桜田ジュンの攻防『死神と閉ざす者』back

桜田ジュンの攻防『死神と閉ざす者』


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そのショックにより桜田家で陰鬱な引き篭もり生活を続けていた。そんな真紅を少しでも慰めるために
ジュンは翠星石を伴って、ちょっと高級なお菓子を購入しに出かけたのであった。そしてその帰り道……
ジュン「…これで真紅の機嫌も少しは直ればいいんだが」テクテク
翠星石「この翠星石がチョイスした魅惑のお菓子群に抵抗できる乙女はいねーですよ」
ジュン「不安だな…かと言って雛苺まで今回の買出しに連れてくるのは嫌だったし」
翠星石「チビチビは他人よりも自分の好みを最優先するですからね。
  姉としての自覚と気品を兼ね備えた翠星石をアドバイザーに選んだチビ人間は大正解です」
ジュン(本当は蒼星石に買い物の付き添いを頼もうとしたんだが、連絡つかなかったんだよな)
18 :
ジュン「なんだ? 服の袖を引っ張るな、伸びちゃうだろ」
翠星石「あっちに妙な人だかりができてるですよ」
ジュン「人だかり? 本当だ。何かあったんだろうか。と言うかあれ、槐先生の店の前じゃないか?」
翠星石「懲りずにまた何か季節商戦におんぶに抱っこな催しモノでもやってるですかね、槐は?」
ジュン「よし。ちょっと見に行ってみよう」
翠星石「はいですぅ」
20 :
お客さん達『きゃー! きゃー! ばらっしー可愛い!』
ばらっしー「ばらっしーは今日も元気だっしー! みんなも元気ぃ??」ピョインピョイン
お客さん達『元気でーす!』
ばらっしー「それでは今日も聞いてください。『着ぐるみ人形の爆笑小噺』?っ」
お客さん達『待ってました?!』ワーワー
ジュン「…なんだ、これは」
翠星石「たまげたですぅ。薔薇水晶そっくりの着ぐるみを着た何者かがパフォーマンスを?」
ジュン「裏声で喋っているようだが、どうも中身も薔薇水晶のようだ」
ばらっしー(うっ!? あ、あれは桜田ジュンと翠星石!?)ビクッ
翠星石「お? ばらっしーの動きが一瞬止まったですよ」
ジュン「僕達の存在に気が付いたみたいだな」
お客さん達『ばらっしー、どうしたの? 早くいつもみたいに小粋でアンニュイなトークをしてよー』
ばらっしー「ま、まかせろだっしー!」
翠星石「槐のヤロー、今更ゆるキャラ人気にがっつり乗っかった商戦を始めるとは…」
ジュン「しっかし、あのおっさんもいつもワンテンポ遅れて流行に乗っかるよな」
翠星石「薔薇水晶も槐も恥を知る心ってもんがねーんですかねぇ…」
ばらっしー(くっ…!)プルプル
お客さん達『ばらっしー、震えてるよ? 寒いの?』
ばらっしー「そんなことないっしー! これは武者震いだっしー!」
翠星石「語尾も無理している感じがしてキャラ作りが痛々しいですぅ」
ジュン「お前がそれを言うか」
21 :
ジュン「…ああ」
ばらっしー(くっ! ここまで人気を得るために私とお父様がどれほど苦労したかも知らずに…)
翠星石「元からローゼンメイデンのパクリ乙女ですし、プライドってもんがねーんでしょうね奴ら」
ジュン「…かもな」テクテク
ばらっしー「ううううううっ……」バッターン
お客さん達『うわー? ばらっしーが悶絶して倒れたッッ!?』
お客さん達『新手のパフォーマンスなのか!? それとも…』
22 :
翠星石「ただいまですぅ?」
ジュン「帰ったぞ?、いい子にしてたか真紅? 雛苺??」
雛苺「ジュ、ジューン!! 大変なのー!」
ジュン「ん? 何が大変なんだ?」
雛苺「し、真紅が…真紅がぁっ!」
翠星石「真紅がどうしたですか? ストレスがマッハで、タコみたいに自分の腕でも食べだしたですか?」
雛苺「違うのぉ?! ほら見て、真紅が!」
真紅「……」シュバババッバババ
ジュン「なんだ? 高で手を振り回しているようだが? カマイタチの練習か?」
翠星石「いや! 違うですよチビ人間! あれはローゼンパントマイム!」
ジュン「ロ、ローゼンパントマイム!?」
翠星石「その気になれば庭付き一戸建ても再現可能という真紅の隠し芸ですぅ」
雛苺「さっきから真紅はパントマイムで、この間失った戦車を表現し続けているのよー!」
ジュン「何て奴だ。けど、そこまで慌てるようなことじゃ…」
真紅「…1451、…1452」ボソボソ
翠星石「むむむ!? 何か数字を数えているですよ! まさかあの数字は」
雛苺「そうなの! 真紅は戦車でサファリを始めちゃって、さっきからゾウさん達を次々に殲滅しているわ!
