オカ板の後味が悪い話スレで集めた話貼ってくback

オカ板の後味が悪い話スレで集めた話貼ってく


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暇でしょうがない奴向け
生きている脳 筒井康隆
金持ちの男が不治の病で死の床にあった。
医者は彼に言った。「脳だけを取り出して、培養液に浸けて置けば
理論的には何百年も生き続けることができますよ」
そのうち技術が進めば、目や耳などの感覚器官の代わりになる機械も
サイボーグの手足も開発される。神経にそれを直接接続すれば
元気な体がもう一度手に入る。それまでは培養液の中でのんびりと
待てばいいのだ。
医者の甘言に乗せられ、男はそれを承諾した。
手術は無事に終了し、彼の脳髄は培養液の中に静かに浮かんでいた。
傍目にはのんびりと、安らかにたゆたっているように見えた。
術後、意識を取り戻した彼は全身の激痛に戦いた。
彼の脳髄から伸びる神経線維は全て途中で断ち切られ、裸のままで
培養液に浸されている。それが彼には全身の激痛となって感じられるのだった。
叫ぼうにもそのための口も声帯も無い。
状況を知ろうにも見るための目が無い。
誰かに話を聞こうにも、聞くための耳すらもちろん無い。
誰にも助けを求めることすらできないまま、いつまで続くのかもわからない
痛みの中で、彼は医者の言葉を思い出していた。
「理論的には何百年も」

2:以下、
1982年:東京都八王子市の歯科診療所で、
フッ素塗布液のNaF(フッ化ナトリウム)とHF(フッ化水素酸)を間違えて塗布し、
診察台から2mもハネ飛んで幼児急死(4.20)
これ、塗布された瞬間に女児が大騒ぎして暴れだしたので、
治療していた歯科医が、付き添いでそばにいた母親と助士に女児を押さえている様に言って、
母親が押さえつけているところに更に塗布して、
筋肉の痙攣で大の大人二人を跳ね除けた上で2メートル吹っ飛んだと言う。。。
歯の神経の痛感ってのは、人体が感じる様々な痛み。つまり、痛覚としては2番目に強力なものなんだよ。
まあ、麻酔がなかったら普通は耐えられない。だから拷問なんかにも使う。
歯にフッ酸塗るとどういう痛みを感じるかっつーと、
塗られた歯が全部、末期の虫歯の痛みを同時に引き起こし、
さらに、フッ酸が浸透を続ける顎や頭蓋骨の中を通ってる痛感神経も、最大強度の痛感を発信するようになる。
まあ、ここまで強力な痛覚になると、もう脳というか神経系全体が耐えられんわな。
そんで、自律系の神経が機能不全を起こし、その端末である各種臓器も不全、
いわゆるショック死へ、という流れ。
やっちまった医師が、通夜の席で土下座して詫びて、そのまま脳溢血起こすのも、まあ無理はない。
仮にも医者なら、想像しただけでも気絶したくなるほどむごい状況を、
年端もいかない女児を押さえつけて引き起こしたって事が、まるわかりだからな。
自分にゃ嘘はつけないし、誤魔化しも効かんよ。
およそ人が知覚し得る最大限の苦しみを自らの手で与えたって事実からは、逃げようがないわな。
むしろ、そのへんの知識も想像力もない親は、単に毒を塗られて殺された?くらいの認識だろう。
まあ、愛娘が単に殺されただけでなく、人としておよそあり得る最大限の苦しみを与えられて死んだ、
なんて話は、親には言わんほうがいいけどな…。
4:以下、
ぬ?べ?で自分が一番トラウマだったのは、
地味な話で共感どころか思い出しても貰えないんだが…
学校(クラス?)にとても優秀な生徒がいる、という前置きがあって、
そこから一転普通にぬ?べ?のクラスの授業が始まる。
一人の男の子がメインらしく、
横顔でずっと楽しそうに授業を受け、感想がモノローグになっている。
その日の授業と言うかぬ?べ?の話は人形に宿る霊の話で、
日本人形の心の声を聞こう!というものだが、
日本人形とそれに似たクラスの女の子を間違えるギャグもあり、メインの男の子も笑っている。
そして、ぬ?べ?の力で人形の声を聞くが、信じられないと言う男の子。
すると突然広や響子、クラスのみんなの顔が渋くなり…
「もしかして僕が人形だと言うのか?!」
そこで男の子が正面から描かれる。男の子は理科室の人体模型で、
夜ぬ?べ?クラスのみんなが集まり、
人形の話から自然に気付かせたかったがそれが出来ず、その後は逃げる人体模型を鎮魂。
数日後、良い行いが神様に認められ人間にして貰うもまだ半分出来てない
(体半分が透き通っている)というオチ。
5:以下、
『銀河鉄道999』でも似たような話があったな
とある星ではその星でとれる食料は殆どその星の女王に献上しなければならず
決まった時間になると食料を差し出せとサイレンが鳴る
鉄郎が「ひどいヤツだ」って女王のところに乗り込むんだけど女王はかなり前に
死んでいて白骨化してた
7:以下、
見てるよ
10:以下、
週刊ストーリーランド 「笑わない子供」
ベビーシッターのアルバイトで大きな屋敷に女子大生が行ったところ
屋敷に住む奥さんは人形を抱いていました。
女子大生はおかしいと思いましたが、高額なアルバイト料だったのでベビーシッターをひきうけました。
この奥さんは女子大生にいろいろと注文・難癖をつけ、そのうち女子大生は精神的に追い込まれてしまい
ついには、口論となり「これは赤ちゃんじゃない、人形だ」と言って、海に人形を投げ落としました。
通報を受けた警察が調べてみると、実際に海から赤ん坊の死体が見つかります。
これにより女子大生は逮捕されますが、女子大生はあったことをすべて話しました。
その後捜査を進めていくと、監視カメラに人形が写っているのが確認され、女子大生の証言の裏づけが取れたのです。
そして、奥さんは旦那さんが出張中に誤って子供を死なせてしまった事、あらかじめ海に赤ん坊の死体を沈めておき
その罪を着せるために、この計画を立てたことを自供する、という話でした。
13:以下、
冷たい方程式
主人公は緊急小型宇宙艇EDSのパイロット バートン
開拓途中の惑星ウォードンに熱病の血清を届けにゆく途中
ウォードンにはふたつのキャンプがあり 片方は熱病で全員やられ
もう片方は嵐の影響で救助に向かうことが出来ない
そこで惑星間連絡船からEDSが派遣された
EDSには 未開の開拓星に逃れようと 犯罪者がときどき密航を試みる
しかしEDSには「船」と「パイロット」と「積荷」を目的地まで運ぶ
ギリギリの燃料しか積まれないため 密航者を乗せるわけにはいかない
そのために特別の法律が制定された
空間条例第8条 項目L
「EDS船内で発見された密航者は 発見と同時に船外へ投棄すること」
バートンは EDS内に密航者を発見する
20歳になるかならないかの娘 マリリン
彼女は地球育ち 他の開拓済みの惑星にある大学に合格し 向かう途中
兄のいるウォードンに向かう船があると聞き
しばらく会ってない兄さんに会いたいと その一心で乗り込んでしまった
(兄のいるのは無事な方のキャンプ)

14:以下、
彼女は安全な地球で育ち 辺境の環境がどれだけ苛酷であるか
そこではどれだけ簡単に人の命が失われるかを知らない
自分が何をしでかしてしまったのか まったく分かっていない
「渡航費は雑用で払うわ」と無邪気に言う彼女
バートンは彼女を助けたいとあらゆる可能性をさぐる
が 彼女を助ける方法はない
母船の連中も状況を聞き あらゆる手を尽くしてくれるがダメ
彼女を引き取る方法はない
