桜田ジュンの膨満『料理の恋人』back

桜田ジュンの膨満『料理の恋人』


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794 :
薔薇水晶「先ほどからカルテを眺めつつ唸ってばかり。…芳しくありませんか? 桜田ジュンの容態は?」
槐「いや、良くも悪くもない…と言うよりも『分からない』ってのが正直な感想だよ。
 僕としたことが何とも情けないことだが。ジュン君の検査、診察ばかりを繰り返して…
 薔薇水晶、君の『悶絶診察室! 成すがままの桜田ジュン!』ビデオシリーズがもう六本目になっている」
薔薇水晶「…聞くところによれば、東果重工等が目論んでいる『野茨の聖釘』の量産も
   庭師連盟で取り組んでいる『ロゼリオン解除薬』も…難航しているようです」
槐「そうかぁ。ロゼリオン解除薬には庭師連盟でも苦労している…か。
 それで『野茨の聖釘』があまり順調じゃない理由は?」
薔薇水晶「先ず第一には渡し守の集いが東果へ供給するはずだった材料となるメメントリオンの枯渇」
槐「ごっそりと密漁したものねぇ。お陰で僕は研究用のメメントリオン幼生に困らない」
薔薇水晶「そして、ジワジワと表層化してきている問題が残存野薔薇の強敵化です」
槐「強敵化?」
薔薇水晶「強敵化という言葉は間違いだと思うのですが、現状を把握するには適当なので
   こう言いあらわしています。以前に庭師連盟のナナキさんが語っていたことでもありましたが…
   今の野薔薇達はそうそう簡単に捕まえることができなくなっているそうです」
槐「なるほど。言い方は悪くなってしまうが、過去の野薔薇狩りで
 捕まった野薔薇達は『弱い人形』だったとも言える。残った奴らが『強者』なのは必然」
薔薇水晶「さらに彼女達は警戒もしている。それどころか野薔薇による逆襲を受けたという事例も」
槐「不用意に野薔薇を追い詰めすぎた結果か」
795 :
薔薇水晶「?」
槐「この間に、僕達は目下の問題である桜田ジュンのロゼリオン化の治療に専念できるのだから」
薔薇水晶「何か新たな治療法はあるのですか?」
槐「最初に言ったように、現時点ではジュン君に凶兆は見られていない。
 だから外科的な手術やら思い切った方法は取りたくないし、取る必然性も無い」
薔薇水晶「……」
槐「前回、巻かなかった世界の大きいジュン君から血液を提供してもらって
 それを巻いたジュン君に輸血した。あれは、それなりに効果があったらしく
 その後の診察撮影では彼の喉と心臓にあった指輪状の真紅細胞が縮んでいた」
薔薇水晶「!」
槐「しかし、さらに一週間ほど経った後の再検査では真紅腫瘍の大きさは元に戻っていた」
薔薇水晶「そう…だったのですか」
槐「一度にもっと大量の輸血、あるいは長期間にわたって輸血療法を続ければ
 いいのかもしれないが、それだとどっちのジュン君も体がもたない」
796 :
薔薇水晶「それは?」
槐「一つは薬膳だ。ロゼリオン、メメントリオンともに『食べる』ということが重要なファクターになっている。
 ジュン君の体内の真紅細胞あるいは真紅細胞をジュン君の体内に繋ぎとめているメメントリオン細胞を
 相殺できるようなものを食べさせることで、ジュン君が回復するのではと僕は考えている」
薔薇水晶「食事療法というわけですね。では、もう一つのアプローチは?」
槐「精神世界からのアプローチだ。かつて記憶喪失になった僕の夢世界あるいは
 多数の幻想植物を食べて『王樹』と化したレイキの母の夢世界に入って、処置したようなことをジュン君にも行う」
薔薇水晶「…!」
※詳細は 槐のいい夢・旅気分 と 薔薇乙女のうた『王樹の夢』 を参照
槐「しかし、こっちのやり方は外科手術なみに危険を伴う。
 殊にジュン君の精神は一部がローゼンとリンクしてしまっているような感がある。
 もし、そういった領域に足を踏み入れたりすれば何が起こるか全く予想もつかない」
薔薇水晶「では、やはり先ずは薬膳から始めるべき…ですか」
槐「そういうこと。ただ、まあ悲しいことに何を食べさせれば良いのか見当もつかないんだよね、本当」
薔薇水晶「お父様…」
槐「しかし悩んでいても仕方ない。今の話を真紅達に相談してきてくれないか」
薔薇水晶「分かりました」
797 :
真紅「れでぃーすあ?んどじぇんとるま?ん!
