坂本「部屋割りを発表する」バルクホルン(ミヤフジ…ミヤフジ…ミヤフジ…)back

坂本「部屋割りを発表する」バルクホルン(ミヤフジ…ミヤフジ…ミヤフジ…)


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1:
ミーナ「宿舎の補修工事のため、暫くはみんなに窮屈な思いをさせてしまうことになるけど、我慢してね」
シャーリー「外で寝るルッキーニは関係ないな」
ルッキーニ「あたしは木の上で寝るほうがすきー!」
美緒「では、1週間ほど皆には2人一部屋で生活してもらう。人数と部屋の関係で一組のみ3人一部屋になってしまうが」
バルクホルン「部屋割りの変更か。私はこのままでも構わないが」
エーリカ「うそばっかり。宮藤と一緒に眠れるチャンスなのに」
バルクホルン「意味が分からないな。宮藤がどうした?」
エイラ「少佐。もう相部屋になっている私とサーニャはそのままでいいよな?」
美緒「いや、今言ったことだが部屋が足りないためにどうしても一組だけ3人一部屋になってしまう。そこで公平を期すためにクジで決めるつもりだ」
エイラ「サーニャ以外と寝るなんて……ムリダナ」
3:
サーニャ「エイラ、1週間だけだから」
エイラ「よし。こうなったら魔法を使って……」
サーニャ「ズルはだめ」
エイラ「でも、サーニャぁ……」
芳佳「誰と一緒になるんだろう。ちょっとドキドキするね」
リーネ「そうだね」
バルクホルン「誰でも構わないだろう。まぁ、ハルトマンと相部屋になると苦労するがな」
芳佳「バルクホルンさん、さすがですね。私はもう、なんだがキンチョーします」
バルクホルン「そんなことではネウロイとは戦えないぞ、宮藤」
芳佳「すいません」
ペリーヌ(坂本少佐と同室になれる千載一遇の好機ですわ!!!)
美緒「では、それぞれこの机に置かれている紙をとり、紙に書かれてる番号を見てくれ。同じ番号の者が同室となる」
芳佳「わかりました!!」
美緒「各自、勝手に取りにこい。早い者勝ちだ。はっはっはっは」
5:
ミーナ「――はい。皆、紙は取ったわね?」
美緒「では、部屋割りを発表する!!」
バルクホルン(宮藤……宮藤……宮藤……宮藤……宮藤……)
美緒「1番のクジを引いたもの!!起立!!」
リーネ「は、はい!」
エーリカ「はぁい」
リーネ「ハルトマン中尉……!!」
エーリカ「リーネかぁ。よろしくぅ」
リーネ「は、はい。よろしくお願いします!!」
美緒「次、2番!!」
バルクホルン「……」ガタッ
シャーリー「なんだ、バルクホルンか」
バルクホルン「……」チッ
シャーリー「おい。舌打ちしたか?」
6:
ルッキーニ「あたし、さーんばーん!!」
ミーナ「よろしくね」
ルッキーニ「……げ」
ミーナ「え?」
ルッキーニ「な、なんでもないです」
美緒「4番は?」
エイラ「私だ」
美緒「そうか。はっはっはっは」
エイラ「少佐とかぁ……」
美緒「なんだ、嫌か?」
エイラ「いや、全然」
芳佳「それじゃあ、残りは……」
サーニャ「芳佳ちゃん。よろしく」
芳佳「サーニャちゃん!!よろしく!!ペリーヌさんも一緒ですよね?!」
ペリーヌ「え……えぇ……はぁ……。上手く行きませんわね……」
8:
ミーナ「それでは解散」
芳佳「サーニャちゃん。ベッドとかどうするー?」
サーニャ「私は上がいいかな」
芳佳「ペリーヌさんは私と一緒のベッドでいいですか?」
ペリーヌ「なんでそうなりますの!!!」
芳佳「でも、ベッドの数も足りないみたいで……」
ペリーヌ「用意したらいいでしょう!?」
エーリカ「リーネならうるさくされずにすむなぁ。やったぁー」
リーネ「ははは……」
エイラ「サーニャ……サーニャ……」
美緒「エイラ。ほら、私たちの部屋はこっちだぞ」グイッ
エイラ「あぁ……サーニャが遠ざかっていくぅ……」
美緒「サーニャは隣室だ。いつでも会えるだろ」
バルクホルン「……いくぞ」
シャーリー「へーい」
10:
バルクホルン・シャーリーの部屋
バルクホルン「いいか、シャーリー?この中央に引かれたジークフリート線を越えることは絶対に許されない。分かるな?」
シャーリー「越えたらどうなるんだ?」
バルクホルン「私が怒る」
シャーリー「ほい」スッ
バルクホルン「あぁー!!!こえるなぁー!!!」
シャーリー「あははは。面白いなぁ」
バルクホルン「貴様……!!!ある意味、ハルトマンよりも性質が悪い」
シャーリー「宮藤じゃなくて悪かったな」
バルクホルン「宮藤は関係がないが」
シャーリー「ま、あたしも相部屋ならバルクホルンよりも宮藤やリーネのほうがよかったかなぁ」
バルクホルン「誰でも同じだ!!」
シャーリー「いや、少なくとも宮藤やリーネのほうがいいだろ?」
バルクホルン「別に否定したわけではない。宮藤でも良い。問題はない」
シャーリー「だろ?あー、クジ運ないなぁ、あたし」
11:
シャーリー「それはこちらの台詞だ。全く」
「すいませーん。バルクホルン大尉ー」
バルクホルン「ん?リーネか?入って来い」
リーネ「失礼します。あの……」
バルクホルン「何かあったか?」
リーネ「その……ハルトマン中尉が……色んなものを部屋に……」
バルクホルン「リーネ。よく聞け」
リーネ「は、はい」
バルクホルン「今すぐに部屋の中央に線をひけ。自身の領土を確保しろ。でなければ敵は際限なく自陣に攻め入ってくることになる」
シャーリー「何を大げさな」
バルクホルン「大げさではない!!!これは戦争だ」
リーネ「わ、わかりました」
バルクホルン「何か困ったことがあればすぐにいってこい。いうでも相談に乗る」
リーネ「ありがとうございます。それでは」
バルクホルン「ああ」
18:
シャーリー「バルクホルンも苦労してるんだな」
バルクホルン「ハルトマンとは長い付き合いだ。もう慣れた」
シャーリー「なら、あたしはまだ可愛いほうだろ?」
バルクホルン「そんなことはない。また違った意味で厄介だ」
シャーリー「言ってくれるなぁ」
バルクホルン「当たり前だ。お前と比べたら宮藤のほうが何倍マシか……」
シャーリー「そこまでいうか?なら、こうだ」スッ
バルクホルン「こえるなぁー!!!」
シャーリー「ほらほらほら」スッスッ
バルクホルン「やめろぉー!!!!私の陣地に入ってくるなぁー!!!!」
「トゥルーデ、シャーリーさん?」
シャーリー「あ、中佐?なんですか?」
ミーナ「……随分と賑やかだけど、上手くいっていないの?」
バルクホルン「見てのとおりだ!!これでは胃に穴があく!!」
シャーリー「まぁ、あたしは楽しんでますけど」
22:
ミーナ「そう……。やっぱり、クジは失敗だったかしら。坂本少佐の案だったのだけど」
バルクホルン「他の部屋でも問題が起こっているのか?」
ミーナ「耳を澄ませてみれば分かると思うわ」
シャーリー「んー……?」
「エイラさん!!貴女の部屋は隣でしょう!?お帰りなさい!!!」
「ペリーヌさん、何もそんなこと言わなくても」
「なら、私とペリーヌが部屋を替わろう。それでいいだろ?」
「そ、そ、そそ、それは!!!妙案ですわね!!!」
「ペリーヌさん!?私たちと同じ部屋は嫌なんですか!?」
「エイラ、戻ったほうがいいわ。クジで決まったんだし」
「えぇー。でもぉー」
「こらー、エイラー。戻って来い。寂しいだろ」
シャーリー「……揉めてるみたいですね」
ミーナ「ええ。部屋割り、もう一度決めなおしたほうがいいかしら」
バルクホルン「それはいい考えだ、ミーナ。それも一つの選択肢だ。うん」
24:
ミーナ「ルッキーニさんも私と相部屋は嫌みたいで、戻ってこないし」
バルクホルン「それはまずいな。そうだ、ミーナ。もう一度、部屋割りを決め直すというのは?」
ミーナ「それ、今言ったでしょ?」
シャーリー「……あたしは反対だ」
ミーナ「え?」
バルクホルン「なんだと?」
シャーリー「いい機会だろ。一緒の部屋で1週間過ごして、親睦を深めるにはさ」
ミーナ「……ルッキーニさんが部屋で寝起きしてくれないと、私は深めようがないけど」
バルクホルン「シャーリー!!」
シャーリー「そんなにあたしとは嫌か?」
バルクホルン「相性の問題もあると私は言っているだけだ」
シャーリー「今まで気づかなかっただけで、実は名コンビだったりするんじゃないのか、あたしたち」
バルクホルン「そんなこと……」
ミーナ「そうね。シャーリーさんの言うとおり、いい機会だから暫くはこのまま様子を見ましょう」
バルクホルン「な……」
27:
シャーリー「あー。ちょっとねるかなぁー」
バルクホルン「おい。シャーリー。お前も嫌がっていたではないか」
シャーリー「多分、あたしと少佐だって同じ考えだろ。だからこそクジにしたんだと思うし」
