サーニャ「きみのなかに〜わたしをずっと〜」芳佳「……」back

サーニャ「きみのなかに〜わたしをずっと〜」芳佳「……」


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1:
サーニャ「ブックマークしてね?」
サーニャ「笑いながらっ、頑張ったと、めちゃくちゃっ、ほめてねっ」
芳佳「……」
サーニャ「どんな時も全部ほ……!?」ビクッ
芳佳「続けて続けて」
サーニャ「あ、もうこんな時間……夜間哨戒に行ってきます」
芳佳「待って!!サーニャちゃん!!」
芳佳「いっちゃったぁ……。可愛い歌だったからもっと聴きたかったのに」
美緒「宮藤。こんなところで何をしている。さっさと自室に戻れ。それとも自主訓練か」
芳佳「すいません。戻ります」
美緒「うむ。寝る前に歯を磨けよー」
芳佳「はぁーい」
6:
次の日
サーニャ「……」キョロキョロ
サーニャ「……きみのなかに、わたしをずっと?、ブックマークしてね?」
サーニャ「笑いながらっ、頑張ったと、めちゃくちゃっ、ほめてねっ」
サーニャ「どんな時もっ、全部本気っ、ギャップにも、驚かないでっ」
サーニャ「たった今を進まなくちゃっ、未来もないでしょ?」フリフリ
芳佳「……」
サーニャ「……!!」
芳佳「アンコールアンコール」
サーニャ「夜間哨戒に行かなきゃ」
芳佳「あぁ!!もっと歌ってよぉ!!」
バルクホルン「宮藤。何をしている」
芳佳「あ、バルクホルンさん。あのですね」
バルクホルン「ほら、風呂に行くぞ」グイッ
芳佳「あぁ……」
8:
次の日
サーニャ「きみとなら?きっとぉ、できること?。ココロ?とココロで、手?を?結んで?」
サーニャ「うんめいぃ?せぇ?ん」クルッ
サーニャ「ぎゅっとっ、かさねたら?。夢へ?のきょ?は?んしゃ?。どこまででも翔べそうっ」
サーニャ「眠れるっ、翼をっ、信じてっ」
サーニャ「……ふぅ」
芳佳「わー!いいね!」パチパチ
サーニャ「……!!」ビクッ
芳佳「今の歌なに?聞いたことないけど」
サーニャ「……行って来ます」
芳佳「サーニャちゃん、ちょっと待ってよぉ」
サーニャ「でも……」
芳佳「今の歌って、もしかしてサーニャちゃんが作ったの?」
サーニャ「……う、うん」
芳佳「へぇー。すごいねー!」
10:
サーニャ「もう行かなきゃ」
芳佳「ねえねえ。サーニャちゃん、また聞きたいな」
サーニャ「……ダメ」
芳佳「どうして?いい歌なのに」
サーニャ「まだ、完成してないから」
芳佳「夜間哨戒に行く前はいつも歌ってるよね?まだ完成じゃないんだ」
サーニャ「うん」
芳佳「聞きに来るのはいいよね?」
サーニャ「でも……」モジモジ
芳佳「おねがいっ」
サーニャ「誰にも内緒だよ?」
芳佳「エイラさんも知らないの?」
サーニャ「きちんと出来上がってから歌いたいから……」
芳佳「そうなんだー。うん!誰にも言わない。約束する」
サーニャ「ありがとう。それなら明日も聞きにきていいよ」
12:
次の日
サーニャ「うんめいせ?ん」クルッ
芳佳「ねえねえ」
サーニャ「なに?どこかおかしかった?」
芳佳「ううん。そうじゃなくて、うんめいせ?んのときだけクルって回るのはどうしてかなぁーって思って」
サーニャ「……なんとなくだから。気になるならやめるけど」
芳佳「ごめん!気にしないで!!ちょっとだけ疑問に感じちゃっただけだから!!」
サーニャ「うん……」
芳佳「でも、本当にサーニャちゃんって歌が上手だよねー」
サーニャ「ありがとう……」
芳佳「この前もネウロイが真似してたぐらいだし」
サーニャ「あれは私を狙っていただけ」
芳佳「そうかな?もしかしたらサーニャちゃんの歌声に惹かれて真似してたのかも」
サーニャ「違うと思う」
芳佳「そんなのわからないよ。サーニャちゃんの歌声、とっても綺麗だし、素敵だもん」
15:
サーニャ「……あまり褒めないで」
芳佳「どうして?」
サーニャ「は、はずかしい……から……」
芳佳「そっか。じゃあ、もう言わない」
サーニャ「それは少し寂しいけど……」
シャーリー「おーい。サーニャー。夜間哨戒はどうしたんだー?坂本少佐が遅れてるっていってるぞー」
サーニャ「あ。もうこんな時間……」
芳佳「ごめん!!私が引きとめたから……!!」
サーニャ「ううん。聴いてくれてありがとう」
芳佳「サーニャちゃん」
シャーリー「早くいかないと怒られるぞー」
サーニャ「今から出ます」
芳佳「いってらっしゃーい!!またきかせてねー!!!」
シャーリー「何をだ?」
芳佳「え!?えーと……秘密ですっ!!」
17:
翌朝 宮藤の部屋
芳佳「すぅ……すぅ……」
サーニャ「……」ガチャ
芳佳「すぅ……すぅ……」
サーニャ「きみのなかに?わたしをずっと?ブックマークしてぇね?」
芳佳「ん……?」
サーニャ「笑いながらっ、頑張ったと、めちゃくちゃっ、ほめてねっ」
芳佳「……サーニャちゃん、おかえりなさい。どうしたの?」
サーニャ「どんな時もっ、全部本気っ、ギャップにも、驚かない……で……」フラッ
芳佳「サーニャちゃん!?」
サーニャ「すぅ……すぅ……」
芳佳「あぁ!サーニャちゃん、起きて!!ここ私の部屋だから!!」
サーニャ「ん……すぅ……すぅ……」
芳佳「あ、もしかして、私がまた聴かせてって言ったから……。今日だけなら、いいよね。きっと」
サーニャ「うぅん……」
20:
食堂
エーリカ「はむっ」
ペリーヌ「またじゃがいもを蒸しただけですの?」
シャーリー「いいじゃないか。栄養あるし、美味しいし」
ペリーヌ「でも、淡白すぎます……」
エイラ「……なぁ」
バルクホルン「どうした?朝から覇気がないな」
エイラ「サーニャ、みなかったか?」
バルクホルン「いや、見ていないが」
エイラ「そうか……」
バルクホルン「何か気になることでもあるのか?」
エイラ「いや。サーニャの部屋に行ってみる」
バルクホルン「……?」
リーネ「芳佳ちゃーん。ルッキーニちゃんがおかわりだってー」
芳佳「はぁーい!!今行くぅ!!」
22:
廊下
美緒「以前、出現したネウロイだが。やはりサーニャの歌に反応していたのは間違いない」
ミーナ「そうね。ネウロイは一体……」
エイラ「たいへんだぁー!!」
美緒「騒々しいぞ。何があった?」
エイラ「たいへんなん、だぁー!!」
ミーナ「落ち着いて」
美緒「叫ぶだけでは何が大変なのかわからんぞ」
エイラ「だ、だって!!サーニャがいないんだぞ!!」
美緒「なんだと?」
エイラ「朝、私の部屋にこないからおかしいなって思ったんだ。それで、サーニャの部屋を見たら、サーニャがいなかった……」
美緒「哨戒中になにかあったか?」
ミーナ「いいえ。今朝、サーニャさんは任務を終えて基地に……」
エイラ「なら、どうしていないんだ!?」
美緒「どこかで寝ているのだろう。探してみよう」
23:
食堂
シャーリー「ふー。食った食った。よし、訓練はじめるか」
ルッキーニ「にしし。たしか、芳佳とリーネも一緒なんだよねー」
シャーリー「ああ。あたしが宮藤と、ルッキーニがリーネとだな」
芳佳「よろしくお願いします!!」
シャーリー「うん!あたしにまかせとけ!マッハで飛べるようにしてやるから!!」
芳佳「そ、それは少し怖いような……」
リーネ「あはは……」
美緒「お前たち、ちょっといいか?」
ルッキーニ「あ、少佐。どうしたのー?」
美緒「サーニャが行方不明なんだ。誰か見た者はいないか」
シャーリー「いや、みてないな。ルッキーニは?」
ルッキーニ「みてなーい」
リーネ「私も見てないです……」
芳佳(どうしよう……。私の部屋でまだ寝てること言ったら、理由をきかれちゃう……。そうなるとサーニャちゃんが歌を作っていることもバレるかも……)
24:
シャーリー「宮藤は?」
芳佳「え!?いや!!全然、みてないです!!昨日の夜からずっと!!」
美緒「……宮藤?」
芳佳「は、はい!!」ビクッ
美緒「何を焦っている?」
芳佳「な、なにをいってるんですか!!焦ってなんていませんよー!!」
美緒「知っているなら話せ」
芳佳「だ、だから!知らないですっ!!」
シャーリー「みやふじぃ?嘘が下手だなぁー」
芳佳「えぇ!?なんでわかっちゃうんですかぁ!?」