  それでは、これより! 『桜田ジュン回復祈願料理大会』を開催いたしま?す!」
ジュン「…どういうこと?」
翠星石「どういうことも何も、チビ人間のために薔薇乙女総出で料理をするのですよ。もっと喜べですぅ」
蒼星石「他人の好意を無碍にすると一生苦しむことになるよジュン君」
金糸雀「そうよそうよ!」
雪華綺晶「……」
ジュン「いや、僕のためにってのは嬉しいんだけど何でこんな大会風味に? しかも全然、良い予感がしない」
薔薇水晶「すいません桜田ジュン。どうにも私の説明が下手だったようでして」
ジュン「いや、絶対に真紅達のほうが自分達にとって面白おかしくなるように曲解したに違いない」
真紅「そんなことは今更どうでもいいわ! さあ、チャキチャキ進めてくわよ!」
雛苺「出でよ第一のメイデンシェフ(料理の恋人)なのー!」
水銀燈「……」でで?ん
798 :
真紅「見事、ジュンのロゼリオン化を治せたら金一封を渡すと約束したのだわ」
水銀燈「……」
金糸雀「す、水銀燈…」
ジュン「お前…」
雪華綺晶「黒薔薇のお姉様…」
水銀燈「なんとでもお言い」
翠星石(と言うですか、金一封だなんて真紅が出すわけねーと思うですぅ)
799 :
蒼星石「コップに並々と注がれた、銀灰色の謎の液体…?」
ジュン「な、なんだコレは?」
薔薇水晶「水銀…のようですね」
ジュン「なんだとっ!? 水銀ッッ!?」
水銀燈「そのとおりよぉ。古代、秦の始皇帝も不死の薬と崇めて愛飲していたと言われる…」
ジュン「おいおいおいおいおいおいおい! ちょっと待て! 水銀なんて飲めるか! しかもこんな量!」
雪華綺晶「それに始皇帝は水銀中毒で死んだとも言われていますわね」
翠星石「昔の人は怖いもの知らずですぅ」
水銀燈「何よ? うるさいわねぇ、コレさえ飲めばロゼリオン腫瘍だってイチコロよ」
ジュン「僕もイチコロだっつーの」
真紅「それにしても水銀燈、こうも大量の水銀をどこから?」
水銀燈「ひ・み・つ」
金糸雀「うわぁ、どす黒い裏取引の匂いがプンプンするかしら」
800 :
金糸雀「そう? 何か色々考えた挙句、面倒くさくなって適当に選んだ感もするかしら」
水銀燈「…な、何よぉ! だったら金糸雀! アンタは相当こだわったものを用意したっての!?」
金糸雀「もちのろんかしら! 見て驚くなかれ! これよっ!」ドジャァアアアーーン
ジュン「おおっ!? 卵か! それも何と巨大な!」
雛苺「ダチョウさんの卵なのよ!?」
蒼星石「いや、それよりも全然大きい! まさか金糸雀! この卵は!」
金糸雀「おーほっほっほのほー! そうよ蒼星石! そのまさかかしら! ズバリこれはコカトリスの卵!
  その滋養については正に伝説級。ジュンの病も吹っ飛ばしてくれるはずかしら!」
水銀燈「コカトリス!? nのフィールドの凶鳥コカトリスのこと!?」
真紅「以前、私達が束になっても成鳥を仕留めきれなかった、あの!」
雛苺「す、すごいのー! カナどうやって手に入れたのよ、この卵を!」
金糸雀「ふふふ、話せば長くなるけど、これを手に入れるためにカナは聞くも涙、語るも涙の大冒険を…」
薔薇水晶「長くなるなら、その話はいらないです」
金糸雀「ッッ!?」
雪華綺晶「そうですわね。後もつかえてることですし」
金糸雀「いやっ! ちょ…っ! て、手短に話すから聞いてかしら! 本当、いい話だから!」
水銀燈「かったるいわねぇ」
金糸雀「お願い! 後生だから聞いて頂戴! お願いかしらー!」
蒼星石「ダイジェスト風にしてくれたら聞いてあげないこともない」
金糸雀「ほ、本当!? 蒼星石」
ジュン「ま、ダイジェストならな…」
801 :
桜田ジュンのためにコカトリスの卵を獲ることを決意した金糸雀は
かつてのツテ(※)を頼り、nフィーの深海酒場『竜宮城』で仲間を募った!
