桜田ジュンのうた『世界が終るまでは…』back

桜田ジュンのうた『世界が終るまでは…』


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♪チンコーン(呼び鈴の音)
配達員「桜田さーん、お届け物でーす」
のり「はーい」ガチャッ
配達員「ここに判子かサインをお願いします」
のり「分かりました。いつもご苦労様です。これでいんですね」カキカキ
配達員「はい。ありがとうございました。失礼します」
49 :
雛苺「ねぇねぇ、何? それ何? 何が来たのよ、のり?」
翠星石「食べ物ですか?」
のり「うーん、ジュン君宛てで…差出人不明?」
真紅「あらやだ、ジュンったら妖しげな通販をまた…?」
翠星石「不登校で抑圧された鬱憤ばらしのための趣味かと思っていたですが」
のり「登校再開してもう2ヶ月以上経つのに、まだこんなことを…」
翠星石「チビ人間の心に残された悪癖の根は深いですぅ」
雛苺「ジュンの喉と心臓でロゼリオン化している真紅細胞(※)みたいなのよね」
※桜田ジュンの感冒『その苦輪の運命』参照
50 :
のり「ジョークグッズ…て書いてあるわね」
真紅「ジョーク…」
翠星石「グッズ…」
雛苺「それってパーティで、みんなで使うオモチャのことなのよね!
  わぁい! きっとジュンはヒナ達と一緒にパーティを開く計画をしているのー」
真紅「待ちなさい雛苺。それはあまりに短慮というもの」
雛苺「うぇ?」
翠星石「オモチャといっても、これは大人のオモチャである可能性もあるということですよ」
のり「えええっ!? そ、そんな!? ジュン君が?」
真紅「この国では大人のオモチャは薬事法の規制を逃れるためにジョークグッズであるという体裁をとっている」
雛苺「うにゅ? どういうことぉ?」
翠星石「洋物ポルノがミュージックビデオだと言い張っているのと同じことですよチビチビ」
雛苺「むー? 全然分からないの」
51 :
真紅「本当に、そんなことは無いと言いきれるの? のり?」
翠星石「むしろ、チビ人間だからこそとも言えるですぅ」
のり「そ、そう言われてみれば…。ところでジュン君は? 二階の自分の部屋に?」
翠星石「いんにゃ。チビ人間は学校から帰ってきて、すぐに出かけたです」
雛苺「お友達と遊んでくるって言ってたのよ」
のり「まあ、ジュン君にもついに外で遊ぶようなお友達が!?」
真紅「それもこれも今となっては疑わしい上にいかがわしいわね」
翠星石「悪い女友達に捕まって、大人の遊びを覚えさせられているやもしれんですぅ」
雛苺「そ、そんな! トゥモエが悲しむのよ、そんなの!」
のり「お姉ちゃんも悲しいッ!」
翠星石「ついこの間まで、脳内お友達の鳥海君だけが心の支えだったヤローとは思えねーですね」
真紅「鳥海皆人は妄想力で生まれた幻影ではなくてよ翠星石」
のり「で、でもまだジュン君が不良になったと決まったわけじゃあ…」
真紅「そうね。確かにこの贈り物のダンボールの中身が
  ブーブークッションとかの素直なジョークグッズである可能性も残されている」
翠星石「チビ人間が爛れたド変態かどうかはこの中身を見ればはっきりすることです」
雛苺「それまではジュンが変態さんかどうか分からないのよね! しゅれでぃんがーの変態なの」
真紅「難しい言葉知ってるわね雛苺。いかにもその通り、これはもう箱の中身を確認するしかない」
翠星石「ドキドキするですぅ」
のり「で、でもジュン君に届いた荷物を勝手に開けちゃったりするのは…」
真紅「下僕の物は私の物」
のり「真紅ちゃんの中で、ジュン君はまだ下僕扱いなのね。一応マイスターローゼンなのに」
真紅「当然よ。100歩譲ってジュンがお父様になったとしても、お父様(仮)あるいはお父様補佐代理心得ってところね」
翠星石「うーむ、真紅は厳しいですぅ」
真紅「ともかく、そういうわけでジュンへの荷物を私が開けても法的な問題は発生しない」
翠星石「警察にも捕まらないというわけですね」
雛苺「うぃ! だったら開けちゃうの」ベリベリ
のり「あああ…、ごめんなさいジュン君。でも、これもジュン君のため…」
52 :
一葉「チェックメイト」
二葉「ッ!? ああああ、待った! 兄さん、ちょっと待った」
一葉「またか二葉。そしてこのやり取りももう何度目だと思っている」
二葉「いやいやいや、でもさ僕、昨年末の除夜の鐘で弱らされて(※)
  nフィーでしばらく静養せざるをえなかった時にチェスの猛練習したんだよ!?」
※桜田ジュンの新年『隙を見ては自分の持ち場を放棄して抜け出す赤い悪魔』参照
53 :
二葉「まあ、僕が練習してたのは『かっこいいチェックメイトの言い方』だったから」
一葉「…くだらないことを」
執事「失礼いたします旦那様、二葉様。コーヒーをお持ちしました」ガチャリ
一葉「ありがとう」
二葉「やあ、セバスチャン久しぶり」
執事「お久しぶりです二葉様。そして何度も言いますが私はセバスチャンという名前ではありません」
二葉「あ、そうだったっけ。ごめん。ところでセバスチャンがコーヒー持ってくるなんて珍しいじゃん。
  あの住み込みメイドの女の子はどうしたの、え?と…コリンヌちゃんだったっけ?」
執事「……」
一葉「フォッセー君の名前はオディールだ。コリンヌは彼女の祖母の名前だろう?
  二葉、お前随分とフォッセー君と仲良くなっておきながら名前を間違えるなど」
二葉「す、すまない兄さん。nフィー長期滞在していたせいかどうも頭がボーっとしちゃって。
  ひょっとして今度こそ、本当に僕のお迎えが近いのかも…」
執事「そのオディールさんは先日に故郷のフランスへと帰られました」
二葉「え? 何で!? 僕に何の挨拶もなくぅ!?」
一葉「お前がnフィーから戻ってくるのをわざわざ待つことなんぞなかろう。
  それに彼女が故郷に帰るのに理由など必要もあるまい。お前とて、ここに帰ってきたではないか」
二葉「それはそうだけど、寂しいじゃないか」
一葉「幽霊のお前が寂しがるとはな。とは言え、今生の別れというわけでもない。
  またホームステイなり花嫁修業なりで、うちに頻繁にやって来る予定だそうだ」
二葉「あ、そうなんだ。びっくりさせないでよ、兄さんったらもう。僕がショック死したらどうするの?」
一葉「それはひょっとしてジョークで言っているのか?」
54 :
二葉「え? 客? 僕に? 兄さんの方へじゃなくて?」
婦長「はい」
二葉「本当?? 間違えてんじゃないの? だって兄さんは
  ずっと本名の一葉じゃなくて、僕の名前の二葉の方を使って生活してたんだろう?」
一葉「それはそうだが、うちの執事や婦長達は優秀だ。お前みたいにいつまでも人の名前を混同したりしない」
二葉「む…」
婦長「説明が後になりましたが、お客様は水銀燈さんでございます」
一葉「彼女が?」
二葉「…ローゼンメイデン第一ドールが、わざわざ僕をご指名とはね。
  それも僕がnのフィールドから復帰したての、このタイミングで」
一葉「何か心当たりでも?」
二葉「まあ、見当ぐらいは。よし、婦長さん、悪いけど水銀燈をこの部屋まで案内してあげて。
  セバスチャンはもう一つコーヒーを」
婦長「かしこまりました」
執事「…かしこまりました」
55 :
一葉「やあ、ようこそ」
二葉「いらっしゃい。コーヒーあるよ、淹れたての。砂糖いくつ入れる?」
水銀燈「そのまんまで結構。ミルクも要らないわ」
二葉「おお、大人だねぇ。流石お姉ちゃん」
水銀燈「茶化さないで。それはそうと相変わらず元気なようね二葉。除夜の鐘でやばかったと聞いたけど」
二葉「お陰さまで」
水銀燈「……」
一葉「水銀燈? どうした、急に黙って? まさか二葉や私の顔を見に来ただけではあるまい」
二葉「遠慮という言葉が君ほど似合わない子もいないだろうに」
一葉「金の無心か?」
水銀燈「…違う」
一葉「では蒼星石に用事が? 悪いが彼女は今、出かけていて…」
水銀燈「いえ、蒼星石に用は無い。今のところは、だけど…」
二葉「歯切れが悪いね。じゃあ、僕の方から聞こうか? 君のマスターの柿崎めぐは元気かい?」
水銀燈「…ッ!」
一葉「む? そう言えば彼女も年始あたりから急に調子を崩したと聞いてはいたが」
水銀燈「めぐは…消えたわ」
一葉「!?」
二葉「……」
