しんのすけ「カナちゃん、青い血が流れてるゾ……?」back

しんのすけ「カナちゃん、青い血が流れてるゾ……?」


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1:
現在、地球には数百種類の異星人が行き交い、生活している。
地球人も段々とそのことに気付き始めている。
嵐を呼ぶオラと未知との遭遇 〜An alien in a kindergarten〜
・クレヨンしんちゃんとレベルEのクロスオーバーです(レベルEは設定を借りただけという感じなのですが)。
・レベルE最終話のサゾドマ虫の習性、コンウェル星人についてネタバレしますので、未読の方はご注意ください。
それでは、よろしくお願いします。
元スレ
SS報VIP(SS・ノベル・やる夫等々)
しんのすけ「カナちゃん、青い血が流れてるゾ……?」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1382964007/
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3:
夏休みのある日、日本各地の幼稚園から選ばれた園児が集まり、北海道で交流お泊り会が行われることになった。
かすかべ防衛隊の面々(しんのすけ・風間・ネネ・マサオ・ボーちゃん)は、知力・体力・運・その他諸々の能力を競う「チーム対抗 ふたば幼稚園代表選抜大会」を勝ち抜き、ふたば幼稚園代表の座をゲットした。かすかべ防衛隊の5人は、園長先生・よしなが先生・まつざか先生引率のもと、しばし親元を離れて活動することとなった。
(羽田空港保安検査場前)
しんのすけ「ほほ〜い! 北海道に遠足だゾ」
園長先生「しんのすけ君、正確には幼稚園交流会ですよ。色々な幼稚園からお友だちが集まるお泊まり会なんです」
しんのすけ「ほうほう。同門の組同士で結束を固めるための集会ですな」
園長先生「久々にオジキの顔を見れるのは嬉しいが、最近、若頭の奴が調子に乗りやがって。そろそろ、立場ってのを分からせてやらねぇと……って、違いますから!」
しんのすけ「組長先生、ノリツッコミがちょっと長いゾ……」
みさえ「あんたが失礼なこと言わなければいいんでしょ!」アタマグリグリ
みさえ「園長先生、うちの子がすみません」
園長先生「いえいえ」
みさえ「しんちゃんが交流会できちんとできるか心配だわ」
ひろし「しんのすけ、お前なら向こうでちゃんといい子に出来るよな」
しんのすけ「オラ、いい子に出来るゾ」
ひろし「よし。じゃあ、お守りにコレ持って行け!」
しんのすけ「父ちゃん、コレ……」
ひろし「何かあったときに使えよ」
しんのすけ「ブ・ラジャー! ひま、行ってくるゾ」
ひまわり「たいやい」
4:
園長先生「しんのすけ君と皆なら、きっと他のお友達とすぐ仲良くできますよ。それに、私たちできちんと引率しますから」
よしなが先生「任せてください」
まつざか先生「子供たちのことはしっかり面倒見させて頂きますわ」オホホホホ
親たち「よろしくお願いします」
風間「北海道も久しぶりだな」
マサオ「僕は初めて。ドキドキするなあ」
ネネ「どんなお友達に会えるのかしらね」
ボーちゃん「楽、しみ……」
園長先生「君達五人はふたば幼稚園の代表として交流会に参加するんです。代表としてしっかり頑張りましょうね」
しんのすけ「オラ達、北海道で頑張るゾ! かすかべ防衛隊!」
しんのすけ・風間・マサオ・ネネ・ボー「ファイヤー!」
5:
(飛行機内 既に離陸)
しんのすけ「ほほ〜い! お空を飛んでるゾ!」
マサオ「うぅぅぅ……こ、怖いよう(泣)」←窓際の席
ネネ「うるさいわよ、オニギリ。少しは黙りなさいよ」
マサオ「うぅ……。あ、あれ? 何か外でキラキラ光ってるのがビュンビュン飛んでる!」
しんのすけ「お? マサオくん、なになにー? そんなの見えないゾ?」
マサオ「あっという間に消えちゃったみたい……もしかして、UFOだったのかなあ?」ガクブル
しんのすけ「マサオくんは意外と非科学的なんですなあ」
ネネ「そうよね、しんちゃん。UFOとか宇宙人なんているはずないわ」
ボーちゃん「そうとも、言えない。宇宙人は、意外と、近くに、いる、らしい……」
風間「ボーちゃんの言うとおりだよ。最近は目撃例が急増しているし、真面目な学術誌で取り上げられたりもしているんだ。もしかしたら、僕たちのすぐそばに彼らはいるのかもしれない」
ネネ「なんだか怖いわ」
マサオ「うん」ガクブル
しんのすけ「ほうほう。エンジンは宇宙人かもしれないってことですな」
風間「それを言うなら隣人!」
よしなが先生「みんな、あんまり騒がないで、いい子で座っていてね」
しんのすけ・風間・マサオ・ネネ・ボーちゃん「はーい」
ここで、美人CAが通路を通りかかる。
しんのすけ「おお、美人のおねいさんだゾ。CAのおねいさ〜ん、ピーマン食べれるぅ? 納豆にはネギを入れる派?」
よしなが先生「しんちゃん、やめなさい!」
6:
(北海道到着)
空港で何組かの幼稚園と合流。
まつざか先生「さあ、ここからは他のお友達と一緒に、バスに乗って合宿所まで行くわよ。あなたたち、いい子にしてなさいね」ホホホ
バスに乗り込み、席に着く面々。しんのすけの隣は別の幼稚園の女の子だった。その女の子は首から大きな虫かごをさげている。
しんのすけ「出発おしんこ〜! キュウリの糠漬け〜!」
隣の女の子「ふふふ。それ、面白い言い方だね」
しんのすけ「お。君はなかなか見込みがあるゾ。オラ、野原しんのすけ、5才。好きな有名人はガッキー」
カナ「私はカナ。好きな有名人は郷剛太郎」
しんのすけ「お、カナちゃんもアクション仮面好き?」
カナ「好きどころじゃないよ。グッズもDVDボックスも全種コンプリート(ピースサイン)」
しんのすけ「うらまやすぃ〜。オラんちは母ちゃんがおケチだから……でも、オラもアクション仮面好きな気持ちは負けないゾ! ワッハハハハハハハ!」←あのポーズ
カナ「ワッハハハハハハハ!」←あのポーズ
しんのすけ・カナ「ワッハハハハハハハ!」←あのポーズ
しんのすけ「ところでカナちゃん、その虫かごなぁに?」
カナ「ふふふ。サゾドマ虫っていうんだけど、今年の夏はコイツの観察をしようと思って。もともとパパのなんだけど、貰ってきちゃった」
しんのすけ「なんか、ちょっと気持ち悪い虫だゾ……」
虫かごを覗くしんのすけ。虫かごの中には10匹程度の姿形が違う虫がごそごそ蠢いている。しんのすけが顔を顰めると、しんのすけ側に近寄ってくる虫たち。
しんのすけ「うへぇ……」
カナ「慣れると意外と可愛いんだよ」ニコニコ
7:
風間「しんのすけ、もう他の子と仲良くなったのか?」
後ろの席から風間が声をかける。
カナ「私、カナ。ドグラ幼稚園から一人で来たの」
風間「へー。一人なんてすごいね。僕は風間トオル」
ネネ「桜田ネネよ。後で一緒に遊びましょ!」
マサオ「ぼ、ぼくは佐藤マサオ……」ドキドキ
ボーちゃん「みんな、僕のこと、ボーちゃん、て、呼ぶ」
しんのすけ「オラ達はふたば幼稚園から来たんだゾ。で、かすかべ防衛隊なんだゾ」
カナ「かすかべ防衛隊……素敵だね。私も入れる?」
しんのすけ・風間・ネネ・マサオ・ボーちゃん「もちろん!」
しんのすけ「かすかべ防衛隊の掛け声が決まってるんだゾ。かすかべ防衛隊!」
しんのすけ・風間・ネネ・マサオ・ボーちゃん「ファイヤー!」
カナ「ファイヤー!」
六人「キャッキャッ」
8:
まつざか先生「あの子達、少し騒ぎすぎじゃないかしら」
園長先生「あのくらいなら大丈夫ですよ。それよりも、早他の幼稚園の子と仲良くなっているみたいで安心しました」
よしなが先生「まつざか先生、今回は、担任のクラスの子が来ていないのに、引率を引き受けてくれてありがとうございました。子供たちを世話する人手が足りないみたいなので、助かりました」
まつざか先生「ふん。気にしないでちょうだい。あなたより私の方が先生としての実力があることを見せつけてやるいい機会だと思っただけよ。それに、北海道の美味しい食べ物が楽しみ……ゴホン、ゴホン。美味しい食べ物なんて食べ飽きてるから、正直、あまり興味はないけれどね」
よしなが先生(あとで美味しいお店に連れて行きましょう(苦笑))←小声
園長先生(そうですね)←小声
9:
(合宿所に到着)
よしなが先生「ほら、みんな起きて。着いたわよ」
しんのすけ・風間・ネネ・マサオ・ボーちゃん「ムニャムニャ」
カナは虫かごと荷物を持って元気よくバスから飛び出す。
しんのすけ「お。カナちゃん、待ってだゾ」
しんのすけたちも後を追いかける。合宿所の前には高校生くらいの男の子が立っていて、ニコニコ笑顔で園児達を迎えている。
押切「みんな、よく来たね。僕は押切といいます。今回ボランティアでみんなのお世話をさせてもらうんだ。よろしくね」
しんのすけ「しくよろ〜」
風間「やめろよ、しんのすけ、失礼だろ。お兄さん、よろしくお願いします(お辞儀)」
マサオ・ネネ・ボーちゃん「よろしくお願いします!」