※金糸雀は竜宮城のぼったくりホストクラブで豪遊してしまい代金代わりにタダ働きをさせられた過去がある
※詳細は真紅とイグアナのすすめを参照
金糸雀「実は、かくかくしかじかと言うわけで…」
酒飲客A「へっ! なぁーにを冗談を抜かしてるんでバーローめぇ。そんなのに協力できるかよ!」
しかし、コカトリスの恐ろしさを熟知しているnフィーの住人達は誰も金糸雀に取り合わない…。
金糸雀「ううう…、なんてことかしら。このままではジュンは…、ジュンは真紅腫瘍に冒されたまま」
酒飲客B「よぉ、何だか面白そうな話が聞こえたぜ? コカトリスがどうとかよ」
金糸雀「あ、あなたは…!?」
802 :
酒飲客B「俺の名はギョセフ…、ギョセフ・サーカナー(魚)だ。ギョギョって呼んでくれ」
金糸雀「ギョ…ギョギョ?」
ギョセフ「こう見えて俺も陸(おか)の危険や冒険に首を突っ込まずにいられない性質でよ。
   金糸雀と言ったな、あんたのコカトリス狩りを手伝ってやってもいいぜ」
金糸雀「あ、ありがとうかしらギョギョ!! でも狩りじゃなくて卵を獲りにいくだけよ」
803 :
ついにコカトリスのねぐらのある魔の森へと歩を進める…ッッ!
しかし、その道程は様々な危険生物や天然のトラップがひしめきあうヘルエッジロードであった!!
ギョセフ「危ないぞ金糸雀! ヴォーパルパンダが上から襲ってくるーーーっ!」
金糸雀「か、かしらーーーーっ!?」
力を合わせ、困難を突破していく二人!
ギョセフ「くっ! 俺としたことがドジっちまったぜ」
金糸雀「待っててかしらギョギョ! すぐにタイムマシンを探してくるから!」
芽生えた絆はやがて…っ!
ギョセフ「金糸雀! 実は俺は一目見た時からお前の姿が瞼から離れないんだ。マグロだから瞼は無いんだけど」
金糸雀「ダ、ダメかしらギョギョ! 今は…、でも、この旅が無事に終わったら、その時…!」
そんな淡い想いを打ち砕くかのように絶望を告げる凶鳥の雄叫びがこだまする!
コカトリス「キョキョーーーーーーンッ!」
金糸雀「いけない! コカトリスの吐くガスを吸い込んではダメよギョギョ!」
ギョギョ「ふっ、残念だがもう手遅れみてぇだ。鰓でガンガンに吸っちまった…」
金糸雀「そんなっ!? ギョギョ! ギョギョーーーーーッ!!」
ギョセフ「どうやら俺も、サーカナー家の男ってことか…。あばよ、金糸雀…」
金糸雀「ギョギョーーーーーーッッ!」
コカトリス「キョッキョーーーーーーンッ!!」
804 :
金糸雀「えっ!? こ、ここからがいいところなのに!
