玄「決勝戦前夜」back

玄「決勝戦前夜」


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1:
【ホテル】
晴絵「よし!今日はここまで!玄のドラ復活も果たしたし、白糸台、清澄、臨海の映像チェックもした!あとはぐっすり寝て、明日の本番を迎えるだけだ!」
穏乃・憧・灼・玄・宥「」コクリ
晴絵「それじゃ、解散!」
玄「ふぅ?」
宥「玄ちゃん……辛そうだけど大丈夫?」
玄「うん、大丈夫。試合が終わったあと、ずっと打ち続けてたからちょっと疲れてるけど、お風呂入ってすぐ寝れば明日には元気になるから」
宥「そっか……じゃあお風呂は玄ちゃんが先に入って。明日の用意とかは私が玄ちゃんの分までやっておくよ」ニコリ
玄「おねーちゃん……ありがとう!」
玄(おねーちゃんの優しさは、大都会東京に来ても変わらないよぉ?!)
3:
【玄・宥ルーム】
玄「あー、気持ちよかった。おねーちゃん、お風呂空いたよ?」
宥「うん、今から入るね」
玄「わ、もう準備が終わってる。ありがとう、おねーちゃん!」
宥「ふふっ、どういたしまして」ニコリ
玄(おねーちゃー!)
宥「じゃあ私、お風呂入るね」テクテク..ガチャ バタン
玄「…………さて」
玄(まだ寝るには早い時間だけど、もう寝ちゃおう)ボフッ..
4:
玄(………………)
玄(……明日こそは、この前よりも点を稼いでおねーちゃんに繋ぐぞー)
玄(宮永さんはとっても強いけど、決勝では……)ウツラ ウツラ
玄(ぜったいに…………勝……)
――
――――
――――――――
――――――――――――
5:
玄「…………あれっ?ここは……対局室?」
玄(どうして対局室に……)キョロキョロ..
照A「…………」
照B「…………」
照C「…………」
玄「わああ!!」ビクーーン!
玄「み、宮永さんが3人!?」
玄(なにこれ!?…………あ、そうか!これは夢だ!)
玄「なぁんだ……そうだよね、こんなこと普通ありえ…」
照A「ロン 10200!」
玄「え」ドキッ!
照B「ロン 10200!」
玄「ひぃ!」ブルブル..
6:
照C「ロン 10200!」
玄「わぁあ!!」ガタガタ..
玄(夢だとわかってても……宮永さんに睨まれながらロンされると怖くて震えちゃうよぉ?!こ、こうなったら…)
玄「っ!」ダダダッ!
玄(逃げる!本当の対局なら逃げられないけど、これは夢なんだから逃げるが勝ち!)ダダダッ!
【繁華街 回転寿司屋 店内】
玄「ふぅ?……助かった…………あれ?」
玄(無心で逃げてたらいつのまにかお寿司屋さんに来てた……でも逃げられたからいいか)ホッ
玄「よぉし、どうせ夢だもん。贅沢に食べちゃおう!」
玄「う???ん………食べたいのが流れてない……直接頼もう。すいません、タコください」ハーイ
7:
照「へい、少々お待ちを」
玄「えっ」
照「…………」ニギニギ..
玄「あ……あ……」
照「…………ツモ 6200オール!」
玄「ひぃいっ!!」ガタッ!
玄(逃げろー!!)タタタタッ!
8:
玄「…………ふぅ、なんとか逃げられた」テクテク
玄(でも走り回ったせいで汗かいちゃったよ……何か拭くもの……)
?「ティッシュどうぞー」
玄(……この展開は……まさか)チラ
ティッシュ配り「?」
玄「あ……すいません、ありがとうございます」
玄(宮永さんかと思ったけど、違ってよかった………っと、ティッシュで汗を拭こう)チラ
照「ロン 10200!」←ティッシュのパッケージ
玄「ぎゃあああああ!!」バターン!
9:
ザワザワ..
玄「うぅ……」
?「大丈夫ですか?」
玄「え?あ、はい……なんとか…」
通行照A「では……ロン 10200!」
玄「!!?」ビクッ!
通行照B「私も……ロン 10200!」
犬照「ワンワン!ロン 10200!」
玄(宮永さんがいっぱい!!怖いよぉおおお!!!)
――――――――――――
――――――――
――――
――
10:
玄「はっ!!」ガバッ!
玄「……………………」
玄「あれ?ここは……ホテル……」
玄(そっか………夢だったんだ……怖すぎてすっかり忘れてた)ホッ
玄「…………」
玄(それにしても……こんな夢を見るなんて……宮永さんのことがトラウマになりかけてるのかな?)
