ニート「七つの大罪……?」back

ニート「七つの大罪……?」


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1:
<ニートの家>
ニート「七つの大罪……?」
天使「はい、あなたは七人のうちの一人に選ばれたのです」
ニート「ふうん……」
ニート「七つの大罪っていったら、あれだろ……?」
ニート「『このマンガがすごい!』で五位になった漫画だよな?」
天使「漫画の話ではありません」
ニート「もちろん、毎週読んでるよ」
ニート「ネットで無料ダウンロードしてね」ニッ
天使(クズ野郎が……)
元スレニュース報(VIP)@2
ニート「七つの大罪……?」
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5:
ニート「七つの大罪っていったら──」
ニート「怠惰、傲慢、嫉妬、色欲、強欲、憤怒、暴食、だっけ?」
天使「はい」
天使(よく知ってたな……。どうせ、漫画やアニメで得た知識だろうが)
ニート「で、俺はどれなわけ?」
天使「“怠惰”です」
ニート「あ〜、やっぱり」ニヤニヤ…
天使(やっぱり、じゃねえよ)
ニート「なにしろ、生まれて二十数年、一銭も稼いでないからね」
ニート「つうか、家のことすらやってないし」
ニート「もちろん、これからも記録更新するつもりだ」
天使「…………」
天使「まぁ、それはともかく、話を続けます」
6:
天使「実は……今、人間界で八人の“能力者”が悪事を働いているのです」
ニート「能力者?」
天使「彼らはいずれも、自分に敗れた人間の魂を奪い取る能力を持っています」
ニート「ふうん」
天使「こんなことができるのは、魔界に巣食う悪魔しか考えられません」
天使「黒幕である悪魔は、能力者に魂を奪わせることで」
天使「それを糧として力をつけ、人間界や天界を支配しようと企んでいるのです!」
ニート「へぇ〜」
天使(もう少し、真剣に反応しろよな……)
天使「八人の能力者は、それぞれAからHまでの文字を持つ能力を持っています」
7:
── B BLADE(刃)
ザシュッ!
警官「ぐはァ……!」ズォォ…
剣士「吾輩に斬られた者は……この刃に魂を吸い取られるのだ」

── C COOKING(料理)
美食家「く、悔しいが……うまいっ! ──うっ!?」
ズォォォォォ……
料理人「ワタシの料理に感銘を受けたら、魂はワタシのモノさァ!」

── D DISCUSSION(議論)
インテリ「もう反論できないようですね……では魂をいただきましょう」
評論家「うっ、うわぁぁぁっ!」ズォォ…
インテリ「フフフ、だいぶ魂が溜まりましたね」
10:
── E ENDURANCE(忍耐)
坊主「この我慢比べ、おぬしの負けじゃ」
修行僧「うぐわぁぁぁっ!」ズォォ…

