、束が触れたISのように光の粒になって消えた
束(“どこにいるか”見えるどころか、“どう動くか”読んで狙えるなんて…危なかった。エネルギー兵器だったらさすがにまずいよ)ダッ
アムロ「う…こ、こいつ!!」
束「そこの子、織斑 マドカ、かな?」
エム「え!?」
束「君には専用機を用意してあげるよ、とびっきりをね…おっと!」
エム(ちょ、ま、巻き添えに…!)バキン
アムロ「中てられないのか!?」
束「…じゃあね、あっくん」ピョン
アムロ「………くそっ! 今の僕になら、本当の敵が倒せたはずなのに…仕留められないとはッ!」
アムロ(一瞬、奴の眼はクレヨンを握った幼子のようだった………無邪気で純粋な…エゴと、悪意だ)
342:
コンスコン状態でビビって撤退したので捕虜も負傷者も出ずあっさり復旧したIS学園
千冬「まさか、お前のISが武装を使い切り、中破するとはな。学園を襲撃したのと同じISを二機捕捉したと言うが、何があった?」
アムロ「連中は僕の邪魔をしただけだ…束に合った。奴と、奴が道具にしている人形が、この事件を引き起こしたんだ」
千冬「戦ったのか?」
アムロ「そんなことはどうでもいいだろう? 奴の目的は一体なんだったんだ、姉さん。束は、何のためにここのシステムをクラッキングした? なぜ地下区画を守った?」
千冬「………」
アムロ「だんまりか…女の子はずるいよな、弱い立場の利点と強い立場の利点をいつでも自由に使える」フン
千冬「…地下特別区画には、私のIS“暮桜”が凍結収容されている。今回送られてきたのは、その強制解凍プログラムだ」
アムロ「…また、束の側に立って戦うのなら―――!!」ガタッ
千冬「断じて違う。それだけは言っておくぞ、アムロ…」
アムロ「―――………ふん、分かるもんか」スタスタ
千冬(まだ、お前には負けられんな、束…)
344:
・・・
千冬「お、そうだ。アムロ、お前は今日、私の部屋で寝ろ」
アムロ「なに?」
千冬「いや、あの馬鹿専用機持ち組が、システム復旧後から、わけの分からんことを言っていてな…アダルト・アムロがどうとか、肉食系がどうとか…」
アムロ「!」ピキーン
アムロ(あの人形め! 人の精神すら弄ぶのか…ッ!!)
アムロ「次は、仕留めて見せる…!」ボソッ
千冬(うっ! モンド・グロッソでも感じなかったほどのプレッシャーが…!)
345:
・・・
千冬「アムロ、お前の機体についてだが、アナハイムから何か言ってきているのか?」
アムロ「ああ、なんかサイコミュがどうとか言っていたな…セシリアや楯無のBT兵器、箒の展開装甲より良いものだとかなんだとか、まだ組み上がってすらいないらしいが」
千冬「という事は、白式はまだ使えんか。ただ修理するだけなら、あの綺麗な損壊の仕方なら楽だったのだろうがな…」
アムロ「直すだけじゃ済まないって…僕にもいろいろ聞いてくるんだよ、新設計ってわけでもないらしいけど」
349:
・・・
鈴「え、アムロ居ないの?」
セシリア(あ、どうりであの強烈な圧迫感が無い)
シャル「そ、それはまたどうして?」
箒「何やら、例の白い奴がどうとかでな…」
ラウラ「この上、まだ機体を強化するのか。確かに最新鋭機に比べれば基本性能や安定性では見劣りするが」
シャル「何か知ってる?」
簪「え、あ…いえ………ミステリアス・レイディの仕様を少し参考にするって、くらいしか…」
鈴「ふぅん…そう言えば、あのナノマシンって、セシリアのビットと同じ系列でしょ? 遠隔操作方法とか」
セシリア「ええ、そうですわね」
鈴「あっちの方が、完成度高いわよね」
セシリア「………」
350:
アナハイム社IS工廠
アムロ「あれが、完成品の“サイコミュ”ですか…」
オクトバー「納期を繰り上げられたせいで、色々と問題がありますけど、威力は折り紙つきですよ。イギリス軍のビットとは違って、ジェネレーター内臓式です」
アムロ「でも、開放式のバレルなんでしょ? 射程はどうするんです?」
サキオカ「そのためのサイコミュですよ。通信妨害も受けず、機械的な操作も要らないから、隙を見て敵機に急接近させて撃てばいいんです。大尉ならできますよ」
