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毛利蘭「マッハ突き……!?」


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1:
米花町 ───
克巳「ったくゥ〜……」
克巳「母さんへの誕生日プレゼントくらい、自分で選べばいいだろ?」
克巳「二十過ぎた男と五十過ぎた男が並んでても絵にならないぜ……親父」
独歩「つべこべ言うねェ。たまには親孝行したってバチは当たらねェって」
克巳「しかも……なんでわざわざ米花町まで来たんだい?」
克巳「プレゼント買うだけなら、近くにもデパートがあるだろうに」
独歩「どこで買おうが俺の自由だろうが」
克巳「とかなんとかいって……」
克巳「万が一にも、プレゼント買ってるところを弟子に見られたくないからだろ?」
独歩「口の減らねェ息子だ……」フンッ…
独歩「──お?」
元スレ
ニュース報(VIP)@2
毛利蘭「マッハ突き……!?」
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8:
蘭「もう……放して下さい!」
チンピラ「いいじゃねェかよ、なァ」ガシッ
チンピラ「茶の一杯や二杯、付き合ってくれたっていいだろォ?」
蘭「…………」
独歩「だれも助けようとしねェ……。世知辛い世の中になったもんだぜ」
克巳「手助けするかい?」
独歩「イヤ……必要ねェだろ。あの姉ちゃん、かなりヤルぜ」
10:
蘭「アアアアア……!」コォォ…
チンピラ「?」
ビュアッ!
次の瞬間、蘭の足刀がチンピラの顔面に寸止めされていた。
チンピラ「ヒ……ッ!」
蘭「まだ絡んでくるっていうなら……今度は容赦しないわよ!」
チンピラ「ひっ、ひえぇ〜っ!」タタタッ…
独歩「ヒュウ〜、ほらな」
克巳「みごとな上段足刀だ。親父よりキレがいいんじゃない?」
独歩「ま、俺なら当ててたけどな」
克巳「そしたら、また警察のお世話になっちまうよ……」
12:
独歩「なァ、克巳よ」
克巳「なんだい?」
独歩「ちィと予定変更して、ちょいとナンパといかねェか」ズイッ
克巳「オイオイ、まさか……」
克巳が静止する間もなく、蘭に話しかける独歩。
独歩「よう、姉ちゃん」
蘭「はい?」クルッ
蘭「!」ハッ
蘭(え……ウソ……。この人ってもしかして、神心会の愚地先生じゃない!?)
16:
克巳「親父、なにやってんだよ……」
蘭(あっ、この人は愚地克巳館長!? ウッソ〜、どうして私なんかに!?)
蘭も空手道に生きる人間として、愚地独歩と愚地克巳の名は耳にしている。
独歩「なぁ、姉ちゃん」
独歩「さっきの蹴り……みごとだったぜェ。手本にしたいくれェだ」
蘭(さっきの……見られてたんだ)ポッ…
独歩「どうだい、ちょいと話をしたいんだが……時間、もらえるかい?」
蘭(今日はもう帰るだけだったし……まだ夕ご飯までには時間があるし……)
蘭「かまいませんけど……」
独歩「よっしゃ、じゃああっちの喫茶店でお茶でもしようや」
克巳(やれやれ……惚れちまったな、親父)
17:
喫茶店 ───
独歩「ほぉう、関東大会で優勝とは……大したもんだ」
克巳「どうりで、あんな蹴りを放てるワケだ」
蘭「いえ……お二人に比べたら、全然ですよ」
蘭「ところで、お話しというのは……?」
独歩「オウ、単刀直入にいわせてもらうぜ」
独歩「どうだい、神心会(ウチ)でチョット空手をやってみる気はねェか?」
蘭「!」
19:
蘭「神心会に……入門しろってことですか?」
蘭「でも私……部活もあるし、家のこともあるし……これ以上は──」
独歩「なに、今の部活を辞めろとか、毎週道場に通えとかいってるんじゃねェ」
独歩「極端なハナシ、お前さんが来たい時にだけ来てくれりゃいいんだ」
蘭「えぇっ!?」
独歩「俺にこれぐらいのこといわせる価値を、お前さんは持ってる」
蘭(神の拳っていわれる愚地先生が、ここまでいって下さるなんて……)
蘭(でも……)
20:
蘭「申し訳ないんですけど、お金が……」
独歩「こっちからムリいってんだ。銭なんて取らねェよ」
