波平「今回のカツオもそろそろ限界じゃな・・・」back

波平「今回のカツオもそろそろ限界じゃな・・・」


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1:
波平「今回のカツオもそろそろ限界じゃな・・・」
マスオ「そうですねぇ、おとーさーん。そろそろ代わって頂きましょうか」
カツオ「ま、待ってよ、僕はまだカツオをやれるよ!」
サザエ「カツオー、無理はだめよ。私達は国民全員から愛されて日曜日6時半を支える長寿番組なの。妥協は許されないのよ」
波平「心配するな、カツオ。新しいカツオがお前の後を継いでくれるさ」
カツオ「ま、待って、やめ、やめて」
カツオ「ウワアアアアアアアアアアア!!」
波平「安楽死させるつもりがちと恐怖を与えてしまったかの」
マスオ「それはおとーさんのカツオ君への『愛』があったんですよ。愛していたからこそ手元が少し緩んでしまったんですよー」
波平「毎度毎度心苦しいわい。『サザエさん』という国家プロジェクトのためとはいえのぅ」
タラオ「わー、カツオお兄ちゃん黒焦げでーす!」
波平「さ、マスオ君、新しいカツオの手配じゃ」
マスオ「はい、おとーさん」
元スレ
ニュース報(VIP)@2
波平「今回のカツオもそろそろ限界じゃな・・・」
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4:
マスオ「もしもしー、僕だよー、カツオ君がカツオ君をできなくなったからねぇ、新しいカツオ君がほしいんだけど」
マスオ「頼んだよー、じゃあね、おとーさん、新しいカツオ君を手配するよう伝えておきました」
波平「そうか。いつも助かるよマスオ君」
マスオ「いえいえ、カツオ君は僕の大切な弟ですから」
波平「次はもっと長持ちするカツオがいいのぅ」
マスオ「そーですねー、おとーさん、やっぱりあの時期の男の子ですから成長が早くて使い捨てが早いのは仕方ないですねー」
6:
怖ええわ
7:
カツオ「磯野カツオ23号です」
波平「ほぉ、今回もなかなかの丸坊主で丸顔のやつが来たのぅ」
マスオ「やりましたねー、おとーさーん、今回のカツオ君はだいぶカツオ君らしいから少しぐらい成長しても2、3年は使えますね」
カツオ「22号の成長による磯野カツオ役続投不可能により、新しく磯野カツオ役をやらせて頂きます!よろしくお願いします」
波平「うむ、では今から磯野カツオになりきりなさい」
カツオ「わかったよー、おとーさーん」
波平「ふむ、声や発音も上々じゃな、マスオ君、役人共に採用したと伝えなさい」
マスオ「わかりましたー、おとーさーん」
タラオ「わー、新しいカツオお兄ちゃんでーす」
8:
カツオだけ交換なのか…
10:
波平「うむ、新しいカツオもきたことだし、今回も家族の日常を始めるか」
サザエ「まずは『ワカメ、料理をはじめる』からね」
波平「よし、では各自台本通りにな」
・・・
ワカメ「お姉ちゃ〜ん、お料理教えてー」
サザエ「あら、どうしたの?」
ワカメ「いいお嫁さんにになりたいから料理をやりたいの」
サザエ「あら!ウフフ、いいわよ」
ワカメ「まずはどうしたらいいの?」
サザエ「じゃあまずは包丁でダイコンを切るところから始めましょうか」
ワカメ「ここを、こう、痛っ!」
サザエ「た、大変!ワカメが指に怪我をしたわ!」
ワカメ「な、なんでもない!怪我はしてないわ!台本通りよ!」
13:
波平「ワカメ、指を見せなさい」
ワカメ「だ、大丈夫だから!」
マスオ「ワカメちゃーん、僕らは国家プロジェクトなんだ。妥協は許されないんだよぉ」
波平「これはひどい!指にあとが残るじゃないか!」
ワカメ「おとーさん!私まだワカメをやれるから!」
波平「ワカメ、残念じゃが」
マスオ「25号だっけ?今のワカメちゃんは。初歩的なミスだったねー」