アムロ「煽てないでください…なんて言うか、放熱板みたいですね」
オクトバー「基本構造はファンネル状なんですけれど、バレルのせいでフィンにも見えますね」
アムロ「フィン…ファンネル………」
オクトバー「本体の方は、安定性と整備性のために、出来る限り部品を既存のアナハイム製ISと共通化させました。以前の白式とは似て非なるものです」
サキオカ「構造も堅牢なので殴り合いも大丈夫ですよ。ま、完成はまだまだ先ですけどね」
352:
・・・
しばらく後
アムロ「修学旅行? そんなもの、本当に実施する気でいたのかよ」
箒「どうせ何の準備もしていないのだろうと思って、荷造りしてやったぞ。感謝するんだな」
アムロ「学園内でもこの様なのに、ぞろぞろ集団で学園外なんて、よく冒険する気になったな」
千冬「対外的なポーズとして、平常通りの学園を演じなければならんのだ。もちろん、備えとして、今回は戦闘教員が複数同行する」
アムロ「馬鹿馬鹿しい。それに、信じられるものか、こんな連中が役に立つかなんて…」
山田「………」
教師達「「「………」」」
千冬(何か言い返してくれないとこっちが情けなくなる…)
353:
修学旅行当日
京都
アムロ「ああも姦しいバスの中だと、疲れるな」
鈴(テンションが上がらない方がおかしいんだよ)
簪「私も、煩かったと思うな」
箒(案外こういうのはアムロ時があったりするんだろうか…引っ張っていく幼馴染と言うのでは駄目なんだろうか)
鞄「私を忘れてもらっちゃ困るよ」ガタガタ
簪「!?」
バタン
楯無「楯無おn簪「このっ!」ガシ
楯無「ちょ、ま簪「もう…! うっ、ぐぐ! て、手伝ってアムロ!!」
アムロ「まかせてくれ」グシャ
バタン
シャル(やっぱり嫌いなのかな、生徒会長のこと…)
357:
自由時間
アムロ「そう言えば、日本に来ても、ろくに観光なんてしてなかったな」
鈴「あんたは何処に行っても、でしょ?」ハァ
箒「生粋の日本人でないお前には、色々とこの私が教えてやらねばならんな」フンス
アムロ(…ん? なんだ、これは)
ラウラ「私とて、優秀な副官から―――」
セシリア「疎い者同士で、それに見合ったコースを進むと言うのが―――」
簪「………」オロオロ
アムロ(違和感がぬぐえない…いや、これは!?)ピキーン
シャル「あれ? どうしたの…?」
アムロ「…悪い、少し外すよ…」
六人組「え?」
360:
・・・
箒「あいつ、本当にどこかへ行ったのか…自由時間も、もう終わったぞ」
鈴「なんか、通信傍受してみたけど、白式受領しに行くんだって、こんなに早く改修終わるの?」
シャル「ま、また学外でIS使ってそんなことしたの…?」
セシリア「国家代表クラスで、国から最高の設備と予算が提供されても、まだかかると思いますけど」
ラウラ「まあ、新造機と言うわけでもないしな」
シャル「バックが国連だし…それでも、早とちりな気もするけど」
簪「わ、私もそう…思う………」
鈴(てか、何でこの子、クラス違うのに…あ、なんか私もか…)
山田「みなさーん! そろそろ、モノレールの方へ移動してくださぁい!」
千冬「………」
365:
どっか高いところ
スコール(護衛が居ないとは思えないけれど、モノレールで集団移動…こうも襲いやすい形になるとはね)
スコール「予定通りよ。問題ないわ、初めて頂戴」
オータム『了解。雑魚どもで、まずは憂さを晴らしてやる…!』
エム『こいつらは、落としてしまっていいんだろう?』
スコール「惜しくはあるけれど、アムロ・レイ以外は不要ね…あら?」
楯無「何をするつもりか知らないけれど、こんなところで優雅に街を眺めてるなんて…セレブの考えることは分からないわ、彼に狙撃されたこと覚えてないの?」
スコール「もう、始まっているからよ…貴方も、遅かったわね―――!」シュル
楯無「うっ!!」ガシッ
スコール「悪いけど、急いでいるの…これでさよなら―――っ!?」
楯無「残念ね。そっちは外れよ」
スコール「…なるほど、モスクワの深い霧とは、よく言ったものだわ」
楯無「今は、ミステリアス・レイディって言うのよ」
楯無(…決まった!)