  このままじゃアフリカからゾウさんがいなくなっちゃうの! ジュン、翠星石ぃ! 真紅を止めてー!」
翠星石「くっ! ですがチビ苺、ローゼンパントマイムは一度動き出したら止まらないのです」
雛苺「そ、そんな」
ジュン「と言うか、どうせ真紅が疲れるか飽きるかしたら、やめるだろ」
23 :
真紅「…ぐはーっ」ドサッ
雛苺「ぬにゃっ!? 真紅が唐突にぶっ倒れたの!」
ジュン「体力の限界までマイムするなよな…」
翠星石「そうじゃあないです! 真紅のマイムをずっと見ていた翠星石には分かるです!
  今、真紅戦車は小象を怪我させられた母象の怒りの突撃を受けて破壊されたのですぅ!」
雛苺「と言うことはゾウさん達の勝利なのよ!? やったー!」
真紅「くっ、私としたことが野生動物だからと親子の絆の力を甘く見てしまっていたようね」ハァハァ
ジュン「ゲスめ。パントマイムだからって、どんだけ外道なシチュエーションを楽しんでたんだ、お前は」
真紅「ふ、それもこれも全ては、私の新ローザミスティカに宿るアフリカの大地の記憶のお陰。
  アフリカ象と戦車のバトルをマイムさせたら私の右に出る者はいないわ」
ジュン「アフリカの鉱脈くんだりまで行って復活させるんじゃなかった…こいつ」
翠星石「それはそうと真紅、そんなダークパントマイムで憂さ晴らしせずに
  翠星石とチビ人間がお前のために買ってきてやった高級スイーツでも食べるですよ」
雛苺「真紅のマイムが終わるまで待っていたのよ」
真紅「あら、そうだったの? ダンケシェーンみんな。けど、何をしようとも失った物は戻ってこないわ。
  私が神であるはずのパントマイムの世界の中でさえ、戦車は粉々に砕け散った…」
翠星石「し、真紅」
24 :
蒼星石「どうも、僕です」テクテク
翠星石「ほぁああああーーーっ!? 突然の蒼星石!?」
雛苺「それに、ちょっとだけジョニーデップに似ているシキさんなの」
ジュン「か、勝手にここまで上がりこまないでくださいよ」
シキ「申し訳ないジュン子ちゃん。しかし時間も無いもんで容赦してください」
ジュン「そのジュン子ちゃんってのも、やめてください」
真紅「何か用? あなた達が真紅ファイナルターボ号Mk2を解体して引っぺがした鉄板でも返してくれるの?」
シキ「いや、それも残念ながらできません真紅さん。全部もうドロドロに溶かしちゃったし」
翠星石「じゃあ、何の用なんですぅ?」
シキ「ロゼリオンキラーたる庭師道具の作成にあたり
  その完成品第一号はジュン子ちゃんに使ってもらいたいと考えています」
雛苺「うにゅにゅ? ジュンに庭師道具をくれるってことなの?」
25 :
  材料のサクラダイトだって、私がいなければ…」
蒼星石「はいはい、落ち着いて真紅。現在、さしあたっての目標はジュン君のロゼリオン化の解除だ。
  しかし現時点での技術では、僕の庭師の鋏を以ってしてもジュン君の心の樹をケアできない」
シキ「サクラダイト入りの庭師道具でジュン子ちゃん自身が自らの精神に立ち向かうことで
  ロゼリオン化も解除されるだろうというのが、大まかな見通しだ」
ジュン「僕が…自分で…」
蒼星石「不安もあるだろうけど、僕も庭師連盟も全面的に協力…」
ジュン「みなまで言わなくてもいいさ蒼星石。僕が僕自身で解決しなくちゃいけない問題だってことは分かってる。
  そういうことなら僕の方から頼みたいくらいですシキさん。庭師道具を僕にください」
翠星石「むむむ、チビ人間にしては随分と骨太な答えですぅ」
雛苺「頼もしいのよねジュン」
真紅「どういう心境の変化?」
ジュン「別に。敢えて言うなら…鳥海のお陰ってところか」
シキ「快諾ありがとうジュン子ちゃん。じゃあ、早相談したいんだが、どういう庭師道具がいい?」
ジュン「え? どういう…とは?」
26 :
真紅「なるほど、だから庭師連盟での道具管理責任者であるあなたが来たのね」
シキ「あとBLUE-STAR先生の原稿をもらうのも兼ねてね」
翠星石「え? BLUE-STAR先生ですと!?」
真紅「庭師連盟の雑誌『Garden』で『ライトブルーの少女』を好評連載中のBLUE-STAR先生!?(※)」
※蒼星石と若人の特権参照
シキ「え、あ…ああ、そうだけど?」
雛苺「BLUE-STAR先生ってnのフィールドじゃなくて、こっちの世界にいるのよ!?」
シキ「あ、あの、君達? ひょっとして…?」
蒼星石(すいませんシキさん。彼女達には秘密なんです、僕がBLUE-STARだってこと)ヒソヒソ
シキ(え、そうだったの!? な、なんで!?)