押切「みんな、礼儀正しくて、いい子だね」
しんのすけ「それほどでも〜」
風間「お兄さんは僕たちのことをほめたんだぞ」
押切「ははは」
カナ「(じっと押切を見上げている)」
押切「どうかしたかい?」
カナ「ううん。なんでもない。私もよろしく」
押切「よろしく。さあ、みんなの部屋に案内するから、荷物を置いておいで。早く遊ぼう!」
しんのすけ「ほ〜い」
10:
(近くの大きな公園へ)
たくさんの園児たちと移動。かすかべ防衛隊(カナ含む)と押切、まつざか先生でグループを作っている。
ネネ「まずはリアルおままごとで遊びましょ」
しんのすけ・風間・マサオ・ボーちゃん「!」
カナ「リアルおままごと?」
風間「カ、カナちゃん、ちょっとこっち来て」
しんのすけ・風間・マサオ・ボーちゃんが小声でリアルおままごとの恐ろしさを語る。
カナ「なるほど」
風間「だからね、他の遊びをしたいってネネちゃんに言ってくれないかな」
カナ「えー。リアルおままごと楽しそう」
しんのすけ・風間・マサオ・ボーちゃん「!」
カナ「ネネちゃん、私、ネネちゃんの夫が単身赴任先で作った愛人役する。ブランドのバッグが大好きな、ちょっと頭の弱いキャバ嬢ね」
ネネ「じゃあ、ネネは夫を信じて待つセレブ妻の役ね。今日は、ネネの夫がなかなか離婚しないのにキレて、カナちゃんがうちに乗り込んでくるところからにしましょ」
カナ「OK」
ネネ「風間くんは、エリートだけど浮気ばかりしてるサラリーマン(婿養子)、しんちゃんはカナちゃんが貢いでる売れないバンドマン、ボーちゃんとお兄さんは有名私立中学に通うネネたちの息子、まつざか先生は敏腕弁護士、オニギリはペットの金魚役ね」
風間「……お、お兄さんとまつざか先生も混ぜるの?」
ネネ「当たり前でしょ」
まつざか先生「アタシは別に構わないわよ。東北の松島菜々子と言われた演技力を見せてあげるわ!」オホホホホホ
マサオ「先生、六本木生まれ六本木育ちじゃないの?」
まつざか先生「こ、細かいことはいいのよ」アセ
押切「僕も混ぜてくれるのなんて、嬉しいなあ」ニコニコ
しんのすけ「お兄さん、のん気にしてないで早く逃げた方がいいゾ」コソコソ
ネネ「しんちゃん、なあに? こそこそして」ギロリ
しんのすけ「(ビクッ)いいえ、別に……」
ネネ「じゃあ、スタート!」
11:
ネネ「きぃぃぃ! この泥棒猫!」
カナ「うふふふ。トオルちゃんったら、アタシにいっつも奥さんのこと、つまらなくて暗くてブスだって言ってましたよぉ。それに、早くアタシと結婚したいって。ね、トオルちゃん」キャハ
ネネ「あなた、本当なの!」
風間「い、いやあ……あの」
ネネ「きぃぃぃ! お父様にお願いしてお父様の会社の常務にまでしてあげたのに。離婚よ! 息子たちを連れて実家に帰らせて頂きます。行きましょ、ボーちゃん、お兄ちゃん」
カナ「やったあ♪」
押切「いきなりの急展開だなあ!」
ボーちゃん「ぼ……」
風間「ま、待ってくれよ。何も子供まで連れていかなくても」
ネネ「あなたみたいな人のそばにいたら、子供たちの教育に悪いわ。私の大切な子供たちにこれ以上近づかないでちょうだい」
押切「お母さん、僕たちのこと大切にしてくれてるんだね(感動)」
しんのすけ「リアルおままごとでそういう反応する人初めて見たゾ」
ネネ「今回のことはお父様にしっかり報告させてもらいますから。あなたなんか、すぐクビよ! あとのことは全部弁護士さんを通して伝えます」
まつざか先生「こんにちは。私、ネネさんの弁護士のまつざかです。風間さん、あなたの浮気のせいで、奥様であるネネさんは大変な精神的苦痛を受けました。その慰謝料として1億円を請求します。また、お子さん達の養育費として、月々100万円を頂きますので」
風間「えぇぇ!」
カナ「クビとか慰謝料とか養育費とかマジで言ってんのぉ? そんなことになったらトオルちゃん一文無しになっちゃうじゃない。せっかく金持ちの奥さんになって遊びまくれると思ったのにぃ。なら、要〜らな〜い」
風間「お、おい、カナちゃん……」
カナ「しんちゃん、行きましょ! お金の心配は無いわよ♪ 他にもキープしてるおじさんはたくさんいるから(笑)」
しんのすけ「おお」
まつざか先生「この家もネネさんのお父様が購入されたものなので出て行ってください。財産分与はなし、貯金もすべてネネさんが受け取るのでいいですね」
ネネ「金魚は要らないからあげるわ。ちゃんと育ててあげなさいよ」
風間「うぅぅ……(涙)」
マサオ「うぅぅ……(涙)」
12:
ネネ「うふふ。今日のリアルおままごと、すごく楽しかったわ!」
カナ「ねー」
しんのすけ・ボーちゃん・風間・マサオ「……」
押切「僕はちょっと感動しちゃった。家族っていいね」
ネネ・カナ「でしょー?」
しんのすけ「お兄ちゃんは少しずれてるゾ」
押切「そうかなあ?」
遠くから、よしなが先生の声が響く。
よしなが先生「まつざか先生ー! すみませんけど、ちょっとこっちで荷物運ぶの手伝ってもらっていいですかー?」
まつざか先生「わかったわ! あなた達、アタシは行くけど、ちゃんと仲良くするのよ。カナちゃんともね」
しんのすけ「仲良くするゾ」
まつざか先生「そう。それならいいわ。押切くん、この子達の面倒見てくれてありがとう。助かったわ。この後も頼むわね」
押切「いいえ、そんな……僕なんて子供たちと一緒に遊んでいるだけなんで……」(顔が赤くなっている)
まつざか先生「あなたたち、いつもみたいに無茶をして、押切くんに迷惑かけないようにね。あと、知らない人にはついて行っちゃダメよ」
しんのすけ「ほ〜い。まつざか先生も、かっこいい男の人が通りかかったからってついて行っちゃダメだゾ」
まつざか先生「(怒)私はそんなに男に困っていないわよ!」
しんのすけ「いや〜、そんなに見栄を張らなくても〜」
まつざか先生「(怒)このガキ〜!」
よしなが先生「まつざか先生、まだですか〜?」
まつざか先生「(怒)行くわよ、行けばいいんでしょ! 野原しんのすけ! 戻ったら覚えてなさいよ!」
しんのすけ「まつざか先生、がんばってねー」←手をヒラヒラさせている。
般若の顔でしんのすけを睨みながら、ガニ股で去っていくまつざか先生。
押切「///」←頬を染めながらまつざか先生の後姿を見つめている。
押切「まつざか先生って綺麗な人だね。子供と同じ目線で接していて素敵だな」
しんのすけ・風間・マサオ・ネネ・ボーちゃん「!」
しんのすけ・風間・マサオ・ネネ・ボーちゃん「ざわざわ……」
押切「?」
しんのすけ「お兄ちゃんは女の人の趣味も変わってるゾ」
押切「そう?」
カナ「まあ、人には色々な趣味があるから、そういうこともあるんじゃない」
しんのすけ・風間・マサオ・ネネ・ボーちゃん「なるほど」
押切「……?」
13:
風間「さあ、次は何して遊ぼうか」
ネネ「次のリアルおままごとのシナリオは……」
しんのすけ「せ、せっかく、大きい公園に来たんだから、思い切り走る遊びがいいゾ」アセ
マサオ「そうだね! 色鬼とかどうかな?」アセ
ボーちゃん「ぼくも、色鬼、さんせい……」アセ
ネネ「カナちゃん、どうするぅ?」
カナ「ありきたりだけど、まあ、いいんじゃない?」
風間「(ほっ)じゃあ、色鬼ね。鬼を決めるじゃんけんをしよう」
みんな「じゃんけん、ぽん!」
ネネ「マサオ君が鬼ね」
マサオ「じゃあねぇ、最初は灰色!」
みんな「逃げろ〜! 灰色、灰色!」
14:
マサオが追いかけるも、みんなは素早く、縁石や滑り台の土台のコンクリートを触りに行く。
しんのすけだけが灰色を見つけられずうろうろしている。
マサオ「あ、しんちゃん待って〜!」
しんのすけ「おお。早くしないとだゾ。灰色、灰色〜、お、あったゾ!」
しんのすけは咄嗟に目に入った灰色に触る。それは知らないおじさんのズボンだった。
灰色服の男「なんだ、お前は?」←しんのすけとしんのすけを追ってきたマサオを睨む。
マサオ「ひぃぃぃぃ!」
しんのすけ「あのね、オラたちいま色鬼中なの。灰色だから、ちょっとだけおじさんのここ貸してほしいんだゾ」
灰色服の男「……」←睨み続ける
しんのすけ「……」←しんのすけもふてぶてしく掴み続ける。
マサオ「し、しんちゃん。やめとこうよ……」
15:
押切が心配して駆け寄る。
押切「どうしたんだい、しんちゃん、マサオ君。その人どうかしたの? あ、あんたは、鈴木……!」
灰色服の男「あ! お前は押切か……! お前、こんなところに紛れていやがったのか!」
押切「しんちゃん、マサオ君、すぐその人から離れるんだ!」
しんのすけ「お?」
マサオ「え?」
押切「その人は、その……悪い人なんだ!」
押切は二人を抱えて、鈴木から引き離す。
押切「さあ、みんなのところまで走って!」
しんのすけ「お、おう……」
しんのすけとマサオが走り出す。その後を追いかけようとした押切だが、鈴木に捕まり、殴られる。
しんのすけ・マサオ「お兄ちゃん!」
16:
風間・ネネ・ボーちゃん・カナ「お兄ちゃん、しんちゃん、マサオ君、大丈夫!?」
かすかべ防衛隊の面々が押切の元に駆け寄って来る。