バルクホルン「だが……」
シャーリー「嫌なら出て行け。しっしっ」
バルクホルン「貴様ぁぁ……!!!」
リーネ「す、すいませーん」
バルクホルン「リーネ、どうした?」
リーネ「あの……ハルトマン中尉が……あの、色んな物を部屋にもってきて……もう収集がつかなくて……あの……私の寝るところもなくなって……」
バルクホルン「リーネ!!私が言ったことを実践しなかったのか!?」
リーネ「し、したんですけど……でも……あの……いえなくて……」
シャーリー「上官に線を越えられたからって何も言えないもんな」
リーネ「うぅ……どうしたらいいでしょうかぁ……」
バルクホルン「しかたない!!私が行く!!!」
リーネ「わぁ……ありがとうございますっ!!」
31:
「のわぁ!?!?ハ、ハルトマン!!!起きろ!!!この惨劇はなんだぁ!!!」
「なんで、トゥルーデがくるんだよぉ」
「リーネが困っていたからだ!!!」
「宮藤からリーネに乗り換えたのか?」
「わけのわからんことをいうなぁぁぁ!!!!」
リーネ「……ふぅ」
シャーリー「リーネ、大丈夫か?」
リーネ「え?はい……」
シャーリー「リーネにはちょっときついよな。上官と相部屋なんて」
リーネ「そ、そうですね……」
シャーリー「宮藤の部屋に移動できるか聞いてやろうか?」
リーネ「え!?そ、そんな!!けっこうです!!」
シャーリー「無理するなって。中佐もこの部屋割りは失敗だったかもって悩んでいたぐらいだからさ」
リーネ「でも、わたしだけなんて……」
シャーリー「無理するなよ。中佐や少佐に直接言い難いだろ?そういうときはあたしを頼っていいからね」
34:
リーネ「シャーリーさん……」
シャーリー「どうする?」
リーネ「……このままで大丈夫です。ハルトマン中尉も悪気があってのことではないですから」
シャーリー「そっか。ならいいんだ」
リーネ「シャーリーさん、ありがとうございます」
シャーリー「あははは。ま、この部屋にはいつでも来ていいから。遠慮はなしだ」
リーネ「はいっ」
バルクホルン「――リーネ!!片付けておいたぞ!!バリケードも用意しておいたから、1週間ぐらいなら安全だ!!」
リーネ「バルクホルン大尉!!ありがとうございます!!」
バルクホルン「ハルトマンのことなら私に任せろ」
リーネ「はい。シャーリーさんもありがとうございます」
シャーリー「いや、別にお礼を言われることでもないけど」
リーネ「それでは失礼しましたっ」テテテッ
バルクホルン「リーネに何か言ったのか?随分と表情が明るくなっていたが」
シャーリー「気のせいだろ。元からリーネはあんな顔だし」
36:
バルクホルン「それにしても疲れたな……。何か飲むか」
シャーリー「あたしも」
バルクホルン「自分で淹れろ」
シャーリー「なんだよ、ケチぃ」
バルクホルン「ふんっ。なんとでもいえ。兵糧攻めだ」
シャーリー「紅茶ぐらいで兵糧攻めか?んじゃ、あたしは領土侵攻だ。おらおらー」スッスッ
バルクホルン「リベリアン!!!強襲かぁ!!!」
「すいませーん!!!バルクホルンさーん!!!」
シャーリー「お。宮ふ――」
バルクホルン「どうした、宮藤?」ガチャッ
芳佳「あ、ちょっといいですか?」
バルクホルン「構わない。時間を持て余していたところだ」
芳佳「よかったぁ」
シャーリー「なにかあったのか?」
芳佳「あ、はい。少し困ったことが……」
44:
バルクホルン「エイラが何度も部屋割りの変更を求めているのか」
芳佳「はい。坂本さんとミーナ中佐にも相談はしたんですけど「各自で相談して決めろ」って」
シャーリー「ま、そうじゃないか?」
芳佳「でも、決められなくて……」
バルクホルン「何故だ?」
シャーリー「ペリーヌとエイラが変わったら終わる話のような気もするけどな」
芳佳「それがサーニャちゃんがそれは絶対にダメだって譲らないんです」
シャーリー「サーニャが?」
芳佳「クジで決めたことなのに、勝手なことをしたら他の人からも不満がでるって」
バルクホルン「まぁ、一理あるな」
シャーリー「バルクホルン大尉殿的には、いい口実になるからエイラとペリーヌを交替させたいんだろ?」
バルクホルン「それも一理ある……いや、ない!!」
芳佳「それで、バルクホルンさんとシャーリーさんに相談しようかなって……」
バルクホルン「そうか。ならば、宮藤の信頼に応えねばな。小1時間思案するから、ゆっくりしていけ」
芳佳「そ、そんなに時間をかけてくれるのは嬉しいですけど、できれば早めにお願いします……」
47:
シャーリー「サーニャの言い分が正しいけど、エイラは退かないだろうし、面倒だなぁ」
バルクホルン「うーむ……」
芳佳「エイラさんをなんとか説得すればいいんでしょうか?」
シャーリー「……宮藤はどうしたいんだ?」
芳佳「え?」
シャーリー「今の話では宮藤の考えだけがなかった気がするけど?」
芳佳「わ、わたしは……どうしていいかわからなくて……」
バルクホルン「シャーリー。宮藤が何故、私たちに相談をしに来たのか、考えればわかることだろう」
シャーリー「バルクホルンなら、どうするんだ。宮藤と同じ立場になったら」
バルクホルン「私か?そうだな。クジで決まったことであることを主張し、エイラには引き下がってもらう」
芳佳「や、やっぱりそうですね」
シャーリー「あたしは違うな」
芳佳「え?」
シャーリー「あたしだったら、サーニャに「面倒だからエイラとペリーヌを交替させよう」って説得する」
バルクホルン「なんだと?それではクジで決めた意味がないだろう。何を言っている」
50:
シャーリー「確かに意味はなくなるけど、そういうことはさっさと終わらせたほうがいい」
バルクホルン「民主主義に反した意見だな、リベリアン」
シャーリー「こんなことで民主主義もなにもないだろ。争いごとが起こるってはっきりしているなら、避けたほうがいいんだし」
バルクホルン「それで自身の領域を荒らされてもいいというのか?相手は事前に決定された規律を破っているとしても、納得できるのか?」
シャーリー「するしないの問題じゃない。面倒は避けるべきって言ってるんだよ」
バルクホルン「それが間違っていると私は言っている!!」
シャーリー「あたしはバルクホルンの意見には反対だって言ってる」
バルクホルン「おのれ……!!」
シャーリー「やるか?かけっこなら負けないぞ?」
バルクホルン「いいだろう!!表にでろぉ!!」
シャーリー「おっしゃー」
芳佳「や、やめてくださーい!!!どうしてケンカになるんですかぁ!!!」
バルクホルン「あ……いや……すまない」
シャーリー「じゃあ、宮藤はどっちの意見が正しいと思うんだ?」
芳佳「わ、私は……バルクホルンさんの言っていることのほうが正しいと思います」
54:
シャーリー「あちゃー……。バルクホルンの味方かぁ……」
バルクホルン「流石は宮藤だ!」
芳佳「あ、いえ……」
シャーリー「んじゃ、宮藤。その気持ちをエイラとペリーヌに伝えてきなよ」
芳佳「え……それって……?」
バルクホルン「宮藤はこうして背中を押してほしかったのだろ?」
芳佳「あ……あの……」
シャーリー「宮藤、ちゃんと考えてるじゃん。えらいぞ」
芳佳「……すいません」
バルクホルン「何を謝る。自分の答えに自信がもてないなんて、よくあることだ」
シャーリー「宮藤なら大丈夫だ。みんなを納得させられるさ。ちゃんと考えてるんだから」
芳佳「ありがとうございます!!」
バルクホルン「それよりも紅茶をいれたんだが――」
芳佳「さっそく話してきます!!!」ダダダッ
バルクホルン「あ……みやふじ……」
58:
シャーリー「いただきまーす」
バルクホルン「あ……あぁー!!!まてぇ!!!それは宮藤のために淹れたものだぞぉ!!!」
シャーリー「あー。普通」
バルクホルン「吐け!!!きさまぁ!!!はけぇ!!!」ググッ
シャーリー「も、もう、のんだって……ばぁ……!!」
バルクホルン「くそぉ……私の食糧が……敵兵に……」
シャーリー「なんでそこまで落ち込むんだよ」
バルクホルン「もういい。少し走ってくる」
シャーリー「よーし。それじゃ、あたしも」
バルクホルン「ついてくるな。邪魔だ」
シャーリー「ははーん。カールスラントの軍人はリベリオンの軍人に負けるのが怖いってか?」
バルクホルン「……聞き捨てならないな。もう一度言ってみろ」
シャーリー「いいません」
バルクホルン「いいだろう!!!ならば勝負だ!!!ついてこい!!!」
シャーリー「いや、言ってないだろ」
60:
滑走路
バルクホルン「うぉぉぉぉ!!!!」ダダダッ
シャーリー「おりゃー」ダダダッ
バルクホルン「どうした、リベリアン!!!達者なのは口だけか!!!」
シャーリー「――ほっ」ゴォォォ!!!