56 :
水銀燈「分からない。私の見ている目の前で、床に伏せていためぐは溶けるように消えていった。
  これが全てよ、nのフィールドで起きたこと、ありのままに起きたこと全て」
一葉「そ、その話を他の人には!?」
水銀燈「あんた達に話したこれが最初。姉妹の誰にすらも、まだ言ってはいない」
一葉「そんな重大なことを何故、最初に私達に…」
二葉「柿崎めぐも幽霊だったからだよ、兄さん。だから同じ幽霊の先輩である僕に水銀燈は質問しに来た」
一葉「!」
水銀燈「めぐは…雪華綺晶と作り上げた夢の世界が崩壊すると同時に死んだ、いえ、もしくはその前から死んでいた。
  けれど、私とめぐは死んでも一緒だという誓いの下に契約の指輪を交わしていた」
二葉「その約束が、めぐちゃんの霊魂を強く縛っていた。白い悪魔である雪華綺晶との結び付きが解けた後は
  黒い天使である水銀燈との絆の力で、現世の兄さん達の前に存在していた」
水銀燈「めぐを死なせたことは私の罪、そして彼女が死んでもその傍に居続けるのが私の罰。
  私の力があれば、それができるはずだし、今までそうしてきていた。
  世界が終わってしまうまで、私とめぐは離れることがない。なのに、突然…」
二葉「めぐちゃんが『もういい』と思ってしまった可能性がある」
一葉「成仏したということか?」
水銀燈「なっ!? だとしても、一言も別れの言葉すら無く!?」
二葉「そういうものだ。死ぬ時ですら誰かに言葉を残せるだなんて稀なこと。
  僕はまだまだ未練がたっぷり残してあるから、こうして現世にいるけどね」
一葉「確か桜田君も言っていたが、彼女の希望は水銀燈に絶望をくれてやることだった。
  本来であれば、そのまま成仏してもおかしくないほど、羽ばたいて逝けたわけだったな」
二葉「なのに、それでも水銀燈とともに在ったのは
  さっき水銀燈自身が言った『死んでも一緒』という約束があったからだろう」
水銀燈「めぐ…」
一葉「彼女がそうそう約束を覆すようなことをするも思えないが? 本当に『もういい』と?」
二葉「一番ありそうな可能性だってことで、そう言っただけだよ兄さん」
水銀燈「別の可能性があるとでも?」
57 :
水銀燈「ッッ!?」
一葉「メメントリオンが何か関係していると言うのか二葉?」
※水銀燈は動かない『採血室』
58 :
  それなりに情報収集もしていたんだよ。僕自身、メメントリオンとは縁の浅からぬ身だし」
水銀燈「確かに、めぐは…ロゼリオンになるだとか馬鹿なことを言って…
  渡し守の集いが蓄養していたメメントリオンの幼生と私の黒羽根を食べていた」
一葉「しかし、ロゼリオン化には失敗したんだろう? ロゼリオンに必要な、薔薇乙女に対する憎しみが足りずに」
二葉「だからと言って彼女の心に闇が無かったわけじゃあない」
一葉「?」
二葉「めぐちゃんは水銀燈に対しては愛憎入り混じった感情を持っていたようだが
  それは人が神を崇拝する感情にも似ていたに違いない。であればロゼリオン化しない」
水銀燈「単なる説明の繰り返しになっているわよ二葉、あんた何が言いたいの?」
二葉「めぐちゃんはお父さんのことは随分と嫌っていた」
水銀燈「…!」
二葉「子が親を憎む心、肉親が肉親を憎む心というのは『呪い』となりやすい」
一葉「……」
二葉「そしてメメントリオンは呪いを消化するもの、穢れを浄化するものという一面を持つ」
水銀燈「めぐの体内でメメントリオンが生き残っていて、めぐを内側から消化していったと言うの!?」
二葉「溶けるように消えた…という表現にはぴったりと当てはまる。そこからの推測だ」
一葉「柿崎君が消えた跡にメメントリオンらしきものが残っていたりはしなかったのか?」
水銀燈「いえ、何も。めぐが隠れているだけなんじゃあないかと、周りを何度も探してみた」
二葉「なら、この推測もイマイチだな。メメントリオンが残っていれば確定的だったんだが」
水銀燈「けど、私が気が動転していて見落としていた可能性もある」
二葉「もう一度調べてみるか。その、めぐちゃんが消えた場所ってのを」
水銀燈「…ええ」
一葉「君達だけでか?」
水銀燈「まだ、事をそう荒げたくないの。だからメメントリオンに関しては一番詳しいであろう二葉にだけ
  こうして相談を持ちかけた。結菱一葉、あんたにはたまたま知られることになったけど」
一葉「…メメントリオンには槐君も詳しいだろうに」
水銀燈「槐と薔薇水晶を完全には信用できない」
二葉「まだ、そんなこと言ってんの?」
水銀燈「そういうことじゃあない! 一応、それとなく遠回しにめぐの話だけしてみようかと
  店に寄ってみたら『ばらっしー』とかいう不細工な着ぐるみで遊んでたのよ薔薇水晶と槐が!」
二葉「あ、それはちょっと相談する気を失くしちゃうね」
一葉「…どうしてもここだけの秘密にして行くと言うのなら私には君達を止めることはできん」
水銀燈「どうしてもと言うなら力ずくで黙らせるつもりだったけど、その必要は無さそうねぇ」
一葉「いいのか? 私は口が軽いぞ」
水銀燈「つまらないジョークだこと」
一葉「……」
59 :
真紅「そーれっ!」ガパッ
翠星石「さあ! 箱の中身は何ですか??」
のり「あら? これって…ロープ?」
雛苺「うにゅにゅ? こんなのどうやってパーティで使うの?」
翠星石「ただの真っ赤で長い縄ですね、これは。触ったところ金属繊維で出来ているようですが」
雛苺「そう言えばジュンはヒナ達を捕まえるために、通販でいろんな種類の縄をそろえていたのよね(※)」
※桜田ジュンの圧倒『隠者の縄』参照
60 :
真紅「いえ、ちょっと待って。だったらどうしてジョークグッズ扱いでの送付に? ま、まさかこれは!?」
のり「?」
真紅「SMで使う緊縛ロープでは!? それ以外の可能性があるだろうか、いや、ない」
のり「え、SMぅッ!?」
雛苺「ラジオなのよ?」
翠星石「それはFMです」
真紅「この私の手に伝わる縄の何とも言えない擦れ加減と吸着力。
  これを柔肌に食い込ませて得られる快感はまさにエクスタシーに違いない」
翠星石「し、真紅?」
真紅「翠星石、雛苺、ちょっとこの縄で私を縛ってみなさい」
翠星石「なっ!?」
雛苺「正気なのよ真紅!?」
のり「真紅ちゃん?」
真紅「ええ、私は本気よ。先も言ったとおり下僕の物は私の物。
  こんな素敵アイテム、ジュンだけに楽しませるわけにはいかない」
翠星石「ぬぬぬ、チャレンジャーですね真紅。いきなりこんな高度なプレイをご所望とは」
雛苺「うゆゆ、真紅がそこまで言うのなら仕方ないの」
真紅「手加減無しで強く縛って頂戴」
雛苺「うぃ!」
のり「わ、分かったわ! 真紅ちゃん」
61 :
蒼星石「お邪魔しまーす」
真紅「あ」ギューッ
雛苺「あ」
翠星石「お」
のり「あら」
ジュン「…何やってんだよ、お前ら。こんな玄関で」
真紅「い、いや実は…」
のり「かくかくしかじかというわけで」
ジュン「…アホか」
翠星石「アホとは何ですか! そもそもチビ人間がこんなSMプレイ用の縄をこっそり通販で買うのが…」
ジュン「それ多分、庭師連盟から送られてきた庭師道具だ。ほら、この間シキさんと相談した(※)」
雛苺「ええっ?」
※桜田ジュンの攻防『死神と閉ざす者』参照
62 :
蒼星石「ジュン君を探していたところ、偶然そこで出会ってね。
  シキさんから、先日ジュン君用の庭師道具が出来たから発送したって伝言を…」
翠星石「nフィーからどうやって、宅配便でここまで届けるのですか?」
蒼星石「さあ? そもそも最初は真紅だってこんな感じで来たんじゃなかったっけ」
のり「そ、そう言われれば」
真紅「じゃあ、私をジャストフィットな感覚で締め上げている、この縄がジュンの庭師道具?」
ジュン「そうだ。遊んでないで返せ。汚れるだろ」
真紅「まあ!? まるでこの真紅ちゃんが汚いかのような口振り! 私はアリスよ! 究極乙女よ!」
翠星石「アリスは他人に頼んで自分を縛ってもらったりはしねーですよ真紅」
63 :
蒼星石「やれやれ、玄関で一悶着あったけど、取りあえずジュン君の手に『庭師の赤縄』が届いてよかった」
真紅「庭師の赤縄って言うの? これ?」
蒼星石「うん。最初は黒縄の予定だったけど、練り込んだサクラダイト合金のせいか
  出来上がりの発色が赤くなってしまったんだ。だから赤縄」
