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「禁煙したい貴方へ朗報! 只今無料お試しキャンペーン実地中!」


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1:
男「タバコやめたいな……」スパー
同僚「それ何十回目だよ」
男「何百回目の間違いだろ?」スパー
同僚「意思の弱い奴だな。そんなんじゃ女もできねえぞ?」
男「ってもなあ……やめれんのだよなあ」スパー
男「あ」
女「こんにちわ」ペコリ
元スレ
SS報VIP(SS・ノベル・やる夫等々)
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2:
同僚「こんにちわ女さん」
男「ちわ」
女「男さんタバコ吸うんですか?」
男「まあね」
女「やめた方がいいですよ? 体に悪いし」
男「どうも」
同僚「こりゃタバコやめないとアプローチもできねえな」ボソボソ
男「どうでもいいよ」スパー
3:
■帰り道
男「」トボトボ スパー
男「なんでこんなもんがやめれないんだか」
男「……やめれるやめれる。やーめたっと」ポイッ
男「……」
男「どうせあとで買うんだろうな」ヒョイッ
男「あー。タバコやめてー」スパー
男「」トボトボ
男「ん?」
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男「これって確か高いんだよな」
男「無料か……でもどうせ高いもん押し付けられるんだろ?」
男「あほらし」
男「」トボトボ
4:

