不死鳥「自分の肉で作った焼き鳥うんめぇ〜〜〜〜〜〜!」back

不死鳥「自分の肉で作った焼き鳥うんめぇ〜〜〜〜〜〜!」


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1:
? 山奥 ?
不死鳥「フンフ?ン」
不死鳥「まずは火を焚きます」
ボワァッ!
不死鳥「続いて、自分の肉をちぎります」
ブチィッ!
不死鳥「いってぇ??????????!!!」
不死鳥「ちょっとちぎりすぎたか……!?」
不死鳥「でもすぐに再生するので、安心です」シュウウ…
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2:
不死鳥ってそういう生き物じゃないだろ…
6:
不死鳥「続きまして──」
不死鳥「ちぎった肉を形を整えてから、串にぶっ刺します」プスッ…
不死鳥「ぶっ刺した肉を、火であぶります」
ジュウゥゥゥ……
不死鳥「串が焼けないように気をつけながら……丁寧に焼きます」
不死鳥「裏表、まんべんなく焼きます」クルッ
ジュウゥゥゥ……
不死鳥「お、いい匂いが漂い始めてきたぞぉ?」
8:
不死鳥「そろそろかな??????」
不死鳥「まだかな??????」
不死鳥「ワクワクしつつ、なおかつ火に気をつけながら焼きます」
不死鳥「山火事とかシャレにならないからね。俺は死なないんだけど」
不死鳥「中まで火が通ったら……」
不死鳥「食べ頃!」
不死鳥「よしっ! もういい、オッケー!」
不死鳥「う????ん、肉汁が垂れて実に食欲をそそりますなぁ!」
12:
何だこれ
13:
なんか好き
15:
不死鳥を真っ二つにしたらどうなるのっと
17:
不死鳥「そしてトドメは──」
不死鳥「なんといっても塩!」
不死鳥「この山で取れた天然の岩塩を、振りかける!」
不死鳥「この絶妙なさじ加減は経験こそがものをいう!」パサッ…
不死鳥「死なないから何千何万年と生きてきた俺だからこそ、可能な技だ!」パサッ…
不死鳥「よし……これでいいかな」
不死鳥「それじゃさっそく……いっただっきまぁ????す!」モグッ…
21:
不死鳥「うん……」モグ…
不死鳥「うんうん……」モグモグ…
不死鳥「うんめぇ??????????!」
不死鳥「自分の肉で作った焼き鳥うんめぇ??????!」
不死鳥「サイコォ??????!」
不死鳥「不死なんてろくなことねえけど」
不死鳥「この瞬間だけは、不死鳥やっててよかったって気がすんね! うん!」
23:
幼児「なにやってんの? トリさん?」
不死鳥「!?」ビクッ
不死鳥(人間の子供……!?)
不死鳥(ここはめったなことじゃ、見つけられない場所なのに……)
不死鳥(子供ならではの純真さで見つけてしまったってところか)
不死鳥(……恐ろしい子!)
幼児「ねーねー、トリさん、何やってんの?」
28:
不死鳥「ん、ああ……焼き鳥を作ってたんだよ」
幼児「へぇ?、やきとり?」
不死鳥「ああ、自分の肉をちぎって焼いてんだ」
幼児「ふう?ん」
不死鳥「どれボウズ、お前も食ってみるか?」
幼児「えっ、いいの?」
不死鳥「おお、特別大サービスだ! 熱いから、火傷すんなよ!」
30:
不死鳥「こうやって塩をかけて……っと」パサッ
不死鳥「ほら、召し上がれ」
幼児「いただきます」パクッ
不死鳥「ん、ちゃんといただきますが出来る奴は、将来出世するぞ! 多分な!」
幼児「…………」モグモグ…
不死鳥「どうだ、美味いだろ?」
幼児「う?ん」モグモグ…
31:
幼児「しょっぱい」
不死鳥「!?」
幼児「これしょっぱいよ、トリさん」
不死鳥「ハ……ハハ……まぁ、俺の肉は人間には合わないかもな」
不死鳥「俺の肉食っても不死になるとかはないけど、でも栄養は豊富だし……」
幼児「う?ん……おにくはおいしいと思うんだけど……」
不死鳥「!?」
不死鳥(ってことは、俺が塩かけすぎってことか!?)