370:
暴走するモノレール
千冬「いかんッ! 至急、学園上層部に連絡を…それと、戦闘教員を出させろ!!」
山田「す、すでに国連がIS部隊を動かしたと…あっ! い、今、不明ISが二機、捕捉されたそうです!!」
千冬「やはり、このタイミングで、か…だが、予想して備えていたとはいえ…」
山田「は、はい。過去の戦闘データから見て、此方の戦力は明らかに相手より上です」
千冬「アムロの懸念する通りだったか………ん? あ、あれは…黒騎士!?」
山田「え?」
371:
物凄い勢いで落ちる自衛隊と戦闘教員のみなさん
エム「素晴らしい機体だ、これなら、戦える…」
オータム「何をぶつぶつ言っているんだよ! さっさと取り巻きを落として、アムロとか言ういけ好かない糞ガキを抑えろ!!」
エム「黙れッ!! 奴とは、これで決着をつける…!」
オータム「こいつは…! スコール、聞こえるか!? こいつをどうにかしろ! 白い奴を、下手すりゃガキも潰しちまうぞ!!」
スコール『………こっちも、取り込み中よ。どうせ彼にはエムの黒騎士以外、対抗できない。貴方は上がってくる生徒でも落としていなさい』
オータム「お、おい―――!!」
エム「………ん?」ピキーン
オータム「…上がって来たな、生意気な専用機持ちがッ!! だが、あのアムロは何処だ?」
エム「なるほどな、そういう事か………おい、雑魚を一機こっちに寄越せ!」
オータム「だから!! てめぇの仕事は、あの白い奴だろうがッ!!」
エム「奴はここに居ない。それまでに、やっておくことがあると言うだけの話だ」
オータム「な、なに…!?」
374:
そのころ、正確には少し前のアムロ
アムロ「いいから、出させてくれよ!!」
整備士A「無茶言わないでください! 実戦配備可能になるまで、三日はかかるんですよ!? それでも、突貫で組んだせいで、いろいろ鳴らさないといけないって言うのに!」
アムロ「敵が来るんだよ、言ってるだろ!? みんな死んでしまうんだ、関係ない人まで!!」
整備士A「サイコミュ用のラックは無いし、大尉の強すぎる脳波に過敏なせいで、暴発までしたのを直してもいないんです!!」
整備士B「コアの反応も悪い…そんな状態で出たら、死にますよ!!」
アムロ「だから…!!」
士官「お、おい! 大尉を出せるようにしろ、急げ!!」
整備士B「む、無茶言わないでくださいよ。なんでいきなり!」
士官「敵だよ、本当に出たんだ! 所属不明のISだとかで、いま、岩国空軍基地のIS部隊が上がったって…!!」
アムロ「い、言わんこっちゃない…! ISの脚じゃ全だとエネルギーが切れる、下駄をはかせてくれ!!」
377:
一方の修学旅行の大人しく参加していた連中
楯無「もらったぁ!!」
スコール「ふっ…甘いわね」バシン
楯無(し、シールド―――!?)ゴシャ
楯無「―――ううっ!!!」
スコール「…さて、白い奴はいないようだけど、一応は加勢に向かおうかしら」
・・・
オータム「待ちやがれぇ!!」
セシリア「く、食いついてくる!?」
オータム「畜生め! ちょこまかと…! リファインしたこの機体でも、学生風情にてこずるとは!!」
セシリア「素体は第二世代機のはずなのに…はっ!?」ドゴォン
オータム「す、スコール!」
スコール「何をやっているのよ、片づけるわよ!」
384:
・・・
オータム「終わったな、これで…うおっ!?」
ドゴオッ
オータム「え、援護のISか?」
スコール「違うわ、本命よ」
パーパーパッパーパパパーパーパー(どこからともなく響くνガンダムのBGM)
アムロ「………ファントム・タスクか!」
オータム「来る…来る! 白い奴め!!」
スコール「待ちなさい! 奴は、エムに任せるのよ!!」
オータム「知るものかよ! せめて、せめて一発喰らわせないとなぁッ!!」
385:
アムロ「雑魚に付き合っていられるか!!」ビチューン
オータム「な、なんでさぁッ!!?」ドゴン
スコール「オータム、無茶よ!!」
アムロ「ちぃッ!!」キュイン
スコール「えっ?」ドゴォォン
オータム「スコールをやった!? 後ろから…び、ビットか!!」
シャル「あ、アムロ…!」
アムロ(誰も死んではいないか…後はこいつらに任せておくか)
アムロ「あのマドカとかいう奴のところへ急がないとな…!」
387:
・・・
エム「その邪魔なものから剥いでやる」バキン
箒「あぐっ! て、展開装甲が!」
エム「第四世代機も宝の持ち腐れだな、出来損ないのモドキめ」
箒「ううっ! このぉ!!」
エム「この小うるさいISを捕獲して…!」
箒「なんだ、こいつ…遊んでいるんじゃないのか!?」最後の刀でキリカカリー
エム「こいつ等は利用できるんだ!」腕ごとブチー
箒「ぐあああ!!」ドシンッ
エム「ふふ…」フミツケー
箒(こ、こいつは…そういうつもりか!)