ワカメ「大丈夫よ、傷は浅いわ、傷跡が残ったりしない!だからお願い!」
サザエ「ワカメ、あなたは子供だけど・・・わかるでしょ・・・?」
ワカメ「そ、そんな、嫌!嫌よ、私、死にたくない!お願い!殺さないで!!」
波平「心配するな、ワカメ。新しいワカメがお前の後を継いでくれるさ」
ワカメ「イヤアアアアアアアアアアアアア!!!」
タラオ「わー、ワカメお姉ちゃん黒焦げでーす!」
18:
怖すぎわろた
19:
マスオ「あ、もしもしー、また僕だよー、今度はワカメちゃんが怪我して駄目になったんだー、新しいのを頼むよー」
マスオ「うん、急ぎでたのむよー、新しいカツオ君はまだ新人だからスケジュール通り進むかわからないんだからさー」
波平「また交代か。育成機関は何をやっとるんだ。台本がすすまんではないか!」
マスオ「まだ子供ですからねぇ」
波平「子供だろうと『サザエさん』をやり遂げる責任感を持った者を育ててもらわんと困る!」
マスオ「さすがおとーさーん。おっしゃる通りですよー」
波平「わしはいったい何人の子供を、殺せばいいんじゃ・・・わしは・・・お国のためとはいえ、何人・・・」
マスオ「おとーさーん。あの子達の死を無駄にしてはいけませんよ。僕達はあの子達の屍を越えてこの国家プロジェクトを成功させましょう!」
波平「マ、マスオ君!」
マスオ「おとーさーん。僕達はもう引き返せないんですからねぇ」
21:
ワカメ「磯野ワカメ26号です」
波平「時間が押しておる。さっさと始めるぞ」
・・・
波平(ふむ、今度のワカメは手に怪我など初歩的なミスはせんな。新しいカツオも申し分ない。今週のサザエさんも問題なく放送できるわい)
フネ「あなた・・・少し顔色が・・・」
波平「いきなり二人も、殺したからな・・・。安心せい。波平ができなくなるほどではないわぃ」
フネ「そう、良かったわ。引き金を引かなくすむから・・・」
波平「約束じゃぞ、儂が波平をできなくなったら、有無を言わさず、すぐに・・・」
フネ「ええ、あなたはサザエさんのために生まれ、生きてきた人。自分が汚したサザエさんを見るぐらいならいっそ・・・」
波平「うむ、すまんな、気を抜けない役目を押し付けて」
フネ「構いませんよ、私はあなたの妻なんですから」
波平「かあさん・・・」
フネ「こんな形で偽りの夫婦を演じなければあなたを本当に愛していたかもしれない」
波平「儂もじゃ。儂らに自由はなかった。人生さえない。儂らはサザエさんという架空の家族を演じるだけの存在。しかし、もし、人生というものが儂らにもあったなら・・・」
24:
フネ「私達は育成機関で生まれ、育成機関に育てられた『磯野波平』と『磯野フネ』。理想を語るなんておこがましいですよ」
波平「かあさん・・・」
フネ「いいんですよ。私はたとえ自分が国家プロジェクトの産物、日曜日6時半を埋めるための『駒』でも・・・それでもあなたと一緒に人生を過ごせたのですから」
波平「幸せ、なのか・・・?」
フネ「ええ、台本だけの人生でしたけれど・・・。でもきっとあなたを想うこの気持ちは台本じゃありませんよ」
波平「かあさん、儂は儂は・・・」
フネ「あなた、何も考えなくて大丈夫ですよ。きっと本当の人生があったって夫婦の愛や絆なんてまやかしなんですよ。私達みたいに義務でもいい。こうやって架空の家族を演じているほうがきっと幸せですよ」
波平「かあさん、かあさんが幸せなら儂はいいんじゃ。ありがとう。幸せだと言ってくれて」
フネ「あなたったら・・・がらにもありませんよ」
26:
タラオ「パパー、黒焦げになっても新しい家族が来るのはなんでですかー?」
マスオ「タラちゃーん、それはねー、僕達は永遠だからだよー」
タラオ「永遠ってなんですか?」
マスオ「永遠っていうのはねー、終わらないことなんだー」
タラオ「終わらないことですか」