母船は戻れない(スケジュールが乱れ 多くの星に回復不能の被害が出る)
代わりのEDSを打ち出せる船も近くにはいない
彼らに出来るのは 彼女がEDSにあとどのくらい留まれるのか を算出することだけ
15:以下、
そこでバートンは 彼女に全てを説明する
彼女が何をしてしまったのか
何故 死ななくてはならないのか
このままではバートンも彼女も死ぬ ウォードンで血清を待つ者たちも全員死ぬ
彼女が出て行けば 死ぬのは彼女だけで済む
これは人の力ではどうにも出来ないんだということ
彼女は結局「何故自分が死ななくてはならないか」を理解は出来ない
でも「何かとんでもない 取り返しのつかないことをしてしまったこと」だけは理解する
そしてバートン始め 周りの人が自分を助けようと必死になってくれたこと
誰も「彼女に死んで欲しい」と思ってる人なんていないこと も何とか理解する
彼女はバートンにふたつの願い事をする
「家族に手紙を残したい」そして「ウォーオンの兄さんと無線で話したい」
バートンは自分の手帳を渡し マリリンは地球の両親と兄に当てて手紙を書く
みんなに感謝してること みんなを愛してること
自分のことは心配しないで 私は大丈夫 怖くないから
と 最後の一行がウソであることが一目瞭然な 震える文字で
バートンはそれを預かり 必ずご家族に渡すことを約束する
ウォードンのキャンプに連絡は取れたが マリリンの兄は朝から嵐の観測に出かけている
ヘリの無線機は故障中 使えない
キャンプの連中も事情を聞き 出来る限りのことをしてくれるが それも限られている
まもなくキャンプはウォードンの自転によってEDSの反対側に回ってしまう
そしたら無線も切れる と聞き 「それまで待つ それから出て行く」と言うマリリン
制限時間ギリギリでやっと兄が無線に出る
数言 別れの言葉を交わし 無線は切れる
マリリンは 自分の足でエアロックに向かい バートンは彼女を船外に投棄する
16:以下、
「地球はプレイン・ヨーグルト」っていうSFの短編。
凄腕の料理人が政府の要請で極秘裏に召集。
そこで対面したのは、政界の陰の支配者にして超絶味覚の持ち主な老人と
マリモに無数の触手の生えたような生物。
その生物は異星人で、言葉やゼスチャーの変わりに「味覚」でコミュニケーションをとる存在。
体表に意を込めた体液を分泌し、それを触手で舐めとって”味”で意思伝達をしていた。
異星人との交渉者として選抜された老人と料理人は、
老人がマリモのメッセージを舐めて味わう→その返答を料理人が該当する味の料理を作る
という外交が進められ、老人と料理人の能力の高さから順調にコミュニケートが進んでいった。
(ちなみに作品名にもなった地球を表す”味”はプレイン・ヨーグルト)
そんな最中事件が起こる。
料理人が、うっかり躓いて”返答”用の無数の料理をマリモに一度にブチまけてしまう。
その後何故外交は突如打ち切られ、料理人は任を解かれる。
それから数年後、色々あって料理人は当時の関係者から事の詳細を知る。
マリモにとって件のブチまけた”味”は最大級の侮辱的な”味”であり激怒。
が、その激怒の”味”は老人が今まで味わったことの無い至上の美味だった。
老人はその快楽の虜となり、己が権力を最大限に発揮し、計画を闇に葬りマリモを私物化・監禁。
その後、マリモにあらゆる虐待・拷問を課し”至上の美味”を分泌させ味わい続けているのだった。
物語の〆は、今も人知れず密室で異形の化物を虐待し、
その体表を舐め回している醜悪な老人が居る。
17:以下、
阿刀田高
ある日、泣き声がしゃくに障ったので妹を殺した、死体は井戸に捨てた
次の日見に行くと死体は消えていた
5年後、些細なけんかで友達を殺した、死体は井戸に捨てた
次の日見に行くと死体は消えていた
10年後、酔った勢いで孕ませてしまった女を殺した、死体は井戸に捨てた
次の日見に行くと死体は消えていた
15年後、嫌な上司を殺した、死体は井戸に捨てた
次の日見に行くと死体は消えていた
20年後、介護が必要になった母が邪魔なので殺した、死体は井戸に捨てた
次の日見に行くと死体は消えていなかった
次の日も、次の日も死体はそのままだった
18:以下、
ぼくの地球を守って
7人が宇宙で調査を始めて1年、2人が謎の感染症で死んだ。
地球には降りられない状況だったため研究者Hが5人分5種類の薬を作った。
料理人Sが「生きたい!」と強く願い、HがSが大嫌いだったが少し考えてから一番自信作の薬をSに射った。
その後Sの薬は効き、他の4人は感染した。
32:以下、
>>18
これのオチよくわかんない
35:以下、
>>32
宇宙で一人ぼっちで生きてけってことじゃないの
40:以下、
>>35
病気治ったんなら地球降りれるんじゃ?
43:以下、
>>40
料理人だから船の操作できないんじゃね
46:以下、
>>43
そういうことか
胸糞
19:以下、
今深夜アニメになってる「武装錬金」から1つ。
著者はるろうに剣心の和月。
敵側の下っ端として登場する姉弟がいる。
彼らの過去の話。
幼少時代、母子家庭で母親は仕事仕事でほとんど家におらず、
「外に出てはいけない」という母の言いつけを守って、
2人は2人だけで長い時間を過ごしていた。
ある時、母親は帰ってくるなり布団に入り、二度と目を覚まさなかった。
2人は言いつけを守り、しばらく2人で過ごしていたが、
やがて食料も尽き、外へ出ようと決意した。
ところがいざドアに近寄ると厳重にかけられた鎖と南京錠。
母親は2人を外に出すつもりなど欠片も無かったのだ。
2人は全力でドアを叩いた。
「助けて」「ここを開けて」「お願い」
安普請のアパートは、2人の声は外に届かなかったはずは無かった。
しかし周囲の反応は…
「うるさい」「何時だと思っている」「黙れ」…
それでも2人は叫び続けた。
20:以下、
ある日突然扉は開かれた。警察が「もう大丈夫だ」と手を差し伸べた。
救助された2人に対して、周囲の住人は
「何も聞こえませんでした」「少しは聞こえたけど、遊んでいるようにしか」
聞こえなかったはずは無いのに。
悲劇はそれで終わらなかった。
2人は実は誘拐された子供であり、母親と思っていた人物は誘拐犯だった。
そして、実の親は2人を引き取ることを拒否した。
2人は収容された施設を抜け出し、夜の公園で偶然敵幹部と出会い、
才能を見出されて組織に入れてもらった。
21:以下、
既にきつい
22:以下、
関よしみ 死にたいの
ある日突然、優しかった家族が(父、母、姉)が信じられないくらい主人公に冷酷になる。
主人公が家族での夕飯時ご飯をお代わりしようとすると、
お母さんがものすごくうっとうしそうな顔で
「まだ食べる気?」と言っていたのを覚えてる。
最後は、お腹を怪我した主人公をほったらかしで家族は旅行に出かけてしまった。
女の子がお腹を切ってたのは、豹変した家族にショックを受けて自殺をしようとしたから。
お腹を切った後、祖母がはいって来て「蛆がわいてるね」とか言ってた。
実は女の子は一度死んでて、お葬式もあげたのに生き返ってたという話し。
葬式もあげたのに生き返って家族はその女の子の存在を隠さなくてはいけないし、
生きてる時と同じように食費もかかるから疎ましくなってたと。
女の子も自分が死んでたことを思いだすんだけど、
「でもあの時、『お願いだから死なないで』って言われたんだよ…」でエンド。
24:以下、
藤沢周平 この話が一番好きかも
両親が亡くなって姉弟が残された。
