男「あれ、一人足りなくね?」back

男「あれ、一人足りなくね?」


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1:
友『だからさ、同窓会しようぜって話なのよ』
男「それは分かったけどさ、何で俺にそんな話をするんだよ」
友『そりゃお前、元学級委員だろ?学級委員が同窓会企画するのは普通だろ』
男「・・・お前、俺に面倒なところ全部押し付けたいだけだろ」
友『ま、まさか。そんなわけないじゃあないか。ははは』
男「・・・。まあいいや、俺の久しぶりにみんなには会いたいと思ってたし、今回は口車に乗ってやるよ」
友『おお、それでこそ元委員長だぜ。んじゃ頼むなー』
(通話終了)
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3:
男「・・・とはいえ、もう随分前のことだから色々忘れてるんだよな」
男「ええと、とりあえず全員の名前を番号順にリストアップしてくか。全員思い出せればいいけど」
・・・
男(ダメだこりゃ・・・半分近く名前が思いだせん・・・。こりゃ一人じゃ無理そうだな)
男「ええと、確かあいつの番号はまだ登録してあるはずだけど・・・ああ、あった」
4:
男「ってわけでさ、同窓会をやることになったんだが、名前が半分くらい思い出せないんだよな」
女『なるほどね、それでウチに連絡してきたってわけ』
男「ああ。お前昔から記憶力良かったしさ」
女『ていうかあんたが薄情すぎ。半分も覚えてないって結構ひどいと思うよ』
男「まあ自覚はあるけどさ、ほら、俺昔から仲良くなる奴少なかったじゃん?」
女『まあそうだったけど。それで具体的に誰を思い出せない・・・というより、誰を覚えてるの』
男「ええと、出席番号一番はあいつだよな、秋村。二番は誰だった?」
女『石峰くんでしょ。で三番が置田くん』
男「ああ、石峰に置田か。懐かしいな」
6:
・・・
男「で十三番が佐々木さんで、その次誰だっけ?」
女『・・・佐々木さんの次は、ええと・・・』
男「あいつだよな、あの不思議な雰囲気の」
女『不思議というか、独特の雰囲気だったよね。本郷くんとかとよく絡んでた』
男「そうそう。あまり目立つタイプのグループじゃなかったけど、そこにいたあいつ」
女『あれ、でも名前が出てこないな・・・。雰囲気はすぐ思い出せるんだけど』
男「俺もだ。つーか顔も思い出せねえ。確かにいたはずなんだけどな・・・」
7:
女『ダメだ、ウチも思い出せない。そんなに話してた記憶も無いなあ』
男「だな・・・。本郷に聞いたほうが早いかな」
女『そうだね、申し訳ないけどその方がいいかも』
男「じゃあ十四番は空けといて、他埋めちまおうか」
女『他は大体覚えてると思うんだけど・・・。なんか自信なくすなあ』
男「まあもう十年位前のことだし、忘れちまうのも仕方ねえさ」
女『そういえばあんたはあのクラスメイトの中で連絡取り合ってる人いるの?友君以外で』
男「ほとんどいねえな、ていうか定期的につるむのはあいつだけだし。地元に残ってれば違ったかもしれないけど」
女『ふうん。じゃあ無理も無いか・・・』
8:
・・・
女『これで埋まったかな』
男「ああ、件の十四番以外はこれで」
女『うーん、思い出せないなあ。すごいイライラする』
男「本郷と、あと誰と一緒にいたっけか」
女『菊池君とか、後ろに座ってた鈴木さんとかじゃない?』
男「ああ、そうかそうだったな。その辺は覚えてるんだけど、どうにも顔と名前が思い出せないな」
女『だねえ。とりあえず本郷くんや菊池くんに連絡とってみたらいいんじゃない?』
男「てことは、先生にも一回連絡してみないとダメだよな。せっかくの同窓会だし」
女『一石二鳥じゃん。先生も呼べて、本郷グループにも連絡取れるし』
男「この時間ならまだ学校やってるよな。じゃあ電話してみるわ」
9:
・・・
?『はい、●●中学校です』
男「あ、すいません私十年前の卒業生なんですが、××先生はまだそちらに勤務されてますか?」
?『ええと、××先生ですか?確認してみますね』
男(確認?)
男「はい、お願いします」
?♪
男(確認てことは、やっぱり異動しちまったかな。だとすると面倒だな・・・)
10:
?『お待たせしました、××先生は二年前に退職されてますね』
男「え?退職?異動じゃなくて?」
?『ええ、突然の事だったのですが、一身上の都合ということでした』
男「退職かあ・・・。いや実は同窓会をやろうとしてるんですが、ぜひ先生にも来てもらいたくて」
?『ああ、そういうことですか・・・。でしたら、先生のご住所をお知らせしますよ。番号はこちらでも分からないんです』
男「住所、ですか。分かりました、じゃあお願いします」
11:
女『退職?』
男「ああ、もう教師やめちまったみたいだな」
女『ふうん・・・。そんなに歳じゃなかったと思うんだけど』
男「一身上の都合てことは何かあったんじゃねえかな。とにかく住所もらったからよ、次の土日、そっち帰るわ」
女『え?手紙出せばよくない?』
男「面倒だし、十四番の事もあるし。ついでに、親が帰って来いってうるさいんだ」
女『ああ、そういうこと・・・。わかった、じゃあ結果分かったら教えてね』
男「ああ、じゃあまた」
13:
土曜日 13:08
男「ええと、ここ・・・だよな」
男(なんか、随分荒れてねえか?けっこう立派な家なのに、手入れがされてねえ・・・)
男(先生のイメージとは違うけど、まあとにかく呼び鈴を・・・)
呼び鈴(沈黙)
男「・・・壊れてる?おいおいマジかよ」
男「すいませーん、ごめんください」
「・・・」
男「留守か・・・?」
14:
?「キミ」
男「え?って、うわ」
警官「うわとはなんだうわとは」
男「あ、いえ驚いたもので、すいません」
警官「ここの家の人の知り合い?セールスには見えないけど」
男「知り合いって言うか、ここ先生の家なんですよ。母校に電話したらここだって言われたんで」
警官「・・・そうか、確か教師だったものな。じゃあキミは何も知らないんだね」
男「え?」
警官「いいかい、落ちついて聞いてほしいんだけど、ここの住人、キミの先生は、」
警官「去年殺されている」
15:
男「・・・」
警官「それいらいこの辺の治安はすごく悪くてね、こうして定期的にパトロールをしてるんだけど」
男「殺された?」
警官「うん、殺人の被害にあっている。犯人はまだ見つかっていない。わりと大きく報道されたんだけど、知らない?」
男「あの、県外にいるもので」
警官「ああ、そういうことか。じゃあ図書館で新聞を見てみるといい。去年の今頃のことだから」
男「え?ちょっと待ってくださいよ、ホントですか」
警官「信じたくないのは分かるけど、ホントの事だ」
17:
女『殺された?』
男「ああ、そうらしいんだけどお前知らなかったか?」
女『ウチも初耳だけど、え?ホントなの?』
男「寝耳に水だけど、ググって見たらホントに出てきた。しかも、随分妙な感じだ」
女『え?』
男「あ、いやなんでもねえ。けどこれじゃ同窓会どころじゃねえよな」
女『うーん、そうなんだけど、こっちも気になることがあるんだ』
男「気になること?」
18:
女『三島くんは覚えてるよね?』
男「ああ、愛され男、三島な。あいつは忘れねえよ、中心人物だったし、あいつの『歩くギャグセンス』ってあだ名は俺がつけたんだし」