シャーリー「ほら、嘘ついてた」
芳佳「あぁー!!しまったぁー!!」
美緒「宮藤の部屋に行くか」
シャーリー「りょーかーい」
芳佳「ま、待ってください!!サーニャちゃんは私の部屋で寝ているだけなんです!!それだけなんです!!」
25:
ルッキーニ「それだけなら、なんで隠すのぉー?」
シャーリー「だよなぁ」
芳佳「そ、それは……」
リーネ「芳佳ちゃん、正直に言ったほうがいいと思うよ?」
芳佳「だ、だけど……」
リーネ「何かいえない事情でもあるの?」
美緒「……まぁ、その……プライベートなことなら……あまり詮索はしないほうがいいだろうが……」
シャーリー「あ、そっち?悪い悪い」
芳佳「そっちってどっちですかぁ!!」
美緒「嘘をつくのは構わんが、ついた分だけ疑われるのは仕方のないことだ」
シャーリー「ほら、楽になっちゃいな」
芳佳「……あの。な、内緒にしてくれますか?」
美緒「内容によるが、まぁ内密でいうならそうしよう」
リーネ「うん。絶対、秘密にする」
芳佳「実は――」
26:
シャーリー「へぇー。歌をねえ」
美緒「なるほどな」
芳佳「サーニャちゃん、きっとエイラさんをびっくりさせようと思ってるんです。だから……」
シャーリー「そういうことならいいんじゃないですか、坂本少佐?」
美緒「隊の規律を乱すようなことでもない。いいだろう。これはここだけの話として処理する」
芳佳「ありがとうございます!!」
リーネ「でも、いいなぁ。芳佳ちゃんだけ歌を間近で聴けて」
芳佳「完成したらみんなの前でも歌ってくれるよ!!」
ルッキーニ「そうなんだぁー!たっのしみぃ!」
芳佳「だよね!」
美緒「では私は他のものにサーニャが見つかったことを報告してくる。お前達は予定通り訓練に入れ」
芳佳「はい!!」
美緒「サーニャの歌か……」
シャーリー「で、宮藤。どんな歌なんだ?」
芳佳「それは言えません。サーニャちゃんとの約束ですからっ」
27:
滑走路
エイラ「サーニャー!!!!」
エーリカ「おーい。サーニャ、見つかったってさー」
エイラ「どこにいたんだ!?」
バルクホルン「宮藤の部屋で寝ていたそうだ。まぁ、部屋を間違えたのだろう」
エイラ「ど、どうして……!」
エーリカ「寝ぼけてたんじゃないの?」
エイラ「そういうことじゃなくて!!」
バルクホルン「無事に発見されたんだ。良かったじゃないか」
エイラ「……」
エーリカ「まぁ、トゥルーデとしても気が気じゃないよねぇ?」
バルクホルン「何の話だ?」
エーリカ「えー?宮藤の部屋で寝ていたってきいたとき変な声だしたのってぇ、だれだっけぇ?」
バルクホルン「さぁ。鶏かなにかじゃないか?」
エイラ「サーニャ……どうして私の部屋と宮藤の部屋を間違えるんだ……」
28:

サーニャ「タタカイのい?み、ア?タ?タカイな?ら?」
芳佳「……」
サーニャ「どうかした?」
芳佳「え?」
サーニャ「ちょっと、元気がなさそうだから」
芳佳「な、なんでもないよ!!ごめんごめん」
サーニャ「もしかして……歌を聴くの飽きた……?」
芳佳「そ、そんなことないよ!!こんな可愛くて素敵な歌を毎日聴けるなんて、私は幸せ者だもん!!」
サーニャ「……」
芳佳「もうね。1日の終わりはサーニャちゃんの歌を聴かなきゃ眠れない感じだよ!!」
サーニャ「……ありがとう。私も一人で歌っているときよりも、なんだか楽しい」
芳佳「歌ってやっぱり人に聴いてもらうほうがいいもんね。それで聴いてくれた人たちが笑顔になったら、こっちも嬉しいし」
サーニャ「だからかも。笑ってくれる人がいるから、褒めてくれる人がいるから、今が楽しいのかも」
芳佳「サーニャちゃん……」
29:
サーニャ「行って来ます」
芳佳「うん!気をつけてねぇー!!」
サーニャ「……そうだ」
芳佳「なに?」
サーニャ「明日から、一緒に歌う?」
芳佳「いいよ!!私、そんなに上手じゃないし!!サーニャちゃんの邪魔になるだけだよ!!」
サーニャ「私が一緒に歌いたいの」
芳佳「……」
サーニャ「エイラ以外で貴方が初めてだから。こんなに真剣に聴いてくれたのは……」
芳佳「そうなんだ」
サーニャ「嫌なら、いいけど。歌ってほしいな」
芳佳「……それじゃあ、私も歌う。上手じゃないから色々、教えてね」
サーニャ「うん」
芳佳「えへへ」
サーニャ「これから、よろしくね」
30:
別の日 夜 シャーリーの部屋
シャーリー「……うんうん」
バルクホルン「リベリアン。魔法を使って何を聞いている?」
シャーリー「ん?ああ、秘密だよ」
バルクホルン「ふん。どうでもいいがな。それより、明日の任務だが……」
シャーリー「うーん……うん、かわいいなぁ……」
バルクホルン「聞いているのか!!!」
シャーリー「声が大きい!!」
バルクホルン「盗聴でもしているのか、貴様」
シャーリー「まぁ、そんなとこ。あたしはやっぱり……宮藤かな……」
バルクホルン「……」ピクッ
シャーリー「いや、サーニャもいいけど……うん……うん……」
バルクホルン「イェーガー大尉。何を聴いているのか詳しく話してもらおうか?」
シャーリー「だから、秘密だっていって――」
バルクホルン「盗聴なら軍規違反の可能性もある。答えろ」
31:
ミーナの部屋
ミーナ「宮藤さんとサーニャさんが?」
美緒「これは秘密だからな」
ミーナ「分かりました。二人で何をしているかと思えば……歌を……」
美緒「中々、愛らしい歌だぞ。私も何度かこっそり聴いてみたが、気合を入れていないと時間を忘れそうになる」
ミーナ「そんなに?ふふ、なら私も聴いてみたいわね」
美緒「ハンガーのほうへ行けば聴けるぞ。ただし、気配を悟られたら逃げられてしまうが」
ミーナ「そう。なら、もう少し様子をみましょうか。完成が楽しみね」
美緒「全くだ」
ミーナ「ところでネウロイの件だけど」
美緒「ああ。そうだったな。より詳細なデータが届いた」
ミーナ「これは……」
美緒「どう思う?」
ミーナ「検討してみる価値はあるかもしれないわね」
美緒「そうだな。こんなことができるなら、これからの作戦も楽になる」
32:
翌日
シャーリー「おーい、ルッキーニ。そっちのももってきてくれー」
ルッキーニ「うん!」テテテッ
リーネ「あれ?何を作っているんですか?」
シャーリー「ん?ああ、お立ち台」
リーネ「お立ち台……?」
ルッキーニ「やっぱり歌姫は舞台の上で歌わなきゃね!!」
リーネ「それって芳佳ちゃんとサーニャちゃんの?」
シャーリー「ルッキーニが作ったほうがいいってうるさくてさ」
ルッキーニ「あとは、基地全体に歌が届くようにしないと」
シャーリー「いや、島全体のほうがいいんじゃないか?」
ルッキーニ「おぉー!!そうしよー!!」
シャーリー「だな!」
リーネ「あ、あの!!秘密なのにそんなことしちゃダメだと思います!!」
ルッキーニ「芳佳とサーニャには黙っておけばばれないって」
33:

芳佳「サーニャちゃん!!おまたせ!!」
サーニャ「誰にも見られなかった?」
芳佳「うん!もう慣れちゃったよ!!」
サーニャ「ところで、これなんだと思う?」
芳佳「台とマイクかな?」
サーニャ「どうしてこんなものがここに……」
芳佳「さぁ……?」
サーニャ「あーあー。声は響かない……」
芳佳「わかった!!きっとミーナさんじゃない?」
サーニャ「中佐?」
芳佳「坂本さんが前に言ってたもん。ミーナさんは歌がうまいって!!」
サーニャ「それは知っているけど」
芳佳「ミーナさんが歌の練習してるんじゃないかな?」
サーニャ「そうなの……?」
34:
芳佳「折角だし、使わせてもらおっか?」
サーニャ「いいのかな?」
芳佳「借りるだけだし、今は私たち以外にいないでしょ?」
サーニャ「うん」
芳佳「やっぱり舞台の上に立つと気分も出る!」
サーニャ「それじゃあ……」
芳佳「歌うよ!」
シャーリー「(こっちだ。こっち)」
エーリカ「(おぉー。ホントにやってるよぉー)」
バルクホルン「(全く、こんなコソコソせずとも良いだろうに)」
美緒「(ならば出て行けばいい。サーニャは逃げるがな)」
バルクホルン「(そんな無粋な真似はしない)」キリッ
エーリカ「(素直に聴きたいっていえばいいのに)」
芳佳「きみのなかに、わたしをずっと?、ブックマークしてね?」フリフリ