ジュン「これさえあれば、僕の体内のロゼリオンも…?」
蒼星石「計画としては、これを使ってジュン君が自分の心の樹と対峙する。
  そして庭師の赤縄で、心の樹を縛ることで何か変化が起きるはずだ」
翠星石「何か起きるはずだ…って、随分と大雑把じゃねえのですぅ?」
蒼星石「予想がつかないからしょうがない」
翠星石「ですが…」
蒼星石「それと、その前にジュン君はこの庭師道具を自在に扱えるように訓練する必要がある」
真紅「訓練? ロゼリオン化しているジュンには庭師道具に適性があるんじゃなかったの?」
蒼星石「使えるというのと使いこなせるというのは別だ」
雛苺「蒼星石の言うとおりなのよね」
真紅「わ、私だって分かっていたわよ。今のは念のために聞いただけ」
ジュン「訓練って、もしかして結構ハードなやつか?」
蒼星石「いや、大したことない訓練だよ。ただnのフィールドでやろう、ここでやると滅茶苦茶になるから」
ジュン「滅茶苦茶になる…て、やっぱりハードなんじゃあ?」
翠星石「チビ人間が修行ですか!」
真紅「興味津々だわ」
雛苺「ヒナ達も見に行きたいの。付いて行っていい? 蒼星石?」
蒼星石「いいよ?」
64 :
蒼星石「よーし、それじゃあ始めるよジュン君。まずは赤縄をちゃんと握ってね」
ジュン「ああ」
蒼星石「庭師道具を手に入れた庭師が先ず最初にする訓練は、それを心の棚にしまうことだ」
ジュン「心の…棚?」
真紅「何それ?」
蒼星石「僕の鋏や翠星石の如雨露もそうだが、庭師道具は実体化と非実体化を行える」
翠星石「ほうほう」
真紅「ほうほう…て、翠星石あなた自分がやっていることでしょう?」
雛苺「健やかに伸びやかにぃ?って言って如雨露を呼び出しているのよ」
翠星石「いやぁ、その辺の細かいことはスィドリームに任せちまってるもんでして」
蒼星石「勿論、僕達の鋏や如雨露と、庭師連盟の道具とでは勝手が違う部分も多いが、基本は同じだ」
ジュン「つまり、僕にもこれの出したり消したりができるってことか」
蒼星石「そういうこと」
ジュン「けど、そんなの急に言われたって、どうやったらいいのやら」
蒼星石「イメージだ。赤縄を一度、バラバラの金属繊維にほぐす様子を頭の中でイメージする。それだけ」
ジュン「それだけと言われても結構難しいぞ、それ」
蒼星石「大丈夫。クラスの女子のドレス姿をノートに完璧に書き上げるほどの妄想力があれば楽勝さ」
ジュン「それって褒めてくれてるんだよな? 蒼星石」
翠星石「確かバスト、ウェスト、ヒップのサイズまで外見のみでぴったり仕上げてきたという例の下書きですか」
真紅「凄いけどキモい、キモいけど凄いと大評判だったわね。全校集会で」
65 :
雛苺「あ! ジュンの右手に握られていた赤縄が消えたの!」
翠星石「おおお! すげーですぅ! あっという間に消えたですよ!」
真紅「大した奴だわジュン!」
ジュン「や、やった…のか?」
蒼星石「まさか、ここまでスムーズに行くとは。けど、まだ次がある。今度は出すんだ」
ジュン「そうか、そうだよな。出せなきゃ意味が無い」
蒼星石「出し方は今の逆の要領。頭の中でバラバラの繊維になっているものを
  自分の右手の中で縒り合わせ、紡いでいくイメージ」
ジュン「こ、こうか…」
翠星石「むう…。消す時と違って、何だか今度は上手くいかないですねぇ」
蒼星石「そうすぐに出来るものじゃあない。消すより出すほうが難しいとされている」
ジュン「ふんぎぎぎぎぎぎ」
蒼星石「力みすぎるのも良くないよジュン君。もっとリラックスして、自然体で!」
真紅「ええ。いくら力んだところで、あなたから出るのはゲロかウンコだけ」
雛苺「うぃ」
66 :
翠星石「なかなか苦戦が続いているですね」
蒼星石「消すのが予想以上に上手くできすぎただけだよ」
真紅「ジュン、頑張って! あなたの力はその程度じゃないはずよ!」
翠星石「そうですぅ! 自分のイマジンをもっと信じろですぅ!」
雛苺「うぃ! ノート晒しから全校集会までの流れを思い出せばいいのーっ!」
ジュン「うっぷ…」
翠星石「こらチビ苺! 余計なことまで言うなです!
  チビ人間にとっちゃあ克服したつもりでもトラウマはトラウマなんですから」
ジュン「う、うげげげぼっ」ベシャッ
真紅「あーあ、吐いた吐いた。自室で訓練してなくて良かったわね」
ジュン「ゲ、ゲボボボボ」びちゃちゃちゃ
真紅「ちょっ、ちょっと吐きすぎじゃないジュン!? マーライオンみたいになってるわよ!」
蒼星石「い、いや! 違う、よく見て! 赤縄だ! ジュン君の喉から庭師の赤縄が出ている!」
翠星石「なんとーっ! そ、そんな実体化のさせ方があるというのですか!?」
雛苺「気持ち悪いのー!」
真紅「NARUTOの大蛇丸みたいね」
67 :
蒼星石「一応、出る物が全部出たようだ」
真紅「どう見ても、ジュンの体積よりも出てきた赤縄の方が長大なんだけど」
蒼星石「でも人間の腸の長さは6?7mとも言うし」
雛苺「縄の色が赤いから、まるで本当にジュンが自分の内臓を吐き出しているみたいなのよね」
翠星石「絵面的には最悪ですぅ」
蒼星石「もうちょっと訓練を積めば普通に手のひらから出せるようになるかもしれないけど、今はこれで次へ行こう」
ジュン「えええっ!? これで次の訓練に行っちゃうの!?」
蒼星石「次は、この出したり消したりを素早く行う訓練だ。目標1秒以内」
ジュン「ッ!? マジで!?」
蒼星石「マジで」
翠星石「うーむ、蒼星石のスパルタが始まったですが、なーんかつまんなくなってきたですね」
真紅「こう、もっと修行らしく投げ縄の練習とかしましょうよ」
蒼星石「ジュン君には既に投げ縄や投網のスキルはある。赤縄を自分の体の一部だと
  自然に認識できるようになるほうが先決だ。そうすれば赤縄の扱いやすさは現世の縄を遥かに越える。
  軍隊とかで銃を支給された兵がまず練習するのも、射撃訓練じゃなくて分解組み立て訓練だ」
翠星石「ふーん」
68 :
蒼星石「あ! ジュン君、ダメだよそれじゃ。縄のどこでもいいから握った状態で、消そうと思わないと」
ジュン「え、そうなの?」
蒼星石「これは鋏と如雨露もそうだが、道具を引っ込ませる時は手で触れた状態でないといけない」
真紅「妙なところで不便ね」
蒼星石「流石にそこまで万能には出来ていないってわけだ」
翠星石「それも翠星石は全然知らなかったですぅ」
蒼星石「翠星石…」
雛苺「どーりで翠星石はいつも如雨露を出しっぱなしにしたままなのよ」
蒼星石「薔薇屋敷の庭園でも置きっぱなしにして帰っちゃうことが多々あるよね、君は」
翠星石「うぐ…」
蒼星石「ちなみに、よく訓練された庭師は手以外の体の一部で触れているだけで心の棚にしまえる。
  さらに熟練の庭師になると遠隔での出し入れも可能らしいが
  それができていたのは、僕の知る限りじゃレイキさん、カズキさん、ニキさんぐらいかな」
雛苺「蒼星石はできないのよ?」
蒼星石「うん」
翠星石「え? 蒼星石でもできないのを奴らはできるというのですか?」
蒼星石「庭師道具と庭師の相性の問題もあるみたいだけどね。連盟製の方が融通は利くようだ」
真紅「へぇ?」
69 :
真紅「あら、いつの間に」
翠星石「チビ人間がものすごいスピードで赤縄の基礎を備えていくですぅ!」
蒼星石「問題は出す方だね」
ジュン「おげげげげげげっ」ゲロゲロ
雛苺「あ、さっきより出るスピードがくなってるの」
真紅「けど、これを1秒以内でというのは、かなりキツそうだわ」
蒼星石「特訓あるのみ。練習初日としては上出来だよ。じゃ、僕は門限があるから帰るね」
翠星石「えええっ!? もう帰るのですか蒼星石?」
雛苺「もっと一緒にジュンを訓練して遊ぼうなのー」
ジュン「僕はお前らのオモチャじゃないぞ!」
蒼星石「けど、マスターも待ってるし」
翠星石「正確には『マスターだった人』のはずですよ蒼星石! あの、おじじは」
真紅「そう言えばそうね。実情は蒼星石のマスターもジュンのはず」
蒼星石「…けれど、僕の居場所はマスターの…あの人の傍なんだ。ゴメンね翠星石」タタタッ
翠星石「ああっ! 蒼星石ぃ」
雛苺「うゆゆ、行っちゃったのよ蒼星石」
翠星石「くうううっ…、この双子の姉よりもあんな枯れたおじじのほうが良いと言うのですか!