バルクホルン「なぁ……!?」
シャーリー「おさきー」
バルクホルン「魔法はルール違反だ!!!常識でかんがえろぉ!!!!」
シャーリー「そんな軍規はしらねー」
バルクホルン「ふ、ざ、ける、なぁぁぁ!!!!!」
シャーリー「あー。昼飯までまだ時間があるなー」
バルクホルン「おのれぇぇ!!!!」ダダダダダッ
ミーナ「ルッキーニさーん」
シャーリー「お、中佐。なにしてるんですか?」キキッ!!
ミーナ「あ、シャーリーさん。ルッキーニさんを探しているのよ。相部屋の件で話したいことがあってね」
61:
このタイトルでシャーゲルとは中々
63:
バルクホルン「よし!!抜き返したぞ!!!!」
シャーリー「ルッキーニなら格納庫のほうで寝てるんじゃないですか?」
ミーナ「そうね。そちらのほうへ行ってみるわ」
シャーリー「はい」
バルクホルン「わ、私の勝ちだ、な……リベリ、アン……はぁ……はぁ……はぁ……!!!」
シャーリー「あー。おつかれさん」
バルクホルン「はぁ……はぁ……はぁ……」
シャーリー「水飲むか?」
バルクホルン「……ああ……くれ……」
シャーリー「はい」
バルクホルン「んぐっ……んぐっ……ふぅ……。すまない、助かった。お前も飲め」
シャーリー「当たり前だ。これでも疲れてんだから」ゴクッゴクッ
バルクホルン「ミーナがいたようだが、何を話していた?」
シャーリー「ぷはぁ。ああ、ルッキーニを探してるんだってさ。あいつは滅多に部屋には戻ってこないからなぁ」
バルクホルン「そうか……」
65:
シャーリー「次はなにする?」
バルクホルン「腕立てで勝負だ」
シャーリー「お前に有利な競技はちょっとなぁ」
バルクホルン「きさまぁ!!今、お前の得意分野で戦っただろう!?」
シャーリー「別に勝負はしてないけど」
バルクホルン「にげるのか!!」
シャーリー「落ち着けって」
美緒「はっはっはっは。随分と仲がいいな、二人とも」
バルクホルン「そう見えるなら、少佐の目はおかしいということになる」
シャーリー「あたしはまぁまぁ楽しんでる」
美緒「そちらは問題なさそうだな」
バルクホルン「少佐のほうは問題が起こっているのか?宮藤が説得すると言っていたが」
美緒「エイラの件か……。実は宮藤とサーニャの意見と、エイラとペリーヌの意見が真っ二つの割れてな。解決にはしばらくかかりそうだ」
シャーリー「あー……」
バルクホルン「余計なことをしてしまったか……」
68:
美緒「それにしても私はエイラに嫌われているのか……」
バルクホルン「何を言い出すかと思えば」
美緒「しかし、あれほど私との同室を拒むのは……」
シャーリー「エイラはサーニャと同室で寝起きしたいだけですって」
美緒「それならいいのだがな」
バルクホルン「どうした、少佐らしくもない」
美緒「教官という立場上、部下に嫌われるのは気にしないのが、ああも露骨な態度を取られるとな。流石に堪える」
シャーリー「少佐は人気者ですから、気にしなくてもいいですよ」
バルクホルン「ああ。特に宮藤、リーネ、ペリーヌからは絶大な信頼を得ている。羨ましいぐらいだ」
シャーリー「主に宮藤から、だろ?」
バルクホルン「宮藤?誰のことだ?」
美緒「私はそうは思わんがな」
シャーリー「どういうことです?」
美緒「流石に、お前たちには負けるさ。信頼という意味ではな」
バルクホルン「そんなことはない。私もシャーリーも少佐から学ぶことはまだまだ多いんだ」
71:
美緒「お前たちにそう言われると、まだまだ引退はできないな。はっはっはっはっは」
バルクホルン「少佐……」
美緒「すまないな、訓練に水を差して。ではな」
バルクホルン「ああ」
シャーリー「あ、少佐。少佐」
美緒「ん?なんだ?」
シャーリー「リーネなんですけど、もし部屋替えの相談をされたら、何も訊かずに宮藤の部屋に行かせてあげてくれません?」
美緒「リーネ?なにかあったのか?」
シャーリー「ほら、リーネの性格上、上官と相部屋なんて気を使うでしょう?」
美緒「……そうだな」
シャーリー「なんで。多分、リーネが相談するなら中佐よりは少佐だと思いますんで」
美緒「分かった。リーネに対してはそうしよう」
シャーリー「飽く迄もリーネから相談をしてきたら、ですからね?」
美緒「うむ」
シャーリー「どうもすいません。よろしくお願いします」
75:
バルクホルン・シャーリーの部屋
バルクホルン「ふっ……ふっ……!!」グッグッ
シャーリー「汗臭くなるから、やめてくれないか?」
バルクホルン「ふんっ……ふんっ……!!!」グッグッ
シャーリー「はい。無視っと」
バルクホルン「ならばシャーリーも部屋で機械を弄るな。オイル臭くて敵わん」
シャーリー「ふんふーん」カチャカチャ
バルクホルン「無視か……!!」
コンコン
シャーリー「あいてるよー」
エイラ「……」
シャーリー「エイラ?」
ペリーヌ「……わたくしもいます」
シャーリー「どうした?」
エイラ「宮藤の相談、受けたんだろ?私たちの相談もうけろーこらぁ」
77:
バルクホルン「ふぅ……どこから、その情報が漏れたんだ」
ペリーヌ「大尉はトレーニングを続けても構いませんから」
バルクホルン「そうか?ん?いや、何故だ?私にも相談にきたのではないのか?」
シャーリー「相談ってなんだよ?部屋割りのことか?」
エイラ「そうだ。宮藤を説得する方法を教えろぉ」
ペリーヌ「そうですわ!!」
バルクホルン「それはできない相談だ」
エイラ「ひどいじゃないかぁ!大尉たちの所為でサーニャと宮藤が結託したんだぞ」
シャーリー「そういわれてもな……」
バルクホルン「宮藤が正しい」
ペリーヌ「そ、そんなぁ……わたくしだって……少佐と同じ部屋が……」
エイラ「私だってサーニャがいないと、夜も眠れないんだぞ……」
バルクホルン「だが、宮藤が正しい」
シャーリー「バルクホルン。そんなこと言わなくてもいいだろ?」
バルクホルン「だが、宮藤が……」
80:
シャーリー「こうなったのはあたしたちの所為だろ?」
バルクホルン「それはそうだが」
シャーリー「ここで説得するのはあたしたちの役目だと思うけど」
バルクホルン「うむ……。ペリーヌ、エイラ」
エイラ「なんだ?」
ペリーヌ「は、はい」
バルクホルン「クジで決まった相手を切り捨ててもいいということだな?」
エイラ「私はサーニャと同じ部屋がいいんだ」
バルクホルン「いいだろう。では、私から掛け合ってやる」
ペリーヌ「ほ、本当ですか!?」
エイラ「やったぁ。話せば分かるじゃないか、大尉」
シャーリー「お、おい。バルクホルン、何言ってんだ」
バルクホルン「だがその前に私の話を聞いてくれるか、二人とも」
エイラ「な、なんだよ」
ペリーヌ「はい。聞きますわ」
83:
バルクホルン「シャーリー」
シャーリー「んあ?あたし?」
バルクホルン「私はやはり、お前と同室は我慢できない」
シャーリー「なんだと?」
バルクホルン「リベリオンの体質は、肌に合わない。同じ部屋の空気など吸いたくはない」
シャーリー「あたしだってカールスラントの堅物を一緒の部屋なんて好きでいるわけじゃないんだけど?」
バルクホルン「利害は一致したな。出て行け」
シャーリー「……お前が出て行けよ」
バルクホルン「ほう?」
シャーリー「やるか?」
エイラ「ま、まてよぉ!」
ペリーヌ「ケ、ケンカはいけませんわ!!!」
バルクホルン「――見たか?少なからず、こういうことは起きるぞ?」
エイラ「な、に……?」
バルクホルン「我々は11人のチームだ。互いが背中を預けあい、ネウロイと戦っている。部屋割り程度のことで生存率を下げるなど馬鹿馬鹿しいとは思わないか?」
85:
ペリーヌ「そ、それは……」
エイラ「いや、大尉たちのは大げさだろ!!」
バルクホルン「エイラがそう思っていなくても、少佐は気にする。自分は嫌われているのではないか、信頼されていないのではないかとな」
シャーリー「ほら。バルクホルン、お前がでていけよ」グニッグニッ
バルクホルン「ふぁいふぇふぉひふぉりふぉふぁんふぁふぇろ」
シャーリー「相手のことも考えろってさ」
バルクホルン「くっ!!はなせ!!喋れないだろ!!!」バッ!!!
ペリーヌ「……そういえば、宮藤さん、嫌なのかって言っていましたわね」
エイラ「少佐がそんなこと気にするかぁ……」
バルクホルン「上に立つ者ほど、下からの評価は気になる」
シャーリー「宮藤から好かれてるかどうか、とかな」
バルクホルン「宮藤のことなどどうでもいい。塵ほども気にしていない」
シャーリー「宮藤はバルクホルンのこと、501の中で一番好きだって」
バルクホルン「そうか……ふ……ふふふ……ふふ……ふっ……いや、そんな気もしていた……」
シャーリー「冗談だよ」
92:
バルクホルン「もう許さん!!!リベリアン!!!ここで引導を渡してやる!!!」ガシッ!!!