サーニャ「笑いながらっ、頑張ったと、めちゃくちゃっ、ほめてねっ」
35:
食堂
エイラ「あれ?みんなは?」
ミーナ「エイラさん。今、みんなはハンガーにいると思うわ」
エイラ「どうして?」
ミーナ「そこまでは……」
エイラ「……中佐。きいてくれ」
ミーナ「どうしたの?」
エイラ「サーニャが……最近、つめたいんだ……」
ミーナ「え……?」
エイラ「サウナもはいってくれない。最近はずっと大浴場のほうを使っているみたいなんだ」
ミーナ「それは好みが変わっただけじゃ」
エイラ「それだけじゃない!!私の部屋に来る回数も激減した……。少し前まではほぼ毎日だったのに、今じゃ週二日だけだ……」
ミーナ「……」
エイラ「私の部屋で服を脱ぐこともあったのに!!もう私はサーニャの白い肌をみることは――」
ミーナ「エイラさん。あなた、サーニャさんと今まで何をしてきたのかしら?」
36:
ペリーヌ「全く。坂本少佐もどうしてあんな豆狸の歌なんかに……」
ミーナ「ペリーヌさん」
エイラ「歌?」
ペリーヌ「あ、エイラさん」
エイラ「おい。歌ってなんだ?」
ペリーヌ「え、えーと……」
エイラ「なんなんだよ、歌って!」
ペリーヌ「絶対に秘密ですからね?ハルトマン中尉から絶対に喋るなと言われているのですから」
エイラ「わかった」
ミーナ「あぁ……」
ペリーヌ「実は最近、宮藤さんとサーニャさんが歌の練習をしていると……」
エイラ「なんだと……?」
ペリーヌ「いいですか?本人には勿論、他の人にも……。ああ、でも坂本少佐とハルトマン中尉とバルクホルン大尉とシャーリー大尉とルッキーニさん……あら?知らない人って……」
エイラ「サァァァニャァァァ!!!!」ダダダダッ
ミーナ「エイラさん、待って!!」
37:
芳佳・サーニャ「「ぎゅっとっ、かさねたら?。夢へ?のきょ?は?んしゃ?。どこまででも翔べそうっ」」クルッ
芳佳・サーニャ「「眠れるっ、翼をっ、信じてっ」」ビシッ
芳佳「おぉ……これって……」
サーニャ「できた、かも」
芳佳「やったね!!サーニャちゃん!!」ギュッ
サーニャ「うんっ!」
バルクホルン「……」ガタッ
エーリカ「(どうどう、トゥルーデ)」
リーネ「(かわいい歌ですね)」
ルッキーニ「(にしし。明日は島中に聞こえるようにしよっと)」
シャーリー「(それがいいな)」
エイラ「サーニャ!!!」
美緒「!?」
サーニャ「エイラ……?」
芳佳「エイラさん?」
38:
エイラ「なんだよこれぇ!?」
サーニャ「もしかして……聴いてたの……?」
エイラ「酷いじゃないかぁ!!私に隠し事なんてぇ!!」
芳佳「あの!!これはね……!!」
エイラ「宮藤はだまってろよぉ!」
芳佳「ごめん!!」
エイラ「説明しろ!!どうして私にまで秘密にしてたんだ!?私のこと嫌いなのかぁ!?」
サーニャ「違うの。エイラには完成した歌を聴いてほしかったから、黙ってただけ」
エイラ「でも、宮藤と一緒に歌う必要はないんじゃないか?」
サーニャ「ずっと聴いているだけじゃ、退屈だと思って」
エイラ「宮藤じゃなくて私をさーそーえーよー!!」
サーニャ「……」
芳佳「エイラさん!!ちょっと待って!!」
エイラ「私だってサーニャと歌いたいのにぃ……」
サーニャ「わかった。これからは一緒に歌おう。歌も振り付けも完成したから」
39:
シャーリー「なんだ、できたのかぁー」
サーニャ「……!?」ビクッ
美緒「サーニャ。悪いがここ数日の特訓は皆知っている」
サーニャ「ど、どうして……」
ルッキーニ「それはねー芳佳がー」
バルクホルン「ルッキーニ少尉。口元に食べかすがついているぞ」グッ
ルッキーニ「むぅ!?!」
バルクホルン「綺麗にしておかなければな」ゴシゴシ
ルッキーニ「うにゃぁ……うぶぶぶ……!!」
シャーリー「あれだけ歌ってれば嫌でも耳にはいるって。ま、二人の歌声は嫌じゃないけどさ」
リーネ「ごめんね」
サーニャ「いえ……」
芳佳「あははは……。なんだか、恥ずかしい……」
エイラ「サーニャ、これからは隠し事なしだからな!な!」
サーニャ「うん。わかってる」
40:
エーリカ「あれだけ完成度が高いなら明日ぐらいコンサートを開いてもいいんじゃない?」
サーニャ「コンサート……?」
美緒「良い考えだ。特訓の成果を見せてもらうとしよう」
サーニャ「でも、伴奏が……」
バルクホルン「スコアはないのか?」
サーニャ「ありますけど」
エーリカ「なら、ミーナに演奏させちゃえばいいよ」
美緒「そうだな。それぐらいならできるだろう」
サーニャ「……」
芳佳「どうする?」
エイラ「嫌なら嫌って言っていいんだぞ?」
芳佳「私は、歌いたいな」
サーニャ「え?」
芳佳「サーニャちゃんと一緒に練習した歌だもん。歌いたいよ、やっぱり」
サーニャ「……そうだね。歌おう」
41:
翌日
シャーリー「ルッキーニ!!マイクチェックしてみてー」
ルッキーニ「こほんっ。――シャーリー、ボインっ。ペリーヌぺったんこぉー!!リーネはある意味、エースきゅうぅ!!美乳のバルクホル?ン!!!」
シャーリー「よぉーし!!完璧だ!!島中に聞こえる」
バルクホルン「ルッキーニ少尉ぃぃぃ!!!!なんだぁ!!!今の歌はぁぁぁ!!!!」
ペリーヌ「ルッキーニさん!!!貴女にだけは言われたくないと何度言ったらわかりますの!?」
リーネ「ある意味エース級ってなんですか!!」
ルッキーニ「芳佳もぺったんこ?!!」
シャーリー「おーい。マイクチェックはもういいぞー」
芳佳「ルッキーニちゃん、やめてぇぇぇ!!!」
サーニャ「……」
エイラ「ホントにやるのか?」
サーニャ「うん」
エイラ「サーニャがそういうなら……」
サーニャ「聴いててね。一生懸命、歌うから」
42:
ルッキーニ「レディースアンドジェントルメーン!!おー待たせしましたぁ!!本日のメインイベント!!!歌姫のぉ?とーじょーでーす!!」
芳佳「あはは……どうもどうも」
サーニャ「うぅ……やっぱり恥ずかしい……」モジモジ
シャーリー「お、なんだ。衣装まで凝ってるなぁ。あんなフリフリのズボン、持ってたのか」
リーネ「可愛い。あれ、ほしいなぁ」
美緒「サーニャはいいとして、宮藤があんなズボンを持っているとは意外だな」
ミーナ「そうね……。買って来たのかしら?」
エーリカ「誰かが作ったんじゃない?ねえ、トゥルーデ?」
バルクホルン「宮藤!!しっかり歌え!!」
エイラ「サーニャ!!!サーニャ!!!」
ペリーヌ「はぁ……くだらないですわ……」
ルッキーニ「おしずかにぃ?!!ではぁ!!おねがいします!!」
芳佳「宮藤芳佳!!」
サーニャ「アレクサンドラ・ウラディミローヴナ・リトヴャクです」
芳佳「歌います!!来てください!!ブックマークア・ヘッド!!」
43:
ミーナ「伴奏はまかせて」
サーニャ「はい」
芳佳「――きみのなかにっ わたしをずっとっ」
サーニャ「ブックマーク、してねー」
芳佳「わらいながらっ、頑張ったとっ」
サーニャ「めちゃ、くちゃ、ほめてねっ」
ルッキーニ「ひゅーひゅー!!」
シャーリー「あはははは。これはいい。可愛いぞぉー」
バルクホルン「……」
エーリカ「トゥルーデ、鼻血でてない?」
バルクホルン「ででにゃい」
エイラ「サーニャ!!サーニャ!!!」
美緒「おい!!静かにしろ!!聞こえないだろ!!」
ペリーヌ「もう……坂本少佐まで……」
芳佳・サーニャ「「うんめいせぇ?ん」」クルッ
45:
ウー!!ウー!!
美緒「……!!」
ミーナ「敵襲!?」
美緒「総員、出撃準備!!」
ルッキーニ「えぇー!!まだ2番あるのにぃー!!」
シャーリー「文句言うな。ネウロイにここを落とされたら永遠に聞けなくなるぞ」
ルッキーニ「そうだけどぉ」
エーリカ「さくっと倒してコンサートの続きにしよー!!」
リーネ「そうですね!!」
エイラ「許さないぞ……ネウロイ……!!」
バルクホルン「消し炭にしてやる」
美緒「バルクホルンとエイラは気合が入ってるな!!いいことだ!!宮藤、サーニャ!!そのままで出られるな!?」
芳佳「はい!!いけます!!」
サーニャ「やれます」
美緒「よし!!総員、続けぇ!!」
46:
空中
バルクホルン「おのれぇぇぇぇ!!!!砕けろぉぉぉ!!!!」スドドドドド!!!