不死鳥(バ、バカな……!)
32:
幼児「それじゃあね、トリさん」
不死鳥「お、おう」
幼児「またくるねぇ?!」タタタッ…
不死鳥「お、おう」
不死鳥(塩かけすぎなのかな……)
不死鳥(いや、そんなバカな!)
不死鳥(この味を出すまでに、何万年研究してきたと思ってんだ!)
不死鳥(でもしょっぱいって……)
不死鳥(いやいやいや、自分を信じろ! ビリーブ!)
34:
なにこれおもろいwww
36:
やがて、幼児は少年になった──
少年「こんにちは、鳥さん」
不死鳥「おう、焼き鳥食ってけや」
少年「わぁ?い」
少年「…………」モグモグ…
少年「やっぱしょっぱい……」
不死鳥「マジで!?」
38:
少年「ところでさ、不死鳥さんってなんで不死なの?」
不死鳥「さぁて、なぁ……」
不死鳥「生まれた時からこうだった、としかいいようがねえやな」
少年「なんで生まれた時からこうなの?」
不死鳥「それが種族ってもんだからだろうなぁ……」
少年「なんでそれが種族ってもんなの?」
不死鳥「えぇと……」
不死鳥(出た! なぜなぜ攻撃! 子供ならではのエンドレス攻撃!)
不死鳥(ある意味、不死である俺の人生みたいなもんだな!)
39:
少年「……不死鳥さんって」
少年「焼き鳥焼く時とか、いっつも一人でベラベラしゃべってるけど」
少年「なんで不死鳥さんって、やたら独り言が多いの?」
不死鳥(大きなお世話だ!)
不死鳥「寂しいからだよ! 文句あっか!」
少年「なんで寂しいのに、ずっとこんな山奥にいるの? おかしくない?」
不死鳥「俺は人里じゃ受け入れられない存在だからだよ」
40:
幼女に見えてた自分が恥ずかしい
41:
>>40
奇遇だな、私もだ。
http://www.amazon.co.jp/dp/4799005073/
42:
少年「なんで受け入れられないの?」
不死鳥「そりゃ……死なない鳥なんて不気味だろ」
少年「なんで不気味なの?」
不死鳥「そりゃ不死だからだよ」
少年「なんで不死鳥さんって、不死なの?」
不死鳥「そりゃ?あれだ。体内に不死パワーが駆け巡ってるからだよ」
少年「アハハッ、最初といってること違うじゃん」
不死鳥「!?」
少年「ダメだよ?、子供の質問だからって適当にはぐらかしちゃ」
不死鳥(こ、こいつ……やりやがる!)
43:
少年「でもさ、不死鳥さん飛べるんだから」
少年「不気味がられても、逃げちゃえばいいだけの話じゃん」
少年「で、不気味がらない人を探せばいいじゃん」
不死鳥「まぁ、な」
不死鳥「こっちにも色々あんだよ」
少年「ふぅ?ん」
少年「色々ってなに?」
不死鳥「だから色々だよ!」
不死鳥(終わらねえええええ!)