マスオ「そうだよー、タラちゃんも永遠なんだー、タラちゃんがタラちゃんでなくなったら僕がきっちり殺して新しいタラちゃんを手配してもらうからねー」
タラオ「僕はどうして殺されるですか?」
マスオ「タラちゃんがタラちゃんでなくなったらの話だよー、殺さないとタラちゃんはタラちゃんでない人間になっちゃうよー、それでもいいのかーい?」
タラオ「僕はずっとパパやママと一緒にいたいです」
マスオ「じゃあずっとタラちゃんで居続けられるよう頑張ろうねー」
タラオ「僕は本当のママやパパとずっと一緒にいたいです!」
29:
マスオ「タラちゃーん、命はバトンリレーと一緒なんだよー。交代する時期が来たらきちんと交代しないといけないんだよー」
タラオ「で、でも僕は本当のママやパパがいいです!」
マスオ「僕達が本当のママとパパだよー、ずっと一緒なんだよー」
タラオ「違うです。見た目や性格が一緒でも違うです。違う人です」
マスオ「タラちゃーん、何を言ってるんだーい?」
サザエ「ウフフ、タラちゃん、あんまりパパを困らせちゃ駄目よ」
タラオ「僕は本当の二人の子供じゃないです。僕の本当のママとパパは殺されたです」
サザエ「何を言ってるの、タラちゃん。タラちゃんは私達の間にできた正真正銘の私達の子供よぉ?」
タラオ「違うです。二人は新しいママとパパです。違うママとパパなんです」
マスオ「僕達が新しくてもタラちゃんは僕達の子供だよー、そういう設定じゃないかー」
サザエ「そうよねぇ」
タラオ「僕は本当のママとパパに会いたいです!」
30:
タラちゃん
31:
厳しいなおい
33:
タラオ「僕は本当のママてパパがいない世界でなんて生きていきたくないです」
マスオ「何が不満なんだーい?サザエさん一家を演じていればすべてが保障されるこの世界で」
タラオ「全部です。ママとパパがいないこんな世界いらないです」
サザエ「もうだめよ、あなた」
マスオ「もったいないなぁ、僕達は完璧なのに」
サザエ「子供だもの仕方ないわ」
マスオ「タラちゃん208号、まあまあ可愛かったねぇ」
サザエ「そうね。でも育成が足りなかったわね」
タラオ「僕も黒焦げにするですか?」
マスオ「仕方ないじゃないかー、タラちゃんが二人いたらおかしいだろーう?」
タラオ「次はママとパパが本当に永遠にいてくれる世界がいいです」
マスオ「それがここなのにー、208号は馬鹿なんだねー」
38:
マスオ「もしもしー、僕だよー、フグ田タラオがおかしくなっちゃってねー、新しいのたのむよー」
マスオ「えぇ!?そろそろその時期だから新しいの向かわせてるって?さすがだねぇー」
タラオ「よろしくです」
サザエ「まあ、今回のほうがかわいいんじゃなぁい?」
マスオ「そうだねー、目元なんかは前のより君によく似てるねー」
サザエ「ねぇ、あなた、子供がこんなに可愛い時期を永遠に繰り返すって幸せよね」
マスオ「もちろんだよー、ねぇ、タラちゃーん?」
タラオ「幸せです」
サザエ「嘘でも作られた世界でも私達は死ぬまでずっと安泰ですもんね」
タラオ「そうだよー、僕達は家族なんだからー、こんな綺麗な君と可愛いタラちゃんと一緒にいれるんだもの、僕は世界一の幸せものさ」
タラオ「幸せです」
42:
カツオ「ワカメ、生きるってなんだと思う?」
ワカメ「え、それって私に聞いてるの?ワカメに聞いてるの?」
カツオ「できたら君の意見を聞きたいな」
ワカメ「私達はただ国家プロジェクトのために生まれた道具じゃない。生きることなんてわからないわ」
カツオ「そうか」
ワカメ「ちょっと、変な気を起こさないでよ。黒焦げ見るの嫌なんだから」
カツオ「僕はただ生きてみたいんだ」
ワカメ「生きるなんて馬鹿馬鹿しいと思うわ」
カツオ「どうして?」
ワカメ「だって明日何が起こるかわからないんでしょ?一生懸命努力しても運が悪かったり事故にでも遭ったら全てがパーなのよ?」