エイラ「サーニャの歌をきかせろぉぉぉ!!!!」ズガガガガ!!!
芳佳「バルクホルンさん、すごーい」
リーネ「なんだか、いつも以上にキレがあるというか……」
エーリカ「これはまけてられないね!!!」
ペリーヌ「わたくしも!!」
ミーナ「坂本少佐!!コアを!!」
美緒「任せろ。バルクホルン、エイラ!!私が後ろにつく!!波状攻撃でトドメをさすぞ!!!」
バルクホルン「了解!!」
エイラ「サーニャの歌を邪魔すんなぁー!!!」
サーニャ「エイラ……」
芳佳「サーニャちゃんの歌を一番楽しみにしてたのは、やっぱりエイラさんみたいだね」
サーニャ「うん……」
美緒「宮藤の歌を途切れさせた罪を重いぞぉぉぉ!!!!であぁぁぁぁ!!!!」ザンッ
48:
基地 滑走路
シャーリー「はぁー。終わったー。みんなー、おつかれー」
ルッキーニ「よっしか!サーニャぁ!ほら、ステージが二人をまってるよぉ」グイッ
芳佳「ちょっと、ちょっとまって……少し休ませて……」
サーニャ「つかれた……」フラッ
芳佳「わぁぁ!!サーニャちゃん、大丈夫!?」
サーニャ「うん……」
エイラ「ほら、みろ!!休まないからだぞっ」
サーニャ「ごめんね」
エイラ「いや、いいんだけど」
ルッキーニ「ねえねえ!コンサートぉ」
バルクホルン「残念だが、延期だな。宮藤とサーニャに無理はさせられない」
ルッキーニ「えぇぇー!?」
美緒「宮藤のズボン……。悪くないな……。あれを制服にできないものか」
ミーナ「美緒、ちょっといいかしら?」
49:
お姉ちゃん必死すぎてちょっと怖い
50:
ミーナの部屋
美緒「結果は?」
ミーナ「まだなんとも……。でも、可能性は高いわね」
美緒「サーニャの歌に釣られてネウロイが……な」
ミーナ「勿論、偶然かもしれないわ。今回だって予報よりも1日早いだけだったし」
美緒「しかし、無視はできない」
ミーナ「そう」
美緒「……危険だが、試してみるか?」
ミーナ「美緒……」
美緒「やるなら明後日だな」
ミーナ「……」
美緒「心配するな。その代わり明日は1日休暇を全員に与える」
ミーナ「そうね……」
美緒「それに決めなくてはいけないこともある」
ミーナ「それじゃあ、ブリーフィングルームにみんなを集めましょうか」
51:
ブリーフィングルーム
美緒「えー、おほん。宮藤、サーニャのコンサートは中断という形になってしまったが、それでも島中に歌が流れたことで既に様々な声が届いている」
ミーナ「はい。赤城の乗組員からも「宮藤軍曹マジ萌え」「宮藤軍曹マジ天使」などの不要で不快な声もありました」
エーリカ「その声の主はもうこの世にいないね」
シャーリー「あはは。怖いこというなって」
エイラ「サーニャにはなかったのか」
ペリーヌ「サーニャさんの声はか細くて、よく聞こえませんでしたし……」
エイラ「なんだとぉー!!文句があるのかぁ!!」
ペリーヌ「客観的な意見を述べているだけです」
エイラ「ツンツン眼鏡めぇ……」
サーニャ「すぅ……すぅ……」
美緒「そしてこんな意見もあった。「是非とも、ウィッチーズ全員の歌声が聞いてみたい」とな」
ミーナ「これは杉田淳三郎大佐からの要望ね」
芳佳「赤城の……」
美緒「でだ、折角だからみんなでサーニャの歌を歌ってみようと思うのだが、どうだ?」
52:
バルクホルン「まってくれ。そんなことをしている余裕はないはずだ」
ミーナ「わかっています。これは興味のある人だけが参加してください」
バルクホルン「なんだ。そういうことなら構わない」
美緒「二人一組を作り歌ってもらう。好きな者と組んでいい」
バルクホルン「……!」ガタッ
ペリーヌ「まぁ!!あの!!坂本少佐ぁ!!」
美緒「どうした?」
ペリーヌ「是非ともわたくしと……歌を……」モジモジ
美緒「うーん……。宮藤は?」
芳佳「え?私は勿論サーニャちゃんと……」
ミーナ「ごめんなさい、宮藤さん。できるだけ違う人を選んでくれるかしら?」
芳佳「どうしてですか?」
ミーナ「色んな人との組み合わせがあったほうがいいと思うから。ダメかしら?」
芳佳「そういうことなら……」
ミーナ「ありがとう」
53:
エーリカ「みーやふじ!私と歌わない?」
芳佳「あ、はい」
ルッキーニ「芳佳はわたしとなのぉー」グイッ
芳佳「ちょっと、ルッキーニちゃん」
エーリカ「いま、はいっていったぁー」グイッ
芳佳「いたたたっ」
シャーリー「宮藤はあたしとだよなぁ?」ギュゥゥ
芳佳「むぐぅ……!!」
芳佳(胸が顔に……息が……!!)
リーネ「わ、わたしも芳佳ちゃんとがいいー!!」ギュゥゥ
芳佳「もがぁ……もが……」
ミーナ「あらあら。宮藤さん、モテモテね」
エイラ「サーニャ。私はサーニャと歌うからな」
サーニャ「すぅ……すぅ……」
美緒「おーい。宮藤は一人しかいないんだ。公平にくじかなにかで決めろ」
54:
バルクホルン「それがいい。そんなこともあろうかと、作っておいた。さ、一本引け。先端が赤いものが当たりだ」
エーリカ「えーと、どれにしようかなぁ」
ルッキーニ「大尉、当たりどれぇ?」
バルクホルン「私に訊くな」
シャーリー「当たり、あるんだろうな?」
バルクホルン「当たり前だ」
美緒「どれどれ……魔眼で調べるか」
バルクホルン「坂本少佐!!それは不公平ではないだろうか!!」
ペリーヌ「少佐……なぜくじを……?」
美緒「一応だ。一応」
リーネ(あたりますようにあたりますように……)
ルッキーニ「せーのっ!!――あーん、はじゅれー」
エーリカ「あーあ」
バルクホルン「うむ。よし。私だな」
美緒「ちょっとまて、バルクホルン。お前は参加しないと言ってたではないか」
55:
バルクホルン「証拠がない」
シャーリー「つーか、なんで辺りが都合よくバルクホルンのところにいくんだ?」
ルッキーニ「あーやーしーいー」
エーリカ「トゥルーデがズルしたー」
ルッキーニ「ズルだー!!」
エーリカ「ズルだー」
バルクホルン「ええい!!憶測だけでそんなこというな!!!」
シャーリー「お前、そこまでして宮藤と歌いたいのか?」
バルクホルン「だから……!!」
芳佳「あ、あの!」
リーネ「芳佳ちゃん?」
芳佳「私、みんなと歌います。それなら喧嘩しなくてもいいですよね」
リーネ「でも、疲れちゃうんじゃ……」
芳佳「私なら大丈夫っ!!坂本さんに鍛えられてるし!!」
バルクホルン「宮藤……」
59:
シャーリー「うーん……。ルッキーニ、あたしと歌うか?」
ルッキーニ「そうしようかなぁ。芳佳、疲れちゃいそうだし」
芳佳「シャーリーさん……」
エーリカ「どうする?トゥルーデ?」
バルクホルン「……宮藤だけに負担をかけさせるわけにもいかないか。ハルトマン、私と組むぞ」
エーリカ「はいでありますっ」
芳佳「……」
芳佳(これはこれで寂しい……)
美緒「よし。なら、宮藤は私とだな」グイッ
芳佳「え?あ、はい。おねがいします」
ペリーヌ「えぇぇぇ……!!!」ガクッ
リーネ「……」オロオロ
ペリーヌ「リーネさん……組みますわよ……」
リーネ「はい。お願いします」
ミーナ「決まったみたいね。それじゃあ、各自練習しておいて。明日の夕方ぐらいに練習の成果をここで披露してもらうから」
60:
滑走路
美緒「では!!宮藤!!」
芳佳「はい!!」
美緒「歌の練習をおこなう!!準備はいいか!!!」
芳佳「はいっ!!!」
バルクホルン「……」
エーリカ「恨めしそうに少佐を見ない」
バルクホルン「しかしだな……」
シャーリー「そんなに歌いたいなら、頼みに行けばいいんじゃないか?宮藤なら喜んで歌ってくれるぞ」
バルクホルン「もう決まったことだ!!軍人に二言はない!!」
エーリカ「無理しちゃってー」