玄(…………ううん、そんなことないよね。明日は勝とうって思ってるし!ただ寝る前に宮永さんのことを考えてたせいだよ)
玄「よぉし」ゴロン
玄(今度こそ何も考えないで寝よう。宮永さんのことを考えたら、連続和了とか連荘された記憶が蘇って怖くなっちゃうもん)
11:
玄(…………)グゥー..
玄(あ……お腹空いてきた……けど、寝ちゃえば平気。明日の朝、いっぱい食べればいいよね……)ウツラ..
玄(ホテルでバイキングとか……あったっけ…………そうだ。夢の中で食べられ……なかった…………タコ……を…………)
――
――――
――――――――
――――――――――――
12:
玄「……ん」
玄「…………ここは……また対局室!?ということは……」
玄(また宮永さんが……?)ハワワ..
優希A「タコスうまーっ!」
優希B「ほんとほんと!」
優希C「その通りだじぇ!」
玄「あ、片岡さん……」
玄(宮永さんじゃなくてよかった……)ホッ
優希A「っと、タコスを食べ終わったところで……」
玄「?」
13:
優希A「……ここからは私の連荘で終わらせる」
玄「へ?」
優希A「この試合に東二局は来ない!」
玄「えええっ!?」
優希B「もし東二局が来たとしたも、私の連荘で終わらせるから東三局は来ない!!」
玄「やだよぉ!」
優希C「もし東三局が来たとしても、私の連荘で終わらせるから東四局は来ない!!」
玄「ひぃいぃ?!!!」
優希ABC「お前の親は一生来ない!!」
玄「うわぁあぁぁあ!!!!!助けておねーちゃぁあああああん!!!!!!」
――――――――――――
――――――――
――――
――
14:
玄「はわぁっ!!」ガバッ!
玄「はぁ……はぁ……はぁ………」
宥「く、玄ちゃん大丈夫?」
玄「おねーちゃん……起こしちゃった?」
宥「ううん……玄ちゃんが辛そうにしてるのに寝てられないよ」
玄「お、おねーちゃん……」ジーン..
玄(おねーちゃんの優しさは、眠らない街・東京の深夜を回っても変わらないよぉ?!)
宥「うなされてたけど、嫌な夢でも見た?」
玄「うん……片岡さんが親を譲ってくれない夢を見たよ」
宥「そうなんだ……明日は決勝戦だもんね。プレッシャーを感じるのも無理ないよ……」
玄「……でも、もう遅いし……そろそろ寝ないと明日が大変だよね」
宥「そうだね」
玄「うぅ……なんかまた嫌な夢を見そうで怖いな……」
15:
宥「うーん……そうだ。寝る前に、楽しいことを考えた方がいいかもしれないよ?」
玄「楽しいこと……」
玄(そうか。さっき宮永さんの夢を見たのは、宮永さんは強いとか考えてたせいかもしれないし!)
玄「いい方法かもしれない!ありがとうおねーちゃん!」
宥「えへへ……玄ちゃんの役に立ててよかった」ニッコリ
玄「ふぁああ……///」
玄(おねーちゃんの笑顔は、大都会東京の灰色の空を明るく照らすよぉ?!)
宥「さて、それじゃあ私寝るね」
玄「あ、うん。おやすみなさい」
宥「おやすみなさい」
16:
玄「…………」
玄(よおし、宮永さんと片岡さんのことは考えずに、楽しいことを考えよう。)
玄(あ、そういえばこの前……テレビでマジックショー特番やってたっけ。あれ楽しかったなぁ……)
玄(一体……どうやって…………あん……なに凄い……こと………………)
――
――――
――――――――
――――――――――――
17:
玄「……はっ!ここは……」
玄(阿知賀の体育館?目の前に舞台があって……私はパイプ椅子に座ってる)キョロキョロ
宥「」ニコニコ
穏乃「」ニコニコ
玄「!」
玄(両隣におねーちゃんと穏乃ちゃんがいる……これは一体…………というか、薄暗いなぁ……)
カッ!
玄「うっ!」
玄(舞台に照明が当たった!)
