桜田ジュンの出頭『ドールズ&戦車』back

桜田ジュンの出頭『ドールズ&戦車』


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985 :
真紅「くっくっくっく…もう少し。もう少しだわ」
ホーリエ「!」
真紅「分かっているわよホーリエ。事は静かに、エレガントに運ぶべき。この真紅に焦りも慢心も無い」
ザバッ
真紅「ふふふ、出た出た。見えてきた。数週間前に不幸な事故によりドブ川に沈んだ我が愛車が…
  真紅ちゃん超秘技、狭域限定時間巻き戻しによって川底から上がってきたわ。
  さあホーリエ、あなたもあの台車の裏側に回って押し上げるのを手伝いなさい」
ホーリエ「!」ひゅぱっ
真紅「よし! せーのでやるわよ。せーのっ!」
ホーリエ「…!」グググ
真紅「あと少しよ! 頑張りなさいホーリエ!」
ホーリエ「…!!!」
ガシャッ
真紅「ぃよしっ! 無事にサルベージ完了。よくやったわホーリエ。御褒美に後で砂糖水をあげる。
  なんとか人目のない夜のうちに作業も終わったし、完璧よ」
ホーリエ「……」ふよふよ
真紅「え? 何々? この薄汚くて無駄に重い台車がそんなに大事なのかって? 勿論よ、だってこれは…
  この台車に使われている鉄板は総重量約100kg、ただの鉄でもこれだけあれば結構な価値がある。
  ドブ川に沈めたまんまじゃ、もったいない事この上ない」
986 :
真紅「えっ!?」ビクッ
警察官「こんな真夜中に、こんなところで何をしているのかな?」
真紅「け、警察!?」
警察官「最近、この川にゴミを不法投棄する輩が多くてね。君、ひょっとして」チラッ
真紅「あ、あのいや、その…これはゴミなんかじゃなくてですね」
警察官「何にしてもこんな真夜中に女の子が一人でいるのもよろしくない。ちょっと署まで来て…」
真紅「いやいや、違います! 私、不良少女とかでも全然ないですから!
  昨年には究極少女アリスにも選ばれた、超絶健全優良美少女メイデンでして」アタフタ
警察官「…何か怪しい子だなあ、続きは署で聞こうか?」
真紅「いや、ほんとマジ勘弁してください。また警察のお厄介になったりしたら、ジュンに…!」
警察官「また? 君、以前にも補導されたりしたことが…?」
真紅「し、しまった!? くっ! こ、こうなったら」
警察官「はいはい落ち着いて。別に牢屋に入れたりするわけじゃないから。ほら、行こうか?」
真紅「忍法! 薔薇隠れの術!」ボワン
警察官「ッ!? どこからともなく花吹雪が?」
真紅「この隙にトンズラよ! ホーリエ!」スタタタ
ホーリエ「!!」ヒュパッ
警察官「あ!? こ、こら!」
987 :
真紅「…とまあ、あやうく国家権力の犬の横暴に遭いそうになったけれども
  この真紅ちゃんは勇気と機転を利かせて無事に逃げ切ることに成功したのだわだわ。
  しかも、鉄板台車もちゃんとここまで持ち帰ってきた」
ジュン「お、お前…なんちゅう真似を」
翠星石「一般人、それも警察官にローズテイルかまして逃げるなんて、乙女のやることじゃあねーですよ」
真紅「直撃はさせてないわよ。目くらましに使っただけ」
翠星石「ですが…」
真紅「だって、あのまま捕まっていたら今頃はブタ箱で臭い飯を食わされていたに違いない」
雛苺「臭いご飯は嫌なのよね」
ジュン「アホか! おい、真紅! 今からでも遅くない、行くぞ!」
真紅「行くって? どこへ?」
ジュン「交番か警察署だよ! 昨晩のことを謝りに行くんだ!」
真紅「何でよ! 私、何も悪いことはしてないわよ!
  悪いのは勝手に私をゴミの不法投棄犯だと勘違いした相手の方だわ!」
ジュン「真紅が紛らわしいことをしていたからだろ!