ペリーヌ「きーみとならー!!」
リーネ「きーみとならー」
エイラ「あ、一番星だ」
サーニャ「ホントだ」
61:
大浴場
芳佳「……」ブクブク
リーネ「芳佳ちゃん、大丈夫?」
芳佳「うん……」
バルクホルン「だらしがないな」
ルッキーニ「きみのなかにぃ?」
シャーリー「半音あげるなって」
エーリカ「でもさぁ、みんなで歌うのはいいんだけど、張り合いがないよね」
美緒「どういうことだ?」
エーリカ「やっぱり目標があったほうがいいと思わない?」
シャーリー「そうだなぁー。折角歌うんだから、誰かに評価してほしいよ」
ペリーヌ「そんなのどうしますの?」
美緒「うーん。歌を録音して、その録音したものを売れば分かりやすいな」
ルッキーニ「おぉぉ!!売り上げ勝負だ!!」
芳佳「えぇ!?勝負するんですかぁ!?」
62:
空中
エイラ「サーニャ、無理するなよ」
サーニャ「大丈夫。しっかり休んだから」
エイラ「ならいいんだけどさ」
サーニャ「きみのなかに?わたしをずっと?」
エイラ「ブ、ブックマークしてねー」
サーニャ「ふふ……。楽しいね」
エイラ「そうだな。折角だし、練習しながら哨戒するか?」
サーニャ「いいのかな……」
エイラ「誰も聴いちゃいないって」
サーニャ「……うん」
エイラ「なら、私からな。――笑いながら頑張ったと」
サーニャ「めちゃ、くちゃ、ほめてねっ」
エイラ「……サーニャ、その『ほめてねっ』のときにウインクしてみてくれ」
サーニャ「えっと……。ほめてねっ」キラッ
63:
ミーナの部屋
ミーナ「売り上げって……」
美緒「悪い考えではない。予算も削減されたばかりだからな」
ミーナ「上層部がそんなお小遣い稼ぎを許してくれるかしらね」
美緒「構わないだろう。現状士気も上がっているし、歌を聴きたいという要望が多いのもまた事実だ」
ミーナ「……美緒、まさか」
美緒「録音したものでもネウロイを惹きつける効果があるのなら、世界中で活用できる」
ミーナ「そのこと、みんなには?」
美緒「完成してから伝えようと思っている。今は皆が盛り上がってる。水を差すのは気が引けてな」
ミーナ「それならいいのだけど」
美緒「ミーナは歌わなくていいのか?」
ミーナ「私は……別に……」
美緒「組んでやろうか?」
ミーナ「貴女には宮藤さんがいるでしょう?」
美緒「あっはっはっは。なぁに。宮藤だって、誰かと浮気する可能性は高い。未だに全員から狙われているようだしな」
66:
宮藤の部屋
芳佳「どきっとするっ、気がついたら?崖っぷち、ギリギリだったっ」
コンコン
芳佳「はぁーい」
バルクホルン「もうすぐ消灯時間だぞ。明日は休みだが、いつまでも起きているのは感心しないな」
芳佳「すいません。まだちょっと練習したいなと思って」
バルクホルン「そうか……」
芳佳「すぐに寝ますね」
バルクホルン「いや。まだ消灯までは時間に余裕がある。練習するといい」
芳佳「はいっ」
バルクホルン「……」
芳佳「えーと。ぽわっとして、ごめんごめんっ」
バルクホルン「テレっ、パシ?ありがとうっ」
芳佳「え?」
バルクホルン「なんだ?」
67:
コンコン
芳佳「はぁーい」
リーネ「芳佳ちゃん、歌のパートでちょっとわからないところ……が……」
バルクホルン「……」
リーネ「……おじゃましました」
芳佳「リーネちゃん、はいってはいって」
リーネ「で、でも……」
バルクホルン「気にするな。私も宮藤から指導を受けていたところだ」
芳佳「そ、そんな!!」
リーネ「やっぱりずっとサーニャちゃんと練習してきただけあって、上手だもんね」
芳佳「そんなことないよぉ」
バルクホルン「いや、あるぞ。自信を持つといい」
コンコン
芳佳「は、はい?」
シャーリー「いやぁー。ちょっと練習につきあってくれないか、宮藤。どうにもあたしとルッキーニだけじゃ、あっているのか分からない箇所が……。って、なんでリーネとバルクホルンが」
68:
廊下
ペリーヌ『あー!!あ?!!あぁぁぁ?!!!』
ミーナ「ペリーヌさーん。消灯時間ですよー」
ペリーヌ『中佐!?も、申し訳ありません!!』
ミーナ「明日が非番でも夜更かしはダメですよ」
ペリーヌ『は、はい!!』
ミーナ「……よし」
『次、あたしとな!!』
『おい。順番でいえば私のはずだ』
『えぇー?トゥルーデはさっきやったじゃーん』
『あの……もう一度、私と……』
『みなさん!!仲良くしてください!!』
ミーナ「……宮藤さん?」
芳佳『あ、は、はい!!』
ミーナ「賑やかね。誰かのパーティーかしら?」
69:
モテモテだな
71:
翌日 ブリーフィングルーム
バルクホルン「どんな時もっ全部本気っ、ギャップにも驚かないでっ」
エーリカ「たった今を進まなくちゃ、みら、いも、ないでしょっ」キラッ
芳佳「すてき……」
リーネ「うん」
シャーリー「バルクホルンもウインクしたら面白いのにな」
美緒「……」
サーニャ「すぅ……すぅ……」
エイラ「ふん。サーニャのほうが何倍も上手いな」
バルクホルン・エーリカ「「――眠れるっ、翼をっ、信じて」」
芳佳「わー!!すごーい!!」パチパチ
バルクホルン「宮藤、どうだった?私の歌は」
芳佳「力強い歌声で、また歌の印象が変わってて、良かったです!!」
バルクホルン「宮藤の指導がよかったんだな」
エーリカ「その分、怒られたけどねー」
72:
芳佳「ぽわっとして、ごめんごめん」
美緒「てれっぱしーっありがとっ」キラッ
ミーナ「うーん……」
ルッキーニ「何難しい顔してるのー?」
シャーリー「自分の歌いたいってことしてますねー」
ミーナ「シャーリーさん。からかわないで」
シャーリー「気になることでも?」
ミーナ「え、ええ……」
芳佳・美緒「「眠れる!つばさをっ!!信じてっ!!」」キリッ
バルクホルン「うん……うん……」ホッコリ
エーリカ「宮藤、さっすがぁ!!」
ペリーヌ「坂本少佐!!歌姫そのものでしたわ!!」
美緒「そうか。そういわれると歌ってよかったと思えるな」
ミーナ「これで全員ね。録音も完了したし。みんな、お疲れ様。とてもよかったわ」
エイラ「で、このあとどうするんだ?」
73:
ミーナ「みんなの歌を録音したものを1度、島全域に流します」
美緒「それで気に入った歌があれば買いに来るようにと告知する」
バルクホルン「気に入った歌って、全部同じ歌詞だが」
美緒「宮藤が言っていただろ。歌い手によって歌の印象が変わるものだ」
エーリカ「つまり、好きな歌声で選べってことか」
ミーナ「そうなるわね」
ルッキーニ「誰が一番売れるかなぁ?」
リーネ「うーん。やっぱり、サーニャちゃんとエイラさんかなぁ……?」
シャーリー「坂本少佐と豆だ……宮藤さんペアに決まってますわ」
バルクホルン「同感だ」
エーリカ「トゥルーデ、珍しく手元に大金置いてたけど、あれ、なんのため?」
バルクホルン「なんのことか分からないな」
芳佳「なんだか、ドキドキするね」
サーニャ「うん。でも、こうやって色んな人に歌って聴いてくれるだけで嬉しい」
芳佳「そっか。そうだよね。サーニャちゃんの歌が広まるほうが嬉しいね」
75:
夜 滑走路
きみのなかに?わたしをずっと?ブックマークしてね?
サーニャ「……」
芳佳「サーニャちゃーん!!」
サーニャ「どうかした?」
芳佳「どうしてここにいるの?みんな食堂で聞いてるよ?」
サーニャ「うん。外のほうが綺麗に聞こえるから」
芳佳「そうなんだ」
サーニャ「……ごめんなさい。戻るわ」
芳佳「いいよ。私もここで聴きたい。サーニャちゃんの歌」
サーニャ「……」
芳佳「ダメ、かな?」
サーニャ「ううん。一緒にきこ」
芳佳「ありがとう!」
うんめいせ?ん ぎゅっと、かさねたらぁ?