── F FLASH(光)
ズォォォォ……
占い師「私の光を浴びてしまったら……魂が抜け出てしまうのよ」

── G GAME(ゲーム)
棋士「ま、参った……!」
ゲーマー「ボクの勝ちだね、魂はいただくよ」

── H HELL(地獄)
霊能力者「さあ、亡者たちよ。魂を奪ってしまいなさい! ホ〜ッホッホッホ!」
亡者「ウオォォォォン……」
12:
天使「──と、このような能力者です」
天使「しかも彼らを倒すには、彼らのルールに従った上で彼らを超えねばなりません」
天使「従わねば、たとえ核ミサイルでも彼らを倒すことはできないのです」
ニート「へぇ……。あ、ところで、“A”の能力者は?」
天使「表舞台に出てきていないので、まだ分かっていません」
天使「おそらく彼ら七人を倒すと、出てくると思われます」
天使「もしかすると、“A”の能力者こそが悪魔なのかもしれませんが……」
ニート「なんだよそれ……ちゃんと働けよな」
天使「(ぐっ……!)す、すみません」
ニート「てかさ、そもそもなんでお前がこいつらを何とかしないわけ?」
16:
天使「それは……天界の神様や我々天使は、人間に干渉できないからです」
天使「ですから、こうやって見込みのある人間に啓示をして」
天使「八人の能力者を倒してもらうしかない、というわけです」
ニート「ふうん……。で、選ばれたのが、俺を含めた“七つの大罪”ってわけか」
天使「はい」
天使「今頃、他の天使もあなた以外の六人に啓示をしているハズです」
ニート「ハァ〜……」
天使「(ため息……)たしかに急にこんな話をされても、困るでしょうが──」
ニート「いや、そうじゃなくてさ」
ニート「七つの大罪もそうだけど、能力者とか、魂抜き取るとか、ありきたりじゃん」
ニート「ありきたりなだけならいいけど、展開も唐突だし……色々と強引だし……」
ニート「もし、これがアニメだったら、一話で切るね」
天使(できることなら、今すぐお前を切り裂きたいよ)
17:
ニート「ところで、ちゃんと見返りはあるんだよな?」
天使「はい」
天使「この紙に、あなたの願いを書いて下さい」スッ…
天使「そうすれば、八人の能力者打倒後にどんな願いも叶えられます」
ニート「絶対?」
天使「はい、あなた自身が権利を放棄しない限り、絶対です」
ニート「マジで? よっしゃ、じゃあ──」カリカリ…
『一切働かず、幸せに天寿をまっとうできるようにして欲しい』
天使(なんつう願いだ……。さすが、“怠惰”なだけのことはある)
天使「では……あなたを天界までお連れします。行きますよ!」
ビュオッ!
19:
<天界>
ニート「ここが天界か……ふうん」
天使「人間がここに足を踏み入れるなど、めったにないことですよ」
ニート「俺の場合、部屋を出ることすらめったにないしな」
ニート「最近じゃ、トイレもペットボトルで済ませるようになったし」
天使「…………」
天使(そのうち呼吸するのもめんどくさいとかいって、死ぬんじゃないかコイツ)
天使「あの建物が、神様がいらっしゃる神殿です」
天使「さ、どうぞ!」
20:
<神殿>
神「我が神殿へようこそ……」
神「悪魔が生み出した“能力者”に対抗しうる力を持つ」
神「“七つの大罪”たちよ……」
“怠惰” ニート
“傲慢” ブラック社長
“強欲” セレブ
“嫉妬” ヤンデレ女
“憤怒” DQN
“色欲” ビッチ
“暴食” デブ
天使(この七人が……“七つの大罪”か……)ゴクッ…
天使(さすがに七人が七人とも、いやぁ〜な空気を放ってるな……)
22:
神「君たちに“能力者”を倒してもらわねば、人類に未来はない……」
神「どうか──」
ニート「めんどくせえ……」
ブラック社長「なにが神だ! 神様はお客様だ! 身を粉にしてサービスしろ!」
セレブ「神殿というわりには、ずいぶん質素で貧相ですのねぇ〜」
ヤンデレ女「フゥ〜……フゥ〜……」
DQN「なに偉そうにしてやがんだ! クソジジイ!」
ビッチ「神様とかァ〜、チョ〜ウケるんだけどォ〜」
デブ「腹減ったぁ〜」
神「…………」ピクピクッ
25:
神「大切な話をしておるのだ! マジメに話を聞かんかァ!」
ニート「うるせえな……」
ブラック社長「何様のつもりだ! 会社で一番偉いのはこの俺だぞ!」
セレブ「あらやだ、お下品ですこと」
ヤンデレ女「フゥ〜……フゥ〜……」
DQN「あァ!? うざってえんだよ! 今すぐケンカすっか、コラァ!?」
ビッチ「え、なんでいきなりキレてんの? アハハ、ウケる〜!」
デブ「腹減ったぁ〜」
神「ぐぬぅ……なんなんだこいつらは……!」
天使「我慢ですよ、神様。なにしろ、“七つの大罪”なんですから」
27:
神「すでに天使から話は聞いているだろうが……」
神「君たちの使命は、八人の能力者を倒すことだ」
神「しかし、八人目の能力者の正体はまだ分かっていない」
神「ゆえに、まずは配下である七人の能力者を倒してもらうことになる」
神「“B”から“H”までの能力者を倒せば──」
神「きっと“A”の能力者が姿をあらわすだろうからな」
神「というわけで、さっそく各々の対戦相手を選んでもらう!」
神「そして、選んだ相手のもとに、このワシがワープさせてやろう」
29:
当たり前だが屑しかいない
どうみても悪役側
30:
ブラック社長「俺は、この苦労を知らなさそうな奴にしよう」
セレブ「では、わたくしはこの方にしますわ」
ヤンデレ女「ウフフッ、ワイルドでかっこいい彼にする……!」
DQN「お、コイツいけ好かねえツラしてんな。コイツにしとくかァ!」
ビッチ「この人でいっかな」
デブ「オレはもちろんこの人にするよぉ!」
ニート「…………」
神「どうした、ニート」
ニート「やっぱり……行かなきゃダメ? なんか、めんどくさくなってきて……」
神「天界まで来ておいて、なにをいってるんだ!」
天使(さすが“怠惰”……とことん動きたくないらしい)
神「他の六人はもう対戦相手を選んだから……お前は残る一人の相手だ!」
神「とっとと行けっ!」
バビューン!
31:
天使「全員……飛んでいきましたね」
天使「どうでしょうか……神様」
天使「“七つの大罪”は“能力者”たちに勝てるでしょうか?」
神「なんともいえぬ」
神「しかし、並みの人間では能力者には到底及ばぬし……」
神「彼らが勝てなければ、人類も天界も、未曾有の危機を迎えることになろう」
35:
デブが腹減ったしかいってねえwwwww
36:
ヤンデレ女「うっふっふ……一目惚れしちゃったの」
剣士「吾輩になにか用か」