蒼星石(いや、だって僕が作者だなんてバレたりしたら…)
真紅「シキ! ちょうど良かったわ! 次にBLUE-STAR先生に会ったら伝えておいてほしいことがあるの!」
翠星石「翠星石もあるですよ、伝言!」
シキ「な、なんですか? それは?」
翠星石「最近、無駄に『作者取材のためにお休みです』ってのが多すぎですぅ!」
雛苺「うぃ! サボってばっかりじゃダメなのー!」
真紅「それに連載が長期化しているから仕方ないのかもしれないけど
  初期の頃の設定と矛盾している話がだんだん目立ってきているわよ!
  こういのはGarden編集である、あなたがちゃんとチェックしなくちゃダメでしょ」
シキ「は、はあ…」
翠星石「それと以前あったアニメ化の話はどうなったんです!? 立ち消えですか!?」
雛苺「ライブル展もやるって言っていたのに、全然続報がないのー!」
シキ「いや、それはその…」オロオロ
蒼星石(こうなるのが目に見えているんで、秘密にしているんです)
シキ(な、なるほど…)
27 :
シキ「そ、そうですよ! どうです? ジュン子ちゃん?」
ジュン「そうは言われましても、急にアイデアは…」
シキ「以前はたくさんアイデア出してくれたじゃない」
ジュン「あの時は自分が使うなんて事は想定していなかったもんですから」
真紅「ジュンが使うんだから、あんまり重かったり高度な技術が要る武器はダメよね」
翠星石「トキボーズが使っている『庭師の剣』とかと同じようなのでいいんじゃねーです?」
真紅「ジュンが剣?? 似合わない似合わない」
雛苺「うぃ。ジュンだったらナイフとかの方がいいのよね」
シキ「残念ながら庭師の小刀、庭師のナイフ、庭師のダガーといった物は既にあるんですよ」
ジュン「既にあるとダメなんですか?」
シキ「一応、ダブリは無しってコトになっている。私のポリシーで」
翠星石「ポリシーですか」
真紅「ポリシーなら仕方ないわね」
28 :
蒼星石「動画?」
翠星石「エロスなやつですか?」
シキ「違う違う。ジュン君の心の樹の護衛をしている庭師と、東果重工の寄越した小隊の間での
  交戦記録映像だ。庭師が庭師道具を巧みに操って彼らを撃退している様子が収められている」
真紅「よくもまあ、そんなのが」
シキ「撮影していたのは東果の方だけどね。ビデオを落としていったから、うちが回収させてもらった。
  ジュン子ちゃん、そのパソコンで視聴できます?」
ジュン「ええ、大丈夫だと思いますよ。そのディスク貸してください」
シキ「はい」
翠星石「ふーむ、どんなお宝映像が収められていることやら…」
雛苺「わくわくするの」
ジュン「お、動画が始まったぞ…」
29 :
撮影の男『いや、だってこれも俺の仕事なんですもん小隊長。うちら新進気鋭の小隊の働き振りを…』
隊長の男『だからってこんなとこを写してどーする。本社のお偉方にどやされるのがオチだぞ』
雛苺「この人達…?」
シキ「東果の特務班だ。隊長一名に少年兵二名の小隊だった」
30 :
撮影の男『ひょっとしたら野糞かもしれないっすね。よし、俺、盗撮してきます』
隊長の男『やめとけ。馬鹿かお前は』
もう一人『まったくだ。そんな態度だからこんな任務に回されるんだよ』ガサガサ
隊長の男『おう、戻ったのか』
もう一人『お待たせしたようで、すいません隊長』
撮影の男『おいコラてめー! さっきの言葉訂正しろ!』
もう一人『何のことだ?』
撮影の男『こんな任務って、とこだ! お前、俺達の仕事を馬鹿にしているのか!?』