姉は弟を養うために必死で働き、いかがわしい店に勤めたこともあった。
やがて弟は大きな商店に奉公へ出て、そこで順調に出世していった。
姉は弟の成長を喜んだが、自分のようなものが弟の周りをうろついては
迷惑になると陰から弟の幸せを見守っていた。
やがて大人になった弟は、大店の娘を嫁にもらって店を一軒任されることになった。
弟夫婦がその挨拶に来る日、姉は朝から心待ちにしていた。
日が暮れる頃、やっと弟夫婦がやってきた。
姉は二人を歓迎して家に招き入れようとするが、弟は玄関口で断る。
「これから嫁実家で祝いをしてくれるから姉と過ごす時間はない。
今日は姉に頼みがあってきた。悪いが結婚式には出ないでくれ。理由は…わかるだろう?」
弟のいいざまに姉はショックを受ける。
言われなくても結婚式に出るつもりはなかった。
自分が表に出ては弟に迷惑がかかる、だからせめて今日は弟の晴れの日を
精一杯祝いたい、そんな気持ちで朝から待っていたのだ。
姉はあまりの仕打ちに声を荒げ、二人を追い出した。
弟の妻となる女は最後まで一言も口をきかなかった。
25:以下、
ライムギとは
栽培化の起源は次のように考えられている。もともとコムギ畑の雑草であったものが、
コムギに似た姿の個体が除草を免れ、そこから繁殖した個体の中から、さらにコムギに似た個体が除草を逃れ。
といったことが繰り返され、よりコムギに似た姿へと進化(意図しない人為選択)した。
さらに環境の劣悪な畑ではコムギが絶えてライムギが残り、穀物として利用されるようになったというものである。
同じような経緯で栽培作物となったエンバクとともに、
本来の作物の栽培の過程で栽培化されるようになった植物として二次作物と呼ばれる。
26:以下、
脳に関するスペシャル番組で脳の奇病についてやってた。
取材対象となる女性は三十台のイタリア人の主婦。
彼女の一族は致死性家族性不眠症という奇病で殆ど五十代で亡くなっており、
その病気は突如不眠症に落ち入り、発症すると一年程で死ぬ。
しかも、意識はあるのに眠れないので、患者は拷問の様な苦しみを味わいながら、半分気が狂い死んでいく。
実施の映像もあり、初めは常にウトウトしてるだけが、
最終的には別人のように衰弱、ベッドで舌出しながら痙攣。
治療法は無く、素因遺伝子を持つのはイタリアのごく一部の人々だけだという。
今は遺伝子検査で発症するのは分かるが、彼女は恐ろしい未来を知りたく無いと言い
検査を頑なに拒んでいたが、子供が欲しい為、番組内で遺伝子検査を決意。
果たして結果はどうなのだろうか??彼女の運命は??
で番組終わっていた。多分クロだったんだろうけど、後味悪すぎた。
そしてこの病気の原因はプリオン症、つまり、同族食いに由来するかもしれないらしい。
(故人の脳を食べる一族=クールー=ヤコブ病、
牛同族食い=狂牛病=ヤコブ病は全てプリオン異常)
つまり彼女の祖先は理由は分からないが人間の脳を食べてた可能性があるとのこと。
(確か祖先神父とか居た)
27:以下、
篠田節子の「リトル・マーメイド」
形が伝説の人魚にソックリなことから、「マーメイド・リマキナ」と
いう名前がつけられた水棲の軟体動物がいた。
あるペット会社が遺伝子操作による品種改良に成功し、
体長が大きく(数mm→4cm)飼育も簡単な新種のリマキナを売り出すと
メディアにも取り上げられ、日本に爆発的なリマキナブームが起こる。
リマキナは人魚に似ていて、しかも下腹部の一部が女性器のような形になっているので
そのエロティックさから狂信的な男性愛好家も獲得していった。
しかしペットブームなどすぐに収束するもので、リマキナも段々と
世間から飽きられていく。人々に忘れられていくリマキナ。
そんな中、一人の愛好家の青年がインターネット上の掲示板に
「リマキナを見ていたら変な気分になってきた。
 ためしに口に入れて、生きたまま食べたら以外に美味しかったよ」
という内容の書き込みをする。はじめは
「ネタ乙」 「ペット殺し市ね」 「通報しますた」と
取り合わなかった人々も、好奇心から数人が同じようにリマキナを
踊り食いし始める。なるほど食感も良く、サッパリしたウニのような味わいも良い。
忘れられたペットリマキナは、新しい高級グルメ食材として再び脚光を浴びる。
繁殖技術を独占していたペット会社は、またも莫大な収益を得ることになった。
28:以下、
ところが程なくして、突然何かにとり憑かれたようになった人々が
海やプール、風呂場や洗面器の水で溺死自殺するという怪現象が多発する。
溺死者の吐しゃ物を調べるとそれはなんと、大量のリマキナの幼生であった。
リマキナは人間の体内に入ると単性で産卵し、数日後に卵が孵化すると
幼生がその人間の中枢神経を操って水場に向かわせ、
自分たちを口から吐き出させていたのである。
品種改良の副産物として、実はこのような繁殖方法を体得していたのだった。
リマキナは危険な寄生生物として食用はもちろん、観賞用に販売されていたものも
回収され、すべて処分されることになった。
溺死者が幼生を吐しゃしたと思われる水場も徹底的に消毒などが施されていき
世間は一時パニック状態に陥った。
品種改良したリマキナを売り出したペット会社も倒産し、
人間の体内に入る以外に繁殖方法を持たない改良リマキナは絶滅していった。
パニックも収まるころにはリマキナは完全に人々から忘れ去られいた。
ラストシーン。
薄暗いアパートの一室で、一人の男が水槽の中のリマキナを見つめている。
のびのびと優雅に泳ぎ回るその姿は相変わらず人魚に似て美しく、艶かしい。
このリマキナが死んでしまえば二度とリマキナを飼うことはできないのか……。
いや。男は不意に水槽に手を入れてリマキナを掬い上げ、
手の中でもがくリマキナをゆっくり口に含むと、そのまま飲み干した。
29:以下、
貴志佑介の「天使の囀り」って小説。
やたら長いけどできるだけ簡単にあらすじを。激しくネタバレしてるので注意です。
主人公はホスピスで働く女性。
優しすぎて患者に感情移入しすぎるきらいがあるけど真面目で聡明。
主人公には作家の恋人(A男)がいて、A男が雑誌の企画で
訪れている南米から主人公へ送ったメールで物語がはじまる。
メールの内容はアマゾンの森のことや探検の途中で食料を川に落としたため
仕方なく現地で猿を捕まえて食べたこと、
同行している探検隊のメンバーの紹介などあたりさわりのないもの。
けれど南米から帰国したあと、A男は内向的でタナトフォビア(死恐怖症)の傾向があった以前とは
ガラリと変わって明るくなり、食欲や性欲も旺盛で主人公が心配するほどになっていた。
南米から帰国後しばらくして、A男は「目を閉じると天使の囀る声が聴こえる」なんてことを
主人公に言い残して睡眠薬自殺を図り死んでしまう。
A男の帰国後のあまりに劇的な変化と自殺を不審に思った主人公が
他の探検隊メンバー達の帰国後の様子を調べていると、
一人は何よりも失うことを恐れていた娘を道連れに、
もう一人はサファリパークで病的なほど怖がっていたはずの猫科の猛獣に身を投げ出して
自殺していた。さらに生き残っているはずの二人も行方不明になっていることがわかる。
自殺したメンバーを司法解剖した際に脳から寄生虫が見つかり、
それがA男たちの死に関係あるかもしれないと思った主人公は
専門家のB男に見つかった寄生虫を持ち込み、研究を依頼する。
(後に物語が進むにつれB男と主人公はいい感じに。)
30:以下、