押切「み、みんな、こっち来ちゃダメだ!」
鈴木から園児たちを庇うように立つ押切。
押切「す、鈴木さん、あなたも、こんなところで騒ぎを起こしちゃ問題でしょう。ここは黙って帰ってくれませんか?」
鈴木、周りを見回す。他の園児や先生たちがこっちをチラチラ見ている様子が目に入る。携帯電話を取り出している様子も。
押切「これ、僕の今の連絡先です。あなたは僕に用があるんでしょう。だったら、後で僕に直接連絡をください。お願いだから、子供たちを巻き込まないで……」
鈴木「……わかった。今は下がろう」ニヤリ
鈴木はおとなしく踵を返す。が、押切の背後から飛び出したカナが鈴木の後ろ脛をハサミで切りつける。
鈴木「いてぇ!」
押切「カナちゃん!」
カナ「お兄ちゃんを殴ったお返し」
鈴木「このガキが!」
鈴木はカナの髪を掴んで地面に投げ捨てる。顔面から地面に衝突し、派手に地面を滑るカナ。
みんな「カナちゃん!」
17:
鈴木「ふん。でしゃばるガキが悪いんだ」
鈴木は公園の外へと駆け去る。
ネネ「カナちゃん、大丈夫!?」
みんなが駆け寄ると、カナはケロリとした顔で起き上がる。
カナ「大丈夫。鼻血は出ちゃったけどね。あはは」
押切「カナちゃん、君は……!」
しんのすけ・風間・ネネ・マサオ・ボーちゃん「!」
しんのすけ「カナちゃん、青い血が流れてるゾ……?」
カナの鼻から出た血、顔の擦りむいた部分から滲んだ血の色は真っ青だった。押切は慌てて大量のティッシュを出して、カナの傷口と鼻を押さえる。
周りの大人たちが駆け寄って来る。
駆け付けた他の先生たち「大丈夫!?」
押切「鼻血と、あと、顔にかすり傷もあります。水道で洗って、合宿所に連れ帰って手当てしますので、すみませんが、ここのあとのことは任せてもいいですか?」
先生たち「わ、わかったわ!」
押切「みんなも合宿所に行こう」
しんのすけ・風間・ネネ・マサオ・ボーちゃん「う、うん……」
18:
(合宿所)
合宿所に着き、押切がカナの傷口に当てていたティッシュを離すと、既に鼻血は止まっていた。顔の擦り傷部分はキラキラ光っていて、徐々に患部が消えているようだった。
風間「カナちゃん……君は一体!?」
カナ「私、一応宇宙人なんだ」(ピースサイン)
風間・マサオ・ネネ・ボーちゃん「えええ!」
押切「……」
しんのすけ「ほうほう。やはりニンジンは宇宙人だったんですな」
風間「それを言うなら、隣人だろ!」
カナ「ハハハハ。しんちゃんは私のこと、気持ち悪いって思わないの?」
しんのすけ「別にふつー。それに、アクション仮面好きに悪い奴はいないから」
カナ「なるほど。一理あるね。ワーッハハハハハハハ!」←あのポーズ
しんのすけ「ワーッハハハハハハハ!」←あのポーズ
風間・マサオ・ネネ・ボーちゃん「(ぽかーん)」
19:
カナはアクション仮面ポーズをやめて、みんなに向き直る。(しんのすけは一人でアクション仮面の高笑いを続けている)
カナ「みんな、私のこと気持ち悪かったら無視していいからね」
風間「(はっとして)な、何言ってるんだよ、カナちゃん! 僕らはかすかべ防衛隊じゃないか!」
ネネ「そ、そうよ! 一緒にリアルおままごとした仲じゃない!」
マサオ「うん。はじめは驚いたけど、ぼくたちは友達だよ!」
ボーちゃん「カナちゃんは、ぼくたちの、仲間……」
カナ「みんな……」
しんのすけ「オラ達はみんなかすかべ防衛隊だゾ。かすかべ防衛隊!」
しんのすけ・風間・マサオ・ネネ・ボーちゃん・カナ「ファイヤー!」
20:
カナ「私ね、故郷の星では、結構窮屈な生活なの。だから、監視を騙して、思い切って地球の日本に黙って一人で来てみたんだ。私の大好きなアニメとかドラマとか作っている日本を見てみたかったから。来れてよかった。すごく楽しい!」
押切「良かったね、カナちゃん」
カナ「ふふ」
風間「それにしても、お兄さんは冷静なんですね。カナちゃんが宇宙人だってことにもあまり驚いてなかったみたいだし」
押切「え、え? そ、そうかな? お、驚いてるよ、十分これでも……?」
マサオ「ふーん。お兄ちゃんは顔に出ないタイプなんだね」
ネネ「ポーカーフェイスってやつね。ババ抜きとか強そうだわ」
ボーちゃん「ぼく、トランプ、もって、きた」
風間「さすが、ボーちゃん!」
しんのすけ「これで今夜の遊びは決まりましたな」
しんのすけ・風間・マサオ・ネネ・ボーちゃん「ワイワイ」
21:
カナ「ねえ、お兄さん。そういえば、さっきのチンピラみたいな人、お兄さんの知り合い?」
押切「……亡くなった父の、古い知り合いなんだ。僕も……アイツとは面識がある」
カナ「なにか揉めているように見えたけど?」
押切「……。父の代からの因縁があって……。多分、後でアイツから僕に連絡が来ると思う。けど、みんなには迷惑かけないようにするから、大丈夫!」
カナ「何かあれば……私、力になれると思うよ。だって、お兄さんは……」
押切「大丈夫! 自分でなんとかできるさ! それに、君みたいに小さな子に頼るわけにはいかないよ」
カナ「でも……」
押切「大丈夫だから! それに、カナちゃんは楽しい思い出を作るためにこの星に来たんだろ? だったら、みんなと楽しまなきゃ! こんなつまらない話は忘れて、みんなで遊ぼう。ね!」
カナ「……わかった。お兄さんがそれでいいなら」
押切「うん」ニコ
押切「さあ、カナちゃんも回復したみたいだし、次は何して遊ぼうか」
しんのすけ「鬼の居ないかくれんぼ〜」
ボーちゃん「しんちゃんと、ぼくが、はまってる、遊び」
押切「へー。面白そうだね」
マサオ「お兄ちゃんはやっぱり変わってるね……」
カナ「えー、でも面白そう。それはつまり、現実にはいないけれども形而上に存在する鬼という存在を追及する行為でしょ。とても深い哲学的含蓄があると思う」
風間「カナちゃん、そんなに深く思考しなくてもいいよ……。どうせ何も考えてないよ。少なくとも、しんのすけは……」
しんのすけ「あーら、失礼しちゃうわ、トオルちゃんたらも〜」(風間の耳にふ〜と息を吹きかける)
風間「アッー(ゾワワワワッ)……ってやめろ、しんのすけ!」
みんな「あはははは! ワイワイガヤガヤ」
22:
(その夜)
ふとんを敷いた部屋で、しんのすけ・風間・マサオ・ネネ・ボーちゃん・カナ・押切でババ抜き中。
ネネ「夕飯の海鮮丼、おいしかったわね。(カード捨て)はい、上がり」
風間「ウニもイクラもなかなかのものだったね。(カード捨て)よし、僕もあがり!」
しんのすけ「(カード捨て)お。あっがりー! またお兄ちゃんの負けだゾ」
(マサオ・ボーちゃん・カナは上がり済み)
マサオ「お兄ちゃん、ババ抜き強いと思ったら、全然強くないんだね」
押切「そ、そうかなあ……」(落ち込み気味)
カナ「お兄さん、すぐ顔に出るよね」
ネネ「ねー」
押切「……」(顔を赤くして恥ずかしそうにしている)
23:
園児たちの部屋を巡回しているまつざか先生が、しんのすけたちの部屋に顔を出す。
まつざか先生「あーら、あなたたち、そろそろお休みの時間よ」
押切「あ、まつざか先生(赤面)! お疲れ様です。ほら、みんな、そろそろ……」
ネネ「お兄ちゃん、チャンスよ!」コソコソ
押切「?」
マサオ「まつざか先生をトランプに誘うんだよ!」ワクワク
押切「ええ! む、無理だよ、そんなの……」
風間「だめですよ、お兄さん。こういうのは男がリードしないと」
カナ「うんうん。あと、誘うならババ抜きじゃないやつがいいんじゃない」
ボーちゃん「がん、ばれ」
しんのすけ「んもー。お兄ちゃんたら、お・く・て・な・ん・だ・か・らぁ(ハートマーク)」
しんのすけにドンと押され、前につんのめりながら、まつざか先生の前に押し出される押切。
押切「わわわ!」
まつざか先生「あら、押切君、どうしたの?」
押切「あわわ。え、えーと。まつざか先生、よ、よかったら、ぼ、僕達とトランプで遊びませんか?」
まつざか先生「そうねえ……もうこんな時間だけど、1回くらいならいいわよ。そしたら、みんな、いい子で寝るわね?」
かすかべ防衛隊「寝るー!」
24:
まつざか先生「で、何のゲームをするの?」
押切「え、えーと、えーと。ジジ抜きで!」
カナ(なるほど。考えたわね。ジジ抜きなら最後までジジのカードがわからないから、お兄さんの弱点である『顔に出やすい』ことを克服できる……!)キラリ
風間「いや。そんなに真面目に解説しなくていいよ、カナちゃん……」
みんなで仲良くジジ抜き開始。結果、最後までカードが残ったのは押切とまつざか先生。
しんのすけ「ヒューヒュー。お二人で残るなんて、ラブラブだゾ。ヒューヒュー」
押切「や、やめてよ、しんちゃん」(顔が赤い)
まつざか先生「んふふふふふ!」←若い男とひやかされて悪い気はしないらしい。
しんのすけ「まつざか先生、お鼻の穴が膨らんでるゾ」
まつざか先生「黙ってろ(怒)!」
押切残り1枚、まつざか先生残り2枚。押切がまつざか先生から引くものの、外れ。押切は体の後ろでカードをシャッフル。まつざか先生が引くと、見事あたりで、2枚のカードを捨てて勝利!
