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金糸雀と薔薇屋敷のハロウィン攻防戦


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ローゼンメイデン第2ドール金糸雀は、薔薇屋敷に備蓄されているお菓子を略取すべく
桜田家の三乙女を誘い、侵攻を開始した。これに対し屋敷の主である結菱一葉は籠城の構えを見せる。
金糸雀達は大声で騒ぎながら薔薇屋敷に向かっていたため
結菱一葉のドールである蒼星石が逸早く危機を察知、マスターに進言したからである。
また、薔薇乙女にとってのハロウィンとはトリックorトリートではなくトリックandトリート
…と言うか、悪戯してからお菓子(食糧)を奪うという様式であるため、結菱家の緊張も高まっていた。
固く閉ざされた屋敷の門扉の前で、ようやく自分達が
招かれざる客であることを理解した金糸雀達は、ついに武力による事態の解決を図るのであった。
真紅「ついにと言うか、最初から力尽くでお菓子を攻め取るつもりだったけど」
雛苺「ヒナたち薔薇乙女は欲しいものは奪い取るのが流儀なのよね」
翠星石「うぉーい! そこの二人、ナレーションにツッコミ入れてねぇで早くこっちに来て手伝えですぅ!」
669 :
金糸雀「この薔薇屋敷の塀を乗り越えるための縄梯子を作るのかしら」
雛苺「はしご?」
翠星石「入り口である門は蒼星石の手によって完全に閉められているです」
真紅「門が使えないなら、上から…か。確かに当然の作戦ね」
金糸雀「そう。そのために雛苺の苺轍を翠星石の如雨露の水で強化して、梯子を編むの。いいわね」
雛苺「うぃ! オッケーなの! いちごわだちぃ」シュルル
翠星石「健やかにぃ?伸びやかに?っとくらぁ」ショロロ
670 :
雛苺「がんばってアミアミするの」
翠星石「こら、チビ苺! そこ編み目とんでいるですよ。そんなんじゃ登る時にちぎれるですぅ」
真紅「それにしても、まさかここで編み物する羽目になるとは」
金糸雀「ジュンも連れてきた方が良かったかしら?」
真紅「いいえ。どうせ、あの頑固者は文句ばかり言うに決まってる。
  それに縄梯子を作るぐらい、下僕の手を借りずとも私達だけで…ほら、出来た」
雛苺「うぃー! 完成なのよー!」
翠星石「いよっしゃ! これを塀に投げ掛けて屋敷の中に乗り込んでやるですぅ」ブンッ
雛苺「おお?! 翠星石の投げた梯子の先がちゃんと塀の内側に引っかかったみたいなの!」
真紅「よし! 中に入ってしまいさえすれば、こっちのもの! 暴虐の限りを尽くしてやるのだわだわ!」
雛苺「お菓子は全部ヒナ達のモノなのよね」
金糸雀「さーて! 誉れある侵入者第一陣はこのカナにお任せかしら」ヒョイヒョイ
翠星石「あ! こらカナチビ! 何を勝手に登り始めて…」
金糸雀「ふふん。翠星石達がすっとろいだけかしら。侵入ミッションはこの乙女番長たるカナに
  一日の長があるというもの。そこで指をくわえてカナの潜入スキルを…」
671 :
オディール「こっちデス! 蒼星石! ここに縄梯子が! このままでは…」
蒼星石「分かってます! 僕に任せて!」
オディール「ウィ! 早く、その高枝切りバサミで、そこに掛かった縄梯子の先っちょを!」
蒼星石「よし! これでOKだ」チョッキン
672 :
金糸雀「ぎゃんっ!?」ズベシャアッ
翠星石「ぬおっ! いきなり縄梯子が外れて、カナチビがモロに地面とディープキスしたですよ!」
真紅「梯子を握っていたから受け身が全くとれなかったようね。大丈夫、金糸雀?」
金糸雀「う、くく…! まさか、いきなり砂を噛むことになろうとは…!」
蒼星石『聞こえるか!? 金糸雀そして桜田メイデン達!』
雛苺「蒼星石の声がするの!」
翠星石「むっ! 蒼星石がそこにいるですか! ということは縄梯子を外したのは蒼星石?」
金糸雀「ひ、ひどいかしら! なんてことするのよ蒼星石!」
蒼星石『ひどいのはハロウィンにかこつけて、ウチの食料を根こそぎ奪おうとする君達の方だ!』
翠星石「うるせぇですぅ! 翠星石達は食べ盛りなんですぅ!