カツオ「そりゃそうだけど」
ワカメ「何より生きることなんて不公平よ。金持ちや親に愛された人は幸せな一生を送るけど、馬鹿親や貧乏に生まれた人の人生は不幸なのよ」
カツオ「・・・」
ワカメ「私達のほうが絶対幸せよ。のらりくらり書かれた台本に従って生きていけばいい。大きな不幸もない。全てが芝居なんだもの。こんなに楽な人生はないわ」
43:
成長されたら殺されるのに
44:
時期が来たら100%殺されるんですがそれは…
46:
カツオ「楽な人生か」
ワカメ「そうよ。私達は親から虐待されたり、壮絶なイジメに遭ったり、身体に障害を持つこともないわ。私にはハヤカワ君がいるし、お兄ちゃんには花沢さんがいる。台本とはいえ淡い小学生の恋愛ごっこもできる」
カツオ「それができなくなったら消されるんだぞ」
ワカメ「いいじゃない。一瞬よ。安楽死だもの。大きな不幸があったり人生のレールから外れたら殺してくれるのよ。私達は人生を誤ることはない。だからこそ私達は幸せなのよ。汚れない人生が保障されているんだもの」
カツオ「ワカメ、だったら僕達はなんのために生まれてきたんだ」
ワカメ「国家プロジェクト『サザエさん』のためよ。国民はみなサザエさんを見て癒されている。私達は人生をなげうってサザエさんを支えるの。名誉なことよ」
カツオ「遺伝的にサザエさんのキャラクターに相応しい者は本当の母親や父親から引っぺがされキャラクターになりきるよう育成されるているだけじゃないか?」
ワカメ「そうよ、私達は選ばれたのよ。選ばれたからここにいるの。磯野ワカメになれたのよ」
カツオ「本当に親に育てられず社会の駒になることが幸せなのか?」
ワカメ「世の中の人間なんて駒にさえなれない歯車ばかりじゃない。駒になれたなら人生上出来よ」
50:
カツオ「僕は逃げてみるよ」
ワカメ「正気なの?」
カツオ「君は強いよ。こんな世界で自分が幸せだと思えるなんて。でも、僕には無理だ」
ワカメ「逃げても、何もないわよ」
カツオ「台本じゃなく、自分の足で、人生を歩んでみたい。たとえその先に不公平な世界しかなくても」
ワカメ「射殺よ。あの人体の温度を一気に上昇させるレーザーで黒焦げになるわ」
カツオ「構わない。僕は僕が決めた道の上で死にたい」
ワカメ「馬鹿げてる!それこそそんな人生がなんだと言うの!」
カツオ「君は見たいと思わないか?台本じゃない本当の世界が」
ワカメ「見たくない!世界なんてきっと醜いものよ!この世界と違って台本なんてないの!秩序もなく人と人が好き勝手に生きている世界なんて私は見たくない!」
カツオ「僕は生きたいんだ。生かされたくない。君に迷惑はかけないよ」
53:
カツオ23号はその日、黒焦げになった。
全身に凄まじい熱さが染み込む間際、カツオ23号は自身の人生を振り返った。
カツオ23号の初めの記憶は自分とそっくりな人間が大量にいる空間で「僕、磯野カツオです」を連呼する自分だった。
大人は一人一人の「僕、磯野カツオです」を聞いていった。
大人はどういうわけかその空間にいたカツオを何人か黒焦げにした。
カツオ23号は生き残った。
カツオ23号は磯野カツオになるべく厳しい教育を受けた。
理解できなかったり、うまく磯野カツオになれない男の子は黒焦げになった。
身体測定や顔の輪郭なども厳しくチェックされた。
そこでも何人か黒焦げになった。
カツオ23号は生き残った。
磯野カツオになりうると決定した磯野カツオ候補はその中には3人いた。
3人は冷凍保存された。
56:
冷凍保存の中、カツオ23号は夢を見ていた。
記憶ではなく身体が覚えている情報を見た。
母親に抱かれ、母乳を吸う男の子の夢だった。
カツオ23号は起こされた。
「おめでとう。君は新しい磯野カツオだ。君は頑張った。だから『家族』になれるよ」