シャーリー「やれるもんならやってみろ!!!」ガシッ!!!
ペリーヌ「や、やめてください!!」
エイラ「ああ、もういいってぇ」
バルクホルン「結論は出たか?」
ペリーヌ「……そうですわね。クジという公平な決め方をしたのですから」
エイラ「1週間だしな……」
シャーリー「少佐だって、きっとエイラのこと可愛がってくれるって」
バルクホルン「ペリーヌもこれを機にサーニャと話せばいい。いつまでも少佐ばかりとでは、いざというとき連携に支障が出るぞ」
ペリーヌ「わ、わかりましたわ」
バルクホルン「では、戻れ。トレーニングの邪魔だ」
ペリーヌ「は、はい!!」
エイラ「……色々、ありがとう」
シャーリー「何かあれば、またきてもいいよ。いつでも鍵はあけとくから」
バルクホルン「ふん……ふんっ……」グッグッ
94:
食堂
シャーリー「あー。ハラへったー」
バルクホルン「そうだな」
エイラ「いいか?サーニャを虐めるなよ。ずっと聞き耳立ててるからな」
ペリーヌ「エイラさんこそ!!坂本少佐に粗相がないようにしてください!!」
サーニャ「エイラ。そんなことしちゃだめ」
エイラ「だって、宮藤はまだしも、ツンツン眼鏡はぁ」
シャーリー「話はきちんと纏まったみたいだな」
バルクホルン「全く。これぐらいのことで揉めるやつがあるか」
芳佳「バクルホルンさん!!!」
バルクホルン「お……おぉ……。ど、どうした、宮藤?」
芳佳「ご迷惑をおかけしてすいませんでした」
バルクホルン「いや、力になれたらな、よかった」
芳佳「腕によりをかけてご飯作りましたから!!いっぱい食べてくださいね!!」
バルクホルン「そ、そうか?そこまで言われたら、食べないわけにはいかないな。そこまで食欲はないが、うむ。仕方ないな。いっぱい食べよう」
98:
バルクホルン「はむっ……はむっ……!!!」ガツガツ
シャーリー「腹、壊すぞ?」
エーリカ「みやふじー。わたしにもー」
芳佳「はぁーい」
バルクホルン「ハルトマン。リーネに迷惑はかけていないだろうな?」
エーリカ「えぇー?ひどいなー。かけてないよー」
バルクホルン「怪しいものだ」
リーネ「だ、大丈夫ですよ」
バルクホルン「ハルトマンは確かに上官だが、気を使う必要はない。気に入らないところがあればびしっと言ってやれ。大尉である私が許す」
エーリカ「げぇ。結局、上官命令じゃん」
バルクホルン「上官の命令は絶対だ」
リーネ「あははは」
バルクホルン「……心配するな。辛くなれば、私の部屋にこい。だが、ハルトマンは言えば聞いてくれる。悪い奴じゃないからな」
リーネ「はい。知ってますっ」
エーリカ「なんか、ひどい言われようだなぁ。私、そんなにダメ?」
101:
ミーナ「……あ」
シャーリー「ん?」
バルクホルン「ミーナも食事か?書類整理は終わったのか?」
ミーナ「ルッキーニさんは……?」
シャーリー「そうえば、いないな」
バルクホルン「珍しいこともあるな」
ミーナ「ありがとう。他のところを見てくるわ」
エーリカ「どうしたんだ、ミーナのやつ?」
バルクホルン「シャーリー。ルッキーニはどういう理由でミーナを避けている?」
シャーリー「そうだな。色々言われると思ってるんじゃないか?」
バルクホルン「色々とは?」
シャーリー「寝るときは部屋で寝なさいとか、服も着ずに出歩かないとか」
バルクホルン「今までも殆ど黙認状態だっただろ。何を今更……」
シャーリー「まぁ、あたしが監督してたようなもんだしな。ミーナ中佐に変わっちゃったから困惑してるんだと思う」
バルクホルン「……ミーナも少佐も大変だな」
103:
滑走路
美緒「宮藤!!!声が出ていないぞ!!!リーネ!!!そんな走り方でどうする!!!ペリーヌ!!!もっと腕をふれぇー!!!」
芳佳・リーネ・ペリーヌ「「は、はい!!」」
美緒「ふむ」
シャーリー「坂本少佐ぁ」
美緒「どうした?」
シャーリー「ルッキーニのやつ見ませんでした?」
美緒「……あそこでくたばっている」
シャーリー「え?」
ルッキーニ「うじゅぅぅ……」
シャーリー「おい、ルッキーニ!!なにがあったんだ!?」
ルッキーニ「しゃーりぃ……」
美緒「少々たるんでいたから、しごいてやっただけだ」
シャーリー「……災難だったな」
ルッキーニ「ぁぃ」
106:
シャーリー「ミーナ中佐がずっと探してたぞ?話したいことがあるみたいだから、会いにいけって」
ルッキーニ「えぇぇ?!やだぁ……」
シャーリー「やだって」
ルッキーニ「シャーリーと相部屋がいぃ」ギュッ
シャーリー「お前、部屋に戻ってこないだろ?」
ルッキーニ「中佐はこわいぃ」
シャーリー「そんなに嫌か?」
ルッキーニ「うん……」ギュゥゥ
シャーリー「……少佐」
美緒「どうした?」
シャーリー「ルッキーニの部屋割りなんですけど、変更してもらってもいいですか?」
美緒「ミーナとの同室が嫌なのか?」
シャーリー「みたいです」
ルッキーニ「うぅぅ……」ギュゥゥゥ
美緒「……好きにしろ。その代わり、ミーナにはきちんと話しておけよ」
108:
バルクホルン・シャーリーの部屋
ルッキーニ「ありがとっ!!シャーリー!!」ギュゥゥゥ
シャーリー「まぁ、嫌なもんは仕方ないしな」
ルッキーニ「シャーリー、すきー」
シャーリー「はいはい」
バルクホルン「――ただいま」ガチャッ
シャーリー「おう。おかえり。訓練飛行はどうだった?」
バルクホルン「まずまずだ。ハルトマンがもう少し真面目にやってくれればいいのだが……ん?」
ルッキーニ「うふふふ……シャーリー……」スリスリ
バルクホルン「ルッキーニ。ミーナが探していた。すぐに会いに行け」
ルッキーニ「えぇ!?」
シャーリー「ああ。いいんだ。もう話はつけたから」
バルクホルン「なに?」
シャーリー「ルッキーニはここの部屋になった。中佐にも話しておいたから」
バルクホルン「……何故、そんな勝手なことをする?私たちが宮藤たちにどう言い聞かせたかのか、忘れたのか?」
111:
シャーリー「だから、中佐にも許可を貰ったって」
バルクホルン「そういう問題ではない。クジで決まったことだろう?簡単に変更が許されるのか?」
シャーリー「バルクホルンだってリーネのことは許しただろ?」
バルクホルン「リーネは限界が来るまでハルトマンとの相部屋で良いと決断したから許容したに過ぎない。ルッキーニはまだ1秒たりともミーナとは過ごしていない」
シャーリー「ルッキーニが嫌だって言ってるんだから、見逃してやってもいいだろ?」
バルクホルン「シャーリー。午前中にやってきたことを、自分で全否定するのか?」
シャーリー「嫌ならいいだろって言ってるんだ」
バルクホルン「子どもじゃあるまいし、そんな理由が通じると思っているのか?」
シャーリー「たかが部屋割りだろ?」
バルクホルン「たかがだと?私は言ったはずだ。このような些細なことでも人間関係には亀裂が生まれる」
シャーリー「大げさだろ」
バルクホルン「大げさではない」
シャーリー「ミーナ中佐はそんなこと気にしないだろ?しっかり説明だってしたし、許可だってくれたんだからさ」
バルクホルン「少佐は気にしていた。ミーナが気にしていないという根拠はどこにある?」
ルッキーニ「あ……あぅ……」オロオロ
117:
シャーリー「とにかく、ミーナ中佐からの許可は出た。これでこの話はお終いだ」
バルクホルン「……リベリアン」
シャーリー「なんだ?」
バルクホルン「私はルッキーニ少尉との相部屋は許可できない」
シャーリー「……」
ルッキーニ「あ、あの、あたしは……部屋で寝ないしぃ……」
バルクホルン「そういう問題ではない。ルッキーニ少尉の着替えや荷物はここに置くことになるだろう?」
シャーリー「自室になるわけだしね」
バルクホルン「持ってきてみろ。私はルッキーニ少尉の私物を全て廊下に出す」
ルッキーニ「えぇ……にゃんで……」
バルクホルン「当然だ。ルッキーニ少尉はミーナ中佐がいる部屋と決まったんだ。ここに荷物を置くことは許さない」
シャーリー「あたしの領土に置いておく。それで文句は無いだろ?」
バルクホルン「この部屋はお前と私の領土だ。お前一人で決めていいことではないぞ、リベリアン」
シャーリー「なんでそういうこと言うかな。ルッキーニが可哀相とか、思わないのか?」
バルクホルン「思わないな。微塵も」
121:
シャーリー「……」
バルクホルン「睨んでも私は意見を変える気はない」
ルッキーニ「あ、あの……」
シャーリー「なら、お前が出て行け」
バルクホルン「ここは私の部屋でもある。出て行くつもりはない」
シャーリー「宮藤の部屋にでもいけよ。ミーナ中佐に掛け合ってくるから」