蘭「えっ……!」
独歩「どうだい……?」
克巳「その辺にしとけよ、親父」
克巳「なにも今、この場で決めなきゃならないってこともないだろ?」
独歩「ン……わりィな。年甲斐もなく、ついはしゃいじまった」
23:
克巳「毛利君」
蘭「はい」
克巳「俺もこの人も、空手界じゃ多少は名が知れてる方だと自負してる」
克巳「こと空手に関する眼は、たしかなつもりだ」
蘭(名が知れてるどころか……知らない人なんていないわよ……)
克巳「そして俺も親父も──君の持つ才能に惚れちまった」
克巳「実は今度の日曜日、ウチの本部道場で黒帯研究会があるんだ」
克巳「よかったら、ぜひ来てくれ。これ、名刺」スッ…
蘭「……は、はいっ!」
25:
克巳「それじゃあ、代金は払っておくから」
克巳「足止めしてワルかったね」
独歩「すまなかったな」
蘭「こちらこそ、私なんかのために……ありがとうございます!」
喫茶店を出た二人──
克巳「強引なんだから、親父は……」
独歩「どうだい、あの毛利って姉ちゃん、来ると思うかい?」
克巳「どうだろ……」
克巳「あの年頃の女の子は、俺らとちがって空手以外に沢山やることあるからなァ」
27:
前々から興味あったんだけど
蘭がキック力増強シューズ使ったらどうなるの
29:
>>27
足が千切れて空の彼方へ飛んでいくんじゃね?
28:
喫茶店に一人残った蘭──
蘭「…………」
蘭(たしかに最近、スランプってわけじゃないけど……)
蘭(なんというか、伸び悩んでたのよね……空手)
蘭(しかも、あの二人が直接私を誘ってくれるなんて……)
蘭(せっかくのチャンスだし……一度おジャマしてみようかな、神心会……)
32:
次の日曜日──
毛利探偵事務所 ───
蘭「コナン君、ちょっと出かけてくるね」
コナン「どこ行くの、蘭姉ちゃん? 今日は部活はないっていってなかった?」
蘭「神心会の本部道場……っていってもコナン君は分からないよね」
蘭「とにかく、今日は空手の稽古だから!」
コナン「行ってらっしゃ〜い!」
コナン(神心会っていや……たしか、日本で一番規模の大きい空手団体だよな)
コナン(オイオイ、蘭のヤツ、これ以上強くなる気かよ……)
33:
神心会本部 ───
蘭「こんにちは、克巳先生!」
克巳「!」
克巳「オォ〜、毛利君じゃないか!」
克巳(まさか、来てくれるとは……話をしてみるもんだな)
蘭「今日はよろしくお願いします!」
克巳「こちらこそ」
克巳「今日は男ばっかでムサいと思うけど、気楽にやってくれ」
克巳「少なくとも、稽古で女の子に下心を持つようなヤツはいないから」
蘭「はいっ!」
34:
克巳「本日の黒帯研究会は、この毛利君が特別に参加する」
克巳「まだ高校生だが、空手の腕は俺と父のお墨付きだ」
克巳「みんな、よろしく頼む」
「 オ オ オ オ オ オ ス ッ ッ ッ ! ! ! 」
蘭(うわ、すっごい気迫……)ビリビリ…
蘭(それに、末堂選手に寺田選手に、崎村選手……有名な人ばかりじゃない!)
蘭(サインください……なんていったらマズイよね)
蘭(今日は勉強させてもらおうっと)
39:
神心会『黒帯研究会』は、実戦的に空手の研究を行う会である。
克巳「今日は対凶器の研究を行う」
克巳「拳と凶器──もちろん、普通に考えたら凶器の方が強い」
克巳「しかし、凶器を普段から扱いなれている人間など、ほとんどいない」
克巳「いうなれば“日本刀を持った素人”……」
克巳「一方の我々は、拳足を日常のように振るっている」
克巳「いうなれば“斧を持った職人”……」
克巳「日本刀と斧、武器としての性能に特化しているのはもちろん日本刀だが──」
克巳「日本刀を持った素人と、斧を持った職人がもし立ち合ったなら」
克巳「斧を持った職人にも、十分勝ち目がある」
蘭(そうよね……私だって武器を持った相手を倒したことあるもの)
42:
研究会は続き──
克巳「毛利君、せっかく来たんだ。対刃物──挑戦してみるかい?」
蘭「えっ、私がですか!?」
克巳「俺が持っている匕首を蹴り飛ばして、こないだのように俺に足刀を放ってくれ」
蘭「オス……やってみます!」
ザッ……!