  ギョギョの死を乗り越えたカナが必殺演奏『お魚天国』でコカトリスを…!」
ジュン「長いんだよ、お前の話は」
金糸雀「で、でも!」
水銀燈「デモもスト様もない。と言うかねぇ…」
真紅「金糸雀、あなたの与太話が長すぎて…」
雛苺「卵からコカトリスのヒナが孵っちゃったのよ」
金糸雀「えっ!?」
コカ雛「ぴよぴよ」
金糸雀「ば、馬鹿な!」
薔薇水晶「どうするんです、これ」
雪華綺晶「しかも金のお姉様のことを母親だと思っているようですわね」
コカ雛「ぴよぴよ」
金糸雀「そ、そんな…」コチーン
ジュン「あ、金糸雀が固まった」
蒼星石「凄いな。雛鳥の時点から石化睨みが使えるのか、コカトリスは」
薔薇水晶「金糸雀が固まったのは精神的な理由では…?」
翠星石「そもそも私ら最初から半分、石みたいなもんじゃねーですか」
真紅「で、結局どうするのよこれ、焼き鳥にする?」
コカ雛「ぴぴっ!?」ビクビク
蒼星石「コカトリスの卵には神秘的な効能があると言われるけど、雛については未知数だ」
水銀燈「そもそも毒を持ってそうじゃないコイツ」
ジュン「コップに水銀注いで来たお前がそれを言うか」
薔薇水晶「あとで、私が親許に戻してきましょう。子供を盗られたコカトリスが怒っているかもしれませんし」
雛苺「うぃ! それが一番良いのよね」
805 :
ジュン「ようやく三番目か…」
真紅「うんざりしている場合じゃないわよジュン」
ジュン「そうは言ってもだな」
翠星石「ええい! もっとワクテカしろですチビ人間。
  翠星石はクソの役にも立たなかった水銀燈やカナチビとは違うですよ!」
ジュン「へー、それで? その翠星石さんは僕に何を食べさせようっての?」
翠星石「春菊ですぅ」ドッチャリ
ジュン「え?」
水銀燈「春菊ぅ?」
薔薇水晶「な、何故に春菊を、翠星石?」
真紅「…なるほど! そういうことね!」
雪華綺晶「何がなるほどなのです? 紅薔薇のお姉様?」
真紅「春菊こそは薔薇乙女が一番苦手な野菜! これをジュンが食べれば
  ジュンの体内に巣食う私由来のロゼリオン腫瘍も、のた打ち回って苦しみ、死滅するに違いない」
蒼星石「そうかなあ…」
雪華綺晶「私、結構好きなんですけど…春菊」
薔薇水晶「私も」
806 :
  遠慮せずに、このクッセー春菊をしこたま食えですよ!」
ジュン「…昨日もたくさん食べただろ、春菊は」
翠星石「え?」
雪華綺晶「どういうことです?」
ジュン「いや、昨夜のご飯がお鍋だったんだけど三馬鹿がホントにまあ、肉しか食べなくて。
  僕と、のりはしょうがなく春菊やマロニーをメインに…」
薔薇水晶「それは…なんともまあ」
翠星石「いやいやいや、やはり、ここは生の春菊が一番『効く』かと、ほら! さ! チビ人間」
ジュン「むやみに押し付けるな馬鹿。流石にナマでは食えんわ」
蒼星石「そうだよ、止めなよ翠星石。いくら草食系男子のジュン君だって、それは無理ってもんだ」
翠星石「むむ」
蒼星石「ここは早くも僕の出番のようだね。春菊よりもジュン君にふさわしい『薬草』を用意してある」
雛苺「頼もしげなのよね蒼星石」
ジュン「ああ、翠星石とは違うな」
翠星石「ぬぅう…!」
807 :
水銀燈「これはまた…見たこともないようなハーブ? が一杯に…」
翠星石「庭師たる翠星石でも初めて見るものばかりですぅ」
蒼星石「ふふ、それも当然。なぜなら、これらは僕が薔薇屋敷の菜園で密かに作出した新種達」
薔薇水晶「素晴らしい。こんなに多くの品種改良を、蒼星石が」
蒼星石「本邦初公開のものばかりだ! さあジュン君、遠慮なく食べてくれないか」
ジュン「……」
真紅「ジュン?」
蒼星石「ジュン君? どうしたの? これらのハーブ類はナマでもいけるものばかりだよ。…多分」
ジュン「今、多分って小さい声で言ったな蒼星石?」
蒼星石「え? あ、いや! そんな、ハハハ嫌だなー! 言ってないよそんなこと。…多分」
ジュン「大体、『今まで誰にも見せたことない新種ばかり』だと?