  枯れたおじじだけで富貴や美食を独占していないで、こっちにも分けやがれですよ!」
雛苺「オヤツ! オヤツぅ!」
オディール『オーノー! 予想以上に暴徒と化していますね雛苺達は』
蒼星石『ハロウィンの空気が彼女達を狂わせているんだ、きっと。今日一日しのげば正気に…』
673 :
翠星石「む! まだ作戦があるですかカナチビ!」
金糸雀「当然! 策士は常に二手三手の策を考えておくもの!」
真紅「それで次はどうするの? 塀に火でも放って焼き落とす?」
金糸雀「火計は流石に現代日本じゃまずいかしら。放火はトップレベルの犯罪よ」
雛苺「うぃ! それに下手したら食べ物もお屋敷ごと全部燃えちゃうの!」
翠星石「何でも火を放って解決しようとするのは水銀燈か陸遜ぐらいのもんですぅ」
真紅「い、言ってみただけよ」
金糸雀「…ズバリ、カナの次の作戦は、門をこじ開けることかしら」
翠星石「おいおい、門はカンヌキで閉められているんですよ。そんなもん、どうやって」
金糸雀「破城槌よ!」
雛苺「はじょうつい?」
真紅「丸太の先っぽを尖らせたりして、城門に何度も打ち付ける攻城兵器ね。
  でも、そんなのをどうやって用意するっていうの?」
金糸雀「それはまた翠星石に頼んで庭師の如雨露で、丸太にできそうな材木を…」
翠星石「しゃーねーですねぇ。さっきの今で、しかも何もない現実世界で
  木本植物を召喚するのは結構大変なんですぅよ?」
金糸雀「お願いかしら翠星石! このとーり!」
674 :
オディール「急に向こう側が静かになりましたネ」
蒼星石「うん。新たな縄梯子を使ってくる様子もない」
オディール「諦めたのでしょうか?」
蒼星石「まさか。僕もそうだが、翠星石達の諦めの悪さは筋金入りだ」
オディール「フゥーム、何か別の手段を考えて…?」
ドゴォッ!
蒼星石「ッ!!?」
オディール「こ、この衝撃音は!?」
蒼星石「門扉に何かを打ち付けている音だ!」
オディール「塀を乗り越えるのが無理なら、門を強行突破しようということデスか」
ドゴォオオン! ドコォン!
蒼星石「思ったよりも早く力攻めに頼ってきたなぁ…」
オディール「ど、どうしましょう!? 蒼星石!」
蒼星石「大丈夫です。こういうこともあろうかと門扉は鋼鉄製でかなり頑丈に作られている。
  あの四人が何をぶつけているかは知らないが、その辺の丸太や鉄柱程度では…」
675 :
翠星石「トリックオアトリート!」どごぉおん
雛苺「お菓子をくれなきゃイタズラするの!」ドゴッ
真紅「お菓子をくれてもイタズラするわ!」バゴオォン
金糸雀「オーエスッ!」どごっ
翠星石「オーエス!」ばごおっ
雛苺「おーえっす!」ドボォッ
真紅「オーイエス! スー(歯の間から息を吸う音)」
翠星石「…カナチビ、この門に何度丸太を叩き付けてもウンともスンとも言わねーです。
  あと真紅だけ掛け声が洋物のポルノ女優みたいになってたですよ」
金糸雀「おかしいわね。丸太で叩けば固い扉も吸血鬼も木っ端微塵のはずなのに…」
真紅「金糸雀あなたそれ漫画の見すぎよ」
676 :
翠星石「どこか別の所から入る方法を考えた方がいいんじゃねぇですか?」
金糸雀「別の所?」
翠星石「例えばホラ、穴を掘って地下から侵入するとか」
真紅「日が暮れるわよ。ハロウィン終わったら私達の行為はただの強盗」
雛苺「警察を呼ばれたら困っちゃうの」
翠星石「確かに。前科が付いたりすると後々アリスゲームでも不利ですぅ」
金糸雀「今日のうちに…短期決戦で、この薔薇屋敷を攻略しなくちゃ」
真紅「仕方ない。この真紅ちゃんがちょっと本気を出しちゃおうかしら」
金糸雀「本気?」
翠星石「はっ!? ま、まさか真紅!」
雛苺「あの技を使う気なのよ!?」
真紅「ええ。三人とも少し下がって頂戴」
金糸雀「何を始める気なのかしら、真紅?」
真紅「たかまれ! 私のローザミスティカ!」こおおおお
677 :
オディール「おや? 門を叩いていた音がしなくなりましたネ」
蒼星石「どうやらまた別の作戦を採るつもりだ。今度は何を企んで…。
  地面の下からは時間が掛かりすぎるだろうし、ひょっとして棒高跳びの要領で一気に塀を?」
ズドバーン!!!