  一体、何が蒼星石をそこまで薔薇屋敷にこだわらせると言うのですぅ?!?」
真紅「まあ、ぶっちゃけ『金』でしょうね」
翠星石「ぐっ…! や、やはりそうですか」
雛苺「おじいちゃんのお家だと毎日豪華で美味しいものが食べられるのよね」
翠星石「確かに。あの屋敷ではデザートにハーゲンダッツを何個食べても文句一つ言われなかったですぅ」
真紅「ジュンの家では、うまい棒が一本なくなっただけで大騒ぎだし」
ジュン「それはお前らが盗み食いを繰り返すからだろうが」
70 :
水銀燈「ここよ。ここのベッドでめぐは寝ていた」
二葉「随分と寂れたところだね」
水銀燈「めぐがいたころは少しはマシだった。しかし、めぐが消えたと同時にこの街の廃墟化も一気に進んだの」
二葉「なるほど。状況証拠だけから察すると結構に絶望的な展開だ」
水銀燈「めぐは…もう、nのフィールドにも、どこにも居ないということ?」
二葉「それを確かめるために、君は薔薇屋敷の僕のところに来た。そして、それを確かめるために僕はここに来た」
水銀燈「……」
二葉「…見つけた。これも確実な物証というわけではないが」
水銀燈「え? 何を?」
二葉「ベッドから床に、床から街の外へと、何かが這った跡がある」
水銀燈「本当?」
二葉「ああ。光の加減で、見る角度を色々変えてみないと見つからないが、ほら」
水銀燈「ああっ! 確かに見えた。でも、見えづらかったとは言え、これを私が見落とすなんて」
二葉「見落とした理由はもう一つある。これは粘液が乾いた跡だ。粘液が湿っていた時はもっと見つけづらい」
水銀燈「粘液?」
二葉「十中八九、メメントリオンだ」
水銀燈「じゃあ、めぐはやっぱりメメントリオンに消化されて…!?」
二葉「それが一番大きな可能性になった」
水銀燈「めぐ…」
二葉「どうする水銀燈?」
水銀燈「どうもこうも、この跡を追いかけるに決まっている」
二葉「仮に…このメメントリオンに追いついたところで、さらに残酷な結果が待っているだけかもしれない」
水銀燈「それでも構わない。あの子からは何度も絶望をもらったわ。
  この先にあるのが最後の絶望であろうとも、それは私のものよ」
二葉「そうか。じゃあ追跡開始だ。けど、この粘液を跡を追うのはかなり集中力を使わないと無理だよ。
  メメントリオンは陸上でも意外と早く移動する」
水銀燈「メイメイにも追跡をサポートさせる」
二葉「それでも、この追跡は数日がかりになるだろう。それに、もしメメントリオンが
  記憶の海にでも逃げ込んでいたら、それ以上の追跡はほぼ不可能となる」
水銀燈「御託はもういい。今はただ、やれるところまでやる。追うところまで追う」
71 :
蒼星石「それでは、これより実戦形式での訓練を行う。ジュン君、準備はいい?」
ジュン「ああ、勿論だ」
蒼星石「対する相手は…真紅!」
真紅「ふ、新しいオモチャを手に入れて粋がっている子供なんてチョロいわ」
雛苺「真紅ー! あいとあいとー!」
翠星石「チビ人間相手の練習試合だからって手を抜くなですよー!」
雛苺「うぃ! ここで負けたら桜田家でのヒナ達の立場がますます弱くなるのよね」
真紅「分かっている。容赦せず、ギッタンギッタンにしてやるわ」
72 :
真紅「とおりゃっ」ドバッ
雛苺「真紅が一気にジュンへ向かって突撃なのー!」
翠星石「チビ人間が庭師の赤縄を出す前に、勝負を決める気ですね! 相手を出鼻から潰す、真紅の必勝策ですぅ!」
蒼星石「ジュン君に赤縄を使わせる練習試合なのに、真紅ったら…」
ジュン「えええっ? もう来るのか!?」
真紅「ふ! 相手が赤縄出すまで待ってくれるワケがないでしょう!」グワッ
ジュン「く、くそっ」ガシィッ
蒼星石「ジュン君の身体能力じゃ真紅の突撃を避ける事もできない!」
雛苺「両手を使って、真紅のパンチを止めるしかないのよね!」
翠星石「ですが、これでチェックメイトですぅ! 真紅の拳は止めてはならんのです! 避けなくては!」
雛苺「ゼロ距離ローズテイルが来るのー!」
蒼星石「まさか、ジュン君相手に真紅はそこまで!?」
真紅「この真紅、容赦しない!」
ジュン「ウォエッ」どばっ
真紅「つっ!?」バシッ
蒼星石「うまい! 口から出る赤縄を、勢いそのままに真紅にぶつけて距離を取った」
翠星石「ぬうっ! 真紅のローズテイルよりチビ人間のゲロ縄の方が早かったですか!」
蒼星石「本当は、真紅の接近よりも早く庭師の赤縄を出すつもりだったんだろうけど」
真紅「お、おのれジュン! よくもゲロ臭い縄を私に!」
ジュン「おげろろろろろ」←まだ出てる
雛苺「両手がふさがっていても口から出せるって言うのは便利なのよね」
翠星石「ただし、出してる間は口がふさがって全く喋られないし、動きづらいようですぅ」
蒼星石「出すスピードも、まだまだ訓練が必要かな」
73 :
翠星石「むっ! チビ人間の赤縄にひるまず、再突撃ですか!?」
真紅「こんなもの一度、避けてしまえばジュンまではガラ空きよ!」タタタタッ
蒼星石「ジュン君、赤縄を操作するんだ! 口から出している状態でもできるはずだ!」
ジュン「…ッ!」ぴくり
翠星石「無理みたいですね。縄はピクッとしか動いていないですぅ」
真紅「ふふっ、出しながらの操作だなんて高等技術はジュンには無理のようね」
蒼星石「最近の練習の時はうまくいっていたんだが、やはり実戦形式では難しいのか?」
雛苺「ジュンは実戦や本番に弱いタイプなのー」
真紅「さあ! このローゼン4000年の歴史を受けてあの世に飛んでいきなさい! 真紅ちゃん超秘技『鷹爪三角脚』!」
翠星石「おおーっと! 真紅必殺の飛び蹴りですぅ!」
雛苺「プロレスごっこでも真紅得意のフィニッシュ技なのー」
ジュン「おげぼぼっ」ドバッ
真紅「え? なっ!? ジュンの口から…!?」
翠星石「二本目!? 二本目のゲロ縄が出てきたですよ!?」
ジュン「ぼばば」グルン
真紅「しまった!? 不意を突かれて縄に…ッ!?」ギュルル
雛苺「ああ! 真紅がびっくりして縄に捕まっちゃったのー!」
蒼星石「赤縄がひとりでに真紅を縛り上げていく!? ジュン君、やっぱりゲロりながらの操作ができてる!