バルクホルン「ふざけるな。ミーナは関係ない」
シャーリー「あたしはルッキーニをこの部屋に招いた。ミーナ中佐は許可した。ルッキーニだって喜んでる。否定してるのは、お前だけだ」
バルクホルン「……」
シャーリー「文句があるなら、出て行けよ」
ルッキーニ「シャ、シャーリー……」
バルクホルン「……そうだな」
ミーナ「――トゥルーデ、シャーリーさん、いる?ルッキーニさんの私物を運んでほしいのだけれど……あら?なにか、あったの?」
バルクホルン「ミーナ。私の部屋割りを変更してくれ。ミーナのところか宮藤のところを希望したい」
ミーナ「え!?ど、どうしたの……?」
124:
バルクホルン「シャーリーとの同室はやはり、合わない」
ミーナ「そんな……でも……」
バルクホルン「ミーナは今、一人だろ?私がそちらに行こう」
ミーナ「それは嬉しいけど……」
バルクホルン「宮藤のところでもいいんだが、ミーナが一人なのは少々気にかかる」
ミーナ「あ……」
シャーリー「中佐。ルッキーニの私物はあとでとりにいくから」
バルクホルン「私が持ってきてやる」
シャーリー「余計なお世話だ。あたしがやる」
バルクホルン「……そうか」
ミーナ「トゥルーデ?どうしたの?」
バルクホルン「価値観の相違だ。育った国が違えばそういうこともあるだろう?」
ミーナ「そ、そうね……。シャーリーさん、あの、私物を運ぶのお願いできるかしら?」
シャーリー「了解。ルッキーニも手伝えよ」
ルッキーニ「う、うん……」
126:
シャーリー「よぉーし。これで全部か?」
ルッキーニ「うん……」
バルクホルン「……」ガチャ
シャーリー「……」
ルッキーニ「あ……大尉……あのね……」
バルクホルン「私物を取りに来ただけだ」
シャーリー「……」
バルクホルン「ふんっ」
ルッキーニ「あ……あ……」
バタンッ
シャーリー「全く。相手の気持ちを考えろとか言っておいて、よく言うよ」
ルッキーニ「シャーリー……よかったの……?」
シャーリー「なに不安そうな顔してるんだ?ルッキーニの部屋はここなんだからさ」ナデナデ
ルッキーニ「……」
シャーリー「まぁ、でも、ルッキーニは部屋に戻ってこないもんな。てことは、ここは殆ど一人部屋だな」
129:
夜 食堂
芳佳「リーネちゃん……様子が変じゃない……?」
リーネ「そ、そうだね……」
シャーリー「はむっ……」
バルクホルン「……」モグモグ
エイラ「なぁ、サーニャ。なんか、空気重くないか?私の気のせいか?」
サーニャ「気のせいじゃ……ないと思う……」
エーリカ「ぶぅーん」テテテッ
芳佳「ハ、ハルトマンさん……?!」
エーリカ「トゥルーデぇ。なんか、怖い顔してるけど、なんかあったぁ?」プニップニッ
バルクホルン「にゃににょにゃい。ふぉうふぉふふくは」
エーリカ「何もないって顔してないけどー?」
バルクホルン「――ごちそうさま。宮藤、今日も最高の味だった。また頼む」
芳佳「あ、ありがとうございます……」
ルッキーニ「うぅ……」
134:
シャーリー「宮藤、おかわり」
芳佳「あ、はい」
ペリーヌ「シャーリーさん?なにか、ありまして?」
シャーリー「ん?別になにも」
エイラ「いや、でも……」
サーニャ「異様な感じだったけど……」
シャーリー「あははは。気のせいだろ」
リーネ「気、気のせいですか。はぁ、よかったぁ」
芳佳「どうぞ、シャーリーさん」
シャーリー「ありがと。いやー。宮藤の料理はやっぱりうまいな」
芳佳「ど、どうも」
ルッキーニ「……」
ペリーヌ「ルッキーニさん?何かあったのでしょう?」
ルッキーニ「……あにょぉ……」
シャーリー「――ふぅー!!くった、くった!!さーて、部屋に戻るか。宮藤、おいしかったよ。サンキュ」
136:
エイラ「おい、ルッキーニ!!」バンッ
ルッキーニ「あにゃ!?」ビクッ
エイラ「何があったんだ?」
芳佳「絶対におかしいよ!!ルッキーニちゃん!!」
ペリーヌ「さぁ、知っていることは白状なさい。ルッキーニ少尉」
ルッキーニ「うぅ……」
サーニャ「みんな、そんなに一片に聞いたら可哀相だから」
芳佳「あ、ごめんね……」
ルッキーニ「……あのね……あたしがね……ミーナ中佐との相部屋は嫌だって……シャーリーに言ったの……」
リーネ「それでどうなったの?」
ルッキーニ「そしたらね、シャーリーは自分の部屋にきてもいいって……いってくれて……」
芳佳「え?」
ルッキーニ「そしたら、バルクホルン大尉とね……ケンカになって……」
エイラ「なんでケンカになるんだ?そんなことで」
サーニャ「エイラ、よく考えて。私たちもケンカになっていたことよ?」
140:
エイラ「あぁ……そうか……」
ペリーヌ「なんとなく分かりましたわ。要するにシャーリーさんがルッキーニさんの部屋割り変更を簡単に応じてしまったことで、バルクホルン大尉が怒ってしまった」
ペリーヌ「そういうことですわね?」
ルッキーニ「……うん」
芳佳「そっか。バルクホルンさん、クジで決まったことだからって私たちにも言ってたもん」
エイラ「そうだな。なのに目の前でそれを破られたから……」
ペリーヌ「それだけではないでしょうね。この場合」
リーネ「どういうことですか?」
ペリーヌ「想像してごらんなさい。恐らくですが、バルクホルン大尉とシャーリー大尉はわたくしたちを説得するまでは、殆ど同じ考えを持っていたのでしょう」
ペリーヌ「でも、ルッキーニさんを簡単に招きいれたことが、バルクホルン大尉の癪に障ってしまったんですわ」
ペリーヌ「バルクホルン大尉は大変真面目なかたですから、シャーリー大尉の矛盾した行動を許せなかったのでしょう」
芳佳「それは、ありえるかも……」
ルッキーニ「あたしのせいで……あたしのぉ……」
リーネ「ルッキーニちゃん……」
サーニャ「……」
142:
エーリカ「はいはいはい!!!」
リーネ「きゃぁ!!」
芳佳「ハルトマンさん!?なんですか!?」
エイラ「急に大きな声だすな!」
エーリカ「おかわり」
芳佳「え……?」
エーリカ「おーかーわーりー」
芳佳「あ、はい!!すぐに!!」テテテッ
ペリーヌ「あの、中尉?状況を考えてもらえませんか?」
エーリカ「なにが?あの二人が喧嘩なんて珍しくもなんともないのに、深刻になりすぎじゃない?」
サーニャ「でも、今回のはいつもの喧嘩とは違うような……」
エーリカ「一緒、一緒。明日になれば互いを罵りあいながらストライカーユニットのって、ビュンビュン飛んでるって」
エイラ「ホントか……?」
エーリカ「私が言うんだから、間違いないよ」
芳佳「お、おまたせしました!!」テテテッ
144:
芳佳ちゃん天使
145:
廊下
美緒「今日は宮藤が食事当番だったな」
ミーナ「ふふっ。嬉しそうね」
美緒「宮藤の料理は私の舌に良く合う」
ミーナ「うーん。確かにおいしいけど、もう少し辛味があってもいいかも」
美緒「……そうか?」
エーリカ「ミーナ!」
ミーナ「きゃぁ! な、なに?」
エーリカ「トゥルーデは部屋?」
ミーナ「さぁ……。見てないわ」
エーリカ「そっかぁ……」
美緒「何かあったのか?」
エーリカ「ミーナ。トゥルーデのことなんだけど」
美緒「バルクホルン?」
ミーナ「わかっているわ。一応、話をしてみたらとは言っておいたけど……」
148:
美緒「――なるほど。そんなことがあったのか」
ミーナ「私のミスみたいなものよ」
美緒「いや。ミーナだけの責任ではない。私も軽い気持ちで許可を出した」
ミーナ「そうだったの?」
美緒「私も同罪だな」
エーリカ「なんだよー。少佐もかー。じゃあ、どうする?」
ミーナ「そうね……」
美緒「しかし、今更ルッキーニの部屋割りを戻したところで意味はないだろうな。バルクホルンが気にしているのはそこではないのだから」
ミーナ「ええ」
エーリカ「トゥルーデも大人気ないよねぇ。シャーリーも甘やかせすぎだとは思うけど」
美緒「どちらかが折れるか、それとも互いに譲歩するか……」
ミーナ「何か、ないかしら?」
エーリカ「ま、放っておくのもいいかもね。二人だって子どもじゃないんだしさ」
美緒「無責任な方法でもあるがな」
ミーナ「はぁ……私がもう少し慎重になっていれば……」
150:
バルクホルン・シャーリーの部屋
シャーリー「ふんふふふふーん……♪」カチャカチャ
『シャーリーさん。いますかー?』コンコン
シャーリー「ん?いるよー。勝手にどうぞー」
芳佳「お、お邪魔します」
リーネ「シャーリーさん……あの……」
シャーリー「どうかした?ハルトマンとの相部屋はやっぱりキツいか?」
芳佳「シャーリーさん、バルクホルンさんの考えは分かってるんですよね?」
シャーリー「そっちか」
