3年前くらいに俺の体験した怖い話を話しますback

3年前くらいに俺の体験した怖い話を話します


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1:
それはたしか三年前の事だったかな……
とある村に人形に神様を封じ込めてそれを崇める事で福を呼ぶ風習があって
友人はそれを聞きつけて興味を持ち頼み込んでその人形をもらってきたんだ
しかしその後悪い事が起きるようになったと友人がらしく
俺はそれを相談されたんです
そんなのあるわけねーだろと言ったら本当だよ一緒に泊まってくれと言われて
仕方なく泊まったわけですね
そして泊まり始めて二日後の事です
寝ていると急に息苦しくなり金縛りにあったんです
そして出てきたのは10歳ぐらいの和服の女の子でした
前髪をそろえた長い髪の女の子がすごく暗い、生気の無い顔で見下ろしてきた……
3:
それが、とても興奮して…
14:
>>3
めっちゃ興奮しました。
4:
しかしその時ネットで見た言葉を思い出したんです
「幽霊は死んだ人間の霊というなら生きてる人間にも霊はあるから触れる」
俺は手を伸ばしてその女の子の足を掴んだ!
そしてそのまま一気に引っ張りました。その子はすっ転んで倒れた。
そのまま俺は彼女に覆いかぶさるように押し倒したんですよ。
その時の呆然とした女の子の顔は忘れられません。
何が起きたかわかっていないような、そんな顔でした。
直前までの人形のような無機質な顔とかわって、とてもかわいかった。
俺はたまらず、そのまま和服の胸元に手を突っ込んだんですが、人間の体温よりは低いけどほんのりとしたぬくもりがありました。
そして冷たくすべすべとしててなんというかとてもやわらかかったんですよこれが。
俺はそのままそのやわらかい小さなふくらみを右手で揉みつつ、左手で彼女の手を押さえつけました。
そして顔を近づけ、そのままキスしたわけです。ちなみにファーストキス。
5:
良い展開じゃないか!
8:
なんというか夢中で吸いついて、なめまわして唇と舌を貪りました。
相手は声を出していないのに、嫌がる声が聞こえるという不思議な感覚でした。
口を話した後、胸をもんでいる手を放し、彼女の股間へと向かわせる。左手は掴んだまま。
おっぱいに吸い付きつつ、はじめて女の子の股間を触る感動。
その時初めて自分が息を止めてたことに気付いて少々むせつつも、おおきく深呼吸。
その時うっかり手を放したんですが、彼女はあまりの予想外の展開に
考えが付いて行っていないのかむしろあっちが金縛りにあってるように動かない。
というか泣いてたわけですよ。
なので俺は正気に戻り、たたずまいを直して、彼女の和服の下……なんというのか知らないけど、とにかくそれを開いて股間を視る。
暗いはずなのに不思議とちゃんとしっかり見えました。
9:
肉声は出していないけど、あっ、とかえっ、とか戸惑うような、泣いてるような声が聞こえる中、股間を凝視。
生えてませんでした。感動。
一気に口をつけて舐めるか、それとも指で弄るかの選択を迫られる俺。いきなり突っ込むのは論外だし。
少しの間考えたのち、舐める事にしました。
味はあまじょっぱいかんじ。実際の生の女の子の股間の味は知らないけどそんなかんじでした。とにかく感動。
舌を突き入れ、顔を押し付け、ふとももを両手でつかんで貪るように舐めると、声じゃない声で叫ぶ彼女。
脳内のエロゲ知識も何もかも吹っ飛んだ思考の中で、いける、と根拠のない確信を得た俺は口を放して、
ゆっくりと指、人差し指と中指で彼女のすじの中に指を突っ込んで動かす。そしてそれをそのまま、彼女の口に突っ込んだわけです。
彼女は俺の指を舐めてくれました。いや、いやがって拒んでただけかもしれないけれど。
10:
あとはそのまま、脚を広げさせて、股間にあてがって一気にゆっくりと挿入。
当然童貞だった俺ですが、その感触はなんというか、リアルですげえ、っていうかんじで。
声を殺して顔をしかめる彼女がまた可愛くて、ああ俺って変態だなあ、と思いました。
あとはなんというかあまり覚えてなくて、とにかく必死に腰を動かし、向きを変えとにかく何度も出した感じです。
あと顔にもかけたり。
さすがに尻に挿れるという発想はありませんでしたが。
そしてさすがに疲れて一息入れると、むその瞬間に……
消えました。ふっ、と。彼女の姿は。
仕方なく俺は乱れた服を戻して、写真撮ればよかったなあと思いながら再び床に就きました。
11:
>>1
初体験が幽霊ってやばいなwwwww
14:
>>11
俺もびっくりでした。しかも半ば凌辱とか。
13:
そしてそのまま翌日。夜が明ける。
友人いわく、金縛りになってて苦しかった。お前はなんか寝返りしてうるさかったたけど何も感じなかったのか?と。
俺は女の子の霊が出た、とだけ彼に告げたわけです。
彼が言うには、自分も時々女の子が出てきて自分の首を絞めたりのしかかってきたりしていた、と。
まあそういうこともあるだろう、しかしすまない甘く見てたよ、霊ってすごいんだな、と俺が言うと、
彼も同意してしました。本当に怖い、こういう祟り?みたいなのあるんだな、って。
彼が言うには、その神様を入れた人形をもらって来たはいいものの、そのまま放置状態だったのが不味かったのかな、と。
彼はコレクター気質だけど、手に入れる事が好きなのであって手に入れたものを大゛詩にすることはあまりないのは俺も知っていた。
新しいコレクションを手に入れるために過去に手にいれたものを売る、ということもよくしてたし。
彼は、こうして自分以外の人間も同じように霊を視た以上、受け入れるしかないしこれ以上苦しめられるのも嫌だから、ちゃんと祀って大切にしよう、と言い始める。
確かにそれは見上げた姿勢であり推奨される事だと思うのだけど、でも俺はこういったわけです。
「でも一度こうなると俺たちのような素人じゃどうにもならないよ。霊能者が知り合いにいるから、その人に渡そう。
俺は一回だけだけど、お前は何回もこんな目にあってるからつらいだろう?
その人形、俺が持っていくよ。手元に置きたくないだろうから俺が買い取る事にしてさ」
と、銀行にあるお金三万円を彼に渡して引き取る提案を。
もちろん霊能者の知り合いなんていません。
16:
彼は俺のいきなりの提案にさすがにいぶかしがりました。
いきなり三万円は不味かったか、最初は三千円くらいから交渉始めるべきだったか……とちょっと後悔。
そもそも知り合いに霊能者がいる、なんてことも話したことなかったので不審がりますよねさすがに。
本当に怖いのはここからです。
その夜に何があったのか、彼は金縛り状態で真っ暗闇の無音の中で何も見えず感じられず、ただ何か騒がしいことしか覚えていなかった。
だが俺のただ事じゃない雰囲気を見て、こういったんです。
「いや、あれは大事なコレクションだし三万程度で手放せないよ」
値段つり上げに入りました。
「手に入れるための時間や労力、レア度を考えると十万ぐらいはねぇ……」
17:
人間の金銭欲とはなんと怖いものなのか。
金に目がくらんだ男にとっては、恐怖をやわらげるために一晩ともにした男との友情などもはや価値がないのか。
いや、その時の俺は彼に負けず劣らず性欲に目がくらんでいたわけですが。
欲しい、と。またもう一度あの幼女霊だか幼女神だかを抱きたい、と。
しかし現実には銀行に残っているお金は八万円。十万円など払えないしたとえ八万ですんでも生活費が無くなる。
「三万五千」
「九万五千」
「三万八千」
「九万二千」
「四万」
「八万」
「四万三千」
「七万八千」
醜いバトルは続きました。
18:
最終的に、五万円支払う事になりました。
俺も彼もお互い何も言わず、互いの欲しいものを手に入れた、ただそれだけです。そこに遺恨も後腐れも何もなし。
俺は即様コンビニにいってATMで五万をおろして彼の元に。
まるでお年玉を握りしめてゲームソフトを買いに行く小学生のように興奮と喜びに胸を膨らませながら。
一瞬、その間に人形が消えている、とかあったらどうしようと不安になって、車にはねられかけましたけど無事でした。
そして彼の家にある日本人形を引き取ることに成功したのでした。
19:
これは興味深い
20:
しかし帰ってからさすがに頭が冷えたのか、色々とありすぎたなあと思ったわけです、俺。
バイト代が入るまで三万円で暮らすのはつらい。
そしてそれ以上に、昨晩の出来事は夢なのか現実なのか。
夢ならば、すげぇ気持ちを食てリアルなあんな夢を見れるのか……と思うし、
現実ならば幽霊レイブ略して霊プとか俺ってちょっと最低なんじゃねーかなー、って思ったりします。
まあ、それは夜になってみればわかるだろう、と思って期待しつつ寝たわけですが……
その夜、何も起こらず。
翌日、友人いわく、何も起きなくてすっきりさっぱり気持ちいい朝を迎えられた、とめっちゃいい笑顔で。
こっちは何も起きなくて超がっかりだったのに。
22:
それから一週間、特に何もなくて。寝ている時に変な夢を見る事もなく、見たとしても普通の夢。
現実でも特に変なことが起きたわけでもなく、ああねあれはすげぇリアルな明晰夢で俺ってロリコンだったんだなと
そういうふうに考えるようになりました。
そしてさらに三日ぐらいたったころだと思いますが、出たわけです……彼女が。
夜、というか朝方ぐらいでした。まだ明るくなってないぐらいで。
金縛りにあって、そして俺が寝ている隣に女の子の姿がある、とわかったんですよ。
金縛りってて目もあいてない、体も動かないのに、そこに「いる」とわかった。
感情というか機嫌というか、そういうのも伝わってくる感じでした。あきらかに不機嫌。
んでかつ怒ってはいるのですが、なんかちょっと怯えているような、でも出てこないとどうにもならなかったような
そんなかんじが伝わってきました。
暫く互いが無言。
といってもこっちは身体が動かないのでどうしようもないわけですが。
そうしていたら、やがて、前の時のような声が。空気を震わす音声ではない、幻聴のような、声になってない意思というかが。
『あやまれ』
何を謝ればいいのか、と思ったりはしませんでしたよさすがに。悪いの俺だし。