  さっきのは真紅を油断させるためのフリだったのか!」
74 :
蒼星石「いや、あれはあれで一本だ」
雛苺「?」
蒼星石「ジュン君は庭師の赤縄の両端を同時に吐き出したんだ」
翠星石「ということは、チビ人間の中で縄は繋がっているということですか?」
蒼星石「全部が実体化してくればそういうことになる」
ジュン「ゲホゲホッ。あー、ようやく全部出た」
真紅「くっ! おのれジュン! 小ざかしい真似を! 口からゲロゲロと恥ずかしくないの!? そんな戦い方で」
ジュン「いいんだよ。今は戦い方を選んでる場合じゃないし」
蒼星石「うんうん。実戦訓練も上々に終わった。このまま、ジュン君の心の樹へと向かおうか」
ジュン「え?」
翠星石「マジですか?」
雛苺「そんなに急がないといけないのよ?」
蒼星石「ジュン君の修行に余計なプレッシャーを与えたくなかったから黙ってはいたが
  例の東果重工の小隊が性懲りもなく何度も心の樹に近づこうとしている。
  漁夫の利を狙ってか、渡し守の集いまで付近をうろついているらしい」
翠星石「ぬぬぬ、ハイエナのような奴らですぅ」
蒼星石「庭師連盟側も守備を密にはしてくれているが、人手が足りないのも事実。
  最近は金糸雀、雪華綺晶、薔薇水晶も日替わりでジュン君の心の樹の防衛線に参加している。
  ただ、今日は念を入れて三人とも出張ってくれている。こうなることを見越してね」
ジュン「そうだったのか…」
真紅「ジュンのロゼリオン化を早く治せるのなら、治してしまいたいということ。
  そして、だったら尚更に今日は防衛線を固く維持しないといけないってことね」
蒼星石「今回のアプローチが駄目だったら、また次の治療方法を準備する必要もある」
翠星石「うまくいくにしろ、いかないにしろ、結果は早く出せっつーことですか」
75 :
ばらっしー「薔薇汁ブシャーー!」ぷしゃああ
渡し守A「うわあああああ! 目が、目がーーーーっ!?」
渡し守B「目に沁みる!? この液体は!?」
渡し守C「ぐっ! 何だこいつ!? 何を吐き出した!? 酸か!?」
ばらっしー「お父様特製、目潰し汁だっしー! でも安心するっしー! 見えなくなるのは1時間ほどだけだし!」
76 :
ニキ「おお! 来てくれたのか蒼星石!」
蒼星石「はい」
ニキ「そして、そっちが桜田ジュン君か。初めまして…だよね? 僕はニキ」
ジュン「は、初めまして、ニキさん」
真紅「ニキってことは、カズキの次よね」
翠星石「てぇことは庭師連盟で二番目に偉いヤローですか?」
ニキ「いや、まあそう単純なものでもないが」
蒼星石「それよりニキさん、状況はどうです?」
ニキ「あまり良くない。東果の例の小隊も今日はしつこい。トキと金糸雀が相手を続けている。
  そして渡し守も今までにないほどの大勢がこの近辺に散発的に出現している」
雛苺「うにゅにゅにゅ、何だか今日は良くないタイミングみたいなのよ」
蒼星石「敵も敵で『今日は何か起きる』というものを予感しているんだろうか?」
ニキ「そこまでは分からない。が、僕の占いでは今日は吉日と出ている」
真紅「占い…て、こんな状況で何を呑気な」
翠星石「当たるんですか?」
ニキ「五分五分ってところだね」
ジュン「それってつまり、当てにならないってことじゃ…」
77 :
  一つ、心の樹へのアプローチの方法を占ってみよう」
雛苺「占いなんてやってる暇はあるのよ?」
蒼星石「ニキさんの占いはちょっと特殊だ。占いというよりも診断と言った方が正しいかも」
真紅「診断ですって?」
ニキ「ああ、これを使う。『庭師のタロット』」ずららっ
ジュン「タロットカード!?」
蒼星石「そう、これがニキさんの庭師道具だ」
翠星石「毎度今更突っ込むのも野暮ですが、タロットと庭師って全然関係ねーじゃねーですか」
ニキ「そうとも言い切れない。nのフィールドの心の樹を相手にする庭師に限って言えばね」
ジュン「?」
ニキ「世界樹またはセフィロト(生命の樹)には10個の局(セフィラ)と22の小経(パス)があると
  考えられていて、それは、タロットカードの22の大アルカナと密接に関連付けられている。
  世界樹と各個人の心の樹は相似関係にあるため、タロットの暗示は人間の精神と肉体にも適用される」
雛苺「え? え? いきなり何を言ってるのか全然分からないの」
翠星石「翠星石もですぅ」
蒼星石「帰ったらジュン君のパソコンでWikipediaでも見せてもらうといいよ二人とも」
78 :
  それって怪しげなオカルトやスピリチュアルなんたらとかが主張している胡散臭いもんじゃないの?」
ニキ「それだけ汎用性が高いってことだ。例えばジュン君の心の樹を世界樹に見立てて
  その概略図を書いたこの紙の上に、セフィロトの図を重ね合わせてみる」
ジュン「…いつの間に、そんな概略図を」
翠星石「暇だったんですよコイツ、きっと」
ニキ「そうすると、こんな感じになる(↓)」
     spo_px
  HORIZON ,i'゙´ `i、ETERNITATIS
         sephira ヾ!||||lツ prima
      Summa`´ Corona
  SYSTEMA ,ィゞ⌒゙ゝ、 SEPHIROTICVM
    XDIVINO ;i=-ゞ、Kム゙i、 RVMNOMINVM
       ゙i、シゝ、ュィミノ
  Sephira III   _,、-'"ヘミ⊥ゞヘ`゙'-、_  Sephira II
Tntelhgena snt spi/mundw|_|chetypl\ Summa sapuntic
    ,ィゞ⌒'ゝ、/ミ(∵八∵)シ」t!ミ(∵八∵)シ\ ,ィゞ⌒゙ゝ、
 i=-ゞ、Kム゙k' ミ(∵)シ   | |   ミ(∵)シ ゞ;i=-ゝ'ヾム゙i、
 ゙l、シゝ、ュィミノニニニニニニ ニニニニニニ゙l、シゞ、ュィミノ
 ヾミ⊥ゞ'゙   ?  ! !    Dalrth    ゞミ⊥ゞ'゙
   |f| i、゙i、  TabulnZi |_| MoiaicaSs   / / | |
   |(| i、゙i、   ,ィr=-、  |)| ,ィr=-、  /f/ |t|
   |t| i、゙i、  iミニ=   |(| iミニ= i ,/t/   | |
  sephi! !raV i、゙i、 !ミニ= i  ! ! !ミニ= i ,/ /seph!_!IV
   |_|  i、゙i、└=-= |f| └=-= ,/_/     |)|
  Time| |Swng ゙i、゙i、LrxMoyi| | Vmbra / /mrsba,| |Megaihi
┐ち,ィゞ⌒'ゝ、  ゙i、゙i、 Lrgu ! ! atem / /  ,ィゞ⌒゙ゝ、 ┌
i | i=-ゞヾム゙l、   i、゙i、Tith ! ! @ ,/ /  ;i=-ゞ、Kム゙i、|A
giニl、シゝ、ュィミノ ニニ ニニニ ニニニ ニニ゙i、シゝ、ュィミノニ i
t|   ヾミ⊥ゞ'゙ Mundw゙i、゙i、 ヾ゙! !   / / Orbiumゞミ⊥ゞ'゙ |s
┘ |_| \_\ ゙!、゙i、 | |  ,/)/ /_/   |_|    └
  |f| \_\ ゙!、゙i、|_| ,/ / _/_/pold  |)|∪
‐┐ 」 !nullpo ゙\_\ ,ィiゞ⌒'ゝ、/_/      |(| ┌‐
pt ニニ|t|     \i=-ゝ'ヾム゙i/raVI    | |ニニpra
‐‐sephi! !      _/l、シゞ、ュィミノ_\    |f|vsr└‐
   | |VIL  _/f/ ヾミ⊥ゞ'゙ \_\  | | a VII
    ,ィゞ⌒'ゝ、/_/yAim  」 !      \_\_,ィゞ⌒゙ゝ、♂
 ♀i=-ゞ、Kム゙i/ O Samnt|_| @ Pr_\;i=-ゝ'ヾム゙i、
 ゙i、シゝ、ュィミノニニニニニニ ニニニニニニ゙l、シゞ、ュィミノ
    ヾミ⊥ゞ'゙\_\ Mundw |f|Elemraum/_/ゞミ⊥ゞ'゙
     ゙!、゙i、 \_\Rinm _! !hindan/_/ / /
        ゙!、゙i、   \_\,ィゞ⌒'ゝ、/_/  /f/
         ゙!、゙i、   ヽi=-ゞ、Kム゙l/ / /
            ゙!、゙i、Ara゙l、シゝ、ュィミノ ,/_/
             ゙l、゙i、temヾミ⊥,ゞ'゙rypu/t/
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                ゙!、i=-ゝ'ヾム゙i/
              ゙i、シゞ、ュィミノ
       ヾミ⊥ゞ'゙
          3
ジュン「あ、昔のエヴァンゲリオンでこんなの見たことある」
ニキ「そうそう、アレと同じ同じ」
79 :
  重ねたセフィロトの図上ではケテルという局とコクマーという局に一致することが分かる」
翠星石「樹の一番てっぺんのところと、そこから右下の方の二箇所ですね」
ニキ「そしてケテルとコクマーを繋ぐ小径に対応するアルカナは『愚者(THE FOOL)』だ」
ジュン「愚者…」
真紅「それで、その愚者の暗示が私達のこれからにどう関わってくるって言うの?」
ニキ「愚者だけにグシャッと潰せばいいんじゃないかな、あの実を」
翠星石「……」
蒼星石「……」
ジュン「……」ひゅるりらー
80 :
ニキ「いや、本当ごめんなさい。すいません。でも愚者の暗示は本当、解釈が難しいんだって」
ジュン「…僕達に最初にこの心の樹の実の存在を教えてくれた『二人目の鳥海(※)』は