女『そうそう、その『歩くギャグセンス』だったら本郷君たちの連絡先知ってるんじゃないかと思って連絡してみたんだけど』
男「なるほど、確かにあいつならクラス全員の連絡先知ってそうだもんな」
女『それが菊池くんにも、鈴木さんにも連絡つかないんだって』
男「おいおい、ピンポイントにあの辺につながらねえのかよ。で本郷は?」
女『それが、三島くんがいうには本郷くん、行方不明だって』
男「は?」
21:
女『ちょうど一年位前、本郷くんの親御さんから連絡が来たそうなんだけど、行方に心当たりは無いかって』
男「行方不明?失踪したってことか?」
女『うん。捜索届けも出てるんだけど、いまだに音沙汰が無いって三島くんが』
男「なんだそりゃ、家出かよ」
女『詳しいことはわからないけど・・・』
男(先生が死んでて本郷が失踪?推理小説じゃねんだからよ・・・)
22:
男「・・・まあそういう感じに今なってる」
友『おいおいおいおい、そりゃお前まさか、先生を殺したのが本郷だっつーことか?』
男「いやそうじゃねえよ。そりゃ飛躍のしすぎだ。とにかく、同窓会どころじゃなさそうだぞ」
友『いやそうも言ってられねえだろ。むしろそれならなおの事やらねえと』
男「は?」
友『やっぱり忘れてやがったか。埋めただろ、タイムカプセルを、十年後に開けるっていって』
男「タイムカプセル?」
友『お前そこからか?埋めただろ、校庭の隅に』
24:
男「いや、マジで覚えてない」
友『先生も埋めてたし、本郷の奴も埋めてただろ。そんな状況なら掘り起こすべきだろ』
男「タイムカプセル・・・。そんなのあったか・・・?」
友『あっただろ、しっかりしろよ委員長。ほらあいつ、あの、いつも静かだったあいつの提案だろ』
男「誰だって?」
友『あいつだよあいつ、あの青白い顔して本郷たちとつるんでた』
男「!出席番号十四番のあいつか?」
友『それは覚えてねえけどさ、いただろ?顔と名前は思い出せねえけど』
25:
男「校庭の隅に、彼の提案で埋めたんだな?」
友『ああ、それは間違いねえ。いつも物静かなあいつが率先してやってたからな、お前もかんでただろうに』
男「そう・・・だったか?」
友『ああ、「いつも寡黙な奴がやってくれるのはこっちとしても嬉しい」とか先生ともどもいってたぞ』
男(・・・まるで覚えてない)
友『とにかく、同窓会はやるぞ。俺のほうでも出来る限り連絡してみるからよ、頼むぜ委員長』
男「あ、ああ」
男(・・・)
26:
男(先生の死にかたってのが気になるんだよな)
インターネットニュース (一年前の日付)
『男性変死 死後一週間以上経過か』
『昨日近隣住民から「異臭がする」との通報を受け、警察が駆けつけたところ、この家に住む五十代男性が和室で変死しているのが見つかった。
警察によると死因は首を絞められたことによる窒息死ということ。現場は閑静な住宅街で、付近にはバラバラになった卒業アルバムらしきものが大量に見つかったとのこと。・・・」
男(・・・卒業アルバムがなんでバラバラになってんだ?)
29:
同日 16:02 実家 自室
男「卒業アルバムなんてどこにしまったかわかんねえな、くそ・・・」
男(はっきりしてるのは、先生が死んだことと本郷が行方不明ってこと、あとは俺含めて三人とも十四番のことを覚えてないってことだ)
男(あとはタイムカプセルか・・・。これに関しては俺は一つも覚えてないから何ともいえんが・・・)
男「これ、は小学校のアルバムか。くそ、これじゃねえんだよ」
31:
母「卒業アルバム?さあ、私は見てないけど」
男「だよなあ・・・。どこにしまったのか全然思い出せねえ」
母「押入れとかじゃないの?それより、先生には会えたの?」
男「いや、その。会えなかった」
男(さすがに殺された、なんていえねえよなあ・・・)
母「ふうん、残念だね。同窓会やるんだろ?」
男「たぶんね。どうなるか分からないけど」
男(どこに行っちまったんだ、卒アル・・・)
34:
男 携帯(着信)
男「ん?ああ、あいつか」
女『もしもし、ウチだけど』
男「ああ、何か分かったか?」
女『進展は何もしてないんだけど、その、ちょっと不気味って言うか』
男「何がだ?」
女『ウチが今連絡取れる子達に同窓会の件の連絡回すのに、ついでにあの子のことも訊いてみたんだけど』
男「あの子・・・、十四番か?」
女『うん。そしたら、その、誰も顔も名前も覚えてないって』
男「え?」
女『誰一人、覚えてないの。いたってことだけはみんな覚えてる。けど、それ以上のことは何も』
男「あ、あんだけ人数いて誰も?」
35:
男「ウチのクラスって三十何人いたよな」
女『うん。連絡ついたのは十人くらいだけど』
男「そこに俺やお前、友の奴を含めると約半分だぞ?それで一人も覚えてない?」
女『いくらなんでもおかしいよね?それで今卒アル調べようとしてるんだけど』
男「ああ、俺もだ。けどどこにしまったのか全然思い出せなくて」
女『ウチも。もう十年前のだし、どこに入れちゃったのか』
36:
男「今まさに押入れひっくり返してんだけど・・・、あ」
女『え?』
男「あった。卒アル」
女『ホント?これで十四番の事思い出せるよね』
男「だといいんだけど、相変わらず『そこにいた』って事しか覚えてねえし・・・」
女『・・・』
男「3-4・・・。このページだ」
男(懐かしいけど、なんだろう、このいやな感じ・・・)
男(真っ先に目に入るのは先生だ。まだ生きていた頃の。部活の顧問をしていた流れで、筋肉は隆々だな)
39:
男(佐々、佐々木、そして・・・)
男「・・・は?」
女『どうしたの?』
男「・・・なあ、確か、あいつは佐々木さんの次で鈴木さんの前、だよな」
女『う、うん。十四番だから、そうだよ』
男「・・・」
男(じゃあ、これは何の冗談なのだろう)
男(卒アルがバグってるとしか思えない。そうでなければ、これはありえない)
男(十四番目にいなければいけない存在が、この卒アルには・・・)
男「載ってない・・・。いなかったことになってる・・・」
40:
球磨川みたい
http://www.amazon.co.jp/dp/4088708040/
41:
日曜日 08:32 男自宅
男「お、おう、久しぶり・・・」
女「何その反応。どういうこと」
男「いや、なんつーか雰囲気変わったなあと」
女「何それ、そりゃ十年ぶりだし少しは変わるよ。それで、昨日の話だけど」
男「ああ。部屋にある。何回見ても佐々木さんの次の写真は鈴木さんだ」
42:
女「・・・確かに、いないね。集合写真にも載ってない」
男「そんなのありえねえよな。なまじあの体育会系の先生だ、はぶりなんてやったら・・・」
女「そもそも彼は確かに目立たない感じの子だったけど、いじめられては無かったと思う。先生や三島くん、あんたがそんなの許さないだろうし」
男「まあそうだけどさ、けど実際この卒アルには写ってないよな」
女「乱丁の可能性、もなさそうだもんねこれ。それにもし乱丁なら、」
男「ああ、多分もらったその日に気がついてる。いくらなんでも気がつかないはずが無い」
女「てことは、最初から乗ってなかったっていうのが正解なのかな」
男「だとしたらもっと変だ。気がつかないわけがないのに、誰も気がついてないなんて変だろ」