でもね、謝れと言われても、俺って動けないわけです。金縛ってて。
なのでしばらく黙っていると……
『……あやまって』
再び謝罪の要求が。ただしニュアンスというか勢いというかが微妙に違う感じで。
23:
微妙に涙目でかつ怖がってるけど必死でがんばって威厳保とうとしているようなそんな声。
ごめんなさい、正直言って萌えます。
『神様なのに……』
さすがこれ以上放置してるのはかわいそう、だけどどうしても身体が動かない。
だから俺は必死で思考を巡らせたわけです。そしたら思い出した。
あの日も身体が動かなかった、だけど一気に動くようになった。
あの時は、自分にも霊がある訳だから触れる!という考えに突き動かされて一気に襲い掛かったわけで。
強い意志で動けば絶対に動けるはずだ!!今動かないと駄目だぞ俺!!!!って感じで動きました。
がばっ!! ってかんじで。
その瞬間に彼女はびくんっ、てかんじでふるえました。まあそりゃ怖いよね。
でも俺は紳士なので、そのまま襲い掛かったりせずに、頭をさけで謝りました。
「ごめんなさい」って。
25:
半分寝ぼけていて、そのうえ恐怖もあったので何が何だかわけがわからなかった、本当にすみませんでした。
要約するとそんなかんじで、半ば土下座状態での謝罪をしました。
わるいことしたらごめんなさいしないといけないのは当然ですしね。
まあ、悪かったと謝りながらも内心は狂喜してたてわけですが。
あれは本当だった。もし夢としても、同じ超リアルな淫夢を何度でも視れるってことは最高ですよね
どっちにしてもイヤッホォオオオオオオオ!!!!!!!ってかんじで。
そんな俺の神妙な姿に、気をよくしたのか、彼女……神様はほっとしたかんじで、わかればいい、と言ってくれました。
……レイプされてそれで許すって、神様って寛大なんですね。
それで改めて聞いてみたわけです。理性があるうちに。
「あなたは、ええと、誰なんですか?」
『神様だよ』
「いやそれは……はあ、神様ですか。ええと、友人Aから聞きましたけど……」
『うむ。人形に御霊を下ろして宿る神様であるぞ』
いきなり口調がなんかそれっぽく尊大になったので逆に信憑性が下がりました。なんというかなりきってるか演じてるっぽい。
神様じゃなくて神様気取りの幽霊か何かじゃないかなあ、というのが正直な感想。
ていうかガチ神様を凌辱したら俺って天罰で死んだりしてそうだし。
26:
そこで俺が思いついたこと。
日本の神様ってやたら難しいなんちゃらミコトだのなんちゃらオオカミだの言うでしょう。
だから名前を聞いてみたらいいんじゃないかな、って。
そして聞いてみた所、しばらく考えた後、
『人間が神様にむやみに名前を聞くものではない、そういうのはその、教えられぬ』
俺の疑念、さらに増す。本当に神様なのかなあ、と。少なくとも友人Aを祟ってひどい目に合わせるだけの力はあるみたいだけど。
「あの、でも名前ぐらい聞かないと……呼びづらいし」
『じゃあ好きに呼べばいい!』
 うん、なんか三流ラノベみたいになってきたぞ。きっとこれから色んな神様っ娘が俺のところに来るに違いない。
 それはおいといて、どうしようかなあと考えて……本棚を見て適当に。
「じゃあ織姫で」
 ブ○ーチが表紙のジャ○プを見たのはナイショだ。
別に井上と全然似てなくてどっちかというとルキアのほうがあってそうだけど、日本の神様を自称しているのでそれに敬意を示しました。
29:
俺は撫子ちゃん(神)とそんな体験がしたい
38:
>>29
撫子ちゃんいいよね……いいですよね……
30:
そんなこんなで会話して判明したこと。
彼女はとある地方で、神様の霊を人形に降ろしてそれを飾る事で守り神となるタイプの神様だと。
大切にしないと祟る、と。友人が周囲に悪いことが起きるようになったのはどうやらそれでのようで。
ただ、話をしている時に、眷属という言葉も使っていたので、あとでまあその言葉とかを調べて思ったんだけど、
神様本人じゃなくてそのお付の霊とかそんなんじゃないかなあ、と思ったり。
んで、ちゃんと水と供え物をしろ、そうじゃないと今度こそ祟るぞ、と。
ちなみに友人Aの枕もとにもそういう要求をするために立ってたけど奴は霊感が無くて、彼女の姿や存在はわかっても要求はわからなかったとか。
そんな時に別の人間を連れてきたのでその枕もとに立ったらいきなり乱暴されてしまった、と。
本当にごめんなさい。
「じやあ、お水とご飯や御菓子を備えてれば許してくれるんですね?」
『うむ、二言は無い』
言質とったり。
いくばくか冷静になり、論理的思考が出来るようになっているとはいえ、
半ば夢うつつ状態の健康な男性を甘く見たのが彼女の運の付きだったと思うのです。
俺はがっしりと、織姫の手を掴みました。
そしてそのまま押し倒し、あとはご想像通りにレッツ霊姦。
次の日の朝は、とてもいい気分で目が覚めました。
あと、バンツがぐっしょりとアレなことになってました。
32:
とりあえずパンツ履き替えた後で人形の前にコップに水を入れて、あと間に合わせでクッキーをお供え物として置いて、手を合わせる。
これからもよろしくお願いします、と。
そして謝罪と感謝の意を込めて新しいちょっと上等なお菓子を用意するために買い物にいきつつ考えてたわけですが。
本当に恐ろしいのは生きている人間だなあ、って。
あれがガチな神霊だとしても、あるいは俺のすげぇリアルな夢だとしも。
人間って怖いですね、という話です。
とりあえずちょっと疲れたので今日はここまでで。
37:
>>32はいつの話?
40:
>>37
>>1でも書いたように三年ほど前だったかと思います
34:
いちおう質問とか受け付けます。
あと先に言っておきますが、人形の写真のうPはNGですすみません。
あの後新しく知り合ったとある人に言われたんです。インターネットは怖いからそういう写真は出しては駄目だと。
念とかが逆流してくる事もあるから悪影響が及びかねないから、と
35:
>>34
レ○プしといて今さらそれを恐れるか?w
40:
>>35
ネットに流すことで彼女に変な影響があるかもしれないとかなんとか。
ちなみに話すだけならギリOKだそうで。でも写真だとさすがにきついらしいです。
わたくしが霊能者なら結界貼ったり浄化したりして対処できるそうですが。
41:
何が略して霊プだよw
43:
>>41
今では合意だと思うので霊プではないかもですね。
夢の中ってどうにも理性がおぼろげになるので仕方ないと思うんですよ。
49:
今でもその霊とやってるの?
その霊はセックスを楽しむようになった?
50:
>>49
断られたりもしてます。
しかしもはや一人遊びのネタに困る事もないですね。
一時期ちんちんがやばいことになりましたが。あれも祟りなのかしら。
やたら痒くなって、皮がひび割れると言うか穴が開いたみたいに皮膚が切れて血が出て。
今は治ってますが。薬ぬってしばらくしたら普通に治る。
55:
霊は快感を感じるんだろうか?
霊もイクの?
56:
>>55
感じてました。
まあ昔から淫魔や色情霊の話や神様との婚姻の話もありますしね。
前はそういうのは人間のしわざか夢とか空想でしかないと思ってたけど
今となるとやっぱりそういうのもガチであるのだろうなって。
無論その霊と言われる全てを完全肯定するつもりはないですが
57:
ロリコンをこじらすとこうなるのか…
62:
>>57
そうはいうがな
俺はもともとストライクゾーンは15歳から23歳ぐらいまでのノーマルのつもりだったんだ
あと二次元
自分が少女にあそこまで興奮するなんて知らなかったんだよ
銭湯で女の子見ても反応しないし
60:
三年もやる仲なら向こうもフェラとか奉仕してくれるの?
63:
>>60
高校生のころに親父の隠し持ってる裏ビデオを見て
女優さんが蛸みたいな顔してちんちん吸ってる姿を見てとても怖くて気持ち悪いと思い
フェラは全然興奮しないのでやってほしいと思ったこともないです
こわいんだもんひょっとこ顔。無論俺の個人的な見解であって
それが好きな人を否定するつもりはありません。
あと舌を伸ばしてぺろぺろ舐める系なら視覚的にアリだと思うけど
75:
こんばんわ。
 織姫との出会いの後の話をします。
 想像していたようなセクロス三昧の毎日……というわけではなく。
 実際に視覚像として普段から見えたりすることは全くなかったです。
 元々霊感もある方でもないし、ああいるなあ、とかそんなかんじで日々を過ごしていました。
 もちろん、水やジュース、酒、お菓子をお供えするのは出かけている時以外は欠かさない感じで。
 月に数回、少ない時は月イチぐらいで夢に出てくる感じでした。
 出てくるときは必ず明晰夢で肉体感覚も自由意思もしっかりしてる感じで。
 出てきた時も毎回ヤるわけじゃなくて、話したりデートみたいなことしたりして過ごすこともありました。
 そんで大学のサークルの旅行があったんですよ。
76:
 その日は久々に織姫と出会い、夢の中で一緒に歩いてました。
 ロケーション的には秋の紅葉に染まる山道でした。現実時間では夏だったんですけどね。
 その時の俺の服装は和服でした。リアルでは和服なんてほとんど着たことが無いんですけどね。
 似合ってる、とにやにやしながら言う織姫。
 ベンチに座った俺の膝の上に座って、俺の首に手を回してぶらさがるようなかんじで。
 んでとりとめない事をいくつか話した後、ふいに織姫が真面目な顔をして言い出しました。
「気をつけなさい」
「……何が?」
「あなたにはこれから危機が迫るわよ」
「そう言われても……」
 その前にも危機が迫っている、と言われて怖がってたら
 仮面ライダーのフィギュアが壊れたりしただけだったし。
「そうね。じゃあ賭けをしようか」
「賭け?」
77:
「数日……いや、二週間ぐらい。その間に何か起きたなら、私の勝ち。
 ひどいことするの禁止で」
「何かって、箸が転んでも靴ひもが千切れでも何かの範疇だろ。もう少し具体的に言ってもらわないと。
 今年日本で災害が起きる、と言われても日本では毎年災害が起きてるし」
「ああいえばこういう……じゃあそうだな、霊的な危機がお前に降りかかる」
「自演禁止な」