カツオ23号は磯野家の家族になった。
しかし、カツオ23号は感じていた。
本当の母親の温もりはこんなものじゃない。
カツオ23号は黒焦げになった。
ワカメ「あれは欠陥品よ。わけのわからない妄想を急に語りだしたわ。私達はとても安全で快適な世界にいるのに、わざわざ出たいなんて。どうかしてるわ」
カツオ「へー、育成の段階で欠陥を見抜けないなんて育成機関もきちんとしてほしいよね」
ワカメ「本当よ。焦ったわ。新しいお兄ちゃんは家族でいてくれるわよね?」
カツオ「当たり前じゃないか。僕は磯野カツオ、磯野ワカメのお兄ちゃんだぞ」
ワカメ「ウフフ、お兄ちゃん!」
60:
波平「なんじゃあ?またカツオは代わったのか?」
カツオ「そうなんだよ、前のは欠陥品だったんだ。なあ、ワカメ」
ワカメ「そうなの。生きたいとかなんとかいって逃げ出したのよ」
波平「この世界の何が不満だったんだ・・・」
マスオ「まあまあ、子供なんですから仕方ありませんよー、おとーさーん」
サザエ「今度のは大丈夫なのよね?」
カツオ「ひどいよ、姉さん!僕を疑うのぉ!?」
サザエ「まあ!この子ったらノリノリね!」
カツオ「僕はあんな欠陥品とは違うからね。僕達は家族、僕達は永遠なんだ」
波平「嬉しいぞ、カツオ!そうじゃ儂らは家族じゃ!」
フネ「ただの家族じゃありませんよ。日本中の誰もが家族ときけばイメージする家族の象徴なんですから」
61:
マスオ「僕がマスオをできなくなっても君はフグ田マスオを愛し続けるかい?」
サザエ「もちろんよ、私はあなたの妻だもの」
タラオ「僕もパパを愛し続けるでーす!」
波平「なあ、かあさん、人間が考えた最もこの世に存在しえない絵空事はなんだと思う?」
フネ「そんなのわかりませんよ」
波平「儂はな、それは永遠という概念だと思うんだ」
フネ「永遠、ですか」
波平「永遠なんてこの世には存在しえない。なのになぜ永遠という概念は存在するのか。」
フネ「私達もいつかは消えてしまいますからね」
波平「かあさん、儂らは永遠に限りなく近い。誰よりも幸せを噛み締める時間が長いんじゃ」
カツオ「幸せって道が保障されていることだよな。僕達は選ばれた人間なんだ。だから台本通りの人生を歩めばいい」
ワカメ「そうよね、お兄ちゃん。安全は保障され、自分が次にどの運命を選択するのかさえ誰かが正解を決めてくれている。こんな素晴らしい生き方はないわ」
65:
タラオ「僕はいつまでも子供でーす。パパもママもずっとパパとママでいてくれまーす!」
マスオ「そうだよー、タラちゃーん、いつまでも僕達は親子だよー」
サザエ「ウフフ、でもね、あなた、私、そろそろサザエさんに飽きちゃったわ」
マスオ「えぇー?」
サザエ「もうそろそろサザエさんやって6年目だし、いいかなって思うのよ」
タラオ「飽きちゃったですか」
サザエ「疲れたの、生きることに」
マスオ「つ、疲れたのかーい?」
サザエ「ええ、不思議なの。何も疲れることなんてない、飽きることもないはずなのに、毎日が虚しくて虚しくてたまらないの。毎日毎日何かが起こるのに」
タラオ「ママー、あんまり深く考えちゃ駄目でーす」
66:
これがデスティニープランの全容か
67:
サザエ「ねえ、あなた。あなたはタラちゃんの大きくなった姿を見たいとは思わないの?」
マスオ「思わないよー、子供はこれぐらいの時期が一番可愛いからねぇ」
サザエ「私達はそれで本当に幸せなのかしら。この世界はぬるま湯。幸せなんかじゃない、ただ苦痛や恐怖がないだけなんじゃないかしら」
マスオ「サザエー、苦痛や恐怖がないんだからいいじゃないかー。苦痛や恐怖なんて絶対体験したくないからねー」
サザエ「違うの。私にはうまく説明できないけど、そういうものがあるから人は成長できるんじゃないかしら」