デブ「腹減ったぁ〜」
料理人「むむ、ワタシの料理を食べにきたのかい?」

DQN「このヤロウ、ブッ倒してやるよォ!」
インテリ「やれやれ、私と勝負するつもりですか?」

坊主「なるほど、おぬしがワシの相手というわけじゃな」
ニート「だるい……」
39:
占い師「なによあなた?」
セレブ「庶民に、真の光というものを教えてあげなくてはね」

ブラック社長「こんな茶番……とっとと終わらせてやる。俺は忙しいんだ」
ゲーマー「フフフ、ボクに勝てるかな?」

霊能力者「ホ〜ッホッホッホッホ! さあ始めるわよ!」
ビッチ「やだ〜、超キモイんだけど」
七つの大罪 VS 能力者 バトル開始!
42:
剣士「女性を手にかけるのは本意ではないが……覚悟!」ギュアッ
ガキンッ!
剣士「む!? 我が剣を受け止めただと!?」
ヤンデレ女「ウフフ……愛してるわ」ギラッ
剣士(包丁!? この女、包丁を常備しているとは……料理好きか)
ヤンデレ女「だからこそ……動けないようにしてたっぷり愛してあげる!」
剣士「ふむ……我が“刃”の獲物に相応しい」

デブ「ご飯、ご飯〜!」チンチン
料理人「ずいぶん、せっかちなお客さんだなァ!」
料理人「じゃあ……さっそく“料理”を作ってあげよう!」
デブ「早く、早く〜!」
料理人(これが君の最後の食事になるとも知らずにねェ……)ニヤ…
44:
DQN「かかってこいや、オラァッ!」
インテリ「おっと、“議論”でなくば、私にダメージを与えられませんよ」
インテリ「ところで、議題はどうしましょうか?」
DQN「ギダイだァ!? んじゃ、タバコだ、オラァ!?」
インテリ「よろしい……では、喫煙を本格的に規制するか否かで議論しましょう」
インテリ「私が喫煙規制派、あなたは喫煙容認派で、よろしいですね?」
DQN「来いやァ!!!」

