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P「美希、土瓶蒸し食べるか?」


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1:
美希「どびんむし? 食べるの!」
P「じゃあ、はい」コトッ
美希「わーい」
P「熱いから火傷しないようにな」
美希「…………」
P「ん? どうした、美希?」
美希「……これ、どうやって食べたらいいの?」
P「ああ、やっぱ知らなかったか」
7:
P「そうだな、とりあえず土瓶の蓋を取ってごらん」
美希「はいなの」パカッ
P「中に入ってる具が見えるか?」
美希「うん。なんか色々入ってるの。えーっと、えびにきのこに……ぎんなんかな?」
P「そうだ。正確には、松茸、白身魚、えび、鶏肉、みつば、ぎんなんだな」
美希「ま、松茸!? 松茸が入ってるの?」
P「ああ。土瓶蒸しは松茸が定番なんだ」
美希「す、すごいことになってしまったの……ミキは今史上かつてない運命の岐路に立たされているの」
P「んな大袈裟な」
8:
美希「えっと、それでどうしたらいいの? とりあえずこの具達を食べたらいいの? っていうか、そもそも具は食べてもいいの?」
P「ああ、もちろん具も食べていいぞ。だがまずはこのままの状態で汁を飲んでみてくれ」
美希「お汁を?」
P「ああ。この沢山の具が出汁となって、すごくコクのある旨味が出てるからな」
美希「確かに……この香りだけでも美味しさが伝わってくるの」
P「じゃあ早飲んでみるか。これに注いでな」スッ
美希「あっ、おちょこなの!」
P「熱いから気を付けろよ」
美希「はいなの」
11:
P「こぼさないように注いで、っと……」トクトク
美希「ミキ、おちょこで何か飲むのって初めてなの」トクトク
P「はは、まあ美希の年ならそうかもな」
美希「むぅ……またそうやって、ハニーはミキのことを子ども扱いするの」
P「そうすねるなって。美希もすぐにおちょこの似合う年になるよ」
美希「それはそれでフクザツな気分なの」
P「我が儘だな……よし、注いだか?」
美希「うん」
P「それでは手を合わせて……頂きます」
美希「いただきますなの」
19:
P「ん……」コクコク
美希「んっ……」コクコク
P「……ふぅ。ウマい」
美希「……めっ……」
P「めっ?」
美希「……めっちゃくちゃ、美味しいの!」
P「はは、そうだろ?」
美希「ミキ、こんなに美味しいお吸い物って初めて飲んだの! もっと飲もう」トクトク
P「この凝縮された旨味がたまらないんだよなあ」トクトク
美希「それに、身体もすっごくポカポカしてくるの! 最近寒くなってきてたからちょうどいいの!」
P「体の芯に染み渡るよなあ」
23:
美希「んっ……んっ……はふぅ……最高なの……」
P「それは何より。あ、ちなみにすだちを絞って入れても美味しいぞ」
美希「すだち? 入れてみるの!」
P「はい」スッ
美希「わーい」
P「入れ過ぎると風味を損なうから、二、三滴な」
美希「はいなの」キュッ
P「俺も入れよう」
美希「はい、ハニー」スッ
P「おう、サンキュー」キュッ
25:
美希「では早、すだち入りのお汁を……んっ……」コクコク
P「ん……」コクコク
美希「……はふぅ……」
P「どうだ? 美希」
美希「うん。これはこれで、ほどよい柑橘系の香りが濃厚なお汁にマッチしてて、すごくすっごく美味しいの!」
P「はは、それは良かった。さ、そろそろ具の方も食べていくか」
美希「もう食べちゃっていいの?」
P「ああ、もう十分出汁は出てるからな。あとは具を食べつつ、汁を飲みつつしていけばいい」
美希「わかったの」
28:
美希「じゃあ早、松茸からいっちゃうの」
P「いきなりメインからか。流石美希」