  蒼星石、そんな『得体の知れない』ハーブを僕に食べさせて一体どうしようってんだ」
蒼星石「ジュン君が食べてくれれば『得体が知れる』よね。
  ジュン君の体内のロゼリオン腫瘍自体、得体が知れないんだから毒を以って毒を制す的な?」
ジュン「毒って言ったな、てめぇ…」
蒼星石「やだなぁ?、だからそれは物の喩えで…」
翠星石(今回の趣旨にかこつけて、自分の新作ハーブの効果を試しに来やがったですね蒼星石は)
真紅(さりげなく人体実験を始めようとするなんて恐ろしい子だわ)
808 :
  ジュンが食べる気を起こさないものを持ってきたところで無意味でしょ」
翠星石「むっ」
蒼星石「だったら真紅はどうなのさ」
真紅「当然、私はジュンの好みも熟知している。それでいてジュンの中の病巣が苦手なものを用意するつもり」
雪華綺晶「用意するつもり? と言うことは今はまだ用意できていないのですか?」
真紅「ええ、なかなか捕まえられなくてね。そろそろ今日も来る頃のはずなんだけど」
薔薇水晶「何のことを言っているのです真紅?」
真紅「ネコよ! ずばりネコを捕らえて、その丸焼きをジュンに献上するのだわだわ!」
ジュン「ッ!?」
雛苺「ッッ!」
809 :
ジュン「そうだよ馬鹿! ネコなんてお前…」
水銀燈「あれ、あんまり食べるところ無いのよ?」
ジュン「そういうことじゃない! ええい、馬鹿のドミノ倒し姉妹め!」
真紅「心配無用。うちにたかりに来るボス猫は丸々と太っている」
ジュン「だから、そういうこっちゃないっつーの!」
雛苺「いにゃーっ! ヒナのお友達のネコさんを食べるなんてひどいのー!
  それに真紅だって、あのネコさんとは友達のはずなのよー!!」
真紅「たとえ友でも姉妹でも、生きるためには食らう! それがアリスゲームよ雛苺!」
ジュン「勝手にアリスゲームに組み込むな」
蒼星石「でも、確かにネコを食べたらジュン君の中の真紅細胞は死にそうだね」
翠星石「ですぅ」
ジュン「たとえ料理の鉄人が上手いって言っても僕はネコなんて食べないぞ」
真紅「なんですって!? あなた以前に『僕はわりとネコ好きだよ』って言ってたじゃない!」
ジュン「そういう意味で言ったわけじゃねぇよ!」
810 :
水銀燈「セイウチぃ?」
真紅「真打ちの間違いじゃなくて?」
雛苺「そ、そうとも言うのよ!」
ジュン「…で雛苺は何をご馳走してくれるんだ」
雛苺「じゃーん! うにゅーちゃんなの!」
翠星石「チビ苺がいつも食べてる苺大福じゃねーですか」
蒼星石「何か特殊なあんこが使われていたりするのかな?」
雛苺「ううん。いつもの不死屋の変わらぬ美味しさ、変わらぬ伝統を守り続けている奥ゆかしいうにゅーなの!」
ジュン「何で、それで僕のロゼリオンが治ると思うんだ? 雛苺」
雛苺「ヒナはね、コレを食べればどんなに苦しい時も元気になれるの! だからジュンも元気になって!」
水銀燈「やぁれやれ。全くもって考えることが幼稚なんだから」
ジュン「けど、今までで一番マシと言うかマトモと言うか…」
真紅「マトモな考え方でこの真紅ちゃん由来のしつこいロゼリオン腫瘍が落とせると思って!? ジュン!」
ジュン「くっ! 言ってることは正しいんだろうけど、真紅に言われると凄くむかつく」
811 :
ジュン「あ、雪華綺晶も一応何か料理を考えてきてくれていたんだ」
雪華綺晶「それはもう。何の用も無く私がここにいると思いましたか?」
真紅「思ってた」
水銀燈「私も」
翠星石「特に理由も無く、うちの窓ガラスにへばり付いていたりするじゃねーですか、おめぇは」
雪華綺晶「…コホン、私が用意したものはコレです、桜田ジュン」
ジュン「空っぽの皿?」
雛苺「何もお皿の上にのってないのよ?」
水銀燈「お馬鹿さんには見えない料理だとか言うつもり?」
雪華綺晶「いえ違います黒薔薇のお姉様。これは…」
蒼星石「まさか、これは伝説の『空皿』!?」
ジュン「からざら?」
蒼星石「三国志の時代、曹操の下で数々の働きを残した軍師に荀?と言う人物がいた。