  大体、大人しく警察で事情をゆっくり説明すれば誤解も解けたはずだ!」
真紅「いや、でも…だってほら、私達って前科(※)あるし…」
※三馬鹿は有栖川病院に松明もって押しかけて騒ぎを起こしたために警察に捕まった事がある。
  なお、アリスゲームの一環で合法だと言い張ったが『そんなんが合法なわけねーだろ』と一蹴された。
988 :
  真紅が逃げ出してしまったのも仕方が無いことと言えるですね」
雛苺「うぃ! 罪を憎んで人を憎まずなのー!」
ジュン「あのなぁ…。大体、お前ら目立つ格好してる上に…以前の補導で人相も完全に警察に覚えられてるんだぞ」
真紅「?」
ジュン「いわゆるブラックリストってヤツだ! すぐにでも昨晩の警察官がそのリストを参照して
  ドブ川で逃げ出したのが真紅だということが判明するに決まっている!」
真紅「えええっ!?」
ジュン「警察の捜査力をなめるなよ真紅」
真紅「どどどど、どうしよう!? 国外…いえ、nのフィールドに逃亡するしかない!?」
ジュン「ダアホ! だから、これ以上、悪あがきするな! 素直に謝りに行くんだよ!」
真紅「私、何も悪いことしてないのに!?」
ジュン「逃げ出しただろうが」
真紅「いや、でも! だから、それは…」
ジュン「それを警察署でも説明しなくちゃ、完全に犯罪者扱いされる可能性もあるってことだ。
  前回も誤解だとは言え、あやうく病院への放火未遂犯として検挙されかけてたんだ。
  病院狙いでの放火とか、鬼気迫る青春時代のシーザ?・ツェペリでもやっとらんわ」
真紅「あわわわわわ…」ガクブル
ジュン「ほら、僕も一緒に行くから。そう怯えなくても大丈夫だって。
  前の病院の時みたいに話せば分かってくれるはずだ」
真紅「ほ、本当?」
ジュン「本当本当。それじゃあ早いとこ出発するぞ。警察が家にやってくる前に出頭しないと意味ないからな」
真紅「わ、分かったわ」
雛苺「し、真紅! 自首するのー!?」
翠星石「ふ、とうとう奴も年貢の納め時ですか」
真紅「……」
翠星石「まあ、心配するなですぅ。真紅亡き後は翠星石がアリスを引き継いで上手くやっとくですから」
雛苺「みょわわっ! 真紅の次はヒナがアリスの番なのよ!」
ジュン「真紅も僕もすぐ帰ってくるっての。ともかく行こうか、真紅」
真紅「その前に、ちょっと雛苺、こっちへ来なさい」チョイチョイ
雛苺「なぁに?」トテトテ
真紅「……」ギュッ
雛苺「うにゅにゅ? どうしたの真紅ぅ? 急にヒナに抱きついたりしてぇ?」
真紅「薔薇乙女の中で最も勇気があるのはあなただわ。だから、その勇気をもらおうと思って」ギュッ
翠星石「ほうほう。そういうことですか。翠星石も不安になった時は蒼星石を抱きしめたりしたもんですよ。
  一度、やりすぎて蒼星石からローザミスティカを搾り出しちまったこともあったですが」
ジュン「真紅の気持ちは分かるが、時間も無い。もういい加減に出発するぞ」
真紅「…ええ」
雛苺「真紅、あいとあいとなのー!」
翠星石「死なない程度に頑張ってこいですぅ」
真紅「……」コクリ
989 :
翠星石「♪ふーんふーんふふーん」
雛苺「うにゅにゅ、ジュンと真紅はまだまだ帰ってきそうにないのよね」
翠星石「んあ? そりゃそーですよ。今頃、まだ待合室じゃねーのですぅ?」