マスオ「くだらないよー、僕達はこのままでまったく問題なく生きていけるんだから、成長なんてしなくてもいいじゃないかー」
サザエ「私達には見えていないのよ。人の道が」
マスオ「サザエー、君はサザエをやり過ぎたんだねー、もう嫌になったのなら僕が黒焦げにしてあげるよー」
サザエ「あなたもいつか気付くわ。フグ田マスオではなくあなた自身が。喜びや悲しみはきっと私達が思っているものとは違う」
マスオ「さようならー、サザエー」
サザエ「ごめんなさい、マスオさん、まだ私は死ぬわけにはいかないの」
71:
マスオ「無駄だよー、もう引き金を引くからねー」
サザエ「引かせないわ!」
マスオ「!?」
マスオの銃を奪うサザエ
マスオ「くっ、痛いじゃないかー、ひどいよー、サザエー」
サザエ「マスオさん、自分の手を見て」
マスオ「僕の手が、どうかしたのかいー?」
マスオ「!?」
マスオ「サ、サザエ、なんて、なんてことを」
サザエ「傷がついたわ。これでもうあなたはフグ田マスオでいられない。フグ田マスオの手に怪我はないから」
マスオ「ははは、こんな小さな傷なら完璧に治るよー、収録までに治せば問題ないじゃないかー」
サザエは銃を振り上げてマスオの顔面に振り下ろす。
マスオ「うあ、あ、あああああああああああああ!!!」
72:
マスオ「サ、サザエ!君はなんてことを!額に傷が!これは!」
サザエ「幸福、永遠、家族。もろいものね、額の傷一つでなくなるんだもの」
マスオ「ハハハー、サザエー、甘いよ。僕は死ぬよ。でもね、新しいフグ田マスオが来る。幸福も永遠も家族もなくなりはしないんだよー」
サザエ「いいえ、なくなるわ。あなたはフグ田マスオを演じていたただの人。あなたという存在は間違いなくなくなるのよ」
マスオ「ち、違うよー、僕は死なないよー、新しいフグ田マスオがすぐに来るんだ。バトンを渡すだけだよー、フグ田マスオは生き続けるんだよー」
サザエ「バトンを渡したあなたはどうなるの?」
マスオ「え」
サザエ「新しいフグ田マスオが来たら、今、ここにいるあなたはどうなるの?」
マスオ「ど、どうって、だから、僕はフグ田マスオだから、新しいフグ田マスオがきたら僕はフグ田マスオだよ?え、新しいフグ田マス・・・オ?」
サザエ「あなたは誰?フグ田マスオを演じられなくなったあなたは誰なの?」
マスオ「フグ?田マス、オ?フグ?田マスオフグ田マスオ?フグ田マスオって、誰・・・だ?」
77:
マスオ「アアアアアアアアアアアアアアア!!!」
波平「マスオ君、どうしたんだ!?」
フネ「額に傷!?まさか!?」
サザエ「ねえ、とおさん、かあさん、私達は誰なの?」
波平「サ、サザエ、お前がやったのか!なんてことを!」
サザエ「何がいけないのよ?新しいマスオさんが来るんでしょ?」
波平「そ、それはそうだが・・・」
サザエ「知りたかったの。私達に血は流れているのか、痛みはあるのか」
フネ「サザエ!そんなのあるに決まっているじゃないの」
サザエ「そう、だったら私達は生きている人間だったのね」
波平「サザエ、お前・・・」
80:
カツオ「マスオお兄さん!」
ワカメ「額に傷!?」
マスオ「サ、サザエ、よくも、よくも、この僕の額に傷を」
波平「マスオ君、残念だが」
マスオ「おとーさん!」
波平「君にフグ田マスオはもうできない」
マスオ「ゆ、許さないぞ・・・」
波平「な、なに!?」
マスオ「僕はいつまでも、この世界にいたかった、生まれてからずっとフグ田マスオになることしかなかった。フグ田マスオになるために血の滲む努力をし続けてきたんだ!」
サザエ「そんな努力も人生もわずかな傷一つで終わるのよ」
82:
マスオ「サザエ、タラちゃんも道連れだ!一緒に黒焦げに」
波平「すまんね、マスオ君。今、君の役目は終わった」
マスオ「ワアアアアアアアアアアアアア!!」
サザエ「とおさん・・・」
波平「新しい、マスオ君を、手配しよう」