45:
少年「でもさ、不死鳥さん」
少年「ボクが来たから、もう寂しくはないでしょ?」
不死鳥「ん……まぁ、な」
少年「あ、そろそろ帰らなきゃ」
少年「じゃあね、不死鳥さん。またね?!」
不死鳥「おう!」
不死鳥(ボクが来たから寂しくない、か……)
48:
やがて、少年は学生になった──
学生「…………」
不死鳥「おう、ずいぶん凛々しい顔つきになったな!」
学生「別に……大して凛々しくもないよ。普通さ」
不死鳥「ハハハ……」
不死鳥「ま、せっかく来たんだ。焼き鳥でも食っていけよ!」
学生「別に腹減ってないけどね」
49:
学生「…………」モグモグ…
不死鳥「どうだ!?」
学生「しょっぱい……塩がききすぎだよ、これ」
不死鳥「うぐっ……!」
不死鳥「ところで、どうだ!? 今の年齢だと、勉強で忙しいんだろ!?」
学生「……まぁね」
不死鳥「はかどってるか?」
学生「ふん……勉強なんて、下らないよ」
51:
学生「あんなもの、いくら頑張ったって社会に出たら何の役にも立ちやしない」
学生「所詮学校なんてのは、社会の歯車になるための通り道みたいなもんなんだ」
学生「より勉強しておいた方が、いい位置の歯車になれるってだけさ」
学生「無意味だよ、バカらしい」
不死鳥「ハハハ……」
不死鳥(なんというか、この時期の人間にはありがちな症状が出てるな……)
不死鳥(世の中が下らなくなる、的な)
学生「不死鳥だってそう思うだろう?」
不死鳥「お、俺か? う、う?ん……」
52:
不死鳥「バカらしいってことはないんじゃないか?」
不死鳥「面白いこともいっぱいあるぜ? 焼き鳥作りとか……」
学生「はっ、不死鳥も世の中のシステムに迎合する生き物だったか!」
学生「不死鳥っていうから、もっと高貴な生き物だと思ってたよ」
不死鳥「俺のどこが高貴なんだよ……」
学生「ひょっとしたら、不死ってのも眉唾なんじゃないのか?」
不死鳥「ほう……俺の不死まで疑うか」
不死鳥「だったら、見てみるか?」
学生「え?」
53:
重症だな
55:
不死鳥「ふんっ!」
グシャッ!
学生(え……頭打ちつけて、頭が砕け──)
不死鳥「…………」ピクッピクッ
学生「お、おい、しっかり──」
不死鳥「…………」シュウウ…ムクムク…
学生「うわっ! 頭が元通りに!?」
不死鳥「どうだ、死ななかったろ? 傷一つ残ってねえ」
学生「う……うん……」ゴクッ…
60:
学生「不死鳥、こんな力がありゃ、なんだってできるだろ!」
学生「オレだったら……もっと色々やるよ! 不死を利用してさ!」
学生「この下らない世界を変えるために!」
不死鳥「あいにく、不死ってそんな便利なもんじゃないぜ」
不死鳥「ハッキリいって俺、喧嘩はそこらのタカやワシより弱いし」
不死鳥「例えば……動けないようにされたらもうオシマイだ」
不死鳥「永遠に肉をちぎられ続ける、無限焼き鳥製造装置にされちまう」
不死鳥「俺がここで大人しくしてるのは、万が一そうなるのが怖いってのもある」
不死鳥「不死に対する夢を壊すようで、悪いけどな」
学生「なるほど……そんなもんなのか」
61:
なんか不死鳥もつらいな
64:
不死鳥「ま、無駄に長く生きてる者として、アドバイスだ」
不死鳥「悟ったようなこというのもいいが」
不死鳥「程々にしとかねえと、大きなことばかりいう口だけ野郎になっちゃうぞ」
学生「……ふん」
学生「あ、やべ、もう帰る。そろそろテストの時期だから対策しなくちゃ」
不死鳥「……フッ」
不死鳥「頑張れよ?!」
学生「ふん、程々にやるさ」タタタッ…
68:
やがて、学生は青年になった──
青年「……やぁ、久しぶり」
不死鳥「おお?! 最近来ねえから、心配してたんだ!」
青年「仕事が忙しくてね……」
不死鳥「仕事かぁ?、大変だな」
青年「うん……」
不死鳥「ま、焼き鳥食ってけや! な!?」
70:
青年「…………」モグモグ…
不死鳥「どうだ!?」
青年「うん、しょっぱい」
不死鳥「そ、そうか」
不死鳥「ところで、仕事は辛いか?」
青年「辛いよ……」