76:
芳佳「ホントにいい歌だよね。こういうのってどうやって思いつくの?」
サーニャ「わからない」
芳佳「え?どうして?」
サーニャ「寝て起きたときにふっと歌詞やメロディーが頭の中に出てきて……」
芳佳「すごーい!!天才みたーい!!」
サーニャ「ううん。きっと、偶然だから。もう作れないと思う」
芳佳「そんなことないよ!!」
サーニャ「そうかな」
芳佳「これだけの良い歌が偶然で作れるわけないもん!!」
サーニャ「だといいな」
芳佳「もっといっぱいつくって、家族の人と再会したときに聞かせて上げよう。それでびっくりさせよう!」
芳佳「全世界で歌われている歌は実は私が作ってたんだよーって。絶対に驚くよ、うん」
サーニャ「ふふっ」
芳佳「なに?変なこといったかな?」
サーニャ「違うの。なんだが、そういわれるとそうしたくなるなって……。不思議な気持ち」
77:
ミーナの部屋
美緒「ネウロイは発見されずだな」
ミーナ「そう……」
美緒「サーニャの歌はハズレか……。歌は関係なかったか」
ミーナ「ねえ、もしかして宮藤さん、という可能性はないかしら?」
美緒「まて。以前のネウロイは明らかにサーニャを真似ていた。宮藤は関係ないだろ。それに今日だって宮藤の歌は流れていた。素敵だっただろ」
ミーナ「そうだけど」
美緒「どうしても気になるか」
ミーナ「ええ、そうね。歌に何らかの反応があったのは間違いないと思うの」
美緒「宮藤か……」
ミーナ「考えられないかしら?」
美緒「お前がそこまでいうなら、宮藤にやってもらうか」
ミーナ「ええ。ただし、このことは」
美緒「……あまり宮藤に隠し事はしたくないがな。今回は致し方あるまい」
ミーナ「お願いね」
79:
翌日 滑走路
ルッキーニ「歌姫たちの歌声ありまーす!!」
美緒「ルッキーニが売り子とはな」
ルッキーニ「にひひ。あたしからやるって立候補したんだ!!」
美緒「ほう?」
ルッキーニ「目の前で誰の歌が売れて行くのか見てみたかったしぃ!」
美緒「で、どうなんだ?」
ルッキーニ「あっち」
美緒「ん?」
「宮藤軍曹のを!!!」
「ルッキーニ少尉のください!!」
「宮藤ヴァージョンをあるだけもらう!!!」
「坂本少佐のをあるだけくださいな!!!」
美緒「盛況だな。いいことだ」
ルッキーニ「でっしょ?この分だと、芳佳と少佐の歌が断トツ一位かな?」
80:
廊下
リーネ「芳佳ちゃん!!はやくはやく!!」
芳佳「ま、まってぇぇ、リーネちゃーん」
美緒「宮藤、何をしている?」
リーネ「あ、坂本少佐」
芳佳「あのハルトマンさんが、売るならサインと握手も一緒にしたほうがいいって……」
美緒「……そんなことはしなくていい」
リーネ「いいんですか?」
美緒「不必要に男性隊員と接触すればミーナ中佐が良い顔をしないからな」
芳佳「そういえば……」
美緒「それよりも宮藤、お前に頼みたいことがある」
芳佳「は、はい。なんでしょうか」
美緒「隊の各人とペアを組み、歌ってくれ」
芳佳「はいっ!!え?」
リーネ「全員って……全員ですか?」
82:
芳佳「でも、どうして……」
美緒「……」
芳佳「どうしてなんですか?みんなは歌いました。それでいいじゃないですか」
美緒「とにかく頼む」
芳佳「坂本さん。何か隠してますか?」
美緒「何故だ?」
芳佳「何となくです」
美緒「そうか。ならば、隠していないと言っておくか」
芳佳「坂本さん。私にできることならなんでもします。だから、理由を言ってください」
リーネ「芳佳ちゃん……」
美緒「理由を言えば、お前は歌わないかもしれない」
芳佳「……」
美緒「だが、疑ったままでもお前は歌わないかもしれないな」
芳佳「はい。言ってくれないなら歌いません!!」
美緒「……分かった。話そう」
83:
リーネ「歌に惹かれてネウロイが現れる?」
芳佳「そうなんですか?」
美緒「ああ。もしこの仮説が立証できれば、我々人類は好きな場所、時間にネウロイを誘き寄せることができる」
リーネ「それでサーニャちゃんの歌を……」
美緒「ああ。しかし、サーニャの歌と歌声では結果がでなかった。そこでだ、宮藤。お前の声ならどうだろうと中佐が言った」
リーネ「すごい、すごいよ、芳佳ちゃん。これでネウロイとの戦いも俄然有利になるね
美緒「どうだ?」
芳佳「……坂本さん。サーニャちゃんはそんなことのために歌を作ったわけじゃないですし、私も戦争のために歌の練習をしたわけじゃないです」
美緒「やはり、嫌か」
芳佳「嫌です」
リーネ「芳佳ちゃん、どうして?」
芳佳「ごめん、リーネちゃん。ネウロイに勝てやすくなるのはわかるけど、それでも戦争のためにサーニャちゃんの歌が利用されるのは……」
美緒「宮藤。お前が歌うだけで守れるものが広がることも事実だ」
芳佳「……」
美緒「考えてくれ」
84:
おぼえていーますかー
86:
食堂
ルッキーニ「ではぁぁ!!結果発表ー!!」
シャーリー「誰が一番売れたんだ?」
ルッキーニ「えっと。まず、第5位!!ペリーヌ、リーネペア!!」
リーネ「あぅ……」
ペリーヌ「ま、まぁ、想定内ですわっ。ほーっほっほっほっほ!!」
ルッキーニ「第4位!!バルクホルン大尉、ハルトマン中尉ペア!!」
エーリカ「ま、妥当な順位かな」
バルクホン「ふん」
ルッキーニ「第3位!!エイラ、サーニャペア!!!」
エイラ「くそぉ!買い占めたのにぃ!!」
ルッキーニ「第2位!!ルッキーニ、シャーリーペア!!!」
シャーリー「お。意外だなぁ」
ルッキーニ「第1位はぁぁ……!!芳佳、坂本少佐ペア!!」
芳佳「……」
87:
ルッキーニ「ちなみに、第6位のミーナの歌は一つもうれなかったってー」
バルクホルン「ミーナ!?歌っていたのか!?」
シャーリー「どうした、宮藤?元気ないな。一位だぞ?うりうり」
芳佳「は、はい……」
エーリカ「組織票での一位じゃ嬉しくないよねぇ?」
バルクホルン「ハルトマン。組織票とはなんのことだ?」
エーリカ「あれ?手元にあった大金はどうしたの?どこかで使ったの?」
バルクホルン「なんのことかさっぱりだな」
ペリーヌ「ぬぅぅ……。坂本少佐が一位なのはいいですけど、あの豆狸まで一位なのは許せませんわ」
シャーリー「なんにしても、売り上げ一位の宮藤と少佐の歌は他の基地や戦艦でも流すんだろ。ちょっとしたものだな」
バルクホルン「そのうち、音楽の教材に載るかも知れないな」
エーリカ「それはないでしょー」
芳佳「……すいません。失礼します」
リーネ「あ、芳佳ちゃん!?」
バルクホルン「どうしたんだ……」
88:
滑走路
芳佳「はぁ……」
サーニャ「……」
芳佳「はぁ……私、どうしたらいいのかなぁ……」
サーニャ「きみのなかに、わたしをずっと、ブックマークしてねー」
芳佳「わぁ!?サ、サーニャちゃん!!いつからいたの!?」
サーニャ「今、きたところ」
芳佳「びっくりしたぁ……。声かけてよぉ」
サーニャ「歌で驚かせたほうがいいって言われたから」
芳佳「それは意味が違うよ!!」
エイラ「(いた……。また宮藤と一緒かぁ……)」
芳佳「サーニャちゃんは聞いた?」
サーニャ「何を?」
芳佳「サーニャちゃんが作った歌でネウロイを好きな時間、好きな場所に誘導できるって話」
サーニャ「……うん」
90:
芳佳「ネウロイは人類の敵。倒すべき相手。それはよくわかってる」
サーニャ「……」
芳佳「だけど、だけどね。私はサーニャちゃんの歌をこんなことに……」
サーニャ「芳佳ちゃん」ギュッ
芳佳「サーニャ……ちゃん……」
エイラ「(あー!!なにやってんだー!!)」
サーニャ「ありがとう。私の歌なのに、真剣に悩んでくれて」
芳佳「当然だよ!!だって、サーニャちゃんの歌は人を笑顔にするためにあるんだよ?戦争で使うなんて……!!」
サーニャ「私の歌でネウロイを倒せるなら、私はそれでいい」
芳佳「でも!!」
サーニャ「それで笑顔になれる人が多くいるから」
芳佳「サーニャちゃん……」
サーニャ「だから、使って。ううん。歌って欲しい。宮藤さんにだからこそ、歌を託すことができるの」
芳佳「……うん」
サーニャ「がんばって」
91:
ブリーフィングルーム
美緒「えー。急に召集をかけてすまない。今から全員でとあることをやってもらう」
バルクホルン「勿体ぶらずに教えて欲しい」
美緒「そうだな。これから夜の空に出る。そこで全員に歌ってもらう」
シャーリー「歌うって?」
ミーナ「実験……と言ってしまうと聞こえは悪いけれど、どうしても試してみたいことがあります」