「するか! ……本気で気をつけろ。お前に死なれたら行くあてがないからな」
「友人Aが喜んで引き取るかもしれん」
「奴は嫌だ。何言っても通じんから……」
 金縛りにあって姿がわかる程度には霊感が無い事もないが、意思の疎通は無理という感じらしい友人A。
 だからといって首絞めたりするのもどうかと思うが。
「じゃあ、そういうのが起きなかったら俺の勝ちと言う事で。
 俺が勝ったら……」
「か、勝ったら?」
「ものすごいことをする」
 滾ってきた。
78:
 そんな事を話した翌日、大学のサークルで旅行の話が持ち上がったわけです。
 ちなみにサークルは文芸部。友人Aも同じサークル所属です。
 連休を利用した合宿旅行みたいなかんじでサークルの希望者たちで、と。
 正直俺は気が進みませんでした。だってあれですよ、昨日の織姫との話があるし。んでそういう旅行とかフラグビンビンじゃないですか。
 まあそれでも行く事にしたのはぶっちゃけ単位のためですね。
 教授がなんというかいい加減な不良教授でしてね。
 参加者にはサービスするぞー、とか言うの。良いのかそれ。しかし背に腹は代えられないので参加したのですが……
 この時、あんな誘いに乗らなければよかった、と今でも思います。
79:
 参加メンバーは
 オカルトマニアの飽きっぽい友人A。
 デブでメガネだけど人柄はよくて男女ともにめっちゃモテる先輩B。男。あだ名は菩薩。
 その先輩にめっちゃ惚れてる、というか付き合ってる小柄な後輩C。女。
 脳みそ筋肉で外見もめっちゃ体育会系だけどガチオタな同級生D。よく上級生と間違えられる老け顔。男性。
 無愛想なE、女性。
 そして俺。そこに教授を加えて七人でした。
80:
 移動は、電車で近場まで行って、あとはレンタカーを借りることに。
 そうやって計画を立てていると、Aが余計なことを言い出す。
「そういや、いわくつきの人形を>>1が持ってるんだよ」
 最初はお前が持ってたものだけどな。なんでこう他人事のように言えるのかこいつは。
 んで、それでオカルト話に盛り上がるメンツ。
 なにかいわくつきのアイテムがあるなら持ってきて欲しい、という話にまで発展する。
「こないだ手に入れた俺の秘蔵のお宝はね、いわくつきの本なんだよ。ネットオークションで手に入れて……」
 また怪しすぎるモノを。
 まあそんなこんなで、人形も持っていくように、という話になってしまう。
81:
 そして当日。天気はよくて風も気持ちよく、いい旅行日和でした。
 Dが萌えTシャツ来てることと、Aが金剛杵を手に持っている事以外は。
 ちなみに5万円したとか。真正のアホだこいつ。
 普通の電車を乗り換え、ローカル線を進む俺たち。
 福岡出身な俺としては、こういう席が向かい合ってるタイプの電車は実に懐かしくてテンションがあがりました。
 電車の中で、人形みせてくれというので見せると、かわいいという人もいれば萌えないという奴もいたり。
 いや萌えフィギュアじゃないから。
 三時間ほど移動してついたのはとある高地。レンタカーを借りてペンションへ。
 そして我々がやる事は……
 読書と執筆でした。俺は読書。文才あまりないんで。
82:
織姫が古本幽霊にNTRパターンか
99:
>>82
古本幽霊といえばA君が
ネットでネクロノミコンを二万円で買ってました。
アホですね。
83:
 地元のジビエ料理を食べた後、風呂に入り、自由時間。
 といってもやる事あまりないので読書か執筆か勉強か、っていう地味というか真面目というか、そんな面白みのないボクラでした。
 まあとりとめのない雑談とかもしたりするわけですが。
 そんな中、去年の金縛り事件の話に。いや実際にはそれ以上の事があったけど流石に言う訳にもいかないし。
 そのことについて話してたら、じゃあせっかくだし肝試しとかもしてみないか、という話になりました。
85:
 教授いわく、それなら面白い所があるから明日いこう、とのこと。教授が車を運転するという話に。
 すごい嫌な予感がビンビンでした。 
 その夜、織姫の人形もいるわだしみんな金縛りに……あったということは特になく。
 普通に朝に。
 自演するなといったから自重したのかな、と思いつつ朝飯を食べる。そして散歩やらなにやらで時間を潰す。
 昼は発表とか、ひとつの作品を回し読みしての討論会などを行い、ディスカッションを行う。
 そんなこんなで夕方……
86:
 夕食を食べた後、教授とDが運転するレンタカーふたつで移動。
 そこは人気のない神社でした。
「さぁぁて、肝試しをしましょうかぁああぁ、うふふふふふふふ」
 そんなビブラートを聞かせた気持ち悪い声色で言う教授。変な人だった。
 二人組になって神社を一周する、というシンプルな肝試し。
 だがしかし……Dが言葉をはさむ。
「二人組だと余るから半分ずつにしようぜ、それだとちょうど割れるだろ」
 !?
87:
 ここにいるのは七人、教授は残るから六人。すなわち二人ずつで3組になるのに……
 彼は何を言っているのだ!
 驚愕する俺たち。そして……
「……あ、計算間違えてた。六人なら割れるか」
 ただの脳筋だったようです。
 だが次の瞬間。
「そうだな、じゃあ半分ずつで」
 賛同する教授。何を言っているのか。
 よくわからんまま半分ずつグループわけをすることに。
 ABC、DE俺という分け方でした。
88:
 まずは先には俺たちが行く事に。
 暗い中、懐中電灯を頼りに進む俺たち。夜の神社と言うのはそれはそれはとても怖いものでした。
 頭の中でとにかくここの神様にごめんなさいすみませんと必死に詫びながら歩く俺。
 なにしろ神様の実在を知っているから、もう下手に罰当たりな事は出来ないわけで。
 ああなんで俺こんな所に居るんだろう、と。
 一緒にいるのは脳筋萌えオタと地味娘だし。まあカップルと一緒に歩かされるよりは百倍マシですが。
 そうやって歩いていると……
 Eが声を上げたのです。
「……! あれ」
89:
 ガサガサッ、と。音がしたわけです。
「!?」
 慌ててそちらに懐中電灯をむける。それが不味かった。
 そこには、白い服を着た髪の長い女性が。
 白い洋服。ワンピースではく、上は半そで、下は膝ぐらいまでのスカート。
 ものすごいボサボサの髪に隠れた顔はしかし白い肌がまるで岩のように際立って見えて、
 眼球は血走っていました。
 その表情は驚愕に凍りついており、
 手には……金槌。
90:
「……」
「……」 
「……」
「……」
 一瞬止まる時間。次の瞬間、
「くぁwせdrftgyふじこl?????????!!!!!!」
 声にならない絶叫を上げながら木々をかきわけてすごい形相で走ってくる女性。
91:
 意味不明の言葉を吐きながらやってくる迫力に俺たち三人はそりゃびびりあがりました。
 当然逃げ出す。
 そしたら転倒するD。やばい、殺される!と思いました。
 すごい形相でDに掴みかかる女。首を絞めようと手を伸ばし……
92:
「っせい!!」
 Dのボディブローが女性に決まる。
 見事な一撃でした。
 その場でうずくまって悶絶する謎の女性。
「逃げげげ!!」
 謎の言葉で叫ぶD そしてそのまま俺たち三人は顔真っ青にして教授のところに。
 さすがに教授も俺たちの必死の形相に驚いてました。
 そしてそのまま車に乗って慌てて帰る俺たち。
 まさに一目散でした。
93:
 ペンションに戻って飲み物を飲みながら事情を話すと、教授は話す。
「あそこは……丑の刻参りがよく行われる神社なんだ」
 そのまんまである。
「藁人形やらなにやらの跡があるから、肝試しに最適だと思ったんだけど……
 まさかガチで出くわすとは思わなかった。
 無事でよかったよ」
 いや、本気で怖かったです。
 しかし何よりも怖かったのは、あとから傷害で訴えられたらどうしよう、ってことでしたね。
 幸いにも訴えられることはありませんでしたが。
 いやしかし冷静に考えたら問題になりそうなアレですよね。みなさんは真似しないでください。
94:
 その後、織姫とまた夢の中で。
「だからいっただろー?」
「でもあれ生身の人間であって心霊系じゃないだろ」
「……でも丑の刻参りって心霊系だし」
「襲い掛かってきたのは人間だよね」
「……」
「……」
 話は平行線でした。
 まあ仕方ないから普通にヤったんですが。
95:
だいたいこんなかんじです。
大学時代のサークルでおきた怖い話でした。
いや本気で怖かったですよ。
96:
お前の勝ちなんだからものすごいことしろ下さい
99:
>>96
路上直立全裸をさせて色々しました。
夢の中の世界なんでまあ犯罪ではないはず。
97:
しかし、織姫ってなんなんだろう?
自然霊とか神霊とか物の怪とか死んだ人間の霊とか色々あるだろうけど
99:
>>97
自称は神様ですね。
101:
そんなに激しくはないですね。だからこっちが突き動かします。
ちなみに彼女の弱点は胸ですね。ちっちゃいけど。
普通にイクようです。
102:
彼女の方からセックスを求めたりする?
神というより妖精みたいだな
欧米のスピリチュアル本には織姫みたいな存在は書いてないんだけどね
103:
求めてきたりはしませんね。今のところは。
神と言っても西洋の唯一ゴッドとかと違って多神教の国ですからねえ
それこそ我が国は鰯の頭も神様になると諺に言われてますし。
108:
んじゃ、織姫は他にも加護を与えてる人が居るのかなぁ?
オマイの専属?
何にせよ超裏山
147:
>>108
専属ですね。
しかし俺以外には絶対に加護を与えない、ということではないらしく
俺が会ってそして気に入った人間には加護を与える事もあるようです。
しかし基本は「自力本願、天は自らを助ける者を助ける」であって
頑張ってない人間を助ける事は無いとのことです。
宝くじ買ったところで当ててくれるとかそういうことはない、と。
スクラッチ系のクーポン券とかもいいの当たった覚えないし。
110:
もし今後人間で好きな人ができたりとか、
付き合ったりしてHとかしたら
嫉妬されたりするのかな?
147:
>>110
神様は心が広いはずですよ?
113:
そういう、人形ってどこで手に入れられたりするんだ?