不死鳥「やっぱり、お客さんとかの相手は辛いか?」
73:
青年「いや……むしろ、敵は中にありって感じかな」
不死鳥「中?」
青年「上司や先輩がすごくイヤな奴でね……」
青年「オレの手柄を自分のものにするし、口を開けばイヤミやら言いがかりやら……」
青年「何度ブン殴ってやろうと思ったか分からないよ」
青年「このままじゃいつか本当にやっちゃうかもしれない、と思って」
青年「久々に不死鳥の顔を見にきたんだ」
不死鳥「ハハハ、光栄だな」
74:
不死鳥「で、どうだ? 俺の顔見て、少しはリラックスできたか?」
青年「まぁね……相変わらずで安心したよ」
青年「オレはこうして変わってしまったけど……君はなにひとつ変わってない」
不死鳥「成長がない、ともいえるけどな」
青年「ハハハハハ……!」
不死鳥「ハハハハハ……!」
青年「ハハハハハ……!」
不死鳥「おい、笑いすぎだろ」
青年「ごめん」
76:
青年「なにしろ、笑うことすら久しぶりだったからね」
青年「愛想笑いならしょっちゅう浮かべてるけどさ」
不死鳥「…………」
不死鳥「よぉ?し」
不死鳥「だったら今日は、この俺が徹底的にお前を笑わせてやろう!」
青年「へえ、ホント?」
不死鳥「あたぼうよ! 万年生きた俺の不死鳥ギャグを披露してやる!」
不死鳥「いくぜ!」
77:
不死鳥ギャグ期待
78:
鳥のギャグ・・期待
79:
不死鳥「不死鳥さん、なんで不死なの? 不思議だね」
青年「ハハハハハ……!」
不死鳥「この鶏肉、取りにくいね」
青年「フフフッ……!」
不死鳥「バードを逆立ちさせたらドーバーッてゲロ吐いた」
青年「アハハハッ……!」
不死鳥「死なねえ鳥は、ただの鳥だ」キリッ
青年「プッ、クククッ……!」
81:
不死鳥「大笑いだな! そんなに面白かったか!?」
青年「いやぁ?、全く面白くなかったんだけど、なんでか笑えた」ハハ…
不死鳥「…………」ガクッ
青年「でもスカッとしたよ。ありがとう」
青年「おかげで……また元気に働けそうだ」
青年「もしまたくじけそうになったら……ここに来るよ」
不死鳥「おう、待ってるぜ!」
87:
やがて、青年は中年になった──
中年「やぁ、不死鳥」
不死鳥「おう、久々だな」ジュウウ…
不死鳥「今、焼き鳥焼いてるから、ちょっと待っててくれ」ジュウウ…
中年「うん」
不死鳥「にしても、お前貫禄ついたよなぁ?」
不死鳥「ちょっとぐらいちぎっても痛くねえんじゃねえの?」
中年「オレとしても、ちょっとぐらいちぎってもらいたいね」ブヨッ…
89:
スレタイからは予想できない展開に
90:
不死鳥「焼き鳥、準備完了!」ドサッ
中年「オレもビールをいっぱい持ってきたよ」ガラン…
不死鳥「お、気がきくねぇ?!」
中年「じゃ、再会を祝して──」プシュッ
不死鳥「おう」プシュッ
不死鳥「って、すげえ泡出てきた!」シュワシュワ…
中年「なんたって、山道を登ってきたからなぁ」シュワシュワ…
不死鳥「んもう……濡れちゃった」シュワシュワ…
93:
中年「じゃ、気を取り直して──」
不死鳥「カンパーイッ!」
中年「カンパーイッ!」
不死鳥「…………」グビッグビッ…
中年「…………」グビッグビッ…
不死鳥「っぷはぁ、うんめぇ??????????!!!」
不死鳥「ビールと焼き鳥ってのは、最高に合うなァ!」モグ…
中年「焼き鳥が少ししょっぱいけどな」モグ…
不死鳥「…………」
95:
不死鳥「ところで、景気はどうだ?」
中年「ん、まずまずさ」
中年「仕事もとりあえず中間管理職としてなんとかやってるし」
中年「結婚したし、ローン組んで狭いけど家も買えたし、子供も生まれた……」
不死鳥「お前が子供持つってのも、なんだか不思議な話だ」
不死鳥「俺にしてみりゃ、お前なんてまだまだガキなのによ」
中年「そりゃあ何万年も生きてる君に比べたらねえ」
中年「樹齢何千年の木だって、君にしてみれば若木なんだろうから」
97:
不死鳥「子供は可愛いか?」
中年「うん、可愛いよ」
中年「顔はオレに似てるけど、好みとかがオレと逆なのが困るけどね」