もう一人『別に馬鹿にしたわけじゃあない。危険な任務に回されるにはそれだけの理由があるってことだ』
蒼星石「…この少年兵の二人は黒襟ですね。なのに隊長は青襟だ」
シキ「ああ、構成としては少しチグハグな部隊だが、その理由もじきに分かる」
31 :
撮影の男『ばっ…! 何を言ってやがる! 生きてこそナンボのもんだろうが!』
真紅「此岸島での東果の少年兵部隊の生き残り!?」
翠星石「全滅していたんじゃあなかったんですね(※)」
※薔薇乙女のうた『ある野薔薇とワタハミの樹』参照
32 :
もう一人『僕がそんなことをお前に頼んだか?』
撮影の男『てめぇ! だったらここで俺がお前を英雄にしてやろうか、コラ!』
もう一人『それは不可能だ。仲間割れでの死亡は東果重工の社内規定で英雄認定されない』
撮影の男『お、お前って奴は…! 大体、お前も俺と同じ任務に回されてんだぞ!
   てめーだって落ちこぼれで性格に問題ありだろうが!』
もう一人『僕だって馬鹿じゃない。自分の性格が悪いのは知っている。
  だから本社の上役達にも好かれず、こうしてお前と一緒に最前線だ』
撮影の男『開き直りやがったな、てめー…!』
もう一人『しかしだ、遅かれ早かれ僕もお前も今度こそ英雄になる』
撮影の男『…ッ!』
隊長の男『お取り込みの最中に悪いがお前達は英雄にはなれないし、本社の連中も今度はそれを望んじゃいない』
撮影の男『た、隊長?』
もう一人『どういう意味です?』
33 :
   こうして黒襟のお前達を引率する立場になってしまってはいるが…。知っているんだろう? 俺の異名を』
撮影の男『死神…ですか』
隊長の男『そう、不名誉な渾名だが、こと薔薇乙女に関わってしぶとく生き残っている俺を
   本社の上層部は【幸運な死神】だと再評価したらしい』
もう一人『それはどうでしょうね。単なるあまり物の寄せ集め部隊ではないのですか、僕達は結局』
撮影の男『だーっ! お前、隊長に何だその口のききかたぁ!』
もう一人『うるさいなぁ、大声を出すほうが失敬だぞ』
隊長の男『寄せ集めでも何でも、俺は二度、お前達は一度生き残った者達だ。何かを潜り抜けてきたはずだ』
撮影の男『何か…て?』
もう一人『何なんです?』
隊長の男『…分からん』
撮影の男『分からない、て! 隊長ぉ?』
もう一人『……』
隊長の男『あと、いい加減にビデオ止めろ。それと、消しとけよ今の話のところは』
撮影の男『あ、はい。社に戻ったら必ず』
シキ「それができなかったから、こうして私達が視聴できてるんだけどね」
ジュン「この撮影している奴、おっちょこちょいだな」
雛苺「翠星石みたいなのよ」
翠星石「なんですとー!」
34 :
隊長の男『…庭師だ! やはりこのポイントで待ち伏せしてやがったか!』
もう一人『ロゼリオン化している人物の心の樹の守衛のためとはいえ
  庭師連盟も随分と力を割いていますね。あれほどの使い手を二人も、ここに』
撮影の男『何しろ桜田ジュンって奴はマイスターローゼンを継いだらしいからな。
   薔薇乙女と蜜月関係にある庭師連盟が本気出してくるのも当然ッすよね隊長!?』
隊長の男『そういうことだ。それと…』
撮影の男『あ、はい! 録画は先ほどから再開しています』
蒼星石「場面が少し飛んだね」
シキ「ああ、ここからが庭師と東果の小隊の交戦だ」
翠星石「つーか、他所にはやっぱり庭師連盟と薔薇乙女の関係がズブズブだってばれてんじゃあねーですか」
35 :
撮影の男『え!? 隊長ホモだったんすか!?』
もう一人『アホか! しかし隊長! 強い方を一人で相手するつもりですか?