まつざか先生「やったわ!」
押切「負けちゃいました……」エヘヘ
でも、押切は少し嬉しそうに残されたカードとまつざか先生を見ている。
まつざか先生「さあ、みんな、もう寝なさいね。明日も早いんだから」
かすかべ防衛隊「はーい!」
まつざか先生「おやすみなさい」
かすかべ防衛隊「おやすみなさい!」
押切「おやすみなさい、まつざか先生」
25:
(夜中)
ボーちゃん「しん、ちゃん、みんな、起きて」
しんのすけ「うーん。なんだゾ?」ムニャムニャ
ボーちゃん「何か、変な、気配が、する……」
しんのすけ・風間・ネネ・マサオ・カナ「?」
ボーちゃん「ほら、廊下」
しんのすけ「何も見えないゾ」
ボーちゃん「でも、足音、だけが、する」
しんのすけ・風間・ネネ・マサオ・カナ「!」
マサオ「本当だ……。おばけかなあ……? 足音が遠ざかっていくね」ガクブル
ボーちゃん「追いかけて、みよう」
ネネ「待って! お兄ちゃんがいないわ。一緒の部屋で寝ていたのに……」
マサオ「おトイレかなあ?」
風間「よし。しんのすけとボーちゃんとカナちゃんで謎の足音を追って。僕たちはお兄さんを探して先生も呼んでくる」
しんのすけ「ほーい」
風間「何かあったら、大声で知らせよう」
しんのすけ「わかったゾ」
しんのすけ「かすかべ防衛隊!」←小声
しんのすけ・風間・ネネ・マサオ・ボーちゃん・カナ「ファイヤー!」←小声
26:
見えない相手を、忍者のように隠れながら、かつ、俊敏に追いかけるしんのすけ・ボーちゃん・カナ。
しんのすけ「ドアがひとりでに開いたゾ」 (見えない相手がドアを開けたらしい)
カナ「あそこは女の先生達の部屋だね……」
(子供達の各部屋には先生かボランティア一人が一緒に寝ているが、残りの先生達は一部屋に固まって寝ている)
女性の声「キャー!!」
慌てて中に入るしんのすけ・ボーちゃん・カナ。見えない相手が女性教師の手首を掴んでいるようだ。
しんのすけ「お。やっぱり、おばけだゾ!」
ボーちゃん「確かめる」
ボーちゃんが野球ボールほどの玉を見えない相手のいる辺りに投げる。防犯用のカラーペイントがぶちまけられ、下半身が蛍光オレンジに染まる見えない相手。
(もしもの時用に、ボーちゃんはこの合宿の期間中、防犯グッズを持ち歩いていた)
ボーちゃん「誰か、いる」
???「ちっ。せっかくの光学迷彩だったのに……」
透明が解除され、見えない相手が姿を現す。昼間押切に絡んできた鈴木だった。
しんのすけ「昼間のおじさん。灰色のズボンがオレンジ色になっちゃったゾ」
よしなが先生・まつざか先生「のん気なこと言ってないで逃げるわよ!」
しんのすけ・ぼーちゃん・カナ「お」
二人の先生に手を引かれて走り出す三人の園児。
27:
鈴木「待て!」
鈴木は地球では見慣れない形状の拳銃のようなものを出して撃つ。
しんのすけ・ぼーちゃん・カナ・よしなが先生・まつざか先生「ぎゃー!!」
園児3人とよしなが先生・まつなが先生を狙い撃ちする灰色服の男!
それに対して、ギャグ補正で避け続ける5人! (しんのすけがバレエを踊りながら避けたり、ボーちゃんがマトリックス的演出で銃弾を避けたり)
その間に、他の女性教師たちは助けを求めて部屋の外へ逃げ出す。
さすがの5人も疲れ始める。
鈴木「ふふふ。さすがに疲れ始めたようだな……って、うおお!」
風間・マサオ・ネネ・押切・園長先生「みんな大丈夫!?」
風間・マサオ・ネネ・押切・園長先生の投げた大量の布団に押しつぶされる鈴木。
風間「よし、ふとんの上からしばるぞ!」←用具室から持ち出したロープを持っている。
しんのすけ「さっすが、ご用意がいいゾ、風間くん! す・て・きぃぃぃん!」(耳元にふ〜)
風間「アッー……ってやめろ! こんなときに!」
かすかべ防衛隊と先生が協力して鈴木を縛ろうとする。
押切「あ、待って! そいつは確か……そいつから離れて!」
28:
布団の下がモコモコと揺れ始める。すると、布団の隙間から、灰色のどろどろした半分液体状のものが漏れ出る。それはやがて人間のような形状を取ると起き上がった。例えるならば、それはネルネルネルネの灰色バージョンで作られた人体模型のような外見だった。
みんな「うわああああ!」
みな、叫びながら逃げ出す。だが、逃げ遅れたマサオが灰色液体人間に捕まる。
マサオ「いやああああ!」
しんのすけ「マサオ君!」
よしなが先生・園長先生「マ、マサオくんを離しなさい!」
よしなが先生と園長先生が灰色液体人間に掴みかかろうとする。が、灰色液体人間はマサオを捕えた腕とは反対側の手で銃を握り、二人を撃つ。倒れるよしなが先生と園長先生。
まつざか先生「よしなが先生! 園長先生!」
灰色液体人間「安心しろ。これは地球人向けの麻酔銃だ。死にはしない」
その麻酔銃を捨てる灰色液体人間。代わりに違う銃を取り出してマサオの頭に突き付ける。
マサオ「ひいぃぃぃぃ!」
灰色液体人間「こっちの銃は本物だ。こいつを助けたかったら、全員動くな!」
全員動きを止める。
29:
ネネ「あの灰色の人……さっきのおじさんなの……?」
押切「そうだよ……。鈴木が半液体形状の体を持ってるってこと、忘れてた……ごめん……」
風間「あの人も宇宙人なの?」
押切「うん……」
カナ「おそらく、さっきまであの体の上に地球人っぽい薄皮を被っていたんだと思う。ピンチになってそれを脱いで、布団の隙間から逃げ出したんだね」
灰色液体人間改め鈴木「うるさいぞ、黙れ!」
マサオ「ひぃぃぃぃ!」
押切「やめてくれ! 子供に……地球人にひどいことをしないで! 僕は……なんでもしますから……」
鈴木「ふふふ。ならば、こちらへ来い! ただし、変な真似したらすぐにこのオニギリ頭を撃ち抜くからな!」
押切「……」
押切は黙って言う事を聞き、鈴木の傍らに寄る。
鈴木「そうだ。それでいい。何しろ、お前は元々、俺たちの仲間なんだからな!」
かすかべ防衛隊・まつざか先生「!」
押切「……」(苦しそうな表情)
30:
鈴木「それと、人質交換だ。おい、そこの黒髪の女! お前とこのオニギリと交換だ」
かすかべ防衛隊・まつざか先生・押切「!」
鈴木「ふはははは。もともと、女を攫うためにここに侵入したんだからな。女はお前のために攫うんだぜ、押切」
押切「! ま、まさか! や、やめろ!」
鈴木「また組んでひと儲けしようぜ!」
押切「い、いやだ!」
鈴木「俺達に協力すると言え! でねぇと、このガキの頭が吹っ飛ぶぞ!」
マサオ「ひいぃぃぃぃ!」
押切「! やめろ! マサオくんは関係ないだろ! わかったから、その子を傷つけないで!」
鈴木「ふん。わかりゃあ、いいんだ。で、そこの女!」
まつざか先生「!」
鈴木「あんたはどうすんだ? あんたがこっちに来なければ、ガキは死ぬぜ! ま、あんたがそれでいいなら、それでもいいけどな。ふふふふ」
まつざか先生「……」
しんのすけ「まつざか先生……」
まつざか先生「人質交換、喜んで受けるわ。そっちに行くから、すぐにマサオくんを離しなさい」
押切「まつざか先生!」
まつざか先生が近付くと、鈴木はマサオを乱暴に突き飛ばし、まつざか先生を捕えてその頭に銃を突きつける。
31:
マサオ「ああ! まつざか先生!」
まつざか先生「大丈夫、マサオくん? 怪我はないかしら?」
マサオ「ぼ、僕は全然大丈夫だよ。それよりごめんなさい。僕のせいで、先生が、先生が……(泣)」
まつざか先生「あら、私の仕事は幼稚園の先生。そして、園児を守るのは、ただの仕事の一つよ。だから、全然に気にしないでちょうだい」
そう言って、フフンと強気に笑うまつざか先生。
鈴木「ふははは。強情な女は嫌いじゃあないぜ。さあ、歩け。いったん建物の外に出るぜ。押切もついて来い! ガキどもはそこで大人しくしてな!」
押切「まつざか先生……」
まつざか先生「黙って従いましょう、押切くん。とにかく、今は子供の安全を確保しないといけないわ」
押切「わかりました……」
ネネ「まつざか先生、お兄ちゃん……」
まつざか先生「私たちは大丈夫よ。だから、おとなしく待っていてちょうだい」
押切「まつざか先生は、僕が守るから……みんな、待っていて」
かすかべ防衛隊「……」
32:
風間「お兄さんは一体……?」
押切「僕は……」
鈴木「ダラダラするな! 急げ!」
鈴木と押切・まつざか先生は建物から出ていく。その様子を悔しそうに窓から見つめるかすかべ防衛隊の面々。
夜空が急に明るくなると、空から巨大な円盤(いかにもなUFO)が現れる。鈴木と押切・まつざか先生はUFO下部から照射される光に導かれ、円盤内部へ吸い込まれていく。
風間「まつざか先生! お兄さん!」
円盤は三人を回収すると、ものすごいスピードで空を移動してどこかへ消えた。
かすかべ防衛隊「……」
ネネ「まつざか先生とお兄ちゃんが連れ去られちゃった……」
マサオ「どうしよう……僕のせいだ……(泣)」
おそらく、他の先生たちが呼んだのであろう、外ではパトカーの音が近付いてくるのが聞こえる。
風間「こんなの、警察でも追いかけるのは無理だろ……」
ボーちゃん「自衛隊でも、たぶん、無理」
カナ「だったら、決まりだね」
しんのすけ「オラ達で、まつざか先生とお兄ちゃんをお助けするゾ!」
35:
風間「でも、どうやって……」
カナ「ふふふ。それは私に任せて!」
カナはドラゴンボ○ルのドラゴ○レーダーのような形状のものを取り出す。
カナ「この光っているのがアイツの場所だよ。公園でアイツにハサミで傷を付けたでしょ? その時トレース用のナノマシーンをアイツの体内に注入したの」
マサオ「カナちゃん、すごい!」
カナ「ちょっと、アイツの顔を見た時にピンとくるものがあったからね。あとね、コレ」
メカニカルなヘッドギアを5つ取り出すカナ。
カナ「これはね、これを付けた人達が思い描いたものを、そこら辺にある材料の組成変更をして作り出す装置。私のパパが昔、RPG世界を再現したり、戦隊ヒーローを捏造したりした時の技術を応用したものなんだけど」
ボーちゃん「つまり、この辺にある、布団とか、棚とかを、飛行機とか、車とかに、作り変えられるって、こと?」
カナ「そのとおり。ただし、五人で同調して同じイメージをしないとうまくいかないし、三十分でもとに戻っちゃうけどね」
マサオ「難しくて、よく分からないや……」
風間「5人であのUFOを追いかけられるものをイメージすれば、それが三十分だけ現れて使えるってことだろう?」
カナ「そう」
36:
ネネ「でも、何を出せばいいのかしら。飛行機でもロケットでもあのUFOには追いつかなそうよ」
しんのすけ「なら、カンタムロボを作ればいいゾ」
風間「なるほど! そういう想像上のものも作れるのかい?」
カナ「OKだよ。きちんとカンタムロボのスペックをイメージしてあげれば、その機能が実現できる」
風間「よし。じゃあ、みんなでカンタムロボをイメージしよう」
カナ「なるべく、同じような身体と精神性を持った人達でやるのが望ましいから、君たちでやってみて。あ、あと集中して考えているつもりでも、無意識のイメージが出てきちゃう可能性があるから気を付けてね」
しんのすけ「よおし! カンタムロボを呼ぶゾ」
しんのすけ・風間・マサオ・ネネ・ボーちゃんでヘッドギアを被り、目を瞑って集中する。
しんのすけ・風間・マサオ・ネネ・ボーちゃん「カンタムロボ……カンタムロボ……」
すると、布団がキラキラ光りながら集って変形し、何かが現れる。
もえP「もえもえぴぴぴ、もえぴぴぴ〜」
37:
風間「も、も、も、も、もえP……!」///
ネネ「どうしてもえPが出てきちゃったのかしら……」
マサオ「誰かの無意識かなあ?」
風間「だ、だ、だ、誰の無意識だろうねえ?」アセ
しんのすけ「……」(風間をジッと見つめるしんのすけ)
風間「さ、さ、さあ、カンタムロボを出さないと! 次、次行こう!」アセ
38:
再び、しんのすけ・風間・マサオ・ネネ・ボーちゃんでヘッドギアは目を瞑って集中する。
しんのすけ・風間・マサオ・ネネ・ボーちゃん「カンタムロボ……カンタムロボ……」
再び布団がキラキラ光りながら集まって変形し、何かが現れる。現れたのは豚っぽいなにか。
しんのすけ「お。ぶりぶりざえもん」
風間・マサオ・ネネ・ボーちゃん・カナ「なにこれ?」
しんのすけ「ぶりぶりざえもんは救いのヒーローなんだゾ」
ぶりぶりざえもんは腰の刀(千歳飴?)を素早く振り回してみせる。(実力をアピールしている模様)
しんのすけ「今日はおっきなUFOに乗った宇宙人が相手だゾ」
ぶりぶりざえもん「!」
刀をしまい、トーンダウンするぶりぶりざえもん。(びびっている模様)
しんのすけ「ちなみに、救い料はないゾ」
ぶりぶりざえもん「……」
他人みたいな顔でみんなの前から去るぶりぶりざえもん。
風間「あの人は何をしに来たんだろう……?」
しんのすけ「さあ?」
39:
風間「……気を取り直して」
三度みんなで集中。今度こそ、合宿所の外に巨大なカンタムロボが出現。乗り込むかすかべ防衛隊の面々。
しんのすけ「出発おしんこ〜!」
カンタムロボが轟音と共に空に飛びだす。(テーマソング付き)
40:
(UFO内)
まつざか先生「ちょっと! ここから出しなさいよ!」
まつざか先生は檻の中に閉じ込められている。鈴木と押切がその檻の前に立ち、その周りを武装した男たちが取り囲んでいる。
押切「電話で僕を合宿所の入り口で待たせておいて、あんたは反対側の窓から合宿所に侵入したんだな」
鈴木「ふははは。お前は警戒しているだろうからな。お前の目を盗んで地球人の女をこっそり誘拐してやろうと思ったんだが、ガキどもに邪魔されちまったな。まあ、結果はオーライだから構わん」
押切「くそ……」
鈴木「それより、押切、お前、あの薬を今も飲んでいるんだろう?」
押切「……」
鈴木「それはそうだよな。あの薬がないと、お前を始め、あの星の連中はあの衝動を抑えられないものなあ!」
押切「やめてくれ!」
まつざか先生「押切くん……あなたは……」
押切「僕も……宇宙人なんです……。そいつとは違う星のだけど」
41:
まつざか先生「アタシは気にしないわ、押切くん。あなたは子供に優しい、いい子じゃない。糞みたいなそっちの宇宙人とは全然違うわ」
鈴木「はははは! 確かに俺が糞だってことは否定しないが、押切は押切で最悪な生物なんだぜ」
まつざか先生「あ? 何言ってんだテメー!」
押切「まつざか先生。違うんです」
まつざか先生「?」
押切「そいつはそいつで糞だけど、僕も同じ――いや、それ以上に糞な生き物なんです、僕は」
そう言って涙を流す押切。
まつざか先生「押切くん?」
押切「……」
鈴木「はははは! 面白くなってきたな。おい、新しく開発したあの薬を持って来い! あとは、日本政府のトップに連絡だ」
鈴木は近くの武装した部下にそう命令した。
鈴木「革命商社クイーンツから日本国総理大臣殿に、素敵な犯行声明をプレゼントしてやろう」ニヤリ
42:
(カンタムロボ内)
しんのすけ「立てー、カーンタームロボー♪」 ←カンタムロボ運転中
風間・マサオ「せ、せまい……」
カナ「二時の方向、上に15度」(ドラゴンレ○ダーを見ながら。首には虫かごをさげている)
しんのすけ「ほ〜い」
ネネ「しんちゃん、よく操作できるわね」
しんのすけ「適当ですけど〜」
カナ「そこはあまり突っ込まないで。子供の想像力で作ったものだから、そこら辺はなあなあな感じでどうにかなってる系で」
ネネ「ふーん」
ボーちゃん「あれ、UFO」
しんのすけ「おお!」
風間「しんのすけ、そろそろ30分が経つぞ」
しんのすけ「よおし! カンタムパーンチ!」
カンタムロボの腕が切り離され、閃光と共にUFOに突っこんでいく。
マサオ「やったあ! 当たったね! 大きな穴も開いた!」
UFOに開いた穴に乗り付け、カンタムロボのコクピットからかすかべ防衛隊の面々がUFO内に乗り移る。みんなが乗り移ったところでカンタムロボは消える。
43:
カナは虫かごの虫に、何やらの薬品をふりかけた餌を与えると、籠の外に放つ。虫たちは蠢きながら船内に消えていく。
マサオ「ねえ、カナちゃん、今の虫なあに?」
カナ「ふふ。きっと後で私たちの役に立つよ、あの子たち」
しんのすけ・風間・ネネ・マサオ・ボーちゃん「ふーん?」
カナ「あと、先生たちを攫ったのここの奴らは誘拐のプロだね。革命商社クイーンツだと思う。半分液体野郎の姿と、人間の皮を被った変装姿は、地元の星の交番のポスターで見たことがあるんだ」
風間「革命商社クイーンツ?」
カナ「宇宙規模な誘拐屋だね。偉い人とかを攫って、莫大な身代金を要求するんだ。お金が無事に入金されれば人質は無事帰すし、払われなければ殺してしまう」
ネネ「難しい話はわからないけど、まつざか先生たちが危ないってことよね……?」
カナ「そうだね。でも、きっと私たちならなんとかできる」ニヤリ
しんのすけ「じゃ、そういうことで。まつざか先生とお兄ちゃんを探すゾ。かすかべ防衛隊!」
しんのすけ・風間・マサオ・ネネ・ボーちゃん・カナ「ファイヤー!」
船内を駆け出すかすかべ防衛隊。
44:
(UFO内)
カンタムロボの攻撃でUFO内が激しく揺れる。
押切「うわ!」
まつざか先生「キャー!」
押切「ま、まつざか先生、大丈夫ですか!?」
まつざか先生「ええ……」
鈴木「一体なんなんだ!」
部下A「どうやら攻撃を受けたようです。何名かが艦内に侵入した模様」
鈴木「なに! 銀河連邦軍の攻撃か!?」
部下A「いいえ、違うようです。見慣れない艦ですが、民間機だと思います。単機で突っ込んできたようです」
鈴木「フムン。我々に恨みを持った奴が乗り込んできたのか、同業者が喧嘩を売ってきたのか……。まあいい。受けて立ってやる。捻りつぶしてやれ!」
部下A「わかりました。艦外殻補修システムと、艦内防衛システムを起動。兵隊たちも現場に向かわせます」
鈴木「ふふふ。遠慮する必要はない。全力で潰せ。見せしめになるくらい、可愛がってやるんだ」ニヤリ
部下A「はい」ニヤリ
部下A退室。部下Bが入室。液体の入った注射器を鈴木に渡す。
部下B「ご命令の薬をお持ちしました」
鈴木「ふはははは。おい、押切、こっちへ来い!」
押切「……」(素直に従う)
45:
鈴木「今持っているあの薬を出せ」
押切「……あの薬は貴重なものです。勘弁してください」
鈴木「あの女がどうなってもいいのか!」
鈴木は檻の中のまつざか先生の足元を銃で撃つ。
まつざか先生「ひぃ!」
押切「やめてください! 出します、出しますから!」
押切はポケットから粉末の入った小瓶を取り出す。鈴木はそれを取り上げる。
鈴木「お前の地球上の自宅にも残りがあるんだろうが……それは追々回収してやろう。さあ、押切、腕を出せ!」
押切「!」
鈴木「なあに、ちょっとこの注射を打つだけだ。まさか俺に逆らう訳がないよなあ?」
鈴木は銃口をまつざか先生に向ける。押切は黙って腕を差し出す。
まつざか先生「押切くん……」
押切「大丈夫です」ニコ
鈴木「ククククク」
鈴木は押切の腕に注射をする。黄緑色の液体がどんどん押切の体内に注入される。
鈴木「さあ、押切、お前も檻の中に入るんだ」
押切は少し抵抗するが、鈴木と武装した部下たちによりまつざか先生の檻に入れられる。
46:
部下C「日本国総理大臣アヘ氏とのテレビ電話が繋がりました」
鈴木「よし、この部屋と繋げろ」
部屋の壁面ディスプレイにアヘ総理の顔が映し出される。
アヘ「君たちが、革命商社クイーンツか……いったい、私に何の用だ」
鈴木「ふふふ。私たちのことをご存知とは光栄ですな」
アヘ「国連と協力して我が国も銀河連邦加盟へ向けて水面下で動いているからな。異星人たちの情報も詳しく収集しているところだ。君たちは宇宙規模のテロリスト――いや、君たちの場合はテロリストとは名ばかりのただの犯罪者だったな。様々な星の要人を『革命のため』を名目に誘拐し、かりそめの『犯行声明』とともに身代金を要求する。支払えば無事に人質を返すが、払わなければ人質を残酷な方法で殺す。本当はたいした政治思想もないくせに、ただただ金だけのために動く、薄汚い連中だと聞いている」
鈴木「ふははは。そこまでご理解頂けているなら話は早い。ただ、あなたもご自分の立場を理解した方がいい」
鈴木はまつざか先生の足元に銃弾を何発か打ち込む。
まつざか先生「きゃー!!」
押切「まつざか先生!」
アヘ「その女性は!?」
鈴木「あなたの国の大切な国民の一人ですよ。ただ、特にこれといった特徴もない一般人ですがね。幼稚園の先生のようだ」
アヘ「か、彼女を誘拐したのか!?」
鈴木「はい」
アヘ「な、なんということだ! すぐその女性を解放しなさい!」
鈴木「口のきき方に注意したまえ、三流国の首相殿。あなた達には、我々のようなチンケな犯罪者に対抗できるだけの武装すらないだろう?」
アヘ「く……」
48:
鈴木「ああ、ついでに彼女と同じ檻に入っている男の子も紹介しますよ。彼は地球上では押切と名乗っていますがね、実は宇宙人です。コンウェル星出身のね。もはや希少種ですが、ご存知ですか?」