女「どういうこと、なんだろうねこれ」
44:
男「確かにあいつはいた、よな」
女「うん。二、三回なら話したこと、あったと思う」
男「ああ、俺も内容は覚えてないけど会話したってのは覚えてる。・・・顔は全然出てきてないけど」
女「うん、なんかこう、印象は覚えてるんだけど、他がどうにも・・・」
男「で、先生も本郷も連絡不能か」
47:
女「それでまた昨日の話なんだけど、」
男「ああ、鈴木さんが今は一人暮らしをしているって話だろ。しかもここから歩いて十五分だとか」
女「うん、彼女とは高校まで一緒だったから、大学に入ってしばらくした後も連絡を取り合ってたんだ。今もそこに住んでるはずなんだけど・・・」
男「問題は三島にも連絡がつかないってことだな、今何してるのかはわからねえ」
女「さすがに日曜日の朝なら家にいると思うんだけど・・・」
男「行ってみないと話が前にすすまねえもんな」
女「うん、行くべきだと思う。なんかこう、いやな感じがするし」
男(・・・それについては同感だ。何か、まとわり付くようないやな感じがする)
49:
移動中(徒歩) 男自宅→鈴木宅
男「同窓会やるって話から随分脱線しちまったよな」
女「うん、でもまさか、あのクラスメイトや先生にそんな変化あったなんてね」
男「さっきのお前じゃねえけど、十年経ったら多少は変わるのは分かるけど・・・」
女(・・・)
男「なあ、お前、タイムカプセルのこと覚えてる?」
女「え?」
男「いや、友が埋めたっていうんだよ。俺全然覚えてないんだけどさ」
女「タイムカプセル・・・」
54:
女「あった・・・ようなきもするけど・・・」
男「覚えてないか?」
女「ええと・・・ちょっと待ってよ・・・」
男「俺はまったく覚えてないんだが、友曰く、例の十四番が企画したとか何とか」
女「・・・企画・・・」
男「ああ」
女「・・・そう、あった。あったよタイムカプセル」
男「マジか・・・。ホントにあるんだな・・・」
56:
女「けどいわれるまでまったく覚えてなかった・・・。そういえば埋めたよ、校庭の隅に」
男「あいつ先導で?」
女「うん、確かそうだった。本郷くんやあの辺の人たちも一緒になってたよね」
男「そう、だったか・・・」
女「でも何を埋めたのかは覚えてない・・・。埋めたってことは思い出したけど」
男(てことは、やっぱり俺は薄情なんだろうな・・・)
男「まあいい、それを掘り起こすのも考えなきゃならないけれど、まずは十四番の件だな」
女「あ、ここを曲がればもう着くよ」
59:
男「絵に描いたようなアパートだな」
女「なにそれ、アパートなんてこんなもんでしょ」
男「まあそれもそうだな。まだここに住んでればいいけど」
女「それに関しては行ってみないと・・・。引っ越してても、大家さんに聞けば引越し先は分かるし」
男「それもそう、だな・・・。何号室?」
女「ん、ここ。チャイムならすね」
(呼び鈴)
男「・・・」
女「・・・」
63:
男「・・いない?」
女「うん、反応は無いね・・・」
男「日曜の朝にいないってのは妙だな」
女「寝てる・・・とか?」
?「あら、おはようございます」
男「?」
女「お、おはようございます・・・」
隣人「ああ、ここの隣に住んでるおばさんよ、ごめんなさいね驚かせて」
男「あ、ああそうでしたか」
隣人「鈴木さんのお友達?」
女「ええまあ、昔の友人です」
隣人「あらあら」
66:
男(この反応、何か勘違いをされてるような気がするけど、まあいいか・・・)
隣人「鈴木さん、出ないの?」
女「ええ、留守でしょうか」
男(そしてこの反応的に、鈴木さんはまだここに住んでるんだろうけど・・・)
隣人「あら変ねえ、さっきのお友達は中に入れていたのに」
女「え?他の方、ですか?」
隣人「ええ、つい三十分ほど前のことだけど。あたしがゴミだしに行く前のことだし」
男「て、ことは鈴木さん中にいるんだよな・・・」
67:
隣人「そうだと思うわよ、さっきの子には随分びっくりしてたみたいだったけど、サプライズパーティかしら?」
男「え、ええまあそんなところです。それより、俺達の前に来た奴って・・・」
隣人「ええと、男の子だったわよ。遠めだったから確信は持てないけれど」
女「男の子・・・」
男「どうかしたのか?」
女「ううん。すいません、ありがとうございました」
隣人「いいのよ、ごめんね、おしゃべり好きなおばさんにつき合わせちゃって」
・・・
男「どうかしたのか」
女「・・・鈴木さんが通ってたのは、女子校。高校も、大学も」
69:
男「え?それって・・・」
女「かといって、職場の仲間が日曜の朝に尋ねてくるかな」
男「・・・ないな。それはない。ってことは、中学の誰か?」
女「あの子は合コンとか得意なタイプじゃないし、多分そう」
男「・・・で、チャイム鳴らしても誰も出てこないわけだが・・・」
女「・・・こういう場合のセオリーは、鍵がなぜか開いてるんだけど・・・」
男「開いてないな、さすがに。三十分の間に出かけたのか?」
女「どうかな、なんとか彼女にアプローチできればいいんだけど」
72:
女「ねえ、ちょっと郵便受見てきてもいい?」
男「は?なんでまた」
女「もしかしたら、って思ってね。そこに合い鍵置いてあるかも」
男「まさか、そんな無用心なことあるわけ無いだろこのご時勢に」
女「念のためだってば。ちょっと見てくるから」
男「そりゃ見るのは自由だけどさ・・・」
・・・
女「あった」
男「あったの・・・?」
女「先入観って怖いよね、まさかそんな時代遅れなとこにあるなんて誰も思わないし」
男「おいおい・・・」
75:
女「念のためもう一回チャイム鳴らして、っと・・・」
男「お前、なんかどこか楽しんでない?」
女「そんなこと無いよ。けどなんかこう、動いてないと気持ち悪いって言うか」
男「気持ち悪い?」
女「わかんないかな、何か分からないけど、すごくいやな感じがするんだよね。これ」
男「この家から?」
女「ううん、この一連の流れから、かな」
男「・・・」
女「はい、これで開いたよ」
男「ドア開けるのは俺なのか」
女「これで名実共に共犯だ」
男「はあ・・・」
78:
男「あの、なんていうか、お邪魔します・・・?」
「・・・」
女「鈴木さん?いないの?」
男(ここからだと廊下と、仕切りのドアしか見えんが・・・何も動いている様子は無いな・・・)
男「やっぱり留守じゃないか?」
女「わかんないよそんなの。でもほら、靴はあるよ」
男「確かにあるな・・・」
男(女物の靴だけが、ある)
82:
女「じゃあ、中行くよ」
男「お、おいマジか」
女「ここまで入った時点で不法侵入には変わりないんだし、今更びびんないでよ」
男(昔からこいつこういうところは変わってねえ・・・)
男「そ、そりゃそうだけどさ」
女「!」
男「?どうした?」
女「今・・・あのドアの向こうに誰かいた・・・」
男「ドア?ドアって、あの廊下との敷居の、あれ?」
女「う、うん。ガラスの向こうから、誰かがこっちを・・・覗いてた、ような・・・」
87:
男「鈴木さんか?」
女「分からないけど、でももしそうなら、何でチャイムに反応しなかったのかなあって・・・」
男「いや、彼女以外はこの家にいない、はずだ・・・。靴が無い。土足した、とは思えないし」
女「じゃあ今のはやっぱり鈴木さん?」
男(・・・だとしたら、なぜ出てこない?)