148:
>>113
こういう所にずばり書くと色々と不味いので控えますが。
書いてる話はぼかしたり強調したり隠したりしていることもありますが
「神を封じた人形を祭る」という風習がある事は事実です。
教授が前に教えてくれた有名どころではオシラサマとか。
まあ色々と調べたりして御縁があれば行き着くのではないかと。
友人Aはなんか本でその話を見つけて調べ上げたとか。
そんな行動力があるのになんですぐに飽きるのでしょうね彼は。
人生行き当たりばったり過ぎる。
まあ、何事も達成するまでの苦労が楽しい、というのはわからなくもないんですが。
121:
 夢の中で織姫と会ったので。
「ていうかそもそもいったい何なんだろう」
 と、俺は織姫に聞いてみました。
「何が?」
「いや、これって夢じゃない。超リアルで意識もしっかりしてて記憶も持続しててすげえけど、でも夢だし」
「夢だな」
「夢の世界の住人……というわけ?」
「違うな。言っただろ、神様だって」
「そこがよくわからんというか、そもそも今のこの状態が何なのか、と」
 そこの俺の疑問に、織姫は少し考える。
122:
「んー、生まれつきあるいは後から、普通に霊界や異界を見れる人間がいて、でも>>1はそういうことはないわけで」
「それはわかってる」
「でもそういう強い霊感が無い人間でも、異界に行ける事があるわけだ。それが夢だな。夢を舐めたらいけないぞ」
「夢というのは記憶の整理だと聞いてたけど……」
「それは知らないけど、それじゃ説明できない事だってあるだろう。
 夢とはな、うつつとかくりよを橋渡ししているようなどっちでもある領域なのだ」
 後に文献とかで調べた所、夢とは集合無意識だのアストラル界だのとも言われていて、
 人間はみな無意識にそこにアクセスしていてそれが夢……だという。
 それを鵜呑みにするわけではないけれど、それを考えるとなるほど確かに、ということなのだろう。
123:
「夢が記憶の整理という事もまた正しかろう。
 私が出てこない普段の夢は今のようにはっきりとしてなくて荒唐無稽でおぼろげだろう?」
 と織姫は言う。
「まあ確かに」
「意識がはっきりとしてない時はな、主導権を握れていないから受け身なのだ。
 自身の記憶に影響されて夢がめまぐるしくかわる。
 たとえば昨日食べたご飯の記憶があれば、風景や時間がそれに影響されてしまう。
 そして次々と影響されて投影されるから荒唐無稽なのだ」
「つまり夢の世界は鏡のようなもので、記憶と認識によって形が変わる。
 普通に寝てる時は意識のレベルが低いので自分の記憶と認識をコントロールできないから荒唐無稽だけど、
 自分の意識がしっかりしているとこの世界をコントロールできる?」
124:
「うむ。といっても全てではないがな。
 >>1が掌握できるのは自分自身と自分の周囲、そしてこの場所だけだ」
 織姫の説明と、後に調べて見た事をあわせると、夢……幽界には階層があるらしい。
 おぼろげで荒唐無稽な普通の夢の階層、
 一般に言われる明晰夢、自分が好き勝手自由自在に操れる階層、
 そしてその上には他の人達と共有する階層、世界……というふうに。
 つまり、今俺がいる世界、見ている夢はいわば俺の家、俺の城、俺の領地……というかんじのようだ。
 領地と言うか、島のような。
125:
「じゃあ、他の人には会えないのか」
「普通は会えないな。ごくたまに、あるいはよく各々の領地がすりちがったりかさなったりしても、大概はそれを認識する事は無い。
 みんな基本的に自分の世界しか見えておらぬのだ」
「基本的に、というなら例外的な人もある?」
「うむ、それが霊能者とかいう者達だな。もちろん、霊能者と言うものの理屈が全てこれで説明できる、という事は無いが。
 よその世界、異界を認識できればその住人達もまた見る事が出来る。
 こないだもお前が気づいていないだけで客人が来てたぞ?」
「マジか」
「マジだ。別に悪さはしてなかったから安心しろ。そもそも私がいるんだ、そんな連中は通さん。
 私だけではなくて、そういう世界を守る存在は殆どの人間にいるからな」
「守護霊とかそういうもの?」
「うむ」
126:
 そこまで言って、思い至る。
「俺は友人Aからお前の憑代である人形を譲り受けたわけだが、じやあ今あいつには?」
「……」
「……」
 黙る織姫。心なしか目が泳いでる。
 流れる沈黙。
 
 友人A……
「ま、まあ別にいいけど。あいつなんだかんだで逞しいし」
「タフだもんねー」
 よかったなA、神様のお墨付きだ! 頑張れよ地獄のタフガイ。
127:
「そういやそれで前任者? みたいなのはいたの?」
「うむ。人によっては複数いる事もある。お前には一人いたけど、今は別のところに行ったな」
「どんな人だったの?」
「んー……まあ普通の人? とりたててとりえもなとそうな40歳ぐらいのおじさんだったかな」
「おじさんか」
「ああ、それで謝ってた。あ、あの後にな」
「合意だから謝る事ないのにね」
「どの口がそれを言うか!」
「Aにはどんなのが?」
「……いなかった。い、いや私が見つけられなかっただけかもしれないし!」
 A……お前って奴は。漫画かラノベのおもしろキャラか。
128:
「しかし他のか……あってみたい気がするな」
 そう思う。ここが俺の世界なら、ある意味はただの妄想と変わりがないわけだし。
「会えるぞ?」
「マジか」
「うむ、方法はいくつもある。さしあたって今可能なのは、ここから別のところに行く事だな。
 ただし、だ。無礼なことはするなよ」
「するはずないだろ」
「……」
 ものすげぇ目でにらんできた。
 だれもなにもしていないのにね。
129:
「んで、行くにはどうすればいいんだ」
「んー、どうだろうな。そういうの試したことないし」
「おい」
「まあ変に工夫しないほうがいいな。おい目をつぶれ。そして私の手を掴め」
「お、おう」
 言われたとおりにする。
「では歩くぞ。ついてこい」
 織姫が歩きはじめるので、一緒についていく。
「もういいぞ」
 言われて目を開けたら、そこは山中だった。さっきまでも山の中だったけど、それとは別の山だと一目でわかる。
「ここは誰の世界? 俺の知ってる人?」
「阿呆。他人様の世界にお前みたいなけだものを連れて行けるか。
 ここはしいて言うならひとつ上の階層、みんなが共有している所だ。
 ほら、そこから下を見て見ろ」
 言われたとおりに、指刺された高台というか崖と言うか、そこから下を見てみる。
131:
 そこには町があった。
 自分の服装やら織姫の感じや町と言うロケーションから古い時代劇みたいな村かと思いきや、普通に現代の町だった。
 アスファルトで舗装されてる道があり、建物があり、人も歩いている。
「まああの人々のうち半分は他の人間がイメージただけの人形みたいなものだが」
「みんなが共有はどうした」
「お前だって自分の夢で街にいたり学校にいたりしたら他の人間がいるだろ?
 あれだってみんなお前のイメージで作られた影、書割、はりぼての人形みたいなものだ。
 お前の一部分でもあるし、中には自我が普通にあるものもいるが。
 そしてうち半分は意識的あるいは無意識的かは知らんが、この世界に来ている人間。そしてもともとの住人だ。
 中には人間じゃないものが人間の形をしているものもいるぞ」
「荒唐無稽だなー……まるで漫画みてぇ」
「現実はものすごいぞ。漫画など人間が想像しただけのものだが、
 現実の幽界はその想像がさらに反映されパワーアップしたものが足されているからな。
 そしてもう一度自分の身体を見て見ろ」
 織姫に言われて見てみる。
132:
 すると、自分の服装は作務衣みたいな和服ではなく、普通の洋服になっていた。
「あれ、なんで」
「ここはそういう現代の街だからな。そこに和服の人間がいたらおかしいだろう。
 そういう無意識のイメージがこの場所を作っているから、あらがおうとせぬ限りは人の意識はその常識に流される」
 そういう織姫は相変わらずの和服だった。
「和服に戻そうと意識すれば、いつもの要領で戻せるがな」
 仕方ないので小林幸子みたいな衣装に変身した。輝いてます、俺。
「戻せ阿呆」
「なんで」
 今思えばなんでもくそもないと自分でも思う。
「目的はここじゃないからな」
 そういって織姫は俺の手を掴む。
「ゆくぞ」
133:
 そして次の瞬間視界が切り替わる。もっと山の上の方に行った感じ。
 そこには神社のような建物があった。
「■■どのー」
 名前は聞こえなかったが、何かの名前を呼びながら鳥居をくぐる織姫。俺も一緒に入る。
 そして社に入ると、社の奥から誰かが出てきた。
 そこに出たのは……
 神主さんだった。
 ただし、頭が鶏。まごうことなきニワトリでした。
134:
「な、なにこの人! ……人?」
「神様だ」
 狼狽する俺に、織姫が言う。
「と言っても神話に残るような古くも偉くもないですけどねー」
 静かな声が鶏の口から出る。表情が読めない瞳で語りかけてくるその神様はとてもシュールだった。
「ええと、その、何の神様なんですか?」
「山の神の眷属です。主に鳥類たちの一部をまとめたりしていますね」
 それは見たらもう否応なくわかります。
 なんというか、パロディされた天狗みたい。カラス天狗ならずのニワトリ天狗というか。
「ああ、それはいいですね。ではそう呼んでください」
 採用された!
 無礼な考えをあっさりと受け流すどころか肯定してくる。神様って心広いんだなあ。
「それで、>>1さんはどのような用件で」
135:
「……えっ」
 要件など俺からは特になかったのだが。
 織姫の方を見る。
「ええと、無いな、うん。あ、なんか他の人と会いたいと>>1がいったから……」
 考えなしの行き当たりばったりのようだった。
「なるほど。そういうこともあるでしょう」
 許された。
 しかしそうなると話題が無い。
 そもそも別の神様と会うことになるとか予想外だったし。
 それでもなんとか話を聞いてみる事にした。
「え、ええと。ニワトリ天狗様って、何処に祭られているんですか?」
「特に祀られてませんね」
 祀られていないのか。
「忘れられた神、捨てられた神もいれば新たに生まれた神もいますからね。
 人間がそのすべてを把握し管理して祀るとは無理でしょう。
 織姫さんとて、ある意味では最近生まれたばかりの神でしょう?」
 人形に降ろされて、守り神人形となった時点で、ということなのだろうか。
 つまり俺は零歳児を……ゴクリ。
「おいそこ」
 とりあえず彼女を無視して話を進めてみる。
136:
「……じゃあ、神って何なんでしょうかね?」
 信仰を受けるのが神かと思ったけど、そういうことじゃないのかもしれない。
「ふむ、難しい話ですね。大局的に見れば、人間の魂もまた神と言えますし、
 狭義で見れば私は神ではない、ただの鳥頭人身の怪物やもしれません。
 ……あなたには、私は何に見えますか?
「ゆるキャラ」
 即答してしまった。
 ゆるキャラじゃなかったら特撮の怪人かなあ。正義側の。
 今(この書き込みしてる2014年現在)やってるキョウリュウジャーのトリンみたいな。
「ならばそうなのでしょう。全ては主観ですよ。
 心で受け止め、信じたものを信じればよろしいのです」
「信じたものが悪いものだったら? いや、あなたがそうだとは言うつもりは全くないですけど」
 信じた結果騙されてしまう被害者が世の中には多いので、ちょっと気になった。
137:
 ニワトリ天狗様は言う。
「試練です、などと言うつもりはありません。
 人間であれ、霊的な存在であれ、人を騙して信じさせようとするものは確かにいますからね。
 騙される人には、騙される人の問題もあります。
 騙される方が悪い、のではなくてですね。
 何かが間違っていたり、目が曇っていたり、鼻が利かなかったり、色々と、です。
 そういう人たちは……一見素直に信じてしまったように見えますが、そうじゃないんです」
「と、いうと?」
「人は、自分の視たいものを見て、信じたいものを信じます。
 お金儲けの詐欺に騙されるのは、金銭欲につかれているから。
 神を名乗る魔に騙されるのは、自分のみに都合のいい神を求めているから。
 良くも悪くも、人は望む世界を手に入れるのです。
 我欲、我執、信念、固定観念に固まっているから目が閉じてしまう訳です。
 難しい事ですが、それらを取り払って本当の意味で素直に全てを見る事が出来たなら……」
 表情が全く変わる構造をしはていない鶏の頭なのに、すごく優しく微笑んでいるように見えた。
138:
 確かにそれはものすごく難しい事だと思う。
 それが完全になせたなら、悟りに至ったとかそういうレベルではないのだろうか。
「完全に至る必要はありません。そうあろう、と心から思っていればそれでいいんですよ。
 そうすれば、普段からも神や霊が見えるようになるかもしれませんね」
「霊能力が?」
「神様的な立場から言うなら神通力、と言いたいですね。
 いや、どちらでもいいことですけれど。
 信じて、神や霊、重なり合った隣の世界住人の存在を信じて受け入れて、今までの自分を変えていく事。
 そうすれば見えてくるでしょう。
 いや、すでに見えているのではないでしょうか。肉眼による視覚としてとらえる事は出来なくても」
「なんかそこにいるかも、みたいな……?」
 そういう雰囲気なら確かにわからないでもない。
 まあそれは気のせいだ、として大半の人間が感じながらも無視して忘れて行っているのだろうけれど。
「はい。気のせい、ですね。そう、まさしく「気」のせい、と申しましようか。
 生きている人間にそれを把握するのは難しいでしょうけれど」
「まあ確かにとても難しいです」
「なので無理する事はありませんよ」
「は、はい」
139:
 それ以外にもとりとめのない話をして、社を後にする俺たち。
「なんというか、いい人だったな」
「だろう?」
 どや顔する織姫。
 しかし色々と面白い話を聞けたと思う。
 そして今思う事は……
「とりあえず、しばらく鶏肉は食べたくない」
 普通に人語を喋るでかい鶏と会話したら、そうも思うのも当然だと思います。
 鶏を締めるのを見て以来肉が食べられなくなった母の気持ちがちょっとだけわかる気がしました。
143:
あとさ、いくらなんでも会話覚えすぎじゃね?