蒼星石「ッッ!?」
オディール「ワーオ!!? 鋼鉄製の門が吹っ飛んだデスよー!!」
蒼星石「しまった! 真紅だ! 真紅がまさか、ここまでするとは!」
オディール「真紅? 真紅がどうやったら鋼鉄製の門を破壊できるので…ッ!?」
678 :
真紅「ざっと、こんなものね…」シュゥウウ
金糸雀「ななななな…っ! 丸太を何度うちつけてもビクともしない門をパンチで!!?」
翠星石「ひ、久しぶりに爆熱真紅フィンガーを見たですが、以前よりはるかに威力が上がっているですぅ!」
雛苺「あややややや!」ガクブル
真紅「ふ、これこそが打撃のインパクトの瞬間にローズテイルを接射する超究極奥義!
  さしずめ『紅の交響曲(ロッソ・シンフォニア)』とでも名付けましょうか。
  この技は真紅ちゃん四十八手の中でも特に……」 
金糸雀「よーし! 開いたのならカナが一番乗りしちゃうかしら」タタタッ
翠星石「あ、またもやズルイですよカナチビ! お菓子を独り占めさせるわけにはいかねーです!」
雛苺「ヒナも、ヒナもーー!」トテテテッ
真紅「……」
679 :
金糸雀「ワー」だだだだっ
翠星石「ワー」すたたたっ
雛苺「わーい! 中に入れたのー!」
真紅「ひゃっはー! 奪え奪えーっ! なのだわ」
オディール「たたた、大変なことになってますよ蒼星石! 四馬鹿が敷地に! このままでは建物内にまで…」
蒼星石「なんとしても、ここで真紅の力技だけは封じる必要がある! オディールさん例のものは?」
オディール「は、はい! 今、手持ちはこれ一つだけデスが!」
蒼星石「よしっ!」ガシッ
680 :
  こっちに向かって走ってきているですぅ!」
金糸雀「無視するかしら! 今は屋敷内に乗り込むのが先決!
  彼女達よりもカナ達のほうが建物の入り口に近いわ」
雛苺「了解なの!」
真紅「もし入り口の扉が閉まっていても、また私のロッソ・シンぶほぉ…!?」ガリッ
翠星石「真紅!?」
真紅「いたたたっ、舌噛んだ…」ヒリヒリ
金糸雀「気取ったネーミングにするからかしら」
オディール「真紅の足が止まってます! 蒼星石!」
蒼星石「チャンスだ! これでも食らえ真紅!」ブンッ
雛苺「うみゃっ? 蒼星石が何か投げつけてきたのよ!」
翠星石「あれは…っ!?」
681 :
蒼星石「よしっ! 真紅に命中した! 僕達は裏手の秘密の入り口から屋内に戻りましょうオディールさん!」
オディール「うぃ!」スタタタ
金糸雀「蒼星石とオディールが撤退?」
雛苺「真紅に変な泥団子みたいなものをぶつけただけで帰っちゃったの?」
翠星石「や、やばいですよ! この団子は…!」
真紅「な、何だっていうのよ、これが?」モワモワ
682 :
野良猫B「な?ごっ」ゾロゾロ
真紅「え!? や、やだ! 猫!? どこから!」
金糸雀「に、庭中の茂みから野良猫が出てきたかしら!?」
真紅「ひょ、ひょっとして、まさか! 私にぶつけられたコレって…!」
翠星石「マタタビですぅ! マタタビの粉末が団子の中に練りこまれていたのですよ!