  しかし、晩年には曹操と対立するようになり、空皿を贈られたという」
雪華綺晶「……」
蒼星石「それを曹操からの『お前は用済みだ』というメッセージだと
  受け取った荀?は服毒自殺したそうだ! (ただし諸説あり)」
ジュン「つまり、何だ。僕に死ねって言ってるのか、雪華綺晶は」
真紅「死ねば助かるのに…ていうアカギ的なメッセージなわけね。流石だわ白薔薇」
水銀燈「服毒自殺するなら、ここに充分な量の水銀があるわよぉ人間」
ジュン「お前らな…」
812 :
蒼星石「え!」
雛苺「蒼星石の早とちりなのね」
真紅「じゃあ、この空皿は…?」
雪華綺晶「今から出しますので、少しお待ちください」
水銀燈「出す…?」
翠星石「待つ…?」
ジュン「何だか、すっげーヤな予感」
雪華綺晶「よいしょっと」ガボッ
薔薇水晶「手を自分の喉に突っ込んで…!?」
雪華綺晶「おえっぷ!」ベチョッ
ジュン「うわああっ! 何か出た! これは!?」
蒼星石「ロ、ローザミスティカだ! 雪華綺晶が自分のミスティカを皿の上に吐き出した!?」
雪華綺晶「さあ、どうぞ桜田ジュン。私のミスティカを…」ツーン
ジュン「待て待て待て待て! なんで、それが僕のロゼリオン化の対処になる!?
  あと鼻先に皿を近づけるな! お前のミスティカ、酸っぱ臭い!!」
雪華綺晶「ご存知でしょう? 敗北を認めないミスティカは他の姉妹にとって『猛毒』。
   このミスティカをあなたの体内に取り込めば、真紅腫瘍はたちまちに消え去る」
ジュン「…ッ!」
813 :
翠星石「けど、真紅細胞が消えても今度は白薔薇由来の変な腫れ物ができそうですぅ」
蒼星石「これもまた毒を以って毒を制すという考え方か…」
ジュン「心遣いは嬉しいが雪華綺晶、お前のミスティカを僕が受け取ったらお前が困るだろ?
  そのおもてなしの心で僕はもう充分お腹いっぱいだ。だから、ここは気持ちだけをありがたく…」
雪華綺晶「いいえ桜田ジュン。私はお姉さま方とのアリスゲームを経て
   時には自らのローザミスティカですら相手に与える献身の尊さを知りました」
ジュン「う…」
雪華綺晶「このミスティカ、飲みにくければ、すり鉢ですりつぶしましょうか? それともオブラードで包みます?」
ジュン「いやいやいやいやいや落ち着けって。ほら真紅達も何とか言って…」
真紅「あれほど姉である私達のものを何でも欲しがる困ったちゃんだった白薔薇が…」ジーン
翠星石「まさか自分のミスティカを敢えて差し出すようにまでなるなんて…っ!」ジーン
蒼星石「僕達のアリスゲームによる教育が彼女の実に成ったんだね」ジーン
雛苺「かんむりょーなのー!」プルプル
水銀燈「この子、もとから自分にミスティカは要らないとも言ってたけどね」
ジュン「感動してないで雪華綺晶を思いとどまらせろっての! そうだ、薔薇水晶! お前なら雪華綺晶を…」
814 :
ジュン「…なんで唐突に君はコンロやらを用意して鍋に火をかけてるの?」
薔薇水晶「真紅達が用意した食材を全て鍋にぶち込んで…桜田ジュン回復祈願鍋として仕立て上げています。
   料理大会と銘打ちながら…誰も料理をしていない事実に気づいてしまったので」
水銀燈「あら、それナイスアイデアじゃない薔薇水晶」
薔薇水晶「しかし流石に水銀までは入れてませんよ」
雛苺「コ、コカトリスの赤ちゃんは!? ひょっとしてツクネにしちゃったの!?」
薔薇水晶「いえ、コカトリスの雛は無事です。コカトリスの卵の殻に残っていた謎の粘液を
   鍋の出汁に使い、あとは春菊と蒼星石の新種ハーブ類を煮込み、隠し味に苺大福を加えました」
コカ雛「ぴぴっ」
蒼星石「やるね薔薇水晶。今ある物でこれほどのものを作るとは、やはり天才か」
翠星石「認めざるを得ないですぅ、その料理センス」
ジュン「本気で言ってんのか、そこの双子ども」
815 :

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