リーネ「どうして、こうなっちゃったんですか?」
シャーリー「どうしてもなにも、ルッキーニがイヤだって言ったから、あたしはミーナ中佐に話して、部屋割りを変えてもらったんだ。間違ったことはしてないだろ」
芳佳「そうですけど……でも……」
リーネ「なんとか……なりませんか……?」
シャーリー「……リーネたちが気にすることじゃないよ」
芳佳「そんなことありません!!気にしますよぉ!!」
153:
シャーリー「もういいだろ。出て行ってくれ」
芳佳「……諦めません」
シャーリー「え?なにを?」
芳佳「私、諦めないことには自信がありますから」
シャーリー「宮藤……」
芳佳「いこう!リーネちゃん!!」
リーネ「ど、どこに?」
芳佳「バルクホルンさんのところ!!」
リーネ「あ、う、うん!!」
シャーリー「お、おい!!宮藤!!」
シャーリー「はぁ……」
シャーリー「……なにやってんだ、あたし。バカみたいだな」
ルッキーニ「シャーリー……?」
シャーリー「ルッキーニ?どうした?今日はここで寝るのか?」
ルッキーニ「……うん」
155:
ミーナ・ルッキーニの部屋
バルクホルン「出て行ってくれ。その話はもう済んでいる」
ペリーヌ「でも……!!」
エイラ「サーニャも気にしてるんだ。仲直りしてくれ」
バルクホルン「部屋割りに関してはミーナが許可を出している。私が口を挟む余地はない」
ペリーヌ「いえ、そういうことではなくてですね……」
バルクホルン「ならば、なんだ?」
芳佳「――バルクホルンさん!!!」
バルクホルン「宮藤まで……」
芳佳「シャーリーさんは分かってくれます!!いえ、もう分かってます!!だから、一言だけ「言い過ぎた」って言ってください!!きっとそれだけで……!!」
バルクホルン「……宮藤の言うことでもそれは聞けない」
芳佳「でもぉ……」
リーネ「バルクホルンさん、みんな心配してるんです。だから……」
バルクホルン「この話は済んでいるんだ。全員、出て行ってくれ」
芳佳「あ、そんな……!!!バルクホルンさん!!!」
157:
廊下
芳佳「閉め出されちゃった……」
ペリーヌ「もう。バルクホルン大尉ももう少し、物事を柔軟に考えて頂きたいですわ」
リーネ「早く仲直りしてもらわないと……このままずっと……」
エイラ「そうだな。どんどん喋りにくくなるよな」
ミーナ「何をしているの?」
美緒「部屋に戻れ。お前たち」
芳佳「でも、バルクホルンさんのことが……」
美緒「二人のことは放っておけ」
ペリーヌ「い、いいのでしょうか……?」
美緒「人格者の二人だ。何も心配はいらん」
エイラ「えぇ……泥沼にならないかぁ?」
ミーナ「そんなことにはならないわ。絶対にね」
リーネ「芳佳ちゃん……」
芳佳「……なんとかしなきゃ。同じ仲間なんだから」
159:
バルクホルン・シャーリーの部屋
シャーリー「明かりけすぞー」
ルッキーニ「うん」
シャーリー「――さぁ、寝るか」
ルッキーニ「……ねえ、シャーリー?」ギュッ
シャーリー「んー?」
ルッキーニ「あたし、中佐の部屋に戻る……」
シャーリー「中佐が怖いんだろ?いいよ、無理せずにここにいろ。クジ引きで決まった部屋割りなんだし、不満が出ても当然だ」
ルッキーニ「でも……あたしだけだよね……我侭言ったの……」
シャーリー「いやいや。ペリーヌとエイラなんて酷いもんだったぞ?」
ルッキーニ「でも、もう納得してクジ通りの部屋にいるよね……?」
シャーリー「まぁな」
ルッキーニ「だから……あたしが……」
シャーリー「ルッキーニは関係ないよ。あたしがバカなだけなんだから」
ルッキーニ「え……」
161:
ミーナ・ルッキーニの部屋
ミーナ「トゥルーデ?シャーリーさんとは話したの?」
バルクホルン「……」
ミーナ「寝たフリしない」
バルクホルン「……まだだ」
ミーナ「する気は?」
バルクホルン「……ある」
ミーナ「なら、どうしてベッドで寝ているのかしら?」
バルクホルン「明日、話すつもりだ。今日は疲れた」
ミーナ「……明日、話すのね?」
バルクホルン「ああ」
ミーナ「そういうことなら、いいわ。おやすみ、トゥルーデ」
バルクホルン「おやすみ」
ミーナ「……ホントに話すの?」
バルクホルン「しつこいぞ、ミーナ。カールスラント軍人に二言はない」
164:
翌日 格納庫
シャーリー「――ルッキーニ。レンチとってくれ」
ルッキーニ「はい」
シャーリー「えーと……これがこうなってて……」
バルクホルン「……」
ルッキーニ「あ、大尉……」
シャーリー「……なんだ?」
バルクホルン「……」
ルッキーニ「えっと、あの……ごめんなさい」
バルクホルン「……」
シャーリー「……」
ルッキーニ「あ……あの……」オロオロ
バルクホルン「……っ」タタタッ
ルッキーニ「あ!大尉!!うじゅぅ……まだ、おこってるぅ……」
シャーリー「はぁ……もう……」
167:
食堂
芳佳「だからね。シャーリーさんとバルクホルンさんを同時にお風呂にいれちゃえば」
サーニャ「裸の付き合いで仲直り?」
芳佳「どうかな!?」
サーニャ「いけるかも、芳佳ちゃん」
エイラ「本当かぁ……」
芳佳「ですよね!?坂本さん!!」
美緒「ん?あぁ……」
リーネ「少佐?何をみているんですか?」
美緒「……いや。気になる二人が窓の外にいるのでな。目で追っていた」
リーネ「気になるって……」
芳佳「だ、誰ですか!!」
エイラ「もしかして、大尉たちか!!」
芳佳「あ!!ホントだ!!いる!!シャーリーさんとバルクホルンさんだ!!!」
美緒「何を話しているんだろうな……。いや、まだ話している様子はないか……?」
171:
シャーリー「なんか、話があったんじゃないのか?」
バルクホルン「……」
シャーリー「どうなんだよ?言いたいことがあるならはっきり言えよ」
バルクホルン「一つ訊きたい。何故、自分の意思を曲げた?」
シャーリー「曲げたつもりはないけど?」
バルクホルン「何を言っている、リベリアン。お前は……」
シャーリー「嫌なら部屋を変えてもいい。リーネにだって同じことはいっただろ」
バルクホルン「……」
シャーリー「あたしはルッキーニにも念を押して確認した。そこまで嫌かってな。で、イヤだって言ったから替えてもらった。何も曲げちゃいないだろ?」
バルクホルン「屁理屈だ」
シャーリー「バルクホルン。お前だってペリーヌとエイラに「部屋を替えたければ替えればいい」って言ったじゃないか」
バルクホルン「揚げ足をとるな」
シャーリー「……もういい。それじゃあな」
バルクホルン「……ふんっ。しるかっ」
ルッキーニ「あぁ……やっぱり、ダメだぁ……」
173:
食堂
美緒「どうやら、交渉決裂のようだな」
芳佳「よ、よぉーし!!こうなったらお風呂作戦しかないよ!!」
サーニャ「どうやって二人をお風呂にいれるかだけど」
芳佳「まずは私がバルクホルンさんをお風呂に誘うから、サーニャちゃんはシャーリーさんを誘い出して。それから――」
サーニャ「うん、うん」メモメモ
エイラ「うまくいくのかぁ、それぇ」
美緒「……よし」
リーネ「何か思いついたんですか?」
美緒「訓練に行こう」
リーネ「坂本少佐……」
美緒「リーネも走るか?はっはっはっはっは」
リーネ「いえ……」
美緒「そうか。残念だな」
エイラ「こんな状況でよくそんなことがいえるな」
175:
廊下
ミーナ「そう。まだ上手くいってはいないのね」
エーリカ「今回は長引くかもねぇ」
ミーナ「こんなときにネウロイの襲撃があったら……」
ルッキーニ「ちゅうさぁぁぁ!!!」
ミーナ「ルッキーニさん?どうしたの?」
ルッキーニ「あたし!!中佐の部屋に戻るぅ!!」
ミーナ「えぇ?」
ルッキーニ「だから、だからぁ……大尉とシャーリー、相部屋にしてぇぇ……」
エーリカ「どうする?」
ミーナ「トゥルーデはどういうでしょうね」
エーリカ「多分、ふざけるな!!っていうよね」
ミーナ「とにかく、話だけでもしてみましょうか」
エーリカ「無駄だと思うけどなぁ」
ルッキーニ「うぅぅ……もうあんなシャーリーみてられないよぉ……」
176:
バルクホルン「ふざけるな!!!」
エーリカ「あ、やっぱり言った」
バルクホルン「そんな話があるか!!何故、私がもう一度シャーリーの部屋に戻らねばならん!!!理由はあるのか!?」
ミーナ「……ルッキーニ少尉が私の部屋がいいと言っているからよ?」
バルクホルン「ルッキーニ……」
ルッキーニ「ひぃっ……」
バルクホルン「出て行かねばならないというなら、宮藤の部屋を希望する」
エーリカ「そこは3人部屋だろ?トゥルーデがいたら邪魔になるじゃん」
バルクホルン「だが……」
ミーナ「バルクホルン大尉!!」バンッ!