アヘ「コンウェル星……まさか!」
鈴木「ははは。コンウェル星のことまでご存知とは驚いた。本当に勉強されているのですねぇ」
アヘ「君たちは……最低だ……」
鈴木「褒め言葉だと受け取っておきますよ。さて、我々の今回の犯行声明はこうです。『コンウェル星人保護のための寄付金を要求する。額は日本円で1000億円、期限は押切が生殖本能を抑えていられる間』」
アヘ「なんということを……鬼め!」
押切「……」(泣きそうな表情)
まつざか先生「いったいどういうことなの。もう話について行けないわ」
鈴木「ふふふ。女がきょとんとしているな。まあ、お前も当事者の一人だから、説明してやろう」
鈴木「押切の星は15年ほど前に消滅した。コンウェル星人同士の戦争が原因だ。ほとんどのコンウェル星人はその時に死んだが、一部生き残って別の星に逃げた連中もいる。押切と、押切の親父も逃げ出した口だ。ははは、親父は5年前くらいに死んだっけ?」
押切「……父が、父さんが死んだのはお前らのせいだ!」
鈴木「ふふ。まあ、そう言うなよ。別に、俺たちが直接手を下したわけじゃない。良心の呵責か何か知らないが、お前の父親が勝手に自殺したんじゃないか」
押切「く……!」
49:
鈴木「ふふ。まあいい。話を元に戻そう。押切の父は元々貧乏で、逃げ出すための宇宙船を買えるような金は持っていなかった。だから、惑星が消滅する寸前に、あるところから金を借りたんだが、それがうちの系列のローン会社だったんだな。そして、逃げ出す宇宙船の中で父親が押切を生んだ」
まつざか先生「父親が生んだ?」
押切「僕たちの星では……オスがメスの卵子を取り込んで、オスの体内で受精するんです。それで、オスが卵で子供を産む」(暗い表情)
鈴木「ふふふ。取り込んで……ね」
押切「……」
アヘ総理「……」
まつざか先生「?」
鈴木「まあいい。惑星消滅ギリギリで逃げ出した押切親子を、我々は憐れに思い保護した。で、借金を返してもらう代わりに、我々のビジネスを手伝ってもらうことにしたわけだ。そんな風に手厚く扱ってやったのに、お前の親父はお前を連れて何度も脱走しようとしたっけ。借金まみれの役立たずのくせにな」
押切「父の悪口を言うな! お前たちが僕の命を盾に、父に無理やりやらせていたんじゃないか!」
鈴木「さて、そうだったか? だが、そんなに反論できるほど立派な生き物じゃないだろ。お前の父は――いや、そもそもコンウェル星人そのものがな」
押切「……!」(悔しそうに唇を噛みしめる)
鈴木「ははは。さすがに役立たずは言いすぎだったか。訂正する。お前の父親とお前は我々のビジネスに不可欠だったからな。よーく儲けさせてもらった。ボロい商売だったよ。だから、お前が1年前に脱走した時は非常に残念だった」
押切「もうお前らのやり方には従いたくなかった……」
鈴木「地球に来た時に逃げ出したんだったな。まさか逃げ出した時と同じ顔でいるとは思わなかったが……たしかに、新しい顔を買う時に我々に居場所がばれる可能性があるからな」
50:
鈴木「また話が脱線したな。戻そう。コンウェル星人を使った我々のビジネスモデルは、『希少種であるコンウェル星人保護のための寄付金収集、および、生殖補助』だ。そのために、色々な星の女を攫ったものだ。我々のビジネスモデルを理解してもらうためには、彼らの生殖プロセスを知る必要があるのだが……押切、説明してやれ」
押切「!」
まつざか先生「?」
鈴木「お嬢さんにわかるよう、端的にわかりやすく説明して差し上げろ」
押切「……僕たちは……オスがメスを食べないと、受精することができないんです……」(下を向く)
まつざか先生「食べ……る……?」
鈴木「はははは! 文字通りの意味だよ。こいつらにとって、性交渉とは『男が女を食う』事なんだ。女の血も肉も皮も……骨まで食うんだぜ、コイツらは! 地球人の性交渉とはかなり違うから驚いただろう!」
まつざか先生「!」
押切「……」(下を向いて涙を流す)
アヘ総理「やめなさい。少年にそんなことを言わせるなんて……」
鈴木「ふん。野蛮で悪魔的な宇宙人を庇うなんて、お優しい首相だ」
51:
まつざか先生「アイツの言っていることは本当なんですか?」
アヘ総理「言い方に問題はあるが、概ね事実です。彼らの星は太古、長い乾季と短い雨季のサイクルがあったらしい。結果、体力のあるオスがメスを捕食し、体内で受精。乾季があけるまで子供を体内で守り、雨季に生むという生殖プロセスが生まれたと考えられているようです。その生殖プロセスが現代まで引き継がれた。彼らの星で戦争が起こったのも、その生殖方法に関する、彼ら自身の葛藤の結果だと見られている」
鈴木「ふふふ。こいつら、理性や感情は我々とほとんど同じ感覚をもっているくせに、そんな生殖行動をするからな。どういう神経していたんだろうな」
アヘ総理「その生物種を、金儲けのために使い続ける君たちの方こそ、どういう神経をしてるのだ」
鈴木「ははは! ビジネスに感情は不要ですから。さて。これでだいたい我々の目的がわかってきたかな?」
まつざか先生「最低ね、あなたたち!」
鈴木「ふふふ。我々の目的を理解しながら、その強気の態度に出られるのは感心する。そう。我々はコンウェル星人の嫁にするために様々な星の女を攫った。で、その星の要人に『女を開放してほしければ、コンウェル星人保護のための寄付金を払え、払わなければこの女をコンウェル星人の嫁にする』と伝えた。さすがに要人を攫うほどの額は頂けないが、その分こちらのリスクが少ないからな。まあまあ稼がせてもらったさ。払わなかった星の女は押切の親父や押切自身に食わせてやった」
まつざか先生「!」
押切「やめろ!」
52:
鈴木「コンウェル星の女はほぼ絶滅しただろうからな。良さそうな星の女をあてがってやったのに。そいつの親父は泣いて謝りながら女を食ってたな。どうも性欲を抑えられなくなる周期があるらしいんで、それに合わせて攫ってきてやったのに。親父はだんだん病んで、自殺したな。けど、その頃には押切が生殖可能な年齢になっていたから、まあよしとした」
押切「もうやめて! 思い出したくない! やめて!」(頭を抱えてうずくまる)
まつざか先生「押切くん……」
アヘ総理「お前たちは最低だ……」
鈴木「お褒めに預かり光栄です」ニヤリ
アヘ総理「寄付金などと言ったところで、どうせコンウェル星人に渡すこともなかったのだろうな」
鈴木「ははは。押切の親父には借金があるのでその返済にあてましたよ。まあ、金利が高すぎて、元本を返すどころか、何百倍にも何千倍にも借金が膨れ上がっていましたからね。あ、ちなみに、押切も連帯責任ですから、逃げられません」
アヘ総理「下衆め……!」
53:
鈴木「ただね、このビジネスモデルにも難点がある。何かわかりますか?」
アヘ総理「……」
鈴木「コンウェル星人の性欲周期に合わせないといけない、という点と、彼らが性欲を抑える薬を服用できる点だ」
アヘ総理「まさか……」
鈴木「さっき、押切から取り上げたこの薬がその抑制薬だ。そして、おそらく今日は押切にとって、性欲が高まる日ではない。だが、我々は彼らの性欲を引き出す、一種の媚薬を開発した。先程、押切に注射させてもらいました」
押切「え……?」
鈴木「これが初めての臨床試験とはいえ、自信作なんでね。どうなるか楽しみだ」
押切「嘘……だろう……」(呆然)
鈴木「嘘をついてどうする。まあ、嘘かどうかはしばらく待てばわかるだろ」
押切「そんな……出して! ここから出して!」(檻をガンガン叩く押切)
まつざか先生「……」
押切「いやだ! もう僕は、誰も食べたくない! いやだ、いやだ! まつざか先生だけは食べたくないんだ! まつざか先生だけは! どうして、どうして、こんな……!!」(涙を流して半狂乱)
まつざか先生「押切くん……」
鈴木「さあ、アヘ総理、どうしますか?」ニヤリ
アヘ総理「……」(苦渋の表情)
54:
(UFO内部 しんのすけたち)
警報アラームの音が鳴り響く中、走り続けるかすかべ防衛隊の面々。
が、天井からビーム光線が発射される。
マサオ「うわああ!」
カナ「よいしょ」
カナが前方に向かって懐中電灯のようなものを照らすと、床にたくさんの輪が描かれる。
カナ「この輪の中は射程外って意味。そこを通れば安全だよ」
しんのすけ「けんけんぱの輪っかみたいだゾ」
ネネ「ふふ。そうだね」
かすかべ防衛隊は楽しげに「けんけんぱ」の要領で遊びながら進む。
ボーちゃん「輪っかが、減って、きた」
カナ「うーん。ビームの機械が多くなったのかな。じゃあ、次はこれ。この輪になった紐の中に入っていればビーム系の攻撃は無効。ただ、時間制限があるから急いでね」
しんのすけ「おお。電車ごっこですな。オラ、さっきカンタム運転したから、運転手さん別の人がやっていいゾ」
ネネ「じゃあマサオくんでいいんじゃない?」
マサオ「ええ!?」
ネネ「早くしろよ、オニギリ」(睨みつける)
マサオ「ひぃぃぃぃ! わ、わかったよ!」
55:
マサオを先頭に、一列になったかすかべ防衛隊が輪の中に入り、各自、両脇の紐を持つ。
しんのすけ「出発おしんこ〜! ガタンゴトーン、ガタンゴトーン」
マサオ「だ、大丈夫かな……」
風間「カナちゃんが言うんだから、大丈夫だよ。マサオくん、次の角右ね」(マサオの後ろ。カナに借りたドラゴンレ○ダーを見ながらナビ)
かすかべ防衛隊「ガタンゴトーン、ガタンゴトーン」
天井からのビームが雨のように降り注ぐが、輪っかの紐からかすかべ防衛隊を囲うように防御壁的なものが生まれて、すべてのビームを吸収・無効化している。
マサオ「よよよ、よかったあああ」
前方にクイーンツの兵隊たちが武器を持って現れる。
マサオ「ひいいい! ど、どど、ど、どうしよう〜!!」
カナ「うーん。あれは多分、ビーム系の武器だね。このまま突っ切ろう」
マサオ「えええ! い、一旦止まろうよお!」
ネネ「オニギリ、時間がないのよ、突っ切りなさい!」
56:
クイーンツの兵隊が撃ってくる。
マサオ「……!」
ビーム銃の攻撃は、やはり、防壁が吸収。かすかべ防衛隊は無傷。が、マサオは下を向いて俯いている。
マサオ「……」
風間「マサオくん、どうかした? 大丈夫かい?」
マサオ「あいつら……舐めやがって……」
風間「マサオ……くん……?」
マサオ「こちとら、超特急かすかべ号だ! みんな、とばすぜ! しっかり掴まってな!」(覚醒!)