そうこうしているうちに、主人公は南米への旅行とは何の関係も無い人々が
奇妙な方法で自殺したといううわさを耳にする。
潔癖症の少女はアオコで満たされたヘドロの沼で入水自殺、
顔の火傷跡の醜さを気にしていた少年は劇薬の溶液で顔を焼き、
先端恐怖症の主婦は自らナイフで目を突いて死んでいた。
探検隊とは関係のない自殺者三人ともがとある自己啓発セミナーに参加した経験があり、
そのセミナーの主催者が行方不明のメンバー二人だということを突き止めたB男と主人公は、
探検隊メンバーの死とセミナー参加者の死は寄生虫が原因で、
この未知の寄生虫は寄宿主である人間の「恐怖」を「快感」に変えて自殺を図らせていたという結論を出す。
また、感染源は南米で探検隊が食べたウアカリという猿であるらしいことも分かる。
実はA男が聞いていた「囀り」は、寄生虫が脳へ向かう途中に引き起こす錯覚。
行方不明になっていた二人が生き残っていたのは、自殺してしまった探検隊のメンバーと違って
「快感として捉えてしまうと死に至るような恐怖の対象」を持っていなかったおかげ。
この二人はとんでもないことに、寄生虫のおかげで何事にも恐怖心を抱くことの無くなった精神状態の
素晴らしさを広めてやろうと自己啓発セミナーを開催して人を集め、
こっそり輸入した(寄生虫入りの)猿の肉を参加者に振舞っていた。
何度目かのセミナーに踏み込もうと地方の宿泊施設へ向かうB男と主人公。
大勢の人間がいるはずの建物はしんと静まり返っていて人の気配が全く無い。
建物内を探し回り、二人は施設の浴場で変わり果てた姿のセミナー参加者達を発見する。
浴場に集まった主催者の二人(行方不明になっていた探検隊メンバー)を含む大勢の人間は、
自殺はまぬがれたけれど、そのせいで寄生虫が体内で増え続け
体の中身がそっくり寄生虫にとってかわられた状態になって死んでしまっていた。
恐ろしい寄生虫をこれ以上世間に広めないためにと施設ごと燃やして撲滅してしまうB男と主人公。
31:以下、
数日後、B男のマンションを訪れていた主人公はB男の様子がおかしいことに気づく。
実は宿泊施設の浴場でセミナー参加者たちの死体を調べている間に
手違いでB男は寄生虫を体内に取り込んでしまっていた。
B男は主人公が研究を依頼するときに持ち込んだ寄生虫も自宅に保管していて、
セミナーを主催していた二人と同じように
「寄生されている間の晴れやかな気持ちを君とも分かち合いたいんだ」と主人公に無理やり飲ませようとする。
必死で抵抗し、寄生虫の入った試験管を持ったままマンションから逃げ出す主人公。
外に出てB男の部屋の窓を見上げると、窓から身を乗り出して主人公を探すB男の姿が見えた。
酩酊状態でバランスを崩したあと体制を立て直したB男は、落ちそうになった時に感じた強い恐怖
(寄生虫のせいで快感としてとらえてしまう)にあらがえずそのまま窓から身を投げた。
自宅に戻った後、主人公は恋人を二人(A男とB男)も奪ってしまった
寄生虫の入った試験管を熱湯につけて殺してしまおうとするんだけど、ふと思いついてやめてしまう。
場面が変わり、数日後。勤務先のホスピスで仲のいい患者の少年と主人公が話している。
少年は身寄りが無く、いつ死んでもおかしくないような病状。
以前は「死ぬのがこわい」と主人公に漏らすこともあり、
優しい主人公は少年の言葉をいつもやりきれない思いで聞いていた。
「鳥が天井を飛びまわって鳴いているのが聴こえるよ」と言う少年に、
主人公は「天使が囀っているんだよ」と答える。それを聞いた少年は
「もう死ぬのは怖くないよ。天国で家族にあえるし。」と言い残して息を引き取る。
少年を看取った後、主人公が警察へ行ってすべてを話そうと決心しておわり。
33:以下、
殻都市の夢 鬼頭莫宏
道端に一人の浮浪者が座り込んでいた
浮浪者は幼い少女で、やせ細り全身の骨が浮き出ており、飢えで今にも死にそうだった
そこに裕福そうな男が通りかかり、自分が生かしてやろうかと彼女に話しかけた
少女は声も出せない身ながら、頷いた
男は少女を抱え上げて自宅に持ち帰り、栄養剤の点滴を刺すとすぐに彼女を犯した
数カ月後、少女は肉がつきすっかり普通の女の子のような外見になった
男とは性交渉を重ねる日々を送った
とある性病に男はかかっており、それは感染してから3年ほどで死にいたるというものだった
少女も男から感染していた
34:以下、
やがて男は病で倒れて寝たきりになった
少女は毎日その面倒を看ていた
食事作りのために買い物に出かけると、金持ちの囲われ者だと周囲の人々が露骨に噂をしてきた
少女は病気らしいとも知られており、治安の悪い街だが手を出す者もなく遠巻きに見られていた
男は、少女がつくる料理を不味いと言う
お前にとって食べ物は生きるためのものでしかなかったんだな、と男はつぶやいた
少女は男に喜んでもらえるよう美味しい料理をつくるようがんばったが、男の食は細っていった
男は自分の死後に少女が困らないよう読み書きを教えてくれた
やがて男は死に、少女は男の残した書物を読みあさる日々を送った
しばらくして少女も寝たきりの状態になった
一人きりになった少女のもとに、警察のような組織の人々が現れた
彼らは遅ればせながら少女の事を知り保護しにきたのだが、もう少女は助からなかった
少女を性のおもちゃにして死に至る病を与えた男の事を恨んでいるだろうと彼らは訊ねてきた
少女はいいえと首をふり、はじめて会った時まるで彼が神に見えたと答えた
だから私は死んだら神様に料理をつくりに行くんです、と少女は微笑んだ
36:以下、
「光の森」(押切蓮介著・「椿鬼」1巻に収録)
明治初期・ある地方の山村にキヨという幼い娘が父と二人で暮らしていた。
父はもともと腕の良い猟師だったが妻を亡くしてから殺生が怖くなってしまい、
引きこもりのような生活を送っていた。
キヨは働かなくなった父の代わりに山へ行っては山菜を積み、家事もしなければならなかった。
自分と同年代の女の子達はかわいい着物を着て、肉や魚を食べ、楽しそうに遊んでいる。
ボロボロの着物1枚しか持っていないキヨは皆の笑われ者になっていた。
年上の男の達に「汚い」「怠け者の子」といじめられたキヨは父親をなじり、夜の森に家出してしまう。
真っ暗な森でキヨが腹を空かせていると鹿が現れ、苺やキノコがどっさり入った籠を差し出した。
「おらにくれるんか?こんな気前の良い鹿みたことないぞ」
するとイタチが現れ、籠の中の果物をねだり始めた。
キヨがイタチに食べ物をくれるとお礼にイタチは森を案内してくれた。
夜の森は光に溢れ、動物や虫たちが楽しそうに遊んでいた。
小鳥たちはキヨに花やサクランボをくれた。
熊はキヨの頭に花をかざり、肩車してくれた。
イノシシはキヨを背中に乗せてくれた。
キツネと狸はキヨと一緒に輪になって踊った。
キヨは母親が死んで以来、久々に笑った。
37:以下、
その時、一発の銃声が響いた。
「キヨぉぉっぉぉお!!!」
銃を撃ったのはキヨの父だった。
キヨは動物に体を食まれていた。
小鳥はキヨの目玉をつついていた。
熊はキヨの頭をかじっていた。
イノシシはキヨの足を食べていた。
キツネと狸は熊の一撃を受けて裂けたキヨの腹からこぼれた腸をすすっていた。
キヨの口の中には幻覚を見せる毒草があった。
光あふれる夜の森はキヨが見た幻覚だったのだ。
キヨを食んでいた動物たちを銃殺したキヨの父は森に火をかけた。
業火は、木を、草を、虫を、動物を、花をすべて焼き尽くした。