雛苺「ということは、真紅から託された作戦を実行するのは今しかないの」
翠星石「作戦?」
雛苺「うぃ! さっき真紅に抱きしめられた時に、小さな紙をもらったの! 真紅からの秘密の伝言よ」
翠星石「はぁ? 何でそんな真似を真紅が?」
雛苺「ジュンに知られてはいけないメッセージだったからなのよ」
翠星石「チビ人間に知られちゃマズイ? 何かの悪だくみですか、また?」
雛苺「ジュンがいないうちに、真紅が回収した鉄板台車ファイナルターボ号を綺麗に洗っておくように頼まれたの」
翠星石「んんん? そんなの別にチビ人間に秘密にせずとも…」
雛苺「それだけじゃないの! この紙には、真紅ファイナルターボ号の改造計画案も書かれているの!」
翠星石「な、なんですとー!? ちょっと、それ見せてみろですチビ苺」
雛苺「うぃ!」
翠星石「むむむ! こ、これは…!? あの一瞬の間にここまで緻密な内容の指示書きを?」
雛苺「ヒナだけじゃ、この改造は無理なのよ。でも翠星石が手伝ってくれるなら…」
翠星石「ふーむ。確かにチビ人間がこの内容を知っていたら、改造には反対するですね」
雛苺「ねえねえ! 手伝ってくれるのぉ翠星石ぃ?」
翠星石「翠星石は真紅と違って、こういうDIYは好きじゃあねぇんですが
  この改造計画書には興味をびんびんに惹かれるですぅ」
雛苺「!」
翠星石「やるですよチビ苺! ちょっぱやで仕上げて、帰ってきた真紅やチビ人間の度肝を抜いてやるですぅ」
990 :
トキ「お久しぶりです。槐先生、薔薇水晶さん」
槐「うん。本当に久しぶりだね、トキ」
薔薇水晶「もう動いても大丈夫なのですか? かなりの怪我をしたと聞きましたが」
蒼星石「トキの体調は万全。傷も完治したそうだ」
トキ「はい。蒼星石さんの言うとおりです。ご心配をおかけしました」
槐「それで、元気な顔をわざわざ僕のところにまで見せに来てくれた…わけではないんだろう?」
トキ「はい。勿論、ロゼリオンの件で、ご相談に参りました」
薔薇水晶「そういった話であれば、私達四人だけではなく、真紅や桜田ジュン達も呼ばなくては…」
蒼星石「そうするのが一番いいんだが、先ほど桜田家に電話したところ
  ジュン君と真紅は警察署に出頭するために家を出ているそうだ」
薔薇水晶「ええっ!?」
蒼星石「昨晩、深夜徘徊していた真紅が警察官の職質をふりきって逃げたらしい。
  それを謝るために、ジュン君に連れられて…」
槐「何やってるんだか。本当にアリスになったんだろうね、真紅は?」
蒼星石「棚ボタみたいな感じでしたが…一応はアリスになってます」
薔薇水晶「となると、翠星石と雛苺だけをこの相談の場に呼んでも…」
蒼星石「あまり意味は無いだろうね。それに、二人ともお留守番で忙しいから今日は遊べないとも言っていた」
トキ「遊びではないのですが…」
槐「金糸雀と草笛さんも、今日は郊外にショッピング」
薔薇水晶「水銀燈は柿崎めぐと共に、現在もnのフィールドの片隅で引き篭もったまま」
蒼星石「雪華綺晶は音信不通」
トキ「何だか、タイミングの悪い時にやってきたようで申し訳ありません」
蒼星石「確かに、時の運は悪いがそうも言ってられない。君達、庭師がnのフィールドから
  いつでも自由に、こうして現世に来ることができるわけじゃないんだから」
トキ「そうですね」
薔薇水晶(…そうなのですか? お父様?)