しんのすけ「おお」
マサオ「超特急かすかべ号は、まつざか先生とお兄ちゃんがいる終点までノンストップだぜ! キーン!」
かすかべ防衛隊「キーン!」
すごい勢いでクイーンツの兵隊たちに突っこんでいくかすかべ防衛隊――いや、超特急かすかべ号!
クイーンツの兵隊たち「! ぐわあああ!」
クイーンツの兵隊を蹴散らして驀進する超特急かすかべ号!
マサオ「きゃっほーい!! 途中の駅は通過しまーす! どの駅も通過、通過、通過だぜ!! 誰にも俺たちは止められない! キーン!」
かすかべ防衛隊「マサオくんすげー!! やんや、やんや!」
57:
クイーンツの兵隊たち「な、なんなんだ、あいつら……」
兵隊たちは身を起こしてかすかべ防衛隊の後を追おうとするが、彼らに忍び寄る影があった。
クイーンツの兵隊たち「な、なんだこれは……!? わ、わあああああ!」
58:
(UFO内部 まつざか先生たち)
明らかに押切の様子が変わっていた。
押切「はあ、はあ、はあ……」
呼吸が荒く、目が血走って、涙を流している。
まつざか先生「お、押切くん……」(心配そうな表情)
押切は目を瞑り、檻にガンガンと頭を打ち付け始める。
まつざか先生「押切くん、やめて!」(駆け寄ろうとする)
押切「来ないで、まつざか先生! ぼ、僕に近付いちゃダメだ!」(頭から血が出ている)
まつざか先生は、押切の自傷行為を止めることもできず、元の場所に戻る。押切は自分の腕に咬みついて我慢する。
鈴木「ふん。そんなんじゃ、我慢できんだろう、押切。お前らには自慰行為の手段もないからな。さあ、アヘ総理、そろそろヤバいんじゃあないですかねえ?」
アヘ総理「く……」
59:
その時、バン!と扉が吹っ飛ばされ、かすかべ防衛隊が登場!
マサオ「終点、終点です! やっと着いたぜ!」
まつざか先生・押切「み、みんな……なんで、ここに?」
アヘ総理「だ、誰だ、この子達は!」
鈴木「なんでお前らが!」
ネネ「まつざか先生とお兄ちゃんが檻の中に入れられてる!」
しんのすけ「ほうほう。ついに二人はそんなご関係に」
風間「どう見ても違うだろ!」
ボーちゃん「お兄ちゃん、怪我、してる」
しんのすけ「本当だゾ! お前たち、お兄ちゃんに怪我させるなんてひどいゾ!」
鈴木「ふん。酷いのはどっちかな? あのお兄ちゃんは、まつざか先生を食べようとするこわーい宇宙人なんだぜ?」
風間「そんなのウソだ!」
鈴木「ふふふ。嘘かどうかは本人に聞いてみればいい」
60:
ネネ「嘘よね、お兄ちゃん……?」
押切「本当だよ……。僕は、女の人を食べる、酷い宇宙人なんだ……」(涙を流しながら)
かすかべ防衛隊「!」
押切「どうして。どうして、僕みたいに薄汚い生き物がいるんだろう。食べたくないのに。どうして。どうして大好きな人を食べたくなっちゃうんだろう! もう、僕なんか、僕なんか死んじゃえばいいのに!」(泣きながら絶叫)
まつざか先生「お、押切くん……そんな……」(涙が流れる)
しんのすけ「違うゾ! お兄ちゃんは、そんなんじゃないゾ!」
押切「しんちゃん……?」
しんのすけ「お兄ちゃんはとっても優しい人なんだゾ! オラ達と遊んでくれて、トランプが弱くて、まつざか先生と嬉しそうにお話してて。お兄ちゃんは全然ひどくなんかない!」
ネネ「そうよ! わたし、お兄ちゃん大好き!」
風間・マサオ・ボーちゃん・カナ「僕(オレ・私)も!」
しんのすけ「だから、みんなで笑ってないとダメなんだゾ」
押切「みんな……」
61:
まつざか先生「そうよ、押切くんは何も悪くないわ。悪いのはアイツら(クイーンツを指差す)よ! アイツの奪った薬さえあれば、押切くんはきっと元に……」
しんのすけ「お薬?」
風間「きっと、あの鈴木って人が手に持ってる小瓶だ。なんとか気が引ければ……」(小声)
しんのすけ「お。そういえば……」(服の中をごそごそするしんのすけ)
鈴木「ふん。なんとでも言え。檻の中のお前らと、地上にいる首相と、ガキどもで何ができる? お前に残された選択は、アヘが金を払って無事解放されるか、押切に食われて終わるかのどちらかだ」
鈴木「まあ、俺も、ガキのことを甘く見ていたかもしれん。その紐はレーダー攻撃を避ける装置だな。そんなものを持っているってことは、お前らの誰かが異星人だったのか? だったら、原始的だが、これで十分だな」
鈴木は普通の拳銃を出す。
カナ「!」
62:
そのとき。
ボーちゃん「ぼ!」
鈴木「うお!」
ボーちゃんの鼻水が伸びて鈴木の拳銃を確保。ボーちゃんの手元に拳銃を引き寄せる。ボーちゃんは逆に拳銃を構えて鈴木に銃口を向ける。
鈴木「なに!」
かすかべ防衛隊「ボーちゃんすげー!! やんや、やんや」
まつざか先生「さすが、あの子達ね」ニヤリ
押切「は、ははは。すごいや……」(汗をかきながら)
しんのすけ「お、あったゾ」
服の中をごそごそしていたしんのすけが何かを取り出す。北海道出発時、野原ひろしからお守りとして貰っていたものだ。袋に厳重に閉じ込められていた『それ』を取り出し、鈴木に向かって投げるしんのすけ。
『それ』は鈴木の顔面に貼りついた。
鈴木「くっさあああああああ!!! おえええええ! なんだこれえええええ!」
しんのすけ「わはははは! 父ちゃんの靴下をお守りとしてもらってたんだゾ!」
風間「今だ!」
風間は輪の中から飛び出し、鈴木めがけて走り出す。臭さにのたうちまわる鈴木の手から薬瓶を奪取!