智葉「…………」
玄「あれは…………臨海女子の辻垣内さん!?」
玄(真っ黒のマントにシルクハットをかぶって……この格好はまさか……)
智葉「…………マジックガールこと、MGサトハの……ドキドキ!先鋒マジックショー!」
玄「やっぱりっ!?」
18:
宥「わぁー!」パチパチパチ
穏乃「待ってました!」パチパチパチ
玄(なんで辻垣内さんが…………部屋に戻る直前までDVDで研究してたから頭の中に残ってたのかな……)
玄(……でもいいか。麻雀の夢なら怖いけど、マジックなら楽しいし。むしろ辻垣内さんと対戦する時にリラックスできるかも!)フフフ
智葉「ファーストマジックは…………スプーン曲げ!」
♪?(Mr.マリックのテーマ)
玄「わ、すごい」パチパチ
智葉「こちらにあるスプーンを曲げます」チャリ
穏乃「おお……楽しみだ」
智葉「こうして……擦る……擦る……擦る……」スリスリスリ..
智葉「………………」スリスリスリ..
玄・宥・穏乃「…………」
玄(全然曲がる気配がないよ……)
20:
智葉「…………」スリスリスリ..
穏乃「曲がらないじゃん」ボソッ
智葉「!」
宥「で、でも……スプーンを曲げるのって大変そうだよ?」
穏乃「わかりますけど……マジックガールならそれぐらいは……」
智葉「……高鴨さん、舞台へどうぞ」
穏乃「え?」
智葉「こちらにお越しください。私の目の前まで」
穏乃「?わかりました」テクテク..
智葉「…………」
穏乃「??」
智葉「っ」スッ
玄「えっ」
21:
玄(日本刀を取り出して……刀を抜いた……?)
智葉「滅!」ヒュッ!
穏乃「ぎゃあああ!!」ズバババーッ!
玄「わぁああああ!!!」
宥「きゃああ!!」
玄(穏乃ちゃんを斬った!?わああ!穏乃ちゃんから血が……)クラクラ..
穏乃「ぅう…………」バターン!
智葉「…………」
玄「…………」ゴクリ..
宥「はわわ……」ガタガタガタ..
智葉「…………はいっ!!」ポーズ!
♪?(Mr.マリックのテーマ)
玄(はいっ!じゃないよぉ!)
22:
智葉「」ギロリ
玄「ひっ」
智葉「…………はいっ!!」ポーズ!
♪?(Mr.マリックのテーマ)
玄「うぅ……」
玄(拍手しなきゃ、私も……?)
玄「っ」パチパチパチ..
宥「うぅ……」パチパチパチ..
智葉「ん」スッ..(手を挙げる)
ダヴァン「…………」テクテク
玄(あっ……外人さんが舞台袖から出てきた……)
ダヴァン「…………」ズルズルズル..
穏乃「…………」
玄(穏乃ちゃんを……連れてっちゃった……)コワイ..
23:
智葉「……セカンドマジック!カード予言!」
♪?(Mr.マリックのテーマ)
玄(うぅ……もう帰りたい……でも途中で帰ろうとしたら斬られるかも……怖いよぉ……おねーちゃん……)チラ
宥「が、頑張ろ?玄ちゃん?」
玄「……うん」
智葉「松実宥さん」
宥「ふゃ、はい!」ビクッ
智葉「舞台上へ。カードを選んでもらいます」
宥「わ、わかりました……」テクテク
智葉「まず、このトランプを私が切ります」シャッシャッ.....
宥「斬る!?」ビクン!
智葉「…………」
宥「わ!な、なんでもありません!説明をお願いします!」
玄(おねーちゃんが脅えるのも無理ないよぉ……穏乃ちゃんを斬った刀を持ちながら説明するんだもん……)
25:
智葉「……切ったカードを伏せます。では、この中から1枚選んでください」
宥「は、はい……選びました」
智葉「私は後ろを向きますので、なんのカードかを確認し、松実玄さんに見せてください」クルッ
宥「はい…………玄ちゃん」スッ
玄(スペードの5……)コクリ
宥「見せました」
智葉「それでは、そのカードをテーブルの上に裏返しで置いてください」
宥「…………終わりました」
智葉「はい、それでは前を向きます」
玄・宥「…………」
智葉「私は、あなたの選んだカードを知りません。ですが……実はこちらにある封筒の中に、すでに答えのカードを忍ばせておきました。これがカード予言です」
玄「えっ!?」
宥「す、すごい……」
26:
智葉「…………」ポーズ!
♪?(Mr.マリックのテーマ)
玄・宥「…………」パチ..パチ..
智葉「………では、この封筒を開けてください」
宥「はい……」ガサガサ
智葉「開けたら、封筒の中に入っているカードのマークとナンバーを発表してください」
宥「……………く、クローバーの10です」
玄「っ……」ビクッ
智葉「そう!私が予言したのは、クローバーの10!松実宥さん、あなたが選んだカードは、クローバーの10ですね!!」ビシッ!