  自分自身を愚者だと言っていた。あいつはこのことまで分かっていたのかな?」
ニキ「え、そうなの? 僕よりも先に、この心の樹から愚者の暗示を読み取った人が?」
翠星石「あのトリモチ人間がそこまで見抜いていたとは思えねーですぅ。偶然ですよ偶然」
※桜田ジュンの革新『愚者は二度死ぬ』参照
81 :
  どちらもその根幹は、『無計画の計画』という非常に矛盾に満ちたものだ」
真紅「結局、出たとこ勝負ってこと?」
ニキ「だね」
翠星石「なんですか、それはー! 結局、占いをやろうがやるまいが変わりないじゃねーですか!」
ニキ「だから五分五分だって…」
真紅「そもそも庭師のタロットって言いながら、大アルカナの22枚しかないのも中途半端よ」
蒼星石「あ、それは…」
ニキ「だってしょうがないじゃない。小アルカナの方の56枚は今、別件で出払っている。
  一応、補足しておくと小アルカナもセフィロトの局(セフィラ)そのものに対応している。
  さっきのケテルとコクマーであれば、字札の1と2だ。それに占いで重視されるのは大アルカナの方だし」
翠星石「と言うですか別件とは何のことですぅ?」
蒼星石「防衛線の維持だ。ニキさんの庭師のタロットは非常に多機能で
  大アルカナの22枚は、そのまま投げたり切りつけたりする武器として使うんだけど…」
ニキ「小アルカナは兵として使える。ワンド(棒)、ソード(剣)、カップ(聖杯)、コイン(金貨)の
  それぞれ1?10、ペイジ(小姓)、ナイト(騎士)、クイーン(女王)、キング(王)…
  4×14の56枚は、つまりトランプの兵隊のような感じで働かせることができる」
雛苺「どういうことぉ?」
蒼星石「つまり、カードが兵士に変化しているんだ」
ニキ「あ、ほら。話をすれば何とやらだ。伝令役が来た」
ワンド8「伝令?、伝令??」トテテテ
真紅「あら、本当。不思議の国のアリスね、まるで」
82 :
ニキ「僕の集中力が切れたり、兵士が強い衝撃を受けるとカードに戻っちゃうけどね。それでワンド8? 状況は?」
ワンド8「小アルカナ全部隊の約半数が渡し守との交戦でカードに戻ってしまいました」
ニキ「やはり、押され始めたか。そこまで小アルカナは強くないとは言え
  渡し守達の今回の追い込みにかける執念は相当のもののようだ」
ワンド8「東果の小隊とは金糸雀さんとトキが引き続き交戦中。一進一退で防衛という目的は果たせているもよう」
真紅「やはり問題は渡し守の方ね」
翠星石「東果は例の小隊だけということですから三人。しかし、渡し守の方は人数が分からないのが厳しいですぅ」
雛苺「ヒナ達も援軍に行った方がいいのよ?」
ニキ「いや、蒼星石達にはこっちにいてほしい。ジュン君が心の樹への処置を始めたら何が起きるか分からないし」
ジュン「いいんですか?」
ワンド8「はい。問題ありません。薔薇水晶さんと雪華綺晶さんが、今までの小アルカナ達の交戦状況から
  渡し守の進行部隊の中核を推定。そこに攻撃を始める手はずになっています」
ニキ「そっちを先に言ってよ、ワンド8」
ワンド8「それは失礼いたしました。では、私も戦場に戻ります! 次は必ずや勝利のご報告を」
ニキ「あまり気張らなくていい。攻撃は薔薇水晶と雪華綺晶に任せておいて
  小アルカナ達はサポートと防衛線維持に徹しろ。東果も、あの小隊以外に伏兵がいないとも限らない」
ワンド8「了解であります」タタタッ
ニキ「というわけで時間も迫ってきたようだ。ジュン君、覚悟はできているかい」
ジュン「はい」
翠星石「つーか、時間がなくなってきたのはテメェがワケの分からん占いを始めたからだろうがですぅ」
ニキ「うっ…」
83 :
ばらっしー「薔薇汁ブシャーーー! 薔薇汁ブシャーーーー!」
渡し守D「うぎゃああああーーーっ!」
渡し守E「ひぃいいいいいいい」
渡し守F「な、なんだあいつは薔薇乙女なのか!?」
渡し守G「薔薇水晶というのに似ているが、何故着ぐるみなんだ? そして、謎のはっちゃけぶり…」
渡し守H「けど、こちらは急襲を受けて大被害ですよ」
守長「うろたえるな」
渡し守H「も、守長(もりおさ)!?」
守長「いずれあの謎の液体、薔薇汁も尽きる。それまで自分の目を守るのだ。奴が疲れたところで反撃する」
渡し守G「な、なるほど」
守長「視力を奪われた者は下手に動くな! 薔薇乙女は無抵抗な相手には危害を加えん!」
雪華綺晶「さて、それはどうでしょう?」スゥッ
渡し守I「守長! 後ろ!」
守長「貴様ッ!? 雪華綺晶か! お前まで、ここに!?」
雪華綺晶「お久しぶりですわ隊長さん。けれども今は守長…と呼ばれているということは
   出世したのでしょうか? とりあえず、おめでとうございます(※)」
守長「…!」
※薔薇乙女のうた『ある野薔薇とワタハミの樹』参照
84 :
渡し守K「雪華綺晶だ!」
渡し守L「あいつめ、まさかまたここで会うとは!」
雪華綺晶「あらあら、他にも見たような顔がいくつか」
守長「そうだ。お前がレーテの河川管理局長との取引で返還した苗床の渡し守達、私の部下だ」
雪華綺晶「ふふ、そういうこともありましたわね。その節はどうもお世話になりました(※)」
※薔薇乙女探検隊『忘却の大河に幻の大ウナギを追え!』参照
85 :
雪華綺晶「いえ、この感謝と謝罪は本物。あれから私も随分とお姉様方に怒られたものでして…」
守長「?」
雪華綺晶「今となっては、人間の苗床を完全開放していますの。いわゆる廃業ですね」
守長「馬鹿な!? あれはお前の力の源ではなかったのか?」
雪華綺晶「かつては私も一人で多くの魂を所有することを目指していました。
   勿論、今もその事への興味は尽きていませんよ。しかし、それでも…」
守長「…?」
雪華綺晶「たった一つでも太い絆を共有することで得られる温かさと心強さを知った。
   最早、私にとって苗床は絶対に必要なものではなくなった。
   きっと世界が終わるまで、このままだと思っていた私自身がこうも変わった」
渡し守M「だから、それを開放したからと言って、囚われていた俺達が貴様を許すとでも!」
雪華綺晶「まあ、そこはあなた達も私を襲ってきたりしていますので、おあいこ様ですね」ニッコリ
守長「くっ!? な、なんだコイツ! 雪華綺晶は、こんな顔でも笑うのか!?」
渡し守K「今まで俺達は奴の邪気のこもった笑みしか知らない…!」
渡し守H「しかし、今のコイツの笑顔は無邪気そのもの!?」
渡し守J「それゆえに恐ろしい。前より一層、得体が知れん!」
守長「何か分からんが、俺達も第3世代ロゼリオンのサンプルを手に入れるため…退くわけにはいかん!」
雪華綺晶「私も私であるために、退くわけにはいきません…悪しからず」
86 :
渡し守N「ひえー」
ばらっしー「薔薇汁ブシャーーーー」ぷすん
渡し守O「ん?」
ばらっしー「薔薇汁ブシャーー! 薔薇汁ブシャー…」すかすか
渡し守N「あの変な液が…? 止まった?」
ばらっしー「や、やばいっしー! めちゃピンチだっしー!」
守長「チャンスだ! 皆、自分の櫂で奴を滅多打ちにしろ!」
渡し守達『おらおらおらーーっ』ドカドカ
ばらっしー「ひええええええ、だっしー!」
守長「やったか!?」
渡し守M「い、いや! よく見ろ」
渡し守I「これは抜け殻!? 着ぐるみだけだ! 中身がいない! 脱出したのか?」
薔薇水晶「そのとおりだっしー!」スタッ
渡し守G「やはり中にいたのも薔薇水晶だったか!」
渡し守F「ここからが第2ラウンドというわけだな!」
薔薇水晶「お父様の作ってくれた、ばらっしー着ぐるみを壊したものは許せないっしー!」
雪華綺晶「…薔薇水晶」
薔薇水晶「なんだっしー!? 雪華綺晶?」
雪華綺晶「着ぐるみから出たのに、そのテンションと裏声のままで良いのですか?」
薔薇水晶「……」
渡し守達『……』
薔薇水晶「……」
雪華綺晶「……」
薔薇水晶「……」ダダダッ
守長「なんだ!? 薔薇水晶がいきなり逃げ出したぞ!?」
渡し守L「俺達の攻撃が避けきれていなかったのかな?」
雪華綺晶「やれやれですわね。私もちょと帰りたくもなってきましたが
   薔薇水晶の尻拭い程度は終わらせないと、あとでまたお姉様方にどやされます」
守長「来るか!?」
雪華綺晶「姉妹や仲間のために戦う感覚が、このコドウグの体に力を与えてくれるのが分かる。…いける」
渡し守O「やはり雰囲気が以前の雪華綺晶とはかなり違う! 要注意だぞ、みんな!」
渡し守達『おうっ』
87 :
ジュン「えーと、それで具体的にどうすりゃいいのかな? まずは?」
ニキ「その赤縄で自分の心の樹を縛ってみて。ぐるっと、神社の樹の注連縄みたいに」
ジュン「ぐるっと? こうですか」
翠星石「昔より大きくなったとは言え、相変わらずの細っけーチビ人間のチビ樹に
  そんなことして大丈夫ですかぁ? ポキっと根元から折れるんじゃねーのですぅ」
蒼星石「いやいや、ジュン君の樹はもう立派なもんだよ」
ジュン「縛りましたー」
雛苺「どう? ジュンのロゼリオン化がこれで治ったのよ?」
真紅「治ったの? ジュン?」
ジュン「分からん。と言うか多分、治ってないと思う。ほら、樹の二つのリンゴがまだ、そのまま…」
リンゴ「……」ぷるぷる
蒼星石「なんだ!? ジュン君の心の樹の実が…震えている?」
ニキ「それも二つともだ!? これは一体?」
翠星石「チビ人間の中のロゼリオンが苦しんでいる証拠ですか?」
蒼星石「そうなのかもしれない」
リンゴ×2「……」ボトボトッ
真紅「木の実が黒ずんで落ちたわ! 二つとも腐ったように…!?」
蒼星石「僕達が以前に庭師の鋏で摘み取った時と違う現象だ!