一応夢の中だろ?
145:
>>143
夢日記はちゃんとつけるようにしてますし。
内容に関してはその後に自分で調べて検証したこととかも混ざってますがだいたいあんなかんじでした。
あと書いてたら忘れてたことがなんかものすげぇ鮮明に思い出せます。
時々イメージがまるで当時の夢の中を視覚的に再現してるように感じられたり。
まあ一字一句完璧再現してるわけじゃなくて、だいたいこんなかんじ、を脚色したものと見ていただければ。
151:
織姫とはどのくらいの頻度で会ってんだ?
オマイが望めば会えたりする?
153:
>>151
そんな自由自在にあの世界に行ける、というほど熟練しているわけではないので……
あとから俺が行ってるのは幽体離脱、体外離脱というものだと聞いて練習もしてますが完璧ではないですね。
ただ、居る事をイメージすればそこにいるかいないか、とかは感じられます。
常に視覚像として視えるわけではないですが。
普段はよく漫画家や小説家が「キャラが脳内で勝手に動いて話す」みたいなあんなかんじで、
一人二役の脳内対談というかそんな感じでの会話もしたり。
後に夢で会った時に「こういう話したよね」と言うとそれが合致したり、私そんな事言ってないと言われたりもあります。
155:
なあなあ、声が聞こえてたらラップ音みたいな感じで何か鳴らしてもらう形で合図してもらおうぜ
158:
>>155
ラッブ音なら何度かありましたね。
でもまあ今となってはわざわざそれをしてもらう理由がない、見たいな感じです
161:
やっぱこのスレすごいね
俺が読んだ「ベールの彼方の生活」もかなり似た感じで霊界を移動してたし、
階層もちゃんとあったよ
ニワトリ天狗様の言う事も「シルバーバーチの霊訓」や「神との対話」で
高級霊が語っていた事と通じるものがある
でも欧米の本だと、本当にこういう神のようなあいまいな存在のエピソードは全然ないんだよね
imimiさんや江原啓之が対話したのも日本の神様だけだし
シルバーバーチも神との対話の自称神(本当は著者の守護霊)も、
神は完全な無人格で、宇宙の法則そのものか、宇宙そのもので、
イエスキリストは人間だと言ってたしね
164:
>>161
認識の問題なんでしょうね。
古今東西であの世の仕組みとかが色々と食い違ってるけど
それを見た体験した人間の常識、信念、感覚のフィルターを取ってみると
それは全部言い方や見え方、受け取り方が違うだけで同じものなんじゃないかなあ、と。
162:
>>1は離脱も試してるみたいだけど
離脱したら織姫と会えた?
164:
>>162
そもそも一番最初に彼女の足を掴んだとき
幽体離脱したっぽいです
それ以降は明晰夢を経ての離脱、ってかんじで
そのあとで自分で離脱挑戦して成功した時は
織姫が出てきたりします
163:
幽体離脱で思い出したが、タルパとかとも関係はあったりするのだろうか?
164:
>>163
タルパ、かぁ……
暴走させた人ってまじで怖いし大変ですね
あれが中高生にまで広まってたのにはびっくりしました
大変だった
タルパって人が信仰で神様を作り上げるプロセスの簡略化したものなんでしょうね
魔術や呪術の式神とかみたいなのも原理は同じでしょうし
タルパの話が出たんで次はタルパの怖い話をするとします
ただ1日からちょっとPCを数日間離れるんで
もしかしたらそれを話せるのは二月の三日か四日ぐらいになるかもです
165:
俺は怖いの苦手だから離脱しようとしても耳鳴り辺りでびびっちゃうんだよなぁ
織姫から来るときと、離脱時で会う時は何か違う?あと離脱中鏡見た?
166:
>>165
自分で色々と試してて前兆が来たとき
ものすごい衝撃と痛みが来てものすごくビビりましたね……
幽体離脱関係の書籍を色々と本屋で見て、試したわけですよ
ヘミシンクは買うお金が無かったんで、瞑想して寝る感じで。
面白いのが、離脱の練習を始めてから夢で彼女が出る事が無くなりました、全く。
明晰夢にもならず、普通の夢しか見ない。
もしかしてやらない方がよかったのかな、と思いつつも一か月ぐらい過ぎたらようやく前兆が。
金縛りにあい、全身がゆっくりと振動して、ぶるぶると来た後、胸に痺れるような衝撃が
ずどーん、とかずきーん、とかそんなかんじで。
そして恐怖で、やばいやばいと思ってとにかく逃げたい、起き上がりたいと思いつつも
いやここで逃げたらまずい、って必死にあらがってると
手が掴まれたんですよ。女の子の手。
あっ、これは織姫だな、と思ったら、大丈夫だぞって声が聞こえて、引っ張られるというか引っこ抜かれる感じで。
そして離脱完了。真っ暗だった視界が晴れてくると、自分の部屋、そして目の前に織姫が。
自分の部屋はなんかちょっと家具の位置とかが本来と変わったりしてましたが、それでも確かに俺の部屋でした。
167:
鏡は見ませんでしたね。
一番最初の時と違ったのは、寝ている自分の姿がちゃんと布団にあったこと。
そして一緒に部屋の外に出てみると、風景も住んでる町に「似た場所」でした。
車とかもあるし人も歩いてる。
歩いてた人たちが自分のイメージなのか、それとも幽界の住人なのか、あるいは現実に生きてる人達のこちらの姿なのか
それは判別がつきませんでした
その後は川に行って釣りをしました。何も釣れませんでしたが。
あとは自力での離脱成功記念にということでラブホに行きました。
実際の部屋と同じなのか食い違ってるのかは検証不可。
168:
>>167
初回で結構長くいれたんだね
やっぱ楽しそうだわ
鏡見ると守護霊みたいなパートナーがでるって聞くから>>1の場合どうなんだろうなって思った
第二の織姫的な
185:
「おい>>1、同人イベント行こうぜ」
 同人イベント、という言葉と似合いそうにない同級生Dが俺に誘いをかけてきたのは、秋の日の事だった。
 俺はその日は普通に暇だったので、断る理由もないし快諾した。
 今でも思う。断ればよかったと。
 同人イベントはもう説明する必要はないと思うけど、コミックマーケットみたいな同人即売会である。
 ディープなアキバ系ではないもののやはり漫画やアニメやラノベとかは普通に好きな俺なので、そういうのに抵抗は無い。
 イベント会場の近くの駅で待ち合わせることになった。
186:
 そして集まる人達。男女合わせて六人、俺を入れて七人。
 その中に、彼女はいた。
 女子中学生のU子である。
 外見は可愛い方だった。ポニーテールでハキハキした明るい子、というのが最初のイメージだった。
 そして皆でイベント会場に行き、サークル入場でDたちが先に入る。チケットの数が足りないので三人は一般口から入場である。
 ならもっと遅れてきてもよかったのに、と思ったが、一般列で並ぶのもまた醍醐味、らしい。
 そうして並んでいると、U子が俺に話しかけてきた。
 少し普通のとりとめのない世間話をしていたのだが、不意に彼女が言う。
「Dさんから聞いたんですけど、いわくつきのアイテム集めてるって本当ですか?