  それをモロに真紅は受けてしまって…!」
野良猫達『ふみゃぁーーーーごっ!!』ダババッ
真紅「い、いやあああああああああああああああああああああッーーーーーーー!!!」 
雛苺「し、真紅ぅ!」
金糸雀「ダメかしら、ヒナ! 今、真紅に駆け寄っては!」
雛苺「で、でもぉ」
翠星石「真紅はもう…助からないのですぅ」
雛苺「翠星石…」
683 :
真紅「いやっ! やめて! やめてとめてやめてとめて! う、うげぶっ! ウォゴエエエ」げろげろ
翠星石「あああっ! し、真紅が恐怖のあまり、ついにゲロまで吐いたですぅ!」
雛苺「じごくえずなのよーっ!」
翠星石「花京院でもゲロを吐く一歩手前で我慢したですのに…」
金糸雀「くっ! 真紅の犠牲を無駄にはしないかしら! 行くわよ二人とも。猫が真紅にかまっているうちに」
雛苺「らじゃーなの!」
翠星石「ラジャーですぅ!」
真紅「あっ! ちょ、待って…見捨てな…っっぷ、うぼぁ」ゲロゲロ
翠星石「すまぬですぅ真紅! しかし、決して無駄死にではないですよ」
雛苺「真紅の志はヒナ達の心の中で生き続けるの」
金糸雀「だから安心して斃れるといいかしら」
真紅「そ…んなっ…」ゲボボボボ
野良猫達『にゃーにゃー』モフモフモフ
真紅「ぐふっ」ガクリ
684 :
金糸雀「ふーぅ…! 入り口の扉は鍵がかかってなくて助かったかしら」
翠星石「猫が入ってこないように内側から鍵をかけておけですチビ苺」
雛苺「え? でも、それじゃあ真紅が復活してきた時に…」
翠星石「奴のことはもう忘れろですぅ」
金糸雀「ええ。あの有様じゃあ…、一週間は再起不能(リタイヤ)かしら」
雛苺「うぃ…」カチャン
金糸雀「そして、この扉を閉じたということは
  カナ達もお菓子を手に入れるまで屋敷を出ない。つまり背水の陣かしら」
翠星石「…そうです。万が一、敗北して捕らわれたりしたら
  おじじにお尻ペンペンされるのは間違いないですぅ!」
雛苺「うぇええ!? そ、そうなのぉ!」
翠星石「ああ見えて、おじじは容赦しねーですからね。
  悪戯者には尻叩き、それが薔薇屋敷での『鉄の掟(アイアンホリック)』ですぅ」
雛苺「みょわわわわ…」
翠星石「けれども『オケツに入らずんば、痔を得ず』とも言うです!