受付「こちらへどうぞー」
男(で、来ちまった俺は大馬鹿者か)
ガラガラ
白衣「こんにちわー。どうぞおかけください」ニヘラニヘラ
男(馴れ馴れしい医者だな)
男(にしても殺風景な部屋だ。診察台とベッド……)
白衣「本日は無料キャンペーンでお越しいただいた、ということでよろしいですかー?」
男「あ、はい」
白衣「まず一つだけ説明しておきますね、無料キャンペーンの正体。
 一番気になってらっしゃるでしょ?」
男「そりゃまあ」
白衣「ですよねー胡散臭いよねー」ニヘラニヘラ
男(なんだこいつ……馬鹿っぽいな)
5:
白衣「今日の無料キャンペーンで簡易的な施術をするんですねー。
 そーれーで、効果が現れて、本格的にお願いしたいという時に料金を頂くんですよー」
男(それならいいか。住所とかも知られてないし)
白衣「当院は実力主義なんですよー」ニヘラニヘラ
男(よっぽど自信があるんだろうな)
白衣「では簡易的な施術をしていきますので、この薬を服用してください」
男「……これは?」
白衣「軽目の睡眠薬ですねー」
男「わかりました」
男(大丈夫だよな、胡散臭いけど。仮にも医者なわけだし)
男「」ゴク
白衣「暫くしたら効いてきますので、眠くなったら眠ってください。
 どうぞ、そちらのベッドに腰掛けてくださいねー」
6:
男「」ゴロン
白衣「時間を潰す雑誌はいりますかー?」
男「いや、携帯イジってるんでいいです」
白衣「わかりましたー」
男「」ポチポチ
男「ふあ〜あ」
男(眠……ってよりなんかダルいな)
男(薬の効果か……)ウトウト
男(……これでタバコ……やめれる、かな……)
白衣「男さーん、眠りましたかー?」
男「………………ぐぅ」
白衣「ふ」
白衣「ふふふ」
白衣「では、施術を開始しましょうねー」
7:
―――――――――
―――――――
―――――
――――
――
男「んん〜……ん?」ムクッ
白衣「おはようございまーす。気分はどうですか?」
男「んー……ちょっとダルいですね」
白衣「薬の副作用ですね。冷えたお水があるんで飲んでください」
男「ども」ゴクゴク
男「それで施術は?」
白衣「終わりましたよー」
男「え?」
8:
男「眠ってただけなんですけど」
白衣「眠ってる間に終わるのが当院の売りでもありますからー」
男「なにをしたんですか?」
白衣「簡単な暗示をかけたんですよ」
男「暗示?」
白衣「催眠術って言い換えた方がイメージしやすいですかね?」
男(やっぱ胡散臭い)
9:
白衣「催眠術をかける際に重要なのがリラックスの度合いでしてね」
白衣「もっとも効果がある状態がレム睡眠時だと言われてるんですよー」
白衣「薬で強制的にレム睡眠を作り出して、その時に暗示をかけるわけですねー」
白衣「といっても本人が希望しないようなことには効果がないので
 変な暗示にはかからないと安心しておいてくださいねー」
男「はあ」
白衣「では今日はここまでです。効果が現れて、次も来たいと思ったら是非!
 簡易の料金表は帰りに受付が渡しますので」
男「ども」
ガラガラ
男「……ふう。時間の無駄だったか」
10:
男「」トボトボ
男「」トボトボ
男「」ゴソゴソ
男「」スッ カチ
男「」スパー
男「あ」モクモク
男「……それ見ろ。暗示なんて効かないっての」
男「……馬鹿馬鹿しい」
男「」スパー
11:
■一週間後
男「……ふあ〜あ、眠いなあ」
同僚「お前さ、最近禁煙始めた?」
男「はあ? なに言ってんだよ。普通に吸ってんぞ?」
同僚「いやいやいや、本数減ってるだろ?」
男「……言われてみればそうだな。っても五本程度だけど」
同僚「五本も減りゃ充分禁煙じゃねえか。お前一日ふた箱のヘビースモーカーだし」
男「そうかなあ」
同僚「せっかくだしこのままやめて女さんにアピってみたらどうだ?」
男「……」
男「いいわ。面倒だし」
同僚「……ったく」
女「こんにちわ」
12:
男「ちわ」
女「今日はタバコ吸ってないんですね」
男「年柄年中吸ってるわけじゃないですよ。今吸ってないだけで」
女「そのままやめたらいいじゃないですか。健康にもいいし、お金も減らないし」
女「それに、最近の女性はタバコ吸わない人の方が好感持ちますよ?」
男「そんなもんすかねえ」
同僚(……ふうん、なるほど)
15:
禁煙なんて簡単だ
私は何回もしている
17:
■病院
白衣「ようこそー。来てくれると思っていましたよー」
男「まあ、安いし。効果もあったんで」
白衣「ありましたか。よかったよかった。確か男さんは一日二箱程度吸うんですよねー?」
男「はい。それが一日三十五本に減りました」
白衣「目標は禁煙、でいいですか? 本数を減らすとかではなく」
男「まあ、そうですね」
白衣「わかりましたー。では今日から本格的な施術をしていきましょう。
 予定としては二ヶ月をめどにしていますので、週に一度来院してくださいねー」
男(週一か……やっぱタバコ辞めるのって簡単じゃないんだな)
18:
■一週間目
同僚「お、また本数減ってんじゃね?」
男「ちょっとずつだけどな」
同僚「そうそう、女さんだけどよ。あの子、お前に脈アリだぜ?」
男「そうかあ?」
同僚「他所から見てると解ることってあるだろ? 信じろよ」
男「でもあの子タバコ嫌いっぽいしなあ」
同僚「だから、お前に辞めさせようと促してただろ?」
男「なるほどなあ。まあ、期待せずにいるわ」
同僚「ネガティブだなお前は」
男(ネガティブか……暗示でポジティブになれんのかな?)
19:
■病院
男「暗示でポジティブになれたりしますか?」
白衣「なれますけど、お薦めはしませんねー」
男「どうしてですか?」