39:以下、
昨日は海へ足を運んだ
今日は山へ足を運んだ
次はどこに運ぼうか……
頭を抱えて悩んだ
実は昨日から手を焼いている
…案外骨が折れる
重い腰を持ち上げた
42:以下、
推理小説で、
大金持ちの婆さんの親族が毒殺やら墜落死やらで次々死んでいって、
どう見ても財産独占目当ての身内の犯行なんだけど、誰が犯人か分からない。
で、主人公が調べなおしていったら、
どうもどの殺人事件も、「被害者が婆さん殺そうとして手違いで自爆」という結論になるやつがあったな。
44:以下、
博内和代の短編「外環視点」
とある田舎町で、親族の強い勧めで見合いをした男。
その席には雪子という名の女性がいささか緊張した面持ちで座っていた。
何を話しかけても返事をせず、ただひたすら
黙って俯いているばかりの雪子に、男は戸惑いを覚える。
やがて男の思惑など構わずに縁談はとんとん拍子で進み、
男は雪子の家に婿養子として迎えられることとなる。
もともと強い意志も無く流されるままに生きてきた男は、
「それもまあ良いか」とばかりに現状を受け入れる。
簡単な祝言も終わって、夫婦となって初めての夜を迎える二人だが
相変わらず雪子は喋ろうとしない。
「ろくにお互いのことも知らないのだから、無理もない」
と思った男は気遣うつもりで優しく声をかける。
その声で顔を上げた雪子は、一冊の絵本を抱えたまま夫となった男に言う。
「ね、ご本、よんで」
45:以下、
見合いの席でも祝言の場でも雪子が喋らなかったのは
「そうしなさい」と親にいいつけられたからだった。
喋ればボロが出る。雪子がどういう人間かがバレる。そうなれば縁談は上手くいかない。
ここに至って、ようやく男はこの縁談がいつまでもブラブラしている自分と
精神が幼児のままである雪子とをまとめて片付ける意味があったのだ、と理解する。
憤った男は親族や雪子の両親を問い詰めるが、のらりくらりとかわされてしまう。
家では相変わらず幼女と何も変わらない妻が絵本をめくっている。
優しく接してやろうと努力してみる男だが、家事など一切出来ないどころか
生理の処置すら満足に出来ない、自分より年上の「子供」に対して苛立ちがつのるばかり。
そして、男は遠い町まで雪子と旅に出かける。
邪険にされても男をおずおずと慕い、はにかんだ笑みを見せる雪子は
人気の無い駅の椅子に座ったまま「ここで待っているように」言われて、
列車に乗る男を見つめる。
自身が、飼うことの出来ない犬猫のようにここで捨てられるのだと理解することもなく。
男を乗せた列車はゆっくりと動き出し、ホームから男を見つめる
雪子の姿は次第に遠ざかっていく。
乗客もまばらな列車内では、男が疲れたような笑みを浮かべたまま静かに涙を流していた。
48:以下、
ゲゲゲの鬼太郎
鬼太郎の元に一人の高校生がやってくる。
一流会社の社長の息子で「毎晩父親の元へ大きな蛇がやってきて
父親を苦しめてる、助けてください」とお願いする。
鬼太郎は高校生の父親に話を聞きに行く。
父親は元復員兵で、戦地から日本に戻った時には
家も家族も友達も焼き尽くされていて絶望した。
当ても無く山中を彷徨っていた時、荒れ果てた祠を見つけて
その中に祭ってある水晶玉を手にとった。
すると水晶玉は彼のへそにくっついたまま取れなくなった。
それ以後、彼のやることなす事全てとんとん拍子で幸運に恵まれ
一代で大企業の社長にまでなった。
妻には先立たれたが、立派な息子にも恵まれた。
そんなある夜、突然大蛇が部屋にやってきた。
あの祠の守り神である大蛇は
「お前が使い果たした水晶玉の幸運を返せ」と言う。
「万人に少しずつ与えられる幸運をお前は一人で使い切ってしまった、
幸運から生まれた会社、財産、全てを無に戻して水晶玉を復活させろ」
父親は言う
「お金や会社は失っても惜しくありません、でも、
大勢の従業員が職を失い路頭に迷うのだけは避けたいのです、
他に方法はありませんか?」
大蛇「それならお前の息子を水晶玉に変えろ、
息子の今後の命と将来を水晶玉の幸運として新たに誕生させろ」
父親は究極の二者択一を迫られ、悩んでいた。
49:以下、
大蛇の言うことももっともだけど
従業員も息子も救うためには
力ずくで大蛇を倒すしかないと考えた鬼太郎と目玉オヤジは
祠に出向いて大蛇との決闘が始まる
鬼太郎と仲間達の攻撃を受けて大蛇は絶命寸前に。
その時息子が叫ぶ
「もうやめて、こんなの間違ってる」そして父親に言う
「ぼくは水晶玉になります」
息子の固い決心を、もはや父親も鬼太郎も変える事は出来なかった。
泣き崩れる父親、無力感いっぱいの鬼太郎達、そして
水晶玉になるために自ら大蛇のとぐろの中へ入る息子。
薄れゆく意識の中で息子はたくさんの人に少しづつ幸運としてもたらされる
自分の姿を想像してたりした
そうしてるうちにもその体は、キラキラ輝く小さな丸い水晶玉へと
変化を遂げていった
50:以下、
大槻ケンヂの小説「憑かれたな」
優しくて母親思いだった娘が
15歳の誕生日に突然悪霊に取り憑かれてしまう。
暴言や暴力を振るい、ギャハハハハハと狂ったように笑い続ける愛娘。
母親は、娘を救うために謎の男・滝田を雇う。
滝田は念力でも気功でもなく、演技力で悪魔を祓うエクソシスト。
元役者である彼は「被害者は本物の悪魔ではなく
自分の妄想に取り憑かれている」という持論により
「悪魔を祓う演技」によって多くの被害者たちを救ってきた。
幼い頃に父親と別れ、母子二人で暮らしてきた娘は潜在的に父親を求めている。
だから祓い師には「頼りがいのある男性」が効果的だろう、と言う滝田。
滝田は、強く自信満々のエクソシストになりきって
娘に取り憑いた悪霊に「読めるものなら、俺の心を読んでみろ」と挑発する。
だが、そこで娘が発した「ここは暗い。一条の光も見えない」という言葉に動揺する。
滝田は舞台役者時代、女優を奈落に突き落として死なせてしまった過去があった。
「一条の光も見えない暗闇で助けを求める女」は
滝田が役者を廃業してエクソシストになった理由でもある、心の傷だった。
娘さんは本当に私の心を読んだ、これは本物だ、と怯える滝田。
ギャハハハハハと狂気の笑いを続ける娘。
しかし母親ははっとする。
娘が5歳の時に別れた夫は暴力家だった。
夫が暴力を振るうたび、母親は娘を真っ暗な押入れの中に隠れさせた。
娘は滝田のトラウマを読んだのではない。一条の光もない暗闇は、娘の記憶だ。
51:以下、
母親の言葉に瀧田は自分を取り戻す。
彼は、母親に映画エクソシストのラストを模倣することを提案する。
あの映画の神父は、最後に「自分に取り憑け!」と叫ぶ。
娘さんにも同じ事をするのです、自分に取りついた悪魔は
母親に乗り移ったのだというイメージを与えて、妄想から救済しましょう、と。
果たして、作戦は見事に成功した。
悪魔に乗り移られた演技をする母親の前で、娘は正気を取り戻す。
数日後、春の日差しの中、母親は娘と二人穏やかな
日々を取り戻したことを実感して幸福に浸っていた。
あれ以来、滝田とは会っていない。連絡を取ることも出来なくなった。
母親は、きっと滝田はこれからも女優を殺した贖罪にエクソシストを続けるのだろうと思う。
と、そこで母親はふと思い出した。
かつて娘を押入れに隠したとき、自分は娘に懐中電灯を手渡していた。
だから、押入れの中は娘にとって「一条の光もない」場所ではなかった。
……娘の中の悪魔は本当に滝田の心を読んでいたのではないか?