宥「……………………はい」
玄(おねーちゃん!ナイス判断だよぉ!ここで違いますなんて言ったら斬られちゃうもん)フゥ
智葉「………はいっ!」ポーズ
♪?(Mr.マリックのテーマ)
玄・宥「…………」パチパチパチ
玄(なんとか切り抜けた……)ホッ
28:
智葉「あ……このテーブルに伏せたカードと同時に見せた方がよかったか」ヒョイ..ペラッ
宥「!!」
玄(あっ!おねーちゃんが選んだカードを見られた!本当は間違ってたことがバレちゃうよ!)ヒィ..
智葉「………………」
宥「あ、あの……その……」
智葉「滅!」シュッ!
宥「きゃああ!」ズババッ..バターン!
玄「おねーちゃー!!!!」
智葉「……………」
玄(おねーちゃんも斬られちゃった…………)ガタガタガタ..
智葉「…………はいっ!」
♪?(Mr.マリックのテーマ)
玄(ごめんねおねーちゃん……でも拍手しないと私も……)パチパチ..
30:
智葉「…………」スッ
ダヴァン「…………」テクテク
玄(また外人さん…………ああっ!?)
ダヴァン「…………」ズルズル....
宥「…………」
玄(外人さんの口元に、なるとがついてた…………血まみれの穏乃ちゃんを運んだあと、ラーメン食べたんだ!怖い外人さんの見本みたいな人だよぉ!!)ビクビク
智葉「………………ファイナルマジック!!」
玄「ひぃ……」
智葉「私の格好をご覧ください。いつもの……何も着飾っていない状態です」
玄(絶対嘘だよぉ……マントにシルクハットの女子高生は存在しないもん)
智葉「そんな私が、今から動物を出します!まず、このステッキを……」ツルッ..カラーン
玄(あ……ステッキ落としちゃった)
智葉「ちっ、この……」
玄(わ、その体勢でステッキをとりに行ったら、シルクハットが落っこち…)
31:
ポトッ..バサバサバサ!!(シルクハットが落ち、中からハトが飛んでいく)
智葉「…………」
玄「……………」
智葉「…………」
玄「え、ええと……」
玄(私は一体どうすれば……)
智葉「っ!」ダダッ!
玄「ひいい!?こっち来た!!」
智葉「滅!!」ビュッ!
玄「ぎゃああああ!!」ズバーッ..
♪?(Mr.マリックのテーマ)
――――――――――――
――――――――
――――
――
33:
玄「助けてぇっ!!」ガバッ!!
宥「玄ちゃん!?」
玄「はあっ、はあっ、はあっ…………夢…………か」
宥「大丈夫?」
玄「あ、おねーちゃん……」ジワッ..
宥「?」
玄「うわぁあああん!!おねーちゃん!無事でよかったよぉおお!!」ダキッ
宥「わわ……玄ちゃん、苦しいよぉ」
玄「おねーちゃーん!!おねーちゃああん!!」ギュ--...
34:
宥「…………なるほど、今度は辻垣内さんの夢を見ちゃったんだ」
玄「……うん。楽しかったマジックショーと、辻垣内さんの怖いイメージが重なってMGサトハが誕生した……」
宥「そっか」
玄「…………どうしよう。もうこんな時間………明日…ううん、今日は決勝なのに」シュン
宥「……確かに眠らないと大変。だけど玄ちゃんの場合は眠れないんじゃなくて、すぐに寝るけど悪い夢を見て起きちゃう…」
玄「うん」
宥「それなら、いい夢を見れるようにすれば解決だよね?」
玄「そうだけど……難しい……」ハァ
宥「ちょっと待って………」ガサゴソ..
玄「?」
宥「あった……この雑誌を枕の下に入れてから寝てみて?」
玄「え……あっ!」
玄(なんか聞いたことある……見たい夢がある時は、その内容に関係ある写真とか本を枕の下に入れておくと、希望通りの夢が見られるって!)
35:
宥「迷信かもしれないけど、やらないよりはいいと思って」
玄「ありがとう!やってみるよ!」
玄(旅行雑誌……うん、いいかも!楽しい夢が見れそう!)パサッ..
玄「よいしょ…………おやすみなさい」
宥「うん、おやすみなさい」
玄(いい夢が見れますように……)
玄(………………)
――
――――
――――――――
――――――――――――
36:
玄「……?ここは……」
玄(周りに木がたくさん…………森の中かなぁ?)