男「とりあえず、中に入ろう」
女「え」
男「入るしかないだろ、実際ここまでもう入っちゃってるんだし。そういったのはお前だろ」
女「う、うん・・・」
88:
男「俺が先に行くから、お前は脇のドアとか見てみてくれ」
女「脇?」
男「脇は大抵寝室とかトイレとか風呂だろ。それを俺が開けて面倒なことになるのは嫌だからな」
男(ってのは建前だけどよ・・・。こいつの言うとおり、べたつくような嫌な感じがするんだよな・・・あのドアの向こうから・・・)
女「あ、ああそういうことか。うん、わかったよ」
男(誰かが覗いてたって?鈴木さん以外の誰かが・・・?)
男(見間違いだと、信じたいけど・・・)
95:
男「・・・」
廊下→リビング
男「鈴木さん・・・?」
「・・・」
男(誰も、いない・・・。鈴木さんも、男とやらも)
男(不自然なほどに、誰もいない)
男「飲みかけのお茶と、手付かずのお茶・・・。やっぱり誰かが着てたんだな」
女「ねえ、いた?」
男「いいや。誰もいねえ。奇妙なくらいに、誰も」
98:
女「いない・・・?」
男「覗き見られたのは、確かか?」
女「う、うん。確かに誰かがこっちを見た、んだけど・・・。見間違い・・・?」
男「・・・何にせよ、ここには鈴木さんともう一人誰かがいた。お茶が二杯でてる」
女「うん、それはそうだけど、誰もいないなんて・・・」
男「窓は閉まってるし、隠れられそうな場所も無い、よな」
女「どういうこと?これ」
男「・・・俺にもさっぱりだ」
99:
男「・・・これで鈴木さんもいなくなっちまった、てことになるのか?」
女「どうなのかな、出かけてるだけかも」
男「・・・日曜の朝に三十分以上出かけるかね。しかも来客があって」
女「・・・」
男「ワケが分からん・・・。どこに行っちまったのか、さっぱりだ」
女「警察に電話するべきかな」
男「いや、それはまだ早いな。俺もさっぱりどうしていいのかわかんないってのはあるけど・・・」
女「・・・」
男「タイムカプセル、しかないか」
102:
女「タイムカプセル・・・」
男「少なくとも、それを先導したのがあいつだってことは分かってんだ。何かしらの手がかり、あるんじゃねえか?」
女「手がかりって、どういう・・・」
男「いやそれはわかんねえけどさ、ここまで来たらもう掘り起こすしかねえだろ」
女「・・・」
男「実際、先生が殺されて本郷が行方不明だろ?このまま鈴木さんが帰ってこなかったらさらにやばいだろこれ」
104:
鈴木さんは高校生の時からアパートで一人暮らしだったのかねえ?
まあ、いいけど支援だ
107:
男(・・・我ながらおかしい。こんなのには首を突っ込みたくないんだけど・・・)
男(なにかこう、引き寄せられるような感覚・・・)
男(顔も名前も覚えてない十四番・・・。誰なんだ・・・?)
111:
三十分後
男「帰ってこないな・・・」
女「うん・・・。約一時間も留守にするなんて、やっぱり変だよね」
男「なあ、この部屋の中に鍵あるか?」
女「え?探してみる・・・?」
男「ああ、頼んでいいか?ここに鍵があったら、それはつまりすごくおかしいんだけど」
女「う、うん」
123:
男「先生が殺されて、本郷が消えて、鈴木さんも帰ってこない・・・。これってどう考えても異常事態だよな」
女「うん・・・。飲みかけのお茶がそのままだったり、そもそも靴があるってのも変だと思うけど・・・」
男「今更なんだけど、靴は複数あるのが普通じゃないのか?」
女「仕事用もあるし、直前にはいてたっぽい靴もあるから」
男「なんでわかるんだ?直前にはいてたなんて」
女「汚れてるもん。泥で。この前雨ふってたし」
男「なるほど・・・」
126:
女「・・・ねえ、鍵、あったんだけど」
男「・・・マジか」
女「これってどういうことだと思う?」
男「わざわざ予備の鍵を使う理由もねえ、よな。てことは、つまり・・・どういうことになるんだろうな」
女「この部屋から、忽然と消えたってこと・・・?」
男「そう考えればすっきりはするけど、いくらなんでもそれはありえない、よなあ・・・」
女「・・・ねえ、もしかしてなんだけど、ここを訪ねてきた男の子ってさ、」
男「・・・ああ。それは俺も考えてた。けどそんな都合のいい事ってあるのか?例の十四番がここに俺達より先に来て、鈴木さんごと消えるなんて」
女「怪人二十面相とか、ルパンみたい、だよね」
男(相手がそういうのだったらまだいいんだけど、な・・・)
128:
男「鈴木さんに、十四番の存在しないクラスメイト・・・」
鈴木『ねえ、○○くんは何を書くの?』
?「ボクハ・・・ニツイテ、カクヨ」
男『へえ、随分変わったこと書くんだな』
?「ジュウネンゴ、ガ、タノシミ、ダネ・・・」
男「・・・思い出した。埋めたよな、タイムカプセル。校庭の隅に」
女「思い出したの?」
男「しかも、俺それ埋める直前にあいつと話してた。なんてこと無い話だけど、けど肝心な部分が思い出せないんだよな・・・」
130:
日曜日 10:05 外
男「掘り起こそう、やっぱり」
女「それがいい、と思う。だって意味わかんないもんこれ。何がどうなってるのかさっぱり・・・」
男「俺にだってさっぱりだ。けど、正直ここまで首突っ込んだらもう後にも引けねえよ」
女「でも危なくない?だって彼に近かった人たちはみんな消えてるんだよ?」
男「・・・」
男「とりあえず家に戻る。今後のことと、それから友の奴を呼び戻さねえと、人手が足りねえし」
女「・・・」
134:
10:20 男 実家 男自室
男「・・・」
女「・・・」
男「なんだ、これ・・・」
女「どうなってるの・・・?」
男「これ、この紙くずと化してるのって、俺の卒アル、だよな・・・」
女「うん、けど、なんで卒アルがこんなにズタズタにされてるの・・・?」
男(ひどい有様なのはそうなんだけど・・・。先生の殺害現場とこれじゃまるで同じだ・・・)
男「誰かがやったにしても、家族が気がついてないはずねえんだけど・・・そんな素振り、見せなかったし・・・」
女「じゃ、じゃあこれはどういうことなの?」
男(確信を持っていえるのは・・・これは何か、異常なことが起きてるってことくらいだ・・・)
143:
??? (時刻不明) 中学校
男『そりゃいいんだけどよ、結局どこに埋めるんだよタイムカプセル』
友『ああ?そりゃお前、どっかあるだろ。敷地のどっかに埋められればそれでいいんだからよ』
男『お前なあ、適当すぎんだろ・・・』
女『それこそ、○○くんなら心当たりあるんじゃない?』
友『だな、あいつ言いだしっぺだし』
男『意やそりゃそうなんだけどさ』
友『いやほら、あいつこの学校について滅茶苦茶詳しいじゃん?その辺も知ってるって』
男『まあそう、かもしれないけど・・・』
?「ウン、チャン、ト、カンガエテ・・・アルヨ・・・」
男『じゃあそこにすれば先生も納得するんじゃねえか?』
友『あいつ頭固いからなあ、ちゃんと計画ねらねえと許可してくれねえぜ?』
男『まあなんとかなるだろ、これで』
146:
日曜日 10:34 男実家 自室
男「・・・とにかく、そういうことで俺だけの手には負えない。お前戻ってこれねえか」
友『お前さあ、俺をからかってない?』
男「大真面目だ。ていうかからかうならもう少し笑える嘘をつくよ。どうしようもないくらい本当なんだって」