188:
 それはAの方だ。
 いや、あいつから譲ってもらったとびきりのいわくつきアイテムがあることに変わりは無いけれど。
「いや、俺はそういうのを集めてるわけじゃないよ。集めてる奴は他にいる。
 だけどそいつから買い取ったものもあるよ」
 ……と。よせばいいのに話してしまったのは、ただ二時間も並ぶのが退屈だったからだろう。
 彼女はそして案の定食いついてきた。
「へー、すごいです! 私そういう怖い話とかオカルトめいたもの大好きなんですよ!」
 そうキラキラ輝く眼で見られて悪い気がする男はいないと思う。
 その手の話で盛り上がり、時間は過ぎ、即売会が開場する。
 Dのいるスペースへと移動する俺たち。
 そして、U子は言った。
「あの、知ってます?」
 何をだ。
 というほど俺もアレじゃないので、ここは素直に「知らないけど何?」と聞き返してみる。大人ですね、俺って。
「タルパ……っていうのがあるんですよ」
「へえ」
 その時は初耳だった。
189:
 U子いわく、チベットの門外不出の秘術であり、人工未知霊体という意味らしい。
 目の前に想像して対話を重ねる事で人工的に霊を構築していくとかなんとか。
 熟達すればやがて他人にも見えるとかなんとか。
 かなり眉唾ではあるが、そういうこともあるのだろう、とは思った。
 現に神様幼女と出会ったりニワトリ天狗様と話したりしたことがあるので、頭から否定する理由は何処にもない。
 ただ、なんか危なっかしいな、というイメージを漠然と抱いたのは覚えている。
 イベント終了後の飲み会には彼女はこなかった。
 いや、中学生だし当然だけど。
 変える時にケータイのメールアドレスと電話番号を半ば無理やり交換させられる。
 ちなみに女の子のケータイ番号とメアドを知るのは、連絡網・名簿的なもの以外では人生初であった。
 もし、織姫に出会っていなければきっと舞い上がって惚れ込んでいただろうと思う。
 ちなみに……
「今度そのAって人のところに連れて行ってください!」
 この言葉もあったから、ああ別に俺に気があるわけじゃないんだな、って思えた。
 だから、その時は可愛い妹が出来たようなそんなかんじだった。
 飲み会でDも同じようなことを言っていた。
190:
「あいつ、恋愛対象としては全くノーサンキューだけどかわいいよな。
 妹みたいで。でも妹って普通は攻略対象だからちよっと違うか」
「普通って何だよ」
「この世には二種類の人間しかいないんだよ。攻略可能か攻略不可か、だ」
「お前黙ってれば本当に体育会系イケメンなのになあ」
「褒め言葉と受け取って置こう」
 飲み会が終わると、U子からメールが来ていた。
 簡単な挨拶だったので、こちらも軽く返しておく。今日は楽しかったです、と。
 即返信が来た。
 女の子って、返信が早くてしかも連続で来るものだと驚く。
 なんというか、会話の切り上げどころがわからん。
 これから風呂入るので、というと、
『そうでしたか、がんばってください! お風呂、覗きますねウヒヒww』
 みたいなのでメールは終わる。
 すっげぇ疲れました。
191:
 その日はちょうど夢の中で織姫と出会えた。
「……お疲れ様」
 織姫は憐れむような眼で見てくる。
 こういう時って、他の女に鼻の下伸ばしてー!きー!とくるんじゃないでしょうか、と聞く俺。
「いやまあ、あれ見てたら振り回されて大変だなあ、と思ってのー……膝枕しようか?」
「お願いします」
 夢の中の和風邸宅の廊下で、外を見ながらのんびりと寝転がる。
「そういや、タルパって知ってるか?」
「知らぬ」
 返答はあっさりとしたものだった。
「お前を通してあのおなごから説明は聞いておるがな。なんともな。
 そもそも秘伝が簡単に世に流出するはずが無かろう、と私は思うぞ。いや、流出した時点で秘伝秘術ではなくなる、といったほうがいいか」
「日本のそういう秘術も流出していないものって沢山ある?」
「あるぞ。お前も知らん、私も知らんものも沢山な。
 だがえてしてそういうものは、知るべき時、知られるべき時が来れば世に出るものだ」
「そういうものか」
「私の存在だって、本来は地方の秘められた村の風習だ。しかし知る者が増えて、紆余曲折を経て私とお前は出会った。
 それにどんな意味があるかはわからんが、たしかに意味はある。
 そういうものだぞ、>>1」
「そういうものなのかな……」
193:
「しかし、たるぱか。秘術と言うが、原理自体は簡単なものだな。
 日本の式神とそう変わらん」
「そうなの?」
「うむ。依代があるかないか、よそから降ろすか内から分けるか、そういう違いはあれどな。
 己の気を込めて作るという意味では基本は同じだぞ。
 無意識にやっている人間も多い。生き霊、というのは聞いたことあるだろ」
「ああ、それは聞いたことあるなー。強い執念や怨念が生きたまま幽霊になって向かっていくってやつ」
「無意識ゆえに術とはほど遠いが。呪いとしては確かだぞ。
 あの手の鬼はしつこく厄介だ。私も戦ったことがあるが」
「生まれて一年ぐらいじゃなかったか、お前」
「人形に魂降ろしをされて守り神になってから一年、だ。当然それより過去も私にはある」
「別の神様やってたとか?」
「んー、なんというか当たらずとも遠からずだ。大神の眷属、末たるものとして働いたりな」
「メイドさんしてたのか」
「何故そうなる。お前あやつに影響されたか」
 あやつとはDのことだろうが、俺は影響されたつもりはない。
195:
「だが気をつけろよ。
 生兵法は怪我の元と言う。不用意に妙な術を行おうとすればそれは己に還ってくる。
 ましてやお前は術者でも何でもなかろう」
「そりゃそうだ。俺はそういうのになれるとは思わないし」
 かっこいいとは思うけど。現実には、丑の刻参りに遭遇して悲鳴あげて逃げるような人間ですし。
 腰抜かしながらも返り討ちにしたDはすごいと思う。
「二人で退魔バトルするのも面白いぞ?」
「もう飽きた」
 何を隠そう、最初の頃は怪物を設定して作りだして戦ってたりした。
 なにしろ、この世界は俺の自由自在になる自分の領地、夢の世界だ。
 特撮ヒーローに変身して戦うことだって自由である。
 仮面ライダーディケイドに変身していろんな怪人と戦ったりしたこともあるし、自分でデザインしてやってみたこともある。
 めっちゃ楽しかった。でも同じことばかりやってても飽きると言うもので。
 かといってガチ怪物と戦う気は無いし。
「同じ事やり続けて飽きないのはエッチだけだ」
「阿呆」
 ぴしゃり、と叩かれた。
196:
 それからというもの。
 女子中学生のメール攻撃は続いた。
 ほんとうになんでもない文面の雑談を次々と送り込んでくる女子中学生U子。
 ごめんなさい、JCの底力舐めてました。
「相手するからそうなるんだよ」
 Dは言う。
 相手しなきゃそのまま返信はこない、でも翌日にはま普通に来る、だから適当にしときゃいい、と。
 付き合ってる相手でもないんだからこじれる訳でもないしこじれてもべつにいいだろ、ということでした。
「いやでもこじれたらその……いろいろと心労が」
「お前けっこう繊細でへたれな」
「お前が図太いだけです。オタのくせに」
「世の中には二種類の人間しかいないんだ。図太いか、繊細じゃないか」
「同じじゃねぇか!?」
「……ま、狙ってるんじゃなきゃほどほどにな。
 オタはな、自分の相手してくれる人間に無条件に惚れやすい生き物だからな」
「難儀な生き物だな。ていうかお前も?」
「おう。しかし不思議と中々話しかけてもらえん」
 体育会系だから同じアキバ系からは敬遠されているのかもしれない。
197:
 そして、そういう日が続いていた頃……
 ぴたり、とメール攻撃が止まった。
 俺から何かしたわけでもなく。メールで地雷踏んだわけでもない……と思う。
 しかし急にぴったりと止まる。気にはなったものの、特にこちらから連絡する用事もないし、そのままにしておいた。
 そして、土曜日の夕方、うつらうつらと横になっていたら……
 いつのまにか寝付いたのか、夢を見ていた。しかしいつもの明晰夢、離脱夢とは違う。ロケーションもなんか違うし、織姫の姿が無い。
 無いなら呼んでみようか、と思っていたら……
 胸に激しい衝撃。
 かつて最初に離脱が成功した時に似ているけどそれとは別種の、激痛が。
198:
「……え?」
 というか、胸から銀色の何かが生えていた。
 赤く塗れるそれは……刀の刀身だった。
「ぐ、ぎゃああああああ!!?」
 痛い、すごく痛い。
 かつて化け物を作って戦いごっこをしていた時に殴られたりした事もあったが、軽い痛みや衝撃ぐらいだった。
 こんな激しい痛みは感じた事が無かった。
 転がる俺。倒れた時に刀はすでに抜けていたが、痛みはすごく後を引いていた。
 そして苦痛を感じながら上を見上げると……
「え?」
 そこに立っていたのは、
 某ブリーチに出てくるお子様隊長、日番谷だった。
続く
204:
>>1乙
面白い流れだわ
織姫さんVS人工精霊の流れになるのかな。
退魔師としては今後の話楽しみにしています。
229:
お疲れ様です、>>1です。無事もどってきました。
車で移動中に真っ白い煙のような人間型の不気味な影を見ましたが無害でした。
ちなみに運転してた人は坂道で転げ落ちる首みたいな何かを見たとか。
すげぇなT湖周辺。
そろそろ続き投下いたします。
230:
前回までの話!
かわいい女子中学生と知り合った>>1、しかしそのJCはオカルトマニアだった!
そこまでならいいんだがちょっとストーカー気味だった!
そして始まるストーカーじみたメール攻撃、辟易する>>1。
そんな時、メール攻撃が止まったのだが……
>>1の夢の世界に現れ、攻撃をしてくる何者かがいた!
その姿は……なん……だと……!?
231:
「ちょっと待て、なんだよお前!?」
 激痛に苦しみながらも突っ込む俺。なんでそんなんが出てきて襲ってくるのか。
 マンガやアニメの夢は見た事があるが、こんなことは初めてだった。
 日番谷は無言で刀を振り回して襲ってくる。俺はパニックになってひたすら逃げるしかなかった。
 ちなみに、アニメ絵そのものがそこにいる感じではなくて、三次元っぽいというか、2.5次元というか……
 上手く説明できないけれど違和感は夢フィルターで消えている感じ。
 いや当時はそんなの気にするヒマなかったわけだが。
「なんだこれ、ぐっ、な、なんだよこれぇ!?」
 今まで夢の中でバトルごっこした経験なんて完全に忘れて無様に逃げるだけの俺。
 そして倒れてうごけなくなる。
 あの時のDみたいに倒れながらも逆転の一撃を、なんてとても無理で。
 刀を振りかぶる日番谷。
 やばい、やばいやばいやばいやばい!
 そして俺は……
232:
「織姫ぇええええっ!」
 彼女に縋るように、名前を呼ぶしかなかった。
 次の瞬間、場面転換。
 気が付いたら、自分のいつもの夢の中の屋敷にいた。
「……っ、!」
 我に返る間もなく胸に激痛が走る。
 見ると、血で真っ赤に染まっていた。
 その血をみた瞬間、意識が飛びそうになるが……
「阿呆。気をしっかり持て、大丈夫だお前は死んでない!」
 織姫がいて、俺に声をかけてくれた。
「痛くない、痛くないぞ。痛みなど消せる、ここはお前の世界だ、お前の城だ。お前の夢だ。
 お前がここで死ぬ道理など無い。
 夢で殺されたとて、人間は死なぬ!」
 彼女の声に少しずつ落ち着きを取り戻していく。
 そう、これは夢。
 昔は死ぬ夢を何度か見た(仮面ライダーに日本刀で切り裂かれて断面にハンバーグ詰め込まれて死んだ)事があるけど、
 それで死んだことなんて一度もない。
 そう思っていると、痛みはまだ鈍く残ってはいるものの、傷と血は消えていた。
233:
「……ふぅ」
 井戸からくみ上げた水を飲んで、一息つく。まだ胸は痛い。
「……なんだったんだ、あれ」
 俺はそう織姫に聞く。
「……ふむ」
 織姫は考える。
「あれは、鬼だな。いや、しかし漫画のキャラクターの姿をする鬼、か……
 かなりおかしいぞ」
「うん、すごくおかしい」
 それにあれは鬼じゃなくて死神だし。設定上。
「まあデザインはおいといて。なんで鬼が……」
「お前、誰かにひどく恨まれたとか、そういうことは無いか?」
「特に思い当る事は無いけど……」
「誰かから恨まれ憎まれたかせねば、あの手の鬼が来ることは無いぞ。あれには明確な悪意があった」
「悪意、か……」
234:
 正直、ぞっとした。あんな悪意をぶつけられる覚えなんて全くない。
 明確な殺意をぶつけられて殺されようとするなんて、テレビの向こう側の話だとばかり思っていた。冗談じゃなかった。
 だけど、確かなことが一つ……
「ありがとう」
「んむ?」
「織姫がいなかったら、たぶん俺殺されてた。
 いや夢で死ぬ事は無いのかもしれないけど、ショック死してもおかしくなかった……
 てや、取り殺されてた、っていうのか、そうなってて不思議じゃない。
 でも、お前の名前呼んだら都合よく逃げられたのは、助けてくれたんだろう?」
 その言葉に、織姫は頬を染めてそっぽを向く。
「わ、私は守り神だぞ。本分に戻って働いただけだ。そもそも私がいたのにそれだけの傷を許したことが……」
「でも、俺は生きてる。本当にありがとうな」
「……」
 黙る織姫。かわいい奴だった。
 しかし、本当に心当たりがない。そしてどうすればいいのか、これから……
235:
「あれ、また襲ってくるのかな」
「おそらくな」
「……ずっとここに引きこもってる訳にはいかんし」
「夢は醒めるものだ。現世に戻ればそこは肉体を持つ人の領域なのでいきなり切り殺される事はあるまい。
 そこまでの鬼ではないし、むしろそこまでの鬼ならとっくに殺されてるぞ」
「じゃああれは……」
「タイミングを見て襲ってきたのだろうな。
 しかし一度把握したからには、私が守る。だがそれにも限界はあるぞ。
 おい、お前に霊能者の知り合いとかは……」
「いません」
「だよなー」
 そんな都合のいい人はいない。オカルトマニアなら数名知ってるがみんな知識はあるが霊感とか無い人ばかりだ。
 求む、寺生まれの破ぁーっ出来る人。
「ならばとれる方法はいくつか限られるぞ。 
 ひとつ、私がかけあってもっと上の神霊の力を借りる。
 この場合、まず私の面目がない」
「いきなり生々しい」
236:
「それに加えて、上の神霊が素直に力を御貸ししてくれるかわからん。確実に代償を背負うことになるぞ」
「代償って……」
「仕事を命じられたり、だな。現世で色々と動かねばならなくなる、バトルもあるぞ」
「いやですん!」
 またあんなふうに刺されたり斬られたりするのはまっぴらごめんだよ!