63:
鈴木「あ!」
慌てて奪い返そうとする鈴木の手を逃れる風間。
風間「マサオくん、パス!」
マサオ「パス!」
カナ「ヘイ、パス!」
ネネ「パス!」
ボーちゃん「パ、ス」
かすかべ防衛隊の間を薬瓶が飛び交う(華麗なるパスワーク)。最後に受け取ったのはしんのすけ。
しんのすけ「お」
しんちゃん「シュート! じゃなくて、お兄ちゃん、ほい」
しんのすけが檻越しに薬瓶を押切に渡す。
押切「あ、ありがとう、しんちゃん、みんな!」
押切は薬を飲む。
まつざか先生「押切くん、大丈夫そう?」
押切「ええ。もう大丈夫です」ニコリ
まつざか先生「よかった……」
64:
押切「まつざか先生、本当にごめんなさい。僕なんかがいるからこんな事件に巻き込まれて、怖い思いをさせてしまって……。本当にごめんなさい……」(俯く)
まつざか先生「もういいのよ、押切くん」
まつざか先生が押切を抱きしめる。
押切「わ、わ、わ!」(顔真っ赤)
かすかべ防衛隊「ひゅーひゅー」
押切「や、やめてよ」(でも、顔がにやけている)
鈴木「そんなにのん気にしていていいのか? お前ら!」
鈴木と兵隊たちがビーム銃を構えて、しんのすけたちに向かう。
アヘ総理「や、やめろ!」
しんのすけ「ディスプレイのオジサンだあれ?」
風間「今はそれどころじゃないだろ!」
65:
その時。
???「ぎゃああああ! 助けてくれええええ!」
鈴木「!?」
かすかべ防衛隊がぶち壊したドアから虫まみれのクイーンツ兵隊が入ってくる。兵士には体中に何百匹という数のおぞましい姿の虫がまとわりついていた。
鈴木「な、なんだ、あれは!」
しんのすけ「お。あれはカナちゃんの……でも、あんなに大きくなかったし、数もいなかっ……」
カナ「しっ」(人差し指を口にあてるポーズ)
しんのすけ「(お口チャックのポーズ)」
虫に纏わりつかれた兵士は半狂乱。潰しても潰してもどんどん虫が寄ってきて、しまいには前後不覚に陥って銃を乱射し始める。仲間の兵隊が安全確保のため、彼を撃ち殺す。
が、虫が部屋にどんどん入ってきてこの部屋に元々いた兵隊たちにも纏わりつき始める。
鈴木「何だこれは!」(鈴木にも虫がたかり始める)
66:
カナ「ふふふ。そろそろ行き渡ったみたいだね」
鈴木「?」
カナ「あなたは私たちの誰かが宇宙人かもって言ったけど、実は私たち、みんな宇宙人なのよ! ね、みんな。これ、リアルだよね!」
しんのすけ・風間・ネネ・マサオ・ボーちゃん「!」
鈴木「本当か!?」
ネネ「ええ。そうよ。リアルリアル」(おすましの笑顔)
しんのすけ・風間・マサオ・ボーちゃん「そうそう」ニコニコ
カナ「で、私たちは昆虫みたいな生き物から進化した生き物なんだけど、まつざか先生はその星のお姫様なんだ。ね?」
まつざか先生「え……? え、え、え、ええ! そうよ! こう見えてお姫様なんだから!」オホホホホホ
カナ「姫はお忍びで地球人の生活を満喫中だったの。私たちは子供の姿でお忍びの護衛。で、姫は緊急事態に備えて、体内でサゾドマ虫っていう虫を飼ってるんだけど、この虫は宿主の危機を察知して体外に出るの。ここに連れて来られるまでに船内に排出されて、今回はかなりの危機だったんで、その虫が爆発的に成長して増殖したみたいだね」
鈴木「この虫どもは、その女の虫だってのか?」
カナ「そう。そして、ただの虫じゃない」ニヤリ
鈴木「……毒か?」アセ
67:
カナ「それもある。ドラッグみたいに精神が正常でなくなるやつ。さっきの彼はそれが効いちゃったんじゃないかな。個体差があって、あまり効かない人もいるみたいだけど。でも、その虫の本領はそれよりも怖い」ニヤリ
かすかべ防衛隊・まつざか先生「ニヤリ」
鈴木「一体なんなんだ!」
カナ「今、あなた達の体に卵を産み付けてる」ニコニコ
鈴木「!」
カナ「目に見えないくらい小さい卵だよ。あなた達も姫が体外に放出した虫が見えなかったでしょ? その虫の卵と卵から孵ったばかりの幼虫は髪の毛の先程の大きさなんだ。でも、あなた達の体の中で卵が孵ったら、とたんに大きくなり始める。何故かって? あなた達の体を食べ始めるからだよ!」ニヤリ
鈴木「!」
カナ「姫は体内の虫をコントロールする方法を知っているから、常時は幼虫のまま姫の体内で眠らせているんだ。でも、あなたたちの体に入ったやつは勝手に成長を始める。もう止められない」ニコニコ
鈴木「そんな!」
カナ「そうですよね? 姫?」ニコニコ
まつざか先生「ええ。その通りよ」オホホホホホ
68:
カナ「虫は姫の危険の元に対して働くから、私たちは大丈夫なの。見て!」ニヤリ
しんのすけ・風間・ネネ・マサオ・ボーちゃん「ニコニコ」
鈴木「奴らの周りには、虫が寄っていない!」
カナ「最初、姫に危害を加えそうだったからお兄ちゃんにも虫が近づこうとしたけど、今はもういないでしょ!」ニコニコ
押切「本当だ!」ニコニコ
鈴木「ど、どうしたらいい!」
(鈴木含め、クイーンツの兵隊はもう虫まみれ)
ネネ「まずは武器を捨てなさいよ」ニヤリ
武器を捨てるクイーンツ。
風間「手をあげて」ニヤリ
手を上げるクイーンツ。
マサオ「姫達を檻から出してくれないとね」ニヤリ
まつざか先生と押切を檻から出すクイーンツ。
ボーちゃん「かわりに、檻に、入って」ニヤリ
檻に入るクイーンツ。
カナ「檻の鍵は? スペアも渡して」ニヤリ
鍵を渡すクイーンツ。檻を施錠するカナ。
69:
しんのすけ「イージードゥダンササ○ズ踊って」ニヤリ
檻の中でイージードゥダンササ○ズを始めるクイーンツ。
♪ イージードゥダ○ス! ハイ!
♪ イージードゥダ○ス! ハイ!
カナ「今のうち、逃げるよ!」ニヤリ
みんな「わ〜!!」ニコニコ (大脱走)
鈴木「え、ちょ、おま……!」
虫まみれのクイーンツを檻の中に残し、一目散に逃げるかすかべ防衛隊とまつざか先生と押切。
クイーンツの脱出用ポッドを強奪し、押切の運転で地上へ帰還!
70:
(脱出ポッド内)
まつざか先生「ああ、気持ち悪かった。あの虫、放っといて大丈夫なの?」
カナ「大丈夫。本当は毒もないし、体に卵を産み付けたりもしないよ。パパが昔開発した虫なんだけど、嫌がったり攻撃して来たりする人に喜んでたかって、笑顔の人からは遠ざかっていくっていう習性のある虫なの。ただそれだけ」
風間「な、なんかすごく意地の悪い虫だね……」アセ
カナ「パパは繁殖がうまくいかなくて放棄したみたいだったから、私が夏休みの研究ってことで、引き継いで色々試してたの。幼稚園交流会の数日前には地球に来ていて暇だったからさ、色々いじってたんだ。そしたら、うまくいっちゃって。あの船に乗った時、成長剤と増殖促進剤の餌をあげたんだけど、ネズミ算式に短時間であそこまで増えたのはちょっと驚き。でも、その薬剤も30分できれるように計算したから、あれ以降は安定的な増殖スピードに戻るはずだよ」
カナ「でも、みんなが私の嘘に乗ってくれてよかった」
ネネ「リアルってカナちゃんが言ったから、ピンと来たのよね」
風間「リアルおままごとなんだってね」
しんのすけ・マサオ・ボーちゃん・まつざか先生「うんうん」
押切「え! じゃあ、あれ、全部ウソだったの!?」
しんのすけ「お兄ちゃん、今頃気付いたの? やっぱり、ちょっとずれてるゾ」
押切「そ、そうかな?」
みんな「でも、それがお兄ちゃんのいいところだね! あははははは!」
押切「(苦笑)」
71:
(地上)
押切「カナちゃん、上空のあいつらはどうする?」
カナ「任せて」
電話を取り出すカナ。
カナ「あ、もしもし、コリン? 私、カナ。え? そっちに私がいる? それ、クライブだよ。あははは! また騙されたね。コリンは単純だなー。今? 地球なう。うん。大丈夫。でね。革命商社クイーンツが北海道上空の宇宙船に閉じ込められてるっぽいから、銀河連邦軍に匿名で通報しといて。あ、彼らが他に共犯者がいるって言っても、無視して。特にコンウェル星人は関係ないから。えーって言わないでちゃんと通報して。また私に出し抜かれたって、パパとママとクラフトさんに教えちゃうよ。うん。ってことで、しくよろー。あ、サゾドマ虫に気を付けてって連邦軍に言い添えてね。いかにもパパの好きそうな虫だからさ。じゃ、明日帰るから、それまで私がいないのばれないようにねー。バイビー」
押切「なんか、君の星の人も大変そうだね……」
カナ「だろうね」
72:
(翌朝、某動物園)
しんのすけ「おお! 白熊さんだゾ」
ネネ「あっちはアザラシよ!」
風間「キジだ!」
マサオ「ひぃぃぃ。トラさん怖い!」
ボーちゃん「レッサー、パンダ!」
カナ「サルがいっぱいー!!」
UFO騒ぎで現場は大混乱だったが、まつざか先生から話を聞いた園長先生とよしなが先生ががんばって、お泊り会の残りをなんとか予定通りに実行させることに成功した。
総理は押切からことの顛末の報告を受け、かすかべ防衛隊にこっそり感謝状を授与。警察等に働きかけ、事件が大きくならないように処理した。
まつざか先生「みんな楽しそうね」
押切「ええ。みんな笑顔でいられて良かった。……あの、まつざか先生」
まつざか先生「なあに?」
押切「僕、やっぱり銀河連邦軍に出頭しようと思います」
まつざか先生「押切くん……」
押切「一晩考えたんですけど、カナちゃんも気を使ってくれたけど、やっぱり僕は僕を許せないです。女性への申し訳ない気持ちと、自分を薄汚い生き物だって感じる気持ちは消せないです。罪を償いたい……」
まつざか先生「……」
押切「でも、もし、罰を受けて、罪を償うことができたら。機会を与えられたら、将来は幼稚園の先生になりたいです。まつざか先生みたいな。僕みたいなのには、そんなの無理かもしれないけど……」
まつざか先生「そんなことないわ……きっと大丈夫。がんばりなさい」
押切「はい」
73:
(お泊り会 最終日)
しんのすけたちは空港に向かうため、バスに乗り込むところ。
カナ「私は、私の星の人(コリン)にここの裏山まで迎えに来てもらうから、ここでお別れだね」
マサオ「カナちゃん……(涙)」
ネネ「またリアルおままごとしましょうね!」
風間「ずっと忘れないよ」
ボーちゃん「楽し、かった」
カナ「また地球に来るね」
しんのすけ「オラ達、星は違ってもずっとお友達だゾ!」
カナ「うん!」
しんのすけ「かすかべ防衛隊!」
しんのすけ・風間・ネネ・マサオ・ボーちゃん・カナ「ファイヤー!」
74:
ここで【END】と書きたったのですが、その前にサゾドマ虫のことをご報告。
銀河連邦軍が北海道上空のクイーンツを確保しに来た時、当然、船内のサゾドマ虫の駆除も同時に実施しました。しかし、軍の目を掻い潜り、何匹かが船から脱走。北海道の某所に住み着いてしまいました。その虫が徐々に増殖し、気が付いたときには北海道の一区画を占拠する状態になってしまうのですが……。
まあ、そのことは本件とは関係のないお話。
今回は、とりあえず、これで終わり。
【END】
75:
ということで、「嵐を呼ぶオラと未知との遭遇 〜An alien in a kindergarten〜 」は終了です。読んでいただいた方、ありがとうございました!
サゾドマ虫だけじゃなくて、コンウェル星人のネタバレもしてしまい……1に書けてなくてすみませんでした……。
76:
乙ー
77:
乙です。
バカ王子も悶絶するであろう父ちゃんの靴下、まさに地球の最終(臭)兵器。
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