槐(ああ、現世とnのフィールドの間は常に揺らぎがある。その揺らぎが安定している時ぐらいしか
 彼らはこちらに出て来れない。人数も滞在時間も制限されている)
薔薇水晶(なるほど。ですが…)
槐(もちろん例外も沢山ある。その一つが薔薇乙女と僕達だ。僕達はそういった背景をほぼ無視して
 nフィーを行き来できる。夢の扉や、姿見の鏡、圧迫祭りなど、その時々に応じた方法でね)
蒼星石「以前みたいに、僕達側から出向くのもたまにはいいかもしれないが、今はその時じゃない」
トキ「ええ。庭師連盟がローゼンメイデンと頻繁に接触していることが
 現状、ナーバスな関係にある東果やネクロポリタンに把握されるのは面白くありませんから」
991 :
 事情が事情だけに時間も惜しいだろうし。トキ、話を始めてくれないか?」
トキ「はい。持ってきた連絡事項は二つあります」
薔薇水晶「二つ…」
トキ「それぞれ良いお話と悪いお話です。どちらから始めますか?」
槐「いいねぇトキ、その台詞。僕も人生でいつか使ってみたいフレーズだよ」
薔薇水晶「時間がなかったのではないのですか? トキ」
トキ「失礼しました。では、こういう時のお約束どおり『良い話』から始めます」
蒼星石「ああ、頼む」
トキ「東果重工も、渡し守の集いも第三世代ロゼリオンの量産は難航しています」
槐「ふーん、ありがたい話だが意外でもあるな」
薔薇水晶「ノウハウはオズ残党の教皇が公開しているのでしょう?」
蒼星石「東果重工であれば、ちゃちゃちゃっとコピー品を作ってしまうだろうと思っていたけど…」
トキ「いわゆる『野茨の聖釘』の段階までは材料さえ揃えばさほど苦もなく、製造できるようですが
 それを受け容れてロゼリオン化できる人物が全然見つからないようです」
槐「ロゼリオン化に必要なのは、野薔薇やメメントリオンとか、目に見えるものだけじゃあなく
 薔薇乙女に対する漆黒の感情を抱いていることが重要らしいからな」
薔薇水晶「野茨の聖釘を、さらに別の野薔薇に投与するというのは?
   野薔薇は基本的には、その生来からローゼンメイデンを憎んでいるはず…」
トキ「それも試行されているようですが、野茨の聖釘内の野薔薇と
 素体とする野薔薇との間で相互反発作用が生ずるケースがほとんどみたいです」
槐「うーん。そういうものなのか、なるほどねぇ」
トキ「ひとまず、以上が『良い話』です」
992 :
トキ「このように足踏み状態の東果は今、方針転換をして桜田ジュンさんを狙っています」
薔薇水晶「!」
蒼星石「…!」
槐「東果重工もジュン君の体の異状をつきとめているというわけか」
トキ「はい。現時点で所在の判明している生きたロゼリオンはジュンさんだけです。
 たとえ、ロゼリオン化が体のごく一部だけであったとしても東果にとっては魅力的です」
蒼星石「それは確かに悪い話だ」
薔薇水晶「しかし、東果重工も自由にこちら側へは出て来れないのでは?」
槐「そうだ。しかし、nのフィールドにいてもジュン君に干渉することはできる」
薔薇水晶「…心の樹、ですか」
トキ「はい。東果重工は桜田ジュンさんの心の樹を調査対象にしています。
 特に、ジュンさんがロゼリオン化して以降に発生した『二つの実』に注目して」
蒼星石「あれを…」
薔薇水晶「二人目の鳥海皆人が最期に私達に教えてくれた…
   桜田ジュンの心の樹にできている二つの林檎のような実ですね。しかし、あれは…」
蒼星石「僕や槐先生の調べでも、あの実の正体やロゼリオンとの関連性はまだ不明な点だらけだ」
槐「ジュン君の体内で、ロゼリオン化部位が腫瘍に近い性質を持っていることから
 心の樹の方のそれも、『実』というよりは『虫瘤』のようなものと考えてはいるが…」
薔薇水晶「むしこぶ…?」
蒼星石「うん。植物は虫に食われり、卵を産み付けられたりすると
  その部分が奇妙な形に膨れ上がったりすることがある。それが虫瘤だ」
槐「正直、東果重工がその実を手に入れたところで、第三世代ロゼリオンのヒントになるとも思えない」
トキ「そう言って諦めるような手合いでもありません」
薔薇水晶「だったら何か対策をとらなくては。このままでは心の樹が…! 東果重工は手荒いですよ」