ニート「なんだここ? なにもない空間だ……」
坊主「ここはワシが作り出した異空間である」
坊主「勝負がつくまでこの空間からは出られず、ワシとおぬしは互いに干渉できん」
坊主「この“忍耐”力の勝負……先に声を出した方が負けだ」
ニート「分かった、それでいいや」
坊主「では……勝負開始!」
48:
占い師「私の水晶から放たれる光に耐えきれば、あなたの勝利」
占い師「あなたが少しでもまぶしいと感じてしまえば、私の勝利よ。いいわね?」
セレブ「よろしくてよ」

ゲーマー「このボードゲームで勝負しよう! 駒を動かし合って戦争するんだ!」
ブラック社長「ボードゲーム……? ようするに、チェスのようなものか」
ゲーマー「そのとおり! ただし──」
ゲーマー「このゲームの駒は、本当に生きているんだよ」ニヤッ
ブラック社長「ほう……」

霊能力者「さあ、地獄から亡者が集まってきたわよ〜!」ウォォォン…
霊能力者「あなたの魂も奪い取って、地獄の亡者にしてあげるわ〜!」ウォォォン…
ビッチ「キャハハ、地獄だってぇ〜!? 超ウケるんだけどぉ〜!」
52:
天使「…………」ゴクッ…
天使「いよいよ始まりましたね……」
神「うむ……」
天使「相手のルールに従わなきゃならないというのは不利ですが……」
天使「“七つの大罪”ならきっと勝ってくれるハズです……!」
神「…………」
天使「どうしました?」
神「できれば、共倒れが理想だ……」
天使「もちろん、私も本音はそうです」
57:
“強欲”セレブ VS “F”占い師
占い師「さあ、いくわよ」
占い師「この水晶玉からあふれ出る、閃光を受けてごらんなさい!」
ピカァァァ……!
占い師(決まったわ……)
占い師「やはり占い通り、この勝負は私の勝ち──」
セレブ「あ〜ら、この程度ですの?」
占い師「!?」
占い師「な、なんで!? なんで私の光が通じないのよ!」
セレブ「オホホ、決まっているでしょう」
セレブ「ご覧あそばせ! わたくしの服を!」バサッ
占い師「!?」
59:
キラキラキラキラキラ……
占い師「な、なにこれ……」
占い師(上着を脱いだら……全身にダイヤやルビーをはじめとした宝石が……)
占い師(これじゃ光が乱反射して、威力が弱まってしまう!)
セレブ「この太陽のような輝きに比べれば」キラキラ…
セレブ「アナタの光なんて、月の光も同然ですことよ」キラキラ…
占い師「くっ……!」
セレブ「しかも、この時価数百億円の宝石たちを使えば──」
セレブ「あなたが放った光を、まとめてお返しすることも可能ですのよぉ〜」
占い師「な、なんですって!?」
セレブ「光を集積して……お返しいたしますわ!」ピカッ
バシュゥッ!
ズガァァァンッ!!!
占い師「あ、あがが……」プスプス…
“傲慢”セレブ ○ ─ × “F”占い師
60:
“暴食”デブ VS “C”料理人
料理人「お待たせェ!」
デブ「うん、うまい!」ガツガツ…
デブ「おかわりィ〜!」
料理人(よく食う奴だ……しかも早い! たった五分で二十人前は食べている……)
料理人(しかし、なぜだ……?)
料理人(ワタシの料理に感銘を受けた者は、魂を奪われるはずなのに……)
料理人(なんで、コイツの魂は奪えないんだァ!?)
デブ「うん、うまい!」ガツガツ…
デブ「おかわりィ〜!」
料理人「……ちょ、ちょっと待て!」
デブ「なに〜?」
66:
料理人「なぜだ! なぜ魂を奪われない!?」
料理人「キミは、ワタシの料理がおいしくないのかァ!?」