エム「うっ…! 来たな、プレッシャー!!」
アムロ「………」
箒「あ、アムロ…」ギリッ
エム「さあ、機体を捨てろ、アムロ・レイ。でなければ、こいつらを殺す」
388:
アムロ「………箒」
エム(どうした、捨てろ! 貴様が機体を捨てれば、貴様とその機体を手に入れ、その後で姉さんとの決着を付けられる!!)
アムロ(白式と僕を奪うつもりか…!)
エム「どうした!!」グイッ
箒「わ、私に構わず…ッ!」
アムロ「ま、まて! ファンネルを捨てる…!」ファンネルポイー
エム「放熱板を!? ふざけるな、それがなんだと言うんだ!!」ギュッ
箒「―――あがっ!!?」
アムロ「!!」
キュイイイイイン
390:
エム「無視する気なら、それでいい!!」ビシュン
パシィィン
エム「び、ビームでビームを弾いたのか!!? ど、どこから―――うっ!!」邪魔な箒ポイー
アムロが完全に戦闘を忘れて、相手の事なんて気にもかけていない無意識のうちにファンネルを操って戦闘中
アムロ「箒ッ!!」
エム「び、ビットだとぉ!?」
アムロ「致命傷じゃないぞ…いや、人質にしても、こんないい加減な手で…奴は、本気でこっちの武装を解除する気じゃない!?」
エム(人質…仮に遺体だとしても、それを前にしながら、奴のビットは敵意を優先して、私を撃った)
エム「それでこそだ、白い奴!」
393:
アムロ「このIS、姉さんの“あれ”と同じ、束のものか!?」キュイン
エム「戦いで決着をつけてやる!!」キュイン
ビット同士で潰し合うが目に見えて優勢なアムロのサイコミュ
アムロ「い! い………けど、見えるぞ!!」
エム「ちぃっ!!」ギュビューン
アムロ「こ、ここまで火力が…!!」バシッ
エム(盾とライフルをやった! 後は囲い込んで撃てば…ッ)
エム「仕留めたぞ!!」
アムロ「こっちこそ…!」シュポン
エム「近い…い、いや、これはダミー!?」
アムロ「この!!」ライフルズバー
エム「おのれ!!」ズバァ
アムロ「うっ!? サーベルのパワーが負けているのか!!」ガキィィン
399:
アムロ(い、いや…これだけの動力を供給するために、装甲から露出している部位が………)
アムロ「ここか!?」キュイン ピキュン
エム「この程度…ん!? ぱ、パワーダウンだとぉ!!」サッ
アムロ「まて!!」
エム(こうなれば、残余エネルギーの許す限り、内臓火器の最大出力で!!)ギュオオォォ
巨大な光球となって広がり、アムロに襲い掛かるエネルギー兵器
アムロ「………!」キィィィン
と、ここでなんとなくできてしまったとっさのファンネルバリアー
エム「なにぃ!!?」
アムロ「ファンネルには、こういう使い方もある!!」
エム「うぅ!? ええい!!!」
400:
アムロ「………」左腕スパー
エム「な、なんと!! くっ…!!」ゲシッ
アムロ「しまった、止めが…」
エム「このっ!!」サーベルニキックー
アムロ「たかがサーベルが無くとも!!」
エム「貴様が居なければ!!」
アムロ「マドカ………!!」パンチ キック
エム「あ、アムロぉ!!!?」ドゴォ
アムロ「とおおあぁぁ!!!」顔面パンチ*2
エム「うっ―――ぐあぁっ!!! も、モニターが死ぬぅ!!? なにぃ!!」ベキベキ
アムロ「………ッ!!」オシツケー
エム「…!? ぐあっ!!」ドシャァ
403:
アムロ「………」ゴォッ
エム「来る…ッ!!」ガギィン
エム「うぅっ!!!」シュイーン
アムロ「逃がすか………!」