トキ「勿論、既に庭師連盟から庭師が数名、桜田ジュンさんの心の樹の護衛に派遣されています。
 心の樹を守るというのは、そもそもの庭師連盟の活動方針の基本でもあります」
槐「nフィー側でそういう動きがあったとは知らなかったな」
トキ「こちらとしても皆様に経緯を説明しないまま、このような状況となってしまいました。
 特にジュンさんの心の樹に対する環境が激変しつつあることだけは伝えたいと思って、今日は…」
蒼星石「ジュン君も驚くだろうね」
薔薇水晶「しかし東果重工が、そこまで桜田ジュンに対する強引なアプローチをしようというのなら
   庭師連盟に守ってもらうだけでなく、薔薇乙女側からも制裁を加えたほうがいいのでは?」
槐「第一次ロゼリオン崩しの時のようにか。しかし、今回の問題は
 ジュン君のロゼリオン化が解除できなければ、根本的な解決にはいたらないだろう」
トキ「ロゼリオン崩し、あるいは此岸島の時も、その時の争いの焦点である
 ロゼリオン工場やワタハミそのものを消滅させることで事態を沈静化させましたが」
蒼星石「流石にジュン君の心の樹を消滅させることはできないからね。
  例の樹の実も、試しに刈り取ってみたことがあるが、すぐにまた樹に実が再生した」
薔薇水晶「……」
993 :
 槐先生の方で進められている、ロゼリオン化解除の試験はどのようになっています?」
槐「うーん、あんまり芳しくない。輸血や薬膳、湯治なんかも試してみてはいるが
 ジュン君に変化なしだ。そして、彼の健康状態への異状はまだ起きていない」
薔薇水晶「庭師連盟でもロゼリオン化解除薬の研究はしているはずですよね? そちらは?」
トキ「こちらも進捗はありません。ただ、ロゼリオンに対する切り札として
 ロゼリオンキラーとも呼べる庭師道具の開発計画が持ち上がっています」
蒼星石「ロゼリオンキラー?」
薔薇水晶「ロゼリオン相手に特に有効な庭師道具…ということですか?」
トキ「はい」
槐「どういう原理で、そういうものができるというんだ?」
トキ「ロゼリオン化解除薬の開発のために、ロゼリオン…野薔薇あるいはメメントリオンの
 忌避物質などの研究を行ってきました。その中でいくつかの候補が上がってきています」
槐「ロゼリオンが嫌がる物質か。僕も探索はしていたが、これといったものは見つからなかったな」
トキ「その中の一つに『サクラダイト』という、いわゆるレアメタルの一種があります」
蒼星石「サクラダイト…?」
薔薇水晶「知っているのですか蒼星石?」
蒼星石「うん、名前だけは昔から知っている。けど、最近にもどこかで聞いたことがあるような、ないような…」
槐「僕も名前ぐらいしか聞いたことがないが、nのフィールドで産出する鉱物か?」
トキ「はい。現世でも僅かではあるが存在しているようですが
 鉱脈として採取環境が整っているのは、全てnのフィールド内にあります」
薔薇水晶「採取場まで整備されているのですか」
トキ「しかし、ここで一つ大きな問題が」
蒼星石「大きな問題?」
994 :
蒼星石「東果が!? なんで、また、そんな?」
トキ「昔から東果はサクラダイトを製品原材料に使ってきていました。
 特に彼らが推進している星幽炉の建設にはサクラダイトが必須だったようです」
薔薇水晶「ロゼリオン計画とは関係なく、サクラダイト発掘は東果の伝統だったというわけですか」
槐「そのサクラダイトに対ロゼリオン効果があるかもしれないとはねぇ…、偶然ってのは恐ろしい」
蒼星石「東果重工は、そのことを…?」
トキ「ええ、勿論知っていました。さらに、それを他の勢力に悟られないようにもしていました。
 そして、その上で自分達だけでサクラダイトを使用した対ロゼリオン装備も開発していたのです。
 それも第一次ロゼリオン抗争時には既に試作まで始めていた」
蒼星石「そんなに前から!?」
槐「ロゼリオンは当初、庭師連盟に対抗するために東果重工、オズ教団、渡し守の集いが
 共同生産していたものだったが、その中で東果だけがさらにロゼリオンキラーも並行して準備していたのか」
薔薇水晶「彼らの皮算用では、庭師連盟亡き後にお互いでロゼリオン同士を用いた闘争を考えていた、と?」