デブ「えぇ〜、おいしいよぉ」ゲップ…
デブ「でも、オレの場合、ある程度の味なら何でもおいしく食べられるからね」
デブ「レトルト食品も、あなたの料理も、みぃ〜んな美味しい!」
料理人「!」ガーン
料理人(レトルトと……ワタシの料理が……同レベル!?)ピシッ…
料理人(ワタシの……料理人としてのプライドが……崩れていくゥ……)ピシピシ…
パリィンッ!
ドサッ……
デブ「あれ、倒れちゃった! どうしたんだろう?」
デブ「ま、いっか。キッチンにある食べ物、全部食べちゃお〜っと」
“暴食”デブ ○ ─ × “C”料理人
67:
“嫉妬”ヤンデレ女 VS “B”剣士
キィンッ! ガキンッ! キンッ!
ヤンデレ女「ウフフ……やるじゃない……。私が見込んだ通りの男性だわ……」
剣士「吾輩と互角とは……なぜお前、ここまでの剣の腕が!?」
ヤンデレ女「あれは大変だったわぁ……」
剣士「?」
ヤンデレ女「剣道の有段者だった彼が、もう別れようっていった時は……」
ヤンデレ女「常に木刀を持っている彼を包丁で刺すため、猛特訓したもの……」
ヤンデレ女「死闘の末、脇腹を刺して病院送りにすることに成功したわ……」
剣士(こ、こいつ……)
剣士(剣道経験者を刺すためだけに、これほどの腕に!? どんな執念だ!?)
剣士(イ、イカれている……!)
剣士「お前はイカれている! お前などになびく男がいるものか!」
ヤンデレ女「!」ピクッ
69:
ヤンデレ女「なんですって……?」
ヤンデレ女「なんですってえええええええええええ!!?」
ヤンデレ女「許さない……許さないィィィィィッ!」
ヤンデレ女「きえええええええええええええッッッ!!!」
ギュオッ!
剣士(消えた!? ──ど、どこにっ!?)
ドスッ……!
剣士(背中……!)グラッ…
剣士「む、無念……」ドサッ…
ヤンデレ女「あなたがいけないのよ……」フゥフゥ…
ヤンデレ女「あなたが浮気なんてするから……!」フゥフゥ…
“嫉妬”ヤンデレ女 ○ ─ × “B”剣士
72:
“色欲”ビッチ VS “H”霊能力者
霊能力者「オ〜ッホッホッホ!」
ウォォォン……
霊能力者「霊感のないあなたにも、この地獄の亡者のうめき声が、聞こえるでしょう?」
ウォォォン……
霊能力者「今すぐ、あなたも地獄に──」
ビッチ「えぇ〜? よくわかんなぁ〜い?」
霊能力者「は?」
ビッチ「ジゴクとかモージャとかいわれても」
ビッチ「アタシ、生きてる男にしかキョーミないしぃ〜」
ビッチ「もち、イケメンで金持ってるヤツ限定ね」
霊能力者(な、なんなの……この娘……)
霊能力者「!」ハッ
74:
オォォ……
霊能力者(聞こえる……)
ウォォォォ……
霊能力者(この娘に弄ばれ、捨てられた、哀れな男たちのうめき声!)
ウオオォォォ……
霊能力者(私の能力が“地獄”なら、この娘の力はまさに“生き地獄”!)
ウウオォォォォォォォ……!
霊能力者(イヤ、やめて! 聞きたくない!)
ウオオオォォォォォォォォン……!!!
霊能力者「イヤァァァァァッ!!!」
ドサッ……
ビッチ「アハハッ、よく分からないけど勝っちゃった」
“色欲”ビッチ ○ ─ × “H”霊能力者
75:
ビッチなんもしてねええwwwww
76:
天使「す、すごい……すごいですよ!」
天使「あの手強い能力者たちを、すでに四人も倒しました!」
神「うむ……予想以上の強さだ」
神「これならば、きっと残る三人も勝ってくれることであろう」
天使「はいっ!」