?「よぉし、行くよぉ!」
玄(ん?声が聞こえる……行ってみよう)テクテク
豊音「それーっ!」
塞「えいっ!」
エイスリン「ワオ!」
胡桃「上手い!」
白望「ダルい……」
玄(わ!楽しそうにバドミントンしてるあの人たちは…………清澄と当たった…………えーと…………そう!宮守女子の人たちだ)
玄(ということは……ここは岩手なのかな)フーム
豊音「なんのっ!」パシッ
塞「甘いっ」パシッ
エイスリン「オーエス!オーエス!」キャッキャッ
玄(……みんな楽しそうだなぁ。自然に囲まれた中で仲間と一緒に遊ぶ……最高だよ)ウフフ..
37:
豊音「わぁ、しまった!」
玄「?」
塞「あちゃー……木に引っ掛かっちゃったか」
エイスリン「ザンネン……」
胡桃「あれは捕れない」
白望「そうだね……」
玄(あー、結構高い位置に羽が引っかかったみたい。せっかくみんなで楽しんでたのに可哀想…)
豊音「…………だ、大丈夫!捕れるよっ!」
胡桃「無理!」
塞「いや、方法はあるわ。いい?まずはシロが……」
玄(ん?作戦会議かな?でも、さすがにあの高さは無理だと思うけど……)
豊音「すごいよ!やろうやろう!」
塞「よし、じゃあシロ。ここね」
38:
白望「はいはい……」
玄(?小瀬川さんが座って、体を丸めた?)
豊音「よいしょ」
玄(その小瀬川さんの上に仰向けで姉帯さんが乗った。小瀬川さんの背中と姉帯さんの腰が重なる形……)
胡桃「ちゃんと掴んでてね!」
豊音「うん!」ガシッ
玄(その姉帯さんが両手で鹿倉さんの腰を掴んで持ち上げる…)
塞「じゃあトヨネ。力を入れて!」
豊音「うん…………ふっ!」
玄(!!姉帯さんの体がピーンと伸びた!!すごい腹筋!)
エイスリン「サエ!ゴー!」
塞「オーケー…………っ!」ダダダッ!
玄(臼沢さんがダッシュして姉帯さんの足へ……まさか!)
39:
塞「っ!」ビョン!
玄(姉帯さんが伸ばした足の先に飛びついて……全体重をかけて下ろす!!)
豊音「っ!」クンッ!
玄(その力が、小瀬川さんを支点にした姉帯さんに……そうか!てこの原理で……)
胡桃「はっ!」ビューン!
玄(鹿倉さんを高く飛ばすことに成功!)
胡桃「よぉしっ!!羽、ゲット!!」バサバサッ!
玄「や、やったぁああああああ!!!!」
エイスリン「congratulation!!」
玄「わぁ!本場の祝福英語が出た!すごいっ!!」
玄(あんな高いところにあった羽を捕っちゃうなんて……すごすぎるよ……)ワクワク..
玄(仲間で力を合わせれば、できないことなんてないんだ……)オォ..
玄(そう、私たち阿知賀もそうだったもん!)
40:
胡桃「おわわ……」ヒュー..
白望「よっと」ガシッ!
玄(小瀬川さんが鹿倉さんをキャッチした……これで完璧!)
胡桃「ありがと!」
白望「ん」
豊音「よぉーし、続きやろー!」
塞「今度はシロもやりなよ?」クスッ
エイスリン「ワタシモヤル!」
玄「ふふっ………みんな楽しそう」
玄「むむむ?……見てるだけで気合入ってきたよー!」
玄「…………よぉおし!私も…」
――――――――――――
――――――――
――――
――
41:
玄「頑張るよーーーっ!!!!」ガバッ!
宥「ひゃあああ!!」ドシーン!
玄「…………え?あれ?」
宥「いたたた……」
玄「おねーちゃん?どうして床に……」
宥「く、玄ちゃんが急に大声出すからビックリして起きちゃって……そのままベッドから落ちちゃったの……」
玄「あ……ごめんね」
玄(…………いつの間に夢から覚めたんだろう……)??