トキ「そうだと思われます」
蒼星石「確かに自分達だけロゼリオン対策ができていれば、その状況下では優位に立てる。
  実際は薔薇水晶の言うとおり、今はまだ、ただの皮算用の状態だが
  今度は第三世代ロゼリオンをどの勢力も持つ可能性だって出てきている」
トキ「私達としては何とかしてサクラダイトを入手して
 それを庭師道具の材料の合金に混ぜ込みたいと考えています」
槐「しかし、それもそう簡単ではないのだろう」
トキ「はい。とにかく東果は自爆が大好きで、自らの情報や機密が漏えいしそうになると…
 それはもうボカンボカンと。サクラダイトも使い方を間違えると爆発しやすいそうです」
槐「爆発する…て、なんちゅーレアメタルだ」
トキ「東果から簡単に手に入る製品にはサクラダイトが使われていたとしても、極微量ですので
 そこから庭師道具用に抽出するというのも現実的ではありません」
995 :
薔薇水晶「それは今に言っても仕方が無いことでは蒼星石?」
蒼星石「それはそうだけど」
トキ「仕方ないついでに言えば、実はもう一つ、相応量のサクラダイトを入手できる大きなチャンスがありました」
槐「?」
トキ「星幽祭の時のエデンギアです。あのエデンギアには対ロゼリオン戦も想定されていて
 装甲や武装に、かなりの量のサクラダイトが使われていたそうです」
薔薇水晶「そのエデンギアも派手に爆発したはずでは?」
蒼星石「いや! あの時は金糸雀がエデンギアのエネルギーをかなり使っていたから
  自爆も中途半端だった。残骸がかなり出ていたはずだ」
槐「しかし、それも暴走事故原因究明のために東果が全部回収したんだろう?」
トキ「はい。最近になってこの事実に気付いた我々が星幽祭をやった場所に
 少しでも未回収の残骸がないかと、かなり力を入れて探し回ったのですが…」
996 :
 ジュン君のロゼリオン化解除の重要性もさらに増してきたというところか」
薔薇水晶「そしてその解決に役立つと思われるサクラダイトは、現状では東果が独占している」
蒼星石「彼らがジュン君のロゼリオン化を戻すためにサクラダイトを使うとは到底思えない」
トキ「現世、つまりこちらの世界のサクラダイトを探そうという案も出ています」
槐「そりゃ、こちら側は東果の影響は無いからねぇ。けど、そもそもこちらにはサクラダイトに対する見識が無い」
トキ「サクラダイトレーダーというものがあります。これをお渡しします」
槐「お渡しします…て、何? 僕達に探させる気なの?」
トキ「はい。私どもがお願いできるのは槐先生だけですから。
 それに槐先生としてもサクラダイトには興味がおありのはず」
槐「まあ、ジュン君のロゼリオンを治すのに有用だってことなら、是が非でも欲しい」
トキ「交渉成立ということでよろしいですね」
槐「そうなるかな」
トキ「では、私はそろそろ戻らねばならない時間ですので、これで失礼します」シュタッ
槐「トキ君もお疲れさま。次いつ来るのかは分からないけど、その時にはこっちも良い話ができるよう頑張るよ」
薔薇水晶「完治したとは言え、無理は禁物ですよトキ」
トキ「はい、ありがとうございます」
蒼星石「カズキさん達にもよろしくね」
トキ「分かりました。では、また。世界樹の加護があらんことを」
997 :
薔薇水晶「簡単に見つかるものでしょうか? サクラダイト?」
蒼星石「このドラゴンレーダーみたいな機械を持って地道に探し回るしかないのかな」
薔薇水晶「この世界のどこにあるか分からない物を…ですか?」
槐「砂漠に落とした針を探すような話だね。だが、アリスゲームでアリスを求めるのも
 それと変わらない大変さだったはずだ。けれども君達はそれをやり遂げた」
蒼星石「そのアリスゲームの結晶が今日、警察に自分の素行を謝りに行ってますけどね…」
薔薇水晶「そう言えば、ひょっとして真紅も桜田ジュンももう自宅に戻っているのではないですか?」
蒼星石「ん? それもそうか。よし、僕はこれから帰りがてら桜田家によってみる」
薔薇水晶「私もご一緒します蒼星石」
槐「僕は遠慮する。君達二人で充分に今日の説明はできるだろう?