蘭(相手は私よりずっと格上……手加減はむしろ失礼に当たっちゃうわ)
蘭(なら……本気で!)
蘭「セイヤァ!」
パキンッ!
鮮やかな足さばきで、克巳の匕首を蹴り飛ばす蘭。
43:
さらに──
ガッ!
足刀を放つが、さすがにこれは克巳の左腕にガードされた。
オォ〜……!
克巳(やはりこの娘……ホンモノだ)
克巳(空手がウマイってだけじゃない……実戦を体験してる動きだ……!)
克巳「よかったよ、毛利君」
蘭「オス……こちらこそ、ありがとうございました!」
46:
研究会が終わり──
蘭「今日はありがとうございました、克巳先生」
克巳「我々こそ、勉強させてもらったよ」
克巳「今日は男ばかりだったけど、ウチには女子部もあるし、また気軽に寄ってくれよ」
克巳「君が受付で名前をいえば、稽古に参加できるようにしとくから」
蘭「はい!」
克巳「ところで……君はむやみにケンカをするタイプには見えないが──」
克巳「ずいぶん“実戦慣れ”しているように見受けられる」
克巳「どうしてだ?」
47:
蘭「実は……父が探偵をやってまして……」
克巳(父親が、探偵……? 毛利……)ハッ
克巳「そうか、君のお父さんはあの有名な“眠りの小五郎”かッ!」
蘭「はい」
克巳「ナルホド……」
克巳「お父さんの仕事を手伝う時に、犯人と格闘することもあるってことか」
蘭「ええ、そうなんです」
克巳(どうりでウチの門下生と比べても、凶器や実戦に慣れているワケだ)
克巳(それに、毛利小五郎も柔道の達人と聞いたことがある……)
克巳(この娘もまた、俺や範馬刃牙と同じく“強き父を持つ子”だってことか)
こうして、蘭の神心会空手体験は終わった。
48:
それからというもの──
井上「強いわね〜、毛利さん。とてもかなわないわ」
蘭「いえ、井上先輩こそ……すごい回し蹴りでした!」

蘭「あの、サイン……いただけないでしょうか?」
末堂「え、かまわねェけど……」
加藤「へっ、有名人は辛いなァ、末堂?」

独歩「どれ……ちょいと稽古をつけてやろうか」
蘭「いいんですか!?」
蘭は時間の許す限り、神心会の門をくぐった。
49:
そして、稽古の成果はというと──
犯人「くそっ、こうなったらボウガンで……!」サッ
コナン「(やべえ!)蘭姉ちゃん、避けてっ!」
ビュッ!
蘭「かわすまでもないわ!」ブオンッ
パシィッ!
コナン(ボウガンの矢を、弾き飛ばしただと!?)
犯人「バ、バカな!?」
蘭「愚地先生直伝……廻し受け、よ」スゥッ…
蘭「デヤァッ!」ビュオッ
バキィッ!
犯人「ぐええっ……!」ドサッ
コナン(蘭のヤツ、この数週間でとてつもなく強くなってやがる……!)
50:
そんなある日の夜──
神心会本部 ───
蘭(忘れ物しちゃった……)
蘭「えぇ〜と、女子部の道場はどこだったっけ……」キョロキョロ…
パンッ…… パンッ…… パンッ……
蘭「なにかしら、この音?」
パンッ! パンッ! パンッ!