バルクホルン「……!」
ミーナ「これ以上、みんなを心配させないで」
バルクホルン「う……む……」
ミーナ「この一件は私にも責任があるわ。必要なら下げる頭も用意する。だから、今は……」
バルクホルン「……了解。これより、部屋を移る」
180:
バルクホルン・シャーリーの部屋
シャーリー「ふわぁぁ……」
ガチャ
シャーリー「ルッキーニ。遅かったなぁ。どこにいって――」
バルクホルン「……」ドサッ
シャーリー「なんだよ。その大荷物」
バルクホルン「……私の私物だ」
シャーリー「は?」
バルクホルン「ここに戻るように言われた」
シャーリー「ふぅん。そうか」
バルクホルン「昨日、変更になったばかりなのにな」
シャーリー「忙しいな」
バルクホルン「全くだ。ミーナの判断には呆れるばかりだ」
シャーリー「……」
バルクホルン「……」
181:
シャーリー「ふわぁぁ……」
バルクホルン「……」
シャーリー「……さっきから、どうしてあたしのこと見てるんだ?気になるからやめてくれよ」
バルクホルン「目線をどこにやればいいのか、まだわからないだけだ。別に見つめてはいない」
シャーリー「あ、そう」
バルクホルン「……」
シャーリー「……」
バルクホルン「こっちをみるなぁ!!!」
シャーリー「お前が見るからだろ」
バルクホルン「みていない!!視線が定まらないだけだ!!!」
シャーリー「はいはい。わかったから大声出すなって」
バルクホルン「全く……」
シャーリー「……なぁ。風呂でもいかないか?」
バルクホルン「……シャーリーがどうしてもというなら、断る理由もない」
シャーリー「それじゃ、用意しろよ。いくぞ」
183:
露天風呂
シャーリー「いやぁー。今日はいい天気だー」
バルクホルン「……そうだな」
シャーリー「宮藤の部屋に行きたかったんじゃないのか?」
バルクホルン「別にそんなことは考えていないが」
シャーリー「嘘つけよ」
バルクホルン「本当だ。確かに強いて言うなら、宮藤との相部屋を望んだだけで……」
シャーリー「お前、嘘つけない体だな」
バルクホルン「ふんっ」
シャーリー「行って来いよ。今なら、簡単だろ?あたしと同室は嫌だって言えるんだし」
バルクホルン「そんなことを言ってみろ。今度は宮藤たちが泣き出すぞ」
シャーリー「あぁー……そうかもなぁー」
バルクホルン「私は、宮藤のそんな姿を見たくはない」
シャーリー「リーネとかも心配してたからなぁ」
バルクホルン「全員だ。いや、ハルトマンはどうでもよさそうな態度だったが……」
184:
シャーリー「なぁ、なぁ」
バルクホルン「なんだ?顔が近い」
シャーリー「なんで、あんなに怒ったんだ?」
バルクホルン「本気で訊いているのか?」
シャーリー「割とマジで。ルッキーニが嫌いってわけじゃないんだろ?」
バルクホルン「だから、ルッキーニのときだけ、お前が考え方を変えてしまったからで……」
シャーリー「変えてないって言ってるだろ?」
バルクホルン「いーや。変えた。お前はクジで決めた部屋割りで納得するべきだという思想だったはずだ!!!」
シャーリー「あー?誰がそんな思想を持ってるって言ったんだ?」
バルクホルン「宮藤のときにそういっていただろう!!!」
シャーリー「言ってないだろ。あれは宮藤の考えを後押ししただけだ」
バルクホルン「詭弁だ!!そんなものは!!!」
シャーリー「いい加減にしろよ。私の勝手な勘違いでしたって、認めればあたしも気分よく許せるんだぞ?」
バルクホルン「何故お前が許す立場なんだ。許してもらうほうだろうに」
シャーリー「おいおい、バルクホルン大尉殿?いくらなんでもそれはないでしょう?えぇ?なんであたしが許される側なんだ。あたしはなにも悪くないだろ?」
185:
脱衣所
サーニャ「芳佳ちゃん。ごめんなさい。見当たらなくて……」
芳佳「私もバルクホルンさんにあえなかったよぉ」
サーニャ「どこに行ったのかな……」
芳佳「うーん……」
美緒「なんだ。お前たちも風呂か」
芳佳「坂本さん。いえ、そういうわけじゃ――」
「ふざけるな!!!」
「そっちこそ!!!」
美緒「ん?」
芳佳「この声……」
サーニャ「芳佳ちゃん」
芳佳「う、うん!!見に行ってみよう!!!」
美緒「こら、風呂に入るなら、服を全部脱げ」
芳佳「あ!!すいません!!」スルッ
187:
芳佳「バルクホルンさん!?いるんですかぁ!?」
サーニャ「シャーリー大尉……?」
美緒「……なんだ。仲が良さそうだな」
バルクホルン「お前のその思考回路はどうなっている!!!何故、責任が私に帰結するんだ!?」ググッ
シャーリー「おまえが……意地張らなきゃハッピーエンドだったんだろうがぁぁ……!!!」グググッ
バルクホルン「そもそもルッキーニ少尉を引き取ろうとしたのが間違いだろ……!!!」
シャーリー「ルッキーニはイヤだって言ったんだから……いいだろう……!!!」
バルクホルン「いいわけあるかぁ……!!!」
芳佳「と、とめないとぉ!!!」
美緒「必要はない」
芳佳「で、でも!!」
サーニャ「芳佳ちゃんの作戦、実行できてるから平気だろ思う」
芳佳「あ!!ホントだ!!裸のお付き合いしてる!!」
シャーリー「あやまれぇぇ……!!!」
バルクホルン「お前がなぁぁ……!!!」
190:
美緒「はっはっはっはっは。どうやら仲違いは解決したようだな」
バルクホルン「少佐!!いや、まだ終わっていない!!!」
シャーリー「そうだ!!とめないでくれ!!!」
美緒「止めるに決まっているだろ」
バルクホルン「何故だ!?宮藤は理由にならないぞ!!!」
シャーリー「どうしてそんな嘘をつくんだ?」
美緒「――すまなかった」
バルクホルン「少佐……」
美緒「シャーリーの提案を安易に認めてしまい、いらぬ誤解を生んでしまったことには謝罪するほかない」
シャーリー「ああ、いや。あたしもあのときは深く考えてはいなかったし……」
バルクホルン「やはりか」
シャーリー「そう言う意味じゃない。こうなるとは思ってなかったって意味だよ」
バルクホルン「少し考えれば分かるはずだがな」
シャーリー「さっきからなんだ?ケンカ売ってるなら買うぞ?」
芳佳「やめてくださいっ!!!二人とも!!」
191:
バルクホルン「宮藤……」
芳佳「ケンカなんてしないでください……おねがいですから……」
シャーリー「あぁ……もうしないよ」
サーニャ「よかった……」
美緒「にしても、クジでの部屋割りがそもそもの原因だったわけだから、やはり私が一番悪いのだろうな」
芳佳「そんなことないですよぉ!!」
美緒「いや、ある。リーネは精神的な負担が多かったようだし、私も含め全員が騒いでいた」
美緒「私の責任だ」
バルクホルン「少佐……」
美緒「これからもう一度、部屋割りを決めなさそうと思うのだが、どうだ?」
シャーリー「え……?」
美緒「今度はきっちりと話し合いで決める。パートナーの相性も加味した上でな」
バルクホルン「……」
シャーリー「まぁ、みんながいいっていうなら……」
美緒「そうか。では、湯に浸かったあとで全員を招集しようか」
193:
ブリーフィングルーム
ルッキーニ「みんなぁ!!ごめんなしゃぁい!!!わたしがわがままいったからぁ!!」
シャーリー「もういいってルッキーニ。誰も怒ってないんだから」
ルッキーニ「だけどぉ……」
バルクホルン「ルッキーニ少尉」
ルッキーニ「は、はい」
バルクホルン「反省しているな?」
ルッキーニ「うん」
バルクホルン「ミーナのこと、嫌いではないな?」
ルッキーニ「え?」
バルクホルン「どうなんだ?」
ルッキーニ「き、きらいじゃないです……こわいだけ……」
バルクホルン「……そうか。ならいいんだ。私も安心した。ミーナはまぁ、確かに怖いが、普段はそうでもないだろう?」
芳佳「(リーネちゃん、もしかしてバルクホルンさんが怒ってたのって……)」
リーネ「(うん。ルッキーニちゃんが相部屋を拒否したことでミーナ中佐が傷ついたかもしれないと思ったからっていうのもあるのかもね)」
194:
美緒「皆、集まっているな!!」
ミーナ「もう一度、部屋割りを決め直すことにしました」
エイラ「またクジか?」
美緒「いや。公平を期すためにやったことが裏目に出たために、今度はじっくりと話し合うことにした」
エイラ「そうかぁー。サーニャ――」
サーニャ「芳佳ちゃん、一緒になろう?」
芳佳「え?いいの?リーネちゃんはどうする?」
リーネ「うん。私も芳佳ちゃんとなら……」
エイラ「サーニャぁぁぁ……!!!」
エーリカ「リーネ。私を見捨てるつもりかぁ」
リーネ「えぇぇ?!そんなつもりじゃ……!!」
ペリーヌ「さ、坂本少佐!!わたくしと!!わたくしと褥をご一緒してください!!」
バルクホルン「誰でもいいだろうが。落ち着いて話し合え。――それはそうと宮藤。たまには上官と相部屋なんていうのもいいのではないか?」
宮藤「え?」
シャーリー「おー。宮藤。あたしと相部屋でいいよな?」
196:
芳佳「ちょっと待ってください!!!」
美緒「おーい。同室の相手が被ったときは、公平にクジで決めるからな」
エイラ「そこでクジかよぉ……」
美緒「ああ。宮藤と同室を希望する者は?」
リーネ「……」バッ!!