  やると決めたら真っ直ぐに突っ込む覚悟だけが道を切り拓くのですぅ!」
金糸雀「そのとおりかしら!」
雛苺「うぃ! ヒナも覚悟を決めるのよ」
685 :
翠星石「ヤングおじじ! 音も無く現れたですね!」
金糸雀「未だに浮幽霊として屋敷をうろついて、都合が悪くなると成仏したふりして逃げる二葉かしら」
雛苺「お陀仏サギなのー!」
二葉「言ってくれるねぇ」
翠星石「ヤングおじじには悪いですが、たかが幽霊一人で
  薔薇乙女を三人は止められですよ。押し通らせてもらうですぅ!」
二葉「ふっふっふー。普段ならそうかもしれないが、今日はハロウィンだよ。
  僕のような未成仏霊が最大限に力を発揮できる日の一つでもある」
雛苺「え? そうなのぉ翠星石?」
翠星石「いや、翠星石もその辺の理屈はよく知らんです」
金糸雀「でもまあ、本人がそう言ってるんだからそうなんじゃないのかしら」
二葉「のん気こいていられるのも今のうちだ。これを見ても、そう余裕でいられるかな?」
翠星石「むむっ?」
686 :
金糸雀「!?」
翠星石「何です? 二葉が呪文みたいな事を言い始めたです?」
金糸雀「『みたいな』じゃないわ! あれ、本当の呪文よ!」
雛苺「うぇええ!? ヒナ達、呪われちゃうのーっ?」
翠星石「怯えるなですチビチビ。元から私達は呪い人形みたいなもんですし。そもそも
  そんじょそこらの呪いはローゼンメイデンには無効です。『格』が違うですよ」
金糸雀「で、でも…この詠唱系統は!」
二葉「灰燼と化せ冥界の賢者! 七つの鍵を持て開け地獄の門!」
金糸雀「みんな! 足元に気をつけて! 出てくるかしら!」
雛苺「でてくる?」
翠星石「何が?」
二葉「ハーロ・イーン!!」
骸骨A「ごあっはっ!」ボゴボゴ
骸骨B「げっほげほげほ」ズシャッ
翠星石「きゃあああああああっーーーー! エントランスの床下から…!
  ぞ、ぞぞ、ゾンビ…じゃなくてガイコツですーっ!」
骸骨達『うおしゃあああ…』ゾロゾロ
687 :
二葉「正解。ダイナ号の愉快な仲間達(※)だ。今日はハロウィンだからね、特別に現世にご招待した」
※長靴を履いた蒼星石と記憶の海賊 参照
翠星石「なんですとー!? 二葉以外で死んだ人は全員、nのフィールドを経由して成仏したはず」
二葉「もう一度言うようだけど、今日はハロウィンだから。大目に見て」
翠星石「大目にって…」
金糸雀「た、確かに今の呪文は現世と冥界の間の門を開く呪文だった…しかし、まさか成功するとは!」
雛苺「あややや! それって魔王とかラスボスが使う技なのよね」
金糸雀「ええ。でも、10メガ・エレクトロンヴォルトのエネルギー波を放たれなかっただけマシかしら」
雛苺「うゅ?」
骸骨C「…誰だよ! 雰囲気重視で床下から出ようって言ったのは!」ゴホゴホ
骸骨D「仕方ないだろ! ハロウィンなんだから、こういう演出で…!」ゲホゲホ
翠星石「が、骸骨のくせに、何だか…むせてやがるみたいですねアイツら」
688 :
二葉「ああ! せいぜい怖がらせてから捕まえてやってくれ」
雛苺「!?」
翠星石「なっ!?」
二葉「覚悟はさっき決めたんだろう? 悪戯しに来るってことはだ…
  逆に悪戯されるかもしれない。そういう決意をして君達は屋敷に足を踏み入れた」
金糸雀「翠星石! 雛苺! 応戦を! 二葉は…骸骨達は本気かしら! 捕まったら、お尻ペンペンよ!」
雛苺「うにゃにゃ! わ、分かったの!」
翠星石「しょうがないですね! しかし、こいつら相手にするのも初めてじゃぁないです。
  どいつもこいつも上流階級様とやらで骨の細い奴らばかり…」
骸骨達『うおらーーーっ!』ドドドド
翠星石「どひーっ!? けど、やっぱり、この骸骨軍団はいつ見てもド迫力ですぅ!」
金糸雀「気圧されちゃダメ翠星石! 雛苺も! ここで退いてはお菓子は永遠に手に入らないわ!」
雛苺「そ、それだけは絶対にイヤなの!」
金糸雀「じゃあ闘うしかない! いいわね!」
翠星石「くっ! オッケーです!」
雛苺「ヒナも全力でやってやるのよ!」
689 :
骸骨達『うぎゃー』ドゴーン
雛苺「雛苺ローリングアタックー!」ぐるんぐるん
骸骨達『どわーっ』パカーン
金糸雀「沈黙のレクイエム!」♪?