宥「最初は玄ちゃんの様子を見てたんだけど、うなされてないみたいだから私も寝ようと思って……どうだった?」
玄「怖い夢じゃなかったよ。それどころかすごく楽しくて……でも、興奮しすぎて起きちゃったみたい」
宥「そ、そうなんだ……じゃあ本を枕の下に入れる作戦は失敗かな……?」
玄「あ、ううん!それは成功だよ!実際、この雑誌に載ってる岩手の夢見れたし!」
宥「本当?よかった」ホッ
42:
玄「旅行雑誌はすごく良かった。最初はリラックスできたし!目が覚めちゃった理由は夢の後半部分にあるの…」
宥「後半部分?」
玄「ちょっと前に見たマジックショー特番の中でやってたサーカス団と、岩手の風景と宮守の選手たちが混ざっちゃって……私がエンターテインメント性の強い特番を見てなければ成功してたよ……」ズーン
宥「く、玄ちゃん落ち込まないで!玄ちゃんがエンターテインメント性の強い番組が好きなの、私はいいと思うから!」
玄「本当?」
宥「もちろん。だからこれからも、エンターテインメント性の強い番組を見ようね」
玄「っ……ありがとう!」
宥「うん。それで話を戻すと……枕の下に本を入れるのは有効ってことでいいんだよね?」
玄「大有効!おねーちゃん、他に雑誌とか持ってない?」
宥「えと……あ、これはどうかな?マッサージの本」
玄「マッサージ!?わぁ、良さそう!」
宥「うふふ……玄ちゃんが疲れちゃった時にマッサージしてあげようと思って持ってきたんだけど……違う形で役に立ったね」ニコリ
玄「お、おねーちゃーーーん!!」
玄(おねーちゃんの優しさ回路は、大都会東京と違って渋滞しないよぉお!!)
43:
宥「あ、でもこの本をくれたのは桜子ちゃんなんだ?♪」
玄「えっ?桜子ちゃんが?」
宥「うん。体があったまるツボが載ってた、って」
玄「優しい……」ホゥ
宥「うん……プレゼントしてもらった瞬間に、心がすごぉくあったかくなったもん」ニッコリ
玄(桜子ちゃんも渋滞しないよぉぉ……)ウルウル
宥「っと、早く寝ないと。はい」
玄「ありがとう…………よいしょっと…………おやすみなさい」
宥「おやすみなさい」
玄(これで……マッサージされてリラックスする夢を見て……ぐっすり寝て…………起きたら…………元気に……)
玄(………………)
――
――――
――――――――
――――――――――――
44:
玄「む……ここは……?」
ワイワイガヤガヤ
玄(……人通りが多いなぁ。リラックスどころじゃないよぉ)
玄(どうしてこんな…………ん?なんだろうこのお店……)
『のどや さくら』
玄「のどや……さくら?」
玄(よくわからない……あ!看板にはマッサージって書いてある)
玄(やった。早入ろう!)
46:
【のどや さくら】
玄「こんにちはー……」
桜子「い゛ら゛っ゛し゛ゃーい゛!!」
玄「あ、桜子ちゃん!桜子ちゃんが店員さんなの!?」
桜子「そ゛う゛」
玄(桜子ちゃんからのプレゼントだって聞いたからかな)
玄「あの……マッサージをお願いしたいんだけど……」
桜子「オ゛ッ゛ケ゛ー゛!座゛っ゛て゛」
玄「あ、うん」
桜子「3゛0゛分゛コ゛ー゛ス゛、゛始゛め゛ま゛す゛」
玄「お願いします」
桜子「」スッ
玄(あれ?桜子ちゃんが私の後ろに……?肩に当たってるのは、桜子ちゃんの……のど?)
47:
桜子「ア゛コ゛チ゛ャ゛ン゛ダ゛ァ゛ア゛ァ゛ア゛ア゛ア゛ア゛」ヴヴヴヴ..
玄「!?」
桜子「ア゛コ゛チ゛ャ゛ン゛ダ゛ァ゛ア゛ァ゛ア゛ア゛ア゛ア゛」ヴヴヴヴ..
玄(これは……肩に密着させたのどを振動させて肩こりをほぐそうとしてる!?なるほど、のどでマッサージだから『のどや』なんだね)
桜子「ア゛コ゛チ゛ャ゛ン゛ダ゛ァ゛ア゛ァ゛ア゛ア゛ア゛ア゛」ヴヴヴヴ..
桜子「ア゛コ゛チ゛ャ゛ン゛ダ゛ァ゛ア゛ァ゛ア゛ア゛ア゛ア゛」ヴヴヴヴ..
玄(結構震えてて気持ちいい……でもそれ以上に、耳元で叫ばれるせいで頭がおかしくなってきた……)
桜子「ア゛コ゛チ゛ャ゛ン゛ダ゛ァ゛ア゛ァ゛ア゛ア゛ア゛ア゛」ヴヴヴヴ..
桜子「ア゛コ゛チ゛ャ゛ン゛ダ゛ァ゛ア゛ァ゛ア゛ア゛ア゛ア゛」ヴヴヴヴ..