友『これからそっちに行けってかよ・・・。いやまあ行こうと思えば行けるけどよ』
男「どっちにせよタイムカプセルを掘るなら俺一人じゃ無理だ」
友『お前の彼女と二人じゃ・・・そりゃ無理だな』
男「・・・そういう仲じゃないっていってんだろ」
友『わーったよ、じゃあ午後には着くように調整するって。ちょっと待ってろよな』
男「ああ、頼む」
(通話終了)
女「どうなった?」
男「帰ってくるとよ。あの様子じゃ信じちゃいなさそうだけど」
女「無理も無いね・・・。ウチもまだ信じられないし・・・」
149:
男「あのさ、タイムカプセルってどこに埋めたって覚えてるか?」
女「ええと、確か校庭の隅だよね。あんまり草が生えてない一角があるって話になって、じゃあそこだって」
男「今もそうだといいんだけど・・・。草生えてると掘るのが面倒だし、目印もないし・・・」
女「確か目印らしい目印は無かったと思うんだけど・・・」
男「てことは、この曖昧な記憶元にして探さないとならねえのか・・・。それだけでうんざりしちまいそうだけど・・・」
女「仕方ないよ・・・。こんな異常事態になるなんて思ってなかったし」
男(危惧していることはもう一つ・・・。この卒アルをズラズタにした意味・・・)
男(ベタだと、これって警告とかそういう意味になるんじゃねえのか?俺やこいつに直接手出ししてきてないのも気になるが・・・)
151:
同日 13:46 男 自宅
友「おう、来たぞ」
男「来たか。とりあえず中入れよ」
友「その前に一つ聞いていいか?」
男「なんだよ」
友「あの話、どこまで本当なんだ?」
男「全部だ。嘘だと思うなら中にいるあいつにも聞いてみろよ」
友「そんなホラー小説みたいなことありえねえだろ実際」
男「俺もそう思ってたよ・・・つい昨日まではな」
友「そりゃ確かに例の出席番号十四番のことは思い出せないけどよ・・・」
男「「そこにいた」って今年か覚えてねんだよ、みんなな」
154:
男(「そこにいた」のは間違いないんだ。けれど・・・誰がいたんだろう)
男(俺達は誰と学校生活を送っていたんだ・・・?)
男「知ってそうな先生や本郷や鈴木さんは連絡がつかねえ。連絡着く奴は俺達と同じように、顔も名前も覚えてないときた」
友「どんだけ影薄かったんだ、っていいてえけど、タイムカプセルの件とかは覚えてるんだよな」
男「おかしいだろ?」
友「確かに妙だけどよ、偶然じゃねえのか?」
男「偶然だったらこれほど楽なこともねえんだけどな・・・」
156:
友「それで、どうするんだ?」
男「タイムカプセルを掘り起こす。しかも出来るだけ内密に」
友「なんで内密にする必要があるんだ?」
女「断られたの、電話したら学校に」
友「断られた?なんでまた」
男「理由はわかんねえんだけど、門前払いに近かったな・・・。となると、この連休中の夜に掘り起こすしかねえ」
友「明かりはどうするんだ?」
男「幸い住宅地のど真ん中だし、月もあるから何とかなる。というか何とかするしかない」
友「マジかよ、夜の学校とかあんまり行きたくねえんだけどな」
男「普段ならビビってんのか、って煽るとこだけど・・・この状況じゃ俺も本当は嫌だ」
162:
女「ウチだって本当は嫌だけど・・・」
友「夜の学校には行くもんじゃねえって昔言われたんだよ、本当にひどいことになるって」
男「ずいぶんビビらせられてるな」
友「誰に聞いたのかは忘れたけど、何かすげえ説得力だったんだよな・・・」
男「・・・それ、あいつにきいたんじゃねえか?」
女「え?」
友「・・・そう、だったかもしれねえけど、覚えてねえよもう。大体あいつの顔も思い出せねえってのに」
男「とにっかう、やるなら早いうちがいい。今夜辺りもうやろうと思う」
友「そりゃ賛成だ、明日の夜にはあっちに戻らないと授業間にあわねえし」
男「スコップさえあればなんとかなるはずだ、お前家にスコップあるか?」
友「あったはずだけどよ、まあとりあえず探しては見るぜ・・・」
167:
女「けど、今って学校のセキュリティも厳しいんじゃないの?忍び込んだりして捕まらない?」
男「校舎に近づかなければ平気だと思う。多分だけど、一応公立だからそんなにセキュリティに金かけてはないと思うんだ」
友「用事があるのは校庭の隅っこだし」
男「まあばれた時はその時はそのときだ。とにかくまずは掘り当てねえと」
男(最悪、友のやろうを生贄に俺は逃げる・・・。とはいえないよなあ)
友「計画は分かったけどよ、それにしてもそうまでする必要あるのか?確かに先生の訃報には驚いたけどよ」
男「何が起きてるのかわからねえ以上、やるしかねえだろ」
友「随分やる気に満ち溢れてますねえ」
男(・・・確かに、何なんだろう、この、義務感にも似た感覚)
170:
同日 21:00 中学校 裏門前
友「まさかこのまま門から突破じゃねえよな」
男「さすがに監視カメラに移る可能性が高いから、それはない。少し外れたとこにある金網伝って登ろう」
女「それだったら、もう少しこっちに歩いた所にいい感じの場所あるよ」
男「俺が先に超えるから、友はスコップを敷地内に入れてくれ。当てなければ投げ込んでもいい」
友「善処する。手元が狂ったらすまん」
男「じゃあ行こうか、そのいい感じの場所に」
女「うん、こっちだよ」
男(・・・)
172:
中学校 敷地内(校庭隅)
男「場所、どの辺だったか覚えてるか?」
友「曖昧だな。久しぶりに来たってのもあって、まるでとんちんかん」
女「確か、こっちの方だったと思うけど」
男「確かか?」
女「うーん、そういわれると自信ないけど・・・。でもそんな気がする」
友「他に手がかりもねえし、とりあえず行ってみようぜ。できるだけ人目に付かないようにな」
男「ああ、案内頼むよ」
女「確かこっち」
177:
男「この辺・・・だったっけ」
女「そうだった、と思うんだけど」
友「そうだったような気もするけど、どうだったっけ?」
男「わかんねえけど、確かにこの一角だけ草生えてないな・・・」
友「じゃあとりあえず掘ってみるか?」
男「ああ、何もしないよりまずは行動しねえとな」
友「どれ、じゃあさっさとやってさっさと帰ろうぜ・・・。早く帰りたいんだよな」
男(・・・同感だ。何かここ、気持ちが悪い)
178:
・・・
男「こんなに深く掘ったか・・・?」
友「あんまり浅くはしなかったはずだが、そこまで深くもなかったはずだぜ・・・」
男「じゃあここじゃねえのか?」
女「でも回りは結構草まみれだし、ここじゃないっけ・・・?」
男「もう少し奥じゃなかったか?もう少し草の背丈、高かったような」
友「そういえば・・・草掻き分けて進んだような気がするな・・・」
女「じゃあ、この奥ってこと・・・?腰以上に高いけど」
男「とりあえず、行ってみようぜ」
179:
???(時刻不明) 中学校
男『ここさ、何か草の背丈すげえ高いよな』
友『何かこう、一工夫すれば秘密基地的なの作れんじゃね?』
男『子供じゃねえんだからよ・・・』
友『お前バカだなあ、秘密基地は男のロマンだろうが』
女『男の子ってそういうの好きだよねえ』
男『そりゃ確かに嫌いじゃねえけど・・・』
友『でもこういうところに埋めとけば少なくとも掘り起こされはしねえだろ』
男『そりゃまあそうだろうけど、どこに埋めたかわからなくならねえか?』
友『そこはどうするんだ?』