骸骨達『ぐはーっ』ドギャギャギャ
骸骨F「ぬわーっ、音がよく響く!? これが骨伝導ってやつかーー!!」ボゴゴン
金糸雀「や、やったかしら!」
翠星石「まだです! 安心するのは早いですよカナチビ!」
金糸雀「!?」
雛苺「このガイコツさん達は、すぐに復活するの!」
骸骨達『はははっ! そのとーり!』ガチャガチャ
金糸雀「なっ! バラバラにしてやった骨が一瞬で元通りに?」
二葉「ふっふっふ。また何度も言うようだけど、今日はハロウィン!
  僕ら狭間の霊なる者の、ぷぁわーはマキシマム。かつてのエセ海賊時代と同じにしないでほしいな」
翠星石「ぬうう…」チョロロ
雛苺「す、翠星石? 如雨露から水が出なくなってきているの!?」
翠星石「縄梯子や丸太作りでも、かなりスィドリームを酷使したですからね。
  水不足ですぅ。『キレ』も、おじじのションベン程度になっちまってるです」
金糸雀「なんてこったいかしら」
二葉「ちょっと翠星石、兄さんはまだ泌尿器系は健勝なんだから、そういうこと言わない」
690 :
翠星石「何か策があるのですかカナチビ!?」
金糸雀「言ったはずよ翠星石! 策士たるもの二手三手…」
翠星石「それは分かったですから! 打つ手があるなら早く…!」
金糸雀「少し『溜め』が必要になる! 骸骨達をしばらく近寄らせないでほしいのかしら!」
翠星石「簡単に言ってくれちゃって! ですが、やってやるです! …20秒! それで足りるですか?」
金糸雀「充分よ!」
翠星石「よぉし! チビ苺も翠星石の傍に来いですぅ! あまり離れると取り残されるですよぉ!」
雛苺「うぃ!」トテテッ
骸骨G「うん? 奴ら一箇所に固まって?」
骸骨H「何か企んでいるな」
翠星石「喚び水のヴェール!!」ばしゃあっ
骸骨I「お嬢ちゃん達が滝のカーテンに包まれた!?」
二葉「防護壁か」
骸骨J「これじゃあ近寄れないぞ」
二葉「しかし翠星石もジリ貧だったはず、今更こんな大技が長続きするわけは無い」
691 :
骸骨達『み、水のカーテンの内側から曲が聞こえる?』ザワザワ
二葉「防御しながら一方的に楽曲攻撃を? だが、それでは水音が邪魔して中途半端な威力しか…」
金糸雀「オッケーかしら! 『溜め』は、これで充分! 翠星石、ヴェールを解いて…」
翠星石「言われなくても…もう限界ですぅ」ガクリ
雛苺「す、翠星石ぃ!?」
骸骨達『おおおっ! 水のカーテンが消えた! 何が何だか分からなかったがチャンスだ!』ドドドッ
金糸雀「翠星石、あなたの心! 無駄にはしないかしら!」♪?♪♪?
二葉「ヴェールが晴れて、曲調が一段と強くなった?
  いや、これはそれだけじゃない、まさか…! まずい! みんな! 気をつけ…」
金糸雀「エクトル・ベルリオーズ作! 葬送と勝利の大交響曲、序章マルシュ・フュネーブル!」♪♪?
骸骨達『ぎゃあああああああっ!!?』ビシビシビシ
雛苺「ふぉおおおお! すさまじい威力なのよ! ガイコツさん達が粉々になっていくわ!」
金糸雀「彼らがすぐに再生するのなら、こちらもすぐに破壊し続ける!」♪?
骸骨達『のおおおおおおおおっ!!?』ボッシュゥゥ
雛苺「で、でも曲を変えただけで、こんなに違うの?」
692 :
  エントランス内の湿度は一気に上がった。湿度が高いほど空気中の音波の伝達はくなる。
  そして水分を含み、柔らかくなった骨は音の反射係数が下がる」
金糸雀「そう! つまり音波をより受け付けやすくなっているっ!