玄(もし本格的にこのお店を出すなら、耳栓を配らないとダメだね)
桜子「ア゛コ゛チ゛ャ゛ン゛ダ゛ァ゛ア゛ァ゛ア゛ア゛ア゛ア゛」ヴヴヴヴ..
桜子「ア゛コ゛チ゛ャ゛ン゛ダ゛ァ゛ア゛ァ゛ア゛ア゛ア゛ア゛」ヴヴヴヴ..
玄「…………」
48:
桜子「ア゛コ゛チ゛ャ゛ン゛ダ゛ァ゛ア゛ァ゛ア゛ア゛ア゛ア゛」ヴヴヴヴ..
桜子「ア゛コ゛チ゛ャ゛ン゛ダ゛ァ゛ア゛ァ゛ア゛ア゛ア゛ア゛」ヴヴヴヴ..
玄(これを30分かぁ……ちょっとした地獄だよ……)ハァ
桜子「ア゛コ゛チ゛ャ゛ン゛ダ゛ァ゛ア゛ァ゛ア゛ア゛ア゛ア゛」ヴヴヴヴ..
桜子「ア゛コ゛チ゛ャ゛ン゛ダ゛ァ゛ア゛ァ゛ア゛ア゛ア゛ア゛」ヴヴヴヴ..
桜子「ア゛コ゛チ゛ャ゛……!?」
玄「ん?」
桜子「ア゛コ゛チ゛ャ゛……ア゛コ゛チ゛ャ゛………」ガタガタガタ..
玄「えっ?えっ?桜子ちゃんどうしたの……?体中が震えて……」
桜子「ア゛コ゛チ゛ャ゛………ア゛コ゛チ゛ャ゛ア゛コ゛チ゛ャ゛ア゛コ゛チ゛ャ゛ア゛コ゛チ゛ャ゛」ガタタタタタ!
玄「桜子ちゃ…」
桜子「ア゛コ゛チ゛ャ゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛」ゴゴゴゴゴ...
玄「!!?」
玄(桜子ちゃんの足から……火が出てきた!?わああ!桜子ちゃんが浮いて……っ!)
49:
桜子「ア゛コ゛チ゛ャ゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛」バリバリィッ!
玄「て、天井を突き破った!!?」
桜子「ア゛コ゛チ゛ャ゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛………」ビューー...ーン..
玄「…………と、飛んでっちゃった……」
ヒューーーー......
玄「ど、どうし…」
ゴスッ!!
玄「ぎゃあっ!!」バターン..
玄(うぅ…………痛い……なにかが頭に落ちてきて…………あ……桜子ちゃんの靴……)
玄(上空で脱げた靴が……重力で加したんだね…………こんなに……痛い)
玄(………………ダメ…………もう…………意識が…………)
――――――――――――
――――――――
――――
――
51:
玄「…………はっ!!」ガバッ!
宥「ん……玄ちゃん?」
玄「おねーちゃん……」
宥「ダメだった?」
玄「うん……最初から変だったけど、後半がまたわけわかんなくて……マッサージなのに空飛んだり……」
宥「そうなの?不思議……私、この本全部読んだけど空飛ぶような内容は全然…………あ」パラパラ
玄「どうしたの?」
宥「…………ご、ごめんね玄ちゃん。本の後ろの方に、宇宙船の絵のしおりが挟まってた……」
玄「…………」
宥「…………」
玄(おねーちゃんのうっかりさん度合は、大都会東京に染まりかけてるよぉ)
宥「ごめんね……」
玄「あ!ううん……私こそごめんね?おねーちゃんには悪気はなかった。ただ宇宙船が好きなだけなのに……」
宥「ええと……宇宙船は別に好きじゃないよ?たまたまこのしおりしかなくて……」
玄「………………大都会……」
54:
宥「そ、そうだ!いっそのことファンタジーというか、現実離れした夢を見ればいいかもしれない」
玄「?」
宥「これ!街中で配ってたの。戦隊ヒーローの映画のチラシ。これなら大丈夫かも」
玄「……いいかもしれない。試してみるね!ありがとうおねーちゃん!」
宥「うん」
玄「……セットして……っと。おやすみなさーい」
宥「おやすみなさい」
玄(………戦隊ヒーロー……こういう作り物は現実とは違う世界観だし、ありえない存在とか謎の生き物なんかも出てくる話……深く考えずに楽しめるかもしれない……)
玄(よぉし………今度こそ……………ゆっくり……)
玄(………………)
――
――――
――――――――
――――――――――――
55:
玄「…………ここは…………廃工場?」
玄(わ!私の格好、ヒーローだよ!しかも赤!!赤ってことは……リーダー!?)