美希「えへへ……ミキは美味しいものから先にいっちゃう派なの。あーん、っと……」パクッ
P「どうだ?」
美希「ん?っ……松茸の香りがお口の中いっぱいに拡がっていくの……」モグモグ
P「はは、美希、すっごく締まりのない顔になってるぞ」
美希「今はそんなことどうでもいいの?。う?ん……しあわせ?」モグモグ
P「はは、そこまで喜んでもらえて何よりだよ」
30:
美希「あふぅ……ミキ的には、もう死んでもいいってカンジなの」
P「こらこら。縁起でもないこと言うんじゃありません」
美希「だってぇ……あ、でもまだ他の具もあるの。せめてこの具達を全部胃の中に収めるまでは死ねないの」
P「だから死ぬなって」
美希「じゃあ次は……えびちゃんにするの。あーん」パクッ
P「えびはどうだ? 美希」
美希「ん?っ。すっごくプリプリしてるの! ミキ、生まれ変わったらえびちゃんになってもいいな」
P「だからなんでそんなすぐ現世を去ろうとするんだ」
34:
美希「ぎんなんも甘くておいしいの」モグモグ
P「みつばとの相性も良いしな」
美希「そしてまた、ここらあたりでお汁を飲むの……」コクコク
P「汁も結構あるからな」
美希「はふぅ……美味しすぎるの……これならいくらでも飲めちゃうの」
P「ああ。飲めば飲むほど、舌がさらなる旨味を求めるって感じだな」
美希「飲んでよし、食べてよしの至高の一品なの……はふぅ」
39:
美希「あふぅ……あんなにあったお汁も、遂に全部飲んでしまったの」
P「具も全部食べたしな。よく食べました」ナデナデ
美希「えへへ……ごちそうさまでしたなの」
P「……で、どうだった? 美希。初めて土瓶蒸しを食べた感想は」
美希「……もう何度も言ったけど……最高! ってカンジなの!」
P「はは、そうか。それはよかった」
美希「うん。ミキね、こんなにも旨味が効いたお吸い物があったなんて、今まで知らなかったの」
P「ああ。一見バラバラな感じに見える具が、一緒に蒸されることで素晴らしい旨味を生み出しているんだな」
美希「……ねぇ、ハニー」
P「ん?」
42:
美希「……土瓶蒸しって、なんかミキ達みたいだね」
P「え? どういうことだ?」
美希「だってね、一見バラバラに見えるミキや他の皆が一緒にいることで……『765プロ』としての旨味が出てきてるって思わない?」
P「あー、それは……そうかもしれないな」
美希「でしょ?」
P「ああ。美希に春香、千早に貴音、真に雪歩、響にやよい、伊織にあずささん、そして亜美と真美……」
美希「それに律子……さんと小鳥、社長……そして……」
P「……ん?」
美希「ハニーという最高の具があって……『765プロ』っていう土瓶蒸しになるの!」
P「おいおい……俺はそんなたいしたもんじゃないだろ」
44:
美希「そんなことないの! ハニーがいなかったら765プロの旨味は半減、どころか90%減なの!」
P「ははは……まあ、そこまで言ってもらえるのは嬉しいけど……でも、やっぱりうちの事務所はミキ達アイドルあってのもんだからな。土瓶蒸しで言うと、アイドルの皆は松茸やえび、俺や社長はぎんなんやみつばってとこだ」
美希「……何気に社長まで自分と同格にしちゃうあたりが流石だね、ハニー」
P「あっ! い、いや、今のは言葉のあやっていうか……しゃ、社長には内緒だぞ?」
美希「あはは。わかってるの」
47:
美希「……まあでも、松茸やえびだけの土瓶蒸しじゃ、やっぱり寂しいの。ミキ的には、ぎんなんやみつばもあってこその土瓶蒸しだって思うな」
P「……美希……」
美希「だからこれからも……ミキ達アイドルの旨味を、いっぱいい?っぱい引き出してね! ハニー!」
P「……ああ、もちろんだ!」

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