  再生の隙は与えないかしら! 破章オラシオン・フュネーブル!」♪?
骸骨達『ふごおおおおっ』ベキョベキョ
雛苺「す、すごいのー! かっこいいの! カナー!」
金糸雀「ふふふ、もっと褒めてほしいところだけど。今は雛苺、進むべき時よ!」
雛苺「え、でも」
金糸雀「カナはこの演奏中は動けないかしら。難しい曲だから、演奏に集中しないと」
雛苺「それって…?」
金糸雀「そう。カナはここまで…、そして翠星石も」
雛苺「!」
翠星石「カナチビの言うとおりです、翠星石はもう、ハナクソほじる力すら残ってねぇです」グッタリ
雛苺「そ、そんな…!」
693 :
雛苺「…!?」
金糸雀「真紅が門を開き、そしてカナと翠星石が道を拓いた」
翠星石「後は往くのみです、チビ苺が…!」
雛苺「うぃ! 分かったのよ! ヒナ、絶対に! 絶対に!!
  この薔薇屋敷の冷蔵庫の中身を全部、取ってくるのーーーっ!」ダダダッ
二葉「まずいぞ! 特別に高級食材だけ貯蔵してある地下の冷蔵庫に向かう気か!
  みんな! 何としても雛苺を止めてくれーーっ」
骸骨達『お、おおおおっ! 少しは俺っち達にもホネのあるとこを見せてやらぁ! 骸骨だけに!』
金糸雀「そうはさせない! カナも最後の力を振り絞るかしら! 急章アポテオーズ!!」♪♪?
骸骨達『ぐががががががっががああ…』ボロロ
二葉「ぼ、僕まで身動きがとれなく…っ! くそっ、雛苺には奥へと進まれてしまうか…!」
694 :
雛苺「はぁはぁ…。ヒナ知ってるのよ、ここに高いハムとかワインがあるの!
  真紅や翠星石、カナのためにたくさん持って帰るんだから…」
カタンッ
雛苺「うにゃっ!? だ、誰かいるのよ?」
オディール「…おめでとう雛苺」スッ
雛苺「オ、オディール!」
オディール「長く辛い戦いの旅路(ヴォヤージュ)…。
  あなた達、勇敢な乙女達の気高い覚悟が、雛苺をここまで遣わしたのですネ」
雛苺「そうなの! ヒナは、みんなのために」
蒼星石「しかし…だ」スススッ
雛苺「うゆゆ!? そ、蒼星石っ!?」
蒼星石「君達は僕達にとって…ただの食糧泥棒。見逃すわけにはいかない」
雛苺「そんなーっ! 蒼星石の分からず屋! 今日はハロウィン…!」
蒼星石「だったら何故、お菓子用の冷蔵庫を狙わない? お菓子のある戸棚や
  冷蔵庫は1階の台所だ。なのに、君はわざわざ高価な食材のあるココに来た」
雛苺「そ、それは…」
695 :
  優しい婦長さんがあなた達にお菓子を快く手渡すはずでしたのに」
雛苺「えっ!?」
蒼星石「僕もマスターも鬼じゃない。困難を突破した高潔な精神の乙女には見返りを考えていた。
  だが、悲しいかな…君は堕ちた。とりあえず高い食糧を狙うゲス乙女の心に!」
雛苺「うみゅみゅ! ゲスだろうと何だろうとヒナは食べ物を持ち帰るの!