白衣「暗示で性格や思考を変えるっていうのは、例えるなら整形みたいなものなんですよー。
 ほら、整形ってしていたら妙な違和感があったりするじゃないですか」
男「あー、なるほど」
白衣「もちろん上手く施術すれば違和感も消せますけど、肉体整形に比べて心ははっきりと視えませんからー」
白衣「それでも良ければやりますけどねー。僕が儲かりますし」
男「ははっ、はっきり言いますね」
白衣「真摯なコミュニケーションも施術の一つですからー。無駄な嘘は省くんですよー」
男「ちょっと考えておきます」
白衣「賢明ですねー」
20:
■二週間目
男「……目に見えて減ってきたな。一日一箱か」
男「どういう暗示をかければこうなるんだ?」
男「無理なくタバコを吸わないようになる、とか?」
男「……わからん」
女「こんにちわ」
男「ちわ」
女「あ、またタバコ吸ってないですね」
男「最近減ってますからね」
女「いいことです。このままやめるんですか?」
男「そのつもりですよ」
女「ではやめたら教えてくださいよ」
男「はあ」
女「その時は禁煙パーティーしましょう」
男「大袈裟ですよ」
女「そんなことないですって」
21:
■三週間目
男「タバコ吸う量が減ったからか最近快眠だな」
男「肌荒れも減ってきたし」
男「ほんと、タバコって害なんだなー」
■四週間目
同僚「おっ、それタバコケースか? でもちっちゃくね? 足りるのか?」
男「最近は一日に十本程度だからな。このケースでいいんだよ」
同僚「禁煙間近だな。聞いたぜ、禁煙パーティすんだろ? 俺も呼べよ」
男「お前、俺とあの子がくっつくようにしてたんじゃないのかよ」
同僚「それはそれ、これはこれだっての」
男「へいへい。わかった、呼ぶよ」
同僚「よしっ、んじゃあ店のセッティングは任せろ!」
男「頼りにしてんぞ」
22:
■病院
白衣「どうですかー、禁煙は。進んでます?」
男「来院する毎に減っていきますね。これだとその内に吸わなくなりそうです」
白衣「それはよかった」
男「あ、それと……」
男「ポジティブになれるってやつ、やってくれませんか?」
白衣「構いませんが……よろしいんですかー?」
男「はい。それに、先生なら上手くやってくれるって信じてますから」
白衣「嬉しい言葉ですねー。ではそれも今日から同時にやっていきましょうか」
男「お願いします」
23:
■五週目
男(……なんか、体が軽いな)
男(体がってより、心がか?)
男(ポジティブ効果でてそうだな)
男「ポジティブな俺……想像つかんなあ」
■六週目
女「こんにちわ」
男「こんにちわ、女さん」
女「あれ? なんかイイことでもあったんですか?」
男「どうしてですか?」
女「いつもより表情が明るいですよ」
男「あー、それは多分、女さんと会えたからですね」
女「またまたー」
男「はははっ」
24:
■七週目
男「同僚、おっはよ」
同僚「なんだなんだ? そんな元気ハツラツだったかお前」
男「最近調子が良くってよー。タバコやめたからかな?」
同僚「タバコやめたからってそこまで変わるかよ。でもまあ、いんじゃね? 辛気臭いよりか」
男「だよなだよな」
同僚「って、ん? タバコやめたって、完全にやめたのか?」
男「おう。タバコもライターも持ってないぞ」
同僚「おおっ、やるじゃねえかよ。よっし、となるとパーティーだな!」
男「楽しみにしてんぞ!」
同僚「任せとけ」
25:
■病院
白衣「さて、本日で施術はおしまいです。男さんは通院の流れもあって、性格改革はすんなりといきましたね」
男「ありがとうございます」
白衣「もう大丈夫だとは思いますが、なにかあったらいつでも来てくださいねー。
 あと、念の為に二ヶ月後に一度顔を出してください。経過も聞きたいので」
男「はい」
白衣「では最後の施術を行います。薬を飲んでくださーい」
26:
■八週目
部長「やあ男くん。最近調子がいいみたいだな」
男「はいっ」
部長「仕事の量を増やしているのに質も良くなっているし、部署のムードメーカーになってくれているようだ。
 今後もその調子で頼むよ」
男「頑張りますっ」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
同僚「男、パーティーの日取り決まったぜ」
男「いつだいつだ?」
同僚「今週の土曜夜だ。日曜休みだし、行けるだろ?」
男「問題なし! 久々に飲むかー!」
同僚「でも程々にしとけよ? 帰りはもしかしたら……」
男「女さんだろ? 泥酔はしてられないな」
27:
■土曜
男「髪型よし、お洒落よし、行くか!」スタスタ
男「……」
男「よく見るとタバコとそこら中に落ちてんだな。ったく」ヒョイ
男「あそこにも……」ヒョイ
男「いかんな……これじゃ前に進めんぞ」
男「コンビニで袋もらって拾いながら行こう」
男「」ヒョイ ヒョイ ヒョイ ヒョイ
男「なんで俺が拾わなきゃならないんだ」ムカムカ
男「ちっ」ヒョイ ヒョイ ヒョイ
32:
男「悪い、待たせた」
同僚「ったく、おせえよ」
女「遅刻ですよー。なにかありました?」
男「いや、これ拾ってたらよ」ドッサリ
同僚「なんだそりゃ……タバコ?」
男「おう。マナーのない奴らだ」
女「ポイ捨てタバコ拾ってたんですか? え、偉いんですね」
男「そんなんじゃない。たた、なんか無償に、な」
同僚「いつからエコ団体の回し者になったんだか」
男「だからそんなんじゃないって。ちょっとこれ捨ててくる」スタスタ
女「男さんどうしちゃったんでしょう」
同僚「タバコやめたばっかだから気になるんだろうなあ」
同僚(でもそれは好感度下がるっての)
33:

ワイワイ ガヤガヤ
女「ではではっ、男さんの禁煙を祝してー、かんぱーい」
カチン カチン カチン
男「どうもどうも。今日は同僚の奢りだそうで」
同僚「んなわけねえだろ! いくら祝い事だからって禁煙如きで奢ってられるか」
男「ちぇ、残念」
女「まあまあ」クスクス「そういえば男さん、禁煙の発端はなんでしょう?」
34:
男「発端ねー」
男(すっごくどうでもいい理由だったんだよな……)
男「女さんがタバコやめて、って言ったからかな」キリッ
同僚「カッコつけてんじゃねえよ、やめられねーってぼやいてたくせによ」
男「それは内緒だぞ?」シー
女「ばっちし聞いちゃってますよぉ」クスクス
同僚(やっぱ変わったな、男。前はここまで話せなかったよな)
男「」ワイワイ
女「」ウフフ
同僚(早めに帰っても良さそうだな)
35:
同僚「ふー、なんか今日は酔いが早いぜ」
男「やり直しっ」
同僚「なんか酔っちゃったみたい……なにやらすんだよ」
女「可愛いじゃないですか」クスクス
同僚「まあまじで酔ってきたし、先に帰るわ」
男「大丈夫か?」
同僚「平気平気。タクシー呼ぶし。それに――」
同僚「このあとはお前の方が大変だろ?」コソコソ
男「なるほど。さんきゅ」コソコソ
女「あーひそひそ話はいけないんですよぉ」
同僚「女ちゃんも酔ってんな。んじゃ」スタスタ
36:
男「女さんってお酒弱いんだな」
女「違いますよぉ、今日は楽しいから酔いが早まったんですぅ」
男「んじゃあちょっと酔いを覚ましておくか」
男「お水くださーい」
女「よいしょっと。お花摘んできますねぇ」
男「はいはい、行ってらっしゃい。一人で大丈夫?」
女「へーきですぅー」スタスタ
男「酔うと甘えん坊になる女の子、多いよな」
男「女は女優っていうからなあ。いつも気張ってて大変なんかな?」
37:
男「しかし流石同僚だな。俺のためか、禁煙ブースを選んでくれてる辺りモテ度が高いわ」
男「ふう」
男「……」
スタスタスタ モクモク
男「」ピクンッ
男「……は?」
男「」スタスタ ガシ
男「なああんた」
酔っ払い「あんだぁ」
男「なに歩きタバコしてんだ?」
38:
酔っ払い「なんか文句あんのがぁ? おおう?」
男「当たり前だ、ここ禁煙ブースだぞ。この前の通路を歩きタバコするってなに考えてんだ?」
酔っ払い「禁煙禁煙うるせぇっぞ! おおう!?」
男「は?」ドゴォ
酔っ払い「うおっぷ……」ゲロゲロ
男「俺が悪いんか? お前が悪いんか? なあ」ゲシッ ゲシッ
酔っ払い「やめっ、うえ、やめてくれっ」
男「なあ……なあ……なあっ……なあっ!」ゲシッ バキッ ドゴッ メキッ!
店員「お客様! やめてください!」ガシッ
39:
男「こいつが歩きタバコしてたんだけど。ここ禁煙ブースだよな」
店員「それは最もなお怒りですが、やりすぎですっ」
男「やりすぎ……?」
酔っ払い「」ピクピク ピクピク
男「……あ」サァー
男(なに、してんだ……俺)
男「ここまでするつもりじゃ……」
店員「救急車! 救急車を呼んでくれ!」
男(救急車……病院……警察……逮捕……っ)
男「うああああああああああああ!」ブンブン
店員「うっ」バキッ
男「――っ」ダッダッダッダッダッ
40:
男「」ダッダッダッダッダッ
男(なんでっ、こんなことになってんだ!?)
男(俺が悪いのか? あいつが悪いのか?)
男(あいつが歩きタバコしてたのが悪いに決まっている!)
男(糞みたいなタバコ吸ってた奴が悪いに決まっている!)
男(だから俺が悪いはずがない……っ)
男(俺はなにもなにも悪くない!)
男「」ダッダッダッダッ