中年「オレが子供の頃好きだったオモチャを買ってやっても、喜びやしない」
不死鳥「ハハハ、中身までは似なかったか」
中年「今はまだ可愛いけど、そのうち反抗期になっていくんだろうなぁ」
不死鳥「そりゃそうだ、それが人間ってもんさ」
不死鳥「お前だって、世の中下らねえ……とかいってた時期があったもんな」
中年「あ?……あった、あった! 社会の歯車になんかなりたくねえ、ってね」
99:
不死鳥「……で、どうだい」
不死鳥「今でも世の中は下らないと思ってるかい?」
中年「どうなんだろうねえ……」
中年「下るとか、下らないとか、そういうのを全部ひっくるめて」
中年「世の中……なんだろうねえ、きっと」
不死鳥「ま、そんなもんだ」
中年「ま、そんなもんか」
102:
中年「さぁ?て、そろそろ帰らないと浮気だとか思われちゃうな」
中年「どっこいしょ、と」スクッ
不死鳥「ホントオヤジになったな、お前」
中年「おいおい、よしてくれよ」
中年「久々に来たけど、やっぱり君は全く変わってなくて、安心したよ」
不死鳥「お前は少し痩せろよ。生活習慣病になるぞ」
中年「分かってるよ! ──じゃあな!」
不死鳥「おう!」
109:
やがて、中年は老人になった──
老人「ふう、ふう……」
老人「この年になると、ここまで来るのも一苦労だ」
不死鳥「おう、ちょうどいいとこに来た!」
不死鳥「ま、焼き鳥でも食っていけや! な!?」
不死鳥「ちょうどもうすぐ焼きあがるところだったんだ」
老人「そうさせてもらうよ」
112:
なんかいい感じの話だ
114:
老人「…………」モグモグ…
老人「オレはこのとおりすっかり髪の毛も白くなって、シワだらけだけど……」
老人「君はなにも変わらないねえ」
老人「この焼き鳥のしょっぱさとおんなじだ」
不死鳥「お前も味覚オンチは全く変わってないな」
老人「ハハハ」
120:
老人「……ところで」
老人「君はオレに、何度か不死なんていいもんじゃない、と話してくれたろう?」
不死鳥「ん、あったっけな」
老人「理由は……色々あった」
老人「不気味がられるとか、動けなくされたら意味ないとか……」
不死鳥「ああ、いった覚えがある」
老人「だけど、この年になって……本当の理由がようやく分かった気がするよ」
不死鳥「…………」
121:
老人「不死鳥……君は何度も他人と知り合っては、死別、を繰り返してきたんだろう?」
老人「何度も何度も……数えきれないくらい……」
老人「オレもこの年になると、友だちや仲間と呼べる人間が次々減っていき……」
老人「ようやく気づいたんだ」
老人「君が山奥から出ない理由にね」
老人「誰と出会おうが、仲良くなろうが、どうせ自分より先に死んじまうから……」
老人「これって……キツイよなぁ……」
不死鳥「…………」
不死鳥「ま……そういうところもあるかもな」
122:
老人「実は……オレももう長くない」
不死鳥「!」
老人「病院で宣告されちまってな……」
老人「オレは自然に任せる道を選んだ」
老人「すまんなぁ……もっと焼き鳥食いにきたかったんだが」
不死鳥「お前が謝ることじゃねえだろ」
不死鳥「人間は不死じゃないんだ。いいってことよ」
不死鳥「よくもまぁ、そんな年になっても俺に付き合ってくれたよ」
不死鳥「……ありがとう」
老人「こっちこそ、ありがとう……」
老人「君みたいな変わった鳥と知り合えてよかったよ」
125:
老人「さて……そろそろ行くかな」
老人「家のもんが心配すると、いかんしな」
不死鳥「……あと何回ぐらい来れそうだ?」
老人「あと……二回……いや、一回かもな……。一回は必ず来るよ」
不死鳥「そうか……」
不死鳥「ま、体を大事にな!」
老人「ああ、そうさせてもらうよ」
131:
俺が見てきたSSでも類を見ないくらい良いSSだ
136:
やがて──
不死鳥「…………」
不死鳥(あれから、アイツ来ねえなぁ……)
不死鳥(まさか──)
不死鳥(いや、まさかな! 忙しいとか、ここに来るのがおっくうになってるだけだ!)