スコール『エム! 逃げなさい!!』
エム「こ、これは…やられる!!?」
アムロ「………」真後ろから離れないアムロ
スコール「通信が効かないの…? もう十分だと言っているのよ!!」
エム「貴様ぁ!! この戦いの間に入るなぁッ!!! うわぁ!!?」ドグシャ
アムロ「………やったか」オシタオシー ボキボキィ
405:
エム「ぬうっ…!!」
アムロ「…ち、違うか!?」
某赤い人の曲芸にはほど遠いが、軒並み装備をパージした後、なんとか這い出してくるエム
アムロ(出てきたのは、第ゼロ世代の…! やはり、この機体は白騎士と同じか…)
スコール(航跡が消えた…黒騎士の分解を伝えるシグナル………まずい!!)
スコール「エム…!!」
アムロ「逃がすかよぉッ!!」
エム「つ、捕まる!!?………いや、しかし!!」
アムロ「い!?…か、火器は無いのか!!?」
エム(性能差に、助けられるとはな…!!)
オータム「間に合ったの? あれは…燃焼痕の中に居るのが、黒騎士の素体と、擱座した白い奴!?」
407:
エム「やれるか? この素体だけで…!?」
スコール「よしなさい!! 撤退するわよ、エム! さすがに、これ以上は…!!」
エム「…り、了解」ギリッ
アムロ「最後まで勝負しろ! 逃げるな!!…僕と、戦えよ………束の狗めぇッ!!」
アムロ「う…うぅ………また、取り逃がすのか? 束の良いように、思い描いたように、戦って、勝つこともできずに…!?」
アムロ「………いや、いつか、そっちへ行ってやる! 待っていろ、束め…ッ!!」
エム(私は…逃げたのか? あの場から逃れれば、生きられるから? 何故奴を追わなかった!?)
エム(何故………奴が、それほどに恐ろしかったのか? 私は、お前とは違うと言うのか!?)
411:
箒「うっ…ふぁ、ファントム・タスクは?」
アムロ「………逃げられた」
千冬「アムロ! 無事か!?」
アムロ「ああ…別に、何ともないんだ………何とも………」
千冬「………」
アムロ「あれは、姉さんのと、同じだったよ…」
千冬「…ああ。私への、そして、お前への、当て付けだ」
412:
箒「なんだ、一体、どういう…」
アムロ「箒、お前は、もうこんなことは止めろ…逃げていいんだ」
箒「じゃあ、お前はどうする!?」
アムロ「やらなきゃならないことが残ってる」
箒「こんなに戦って、まだそんな…!」
アムロ「僕は、戦いに巻き込まれて、ISを手にしてから、ずっと一つの事の為に戦ってきたんだ…」
アムロ「それを止めたら、今まで戦い抜いてきたことが、全部無意味になってしまうよ…」
箒「なんだ、何を言ってる…?」
千冬「聞け、アムロ! お前のIS起動は、奴の仕組みでは―――!!」
アムロ「それでも、束が居なければ、ISが無ければ、僕はここで戦ってなんかいなかったんだよ。姉さん………」
千冬「………!」
アムロ「みんなを、よく介抱してやってくれよ…」
413:
またどこか高いところ
束「私からのプレゼント、楽しんでくれたかなぁ? ちーちゃんも、あっくんも…」
クロエ「そうですね、無人機の時よりは、ずっと」
束「うふふ…でも、もっと、もーっと楽しいことが、起こるからね!」
クロエ「………」
束「ちーちゃんの妹、あっくんにとっても、一応弟になるのかな? 面白いことも、あるものだよねぇ!」
クロエ「ええ、そうですね」
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