神「ところで、今のうちにあの七人の願いを確認しておきたい」
神「七人が書いた“願い”を見せてくれるか」
天使「かしこまりました!」
78:
“怠惰” ニート
『一切働かず、幸せに天寿をまっとうできるようにして欲しい』
“傲慢” ブラック社長
『経営者は社員をどのように扱ってもよい世界にして欲しい』
“強欲” セレブ
『100兆円欲しい』
“嫉妬” ヤンデレ女
『私の恋路をジャマした人間は惨死するようにして欲しい』
“憤怒” DQN
『いくら人を傷つけても、罪に問われないようにして欲しい』
“色欲” ビッチ
『イケメンとお金持ち以外の男は消えて欲しい』
“暴食” デブ
『世界中の食べ物を自分のものにしたい』
神(なんだこりゃ……)
82:
神「なんだこれは!?」
神「もし、この七つの願いが全て成就してしまったら──」
神「世界はとんでもないことになる!」
神「はっきりいって、悪魔に支配された方がまだマシかもしれん!」
天使「し、しかし……もう取り消すことはできませんよ!」
天使「彼らがこの戦いに勝利してしまったら」
天使「これらの願いは叶ってしまうのです!」
神「なんてことだ……!」
神「くそっ……残り三人、誰でもいいから負けてくれ! 頼むっ!」
84:
“傲慢”ブラック社長 VS “G”ゲーマー
ゲーマー(このボードゲームは駒が本当に生きている)
ゲーマー(だから……駒がやられると悲痛な叫び声をあげて、死ぬ……)
 \ ギャー / \ タスケテー / \ オカーサーン /
ゲーマー(プレイヤーは罪悪感から、たとえ最善手であっても)
ゲーマー(駒を犠牲にするような手を打てなくなり、ボクに敗れていった……)
ゲーマー(一流のチェスプレイヤーや棋士でさえ、そうだった……)
ゲーマー(なのに……)
ゲーマー(目の前のこの男は、平然とゲームをプレイし続けている!)
ゲーマー(ボクでさえためらうような手を、眉一つ動かさず選んでくる!)パチッ
 \ ウゲェー /
ブラック社長「また一人死んだか。役立たずが」パチッ
ゲーマー(なんでだ!?)
85:
ビッチの願いが一番ヤバイ
87:
ビッチのが叶ったらお前ら全滅やん
88:
ゲーマー「おかしいよ、アンタ!」
ゲーマー「駒は生きているっていっただろう!?」
ゲーマー「なんでそんな残酷な手を打てるんだよ! それでも人間か!?」
ブラック社長「なにをいっている」
ブラック社長「駒が主人のために死ぬのは当然だろう」
ブラック社長「社員が社長のために過労死するのは当然なように、な」
ゲーマー「!」ガーン
 \ ウギャッ / \ ギエー / \ ムネン… /
 \ グフッ / \ シニタクナーイ / \ ヒデブッ /
 \ グエエエッ / \ ヒイッ / \ イヤダー /
ブラック社長「俺の勝ちだな」
ゲーマー「負け……ました……」ガクッ
“傲慢”ブラック社長 ○ ─ × “G”ゲーマー
91:
“憤怒”DQN VS “D”インテリ
インテリ「──以上が、タバコによって当事者及び周囲の人間に想定される害だ」
インテリ「よって、喫煙は規制されるべきである」
DQN「ハァ〜!?」
DQN「意味わかんねーんだけど、意味わかんねーんだけど!?」
インテリ「だから……」
DQN「だから、じゃねえよ!」バンッ
インテリ「机を叩くな!」
インテリ「議論する気があるのかい!? 君は!?」
DQN「してんじゃねえかよォ〜!? あぁ〜〜〜〜〜ん!!?」
92:
インテリ「一度話を戻そう……」