サザエ「ねえ、とおさん、もう、やめましょう。こんなこと」
波平「駄目だ。儂らはこんな生き方しかできない」
サザエ「どうしてできないなんて決めつけるの!?やってみなくちゃわからないじゃない!」
波平「儂らは儂らを演じる以外に生き方を知らん」
サザエ「そんなの、みんな一緒よ」
波平「!?」
サザエ「人間は誰だって自分を演じて生きていくしかないの。私達と外の世界の人達の違いは台本の有無だけよ」
波平「サザエ、とにかく駄目だ!儂らはこの中で生きていくんだ!」
86:
サザエ「とおさん、私達は操り人形なのよ」
波平「駄目だと言ったら駄目だ!」
サザエ「人形劇と同じなの!ただただ操られているだけの存在なの!!」
波平「だからなんだと言うんだ!操られていようが儂らは生きておる!家族じゃないか!」
サザエ「だったら生きているってなんなの!」
波平「サザエ・・・」
サザエ「生きていることはこんな人生を意味するの?ただただ他者の癒しのために人生を他人に預けること。これが生きることなの?」
波平「サザエ!儂らを見て癒さている国民がおるのだ!これは国家プロジェクトなんだぞ!」
サザエ「だったら私達は人形よ。生きてなんかいない。命はあっても死んでないだけ。自分で物も考えられないでくのぼうだわ!」
フネ「あなた、もういいじゃありませんか」
波平「かあさん!何を言うんだ!?」
フネ「本当はわかっているんでしょ?」
波平「・・・」
91:
フネ「サザエ、行きたければ行きなさい。前のカツオと同じことになるでしょうけれど。あなたが行くと言うならならそれしか道はないわ」
サザエ「かあさん、とおさん・・・一緒に行きましょう?」
フネ「駄目よ、私達はもう歳をとりすぎているから」
サザエ「本当の夫婦に、なりたくないの?」
フネ「サザエ・・・」
サザエ「愛してるんでしょ?とおさんのこと。台本や義務じゃない、本当にただの自由な恋をしたくないの?」
フネ「私は・・・」
サザエ「逃げてから死ぬ間なら本当の夫婦になれるわ。台本じゃないんだもの。たとえ一瞬でも本当の恋人に」
フネ「サザエ、私達は本当にこれでいいの。操り人形でも構わないのよ」
サザエ「かあさん!」
フネ「サザエ、見くびるんじゃないよ。どんな操り人形の糸でもね、私ととおさんの赤い糸は操れないのよ」
98:
サザエ「かあさん、とおさん・・・」
波平「台本でもなんでも構わん。儂らはお互いがいればそれでいいんだ」
フネ「偽りの感情かもしれないけど、それでもいい。私には温かいのよ、この世界が。苦痛や恐怖のないぬるま湯かもしれない。でもこの人がいたらそれでどんな地獄でも構わないのよ」
波平「そういうことだ。儂らはここを出たくない。ここにいたいんだ・・・」
サザエ「わかったわ・・・ごめんなさい」
波平「サザエ、お前は強い。儂らとは違う。だから行きなさい。外の世界へ。そして人生とやらを歩んでみなさい」
サザエ「とうさん・・・」
波平「父親としての最後の言葉だ。お前はもう『サザエさん』ではない。本当の名前、本当の生き方を見つけなさい」
サザエ「ありがとう」
フネ「あなたの生き方を忘れないわ。いつか、生まれ変わったら本当の親子になりましょう」
サザエ「ええ、きっと、いつか」
カツオ「駄目だよ、ねえさーん」
ワカメ「そうよ、あんまり交代が多いと私達まで不信に思われちゃうわ」
103:
サザエ「カツオ、ワカメ・・・」
カツオ「ねえさーん、外になんて出られないし、出ても生きてなんていけないよ。ねえさんの顔は国民全員知ってるんだから」
ワカメ「この地下に広がる架空の町でずっとサザエさんをしてるほうがよっぽど幸せよ」
サザエ「どきなさい、あんた達、顔に傷ぐらいつけれるのよ」
カツオ「馬鹿げてるよ!今更自分の意思で生きるなんてできるわけないじゃないか!僕達は与えられた役をこなすことだけに人生を費やしてきたんだから!」