美緒「これが成功すれば、現在の勢力図が一気に覆る可能性も秘めている」
エーリカ「歌うとネウロイがやられちゃうとか?」
美緒「それに近いかもしれない」
リーネ「……」
ペリーヌ「そんなこと……信じられませんわ……」
美緒「私も100%信じているわけではない。だが、可能性にかけてみたいんだ」
芳佳「あの!!みなさん!!どうか私に力を貸してください!!」
バルクホルン「いいだろう」
シャーリー「おいおい。もっと考えてからにしたほうがいいんじゃないか?あたしも賛成だけど」
95:
ルッキーニ「夜の空でコンサートだぁ!!たのしそー!!」キャッキャッ
バルクホルン「遊びにいくのではないのだぞ。ネウロイとの戦闘もあり得る危険度の高い任務だ」
ルッキーニ「わかってるよぉ」
エーリカ「で、全員で合唱するわけ?」
美緒「いや。全員で歌う必要はない。宮藤ともう一人が歌っていればそれでいい」
ミーナ「宮藤さんとパートナーは隊の最後尾へ。パートナーは歌が終わると同時に交代していきます」
美緒「他の者は宮藤たちの盾になるように陣形をつくる。いいな」
シャーリー「歌に釣られてやってきたネウロイを波状攻撃してやるんですね?」
美緒「そういう形をとる。いつ現れるかは分からん。常に警戒を怠るな」
エーリカ「でも、本当に歌に誘われて出てくるかなぁ」
ミーナ「失敗しても構わないと考えています」
バルクホルン「神経をすり減らすコンサートになりそうだな」
エイラ「なんだか、疲れそうだな」
サーニャ「そうだね……」
エイラ「……」
96:
ハンガー
美緒「出撃は15分後だ。焦らなくていい。しっかり準備をしろ」
バルクホルン「こちらから仕掛けるのは初めてだな」
エーリカ「腕と喉がなるねぇー」
シャーリー「考えてみれば、これでさ宮藤と歌ってネウロイが現れたら、各地に引っ張りだこになるんじゃないか?」
リーネ「え?」
シャーリー「だって、ネウロイを誘い出せるんだ。みんな欲しがるだろ、そんな人材」
エーリカ「確かにねー。もう宮藤と一生のバディになるね」
バルクホルン「……きみのなかに?。んんっ!!きみのなかに?。ちがうか……」
ペリーヌ「はぁ……その役目が坂本少佐とわたくしならよかったですのに……」
リーネ「……一生、ペアになるかもしれないんだね、わたしたち」
芳佳「あはは。ドキドキするね」
リーネ「うん!」
サーニャ「……」
エイラ「サーニャ、ちょっと」
97:
サーニャ「なに?」
エイラ「いいのか?お前の歌を軍事利用されるんだぞ」
サーニャ「いいよ」
エイラ「でも」
サーニャ「大好きな人に歌ってもらえるなら、私は満足だから」
エイラ「それって……宮藤か?」
サーニャ「うん」
エイラ「……」
サーニャ「みんなに歌ってほしいから」
エイラ「サーニャ……」
サーニャ「私、みんなが大好きだから」
エイラ「その中で一番好きなのはだれだよー」
サーニャ「それは――」
美緒「よし!!そろそろ出撃する!!全員、続け!!」
芳佳「はい!!!」
98:
空中
美緒「このあたりでいいだろう。宮藤、リーネ。頼むぞ」
芳佳「はい」
リーネ「がんばります!」
ミーナ「では、作戦を開始します」
芳佳「いくよ、リーネちゃん」
リーネ「芳佳ちゃん。手、握っててもいい?」
芳佳「うん」ギュッ
リーネ「ありがとう。こうしてると安心する……」
芳佳「そうだね。私もだよぉ」
リーネ「芳佳ちゃん……えへへ……」
芳佳「えへへ」
美緒「何をしている!!!早く歌え!!」
芳佳「は、はい!!!」
リーネ「ごめんなさい!!」
99:
ミーナ「――次、バルクホルン大尉。お願いします」
バルクホルン「了解した」ブゥゥゥン
エーリカ「私じゃだめだったかぁ」
美緒(やはり歌では来ないか……)
ミーナ(それともサーニャさんと宮藤さんが……?)
芳佳「はぁ……はぁ……」
バルクホルン「宮藤、辛そうだな」
芳佳「はい。もう3回も熱唱してますから」
バルクホルン「ほら、水を飲め」
芳佳「すいません……」ゴクッゴクッ
バルクホルン「宮藤……」ギュッ
芳佳「バ、バルクホルンさん!?」
バルクホルン「手を握ったまま歌えばきっとネウロイは来る。そんな気がする」
芳佳「は、はい!!そうですね!!」
バルクホルン「よし!!歌うぞ!!!絶対にネウロイをここに呼ぶんだ!!!私たちでっ!!!」
101:
ミーナ「――お疲れ様。次……サーニャさん。お願いします」
サーニャ「わかりました」ブゥゥゥン
バルクホルン「……」
エーリカ「よしよし」
シャーリー「なんか、相当自信があっただけに、失敗の反動がすごいなぁー。だいじょうぶかぁー?」
ペリーヌ「な、なんだか、大尉の背中が一回り小さく見えますわ……」
美緒「(分かる。分かるぞ、バルクホルン)」
リーネ「……」
ルッキーニ「リーネもおちこんでるよー」
シャーリー「おいおい。お前たち、宮藤のこと好きすぎだろぉ。あたしも好きだけどさー」
エイラ「まったくダメだな」
芳佳「ふぅ……。サーニャちゃん」
サーニャ「大丈夫?」
芳佳「うん。平気だよ。サーニャちゃんと歌うのなんだか久しぶりな気がする」
サーニャ「そうだね。他の人とたくさん歌ってたから……」
102:
ミーナ「では、開始します」
芳佳「きみのなかに?わたしをずっと?ブックマークしてね?」
サーニャ「笑いながら?がんばったと?めちゃ、くちゃ、ほめてねっ」キラッ
芳佳「どんな時もっ 全部本気っ ギャップに?も驚かないでっ」
サーニャ「たった今をっ 進まなくちゃっ みら、いも、ないでしょ?」
芳佳「タタカイの意味、アタタカイならっ!」
サーニャ「戦いぬく?よっ 戦いなどないっ」
芳佳・サーニャ「「わたしたちの?せ?かいのっ ために?!」」キラッ
バルクホルン「……」
エーリカ「トゥルーデ、前見なきゃ」
バルクホルン「見ている」
シャーリー「おーい。誰か、バルクホルンを正気に戻せー」
ミーナ「坂本少佐?どうかしら」
美緒「まて……きた。ネウロイがきたぞ!!」
芳佳「……!」
103:
ネウロイ「……」ゴォォォ!!!
美緒「構えろ!!」
ルッキーニ「芳佳とサーニャの歌かぁ!!」
シャーリー「なるほどね!!この前のネウロイもそうだったわけだ!!」
ミーナ「宮藤さん、サーニャさんは歌い続けて」
芳佳「で、でも」
ミーナ「お願い」
芳佳「は、はい」
サーニャ「大丈夫。私がいるから」ギュッ
芳佳「……うんっ」
芳佳・サーニャ「「きみとなら?きっとっ できること?!」」
芳佳・サーニャ「「ココロ?とココロでっ 手をっ 結んで?!!」」
芳佳・サーニャ「「うんめいせ?ん」」クルッ
芳佳・サーニャ「「ぎゅっとっ かさねたら?」」
リーネ「――目標補足!!撃ちます!!」
105:
美緒「まて!!まだ来るぞ!!」
シャーリー「なんだって!?」
ミーナ「まって。数を確認するわ」
美緒「私が視認できるだけでも5体……いや、7体か」
リーネ「あの!!どうしたら……!!」
エーリカ「ペリーヌ。出番じゃないの?」
ペリーヌ「そのようですわね」
美緒「ペリーヌは私の後ろにつけ!!」
ペリーヌ「了解!!」
ルッキーニ「あれ!?上からもくるよ!!」
ミーナ「上!?」
ネウロイ「……」ゴォォォ!!
美緒「これは……!!」
バルクホルン「クロステルマン中尉!!頼む!!数が多すぎる!!」
ペリーヌ「は、はい!!――トネール!!!」バリバリバリバリ!!!
106:
芳佳「きゅっと結ぶ 口もとから?ホホエミが消えた?」
サーニャ「ちょっとわたしっ フライングぎみっ 前しか見てない?」
芳佳「どきっとするっ 気がついたら崖っぷち ギリギリだったっ」
サーニャ「ぽわっとしてっ ごめんごめんっ テレ、パシーありがと?」キラッ
ネウロイ「……」ゴォォォ!!!
エーリカ「なにこれー!!撃墜数稼ぎ放題にもほどがあるってー!!」
バルクホルン「中佐!!敵の数は!?」
ミーナ「だめ!!際限なく増えていく!!」
リーネ「そ、それって!!」
エイラ「おいおい。なんでだよ」
ペリーヌ「なんでって……」
美緒「――宮藤!!歌うのをやめろ!!」
芳佳「え?あ、はい!!」
サーニャ「あ、ネウロイいっぱい……」
リーネ「芳佳ちゃん!!気をつけて!!」
107:
ネウロイ「……」ゴォォン!!!
芳佳「きゃぁ!!」ギィィン!!!
サーニャ「なにこれ……」
シャーリー「こりゃ、とんでもないコンサートになったもんだー!!」
ルッキーニ「キリがなぁーい!!!」スガガガガ!!
美緒「ふっ!!」ザンッ!!