だとしたら、その悪魔は、今、自分の中に?
まさかそんな馬鹿な話があるわけがない、と思う母親。
自分を安心させるために小さくフフフと笑ってみる。
すると、もっと笑ってみたくなった。
ギャハハハハハハと狂ったように笑いたくて笑いたくて仕方がない。
それは、こらえることなど出来なかった。
「憑かれたな」と、母親は思った。
52:以下、
西村寿行「わが魂、永久の闇に」
主人公の妻子が旅行先から戻らず、行方不明になる
同日に会社社長が所有する小型機が南か北(忘れた)アルプスで遭難した
主人公は独自に調査を始め、妻子が小型機に同乗したことを知る
会社も事実を認め、賠償の話などが出る
(季節は2月か3月、この時点で生存は絶望視されていた)
しかし1ヶ月程して、奇跡的に生存者が発見される
妻子以外の搭乗者はパイロット含め全員生還したのだが、
そもそも妻子は搭乗していないと言われてしまう
主人公は友人の助けを借り、再び調査を始める
結果、主人公の妻子は死んでいた
子は小型機が墜落する寸前、恐怖のあまり安全ベルトを外し、
母親(妻)に縋ろうとした所を衝撃で吹き飛ばされ、打ち所が悪く死んだ
生き延びたのはパイロット、小型機の所有者の社長、
社長の愛人のモデル(女)、銀行頭取、医者と弁護士、そして妻の7人
救出を待つ7人だが、小型機に食料は殆どなく飢餓に苦しむことになる
社長は子の遺体を食べようと提案し、当然反対する妻は
厨房の包丁を手に6人と対峙するも殺されてしまう
53:以下、
6人は妻子の肉を食べ、骨までしゃぶり尽くした後、
“奇跡的”に救出されたのだった
復讐を誓う主人公は友人と共に、命を狙われながらも6人を追い詰める
結果、6人中、モデルの女を除く5人は主人公の手によって死亡
(内パイロットは仲間に絞殺され、食われた)
女は隙をつき山中に逃げたが、毒蛇に噛まれる
(作中に描写はなかったが、死んだものと思われ)
復讐はなったが、主人公の妻子は戻らない上に
主人公も追われる身となり、未来はない
そもそも主人公は当初、真摯な謝罪があれば6人を許すつもりだった
しかし6人(主に男、社長や頭取など、皆社会的地位が高かった)は
謝罪どころか主人公や友人の命を執拗に狙い、
妻子の尊厳を踏みにじり続けた
54:以下、
『モモンガの一生』
魚とか兎が人間みたいに暮らしてる架空の世界。食糧危機が問題になっている近未来
人間に近い体を持ちながら、どんな生物の子供でも産めるという種族の美しい女がいた
女は沢山の生物と交配し、生まれた子供が可愛くないと調理して食べてしまった
しかし、人間との交配によって生まれた少女は母親である女に瓜二つで、
女はその愛らしい少女を気に入って育てることにした
女は食料危機の時代であるにも関わらず飲食店を経営していて金持ちで、
少女は何不自由無く育てられる
ある日、高価な服を着て外を散歩していた少女は、追い剥ぎに襲われて服を奪われてしまう
そこへ吸血鬼の少女が現れ、少女に服を分け与えてくれる。それ以来二人は親友になった
吸血鬼は人間さえいれば血が吸えるので、食料には困っていなかった
女が経営している飲食店は実はインチキで、そのことがバレて女は飲食店を奪われ、
一文無しになった親子は食糧危機の危機感を味わうようになる
やがて発情期を向かえた少女は、吸血鬼と相談して、
子供を産むならこの食糧危機を乗り切れる強い生物の子供がいいと考えた
物知りの男から「この時代で一番強い生物はクラゲ。
クラゲは食料が無いと自分の身体を小さくして生き延びる」という話を聞いた少女は、
クラゲの家へ忍び込み、眠っているクラゲと交配しようと圧し掛かった
翌日、家に帰って来た少女の身体は何故かクラゲと同化していて、
全身が透けた少女の胸には赤い心臓が透けて見えていた
55:以下、
面白い
56:以下、
怒り狂った女はクラゲの家へ押しかけるが、クラゲの一家は葬式の最中で
「お前の娘が圧し掛かったせいで、こいつは潰れて死んでしまった」と逆に涙ながらに抗議された
怒りが収まらない女はクラゲ達を殺そうと襲い掛かり、逆に殺されてしまう
その後、クラゲの様な身体になってしまった少女は吸血鬼と相談し、
流行ってない水族館の水槽に入れてもらうことにした
少女はそこで長い間ただ何もせずにすごした。
時折くる客が物珍しそうに少女を眺めたが、
時折吸血鬼が様子を見に来て、少女に「随分小さくなったね」と言った
水族館の外の世界では荒廃が進んでいるらしく、やつれた吸血鬼は
「最近は血を吸える人間も見当たらない」と愚痴った
そこへフラフラと人間が訪れ、吸血鬼は久々の食事だと喜んでその人間を殺して噛み付いた
しかし、殺した人間の肌には奇妙な斑模様が浮いていて、
それを見た吸血鬼は「しまった!感染者だ!」と叫んだ
吸血鬼は吐血して死んだ。水槽の中の少女は何もすることが出来ず、親友の死にただ涙を流した
時が過ぎ、少女の身体はどんどん小さくなっていった
吸血鬼の死体は腐って白骨化し、水族館の中は薄汚れていった
吸血鬼が付けていた腕時計だけが長きに渉って時間の経過を示していたが、
それもいつしか壊れて動かなくなった
『この後、彼女がどれだけ生きるのかは誰も知らない』というモノローグで終わり
59:以下、
「ハイエナの粉」
目鼻立ちは可愛らしいが、顔中ブツブツとした吹き出物だらけの少女は、街中で声をかけられた。
それはどこかのテレビ局の街頭インタビューで、将来の夢はなにかと少女は聞かれた。
少女はただ「粉になりたい」と奇妙なことを言って、不気味に笑いながら去って行った。
インタビュアーたちは、おかなしな子に声をかけてしまった、見かけは普通そうなのに、とぼやいた。
そんな彼らの声を聞きながら少女は「普通に見えるって。
リンチ殺人犯の妹でも普通だって」と一人でつぶやいて笑った。
それからすぐに、少女はビルの屋上から飛び降りた。
少女は何部かの遺書を部屋に残していた。
それは、母と兄、そして学校や各マスコミに向けられたものだった。
自分亡き後に送ってほしいと母宛ての手紙には書かれていた。
遺書の中では少女が死ぬまでに感じた日々のことが描かれていた。
少女は昔から、動物を扱った自然番組が好きだったという。
その中で、動物たちが噛み殺し合う姿に惹きつけられていたのだった。
当時からひどく乱暴な兄によるストレスで顔が吹き出物だらけだった少女は、嗜虐的な映像を妙に求めていた。
テレビの中では、ハイエナの兄妹が争っていた。
自分の方がより多く餌を取りあうためにと、時にハイエナは身内で殺し合うのだという。
母ハイエナは子孫を残そうという本能でそれを止めようとするが、妹ハイエナは結局死んでしまった。
60:以下、
興味深い
61:以下、
テレビ越しに妹ハイエナの最後の泣き声を聞きながら、
自分もああならないうちに兄を殺さなければと少女は思った。
「確かにまだ子供のあの頃なら、男の兄ともそう力の差はなかったはずです 
そう あの頃に兄を殺しておけばよかった」遺書にはそう書かれていた。
少女は中学生になる頃には兄から辱めを受けるようになった。
扉の向こうで様子をうかがっている母の姿が見えたが、母は助けに入ってはくれなかった。
兄に殴られて傷だらけの状態で、少女はいつものように自然番組を見ていた。
テレビの中では、母鹿が、立ちあがることの出来ない子鹿を見捨てていた。
母鹿は群れへと帰っていき、残された子鹿は犬に食い殺された。