ワカメ「そーよ、お兄ちゃんの言うとおりよ。人には人に与えられた使命がある、役割があるの。それをまっとうすることの何が嫌なの?」
サザエ「人はね、いつだって自由を求めるの。自分の足で歩きたい、自分の手で何かをつかみたい生き物なのよ。あなた達みたいな人形にはわからないでしょうけどね」
波平「カツオ、ワカメ。もういい、いいんじゃ」
カツオ「もういいって?」
波平「おやすみ、カツオ、ワカメ。儂らのような人形が生きようとする人間の邪魔をしちゃいかん」
カツオ「ウワアアアアアアアアアアアアアア!!」
ワカメ「イヤアアアアアアアアアアアアアア!!」
107:
サザエ「とおさん!」
波平「さあ、行くんじゃ、サザエ。儂らに構うな」
サザエ「でも」
波平「儂ももう疲れたのかもしれん。磯野波平でいることに」
フネ「あなた・・・」
波平「サザエ、お前を見ているとなんだかお前を行かせたくなってな。娘のために道を開けてやることがこんなに清々しいなんて、な。これが『父親』なんだな。台本にはない『父親』の行動なんだな」
サザエ「ありがとう、とおさん。あなたはずっと私の父親だったわ」
・・・
フネ「サザエが行ってしまいましたよ」
波平「かあさん、儂は間違っていたんだろうか」
フネ「いいえ、間違ってなんかいませんよ。人生に正しいとか間違いなんてないんですから」
波平「なあ、かあさん、儂らも行こうか。外の世界ではなく、向こうの世界へ」
フネ「ええ、私はあなたと一緒ならどこへでもお供致します」
磯野波平50号と磯野フネ47号は黒焦げになった。
二人は寄り添うように灰になっていた。
114:
タラオ「僕以外みんな新しくなったでーす!」
サザエ「ごめんね、タラちゃん。タラちゃんは一番小さいのにきちんと役割を果たして偉いわね」
マスオ「本当だねー、僕達大人がしっかりしないとねー」
波平「同じ波平候補として恥ずかしいわい」
フネ「育成機関は何をしているのかしら」
カツオ「僕達がしっかり国民のために家族を演じなきゃね」
ワカメ「選ばれたのにもったいないわね」
何年、何十年とこんなことが繰り返された。
何人の人間が死んだだろうか。
磯野家が変わらないということのために。
国民の安らぎのために。
・・・
ある日、人形の中の一体がついに外に出た。
サザエ「ハァ、ハァ、あれが太陽、照明じゃない、本当の太陽なの、かしら」
通行人「お、おい、あんた、大丈夫か?汗だくじゃないか!」
118:
サザエ「やったわ、私は、外に出た、台本じゃない、自分の歩む世界に、これで生きていける、生きることができる」
通行人「あんた大丈夫か?怪我してるぞ?」
サザエ「これが風、これが世界、広い、暖かい、ああ、なんて気持ち、いいのかしら」
通行人「あんた、名前は?何者なんだ?」
サザエ「わ、私?私は何者?」
通行人「え?」
サザエ「サザエでございまーす」
通行人「な・・・」
サザエ「お魚加えたドラネコを追いかけて裸足でかけていくのが私、買い物しようと町まで出掛けたら財布を忘れたのが私」
通行人「駄目だ!救急車を呼ぼう!」
サザエ「ルールルッルルッルー♪ルールルッルルッルー♪」
サザエ「今日ーもいい天気ー」
122:
ほーら
ほーらー
みんなのー
こーえが
すーるー
サーザエーさん
サザエさーん
サザエさーんは
ゆかいだな
fin
123:
oh…
124:
乙!
130:

すごかったな
131:
ラストが秀逸だったwww
133:
ご精読ありがとうございました。また見かけたらコメントやレス頂けたら幸いです。
では、失礼します。
135:
台本の無い世界で、サザエさんとして以外は生きられないのか…
140:

面白かった
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