  以前は木の実をもぎ取っても次の実がすぐ同じところにできた!」
ニキ「しかし、今はもう次の実もできてこない!」
雛苺「今度こそ治ったのよ! ジュン!?」
ジュン「うーん、まだよく分からないけど何となく体は軽い」
翠星石「槐のところに精密検査を受けに行くですぅチビ人間! それではっきりするですよ」
蒼星石「だが、これはかなり期待していい効果だと思う」
ニキ「ああ、想像以上だ。想像以上にうまくいった」
真紅「ちょっとあっさりしすぎな感じもするけどね。巻きつけて終わりなら修行する意味が無かったじゃない」
雛苺「それもそうなの」
蒼星石「いや、でもだって、まさか本当にこんな簡単に…」
ニキ「案ずるより生むが易し。まさに愚者の暗示どおりの結果…なのか?」
88 :
雛苺「にゅ? なんだか落ちた実がグチョグチョしているのよ?」
翠星石「あん? そりゃ腐って落ちたんですから、グチョグチョしているのは当たり前…」
蒼星石「いや! 何かおかしい! そのグチョグチョから離れるんだ、みんな!」
リンゴ×2「……」ギュルルル
ニキ「二つのグチョグチョが合体してスライム状に…? いや、まだ形が変わる!?」
ジュン「な、なんだなんだ! 何が起ころうとしてるんだ!」
真紅「ま、まさか! あの赤黒いグチョグチョがか、たどろうとしている姿は…!?」
  r‐rァZ´~"ヾ
 rヘi !〃 ̄ ヽ}
  7b!リノノリ))》 ふしゅー……
 /ノヘ.!}!`ω´ノヽ
  (( く_ヒ|卯i7ヾト、
  rク /爿'^ jス ソ〉
 r'ブー-rァァ-‐′r'〉
SNK「くっくっく! 久しぶりね真紅」ドッギャーーーン
蒼星石「あ、あれは!?」
翠星石「なんとー!? あいつは邪悪の化身SINKU、いやさSNKですよー!(※)」
ニキ「SNKだと!? なんだそれは!?」
雛苺「ど、どうしてSNKがジュンの心の樹の実から出てくるのよ!?」
※真紅、分裂する。参照
89 :
  実際にジュンがロゼリオン化していた時期の方がずっと前のはず…!」
SNK「細かいことはどうでもいいわ。真紅細胞あるところにSNKあり。
  ロゼリオンとして暗黒の気が満ち始めていたジュンの患部に私の意志が移動しただけのこと」
真紅「うぬぬぬぬ!」
SNK「前と同じようにあなたの力を二分した私だと思わないことね。
  ロゼリオンとして、私はここで暗黒闘気を手に入れたのだわだわ!」
翠星石「暗黒闘気って、おめぇ…」
SNK「こうして無理やりジュンの心の樹から剥がされたのは残念だけど
  既に私の力はあなた達を大幅に上回っている!」
真紅「ふざけないで頂戴! あなたがロゼリオンの元凶であるというのなら
  あなたを打ち倒すまで! それでジュンのロゼリオンは完治して、めでたしめでたしだわ!」
SNK「さすがは私のオリジナル。やる気は充分ね!」
真紅「先手必勝ローズテイル!」どばっ
SNK「ダークテイル!!」じゅどばっ
真紅「うぎゃーーーーーーっ」チュドーン
翠星石「し、真紅ーーーーっ!」
雛苺「あっという間に、真紅がやられたのー!」
ジュン「ええい! あのSNKの言っていることは嘘じゃあない! 前とは比べ物にならないパワーだ」
ニキ「ジュン君、庭師の赤縄だ! 赤縄を心の樹から外して、それでSNKを縛れ。
  ロゼリオンの繋ぎであるメメントリオンは庭師の赤縄に含まれているサクラダイトに弱い」
ジュン「そ、そうだった」
蒼星石「それまで、僕達が時間を稼ぐ!」
SNK「ふっ、何人でも同時にかかってらっしゃい」
翠星石「ぬうう! 調子こくなです! チビ人間のゲロ縄なんぞなくとも
  テメーなんざ、翠星石達でギッタギタのケチョンケチョンにしてやるですぅ!」
90 :
翠星石「如雨露殺法! 天空三日月斬りゃぁぁああっ!」グオッ
雛苺「苺わだち!」シュバッ
ニキ「庭師のタロット投げ!」ブンッ
SNK「効かーぬ!」カキーン
蒼星石「ぐはーっ!」
翠星石「げふーっ!? 翠星石達の必殺技が全て跳ね返されたですぅ!?」
ニキ「ま、まずい。僕の意識が途絶えたら、小アルカナ達まで…」
雛苺「ふみゅみゅ…」
ジュン「な、なんという力なんだ! SNKはッ!?」
蒼星石「い、今まで野薔薇にもロゼリオンにも後れを取ったことがない僕達をここまで…」
SNK「くっくっく。今まで、じっくりと力を蓄えさせてもらったお陰だわ」
ジュン「くそっ! 早くこの赤縄で奴を縛らなくちゃいけないのに…!」グッグッ
翠星石「何やってるですチビ人間! 固結びしちまって縄が取れないのですか!?」
蒼星石「ジュン君、それだったら一度自分の心の棚に…」
ジュン「そ、それもやろうとは思ってるんだが、全然ビクとも」グッグッ
雛苺「やっぱりジュンは本番に弱いのー」
SNK「ふふふ、それは違うわよ」
ジュン「え?」
SNK「ジュン、あなたが庭師道具を扱えたのは体内の一部がロゼリオン化していたから。
  その真紅細胞によって、庭師道具への適性が生まれていたにすぎない」
ニキ「!」
SNK「ロゼリオン部位が私という形で剥がれてしまった今のあなたに最早、庭師道具を使いこなすのは不可能!」
蒼星石「なっ!? し、しまった。こんな見落としを…」
ジュン「えええっ!?」
雛苺「そ、そんなー…」
SNK「そろそろ、ジュン…あなたへのプレゼントといきましょうか。
  遠慮はしなくていい。あなたの心の樹で育った負の産物を受け取って頂戴!」グニョグニョ
ジュン「…っ!?」
蒼星石「なんだ? SNKの形が…いや、ドレスだけがまた変化する…?」
91 :
ジュン「うっ!? あれは」
翠星石「あれは、確か!」
蒼星石「ジュン君がノートに下書きして、梅岡先生に掲示板と全校集会で晒されて
  生徒みんなから『凄いけどキモイ、キモイけど凄い』と大絶賛を受けたドレスだー!」
ニキ「なんだ、それは」
SNK「これぞまさに暗黒闘気の具現化。あなたの黒歴史が私の力となる! どうよ? ジュン?」
ジュン「くっ…」プルプル
翠星石「チ、チビ人間!? しっかりするです」
雛苺「ジュンがまたゲロっちゃうのー!」
92 :
SNK「え? あれ…? ジュン?」
翠星石「何故かチビ人間が大爆笑?」
蒼星石「翠星石…爆笑ってのは大勢が笑っている様子を言うから
  一人だけがどれだけ大笑いしても爆笑にはならないんだよ」
翠星石「今、ツッコむところですか、それ」
ジュン「あはははっは! い、今更、それかよ! あはははは」
SNK「つ、強がるのはよしなさい! これこそまさにあなたの恥部そのもの! もっと恐れ慄くがいいのだわ!」
ジュン「あー、うん。確かにこりゃ僕の恥部だ」
SNK「でしょ? でしょでしょ!」
ジュン「下書き段階だったとは言え、細部の合わせが雑だしバランスも悪い。今の僕だったらもっとうまくできる」
SNK「え、えええっ!?」
93 :
ニキ「弱体化しているのか?」
真紅「いえ、違うわ。ジュンのマイスターローゼンとしての自負に溢れた黄金の精神で
  ロゼリオンSNKが浄化されていっているのよ!」
翠星石「な、なんですと!? と言うか真紅ようやく会話に復帰ですか」
蒼星石「そうか! ジュン君は確かに以前、自分が曇りなき心で真紅達と相対することが
  ロゼリオン化の治療になると言っていた。それはSNKに対してもそうだったんだ!」
ニキ「心の樹と同一化していた樹の実の状態では、それも難しかったのだろう。
  ロゼリオン化部位がSNKとして実体化してくれたお陰だな」
SNK「な、なんなのよ! これって一体何なの!?」
真紅「まだ分からないのSNK! あなたの負けよ!」
SNK「ま、負け!? 私の負け? そんな馬鹿な…」シューシュー
雛苺「SNKから変な煙が出始めたの」
翠星石「む! 仮面ライダーとかでやられた怪人お約束の爆発ですか」
SNK「くっ! いいわ! これが私の負けだというのなら今回はそれを認める!