蘭(この部屋から聞こえてくる……)
ガチャッ……
53:
ドアを開けると、一人で黙々と左拳を振るう克巳の姿があった。
蘭「克巳先生!」
克巳「お、毛利君か」
蘭「すみません、稽古のおジャマをしてしまって……」
克巳「ハハ、かまわないよ。おおかた、この“パンッ”て音が気になったんだろう?」
克巳「名探偵の娘さんとしては、気になるのは当然だよな」
蘭「名探偵だなんて……。でも、いったいなんの音だったんですか?」
克巳「ン〜……ま、探偵に犯行を突き止められた犯人は、白状する義務がある、か」
克巳「あれは、俺の拳のスピードが音の壁を超えたことによって生じた破裂音だ」
蘭「拳が……音の壁を……!?」
克巳「俺の必殺技“マッハ突き”だ」
蘭「マッハ突き……!?」
55:
克巳「正拳突きの際に使用する関節を、同時加させることで」
克巳「拳は音を生み出すことができる」
克巳「さらに、想像(イメージ)で関節の数を増やすことで、度はさらにハネ上がる」
蘭(そんなことができるなんて……)
蘭「でも、音を超えた正拳なんて、拳もただじゃ済まないんじゃ──」
克巳「おっしゃるとおり。さすがの名推理だ」
蘭「!」ハッ
蘭「克巳先生のなくなった右腕って、もしかして……」
克巳「そう……。“俺だけのマッハ突き”を完成させた代償に肉が弾け飛び──」
克巳「ダチにプレゼントしちまった」
蘭「…………」ゴクッ…
58:
克巳「おっと……しゃべりすぎた」
克巳「武道家ってのは結局自分が一番大事だからな……これ以上はナイショにしとこう」
克巳「あとついでに、これは師匠としていっておくが」
克巳「マッハ突きは、自分にも危険な技だ」
克巳「もし、到達できたとしても……使用(つか)うのはやめておきなさい」
克巳「君のような、未来ある女学生ならなおさらだ」
蘭「は……はいっ!」
蘭「どうもありがとうございましたっ!」
バタンッ……
克巳(あの娘なら……もしかすると、もしかするかもな)
59:
帰り道──
蘭「セイッ!」
ブンッ!
蘭(この拳が音よりく……? とても信じられない……)
蘭(仮に打てたとしても、私の手が使いものにならなくなる……)
蘭(私には克巳先生のように、体のどこかを失うなんて覚悟、とてもない……)
蘭(でも……なんだろ)
蘭(私……マッハ突きを……目指してみたくなってる……)
蘭(どうしちゃったんだろ、私……)
61:
毛利探偵事務所 ───
蘭「ねえ、コナン君」
コナン「なぁに、蘭姉ちゃん?」
蘭「空手の正拳突きが、音よりくなるなんて可能だと思う?」
コナン「できるわけないじゃない、そんなの」
コナン「だって、格闘技で一番いとされるボクサーのパンチだって」
コナン「せいぜい時30km程度なんだよ?」
コナン「一方、音は時1225km。40倍もちがうんだから」
蘭「そうよねえ……」
63:
蘭「じゃあ……コナン君」
コナン「なに?」
蘭「関節をイメージで増やすなんてこと、できると思う?」
コナン「できるわけないよ」
コナン「さっきからなにいってるんだよ、蘭姉ちゃん」
蘭「ご、ごめん……きっと私、疲れてるのね」
コナン(オイオイ、音よりい拳とか、関節を増やすとか、いきなりどうしたんだ?)
コナン(大丈夫か、蘭のヤツ……。空手のやりすぎなんじゃねえか?)
64:
蘭(コナン君のいうとおりだわ……できるわけないよね)
蘭(新一に聞いてもきっと──)
新一『拳が音を? 無理に決まってんだろ! 漫画の読みすぎだっての!』
新一『バーロ……イメージで関節を増やすなんて、できるわけねーだろ?』
蘭(──って、アイツのことだからバカにするに決まってるわ)
蘭(なんか……想像しただけで腹立ってきたわ)ムカッ…
65:
蘭(自分だって、推理小説の読みすぎじゃないのよ!)
蘭(あの推理オタク、どこをほっつき歩いてるんだか……)
蘭「!」ハッ
蘭(今、私……想像で勝手に新一に話をさせて、想像に勝手に怒って……)
蘭(もしかして想像って、ものすごい力を秘めてるんじゃ……)
蘭(もし……この想像力を高めることができたら──)
蘭(私にもマッハ突き、できるかもしれない!)
67:
この日から、蘭はイメージで自分の関節を増やす稽古に没頭した。
蘭(関節、関節、関節……)
小五郎「蘭、ビール買ってきてくれよぉ〜……なくなっちまったよぉ〜……」ウイ〜…
蘭「ジャマしないでよ、お父さん! 今いいところだったのに!」
小五郎「な、なんだぁ!?」ビクッ

蘭(関節、関節、関節……)
園子「ちょっと蘭、どうしたのよ。さっきからボケッとして」
蘭「あ、ゴメン、園子……。ちょっと関節をね……」
園子「へ?」
そして──
68:
パンッ!