  それが真紅達との魂の誓いなのよ! 蒼星石相手にだって、ようしゃしないのーっ!」ドバッ
オディール「危ない! 雛苺が跳びあがって上から襲ってきマス! 蒼星石!」
雛苺「UNYUUUUUUUUUUッーーーーー!!」ドドドオ
696 :
雛苺「ぎゃんっ」ドベチャア
オディール「…あら、あっさりと」
雛苺「きゅー…っ」ピヨピヨ
蒼星石「何をやったって、しくじるものなんですよゲス乙女は。とは言え
  雛苺も痛いところを指摘されて心に迷いが生じてしまったんだろう。
  だから却って、安直な跳びかかりによる攻撃をしてきた…」
オディール「…雛苺が倒れて、薔薇乙女ハロウィン御一行様は全滅というわけデスか」
蒼星石「うん、そうだね。それじゃあ、賊どもを縛ってマスターのもとに連れて行きましょう」
オディール「ウィ。悪い子にはたくさん、お仕置きしてもらわないと」
こうして西暦20XX年ハロウィンに勃発した薔薇屋敷攻防戦は終結するのであった。
薔薇屋敷側は敵軍の侵入を許すも、屋敷内でその全員を取り押さえることができた。
金糸雀 結菱一葉にお尻ペンペンされる。再起可能。
翠星石 結菱一葉にお尻ペンペンされる。再起可能。
雛苺  結菱一葉にお尻ペンペンされる。再起可能。
結菱一葉 お尻ペンペンしすぎて手首を少し痛める。再起可能。
真紅 ゲロとネコの毛玉やウンコまみれになって気絶していたので
 結菱一葉が触れるのを嫌がり、お尻ペンペンは免除。再起不能。
【金糸雀と薔薇屋敷のハロウィン攻防戦】 終わり
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2013/11/06(水) 22:08:15コメント(10)ユーザータグ ローゼンメイデン -->
コメント
※104826 :-:2013/11/06(水) 22:58:50ロッソ・シンフォニア……
赤い子つながりか?※104829 :-:2013/11/06(水) 23:07:02そういやきらきーってまだ?
雛苺に喰われてから復活したっけ?※104838 :-:2013/11/07(木) 00:45:59真紅マジでゴッドフィンガー会得かw
そのうち天然自然の力を使って石破天驚拳まで会得しそうなセンスだな。
※104839 :-:2013/11/07(木) 00:48:27真紅がヨゴレすぎる…※104842 :-:2013/11/07(木) 01:31:03素直にトリックオアトリートって訪ねて菓子袋貰えば良かったのに…なんて学習しない乙女どもだ。
イベントごとにやらかしてるなぁ…
真紅さん、ゲロ吐き回数更新ですか。
※104844 :-:2013/11/07(木) 02:12:08金糸雀にいたずらされたい(切実)※104845 :-:2013/11/07(木) 02:20:26二葉さん成仏したと思ってしんみりしてたのにマジでお陀仏サギじゃねーかwwww
それはそうとハロウィンは真紅様をお菓子でもてなしたいのですが
高潔な彼女はねだらず勝ち取る事を選ぶのでしょうね…※104847 :
ここの馬鹿乙女は学習することを知らないらしい※104849 :-:2013/11/07(木) 11:59:14彼女達はお菓子を強奪することを楽しんでるのであって、真っ当なトリックオアトリートなど見向きもしないんだろうな
割と真剣にゲスじゃねーか
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チン毛わしづかみ大会会場ご飯食べながら見るスレじゃなかった・・金糸雀と薔薇屋敷のハロウィン攻防戦彼女達はお菓子を強奪することを楽しんでるのであって、真っ当なトリックオアトリートなど見向きもしないんだろうな
割と真剣にゲスじゃねーか金糸雀と薔薇屋敷のハロウィン攻防戦無双シリーズみたいなナレーション入れやがってwwww
ここの馬鹿乙女は学習することを知らないらしい金糸雀と薔薇屋敷のハロウィン攻防戦そういえば七鍵守護神の漫画はいつ終わるんでしょうかねぇ。
それはそうとハロウィンは真紅様をお菓子でもてなしたいのですが
高潔な彼女はねだらず勝金糸雀と薔薇屋敷のハロウィン攻防戦金糸雀にいたずらされたい(切実)深夜放送のサザエさんにありがちなこと深夜アニメ化決定の一報が出る頃には既にフィギュア化企画も進行している金糸雀と薔薇屋敷のハロウィン攻防戦素直にトリックオアトリートって訪ねて菓子袋貰えば良かったのに…なんて学習しない乙女どもだ。
イベントごとにやらかしてるなぁ…
真紅さん、ゲロ吐き回数更新ですか。深夜放送のサザエさんにありがちなこと>>30
猫の声が収録されたただのレコードだよ
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