その子鹿の姿が自分と重なり、少女は泣いた。
「お母さん それでも私は夢を捨てていなかったのです 兄があんな事件を起こしても
 私はなんとか自分を生かしてやりたいと」
少女は勉強をがんばり、いい成績を維持していた。
ある日の学校帰り、見知らぬ男たちに声をかけられた。
彼らは、ホームページをプリントアウトした紙を少女に見せた。
そこには少女の名前と顔写真、通っている学校など詳細な情報が書かれていた。
兄の名前は未成年であったため一般には公開されていなかったが、
インターネット上ではあちこちに記されていた。
凶悪な犯罪者を生み出した家族の詳細も。
少女は男たちに車に押し込められ、連れて行かれた先で輪姦された。
お前の兄はもっとひどいことをしたのだから報いだ、
頭がいいみたいなんだし自分の立場をわかるべきだ、そう言われた。
63:以下、
おもしろい続けたまえ
64:以下、
まさかこのスレ自体が後味の悪い終わり方をするんじゃ…
65:以下、
「常に自分より弱者を見つけ踏みにじり、そうしないと自分を保てない
 兄もあいつらもハイエナ 私は違う 私はハイエナになるまいと努力してきた」
少女の火葬の間、遺書を読んでいた母は号泣した。
自分ばかりが苦しいと思い、少女になにもできなかったと。
66:以下、
せめて、遺骨は少女の遺書通りに処理すると母は誓った。
「私の骨はお墓に入れず白い粉にして封筒に5gずつ入れて郵送して
 残りの骨粉は私が短い人生の中で見ることもできなかった美しい全国の景色の中で撒いてください」
少年院で手紙を受け取った兄は読まずに捨て去り辺りに粉をぶちまけた。
67:以下、
気になるー
68:以下、
>>44>>45
こういう切ない話好きだけど最後の男の涙の理由を考えてしまう
69:以下、
こりゃまとめいったわ。面白い
73:以下、
マスコミらは、封を切った途端、ふいに舞い上がった粉を吸ってしまい、ひどく気味悪がった。
インターネット上には、少女が生前に作成して残したホームページがあった。
そこには遺書に書かれたのと同じ文章が掲載され、そして遺書には書かれなかった続きの文もあった。
「貴方たちの吸う空気の中に私はいるのです」
封を切った時に粉を吸ったマスコミ関係者の女性は、最近ひどい肌荒れに困っていた。 観光名所で粉を撒く
少女の母の顔にはたくさんのブツブツができていた。 母はホームページの存在など知らず、全国で粉を撒きまわっていた。
「強いストレスを受け続けた動物は体内に強い毒素を蓄積し自らを殺します
それを食べた動物もやがて死にます 憎んだもの全てを殺さずにはいられない、私もやはりハイエナなのです」
74:以下、
面白い
暇だからありがたい
75:以下、
連投規制らしい 「赤いろうそくと人魚」 小川未明
人間にあこがれている人魚がいた。
人間にあこがれるあまり「私の子は、私に育てられるより人間に育てられる方が幸せに
違いない」と思い込み、陸に上がって出産し、子供を置いて海に帰った。
人魚が子供を置いていったのは、小さな港町だった。
港町には神社にろうそくをともして航海の無事を祈るという風習があり、神社の近くには
老夫婦の営むろうそく屋があった。
人魚の赤ちゃんを拾ったのは、このろうそく屋の老夫婦だった。
老夫婦は赤ちゃんが人間でないことに驚いたが、老夫婦には子供がいなかったので、
我が子と思って育てることにした。
もちろん周囲には、自分たちが拾った赤ん坊が人魚であることは隠していた。
人魚の赤ん坊はすくすくと成長し、少女になった。
人魚の少女は、売り物のろうそくに絵を描いた。
絵が描かれたろうそくはきれいだったので、ろうそくはいっそう売れるようになった。
そのうちに「絵が描かれたろうそくを一晩神社で灯し、その燃えさしを乗って船に乗ると
無事に港に帰ってこれる」という噂が流れ、ろうそくは飛ぶように売れた。
人魚の少女は、手の痛みをこらえながら、一生懸命ろうそくに絵を描いた。
77:以下、
ある日、少女が人魚だとどこで知ったか、見世物屋が「少女を見世物用に売って欲しい」と言って来た。
もちろん老夫婦はきっぱりと拒絶した。
しかし見世物屋に「人魚は災いを呼ぶ。一緒にいるとあなたたちは必ず不幸になる」と
言いくるめられ、人魚の少女を売ることに同意した。
人魚の少女は泣いて嫌がったが、老夫婦は「人魚といたら不幸になる!」と思い込んでおり、
聞く耳を持たなかった。
人魚の少女を連れに見世物屋が来たとき、少女はろうそくに絵を描いていた。
「あと少しで描き終わるので、描き終わるまで待ってください」と頼んだが、
老夫婦も見世物屋も待ってはくれなかった。
76:以下、
しえん
83:以下、
気になるよおぉぉぉぉぉ
84:以下、
支援だ
85:以下、
人魚の少女は仕方なく、最後の3本のろうそくは絵ではなく赤一色に染めて家を出た。
人魚の少女はまるで猛獣を入れるような頑丈な檻に入れられて運ばれ、船に積み込まれた。
その日の深夜、一人の女がろうそくを買いに来た。女は3本の赤いろうそくを買って帰った。
翌朝、女が払ったお金は、貝がらになっていた。
見世物屋の乗った船は転覆し、人魚の少女の行方は知れない。
人魚の少女が売られた日から、神社に灯されたろうそくの火を見た船は沈むようになった。
人々はそれを怖れて神社にろうそくを灯さないようになったが、それでもいつの間にか
ろうそくは灯り、船は沈み続けた。
港町はさびれ、自分たちの罪深さに気づいた老夫婦は商売をたたんで別の町に引っ越した。
88:以下、
夜市 恒川光太郎
不定期に開かれるその夜市は、異世界同士を結ぶ不思議な空間で、
そこでは人間、あるいは人間でないものたちがさまざまなものを売っている。
おおむね売値は高額で、品物は有形無形さまざまだ。
青年は小学生のときに弟と共に夜市に迷い込み、「人攫い」と会う。
そして5歳の弟と引き換えに「野球の才能」を買う。
弟のことは誰からも忘れ去られ、青年はエースになって甲子園まで行くが、
罪の意識に苛まれ、無力感から高校も辞め、1人で暮らしていた。
ある夜、彼は知り合いの女性を伴ってふたたび夜市に出向く。
財布にはバイトで貯めた72万円。目的は人攫いから弟を買い戻すこと。
そこで「何でも切れる刀」を購入した老紳士と出会う。彼はどこかの異世界から来たと言う。
夜市に足を踏み入れたら、何か取引をするまでその場から出られないのだと彼は言う。
「人攫い」の店には、虚ろな目をした子供たちが並べられている。
買われた子供はどこにいくかわからない。多くは悲惨な目に遭うのだろう。
青年は弟を探すが、顔が思い出せない。
人攫いは子供の1人を指差して、これがあなたの弟だと言う。
確信は持てないが、どうせ思い出せないのだから、もし弟でなくてもこの子供を救おうと青年は決める。
だが、72万円では到底足りない。
89:以下、
同行した女性は、青年が自分を売って弟を買い戻そうとしているのではないかと警戒する。
しかし青年の狙いは、女性を取引主として、自分と弟を交換することだった。
彼は人生に絶望し、死のうと思っていた。どうせ死ぬなら、弟を救って死にたかった。
取引が成立し、人攫いが青年に手を延ばした瞬間、さっき出会った老紳士が「人攫い」を刀で斬り倒した。
「詐欺を働いたものは許されない。あれは君の弟ではない」と老紳士は言った。
10年前、人攫いに買われた弟は咄嗟に逃げだし、夜市で「若さ」と引き換えに「自由」を買った。