男「はあ……はあ……ここまで来れば……」チラッ
男「廃ビルか? 身を隠そう」
男「女さん置いて来ちゃったな。帰りに介抱してあげないといけないのに」
♪pinpo-n panpo-n♪
男「電話……女さんか」
pi
41:
女『お、男くんっ、なにがあったの!?』
男「なんでもないから気にしないでいいよ」
女『気にするよっ。店員さんに"お連れ様が暴力を働いて逃げた"って聞いて、私っ』
男「俺も酔ってたみたい。ごめんな、女さん。送ってあげたかったのに」
女『……男くんは悪くないんだよね?』
男「俺はなにも悪くない。ただ、ちょっとやりすぎだな」
女『……わかった。あとは私がなんとかしておくね』
男「できる?」
女『男くんの素性を明かさないぐらい、私にもできるよ。それじゃあ、またね』
pi
男「優しいな女さん。またね、か……」
43:
男「よし、帰るか」
男「」スタスタスタ
モクモク モクモク
男「」スタスタスタ
スパー スパー ポイッ
男「」スタスタスタ
スパー
男(なんでこんな苛々するんだ……っ)
44:
男(あいつらはちゃんと喫煙スペースで吸ってる)
男(鬱陶しい鬱陶しい鬱陶しい鬱陶しい!)
男「……家帰りたくないな」
男(タバコの匂い、染み付いちゃってるもんな……)
男(そうだ、女さんの家に泊まれるか聞いてみよう)
男(あの子も酔って大変だろうし、看病がてら)
男「この辺で張ってれば来るかな」
45:
女「ふう、大変だった……」スタスタ
男「やっ」ヌッ
女「わっ、男くん! びっくりした……帰ったと思ってたから」
男「帰れないって。女さんに迷惑かけちゃったし」
男「それに、酔ってるから心配だったし……」
女「……大丈夫ですよ」
男「送るよ。迷惑かけたお詫びに」
女「大丈夫ですよ。私なんか襲われ――あっ」フラッ
男「」ガシッ
男「ほら、襲われるとか以前の話だ」
女「……じゃあ、お願いします」
46:
女(なんか、男さんって雰囲気変わったなぁ)スタスタ
女(前はもっと暗かったのに、今は余裕たっぷりって感じで)スタスタ
女(でもこっちの男さんの方が好きだなぁ)
女(……)
女(家まで送ってくれるってことは、そういうこと、なのかな?)
女(うぅー、なんか緊張するよぉ)
男「大丈夫? 顔が真っ赤だけど」
女「いえっ、全然、平気です」
男「全然、平気ね」クスッ
女(なんかこの男さん……大人っぽいなぁ)ポー
47:
男「ここ?」
女「はい」
男「それじゃあ俺はここで」
女「あ、いえ、その……」
女「お茶ぐらい出すので、上がっていってください」
男「でもこの時間だと終電もなくなっちゃうだろうしなあ」
女「泊まっていって、いいですから//」
女(軽い女だって思われたら嫌だなぁ)
男「そっか……じゃあ、そうするわ。正直助かった。ありがと」ナデッ
女「あぅ」クシャッ
女(髪くしゃってされるの……気持いいなぁ)
48:
男「綺麗にしてるんだな」
女「それなりにはしてますよぉ。はい、お茶です」
男「ありがと」ズズー
男「ふう……お茶の匂いがとても…………」
女「……? 男さん、どうかしました?」
男「……タバコの匂いがする」
女「えっ、ほんとですか? うわ、すみません」
男「女さん、吸ってんの?」
女「まさかぁ。一昨日父が遊びに来たんですよ。それで。消臭しといたのになぁ」
男「……」
女「男、さん?」
49:
女(そっか、男さんタバコ辞めたばっかりだし、気になるよね)
女「ちょっと待っててくださいね。消臭スプレーかけるんで」
男「……お父さんって、タバコ吸うのか?」
女「父は昔から愛煙家のようで。言っても聞かなかったです」
男「昔から、っていうと」