  若輩といえ、曲がりなりにも自分達は黒襟…! 僕達の方が男を…!』
隊長の男『あのなあ、お前達も薔薇乙女を見たことぐらいはある…よな?』
撮影の男『ええ、まあ一応』
隊長の男『だったら男の方が強いだなんて固定観念は捨てろ。今の割り振りは適当だ。
   お前らの相手である女の庭師が、より強敵かもしれん!』
もう一人『…了解』
隊長の男『来たッ! 割り振りは守りつつも、あまりお互い離れるなよ』
撮影の男『分かってますって! 隊長の勇姿もばっちり撮らなくちゃいけませんし!』
ロキ「ここにいたか! 逃がさんぞ東果のコソ泥ども!」ザッ
ナナキ「ジュン君の樹には指一本、触れさせない!!」ザザッ
翠星石「あっ! ナナキですぅ!」
雛苺「もう一人の人は…?」
蒼星石「ロキさんだ。しかし十人兄弟から二人も心の樹の護衛に回しているとは
  確かに連盟も本腰を入れて対処してくれているようだね」
シキ「はい」
ジュン「これから、この二人が庭師道具を使うので?」
シキ「そうです」
ジュン「確か、ロキさんの庭師道具は『庭師の傀儡』だったはずじゃあ…?」
シキ「よく覚えてたねジュン子ちゃん。確かにそのとおり。
  しかし庭師の傀儡を紆余曲折を経て失って以降、ロキは別の庭師道具を扱っています」
翠星石「そうなんですか」
36 :
ロキ『何を! その口、今に黙らせてやる』ダダッ
ナナキ『ロキ兄ぃ!?』
ロキ『こっちは任せろ! ナナキはあっちの二人を!』
ナナキ『…分かった!』
撮影の男『女が来るぞ! やれるな!』
もう一人『誰に向かって言っている? お前こそ此岸島の二の舞はするなよ』
ナナキ『もう小競り合いはしない! 一気に決める! これで!』ズチャッ
撮影の男『あれは!』
もう一人『庭師道具か! やり手だとは思ったが…! やはり、こいつら【道具持ち】だ!』
シキ「ナナキの持っているのは『庭師の鉈』。現実世界の鉈と同様、重みを利用して叩き割るのが身上だ」
蒼星石「此岸島の戦いで見せてもらったことがあります」
真紅「なかなかテクニシャンだったわよね」
ジュン「鉈かぁ…」
翠星石「ナナキのは大体知っているですからもういいです。ロキの方がちょいと気になるですねぇ」
37 :
隊長の男『そりゃどうも。今まで荒事には縁遠かった身だがね』
ロキ『…マジかよ。東果重工の奴らは頑健だから嫌になるねぇ、だったら俺もいいとこ見せるか!」
隊長の男『庭師道具を出す気か!? 抜かせんぞっ』
ロキ『遅い』シバッ
隊長の男『ッ!? 槍か! 庭師道具は本人がそれを取り出して実体化させるまで、正体が分からんのが厄介だな』
ロキ『初見で間合いを見切っておいてよく言う。しかし、我がミストルテインの槍の威力を侮るなよ』
隊長の男『みすとる…? なんだって?』
ロキ『ミストルテイン! 二度言わせるな! 何か恥ずかしくなるから!』
ナナキ『ロキ兄ぃー! 庭師道具に変な名前つけてるのロキ兄ぃだけだから! それだけで充分恥ずかしいって!』
もう一人『戦いながら相方にツッコミとは余裕だな、女!』ドシュッ
ナナキ『…くッ! やばっ』ササッ
撮影の男『ええい、ちょこまかと!』
隊長の男『それで、そ、そのミステリートレインだっけ? 何で槍にそんな名前を』
ロキ『ミストルテインだ! いいか、ミストルテインってのは北欧神話で…!』
ナナキ『やめて! 解説はッ、元ネタの解説はやめてーッッ! 寒気がするからーー!』
ロキ『黙れナナキ! 男同士の会話の間に入るな!』
もう一人『くそっ! この女、さっきから僕達の攻撃を捌きながらツッコミを!』
撮影の男『只者じゃあねぇ!』
38 :
ジュン「ん? あれ?」
翠星石「動画が消えちまったですよ」
シキ「録画はここまでだ。この直後にナナキが鉈で撮影係の眼帯型記録装置を叩き落とした。
  勿論、録画されてるとは知らず、頭を狙った攻撃を紙一重でかわされた結果そうなったとのこと」
真紅「ふーん」
シキ「ちなみにこの戦闘は東果重工側の小隊が撤退して終わりました」
雛苺「……」zzZ
蒼星石「あ、いつの間にか雛苺が立ったまま寝てる」