DQN「何を戻すんだよ!」
DQN「ハァ?」
DQN「ハァ〜!?」
DQN「ハァ〜〜〜〜〜!!?」
DQN「お? お? お? やんのか、コラ! あ? あ? あ?」
インテリ「叫んでちゃ議論にならない。一度落ちついて……」
DQN「ざっけんなよ! 落ちついてんだろうがよッ!!!」
インテリ(もういやだ……)
インテリ(これ以上、こいつと話したくない……関わりたくない……)
インテリ(アメーバを相手に議論する方が、よっぽど有意義だ……)ドサッ…
DQN「あ!? ブッ倒れやがった!」
“憤怒”DQN ○ ─ × “D”インテリ
96:
“怠惰”ニート VS “E”坊主
坊主「…………」
ニート「…………」ゴロゴロ…
坊主「…………」
ニート「…………」ゴロゴロ…
坊主「…………」
ニート「…………」ゴロゴロ…
坊主(こんな軟弱そうな男が、なぜこうも“喋らない”ということに耐えられる!?)
ニート(いやぁ〜喋らずにいるだけの勝負なんて、楽でいいや)
ニート(そういや、あの天使と会話するまで、俺二年間ぐらい喋ってなかったもんな)
ニート(このまま、ゴロゴロしながら妄想してよっと)
坊主(うぬぬ……)
98:
坊主「…………」
ニート「…………」ゴロゴロ…
坊主「…………」
ニート「…………」ゴロゴロ…
坊主「…………」
ニート「…………」ゴロゴロ…
坊主「…………」プルプル…
坊主「なんかしゃべらんかァ!」
ニート(うるせぇな、妄想がいいとこだったのに)
坊主「!」ハッ
坊主「うおおおおおお……ワシの負けぇ……」ドサッ…
ニート(お、勝った)
“怠惰”ニート ○ ─ × “E”坊主
99:
??『ほう……』
??『あの七人では歯が立たなかったか……神め、生きのいい人間を集めたようだな』
??『ならば、次は私が相手だ!』
??『七人全員、私の城に招待してやろう!』パチンッ
ニート「ん?」シュンッ
ブラック社長「なんだこの声は」シュンッ
セレブ「あら?」シュンッ
ヤンデレ女「なによ」シュンッ
DQN「あぁ!?」シュンッ
ビッチ「え、なんなの〜?」シュンッ
デブ「腹減ったぁ〜」シュンッ
105:
天使「神様」
天使「敗れた七人の能力者及び、奪われていた魂は全て回収いたしました」
天使「能力者は力と記憶を消してから人間界に戻し、魂は元の肉体に戻します」
天使「このぐらいの干渉であれば、我々でも可能ですから」
神「うむ、ご苦労」
天使「それと……“七つの大罪”全員が……人間界から消えました」
天使「おそらく、黒幕によって呼び出されたのでしょうね」
天使「つまり、いよいよ最後の戦いというわけです」
神「…………」
神「“七つの大罪”が負けてくれ……! 頼むっ……!」
天使「もう、我々でも彼らの戦いを見ることはできません」
天使「彼らが負けてくれることをここで祈りましょう……」
天使(まぁ……無理だろうけど……)
107:
<悪魔城>
悪魔「よくぞ来た! 私こそが、八人目の能力者にして黒幕……悪魔だ!」
ニート「あぁ、お前が“A”か。すっかり忘れてた」
ブラック社長「悪魔だと? 下らん」
セレブ「あらいやだ、さっきの神殿以上に貧相なご自宅ですこと」
ヤンデレ女「ブサイクね、私の好みじゃないわ……」フゥフゥ…
DQN「悪魔だかなんだか知らねえが、とっととブッ殺してやるよォ!」
ビッチ「えぇ〜!? なにここ、どこよぉ〜!? 超ウケるんだけどォ〜!」
デブ「腹減ったぁ〜」
悪魔「数の上で有利ということで、粋がっているのだろうが……」