?「はーっはっはっは!!」
玄「っ!?この声は!」クルッ!
晴絵「よく来たな!クロチャンジャー!」
玄「赤土先生……あなたが敵ですか!」
晴絵「その通りだ!私の名はハルエリオン!世界征服を成し遂げ、学生と教師の交際を認めさせる!!」
玄「ぐぬぅ……別に構わないことを!」
ハルエリオン「くくく……まずは貴様を片付けてやる!」
玄「……そっちがその気なら……こっちだって!」
玄「私の名は……」シュババッ!
玄「おまかせあれっ!!玄ちゃんドラゴン!」ポーズ!
56:
ハルエリオン「…………」
玄「昔……阿知賀こども麻雀クラブで頭を『ごちんっ』とされた恨み、晴らしてやる!」
ハルエリオン「いい啖呵だが……純粋なケンカなら、ネクタイで首絞めたりしてきた私には勝てないぞ?」
玄「ぐっ……」
玄(……確かに……私はあんまりケンカしたことないし、赤土先生の大人気なさが夢に反映されてたら勝てない……)
玄(できれば仲間がほしい……というか、戦隊ヒーローなら仲間がいるはず!その仲間と力を合わせて赤土先生を……)
?「…………」ザッ!
ハルエリオン「むっ!貴様らは!!」
玄(やった!仲間が来たんだ!)クルッ!
照「ロン 10200!!インハイチャンプ!」ポーズ!
玄「ひぃ!?」
優希「東二局は来ない!!タコスマスタード!」ポーズ!
玄「ひゃあ!?」
57:
智葉「…………はいっ!」ポーズ!
♪?(Mr.マリックのテーマ)
玄「ぎゃああ!!」
桜子「ア゛コ゛チ゛ャ゛ン゛ダ゛ァ゛ア゛ァ゛ア゛ア゛ア゛ア゛」ポーズ!
玄「いやぁああああああああ!!!」
玄(なんで!?なんでこんなありえない組み合わせなの!?味方が……敵ばっかりだよぉおぉお!!!!)
――――――――――――
――――――――
――――
――
58:
玄「ああああああああああ!!!!」ガバッ!
宥「っ!?ぷぎゅっ!?!?」ビターン!
玄「はぁ……はぁ……はぁ……はぁ……」
宥「うぅ……痛い……」
玄「……また目が覚めちゃった」ハァァ..
宥「うん……私も……」
玄「……次はどうしよう……おねーちゃん、他に本ある?」
宥「あるけど……もう無理だよ」
玄「そ、そんな……どうして……?」
玄(おねーちゃんの優しさが、大都会東京に呑まれちゃった!?)
宥「だって……もう朝ご飯の時間だから集まらないと」
60:
玄「え……朝ご飯……?」
宥「…………」
玄「で、でも……すっごく眠いし、疲れが全然とれてない……というか、寝る前より疲れてるんだけど……」
宥「私もだよ…………何度も起こされちゃったし……」ボソ..
玄「うぐ!」
玄(おねーちゃんが聞き取れる小声で……私に牙を剥いてるよぉ……大都会東京……)
宥「とにかく、行こう?」フラー..
玄「う、うん……」
玄(こんな状態で麻雀なんかできるのかな……――――)フラフラー..
61:
【対局室】
恒子『先鋒戦、まもなく始まります!』
玄(うぅ……お腹が膨れたからか、すごく眠い……目はシパシパするし……頭がボーっとする)フラー..
玄「はぁ………ん?」
照「…………」
玄「っ!ひぃいぃい!!ロン10200お化け!!」
照「?」
玄「あわわわ……」ガタガタ
優希「どうしたじょ?」
玄「わああ!!東一局幼女!!」ブルッ..
優希「じょ?」
玄「はぁ……はぁ……怖い……」チラ
智葉「…………」
玄「ぎゃああああ!!!!人斬り女子高生!!!」
智葉「……何を言ってるんだ?」
62:
【阿知賀 控室】
憧「……なんか玄が錯乱してるんだけど……」
穏乃「宮永さんに苦手意識があるのかな?」
灼「他の2人に対しても脅えてる……」
晴絵「うーん……宥、何か知らない?」
宥「……知ってますけど……どう説明したらいいか……」ウツラウツラ..
憧・灼・穏乃・晴絵「???」
恒子『阿知賀女子学院の松実玄、トビです!優勝は白糸台高校!!!』
終わり
64:
きれいに終わったな
6

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