?「ダイジョ、ブ・・・。メジル、シ、アルカラ・・・」
友『だとよ』
男『十年後の俺達がそれを見つけられればいいな』
180:
友「目印?」
男「ああ、何かあったはずだろ?」
友「思い出せねえな、何よりここめっちゃ進みにくくて目印どころじゃねえ是」
男「それは、同感だけど・・・」
女「目印なんてあったっけ・・・?」
男「何かあったはずなんだけど、くそ、また肝心な部分がお思い出せねえんだよな」
友「早いとこ思い出してくれよ、この草むら、どこまで続いてるのかわからんくらいだし」
男「確か、開けたところだったと思うんだけど」
女「それは覚えてるんだけど・・・」
183:
男「あー・・・わからん。まず開けた場所にたどり着けないな」
友「目印以前の問題だなそりゃ」
女「単純に十年経ってるから草が伸びたってことじゃない?」
男「だとすると、やっぱり目印探さないとだよな・・・」
友「どんなのだったかも思い出せないのか?」
男「見れば一目瞭然だったはずなんだけど」
女「そういえばそんな気がする・・・。やっぱり詳細は思い出せないけど・・・」
友「一目瞭然・・・?それってよ、あれのことか?お前の正面にあるあれ」
男「え?」
女「何これ、石碑・・・?」
友「お前ここ目指してまっすぐ進んでたんじゃないのか?ほとんど迷いないように見えたけど」
男「俺が・・・?」
俺(いや、俺は当てずっぽうで進んでた・・・。それに石碑があるなんて覚えてねえし・・・)
185:
女「石碑、なんて覚えてる?」
男「いや、覚えてない・・・と思うんだが・・・」
友「目印ってでもこれのことじゃねえのか?」
男「思い出せねえ。お前らも見覚えないか?」
女「うーん・・・」
友「ねえな。こんな年季の入った石碑が敷地内にあるなんて知らなかったぜ」
男(でも、なんだろう・・・。何か、この近くに埋めたって言う確信がある・・・)
女「これ、何の石碑だろう」
男「何か書いてある風だけど、さすがに読めねえな・・・。風化してるのもあるし」
友「まさか、この周りを掘るってことじゃねえよな?」
男「いやでも、ここ・・・のような気がするんだ」
友「おい嘘だろ・・・。こんな不気味なところに埋めたわけねえだろ・・・」
186:
男(いや、ここだ。なぜだろう、確信が持てる・・・)
男(妙といえば妙だ・・・この確信はどこから来るのかはわからないが・・・)
男(ここを掘らないといけない、そう思える・・・)
男(早ク、しない、ト・・・)
男「よし、友はそっちから掘ってくれ。俺はこっちから進めるからよ」
友「お、おい・・・」
194:
女「ねえ、友・・・」
友「なんだ?」
女「あいつ、様子おかしくない・・・?」
友「・・・それは俺も思ってる。そもそも、校庭の隅にこんな場所があるなんて普通に考えておかしい」
女「この場所が?」
友「俺の体感だけど、この学校の校庭はこんない広くなかったと思うんだ・・・。多分旧校舎跡にまではみ出てるんだと思う」
女「旧校舎跡って、今は林になってるんじゃなかった・・・?再開発計画に失敗したとかで」
友「その辺は地元に残ったお前の方が詳しいだろうけど、何か計画立ち上がるたびに失敗してたよな」
男「・・・おい、見つかった、カ?」
友「・・・いや」
197:
友「とにかく今は従ってたほうがいい・・・。目の色がおかしいし」
女「そうだね・・・。様子変だしね・・・」
男「・・・」
友「この石碑、何か見てくれないか?」
女「え?」
友「俺は手が離せないからよ、今のうちに何の石碑か調べてくれ」
女「う、うん。わかった・・・」
男「・・・」
男(おかしい。なぜ俺はこんなに必死にここを掘ってるんだ?)
199:
男(そもそも・・・なぜ俺はこんなに必死に十四番にこだわってるんだ?)
男(あいつなしでやればいいじゃないか、同窓会・・・。どうせ全員出席なんてありえないんだし)
男(石碑の下を掘ればタイムカプセルが出るのかもしれないけど・・・)
男(何でこんなに必死なんだ?俺・・・)
男(そこに、答えがあるからだろウ?)
男(答え・・・?)
200:
男(先生が死んデ、友人が消えテ・・・、そしてその答えが今目の前にあル。だかラ)
男(いや、それはそうなんだけど・・・。そもそも十四番なんてどうでもいいじゃないか)
男(そうはいかなイ・・・。ずっと待ってたんダ、このときヲ)
男(!お、お前・・・!?)
?(キガツイ、テ、ナカッタノカ・・・?ボク、ハ、ズットイタ・・・)
男「お前・・・!!」
?(キミ、ガ、スコシズツオモイダスタビ、ニ、ワザワザ、オナジセリフ、ヲ、シャベッテヤッテイタノニ)
男「お前は誰なんだ・・・何者なんだよお前は・・・!」
?(・・・ソレモ、ワスレテルンダネ)
206:
男「目的は何だ・・・お前の目的は・・・」
?(・・・)
男「先生も本郷も鈴木もそうやって殺したのか」
?(カレラ、ハ、ジャマダッ、タ)
男「邪魔・・・?」
友「おい、しっかりしろこのバカ!!」
男「え・・・。あれ、俺・・・」
女「ちょっと、大丈夫なの!?一人でぶつぶつ喋ってたけど・・・」
男「・・・あ、いや・・・あれ?」
友「支離滅裂だったぞお前」
男「・・・」
207:
友「とにかく、もう大丈夫なのか?」
男「ああ・・・文字通り憑物が落ちた気分だ・・・。けど、こりゃいよいよ・・・」
女「え?」
男「いや、なんでもねえ。それで、タイムカプセルは・・・」
友「出てねえよ、それどこじゃなかったし」
女「何かすごく怖かったよ?」
男「ああ、まあうん。もう大丈夫だから」
209:
男「で、この石碑何なんだ?関係なしに掘ってたけど・・・」
女「うーん、風化が激しくてよく読めないけど・・・」
友「確かにこりゃ読みにくいな・・・。随分古いみたいだし」
男「漢字、だよなこれ。あとこれは日付?」
友「みてえだな・・・。随分前の日付だけど」
女「これ、何かの記念碑じゃない?」
男「記念碑・・・。詳細が分かればな・・・」
212:
女「詳細は後で調べればなんとでもなりそうだけれど、それより、タイムカプセルはどうする?」
男「・・・もうよそう。嫌な感じがするし、ここを掘るのはやめた方がいいと思う」
友「同感だぜ。何か嫌な感じするし、お前の調子も悪くなったわけだし」
女「そうだね、もう引き上げた方がいいよね・・・」
男「ああ・・・。スコップ回収して戻ろう・・・。色々まとめたいことがあるし」
友「ん?」
女「え?どうしたの?」
友「いや、このちょっと見えてるものって・・・」
男「・・・これ、埋めてたタイムカプセルじゃ・・・」
214:
女「ホントだ、間違いないよ」
男「・・・なら、あれだけ回収して戻ろう。これ以上は掘りたくないし」
友「まあ目的のものが回収できるならそれに越したことはないよな・・・」
男「ああ・・・。すまんがもう少し力を貸してくれ」
217:
23:00 男実家
男「何とか回収は出来たな・・・」
友「とはいえ、お前大丈夫なのか?途中明らかに変だったぞお前」
男「分かってる、自覚あるわ。その件も含めて状況をまとめたいんだ」
女「どういうこと?」
男「ああ、実はずっと変だとは思ってたんだ。何で俺自身こんなにこだわってるんだろうなって」
友「十四番にか?」
男「ああ、それも含めてさ」
218:
・・・
女「何それ、幻聴じゃないの・・・?」