 これから、うちにある資料を再読してサクラダイトのありそうな場所に見当をつけてみたい」
蒼星石「そうですか、お願いします槐先生」
薔薇水晶「では、行ってきます。お父様」
998 :
蒼星石「槐先生が上手くサクラダイトの在り処を見つけてくれるといいんだけど。
  さっきはああ言ったが、レーダーで地道に探すのは大変すぎる」
薔薇水晶「ええ、そこらでタクシーを拾うようにはいきませんものね…」
レーダー「ビーーー! ビーーーー!!」
蒼星石「ッ!?」
薔薇水晶「そ、蒼星石!? これは?」
蒼星石「レ、レーダーに反応ありだ! サクラダイトがすぐ近くに!?」
薔薇水晶「そ、そんな? 本当ですか? こんな、いきなり?」
蒼星石「い、いや! それだけじゃあない。どんどん近づいてくる! 移動している! このサクラダイト反応は!」
薔薇水晶「なんですって?」
蒼星石「もうすぐ、そこの曲がり角から僕達のいる路地に入ってくる!
  薔薇水晶、注意を。何がやってくるのか皆目、見当も付かない!」
薔薇水晶「はい!」
蒼星石「…来るよ!」
999 :
   、_/ /  ̄`ヽ}
      ,》@ i(从_从))
    ||ヽ|| ^ω^ノ 
     __,,ゝ┼─┼====┐.
     | □|  .| |:|ヾ二二二二二(O
   _____|__,|_;||___,| |:|ル-┬─┘
  |ヌ///  / ~~|ミ|丘百~((==___
 .└┼-┴─┴───┴──┐~~'''''-ゝ-┤
  ((◎)~~~O~~~~~O~~(◎))三)──)三) 