「……他の方法は?」
「霊能者を探して依頼する」
「わー、他力本願」
「確実ではあるがな。しかし上手くいいのが見つかるかという点では不確実だ。
 そして三番目だが……」
「三番目は?」
「術者を捜し出して止める事だ」
 バトルものよりも探偵もののほうが、まだマシである。
237:
 目を覚ますと、ものすごく疲れていた。
 胸にはまだ痛みが残っている。かなり痛い。
 心臓発作とはまさにこんなかんじなんだろう、と思った。
 台所で浴びるように水を飲み、深く深呼吸を繰り返す。
 そして冷蔵庫を開け、とにかく今食べられる食材をかたっぱしから胃に詰め込んだ。
 そしてコンビニに出かけて栄養ドリンクを飲む。
 とにかくエネルギー補給が大事だと思ったのだ。霊体か魂か、そういうのを刀で貫かれ、痛みがまだ残っている。
 このままほっといたらろくなことにならないだろうというのは容易に想像がついた。
 あと、コンビニからの帰りに車にはねられそうになったけど、これはただの俺の不注意だと思っておいた。
 この場合、下手に連想して関連付けてしまうとそれがさらに呼び込んでしまうと思ったからだ。
 レッツポジティヴシンキング。むしろ車に轢かれなかったのは織姫が守ってくれているからだ。
 さて、俺を狙っている人間を特定しないといけないのだが。
 こういう場合は、自分に心当たりがない以上、地道な聞き込みしかない。
 だがしかし、探偵スキルなんて俺には皆無である。どうしたものか……
238:
「それ、U子じゃね?」
 Dの言葉であっさりと目星がついてしまった。
 彼には詳しい話はせずに、夢で日番谷隊長に襲われた、みたいなことを言っただけなのだが。
「タルパの話、されただろ。俺前に聞いたけど、あいつのタルパっての日番谷隊長をモデルにしたって言ってたし」
 ものすごくビンゴだった。
「……というか、お前もそういうオカルト信じてるんだ?」
「あったらいいなあ、と思ってるしあるんじゃないかな、とも思ってる。
 んで、他人の体験を頭から否定する事はしねぇ。
 あと。タルパ作っておかしくなった人間の話も聞いたことあるしな。
 あれは統合失調症に自分からなるようなもんだと聞くぜ」
「……想像以上にやばくないか、それ」
「やばいな。だけどああいう手合いが言われてやめたりはしないだろ。特に女だぞ。
 肯定と同意以外は聞く耳なしだからな、女って」
「お前女嫌いなの?」
「客観的に言ってるだけだよ。
 それにU子だが……」
239:
 そうして俺は耳を疑う話を聞いた。
 オート化したタルパが、俺の悪口を言っていたらしいのだ。
 いきなりメールが止まったのは、おそらくどうやらたぶんきっとそれが原因だろう。
 タルパ日番谷と会話していたら、日番谷があいつは駄目だ、と言い出したとか。
 その話をU子が女友達に話してて、それがDの耳に届いたらしい。
 
「女って怖いなあ……俺、何もしてねぇよ」
「何もしてないからじゃねぇの?」
 そうやってDは人差し指と中指の間に親指を挟むハンドサインする。をまあ、なんておげれつなのかしら。
「むしろしたら犯罪だわ。俺はそういう事はしない」
 10歳の外見の神様幼女を霊プしたその口で平然と言い放つ厚顔無恥な男がそこにいた。というかそれは俺だった。
「……となると、一度話し合うべきなのかな」
「やめとけ」
 却下された。
240:
「女ってのは感情の生き物で理屈が通じんぞ。一度こじれると手を切るか距離置いてほとぼり覚ますのが一番だ」
 俺の場合、そうやって待ってたら呪い殺されかねないわけなんだが。
 織姫が守ってくれているようで、体調が悪くなって腹下したりとかその程度ぐらいしか今のところ影響はない。
 いや充分あるけれど。
 長期戦になると確実に敗北決定である。しかしかといって腕ずくでどうこう、というのもあり得ないし……
 そんなことすりゃこっちがリアルで犯罪者である。
「とにかく、話し合わなきゃ始まらない」
 平和的交渉にむけてメールしてみた。
 
 着信拒否されていた。
「だから言ったろ」
 Dの同情に満ちた言葉がやけに染みた。
241:
「とりあえず犯人はわかったわけだが……」
 そして俺は街の書店にいた。
 棚の説明にはこう書いてある。「精神世界」
 書店によってはオカルトだのスピリチュアルだの占いだのの案内がしてある、あれだ。
 こういう時にかっこよく手助けしてくれる師匠は俺には存在しないので書店かネットを当たるしかない。
 そしてどの本を参考にするか……
 もうね、これはフィーリングしかないわけで。
 一目見て「あやしい」「信用できない」と思ったのは除外。俺自身の心に問いかけるのです。
 もちろん、そこに偏見フィルターがかかっているかいないかも重要なので、よく見ておかないといけないのだが。
 そうやって色々と調べた結果、今の自分にも出来そうなことは……
 身代わりを立てる事、である。
242:
 もちろん、誰かを本当に身代わりにするわけではない。
 AやDあたりなら案外平気そうだけど。
 そしてどうやって身代わりを用意するのかは……
 かつて、見たあれである。人形の呪い。人形を相手に見立てて釘を打ちつける呪術。
 あれからヒントを得て、調べ上げた、身代わり人形である。
 ……まあ、よくある手なのではあるが。
 用意するのは半紙。習字に使う紙である。
 それを人の形に切って折って、そして針で刺して採った俺の血を塗る。中心部に丸を描くように。
 これで俺の身代わりになってくれるはずだ。
 ……本当だろうか、簡単すぎねぇか? と思ったりするが、そこは信じる事だ。
 とにかくその人形に強く祈る。強く念じる。俺の身代わりになるように。
 その後で、部屋の四隅に盛り塩をしておく。結界というやつだ。簡易的な誰でもできる奴だけど。
 今の俺にできる付け焼刃はこれで精いっぱい。 
 これで、タルパ日番谷の攻撃は俺ではなくて俺の身代わり人形に行くはずだ。
243:
 そして夢の中。
「まあ、まずまずだな」
 織姫はそう言う。どうやら及第点らしい。
「これであの鬼は、身代わりの形代へと向かうだろう。だがそれからどうするか、だな」
「どうするか、というと……」
「鬼が形代に喰いついたら、燃やして供養するか。それとも……」
 どうせだから、決着をつけるか、か。
 胸を抑える。あの時の痛みが蘇る。
「……ああ。やられたぶんは、やりかえしてやる」
 俺はそう言った。
244:
 そして織姫は、山の外を見る。
 俺もそちらを見る。
 そこには、人間大の大きさの紙人形を剣で刺すタルパ日番谷の姿が見えた。
 どうやら、彼にはあの人形は俺の姿に見えているのだろう。無事に餌には引っかかっているようだ。
「で、どうするんだ?」
「知れたことだ。あの滑稽な独り相撲をしている鬼を、こちらへと引きずり込んでやるのだ」
 織姫が笑いながらそう言った。
 俺は静かに、「それ」をイメージする。
 隙を見せているタルパ日番谷をこの世界に引きずり込み、取り込むイメージ。招待ではない。ただ引きずり込む。
 心で、意思で、掴みあげ、吸い込む。
 そうイメージした時、空間が、景色がゆがみ、渦を巻く。
 そして紙人形の胴体に記された血印がまるで掃除機のようにタルパ日番谷を引きずり込んで、俺たちの目の前に吐き出した。
245:
「てめぇ、何をやりやがった」
 初めて日番谷が口を開く。あ、アニメの声と同じだ。
「それはこちらの台詞だよ。なんで俺を襲うんだ」
「てめぇが雛森を狙ってるからだろうが」
 ……。
 えっともしかして、U子さん、自分の事を雛森と呼ばせているのか。
 うわぁ。
「アイツは、俺が守る」
 お前は何を言っているんだ。
 お前は何を言っているんだ。
246:
「決着をつけるぜ。卍解! ――大紅蓮氷輪丸(ドン)」
 頭痛くなってきたので描写は控えるが、なんというか本当にあれだなあ。
 なまじっか意識がはっきりしている明晰夢状態だから、なんというか冷めちまうと言うか。
 いや、気を取り直さないと。
 いくらアニメキャラの恰好をしているとはいえ、相手は鬼というモノらしいし。
 鬼。想念の塊、異形の霊。陰の念が凝り固まって生まれたバケモノ。
 神様がいるのなら鬼だって存在するだろう。今の俺にその存在を否定できる材料は無く、それは確かに眼前にいた。
 悪意と殺意をその刀に宿らせて。
 ここで殺されれば、現実の肉体、命にも影響があるのだろう。ありていにいうと、取り殺される。
 俺は死ぬ、殺される。
247:
 ……殺されれば、の話だが。
 頭はだいぶ冷えて落ち着いているし、さんざんここで特撮ヒーローごっこしてきたのも今は明確に思い出せる。
 なによりも、ここは俺の世界だ。俺の夢だ。俺の領域だ。
 ましてや。女神様がついている俺に、女子中学生の妄想風情が、勝てるわけもない!