男「いや、そんなもんじゃなかった。実際お前らが言うに俺の様子がおかしかったんだろ?」
友「確かにおかしかった。何かもう明らかにおかしかった」
男「多分そのときに、さっきの現象が起きてた」
女「その、十四番の謎のクラスメイトが現れたって話・・・?」
男「というより、どのタイミングからかずっといたんだろうな・・・」
友「・・・」
男「もう気がついてると思うけど、多分俺達が接してたあいつは、妖怪とか幽霊とか、そういう化け物なんだと思う。少なくとも人間じゃない」
友「・・・まあ、その話が本当だとしたらそうだろうな」
219:
友「だとしたら、目的は何だよ。俺達と接してて、今度は先生や本郷たちを殺してるんだろ?」
男「そこまではわかんねえけど・・・」
女「でも、考えてみたら変だよね。あのガタイの先生が、絞め殺されるなんて」
友「そりゃ、確かにそうだけどよ・・・」
男「俺達はまだ生きてて、本郷たちは消えちまった。ここがヒントなんじゃねえかな」
女「どういうこと?」
男「いや、確かに俺は妙な状態になったけどさ、少なくともここにちゃんといるだろ?その違いさ」
友「確かにそれは妙だな・・・。お前に至っちゃその十四番と直接接触してるわけだし」
男「調べてみる価値、あるんじゃねえかな」
女「どういう風に?」
男「・・・簡単だ。明日、本郷の実家にいってみる」
223:
月曜日 本郷自宅
男「じゃあ、やっぱなんで失踪しちゃったか分からないんですか」
本郷母「ええ・・・。突然だったし、手がかりは何も残っていないんです。そんな素振りもなかったし・・・」
男「あの、直前も普通に生活していたんですか?特に変わった様子もなく?」
本郷母「ええ。普段どおりでした」
男(てことは、やっぱり・・・)
男「あの、できれば彼の部屋を見せてもらえませんか?何か気が付けるかもしれませんし」
本郷母「それは是非お願いします・・・。お恥ずかしい話だけど、もう藁にもすがりたい気持ちなの」
男(・・・)
224:
男「部屋は失踪したときのままですか」
本郷母「ええ、そのままです。何か手がかりがあるかと思って」
男「・・・拝見します」
本郷 自室
男(・・・本当にそのままなんだな。掃除だけは行き届いてるけど・・・)
225:
男「ん?机の上にあるのは・・・」
男「卒アルとクラスの名簿・・・?何でこんなものが」
男(そしてやっぱ、名簿にも十四番のあいつは存在してねえ・・・)
本郷母「ああ、そういえば」
男「何か?」
本郷母「あの子、同窓会をやろうとかいってましたね・・・。いなくなる直前に」
男「同窓、会?」
本郷母「ええ、それであちこち連絡してたみたいですけど・・・」
228:
男(本郷は同窓会をやろうとしてた・・・。失踪する直前に)
男(そこで何らかの原因で、十四番に気がついたんじゃないか・・・?俺達と同じように)
男(いや、だとしたらなぜ彼は消えたんだ?神隠しにあう理由は何だ?)
男「それで、その同窓会に付いて何か言ってましたか?」
本郷母「ええと、何やら大変そうでした。連絡をあちこちにしてましたし」
男「幹事をやろうとしてたんですね」
本郷母「ええ、そうみたいだけど・・・。それが何か・・・?」
男「ああいえ、気になっただけです」
男(間違いない、なまじ親しかった分すぐに気がついたんだ)
男(そして調べていくうちに、消されてしまった・・・?)
230:
男「つまり、あいつはあいつでそれなりに深いところまで気がついてたと見て間違いないと思う」
女『ふうん・・・。だとすると、みんな危ないって事?』
男「分からんが・・・もしそうだとしたら、昨日の時点で消されてたんじゃないか?つまり、本郷は俺達とは違う何かをしちまったとか」
女『だとしたら、その選択肢を間違えなければいいってこと?』
男「かもしれん。俺達が昨日あの石碑にまでたどり着いたのも偶然じゃなさそうだし。それでそっちの方は」
女『うん、あの石碑についてだけどけっこう簡単に分かったよ。慰霊碑みたい』
男「慰霊碑・・・」
女『昔あそこで死んだ生徒がいたみたいで、その人への』
男(・・・)
235:
男「で、そっちは」
友『ああ、探してみたけどやっぱ十四番らしき奴のカプセルは入ってなかったぜ。自分のは空けてみたが、書いた覚えがまるでない手紙と消しゴムか、こりゃ』
男「入ってない、か・・・。本郷のはあったか」
友『ああ、それが妙なんだがな、手紙が入ってるんだが、文章が支離滅裂なんだよ』
男「どういう風に?」
友『特定の名詞が抜けてるみたいだ』
男「なるほどね・・・」
236:
友『ビンゴだな、やっぱりあの頃から実際には存在してなかったんだ、あいつは』
男「らしいな。本郷もそこまでは気がついてたんじゃないかな」
友『問題は何であいつが消されちまったか、ってことか?』
男「ああ・・・。でもなんだろう、それが分からない」
友『それさえ分かっちまえば、あとは簡単なんだけど』
男「・・・」
友『とにかく俺もお前の家に向かうぞ。今後のことも相談しないとだし』
男「そうだな・・・。待ってる」
241:
男 実家
友「それで、これからどうするんだ?もう時間もないし」
女「うん、でもどうすればいいのか分からないってのも事実だよね・・・」
男「なあ、例の慰霊碑、詳細教えてくれないか?」
女「え?あうん。どうやら事故で死んじゃったみたい。発見が早ければ助かってたかもしれないんだけど、そうはならなかったんだって」
男「それどこから仕入れた情報?」
友「中学にいたあの数学のじじいだってさ。勤務暦、滅茶苦茶長いんだとよ」
男「事故死か・・・」
242:
女「でもどうしたらいいんだろう。このまま消されるなんてそんなの嫌だよ?」
友「俺だって嫌だけどよ、方法がねえじゃねえか」
男「なあ、もしもの話なんだけど、例えばなんかの発作がおきたとして、」
友「発作?」
男「病気、喘息とかさ。それで本当に死ぬほど苦しくて、でも誰にも気がついてもらえなかったらどう思う?」
友「どうって・・・」
女「そんなのはなんていうか、苦しいし、悲しいよね・・・。気がついてほしいけど、そうじゃないなんて」
男「・・・だよな」
友「どうしたんだ?」
男「それなんだけど・・・」
友「どうした?」
男「いや、多分なんだけど、方法、あると思うんだ。誰も不幸にならない、最善の策が」
243:
男「勿論、本郷や先生、鈴木さんについてはもうどうしようもないだろうけど・・・」
女「どういうこと?」
男「このタイミングになって、思い出したことがあるんだ」
友「何だよ」
男「・・・あの石碑、俺前にも見たことがある。というか、俺達みんな見たことがある」
女「え?」
男「覚えてないだけでさ。むしろあの石碑、見つけたのは多分俺達だ」
友「?」
245:
???(時間不明) 中学校 旧校舎跡付近
男『お前さ、いくらなんでもあれはねえだろ』
友『いやすまねえ、まさかここに来て俺の会心のシュートが炸裂するとはおもわなんだ』
本郷『ゴールに入ってれば会心だっただろうけど、あの宇宙開発じゃあねえ・・・』
男『こっちに飛んだよなあ?宇宙開発はいいけど、せめてちゃんと宇宙まで飛ばすか、そもそもちゃんとするかどっちかにしてくれ』
友『悪かったって、それより早く探さないと時間なくなるぞ』
男『あのな、威張るんじゃねえよ・・・』
本郷『・・・?なあ、ちょっときてくれよ』
男『?どうした?』