  ..ゝ(◎)(◎)(◎)(◎) (◎)ノ三ノ──ノ三ノ ズゴゴゴゴゴゴ
 ~~~~~~~~~~
蒼星石「え!? せ、戦車…ッッ!?」
薔薇水晶「しかも、乗っているのは真紅…ですか?」
       .ィ/~~~' 、
    、_/ /  ̄`ヽ} ふふふ グーテンターク薔薇水晶
      ,》@ i(从_从)) それに蒼星石までここにいるとは偶然ね
     ||ヽ|| ^ω^ノ 
      __,,ゝ┼─┼====┐.
      | □|  .| |:|ヾ二二二二二(O
   _____|__,|_;||___,| |:|ル-┬─┘
  |ヌ///  / ~~|ミ|丘百~((==___
  .└┼-┴─┴───┴──┐~~'''''-ゝ-┤
  ((◎)~~~O~~~~~O~~(◎))三)──)三) 
  ..ゝ(◎)(◎)(◎)(◎) (◎)ノ三ノ──ノ三ノ ピタリ
4 :
真紅「何でも聞いて頂戴。あ、でも、この真紅ファイナルターボ号Mk2のスペックはマル秘だからね」
薔薇水晶「そもそも何故、真紅が戦車に…?」
真紅「戦車道は乙女の嗜み。アリスを超越した私としては戦車ぐらい自らの手足のごとく扱えて当然」
蒼星石「いやいやいや…」
レーダー「ビー! ビーーー!!」
真紅「何それ? 防犯ブザー? うるさいわね」
蒼星石「あ、ごめん、これはちょっと特殊なレーダーで。スイッチが入れっぱなしだった。
  それはそうと…間違いない! この戦車から強くサクラダイト反応が出ている」
薔薇水晶「一体…どういうことなのです? この戦車、何か特別な素材を?」
真紅「お目が高いわね二人とも。そう、この戦車は外装に鉄板を約100kgも豪勢に使用している」
蒼星石(戦車で100kgってのは少ないと思うけど…)
薔薇水晶(見た目だけゴツくて、実質はただのハリボテ車に近いですね)
5 :
雛苺「それ作ったのはヒナ達なのに、一人だけで乗って行っちゃうなんてひどいのー」ダダダッ
蒼星石「翠星石、雛苺…」
真紅「後を追ってくるなんて、しつこいわね。だってしょうがないじゃない、この戦車は一人乗りだもの」
薔薇水晶「真紅、この戦車に使っているという鉄板、どこから調達したのです?」
真紅「え?」
翠星石「むむ? そういえば翠星石も地味に気になっていたですよ。これだけの結構な量の鉄板
  ご近所の工事現場や排水溝から盗んだりすればニュースになってるはずです」
真紅「これ、アレよ。ほら、星幽祭で爆発したエデンギアの残骸」
蒼星石「なっ!?」
薔薇水晶「やはり…庭師連盟が未回収品を探すよりも先に真紅がそれを」
真紅「ただの鉄クズであろうとも、この真紅ちゃんの手にかかれば
  ここまで立派な戦車に生まれ変わるのだわ。私を『鋼の匠』と呼びなさい」
翠星石「戦車に改造したのは翠星石達ですってば真紅」
雛苺「そうなのそうなのー!」
真紅「私の指示書に従っただけでしょ、あなた達は」
翠星石「ぬううっ!?」
6 :
真紅「…?」
翠星石「何のことです? 蒼星石?」
薔薇水晶「少し話は複雑なのですが聞いてもらえますか」
雛苺「ヒナ、難しい話は苦手なのよ」
翠星石「翠星石もですぅ。紙芝居とかで面白おかしく説明してほしいですね」
薔薇水晶「そ、そこまでは無理ですが、できるだけ分かりやすく説明しますので聞いてください」
真紅「手短にね。私もまだ、この戦車の試運転を続けなくちゃいけないし」
7 :
翠星石「ほへぇ?。つまりチビ人間の治療に、この戦車の鉄板に含まれているサクラダイトが必要だってことですか?」
蒼星石「うん。この鉄板を庭師連盟に提供して作ってもらえる庭師道具を使えば
  ジュン君の心の樹からのアプローチでロゼリオン治療も可能になるかもしれない」
       .ィ/~~~' 、
   、_/ /  ̄`ヽ}
      ,》@ i(从_从)) 
    ||ヽ|| ^ω^ノ ……
     __,,ゝ┼─┼====┐.
     | □|  .| |:|ヾ二二二二二(O
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  ((◎)~~~O~~~~~O~~(◎))三)──)三) 
  ..ゝ(◎)(◎)(◎)(◎) (◎)ノ三ノ──ノ三ノ
8 :
蒼星石「そうだね。それじゃあ真紅、悪いけどその戦車を…」
       .ィ/~~~' 、
   、_/ /  ̄`ヽ}
      ,》@ i(从_从)) 
    ||ヽ|| ^ω^ノ ……
     __,,ゝ┼─┼====┐.
     | □|  .| |:|ヾ二二二二二(O
   _____|__,|_;||___,| |:|ル-┬─┘
  |ヌ///  / ~~|ミ|丘百~((==___
 .└┼-┴─┴───┴──┐~~'''''-ゝ-┤
  ((◎)~~~O~~~~~O~~(◎))三)──)三) 
  ..ゝ(◎)(◎)(◎)(◎) (◎)ノ三ノ──ノ三ノ ブボボボボボ
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めっちゃイケメンな牛いたwwwwwwwwwwwwwwwwwwww

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