「こんにちは」ザッ…
不死鳥「お、ウワサをすれば、来たか! 焼き鳥食ってけよ!」
145:
「…………」モグモグ…
不死鳥「いやぁ?、てっきりもう来ないもんかと思ってたぜ」
不死鳥「しっかし、ずいぶん顔つきが若返ったな!?」
不死鳥「見違えたぜぇ?! 最新医療ってやつか!?」
不死鳥「ところでどうだ、焼き鳥の味は? ん?」
不死鳥「っていっても、お前はいっつも──」
「塩がよくきいていて、美味しいですね」
不死鳥「!!!」
152:
不死鳥「ま、まさか……」
不死鳥「まさか……アンタ、まさか……アイツの……」
息子「はい……私は息子です」
不死鳥「だよなぁ……人が若返るわけないもんな。瓜二つってのは、このことだ」
不死鳥「もうアイツ、自分でここに来れなくなるほど悪く……」
息子「いえ、父は亡くなりました」
不死鳥「…………!」
息子「三日前……家で安らかに息を引き取りました……」
不死鳥「そうだった、のか……」
161:
息子「父はよくいってましたよ」
息子「この山にはしょっぱい焼き鳥を焼く不死鳥がいるって」
不死鳥「ハハ、アイツらしいや」
息子「いくら場所を聞いても、自分だけの秘密だって」
息子「決して教えてくれなかったのですが……」
息子「亡くなる寸前……オレの代わりに焼き鳥を食いに行ってくれ、と……」
不死鳥「そうだったのかい」
不死鳥「アンタの父さんはいっつもオレの焼き鳥に文句いってたぜ」
不死鳥「結局、一度も褒めてくれたことはなかった」
息子「父はなんでも薄めて食べるほど、薄味が好みでしたから……」
息子「私は逆なんですけどね」
165:
息子「それと……父から伝言が」
息子「あと一回、石にかじりついてでも行きたかったがすまない、と」
不死鳥「ハハ、それもまたアイツらしい。気に病む必要なんてねえのによ」
不死鳥「……あ、そうだ」
不死鳥「肉は腐っちまうから……この串と塩をアイツの墓前に、頼む」
息子「分かりました」
息子「父もきっと喜びます」
不死鳥「い?や、アイツはしょっぱいっていうね」
168:
定番だけど好きだわ
169:
息子「では私はこれで……」
不死鳥「おう、達者でな!」
息子「──そうだ。もしよろしければ、また来てもいいですか?」
息子「あなたの焼き鳥、私の好みにドンピシャだったので……」
息子「できれば、私の息子……父の孫と一緒に……」
不死鳥「もちろんだ!」
不死鳥「あ、できれば、ビールも持ってきてくれよ!」
息子「分かりました」ニコッ
息子「では……」スタスタ…
不死鳥「…………」
178:
不死鳥「さぁ?て、焼き鳥焼くかぁ?」
不死鳥「立派な息子じゃねえかよぉ……お前よりよっぽど味ってもんを分かってるぜ」
不死鳥「…………」
ジュウゥゥゥ……
不死鳥「そろそろ……いいかな……」
不死鳥「…………」モグッ…
不死鳥「……へっ」ホロッ…
不死鳥「まだ塩もかけてねえのに……今日の焼き鳥はなんだかしょっぱいや」
?おわり?
211:
俺も不死になりたい
213:
なにこれめちゃくちゃ面白かった……
185:
あっさりした終わり方だけど
なんかいい

193:
いいSSだった乙
19

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