本郷『いや、こんなところに何かあるんだよ。石碑みたいなの』
友『石碑だ?』
248:
男『マジだ、こんなところに石碑ある』
友『にしても背の高い草だなこりゃ。秘密基地かなんか作れんじゃね?』
男『一人で作ってろ。それより、なんだってこんなところに石碑が・・・?』
友『あれじゃねえの?旧校舎、ここにありましたよー的な』
本郷『かもしれねえけど・・・』
友『それより今はサッカーボール捜してくれよ。先生に殺されちまう』
男『そうだ、ボール・・・』
?「ハイ、コレ・・・」
男『え?』
251:
男「そうだ、思い出した。あいつは、多分死ぬ寸前も見つけてもらえなくて、死んだ後も見つけてもらえなかったんじゃねえかな」
友「それで、あのときたまたま石碑を見つけた俺達についてきた・・・?」
男「そういうことじゃねえかな・・・。だって、そんなの寂しすぎるだろ」
女「だとしたら、なんで本郷君や先生は・・・」
男「・・・あくまで推測なんだけどさ、本郷が前の同窓会を開こうとしたときに、多分彼の存在に気がついて、相談したんじゃないか?」
友「相談?」
男「先生にさ」
女「先生なら知ってるかもって、考えることは同じだったのかな」
男「で、先生がどういう返答をしたのか・・・」
252:
仲良かったのに殺すとかよっぽどだろ
259:
友「普通に考えれば、そもそも存在しないやつだからな、呼べないってことになるんじゃねえか?」
男「それだよ。呼べないから彼は呼ばないって流れになったんだと思う」
女「そっか、それが彼の逆鱗に触れちゃったってこと?」
男「あくまで仮説だけど」
友「じゃあ鈴木さんは?彼女はどうなる?」
男「それは、」
女「もしかして、その相談を受けてたのが彼女だったんじゃない?」
男「で、俺達がこの件で彼女と接触すれば、彼をまた除外しちまいかねない・・・」
友「それが邪魔だった?」
女「それで消されちゃった・・・」
男「だとしたら辻褄が合う、よな」
友「あくまで仮説だけどな・・・」
261:
女「でも、あんなに仲良かったのに、それだけで殺しちゃうなんて・・・」
友「相手は人外だしな、おれたちの理屈は通用しないんじゃないか?」
男「彼からしたら、裏切られたって感覚なんじゃないか?また見つけてもらって、仲間になれたのにまた除外された、って」
女「そんなの・・・」
男「確かに自分勝手だけど、友のいうとおり、多分彼はもう死んでから随分経ってる。そういう理屈はもう通用しないんだと思う」
友「なんつーか、切ないっつーか、やりきれねえっていうか」
男「だな・・・」
女「それじゃ、彼の目的って・・・?」
266:
二週間後・・・
友「おお、三島久しぶり!!」
三島「おお、元気そうだなお前!久しぶりじゃないか!!」
友「まあな、危なく死に掛けたけどよ」
男「さて、これで全員か?」
女「一応全員揃ったかな?」
男「えー、皆さんお久しぶりです!!今日は俺主催の同窓会にお越しいただいてありがとうございます」
「おおー!」
男「ええ、最初にこの場にいない人に、黙祷をささげたいと思います。先生に」
女「・・・」
友「・・・」
268:
男「本郷や鈴木さんらも今日は来れてません。そのほかにもこれなかった人が多くいますが、今日は多くの人たちの参加ありがとうございます」
「おおー」
女「それじゃ乾杯をはじめたいと思います」
友「準備はいいか?」
「おおー!」
女「ん?ちゃんと十八人いる?」
男「あれ、一人足りなくね?」
「え?」
「誰?」
男「覚えてないか?もう一人いただろ、俺達の仲間」
273:
男「ほら、出席番号十四番で、タイムカプセルを埋めることと提案してくれた、あいつ」
「・・・ああ」
「そういえばいたね」
男「今日はわけあってそいつ、遅れてくるかもしれないんで、席開けといてもらっていいか?」
女「ああ、それからそのタイムカプセル、掘ってきましたので、皆自分の分受け取ってね」
男「そういえば、俺自分の奴になんて書いたんだっけ・・・?」
友「開けて見ろよ、ほら」
男「おお、サンキュ」
274:
「十年後の俺へ
何してるかは知らないけど、まあ元気ならそれでいいです
十年後、ちゃんと皆で酒でも飲みながらこれを開けろよ
誰も欠けてなきゃいいけど、その辺は俺に任せるから
じゃ」
男「・・・皆で、か。それとこれ、集合写真・・・?」
「あれ、このカプセル誰の?」
三島「ああ、それ佐藤のだろ」
友「佐藤・・・?」
三島「いや、それこそタイムカプセルを提案したあいつだろ」
女「そう、そうだよ佐藤くんだ、あのこの名前・・・」
男「なんつー平凡な・・・。でも今の今まで、そんな簡単なことすら忘れちまってたのか俺達・・・」
友「不思議な話、だ。ていうか、この前確認したときは無かったぞあのカプセル・・・」
女「・・・まあ、細かいことは無粋じゃない?」
男「だな・・・。ここまで来たら、そんなことはもうどうでもいいわな・・・」
279:
男(・・・あれ?この写真・・・の、こいつ・・・)
男(間違いない、こいつが佐藤だ・・・。思い出した。なんだ、ちゃんと写ってるじゃないか。こんなに楽しそうな顔して)
?「あり・・・う・・・」
男「・・・え?」
女「今の・・・」
友「俺にも聞こえたが・・・」
男「!?写真の佐藤が、薄くなって、消えて・・・!?」
282:
・・・
俺「あれ、俺・・・なんで泣いてるんだ?」
女「どうしたの、鳩が豆鉄砲食らったみたいな顔して」
男「誰が鳩だ誰が」
友「なんか、変な気分だけど・・・。なんだっけ?」
男「・・・なんだろ、何か大事なこと忘れてるような気がする・・・」
女「ええと、なんだっけ?」
友「さあ・・・」
286:
男「あれ、やっぱり俺たち何か忘れてない?」
女「そんな気もするけど・・・」
友「うーん」
男「ん?」
女「どうしたの?」
男「あれ、一人足りなくね?」
おわり
287:
よく分かんなかたけどとりあえず乙
303:
面白かったよ乙
304:

先生以外は生きていてほしいな
30

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【話題】 「猪瀬氏は責任をとってやめるべき」、「この程度ではやめなくてよい」・・・ネットで賛否両論の議論

【悲報】妹の部屋からBL同人誌が発見される

今嫁と結婚したことを後悔しているけど、前嫁との結婚生活に戻りたいかというとそれも嫌だ

凍傷の登山家 栗城史多さん ついに29日指切断手術へ!!

「200万で示談にします。こちらは取り下げる気は無いのでこの金額以外では妥協しません。弁護士を立てていただいてもいいですよ」

このご時世に壁紙作ったったwww

【画像】 「特定秘密保護法案」 の逮捕基準wwwwwwwwwww これマジ?怖すぎんだけど…

「中国のメンツ丸つぶれ」「なんで中国軍機が発進しなかったの?」・・防空識別圏に侵入されても結局何も起こらず

なんで東京の人というか関東の人は語尾が上がるの?

【画像】見てるだけで冷や汗かくレベル((((;゚Д゚))))挑戦し続ける男たち(26枚)

一週間のうちで一番楽しみなテレビ番組wwwwwww

車と老人が接触した現場を見た話

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