  しかし私はジュンと真紅、あなた達の闇の心の申し子!
  いくら黄金の精神だろうとマイスターローゼンだろうと、光あるところに闇は必ずあべしっ」チュドーン
翠星石「うおうっ! 最後まで台詞言い終えずに爆裂しやがったですぅ」
真紅「SNKも哀れな存在なのだわ」
94 :
真紅「完全勝利…か、究極の少女アリスである真紅ちゃんにふさわしい美しい響きだわ」
翠星石「おめーは初っ端におもいっきりSNKに敗北していたじゃあねーですか」
真紅「終り良ければ全て良しよ」
蒼星石「それもそうだね。けどジュン君、一応、槐先生の精密検査だけは念のために」
ジュン「うん。分かっている。それにしても長い間、迷惑をかけたなみんな」
蒼星石「迷惑なんて…、全部ジュン君が自分の心で解決したんだ。僕達はただ、その手助けを…」
ジュン「蒼星石」
翠星石「ま、そういうことにしてやるです」
ジュン「翠星石」
雛苺「元はと言えば真紅が自分の手をジュンに飲み込ませたのが悪いのよね」
真紅「雛苺と翠星石だって共犯でしょ!」
ジュン「いや、しかし…振り返ってみると本当に長い戦いだった」
真紅「ええ、ロゼリオンが…いえ野薔薇なんて実在しないとされていた時がまるでついこの間の事のようだわ」
翠星石「野薔薇とメメントリオン、そして庭師連盟やらの勢力の奇妙な関係に翠星石達は振り回されっぱなしだったですぅ」
蒼星石「思えば僕達もずいぶん遠くに来てしまったような気もするね」
雛苺「でも、みんな笑顔で終わったのよ。いなくなった人達も一杯いたけど、みんな最後は笑ってたの」
真紅「私達も笑顔で終わるために、これから面白おかしく生きて戦い続けねばならない」
ジュン「真紅はいつも、しまりのない顔して笑ってるだろうが」
翠星石「とにかく真紅の言うとおりです。翠星石達の戦い、薔薇乙女の奇妙な冒険はまだまだこれからですよ!」
薔薇乙女の奇妙な冒険
桜田ジュンのうた『世界が終るまでは…』 劇終
95 :
ジュン「うわっ!?」
真紅「す、水銀燈!?」
翠星石「ど、どうしたですか突然? こんなところへ」
ニキ「君は今日の防衛線には参加してないはずじゃ…?」
水銀燈「全然、別の用件で来たのよ! なのに劇終にしようとするなんて」
雛苺「だって今日はもう疲れたのよ」
真紅「そうそう、早く帰って寝たい」
二葉「そ、そう言わずに。こっちもかなり切羽詰ってるんだから」
ジュン「二葉さんまで? どうして二人が僕の心の樹の場所に?」
97 :
真紅「水銀燈?」
二葉「この際、もう隠しとおすのは無理だ。素直に消えためぐちゃんを追いかけていると白状しよう水銀燈」
翠星石「消えた!? あの生き損ないがですか!?」
蒼星石「まさか、成仏したっていうのかい?」
水銀燈「分からない」
ニキ「分からない?」
二葉「とりあえず現状は僕の方から説明しよう。かくかくしかじか、という訳だ」
ジュン「柿崎さんの霊体がメメントリオンに消化されたかもしれないってことですか!?」
二葉「そう」
雛苺「それで、メメントリオンの跡を追っていた二人がここに来た理由は何なのよ?」
水銀燈「メメントリオンの跡が、ここに続いていた」
蒼星石「!」
二葉「それも、かなり新しい…見えづらい湿った跡だ」
真紅「それってまさか…」
水銀燈「ええ。メメントリオンは、このすぐ近くにいるはず」
98 :
ニキ「いや、彼らの追っているメメントリオンはSNKとは全く別物だろう。
  しかし、そのメメントリオンがここに来たのはSNKと関係あるかもしれない」
翠星石「ええい、ニキ! お前の言うことは、どうとでも解釈できる話じゃねーですか。頼りにならんです」
ズリ…ズリ…
水銀燈「この音?」
蒼星石「あっ!? ジュ、ジュン君の心の樹の近くだ! メメントリオンがいる!」
翠星石「なんですとー!?」
雛苺「SNKとドタバタ戦っている内に近づいていたのよ!?」
ジュン「ぼ、僕の樹に何をする気だ?」
メメントリオン「がじ…がじ…」
真紅「何かを齧ってる!? まさかジュンの樹を食べるつもり!?」
ニキ「いや、違う! 奴が取り込んでいるのは…ジュン君の樹に巻き付けられた赤縄だ!」
二葉「な、なんでそんな事を…?」
メメントリオン「うぷっ! ぐおええええっ」オゲロロロロ
ジュン「は、吐いてる? メメントリオンが?」
水銀燈「な、なんなのよ、この事態は?」
99 :
水銀燈「めぐ!?」
二葉「メメントリオンが吐き出したのか!? めぐちゃんを!?」
ジュン「えええっ!? で、でも! 溶かされて吸収されてたんじゃあ…」
守長「…メメントリオンの消化不良だ」
雪華綺晶「……」
真紅「消化不良…? て、誰よあなた!?」
雛苺「雪華綺晶も一緒にいるの!」
雪華綺晶「こちらは渡し守のちょっと偉い方ですわ。
   緊急事態のようですし、メメントリオンについて詳しい人をお連れしました」
ニキ「い、いや! だが、しかし」
雪華綺晶「桜田ジュンのロゼリオンが解除された時点で東果や渡し守達と争う理由は消えました」
ニキ「……」
水銀燈「理由が無くなれば戦うのをやめるとは…末妹も優しくなったわね」
雪華綺晶「ええ、お姉様達のお陰です」
100 :
ジュン「あ、メメントリオンが何処かへ行くぞ!」
守長「行かせてやれ。君達の取り返したいものは、もう取り返したんだろ」
めぐ「……」
二葉「大丈夫だ。めぐちゃんは気を失ってるだけ。生きてる…というのは幽霊だから間違いか」
水銀燈「なぜ、めぐは無事だったの?」
守長「メメントリオンでも消化や浄化しきれない事がたまにある。
  それは食われた側の問題なこともあるし、メメントリオン側の問題なこともある」
雪華綺晶「メメントリオンが本調子でない場合や、食われた側の穢れが強すぎた場合などですね」
守長「聞かせてもらった君達の事情から察するに、おそらくメメントリオンは
  柿崎めぐの体内から脱出するために、無理をして彼女を内側から吸収したものだと思われる。
  サイズ的にも、その娘はあのメメントリオンには大きすぎる餌だ」
蒼星石「一旦、めぐさんの全てを飲み込んで、メメントリオン自身が表層化して肉体の自由を得た?」
守長「その娘が体調を崩して力が弱っていたのも、その逆転現象の引き金だろう。しかし、逆転しただけでは
  メメントリオンに真の自由は訪れない。腹に消化不良の魂魄を抱えたままでは、この先、支障が出る」
ジュン「だから、ここで吐き出した?」
守長「そうだ」
102 :
守長「場所は重要ではない。重要なのは…」
ニキ「庭師の赤縄…サクラダイトか!?」
守長「ああ、サクラダイトはメメントリオンが苦手とする物質だが、彼らはそれを自らの嘔吐剤としても使う。
  消化不良を起こした時、サクラダイトを齧って吐き戻すんだ」
水銀燈「あのメメントリオンはサクラダイトを探して、ずっと…うろついていた?」
翠星石「野生の本能みたいなもので、ここに辿りついたのですか」
蒼星石「虎も体調不良時には薬草を本能で探し当てるそうだし、あり得る話だ」
守長「俺もそうだと思う。ただ、確信はできないがね」
めぐ「うう…ん」
真紅「あら? めぐが目を覚ますわよ」
103 :

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