ネウロイ「……」キャー
エーリカ「トゥルーデー、弾足りる?」
バルクホルン「問題はないが、魔法力はどうかな」
芳佳「こ、これって……」
サーニャ「私のせい……」
芳佳「た、戦わないと!!」
サーニャ「……私の歌でみんなが……」
芳佳「サーニャちゃん!!」
サーニャ「そんな……」
109:
芳佳「しっかりして!!」
サーニャ「でも……宮藤さん……」
芳佳「サーニャちゃんの歌は笑顔になれるよ。ううん、もしかしたらネウロイたちもサーニャちゃんの歌を聴きにきただけかもしれないよ」
サーニャ「そんなわけ……」
芳佳「ううん。違うよね。私とサーニャちゃんの歌を聴きにきてくれたのかもしれない」
サーニャ「……」
芳佳「もう戦いになっちゃって、ネウロイに訊ねたりはできないけど、きっとそうだよ」
サーニャ「そうなのかな……」
芳佳「だって、サーニャちゃんの歌で幸せになれないなんてことは絶対に――」
ネウロイ「……」ゴォォォ!!!
リーネ「芳佳ちゃん!!!危ない!!」
美緒「宮藤!!後ろだ!!」
バルクホルン「くっ!!」ブゥゥゥン!!!
エイラ「サーニャ!!!」ブゥゥゥン!!!
芳佳「――ないからっ!!!」
111:
芳佳「つっ……」ギィィィン
サーニャ「あ……」
ネウロイ「……」ゴォォ
芳佳「くぅぅ……!!」
サーニャ「……そのままシールドを展開して」
芳佳「うん!」
サーニャ「――発射」ボシュッ
ドォォォン!!
シャーリー「ふぅー。あぶないなぁー。宮藤ー」
バルクホルン「まったく……」
エイラ「宮藤……」
美緒「各個撃破だ!!最後の一体まで気を抜くな!!」
バルクホルン「了解!!」
エーリカ「はいはーい」
リーネ「発射っ!」
112:
基地 滑走路
ルッキーニ「あぁぁ……つかれたぁぁぁ……」
シャーリー「流石に……な……」
リーネ「うぅん……」ガクッ
芳佳「リーネちゃん、大丈夫!?」
リーネ「な、なんとか……」
エイラ「宮藤、おまえこそ大丈夫か?」
芳佳「私は平気。エイラさんこそ怪我はない?」
エイラ「まぁ、掠り傷程度だ。気にするな」
バルクホルン「はぁ……はぁ……」
エーリカ「結構稼げたね、トゥルーデ?」
バルクホルン「ふっ。流石だな。ハルトマン」
ペリーヌ「もう……たてませんわ……」
サーニャ「ねむい……」
美緒「みんな。すまない」
113:
芳佳「坂本さん?」
美緒「私の責任だ。こういった事態を考えなかった、私の……」
ミーナ「いえ。この作戦は私が考案したものです。坂本少佐は……」
美緒「何をいう。私が……」
ミーナ「いや、私が……」
芳佳「あぁ……あの……」
シャーリー「はいはい。少佐も中佐も悪いってことでいいんじゃないですか?」
美緒「な……うむ……」
ミーナ「……そうね。本当にごめんなさい」
バルクホルン「そうだな。この作戦の重大な危険性を考慮しなかった、二人に責任があるといえる」
美緒「その通りだ。気を急いていたのかもしれない」
ミーナ「美緒……」
バルクホルン「そこでだ。処罰があって然るべきだと、私は思うのだが。皆の意見は?」
芳佳「えぇぇ!?そんなぁ!!坂本さんもミーナさんもいつもがんばってくれてるのに!!」
シャーリー「でも実際、誰か死んでいてもおかしくなかったわけだしさ。少佐も中佐も何もなしじゃ気がすまないだろうし。罰ゲームぐらいはアリなんじゃないか?」
115:
ルッキーニ「じゃあじゃあ、少佐と中佐のペアで歌って踊ってもらおー!!」
シャーリー「それいいな!!」
美緒「まて!!きちんとした……」
バルクホルン「少佐、中佐。そういうわけだ」
エーリカ「トゥルーデ、最高にフリフリしたズボンでも作ってあげてよぉ」
バルクホルン「うん。それは妙案だ。冴えているなハルトマン」
ミーナ「あらあら……」
ペリーヌ「そ、そんなの!!ダ、ダメですわよ!!!」
シャーリー「おいおいー。クロステルマン中尉?みたくないのかぁ?フリフリのズボンで躍る坂本少佐をさ」
ペリーヌ「そ、それは……それは……でも……それは……でも……いや……えー……でも……うーん……」
シャーリー「宮藤とリーネも賛成だよな」
芳佳「あ、えっと……」
リーネ「賛成とはいえないですけど……」
シャーリー「じゃ、賛成ってことで」
芳佳・リーネ「「えぇぇ!!」」
116:
エーリカ「どんなのにしよっか」
バルクホルン「そうだな……」
エイラ「部屋に戻るか、サーニャ?」
サーニャ「うん……」
芳佳「サーニャちゃん!!」
サーニャ「宮藤さん……」
芳佳「あの……どういっていいか……わからないけど……」
サーニャ「……」
芳佳「歌うの嫌いにならないでね!!」
サーニャ「……大丈夫だよ。また私、歌うから」
芳佳「サーニャちゃん。ありがとう!!」
サーニャ「私がありがとうって言わなきゃいけないのに……」
芳佳「ん?」
サーニャ「――芳佳ちゃん、おやすみ」
芳佳「……う、うん!!おやすみ!!サーニャちゃん!!」
117:
サーニャの部屋
サーニャ「おやすみ、エイラ……」
エイラ「なぁ、サーニャ」
サーニャ「なにぃ……?」
エイラ「……一番、好きなのって、やっぱり、宮藤なのか?」
サーニャ「うぅん……」
エイラ「なぁ……」
サーニャ「みんな……大好き……」
エイラ「私は何番目なんだよぉ」
サーニャ「……」
エイラ「サーニャ……」
サーニャ「……エイラは一番」
エイラ「サーニャぁ!!だよなぁ!!」
サーニャ「芳佳ちゃんも一番」
エイラ「……わかった。ありがと。サーニャ」
119:
翌朝 宮藤の部屋
芳佳「すぅ……すぅ……」
コンコン
芳佳「うぅ……?はぁーい?」
サーニャ「芳佳ちゃん。おはよう」
芳佳「あれ……?今、何時?」
サーニャ「起床時間から2時間過ぎてるけど」
芳佳「えぇぇぇ!?!?!」ガバッ
サーニャ「……」
芳佳「あぁ!!寝坊ってもんじゃないよぉ!!!」
サーニャ「大丈夫。ゆっくりでいいよ」
芳佳「え?どうして?」
サーニャ「みんなお休みになったから」
芳佳「そーなの?」
サーニャ「昨日のお詫びだって」
120:
芳佳「よかったぁ……」
サーニャ「芳佳ちゃん。また歌を作ったの」
芳佳「ホントに!?どんなの!?」
サーニャ「今度は芳佳ちゃんに歌ってほしいの。それで私が伴奏する」
芳佳「え?いいの?そんな大役、つとまるかなぁ」
サーニャ「芳佳ちゃんのために作るから」
芳佳「嬉しい!がんばって良い歌にしようね!」
サーニャ「うんっ」
エイラ「――おい!!宮藤ぃ!!」バンッ
芳佳「きゃあ!?エイラさん!?どうしたの!?」
エイラ「……サーニャはわたさないからなぁ!!」
芳佳「え?」
エイラ「わたさないからなぁぁ!!」
芳佳「エイラさん!!待って!!」
サーニャ「エイラー」テテテッ
121:
滑走路
美緒・ミーナ「「あ?いされたい!愛して会いたい!ア??イタイシタイ!!」」キラッ
美緒「独りで?は?!きっとダメなこと?!!」フリフリ
ミーナ「願い?と願いを?!リンクしようね?!」フルフリ
バルクホルン「……」
エーリカ「あははははは!!!あははははは!!!!」
シャーリー「あー……うーん……」
ルッキーニ「なんか似合ってなぁ――」
バルクホルン「ルッキーニ少尉!!口元に食べかすがついているぞ?」グイッ
ルッキーニ「むぐぐぐ!!!!」
ペリーヌ「坂本少佐ぁ……はぁぁ……何をきても……すてきですぅ……」
リーネ「あはは……は……」
シャーリー「というか、あの二人目が笑ってないよな……。あとが怖いぞ、これ」
バルクホルン「だが、これぐらいの罰はあっていいだろ……?」
エーリカ「あははは!!ミーナも少佐もかわいいー!!!あはははは!!!」
122:
エイラ「向こうは楽しそうだなー」
芳佳「坂本さん、可哀相……」
サーニャ「芳佳ちゃん、これ」
芳佳「なになに?え、えーと……どう歌えばいいのかな?」
サーニャ「わーたしにでーきることー。はい」
芳佳「わ、わーたしにでーきることー」
サーニャ「そんな感じ」
芳佳「これ、難しそうだね」
サーニャ「きっとできる」
エイラ「むー……」
サーニャ「エイラも歌おう」
エイラ「……いいのか?」
サーニャ「うん。私の歌は大好きな人に歌ってほしいから」
エイラ「そ、そういうことなら今日だけ歌ってやる。今日だけだかんなー」
芳佳「それじゃ、歌おっか!」
     おしまい
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