バルクホルン「……」バッ!!!
サーニャ「はい」
シャーリー「あたしも」
美緒「では、私も含めて5人でクジをひくか」
芳佳「あの!!私の意見は!?」
美緒「誰がいいんだ?」
芳佳「……選べません!!!」
美緒「クジでいいな?」
芳佳「はい」
美緒「さあ、全員引け。早い者勝ちだぞ。はっはっはっはっは」
197:
そこでクジかよww
198:
美緒「――では発表する」
バルクホルン(宮藤……宮藤……宮藤……宮藤……宮藤……宮藤……!!!)
美緒「紙に丸印が描かれていた者!!起立!!!」
サーニャ「はい」ガタッ
バルクホルン「……」
エイラ「サーニャ……」
サーニャ「なに?エイラ?」
エイラ「そんなに私はいやかぁ……?」
サーニャ「一部屋は3人部屋だから、エイラと芳佳ちゃんと私で一緒に寝よう?」
エイラ「サーニャぁ……!!!」ギュゥゥゥ
サーニャ「芳佳ちゃん。よろしくね」
芳佳「うん。こちらこそ」
リーネ「……」
エーリカ「リーネ。私と一緒に住もう」
リーネ「……はいっ。よろしくお願いします」
201:
美緒「ふむ。では、私は……」
ペリーヌ「さ、さ、さかもとしょうさぁ……ぜ、ぜひ、わたくしとぉ……!!」
美緒「ミーナは誰か希望する者はいないのか?」
ミーナ「そうねぇ……」
ルッキーニ「ミーナぁちゅうさぁ!!!」ギュッ
ミーナ「あらあら。どうしたの?」
ルッキーニ「ちょっと怖いけど……。あたし、ミーナ中佐とがいい!!それで、中佐のこともっとすきになるからぁ!!」
ミーナ「そう。というわけで、私はルッキーニさんとにするわね」
美緒「そうか……」
ペリーヌ「さ、さささ、さかもとしょうさぁ……わ、わわ、わたくしとぉ……」
美緒「ペリーヌ?相手がいないのか?」
ペリーヌ「は、はい……お、おお、おりません……!!」
美緒「……仕方ない。ペリーヌ、私と相部屋でいいか?」
ペリーヌ「もっちろんですわぁぁぁ!!!!」
美緒「はっはっはっはっは。よぉし。さっさと荷物をもってこい!!」
202:
シャーリー「なんだよー。ルッキーニまで裏切ったかぁ?」
バルクホルン「ハルトマン……何故、リーネだ……」
シャーリー「ん?」
バルクホルン「む……」
シャーリー・バルクホルン「「少佐!!」」
美緒「どうした?」
シャーリー「もう一度決めなおしてほしいんだけど!!」
バルクホルン「こんなことあってはならない!!!」
美緒「相性からいっても適正だろう。お前達は」
シャーリー「えぇ……?」
バルクホルン「できれば宮藤とが……!!!」
芳佳「バルクホルンさん!!」
バルクホルン「宮藤!!」
芳佳「お二人はとってもお似合いですよ」
バルクホルン「……ありがとう」
203:
宮藤・エイラ・サーニャの部屋
エイラ「宮藤!!こらぁ!!サーニャのベッドでなにしてるんだ!?」
芳佳「だって、こうしないとベッド二つしかないですし……」
サーニャ「芳佳ちゃん、あったかい」ギュッ
芳佳「サーニャちゃん、くすぐったいよぉ」
エイラ「サーニャぁぁ!!!!わたしもまぜてくれー!!!」
サーニャ「あ、エイラ。狭い……」
エイラ「宮藤!!サーニャを挟んでねるぞ!!」
芳佳「サーニャちゃん、大丈夫?」
サーニャ「うん……エイラと芳佳ちゃんに挟まれていると安心するから……」
芳佳「そうなの?」
サーニャ「うん」
エイラ「サーニャ……サーニャ……」スリスリ
サーニャ「エイラ……変なところ……さわら……あっ」ビクッ
芳佳「……サーニャ可愛い……わたしもちょっとだけ……」
206:
ミーナ・ルッキーニの部屋
ルッキーニ「さーて、ねよーっと」
ミーナ「どこにいくの?」
ルッキーニ「え……。あの……」
ミーナ「私のこと、好きになってくれるのでしょう?」
ルッキーニ「あ、う……」
ミーナ「ほら、いらっしゃい」
ルッキーニ「……あのね。ホントは」
ミーナ「分かってるわ。シャーリーさんとトゥルーデを一緒の部屋にしたかったのよね?」
ルッキーニ「うん……」
ミーナ「大丈夫よ。今更、ルッキーニさんに言うことなんてないもないから」ナデナデ
ルッキーニ「中佐ぁ」
ミーナ「ただ、いつも裸に近い状態でハンガーにいたりするのはどうしてなのかしら?」
ルッキーニ「ひぃ!!」
ミーナ「ルッキーニさんはもう少し自身の立場を理解したうえで公共の場に――」
207:
ハルトマン・リーネの部屋
エーリカ「すぅ……すぅ……」
リーネ「……あの。ハルトマン中尉」
エーリカ「うぅん……?」
リーネ「ハルトマン中尉のズボンが私のジークフリート線を侵してます!!!どうにかしてください!!」
エーリカ「……あぁ。ごめんごめん」ヒョイ
リーネ「……」
エーリカ「すぅ……すぅ……」
リーネ「中尉!!」
エーリカ「もーなにぃ?」
リーネ「部屋の片づけをしてくださいっ」
エーリカ「やらなきゃだめ?」
リーネ「だ、だめです」
エーリカ「……リーネやっといて」
リーネ「はいっ!!がんばります!!……あれ?」
208:
坂本・ペリーヌの部屋
美緒「そろそろ寝るか」
ペリーヌ「は、ははは、はい!!」
美緒「しかし、ペリーヌ。どうして自分のベッドを使わない?」
ペリーヌ「ちょっと……寝心地が悪くて……」
美緒「そうなのか?では、私がそちらのベッドを使おう」
ペリーヌ「いえ!!坂本少佐がそんあ粗悪なベッドを使うことはありませんわ!!!」
美緒「しかしだな。私と寝るなど……」
ペリーヌ「少佐ぁ……」ギュゥゥ
美緒「いいのか?このままで?」
ペリーヌ「後悔はしませんわ……」
美緒「はっはっはっは。相変わらず不思議なことばかりをいうな、ペリーヌは」
ペリーヌ「……」
美緒「ん?ペリーヌ?どうした?もう寝たのか?……おやすみ、ペリーヌ」
ペリーヌ(もう明日には死んでも構いませんわ……!!!少佐ぁ!!愛してますわ!!!)
209:
バルクホルン・シャーリーの部屋
バルクホルン「どうして、またシャーリーと同室になる?」
シャーリー「あたしが聞きたい」
バルクホルン「クジならまだ諦めがついたものを……!!!」
シャーリー「もう決まったことだからいいだろ?」
バルクホルン「……今更文句を言っても意味はない。それは正しい」
シャーリー「でも、残念だったな。あたしかお前が宮藤を引き当てていれば、今頃、ここに宮藤がいたんだけどな」
バルクホルン「どういう意味だ、それは?」
シャーリー「あれ?そういう魂胆じゃなかったのか?」
バルクホルン「それはつまり、どっちにしろ私を……選んでいたのか?」
シャーリー「違うのか?」
バルクホルン「……」
シャーリー「……」
バルクホルン「……否定はしない」
シャーリー「ははっ。素直に言ってくれよ」
210:
バルクホルン「だが!!宮藤と結ばれていれば!!私はきっと宮藤との蜜月を……!!!」
シャーリー「はいはい。それより、今日いえなかったことがあるんだけどさ」
バルクホルン「いえなかったこと?」
シャーリー「一応、言っておかないと気持ち悪いからな」
バルクホルン「なんのことだ?」
シャーリー「……おかえり」
バルクホルン「なっ……!!!」
シャーリー「……」
バルクホルン「た、ただいま……」
シャーリー「よし。寝るか」
バルクホルン「そうだな」
シャーリー「それじゃ」
バルクホルン「ああ……」
――おやすみ.。
END
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