男「女さんが産まれる前から、ってこと?」
女「そうですよぉ」シュー シュー
男「……は?」
52:
男「それ、本当?」ガシッ
女「ひゃっ……急にどうしたんですか。びっくりするじゃないですか」
男「いや、だから、それ、本当?」
女「本当って、父ですか? 残念ながら……はは」
男「ふうん」
男「」ギュッ
女「おっ、とこさん……腕、痛いです……」
男「」ブオンッ
女「きゃっ」ボフン
女「ど、どうしたんですか? 男さ……あ……」
女(怒ってるの? 苦しんでるの? 悲しんでるの?
 なにあの目……あんな目みたことない……)ゾッ
53:
男「ってことはあれだ。女さんの細胞にはタバコが染み付いてるわけだ」スタ スタ
女「ひっ」
女(表情がのっぺりとしてる。さっきまでの男くんじゃない。
 言ってることも支離滅裂だし)
男「じゃあ、早急になんとかしなくちゃな」ガバッ
女「やっ、やめっ――んっ」
女(首? 吸われてる? 舐められてる?)
女「んっ……」
女(やだ、声がでそうになる……そういうつもり、なのかな)
女「乱暴に、しないでくださいね……」
54:
男「さあ?」ペロペロ チュパッ チュウチュウ ペロペロ
女「ふ……んっ……」
男「」ガブッ
女「いっ――あっ」
男「」グギギ ブツッ ブチッ
女「やあああああああ!? いいいいいいいい! やめっ、やあああああああああ!」
男「」グギギ ブチッ ダラダラダラダラ
女「ぁぁあああああああああ! やめでええよおおぉぉぉぉおおおおおお! あぁああぁあぁぁああああ!」
男「」ブチンッ
女「――あ」ブシャー
女「ああ"あああぁぁあああ"あ"あああ"あああ"あぁぁ"ぁ"ぁ"あああああ"あ"ぁぁあ"あっ!」
55:
女「あ……あああ……や、めで……ぐだ……ざい……」ダラダラダラダラ
男「なんでやめなくちゃいけないんだ? 俺はなにも悪いことしてないのに」
男「なあ、女さんって俺のことが好きなんだろ?」
男「でもさ、俺ってタバコが嫌いなんだわ」
男「そんで、女さんの血にはタバコの毒が流れてるわけだよ」
男「じゃあ綺麗にしなくちゃいけないだろ? こんな風に」グジュッ
女「やあめでえええええ! 抜い! 抜いでえええええ!」グジュッ グリグリ
男「まあまあ、この辺引っ掻き回したら血もそれなりに出るだろうから我慢してよ」
男「ほら、女さんも嬉しいだろ? これで俺に異性として見られるわけだし」
女「私、は……異性じゃ、ないの……?」
男「タバコの血が流れてる奴なんて、ゴミ以下でしょ」ニコッ グリグリ
女「いぃぃぃあぁああああっうぼえぇぇぇえええええ」
56:
男「可愛い顔が台無しだ。ちょっと痛いけど我慢してくれよ」グリグリ
女「やあ"ああああ"あああ! もうっ、やめっ、ぃぎゃあああああ!」
男「はあ……仕方ないな……じゃあ、終わらそうか」ブチブチブチ
女「服、破いて、どうす、どう……いや……いやああああああああ!」
男「心臓に近い方が、早く済むだろ?」ガブッ
ブチンッ
女「あああああ"ああ"ああああ!」ボタボタボタ
ドンドンドン
警察「開けろ! 開けるんだ!」
男「……。邪魔が入ったか」
57:
男「女さん、今日は帰るわ」
男「けど、また来るから」
女「う"ぅあ……」ボタボタ
男「女さんの体が綺麗になるまで、何度でも」
男「何度でも何度でも何度でも何度でも」
男「噛みちぎってその血が綺麗になるまで」
男「噛みちぎってその肉が綺麗になるまで」
男「来るから」ニコッ
男「」ガラガラ
男「またな」
58:
男「ってもなあ。どうやって帰ろう。まだ電車あるか?」
男「とりあえず駅に行こう」