248:
「ぐわー」
 吹っ飛ぶタルパ日番谷。
 ……ファンが見たらぜったいに怒り狂って炎上するレベルで、勝負はあっさりついた。
 というか、さんざかっこいい事言ってたのに、俺が戦う前に織姫がワンパン一発で叩きのめしていた。
 いや、ワンバンというか。
 織姫が地団駄を踏んだ。足ふみを一発、地面に向かって。
 それだけで地割れが起きて。タルパ日番谷は吹き飛んだ。
 弧を描いて落ちた。頭から墜落した。
 まるで車田正美漫画のようだった。
「なん……だと」
 振り上げた拳を降ろす先を見失った滑稽な男がそこにいた。
 というか、紛れもない俺だった。
249:
「十年早いわ、若造が。儂を誰と心得るか」
 一人称が変わってますよ織姫さん。
 まあ、神様だしねぇ。さっきも言ったけど地形効果補正は抜群だし。彼に勝ち目は一部も無かったわけだけどさすがにこれはちょっとだけ同情する。
 
「……ていうか、これどうするの」
 目の前には動かなくなっているタルパ日番谷がいる。
「ふむ」
 それを見下ろして、織姫が言う。
「このままほっとくと、彼女の元に戻るだろうが……それだと元の木阿弥になるかもな」
「というと?」
「あくまでも本体はあの中学生。こやつは彼女によって生み出された鬼だ。
 斃せば本体のところに戻るのみよ。
 場合によっては、鬼を屠れば術者にも害が及ぶこともあるが、こやつはそうではないようだしな。
 その手の場合は、斃しても戻ってまた蘇り、を繰り返す」
「なんて難儀な……。ていうか色々とパターンがあるんだな」
「世の中簡単ではない。多様なケースがいくらでもあるからな。
 高度で強い術ほど呪詛返しの反動はつらく場合によっては命すら落とすが、子供の妄想遊びではこの程度だろう」
「その妄想遊びに殺されそうになった俺っていったい」
「雑魚だな」
「雑魚かよ」
 雑魚でごめんなさい。
250:
 そして少し織姫は思案して、
「喰うか」
 そう言う織姫。
「喰うのか。腹壊したりしないか」
「こんなものに当てられるほど私は弱くも脆くも無い。
 人間だって牛を食ったら牛になる事はあるまい。もはや霊気、念の塊にすぎん。
 なんならお前が食うか? お勧めせんが」
「理由は?」
「お前とあの娘に縁がつながるぞ」
「絶対嫌だ」
「だろうな。私が喰う場合はちゃんと綺麗に禊いで祓って浄化するのでそういうことはないぞ、安心しろ。
 女子中学生との縁が欲しいなら残しておいてもいいが……」
「完膚なきまで綺麗に浄化してさしあげなさってくださいませ女神さま」
 心からの願いだった。
 というか土下座した。
251:
「さて」
 織姫は、タルバ日番谷の足を掴みも、びたーん、と地面に叩きつける。
 ぺらぺらの文字通りの二次元になるタルパ日番谷。
 それをくるくると丸める。
 あらまあなんということでしょう、タルパ日番谷くんはあっという間に美味しそうなロールケーキに!
 それを包丁で切り分けて、織姫は言う。
「やらんぞ?」
「いりません」
 ロールケーキをおいしそうに食べる織姫。
 それがタルパ日番谷の最後だった。
252:
「……その話がマジならすげえな。
 だけどよ、俺の知ってるタルパっつーのは、あくまでも自分の中にもう一つの人格を設定するものだろ」
 Dが言う。
 色々とぼかしてはおいたが事の顛末を彼に話したのだ。
「ああ。それで間違ってないよ。
 だけど、もともとがオカルトなチベット密教の秘術、というふれこみだしな。
 俺もこういうのは最初は信じてなかったけど、実際に体験したらな」
「そういうもんか。ま、前々からU子にはそういう話はあったしな。
 あいつと付き合うと夢見が悪くなったり体調崩したりするとか」
 ……おい。
「そういうの先に言ってくれませんかねえ!」
「お前あいつと付き合ってねぇじゃん」
「交友という広義の意味では付き合いあったよ! おかげで大変な目にあったよ!
 ……いやまて、それぐらい、なのか?」
「ああ、死んだりした奴は出てねぇよ。
 たぶんU子の天然ストーカーっぷりに悩まされてそういう夢とか見たりしたんだろって」
「……なるほどな」
253:
 それと同じで、今回の事も科学的、心理的な見地から説明は出来るわけだ。
 確かに、俺も彼女からのぷちストーキングに辟易してはいた。
 それがあのタルパ日番谷の形をとって、俺の無意識に投影されて出てきて俺を攻撃してきた。
 あのまま放置していたとしても、死ぬことは無かったのかもしれない。
 ……心理的ダメージはきつかったが。
 まあ、どちらから説明できたところで、主観として俺が体験したことは俺にとっては事実であり真実である。
「どっちにしろ、大変だったわ……」
「大変だったな。ご愁傷様だ」
254:
 それからも彼女とは会ってない。織姫の言った通り、タルパ日番谷を破壊され食われた事によるダメージは無かったようだ。
 なお、Dによると、うまくイメージできなくなった、いなくなったといっていたらしい。大好きな日番谷君がいなくなって落ち込んでいたようだが。
 Dは「きっとソウルソサエティに還ったのさ」とフォローを入れておいたらしい。
 そしてU子は、その後別のタルパを作り始めたらしい 銀魂のキャラだということだ。誰までかは聞いていないし、聞きたくもなかった。
 そして幸い、それらが俺を襲いに来ることは無かった。
 U子にとってもはや俺のことは完全にどうでもいい人間になったようである。
 最初から最後まで振り回されっぱなしの上、何も解決すらしていないようだったが、ひとつだけ言える事は……
 女って、怖い。
258:
>>1

久々に楽しませてもらったよ。ありがトン
261:
>>1乙
面白かったwww
そういう事もあるだろうなぁって見てる
この世とあの世との関わりとか、この世と神界との関係とか、織姫さんと話した思い出深い事や教訓になった事とかあったら話してよ
あと、最近のエッチな報告も頼むwww
262:
>>261
じゃあエッチな報告と言う事で。
もうひとつ、似たような怖い話がありました。
タルパじゃなくて生き霊の色情霊、ターゲットは俺じゃなくて彼女持ちイケメンの人で。
そして生き霊出してた女が一言で言うとゴスロリポンレスハム。
イケメン氏の髪の毛使って人形作った後しばらく放置してたらその人形がめっちゃ湿ってカビ生えてた。
そのまま割り箸で掴んで何重にも重ねたゴミ袋にいれた上で神社に頼んでお焚き上げで燃やしてもらいました。
ちなみにそのポンレスハムは法律によって彼に近づくのを禁じられているタイプの人。
もしまた同じようなことがあれば人形作って身代わりにしてねとイケメン氏に伝えて後はノータッチです。
関わりたくねぇー。
ちなみに彼は夢の中でゴスロリポンレスハムに追いかけられて捕まって犯されたとか。
そんな夢を頻繁に見るようになって、縁あって俺にその話が持ちかけられてきたわけで。
俺「豚の丸焼きにして食ったりしないの?」
織姫「お前がやれ」
263:
後に聞いた話だけど生き霊に関しては実力行使で倒しても駄目な場合が多いらしいです
なにしろ本体は普通に肉体を持って生きている人間であり、
今回の日番谷隊長と違って別の人格ではない
無意識に飛ばしているエロエネルギーなのでいくら破壊して倒しても本人が多少疲れるだけだと
だから身代わり人形を相手に好き勝手させた後そのまま昇華させるのが一番だと。
まあ一度そのハムを見た事あるけど戦って勝てる気全くしませんでした。物理的に。
教訓、やはり女ってマジ怖い、魔物です。
264:
>>263
生き霊の事は女だけじゃなくて男女どっちも酷いのは酷いからね
執着心の粘度という部分では女性の方が酷いかもしれんが一瞬の爆発力なら男もなかなかだと思う
生き霊って弾切れのないマシンガンみたいなもんで標的変えたりジャムらない限り撃たれ続けるんだよね
フラついてる霊よりも人間って怖いと思う
しかも生き霊ってすごいはっきりと不気味な感じで居ることが多いし影響もすごい
267:
>>264
しかも生きてる肉体、命というエネルギータンクに繋がってますからねえ
生きてる人間怖い
文庫とかの実話怪談にも時々生き霊の話乗ってるけど
男の気持ち悪いストーカーの話とかけっこうありますよね
自分はまだ見た事ないけど
ドッペルゲンガーと呼ばれるものも生き霊……
というかよく考えたら幽体離脱して地上を歩くのも生き霊みたいなものか
271:
>>267
悪意や害意、俺に対するいたずら程度のものならしょっちゅうです。
ただ俺以外の他人や社会に影響が及びそうな流れになると強引に話を終わらせて消えてしまいます
なので実害が出たことは無いです(一日不快な気分にさせられたり程度)
他にもいくつか彼らの中で禁忌みたいなのがあって、俺がマジレスモードになるってのも含まれてるので
まともな話し合いが出来る環境じゃなかったりですね……。
お返事ありがとうでした。参考にしますね
273:
>>271
本当にやばくなった時は、確固とした強い意志で消し去るしかないでしょうね。本当にやばくなったら。
一番強いのは本人であり主人である自分、負けるはずがない、という強固な確信と共に。
落としどころつけて共存が一番ですけど。
265:
タルパって初めて知ったけどググって怖くなった
十五年くらいかけて作った脳内キャラのうち2人が、完全に勝手な言動してるんだが不安になった
俺が無意識の部分で2人で盛り上がった話報告してきたり
ギターを弾けるようになりたいが、俺の能力や知識を超えることは出来ないからお前ギター買って練習しろとか要求してきたり
ヘンな儀式とかしたことないけど、大丈夫なのかなコレ
267:
>>265
あきらかな悪意や害意が見えなきゃ問題ないのではないかと思います
そのギターの要求も、要求を受け入れなきゃ、従わなきゃひどい目に合わせると言って来たり
実際にひどい事が起きたりとか
そういうことがないのなら問題ないのでは?
悪霊化しなきゃそれは自分の分身であるわけなので仲良く付き合っていけばいいかと思います
不安なら三人でじっくり話し合ってみるとか
266:
>>1さんは
織姫さんから現実としての体験はさせてもらってないの?
268:
>>266
現実の世界での体験と言うなら……
結び付けようとすれば何でも関連付けられますからね。
望んでいる事が「偶然」起きたり、困っている時に何かからの助けが「偶然」来たり。
上で話した交通事故にあいかけたけど無事だったのも、守ってもらえたと解釈してます。
そういうのでなくてあえていう物質的な何か、と言えば……うーん
俺が起きてる知らない間にバトル繰り広げていたのか、その残滓として
ものすごい悪臭が部屋の中に漂っていたことがありました
生ごみの腐った感じの。だけど臭いの元となりそうなものは何処にもなくて
部屋の外にもそれらしき原因は皆無。
悪臭もすぐに消えました。
269:
まあ離脱や明晰夢での体験も意志も記憶も継続してるし肉体的感覚として
もはや現実と変わりがありませんからねえ
「霊がいるのなら現実的な確かな証拠を見せて見ろ」
という考えは昔は持ってましたが今やとっくになくなりました
あと関係ないけど前に言われたような
ブログとかみたいなのは一応作っておいた方がいいんですかね?
別のところから書き込もうとしたらリクエストタイムなんとかってのが出て書き込めなかった事もあるし
自分とことこから急に書き込めなくなった場合……とかのために
まああまり気にしなくてもいいんでしょうけど
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