蘭「う、打てた……」シュウウ…
蘭(今の音──あの夜に聞いた音と同じ!)
蘭(私の正拳が、ついに音の壁を超えたんだわ!)
蘭(そして同時に、“さらに威力を上げる方法”も分かっちゃった……)
蘭(でも、もしそれをやったら──)
蘭(きっと私の腕は……克巳先生のように……)
蘭(もう、マッハ突きのことは忘れた方がいいのかも……)
70:
しかし、武の神様は、飛躍を遂げる彼女に更なるプレゼントを与えた。
蘭(今日はもう寝なくちゃ……疲れが明日に残っちゃう!)
蘭(それじゃ歯を磨いて……)
歯を磨くために、洗面台の前に立つ蘭。
蘭「!」ハッ
蘭(見つけた……)
蘭(私の……私だけのマッハ!!!)
──────
────
──
74:
数日後、神心会での稽古を終えた蘭は、克巳に駅まで送ってもらっていた。
蘭「すみません……。私、オバケとかが苦手で……」
蘭「夜道を一人で歩くのが怖いんです……」
克巳「ハハハ、かまわないよ。いくら空手でも幽霊は倒せないもんな」
克巳「じゃあ、俺はこれで」
蘭「ありがとうございました」ペコッ…
ワァァ……! キャァァ……!
蘭「悲鳴……?」
克巳「この駅で、なにかあったようだな」
76:
人々の悲鳴の原因は、駅内で暴れる凶悪犯であった。
凶悪犯「どりゃあっ!」ブオンッ
バキィッ!
高木「うぐっ……!」ドサッ
小五郎「ぐおっ!」ドザァッ
コナン「高木刑事! おっちゃん!」
コナン(ちくしょう、なんてヤツだ!)
コナン(高木刑事とおっちゃんを倒して)
コナン(俺の麻酔針やサッカーボールまでかわしちまうなんて!)
コナン(もし蘭がいたとしても……この犯人は止められねえかもしれねえ!)
79:
克巳(なんだアイツは……)
克巳(かつての五人の死刑囚にこそ及ばないが──かなりの戦力だ)
克巳(今この場でヤツを制圧できるのは、俺しかいないだろう……)
克巳「毛利君、君は下がって──」
蘭「あの……私にやらせて下さい!」
克巳「しかし……」
蘭「お願いしますっ!」
克巳「……ワカった。毛利君、君に任せる!」
凶悪犯「次はあの小娘だァ!」ドドドッ
蘭「アアアアア……」コォォ…
コナン(蘭!? ──そうか、この駅の近くには神心会本部がある!)
コナン「蘭、逃げろッ! そいつはお前でも敵わねえ!」
80:
凶悪犯「シイッッッ!」ブオッ
蘭「くっ!」サッ
凶悪犯の鋭いパンチを、間一髪でかわす蘭。
克巳(どうする気だ……ッッ)
克巳(拳か!? 足か!? いや、どちらでもない!?)
克巳(毛利君が髪を振りかざした!?)
克巳(ま……まさか……ッッ)
83:
蘭(突きは当てるのではなく、引き戻す瞬間がもっともい……)
蘭(その時に生じる衝撃波を使った一撃こそが──)
蘭(私が到達した極意……“当てない打撃”)
蘭(でも、もし私がこの技を放ったら、きっと私の腕は骨ごと砕け散ってしまう……)
蘭(なら──腕や体で打たなければいいの!)
蘭(私のヘアスタイル……まるでツノのような形になっている部分……)
蘭(“ここ”を使う!)
蘭(この部分に骨があると、関節があると、ツノがあるとイメージして……)
蘭(“当てない打撃”を放つ!)
蘭(これが私だけが掴んだ──私だけのマッハ!!!)ブンッ
パァァァンッ!!!
84:
つのドリル!
87:
凶悪犯「ぐはァ……ッッ」
ドザァッ……!
コナン「す、すげぇ……あの凶悪犯を一撃で……!」
克巳「おみごと……ッッ!」
しかし、蘭の髪型のツノ状になっている部分は、今の一撃で吹き飛んでしまっていた。
蘭(そうだよね……。頭にツノが生えてるわけないよね……)
蘭(魔法が……解けたんだわ)
         < 完 >
88:
89:

面白かった
91:
わろたwwwww
おつ
92:

9

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