ガヤガヤ ガヤガヤ
「おい、あいつ、血塗れだぜ」
「なにあれ。コスプレ? 頭イっちゃってんじゃない?」
モクモク モクモク
スパー スパー
男「……」スタスタ
ウイーン
「いらっしゃ――ひっ」
男「……」スタスタ
男「これください」ゴトン
「さ、380円になります」
59:
男「」チャリチャリン
「ありがとうございました」
男「……ねえ」
「は、はい」
男「……あんた、タバコ吸う?」
「……」ドキドキ
「はい、一応……」
男「」ニコッ
男「」ガシッ グイッ
男「あんたの血も汚れてるわけだ」ブシュッ
「あ……ああ……あああああああ!?」
60:
「きゃーあああああああ!」
男「……あんた、タバコ吸う?」
「!?」ブンブンブンッ
男「そう、じゃああんたはいい人だ」
男「」スタスタ
ウイーン
男「……街が汚い……あいつも汚い……」
男「あいつも、あいつも、あいつも」
男「……空も汚い……星も汚い……」
男「全部全部全部全部ぜえええええええんっぶ!」
男「タバコのせいだあ!」ダッダッダッダッダッ
男「俺は正しい! 俺が正しい! 俺が正義だ!」
男「はっはっはっはっはっはああああああああああ!」ダッダッダッダッ グサッ
男「ああああああああああああああああ!」
61:
■ □ ■ □ ■
『昨晩、○×駅周辺で起きた無差別殺傷事件の被疑者、■□ △▲は次のように供述していると情報が入りました』
『タバコが悪い、タバコが憎い、等と、タバコに対する強い嫌悪感を零している模様です』
『事件の異常性と応対の結果から明日精神鑑定を行います』
『それでは、次のニュースで』pi
白衣「ふふふ……随分と壊れるのが早い玩具でしたねー」
受付「また人形を作ったんですか、先生」
白衣「人形? 人聞きが悪いこと言わないでくださいよー。彼らは意思のある人間ですって」
受付「先生に操られた意思ですけどね」
白衣「そこまではしてませんよー」
62:
白衣「ただタバコを吸わなくなるような暗示をかけただけですからー」
受付「禁煙の暗示ならもっと適切な言葉があったはずですよね……?」
白衣「聞いてたんですかー? まったく、困ったちゃんですね」
受付「」ゾッ
白衣「お仕置きされたいですか?」
受付「は……はい……」
白衣「ふふふ」
白衣「君もよっぽど悪趣味ですねー」
白衣「暗示にかかっているのか、かかっているフリをしているのか。
 どこまで操られているのか解らないのに、それを甘んじて受け入れ、
 尚且つこうして離れないのですからー」
受付「お仕置き、してください、先生」
白衣「ふふふ」
63:
白衣「彼の行動はどこまでが自分の行動だったのでしょうね」
白衣「ふふふ」
白衣「……君もね」
64:
end.
65:
催眠術に関係した話だけど、本文の催眠術話は嘘が多い。
一つ、レム睡眠時が最も効果的であるという話。嘘。
二つ、自分の意思にそぐわない催眠術にはかからない。嘘。
まあ、上記二点、両方白衣の台詞なんだけども。
なぜ嘘をついたのか、なんて意図は言わんでも解るだろうけど。
ほわほわ系を期待していたなら謝る。
元々後味の悪さをテーマに書きたかったから。
では。
66:
おっつ
面白かったー
67:
乙ー
7

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第3回ラノベ検定「中級編」さらなる難問が君を待つ

未だに残る昭和臭い物

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『キルラキル』第3話予告(30秒ver.) 公開! 皐月様どえらい格好なさってる!!

パソコンの歴史上、Sandy Bridgeの登場より衝撃的なことってあったの?

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友人をスポーツジムに誘ったらショックを受けたらしく避けられるようになった

韓国政府、日本など周辺国との紛争に備え、空母保有を検討開始

【三鷹女子高生刺殺事件】池永容疑者「押入れなう。かなりストーカーじみてる。神様助けて。詰みました」 友人にLINE

国でハクサイなどを作ってる菜園がマジキチすぎてウンコが花咲かせたみたいwww 

フリーターで何が悪いの?

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