悪魔「私の“A”の能力があれば、貴様らなどいくらいても恐れはしない!」
悪魔「貴様らを倒し、再び能力者を作り、人間界と天界を征服してやる!」
悪魔「私の能力は──」
108:
── A ANTITHESIS(正反対)
悪魔「神に逆らう者に相応しい、あらゆる力を正反対にする能力!」
ニート「なんか聞いたことあるような能力だなぁ……期待ハズレだよ」
悪魔「ほざけ!」
悪魔「私にかかれば、勇敢なる者をどうしようもない臆病者にすることも容易い!」
悪魔「貴様らがあの七人を倒した力を、今すぐ逆転してくれるわ!」ババッ
ズアッ!!!
シュゥゥゥゥゥ……
悪魔「フフフ、これで貴様らは無能なただの人間に過ぎん!」
悪魔「……む、なんだこれは!?」
111:
働き者「ようし、人々のために働くぞぉっ!」キリッ
若社長「我が社の社員の安全のため、この俺が悪魔を倒してみせる!」キリッ
主婦「とっととアナタを倒して、家に帰って晩ご飯作らないと!」キリッ
サッパリ女「失恋は恋愛につきもの! たっぷり泣いてスッキリしましょ!」キリッ
若者「よっしゃ、青春するぞ!」キリッ
大和撫子「私なんかでお役に立てますでしょうか……」シトッ
スマート「体が軽いや……」キリッ
悪魔(え!? 同一人物のハズなのに、雰囲気がガラリと変わった!?)
悪魔(むしろ……さっきよりパワーアップしてないか!? なんで!?)
働き者「みんな、いくぞぉっ!」ダッ
六人「オオオォ〜ッ!」ドドドッ
悪魔「わぁっ!? ま、待て──」
ズドゴォォォォォンッ!!!
“七つの大罪” ○ ─ × “A”悪魔
116:
<神殿>
神(八人目を倒し、“七つの大罪”が戻ってきたが──)
神(みんな雰囲気が変わっている……なにがあったのだ?)
神「よくやった。ところで、お前たちの願いなのだが──」
働き者「それについてなのですが、この七人で相談しました。辞退します」
神「え?」
働き者「俺は一生懸命働いて、自力で願いを叶えてみせます」
若社長「気に入った! ぜひ我が社に入ってくれ!」
主婦「主人は資産家だけど、それに頼らず節約しなくっちゃね」
サッパリ女「いっぱい恋しよっと! 包丁でお料理も頑張ろう!」
若者「勉強に恋にスポーツに……自分を高めるぞ!」
大和撫子「これからはおしとやかに生きていきます……」
スマート「食事は少食に限るね!」
神(なにがあったんだ!? ……まぁ、いいけど)
天使(価値観が変わっちゃうぐらいの、よほどすごい死闘だったんだろうなぁ……)
120:
働き者「よぉ〜し、バリバリ働くぞ!」
若社長「これからは社員のために尽くす社長になる!」
主婦「こんな宝石はさっさと売り払って、家計の足しにしなくちゃ」
サッパリ女「ねえ、私と付き合ってくれない?」
若者「いいぜ!」
大和撫子「おほほ……茶道や華道でも習おうかしら」
スマート「あぁ〜、体が軽いっていいなぁ〜」ピョンピョン
神(頑張れ、人間たちよ……!)
この後、元“七つの大罪”が人間界で大いに活躍したことはいうまでもない──
          <完>
122:

よくまとまってた
123:
乙だぜ
125:
なんとなく読み始めたけどすげー面白かった
乙!
126:

127:
ニートが就職決まっててワロタ
128:
ニートはワ○ミに就職が決まったんだな
12

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