翠星石「器用なやっちゃですぅ。ほれ、もうビデオは終わったですから起きろですチビチビ」ゆさゆさ
雛苺「ほわわ?」パチッ
シキ「で、どう? ジュン子ちゃん、自分の持つべき庭師道具の参考になりましたか?」
ジュン「いや、まあ…」
真紅「あんまりならないわよ、これじゃあ。庭師の槍の持ち主、ロキが意外と痛い子だってのが分かっただけで」
シキ「そうか…」
39 :
蒼星石「ジュン君、こういうのはあまり深く考えずパッと思いついた物の方が良かったりするよ」
ジュン「……」
真紅「この際、ジュンがゲームでよく使う武器でもいいんじゃない?」
翠星石「チビ人間ってゲームだと遠くから弓矢とか鉄砲でペチペチ狙うチキンなスタイルが得意ですよね」
ジュン「技巧派と呼べ」
真紅「庭師道具で鉄砲はさすがに無理でしょうから…」
雛苺「うぃ! だったらジュンの庭師道具は弓矢がいいのよ!」
蒼星石「庭師の弓…か、悪くないんじゃないかな? 僕の知る限りダブってもいないかと…」
シキ「いや…、それは」
蒼星石「あれ? やっぱりダブってました?」
真紅「弓矢ってメジャーどころだからね」
シキ「正確に言うと、かつてならダブリになってましたが今はそうじゃあない」
雛苺「?」
シキ「レイキ姉さんの持っていた庭師道具がまさに『庭師の弓矢』でした」
蒼星石「あ! そうか、そうだった。僕としたことが、うっかり失念を…」
40 :
シキ「はい。カズキ兄さんが魔女レイキを討伐した戦い…
  その時にカズキ兄さんの手によって『庭師の弓矢』は破壊されています」
翠星石「ダブリじゃなくなってるんだったら、作ればいいんじゃねーのですぅ?」
シキ「しかし連盟内ではレイキ姉さんの魔女としての汚名は敢えてそのままになっていますので」
ジュン「庭師の弓矢を作るのは不吉って事ですか」
シキ「そういうことで、ごめんねジュン子ちゃん」
ジュン「…シキさん」
シキ「はい?」
ジュン「確認ですが、前にあった物でも壊れるなどして無くなってればダブリじゃあないんですね?」
シキ「ええ、そうです」
ジュン「なら、『庭師の黒縄』…アレを作ってもらえますか。僕が星幽祭で使ったアレを」
シキ「え!? 黒縄…で、いいのかい?」
ジュン「はい」
41 :
真紅「そう言えばジュンは投げ縄や投網の扱いが地味に上手だわ」
蒼星石「そのジュン君が庭師道具でも縄を使う、か。奇妙な縁だ」
雛苺「鬼にカナリアなのよね!」
真紅「それを言うならカナボウ」
シキ「…よし、分かった。だけど黒縄をそのまま再生産するのもなんですから
  ジュン子ちゃん用に改良を施したい。もう少し詳しく話を聞かせてもらっていいかな」
ジュン「ええ、勿論です」
真紅「…ジュンもついに特製の武器を手にする時が来たということか」
翠星石「燃える展開ですぅ」
雛苺「ヒナも自分専用の武器とか欲しいのー! パワーアップしたいのよ」
真紅「私だってそうよ。この身に溢れるアフリカンスピリットを
  うまく表現させられる道具が欲しいところだわ。となれば、やっぱり…」
翠星石「やっぱり?」
真紅「真紅ファイナルターボ号Mk3の製作にとりかかる他ない。手伝ってくれるわよね二人とも」
翠星石「いやです」
雛苺「いやなの」
蒼星石「聞かれてないけど僕もいやだ」
真紅「ワオ!?」
桜田ジュンの攻防『死神と閉ざす者』 完
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2014/01/24(金) 23:12:14コメント(8)ユーザータグ ローゼンメイデン -->
コメント
※107206 :-:2014/01/24(金) 23:26:14待ってた!
相変わらず楽しませてくれる。ロキシキナナキが出たならトキも男見せて銀たんのところへ行け!
あとパントマイムは巻いてはいけないか※107210 :-:2014/01/25(土) 01:21:08東果の清掃員さん・・・
癒し枠だと思ってたのにw※107211 :

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