5歳にして中年の姿になってしまった弟はどこかの異世界に放り出され、
放浪したり労働したり大変な苦労をして日々を過ごす。
10年の時が流れ、弟は「人攫い」を殺すために再び夜市に赴く。
刀を買った老紳士は弟だったのだ。
取引をすることはしたので、女性に対して出口が開かれた。
彼女は気づくと海辺に座っていた。
老紳士が傍に来て、青年は夜市に取り込まれてしまったと言った。
彼はなにも欲しいものがなくなったので、取引をすることができなくなったのだ。
女性はまた夜市が開かれたら、彼を助けにいかなくては、と思った。
91:以下、
「なまづま」 堀井拓馬
主人公は愛する妻に病で先立たれた研究者。
死んだ妻は、異常なまでに保守的で変化を好まない男とは対照的に
好奇心旺盛で、活発で、ユーモラスで魅力溢れる女性であり、
男は愛する妻を通して新たな世界を知る。
妻は子供を望んだが、医療の力に頼ってもその望みは叶うことはなく
その隙間を埋めるように妻は小動物を愛でた。その目は慈愛と悲しみに満ちていた。
子供を諦めて以来、妻に翳りが見られるようになる。
女性としての機能を果たせなかったことで
「大衆(≒夫)の望む理想の女性像」から逸脱することを恐れた妻は
些細なことで過剰な自己嫌悪に陥りひどく取り乱すことがあった。
男は妻の不妊を責めることはなく、慰め、
励ましたがその言葉も妻には偽りとしてしか届かず男につらく当たった。
それは男の愛した自由で朗らかな妻の姿ではなかったけれど、
それでも男は最期まで妻を愛していた。
94:以下、
妻を亡くして以来、男は生きる理由を失ったが
「私が死んでからも、あなたは生きて」という妻の言いつけを守り
毎日同じスケジュールをなぞるように無味乾燥な毎日を過ごしていた。
男の勤める会社では日本中に蔓延る「ヌメリヒトモドキ」(以下ヌメリ)の研究に日々勤しんでいる。
男は流されるように生きてきた結果、入社出来た会社がたまたまヌメリの研究企業であった。
ヌメリは青白い皮膚に激臭のする粘液を全身にまとい、
子供の作る粘土細工のように不格好な人型をした生き物。
東京ドームよりも大きく、胎児のような姿をしたヌメリの
「女王」から生み出され、時が満ちると女王に「融合」する。
女王の鎮座する街は粘液に侵されたヌメリの巣となっている。
ヌメリは基本的に意思を持たず粘液を垂れ流しながら徘徊し、人に危害を与えることはないが
生き物の死骸や人の体液、髪の毛etcにのみ異常な執着を見せ、
ゴミを漁り、それらを食む姿が見られる。
95:以下、
その不気味な見た目と激臭から人々に忌み嫌われているのだが、
不死身のヌメリを駆逐する手立てはなかった。
中には不死身のヌメリを残虐な手段で虐待することにより、性的欲求を満たす変態も存在し
男にとってそういった輩は「最も嫌悪する部類の人間」だった。
男の研究チームではある事件をきっかけに、
泥人形のような無様な肢体のヌメリが人間そのものの容姿と知性を持つ方法を知る。
決まった人間の髪や体液を餌として与え続けられたヌメリが
「融合への欲求」を催し、女王への融合を果たすと
その持ち主の容姿に似た個体として帰ってくる。
それは融合を繰り返す度に精度が上がり、
最終的に姿かたちだけでなく餌本人の記憶と知性を持ったコピーへと変貌を遂げるのだ。
これは秘密裏に研究され、決して漏えいしてはならない機密事項だった。
97:以下、
それを知った男は、自宅のバスルームにヌメリをおびき寄せて監禁し、
妻の遺髪を与え、妻との思い出を毎日語りかけた。
激臭のする粘液にまみれた姿であっても、
愛する妻がこの世に蘇生するならばと男はヌメリの世話に心血を注ぎこむ。
男の飼育するヌメリ(以下、妻モドキ)は数か月置きに融合欲求を催し、
以前は観光客で賑わった海岸に鎮座する女王へと融合した。
十数時間の融合を繰り返す度、女王から再び生まれる妻モドキは
妻の面影を徐々に色濃くし、少しづつ知性を宿していく。
融合から戻った妻モドキが拙い言葉で
「ああた、たあいあ(あなた、ただいま)」と微笑んだ時には
腐臭のする粘液が胃に流れ込むのも厭わずに熱く抱擁をし、口づけをした。
98:以下、
男は研究員としての日常を送りながらも、
自室では粘液にまみれ妻モドキとの蜜月を過ごした。
以前は妻との思い出の残る自宅に、新しいものを持ちこむことを嫌い、
妻モドキの粘液も丹念に清掃したが妻の面影を湛えた顔で愛嬌を振りまく
妻モドキから分泌されるそれを汚らわしいと思うことも無くなっていった。
妻モドキの進化はまだ不完全で記憶は持たず、
見るもの全てが新しい幼児のようにペットのハムスターや
好きだった景色の写真を嬉しそうに眺めた。
男へ新しい世界を教えてくれた妻に、今度は教える番だ。
ある日、男は生前妻と何度も訪れた海岸へ、妻モドキを連れて行った。
波の音だけが響く、誰もいない深夜の海岸。妻との思い出を模倣して男は感極まるが
妻モドキの表情は男の期待したものではなかった。
妻モドキは黒い海を前にいつもの無垢で愛らしい幼児のような表情を失い、
怯えと悲哀に満ちた女の顔をしていた。
それは生前、最後に海を訪れた時の妻の顔。
99:以下、
男は妻モドキの進化の最終地点を思い描き、
妻モドキを飼育するうちに自分が本来の妻ではなく
ヌメリヒトモドキの妻を愛してしまっていることに気付く。
男が求めているのは、自ら描いた理想の姿に追い詰められ、怯え苦しむ本来の妻ではなく
目の前の純真無垢で、愚直に男を信じ、愛する妻モドキだった。
妻モドキが次の融合を果たせば本来の妻の姿と記憶を持った個体へと進化してしまう。
これ以上、融合を許すわけにはいかないが、
融合欲求を禁じられることはヌメリにとって唯一の苦痛であり
想像を絶する餓えと渇きをもたらすことが研究で分かっている。
それを知る男の良心は痛んだが、重厚な扉に改造したバスルームに妻モドキを閉じ込めた。
しかしそれは妻モドキへの苦痛を与えると同時に妻モドキとの触れ合い、
愛しい日々を断絶する行為でもあり男をも苦しめた。
男はバスルームの扉を隔てた脱衣所で妻モドキの悲鳴や鳴き声や、
自制心を失い暴れまわる音を聞きながら粘液を飲み下し、
妻モドキへの愛を実感しながら数日をそこで過ごしたが、心身ともに限界が訪れる。
101:以下、
このまま扉越しに一生を終える訳にはいかない、
死を覚悟してでも彼女のむせ返るような臭気を吸い込みたい、
神経をすり減らし、判断力を失った男は幾重にもかけられたバスルームの扉の鍵を外した。
男は勢い良く開け放たれた扉に打ちつけられ、その場で意識を失った。
男が目を覚ました時、家に妻モドキの姿はなかった。
激しい欲求に突き動かされ女王の元へと向かったに違いない。
男は海岸の女王の元へと急いだが、彼女は融合を果たしてしまった後だと悟り、その場に崩れ落ちた。
「あなた、ただいま」
男の背後から妻の声がする。生前の妻と一寸も違わぬ姿と記憶と知性、
そしてヌメリヒトモドキとして過ごした日々の記憶を合わせ持つ妻モドキ。
男の愛した妻モドキはもういない。男は愛する人を二度失った。
妻モドキは涙を流す男を抱きしめようとするが、
男はそれを拒絶し、私のヒトモドキを返せと叫んだ。
102:以下、

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